JP2010038178A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低いコストで効率的に、しかも容易に形成可能な仕切部材の使用によって、製作性の向上と製作コストの低下とが有利に図られ得る流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】第一の流体室と第二の流体室とを仕切る仕切部材34が、同一の形状を有する二つの半割体44,44からなると共に、各半割体44の分割面48を含む端部の厚さ方向の両側に、互いに対応した形状の嵌合凸部62,64と嵌合凹部58,60とが設けられて、それら二つの半割体44,44が、互いに表裏を反転させた状態で、それぞれの分割面48同士において突き合され、且つそれぞれの嵌合凸部62,64と嵌合凹部58,60とにおいて凹凸嵌合せしめられて、互いに組み付けられることにより、仕切部材34が形成されるように構成した。
【選択図】図3

Description

本発明は、流体封入式防振装置に係り、特に、非圧縮性流体が封入された複数の液室を有し、それら複数の液室間での流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置の改良された構造に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、第一の取付部材と第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、この本体ゴム弾性体を壁部の一部として、非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成し、更に、仕切部材を間にして、この仕切部材の厚さ方向の第一の流体室とは反対側に、非圧縮性流体が封入された第二の流体室を形成する一方、かかる仕切部材に対して、それら第一及び第二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設け、更に、仕切部材の中心部に、第一の流体室と第二の流体室とを相互に連通可能な透孔を形成して、第一の流体室と第二の流体室との間において、仕切部材の厚さ方向に移動可能に配置された可動部材の少なくとも一部を透孔内に挿入し、そして、可動部材と仕切部材のうちの少なくとも何れか一方に、可動部材の外周面の全周や透孔の内周面の全周に連続して延びる周溝を設ける一方、それらのうちの少なくとも何れか他方に、周溝の底面及び二つの側面との間にそれぞれ隙間を開けた状態で、周溝内に突入位置せしめられる突入部を、周溝の全周に沿って連続して延びるように設けて、可動部材の移動に伴って、突入部が、周溝の二つの側面のうちの何れか一方の側面の全周に接触せしめられることにより、可動部材の移動が規制されると共に、透孔が、可動部材にて閉塞されるように構成した流体封入式防振装置が、知られている。
この流体封入式防振装置にあっては、オリフィス通路内を流通せしめられる流体の流動作用や、振動の入力による可動部材の移動に伴って、透孔を通じて第一の流体室と第二の流体室との間を流通せしめられる流体の流動作用に基づいて、ゴム弾性体だけでは得られ難い防振効果を容易に得ることが出来るところから、例えば自動車用エンジンマウントやボデーマウント等への適用が検討されている。
ところで、そのような流体封入式防振装置では、一般に、仕切部材が、全体として、所定厚さを有する円板形状を呈し、樹脂材料を用いた射出成形や、アルミニウム等の金属製のブランクを用いたプレス成形等によって得られる成形体からなっている。
それ故、従来の流体封入式防振装置に装備される仕切部材を得る際には、かかる仕切部材の成形用の射出成形型やプレス型等の成形型が、仕切部材よりも不可避的に大型なものとなってしまい、そのために、成形型の製作費が嵩むといった問題が内在していた。また、一つの成形型で、仕切部材を多数個取りによって得る際には、成形型の大型化の問題と、それによる成形型の製作費の高騰の問題とが、より顕著なものとなっていた。
なお、そのような成形型の大型化の問題を解消するには、仕切部材を複数に分割した分割体を互いに組み付けてなる分割構造と為し、それらの分割体をそれぞれ成形する成形型を用いることが、考えられる。しかしながら、単に、仕切部材を分割構造としただけでは、仕切部材の形成の際に、複数の分割体を、正しい組付方向とは異なる間違った向きで組み付けてしまう、所謂誤組付が生じる可能性があった。そのため、単純な分割構造を有する仕切部材を用いる場合には、その仕切部材の形成に際して、分割体同士の誤組付を回避するための余分な注意を払わなければならず、その分だけ、仕切部材、ひいては流体封入式防振装置の製作性が低下するといった問題が存していたのである。
特開昭60−113835号公報 特開2001−280404号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、装置内部に設けられた流体室を、第一の流体室と第二の流体室とに仕切る仕切部材を備えた流体封入式防振装置において、低いコストで効率的に、しかも容易に形成可能な仕切部材が用いられていることで、製作性の向上と製作コストの低下とが有利に図られ得るように改良された構造を提供することにある。
そして、本発明にあっては、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 第一の取付部材と第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体を壁部の一部として、非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成し、更に、所定の厚さを有する仕切部材を間にして、該仕切部材の厚さ方向の該第一の流体室側とは反対側に、非圧縮性流体が封入された第二の流体室を形成する一方、該仕切部材に、それら第一及び第二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設け、更に、該仕切部材の中心部に、該第一及び第二の流体室を相互に連通可能な透孔を形成して、該第一の流体室と該第二の流体室との間において、該仕切部材の厚さ方向に移動可能に配置された可動部材の少なくとも一部を該透孔内に挿入し、そして、該可動部材と該仕切部材のうちの少なくとも何れか一方に、該可動部材の外周面の全周や該透孔の内周面の全周に連続して延びる周溝を設ける一方、それらのうちの少なくとも何れか他方に、該周溝の底面及び互いに対向する二つの側面との間にそれぞれ隙間を開けた状態で、該周溝内に突入位置せしめられる突入部を、該周溝の全周に沿って連続して延びるように設けて、該可動部材の移動に伴って、該突入部が、該周溝の二つの側面のうちの何れか一方の側面の全周に接触せしめられることにより、該可動部材の移動が規制されると共に、該透孔が、該可動部材にて閉塞されるように構成した流体封入式防振装置において、前記仕切部材が、その厚さ方向に延びる分割面にて、厚さ方向に対して直角な方向に二分割した、互いに同一の形状を有する二つの半割体からなると共に、それら二つの半割体のそれぞれの分割面を含む端部に、厚さ方向に直角な方向に突出する嵌合凸部と、該嵌合凸部に対応した形状をもって凹陥する嵌合凹部とが、厚さ方向の一方側と他方側とにそれぞれ位置するように設けられて、該二つの半割体のうちの一方が、それらのうちの他方に対して表裏が反転するように配置された状態で、それら二つの半割体が、それぞれの分割面同士において突き合わされ、且つそれぞれの嵌合凸部と嵌合凹部とにおいて凹凸嵌合せしめられた状態で、互いに組み付けられることにより、前記仕切部材が形成されていることを特徴とする流体封入式防振装置。
