以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って、パチンコ機を例に用いた実施例について説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.遊技制御の概要:
C−1.特別図柄関連の処理:
C−2.小当り遊技関連の処理:
C−3.大当り遊技関連の処理:
D.本実施例の変動パターン設定処理:
E.変形例:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されており、遊技領域11の中央には、中央装置100が搭載されている。詳細には後述するが、本実施例の中央装置100には、1組の羽根部材と、演出表示装置と、振り分け装置と、特定領域と、非特定領域などが設けられている。
また、中央装置100の下方には、3つの始動口17,18,19が設けられており、これら始動口の内部には、遊技球の入球を検出するための始動口スイッチ17s,18s,19sが設けられている。これら3つの始動口17,18,19のうち、中央に位置する始動口17は、左右に開閉可能な一対の翼片部と、翼片部を作動させるための始動口ソレノイド17m(図5参照)とを備えたいわゆるチューリップ式の始動口となっている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
更に、このチューリップ式の始動口17の下方には、大入賞口31dが設けられている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると、大入賞口ソレノイド31m(図5参照)によって駆動されて開口状態となる。この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなり、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
中央装置100の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左側には、左入賞口16aと普通図柄作動左ゲート36aとが設けられており、左入賞口16aの内部には遊技球の入球を検出する入賞口スイッチ16sが設けられ、普通図柄作動左ゲート36aの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。同様に、遊技領域11の右側には、右入賞口16bと普通図柄作動右ゲート36bとが設けられており、右入賞口16bの内部には遊技球の入球を検出する入賞口スイッチ16tが設けられ、普通図柄作動右ゲート36bの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36tが設けられている。更に、普通図柄作動左ゲート36aの上方には、左ランプ風車24aが設けられ、普通図柄作動右ゲート36bの上方には、右ランプ風車24bが設けられ、これら各種の装置の間および周辺には、図示しない多数の障害釘が設けられている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の中央装置100の構成を概念的に示す説明図である。図示されているように、中央装置100の上部両側面には、一対の羽根部材102a,102bが開閉可能に搭載されている。この羽根部材102a,102bは図示しないリンク機構を介して羽根ソレノイド102m(図5参照)に接続されており、羽根ソレノイド102mを駆動することによって開閉可能に構成されている。図中に実線で示されるように、羽根部材102a,102bは、通常時はほぼ直立しており、遊技球が入球し得ない閉鎖状態となっているが、羽根ソレノイド102mが駆動されると一対の羽根部材102a,102bが開口して、遊技盤10上を流下する遊技球を中央装置100の内部に取り込むことが可能となる。尚、一対の羽根部材102a,102bによって構成される羽根入球口102は、本発明における「特定入球口」に対応している。
中央装置100の内部に取り込まれた遊技球は、羽根入球口102の直ぐ下に設けられた羽根入球スイッチ102sによって検出された後、中央装置100のほぼ中央に設けられた振り分け装置としてのクルーン136に導かれる。クルーン136は、円形で中央が凹んだ皿状に形成されており、クルーン136に導かれた遊技球は、この凹んだ形状の上面を旋回するようになっている。また、クルーン136の凹んだ形状の上面には、遊技球の入球可能なクルーン穴が3つ設けられており、それぞれのクルーン穴は、クルーン136の下面に設けられた出口137a、137b、137cに、それぞれ内部で接続されている。そして、中央装置100の内部に取り込まれた遊技球は、クルーン136の上面を旋回して、何れかのクルーン穴に捕捉され、内部で接続されている対応した出口137a,137b,137cから排出される。
また、図3に示すように、出口137a,137b,137cの下方には、誘導通路111a,111bが設けられており、出口137aから排出された遊技球は、誘導通路111aによって特定領域(いわゆるV領域)141aに導かれた後、特定領域141aの下流に設けられた特定領域通過スイッチ141cによって遊技球の通過が検出される。これに対して、出口137bまたは出口137cの何れかから排出された遊技球は、誘導通路111bによって非特定領域141bに導かれた後、非特定領域141bの下流に設けられた非特定領域通過スイッチ141dによって遊技球の通過が検出されるようになっている。尚、羽根入球口102から入球して特定領域141aを通過する遊技球の有無は、特定領域通過スイッチ141cによって検出されていることから、本実施例の特定領域通過スイッチ141cは、本発明における「通過遊技球検出手段」に対応するものとなっている。
更に、クルーン136の上方には、液晶画面によって構成された演出表示装置127が設けられている。詳細に後述するが、演出表示装置127では、遊技の進行に伴って、種々の表示を行うことにより遊技を演出することが可能となっている。尚、演出表示装置127は、必ずしも液晶画面によって構成する必要はなく、例えば、ドットマトリックス画面や7セグメントLEDなど、種々の図柄や図形を変動表示可能であれば、どのような表示装置を用いることも可能である。
図4は、本実施例のパチンコ機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。図示されているように、本実施例の図柄表示装置28は、略矩形の領域内に12個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら12個のLEDは、大きくは普通図柄表示部29を構成する3個のLEDと、特別図柄表示部30を構成する9個のLEDとに分けられる。このうち、普通図柄表示部29は、普通図柄を表示するための1個のLED(以下、普通図柄LED29aと呼ぶ)と、普通図柄の保留数を表示するための2個のLED(以下、普図保留表示LED29bと呼ぶ)とから構成されている。また、特別図柄表示部30は、特別図柄を表示するための7個のLED(以下、特別図柄LED30aと呼ぶ)と、特別図柄の保留数を表示するための2個のLED(以下、特図保留表示LED30bと呼ぶ)とから構成されている。本実施例の図柄表示装置28が、これら12個のLEDを用いて、普通図柄や、特別図柄、更にはこれらの保留数を表示する様子については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、演出表示装置127や各種のランプ類、スピーカを用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種の論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。尚、図5では、主制御基板200に搭載されたCPU201、ROM202、RAM203のみが図示されている。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17s,18s,19sや、大入賞口スイッチ31s、羽根入球スイッチ102s、入賞口スイッチ16s,16t、ゲートスイッチ36s,36t、特定領域通過スイッチ141cや、非特定領域通過スイッチ141dなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、中央装置100に設けられた一対の羽根部材102a,102bを開閉するための羽根ソレノイド102m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、102m、図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からのコマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、演出の内容を決定する。そして、その結果に応じて、演出表示装置127に図柄を表示したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力したりすることによって、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は球貸表示基板242から払出制御基板240を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例のパチンコ機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左右に設けられた普通図柄作動左ゲート36a、または普通図柄作動右ゲート36bの何れかを通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図4を用いて前述したように、図柄表示装置28には普通図柄表示部29が設けられており、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されている。このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う。
図6(a)は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄LED29aの点滅を繰り返すことによって、普通図柄の変動表示を行う。図では、普通図柄LED29aが点灯している状態を放射状の実線で表し、消灯している状態を破線で表している。そして、点滅している普通図柄LED29aが点灯状態で停止した場合には、普通図柄の当りとなり、逆に、消灯状態で停止した場合には普通図柄の外れとなる。
また、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動左ゲート36aまたは普通図柄作動右ゲート36bを通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普図保留表示LED29bによって表示される。
図6(b)は、普図保留表示LED29bによって普通図柄の保留数が表示される様子を示した説明図である。普通図柄の保留が無い場合(すなわち、保留が0個の場合)は、2個の普図保留表示LED29bは何れも消灯している。保留が1個の場合は、向かって左側の普図保留表示LED29bは消灯したままで、右側の普図保留表示LED29bが点灯する。保留が2個になると、今度は、向かって左側の普図保留表示LED29bが点灯し、右側の普図保留表示LED29bは消灯する。次いで、保留が3個になると、左右の普図保留表示LED29bが何れも点灯する。更に保留が増加して上限値である4個になると、左右の普図保留表示LED29bが点滅した状態となる。このように普通図柄表示部29では、2個の普図保留表示LED29bを点灯、消灯、あるいは点滅させることによって、0個から4個までの保留数を表示することが可能となっている。
