JP2006250281A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Yuji Hashimoto
有史 橋本
Masahiko Nagasawa
正彦 長澤
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Abstract

【課題】 振動の入力時における異音の発生が、より確実に防止され得るようにした流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】 仕切部材42に対して、二つの流体室44,46を相互に連通する透孔74を設けると共に、該透孔74の全体を遮断し得る可動板76を二つの流体室44,46の間において移動可能に配設し、更に、該可動板76の両側に、該可動板76に接触して、該可動板76の移動を規制する移動規制部78,80を設けた。そして、かかる移動規制部78,80に対する少なくとも接触部位82に位置するように、該可動板76の内部に、空隙部85を設けて構成した。
【選択図】 図 1

Description

本発明は、流体封入式防振装置に係り、特に、非圧縮性流体が封入された複数の液室を有し、それら複数の液室間での流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置の改良された構造に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、第一の取付部材と第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、本体ゴム弾性体を壁部の一部として、非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成し、更に仕切部材を間にして、第一の流体室とは反対側に、非圧縮性流体が封入された第二の流体室を形成する一方、仕切部材に対して、それら第一及び第二の流体室を相互に連通可能な透孔を設け、更に、その透孔の全体を覆うようにして透孔を遮断し得る可動板を、第一の流体室と第二の流体室との間において移動可能に配置すると共に、かかる可動板の両側に、可動板に接触して、可動板の移動を規制する移動規制部を設けてなる流体封入式防振装置が、知られている。
そして、かくの如き構造を有する流体封入式防振装置にあっては、振動の入力による可動板の移動と、かかる可動板の移動に伴って、透孔を通じて第一の流体室と第二の流体室との間を流通せしめられる流体の流動作用とに基づいて、ゴム弾性体だけでは得られ難い防振効果を容易に得ることが出来ることから、例えば自動車用エンジンマウントやボデーマウント等への適用が検討されている。
ところで、このような防振装置では、可動板が第一の流体室と第二の流体室との間で移動せしめられる際に、仕切部材に設けられた移動規制部に接触せしめられることにより、可動板の移動量が規制されるようになっているのであるが、かかる移動規制部に対する可動板の接触により生ずる衝撃力に起因して、起振力が発生し、その結果、仕切部材やそれと接触する他部材等の共振が誘発されて、異音が生ずるといった問題が内在していた。そして、衝撃的な大荷重が入力せしめられた際には、可動板が仕切部材の移動規制部に対して強く打ち当たるために、打音をも含む、より大きな異音が発生し、それが特に大きな問題となっていたのである。
そこで、そのような異音の発生の防止を図るために、仕切部材を特別な構造をもって構成してなる流体封入式防振装置が、提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
すなわち、かかる防振装置では、仕切部材が、高さの低い片側有底の円筒体からなる二つの仕切体を有し、それら二つの仕切体が、可動板を間に挟んで、軸方向に互いに重ね合わされて、組み付けられることにより、内部に、可動板が軸方向に移動可能に収容された、一つの組付品として構成されている。また、かかる仕切部材においては、可動板にて覆われる各仕切体の中央部分に、複数の通孔が周方向に隣り合うように設けられて、それら各通孔により、仕切部材を貫通する透孔が構成されていると共に、それら隣り合う通孔同士の間に放射状に延びるアーム部がそれぞれ形成されている。そして、一方の仕切体における複数のアーム部のうちの幾つかのものに対して、突条形態を呈するリブが、アーム部の長さ方向に沿って互いに異なる長さをもって延びるように一体形成されている。
かくして、かくの如き構造とされた仕切部材を有する防振装置にあっては、仕切部材を構成する一方の仕切体の底部に、互いに長さの異なるリブが設けられているため、可動板が、振動入力により移動せしめられた際に、一方の仕切体の底部に接触するタイミングが部分的に異ならしめられ、それによって、可動板の仕切部材との接触により生ずる衝撃力が、可動板の全体が仕切部材に対して同時に接触する場合よりも、有利に小さくされる。そして、その結果、かかる衝撃力に起因して生ずる起振力が減少せしめられて、仕切部材の共振等による異音の発生の防止が図られるようになっているのである。
ところが、このような従来の流体封入式防振装置においては、上記の如き異音の発生防止を図るためのリブが、仕切部材を構成する二つの仕切体のうちの一方のものだけにしか設けられておらず、それ故、可動板が他方の仕切体に接触せしめられた際に生ずる異音の発生を何等防止することが出来ないといった欠点が存していた。また、かかる従来装置では、十分な異音の発生防止効果を得る上で、リブ同士の間の長さの較差が適切な値となるように、各リブの長さを設計しなければならず、それが極めて面倒であるといった不具合もあった。しかも、従来装置にあっては、例えば、可動板が、リブを有する一方の仕切体に接触せしめられたときに、それら可動板とリブとの間に隙間が形成され易く、そのために、可動板と仕切体との間のシール性が十分に確保され難いといった問題も、内在していたのである。
特許第2875723号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、振動の入力時における異音の発生の防止が、より容易に且つより確実に図られ得るようにした流体封入式防振装置の改良された構造を提供することにある。
