JP2010038470A - 暖房床構造および床暖房パネル - Google Patents

暖房床構造および床暖房パネル Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の床暖房構造および床暖房パネルでも、従来の使用条件においては、良好に使用可能であったが、二酸化炭素を低減させる必要から、より低い温度の熱媒や、より低い通電量であっても、快適な暖房温度を維持し得るエネルギー効率の極めて高い床暖房構造および床暖房パネルが強く要望されるに至った。
【解決手段】 床暖房基材の上面又は下面に凹溝を設けるか、設けないで、熱供給体を配し、その下方にグラファイトシートを積層させてなる床暖房パネルを床下地上に敷設し、更に、該床暖房パネルの上面に床仕上材を敷設してなる暖房床構造。
【選択図】 なし

Description

本発明は、床暖房構造および床暖房パネルに関するものであり、特に、熱伝導の著しく優れた床暖房構造および床暖房パネルに関するものである。
従来の床暖房構造は、例えば、床下地上に、床暖房パネルを敷設し、さらに、床暖房パネル上に床材が敷設された構造をとっている。そして、この床暖房パネルは、合板等の木質系からなる床暖房基材、あるいは合成樹脂発泡体からなる床暖房基材の上面、又は下面にパイプ溝を形成し、該パイプ溝には架橋ポリエチレンパイプ等のパイプを挿入し、そのパイプ内に温水等の熱媒体を通水することで形成する。更に、この基材上面には、合成樹脂シートや金属箔、或いはアルミニウムを蒸着した合成樹脂シートを積層することにより、補強あるいは伝熱性を付与させてなるものである。(特許文献1参照)
こうした床暖房パネルの昇温時間を短縮し、しかも床材の面方向の温度分布を均一化する目的でカーボングラファイトシートを熱伝導用、ないしは均熱用に利用する技術が開示されている。(特許文献2参照)
この特許文献2では、カーボングラファイトシートを発熱手段として用いたり、均熱用カーボングラファイトシートを用いる技術が開示されている。そして、具体的には、均熱用カーボングラファイトシートの下側に発熱用カーボングラファイトシートを配置するとか、又は、均熱用カーボングラファイトシートの下側に温水パイプを配管する技術が記載されている。
また、床から下面に移動する熱量を低下させ、同時に、床から上面に移動する熱量を増加させて、暖房のエネルギー効率を増加させるにつき、床下面に設置したパイプ内に熱媒体を循環させる床暖房パネルにおいて、パイプの下側に無機超微粒子粉体を含む断熱発泡樹脂層を配置し、パイプの上面に炭素材料を含む伝熱・遮音発泡樹脂層を配置したことを特徴とする床暖房パネルが開示されている。(特許文献3、特許文献4参照)
上記構造の床暖房構造および床暖房パネルは、従来の使用条件においては、良好に使用可能であった。しかしながら、京都議定書の要請から、二酸化炭素をより低減させる必要が生じてきており、そうした目的に添うエネルギー効率の高い床暖房構造および床暖房パネルの模索が開始され始めた。すなわち、温湯式床暖房においては、より低い温湯を循環させても、快適な暖房温度を維持し得ることが要求される。また、電気式床暖房においても、電線発熱体へのより少ない通電量による低い発熱温度において、同じく快適な暖房温度を維持し得ることが要求される。
上記のごとき、要請を満たすため、熱良導体との接触面積を増加させる試みがなされ始めた。例えば、温湯式の床暖房において、発泡合成樹脂基材の上面に設けられた熱供給体を挿入する凹溝中に、凹溝表面に沿って覆うようにアルミニウム箔を埋め込む試み等である。この方法では、凹溝中にアルミニウム箔を被覆するのに、発泡合成樹脂基材上に、アルミニウム箔を重ねてプレスする等の手間の掛かる製造方法がとられているが、こうした煩雑な製造を行うことにより、コストの大幅な上昇が余儀なくされるにもかかわらず、熱特性の改善効果が小さいため、熱的により高性能化が可能である技術が切望されていた。
また、特許文献2の発明では、均熱用カーボングラファイトシートの下側に温水パイプを配管し、該温水パイプは断熱材のパネルのU字溝内に保持する旨の開示がなされている。この発明では、均熱用カーボングラファイトシートは、温水パイプの上側に存在させるのであるが、他の素材と比較して(比較的)高価なカーボングラファイトシートを使用するについては、熱的特性を最大限に発現させて、価格に見合う高性能を発揮させなければ到底市場に採用されるに至らない。こうしたカーボングラファイトシートの特性につき、本発明者らが詳細に追求した結果、特許文献2の発明では、カーボングラファイトシート本来の特性を充分に発揮させ得ていないことを見出した。すなわち、カーボングラファイトシートは、面方向の熱伝導は極めて良好なのに対し、厚み方向の熱伝導は大きく劣る。よって、厚み方向にある熱供給体から供給される熱をいかに効率よくカーボングラファイトシートに伝え得るかがポイントとなる。一旦、カーボングラファイトシートに対し、熱を合理的に伝えさえすれば、この熱を極めて優れる面方向への伝達により、最高度の高効率の床暖房構造が実現できる。このためには、熱供給体とカーボングラファイトシートの接触面積を少しでも大きく取る必要がある。特許文献2の発明のごとく、均熱用カーボングラファイトシートの下側に温水パイプを配管し、該温水パイプ断熱材のパネルのU字溝内に保持させた場合においては、温水パイプと均熱用カーボングラファイトシートの接触は、線接触でしかない。これに対し、カーボングラファイトシートを熱供給体の下方に配置すれば、カーボングラファイトシートと熱供給体の接触は、面接触になり、接触面積は大きく増加することが可能となり、カーボングラファイトシートの性能を充分活用した利用が出来るようになる。更に、カーボングラファイトシーとの下面に接触する合成樹脂発泡体等の断熱性能を有する床暖房基材により、カーボングラファイトシートから下方へ放熱される熱放散は抑止し得、カーボングラファイトシーの上方への熱放散は抑止されることがないので顕著に良好な床暖房パネルが構成できるようになる。
