JP5363363B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のエンジンマウント等として好適に採用される流体封入式防振装置に係り、特に、軸方向の振動と軸直角方向の振動の何れに対しても、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、流体の流動作用によって目的とする防振効果が発揮される流体封入式防振装置が知られており、例えば自動車用のエンジンマウント等として採用されている。この流体封入式防振装置では、振動伝達系を構成する各一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材が、本体ゴム弾性体によって連結されていると共に、壁部の一部を本体ゴム弾性体で構成された第一の主液室と、壁部の一部を可撓性膜で構成された副液室が、形成されている。
また、流体封入式防振装置の一種としては、軸方向の振動入力時に流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるだけでなく、軸直角方向一方向の振動入力時にも流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される、2方向減衰タイプの流体封入式防振装置も提案されている。例えば、特開2007−139048号公報(特許文献1)に記載されているのが、それである。即ち、特許文献1に記載の流体封入式防振装置では、第一の主液室と副液室に加えて、壁部の一部を本体ゴム弾性体で構成された第二の主液室と第三の主液室が軸直角方向一方向で対向する位置に形成されている。そして、要求される防振特性に応じて、それら複数の液室がオリフィス通路で連通されることにより、オリフィス通路を通じて流動する流体の共振作用等に基づく防振効果が発揮されるようになっている。
ところで、特許文献1に示された流体封入式防振装置では、軸直角方向の振動入力時に、第二の主液室と第三の主液室に対して有効な内圧変動が及ぼされるために、それら第二の主液室と第三の主液室が、第一の主液室に対して軸直角方向の投影において外れた位置に形成されている必要がある。蓋し、それら第二の主液室と第三の主液室が、第一の主液室と軸直角方向の投影において重なっていると、軸直角方向の振動入力時に、第一の取付部材が第二の取付部材に対して相対変位することによるピストン作用が、第二,第三の主液室に対して有効に及ぼされないからである。
ところが、このように第一の主液室と第二,第三の主液室を軸直角方向の投影で重なり合わない位置に形成すると、それら主液室の形成スペースを確保するために、流体封入式防振装置の軸方向寸法が大きくなる。それ故、昨今の自動車に対する小型化や軽量化の要求を充分に満たし難いという問題があった。
なお、特許文献1では、軸方向寸法を可能な限り小さくするために、第二,第三の主液室の上側の壁部を構成する本体ゴム弾性体の一部が、内周側に向かって下傾する縦断面形状で形成されている。しかしながら、このような形状の本体ゴム弾性体を採用すると、第一の取付部材と第二の取付部材の間にパワーユニットの支持荷重等といった軸方向の静的荷重が入力される場合に、本体ゴム弾性体における第二,第三の主液室の上側の壁部を構成する部位に引張方向の荷重が及ぼされて、本体ゴム弾性体の耐久性が充分に確保され得ないおそれがあった。
特開2007−139048号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、軸方向での大型化を要することなく、軸方向の振動と軸直角方向の振動の何れに対しても有効な防振効果が発揮されると共に、軸方向の静的荷重が作用する場合にも充分な耐久性が確保される、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
すなわち、本発明の第一の態様は、支持軸部を備えた第一の取付部材が第二の取付部材の筒状部の軸方向一方の開口側に離隔配置されて、該支持軸部が該筒状部の内周側に挿入されていると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって連結されており、該筒状部で支持された仕切部材を挟んで軸方向一方の側に壁部の一部を該本体ゴム弾性体で構成された第一の主液室が形成されていると共に、該仕切部材を挟んで軸方向他方の側に壁部の一部を可撓性膜で構成された副液室が形成されており、更に、該第一の取付部材の該支持軸部を軸直角方向に挟んだ両側には壁部の一部を該本体ゴム弾性体で構成された第二の主液室と第三の主液室が形成されて、それら第一〜第三の主液室と副液室にそれぞれ非圧縮性流体が封入されていると共に、それら第一〜第三の主液室および副液室を連通する流体流路が形成されている流体封入式防振装置において、前記本体ゴム弾性体が円錐台形状とされて、該本体ゴム弾性体の軸方向視での面積が軸方向一方の側に向かって小さくなっていると共に、該本体ゴム弾性体には中央凹所と該中央凹所を挟んで軸直角方向で対向する一対の外周ポケット部とが形成されて、それら中央凹所と一対の外周ポケット部がそれぞれ該本体ゴム弾性体の軸方向他方の端面に開口されており、該中央凹所の開口部が前記仕切部材で覆蓋されて前記第一の主液室が形成されていると共に、該一対の外周ポケット部の開口部が該仕切部材で覆蓋されて前記第二の主液室と前記第三の主液室が形成されている一方、該第一の主液室と該第二の主液室および該第三の主液室とが軸直角方向の投影で重なっており、該第一の主液室と該第二の主液室および該第三の主液室を隔てる弾性隔壁部が該本体ゴム弾性体に設けられていると共に、前記第一の取付部材の前記支持軸部と該弾性隔壁部を軸直角方向に連結する連結ゴム部が該本体ゴム弾性体に設けられていることを、特徴とする。
