JP2010029491A - 内視鏡フード及び該内視鏡フードを用いた診断・治療方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】患者に過大な負荷を掛けることなく管腔内に挿入でき、且つ内視鏡による観察や組織切除を行うのに適した内視鏡フードを提供する。前記内視鏡フードを管腔内に挿入し、患者に過大な負荷を掛けることなく、管腔内壁の内視鏡による観察又は組織切除を行う方法を提供する。
【解決手段】透明な可撓性材料からなる両端開口筒状で、一開口端2近傍の周壁3に施術用孔4,…が穿設された内視鏡フード1であって、内視鏡の挿入部に摺動自在且つ回動自在に外嵌装着した後、前記挿入部に沿って管腔内に挿入して用いられる。周壁3を通して管腔内壁の内視鏡観察が可能であって、狭窄部を拡幅して観察することもできる。管腔内壁の一部を施術用孔4,…から内視鏡フード1内に隆起させ組織を切除して、生検に供し又は病変を切除し治療することもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、軟性内視鏡による管腔内の観察及び管腔内壁組織の切除に適した内視鏡フード、並びにその内視鏡フードを用いた診断・治療方法に関する。
軟性内視鏡(以下、内視鏡と略記する)に係る技術進歩の一例として、内視鏡の個体内部に挿入される部分(以下、挿入部と称する)の小径化が挙げられる。小径化によって、気道,食道等の内壁を傷付けるリスクが低減された。内径の小さな管状部に挿入可能となったため、口腔ではなく鼻腔から内視鏡を挿入し、小径の管腔内を観察し若しくは該管腔内の病変を治療し、又はヒト以外の小動物に対して内視鏡術を適用することが可能となっている。
しかし、気道,食道その他の管腔は、必ずしも全ての部位において常に拡張している訳ではなく、例えば、その一部が扁平となり対向する内壁が相互に接触し、狭窄部を生じる場合がある。内視鏡は挿入部先端面から見える視野を観察し、又は該視野内を観察しつつ組織切除,洗浄等の様々な処置を行うものであるから、狭窄部に内視鏡術を適用しても、内壁のごく一部しか見えないために充分な観察や処置ができない。より広い範囲を観察するためには、内視鏡を頻繁に動かして多数の視野で観察する必要があり、内壁の組織を傷付け又は患者に過度の負荷を掛ける虞がある。
斯様な狭窄部の疾病として、例えば、下咽頭癌が挙げられる。下咽頭癌は、その発症率が高いにも関わらず、下咽頭が通常狭窄状態にあるために発見し辛く、発見された時には既に癌が進行している場合が多い(例えば、非特許文献1参照)。内視鏡を挿入すると、咽頭反射による強い嘔気を生じ、患者に過度な負荷を与え又は下咽頭内壁を傷付ける虞があるが、内視鏡術以外に適切な診断及び処置治療の手段に乏しい現状があり、全身麻酔した後に内視鏡術を適用する例が多い(例えば、非特許文献2参照)。この場合においても、内壁の組織を傷付ける虞があることには変わりなく、また、麻酔科医が患者を注意深く観察する必要があるため、現実的には、設備及び人員の整った大規模な病院でしか診断及び処置ができなかった。
内視鏡術を適用する際の補助器具として、例えば、
体の内腔の拡張に用いるための医療器具であって、
少なくとも一つのほぼ透明な部分を具備し、
前記透明な部分が、拡張するための実質的に3.5mmから実質的に30mmまでの寸法の直径を備えた少なくとも一つの外側面を含む、
体の内腔の拡張に用いるための医療器具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
