JP2010038175A - 可撓性ダクト - Google Patents

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哲哉 稲掛
Kazuma Nishitani
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Abstract

【課題】 耐熱性に優れる無機繊維からなる可撓性条帯を用いた可撓性ダクトにおいて、そのダクト壁の強度を向上させて、耐熱性と強度に優れる可撓性ダクトを提供する。
【解決手段】 所定幅に形成された可撓性条帯1をらせん状に捲回し、互いに隣接する前記可撓性条帯1の側縁部を折り曲げて、金属条帯2によりかしめ連結してなる可撓ダクトであって、前記可撓性条帯1は主として無機繊維からなる織布製の条帯であって、織布を構成する経糸が可撓性条帯の長手方向に沿って配置されて、経糸は比較的太い無機繊維を主として紡糸した糸からなるとともに、織布を構成する緯糸が可撓性条帯の幅方向に沿って配置されて、緯糸は比較的細い無機繊維を主として紡糸した糸からなるようにして可撓性ダクトを構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は可撓性を有するダクトに関する。特に送風などの用途に使用されるとともに耐熱性を向上させた可撓性ダクトに関する。
そのような可撓性ダクトとしては、特許文献1に示すようなものがある。この文献には、可撓性を有するクロス素材の条帯をらせん状に捲回し、隣接する側縁同士を金属条帯でかしめることにより連結した、円筒状の可撓性ダクトが開示されている。
特開2004−270752号公報
これら可撓性ダクトにおいては、ガラスクロスやシリカクロスなどのダクト壁を構成するクロス素材からなる可撓性条帯の側端部を、S字状あるいはU字状に折り返し、その折り返し部分を、金属条帯の折り返し部によって挟み込んでかしめ、側縁同士を連結していた(図4)。
これら可撓性ダクトの耐熱性を向上させるためには、これら可撓性条帯として例えばガラスクロスやシリカクロスなどといった無機繊維から成る素材を所定幅に裁断した条帯を使用する必要がある。
一方、こうした耐熱性の無機繊維は柔軟性に欠け、折れやすいという性質を有するため、そのような繊維から成る条帯によって可撓性ダクトを製造すると、図4に示す可撓性条帯1の側端部1q、1qが小さな曲げ半径で折り曲げられるとともに、可撓性ダクトに作用する引張り力が側端部1q、1qに集中してかかるために、当該部位で条帯を構成する繊維が折れて破断し、その結果、条帯が裂け可撓性ダクトのダクト壁が破れてしまう虞があった。
また、可撓性ダクトに曲げ変位が繰り返し与えられる場合にも、条帯の側端部1q、1qに曲げ変位が繰り返し与えられて、可撓性ダクトのダクト壁が破れてしまう虞があった。
したがって、本発明は、耐熱性に優れる無機繊維からなる可撓性条帯を用いた可撓性ダクトにおいて、そのダクト壁の強度を向上させて、耐熱性と強度に優れる可撓性ダクトを提供することを目的とする。
発明者は、鋭意検討の結果、経糸と緯糸とで無機繊維の太さに関して異方性が生ずるように無機繊維織布を構成し、比較的細い無機繊維が可撓性条帯の幅方向に沿って配置されるようにすると、可撓性条帯の折り曲げ部分の強度が向上して、耐熱性と強度に優れる可撓性ダクトが得られることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、所定幅に形成された可撓性条帯をらせん状に捲回し、互いに隣接する前記可撓性条帯の側縁部を折り曲げて、金属条帯によりかしめ連結してなる可撓ダクトであって、前記可撓性条帯は主として無機繊維からなる織布製の条帯であって、織布を構成する経糸が可撓性条帯の長手方向に沿って配置されて、経糸は比較的太い無機繊維を主として紡糸した糸からなるとともに、織布を構成する緯糸が可撓性条帯の幅方向に沿って配置されて、緯糸は比較的細い無機繊維を主として紡糸した糸からなることを特徴とする可撓性ダクトである(請求項1)。
上記可撓性ダクトにおいて、樹脂あるいは金属箔により可撓性条帯の少なくとも一方の面を被覆することが好ましく(請求項2)、特に可撓性条帯が金属条帯に面する側の面を被覆することが好ましい(請求項3)。
本発明によれば、耐熱性に優れる無機繊維を異方性を持たせて織布化して、可撓性条帯に特定の方向に使用したので、得られる可撓ダクトが耐熱性に優れるとともに、可撓性条帯の折り曲げ部分で無機繊維が折損して可撓性条帯が破れてしまうことが抑制され、強度に優れた可撓性ダクトを経済的に得ることができる。
