JP6329773B2 - ガスケット - Google Patents
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Description
このノンアスベストジョイントシートとして、金属と膨張黒鉛シートを組み合わせたガスケットなどが挙げられる。特に、石油精製工場や石油化学工場などでは、断面が波形状の金属板の両面に、膨張黒鉛シートを接着したガスケットなどが使用されている。
たとえば、特許文献1には、フッ素樹脂に介装されるクッション部材が、バーミキュライトシートで形成されているフッ素樹脂被覆ガスケットが開示されている。
(1)該金属板の厚み(t0)が0.4〜1.2mm、
(2)該波形の高さ(t1)と該金属板の厚み(t0)との差(t1−t0)が0.2mm以上、
(3)被覆材の厚み(t2)が0.15〜1.2mm、
(4)被覆材の密度が0.7〜1.35g/cm3、
を満たすことを特徴とする被覆コルゲートメタルガスケットが開示されている。
また、特許文献2の非石綿ガスケットや特許文献5の被覆コルゲートメタルガスケットは、低い締付面圧で良好にシールできるものの、耐薬品性を向上させることが要望されていた。
なお、フッ素樹脂被覆ガスケットにおいて、クッション部材が、無機繊維とアラミド繊維に無機充填材を加え、バインダーとして耐油性合成ゴムを配合した、石綿を含まないNA
(非石綿)ジョイントシートである場合には、耐熱性を向上させることが要望されていた。
図1において、本実施形態のガスケット1は、断面が波形状の、環状の金属板21及び該金属板21を覆う膨張黒鉛シート22を有する中芯材2と、この中芯材2の上部、下部及び内周側端部を覆うフッ素系樹脂製の被覆材3とを有している。
なお、本実施形態では、ガスケット1の平面形状を円環状としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、矩形環状や楕円環状などでもよい。
中芯材2は、上述したように、金属板21及び膨張黒鉛シート22を有している。
金属板21は、平面形状が円環状であり(図1(a)参照)、A−A断面形状が波形状である(図1(b)参照)。この波形状などについては、後述する。
また、金属板21の材質は、例えばSUS316L、SUS316又はSUS304等のステンレス鋼としてある。ただし、金属板21の材質は、これに限定されるものではなく、たとえば、シールされる流体の種類や温度などにより適宜選択される。
また、金属板21は、上面側に複数の山部(すなわち、波形状による山部)が成形されており、下面側に複数の山部が成形されている。これらの山部は、上方又は下方から見ると、同心円状となる。なお、山部の数量は、これに限定されるものではなく、一方の面側に一つ以上の山部が成形され、かつ、他方の面側に二つ以上の山部が成形されていればよい。
なお、膨張黒鉛シート22の積層及び接合には、通常、接着剤などが用いられる。
また、円環状の一対の膨張黒鉛シート22は、金属板21の上面及び下面にほぼ密着した状態で積層されるので、中芯材2は、A−A断面形状が波形状である(図1(b)参照)。
被覆材3は、上述したように、フッ素系樹脂製の成形品であり、上側シート部31、下側シート部32及び連結部33を有している。上側シート部31及び下側シート部32は、ほぼ同じ大きさの円環状としてある。また、連結部33は、二つの傾斜部を有しており、上側シート部31及び下側シート部32の内周側縁部どうしを連結している。
この被覆材3は、中芯材2の上部、下部及び内周側端部を覆っている。また、被覆材3は、通常、中芯材2の外周側端部が突き出た状態で、中芯材2を収容している。
また、被覆材3は、中芯材2の波形状の山部とほぼ接触しているが、ガスケット1が締め付けられていない状態では、被覆材3は、中芯材2の波形状の山部から離れていてもよい。そして、ガスケット1が締め付けられている状態では、被覆材3は、中芯材2の山部と接触し、また、締付面圧に応じて中芯材2が変形するので、山部は微小距離だけ移動する。
また、ガスケット1は、上述したフッ素樹脂被覆ガスケット、すなわち、クッション部材が、無機繊維とアラミド繊維に無機充填材を加え、バインダーとして耐油性合成ゴムを配合した、石綿を含まないNA
(非石綿)ジョイントシートである、フッ素樹脂被覆ガスケットと比べると、耐熱性(使用温度範囲:−100℃〜260℃)を向上させることができる。
なお、上記のフッ素系樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の他に、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)などが挙げられる。
(1)金属板21の厚さ(t0)は、通常、0.4〜1.2mmである。
この(1)の要件は、ガスケット1を締め付けた際、金属板21が適度な反発弾性力を発生させるための要件の一つであり、この(1)の要件、並びに、後述する(2)の要件及び(3)の要件を満足することによって、金属板21は、適度な反発弾性力を発生させることができる。