縮径可能なループ部を有する結紮具を、該結紮具のループ部を縮径する手段を備えた結紮装置の先端に取外し可能に取付けた状態で患者の体内に挿入し、該結紮具のループ部を拡径状態で体内壁に生じた患部の周囲に当接させた後、該結紮装置を操作して該結紮具のループ部を縮径することにより該患部を結紮するときに使用する治療用チューブにおいて、少なくとも先端部が透明な素材よりなるチューブ本体と、該チューブ本体の軸方向に貫通して設けられ、内視鏡を挿通するメインルーメンと、前記チューブ本体の先端部の側壁に開設され患部を捕捉する捕捉孔と、該捕捉孔の全周にわたって設けられ、前記結紮具のループ部を拡径状態で収納する結紮具用溝と、前記チューブ本体側壁に設けられ前記結紮具のループ部を該結紮具用溝まで移送するサブルーメンと、該チューブ本体側壁外周面に装着され、膨張して前記捕捉孔の対向側の体内壁に当接し、該捕捉孔を患部に向けて押し付ける押付用バルーンとよりなることを特徴とする治療用チューブが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
菅澤正,「下咽頭癌の治療−現状と今後の課題」,耳鼻咽喉科・頭頸部外科,医学書院,2008年1月,第80巻,第1号,p. 13-23 佐藤靖夫,大森泰,田川崇正,「下咽頭表在癌の手術治療−内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)の経験」,日本耳鼻咽喉科學會會報,2006年,第109巻,p.581-586 特開2006−122674号公報 特開2000−5187号公報
しかしながら、特許文献1に係る透明な拡張器は、狭窄部を拡張して内視鏡で観察するための器具であって、生検のために組織を切除し又は治療を行うことはできない。ガイドワイヤを挿通するための孔が先端に穿設されているものの、当該孔は拡張された狭窄部に内視鏡的処置を行うのに適した位置になく、また小径の孔で内視鏡的処置に充分なサイズを持たないから、生検及び治療の目的に転用することは不可能である。
特許文献2に記載の治療用チューブは、結紮治療のための器具であって、組織を切除するのに適さない。捕捉孔を介して内視鏡による組織の切除を行うことも可能ではあるものの、当該治療用チューブ内には結紮具等の各種部材が存在するため、内視鏡を動かせる範囲が限られ、それら部材を損傷しない様に必要以上の注意を払わなければならない。
当該治療用チューブは、内部に設けられたバルーンによって拡幅され体内壁に当接される構造であって、バルーンを膨張させずに体内に挿通した状態では、治療用チューブの外径は食道,気道等の内腔よりも小さい。例えば下咽頭付近で用いるためには、当該治療用チューブを動かし、バルーンの膨張と収縮を繰り返す必要があるが、下咽頭内壁への異物接触による咽頭反射のために、患者に多大な負荷を与える虞がある。
これらの問題点に鑑み、本発明は、患者に過大な負荷を掛けることなく、気道,食道等の管腔内に挿入でき、且つ内視鏡による観察や組織切除を行うのに適した内視鏡フードを提供することを課題とする。また、前記内視鏡フードを体内に挿入し、患者に過大な負荷を掛けることなく、管腔内壁の内視鏡による観察又は組織切除を行う方法を提供することを課題とする。更には、前記内視鏡フードと内視鏡を用いて、従来困難であった、下咽頭癌の診断及び治療を、再現性高く且つ患者に過大な負荷を掛けず安全に行う方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者は鋭意検討を重ね、筒状物を常に管腔の内壁に当接させることを着想した。筒状物が常に管腔の内壁に当接されている場合、狭窄部が拡幅された状態に維持され、当該筒状物内に内視鏡を挿入し又は当該筒状物内で内視鏡を移動することが容易であり、内視鏡の挿入又は移動によっても管腔内壁を傷付け難い。特に、下咽頭に適用したとき、当該筒状物が常に内壁に当接され下咽頭が拡幅した状態に保たれれば、挿入部の下咽頭内壁への接触による咽頭反射が抑制され、患者の負荷を軽減することが可能となる。
即ち、第1の発明に係る内視鏡フードは、透明な可撓性材料からなる両端開口筒状で、一開口端近傍の周壁に施術用孔が穿設されてなる。