(2) 前記半割体の前記分割面の厚さ方向中央部に、厚さ方向に交差する方向に広がる段差面が形成されて、該分割面が、厚さ方向に直角な方向において凹凸となる段付形状とされることにより、かかる分割面を含む該半割体の端部に、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とが、該半割体の厚さ方向の一方側と他方側とにそれぞれ位置するように設けられている上記態様(1)に記載の流体封入式防振装置。
(3) 前記半割体の前記嵌合凸部の先端面と前記嵌合凹部の底面のうちの少なくとも何れか一方に、係合突起が設けられる一方、それらのうちの少なくとも何れか他方に、該係合突起が突入して、係合せしめられる係合凹所が設けられて、該半割体の二つが、前記仕切部材を形成するように組み付けられた状態下で、該係合突起が、該係合凹所内に突入し、係合せしめられることにより、該二つの半割体の組付状態が維持されるようになっている上記態様(1)又は(2)に記載の流体封入式防振装置。
(4) 前記半割体の前記分割面を除く外周面部分に、周方向に延びる凹溝が形成されると共に、該凹溝が、その延出方向の一端部を該分割面において開口せしめ、且つその延出方向の他端部を、該凹溝の側壁部に設けられた切欠部を通じて、該半割体の厚さ方向一方の面において開口せしめるように構成されて、かかる凹溝をそれぞれ有する該半割体の二つが、前記仕切部材を形成するように互いに組み付けられた状態下で、該二つの半割体のそれぞれの凹溝が互いに連通せしめられると共に、延出方向の両端部において、該仕切部材の厚さ方向の両側に向かってそれぞれ開口せしめられることにより、それら互いに連通する凹溝にて、該仕切部材の外周面に、周方向に延びるオリフィス溝が形成され、そして、かかる仕切部材に対して、第二の取付部材が有する筒部が、該オリフィス溝を覆蓋するように外嵌されることにより、前記オリフィス通路が、該オリフィス溝に対応して、該仕切部材に設けられるようになっている上記態様(1)乃至(3)のうちの何れか一つに記載の流体封入式防振装置。
(5) 前記半割体が、ゴム弾性体にて形成されている上記態様(1)乃至(4)のうちの何れか一つに記載の流体封入式防振装置。
すなわち、本発明に従う流体封入式防振装置においては、仕切部材が、厚さ方向に対して直角な方向に二分割された半割体の二つを、互いに組み付けてなる分割構造において構成されている。そのため、射出成形やプレス成形等を利用して、仕切部材を型成形によって得る場合には、仕切部材の半分の大きさしかない半割体を成形する成形型のみが用いられる。この半割体を得る成形型は、仕切部材の全体を得るための成形型よりも十分に小型で且つコンパクトな構造とされる。しかも、仕切部材を形成する二つの半割体が、互いに同一形状を有しているところから、それら二つの半割体を、一個取りの成形型にて成形する場合にあっても、唯一つの成形型を用いるだけで済む。更に、型成形によって、半割体を多数個取りする場合にも、使用される成形型が、仕切部材の全体を多数個取りする成形型よりも、十分に小型化され得る。
それ故、仕切部材を型成形によって得る際に用いられる、1個取り又は多数個取りの成形型の製作費が、従来の非分割の単一体からなる仕切部材を1個取り又は多数個取りで得るための成形型の制作費よりも、効果的に低く抑えられ得る。そして、それによって、仕切部材の可及的に低いコストで効率的な製造が可能となる。
また、本発明に従う流体封入式防振装置にあっては、二つの半割体を互いに組み付けて、仕切部材を形成する際に、それら二つの半割体が、表裏が互いに反転するように配置された状態とされていなければ、各半割体の嵌合凸部と嵌合凹部とが凹凸嵌合されないようになっており、それによって、二つの半割体が、表裏を反転させた正しい配置状態とされているときに限って、互いに正しく組み付けられ得るようになっている。かくして、二つの半割体の組付の際に、誤組付が生ずることが効果的に防止されて、半割体同士の誤組付を回避するための余分な注意を払う必要が有利に解消され得る。そして、その結果、仕切部材が、より容易に形成され得るようになる。
従って、かくの如き本発明に従う構造を有する流体封入式防振装置においては、装置内部に設けられた流体室を、第一の流体室と第二の流体室とに仕切る仕切部材として、低いコストで効率的に、しかも容易に形成可能な仕切部材が用いられており、それによって、装置全体の製作性の向上と製作コストの低下とが、共に有利に図られ得ることとなったのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントが、その縦断面形態において示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のエンジンマウントは、第一の取付部材としての第一の取付金具10と、第二の取付部材としての第二の取付金具12とを備えており、それら第一の取付金具10と第二の取付金具12とが、上下方向に互いに離間配置されて、本体ゴム弾性体14により弾性的に連結されて、構成されている。
そして、例えば、第一の取付金具10が自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具12が自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。また、そのような装着状態下では、パワーユニット重量が及ぼされることにより、本体ゴム弾性体14が弾性変形して、第一の取付金具10と第二の取付金具12が相互に接近位置せしめられる。そして、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動が、第一の取付金具10と第二の取付金具12の接近乃至離隔方向(マウント中心軸である図1中の略上下方向)に入力されることとなる。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向を言うこととする。
より詳細には、第一の取付金具10は、略円柱形状を呈し、その中央部には、上面において開口する雌ねじ穴16が設けられている。そして、この雌ねじ孔16に、図示しないパワーユニットのブラケット等に挿通された取付ボルト等が螺入されることによって、第一の取付金具10が、パワーユニットに固定的に取り付けられるようになっている。
一方、第二の取付金具12は、全体として、軸方向中間部に段差部18が設けられて、上部側が下部側よりも大径の略段付の円筒形状を呈し、かかる段差部18よりも上部側部分が大径部20とされている一方、段差部18よりも下側部分が小径部22とされている。そして、そのような第二の取付金具12の略中心軸上において、第一の取付金具10が、第二の取付金具12の大径部20の上方に離間して配設されており、また、それら第一の取付金具10と第二の取付金具12の大径部20との間に、本体ゴム弾性体14が介装されている。
