JP7422628B2 - 可撓性ホース - Google Patents

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Description

本発明は、所定の幅の可撓性条帯をらせん状に捲回し、互いに隣接する可撓性条帯の端縁部同士を、金属製の条帯によりかしめ接合した可撓性ホースに関する。
所定の幅の可撓性条帯をらせん状に捲回し、互いに隣接する可撓性条帯の端縁部同士を、金属製の条帯によりかしめ接合した可撓性ホースは、送風ダクト等の用途に使用されている。かかる可撓性ホースは軽量で、可撓性に優れ、ホースがつぶれにくい。
例えば、特許文献1には、所定の繊維構成を有する無機繊維織布製の条帯をらせん状に巻いて、金属製条帯によりかしめて接合した可撓性ダクトの技術が開示されており、当該可撓性ダクトによれば、耐熱性の可撓性ダクトの強度が向上できることが開示されている。
特開2010-38175号公報
特許文献1にあるような構造の可撓性ホースでは、金属製の条帯の部分がホースの補強体として機能し、織布製の条帯の部分が可撓性のホース壁として機能する。このような可撓性ホースにおいても、ホースの気密性などが求められることがある。しかしながら、特許文献1のような金属製条帯によりかしめ接合したホースでは、かしめ接合した部分の気密性が不十分になりやすい。
特に、高い耐熱性や、不燃性、耐火性を求められる用途の可撓性ホースでは、シール材料にも高い耐熱性や耐火性が要求される。このような分野では、例えばガラス繊維などの無機繊維の束をシール材として使用することが検討されうる。
しかしながら、こうした無機繊維の束を含むシール材料は難燃性などでは有利であるものの、シール材料としての弾力性に乏しく、特許文献1の可撓性ホースのようなかしめ接合した構造に用いても、十分な気密性が確保できなかった。
本発明の目的は、かしめ接続構造を有する可撓性ホースにおいて、耐熱性を高めつつ、シール性を向上させることにある。
発明者は、鋭意検討の結果、金属製条帯がかしめられる部分に単にシール材料を挟持させるだけでは、かしめられた金属製条帯がスプリングバックすることにより、シール材の挟持が不十分になりやすいことを発見した。そして、このスプリングバック現象と、シール材料の弾力性の欠如とが相まって、無機繊維の束を含むシール材料を、特許文献1の可撓性ホースのようなかしめ接合した構造に用いても、十分な気密性が確保できなくなってしまっていることを見出した。
発明者は、更に検討を行い、かしめ接合した構造のホースであっても、金属製条帯の折返し部が円弧状断面に折り曲げられた部分にシール部材を接触させる一方で、金属製条帯の折返し部の末端部分とは離間するようにシール部材を配置すると、上記課題が解決できることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、所定の幅の可撓性条帯を所定の折返し形状としつつらせん状に捲回し、互いに隣接する可撓性条帯の端縁部分同士を、金属製の条帯によりかしめ接合した可撓性ホースであって、可撓性条帯端縁部分と金属製条帯がかしめ接合される部位の少なくとも1つでは、可撓性条帯と金属製条帯の間がひも状のシール部材によりシールされており、当該部位において、前記可撓性条帯には、ホース内側かつ可撓性条帯中央部に向かって折り返された可撓性条帯第1折返し部が設けられており、前記金属製条帯には、ホース外側かつ金属製条帯中央部に向かって円弧状断面となるように折り返された金属製条帯第1折返し部が設けられており、可撓性条帯第1折返し部の内側に金属製条帯第1折返し部の末端が位置する状態で、金属製条帯第1折返し部がかしめられて、金属製条帯第1折返し部の末端と金属製条帯中央部との間に可撓性条帯が挟持されており、前記シール部材は、無機繊維の束を含むシール部材であり、前記シール部材は、金属製条帯第1折返し部に対し、前記円弧状断面の部分に接触する一方で、金属製条帯第1折返し部の末端とは離間するよう、金属製条帯第1折返し部の内側に配置されており、前記シール部材は、可撓性条帯と、ホース内周側となるべき面で接触している、可撓性ホースである(第1発明)。