このような第一の態様に従う構造の流体封入式防振装置では、本体ゴム弾性体が円錐台形状とされていると共に、本体ゴム弾性体に形成された中央凹所と一対の外周ポケット部が何れも本体ゴム弾性体の軸方向端面に開口している。これらによって、第一の取付部材と第二の取付部材の間に軸方向の静荷重が入力される場合に、その静荷重が本体ゴム弾性体に対して圧縮方向で作用するようになっており、本体ゴム弾性体に及ぼされる引張荷重が低減されて、耐久性の向上が図られる。
また、軸方向の振動入力時に内圧変動が生じる第一の主液室と、軸直角方向の振動入力時に内圧変動が生じる第二,第三の主液室とが、軸直角方向の投影において互いに重なっている。これにより、軸方向と軸直角方向一方向で何れも流体の流動作用に基づく有効な防振効果が発揮される2方向減衰タイプの流体封入式防振装置において、軸方向寸法が大きくなるのを防ぐことが出来る。
さらに、第一の主液室と第二,第三の主液室とを隔てる弾性隔壁部が、第一の取付部材の支持軸部に対して連結ゴム部によって軸直角方向に連結されている。そして、軸直角方向の振動入力によって、第一の取付部材が第二の取付部材に対して第二,第三の主液室の対向方向で相対変位する際に、支持軸部からの外力が連結ゴム部を介して弾性隔壁部に及ぼされて弾性隔壁部が変形するようになっている。このように、連結ゴム部が設けられていることにより、第一の主液室と第二,第三の主液室が軸直角方向の投影で重なっている構造を採用しながらも、第二,第三の主液室の軸直角方向でのピストン断面積が充分に確保されている。これにより、軸直角方向の振動入力時に、第二,第三の主液室に対して充分な内圧変動が及ぼされて、流体の流動作用に基づいた目的とする防振効果が有効に発揮される。
また、中央凹所と一対の外周ポケット部が、何れも本体ゴム弾性体の軸方向端面に開口するように形成されていることにより、軸方向に組み合わされる2つの成形用金型によって本体ゴム弾性体を加硫成形することも可能である。このように、本体ゴム弾性体が簡易な金型構成で形成可能な形状とされていることによって、本体ゴム弾性体を効率良く製造することが出来る。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記第二の主液室と前記第三の主液室が対向する軸直角方向一方向の両側に一対の前記連結ゴム部が設けられていると共に、該第二の主液室と該第三の主液室の対向方向と直交する軸直角方向の両側には前記中央凹所の底壁面に開口する凹所状の一対のすぐりが形成されているものである。
第二の態様によれば、本体ゴム弾性体が連結ゴム部の設けられた部分で厚肉化されて、当該部分における軸方向での動ばね定数が大きくなっていると共に、本体ゴム弾性体が一対のすぐりが形成された部分で薄肉化されて、当該部分における軸方向での動ばね定数が小さくなっている。このように、一対の連結ゴム部の形成によって大きくなる本体ゴム弾性体の軸方向での動ばね定数が、一対のすぐりが設けられることにより低減されて、目的とする軸方向での防振特性が実現される。要するに、本態様によれば、本体ゴム弾性体ひいては流体封入式防振装置の軸方向でのばね特性が、一対のすぐりの形状や大きさを変更することによって容易に調節され得るのである。また、一対の連結ゴム部が対向する軸直角方向でのばねと、一対のすぐりが対向する軸直角方向でのばねとの比も、一対の連結ゴム部および一対のすぐりの形状や大きさを調節することで、より大きな自由度で且つ容易にチューニングされる。
しかも、一対のすぐりの対向方向が、第二,第三の主液室の対向方向と直交する方向とされていることにより、第二,第三の主液室の対向方向では、一対の連結ゴム部によって第二,第三の主液室の内圧変動が有効に惹起されるようになっており、流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮される。
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記流体流路が、前記第一の主液室と前記副液室を連通する第一のオリフィス通路と、前記第二の主液室と該副液室を連通する第二のオリフィス通路と、前記第三の主液室と該副液室を連通する第三のオリフィス通路と、該第二の主液室と該第三の主液室を連通する第四のオリフィス通路とを、含んで構成されているものである。
第三の態様によれば、軸方向の振動入力時に、第一〜第三のオリフィス通路を通じて流動する流体の共振作用等に基づいた防振効果が発揮されると共に、軸直角方向の振動入力時に、第二〜第三のオリフィス通路を通じて流動する流体の共振作用等に基づいた防振効果が発揮される。このように、軸方向の振動入力と軸直角方向の振動入力の何れに対しても、複数のオリフィス通路による防振効果が発揮されることから、それら複数のオリフィス通路のチューニングを調節することで、例えば、周波数が異なる複数種類の振動に対して有効な防振効果を発揮させる、或いは、特定の周波数で防振効果をより効果的に発揮させることが出来る。
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記第一の取付部材と筒状の中間スリーブが前記本体ゴム弾性体によって連結されていると共に、該中間スリーブが前記第二の取付部材の前記筒状部に嵌着されている一方、該中間スリーブが第一リング部と第二リング部を周上の少なくとも一部でテーパ連結部によって連結した構造とされていると共に、前記一対の外周ポケット部の開口部が該第一リング部と該第二リング部の軸方向間に形成された一対の窓部に重ね合わされており、該第一リング部に固着された該本体ゴム弾性体の一部によって前記一対の外周ポケット部の壁部の一部が構成されていると共に、該第二リング部に固着された該本体ゴム弾性体の別の一部によって前記弾性隔壁部が構成されているものである。