一方、3つの始動口17,18,19の何れかに遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。尚、3つの始動口17,18,19の何れかに遊技球が入球した場合でも特別図柄の変動表示が開始されるが、中央の始動口17は、普通図柄が当り図柄で停止表示されると所定時間だけ開口され、開口中は左右の始動口18,19よりも遊技球が入球し易くなる。また、図4を用いて前述したように、右特別図柄表示部30には、7個の特別図柄LED30aと、2個の特図保留表示LED30bとが搭載されており、このうち特別図柄LED30aを用いて特別図柄の変動表示を行う。
図7は、特別図柄LED30aを用いて特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。本実施例では、7個の特別図柄LED30aの点灯状態として、図示されている9通りの状態が用意されており、各点灯状態の一つ一つが、それぞれの特別図柄となっている。そして、これら9種類の特別図柄(すなわち、9通りの点灯状態)を短い期間で次々と切り換えていくことによって、特別図柄の変動表示を行う。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17,18,19の何れかに入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留数も最大4個まで蓄えられることが可能となっており、蓄えられた特別図柄の保留数は、特別図柄表示部30の特図保留表示LED30bを用いて表示されるようになっている。特図保留表示LED30bを用いて特別図柄の保留数を表示する態様は、図6(a)に示した普図保留表示LED29bの場合と全く同様であるため、ここでは説明は省略する。
図7に示されるように、本実施例のパチンコ機1では、9種類の特別図柄は大きく3つの図柄に分類されている。先ず、図中の上段に示した3つの特別図柄は「大当り図柄」と呼ばれる特別図柄であり、中段に示した4つの特別図柄は「小当り図柄」と呼ばれる図柄であり、下段に示した2つの特別図柄は「外れ図柄」と呼ばれる図柄である。このうち、特別図柄が「大当り図柄」で停止した場合には、大入賞口31dが所定回数(本実施例では15回)だけ開口状態となる大当り遊技が開始される。大入賞口31dが開口状態になると遊技球が入球し易くなるので、大当り遊技は遊技者にとって大変に有利な遊技状態と言うことができる。
これに対して特別図柄が「小当り図柄」で停止した場合には、羽根入球口102が開口状態となる小当り遊技が開始される。図3を用いて前述したように、羽根入球口102が開口状態になると、中央装置100の内部に遊技球を取り込み可能な状態となる。また、前述したように中央装置100の内部には、クルーン136が搭載されており、中央装置100の内部に取り込まれた遊技球は、クルーン136によって、特定領域141aまたは非特定領域141bの何れかに振り分けられる。そして、遊技球が特定領域141aを通過した場合には、大入賞口31dが開口状態となって遊技者に有利な大当り遊技が開始される。これに対して非特定領域141bを通過した場合には、そのまま小当り遊技を終了する。尚、大当り図柄が停止表示されることによって開始された大当り遊技では、大入賞口31dは常に15回開口するが、小当り遊技を経由して開始された大当り遊技では、大入賞口31dが15回開口する場合と、7回開口する場合とが設けられている。この点については、後ほど詳しく説明する。また、特別図柄が「外れ図柄」で停止した場合には、こうした当り遊技(大当り遊技、あるいは小当り遊技)が開始されることはない。
図8には、本実施例のパチンコ機1で行われる遊技の大まかな流れが示されている。図示されているように、始動口に遊技球が入球すると特別図柄の変動表示が開始され、特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合には、大入賞口31dが開口状態となって大当り遊技が開始される。そして、大当り遊技を終了すると、普通図柄の変動時間が短縮されるとともに、チューリップ式の始動口17の開口時間が延長状態となる「時短遊技」が開始される。このような遊技の流れは、いわゆる「デジパチ機」と呼ばれるパチンコ機と同様である。
一方、始動口に遊技球が入球して特別図柄の変動表示が開始され、小当り図柄が停止表示された場合には、中央装置100に設けられた羽根入球口102が開口状態となる。そして、開口状態となった羽根入球口102から中央装置100の内部に遊技球が入球し、その遊技球が中央装置100内の特定領域141aを通過した場合にも、大入賞口31dが開口して大当り遊技が開始される。こうした遊技の流れは、いわゆる「羽根物」と呼ばれるパチンコ機と同じ流れとなっている。また、特別図柄が外れ図柄で停止表示された場合には、大当り遊技や小当り遊技が開始されることなく、そのまま遊技が継続される。
C.遊技制御の概要 :
図9は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理や、普通図柄に関連する処理、普通電動役物に関連する処理、特別図柄に関連する処理、小当り遊技に関連する処理、大当り遊技に関連する処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17s,18s,19sや、入賞口スイッチ16s,16t、大入賞口スイッチ31s、羽根入球スイッチ102s、特定領域通過スイッチ141c、非特定領域通過スイッチ141dなど)について、遊技球が検出されたか否かを判断する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。払出制御基板240は、主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球関連処理(S50)に続いて、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を開始するか否かを判断する処理を行う(S100)。普通図柄の変動表示は、次のような2つの条件を満足した場合に開始される。先ず1つめの条件としては、遊技球が、普通図柄作動左ゲート36aまたは普通図柄作動右ゲート36bの何れかを通過したか、若しくは、普通図柄の保留数が残っている必要がある。次いで2つめの条件としては、始動口17が開口中でないことも必要となる。始動口17は、普通図柄を図6(a)に示す態様で変動表示させて当り図柄で停止表示された場合に、開口状態となる。従って、始動口17が開口中であれば、普通図柄の変動表示を開始する必要はない。逆に言えば、普通図柄を変動表示させるためには、始動口17が開口中でないことも条件となる。図9のS100では、これら2つの条件を全て満足している場合に、普通図柄を変動表示させるべく普通図柄遊技処理を開始すると判断し(S100:yes)、何れかの条件を満足していない場合には、普通図柄遊技処理は開始しないと判断する(S100:no)。
普通図柄遊技処理(S150)では、次のような処理を行う。先ず、普通図柄の当否判定を行うことにより、普通図柄を当り図柄で停止表示させるか、外れ図柄で停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、図6(a)を用いて前述した態様で普通図柄の変動表示を開始する。そして変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、3つ設けられた始動口17,18,19の中央に設けられたチューリップ式の始動口17を開口させる。前述したように始動口17の内部には始動口ソレノイド17mが設けられており、始動口ソレノイド17mを駆動すると、一対の翼片17wが外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、チューリップ式の始動口17が開口中か否かを判断する(S190)。そして、始動口17が開口中である場合は(S190:yes)、開口中の始動口17を元の状態に復帰させるための処理(始動口復帰処理)を行う(S200)。これに対して、チューリップ式の始動口17が開口していない場合は(S190:no)、始動口17を元の状態に復帰させる処理(始動口復帰処理)は不要なのでスキップする。
始動口復帰処理(S200)では、次の何れかの条件が満足された場合、すなわち、始動口の開口時間が経過したか、若しくは、始動口17に規定数の遊技球が入球したかの何れかの条件が成立した場合に、開口している始動口17を元の状態に復帰させる処理を行う。尚、始動口17の開口時間は、通常の遊技状態では約0.5秒間に設定されているが、後述する開口時間延長機能が作動すると約1.5秒間に延長される。一方、始動口17の開口時間が経過しておらず、始動口17への入球数も規定数に達していない場合は、始動口17を開口させたまま、始動口復帰処理(S200)を終了する。
遊技制御処理では、始動口復帰処理に続いて、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
C−1.特別図柄関連の処理 :
遊技制御処理では、始動口復帰処理から復帰すると、特別図柄に関連する処理を開始する。かかる処理では、後述する特別図柄遊技処理を行うための所定の条件を満足しているか否かを判断した後、所定の条件を満足していた場合には、特別図柄遊技処理を開始する。
図10は、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(特別図柄遊技開始判断処理)の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って、特別図柄遊技開始判断処理について説明する。特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断にあたっては、先ず初めに、3つの始動口17,18,19の何れかに遊技球が入球したか否かを判断する(S302)。前述したように、それぞれの始動口17,18,19の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ17s,18s,19sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。
遊技球が何れかの始動口スイッチ17s,18s,19sを通過していれば(S302:yes)、特別図柄の保留数が4以上か否かを判断する(S304)。そして、保留数が4に達していなければ(S304:no)、特別図柄の当否判定乱数(「特図当否判定乱数」、あるいは単に「当否判定乱数」と呼ぶことがある)および特別図柄決定乱数(「特図決定乱数」と呼ぶことがある)を、始動口17,18,19に伴う保留として記憶した後(S306)、特別図柄の保留数に「1」を加算する(S307)。ここで、特図当否判定乱数とは、後述するように、特別図柄についての当否を決定するための乱数である。また、特図決定乱数とは、特別図柄の当否に応じて、特別図柄を停止表示させる図柄を決定するための乱数である。これらの乱数は、主制御基板200に搭載されたRAM203に記憶される。一方、特別図柄の保留数が4に達している場合は(S304:no)、特図当否判定乱数および特図決定乱数の取得は行わない。