第1発明において、好ましくは、可撓性条帯には、可撓性条帯第1折返し部よりもさらに端縁に近い側に、ホース内側かつ可撓性条帯中央部から端縁に向かう方向に折り返された可撓性条帯第2折返し部が設けられ、可撓性条帯第2折返し部で前記シール部材が、可撓性条帯と接触しており、前記シール部材が、金属製条帯第1折返し部と可撓性条帯第2折返し部との間に、ホース長手方向に挟持されている(第2発明)。また、第2発明において、好ましくは、可撓性条帯が金属箔もしくは金属製の薄板を含む(第3発明)。
本発明の可撓性ホース(第1発明)によれば、金属製条帯の折返し部が多少スプリングバックしても、無機繊維の束を含むシール部材の挟持状態が適切に維持されるので、耐熱性を高めつつ、シール性を向上させることができる。
さらに、第2発明のようにした場合には、シール性の向上がより確実なものとなる。また、さらに、第3発明のようにした場合には、可撓性ホースの耐熱性がより高められ、シール性もより確実なものとなる。
第1実施形態の可撓性ホースの構造を示す一部断面図である。 第1実施形態の可撓性ホースのかしめ部分の構造を示す断面図である。 第2実施形態の可撓性ホースのかしめ部分の構造を示す断面図である。
以下図面を参照しながら、耐熱性の送気ダクトとして使用されうる可撓性ホースを例として、発明の実施形態について説明する。発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。
図1は、第1実施形態の可撓性ホース1の構造を示す一部断面図である。可撓性ホース1は、所定の幅の可撓性条帯2を所定の折返し形状としつつらせん状に捲回し、互いに隣接する可撓性条帯の端縁部分同士を、金属製の条帯3によりかしめ接合した、円筒状の可撓性ホースである。図2に可撓性ホースのかしめ部分の構造を断面図で示す。なお、図1や図2では、各条帯の折返し構造を見やすくするために条帯を適宜離間させて表記している部分もある。
可撓性条帯2や金属製条帯3は、それぞれの両端縁部が所定の形状に折り返されて、可撓性条帯2の折返し部分と金属製条帯3の折返し部分とが互いにかみ合うように、可撓性条帯2と金属製条帯3がらせん状に捲回され、金属製条帯3の折返し部がかしめられて、可撓性条帯2と金属製条帯3とが接合された円筒状の可撓性ホース1となっている。
可撓性ホース1では、可撓性条帯2の部分が可撓性を有するホース壁として機能し、金属製条帯3の部分がホースの円筒状形状を維持するらせん状の補強体として機能する。また、かしめにより可撓性条帯2と金属製条帯3とが接合される部分には、ひも状のシール部材5,5が配置されて、シールされている。
ひも状のシール部材5によるシールは、可撓性条帯端縁部分と金属製条帯3がかしめ接合される部位の少なくとも1つでなされていればよい。すなわち、金属製条帯の2つのかしめ部のうち、ホースの一端側に位置するかしめ部、もしくは、ホースの他端側に位置するかしめ部がシール部材5によりシールされ、他の側では接着剤や粘着剤などによってかしめ部のシールがされていてもよい。耐熱性に優れるシール構造とするためには、本実施形態のように、金属製条帯3の2つのかしめ部が両方とも、シール部材5によってシールされることが好ましい。
可撓性条帯を構成する材料は特に限定されないが、所望の耐熱性を備える樹脂製シートや、金属箔もしくは金属薄板、織布、不織布などを含む条帯であってもよい。可撓性条帯は、織布を樹脂によりコーティングした複合素材により構成されていてもよい。織布を構成する繊維は特に限定されないが、木綿や麻などの天然繊維や、ポリエステルやポリアミド等の合成樹脂繊維、ガラス繊維や炭素繊維、シリカ繊維などの無機繊維などを用いた織布が利用できる。織布をコーティングする樹脂は特に限定されないが、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂や、熱可塑性エラストマーであってもよく、合成ゴム等の熱硬化性樹脂であってもよい。
