JP2010031212A - 低温硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(1)に示すトリアザ環化合物、例えばビスフェノールA、レゾルシノール等のフェノール化合物、及びグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を含有する低温硬化性組成物。
・・・(1)前記式(1)中、Rは炭素数10以下の有機基である。
【選択図】図2
Description
請求項1の発明においては、下記式(1)に示すトリアザ環化合物、フェノール化合物、及びエポキシ樹脂を含有する低温硬化性組成物を提供する。
また、本発明の低温硬化性組成物を熱硬化することにより、強度の高い成形体が得られる。
また、本実施形態における低温硬化性組成物は、200℃以下で硬化が進行し、200℃で確実に硬化できるため、組成物を構成する化合物の劣化や分解が防止できる。
以下、本実施の形態における低温硬化性組成物を構成する化合物について、詳細に説明する。
トリアザ環化合物は、下記式(1)により示される。
Rとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基等の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基;炭素数3〜10のシクロアルキル基等の飽和又は不飽和の環状炭化水素基;炭素数6〜10の置換又は未置換の芳香族炭化水素基;炭素数6〜10の窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を含む置換又は未置換のヘテロ芳香環基等が挙げられる。
具体的には、Rは、メチル基、プロピル基、ブチル基、フルフリル基、アリル基、フェニル基よりなる群から選択されるいずれかの有機基とすることができる。これらは、シアノ基、イソシアネート基、ビニル基からなる群から選択される少なくともいずれかの活性水素を持たない官能基を含んでいてもよい。
モノアミンとしては、炭素数10以下の有機基のアミンであればよく、特に限定されるものではない。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、アリルアミン、フルフリルアミン、アニリン、メチルアニリン、アミノフェニルアセチレン、及びアミノベンゾニトリル等が挙げられる。これらのうち、耐熱性に優れ、かつ低コストであるという観点から、アニリンが好ましい。
フェノール化合物とは、フェノール基を分子中に含む化合物を意味する。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、及びキシレノール等のモノフェノール化合物;ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、及びビスフェノールS等のビスフェノール化合物;各種ノボラック樹脂;フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。
上記の他、一つのベンゼン環に2つ以上のフェノール性水酸基を有するレゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロールや、ナフタレン環に2つ以上のフェノール性水酸基を有するジヒドロキシナフタレンが挙げられる。
これらのうち、耐熱性に優れ、かつ低コストであるという観点からは、ビスフェノールAが好ましく、より低温度領域で硬化可能な組成物が得られるという観点からは、レゾルシノールが特に好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(スキーム1)
(群A)
(群B)
すなわち、本実施形態における低温硬化性組成物を熱硬化することにより、上記(スキーム1)に示したような重合体が得られるものと考えられる。
フェノール官能基が1モル当量より少ない場合には、前記式(1)に示すトリアザ環が開環しないので、低温硬化性組成物が硬化しないおそれがある。
一方、フェノール官能基が5モル当量より多い場合には、架橋密度が低下することにより、ガラス転移点や耐熱分解性等の、耐熱物性が低下するおそれがある。
エポキシ官能基が1モル当量より少ない場合には、前記式(1)に示すトリアザ環が開環して生じたアミノ基と反応するエポキシ基が不足し、架橋密度が低下することにより、ガラス転移点や耐熱分解性等の耐熱物性が低下するおそれがある。
一方、エポキシ官能基が5モル当量より多い場合には、反応に寄与しないエポキシ基が残余し、耐熱物性が低下するおそれがある。
本実施形態における低温硬化性組成物は、上記3成分を機械的に数分間混合することにより製造できる。作製工程は、必要に応じて3成分を溶媒中で混合して行ってもよい。