さらに、特許文献3、特許文献4には、発泡樹脂に1〜60重量%、望ましくは5〜30重量の炭素粉末、炭素繊維、黒鉛などの熱伝導率の高い炭素材料を分散して、熱伝導率の大きい伝熱・遮音発泡樹脂を使用することが記載されているが、このような試みをしたとしても、その熱伝導率は、せいぜい0.1W/m・K程度であり、コストが上昇するわりには、その性能向上は極めて制限されたものでしかない。
特開2003−172522号公報 特開2007−10304号公報 特開2001−132960号公報 特開2001−227757号公報
本発明は、シンプルな構造で、床暖房パネルの厚みが薄く、少ない熱量で効率的な床暖房が達成でき、更に局部的な温度上昇が極めて少なく、暖房床全面を均熱化できる床暖房構造および床暖房パネルを提供すること。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、床暖房パネル中に熱伝導体としてグラファイトシートを存在させることで、床暖房パネルの厚みを薄くしても少ない熱量で効率的な床暖房が達成でき、更に局部的な温度上昇が極めて少なく、暖房床全面を均熱化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、
(1)床暖房基材の上面又は下面に配した熱供給体の下方に、グラファイトシートを存在させたことを特徴とする暖房床構造、
(2)床暖房基材の上面又は下面に熱供給体を配し、該熱供給体の下方にグラファイトシートを積層させてなる床暖房パネルを床下地上に敷設し、更に、該床暖房パネルの上面に床仕上材を敷設してなる(1)記載の暖房床構造、
(3)床暖房基材が発泡合成樹脂基材である(1)又は(2)記載の暖房床構造、
(4)床暖房基材の上面又は下面に凹溝を設け、熱供給体を該凹溝中に嵌挿してなる(1)〜(3)のいずれか1記載の暖房床構造
である。
本発明の第二は、
(5)床暖房基材の上面又は下面に凹溝を設けるか、設けないで、熱供給体を配し、その下方にグラファイトシートを積層させてなる床暖房パネル、
(6)床暖房パネルの表面面積の60%以上の面積に、グラファイトシートが積層されてなる(5)記載の床暖房パネル、
(7)グラファイトシートの上面、及び/又は下面に、金属を蒸着するか、または金属箔を積層させてなる(5)又は(6)記載の床暖房パネル、
(8)グラファイトシートの上面、及び/又は下面に、合成樹脂フィルム又はシートを積層させてなる(5)〜(7)のいずれか1記載の床暖房パネル、
(9)床暖房基材の上面又は下面に凹溝を設け、該凹溝表面の一部又は全部にグラファイトシートを積層し、該凹溝内のグラファイトシート上に熱供給体を配した(5)〜(8)のいずれか1記載の床暖房パネル、
(10)床暖房基材が発泡合成樹脂基材である(5)〜(9)のいずれか1記載の床暖房パネルである。
本発明の床暖房パネルおよび暖房床構造は、単純な構成であるため、製作が容易であり、かつ床暖房パネルの厚みも薄く設定できるにもかかわらず、高度の熱伝導が実現できることから、少ない熱量で所定温度に昇温可能なため、顕著に効率的な床暖房が達成できる。更に、暖房床全面が均熱化でき、そのため局部的な温度上昇が極めて少なくできる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の暖房床構造は、床暖房基材の上面又は下面に熱供給体が配され、該熱供給体の下方にグラファイトシートを積層させてなる床暖房パネルを床下地上に敷設し、更に、該床暖房パネルの上面に床仕上材を敷設してなるものである。
本発明に使用する床暖房基材は、合板等の木質系からなる、あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂発泡体、またはポリスチレン等のスチレン系合成樹脂発泡体、ポリウレタン等のウレタン系合成樹脂発泡体等からなる床暖房基材が用いられる。本発明においては、コストや断熱性の点から、発泡合成樹脂基材が好ましい。熱供給体として、温水等の熱媒体を通過させるパイプ等を使用する場合には、該床暖房基材の上表面または下表面には、これら温水パイプ等の熱供給体を嵌挿して配置するための凹溝を面方向に設けることが好ましい。
床暖房基材の厚みは、通常略10〜20mm程度が一般的であり好ましい。しかし、リフォームにて床暖房を工事する場合等には、7〜12mm程度の薄目の厚みのものが要求されることもある。床暖房基材の幅、長さは、床暖房を施すために敷設する床の面積、形状等により適宜変えられるので一概には決められない。しかし敷設時の取扱いが容易であることから、幅:300〜2000mm程度、長さ:300〜2000mm程度が一般的である。但し、一枚の床暖房基材を単独で床暖房パネルとして形成することもあるが、複数枚の床暖房基材を連結させて暖房パネルとして形成することもあるので、上記寸法は、全く限定的なものでない。