なお、上記の数値限定の理由は、t0が0.4mm未満であると、所定の締付面圧まで締め付けた際、金属板21が塑性変形して反発弾性力がなくなってしまうからである。また、t0が1.2mmを超えると、所定の締付面圧で締め付けた際、必要な変形量が確保できなくなるからである。
また、t0は、金属板21自体の厚さであり(図1(b)参照)、金属板21のどの箇所においても、ほぼ同じとしてある。
この(2)の要件は、上述したように、ガスケット1を締め付けた際、金属板21が適度な反発弾性力を発生させるための要件の一つである。
なお、上記の数値限定の理由は、(t1−t0)が0.2mm未満であると、金属板21の山部の曲率半径が大きくなりすぎて、シールに必要な反発弾性力を発生させることができなくなるからである。
また、波形の高さ(t1)は、上側の山部の頂点と下側の山部の頂点との高低差(見かけ厚さとも呼ばれる。)である(図1(b)参照)。
この(3)の要件は、上述したように、ガスケット1を締め付けた際、金属板21が適度な反発弾性力を発生させるための要件の一つである。
なお、上記の数値限定の理由は、Pが2.2mm未満であると、金属板21の山部の曲率半径が小さくなりすぎて、弾性変形しにくくなるからである。また、Pが4.2mmを超えると、金属板21の山部の曲率半径が大きくなりすぎて、シールに必要な反発弾性力を発生させることができなくなるからである。
また、波ピッチは、通常、等ピッチであるが、これに限定されるものではない。また、山部の数量は、金属板21の幅(=(外径―内径)/2)に応じて適宜設定される。
このようにすると、金属板21の山部による面圧集中の効果を発揮できる。また、被覆材3の上側シート部31及び下側シート部32に対して緩衝材として機能し、上側シート部31及び下側シート部32へのダメージを抑制することができる。
なお、上記の数値限定の理由は、t2が0.15mm未満であると、緩衝材として機能することができなくなるからである。また、t2が1.5mmを超えると、金属板21の山部による面圧集中の影響を緩和してしまい、シール性が低下してしまうからであり、また、金属板21の反発弾性力を低減させるからである。
また、膨張黒鉛シート22の厚さ(t2)は、金属板21の上面及び下面を覆う部分の厚さであり(図1(b)参照)、この部分のどの箇所においても、ほぼ同じとしてある。
このようにすると、膨張黒鉛シート22は、上側シート部31及び下側シート部32に対する緩衝材として適度に機能することができる。
なお、上記の数値限定の理由は、膨張黒鉛シート22の密度が0.7g/cm3未満であると、柔らかすぎて緩衝材としての機能することができないからである。また、膨張黒鉛シート22の密度が2.1g/cm3を超えると、硬すぎて緩衝材としての機能することができないからである。
このようにすると、フランジ面の歪や粗さを吸収することができ、かつ、金属板21の山部による面圧集中の効果を発揮できる。
なお、上記の数値限定の理由は、Tが0.15mm未満であると、フランジ面の歪や粗さを吸収することができなくなるからである。また、Tが1.0mmを超えると、金属板21の山部による面圧集中の効果を発揮できなくなるからである。
このようにすると、膨張黒鉛シート22が被覆材3に対してより良好に緩衝材として機能するとともに、金属板21の山部による面圧集中の効果をより発揮することができる。また、金属板21の山部による面圧集中の効果によって、より低い締付面圧で良好にシールすることができる。
図2において、ガスケット1は、所定の締付面圧(本実施形態では、19.6N/mm2)で締め付けられた状態で、一対のフランジ4の間に取り付けられている。そして、ガスケット1の内周側には、流体があり、この流体は、ガスケット1の被覆材3と接する。
ここで、ガスケット1は、被覆材3によって、耐薬品性を向上させることができ、また、上述したフッ素樹脂被覆ガスケットと比べると、耐熱性を向上させることができる。
また、ガスケット1は、中芯材2の膨張黒鉛シート22が、被覆材3(上側シート部31及び下側シート部32)と金属板21との間に存在し、緩衝材として機能する。すなわち、金属板21の山部上の膨張黒鉛シート22の部分が変形するので、金属板21の山部からの反発弾性力が、均一化された状態で、上側シート部31及び下側シート部32に作用する。これにより、ガスケット1は、低い締付面圧でシールすることができ、また、シールの信頼性(たとえば、長期間にわたりシール性が維持されるといった信頼性)などを向上させることができる。さらに、上側シート部31及び下側シート部32は、膨張黒鉛シート22を介して金属板21の山部によって押圧されるので、上側シート部31及び下側シート部32へのダメージを抑制することができる。
このガスケット1において、金属板21は、材質がSUS316であり、板厚t0=0.8mm、波高さt1=1.0〜1.2mm、波ピッチP=3.2mmであった。また、膨張黒鉛シート22は、密度1.1g/cm3、厚さt2=0.38mmであった。さらに、被覆材3は、材質がPTFEであり、上側シート部31及び下側シート部32の厚さT=0.4mmであった。
また、本実施形態は、様々な応用例を有している。
次に、本実施形態の応用例について、図面を参照して説明する。