この本体ゴム弾性体14は、全体として、大径の略円錐台形状を呈しており、大径側端面において下方に開口する凹所24を有して、構成されている。そして、かかる本体ゴム弾性体14にあっては、その小径側端部に、第一の取付金具10が、その上端部を除いて、かかる小径側端部内に埋め込まれた状態で、加硫接着されている一方、凹所24を取り囲む大径側端面に対して、第二の取付金具12の大径部20が、その内周面において加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体14は、第一の取付金具10と第二の取付金具12を備えた一体加硫成形品として形成されている。これによって、第二の取付金具12(大径部20)の上側開口部が、本体ゴム弾性体14によって流体密に覆蓋されているのである。なお、第二の取付金具12の小径部22の内周面には、その略全面を覆うシールゴム層26が、本体ゴム弾性体14と一体的に形成されている。
一方、第二の取付金具12の小径部22の下側開口部には、取付リング28が、配置されている。この取付リング28は、小径部22の内径よりも所定寸法小さな外径を有する高さの低い円筒形状乃至は円環形状を呈している。そして、かかる取付リング28の内側に、可撓性膜としてのゴム薄膜からなるダイヤフラム30が、取付リング28の内孔の全体を覆うように配設されている。このダイヤフラム30は、変形容易なように弛みを持たせた薄肉円板形状を有しており、外周縁部において、取付リング28の内周面に加硫接着されている。つまり、ダイヤフラム30が、その外周縁部に取付リング28が加硫接着された一体加硫成形品として構成されているのである。
そして、このような取付リング28が、第二の取付金具12の小径部22の下側開口部内に、第二の取付金具12と同軸的に位置せしめられており、例えば、かかる小径部22に対する縮径加工等が施されることによって、第二の取付金具12に対して嵌着固定されている。また、そのような固定状態下において、第二の取付金具12の小径部22の内周面に固着された前記シールゴム層26にて、第二の取付金具12の小径部22の内周面と取付リング28の外周面との間が液密にシールされている。
これによって、第二の取付金具12(小径部22)の下側開口部が、取付リング28とその内孔を閉塞するダイヤフラム30とによって液密に覆蓋されており、以て、第二の取付金具12の上下両側(軸方向両側)を覆蓋する本体ゴム弾性体14とダイヤフラム30の対向面間において、非圧縮性流体が封入された流体室32が形成されている。なお、封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用されるが、特に後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、本実施形態では、0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
また、第二の取付金具12の内部(小径部22の内部)には、仕切部材34が収容配置されており、流体室32中に組み付けられている。この仕切部材34は、全体として略厚肉の円板形状を有しており、かかる仕切部材34が流体室32内で軸直角方向に広がった状態で第二の取付金具12(小径部22)に固定されることにより、流体室32が、仕切部材34を挟んだ上下両側、つまり仕切部材34の厚さ方向に仕切られている。そして、仕切部材34の厚さ方向の一方の面側たる上側には、本体ゴム弾性体14の前記凹所24の内側空間からなり、壁部の一部が本体ゴム弾性体14にて構成された、第一の流体室としての受圧室36が形成されている一方、仕切部材34の厚さ方向の他方側たる下側には、壁部の一部がダイヤフラム30で構成された、第二の流体室としての平衡室38が形成されている。即ち、受圧室36は、振動入力時に本体ゴム弾性体14の弾性変形に伴って振動が入力されて内圧変動が生ぜしめられるようになっている一方、平衡室38は、ダイヤフラム30の変形に基づいて容易に容積変化が許容されて、内圧変化が吸収されるようになっている。
なお、仕切部材34も、取付リング28と同様に、第二の取付金具12の小径部22内に、第二の取付金具12と同軸的に位置せしめられた状態下で、例えば、かかる小径部22に対する縮径加工等が施されることによって、第二の取付金具12に対して嵌着固定されている。そして、そのような固定状態下において、第二の取付金具12の小径部22の内周面に固着された前記シールゴム層26にて、第二の取付金具12の小径部22の内周面と仕切部材34の外周面との間が液密にシールされている。このことから明らかなように、本実施形態では、第二の取付金具12の小径部22にて、第二の取付部材が有する筒部が構成されている。
また、そのような仕切部材34の中心部には、受圧室36と平衡室38とを相互に連通する透孔40が、かかる中心部を貫通して設けられていると共に、この透孔40の内部に、可動部材42が、挿入されるように収容位置せしめられている。そして、本実施形態においては、かかる仕切部材34が、従来のエンジンマウントには見られない特別な構造を有しているのである。
すなわち、仕切部材34は、図1乃至図3に示されるように、二つの半割体44,44が互いに組み付けられてなる分割構造を有している。そして、ここでは、それら二つの半割体44,44が、例えば、NR系、天然ゴムとスチレン・ブタジエンゴムとをブレンドしたNR/SBR系、天然ゴムとブタジエンゴムとをブレンドしたNR/BR系等のゴム材料を用いて加硫成形されたゴム弾性体からなり、互いに同一の形状を有する同一の部材にて構成されている。
各半割体44は、その表面45側の形態と裏面46側の形態をそれぞれ示す図4及び図5と、正面形態(図4のVI矢視形態)を示す図6と、左側の側面形態(図4のVII矢視形態)を示す図7と、右側の側面形態(図4のVIII矢視形態)を示す図8とから明らかなように、全体として、周方向長さが半円よりも所定寸法大なる厚肉の弓形板状を呈し、外周面が、優弧(半円よりも所定寸法大なる周方向長さを有する)の円弧面(分割円筒面)からなる円弧状外周面部分47と、かかる円弧状外周面部分47の周方向の両端を連結するように直線的に延出して、半割体44の全体形状(平面視における全体形状)たる弓形状の弦を与える、平坦面からなる平坦外周面部分48とからなっている。つまり、本実施形態では、平坦外周面部分48にて、半割体の分割面が構成されている。
そして、そのような半割体44の平坦外周面部分48には、図4及び図6から明らかなように、長さ方向(図4及び図6の左右方向)の中間部に、円弧状切欠部50が設けられている。この円弧状切欠部50は、平坦外周面部分48の長さ方向中間部を、半円よりも所定寸法大きな周方向長さを有する円弧(優弧)状にえぐるようにして形成されており、半割体44の外径の略2/3程度の大きさの内径を有している。また、かかる円弧状切欠部50の内周面における半割体44の厚さ方向の中央部には、一定の高さで突出し且つ周方向に連続して延びる内フランジ部52が、一体形成されている。
この内フランジ部52は、全体として、半円よりも所定寸法大きな周方向長さと、円弧状切欠部50の内径の略半分程度(半割体44の外径の略1/3程度)の幅(突出高さ)とを有する略半割円環板形状を呈している。そして、かかる内フランジ部52においては、その厚さが、基部側(円弧状切欠部50の内周面側)から先端側に向かって次第に薄肉化されて、縦断面形状が略台形状とされている(図1参照)。かくして、内フランジ部52の厚さ方向両側の板面(端面)のうち、半割体44の表面45側の面が、半割体44の表面45側から裏面46側に向かって次第に小径化する略半割テーパ筒状の第一接触面形成面54とされている一方、半割体44の裏面46側の面が、半割体44の裏面46側から表面45側に向かって次第に小径化する略半割テーパ筒状の第二接触面形成面56とされている。