本発明の熱供給体としては、例えば温水パイプや電気による発熱体などが挙げられる。温水パイプは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂で作製されるのが一般的であり、特に架橋ポリエチレン等の架橋したオレフィン系合成樹脂で作製されることが多い。この熱供給体は、オレフィン系合成樹脂以外に、アルミニウム、銅等の金属製であっても何ら支障はない。直径は、4〜15mm程度が一般的である。電気による発熱体としては、ニクロム線などが挙げられる。
次に、本発明に使用するグラファイトシートについて説明する。グラファイトシートは、熱伝導性に優れていれば、グラファイトシートの構造、性能等に特に制限を受けることなく、一般に市販されているグラファイトシートが使用可能である。前記グラファイトシートは、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾール、またはポリアミド等の高分子フィルムをアルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下や減圧下で熱処理する高分子熱分解法が知られている。また、上記の高分子熱分解法以外に人工的なグラファイトの製造方法としてエキスパンド法がある。エキスパンド法によるグラファイトは、粉状、燐片状の天然黒鉛を原料として、これを酸に浸漬し、その後、加熱によりグラファイト層間を拡げることによって得られる。これをフィルム状グラファイトとするためには、さらに粘結材とともに高圧プレス加工を行う。エキスパンド法により得られたグラファイトシートは、粉状、燐片状の天然黒鉛を原料とするために、柔軟性は有するものの、グラファイト結晶子が小さく結晶性が悪いために、高分子熱分解法により得られたグラファイトに比べ熱伝導性に劣り、またフィルムの強度も弱く脆いという傾向がある。このため、本発明に使用するのには、高分子熱分解法によって得られたグラファイトシートがより好ましい。
本発明に使用するグラファイトシートの面方向の熱伝導率は、200W/m・K以上が好ましく、より好ましくは500W/m・K以上、さらに好ましくは1000W/m・K以上である。200W/m・K以上であることにより、熱供給体からの熱を瞬時に広げることが可能となり、エネルギー効率の高い床暖房構造および床暖房パネルを提供することが可能となる。
本発明に使用するグラファイトシートの面方向の熱拡散率は、2.0×10−4m2/s以上が好ましく、より好ましくは3.0×10−4m2/s以上、さらに好ましくは7.0×10−4m2/s以上、特に好ましくは8.5×10−4m2/s以上である。2.0×10−4m2/s以上であることにより、熱供給体からの熱を瞬時に広げることが可能となり、エネルギー効率の高い床暖房構造および床暖房パネルを提供することが可能となる。
本発明に使用するグラファイトシートの厚み方向の熱伝導率は、30W/m・K以下が好ましく、より好ましくは25W/m・K以下、さらに好ましくは20W/m・K以下である。特に好ましくは、10W/m・K以下、最も好ましくは、2W/m・K以下である。20W/m・K以下であることにより、熱供給体からの熱を厚み方向に逃がすことが少なく、瞬時に面方向に広げることが可能となり、エネルギー効率の高い床暖房構造および床暖房パネルを提供することが可能となる。
本発明に使用するグラファイトシートの厚みは、10〜300μmが好ましく、20〜250μmがより好ましい。コスト的には高価であるが、性能の優れた高分子熱分解法によるグラファイトシートを用いる場合には、20〜120μmと薄くすることが可能となるので好ましい。厚みが10μmより薄いと製造がし難くなると共に、グラファイトシートの破損などが生ずる場合が有り得る。逆に厚みが300μmより厚いと、強度の面では強くなるもののコスト高になって合理的でない場合がある。目的に応じて、上記範囲で適宜グラファイトシート厚みを選定すればよい。
本発明に使用するグラファイトシートの密度は、1.0g/cm3以上が好ましく、より好ましくは1.3g/cm3以上、さらに好ましくは1.6g/cm3以上である。密度が高くなることで、熱の伝達が改善され、エネルギー効率の高い床暖房構造および床暖房パネルを提供することが可能となる。また、強度が改善され施工性や長期信頼性に優れたものとなる。
本発明に使用するグラファイトシートの放射率は、0.7以上が好ましく、より好ましくは0.8以上である。0.7以上であることにより、熱供給体からの熱拡散に、グラファイトシートが有する熱伝導だけではなく、放射の効果も利用することが可能となり、エネルギー効率の高い床暖房構造および床暖房パネルを提供することが可能となる。特に従来使用されていたアルミ箔では、金属光沢があり、放射率が小さいために、放射の効果を利用することができなかったが、グラファイトシートではこの効果を加味することが可能となる。