図3において、本応用例のガスケット1aは、上述したガスケット1と比べると、被覆材3aが、中芯材2の上部、下部、内周側端部及び外周側端部を覆い、さらに、上側シート部31a、下側シート部32a及び連結部33を有し、上側シート部31a及び下側シート部32aの外周側縁部どうしが縫合されている点などが相違する。なお、本応用例の他の構成は、ガスケット1とほぼ同様としてある。
したがって、図3において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
そして、被覆材3aは、中芯材2を収容した後、上側シート部31a及び下側シート部32aの外周側縁部どうしが、重ね合せられ、さらに、樹脂製などの糸5によって縫合されている。すなわち、被覆材3aは、外周側において、中芯材2をほぼ密封している。
また、真空配管(図示せず)に使用されても、被覆材3aが内周側に引き込まれない構造となるので、引き込まれるリスクを回避することができる。
さらに、被覆材3aの上側シート部31aや下側シート部32aのめくれが発生しない構造となるので、フランジ間の隙間が小さい場合であっても、容易に装着することができる。
また、温度上昇により、被覆材3a内の圧力が上昇しても、被覆材3aの外周側において、外気と連通しているので、内部の圧力上昇によって、被覆材3aが破損するといった不具合を確実に回避することができる。
なお、本応用例は、上側シート部31a及び下側シート部32aの外周側縁部どうしが縫合されている構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、上側シート部31a及び下側シート部32aの外周側縁部どうしを、溶着や接着などによって、密封状態で接合してもよい。このようにすると、外周側からガスケット1aに流体がかかっても、被覆材3aは、外周側において、中芯材2を密封しているので、中芯材2が濡れて侵されるといった不具合を防止することができる。
例えば、ガスケット1、1aは、連結部33が二つの傾斜部を有する構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、二つの傾斜部の代わりに、A−A断面がほぼ半円状の湾曲部、あるいは、円筒の内周側の側面と対応する形状の側壁部を有する構成であってもよい。このようにすると、流体が連結部33の近傍に滞留するといった不具合を回避することができる。
2 中芯材
3、3a 被覆材
4 フランジ
5 糸
21 金属板
22 膨張黒鉛シート
31、31a 上側シート部
32、32a 下側シート部
33 連結部
Claims (7)
- 断面が波形状の、環状の金属板及び該金属板を覆う膨張黒鉛シートを有する中芯材と、
この中芯材の上部、下部、内周側端部及び外周側端部を覆うフッ素系樹脂製からなり、当該中芯材の全体を内部に収容する被覆材と、
を有するガスケットであって、
前記被覆材と前記中芯材の前記上部、下部、内周側端部及び外周側端部との間に空隙を有し、
当該ガスケットが締め付けられると、
前記中芯材は、前記被覆材に収容された状態で締付面圧に応じて変形し、前記内周側端部及び外周側端部の空隙内において前記波形状の山部が微小距離移動する
ことを特徴とするガスケット。 - 前記被覆材のフッ素系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
- 前記被覆材のフッ素系樹脂が、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
- 下記の(1)〜(6);
(1)前記金属板の厚さ(t0)が、0.4〜1.2mmである。
(2)前記金属板の波形の高さ(t1)と前記金属板の厚み(t0)との差(t1−t0)が、0.2mm以上である。
(3)前記金属板の波ピッチ(P)が、2.2〜4.2mmである。
(4)前記膨張黒鉛シートの厚さ(t2)が、0.15〜1.5mmである。
(5)前記膨張黒鉛シートの密度が、0.7〜2.1g/cm3である。
(6)前記被覆材の上側シート部及び下側シート部の厚さ(T)が、0.15〜1.0mmである。
を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスケット。 - 前記膨張黒鉛シートの厚さ(t2)が、0.3〜1.2mmであり、かつ、前記被覆材の上側シート部及び下側シート部の厚さ(T)が、0.3〜0.8mmであることを特徴とする請求項4に記載のガスケット。
- 19.6N/mm2以上の締付面圧で、使用可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスケット。
- 前記被覆材が、前記中芯材の上部、下部、内周側端部及び外周側端部を覆い、該被覆材が、上側シート部、下側シート部及び連結部を有し、前記上側シート部及び下側シート部の外周側縁部どうしが、縫合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスケット。
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