また、図4乃至図8から明らかなように、かかる平坦外周面部分48の長さ方向両端側部分には、矩形状を呈する第一嵌合凹部58と第二嵌合凹部60とが、それぞれ設けられている。第一嵌合凹部58は、平坦外周面部分48の長さ方向一方側の端部(図4乃至図6の各右側の端部)における厚さ方向中央より裏面46側の部分と、かかる平坦外周面部分48の長さ方向の一端部に連続する前記内フランジ部52の周方向一方側の端面(図4乃至図6の各右側の端面)の厚さ方向中央より裏面46側の部分とを、それぞれ、同一の深さで矩形状に切り欠いてなる如き形態をもって、形成されている。また、第二嵌合凹部60は、平坦外周面部分48の長さ方向他方側の端部(図4乃至図6の各左側の端部)における厚さ方向中央より裏面46側の部分と、かかる平坦外周面部分48の長さ方向の他端部に連続する前記内フランジ部52の周方向他方側の端面(図4乃至図6の各左側の端面)の厚さ方向中央より裏面46側の部分とを、それぞれ、同一の深さで矩形状に切り欠いてなる如き形態をもって、形成されている。
これによって、半割体44の周方向一方側の端部の厚さ方向中央よりも表面45側部分が、第一嵌合凹部58が形成される、半割体44の周方向一方側の端部の裏面46側部分よりも、半割体44の厚さ方向に直角な方向に突出する第一嵌合凸部62とされている。また、半割体44の周方向他方側の端部の厚さ方向中央よりも表面45側部分が、第二嵌合凹部60が形成される、半割体44の周方向他方側の端部の裏面46側部分よりも、半割体44の厚さ方向に直角な方向周方向に突出する第二嵌合凸部64とされている。そして、第一嵌合凹部58が、第一嵌合凸部62に対応した形状とされる一方、第二嵌合凹部60が、第二嵌合凸部64に対応した形状とされている。
すなわち、半割体44の平坦外周面部分48の長さ方向一端部が、第一嵌合凹部58の底面66と、第一嵌合凸部62の先端面68と、それらを連結して、半割体44の厚さに直角な方向に拡がる段差面70とを有し、半割体44の厚さ方向に直角な方向において凹凸となる矩形の段付形状とされている。また、半割体44の平坦外周面部分48の長さ方向他端部も、第二嵌合凹部60の底面66と、第二嵌合凸部64先端面68と、それらを連結して、軸直角方向に拡がる段差面70とを有し、半割体44の厚さ方向に直角な方向において凹凸となる矩形の段付形状とされている。
そして、ここでは、図5に示されるように、第一嵌合凹部58の底面66と第一嵌合凸部62の先端面68とが、円弧状の半割体44の中心:Oを含んで径方向に延びる仮想線:L(これは、半割体44と同一径の半円の弦となる)を間に挟んだ両側に、かかる仮想線:Lと平行に延びるように位置せしめられており、また、そのような仮想線:Lと底面66との距離:D1 と、仮想線:Lと先端面68との距離:D2 とが、互いに同一の大きさとされている。一方、それと同様に、第二嵌合凹部60の底面66と第二嵌合凸部64の先端面68も、仮想線:Lを間に挟んだ両側に、仮想線:Lと平行に延びるように位置せしめられて、かかる仮想線:Lと底面66との距離:D1 と、仮想線:Lと先端面68との距離:D2 とが、互いに同一の大きさとされている。
さらに、第一嵌合凸部62と第二嵌合凸部64のそれぞれの先端面68,68において、平坦外周面部分48の長さ方向の両端に位置する部分(平坦外周面部分48における内フランジ部52の非形成部位)には、係合突起72が、所定高さをもって、それぞれ一つずつ、一体的に突設されている。この係合突起72は、外周面が、先端に向かって次第に小径となるテーパ面とされており、高さ方向(突出方向)の中間部に、係止突条74が、一体的に周設されている。また、それら第一及び第二嵌合凸部62,64の各先端面68における半割体44の厚さ方向中央側の部位にも、平坦外周面部分48の長さ方向に連続して延びる突条形態を有するシール突起76が、所定高さをもって、一体的に突設されている。
また、第一嵌合凹部58と第二嵌合凹部60のそれぞれの底面66,66において、平坦外周面部分48の長さ方向の両端に位置する部分(平坦外周面部分48における内フランジ部52の非形成部位)には、係合凹所78が、それぞれ一つずつ設けられている。この係合凹所78は、その内周面が、係合突起72の外周面に対応し、且つそれよりも一周り大きなテーパ面とされており、係合突起72が、その外周面に設けられた係止突条74を弾性変形させつつ、突入して、テーパ嵌合せしめられるようになっている。
一方、半割体44の円弧状外周面部分47には、半割体44の厚さ方向の中間部(半割体44の厚さ方向中央よりも表面45側部分と裏面46側部分とに跨る部分)に、側方に向かって開口する凹溝80が、円弧状外周面部分47の全周に満たない周方向長さをもって、連続して延びるように形成されている。この凹溝80にあっては、その周方向の一端部が、平坦外周面部分48における第一嵌合凸部62の先端面68と第一嵌合凹部58の底面66とにおいて、周方向の一方側に向かって開口せしめられており、また、周方向の他端部が、半割体44の表面45側に位置する凹溝80の側壁部に設けられた矩形状の切欠部84を通じて、かかる表面45において開口せしめられている。
そして、かくの如き構造とされた半割体44の二つのものが、図1乃至図3に示されるように、それぞれの平坦外周面部分48同士において互いに突き合わされて、組み付けられており、それによって、仕切部材34が、形成されているのである。
すなわち、二つの半割体44,44のうちの一方が、表面45を上側に向けて位置せしめられる一方、それらのうちの他方が、裏面46を上側に向けて位置せしめられた状態(他方の半割体44が、一方の半割体44に対して、表裏を反転させて、位置せしめられた状態)で、一方の半割体44の第一嵌合凸部62が、他方の半割体44の第一嵌合凹部58内に突入せしめられて、凹凸嵌合せしめられていると共に、一方の半割体44の第二嵌合凸部64が、他方の半割体44の第二嵌合凹部60内に突入せしめられて、凹凸嵌合せしめられている。更に、かかる状態下において、第一及び第二嵌合凸部62,64の各先端面68に設けられた係合突起72が、第一及び第二嵌合凹部58,60の各底面66に設けられた係合凹所78内に突入せしめられて、テーパ嵌合(凹凸嵌合)せしめられている。これによって、二つの半割体44,44が、第一及び第二嵌合凸部62,64の各先端面68と第一及び第二嵌合凹部58,60の各底面66とを、仕切部材34の径方向において互いに突き合わせると共に、段差面70同士を、仕切部材34の厚さ方向において互いに重ね合わせた状態で、相互に組み付けられ、以て、仕切部材34が、全体として、厚肉円板形状をもって、形成されている。かくして、ここでは、厚肉円板形状を呈する仕切部材34が、径方向(厚さ方向に直角な方向)に分割された二つの同一部材からなる半割体44,44を互いに組み付けてなる分割構造とされているのである。
なお、本実施形態においては、仕切部材34の形成に際して、上記せるように、二つの半割体44,44が、互いに表裏を反転させて位置せしめられた状態とされていなければ、各半割体44,44の第一及び第二嵌合凸部62,64と第一及び第二嵌合凹部58,60とを凹凸嵌合させて、それら二つの半割体44,44を互いに正しく組み付けることが出来ないようになっている。また、図2及び図3では、仕切部材34が、エンジンマウントの流体室32内に組み付けられる前の状態において示されているために、互いに突き合わされる二つの半割体44,44の第一及び第二嵌合凸部62,64の各先端面68と第一及び第二嵌合凹部58,60の各底面66との間に、シール突起76の高さに略対応した大きさの隙間が形成されていることが、理解されるべきである。この隙間は、仕切部材34が流体室32内に組み付けられた後、第二の取付金具12に対する縮径加工が行われたときに、シール突起76が圧縮変形せしめられることで、消失されるようになる。