本発明に使用するグラファイトシートの圧縮率は、0.9以下が好ましく、より好ましくは0.8以下である。圧縮率は、(30MPa加圧後のグラファイトシートの厚み)/(加圧前のグラファイトシートの厚み)で算出される値である。圧縮率が0.9以下であると、熱供給体と床仕上材との間に使用されたグラファイトシートや発泡合成樹脂基材と床仕上材との間に使用されたグラファイトシートが、緩衝材の役割を果たし、密着性が改善され、熱のロスを低減することが可能となり、エネルギー効率の高い床暖房構造および床暖房パネルを提供することが可能となる。また、圧縮性があるために、振動を吸収することもできる。
本発明に使用するグラファイトシートは、MIT耐屈曲試験において、幅15mmの短冊型試験片を使用し、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度135度、折り曲げ速度90回/分、荷重9.8Nの条件で測定した切断するまでの往復折り曲げ回数が10000回以上、より好ましくは20000回以上、さらに好ましくは50000回以上である。往復折り曲げ回数が10000回以上であると、屈曲性に優れる。本発明の暖房床構造では、グラファイトシートが、熱供給体の下方設置されるため、狭い隙間や急な曲率で折り曲げて敷設する必要があるが、本発明のグラファイトシートは、MITが10000回以上と屈曲性に優れるために、十分に熱供給体に密着して設置することが可能となる。その結果、熱のロスを低減することが可能となり、エネルギー効率の高い床暖房構造および床暖房パネルを提供することが可能となる。また、振動があってもずれることなく、熱供給体に対する密着性も保持することが可能になる。
更に、次に述べる性能の優れたグラファイトシートを使用するのがより好ましい。このグラファイトシートは、線膨張係数が0ppm以下、および/または引張弾性率が1GPa以上、および/または熱抵抗測定装置によって測定される接触式厚み方向の熱伝導率((株)日立製作所製の樹脂材料熱抵抗測定装置によって測定された値である。)が1.4W/m・K以下であることを特徴とするグラファイトシートである。面方向の熱伝導率は、約900〜1800W/m・K程度であり、通常は、例えば、約1000〜1300W/m・K程度の性能が得られる。その内容は、本願出願人により出願された特願2006−023844に詳細に記述されている。その特徴を列記すれば次ぎの通りである。
すなわち、
(1)線膨張係数が0ppm以下であることを特徴とするグラファイトシートである。
(2)引張弾性率が1GPa以上であることを特徴とするグラファイトシートである。
(3)線膨張係数が0ppm以下、引張弾性率が1GPa以上であることを特徴とする、グラファイトシートである。
(4)熱抵抗測定装置によって測定される接触式厚み方向の熱伝導率が1.4W/m・K以下であることを特徴とするグラファイトシートである。
(5)熱抵抗測定装置によって測定される接触式厚み方向の熱伝導率が1.4W/m・K以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(6)引張強度が25MPa以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(7)面方向の熱拡散率が9.0×10-4m2/s以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のグラファイトシート、である。
(8)密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(9)厚みのばらつきが10μm以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
以上(1)〜(9)で記したことは、優れた性能を有するグラファイトシートの強度等の物性に関する特性であって、これらの強度に優れたものであり、加えて、熱的特性に関する物性についても優れたものであることを示す。
(10)前記グラファイトシートが、表面層の断面模様と表面層以外の断面模様とが、少なくとも異なる部分を有するグラファイトシートであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(11)前記グラファイトシートが、表面層の断面模様の一部が、1μm未満の厚みの略長方形が略平行に積層した結果形成される短辺5μm以上の略長方形の形状を有するグラファイトシートであることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(12)前記グラファイトシートが、内部に、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されるグラファイトシートであることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(13)前記グラファイトシートが、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトシートであることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(14)前記グラファイトシートが、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを、熱処理前および/または熱処理中に金属を含有する物質と接触させて、2000℃以上の温度で熱処理して得られるグラファイトシートであることを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載のグラファイトシート、である。