また、請求項2の発明によれば、可撓性条帯の強度や耐久性をより効果的に高めながら、可撓性ダクトの気密性を高めることができる。さらに、請求項3の発明によれば、可撓性条帯の折り曲げ部分で無機繊維が折損して可撓性条帯が破れてしまうことをより効果的に抑制できる。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の可撓性ダクトの第1の実施形態を示す部分断面図である。本発明の可撓性ダクトは、無機繊維を主として構成され可撓性を有する織布素材からなる所定幅の可撓性条帯1をらせん状に捲回し、互いに隣接する可撓性条帯の側縁部を金属条帯2によりらせん状に連続してかしめ連結することによって円筒状の可撓性ダクトを形成したものである。
可撓性条帯1の素材としては、ガラス繊維を織布状にしたガラスクロスの両面にシリコーン樹脂を被覆した、シリコーン被覆ガラスクロス(以下、シリコーン引きガラスクロスとも記載する)が使用できる。
金属条帯2の素材は、めっきを施した鉄板や、ステンレススチールやアルミニウムの薄板が使用できる。
本発明に使用される可撓性条帯1は、更に次の特徴を備えるものである。即ち、可撓性条帯1は、主として無機繊維(本実施形態ではガラス繊維)により構成される経糸と緯糸によって織布化された織布素材で構成され、かつ、可撓性条帯1の長手方向に沿って経糸が、可撓性条帯1の幅方向に沿って緯糸が配向されている。さらに、経糸は、比較的太い無機繊維を主として紡糸した糸により、緯糸は、比較的細い無機繊維を主として紡糸した糸により構成されている。
従って、形成された可撓性ダクトにおいては、比較的太い無機繊維が可撓性条帯1に沿って螺旋状に配置され、比較的細い無機繊維がダクト軸方向に沿って金属条帯の間にまたがるように配置されている。
本発明に使用可能な両面をシリコーン引きガラスクロスの例としては、繊維径6μm程度のガラス繊維を1500本程度束ねて経糸とし、繊維径3μm程度のガラス繊維を3000本程度束ねて緯糸として、両者を平織りにしてガラスクロスとしたうえで、シリコーン樹脂を該ガラスクロスの両面にコーティングしたものが例示できる。
図2には、本発明の第1実施形態のかしめ連結部の断面図を示す。可撓性条帯1の先行捲回部分1aの側端部1cは略S字状に折りたたまれて、金属条帯2がダクト外側に向けて折り曲げられてなる側端部2aによってかしめられている。さらに、先行捲回部分1aに引き続いて捲回される可撓性条帯1の後続部分1bの側端部1eにおいて、可撓性条帯の側縁1fがダクト外周面に現れるように側端部1eが略S字上に折りたたまれて、金属条帯2がダクト外側に向けて折り曲げられてなる側端部2bによって側端部1eがかしめられている。その際、先行捲回部分の側端部1cが後続捲回部分の側端部1eよりもダクト内側となるように重ねられて、後続捲回部分の側端部1eと先行捲回部分の側端部1cの末端部分が金属条帯2の側端部2bによってかしめられている。
本実施形態の可撓性ダクトの製造にあたっては、まず、細い繊維が配向されている方向が可撓性条帯1の幅方向と略一致するように、所定幅の帯状に裁断したシリコーン引ガラスクロス条帯を準備する。得られた条帯を、公知の可撓性ダクト製造方法により可撓性ダクトに成形する。すなわち、前記条帯をらせん状に捲回するとともに、金属条帯2を供給し、前記可撓性条帯の一方の側縁部(1c)を先行して金属条帯2によりかしめ、引き続き他方の側縁部(1e)をかしめることにより、隣接する側端部同士をらせん状にかしめ連結し、円筒状の可撓性ダクトを形成する。
本発明の作用効果を説明する。本発明では、ダクトを構成する可撓性条帯1に繊維構成に異方性を有する織布素材を使用し、比較的太い無機繊維が螺旋状に配向されるとともに、比較的細い無機繊維がダクト軸とほぼ平行に(即ち隣接する金属条帯の間にわたって)配向されるようにしたので、以下のような効果を生ずる。金属条帯2,2の間にわたる方向に配向される比較的細い無機繊維は、可撓性条帯1の折り曲げ部1g、1hにおいて、曲げに追従してしなやかに曲げ変形して折れにくい。したがって、折り曲げ部1g、1hで無機繊維が折れて可撓性条帯1が破れることが抑制され、可撓性ダクトの強度を向上させることができる。
また、比較的太い無機繊維が可撓性条帯1の長さ方向に沿って、可撓性ダクトに螺旋状に配向されているが、織布の経糸として比較的太い無機繊維を使用することにより、織布からなる可撓性条帯ひいては可撓性ダクトの製造コストを低く抑えることができ、経済的である。
従って、本発明によれば可撓性条帯1として繊維構成に異方性を有する織布素材を所定の繊維配向で使用することにより、ダクト壁の強度を高めた可撓性ダクトを経済的に得ることができる。この効果は、耐熱性にはすぐれるものの比較的脆い性質を有する無機繊維を主体とする可撓性条帯を使用するダクトにおいて顕著である。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような種々の改変を加えて実施することができる。