そして、そのような仕切部材34にあっては、その中心部を貫通する透孔40が、二つの半割体44,44のそれぞれの円弧状切欠部50,50が互いに組み合わされてなる円形状をもって、形成されている。また、この透孔40の内周面の軸方向中間部には、二つの半割体44,44のそれぞれの内フランジ部52,52が組み合わされてなる突条86が、一体的に設けられている。この突条86は、全体として、円環板形状を呈し、中心に向かうに従って次第に薄肉化されて、縦断面形状が略台形状とされている。そして、かかる突条86の上面が、二つの内フランジ部52,52のそれぞれの第一接触面形成面54と第二接触面形成面56にて与えられて、下方に向かって次第に小径となるテーパ筒形状を呈する仕切部材側第一接触面88とされている一方、その下面が、二つの内フランジ部52,52のそれぞれの第一接触面形成面54と第二接触面形成面56にて与えられて、上方に向かって次第に小径となるテーパ筒形状を呈する仕切部材側第二接触面90とされている。
また、かかる仕切部材34の外周面には、二つの半割体44,44のそれぞれの凹溝80,80が、平坦外周面部分48において開口する開口部同士にて互いに連通せしめられてなるオリフィス形成溝92が、一周に満たない長さで、周方向に連続して延びるように形成されている。更に、このオリフィス形成溝92は、表面45を上方に向けて位置せしめられた半割体44の前記切欠部84を通じて、周方向の一端部において、仕切部材34の厚さ方向の一方たる上方に向かって開口せしめられている一方、裏面46を上方に向けて位置せしめられた半割体44の前記切欠部84を通じて、周方向の他端部において、仕切部材34の厚さ方向の他方たる下方に向かって開口せしめられている。
一方、かかる仕切部材34の透孔40の内部に挿入されて、収容位置せしめられた可動部材42は、例えば、仕切部材34を構成する二つの半割体44,44の形成材料と同一のゴム材料を用いて加硫成形されたゴム弾性体からなる非分割の単一体にて、構成されている。
そして、この可動部材42は、図1、図9及び図10から明らかなように、全体として、仕切部材34の厚さと略同一の高さと、透孔40の内径よりも所定寸法小さな外径とを有する円筒形状を呈している。また、その外周面には、全周に亘って、周方向に連続して延びる周溝94が、設けられている。
この周溝94は、円筒形状を呈する底面96と、可動部材42の高さ方向において互いに対向する二つの側面とを有している。そして、それら二つの側面のうちの一方の側面が、それらのうちの他方の側面側に向かって(可動部材42の高さ方向の中心に向かって)次第に小径となるテーパ筒形状を呈する可動部材側第一接触面98とされている一方、かかる他方の側面が、一方の側面たる可動部材側第一接触面98側に向かって(可動部材42の高さ方向の中心に向かって)次第に小径となる部分テーパ面形状を呈する可動部材側第二接触面100とされている。
そして、本実施形態は、かかる周溝94の可動部材側第一接触面98と、前記仕切部材34の透孔40の内周面に一体形成された突条86の仕切部材側第一接触面88とが、互いに略同一のテーパ角度を有する、相互に対応したテーパ形状を呈しており、また、周溝94の可動部材側第二接触面100と、かかる突条86の仕切部材側第二接触面90とが、互いに略同一のテーパ角度を有する、相互に対応したテーパ形状を呈している。更に、周溝94の最小の溝幅(底面96側の溝幅)が、突条86の最小厚さ(先端側の厚さ)よりも大きく、且つ周溝94の最大の溝幅(開口側の溝幅)が、突条86の最大厚さ(基部側の厚さ)よりも大きな寸法とされている。
換言すれば、可動部材42は、全体として、円環板形状を呈する突条86の内径よりも小さな外径と、仕切部材34の透孔40の軸方向長さと略同一の高さとを有する円筒形状を呈し、その軸方向両側の端部に、透孔40の内径よりも所定寸法小さな外径を有する円環板状の外フランジ部102,102が、一体形成されて、成っている。また、それら二つの外フランジ部102,102の互いに対向する側面が、それぞれ、可動部材側第一接触面98と可動部材側第二接触面100とされており、更に、各外フランジ部102にて、周溝94の二つの側壁部が、それぞれ構成されているのである。
そして、図1に示される如く、かかる可動部材42の周溝94内に、仕切部材34の突条86が、周溝94の底面96と可動部材側第一接触面98と可動部材側第二接触面100との間に、それぞれ隙間が形成され得るように、突入せしめられた状態で、可動部材42の全体が、透孔40の内部に挿入されて、収容位置せしめられている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、突条86にて突入部が構成されている。また、可動部材42の透孔40内への挿入は、可動部材42を間に挟んだ状態で、二つの半割体44,44を互いに組み付けることで、可動部材42が単一体にて構成されているにも拘わらず、容易に実現されることとなる。
そして、そのようにして、可動部材42が透孔40内に挿入されて、収容位置せしめられた仕切部材34が、前述せる如く、流体室32を受圧室36と平衡室38とに仕切るようにして、第二の取付金具12の小径部22内に固定されている。これにより、透孔40の内周面と可動部材42の外周面との間に形成される隙間を通じて、受圧室36と平衡室38とが、相互に連通せしめられている。また、仕切部材34の外周面に周設されたオリフィス形成溝92の側方への開口部が、第二の取付金具12の小径部22の内周面に固着されたシールゴム層26にて閉塞せしめられ、以て、かかるオリフィス形成溝92にて、オリフィス通路104が形成されている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、第二の取付金具12の小径部22にて、第二の取付部材が有する筒部が構成されている。
このオリフィス通路104は、オリフィス形成溝92を仕切部材34の上面と下面とにおいてそれぞれ開口せしめる、二つの半割体44,44の各凹溝80,80の切欠部84,84を通じて、周方向(長さ方向)の一端部と他端部とにおいて、受圧室36と平衡室38とに、それぞれ開口せしめられている。つまり、二つの半割体44,44のうちの一方の半割体44の切欠部84が、オリフィス通路104の受圧室36への連通孔とされる一方、他方の半割体44の切欠部84が、オリフィス通路104の平衡室38側への連通孔とされて、それら二つの連通孔を通じて、オリフィス通路104が、受圧室36と平衡室38とを相互に連通せしめている。かくして、本実施形態のエンジンマウントにおいては、仕切部材34の透孔40とオリフィス通路104とを通じて、受圧室36と平衡室38との間での流体流動が許容されるようになっている。
そして、ここでは、オリフィス通路104が、エンジンシェイク等の低周波数域にチューニングされており、以て、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動が入力された際に、オリフィス通路104を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて有効な防振効果が発揮されるようになっているのである。