以上にようにして、特図当否判定乱数および特図決定乱数を取得し(S306)、特別図柄の保留数に「1」を加算したら(S307)、大当り遊技中または小当り遊技中か否かを判断する(S308)。後述する特別遊技処理は、特別図柄の変動表示を行って、所定の当り図柄(大当り図柄、あるいは小当り図柄)で停止表示された場合には、当り図柄に応じて、大当り遊技あるいは小当り遊技を開始する処理である。そして、現在、大当り遊技あるいは小当り遊技を行っているのであれば、重ねて大当り遊技あるいは小当り遊技を開始する必要はない。そこで、特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、大当り遊技中または小当り遊技中か否かを判断し(S308)、大当り遊技中でも小当り遊技中でも無かった場合は(S308:no)、後述する特別図柄遊技処理を開始すると判断する(すなわち、S300:yes)。一方、現在、既に大当り遊技中あるいは小当り遊技中であった場合は(S308:yes)、特別図柄遊技処理は開始しないと判断する(すなわち、S300:no)。
図11および図12は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、特別図柄が変動中か否かを判断する(S322)。図4を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1では、図柄表示装置28に特別図柄表示部30が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。
特別図柄表示部30の特別図柄が変動中でない場合は(S322:no)、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中であるか否かを判断する(S324)。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、特別図柄が何れの図柄で停止表示されたかを遊技者が確認するために停止表示させる時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず且つ特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間も経過していることが確認された場合は(S324:no)、特別図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S326)。前述したように特別図柄保留数は、遊技球が始動口17,18,19の何れかに入球した場合に設定され、上限値「4」に達するまで蓄えることが可能である。そして、特別図柄保留数が「0」である場合には(S326:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄保留数が「0」でない場合、換言すれば、特別図柄の保留が残っている場合は(S326:no)、特別図柄の当否判定を開始する(S330)。
図13は、特別図柄当否判定処理の流れを示したフローチャートである。図示するように、特別図柄当否判定処理を開始すると、先ず初めに、保留として記憶されている特図当否判定乱数を読み出す処理を行う(S3300)。複数の保留が記憶されている場合は、最も古い保留に対応付けられた特図当否判定乱数を読み出してやる。そして、読み出した特図当否判定乱数に基づいて、大当りか否かを判断する(S3302)。主制御基板200に搭載されたROMの中には、特図当否判定乱数の値と、当否判定結果とを対応付けた当否判定テーブルが記憶されており、特別図柄当否判定乱数から当否判定テーブルを参照することにより、大当りか否かを判断することができる。
図14は、特図当否判定乱数と当否判定結果とを対応付けた当否判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示した例では、特図当否判定乱数は「0」〜「630」までの範囲を採り得るものとして、読み出した特図当否判定乱数「0」〜「6」の範囲に対しては当否判定結果として「大当り」が設定されており、特図当否判定乱数「7」〜「620」の範囲に対しては「小当り」が設定されており、その他の乱数範囲(すなわち「621」〜「630」)に対しては「外れ」の当否判定結果が設定されている。図13の特別図柄当否判定処理のS3302では、読み出した特図当否判定用乱数が「0」〜「6」の範囲にあるか否かを判断して、この範囲にあれば当否判定結果は「大当り」であると判断し(S3302:yes)、この範囲になかった場合は「大当り」ではないと判断する(S3302:no)。
そして、当否判定結果が大当りであったと判断された場合は(S3302:yes)、その特図当否判定乱数と共に取得された特図決定乱数を読み出して(S3304)、特別図柄表示部30に停止表示させる大当り図柄を決定する(S3306)。大当り図柄は、特図決定乱数と大当り図柄とを対応付けて記憶した大当り図柄決定テーブルを参照することによって決定することができる。
図15は、大当り図柄決定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、大当り図柄決定テーブルには、特図決定乱数に対応付けて、各種の大当り図柄が設定されている。尚、本実施例では、大当り図柄決定乱数は「0」〜「255」の範囲を取り得る1バイトの乱数となっている。図7を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1には、大当り図柄として、3種類の大当り図柄が設定されていることから、大当り図柄決定テーブルには、これら各種の大当り図柄が特図決定乱数に対応付けて設定されている。図13に示した特別図柄当否判定処理のS3306では、特別図柄の当否判定結果が大当りであると判断された場合に(S3302:yes)、以上のようにして大当り図柄決定テーブルを参照することにより、停止表示させる特別図柄の大当り図柄を決定する処理を行う。
以上では、当否判定結果が「大当り」であると判断された場合(S3302:yes)に行われる処理について説明した。これに対して、特別図柄の当否判定結果が「大当り」ではないと判断された場合は(S3302:no)、図14に示した当否判定テーブルに基づいて「小当り」であるか否かを判断する(S3308)。そして、当否判定結果が小当りであると判断された場合は(S3308:yes)、特図当否判定乱数と共に取得した特図決定乱数を読み出した後(S3310)、今度は、小当り図柄を決定する(S3312)。
図16は、小当り図柄を決定する際に参照する小当り図柄決定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、小当り図柄決定テーブルにも、特図決定乱数に対応付けて各種の小当り図柄が設定されており、図13のS3310で読み出した特図決定乱数から、小当り図柄決定テーブルを参照することによって、停止表示させる小当り図柄を決定することができる。
尚、本実施例のパチンコ機1では、小当り図柄を決定すると、小当りの種類も同時に決定されるようになっている。ここで小当りの種類とは、小当り遊技をどのような態様で行うか(小当り遊技の態様)、あるいは小当り遊技が大当り遊技に発展したときに、その大当り遊技をどのような態様で行うか(大当り遊技の態様)を示している。図16に示されているように、4種類の小当り図柄のそれぞれに対して、小当りの種類が予め設定されている。例えば、図16中の最上段に表示された小当り図柄に対しては、羽根入球口102を1秒間だけ1回開口させる態様で小当り遊技を行い、その小当り遊技から大当り遊技に発展した場合には、7ラウンドの大当り遊技を行う旨が設定されている。尚、この小当り図柄には、特図決定乱数が採り得る半分の乱数範囲(0〜127)が対応付けられていることから分かるように、小当り遊技は、この態様で行われることが最も多くなっている。以下では、この態様で行われる小当りを「通常小当り」と称するものとする。
一方、特図決定乱数が取り得る残りの半分の乱数範囲(128〜255)には、「通常小当り」よりも遊技者にとって有利な種類の小当りが設定されている。例えば、図16中の上から2段目に表示された小当り図柄(特図決定乱数が128〜170の場合)に対しては、羽根入球口102を1秒間だけ開口させ、1秒間だけ閉鎖し、もう一度1秒間だけ開口させる態様で小当り遊技を行う旨が設定されている。また、図16中の上から3段目に表示された小当り図柄(特図決定乱数が171〜213の場合)に対しては、羽根入球口102を3秒間、1回だけ開口させる態様で小当り遊技を行う旨が設定されている。尚、これらの態様の小当り遊技から発展した大当り遊技は、通常小当りの場合と同様に、7ラウンドの大当り遊技が行われる。更に、図16中の最下段に表示された小当り図柄(特図決定乱数が214〜255の場合)に対しては、小当り遊技の態様は通常小当りと同じであるが、小当り遊技から大当り遊技に発展した場合には、15ラウンドの大当り遊技を行う旨が設定されている。
このように本実施例のパチンコ機1では、4つの小当り図柄が設けられており、小当り図柄毎に、通常小当り、あるいは通常小当りよりも遊技者に有利な各種の小当りが設定されている。本実施例では、図16中で上から二段目の小当り図柄、すなわち、羽根入球口102を2回開口させる態様の小当りが、特定小当りに設定されている。尚、特定小当りは、遊技者にとって有利な小当りであれば良く、図16中の最上段の図柄を除いて、他の図柄による何れの小当りを、特定小当りとすることも可能である。
図13に示した特別図柄当否判定処理のS3314では、先にS3312で決定した小当り図柄が、図16の上から二段目に示した特定小当り図柄であるか否か、換言すれば、小当り図柄を決定するための特図決定乱数が「128」〜「170」の範囲にあるか否かを判断する。そして、特定小当り図柄であった場合には(S3314:yes)、特定小当りフラグをONに設定する(S3316)。ここで特定小当りフラグとは、上述した特定小当り図柄によって小当り遊技が行われることを示すフラグであり、小当り遊技の終了後に特定小当りフラグがONになっていれば、その小当り遊技は、特定小当り図柄が停止表示されたことによって行われたことを表している。特定小当りフラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが設定されており、特定小当りフラグがONになると、そのアドレスに「1」が設定され、特定小当りフラグがOFFになると、そのアドレスに「0」が設定される。これに対して、S3312で決定された小当り図柄が特定小当り図柄でなかった場合は(S3314:no)、特定小当りフラグをONに設定することなく、図13の特別図柄当否判定処理を終了して、図11に示した特別図柄遊技処理に復帰する。
一方、図13に示した特別図柄当否判定処理のS3308において、当否判定結果が小当りでもないと判断された場合は(S3308:no)、特図当否判定乱数と共に取得された特図決定乱数を読み出して(S3314)、停止表示させる外れ図柄を決定する処理を行う(S3316)。
図17は、外れ図柄を決定する際に参照する外れ図柄決定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、外れ図柄決定テーブルにも、特図決定乱数に対応付けて、外れ図柄が設定されており、先に読み出しておいた特図決定乱数から、外れ図柄を決定することができる。
図13に示した特別図柄当否判定処理では、以上のようにして、特図当否判定乱数および特図決定乱数に基づいて、特別図柄の当否判定結果、および当否判定結果に応じて特別図柄の停止図柄を決定した後、図11の特別図柄遊技処理に復帰する。