第2の発明は、第1の発明に係る内視鏡フードであって、周壁の少なくとも一部に、軸方向の目盛が付されてなる。
第3の発明は、内径が10mm以上15mm以下、且つ周壁の厚みが2.0mm以上5.0mm以下である、第1又は第2の発明に係る内視鏡フードである。
第4の発明は、透明な可撓性材料からなる両端開口筒状で、一開口端近傍の周壁に施術用孔が穿設された内視鏡フードを、内視鏡の挿入部に摺動自在且つ回動自在に外嵌装着し、内視鏡の挿入部を哺乳類動物の口腔から食道に挿入した後、内視鏡フードを内視鏡の挿入部に沿って摺動させて哺乳類動物の口腔から食道に挿入し、咽頭又は食道の内壁の少なくとも一部に内視鏡フードの周壁を当接させ、該周壁を通して内視鏡観察する診断・治療方法である。
第5の発明は、第4の発明に係る内視鏡フードの使用方法であって、周壁の少なくとも一部に付された軸方向の目盛によって、病変の大きさを測定する診断・治療方法である。
第6の発明は、第4又は第5の発明に係る内視鏡フードの使用方法であって、更に、咽頭又は食道の内壁の少なくとも一部に内視鏡フードの周壁を当接させ、施術用孔から内視鏡フード内に隆起した組織の少なくとも一部を切除する診断・治療方法である。
第7の発明は、内壁が下咽頭の内壁である、第4乃至第6の発明に係る診断・治療方法である。
本発明に係る内視鏡フードは、両端開口筒状で可撓性を有するから、患者に負荷を与えずに外周面を管腔の内壁に当接させると共に、狭窄部を拡幅された状態に保つことができる。その上で、フード内に内視鏡を挿通し、透明な周壁を通して管腔内壁を観察し、又は、施術用孔を介して管腔内壁の組織を切除することができる。施術用孔が一開口端近傍の周壁に穿設されているから、特定部位の組織を切除するために挿入される内視鏡フードの深さを抑制し、患者に与える負荷を軽減できる。
フード内は充分に広く保たれるから、フード内に内視鏡を挿通し又は当該筒状物内で内視鏡を移動することが容易であり、また、内視鏡の挿入又は移動によっても管腔内壁を傷付け難い。例えば下咽頭の様に患者が嘔気を催し易い部位に適用しても、当該フードは管腔内壁に当接されたまま動かないから、異物の接触による嘔気を抑制し患者の負荷を軽減することができる。
第2の発明によれば、周壁に付された目盛によって、管腔内壁の病変の大きさを測定することができる。目盛が周方向に付されていると、当該目盛と病変の位置を合せるためにフードを出し入れして位置調整する必要があるが、本発明の目盛は軸方向に付されているから、フードを出し入れせず単に回転させるのみで病変の大きさを計測でき、患者に過大な負荷を与えることが回避される。
第3の発明に係る内視鏡フードは、内径が10mm以上15mm以下であるから、5〜12.4mmの外径を有する一般的な内視鏡を容易に挿通可能である。周壁の厚みが2.0mm以上5.0mm以下であるから、内視鏡フードの外径はヒト成人の気道又は食道の内径に略等しい12mm以上15mm以下であり、癌を初めとする各種疾病の症例が多発するヒト成人の気道又は食道に対して適用し易い。
第4の発明によれば、本発明に係る内視鏡フードを管腔内にスムーズに導入し、該管腔の内壁を内視鏡観察し、診断することができる。
第5の発明によれば、更に、病変の大きさを計測することができる。
第6の発明によれば、施術用孔を介して、管腔内壁の組織を切除することができる。切除された組織を生検に供して病理検査を行うことができ、また、病変を切除することによって癌を初めとする各種疾病の治療が可能である。
第7の発明によれば、通常、互いに対向する内壁が相互に接触し狭窄状態にある下咽頭を拡幅し、下咽頭内壁を観察して診断し、又は下咽頭内壁の組織を切除することができる。特に、発症例が多いにも係らず、従来発見が困難であった、下咽頭癌の診断及び治療を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、本発明の内視鏡フードについて説明する。図1は、本発明に係る内視鏡フードを示す図面で、(a)は全体斜視図であり、(b)は(a)のX−X線断面端面図である。