第四の態様によれば、このような中間スリーブを採用することで、本体ゴム弾性体の形状が中間スリーブによって保持されて、外周ポケット部や弾性隔壁部の形状の安定化が図られる。それ故、第一〜第三の主液室が所期の形状とされると共に、第一の主液室と第二,第三の主液室の短絡が回避されて、目的とする防振特性が安定して実現される。
本発明の第五の態様は、第一〜第四の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記連結ゴム部の軸方向寸法が、前記第一の取付部材の支持軸部側から前記弾性隔壁部側に向かって次第に大きくなっていると共に、該弾性隔壁部の軸方向全体が該連結ゴム部によって該支持軸部に連結されているものである。
第五の態様によれば、弾性隔壁部における連結ゴム部で支持軸部に連結された部位が大きくなることから、弾性隔壁部において軸直角方向の振動入力時に変形する面積が大きくなって、第二,第三の主液室に対する内圧変動がより効率的に惹起される。それ故、流体の流動作用に基づく防振効果がより有利に発揮される。
本発明によれば、中央凹所と一対の外周ポケット部が何れも軸方向端面に開口するように形成されていることによって、第一の取付部材と第二の取付部材の間に接近方向の静荷重が入力されている場合にも、その静荷重が本体ゴム弾性体に対して引張方向に作用するのが回避されて、優れた耐久性が実現される。また、第一の主液室と第二,第三の主液室が軸直角方向の投影で重なっていることによって軸方向で小型化が図られていると共に、支持軸部と弾性隔壁部を軸直角方向で連結する連結ゴム部が設けられていることにより、軸直角方向の振動入力時における第二,第三の主液室の有効ピストン面積が充分に確保されている。
本発明の一実施形態としてのエンジンマウントの縦断面図であって、図3のI−I線断面図。 図1に示されたエンジンマウントの別の縦断面図であって、図3中のII−II線断面図。 図1中のIII−III線断面図。 図1に示されたエンジンマウントを構成する本体ゴム弾性体の成形工程を示す縦断面図。 図1に示されたエンジンマウントを構成する仕切部材本体の斜視図。 図5に示された仕切部材本体の平面図。 図5に示された仕切部材本体の正面図。 図7中のVIII−VIII線断面図。 図7中のIX−IX線断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜図3には、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の一実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって連結された構造を有している。そして、第一の取付部材12が図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付部材14が図示しない車両ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットが車両ボデーによって防振支持されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、車両への装着状態における鉛直上下方向となる図1中の上下方向を言うものとする。
より詳細には、第一の取付部材12は、アルミニウム合金等の金属で形成された高剛性の部材であって、逆向きの略円錐台形状を呈する取付部18と、取付部18の小径側端部から下方に向かって突出する略円柱形状の支持軸部20とを、一体的に備えている。また、取付部18の中心軸上には、直線的に延びて上面に開口するボルト穴22が形成されており、内周面にねじ山が螺刻されている。
また、第一の取付部材12の外周側を取り囲むように、中間スリーブ24が配されている。中間スリーブ24は、全体として薄肉大径の略円筒状とされており、軸方向に離隔した第一リング部26と第二リング部28をテーパ連結部30で連結した構造を有している。テーパ連結部30は、軸方向下方に向かって次第に小径となっており、テーパ連結部30を挟んで上側に位置する第一リング部26が、テーパ連結部30を挟んで下側に位置する第二リング部28よりも大径とされている。
また、中間スリーブ24には、一対の窓部32a,32bが形成されている。一対の窓部32a,32bは、中間スリーブ24の径方向一方向で対向する部位に、それぞれ周方向半周に満たない所定長さで形成されている。また、一対の窓部32a,32bは、中間スリーブ24の軸方向中間部分に形成されており、第一リング部26の下端部分と第二リング部28の上端部分に跨って設けられている。
そして、第一の取付部材12が中間スリーブ24の上側開口部に対して同一中心軸上で配されており、それら第一の取付部材12と中間スリーブ24が本体ゴム弾性体16によって連結されている。本体ゴム弾性体16は、厚肉大径の略円錐台形状を有するゴム弾性体であって、軸方向下方に向かって大径となっている。この本体ゴム弾性体16には、小径側の軸方向端面に第一の取付部材12が加硫接着されていると共に、大径側端部の外周面に中間スリーブ24が加硫接着されている。なお、第一の取付部材12は、支持軸部20が中間スリーブ24の第一リング部26に挿し込まれており、それら支持軸部20と第一リング部26が軸直角方向の投影において重なっている。
また、本体ゴム弾性体16には、下方に向かって開口する中央凹所34が形成されている。中央凹所34は、本体ゴム弾性体16の径方向中央部に形成された逆向きの略すり鉢状を呈する凹所であって、中間スリーブ24における第二リング部28の内周側において、本体ゴム弾性体16の大径側端面に開口するように形成されている。更に、中央凹所34の上壁面は、中央部分が軸直角方向に広がる略円形平面とされていると共に、その外周側の部分が径方向外方に向かって下傾する略円錐面とされている。