溶媒としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができるが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
上記3成分の混合工程においては、各種混練機を使用して行ってもよい。混練機としては、例えば、石臼式らいかい機、ボールミル、ロールミル、ニーダー、スクリュー式混練機等が挙げられる。
溶剤の揮発を抑制する観点からは、溶媒成分を加えずに上記3成分を混合することが好ましい。なお、溶媒を使用しない場合、容易に混合できるように、エポキシ樹脂は、常温で液状であることが好ましい。
本実施形態における低温硬化性組成物は、従来公知の方法により成形加工することができる。
例えば、低温硬化性組成物を120〜200℃で30分〜2時間加熱溶融した後に所定の成形処理を施すことにより成形体が得られる。金型等を用いて所望の形状に加工してもよい。
本実施の形態における低温硬化性組成物を用いた成形体は、低温硬化性組成物の加熱硬化機構(スキーム1)に示したように、上記式(1)のトリアザ環化合物とフェノール化合物とが最初に反応し、その結果生じるアミノ基とエポキシ樹脂のエポキシ基とが次いで反応することにより3成分が化学結合し、硬化が進行すると考えられ、非常に強固なものとすることができる。
本実施形態における低温硬化性組成物を用いた成形体は、耐熱性及び機械的強度に優れるため、電気・電子部品、自動車部品、銅張り積層基板、プリント基板、耐火コーティング、複合材マトリクス樹脂等として利用できる。
〔測定方法〕
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMRスペクトル)
測定装置(日本電子社製、型番JNM−ECX)を用いて、1H−NMR(400MHz)、重水素クロロホルム使用し、256回積算し、緩和時間を10秒とした条件下で測定を行った。
熱分析装置(島津製作所社製、型番DSC−60)を用いて、昇温速度を10℃/分とし、窒素中で測定を行った。
熱重量分析装置(島津製作所社製、型番DTG−60)を用いて、昇温速度を10℃/分とし、空気中で測定を行い、5%重量減少する温度を求めた。
5%重量減少する温度は、300℃以上確保できれば、実用上良好であると判断した。
インストロンユニバーサルテスト装置(インストロン(株) Model 5565)を用いて、後述する実施例1、2、比較例1、2のシートを試料片(TypeV ASTM D6−38−03)とし、これを用い、引張速度を1mm/分として測定した。
引張強度は、70MPa以上であれば、実用上良好であると判断した。
(式(1)で示されるトリアザ環化合物の製造)
還流器を取り付けた容量300mLの丸底フラスコに、アニリン(和光純薬)74.4g、37質量%ホルムアルデヒド(和光純薬)64.8g、テトラヒドロフラン(和光純薬)180.0gを加えて攪拌しながら、オイルバスの温度を90℃まで昇温させ、溶媒を還流させながら、30分間反応を継続し、その後、室温まで冷却したところ、合成されたトリアザ環化合物の沈積が確認された。得られたトリアザ環化合物は83gであり、収率は80%であった。
この溶液(沈積した物を含有する液体)を、激しく攪拌している2Lのメタノール中へ投入し、析出した固体をろ過し、その後、さらにメタノールを用いて洗浄し、粉末を得た。
得られた粉末に対し、40℃に加熱した真空オーブン中で24時間の真空乾燥を施し、トリアザ環化合物を得た。
このトリアザ環化合物の1H−NMRスペクトルを上述した(1)の方法により測定したところ、図1に示す結果が得られた。
約4.9ppmの領域にトリアザ環のメチレン基の鋭い共鳴吸収が見られ、トリアザ環化合物が製造されたことが確認された。
上述のようにして製造したトリアザ環化合物10.0g、ビスフェノールA(和光純薬)10.0g、及びBisA型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(25℃で粘度1100cpsの液状エポキシ樹脂、エポキシ基当量186、EPON828、シェル化学(株)製)20.0gを、石臼型らいかい機を用いて10分間混練し、ペースト状の低温硬化性組成物を作製した。
この低温硬化性組成物の熱分析を、上述した(2)の方法によって行い、硬化特性を評価した。図2に熱分析DSC曲線を示す。
上述のようにして製造した低温硬化性組成物を、離型処理が施され、180℃に制御された加熱プレス(東洋精機(株)30t加熱冷却プレス)の間に配置し、5分間放置して増粘させた。
次に、上記加熱プレスにより、10gf/cm2の圧力を加えながら30分加熱硬化処理を行い、その後冷却した。これにより、厚み0.1mmの低温硬化性組成物シートが得られた。
この低温硬化性組成物シートの耐熱分解性(5%重量減少温度)を上記(3)の方法によって測定し、引張強度を上記(4)の方法によって測定した。これらの結果を下記表1に示す。