本発明に係る内視鏡フード1は、図1に示される様に、透明な可撓性材料からなる両端開口筒状で、一開口端2近傍の周壁3に施術用孔4,…が穿設されてなる。
内視鏡フード1は、透明な可撓性材料からなる。その材質は、内壁を傷付けずに管腔内に挿入可能な程度の可撓性を有する物であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等の合成樹脂,シリコーンゴム,フッ素ゴム等を用いることができる。また、可視光域の特定波長範囲の光を透過し、周壁3を通して観察可能であれば有色であっても良いが、実像を正確に観察できる様、無色であることが好ましい。また、必ずしも周壁3全体が透明である必要は無く、例えば、管腔内に挿入され内視鏡観察に用いられる先端付近のみが透明であっても良い。
内視鏡フード1は、管腔に挿入する際に該管腔の内壁を傷付け難い、両端開口の筒状に形成されている。内視鏡の挿入部6に外嵌可能且つ着脱自在であり、また、予め管腔内に挿入された内視鏡の挿入部6に沿って摺動させることにより、容易に管腔内に挿入できる形状である。内視鏡フード1は、成型によって作成されていても良く、市販のチューブその他の円筒形状の材料を加工して作成されていても良い。
内視鏡フード1の内径は、内視鏡の挿入部6が挿通可能であれば特に限定されないが、5〜12.4mmの外径を有する一般的な内視鏡を容易に挿通可能な10mm以上15mm以下であることが好ましい。内視鏡フード1の長さは、内視鏡の挿入部6の長さと略等しく又は当該長さよりも短ければ特に限定されないが、挿入部6に沿って摺動及び回動が容易な、20cm以上80cm以下であることが好ましい。
開口端2,2のうち少なくとも一方は、外周が面取りされ、管腔内に挿入し易い形状とされている。
周壁3の厚みは特に限定されないが、2.0mm以上5.0mm以下とされていることが好ましい。叙上の通り内視鏡フード1の内径は10mm以上15mm以下とされていることが好ましいが、その場合、周壁3の厚みが2.0mm以上5.0mm以下であれば内視鏡フード1の外径はヒト成人の気道又は食道の内径に略等しい12mm以上15mm以下の範囲内にあり、癌を初めとする各種疾病の症例が多発するヒト成人の気道又は食道に適用し易いからである。
一方の開口端2近傍の周壁3には、施術用孔4,…が穿設されている。施術用孔4,…の形状は特に限定されず、例えば円形状,楕円形状又は任意多角形状であって良いが、内視鏡フード1が脆弱とならない様、略円形状,略楕円形状等の凹稜を持たない形状が好ましい。施術用孔4,…のサイズは特に限定されないが、内視鏡による管腔内壁組織の切除を行い易く、且つ、内視鏡フード1が脆弱とならないサイズとされていることが好ましい。施術用孔4,…の数は特に限定されず、1又は2以上の任意個数であって良いが、内視鏡フード1が脆弱とならず、また、内視鏡フード1の管腔内へのスムーズな挿入を妨げない1以上3以下であることが好ましい。
施術用孔4,…の設けられた端部から内視鏡フード1を管腔内に挿入すると、施術用孔4,…は、管腔内に挿入された内視鏡フード1の最深部付近に位置することとなる。管腔内壁における特定箇所の組織を切除するに際して、内視鏡フード1を挿入する深さを抑制できるから、患者に過度の負担を強いることが回避される。
周壁3には、軸方向の目盛5が付されていて、管腔内壁の病変のサイズを計測するのに用いられる。目盛5の位置は特に限定されないが、目盛5が施術用孔4,…で途切れることの無い様、施術用孔4,…とは異なる周方向の位置に付されていることが好ましく、計測に際して内視鏡フード1の挿入深さを抑制し患者の負担を低減できる様、一方の開口端2近傍の周壁3に設けられていることが好ましい。より好ましくは、開口端2から略同一距離に、施術用孔4,…及び目盛5が設けられる。これによって、内視鏡フード1を回転させるのみで、病変のサイズを計測した後、迅速に前記病変を切除し治療することが可能だからである。