また、可撓性条帯は、金属箔もしくは金属製の薄板を含む条帯であることが好ましい。金属箔もしくは金属製の薄板を含む条帯は、例えばステンレス箔(SUS箔)によって構成されていてもよく、アルミニウム箔(AL箔)をポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)によりコーティングした複合材料によって構成されていてもよい。このような金属箔もしくは金属製の薄板を含む条帯はホースの耐熱性を高め、シールの確実さの向上にも貢献しうる。
ホースの耐熱性や耐火性を高める観点から、可撓性条帯2を構成する織布が、無機繊維を主体に構成され、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂によりコーティングされていることが好ましい。無機繊維としては、ガラス繊維やシリカ繊維、アルミナ繊維、カーボン繊維、セラミック繊維などが例示されるが、これらに限定されない。織布は無機繊維以外の繊維、例えば、合成樹脂繊維などを含んでいてもよい。シリコーン樹脂はシリコーンゴムであることが好ましく、フッ素樹脂は熱可塑性フッ素樹脂やフッ素ゴムであることが好ましい。本実施形態においては、ガラス繊維を主体とする織布が熱可塑性のフッ素樹脂によりコーティングされた複合素材が、所定の幅に裁断された条帯を、可撓性条帯2として使用している。
金属製条帯3は、メッキされた鉄、ステンレス、アルミニウム、真鍮等の金属材料製の薄板により構成されている。金属製条帯3は、ホースとなった際につぶれにくさを発揮する補強体として機能するため、また、条帯をかしめることによって、可撓性条帯2と金属製条帯3とを強固に接合するため、所定の厚さで設けられる。金属製条帯の厚みは、典型的には0.1mm~1.5mmである。
以下、可撓性条帯2や金属製条帯3の折返し形状やかしめ接合構造、およびシール構造の詳細を説明する。図2では、図の上側がホース外側に対応し、図の下側がホース内側に対応している。また、説明の便宜上、図中Aで示した方向をホースの一端側、図中Bで示した方向をホースの他端側と呼ぶ。
可撓性ホース1では、金属製条帯3は、ホースの一端側に位置する端縁部(図中A側の条帯端縁部)と、ホースの他端側に位置する端縁部(図中B側の条帯端縁部)が折り返されている。図中B側の条端縁部の側の折返し部を金属製条帯第1折返し部31と呼び、図中A側の条端縁部の側の折返し部を金属製条帯第2折返し部32と呼ぶ。
金属製条帯第1折返し部31は、ホース外側かつ、金属製条帯中央部33に向かって折り返されている。第1折返し部31は、図示したような円弧状断面の部分31cを有するように折り返されている。円弧の半径は一定であってもよいが変化していてもよい。なお、条帯の端縁部が、ホース外側かつ、条帯中央部に向かって折り返される、とは、条帯の端縁部がホース外側に向かうように折り曲げられ、さらに条帯端縁部が条帯中央部に向かうよう、Uの字状に折り返されることを意味する。以下の記載における折返し部も同様に表記する。
また、金属製条帯第2折返し部32は、ホース外側かつ、金属製条帯中央部33に向かって円弧状断面の部分31cを有するように折り返されている。すなわち、金属製条帯2は、ホース外側に開いた、つぶれたC字型の断面形状となるように折り曲げられている。
可撓性条帯2において、条帯単体で見た際にホースの一端側(図中A側)に位置する可撓性条帯2の端縁部分(即ち、金属製条帯第1折返し部31と組み合わされる部分)を可撓性条帯第1端縁部2Aと呼ぶ。可撓性条帯第1端縁部2Aには、ホース内側かつ、可撓性条帯2の中央部29に向かって折り返された可撓性条帯第1折返し部21が設けられている。
可撓性条帯第1折返し部21の内側に金属製条帯第2折返し部31の末端31aが位置する状態で、金属製条帯第2折返し部31がかしめられて、金属製条帯第1折返し部31の末端31aと、金属製条帯中央部33との間に、可撓性条帯が挟持されて、可撓性条帯2の第1端縁部2Aと金属製条帯3とが接合されている。