(15)高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを、電圧を印加して直接通電可能な容器内に保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含むことを特徴とする製造方法により得られることを特徴とする(1)〜(14)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(16)前記グラファイトシートが、前記原料フィルムを、通電可能な容器(A)内に該原料フィルムを保持し、さらに該容器(A)を通電可能な容器(B)内に保持し、全体に通電しながらグラファイト化する工程を含むことを特徴とする製造方法により得られることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載のグラファイトシート、である。
(17)前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾル、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
(18)前記高分子フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする(17)に記載のグラファイトシートである。
(19)前記ポリイミドフィルムが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤を用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする(17)〜(18)のいずれかに記載のグラファイトシートである。
以上(10)〜(19)までに記載した事項は、好ましいグラファイトシートの持つ特有の構造を示すと共に、そうした構造のグラファイトシートの製造方法を開示する。
本発明において、グラファイトシートの上面、又は下面には、アルミニウム等の金属を蒸着するか、またはアルミニウム箔等の金属箔を積層させることができる。特に、グラファイトシートが薄く、強度的に弱い場合には、強度を増加させることができるので、金属を蒸着するか、または金属箔を積層させることが好ましい。金属蒸着や金属箔の積層を行う場合には、グラファイトシートの上面に行うのがより好ましい。
また、グラファイトシートの上面及び/又は下面に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等のスチレン系、ポリ塩化ビニール等の塩化ビニール系等の合成樹脂フィルム又はシートを積層することもできる。グラファイトシートが薄く、強度的に弱い場合には、グラファイトシートの強度を増す効果があるので、合成樹脂フィルム又はシートを積層することが好ましい。特に、床暖房パネル上に敷設する床仕上材が薄くて強度が不足する場合に、暖房床の全体強度を向上させることを目的として、合成樹脂フィルム又はシートを積層することも好適な態様である。更に、床暖房基材の上面に積層したグラファイトシートの上面に合成樹脂フィルム又はシートを積層した構造の床暖房パネルとした場合には、グラファイトシートを合成樹脂フィルム又はシートが保護する構造となるので、次の効果を奏し得るため、特に好ましい実施態様となる。すなわち、床仕上材の厚みに関わらず、床暖房パネルの上面に両面接着テープを用いて床仕上材を敷設することが可能となるため、従来は、床暖房パネルの上面に釘止めでもって床仕上材を敷設せざるを得なかったのに比し、極めて簡便な床仕上材の敷設ができると共に、床仕上材の改修時には、両面接着テープに接着した床仕上材を剥がすだけで、容易に床仕上材の張替えが可能とる。
さらに、グラファイトシートの上面及び/又は下面に、金属蒸着や金属箔の積層を行い、更に、その上に合成樹脂フィルム又はシートを積層することもできる。グラファイトシートの上面、及び/又は下面に、合成樹脂フィルム又はシートを積層し、更に、その上に金属蒸着や金属箔の積層を行うことも可能である。勿論、グラファイトシートの1面に金属蒸着や金属箔の積層のみを行い、他面に合成樹脂フィルム又はシートを積層することもできる。これらの組合せは自由であり、特に制限を加える必要はない。しかし、金属蒸着や金属箔及び/又は合成樹脂フィルム又はシートの積層を複数回実施すると、それだけコストが嵩むので、その観点からは最小限の実施にとどめるのが好ましい。
グラファイトシートによる床暖房基材の上面又は下面の被覆率は、大きいほど性能は良好で好ましく全表面を覆うのが最も好ましいが、熱供給体の全部又は一部を覆えば熱的には改善効果が発揮できるので、特に制限はない。しかし、床暖房基材の上面又は下面のグラファイトシートによる被覆率は、60%以上が好ましい。また、床暖房基材の上面又は下面を被覆するのに、一枚の広いグラファイトシートを用いてもよいが、複数枚の小さなグラファイトシートを多数枚用いて被覆することもできる。面積の小さなグラファイトシートは安価であるものの、多数枚のグラファイトシートを用いて被覆するのには手間がかかるため、コスト高となるので、適当な大きさのグラファイトシートを適当枚使用して、床暖房基材の上面又は下面を被覆するのが工業的には有利となる。