図11に示されているように、特別図柄遊技処理では、特別図柄当否判定処理(S330)から復帰すると、変動パターン設定処理を開始する(S340)。変動パターンとは、特別図柄をどのような態様で変動させるかについてのパターンであり、柄変動パターンを決定すると、特別図柄を変動表示させる時間(変動時間)が決定されるようになっている。詳細には後述するが、変動パターン設定処理では、複数の変動パターンが記憶されている変動パターンテーブルを参照して、その中から1つの変動パターンを選択することによって設定されている。選択される変動パターンは抽選によって決定されるため、選択される変動パターンは毎回異なっており、従って、特別図柄の変動時間も、毎回異なっている。しかし、本実施例のパチンコ機1では、小当り遊技で大当り遊技を発生させることができなかった場合には、通常とは異なる態様で変動パターンを決定する。こうすることにより、遊技者が遊技に対する興趣を冷ましてしまうことを回避可能となっている。
図11に示すように特別図柄遊技処理では、特別図柄の変動パターンを設定すると(S340)、特別図柄の変動表示を開始するとともに(S342)、変動パターンを指定するコマンド(変動パターン指定コマンド)および特別図柄の停止図柄を指定するコマンド(停止図柄指定コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力する(S343)。ここで、特別図柄の停止図柄は、特別図柄当否判定処理(S330)で既に決定されており、特別図柄の変動パターンは、変動パターン設定処理(S340)で既に決定されている。変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを出力したら(S343)、特別図柄保留数から1を減算する(S344)。その結果、特別図柄の保留が1つ消化されたことになる。その後、図11の特別図柄遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
以上、特別図柄が変動表示していない場合(すなわち、図11のS322:noの場合)に、特別図柄遊技処理で行われる詳細な処理について説明した。一方、特別図柄が変動中に、図11および図12に示す特別図柄遊技処理が開始された場合は、最初に行うS322の判断で、特別図柄が変動中であると判断される(S322:yes)。この場合は、既に、特別図柄の当否判定が行われ(S330)、特別図柄の変動パターンが設定されて(S340)、特別図柄の変動表示が開始されている場合に該当する。そこで、変動パターンに対応する変動時間が経過したか否かを判断する(S348)そして、変動時間が未だ経過していない場合は(S348:no)、そのまま図11および図12に示す特別図柄遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S348:yes)、変動表示している特別図柄を停止表示することを示すコマンド(図柄停止コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力した後(S350)、図柄表示装置28の特別図柄表示部30で変動表示している特別図柄を停止表示させる(S351)。このとき停止表示される特別図柄は、図13を用いて前述した特別図柄当否判定処理中で決定した特別図柄である。次いで、特別図柄を停止表示させる時間(停止表示時間)を設定して(S352)、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する(S354)。そして、停止表示時間が経過していなければ(S354:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図9に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S354:yes)、停止表示された特別図柄が大当り図柄か否かを判断する(図12のS356)。そして、大当り図柄であると判断された場合は(S356:yes)、大当りフラグをONに設定した後(S362)、大当り遊技の開始を指定するコマンド(大当り開始コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S364)。ここで、大当りフラグとは、大当り遊技中であることを示すフラグである。大当りフラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが割り当てられており、大当り遊技が開始されると、大当りフラグがONに設定される。
また、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技中は、時短機能や開口時間延長機能は働かないこととしている。ここで、時短機能とは、図柄表示装置28の普通図柄表示部29で普通図柄が変動表示される時間を短縮する機能である。また、開口時間延長機能とは、チューリップ式の始動口17の開口時間を延長する機能であり、時短機能が作動すると、開口時間延長機能も作動するようになっている。そこで、大当りフラグをONに設定して大当り開始コマンドを出力したら(S362,S364)、時短フラグがONに設定されているか否かを判断する(S368)。ここで、時短フラグとは、時短機能が作動しているか否かを示すフラグである。上述した大当りフラグと同様に、時短フラグも主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレス(大当りフラグとは異なるアドレス)が割り当てられており、時短機能が作動すると、時短フラグがONに設定される。
S368において、時短フラグがONに設定されていると判断された場合は(S368:yes)、時短機能および上述した開口延長機能が作動しているから、これらの作動を停止させるべく、時短フラグをOFFに設定した後(S370)、開口延長フラグもOFFに設定する(S372)。ここで、開口延長フラグとは、上述した開口時間延長機能が作動しているか否かを示すフラグである。上述した大当りフラグや時短フラグと同様に、開口延長フラグも主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレス(大当りフラグや時短フラグとは異なるアドレス)が割り当てられており、開口時間延長機能が作動すると、開口延長フラグがONに設定される。
これに対して、時短フラグがONに設定されていなかった場合は(S368:no)、時短機能も開口時間延長機能も作動しておらず、時短フラグや開口延長フラグはOFFになっているので、そのまま、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
以上、図柄表示装置28で停止表示された特別図柄が、大当り図柄であった場合(S356:yes)の処理について説明したが、停止表示された特別図柄が大当り図柄ではなかった場合は(S356:no)、小当り図柄か否かを判断する(S374)。そして、小当り図柄であった場合は(S374:yes)、小当り遊技を開始するべく、小当りフラグをONに設定する(S376)と共に、小当り遊技の開始を指定する小当り開始コマンドを、サブ制御基板220に向かって出力する(S378)。ここで、小当りフラグとは、小当り遊技が開始されるとONに設定されるフラグであり、前述した大当りフラグや時短フラグなどと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが、小当りフラグとして割り当てられている。
以上では、停止表示する特別図柄が小当り図柄であると判断された場合(S374:yes)に行われる処理について説明したが、停止表示する特別図柄が小当り図柄でないと判断された場合は(S374:no)、小当りフラグをONに設定したり(S376)、小当り開始コマンドを出力したりする処理(S378)は不要なのでスキップする。
次いで、時短フラグがONに設定されているか否かを判断し(S380)、時短フラグがONに設定されていないと判断された場合(時短中ではないと判断された場合)は(S380:no)、そのまま、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。これに対して、時短フラグがONに設定されていると判断された場合(時短中と判断された場合)は(S380:yes)、時短中の特別図柄の変動回数を計数した後(S382)、変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(S384)。そして、変動回数が所定回数(例えば100回)に達していた場合は(S384:yes)、時短機能および始動口17の開口時間延長機能の作動を停止させるべく時短フラグおよび開口延長フラグをOFFに設定した後(S370、S372)、図11および図12に示した特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の変動回数が、未だ所定の時短遊技回数に達していなければ(S384:no)、時短状態を維持したまま、特別図柄遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。
尚、図柄表示装置28の特別図柄が変動表示中であるか否かを判断し、変動表示中でない場合は、特別図柄の変動表示を開始する処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図11に示した特別図柄遊技処理を実行することによって実現されている。また、図柄表示装置28で変動表示している特別図柄を、大当り図柄、小当り図柄、外れ図柄の何れかで停止表示させる処理も、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図11に示した特別図柄遊技処理を実行することによって実現されている。従って、本実施例においては、主制御基板200のCPU201が、本発明における「図柄変動開始手段」および「図柄停止手段」に対応している。
C−2.小当り遊技関連の処理 :
図9に示すように、遊技制御処理では特別図柄遊技処理から復帰すると、小当り遊技に関連する処理を開始する。すなわち、先に行われた特別図柄遊技処理の中で小当りフラグがONに設定されたか否かを判断し(S390)、現在、小当りフラグがONに設定されていた場合には(S390:yes)、以下に説明する小当り遊技処理を開始する(S400)。これに対して、小当りフラグがONに設定されていないと判断された場合は(S390:no)、小当り遊技処理は不要であるのでスキップする。
図18は、本実施例のパチンコ機1が小当り遊技を行うために実行する小当り遊技処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図19は、小当り遊技処理の後半部分を示すフローチャートである。これらの処理は、図9に示した遊技制御処理の中で主制御基板200によって実行される処理である。