なお、その際、可動部材42は、受圧室36と平衡室38との間の内圧差に基づいて、仕切部材34の透孔40内において、平衡室38側や受圧室36側(下方や上方)に移動せしめられて、図11及び図12に示されるように、可動部材42の周溝94の可動部材側第一接触面98の全周が、仕切部材34の突条86の仕切部材側第一接触面88の全周に接触せしめられるか、又は可動部材42の周溝94の可動部材側第二接触面100の全周が、仕切部材34の突条86の仕切部材側第二接触面90の全周に接触せしめられるようになる。これにより、可動部材42の透孔40内での移動が規制されると共に、透孔40が、可動部材42(二つの外フランジ部102,102)にて閉塞せしめられて、透孔40を通じての受圧室36と平衡室38との間での実質的な流体流動が阻止され、以て、オリフィス通路104を通じての流体流動作用に基づく防振効果が、より有効に発揮され得るようになっている。
また、ここでは、仕切部材34の透孔40が、オリフィス通路104のチューニング周波数よりも高周波数域にチューニングされており、それによって、走行こもり音等の高周波小振幅振動が入力された際には、オリフィス通路104の流動抵抗が著しい増大に伴って、オリフィス通路104が実質的に閉塞せしめられる一方で、透孔40内の可動部材42が、上下方向において小さな移動量で移動せしめられるようになる。このとき、流体が、各透孔40を通じて可動部材42の周囲を流動せしめられ、以て、有効な防振効果が発揮されるようになっているのである。
このように、かくの如き構造とされた本実施形態のエンジンマウントにあっては、仕切部材34が、厚さ方向に対して直角な方向に二分割された半割体44の二つを、互いに組み付けてなる分割構造において構成されている。そのため、例えば、仕切部材が、非分割の単一体からなる構造や、厚さ方向に分割された複数の分割体を互いに組み付けてなる分割構造とされる場合とは異なって、仕切部材34を金型成形によって成形する場合において、用いられる成形型が、仕切部材34の半分の大きさしかない半割体44を成形する、小型の成形型で済む。しかも、仕切部材34を形成する二つの半割体44,44が、互いに同一形状とされているところから、それら二つの半割体44,44を、唯一つの成形型にて成形することが出来る。また、そのような半割体44を、一つの成形型にて、同時に多数個取りする場合にも、かかる多数個取り用の成形型が、例えば単一体からなる仕切部材を多数個取りするための成形型よりも、十分に小型化され得る。
それ故、仕切部材34を型成形によって得る際に用いられる、1個取り又は多数個取りの成形型の製作費が、従来の非分割の単一体からなる仕切部材を1個取り又は多数個取りで得るための成形型の制作費よりも、効果的に低く抑えられ得る。そして、それによって、仕切部材34の可及的に低いコストで効率的な製造が可能となる。
しかも、本実施形態のエンジンマウントにあっては、前述せるように、二つの半割体44,44のうちの一方が、表面45を上側に向けて位置せしめられる一方、それらのうちの他方が、裏面46を上側に向けて位置せしめられた状態とされなければ、一方の第二嵌合凸部64が、それらのうちの他方の半割体44の第二嵌合凹部60内に突入して、凹凸嵌合せしめられることがなく、そのために、二つの半割体44,44を互いに正しく組み付けることも出来ないようになっている。これによって、同一部材からなる二つの半割体44,44の組付に際して、二つの半割体44,44の両方が、表面45を上側に向けた状態で、或いは裏面46を上側に向けた状態で組み付けられるような、所謂誤組付が生ずることが、効果的に回避され得る。そして、その結果、二つの半割体44,44の組付の際に、それら半割体44同士の誤組付を回避するための余分な注意を払う必要が有利に解消され、以て、二つの半割体44,44の組付作業、即ち、仕切部材34の形成作業が、より容易とされているのである。
従って、このような本実施形態のエンジンマウントにおいては、低いコストで効率的に、しかも容易に形成可能な仕切部材34が用いられていることによって、装置全体の製作性の向上と製作コストの低下とが、共に有利に図られ得ているのである。
また、かかるエンジンマウントでは、半割体44の平坦外周面部分48の厚さ方向中央部に、厚さ方向に交差する方向に広がる段差面70が形成されて、平坦外周面部分48が、厚さ方向に直角な方向において凹凸となる段付形状とされることにより、平坦外周面部分48を含む半割体44の端部に、第一及び第二嵌合凸部62,64と第一及び第二嵌合凹部58,60とが、半割体44の厚さ方向の一方側と他方側とにそれぞれ位置するように設けられているところから、そのような第一及び第二嵌合凸部62,64と第一及び第二嵌合凹部58,60とが、容易に形成され得るようになっている。
さらに、本実施形態においては、二つの半割体44,44の第一及び第二嵌合凸部62,64にそれぞれ設けられた各係合突起72と、第一及び第二嵌合凹部58,60にそれぞれ設けられた各係合凹所78とが、互いに凹凸嵌合せしめられていると共に、各係合突起72に一体形成された係止突条74が、弾性変形状態下で、各係合凹所78の内周面に係止せしめられているところから、例えば、かかる仕切部材34の前記流体室32内への組付前において、二つの半割体44,44の組付状態が容易に解消されないようにされて、仕切部材34の取扱性が有利に高められている。
更にまた、本実施形態のエンジンマウントでは、半割体44の第一及び第二嵌合凸部62,64の先端面68にシール突起76が一体形成されているところから、二つの半割体44,44が互いに組み付けられてなる仕切部材34が、流体室32中に装着された状態下で、それら二つの半割体44,44の突合せ面間での液密性が、有利に確保され得る。
また、かかるエンジンマウントにおいては、半割体44の第一及び第二嵌合凹部58,60の各底面66と、半割体44と同一径の半円の弦となる前記仮想線:Lとの間の距離:D1 と、半割体44の第一及び第二嵌合凸部62,64の各先端面68と仮想線:Lとの間の距離:D2 とが、互いに同一の大きさとされている。それ故、そのような半割体44の二つが、第一及び第二嵌合凹部58,60内に、第一及び第二嵌合凸部62,64を突入させて、組み付けられてなる仕切部材34の全体形状が、略真円の円板形状を呈するようになっており、以て、流体室32中への仕切部材34の組付性の向上が、有利に図られ得る。
さらに、本実施形態では、半割体44の円弧状外周面部分47に、周方向に延びる凹溝80が形成されて、二つの半割体44,44が互いに組み付けられて、仕切部材34が形成された際に、それら各半割体44,44の凹溝80,80が互いに連通せしめられると共に、各切欠部84を通じて、仕切部材34の上面と下面とにおいて開口するオリフィス形成溝92が形成されるようになっている。そして、仕切部材34が流体室32内に組み付けられることにより、かかるオリフィス形成溝92に対応したオリフィス通路104が形成されるようになっている。これによって、例えば、半割体44に設けられた貫通孔等にてオリフィス溝を形成する場合に比して、流路長さの長いオリフィス通路を、容易に形成することが可能となっている。