また、本体ゴム弾性体16の外周縁部には、一対の外周ポケット部36a,36bが形成されている。一対の外周ポケット部36a,36bは、本体ゴム弾性体16の大径側の端面および外周面に開口する凹所であって、径方向一方向で中央凹所34を挟んで対向する部位に形成されている。そして、一対の外周ポケット部36a,36bは、中間スリーブ24に形成された一対の窓部32a,32bを通じて外部に開放されている。
さらに、一対の外周ポケット部36a,36bは、中央凹所34よりも外周側に形成されており、中央凹所34と一対の外周ポケット部36a,36bが、本体ゴム弾性体16の一部で形成された弾性隔壁部38によって隔てられている。この弾性隔壁部38は、軸方向下方に向かって突出する略円筒状であって、中央凹所34の外周壁部および一対の外周ポケット部36a,36bの内周壁部が弾性隔壁部38で構成されている。また、弾性隔壁部38の下端部は、中間スリーブ24の第二リング部28に固着されている。なお、図3に示されているように、弾性隔壁部38には、一対の外周ポケット部36a,36bの対向方向と略直交する軸直角方向の両側において、外周側に突出する厚肉部40,40が設けられている。この厚肉部40は、中間スリーブ24のテーパ連結部30に加硫接着されており、一対の外周ポケット部36a,36bが周方向に厚肉部40,40を挟んで形成されている。
更にまた、本体ゴム弾性体16において一対の外周ポケット部36a,36bの上側壁部を構成する部位は、外周側に向かって下傾する連結腕部42とされており、中間スリーブ24の第一リング部26に加硫接着されている。これにより、一対の外周ポケット部36a,36bの上側壁面が外周側に向かって下傾するテーパ面とされている。なお、弾性隔壁部38の外周面で構成された一対の外周ポケット部36a,36bの内周壁面は、周方向に円弧状に湾曲すると共に軸方向上下に非傾斜で広がる円筒面の一部で構成されている。
このような構造とされた本体ゴム弾性体16は、少ない金型で容易に加硫成形することが可能となっている。即ち、図4に示されているように、本体ゴム弾性体16は、中央凹所34と一対の外周ポケット部36a,36bが何れも軸方向端面に開口する凹所とされていることにより、上側金型44と下側金型46のみによって形成することが出来る。より詳細には、軸方向上下に重ね合わされた上側金型44と下側金型46の間に第一の取付部材12と中間スリーブ24をセットすると共に、それら上下の金型44,46の間に形成された成形用キャビティ47に対してゴム材料を充填することで、本体ゴム弾性体16が形成される。要するに、本体ゴム弾性体16では、一対の外周ポケット部36a,36bを軸方向に開口させることで、従来の2方向減衰マウントのような側方金型を要することなく、上下割の金型による成形が可能とされているのである。なお、図1〜図4によっても明らかなように、本体ゴム弾性体16は、第一の取付部材12と中間スリーブ24を備えた一体加硫成形品として形成されている。
また、本体ゴム弾性体16に固着された中間スリーブ24は、その第一リング部26が第二の取付部材14に対して嵌着固定されている。第二の取付部材14は、第一の取付部材12および中間スリーブ24と同様に高剛性の部材であって、薄肉大径の略円筒形状を有している。また、第二の取付部材14は、段差部48を挟んで異なる直径の筒状部50と固着部52を一体的に備えた段付円筒形状とされており、段差部48よりも上方に形成された筒状部50が固着部52よりも大径とされている。そして、筒状部50の上端部に中間スリーブ24の第一リング部26が挿入されると共に、筒状部50に縮径加工が施されることにより、中間スリーブ24が第二の取付部材14に対して固定されている。これにより、第一の取付部材12が第二の取付部材14の上側開口部に支持軸部20を挿入された状態で離隔して配置されており、それら第一の取付部材12と第二の取付部材14が本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
また、第二の取付部材14の固着部52には、可撓性膜54が加硫接着されている。可撓性膜54は、薄肉大径の略円板形状を有するゴム膜であって、軸方向に充分な緩みを有している。そして、可撓性膜54の外周縁部が全周に亘って第二の取付部材14の固着部52に加硫接着されており、第二の取付部材14の下側開口部が可撓性膜54によって閉塞されている。なお、第二の取付部材14の内周面は、可撓性膜54と一体形成された薄肉円筒形状のシールゴム層56によって、略全体が被覆されている。
このように、第二の取付部材14の上側開口部が中間スリーブ24に固着された本体ゴム弾性体16によって閉塞されていると共に、第二の取付部材14の下側開口部が可撓性膜54によって閉塞されている。これにより、本体ゴム弾性体16と可撓性膜54の軸方向対向面間には、外部空間から隔てられた流体封入領域58が形成されて、非圧縮性流体が封入されている。なお、流体封入領域58に封入される非圧縮性流体としては、特に限定されるものではないが、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油、或いはそれらの混合液が望ましい。また、後述する流体の流動作用に基づく防振効果を効率的に発揮させるために、0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
また、流体封入領域58には、仕切部材60が配設されている。仕切部材60は、厚肉大径の略円板形状であって、仕切部材本体62と蓋部材64とを含んで構成されている。
仕切部材本体62は、金属や硬質の合成樹脂等で形成されており、図5〜図9に示されているように、厚肉大径の略円板形状を有している。また、仕切部材本体62の軸方向中央部分には、上面に開口する円形の嵌着凹所66が形成されており、中央部分が外周部分よりも薄肉となっている。更に、嵌着凹所66の底壁部の径方向中央部分には、上方に開口する円形の収容凹所68と、収容凹所68に対応して下方に開口する凹所が形成されている。更にまた、嵌着凹所66の底壁部における収容凹所68の外周側には、第一周溝72が形成されており、周方向に一周弱の長さで略一定の凹溝形状をもって延びていると共に、上方に向かって開口している。