必須ではないが、可撓性条帯の第1端縁部2Aには、可撓性条帯第1折返し部21よりもさらに端縁に近い側に、ホース内側かつ、ホースの一端側(図中A側)に向かって折り返された可撓性条帯第2折返し部22が設けられていてもよい。すなわち、可撓性条帯の第1端縁部2Aは逆S字状に折り曲げられていてもよい。第2折返し部22が設けられると、可撓性条帯2の第1端縁部2Aと金属製条帯3との接合強度が向上する。また、後述するように、第2折返し部22はシール性の向上にも寄与しうる。
前記可撓性条帯2において、条帯単体で見た際にホースの他端側(図中B側)に位置する可撓性条帯2の端縁部分(即ち、金属製条帯第2折返し部32と組み合わされる部分)を可撓性条帯第2端縁部2Bと呼ぶ。可撓性条帯第2端縁部2Bには、ホース内側かつ、可撓性条帯2の中央部29に向かって折り返された可撓性条帯第3折返し部23が設けられている。
さらに、可撓性条帯2の第2端縁部2Bには、可撓性条帯第3折返し部23よりもさらに端縁に近い側に、ホース内側かつ、ホースの他端側(図中B側)に向かって折り返された可撓性条帯第4折返し部24が設けられている。すなわち、可撓性条帯2の第2端縁部2BはS字状に折り曲げられている。
可撓性条帯第3折返し部23の内側に金属製条帯第2折返し部32の末端32aが位置し、かつ、金属製条帯第2折返し部32の内側に可撓性条帯第4折返し部24が位置する状態で、金属製条帯第2折返し部32がかしめられて、金属製条帯第2折返し部32の末端32aと、金属製条帯中央部33との間に可撓性条帯が挟持されて、可撓性条帯2の第2端縁部2Bと金属製条帯3とが接合されている。
必須ではないが、可撓性ホース1において、可撓性条帯の第1端縁部2Aの第2折返し部22の内側や、可撓性条帯の第2端縁部2Bの第4折返し部24の内側に、線材4が配置されていてもよい。線材4としては、特に限定されないが、金属線や樹脂線、ひもなどが例示される。線材4が配置されると、可撓性条帯の第1端縁部2Aや第2端縁部2Bと金属製条帯3との接合強度が向上する。
前記シール部材5は、無機繊維の束を含むシール部材である。無機繊維としては、ガラス繊維やカーボン繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、金属繊維(ステンレス(SUS)繊維、鉄繊維、銅繊維など)などの無機材料により構成された繊維が例示される。無機繊維は耐熱性に優れる。無機繊維は連続した長い繊維であることが、シール性の観点から好ましい。複数本の無機繊維が平行に引きそろえられた束となって、シール部材5が構成されることが好ましい。無機繊維の束を束ね、まとまりよくなるように、オイルや樹脂が束に含侵もしくはコーティングされていてもよい。本実施形態では、ガラス繊維の束(束の直径が1mmないし1.5mm)をシール部材5として用いた。
また、前記シール部材5は、無機繊維の束を樹脂で被覆したものであってもよい。被覆する樹脂としては、シリコーン樹脂やシリコーンゴム、ウレタン樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー(例えばポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等)などが例示される。耐熱性を高める観点からは、被覆する樹脂がシリコーンゴムやシリコーン樹脂、フッ素樹脂やフッ素ゴムであることが好ましい。また、シールの確実性を高める観点からは、被覆する樹脂の硬度が、デュロA硬度で、40度~70度であることが好ましく、50度~60度であることが特に好ましい。シール部材5が、ガラス繊維の束をデュロA硬度で50度~60度のシリコーンゴムで被覆したものであることが特に好ましい。
可撓性条帯の第1端縁部2Aにおけるシール材の配置を説明する。シール部材5は、金属製条帯第1折返し部31に対し、円弧状断面の部分31cに接触する一方で、金属製条帯第1折返し部31の末端31aとはホース長手方向に離間するよう、金属製条帯第1折返し部31の内側に配置されている。