また、本実施形態のエンジンマウントにあっては、上記の如く、仕切部材34が二つの半割体44,44からなる分割構造とされている一方、可動部材42が、非分割の単一体にて構成されている。このため、例えば、可動部材として、その移動方向に分割された二つの分割部材が互いに組み付けられてなる分割構造を有するものが用いられる場合とは異なり、受圧室36と平衡室38との間の内圧差に基づく可動部材42の移動に伴って、可動部材42の可動部材側第一接触面98や可動部材側第二接触面100が、仕切部材34の突条86の仕切部材側第一接触面88や仕切部材側第二接触面90に接触せしめられたときに生ずる衝撃力により、可動部材42の可動部材側第一接触面98と可動部材側第二接触面100との間の距離(周溝94の溝幅)が変化したり、可動部材42が二つに分割せしめられたりすることが、全くない。
それ故、かかるエンジンマウントにおいては、自動車への装着状態での長期使用によって、可動部材42の動きだしから、可動部材42の周溝94のテーパ状第二接触面98や可動部材側第二接触面100が、仕切部材34の突条86の仕切部材側第一接触面88や仕切部材側第二接触面90に接触するまでの可動部材42の移動量が、使用開始当初から変わってしまい、そのために、防振特性が変動するようなことが、有利に回避され得る。
従って、本実施形態のエンジンマウントにあっては、振動入力に伴う可動部材42の移動による透孔40の開閉に基づいて発揮される所望の防振特性が、より長期に亘って極めて安定的に発揮され得ることとなるのである。
さらに、かかるエンジンマウントでは、仕切部材34の全体がゴム弾性値からなることに加えて、可動部材42の全体がゴム弾性体にて構成されていることで、可動部材42の周溝94の可動部材側第一接触面98及び可動部材側第二接触面100と、仕切部材34の突条86の仕切部材側第一接触面88及び仕切部材側第二接触面90とが、何れも、ゴム弾性体にて構成されている。それ故、低周波大振幅振動の入力時において、可動部材42の周溝94の可動部材側第一接触面98や可動部材側第二接触面100が、仕切部材34の突条86の仕切部材側第一接触面88や仕切部材側第二接触面90に接触せしめられたときに生ずる衝撃力が、各接触面98,100,88,90を形成するゴム弾性体の弾性変形に基づいて、有利に吸収せしめられる。それによって、それら各接触面98,100,88,90同士の接触に起因して発生する起振力や、各接触面98,100,88,90同士が強く打ち当たって生ずる打音等が、何れも有利に低減せしめられ得る。
従って、かくの如き本実施形態に係るエンジンマウントにあっては、低周波大振幅振動の入力時において、可動部材42の仕切部材34との接触によって、様々な異音が生ずるようなことが、効果的に防止され得るのである。
また、かかるエンジンマウントでは、ゴム弾性体からなる可動部材42の全体が、ゴム弾性体からなる仕切部材34の透孔40内に挿入された状態下で、透孔40の内周面に突設された突条86が、可動部材42の外周面に設けられた周溝94内に突入位置せしめられて、周溝94の互いに対向する二つの側面からなる可動部材側第一接触面98と可動部材側第二接触面100が、突条86の二つの側面からなる仕切部材側第一接触面88と仕切部材側第二接触面90に接触せしめられることで、可動部材42の透孔40内での移動が規制されるようになっている。
それ故、本実施形態のエンジンマウントにあっては、例えば、仕切部材に凹所を設けて、この凹所内に可動部材を収容すると共に、かかる凹所を覆蓋して、凹所内での可動部材の移動を規制する蓋体を仕切部材に取り付けてなり、且つ蓋体の可動部材との接触面にゴム膜が固着されることで、可動部材と仕切部材との接触による異音の発生防止が図られた従来の流体封入式防振装置とは異なって、可動部材42の移動を規制するための部材や部位、及び可動部材42と仕切部材34との接触による異音の発生を防止するための部位や部材が、仕切部材34に対して、可動部材42の上面や下面に重なって位置せしめられるように設けられることがない。従って、そのような移動規制部や異音発生防止部の形成によって、仕切部材34の厚さが増して、仕切部材34全体が大型化するようなことが、効果的に回避され得る。
しかも、かかるエンジンマウントでは、可動部材42の全体が透孔40内に挿入されて、そのような可動部材42の外周面に、周溝94が、また透孔40の内周面に、突条86が設けられている。そのため、例えば、可動部材42の透孔40内への挿入部位とは異なる部位に、周溝94が、また、透孔40の内周面部分とは別の仕切部材34部分に、突条86が設けられる場合とは異なって、可動部材42と仕切部材34の厚さが、周溝94や突条86の形成によって無用に増大せしめられることがなく、透孔40の深さ(軸方向長さ)に応じた大きさに有利に抑えられ得る。そして、それによって、可動部材42や仕切部材34の無用な大型化を招くことなく、上記せる如き異音の発生防止効果が、極めて有効に発揮され得るのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態に関する具体的な記載によって、何等限定的に解釈されるものではない。
例えば、半割体の全体形状を、半円板形状と為し、その分割面における半割体の厚さ方向の一方側部分に、嵌合凹部としての凹所や穴部を、半割体の厚さ方向に直角な方向に向かって凹陥するように設ける一方、かかる厚さ方向の他方側部分に、それら凹所や孔部からなる嵌合凹部に凹凸嵌合可能な嵌合凸部としての突起や突条等を設けることも可能である。
また、前記実施形態では、半割体44の円弧状外周面部分47に設けられた凹溝80にて、オリフィス形成溝92、ひいてはオリフィス通路104が構成されていたが、例えば、半割体44に、それを厚さ方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を利用して、オリフィス通路を形成することも出来る。
さらに、前記実施形態では、可動部材42の外周面に、周溝94が設けられる一方、仕切部材34の透孔40の内周面に、突入部としての突条86が設けられていたが、その反対に、可動部材42の外周面に、突入部としての突条86を設ける一方、仕切部材34の透孔40の内周面に、周溝94を設けることも出来る。また、可動部材42の外周面に、突条86と周溝94の両方を設ける一方、仕切部材34の透孔40の内周面に、周溝94と突条86の両方を設けても良い。
さらに、可動部材34の移動に伴って互いに接触する突条86の仕切部材側第一接触面88及び仕切部材側第二接触面90と周溝94の可動部材側第一接触面98及び可動部材側第二接触面100を、何れも、仕切部材34の厚さ方向や可動部材42の高さ方向に対して直角な方向に拡がる平坦面にて構成しても良い。
また、周溝の二つの側面をそれぞれ含む二つの側壁部の内部と突入部の内部のうちの少なくとも何れか一方に、剛性の補強部材を埋設しても良い。
さらに、仕切部材34を構成する二つの半割体44の材質は、例示されたゴム弾性体に、何等限定されるものではなく、各半割体44の形成材料として、アルミニウム合金等の金属材料や硬質の合成樹脂材料、セラミックス材料等、従来の仕切部材を形成するのに用いられる各種の材料が、何れも用いられる。
更にまた、可動部材34も、例示されたゴム弾性体材料の他、アルミニウム合金等の金属材料や合成樹脂材料、セラミックス材料等を用いて、形成され得る。
そのように、可動部材と、仕切部材を構成する各半割体は、必ずしも、全体がゴム弾性体にて構成されている必要はないものの、それら可動部材と各半割体に形成される周溝の互いに対向する二つの側面と、それに接触せしめられる突入部の二つの接触面とが、ゴム弾性体にて構成されていることが、望ましい。それによって、それら周溝の側面に対する突入部の接触面の接触に起因した異音の発生が、効果的に防止され得ることとなる。