さらに、仕切部材本体62には、第二周溝74と第三周溝76が形成されている。第二,第三周溝74,76は、嵌着凹所66よりも外周側において仕切部材本体62の外周面に開口するように形成されており、それぞれ周方向に半周弱の長さで延びている。また、第二周溝74と第三周溝76は、軸方向で略同じ位置に形成されて、軸直角方向一方向で対向しており、それら第二,第三の周溝74,76の周方向端部が仕切部材本体62に一体形成された隔壁77,77を挟んで両側に離隔して位置している。
更にまた、仕切部材本体62には、第四周溝78が形成されている。第四周溝78は、嵌着凹所66よりも外周側において仕切部材本体62の外周面に開口するように形成されており、周方向に一周弱の長さで延びている。また、第四周溝78は、第二,第三周溝74,76に対して上方に外れた位置に形成されていると共に、少なくとも一部が軸方向の投影においてそれら第二,第三周溝74,76と重なっている。なお、図5では、隠れ線の一部が極細の実線によって描かれており、第二〜第四周溝74,76,78の構造が図示されている。
また、仕切部材本体62の嵌着凹所66には、蓋部材64が嵌め込まれている。蓋部材64は、薄肉の円板形状を有しており、仕切部材本体62の中央部分の上面に重ね合わされている。これにより、収容凹所68の開口部が蓋部材64で覆蓋されて仕切部材本体62と蓋部材64の間に空間が形成されていると共に、第一周溝72の開口部が蓋部材64で覆蓋されてトンネル状の通路が形成されている。なお、仕切部材本体62における収容凹所68の底壁部と、蓋部材64における収容凹所68を覆蓋する部分には、軸方向に貫通する複数の透孔80が形成されている。
また、収容凹所68には、可動ゴム膜82が配設されている。可動ゴム膜82は、略円板形状を有しており、外周部分が軸方向両側に突出して環状に厚肉とされている。そして、可動ゴム膜82は、収容凹所68に嵌め込まれており、外周部分が仕切部材本体62と蓋部材64の間に挟み込まれていると共に、中央部分が仕切部材本体62と蓋部材64の何れからも軸方向に離隔している。
かくの如き構造とされた仕切部材60は、第二の取付部材14によって支持されており、流体封入領域58内で軸直角方向に広がっている。即ち、仕切部材60は、第二の取付部材14の内周側に挿入されており、仕切部材本体62の外周縁部が段差部48に対して上方から重ね合わされることによって、仕切部材60が軸方向に位置決めされている。そして、第二の取付部材14の筒状部50に対して縮径加工が施されることにより、第二の取付部材14の内周面がシールゴム層56を介して仕切部材本体62の外周面に押し付けられて、仕切部材60が第二の取付部材14によって支持されている。
また、仕切部材60が流体封入領域58内で軸直角方向に広がるように支持されることで、流体封入領域58が仕切部材60を挟んで上下に二分されている。更に、中間スリーブ24の第二リング部28が仕切部材本体62の嵌着凹所66に対して流体密に嵌め付けられており、中央凹所34の開口部が仕切部材60によって覆蓋されている。これにより、仕切部材60を挟んで軸方向上側には、壁部の一部を本体ゴム弾性体16で構成されて、軸方向の振動入力時に内圧変動が惹起される第一の主液室84が、中央凹所34を利用して形成されている。一方、仕切部材60を挟んで軸方向下側には、壁部の一部を可撓性膜54で構成されて、容積変化が容易に許容される副液室86が形成されている。
さらに、中間スリーブ24の第一リング部26が第二の取付部材14に対して流体密に嵌め付けられていると共に、中間スリーブ24の第二リング部28が仕切部材本体62の嵌着凹所66に対して流体密に嵌め付けられており、外周ポケット部36a,36bの開口部が第二の取付部材14および仕切部材60によって覆蓋されている。これにより、壁部の一部を本体ゴム弾性体16で構成されて、軸方向および軸直角方向の振動入力時に内圧変動が惹起される第二の主液室88と第三の主液室90が、外周ポケット部36a,36bを利用して形成されている。これら第二,第三の主液室88,90は、第一の主液室84を径方向一方向で挟んで形成されており、第一の主液室84とは弾性隔壁部38によって隔てられていると共に、第一の主液室84に対して軸直角方向の投影において重なり合っている。
また、第一周溝72で構成されたトンネル状の通路は、周方向一方の端部が蓋部材64を貫通する第一上連通孔92を通じて第一の主液室84に連通されていると共に、周方向他方の端部が第一周溝72の下壁部を貫通する第一下連通孔94を通じて副液室86に連通されている。これにより、第一の主液室84と副液室86を相互に連通する第一のオリフィス通路96が形成されている。
また、第二周溝74は、開口部を第二の取付部材14によって覆蓋されてトンネル状とされていると共に、周方向一方の端部が軸方向上方に向かって延びる第二上連通孔98を通じて第二の主液室88に連通されていると共に、周方向他方の端部が第二周溝74の下壁部を貫通する第二下連通孔100を通じて副液室86に連通されている。これにより、第二の主液室88と副液室86を相互に連通する第二のオリフィス通路102が形成されている。
また、第三周溝76は、開口部を第二の取付部材14によって覆蓋されてトンネル状とされていると共に、周方向一方の端部が第三周溝76の下壁部を貫通する第三下連通孔104を通じて副液室86に連通されていると共に、周方向他方の端部が軸方向上方に向かって延びる第三上連通孔106を通じて第三の主液室90に連通されている。これにより、第三の主液室90と副液室86を相互に連通する第三のオリフィス通路108が形成されている。