本発明の他の実施態様として、床暖房基材の上面又は下面に設けた凹溝表面の一部又は全部、或いは凹溝表面を含む床暖房基材上面又は下面の一部又は全部にグラファイトシートを積層し、該凹溝内のグラファイトシート上に熱供給体を配することもできる。
このように凹溝内の表面にグラファイトシートを積層するには、凹溝内の表面上にグラファイトシートを積層するか、あるいは熱供給体にグラファイトシートを、接触、接着、巻回、貼付等のなんらかの手段で添付した形にて、熱供給体を凹溝内に嵌挿して配することもできる。
グラファイトシートは、厚み方向よりも面方向への熱伝導性が優れている。このことから、上記したような態様、すなわち、該凹溝内のグラファイトシート上に熱供給体を配する構造とした場合には、床暖房基材方向への熱の無駄な放散を最小限に抑制し、熱供給体の熱を平面方向及び上方に効率的に利用できるので最も好ましい態様といえる。
こうした態様における該凹溝内へのグラファイトシートの積層は、必ずしも、凹溝表面を含む床暖房基材上面の全面あるいは一部にグラファイトシートを積層する必要はなく、少なくとも該凹溝内の上表面にグラファイトシートを積層して、その上に熱供給体を配し、更に、床暖房基材上面および熱供給体上面を金属箔で積層するといった対応によっても充分に本発明の効果を発揮し得る。
本発明の更なる他の実施態様として、床仕上材の裏面にグラファイトシートを積層させてなる床仕上材を使用することもできる。この場合には、使用する床暖房パネルには、グラファイトシートを積層させることなく、床仕上材の裏面にグラファイトシートを積層した床仕上材を使用することができる。勿論、床暖房パネルと床仕上材の裏面との両方にグラファイトシートを使用することを制限するものではない。グラファイトシートを積層した床仕上材を使用する場合における、グラファイトシートの被覆率も60%以上であることが好ましい。
本発明の床仕上材は、フローリング等の木質のものが一般的であり、その厚みが略2〜15mm程度のものがよく用いられているが、何ら制限されるものではない。
以下、図面を用いて、本発明を説明するが、これらの図面や後述の実施例で本発明は何ら制限されるものではない。
図1は、本発明の一例である床暖房パネル1を示す斜視図である。図2は、A−A矢視での断面図である。この床暖房パネル1は、発泡合成樹脂基材2の上面に、温水パイプ等の熱供給体3を嵌挿して配置するための凹溝4が厚み方向に凹設されている。そして、凹溝4の表面を含めた発泡合成樹脂基材2の上表面には、上表面の形状に沿ってグラファイトシート5が積層されており、グラファイトシート5が積層された凹溝4の表面上に、熱供給体3が嵌挿して配置されている。
図3は、本発明の一例である床暖房パネル1用いて、暖房床を形成する状態の一例を示す断面図である。床暖房パネル1は、床下地7上に、例えばビス9でもって止着される。そして、床仕上材11が床暖房パネル1の上面に敷設される。この床仕上材11の床暖房パネル1上への止着は、釘、ステープル、あるいは両面接着テープ等が用いられる。図示はされていないが、床仕上材11の端面は、蟻継ぎ、相决り等の形状とし、隙間なく良好な敷設ができるようにしているのが一般的である。
なお、床下地7は、集合住宅の場合には、スラブであることが多い。戸建て住宅では、合板やパーティクルボードであることが多い。また、戸建て住宅における改修のケースでは、床下地7は、フローリングや、合板やパーティクルボードであるケースが多い。しかし、床下地7の種類は問わない。どのような床下地7であっても、その上面に床暖房パネル1が、良好に止着できればよい。また、止着の方法は問わない。
床暖房パネル1上への床仕上材11の止着についても同様であって、床仕上材11の種類や止着の方法についても何ら問わない。
床暖房パネル1を床下地7上に、敷き並べて暖房床を形成する場合には、熱供給体3が温湯パイプのごとき管状のものであれば、相互に連結して温湯が循環するようにする。また、熱供給体3が電気発熱体等である場合にも、相互に連結され、電気が暖房床面に通電できるように施工される。
図4は、本発明の他の一例である床暖房パネル1の構造を示す断面図である。床暖房基材2の上面に、グラファイトシート5が積層され、さらに、グラファイトシート5が積層された凹溝4内には熱供給体3が嵌挿されており、グラファイトシート5が積層された床暖房基材2の上面に、熱供給体3の上方を含めて、合成樹脂シート13を積層したものである。
図5は、本発明の更に他の一例である床暖房パネル1の構造を示す断面図であって、発泡合成樹脂基材2の上面に、凹溝4を凹設すると共に、この凹溝4内の上表面と凹溝4近傍の発泡合成樹脂基材2の上面にグラファイトシート5を積層する。そして、この凹溝4内のグラファイトシート5の上面に熱供給体3を嵌挿して配置し、熱供給体3の上面を含めた発泡合成樹脂基材2の上表面に合成樹脂シート13が積層されたものである。この実施態様では、グラファイトシート5の使用面積を、少なくすることが出来るので、多少、性能は低下するものの、高性能で高価なグラファイトシート5の使用量の節約による床暖房パネルのコストへの影響を小さくするのに好ましい。