そして、本発明にあっては、かかる課題を解決するために、第一の取付部材と第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体を壁部の一部として、非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成し、更に仕切部材を間にして、該第一の流体室とは反対側に、非圧縮性流体が封入された第二の流体室を形成する一方、該仕切部材に対して、それら第一及び第二の流体室を相互に連通可能な透孔を設け、更に該透孔の全体を覆うようにして該透孔を遮断し得る可動板を、前記第一の流体室と前記第二の流体室との間において移動可能に配置すると共に、かかる可動板の両側に、該可動板に接触して、前記可動板の移動を規制する移動規制部を設けてなる流体封入式防振装置において、前記移動規制部に対する少なくとも接触部位に位置するように、前記可動板の内部に、空隙部を設けたことを特徴とする流体封入式防振装置を、その要旨とするものである。
このような本発明に従う流体封入式防振装置にあっては、可動板の接触部位の内部に空隙が設けられているため、かかる可動板が、振動荷重の入力により第一の流体室と第二の流体室との間で移動せしめられて、接触部位が仕切部材の移動規制部に接触せしめられた際に、接触部位から移動規制部に作用せしめられる荷重が、例えば接触部位の内部が中実とされている場合に比して、有利に小さく為され得る。そして、それによって、そのような移動規制部に対する可動板の接触部位の接触によって生ずる衝撃力も、効果的に低減せしめられ得る。
また、かかる本発明装置にあっては、移動規制部に対する可動板の接触によって生ずる衝撃力の低減のために、基本的には、単に、可動板の接触部位の内部に、空隙が、その具体的な大きさや位置が特に限定されることなく形成されているだけであるところから、面倒な設計作業が何等必要とされるものでなく、その上、可動板の移動方向によって、移動規制部との接触による衝撃力の低減効果に差異が生ずることもない。
従って、かくの如き本発明に従う流体封入式防振装置にあっては、振動入力時において移動規制部に対する可動板の接触により生ずる衝撃力に起因して発生する起振力が、容易に且つ確実に低減せしめられ得る。その結果、そのような仕切部材における移動規制部に対する可動板の接触に伴う異音の発生が、極めて有利に防止され得るのである。そして、従来において特に問題となっていた衝撃的な大荷重の入力時におけるより大きな異音の発生が、一層効果的に防止され得ることとなる。
しかも、かかる本発明装置においては、単に、可動板の内部に空隙部を形成しただけのものであるため、可動板が移動可能に配置される仕切部材の構造等、防振特性に対して影響を及ぼす可能性のある部分の構造について、何等の変更をもされるものでない。それ故に、防振性能を有利に維持したままで、上述せる如き異音の発生効果が、極めて有効に享受され得るといった利点が得られるのである。
発明の態様
ところで、本発明は、少なくとも、以下に列挙する如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。
(1) 第一の取付部材と第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体を壁部の一部として、非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成し、更に仕切部材を間にして、該第一の流体室とは反対側に、非圧縮性流体が封入された第二の流体室を形成する一方、該仕切部材に対して、それら第一及び第二の流体室を相互に連通可能な透孔を設け、更に該透孔の全体を覆うようにして該透孔を遮断し得る可動板を、前記第一の流体室と前記第二の流体室との間において移動可能に配置すると共に、かかる可動板の両側に、該可動板に接触して、前記可動板の移動を規制する移動規制部を設けてなる流体封入式防振装置において、前記移動規制部に対する少なくとも接触部位に位置するように、前記可動板の内部に、空隙部を設けたことを特徴とする流体封入式防振装置。
(2) 上記の態様(1)において、前記仕切部材に対して、前記第一の流体室と前記第二の流体室とを連通するオリフィス通路が設けられていること。このようなオリフィス通路を有する流体封入式防振装置においては、オリフィス通路を、例えば、エンジンシェイク等の低周波数域にチューニングすることによって、そのような低周波大振幅振動が入力された際に、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて有効な防振効果が発揮されるようになる。しかも、かかる低周波大振幅振動の入力により、可動板の接触部位が仕切部材の移動規制部に接触した際に生ずる衝撃力が、確実に小さくされ得るのであり、その結果として、低周波大振幅振動の入力時における異音の発生が、効果的に防止され得ることとなる。
(3) 上記した態様(1)又は態様(2)において、前記可動板が、弾性変形可能な材料にて構成されていること。このような可動板を有する流体封入式防振装置にあっては、低周波大振幅振動等の大振幅振動以外の振動の入力時に、透孔を通じて第一の流体室と第二の流体室との間を流通せしめられる流体の流動作用に基づいて発揮される防振効果に加えて、可動板の弾性変形作用に基づく防振効果も、有利に得られることとなる。また、内部に空隙部が設けられた可動板の接触部位において柔らかなばね特性が発揮され得るため、振動荷重の入力による可動板の移動時に、可動板の接触部位が、移動規制部に対して、より柔らかく接触せしめられて、その際に生ずる衝撃が、更に効果的に小さく為され得る。従って、仕切部材における移動規制部に対する可動板の接触に伴う異音の発生が、更に一層有利に防止され得ることとなる。
(4) 上記した態様(1)乃至態様(3)のうちの何れか一つにおいて、前記移動規制部が、前記可動板の外周部の両側に位置せしめられて、該可動板の前記接触部位が、該可動板の外周部にて構成される一方、前記空隙部が、該接触部位の内部に、周方向に連続的に又は非連続的に延び且つ該可動板の外周面において側方に向かって開口して、形成されていること。このような構成を有する流体封入式防振装置にあっては、空隙部が比較的に容易に形成され得ることとなる。
(5) 上記した態様(4)において、前記可動板の外周部からなる前記接触部位の両面が、互いに平行に位置して周方向に延びる平面にて構成される一方、該接触部位の内部に設けられた前記空隙部が、該接触部位の両面の側にそれぞれ離間して位置し且つ周方向に連続して延びる二つの側面を有してなると共に、それら二つの側面間の距離が、該空隙部の開口方向とは反対側の方向に向かって次第に小さくなるように構成されていること。