小当り遊技処理を開始すると、先ず初めに、羽根入球口102が開口中か否かを判断する(S402)。上述した特別図柄遊技処理によって小当り遊技が開始された直後は、図11および図12を用いて前述した特別図柄遊技処理のS376において、小当りフラグがONに設定されただけであり、羽根入球口102は未だ開口していないから、S402では「no」と判断される。続いて、小当り遊技の終了条件が成立したか否か、すなわち、小当り図柄に応じて定まる回数だけ羽根入球口102が開口したか否かを判断する(S408)。図18の小当り遊技処理が開始された直後は、当然ながら、小当り遊技の終了条件は成立していないから、S408では「no」と判断され、次に、羽根入球口102の閉鎖時間が経過したか否かが判断される(S410)。ここで、閉鎖時間とは、羽根入球口102を複数回開口する場合に、羽根入球口102を閉鎖してから次に開口するまでの間に、閉鎖したままの状態で保っておく時間である。従って、図18の小当り遊技処理が開始された直後は、閉鎖時間が経過したと判断されて(S410:yes)、羽根入球口102を開口させた後(S412)、図18に示す小当り遊技処理を一旦終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。そして、図9に示すように、賞球関連処理(S50)、普通図柄遊技処理(S150)、普通電動役物停止処理(S200)、特別図柄遊技処理(S320)などの一連の処理を行った後、再び図18の小当り遊技処理を開始すると、S402において、羽根入球口102が開口中と判断される(S402:yes)。
小当り遊技処理を開始した際に、羽根入球口102が開口中と判断されると(S402:yes)、今度は、羽根入球口102の開口時間が経過したか否かを判断する(S404)。ここで、羽根入球口102の開口時間とは、図16に示されるように、小当り図柄に応じて予め定められている羽根入球口102の開口時間である。羽根入球口102の開口時間が経過していない場合は(S404:no)、そのまま小当り遊技処理を抜けて、図9の遊技制御処理に復帰する。そして、図9に示すように、賞球関連処理(S50)、普通図柄遊技処理(S150)、普通電動役物停止処理(S200)、特別図柄遊技処理(S320)などの一連の処理を行った後、再び図18の小当り遊技処理を開始して、羽根入球口102の開口時間が経過したか否かを判断する(S404)。こうした処理を繰り返しているうちに、やがて羽根入球口102の開口時間が経過したと判断されたら(S404:yes)、羽根入球口102を閉鎖する(S406)。
続いて、小当り遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S408)。図16に示されるように小当り遊技の終了条件は、小当り図柄に応じて定まる回数だけ羽根入球口102が開口したか否かによって判断される(S408)。例えば、羽根入球口102の開口回数が1回に設定されている小当り遊技であれば(図16参照のこと)、羽根入球口102が開口して、開口時間が経過したと判断された時点(S404:yes)で、小当り遊技の終了条件が成立していることになる。
羽根入球口102を閉鎖した段階(S406)で、小当り遊技の終了条件が成立していないと判断された場合は(S408:no)、羽根入球口102の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S410)。そして、閉鎖時間が経過していないものと判断された場合は(S410:no)、図18に示す小当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。一方、羽根入球口102の閉鎖時間が経過したものと判断された場合は(S410:yes)、羽根入球口102を開口させた後(S412)、図18に示す小当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
このような処理を繰り返しているうちに、やがて、小当り遊技の終了条件が成立したと判断されるので(S408:yes)、小当り遊技を終了するべく、小当りフラグをOFFに設定すると共に(図19のS414)、小当り遊技の終了を指定する小当り終了コマンドを、サブ制御基板220に向かって出力する(図19のS415)。
続いて、羽根入球口102の開口中に、遊技球が羽根入球口102から入球したか否かを判断する(S416)。図3を用いて前述したように、開口した羽根入球口102の直ぐ下流には羽根入球スイッチ102sが設けられており、羽根入球口102から入球した遊技球は必ず羽根入球スイッチ102sで検出されるようになっている。このため、小当り遊技中に羽根入球スイッチ102sで遊技球が検出されたか否かによって、遊技球が入球したか否かを容易に判断することができる。
その結果、小当り遊技中に羽根入球口102から遊技球が入球したと判断された場合は(S416:yes)、それら遊技球が全て排出されたか否かを判断する(S418)。図3を用いて前述したように、羽根入球口102から入球した遊技球は、クルーン136によって特定領域141aまたは非特定領域141bの何れかに振り分けられる。そして、特定領域141aに振り分けられた場合には、特定領域通過スイッチ141cで検出された後、中央装置100の外部に排出され、非特定領域141bに振り分けられた場合には、非特定領域通過スイッチ141dで検出された後、中央装置100の外部に排出されるようになっている。従って、特定領域通過スイッチ141cおよび非特定領域通過スイッチ141dで検出された遊技球数を加算して、羽根入球口102から入球した遊技球数と比較することにより、全ての遊技球が排出されたか否かを判断することができる。その結果、未だ全ての遊技球は排出されていないと判断された場合は(S418:no)、中央装置100の中に遊技球が残っていることになるので、S418の判断を繰り返しながら待機状態となる。
こうして判断を繰り返しているうちに、やがて全ての遊技球が排出されたと判断されるので(S418:yes)、今度は、小当り遊技終了時の待機時間が経過したか否かを判断する(S420)。ここで、小当り遊技終了時の待機時間とは、小当り遊技を終了して次の遊技を開始するまでの間に設けられた待機時間であり、本実施例では、「0.1秒」が設定されている。この待機時間が経過していない場合は(S420:no)、判断を繰り返しながら、待機時間が経過するまで待機状態となる。そして、小当り遊技終了時の待機時間が経過したら(S420:yes)、遊技球が特定領域141a(図3を参照)を通過したか否かを判断する(S422)。特定領域141aを通過したか否かは、特定領域通過スイッチ141cで遊技球が検出されたか否かに基づいて容易に判断することができる。
その結果、遊技球が特定領域141aを通過したと判断された場合は(S422:yes)、大当り遊技を開始するべく、大当りフラグをONに設定して(S424)、大当り開始コマンドを出力する(S426)。続いて、特定小当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S428)。ここで、前述したように特定小当りフラグとは、その小当り遊技が特定小当り図柄によって開始されたものであるか否かを示すフラグである。特定小当りフラグがONに設定されていた場合は(S428:yes)、その小当り遊技で大当り遊技が発生したのであるから、特定小当りフラグをOFFに設定した後(S430)、図18および図19の小当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。これに対して、特定小当りフラグがONに設定されていない場合は(S428:no)、特定小当りフラグをOFFに設定する処理は不要であるので、そのまま図18および図19の小当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
以上は、小当り遊技によって大当り遊技が開始される場合(すなわち、S416で「yes」と判断され、なお且つ、S422で「yes」と判断された場合)の処理について説明した。これに対して、小当り遊技によって大当り遊技が開始されなかった場合(すなわち、S416で「no」と判断されるか、あるいは、S422で「no」と判断された場合)には、次のような処理を行う。
先ず、特定小当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S432)。特定小当りフラグがONに設定されていない場合は(S432:no)、その小当り遊技は、特定小当り図柄によって開始されたものではないと判断されるので、この場合は、そのまま図18および図19の小当り遊技処理を終了する。これに対して、特定小当りフラグがONに設定されていた場合は(S432:yes)、その小当り遊技が特定小当り図柄によって開始されたものであると判断される。そこで、この場合は、特定モードフラグをONに設定する(S434)。すなわち、特定モードフラグは、特定小当り図柄による小当り遊技が開始されたが、遊技球を羽根入球口102に入球させることができなかった場合(S416:no)、あるいは遊技球が羽根入球口102には入球したが、特定領域141aを通過させることができなかった場合(S422「:no)に、ONに設定されるフラグである。そして、特定モードフラグがONに設定されると、特定モードが開始されて、前述した特別図柄の変動パターンを決定する際に、特殊な態様で決定されるようになる。この点については、後ほど詳しく説明する。
こうして、特定小当りフラグがONに設定されていた場合には(S432:yes)、特定モードフラグをONに設定して(S434)、特定小当りフラグの設定をOFFに戻した後(S436)、図18および図19に示す小当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
尚、特別図柄が小当り図柄で停止表示された場合に開始される小当り遊技は、主制御基板200のCPU201が、上述した小当り遊技処理を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明における「小当り遊技実行手段」に対応するものとなっている。
C−3.大当り遊技関連の処理 :
図9に示すように、遊技制御処理では小当り遊技処理から復帰すると、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S450)。大当りフラグは、図11および図12を用いて前述した特別図柄遊技処理の中で大当り図柄が停止表示されることによってONに設定される場合(図12のS362)と、上述した図18の小当り遊技処理の中で遊技球が特定領域141aを通過することによってONに設定される場合(図19のS424)とが存在している。そこで、図9に示した遊技制御処理では、特別図柄遊技処理(S320)および小当り遊技処理(S400)が終了した後に、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S450)。そして、大当りフラグがONに設定されていた場合には(S450:yes)、以下に説明する大当り遊技処理を開始する(S500)。これに対して、大当りフラグが設定されていない場合は(S450:no)、大当り遊技処理は不要であるのでスキップする。
図20は、本実施例のパチンコ機1が大当り遊技を行うために実行する大当り遊技処理を示すフローチャートである。かかる処理は、図9に示した遊技制御処理の中で主制御基板200によって実行される処理である。