内視鏡フード1を長期間保存する場合には、衛生的に保存するため、オートクレーブ,紫外線照射等によって滅菌した後、密閉容器に封入することが好ましい。内視鏡フード1は、一旦使用したものを充分に洗浄して再利用することもできるが、衛生的な診断及び治療のためには、使用済みの物はその都度廃棄し、常に新たな内視鏡フード1を使用することが好ましい。
次に、本発明の内視鏡フード1の使用方法について、ヒトの下咽頭癌の診断及び治療を例に説明する。図2は、本発明の内視鏡フードの使用方法を示す図面で、(a)は内視鏡のみを中咽頭まで挿入した状態を示す側方視断面図であり、(b)は内視鏡を食道まで、内視鏡フードを上咽頭まで挿入した状態を示す側方視断面図である。図3は、本発明の内視鏡フードの使用方法を示す図面で、(c)は内視鏡及び内視鏡フードを食道まで挿入した状態を示す側方視断面図であり、(d)は内視鏡の先端を下咽頭まで戻した状態を示す側方視断面図である。また、図4は、本発明の内視鏡フードの使用方法を示す図面で、管腔内壁の一部が内視鏡フード内に隆起した状態を示す側方視断面図である。
挿入部6に、内視鏡フード1を、摺動自在且つ回動自在に外嵌装着する。内視鏡フード1が、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂で作成されている場合には、予め温水に浸して可撓性を増してから装着しても良い。内視鏡フード1を内視鏡の挿入部境界指標付近に配置し、挿入部6のみを、ヒトの口腔10から食道12内に挿入する。この時点では、下咽頭11aは、図2(a)に示される様に、対向する内壁が接触し狭窄状態にある。内視鏡の挿入部6を挿入し、図2(b)に示される様に、挿入部6の先端が食道12に到達する位置に配置する。この時点で、挿入部6を更に深部に挿入し、常法によって、胃,十二指腸等の他臓器を観察することも可能である。
操作者は、一方の手で内視鏡の把持部を、他方の手で内視鏡フード1の個体内に挿入されていない端部付近を持ち、図3(c)に示される様に、内視鏡フード1を内視鏡の挿入部6に沿って口腔10から食道12内に挿入する。咽頭11及び食道12等の内壁並びに内視鏡の挿入部6に対する、内視鏡フード1の摩擦を低減するために、周壁3の内周面及び外周面に、予め潤滑剤を塗布しておくことが好ましい。
内視鏡で得られる映像によって、内視鏡フード1の開口端2が、内視鏡の挿入部6の先端と略等しい深さにまで到達したことを確認する。この時点では、内視鏡フード1の周壁3は咽頭11及び食道12の内壁に当接された状態にあり、狭窄状態にあった下咽頭11aは内視鏡フード1で拡幅されている。内視鏡の挿入部6は、内視鏡フード1内を容易に摺動可能であり、しかもそれによっても挿入部6が下咽頭11aに直接接触しないから、咽頭反射を抑制することができる。
次いで、図3(d)に示される様に、内視鏡の挿入部6を若干引き戻し、周壁3を通して撮影される内視鏡の映像を観察する。狭窄のために通常の内視鏡術では観察不可能な下咽頭11aが拡幅されていて、本法によって観察することが可能である。それによって、早期発見が困難であった下咽頭癌の診断が可能である。
下咽頭に病変が発見された場合、該病変のサイズを計測するためには、目盛5を用いる。内視鏡フード1を回転させて目盛5と病変の位置を合わせ、目盛5を読むことによって計測を行う。
より詳細な観察又は組織切除を行うためには、内視鏡フード1を回転させることによって、下咽頭11a内壁の目的箇所と施術用孔4の位置を合わせる。当該目的箇所の一部が内視鏡フード1内に隆起して生じた隆起部14は、内視鏡で直視し、又は更に拡大視して詳細に観察することが可能である。下咽頭11a内壁に病変を生じている場合、粘膜層のみの病変であれば内視鏡フード1の回転と共に動いてしまうこともあるが、筋層への浸潤を示す病変は、内視鏡フード1の回転によってもその位置を変えず施術用孔4内に隆起する。