このような態様(5)によれば、可動板の外周部からなる接触部位が、空隙部を間に挟んで、可動板の一方の面側と他方の面側、つまり第一の流体室側と第二の流体室側とにそれぞれ位置し、空隙部の開口方向とは反対側に向かうに従って次第に厚肉となる二つの部分にて構成される。それ故、可動板が、振動荷重の入力により、例えば、第一の流体室側から第二の流体室側に向かって移動せしめられて、可動板の接触部位における第二の流体室側に位置する部分が移動規制部に接触せしめられた際に、かかる可動板の接触部位における第二の流体室側部分が、第一の流体室側から第二の流体室側への流体の流動によって捲れあがって、移動規制部との接触状態が部分的に解消されるようなことが、例えば、そのような可動板の接触部位における第二の流体室側部分が一定の厚さとされている場合に比して、有利に阻止され得る。また、その反対に、可動板の接触部位における第一の流体室側に位置する部分が移動規制部に接触せしめられた際にも、そのような可動板の接触部位における第一の流体室側部分と移動規制との接触状態が、流体の流動によって部分的に解消されるようなことも、効果的に防止され得る。つまり、換言すれば、可動板の移動規制部に対する接触状態下において、透孔を通じての流体の流動が一層効果的に阻止され得るようになる。
従って、かくの如き態様(5)が、特に、前記した態様(2)に係る構成と共に採用される場合にあっては、例えば、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動が入力された際に、透孔を通じての流体の流動が極めて効果的に阻止され得ることによって、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、更に一層有効に発揮され得ることとなる。
(6) 上記した態様(1)乃至態様(3)のうちの何れか一つにおいて、前記空隙部が、前記可動板内部において、該可動板の板面に平行な方向に連続して又は非連続で延びる空孔にて、構成されていること。このような構成によれば、空孔を可動板の全体に設けることで、可動板全体の軽量化が図られ得る。また、特に前記した態様(3)と組み合わされる場合には、可動板全体において、より柔らかなばね特性が得られることとなり、それによって、例えば、衝撃的な大振幅振動が入力せしめられた時に、可動板の柔らかな弾性変形に基づいて、優れた防振効果が、より有効に発揮され得ることとなる。
(7) 上記した態様(6)において、前記空隙部を構成する前記空孔が、前記可動板の外周面において開口せしめられていること。このような構成によれば、空孔からなる空隙部の形成が容易となる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1及び図2には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントが、その縦断面形態と上面形態とにおいて、それぞれ、概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のエンジンマウントは、第一の取付部材としての第一の取付金具10と、第二の取付部材としての第二の取付金具12を備えており、それら第一の取付金具10と第二の取付金具12とが、上下方向に互いに離間配置されて、本体ゴム弾性体14により弾性的に連結されて、構成されている。
そして、第一の取付金具10が自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具12が自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。また、そのような装着状態下では、パワーユニット重量が及ぼされることにより、本体ゴム弾性体14が弾性変形して、第一の取付金具10と第二の取付金具12が相互に接近位置せしめられる。そして、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動が、第一の取付金具10と第二の取付金具12の接近/離隔方向(マウント中心軸である図1中の略上下方向)に入力されることとなる。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうこととする。
より詳細には、第一の取付金具10は、略円板形状を有しており、その中央部には、上方に突出する取付ボルト16が固設されており、この取付ボルト16によって、第一の取付金具10が、図示しないパワーユニットに固定的に取り付けられるようになっている。また、かかる第一の取付金具10の下面中央には、テーパ周壁を有するカップ状金具18が、その開口部において重ね合わされて溶接等で固着されている。
一方、第二の取付金具12は、全体として、大径の略円筒形状を有している。また、この第二の取付金具12にあっては、上側開口部の周縁部に対して、径方向内方に所定寸法突出し且つ周方向に連続して延びる内フランジ部20が一体的に形成されており、また、かかる内フランジ部20以外の部分が、円筒部22とされている。
そして、このような第二の取付金具12の略中心軸上において、第一の取付金具10が、第二の取付金具12の上方に離間して、軸直角方向に広がる状態で配設されており、また、それら第一の取付金具10と第二の取付金具12との間に、本体ゴム弾性体14が介装されている。
この本体ゴム弾性体14は、全体として、大径の略円錐台形状を呈しており、大径側端面において下方に開口する凹所24を有して、構成されている。そして、かかる本体ゴム弾性体14にあっては、小径側端部内に、カップ状金具18が埋め込まれた状態で、小径側端面に対して、第一の取付金具10が重ね合わされて、加硫接着されている一方、凹所24を取り囲む大径側端面に対して、第二の取付金具12の内フランジ部20が重ね合わされて加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体14は、第一の取付金具10と第二の取付金具12を備えた一体加硫成形品として形成されている。これによって、第二の取付金具12の上側の開口部が、本体ゴム弾性体14によって流体密に覆蓋されているのである。なお、第二の取付金具12の内周面には、その略全面を覆う内側シールゴム層26が、本体ゴム弾性体14と一体的に形成されている。また、かかる第二の取付金具12における円筒部22の外周面には、その下部側部位を覆う外側シールゴム層28が、一体的に形成されている。更に、本体ゴム弾性体14の高さ方向の中間部には、その座屈変形等を防止するための逆テーパ筒状の補強金具29が埋設されている。
一方、第二の取付金具12の下側開口部には、取付リング30が、配置されている。この取付リング30は、第二の取付金具12の外径よりも大きな外径とその内径よりも小さな内径とを有する円環板部32と、かかる円環板部32の外周縁部に対して、上方に向かって所定高さをもって突出するように一体形成された略円筒状の上側筒状部34と、円環板部32の内周縁部に対して、下方に向かって所定高さをもって突出するように一体形成された円筒状の下側筒状部36とからなっている。