図6は、図5と類似の一例であり、熱供給体3の上面を含めた発泡合成樹脂基材2の上表面に合成樹脂シート13を積層する代わりに金属箔15を積層したものである。グラファイトシート5の使用面積を少なくし、面方向の熱伝導を補強するのには、合成樹脂シート13を積層する図5の態様より、金属箔15を積層する態様が好ましい。
図7は、図6と類似の一例であって、熱供給体3の上面を含めた発泡合成樹脂基材2の上表面に金属箔15を積層した後、更に、合成樹脂シート13を積層したものである。図7と同じ構造を取るのに、熱供給体3の上面を含めた発泡合成樹脂基材2の上表面に、合成樹脂シート13の下面に金属蒸着層を有する合成樹脂シートを積層することによっても構成しうる。金属箔15を積層した後、更に、合成樹脂シート13を積層するという2回の積層の代わりに、金属蒸着層を有する合成樹脂シートを使用したほうが、コスト的には有利であり好ましい。なお、この図7では、金属箔15を積層した後、合成樹脂シート13を積層したが、場合によっては、その順番を逆にして、合成樹脂シート13を積層した後、金属箔15を積層することもできる。暖房床パネルの使用状況や、要求される特性に応じて使い分ければよい。この場合にも、合成樹脂シート13を積層した後、金属箔15を積層する代わりに、合成樹脂シートの上面に金属蒸着層を有する合成樹脂シートを、熱供給体3の上面を含めた発泡合成樹脂基材2の上表面に積層することにより構成することが出来る。
図8は、本発明の更なる他の一例である床暖房パネル1の構造を示す断面図である。発泡合成樹脂基材2の上面に、深さの極浅い凹溝4'を凹設して、凹溝4'内表面を含めた発泡合成樹脂基材2の上面に、グラファイトシート5を積層し、その後、ニクロム線等の電気による熱供給体3'を嵌挿し、その上表面には、さらに、合成樹脂シート13を積層したものである。
(製造例1) グラファイトシートの作製
実施例で用いたグラファイトシートは、以下のようにして作製した。
<ポリイミドフィルムAの作製方法>
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。
出来上がり厚みが75μmとして、以下のフィルム作製用の乾燥条件で上記混合溶液層の乾燥を行った。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱して乾燥した。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10−5/℃)を得た。
<炭素化フィルムAの作製方法>
上記で得た厚さ75μmのポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温した後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)を行い、炭素化フィルムAを得た。
<グラファイトフィルムAの作製方法>
上記で得た炭素化フィルムA(400cm2(縦200mm×横200mm)を、縦270mm×横270mm×厚み3mmの板状の平滑なグラファイトで上下から挟み、縦300mm×横300mm×厚み60mmの直接通電可能な黒鉛容器(容器(A))内に、保持した。
該容器(A)は、原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒容器(B)の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺をカーボン粉末で覆い(容器(A)と容器(B)の間にカーボン粉末を充填し)、また該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。該容器(B)の外部周辺をカーボン粉末で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトフィルム1を得た。
上記熱処理後のグラファイトを、単板プレスの方法で圧縮することで、グラファイトフィルム(厚み40μm)を得た。
<グラファイトシートの厚み方向の熱伝導率測定法>
まず、グラファイトシートを10mm角にカットした。これをシリコンチップ(0.525mm厚)の鏡面間で挟み、加熱軸および冷却軸との間にオイルを塗布し、サンプル温度50℃、20Nの一定加重モードの条件で(株)日立製作所製の樹脂材料熱抵抗測定装置を用い、フィルムの厚み方向の熱抵抗(単位:W/K)を測定した。熱抵抗の値は、3回測定した際の平均値を使用した。また、得られた熱抵抗の値を厚み(m)で除することで、厚み方向の熱伝導率を算出した。
(実施例1)