また、第四周溝78は、開口部を第二の取付部材14によって覆蓋されてトンネル状とされていると共に、周方向一方の端部が軸方向上方に向かって延びる一方の第四連通孔110を通じて第二の主液室88に連通されていると共に、周方向他方の端部が軸方向上方に向かって延びる他方の第四連通孔112を通じて第三の主液室90に連通されている。これにより、第二の主液室88と第三の主液室90を相互に連通する第四のオリフィス通路114が形成されている。
なお、第一〜第四のオリフィス通路96,102,108,114のチューニング周波数は、何れも特に限定されないが、エンジンマウント10では、それら第一〜第四のオリフィス通路96,102,108,114が何れも自動車のエンジンシェイクに相当する10Hz程度の低周波数にチューニングされている。また、第一〜第四のオリフィス通路96,102,108,114によって、本実施形態の流体流路が構成されている。
また、可動ゴム膜82には、その厚さ方向一方の面に対して、蓋部材64に形成された透孔80を通じて第一の主液室84の液圧が及ぼされるようになっていると共に、厚さ方向他方の面に対して、仕切部材本体62に形成された透孔80を通じて副液室86の液圧が及ぼされるようになっている。そして、軸方向の振動入力によって第一の主液室84と副液室86の圧力が相対的に変動すると、可動ゴム膜82が液圧の作用によって微小変形させられて、第一の主液室84の液圧が副液室86に逃されるようになっている。これにより、走行こもり音に相当する高周波数の振動に対して振動絶縁効果を発揮する液圧吸収機構が構成されている。
そして、エンジンマウント10は、第一の取付部材12が自動車のパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付部材14が自動車のボデーに取り付けられて、パワーユニットが車両ボデーに対して防振連結されるようになっている。かかるエンジンマウント10の車両への装着状態において、パワーユニットの支持荷重が第一の取付部材12と第二の取付部材14の間に軸方向で入力されて、本体ゴム弾性体16に対して軸方向の圧縮荷重として及ぼされるようになっている。
特に、本体ゴム弾性体16が軸方向下方に向かって次第に大径となる略円錐台形状を有していると共に、本体ゴム弾性体16に形成された中央凹所34と一対の外周ポケット部36a,36bが、何れも軸方向下方に向かって開口するように形成されている。それ故、車両への装着状態において第一の取付部材12と第二の取付部材14の間に作用するパワーユニットの支持荷重が、連結腕部42や弾性隔壁部38を含んだ本体ゴム弾性体16の各部に対して軸方向の圧縮荷重として及ぼされる。このように本体ゴム弾性体16の各部が支持荷重の作用で予圧縮されることにより、本体ゴム弾性体16に及ぼされる引張荷重が低減されて、耐久性の向上が図られる。
また、上述の如きエンジンマウント10の車両への装着状態において、エンジンシェイクに相当する低周波数振動が軸方向に入力されると、第一〜第三の主液室84,88,90と副液室86との相対的な圧力変動に基づいて、第一〜第三の主液室84,88,90と副液室86に封入された流体が第一〜第三のオリフィス通路96,102,108を通じて流動させられる。これにより、軸方向の振動入力に対して、流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果(高減衰効果)が発揮される。このように、軸方向の低周波振動に対しては、複数のオリフィス通路96,102,108による防振効果が複合的に発揮されて、より優れた防振性能が実現されている。
また、アイドリング振動や走行こもり音に相当する中〜高周波小振幅振動が軸方向に入力されると、第一の主液室84と副液室86の相対的な圧力変動によって可動ゴム膜82が厚さ方向に微小変形させられて、第一の主液室84の液圧が副液室86に伝達される。そして、副液室86に伝達された第一の主液室84の液圧が、可撓性膜54の変形で吸収されることにより、目的とする防振効果(低動ばね効果)が発揮される。
一方、第二の主液室88と第三の主液室90が対向する軸直角方向への振動入力時には、第一の取付部材12が第二の取付部材14に対して軸直角方向に相対変位することにより、第二,第三の主液室88,90と副液室86との間に相対的な圧力変動が生じる。これにより、第二,第三の主液室88,90および副液室86に封入された封入流体が第二,第三のオリフィス通路102,108を通じて流動させられて、流体の流動作用に基づいて目的とする防振効果(高減衰効果)が発揮される。
さらに、第二の主液室88と第三の主液室90が対向する軸直角方向への振動入力時には、第二の主液室88の液圧と第三の主液室90の液圧も相対的に変動させられる。これにより、第二,第三の主液室88,90を連通する第四のオリフィス通路114を通じて流体が流動させられて、流体の流動作用に基づいた防振効果(高減衰効果)が発揮される。このように、軸直角方向の振動に対しても、複数のオリフィス通路102,108,114による防振効果が複合的に発揮されて、より優れた防振性能が実現されている。
ここにおいて、エンジンマウント10の本体ゴム弾性体16には、一対の連結ゴム部116a,116bが設けられており、軸直角方向の振動入力時に第二,第三の主液室88,90の相対的な圧力変動が効率的に生じるようになっている。
すなわち、連結ゴム部116は、本体ゴム弾性体16の一部であって、第一の取付部材12の支持軸部20と、本体ゴム弾性体16の弾性隔壁部38とを、軸直角方向に連結するように設けられている。また、図3に示されているように、一対の連結ゴム部116a,116bは、第二,第三の主液室88,90の対向方向である軸直角方向一方向(図1中、左右方向)で対向する位置に設けられており、第一の取付部材12の支持軸部20を挟んだ両側で径方向外方に向かって延びている。そして、連結ゴム部116aが、支持軸部20と弾性隔壁部38における第二の主液室88の壁部を構成する部位とを連結するように形成されていると共に、連結ゴム部116bが、支持軸部20と弾性隔壁部38における第三の主液室90の壁部を構成する部位とを連結するように形成されている。