大当り遊技処理(S500)を開始すると、先ず初めに、大入賞口31dが開口中か否かを判断する(S502)。大当り遊技処理が開始された直後は、大当りフラグがONに設定されているだけで大入賞口31dはまだ開口していないから、S402では「no」と判断されて、大当り遊技の終了条件が成立したか否かが判断される(S508)。大当り遊技の終了条件は、所定回数のラウンド遊技が終了したか否かによって判断される。ここでラウンド遊技とは、大当り遊技中に大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの間に行われる遊技である。図15に示したように、大当り図柄が停止表示されることによって開始された大当り遊技は、ラウンド遊技回数は15回に設定されている。また、小当り遊技を経て開始された大当り遊技は、小当り遊技を開始することとなった小当り図柄に応じて、図16に示したように、7回あるいは15回のラウンド遊技回数に設定されている。S508では、大当り遊技で行われたラウンド遊技の回数が所定回数に達したか否かを判断して、達していれば、大当り遊技の終了条件が成立したと判断され(S508:yes)、達していなければ、終了条件が成立していないと判断されることになる(S508:no)。
図20の大当り遊技を開始した直後は、当然ながらラウンド遊技回数は15回に達していないので、S508では「no」と判断され、続いて、大入賞口31dの閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S510)。ここで大入賞口31dの閉鎖時間とは、ラウンド遊技とラウンド遊技との間で、大入賞口31dを閉鎖しておく時間である。大当り遊技を開始した直後は、当然ながら、閉鎖時間は経過したものと判断されて(S510:yes)、大入賞口31dを開口させた後(S512)、図20に示す大当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。そして、次に図20の大当り遊技処理を開始した際には、S502において、大入賞口31dが開口中と判断され(S502:yes)、今度は、大入賞口31dの開口終了条件が成立したか否かを判断する(S504)。大入賞口31dの開口終了条件としては、所定の開口時間が経過したか、あるいは開口中の大入賞口31dに規定個数(例えば10個)の遊技球が入球することが条件として設定されている。当然ながら、大入賞口31dが開口した直後は、開口終了条件は成立していないから(S504:no)、図20に示す大当り遊技処理を終了して図9の遊技制御処理に復帰する。そして、再び大当り遊技処理を開始すると、大入賞口31dが開口しているか否か(S502)、および開口している大入賞口31dの開口終了条件が成立したか否かを判断し(S504)、開口終了条件が成立していなければ(S504:no)、再び図20の大当り遊技処理を終了して図9の遊技制御処理に復帰する。
このような処理を繰り返しているうちに、やがて大入賞口31dの開口終了条件が成立したと判断されるので(S504:yes)、大入賞口31dを閉鎖した後(S506)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S508)。前述したように大当り遊技の終了条件としては、予め定められたラウンド遊技回数を終了することが条件として設定されている。大当り遊技の終了条件が成立していない場合は(S508:no)、大入賞口31dの閉鎖時間が経過したか否かを判断し(S510)、閉鎖時間が経過していなければ(S510:no)、そのまま図20の大当り遊技処理を終了して図9の遊技制御処理に復帰する。一方、大入賞口31dの閉鎖時間が経過したと判断されたら(S510:yes)、大入賞口31dを再び開口させた後(S512)、図20に示す大当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。
以上のようにして、大入賞口31dの閉鎖(S506)と開口(S512)とを繰り返しているうちに、やがて、予め定められたラウンド遊技回数を消化して、大当り遊技の終了条件が成立したと判断されるので(S508:yes)、大当り遊技を終了するべく、大当りフラグをOFFに設定すると共に(S514)、大当り遊技の終了を指定するコマンド(大当り終了コマンド)をサブ制御基板220に出力する(S515)。続いて、時短フラグをONに設定して(S516)、時短回数を100回に設定し(S518)、更に開口延長フラグをONに設定した後(S520)、図20の大当り遊技処理を終了して、図9の遊技制御処理に復帰する。この結果、大当り遊技の終了後は、前述した時短機能および開口延長機能が作動して、いわゆる時短遊技が開始されることになる。
尚、特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合、あるいは小当り遊技中に遊技球が特定領域141aを通過した場合に開始される大当り遊技は、主制御基板200のCPU201が、上述した大当り遊技処理を実行することによって行われている。従って、本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明における「大当り遊技実行手段」に対応するものとなっている。
以上に詳しく説明したように、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄に大当り図柄と、小当り図柄と、外れ図柄とが設けられており、大当り図柄が停止表示した場合には、遊技者にとってたいへんに有利な大当り遊技が開始され、小当り図柄が停止表示した場合には、小当り遊技が開始されるようになっている。小当り遊技は羽根入球口102が開口するだけで、遊技者にとっては、それほど有利な遊技状態というわけではないが、小当り遊技中に羽根入球口102から遊技球が入球して、中央装置100内の特定領域141aを通過すると大当り遊技が開始される。このように、2通りの方法で大当り遊技を発生させることが可能となっている。
もっとも、図14に示したように、大当り図柄が停止表示される確率は低く設定されているため、ほとんどの場合は小当り図柄が停止表示されて、小当り遊技が開始される。しかし、小当り遊技から大当り遊技を開始するためには、羽根入球口102が開口している間に遊技球を入球させなければならない。更に、羽根入球口102に遊技球を入球させることができても、その遊技球を特定領域141aに通過させなければ、大当り遊技を開始することはできない。このため、小当り遊技を何度繰り返しても、大当り遊技を開始することができずに、遊技者が遊技に対する興趣を失ってしまう虞がある。そこで、本実施例のパチンコ機1では、小当り遊技で大当り遊技を開始することができなかった場合でも、遊技者が興趣を冷ましてしまうことがないように、特別図柄の変動パターンを、次のような特殊な処理を行うことによって決定している。以下、本実施例のパチンコ機1で、特別図柄の変動パターンを決定する処理について説明する。
D.本実施例の変動パターン設定処理 :
図21は、本実施例のパチンコ機1で行われる変動パターン設定処理の一部を示したフローチャートである。また、図22は、本実施例のパチンコ機1で行われる変動パターン設定処理の残りの部分を示したフローチャートである。これらの処理は、図11を用いて前述した特別図柄遊技処理の中で、特別図柄の当否判定処理(S330)が行われた後に、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。変動パターン設定処理では、先ず初めに、特別図柄の当否判定結果が、大当りか否かを判断する(S3400)。その結果、大当りであると判断された場合は(S3400:yes)、大当り用の変動パターンテーブルを選択する(S3402)。ここで、変動パターンテーブルとは、複数種類の変動パターンが記憶されたテーブルである。また、変動パターンテーブルには、大当り用のテーブル、外れ用のテーブルなど、種々のテーブルが設定されており、これらの変動パターンテーブルは、主制御基板200に搭載されたROM202に予め記憶されている。図21のS3402では、主制御基板200のROM202に記憶されている大当り用の変動パターンテーブルを読み出す処理を行う。
図23は、大当り用の変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示するように、大当り用の変動パターンテーブルには、当否判定結果が大当りの場合に用いられる4種類の変動パターン(HP01、HP02,HP03,HP04)が記憶されている。また、図示されるように、それぞれの変動パターンには変動時間が設定されている。更に、各変動パターンには、固有の乱数範囲が割り当てられている。例えば、HP01という変動パターンには、8.3秒の変動時間が設定されていると共に、0〜25の乱数範囲が割り当てられている。このように、変動パターンに乱数が対応付けられているために、乱数を1つ取得して変動パターンテーブルを参照することによって、大当りの場合に用いられるHP01〜HP04の変動パターンの中から何れかの変動パターンを決定することが可能となる。尚、変動パターンを決定するために用いられる乱数は、変動パターン決定乱数と呼ばれる。
こうして大当り用の変動パターンテーブルを選択したら(S3402)、変動パターン決定乱数を取得した後(S3404)、選択した変動パターンテーブル(ここでは大当り用の変動パターンテーブル)を参照することによって、変動パターンを決定する(S3406)。
これに対して、変動パターン設定処理を開始したときに、当否判定結果が大当りではないと判断された場合は(S3400:no)、当否判定結果が外れか否かを判断する(S3408)。そして、外れと判断された場合は(S3408:yes)、今度は、時短フラグがONに設定されているか否かを判断する(S3410)。ここで、時短フラグとは、前述した時短機能が作動しているか否かを示すフラグであり、時短機能が作動している場合は、時短フラグがONに設定されている。そこで、時短フラグがONに設定されていない場合は(S3410:no)、通常外れ用の変動パターンを選択する(S3412)。これに対して、時短フラグがONに設定されている場合は(S3410:yes)、時短外れ用の変動パターンテーブルを選択する(S3414)。すなわち、前述したように、時短機能が作動すると、特別図柄の変動時間が短縮されるので、時短フラグがONに設定されている場合は、変動時間が短めの変動パターンが設定された変動パターンテーブル(時短外れ用の変動パターンテーブル)を選択し、逆に、時短フラグがONに設定されていない場合は、通常の変動時間の変動パターンが設定された変動パターンテーブル(通常外れ用の変動パターンテーブル)を選択するのである。
尚、本実施例のパチンコ機1では、通常外れ用の変動パターンテーブルは、図23に示した大当り用の変動パターンテーブルと同じテーブルが使用されている。従って、図21のS3412では、大当り用の変動パターンテーブルを、通常外れ用の変動パターンテーブルとして読み込む処理を行う。
図24は、時短外れ用の変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されるように、時短外れ用の変動パターンテーブルにも、HP11〜HP14の4種類の変動パターンが記憶されており、各変動パターンには、乱数範囲が割り当てられている。また、図23に示した通常外れ用の変動パターンテーブル(大当り用の変動パターンテーブル)と比較すれば明らかなように、時短外れ用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンは、通常外れ用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンよりも、変動時間の短い変動パターンとなっている。図21のS3414では、このような時短外れ用の変動パターンテーブルとして読み込む処理を行う。
特別図柄の当否判定結果が外れと判断された場合には(S3408:yes)、以上のようにして、通常外れ用あるいは時短外れ用の何れかの変動パターンテーブルを選択した後(S3412,S3414)、変動パターン決定乱数を取得する(S3416)。そして、選択した変動パターンテーブルを参照しながら、変動パターン決定乱数を用いて変動パターンを1つ決定する(S3406)。