従来、下咽頭11aの任意箇所を内視鏡で直視して観察することは不可能であったが、本発明によって可能となった。また、隆起部14は、観察下に内視鏡の鉗子,電気メス等で組織切除することも容易であって、切除片を生検に供し、又は治療のために病変を切除することもできる。
以下、本発明をより詳細に説明するために実施例を記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(内視鏡フードの作成)
外径15mm,内径12mmで、全体が透明な軟質塩化ビニル製チューブ(株式会社三洋化成製)を、全長40cmに切り取った。一方の開口端2は、外周を一部切除することによって面取りし、管腔内に挿入し易い形状とした。
面取りされた開口端2に近い周壁3に、前記チューブの軸方向を長軸とする、2個の略楕円形状の施術用孔4,4を穿設した。
更に、施術用孔4,4とは異なる周方向の位置に、面取りされた開口端2から、軸方向の目盛5を油性ペンで書き入れ充分に乾燥させた。上記一連の操作によって、内視鏡フード1を得た。
(内視鏡フードを用いた下咽頭内壁の内視鏡観察)
嚥下時痛,嚥下困難等の症状を訴える患者(68歳,男性)を対象とした。咽頭反射を抑制する目的に、塩酸リドカインを有効成分とする局所麻酔剤(商品名:2%キシロカインビスカス(キシロカインは登録商標),アストラゼネカ社製) 5mLを口腔内に含ませた後に嚥下させ、また、リドカインを有効成分とする局所麻酔剤(商品名:キシロカインポンプスプレー8%(キシロカインは登録商標),アストラゼネカ社製) 1mLを咽頭に噴霧して、咽頭麻酔を行った。更に、検査時の苦痛及び疼痛を軽減するために、ベンゾジアゼピン製剤(商品名:ホリゾン(登録商標),アステラス製薬株式会社製) 10mgを静脈注射によって投与した。
実施例1の内視鏡フード1を、約55℃の温水に30秒間浸して、可撓性を増した。内視鏡フード1の、施術用孔4,4及び目盛5が設けられた端部とは別の開口端2から、内視鏡(商品名:LUCERA CV260,オリンパス株式会社製)の挿入部6を挿通し、内視鏡フード1を挿入部6に摺動自在且つ回動自在に外嵌装着した。
上記内視鏡を口腔10から挿入して、胃,十二指腸等に対して、通常の内視鏡観察を行った。その後、挿入部6の先端が食道12の中央部付近に到達するまで、内視鏡の挿入部6を徐々に引抜いた。内視鏡フード1の内側及び外側に、潤滑剤として、総量約5mLの粘滑・表面麻酔剤(商品名:キシロカインゼリー2%(キシロカインは登録商標),アストラゼネカ社製)を塗布した。次いで、左手で内視鏡の把持部を持ち、右手に内視鏡フード1の開口端2付近を持って、該内視鏡フード1を、口腔10から挿入した。内視鏡フード1が充分に深く挿入され、内視鏡の映像で視認された後、内視鏡フード1の挿入を止めた。
内視鏡の挿入部6を徐々に引き戻しながら、内視鏡フード1の周壁3を通して食道12内壁を観察した後、挿入部6を更に引き戻しながら観察を続け、下咽頭11aに略円形の病変を発見した。内視鏡フード1を回転させて前記病変と目盛5の位置を合わせ、前記病変のサイズを計測したところ、直径約15mmであった。
(下咽頭病変の生検)
実施例2の操作に引き続き、内視鏡フード1を回転させて、病変と施術用孔4の位置を合せた。内視鏡フード1内に隆起した病変の一部組織を切除した。内視鏡フード1を引き抜き、次いで内視鏡の挿入部6を引き抜いて、前記組織片を取り出した。
採取された前記組織片から組織切片を作成し、ヘマトキシリン−エオジン染色で検査したところ、下咽頭癌(扁平上皮癌)を発症していることが判明した。
(下咽頭癌の治療)