また、シール部材5は、可撓性条帯2と、ホース内周側となるべき面2pで接触している。ここで、ホース内周側となるべき面2pとは、可撓性条帯2を平らな状態に展開した際に、ホース内周側になる面のことである。
このようにシール部材5が配置されることにより、可撓性条帯の第1端縁部2Aの側において、金属製条帯第1折返し部31の円弧状断面の部分31cと、ホース内周側となるべき面2pとの間が、シール部材5によってシールされる。
本実施形態では、可撓性条帯の第2端縁部2Bの側でも、同様にシール部材5が配置され、金属製条帯第2折返し部32の円弧状断面の部分32cと、ホース内周側となるべき面2pとの間が、シール部材5によってシールされる。
必須ではないが、本実施形態のように、可撓性条帯2には、可撓性条帯第1折返し部21よりもさらに端縁に近い側に、ホース内側かつ、可撓性条帯中央部から端縁に向かう方向に折り返された可撓性条帯第2折返し部22が設けられており、可撓性条帯第2折返し部22の部分で、シール部材5が、可撓性条帯2と接触していることが好ましい。
さらに、シール部材5が、金属製条帯第1折返し部31と可撓性条帯第2折返し部22との間に、ホース長手方向に(図2の左右方向に)挟持されていることが好ましい。シール部材5が、金属製条帯第1折返し部31と可撓性条帯第2折返し部22との間に、ホース長手方向に挟持されていることは、シールの確実さの向上に寄与する。
可撓性ホース1は、公知の製造方法により製造可能である。まず、それぞれ所定の幅のリボン状にされた可撓性条帯2と金属製条帯3が準備される。可撓性条帯2と金属製条帯3は、それぞれ所定の折返し形状に折り曲げられながら、互いの折返し部がかみ合うように組み合わされつつ、シール材5、5が所定の位置に配置されるように、らせん状に捲回され、金属製条帯3の折返し部をかしめて、可撓性ホース1が製造される。
上記第1実施形態の可撓性ホース1の作用および効果について説明する。上記可撓性ホース1によれば、ホースの耐熱性を高めつつ、シール性を向上できる。
上記第1実施形態の可撓性ホース1では、樹脂の溶着や接着といった比較的耐熱性の低い技術に依存することなく、金属製条帯のかしめにより、ホースを構成する素材を互いに接合できる。そのため、素材の耐熱性を高めるだけで耐熱性に富むホースが得られ、ホースの耐熱性を高めることができる。
また、特許文献1に示されるような従来構造の可撓性ホースでシールを高めようとする場合、通常は、金属製条帯がかしめられて可撓性条帯を押さえ込んでいる部分、即ち、金属製条帯の末端部(図2に示された金属製条帯の末端部31a,32aの部分)で、シール部材を挟み込むように、シール構造の検討が行われる。
発明者らはそのような構造すなわち、金属製条帯の末端部でシールする検討を行ったが、シール部材が、無機繊維の束を含むシール部材であると、シールが不完全となりやすいことが判明した。そして、発明者らは、以下の理由により、シール性が低下してしまうことを見出した。すなわち、金属製条帯がかしめられる場合、かしめられた金属製条帯はわずかながらスプリングバックし、かしめ部が少し開くようになる。シール部材がゴム等の弾力性に富むシール部材であれば、こうしたかしめ部の開きは、シール部材の弾力性で吸収されて、シール性を悪化させないものと考えられる。しかしながら、耐熱性の向上を目的として採用されるような無機繊維の束を含むシール部材は、ゴムなどに比べ弾力性に乏しく、スプリングバック等によるかしめ部の開きを吸収しにくい。このことが、シール性の低下につながっていることを、発明者らは突き止めた。
上記第1実施形態の可撓性ホース1では、前記シール部材5は、金属製条帯第1折返し部31に対し、円弧状断面の部分31cに接触する一方で、金属製条帯第1折返し部31の末端31aとは離間するよう、金属製条帯第1折返し部31の内側に配置されており、前記シール部材5は、可撓性条帯2と、ホース内周側となるべき面2pで接触している。すなわち、可撓性ホース1では、スプリングバックの変形量が大きな金属製条帯第1折返し部の末端31aを避けて、ほとんどスプリングバックしない第1折返し部31の円弧状断面の部分31cでシール部材5が金属製条帯3と接触するようにされている。