以上では、特別図柄の当否判定結果が大当りであった場合(S3400:yes)、または外れであった場合(S3408:yes)に、変動パターンを決定する処理について説明した。これに対して、当否判定結果が大当りでも外れでもないと判断された場合は(S3408:no)、当否判定結果は小当りということになる。本実施例のパチンコ機1では、小当りの場合には、次のようにして変動パターンを決定している。
先ず、特定モードフラグの設定を確認する(図22のS3418)。特定モードフラグとは、現在の遊技モードが特定モードであるか否かを示すフラグである。また、特定モードとは、特定小当り図柄によって小当り遊技を開始したにも関わらず、大当り遊技を開始することができなかった場合に開始される特別な遊技モードである。図18および図19を用いて前述したように、小当り遊技で大当り遊技を開始することができなかった場合には、特定小当りフラグがONに設定されているか否か(すなわち、その小当り遊技が特定小当り図柄によって開始されたものであるか否か)が判断され、そして特定小当りフラグがONに設定されていた場合(すなわち、その小当り遊技が特定小当り図柄によって開始されていた場合)には、特定モードフラグがONに設定されている(図19のS434)。そこで、変動パターン設定処理では、当否判定結果が大当りでも外れでもなかった場合(すなわち小当りであった場合)には(図21のS3408:no)、特定モードフラグがONに設定されているか否かを判断するのである(図22のS3418)。
その結果、特定モードフラグONに設定されていなかった場合は(図22のS3418:no)、通常時小当り用の変動パターンテーブルを選択する(S3420)。これに対して、特定モードフラグがONに設定されていた場合は(S3418:yes)、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルを選択する(S3422)。ここで、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルとは、特定モード中に小当りが発生した場合に、変動パターンを決定するために用いられる変動パターンテーブルである。また、通常時小当り用の変動パターンテーブルとは、特定モードではない通常時に小当りが発生した場合に、用いられる変動パターンテーブルである。
図25は、通常時小当り用の変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されるように、通常時小当り用の変動パターンテーブルには、HP21〜HP24の4種類の変動パターンが記憶されている。また、各変動パターンには、乱数範囲が割り当てられていると共に、1.2秒から3.2秒の変動時間が設定されている。
図26は、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルを例示した説明図である。特定モード時小当り用の変動パターンテーブルは、他の変動パターンテーブルとは異なり、1種類の変動パターンのみが記憶されている。
従って、本実施例のパチンコ機1では、当否判定結果が小当りであった場合、通常時(特定モードフラグがONに設定されていない場合)には、図25に示す通常時小当り用の変動パターンが選択されて、主制御基板200のROM202から読み出されるが、特定モード時には、通常時小当り用の変動パターンの代わりに、図26に示す特定モード時小当り用の変動パターンが読み出されることになる。
以上のようにして、特定モード時小当り用の何れかの変動パターンテーブルを選択したら(図22のS3422)、特定モードのカウントを「1」加算する(S3424)。ここで、「特定モードカウンタ」とは、特定モードでの遊技消化回数を計数するカウンタである。特定モードカウンタは、主制御基板200に搭載されたRAM203に設定されている。本実施例では、特別図柄が変動表示して停止表示される変動遊技(大当り、小当り、外れの場合を含む)が、所定の規定回数だけ行われると、特定モードが終了するように設定されている。そこで、特定モードカウンタに「1」を加算した後(S3424)、特定モードカウンタが、規定値(本実施例では「8」)に到達したか否かを判定し(S3426)、規定値に到達していた場合は(S3426:yes)、特定モードフラグをOFFにする(S3428)。一方、特定モードカウンタが規定値に到達していなかった場合は(S3428:no)、特定モードフラグをOFFにする処理は行わない。
以上のようにして、通常時小当り用あるいは特定モード時小当り用の何れかの変動パターンテーブルを選択したら、変動パターン決定乱数を取得する(S3430)。そして、選択した変動パターンテーブルを参照しながら、変動パターン決定乱数を用いて変動パターンを1つ決定した後(図21のS3406)、図21および図22に示した変動パターン設定処理を終了して、図11および図12に示す特別図柄遊技処理に復帰する。
尚、図23〜図25に示した変動パターンテーブルには、変動時間に対応する変動パターンが予め複数設定されている。従って、本実施例における変動パターンテーブルは、本発明における「変動時間テーブル」に対応している。また、変動パターンテーブルを参照することによって、変動時間に対応する変動パターンを決定する処理は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、図21および図22に示した変動パターン設定処理を実行することによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「変動時間決定手段」に対応している。更に、小当り遊技が開始されても大当り遊技を開始することができなかった場合に、変動パターンテーブルを変更する処理も、主制御基板200のCPU201が、図21および図22に示した変動パターン設定処理を実行することによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明における「変動時間テーブル変更手段」にも対応している。
前述したように特別図柄遊技処理では、変動パターン設定処理(S340)から復帰すると、特別図柄の変動表示を開始して(図11のS342)、変動パターンに対応する変動時間が経過すると(S348:yes)、変動表示している特別図柄を停止表示する(S351)。その結果、停止表示した特別図柄が大当り図柄であれば(図12のS356:yes)、大当り遊技を開始し(S362,S364)、小当り図柄であれば(S374:yes)、小当り遊技を開始する(S376,S378)。
ここで、図23〜図25に示したように、変動パターンテーブルには複数の変動パターンが記憶されており、各変動パターンには異なる変動時間が設定されているから、特別図柄の変動時間は、変動するたびに毎回異なっている。ところが、特定モード中に小当り図柄が停止表示される場合には、図26に示した特定モード時小当り用の変動パターンテーブルを用いて変動パターンが決定されるので、特別図柄の変動時間が一定時間になる。このため、本実施例のパチンコ機1では、特定モードになると、遊技者が小当り遊技から大当り遊技を発生させ易くなるので、遊技に対する興趣を失ってしまうことを回避することが可能となる。以下では、この点について詳しく説明する。
図27は、小当り用の変動パターンテーブルを切り換えることで、遊技者の遊技に対する興趣を引き付けることが可能な理由を示した説明図である。前述したように、小当り遊技から大当り遊技を発生させるためには、羽根入球口102の内部に設けられた特定領域141aに遊技球を通過させなければならず、そのためには先ず、小当り遊技で開口した羽根入球口102に遊技球を入球させる必要がある。ここで、羽根入球口102の開口するのは、何れかの始動口17,18,19に遊技球が入球して、特別図柄の変動時間が経過し、小当り図柄が停止表示された後となる。また、変動時間は、図柄の変動表示を開始する際に選択される変動パターンによって決定されている。そして、通常時に用いられる小当り用の変動パターンを決定するために用いられるテーブル(通常時小当り用変動パターンテーブル)には、図26に示したように、複数の変動パターンが設定されているため、毎回、異なった変動時間となる。更に、図16に示したように、羽根入球口102の開口態様は小当り図柄に応じて異なっている。このため、結局、何れかの始動口17,18,19に遊技球が入球後、羽根入球口102は、毎回、異なったタイミングで、しかも、異なった態様で開口することになる。
図27(a)には、通常時の場合に、遊技球が始動口17,18,19に入球してから羽根入球口102が開口する様子が、例示されている。図では、(1)〜(8)までの8回分の小当り遊技について、始動口17,18,19に遊技球が入球してから、図柄が変動表示されて、羽根入球口102が開口する様子が示されている。図中に斜線で示した期間が、羽根入球口102が開口している期間となる。図示されるように、通常時の場合には、始動口17,18,19に遊技球が入球した後、羽根入球口102は毎回異なるタイミングで、しかも毎回異なる態様で開口する。このため遊技者は、羽根入球口102が開口するタイミングを予測して遊技球を発射することができない。このように、通常時は毎回異なるタイミング、および、異なる態様で羽根入球口102を開口させることで、常に狙い打ち等が行われて遊技者に有利になり過ぎることを防止できる。しかしながら、このような遊技態様では、羽根入球口102に遊技球が入球するか否かは、半ば運任せになってしまい、羽根入球口102に遊技球を入球させることができなければ、何時まで経っても大当り遊技を開始することができない。
これに対して、特定モードになると、当否判定結果が小当りの場合に、変動パターンを決定するために用いられる変動パターンテーブルが、図26に示した特定モード時小当り用変動パターンテーブルに変更される。図26に示すように、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルには、変動パターンが1種類しか設定されていないので、始動口17,18,19に遊技球が入球してから羽根入球口102が開口するタイミングが、毎回一定となる。
図27(b)には、特定モード時に、遊技球が始動口17,18,19に入球してから羽根入球口102が開口する様子が、例示されている。尚、図27(b)では、羽根入球口102の開口態様は、図27(a)と全く同じ態様であるものとして表示している。図示されているように、羽根入球口102が開口する態様は毎回異なっているが、始動口17,18,19に遊技球が入球してから羽根入球口102が開口するタイミングは、毎回同じタイミングとなる。このため遊技者は、特定モードになると、羽根入球口102が開口するタイミングを予測して遊技球を発射することができるので、羽根入球口102に遊技球を容易に入球させることが可能となり、場合によっては、複数の遊技球を入球させることも可能となる。
このように本実施例のパチンコ機1では、小当り遊技で大当り遊技を開始させることができなかった場合でも、特定モードになると、遊技球を羽根入球口102に入球させることが容易となり、その結果、大当り遊技を発生させることが容易となる。このため、たとえ小当り遊技で大当り遊技を開始することができなかった場合でも、遊技者が遊技に対する興趣を冷ましてしまうことを回避することが可能となる。また、遊技球が始動口17,18,19に入球後、羽根入球口102が開口するタイミングがばらばらであったものが、途中から、毎回同じタイミングで開口するようになるので、小当り遊技に変化を生じさせて、遊技が単調になることを緩和することができる。更に、小当り遊技から大当り遊技を発生させ易くなるので、その意味からも、遊技が単調になることを回避することが可能となる。