実施例2の患者の食道12に、実施例2と同様の手技によって、内視鏡の挿入部6及び内視鏡フード1を挿入した。内視鏡フード1は、内視鏡の挿入部6と同様にフタラール製剤(商品名:ディスオーパ消毒液0.55%(ディスオーパは登録商標),ジョンソン・エンド・ジョンソン社製)で洗浄した物を、再利用した。
実施例2で発見された癌病変と施術用孔4の位置を合わせ、内視鏡フード1内に隆起した病変の組織を切除し取除いた。内視鏡フード1を引き抜き、次いで内視鏡の挿入部6を引き抜いた。
尚、上記実施例2乃至4に記載した一連の操作の間に、咽頭反射は起こらなかった。
叙上の通り、本発明に係る内視鏡フード及び該内視鏡フードを用いた観察又は組織切除の方法は、ヒトの管腔内壁を対象とする診断及び治療に有効ではあるが、内視鏡を用いた内視鏡術が適用可能であれば、ヒト以外の哺乳類動物に対しても適用可能である。また、下咽頭癌に限らず、内視鏡術を適用可能な各種疾病の診断及び治療にも有効であり、魚の骨を初めとする咽頭異物の除去にも適用可能である。
本発明に係る内視鏡フードを示す図面で、(a)は全体斜視図であり、(b)は(a)のX−X線断面端面図である。 本発明の内視鏡フードの使用方法を示す図面で、(a)は内視鏡のみを中咽頭まで挿入した状態を示す側方視断面図であり、(b)は内視鏡を食道まで、内視鏡フードを上咽頭まで挿入した状態を示す側方視断面図である。 本発明の内視鏡フードの使用方法を示す図面で、(c)は内視鏡及び内視鏡フードを食道まで挿入した状態を示す側方視断面図であり、(d)は内視鏡の先端を下咽頭まで戻した状態を示す側方視断面図である。 本発明の内視鏡フードの使用方法を示す図面で、管腔内壁の一部が内視鏡フード内に隆起した状態を示す側方視断面図である。
符号の説明
1 内視鏡フード
2 開口端
3 周壁
4 施術用孔
5 目盛
6 挿入部
10 口腔
11 咽頭
11a 下咽頭
11b 中咽頭
11c 上咽頭
12 食道
13 気道
14 隆起部

Claims (7)

  1. 透明な可撓性材料からなる両端開口筒状で、一開口端近傍の周壁に施術用孔が穿設されてなることを特徴とする内視鏡フード。
  2. 周壁の少なくとも一部に、軸方向の目盛が付されてなることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡フード。
  3. 内径が10mm以上15mm以下、且つ周壁の厚みが2.0mm以上5.0mm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内視鏡フード。
  4. 透明な可撓性材料からなる両端開口筒状で、一開口端近傍の周壁に施術用孔が穿設された内視鏡フードを、内視鏡の挿入部に摺動自在且つ回動自在に外嵌装着し、内視鏡の挿入部を哺乳類動物の口腔から食道に挿入した後、内視鏡フードを内視鏡の挿入部に沿って摺動させて哺乳類動物の口腔から食道に挿入し、咽頭又は食道の内壁の少なくとも一部に内視鏡フードの周壁を当接させ、該周壁を通して内視鏡観察することを特徴とする内視鏡フードを用いた診断・治療方法。
  5. 周壁の少なくとも一部に付された軸方向の目盛によって、病変の大きさを測定することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡フードを用いた診断・治療方法。
  6. 更に、咽頭又は食道の内壁の少なくとも一部に内視鏡フードの周壁を当接させ、施術用孔から内視鏡フード内に隆起した組織の少なくとも一部を切除することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の内視鏡フードを用いた診断・治療方法。
  7. 内壁が、下咽頭の内壁であることを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載の内視鏡フードを用いた診断・治療方法。
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