また、かかる取付リング30においては、下側筒状部36の内側に、可撓性膜としてのゴム薄膜からなるダイヤフラム38が、円環板部32の内孔の全体を覆うように配設されている。このダイヤフラム38は、変形容易なように弛みを持たせた薄肉円板形状を有しており、外周縁部において、取付リング30の下側筒状部36の内周面に加硫接着されている。つまり、換言すれば、ダイヤフラム38が、その外周縁部に取付リング30が加硫接着された一体加硫成形品として構成されているのである。
そして、このような取付リング30が、円環板部32の上面の外周部において、第二の取付金具12の下端面に当接せしめられ、且つ上側筒状部36において、第二の取付金具12に対して同軸的に外挿されて、位置せしめられており、例えば、上側筒状部36に対する縮径加工等が施されることによって、第二の取付金具12に対して嵌着固定されている。また、そのような固定状態下において、第二の取付金具12の外周面に一体形成された外側シールゴム層28にて、かかる第二の取付金具12の外周面と取付リング30における上側筒状部36の内周面との間が液密にシールされている。
これによって、第二の取付金具12の下側開口部が、取付リング30とその内孔を閉塞するダイヤフラム38とによって液密に覆蓋されており、以て、第二の取付金具12の上下両側(軸方向両側)を覆蓋する本体ゴム弾性体14とダイヤフラム38の対向面間において、非圧縮性流体が封入された流体室40が形成されている。なお、封入流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用されるが、特に後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、本実施形態では、0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
また、第二の取付金具12の内部には、仕切部材42が収容配置されており、流体室40中に組み付けられている。この仕切部材42は、全体として略厚肉の円板形状を有しており、かかる仕切部材42が流体室40内で軸直角方向に広がった状態で第二の取付金具12に固定されることにより、流体室40が、仕切部材42を挟んだ上下両側に仕切られている。そして、仕切部材42の上側には、本体ゴム弾性体14の前記凹所24の内側空間からなり、壁部の一部が本体ゴム弾性体14にて構成された、第一の流体室としての受圧室44が形成されている一方、仕切部材42の下側には、壁部の一部がダイヤフラム38で構成された、第二の流体室としての平衡室46が形成されている。即ち、受圧室44は、振動入力時に本体ゴム弾性体14の弾性変形に伴って振動が入力されて内圧変動が生ぜしめられるようになっている一方、平衡室46は、ダイヤフラム38の変形に基づいて容易に容積変化が許容されて、内圧変化が吸収されるようになっている。
また、流体室40を二つに仕切って、受圧室44と平衡室46とを画成する仕切部材42は、仕切部材本体48と蓋体50とが互いに重ね合わされて、組み付けられることによって形成されている。
仕切部材本体48は、図3及び図4に示されるように、硬質の合成樹脂材料やアルミニウム合金等の金属材料を用いて形成された、所定の厚さを有する略円形ブロック体からなっている。そして、この仕切部材本体48の上面の外周部には、その略4/5周部分の領域において、二重に折り返して連続的に延びる断面矩形状の周溝52が、所定深さを有して、形成されている。この周溝52においては、周方向に延びる底部の一端部に、略矩形状を呈する窓部54が、底部を貫通して、形成されている。
また、かかる仕切部材本体48の上面の内周部(中心部)には、所定深さを有する、内側底面が平滑面とされた円形凹所56が、周溝52にて取り囲まれた状態で、形成されている。更に、それら円形凹所56と周溝52との間には、複数(ここでは3個)の位置決めピン53が、周方向に一定の間隔を隔てて、一体的に立設されている。そして、円形凹所56の底部には、その中心部に、扇形状を呈する、例えば4個の通孔58aが、周方向において互いに一定の距離を隔てて設けられ、また、それら4個の通孔58aの周りに、矩形状を呈する、例えば8個の通孔58bが、周方向において互いに一定の距離を隔て、且つそれらの内側に位置する4個の通孔58aに対して径方向に所定の距離を隔てて形成されている。そして、それら合計12個の通孔58のうち、周方向や径方向において互いに隣り合うもの同士の間に、放射状や円形状に延びるリブ60が、それぞれ設けられている。なお、図3及び図4中、62は、仕切部材本体48の軽量化を図ること等を目的として形成される肉抜け部である。
一方、蓋体50は、図1及び図5、図6から明らかなように、硬質の合成樹脂材料やアルミニウム合金等の金属材料を用いて形成された円形の薄肉平板からなり、仕切部材本体48の円形凹所56よりも一周り大きな径を有すると共に、厚さ方向両側面が平滑面とされている。そして、かかる蓋体50の外周縁部には、その周上の一個所に、矩形の切欠部64が設けられており、また、その外周部には、複数(ここでは3個)のピン孔66が、仕切部材本体48に設けられた複数の位置決めピン53と対応する位置に、それぞれ設けられている。
さらに、蓋体50の内周部(中心部)には、その中心部分に、円形の通孔68aが、例えば1個設けられ、また、この円形の通孔68aの周囲には、矩形状を呈する、例えば8個の通孔68bが、周方向に互いに一定の距離を隔て、且つ円形の通孔68aを取り囲む状態で、かかる通孔68aに対して径方向に所定の距離を隔てて形成されている。更にまた、それら9個の通孔68のうち、中心部に位置する円形の通孔68aは、仕切部材本体48の円形凹所56における底部の中心部に設けられた扇状の4個の通孔58aとそれら4個の通孔58aの間に設けられた4個のリブ60とを組み合わせた大きさをもって、それらに対応位置し得るように配設されている。また、8個の矩形の通孔68bは、仕切部材本体48の円形凹所56における底部の外周部に設けられた8個の矩形の通孔58bと同じ大きさをもって、それらに対応位置し得るように配設されている。更に、そのような合計9個の通孔58の間にも、放射状や円形状に延びるリブ70が、形成されている。
そして、図7及び図8に示される如く、上述の如き構造とされた蓋体50の複数のピン孔66のそれぞれに、仕切部材本体48に立設された複数の位置決めピン53が挿通せしめられて、位置決めされた状態で、蓋体50が、仕切部材本体48に対して、その円形凹所56を覆蓋するように重ね合わされて、組み付けられている。また、そのような組付状態下において、蓋体50における1個の円形の通孔68aが、仕切部材本体48における4個の扇状の通孔58aに対して対応位置せしめられると共に、蓋体50における8個の矩形の通孔68bが、仕切部材本体48における8個の矩形の通孔58bに、それぞれ対応位置せしめられている。更に、仕切部材本体48に設けられた周溝52の一端部に対して、蓋体50の切欠部64が対応位置せしめられている。