図3には、本発明の第2の実施形態を示す。金属条帯2によるかしめ部分で可撓性条帯1を折り返す形状については、特に制限されるものではなく、例えば図3や図4に示したような、種々の折り曲げ形状を採用することができる。本発明によれば、可撓性条帯1を長さ方向に沿って折り曲げても、折り曲げ部から可撓性条帯1が破れることが抑制されるので、これらの折り曲げ形態以外にも多様な折り曲げ形態を採用することが可能である。
可撓性条帯1を構成する織布素材に使用される無機繊維としては、耐熱性に優れるガラス繊維やシリカ繊維やアルミナ繊維、カーボン繊維、セラミック繊維が使用できる。これら繊維は、単独であるいは他の繊維と組み合わせて混紡されて紡糸となり織布素材に織布されるが、耐熱性や耐火性を高めるためには、これら無機繊維を主として織布素材が構成されることが好ましい。
ここに、上記セラミック繊維の例としては、セラミックファイバーを主原料に少量の有機繊維を加えて紡績、補強用芯材にガラス繊維またはステンレス線を用いた紡織繊維を例示でき、シリカ繊維の例としては、シリカ(SiO2)を95%以上含有する高純度のシリカ繊維が例示できる。シリカ繊維は特に耐熱性に優れる。アルミナ繊維の例としては、アルミナ(Al2O3)を70%、シリカ(SiO2)を30%から成る耐熱繊維が例示できる。カーボン繊維としては特殊アクリル繊維を炭化した繊維が例示できる。なお、カーボン繊維は有機繊維に分類されることもあるが、本明細書においては、耐熱性・耐火性に優れる無機繊維の一種として、無機繊維にカーボン繊維を含めるものとする。
本発明に使用する無機繊維織布素材は、上記無機繊維を主として構成されるものであるが、合成樹脂繊維や天然繊維、金属繊維などの他の繊維、およびそれらからなる糸を必要に応じて含むものであってもよい。
本発明に使用する無機繊維織布素材は、好ましくは樹脂や金属箔で被覆(ラミネート)して可撓性条帯に使用する。被覆加工されることにより、脆い無機繊維からなる織布が強化されるとともに、耐候性も向上される。また、被覆により織布の織り目部分の目止めもできて空気を搬送するダクトの気密性が向上する。
上記実施形態においては、ガラスクロスの両面にシリコーン引き(被覆)を行った可撓性条帯を使用したが、樹脂による被覆は両面に限らず、片面のみ、あるいは被覆なしとしても良い。また、被覆材として樹脂材料ではなく、アルミニウムなどの金属箔を被覆(積層)したものを使用しても良い。被覆に使用する樹脂材料としては、好ましくは、難燃材を配合したシリコーン樹脂やフッ素樹脂などの合成樹脂が使用できるほか、クロロプレンゴムなどの合成ゴム、あるいは、熱可塑性エラストマーなども使用できる。即ち、無機繊維織布を被覆する樹脂は、合成樹脂に限定されず、ゴムや熱可塑性エラストマーを含む概念である。
また、可撓性条帯として使用する織布素材が、樹脂や金属箔などにより被覆された織布素材である場合には、被覆された側がダクトの内側を向いて金属条帯2に面するようにすることが好ましい。両面が被覆されている場合には、被覆層がより厚い側がダクトの内側を向いて金属条帯2に面するようにすることが好ましい。このようにすることによって、折り曲げ部1g、1h部分での無機繊維織布の曲げ半径が大きくでき、無機繊維の折損を抑制しダクト強度を高めるのにより好適である。
以上説明したように、本発明によれば、耐熱性に優れる無機繊維から成る可撓性条帯を用いた可撓性ダクトにおいて、そのダクト壁の強度を向上させて、耐熱性と強度に優れる可撓性ダクトを経済的に提供することができる。本発明の可撓性ダクトは、排煙ダクトなどの耐熱性が要求される送風ダクトなどに好適に使用される。
本発明の可撓性ダクトの部分断面図 本発明の第1実施形態のかしめ連結部の断面図 本発明の第2実施形態のかしめ連結部の断面図 可撓性ダクトにおける可撓性条帯の折れ曲がりを説明する図
符号の説明
1 可撓性条帯
2 金属条帯

Claims (3)

  1. 所定幅に形成された可撓性条帯をらせん状に捲回し、互いに隣接する前記可撓性条帯の側縁部を折り曲げて、金属条帯によりかしめ連結してなる可撓性ダクトであって、
    前記可撓性条帯は主として無機繊維からなる織布製の条帯であって、
    織布を構成する経糸が可撓性条帯の長手方向に沿って配置されて、経糸は比較的太い無機繊維を主として紡糸した糸からなるとともに、
    織布を構成する緯糸が可撓性条帯の幅方向に沿って配置されて、緯糸は比較的細い無機繊維を主として紡糸した糸からなることを特徴とする可撓性ダクト。
  2. 樹脂あるいは金属箔により可撓性条帯の少なくとも一方の面を被覆したことを特徴とする請求項1に記載の可撓性ダクト。
  3. 可撓性条帯が金属条帯に面する側の面を被覆されてなることを特徴とする請求項2に記載の可撓性ダクト。
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