尚、ここでは、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルには、変動パターンが1つだけ設定されているものとして説明した。しかし、変動時間が同じであれば、複数の変動パターンが設定されていても良い。更には、完全に同じ変動時間ではなくても、変動時間のバラツキ幅が狭くなっていればよい。すなわち、各変動パターンに設定された変動時間が異なっている場合でも、通常時小当り用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンよりも、変動時間の違いが少なくなければ、それら複数種類の変動パターンが設定されたテーブルを、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルとして用いることも可能である。
また、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンは、変動時間が長めの変動パターンとなっており、始動口17,18,19に遊技球が入球してから、羽根入球口102が開口するまでの時間が長めとなる。ここで、「変動時間が長め」とは、変動パターンに設定されている変動時間の平均が大きな値を取ることを言う。すなわち、通常時小当り用の変動パターンテーブルに設定されている複数の変動パターンの平均変動時間が、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルに設定されている変動パターンの平均変動時間(本実施例では、変動パターンが一つなので、その変動時間)よりも大きな値となるように設定されている。このため、始動口17,18,19に遊技球が入球したことを確認して、羽根入球口102が開口するタイミングを狙って遊技球を発射するまでの間に時間の余裕が生じるので、羽根入球口102に遊技球を入球させることが容易となる。その結果、小当り遊技から大当り遊技を発生させることが、より一層、容易となっている。
加えて、本実施例のパチンコ機1では、小当りの中には、遊技者に有利な小当りである特定小当りが設定されており、この特定小当りの小当り遊技であったにも拘わらず大当り遊技を開始することができなかった場合に、特定モードを開始することとしている。特定小当りは遊技者にとって有利な大当りであるから、特定小当り遊技から大当り遊技を開始することができなかった場合には、遊技者は大きく落胆して遊技に対する興趣を冷ましてしまう虞があるが、この点、本実施例のパチンコ機1では、特定小当り遊技で大当り遊技を発生させることができなかった場合でも、特定モードが開始されて大当り遊技を発生させ易くなっているので、遊技者が遊技に対する興趣を冷ましてしまうことを回避することが可能となる。
E.変形例 :
以上に説明した実施例では、特定モード時に用いられる小当り用の変動パターンテーブル(特定モード時小当り用変動パターンテーブル)は、変動パターンが1種類だけ設定された1つのテーブルのみが設けられているものとして説明した。この場合は、変動パターンテーブルを切り換える際には、変動パターンが1種類だけ設定されたテーブルに、直ちに切り換わることになる。しかし、設定されている変動パターンの個数が異なる複数の特定モード時小当り用の変動パターンテーブルを設けておき、変動パターンテーブルを切り換えるたびに、変動パターンの個数の少ないテーブルに切り換わるようにしても良い。
図28は、変形例で用いられる複数の特定モード時小当り用の変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されているように、図28(a)の変動パターンテーブルには3つの変動パターンが設定されており、図28(b)の変動パターンテーブルには2つの変動パターンが、図28(c)の変動パターンテーブルには1つだけ変動パターンが設定されている。そして、特定小当り遊技で大当り遊技を発生させることができなかった場合には、初めに図28(a)に示した変動パターンテーブルに切り換えてやる。
図28(a)に示した変動パターンテーブルには、3種類の変動パターンが設定されているので、始動口17,18,19に遊技球が入球してから羽根入球口102が開口するまでの時間は、一定にはならないが、それでも、図25に示した通常時小当り用の変動パターンテーブルと比較すれば変動パターンの種類が減少している。このため、変動パターンテーブルを図28(a)のテーブルに切り換えることで、遊技者は、羽根入球口102が開口するタイミングを狙って遊技球を発射し易くなるので、大当り遊技を発生させ易くなる。
それでも、大当り遊技を発生させることができなかった場合には、特定小当り遊技で大当り遊技の発生を逃したことをタイミングで、今度は、図28(b)に示した変動パターンテーブルに切り換える。図28(b)に示した変動パターンテーブルには、2種類の変動パターンしか設定されていないので、始動口17,18,19に遊技球が入球してから羽根入球口102が開口するまでの時間は、2種類の時間しか存在しないので、遊技者は、羽根入球口102に遊技球をより一層入球させ易くなり、大当り遊技を発生させ易くなる。
そして、それでも大当り遊技を発生させることができなかった場合には、特定小当り遊技で大当り遊技の発生を逃したことをタイミングで、図28(c)に示した変動パターンテーブルに切り換える。図28(c)に示した変動パターンテーブルには、1種類の変動パターンしか設定されていないので、始動口17,18,19に遊技球が入球してから羽根入球口102が開口するまでの時間は常に一定となり、遊技者は、羽根入球口102に遊技球を容易に入球させることができ、その分だけ、大当り遊技を発生させ易くなる。
このように変形例のパチンコ機1では、小当り遊技から大当り遊技を発生させることができなかった場合に、段階的に、大当り遊技を発生させ易くなる。このため、たとえ長い間、小当り遊技から大当り遊技の発生を逃し続けたとしても、それに連れて次第に大当り遊技を発生させ易くなるので、遊技者が遊技に対する興趣を失ってしまう虞を回避することが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、特定小当り遊技で大当り遊技を発生させることができなかった場合には、直ちに特定モードフラグがONに設定されて、小当り用の変動パターンテーブルが切り換わるものとして説明した。しかし、特定小当り遊技で大当り遊技を発生させることができなかった回数を計数して、計数値が所定回数に達した場合に、特定モードフラグをONに設定して小当り用の変動パターンテーブルを切り換えるものとしてもよい。また、このような場合には、特定小当り遊技に限定せずに、小当り遊技から大当り遊技の開始を逃したことが何回か続いた場合に、特定モードフラグをONに設定して、小当り用の変動パターンテーブルを切り換えるものとしてもよい。
また、上述した実施例では、特定モードの終了契機を予め定められた所定期間の経過(上述した実施例では特別図柄の8回変動)としたが、特定モードの終了契機は、これに限定されるものではない。例えば、特定モードフラグがONに設定されたときに特定モード実行期間(特別図柄変動回数や遊技時間など)を抽選により決定し、その抽選で決定された実行期間が終了したときでもよい。また、次回の小当り遊技が終了したときでもよい(特定モードを1回だけとする)。また、大当り遊技が発生するまで無期限の特定モードを実行し、大当り遊技の発生に伴い特定モードを終了させるようにしてもよい。
また、上述した実施例では、特定小当り図柄による小当り遊技で大当り遊技を発生させることができなかった場合に、特定モードフラグがONに設定されるものとして説明した。しかし、羽根入球口102に遊技球を入球させることができたにも拘わらず、大当り遊技を開始することができなかった場合には、どのような小当り図柄による小当り遊技であっても、特定モードフラグをONに設定して、小当り用の変動パターンテーブルを切り換えるようにしても良い。羽根入球口102に遊技球を入球させることができたにも拘わらず、大当り遊技を開始することができなかった場合、遊技者が落胆して遊技に対する興趣を冷ましてしまう可能性がある。しかし、このような場合でも、小当り遊技用の変動パターンテーブルを、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルに切り換えてやれば、大当り遊技を発生させ易くなるので、遊技者が遊技に対する興趣を冷ましてしまう虞を回避することが可能となる。なお、1回の小当り遊技で羽根入球口102に遊技球を複数個(2個以上)入球させることができたにも拘わらず、大当り遊技を開始することができなかった場合に上記構成を適用すると、遊技者の多大な落胆感を軽減でき、より効果的である。
また、特定モードフラグをONに設定する契機(小当り用の変動パターンテーブルを切り換える契機)を次のような構成してもよい。すなわち、小当り遊技にて、羽根入球口102に遊技球を入球させ、特定領域に最も近い非特定領域(例えば、1つの特定領域と4つの非特定領域とが円状に均等に配設されている場合においては、特定領域の両側の2つの非特定領域が対象)に遊技球が入球して小当り遊技結果が「ハズレ」になった場合など、僅かな差で大当り遊技を開始することができなかったときに、小当り遊技用の変動パターンテーブルを、特定モード時小当り用の変動パターンテーブルに切り換えることとしてもよい。これにより、遊技者が落胆してしまう小当り遊技の結果であっても、遊技に対する興趣を冷ましてしまう虞を回避することが可能となる。なお、このような制御は、遊技者に有利な特定小当り遊技発生時に行うと、遊技者の多大な落胆感を軽減でき、より効果的である。
更に、上述した実施例では、時短機能が作動しているか否かについては、何ら考慮することなく、特定モードフラグをONに設定するか否かを判断していた。しかし、時短機能が作動している場合には、たとえ、特定小当り図柄による小当り遊技で大当り遊技を発生させることができなかった場合でも、特定モードフラグをONに設定しないこととしても良い。前述したように、時短機能が作動している場合は、開口延長機能も作動しており、既に、遊技者にとっては比較的有利な遊技状態となっている。従って、このような場合には、たとえ小当り遊技から大当り遊技を発生させることができなかったとしても、遊技者が遊技に対する興趣を冷ます可能性は低いと考えられ、このような場合に特定モードフラグをONに設定したのでは、遊技者の遊技に対する興趣を過剰に煽ってしまう可能性もある。そこで、時短機能が作動している場合には特定モードフラグをONに設定しないこととしておけば、遊技者の興趣を過剰に煽ってしまう事態を回避することが可能となる。
また、上述した各実施例に加え、特定小当り遊技での羽根部材の開口タイミングを遊技者に報知するようにしてもよい。例えば、遊技機に設けられる表示装置(液晶など)や、音声装置(スピーカなど)を用いて、特定小当りとなる特別図柄変動中および特別図柄変動停止から羽根部材開口までの時間を報知し、遊技球が特定入球口に入球可能なタイミングで遊技球を発射させるように遊技者に報知を行うこと等が考えられる。この処理は、メイン制御から特定小当りの発生に関する各種情報信号(特別図柄変動時間情報信号や小当り遊技開始信号など)を受けて、サブ制御が行うこととすればよい。このような構成によると、遊技者は特定入球口に遊技球をより入球させ易くなり、効果的に遊技興趣を高めることができる。