さらに、仕切部材に設けられる透孔の数や形状等は、例示のものに、何等限定されるものではなく、仕切部材の大きさや形状等に応じて、適宜に決定されるところである。また、防振装置内に配置される可動部材の数や形状が、透孔の数や形状に応じて、種々変更されることとなる。
更にまた、可動部材は、必ずしも、全体が、透孔内に挿入されて、収容配置されている必要はなく、少なくとも一部が、透孔内に挿入されておれば良い。
加えて、本発明を自動車のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用ボデーマウントや自動車以外の各種装置に用いられる流体封入式防振装置に対して、何れも、有利に適用され得ることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
本発明に従う構造を有する流体封入式防振装置の一実施形態を示す縦断面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置に装備される仕切部材の上面説明図である。 図2おけるIII矢視説明図である。 図2に示された仕切部材を構成する半割体の上面説明図である。 図4に示された半割体の下面説明図である。 図4におけるVI矢視説明図である。 図4におけるVII 矢視説明図である。 図4におけるVIII矢視説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置に装備される可動部材の縦断面説明図である。 図9におけるX−X断面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置の使用状態を示す説明図であって、可動部材の受圧室側から平衡室側への移動により、可動部材が仕切部材に接触して、透孔が閉塞された状態を示している。 図1に示された流体封入式防振装置の使用状態を示す説明図であって、可動部材の平衡室側から受圧室側への移動により、可動部材が仕切部材に接触して、透孔が閉塞された状態を示している。
符号の説明
10 第一の取付金具 12 第二の取付金具
14 本体ゴム弾性体 30 ダイヤフラム
32 流体室 34 仕切部材
36 受圧室 38 平衡室
40 透孔 42 可動部材
44 半割体 47 円弧状外周面部分
48 平坦外周面部分 58 第一嵌合凹部
60 第二嵌合凹部 62 第一嵌合凸部
64 第二嵌合凸部 86 突条
88 仕切部材側第一接触面 90 仕切部材側第二接触面
98 可動部材側第一接触面 100 可動部材側第二接触面
94 周溝 104 オリフィス通路

Claims (5)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体を壁部の一部として、非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成し、更に、所定の厚さを有する仕切部材を間にして、該仕切部材の厚さ方向の該第一の流体室側とは反対側に、非圧縮性流体が封入された第二の流体室を形成する一方、該仕切部材に、それら第一及び第二の流体室を相互に連通するオリフィス通路を設け、更に、該仕切部材の中心部に、該第一及び第二の流体室を相互に連通可能な透孔を形成して、該第一の流体室と該第二の流体室との間において、該仕切部材の厚さ方向に移動可能に配置された可動部材の少なくとも一部を該透孔内に挿入し、そして、該可動部材と該仕切部材のうちの少なくとも何れか一方に、該可動部材の外周面の全周や該透孔の内周面の全周に連続して延びる周溝を設ける一方、それらのうちの少なくとも何れか他方に、該周溝の底面及び互いに対向する二つの側面との間にそれぞれ隙間を開けた状態で、該周溝内に突入位置せしめられる突入部を、該周溝の全周に沿って連続して延びるように設けて、該可動部材の移動に伴って、該突入部が、該周溝の二つの側面のうちの何れか一方の側面の全周に接触せしめられることにより、該可動部材の移動が規制されると共に、該透孔が、該可動部材にて閉塞されるように構成した流体封入式防振装置において、
    前記仕切部材が、その厚さ方向に延びる分割面にて、厚さ方向に対して直角な方向に二分割した、互いに同一の形状を有する二つの半割体からなると共に、それら二つの半割体のそれぞれの分割面を含む端部に、厚さ方向に直角な方向に突出する嵌合凸部と、該嵌合凸部に対応した形状をもって凹陥する嵌合凹部とが、厚さ方向の一方側と他方側とにそれぞれ位置するように設けられて、該二つの半割体のうちの一方が、それらのうちの他方に対して表裏が反転するように配置された状態で、それら二つの半割体が、それぞれの分割面同士において突き合わされ、且つそれぞれの嵌合凸部と嵌合凹部とにおいて凹凸嵌合せしめられた状態で、互いに組み付けられることにより、前記仕切部材が形成されていることを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記半割体の前記分割面の厚さ方向中央部に、厚さ方向に交差する方向に広がる段差面が形成されて、該分割面が、厚さ方向に直角な方向において凹凸となる段付形状とされることにより、かかる分割面を含む該半割体の端部に、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部とが、該半割体の厚さ方向の一方側と他方側とにそれぞれ位置するように設けられている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記半割体の前記嵌合凸部の先端面と前記嵌合凹部の底面のうちの少なくとも何れか一方に、係合突起が設けられる一方、それらのうちの少なくとも何れか他方に、該係合突起が突入して、係合せしめられる係合凹所が設けられて、該半割体の二つが、前記仕切部材を形成するように組み付けられた状態下で、該係合突起が、該係合凹所内に突入し、係合せしめられることにより、該二つの半割体の組付状態が維持されるようになっている請求項1又は請求項2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記半割体の前記分割面を除く外周面部分に、周方向に延びる凹溝が形成されると共に、該凹溝が、その延出方向の一端部を該分割面において開口せしめ、且つその延出方向の他端部を、該凹溝の側壁部に設けられた切欠部を通じて、該半割体の厚さ方向一方の面において開口せしめるように構成されて、かかる凹溝をそれぞれ有する該半割体の二つが、前記仕切部材を形成するように互いに組み付けられた状態下で、該二つの半割体のそれぞれの凹溝が互いに連通せしめられると共に、延出方向の両端部において、該仕切部材の厚さ方向の両側に向かってそれぞれ開口せしめられることにより、それら互いに連通する凹溝にて、該仕切部材の外周面に、周方向に延びるオリフィス溝が形成され、そして、かかる仕切部材に対して、第二の取付部材が有する筒部が、該オリフィス溝を覆蓋するように外嵌されることにより、前記オリフィス通路が、該オリフィス溝に対応して、該仕切部材に設けられるようになっている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記半割体が、ゴム弾性体にて形成されている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
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