これによって、仕切部材42が、それら仕切部材本体48と蓋体50との組付体として、構成されている。そして、そのような仕切部材42の内周部(中央部)に、仕切部材本体48の円形凹所56が蓋体50にて覆蓋されてなる収容部72が、形成されている。即ち、収容部72は、仕切部材本体48における円形凹所56の底部からなる、12個の通孔58が設けられた下側底壁部の平滑な上面と、蓋体50の内周部からなる、9個の通孔68が設けられた上側底壁部の平滑な下面と、円形凹所56の側面とにて囲まれて、形成されているのである。
そして、かかる収容部72においては、互いに対応位置せしめられた仕切部材本体48の4個の扇状の通孔58aと蓋体50の1個の円形の通孔68aとにて、仕切部材48の内周部を貫通する透孔74aが、形成されている。また、互いに対応位置せしめられた仕切部材本体48の8個の通孔58bと蓋体50の8個の通孔68bとにて、仕切部材48の内周部における透孔74aの形成部位の周りの部分を貫通する8個の透孔74bが、周方向において互いに一定の距離を隔てて、形成されている。
これによって、仕切部材本体48の収容部72に対して、9個の透孔74が設けられており、また、それらの各透孔74を通じて、収容部72の内部空間が外部に連通せしめられている。付言すれば、各収容部72の上側底壁部に設けられた9個の通孔68と下側底壁部に設けられた12個の通孔58とにより、各透孔74の上側開口部と下側開口部とが形成されて、それら各通孔68,58からなる上側及び下側開口部を通じて、各収容部72が、上方及び下方に連通せしめられているのである。
そして、図1から明らかなように、上述の如き構成とされた仕切部材42の収容部72内に、可動板76が、収容されて、保持されている。而して、本実施形態においては、この可動板76が、従来には見られない特別な構造を有しており、そこに、極めて大きな特徴が存しているのである。
すなわち、この可動板76は、図1及び図9、図10に示される如く、仕切部材本体48の円形凹所56の内径よりも一周り小さな径と、かかる円形凹所56の深さ寸法よりも十分に小さな厚さとを有し、且つ厚さ方向両側の面が、互いに平行な平滑面とされたゴム製の円形平板からなっている。そして、図11から明らかな如く、かかる可動板76が、収容部72内において、収容部72の下側底壁部、つまり仕切部材本体48の円形凹所54の底部の略全体を覆い、且つ各透孔74の上側開口部と下側開口部とをそれぞれ構成する仕切部材本体48と蓋体50の各通孔58,68の間を遮るように配置されている。
かくして、ここでは、可動板76が、収容部72内に収容された状態下で、その内周部にて、収容部72に設けられた複数の透孔74の全部を覆い、且つそれら各透孔74を遮断する一方、外周部を、収容部72の上側及び下側底壁部の各外周部分に対して上下方向に対応せしめて、配置されている。また、そのような配置状態下において、可動板76が、外周部の下面や上面を、収容部72の上側及び下側底壁部の各外周部分に接触させるまでの範囲内において、収容部72内を上下方向に自由に移動せしめられ得るようになっている。
すなわち、これによって、本実施形態においては、仕切部材42の収容部72における上側底壁部の外周部分が、可動板76の外周部の上面との接触により、可動板76の上方への移動を所定の位置において規制する上側移動規制部78とされている一方、収容部72における下側底壁部の外周部分が、可動板76の外周部の下面との接触により、可動板76の下方への移動を所定の位置において規制する下側移動規制部80とされている。また、可動板76の上下方向への移動により、収容部72の上側及び下側移動規制部78,80に接触する、上下両面が平行な平滑面とされた可動板76の外周部が、接触部位82とされているのである。
そして、図9乃至図11に示されるように、本実施形態においては、特に、可動板76の外周部からなる接触部位82の外周面に対して、側方に開口する凹溝83が、周方向に連続して延びるように形成されている。この凹溝82は、断面V字形状を呈し、上側に位置する上側側面84が、上方に向かって次第に大径となるテーパ面形状とされている一方、下側に位置する下側側面86が、下方に向かって次第に大径となるテーパ面形状とされている。
かくして、ここでは、可動板76の接触部位82の内部に、可動板76の外周面において側方に開口する空隙部85が、凹溝83の内部空間にて形成されている。また、この空隙部85が、接触部位82の両面側となる上側と下側にそれぞれ離間して位置し且つ周方向に連続して延びる二つの側面84,86を有すると共に、それら二つの側面間84,86の距離が、空隙部85の開口方向とは反対側となる可動板76の中心部側に向かって次第に小さくなるように構成されている。
そして、それによって、本実施形態においては、接触部位82が、空隙部85を与える凹溝83のテーパ面形状を上側側面84を含む上側側壁部からなる、薄肉化された上側接触部分88と、その下側側面86を含む下側側壁部からなる、薄肉化された下側接触部分90とにて構成されており、また、それら上側接触部分88と下側接触部分90とが、可動板76の中心部側に向かって次第に肉厚が増大せしめられるようになっているのである。
而して、図1に示されるように、かくの如き構造とされた可動板76が収容、保持された仕切部材42が、第二の取付金具12(流体室40)内において、その同軸上で、軸直角方向に広がり、且つ蓋体50を上側に位置せしめられる一方、仕切部材本体48が下側に位置せしめられた状態で、リング30の円環板部32の上面と本体ゴム弾性体14の下端面との間で、挟圧保持されて、固定されているのである。
そしてまた、そのような仕切部材42の流体室40内への固定状態下において、仕切部材42における収容部72の上側底壁部が受圧室44内に露呈せしめられる一方、仕切部材42の下側底壁部が平衡室46内に露呈せしめられて、それら収容部72の上側及び下側底壁部にそれぞれ複数個ずつ設けられた通孔68,58が、受圧室44内と平衡室46内とに、各々開口せしめられている。
これによって、収容部72に設けられた複数の透孔74が、受圧室44と平衡室46とを連通するように位置せしめられて、それら各透孔74を通じての受圧室44と平衡室46間での流体流動が許容されるようになっている。また、収容部72内に収容された可動板76の上面と下面とが、各透孔74を通じて、受圧室44と平衡室46とに露呈せしめられて、それら上下面に対して、受圧室44と平衡室46の内圧が及ぼされ得るようになっている。