従って、上記第1実施形態の可撓性ホース1では、かしめ部にスプリングバックが生じても、シール部材5と金属製条帯3や可撓性条帯2との接触状況が変化しにくく、シール性が向上する。
シール性をより確実なものに向上させるとの観点から、上記第1実施形態の可撓性ホース1のように、可撓性条帯2には、可撓性条帯第1折返し部21よりもさらに端縁に近い側に、ホース内側かつ、可撓性条帯中央部から端縁に向かう方向に折り返された可撓性条帯第2折返し部22が設けられ、可撓性条帯第2折返し部22で、前記シール部材5が可撓性条帯2と接触しており、前記シール部材5が、金属製条帯第1折返し部31と可撓性条帯第2折返し部22との間に、ホース長手方向に挟持されていることが好ましい。
このようなシール構造とされていると、ループ状に形成された可撓性条帯第2折返し部22が、シール部材5を、金属製条帯第1折返し部31の円弧状断面の部分31cに向かって押し付けるように配置される。すると、ループ状に形成された可撓性条帯第2折返し部22が、一種のばねのように作用し、シール部材5と可撓性条帯2との接触が弾力的なものとなる。
また、かしめ部分のスプリングバックは主としてホース半径方向の変形として生ずるため、シール部材5がホース長手方向に挟持されていると、シール部材の押圧がスプリングバックの影響を、より、受けにくくなる。
従って、かかる構成によれば、シール部材5の押圧がやや弾力的なものとなる上に、かしめ部に生じうるスプリングバックに対しシールの押圧状況が影響されにくくなり、より確実にシール性を高めていくことができる。
また、シール性をより確実なものに向上させるとの観点から、可撓性条帯2が金属箔もしくは金属製の薄板を含む条帯であることが好ましい。このような可撓性条帯は、合成樹脂製の条帯や、織布製の条帯等に比べ、条帯の面に沿う方向の剛性が高いため、可撓性条帯2の可撓性条帯第2折返し部22により、シール部材5を、ホースの長手方向にしっかりと押し付けることができるからである。
また、シール性をより確実なものに向上させるとの観点から、かしめられた状態で、可撓性条帯第1折返し部21と可撓性条帯第3折返し部23が、ホース軸方向に接触するようにされていることが好ましい。可撓性条帯第1折返し部21と可撓性条帯第3折返し部23がホース軸方向に接触していると、可撓性条帯2が金属製条帯3に対しホース軸方向にずれにくくなって、シール部材5の押圧状態が解除されにくくなって、シールの確実さが向上するからである。
発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分についてはその詳細な説明を省略する。また、これら実施形態は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施できる。
図3には、第2実施形態の可撓性ホースにおけるかしめ部の構造を示す。第2実施形態の可撓性ホースは、可撓性条帯2に第2折返し部22や第4折返し部24が設けられない点を除けば、他の点は第1実施形態の可撓性ホース1と同様に構成されている。
即ち、第2実施形態の可撓性ホースでは、可撓性条帯2の端部の折返し部25,25と、金属製条帯の折返し部31,31とが互いに係合するように、可撓性条帯2と金属製条帯3とが組み合わされてかしめられている。この時、可撓性条帯2の末端縁25a,25aが金属製条帯の折返し部31,31の内側に配置され、金属製条帯の末端31a,31aが可撓性条帯の折返し部25,25の内側に配置される。
シール部材5は、金属製条帯の折返し部31の円弧状断面の部分31cに接触し、かつ、可撓性条帯の末端部25aで可撓性条帯のホース内周側となるべき面に接触するように配置されている。かかる構成により、シール部材5によって、かしめ接合された部分がシールされる。