床暖房基材として、発泡ポリスチレン(株式会社カネカ製のYD、発泡倍率10倍)で形成された発泡合成樹脂基材(長さ:1800mm、幅:1200mm、厚さ:11.6mm、熱伝導率:0.034W/mK)を使用し、その上面に、深さ:7.2mm、幅:7.2mm、溝間隔:75mmである凹溝を凹設し、該発泡合成樹脂基材の上表面の全面(凹溝を含め)に、グラファイトシート(厚み:40μm、熱伝導率:1200W/m・K、厚み方向の熱伝導率1.4W/m・K、密度1.9g/cm3、引張弾性率25MPa以上、線膨張係数0ppm)を積層した。次いで、該凹溝内に架橋ポリエチレン製の(外径:7.2mm、内径:5.0mm、熱伝導率:0.4W/m・K)を挿入し、床暖房パネルを作製した。この床暖房パネルの温水パイプに50℃の温水を通水して熱特性を測定し、その結果を表1に示す。なお、表1に記載の数値は、床暖房パネルの上部空間の1m3(すなわち一辺が1mの立方体空間)を5mm厚の杉板で区画し、ポイント1(座標:X=0.10m、Y=0.10m、Z=0.0216m)、ポイント2(座標:X=0.30m、Y=0.30m、Z=0.0216m)、ポイント3(座標:X=0.50m、Y=0.50m、Z=0.0216m)、ポイント4(座標:X=0.15m、Y=0.5m、Z=0.15m)におけるそれぞれの温度(℃)を表す。なお、雰囲気温度は20℃であった。更に、ポイント1〜ポイント4までの各温度の平均値を平均値として表した。
(比較例1)
実施例1と同じ床暖房パネルであるが、実施例1と同じグラファイトシートを、実施例1のように温水パイプの下に積層する代わりに、温水パイプの上に積層、すなわち、実施例1と同一の発泡合成樹脂基材の上面に設けた実施例1と同一形状の凹溝中に温水パイプを嵌挿し、当該温水パイプの上から、当該グラファイトシートを発泡合成樹脂基材の上面に積層して、床暖房パネルを作製した。この床暖房パネルの温水パイプに50℃の温水を通水して熱特性を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同じ床暖房パネルであるが、当該グラファイトシートを、アルミニウム箔(厚み:300μm、熱伝導率:237W/m・K)に代替した構造の床暖房パネルを作製した。この床暖房パネルの温水パイプに50℃の温水を通水して熱特性を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例1と同じ床暖房パネルであるが、当該グラファイトシートを、比較例2と同じアルミニウム箔に代替した構造の床暖房パネルを作製した。この床暖房パネルの温水パイプに50℃の温水を通水して熱特性を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1と類似の床暖房パネルであるが、発泡合成樹脂基材の上面に当該アルミニウム箔を積層せず、さらに、当該グラファイトシートも積層することなく床暖房パネルを作製した。この床暖房パネルの温水パイプに50℃の温水を通水して熱特性を測定し、その結果を表1に示す。
実施例と比較例を較べると、実施例は比較例1よりも平均値は高めであり、特に温度の分布幅が少ないことが観察された。更に、他の比較例に比して優れていることが判る。このように本発明はエネルギー消費に影響する効果は良好で、地球環境保護に大きく資するものである。
Figure 2010038470
本発明の一例である床暖房パネルを示す斜視図である。 図1におけるA−A矢視での断面図である。 本発明の一例である床暖房パネル用いて、暖房床を形成する状態の一例を示す断面図である。 本発明の他の一例である床暖房パネルの構造を示す断面図である。 本発明の更に他の一例である床暖房パネルの構造を示す断面図である。 本発明の更なる他の一例である床暖房パネルの構造を示す断面図である。 本発明の更に他の一例である床暖房パネルの構造を示す断面図である。 本発明の更に他の一例である床暖房パネルの構造を示す断面図である。
符号の説明
1 床暖房パネル
2 発泡合成樹脂基材
3、3' 熱供給体
4、4' 凹溝
5 グラファイトシート
7 床下地
9 ビス
11 床仕上材
13 合成樹脂シート
15 金属箔

Claims (10)

  1. 床暖房基材の上面又は下面に配した熱供給体の下方に、グラファイトシートを存在させたことを特徴とする暖房床構造。
  2. 床暖房基材の上面又は下面に熱供給体を配し、該熱供給体の下方にグラファイトシートを積層させてなる床暖房パネルを床下地上に敷設し、更に、該床暖房パネルの上面に床仕上材を敷設してなる請求項1記載の暖房床構造。
  3. 床暖房基材が発泡合成樹脂基材である請求項1又は2記載の暖房床構造。
  4. 床暖房基材の上面又は下面に凹溝を設け、熱供給体を該凹溝中に嵌挿してなる請求項1〜3のいずれか1記載の暖房床構造。
  5. 床暖房基材の上面又は下面に凹溝を設けるか、設けないで、熱供給体を配し、その下方にグラファイトシートを積層させてなる床暖房パネル。
  6. 床暖房パネルの表面面積の60%以上の面積に、グラファイトシートが積層されてなる請求項5記載の床暖房パネル。
  7. グラファイトシートの上面、及び/又は下面に、金属を蒸着するか、または金属箔を積層させてなる請求項5又は6記載の床暖房パネル。
  8. グラファイトシートの上面、及び/又は下面に、合成樹脂フィルム又はシートを積層させてなる請求項5〜7のいずれか1記載の床暖房パネル。
  9. 床暖房基材の上面又は下面に凹溝を設け、該凹溝表面の一部又は全部にグラファイトシートを積層し、該凹溝内のグラファイトシート上に熱供給体を配した請求項5〜8のいずれか1記載の床暖房パネル。
  10. 床暖房基材が発泡合成樹脂基材である請求項5〜9のいずれか1記載の床暖房パネル。
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