さらに、仕切部材42の流体室40内への固定状態下において、仕切部材42の仕切部材本体48に設けられた周溝52が、蓋体50の切欠部64と対応位置せしめられた端部部位を除く全ての部分において、本体ゴム弾性体14の下端面にて覆蓋されている。これによって、仕切部材42に対して、オリフィス通路92が、蓋体50の切欠部64と仕切部材本体48の窓部54とを通じて、受圧室44と平衡室46とに連通せしめられた状態で形成されており、以て、かかるオリフィス通路92を通じても、受圧室44と平衡室46との間での流体流動が許容されるようになっている。
かくして、かくの如き構造とされた本実施形態のエンジンマウントにあっては、自動車への装着状態下で、第一の取付金具10と第二の取付金具12との間に、それらの接近/離隔方向(図1中、上下方向)の振動が入力されると、受圧室44と平衡室46との間に相対的な圧力差が生ぜしめられることに基づいて、それら両室44,46間において、オリフィス通路92を通じての流体流動や、受圧室44と平衡室46との間での複数の透孔74を通じての流体流動、更には可動板76の弾性変形作用が、各々生ぜしめられるようになっている。
そして、ここでは、オリフィス通路92が、エンジンシェイク等の低周波数域にチューニングされており、それによって、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動が入力された際に、オリフィス通路92を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて有効な防振効果が発揮されるようになっている。
なお、その際、仕切部材42の収容部72内に保持された可動板76が、受圧室44と平衡室46との間の内圧差に基づいて受圧室44側や平衡室46側(上下方向)に移動せしめられて、その接触部位82の上側接触部分88や下側接触部分90において、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に接触せしめられるようになる。これにより、仕切部材42の上側底壁部や下側底壁部にそれぞれ複数個ずつ設けられた通孔68,58の全部が閉塞せしめられて、収容部72における複数の透孔74を通じての受圧室44と平衡室46との間での実質的な流体流動が阻止され、以て、オリフィス通路92を通じての流体流動作用に基づく防振効果が、より有効に発揮され得るようになっている。
また、このとき、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80の可動板76との接触面も平滑面とされて、突起物が何等設けられていない。しかも、可動板76が弾性変形可能なゴム材料にて構成されている。そのため、例えば、仕切部材42における可動板76との接触部位82に突条形態を呈するリブを設けてなる前記従来装置とは異なって、可動板76と、それが接触せしめられる収容部72の上側及び下側移動規制部78,80との間に隙間が形成されて、シール性が損なわれるようなことが、効果的に防止され得るようになっている。
更にまた、本実施形態においては、低周波大振幅振動の入力時に、可動板76が、受圧室44と平衡室46との間の内圧差に基づいて弾性変形せしめられるものの、収容部72の上側及び下側底壁部にそれぞれ設けられたリブ70,60に対する可動板76の接触により、可動板76の弾性変形量が制限される。そのため、低周波大振幅振動の入力に際しての可動板76の弾性変形に起因して、オリフィス通路92を通じての流体流動量が不十分となってしまうことが有利に防止され、これによっても、目的とする防振効果が、より有効に発揮され得るようになっているのである。
そして、本実施形態においては、特に、前述せる如く、低周波大振幅振動の入力に伴う可動板76の移動時に、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に接触せしめられる可動板76の接触部位82における上側接触部分88や下側接触部分90が、凹溝83の存在によって薄肉化されている。
そのため、低周波大振幅振動の入力時において、可動板76が、仕切部材42における収容部72内を上下方向に移動せしめられて、可動板76の接触部位82が、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に接触せしめられた際に、薄肉の上側接触部分88や下側接触部分90において柔らかいばね特性が発揮されて、それら上側接触部分88や下側接触部分90が、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に対してソフトに接触せしめられるようになり、それによって、かかる接触に起因して生ずる衝撃力が、効果的に小さく為され得るようになる。
しかも、本実施形態では、そのような収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80への各可動板76の接触によって生ずる衝撃力の低下効果が、単に、可動板76の外周部からなる接触部位82の外周面に、凹溝83を形成しただけの極めて単純で且つ面倒な設計作業を何等必要としない構造において、可動板76の移動方向に拘わらず、有利に達成され得るようになっている。
一方、仕切部材42の収容部72に複数個設けられた透孔74が、オリフィス通路92のチューニング周波数よりも高周波数域にチューニングされており、それによって、走行こもり音等の高周波小振幅振動が入力された際には、オリフィス通路92の流動抵抗が著しい増大に伴って、オリフィス通路92が実質的に閉塞せしめられる一方で、収容部72内の可動板76が、上下方向において小さな移動量で移動せしめられるようになる。このとき、流体が、各透孔74を通じて可動板76の周囲を流動せしめられ、以て、有効な防振効果が発揮されるようになっているのである。また、収容部72内の可動板76の上下方向への移動が十分に小さいことから、収容部72に設けられたリブ60,70への可動板76の接触はなく、それ故に、異音発生が問題となることはない。
このように、本実施形態においては、低周波大振幅振動の入力時に、可動板76の接触部位82における上側接触部分88や下側接触部分90が、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に接触した際に生ずる衝撃力が、容易に且つ確実に小さくされるようになっており、それによって、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80への可動板76の接触に起因して生ずる起振力も、有利に低減せしめられ得る。
従って、かくの如き本実施形態に係るエンジンマウントにあっては、低周波大振幅振動の入力時において、仕切部材42における収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に対する可動板76の接触により、仕切部材42等が共振して、異音を生ずるようなことが、設計が容易な簡略な構造において、確実に防止され得るのである。