また、本実施形態の連結ゴム部116は、外周側に向かって下傾する縦断面形状を有していると共に、外周側に行くに従って次第に軸方向寸法が大きくなっており、外周部分が第一の取付部材12の支持軸部20よりも軸方向下方にまで延び出している。これにより、第二,第三の主液室88,90の壁部の一部を構成する弾性隔壁部38の軸方向略全体が、連結ゴム部116a,116bによって第一の取付部材12の支持軸部20に対して、軸直角方向で連結されている。要するに、連結ゴム部116a,116bは、支持軸部20から弾性隔壁部38に向かって軸方向に傾斜しているが、支持軸部20と弾性隔壁部38を軸直角方向に連結していることに変わりはない。なお、本実施形態の連結ゴム部116は、図1中において2点鎖線で境界を示された部位である。また、エンジンマウント10の車両への装着状態において、一対の連結ゴム部116a,116bは、車両の前後方向(図3中、左右方向)で対向する位置に形成されている。
このような連結ゴム部116が本体ゴム弾性体16に設けられていることにより、軸直角方向の振動入力によって第一の取付部材12が第二の取付部材14に対して軸直角方向に相対変位する際に、第二,第三の主液室88,90の相対的な圧力変動が効率的に生じるようになっている。即ち、第二,第三の主液室88,90の壁部の一部を構成する弾性隔壁部38が、連結ゴム部116を介して、第一の取付部材12の支持軸部20の変位に応じて押される或いは引かれることで、効率的に弾性変形させられる。これにより、第二,第三の主液室88,90の相対的な圧力変動が大きく生じて、第二〜第四のオリフィス通路102,108,114を通じた流体の流動がより効率的に惹起される。その結果、軸直角方向の振動に対する防振効果が有利に発揮されて、優れた防振性能が実現される。
さらに、上述のように軸直角方向でのピストン効率が連結ゴム部116によって高められていることで、第一の主液室84と第二,第三の主液室88,90を軸直角方向の投影において重なり合わせた構造が採用可能とされている。即ち、第一の主液室84と第二,第三の主液室88,90が軸直角方向の投影で重なることによって減少する第二,第三の主液室88,90のピストン面積が、連結ゴム部116が設けられることによって補償されている。これにより、エンジンマウント10では、軸直角方向の防振性能を低下させることなく、軸方向での小型化が実現されている。
更にまた、連結ゴム部116は、外周側に向かって下傾するテーパ形状とされていると共に、外周側に行くに従って次第に軸方向寸法が大きくなっており、弾性隔壁部38の軸方向略全体が、連結ゴム部116によって第一の取付部材12の支持軸部20に連結されている。これにより、軸直角方向の振動入力時には、弾性隔壁部38における第二,第三の主液室88,90の内周壁面を構成する部位が、略全体に亘って弾性変形させられて、第二,第三の主液室88,90の圧力変動がより効率的に惹起される。従って、軸直角方向の振動に対する防振性能がより一層優れた物とされている。
一方、一対の連結ゴム部116a,116bの対向方向と直交する軸直角方向一方向では、一対のすぐり118a,118bが本体ゴム弾性体16に対して形成されており、本体ゴム弾性体16の軸方向でのばね定数が、必要以上に硬くならないようにチューニングされている。すぐり118は、図2に示されているように、テーパ状とされた中央凹所34の壁面において下方に開口する凹所であって、軸方向視で略弓形を呈している。また、一対のすぐり118a,118bが一対の連結ゴム部116および支持軸部20を挟んだ両側に形成されており、一対の連結ゴム部116を外れた部位において本体ゴム弾性体16が薄肉化されている。なお、一対のすぐり118a,118bは、第一の取付部材12の支持軸部20を挟んで両側に設けられており、第一の取付部材12の支持軸部20と弾性隔壁部38の軸直角方向間に入り込むように形成されている。
このような一対のすぐり118a,118bが形成されていることにより、本体ゴム弾性体16では、一対の連結ゴム部116a,116bの形成部位において軸方向のばねが硬くされている一方で、一対のすぐり118a,118bの形成部位において軸方向のばねが軟らかくされて、全体として軸方向のばねが硬くなるのを防ぎ得る構造とされている。このように、本体ゴム弾性体16の軸方向のばねが一対のすぐり118a,118bによってチューニングされていることにより、軸直角方向で優れた防振特性を有し、且つ軸方向での大型化が回避されたエンジンマウント10が、軸方向の防振性能を悪化させることなく実現される。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、連結ゴム部は必ずしも周上で部分的に形成されていなくても良く、連結ゴム部の形状は軸方向のばね特性を考慮しながら自由に設計され得る。即ち、連結ゴム部は、第一の取付部材12の支持軸部20と弾性隔壁部38とを軸直角方向に連結し得る構造であれば、全周に亘って連続する環状等であっても良く、その場合には、すぐり118a,118bが省略されていても良い。また、連結ゴム部は、必ずしも外周側に向かって下傾するテーパ形状とされていなくても良く、例えば、軸直角方向に対して傾斜することなく延びていても良い。