(低温硬化性組成物の製造)
上述のようにして製造したトリアザ環化合物10.0g、レゾルシノール(和光純薬)5.0g、及びBisA型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(エポキシ基当量186、EPON828、シェル化学(株)製)17.0gを、石臼型らいかい機を用いて10分間混練し、ペースト状の低温硬化性組成物を作製した。
この低温硬化性組成物の熱分析を、上述した(2)の方法によって行い、硬化特性を評価した。図3に熱分析DSC曲線を示す。
上述のようにして製造した低温硬化性組成物を、2枚の離型処理が施されたポリエステルフィルムで挟み、180℃に制御された加熱プレス(東洋精機(株)30t加熱冷却プレス)の間に配置し、5分間放置して増粘させた。
次に、上記加熱プレスにより、10gf/cm2の圧力を加えながら30分加熱硬化処理を行い、その後冷却した。これにより、厚み0.1mmの低温硬化性組成物シートが得られた。
この低温硬化性組成物シートの耐熱分解性(5%重量減少温度)を上記(3)の方法によって測定し、引張強度を上記(4)の方法によって測定した。これらの結果を下記表1に示す。
ベンゾオキサジンB−a(四国化成(株)製)を比較例1とした。
ベンゾオキサジンB−aの熱分析を上述した(2)の方法によって行い、硬化特性を評価した。図2に熱分析DSC曲線を示す。
ベンゾオキサジンB−aを、2枚の離型処理が施されたポリエステルフィルム間で挟み、220℃に制御された加熱プレス(東洋精機(株)30t加熱冷却プレス)の間に配置し、5分間放置して増粘させた。
次に、上記加熱プレスにより、10gf/cm2の圧力を加えながら30分加熱硬化処理を行い、その後冷却した。これにより、厚み0.1mmのベンゾオキサジンB−aのシートが得られた。
このベンゾオキサジンB−aのシートの、耐熱分解性(5%重量減少温度)を上記(3)の方法によって測定し、引張強度を上記(4)の方法によって測定した。これらの結果を下記表1に示す。
(樹脂組成物の製造)
ベンゾオキサジンB−a(四国化成(株)製)10.0gとBisA型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(エポキシ基当量186、EPON828、シェル化学(株)製)10.0gとを、石臼型らいかい機を用いて10分間混練し、ペースト状の樹脂組成物を作製した。
この樹脂組成物の熱分析を、上述した(2)の方法によって行い、硬化特性を評価した。図2に熱分析DSC曲線を示す。
上述したベンゾオキサジンB−a(四国化成(株)製)とBisA型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(エポキシ基当量186、EPON828、シェル化学(株)製)とを混合して作製した樹脂組成物を、2枚の離型処理が施されたポリエステルフィルム間で挟み、220℃に制御された加熱プレス(東洋精機(株)30t加熱冷却プレス)の間に配置し、5分間放置して増粘させた。
次に、上記加熱プレスにより、10gf/cm2の圧力を加えながら30分加熱硬化処理を行い、その後冷却した。これにより、厚み0.1mmの樹脂組成物シートが得られた。
この樹脂組成物シートの耐熱分解性(5%重量減少温度)を上記(3)の方法によって測定し、引張強度を上記(4)の方法によって測定した。これらの結果を下記表1に示す。
一方、実施例1の低温硬化性組成物は、硬化発熱温度が200℃以下であることが分かり、従来技術に比較して低温で硬化可能である。
また、図3に示すように、フェノール類としてレゾルシノールを用いた実施例2の低温硬化性組成物においては、熱分析DSC曲線におけるピーク温度が実施例1よりもさらに低く、低温領域での硬化が可能である。
Claims (5)
- 下記式(1)に示すトリアザ環化合物、フェノール化合物、及びエポキシ樹脂を含有する低温硬化性組成物。
上記式(1)において、Rは炭素数10以下の有機基である。 - 前記式(1)中のRがフェニル基である請求項1に記載の低温硬化性組成物。
- 前記フェノール化合物が、ビスフェノールAである請求項1又は2に記載の低温硬化性組成物。
- 前記フェノール化合物が、レゾルシノールである請求項1又は2に記載の低温硬化性組成物。
- 上記式(1)中のRが、メチル、プロピル、ブチル、フルフリル、アリル、フェニルよりなる群から選択されるいずれかの有機基であり、シアノ基、イソシアネート基、ビニル基からなる群から選択される少なくともいずれかの活性水素を持たない官能基を含んでいてもよい有機基である請求項1に記載の低温硬化性組成物。
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