また、かかる本実施形態では、例えば、衝撃的な大振幅振動が入力せしめられた際にも、可動板76が、仕切部材42における収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に対して、大きな衝撃力をもって接触することが可及的に防止され得、それによって、衝撃的な音や振動が発生することも、効果的に解消され得る。
さらに、本実施形態のエンジンマウントにおいては、可動板76に対して、単に、外周面において開口する、形成が容易な凹溝83を設けるだけで、上記の如き異音発生の防止効果を発揮する、可動板76の薄肉化された上側接触部分88と下側接触部分90とが、容易に形成され得る。しかも、可動板76を除く仕切部材42やその他の部品乃至は部材に対して、何等特別な構造を付加するものではない。従って、従来から使用される仕切部材42やその他の部品乃至は部材をそのまま使用して、防振特性を維持したままで、上述の如き異音の発生防止効果が、極めて有利に且つ容易に奏され得るのである。
また、本実施形態においては、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に接触せしめられる可動板76の接触部位82における上側接触部分88や下側接触部分90が、全体として薄肉化されている一方で、それぞれ、可動板76の中心部側に向かって肉厚が増大せしめられるようになっている。それ故、例えば、それら上側及び下側接触部分88,90が各々全体的に一定の厚さにおいて薄肉化されている場合とは異なって、上側接触部分88や下側接触部分90が厚肉部分を有していることにより、低周波大振幅振動の入力時に、それら上側接触部分88や下側接触部分90が、収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80に接触せしめられた状態下で、収容部72内での流体の流動によって捲れあがってしまうようなことが効果的に防止され得る。
そして、その結果、低周波大振幅振動の入力時に、可動板76の接触部位82と収容部72の上側移動規制部78又は下側移動規制部80との間のシール性が、より十分に確保され得て、オリフィス通路92を通じての流体流動作用に基づく防振効果が、より有効に発揮され得ることとなる。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態に関する具体的な記載によって、何等限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態では、第一の流体室が、壁部の一部が本体ゴム弾性体14にて構成されて、振動入力時に内圧変動が惹起される受圧室44により構成される一方、第二の流体室が、壁部の一部がダイヤフラム38にて構成されて、容積変化が容易に許容される平衡室46により構成されていたが、第一の流体室と第二の流体室とを、単に、仕切部材にて仕切られて、透孔を通じて連通せしめられただけの構成において、形成しても良い。そして、その意味からすれば、仕切部材42に設けられたオリフィス通路92を省略しても、何等差し支えないのである。
また、仕切部材42の具体的な構造も、例示のものに、何等限定されるものではなく、防振装置内部に、第一の流体室と第二の流体室とを画成し得ると共に、複数の透孔を有し、且つそれら複数の透孔のそれぞれに対応位置せしめられた複数の可動板が、それらの透孔を遮断し得るように配置された構造を備えておれば、例えば、一つの部品(部材)のみにて構成しても良く、また3個以上の部品(部材)を組み合わせて構成しても良い。
さらに、かかる仕切部材42に設けられる複数の透孔74の個数や形状、配設位置も、前記実施形態に示されるものに、何等限定されるものではない。
更にまた、前記実施形態では、可動板76の接触部位82の内部に、空隙部85が、可動板76の外周面において側方に開口する凹溝83の内部空間にて構成されていたが、かかる空隙部85は、移動規制部78,80に対する少なくとも接触部位82に位置するように、可動板76の内部に設けられておれば、その具体的構造が、特に限定されるものではない。従って、例えば、図12及び図13に示されるように、可動板76の内部において、可動板76の上面や下面に対して平行に連続して延びる空孔94にて、空隙部85を構成しても良い。なお、この図12及び図13については、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図11と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明は省略した。
すなわち、ここでは、可動板76に対して、断面円形の複数の空孔94が、互いに所定の位相差をもって放射状に連続して延びるように形成されて、可動板76の全体にわたって分散するように位置せしめられている。また、それら各空孔94は、可動板76の外周面において側方に開口せしめられている。そして、このような各空孔94の内部空間にて、空隙部85が構成されているのである。
このような構造によっても、可動板76の外周部からなる接触部位82のうち、空孔94の形成部分が薄肉化され得る。それによって、例えば、低周波大振幅振動の入力時に、かかる接触部位82が収容部72の上側移動規制部78や下側移動規制部80と接触せしめられた際に生ずる衝撃力が有利に小さく為され得る。そして、その結果として、低周波大振幅振動の入力時における異音の発生が、効果的に防止され得ることとなる。
また、ここでは、空隙部85を与える複数の空孔94が、可動板76の全体にわたって分散するように位置せしめられているところから、可動板76全体において柔らかなばね特性が発揮され得るようになる。これによって、例えば、急激な大荷重振動が入力せしめられた際に、より大きく弾性変形せしめられ、以て、そのような大きな弾性変形作用に基づいて、かかる大荷重振動に対する防振効果が有効に発揮され得るといった利点が得られる。
なお、このように、空孔94にて空隙部85を構成する場合においては、かかる空孔94の形状や配設個数、配設形態等は、何等限定されるものではない。例えば、空孔94を円形以外の断面形状において構成しても良い。また、複数の空孔94を、径方向の一方向のみに沿って互いに平行に延びるように配設したり、互いに交差して延びる格子状形態をもって配設したり、或いは周方向に延びるように配設したり、更にはそれらの配設形態を組み合わせ配設したり、不規則に延びるように配設したりしても良い。