この実施形態においても、シール部材5が、スプリングバックが比較的大きい金属製条帯折返し部の末端31a,31aを避けて、金属製条帯の折返し部31の円弧状断面の部分31cに接触するように配置されているので、かしめ部にスプリングバックが生じても、シール部材5と金属製条帯3や可撓性条帯2との接触状況が変化しにくく、シール性が向上する。
上記実施形態の説明では、金属製条帯に2か所存在するかしめ接合部のシール構造が、実質的に同じ構造である例を説明したが、2か所に同じシール構造を採用することは必須ではなく、別のシール構造を採用してもよい。例えば、一方のかしめ部には、第1実施形態におけるかしめ/シール構造を採用しつつ、他方のかしめ部には、第2実施形態におけるかしめ/シール構造を採用してもよい。あるいは、例えば、一方のかしめ部には、第1実施形態もしくは第2実施形態におけるかしめ/シール構造を採用しつつ、他方のかしめ部では、他の耐熱性のシール材料(例えば、接着性のシリコーン樹脂や、膨張黒鉛を用いたグラファイトパッキン)によりシールを行うようにしてもよい。
可撓性ホースの用途は特に限定されない。空調用の送風ダクトや、熱風を送る配管、内燃機関や燃焼装置等の排気ダクト、液体や粉体、粒体を送るための可撓性ホース、建物内部等で使用されるケーブル用シース部材などに、上記可撓性ホースは使用できる。
上記可撓性ホースは送風ダクト等に使用でき、産業上の利用価値が高い。
1 可撓性ホース
2 可撓性条帯
2A 第1端縁部
2B 第2端縁部
21 第1折返し部
22 第2折返し部
23 第3折返し部
24 第4折返し部
25 折返し部
25a 末端部
29 中央部
3 金属製条帯
31 第1折返し部
31c 円弧状断面の部分
32 第2折返し部
32c 円弧状断面の部分
33 中央部
4 線材
5 シール部材

Claims (3)

  1. 所定の幅の可撓性条帯(2)を所定の折返し形状としつつらせん状に捲回し、互いに隣接する可撓性条帯(2)の端縁部分同士を、金属製の条帯(3)によりかしめ接合した可撓性ホース(1)であって、
    可撓性条帯端縁部分と金属製条帯がかしめ接合される部位の少なくとも1つでは、可撓性条帯と金属製条帯の間がひも状のシール部材(5)によりシールされており、
    当該部位において、
    前記可撓性条帯(2)には、ホース内側かつ可撓性条帯中央部に向かって折り返された可撓性条帯第1折返し部(21)が設けられており、
    前記金属製条帯(3)には、ホース外側かつ金属製条帯中央部に向かって円弧状断面となるように折り返された金属製条帯第1折返し部(31)が設けられており、
    可撓性条帯第1折返し部(21)の内側に金属製条帯第1折返し部(31)の末端(31a)が位置する状態で、金属製条帯第1折返し部(31)がかしめられて、金属製条帯第1折返し部(31)の末端(31a)と金属製条帯中央部(33)との間に可撓性条帯が挟持されており、
    前記シール部材(5)は、無機繊維の束を含むシール部材であり、
    前記シール部材(5)は、金属製条帯第1折返し部(31)に対し、前記円弧状断面の部分(31c)に接触する一方で、金属製条帯第1折返し部(31)の末端(31a)とは離間するよう、金属製条帯第1折返し部(31)の内側に配置されており、
    前記シール部材(5)は、可撓性条帯(2)と、ホース内周側となるべき面(2p)で接触している、
    可撓性ホース(1)。
  2. 可撓性条帯(2)には、可撓性条帯第1折返し部(21)よりもさらに端縁に近い側に、ホース内側かつ可撓性条帯中央部から端縁に向かう方向に折り返された可撓性条帯第2折返し部(22)が設けられ、可撓性条帯第2折返し部(22)で前記シール部材(5)が、可撓性条帯(2)と接触しており、
    前記シール部材(5)が、金属製条帯第1折返し部(31)と可撓性条帯第2折返し部(22)との間に、ホース長手方向に挟持されている、
    請求項1に記載の可撓性ホース。
  3. 可撓性条帯(2)が金属箔もしくは金属製の薄板を含む、
    請求項2に記載の可撓性ホース。
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