また、本体ゴム弾性体は、必ずしも底面が正円形状とされた錐体台形状に限定されるものではなく、底面が楕円形状とされた錐体台形状であっても良い。このような楕円錐体台形状の本体ゴム弾性体は、例えば、中間スリーブ24におけるテーパ連結部30の軸直角方向寸法を小さくして、第一リング部26と第二リング部28をそれぞれ楕円環状とすることで採用される。このような構造によれば、第二,第三の主液室88,90が対向する軸直角方向が横断面において長軸方向となることから、第二,第三の主液室88,90の容積が大きく確保されて、流体の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮される。一方で、短軸方向となる第二,第三の主液室88,90の対向方向と直交する軸直角方向では、小型化が実現されて、車両におけるエンジンマウントの配設スペースを小さくすることが可能となる。
また、主液室は、必ずしも3つに限定されるものではなく、例えば、第二の主液室88と第三の主液室90の周方向間に更なる一対の主液室が形成されていても良く、それら主液室同士や主液室と副液室86を連通するオリフィス通路を設けることで防振特性を変更することも可能である。
また、本発明に従う構造の流体封入式防振装置は、自動車用の流体封入式防振装置としてだけでなく、鉄道用車両や産業用車両等に用いられる流体封入式防振装置としても採用可能である。さらに、本発明に係る流体封入式防振装置は、エンジンマウントだけでなく、サブフレームマウントやデフマウント等にも適用可能である。
10:エンジンマウント、12:第一の取付部材、14:第二の取付部材、16:本体ゴム弾性体、20:支持軸部、24:中間スリーブ、26:第一リング部、28:第二リング部、30:テーパ連結部、32:窓部、34:中央凹所、36:外周ポケット部、38:弾性隔壁部、42:連結腕部、50:筒状部、54:可撓性膜、60:仕切部材、84:第一の主液室、86:副液室、88:第二の主液室、90:第三の主液室、96:第一のオリフィス通路、102:第二のオリフィス通路、108:第三のオリフィス通路、114:第四のオリフィス通路、116:連結ゴム部、118:すぐり

Claims (5)

  1. 支持軸部を備えた第一の取付部材が第二の取付部材の筒状部の軸方向一方の開口側に離隔配置されて、該支持軸部が該筒状部の内周側に挿入されていると共に、それら第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体によって連結されており、該筒状部で支持された仕切部材を挟んで軸方向一方の側に壁部の一部を該本体ゴム弾性体で構成された第一の主液室が形成されていると共に、該仕切部材を挟んで軸方向他方の側に壁部の一部を可撓性膜で構成された副液室が形成されており、更に、該第一の取付部材の該支持軸部を軸直角方向に挟んだ両側には壁部の一部を該本体ゴム弾性体で構成された第二の主液室と第三の主液室が形成されて、それら第一〜第三の主液室と副液室にそれぞれ非圧縮性流体が封入されていると共に、それら第一〜第三の主液室および副液室を連通する流体流路が形成されている流体封入式防振装置において、
    前記本体ゴム弾性体が円錐台形状とされて、該本体ゴム弾性体の軸方向視での面積が軸方向一方の側に向かって小さくなっていると共に、
    該本体ゴム弾性体には中央凹所と該中央凹所を挟んで軸直角方向で対向する一対の外周ポケット部とが形成されて、それら中央凹所と一対の外周ポケット部がそれぞれ該本体ゴム弾性体の軸方向他方の端面に開口されており、該中央凹所の開口部が前記仕切部材で覆蓋されて前記第一の主液室が形成されていると共に、該一対の外周ポケット部の開口部が該仕切部材で覆蓋されて前記第二の主液室と前記第三の主液室が形成されている一方、
    該第一の主液室と該第二の主液室および該第三の主液室とが軸直角方向の投影で重なっており、該第一の主液室と該第二の主液室および該第三の主液室を隔てる弾性隔壁部が該本体ゴム弾性体に設けられていると共に、前記第一の取付部材の前記支持軸部と該弾性隔壁部を軸直角方向に連結する連結ゴム部が該本体ゴム弾性体に設けられていることを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記第二の主液室と前記第三の主液室が対向する軸直角方向一方向の両側に一対の前記連結ゴム部が設けられていると共に、該第二の主液室と該第三の主液室の対向方向と直交する軸直角方向の両側には前記中央凹所の底壁面に開口する凹所状の一対のすぐりが形成されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記流体流路が、前記第一の主液室と前記副液室を連通する第一のオリフィス通路と、前記第二の主液室と該副液室を連通する第二のオリフィス通路と、前記第三の主液室と該副液室を連通する第三のオリフィス通路と、該第二の主液室と該第三の主液室を連通する第四のオリフィス通路とを、含んで構成されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記第一の取付部材と筒状の中間スリーブが前記本体ゴム弾性体によって連結されていると共に、該中間スリーブが前記第二の取付部材の前記筒状部に嵌着されている一方、該中間スリーブが第一リング部と第二リング部を周上の少なくとも一部でテーパ連結部によって連結した構造とされていると共に、前記一対の外周ポケット部の開口部が該第一リング部と該第二リング部の軸方向間に形成された一対の窓部に重ね合わされており、該第一リング部に固着された該本体ゴム弾性体の一部によって前記一対の外周ポケット部の壁部の一部が構成されていると共に、該第二リング部に固着された該本体ゴム弾性体の別の一部によって前記弾性隔壁部が構成されている請求項1〜3の何れか1項に記載された流体封入式防振装置。
  5. 前記連結ゴム部の軸方向寸法が、前記第一の取付部材の支持軸部側から前記弾性隔壁部側に向かって次第に大きくなっていると共に、該弾性隔壁部の軸方向全体が該連結ゴム部によって該支持軸部に連結されている請求項1〜4の何れか1項に記載された流体封入式防振装置。
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