さらに、空孔94の可動板76に対する配設位置も、可動板76における接触部位82の配設位置に応じて適宜に変更されるものであることは、勿論である。また、空孔94は、必ずしも、可動板76の外周面において開口せしめられている必要はない。更にまた、空孔94が、非連続に延びる形態、つまり、径方向や周方向に対して断続的に延びるような形態とされていても良い。
また、前記実施形態に示されるように、凹溝83の内側空間にて空隙部85を形成する場合にあっても、凹溝83の断面形状は、V字形状以外の形状であっても、何等差し支えない。更に、かかる凹溝83が、可動板76に対して、非連続に延びる形態、つまり、周方向に対して断続的に延びるような形態をもって形成されていても良い。
そして、上述の如き空孔94と凹溝83の両方が、1個の可動板76に設けられて、それら空孔94の内部空間や凹溝83の内側空間の両方にて、空隙部85を構成することも、勿論可能である。
さらに、可動板76は、形状や大きさ、配設個数が、例示のものに、決して限定されるものではなく、例えば透孔74や収容部72の形状や大きさ、配設個数等によって、適宜に決定されるものであることは、言うまでもないところである。
また、かかる可動板76の形成材料も、ゴム以外の弾性材料、或いは弾性材料以外の材料も、適宜に用いられ得る。
さらに、移動規制部の構造も、例示のものに何等限定されるものではなく、例えば、収容部72の上側底壁部や下側底壁部、或いは収容部72の側面を与える円形凹所56の側面等に、突起等を設けて、移動規制部を構成することも出来る。
加えて、本発明を自動車のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用ボデーマウントや自動車以外の各種装置に用いられる流体封入式防振装置に対して、何れも、有利に適用され得ることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
本発明に従う構造を有する流体封入式防振装置の一実施形態を示す縦断面説明図であって、図2におけるI−I断面に相当する図である。 図1に示された流体封入式防振装置の上面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置に装着される仕切部材を構成する仕切部材本体の一例を示す縦断面説明図であって、図4におけるIII−III断面に相当する図である。 図3に示された仕切部材本体の上面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置に装着される仕切部材を構成する蓋体の一例を示す縦断面説明図であって、図6におけるV−V断面に相当する図である。 図5に示された蓋体の上面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置に装着される仕切部材の一例を示す縦断面説明図であって、図8におけるVII−VII断面に相当する図である。 図7に示された仕切部材の上面説明図である。 図7に示された仕切部材に収容、保持される可動板の一例を示す縦断面説明図であって、図10におけるIX−IX断面に相当する図である。 図9に示された可動板の上面説明図である。 図9に示された可動板を図7に示された仕切部材に収容、保持させた状態を示す部分拡大断面説明図である。 図1に示された流体封入式防振装置に装着される可動板の別の例を示す図9に対応する図である。 図12における上面説明図である。
符号の説明
10 第一の取付金具 12 第二の取付金具
14 本体ゴム弾性体 38 ダイヤフラム
40 流体室 42 仕切部材
44 受圧室 46 平衡室
48 仕切部材本体 50 蓋体
58,68 通孔 72 収容部
74 透孔 76 可動板
78 上側移動規制部 80 下側移動規制部
82 接触部位 83 凹溝
85 空隙部 88 上側接触部分
90 下側接触部分 92 オリフィス通路
94 空孔

Claims (7)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材とを本体ゴム弾性体で連結すると共に、該本体ゴム弾性体を壁部の一部として、非圧縮性流体が封入された第一の流体室を形成し、更に仕切部材を間にして、該第一の流体室とは反対側に、非圧縮性流体が封入された第二の流体室を形成する一方、該仕切部材に対して、それら第一及び第二の流体室を相互に連通可能な透孔を設け、更に該透孔の全体を覆うようにして該透孔を遮断し得る可動板を、前記第一の流体室と前記第二の流体室との間において移動可能に配置すると共に、かかる可動板の両側に、該可動板に接触して、前記可動板の移動を規制する移動規制部を設けてなる流体封入式防振装置において、
    前記移動規制部に対する少なくとも接触部位に位置するように、前記可動板の内部に、空隙部を設けたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記仕切部材に対して、前記第一の流体室と前記第二の流体室とを連通するオリフィス通路が設けられている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記可動板が、弾性変形可能な材料にて構成されている請求項1又は請求項2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記移動規制部が、前記可動板の外周部の両側に位置せしめられて、該可動板の前記接触部位が、該可動板の外周部にて構成される一方、前記空隙部が、該接触部位の内部に、周方向に連続的に又は非連続的に延び且つ該可動板の外周面において側方に向かって開口して、形成されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記可動板の外周部からなる前記接触部位の両面が、互いに平行に位置して周方向に延びる平面にて構成される一方、該接触部位の内部に設けられた前記空隙部が、該接触部位の両面の側にそれぞれ離間して位置し且つ周方向に連続して延びる二つの側面を有してなると共に、それら二つの側面間の距離が、該空隙部の開口方向とは反対側の方向に向かって次第に小さくなるように構成されている請求項4に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記空隙部が、前記可動板内部において、該可動板の板面に平行な方向に連続して又は非連続で延びる空孔にて、構成されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記空隙部を構成する前記空孔が、前記可動板の外周面において開口せしめられている請求項6に記載の流体封入式防振装置。
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