JP2010028026A - 静電気対策素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性及び経済性に優れ、さらなる薄膜化を実現可能な、静電気対策素子の製造方法等を提供すること。
【解決手段】相互に離間して対向配置された導電性無機材料からなる電極21,22を絶縁性基板11上に有するギャップ型電極搭載基板1を準備し(S11)、このギャップ型電極搭載基板1の電極21,22の間に絶縁性無機材料を含有する薄膜30を形成した後(S12)、これら電極21,22間に電圧を印加して(S13)、機能層31を形成する(S21)。
【選択図】図2
【解決手段】相互に離間して対向配置された導電性無機材料からなる電極21,22を絶縁性基板11上に有するギャップ型電極搭載基板1を準備し(S11)、このギャップ型電極搭載基板1の電極21,22の間に絶縁性無機材料を含有する薄膜30を形成した後(S12)、これら電極21,22間に電圧を印加して(S13)、機能層31を形成する(S21)。
【選択図】図2
Description
本発明は、静電気対策素子の製造方法に関し、特に、高速伝送系での使用やコモンモードフィルタとの複合化において有用な静電気対策素子の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化が急速に進展している。また、USB2.0やS−ATA2、HDMI等の高速伝送系に代表されるように、伝送速度の高速化(1GHzを超える高周波数化)並びに低駆動電圧化の進展が著しい。その反面、電子機器の小型化や低駆動電圧化にともなって、電子機器に用いられる電子部品の耐電圧は低下する。したがって、人体と電子機器の端子が接触した際に発生する静電気パルスに代表される過電圧からの電子部品の保護が、重要な技術課題となっている。
従来、このような静電気パルスから電子部品を保護するために、一般に、静電気が入るラインとグランドとの間に積層バリスタを設ける方法が採られている。しかしながら、積層バリスタは、静電容量が大きいため、高速伝送系に用いた場合に信号品質を低下させる要因となる。
低静電容量の静電気対策部品としては、対向するギャップ電極の間に静電気保護材料を充填したものが提案されている。例えば、特許文献1には、導電粒子を含有するポリマー材料を第一及び第二電極間のギャップ領域にステンシル印刷で塗布し、これを熱処理して固化させることにより、第一及び第二電極間に電圧可変ポリマー材料を配設した電気回路保護デバイス(静電気対策部品)が開示されている。また、特許文献2には、静電気の抑制効果を高めるために、表面に不動態層を形成した金属粒子とシリコーン系樹脂と有機溶剤とを混練した静電気保護材料ペースト、及び、これを対向するギャップ電極の間にスクリーン印刷で塗布した後に乾燥させることにより、一対の電極間に静電気保護材料層を形成した静電気対策部品が開示されている。
また、特許文献3には、金属酸化物と樹脂成分及び溶剤成分とを含有するセラミックペースト、及び、これを電極ペースト膜の間を埋めるようにスクリーン印刷した後に高温焼成することにより、酸化亜鉛を主成分とする電圧依存性抵抗体層を形成した電気回路保護デバイス(静電気対策部品)が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の静電気対策部品の製造方法においては、樹脂成分と金属粒子或いは金属酸化物とを含有する液状の有機−無機複合材料を調製し、これをステンシル印刷やスクリーン印刷等により塗布した後に乾燥や焼成などして、非直線性抵抗として機能する有機−無機複合膜を形成しているため、生産性及び経済性に劣るものであった。また、このようにして形成される非直線性抵抗の厚みは、通常、数十μm以上となる。したがって、これらの手法を用いて、生産性及び経済性を損なうことなく、非直線性抵抗のさらなる薄膜化を実現することは困難であった。しかも、有機−無機複合材料の調製時及び有機−無機複合膜の膜形成時に金属粒子或いは金属酸化物の凝集や偏析等が生じ得るので、このようにして形成される有機−無機複合膜は、膜の過電圧保護効果が不均一になり易い傾向にあり、信頼性に劣るものであった。
さらに、このようにして形成される非直線性抵抗は、有機−無機複合膜であるため、耐熱性が乏しく、また、温度や湿度等の外部環境によって特性が変動し易いという問題があった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性及び経済性に優れ、さらなる薄膜化を実現可能な、静電気対策素子の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、静電容量が小さく、且つ、放電特性に優れるのみならず、耐候性が高められた静電気対策素子を簡便に製造可能な製法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、相互に離間して対向配置された電極を有する電極搭載基板の電極の間に絶縁性無機材料を含有する薄膜を形成した後、これら電極間に電圧を印加することにより、低電圧放電タイプの静電気保護材料として機能するコンポジット(機能層)が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による静電気対策素子の製造方法は、相互に離間して対向配置された導電性無機材料からなる電極を絶縁性基板上に有する電極搭載基板を準備する工程と、前記電極搭載基板の前記電極の間に絶縁性無機材料を含有する薄膜を形成した後、該電極間に電圧を印加して機能層を形成する工程と、を有する。この製法によれば、電圧印加時に電極の一部が薄膜中へ飛散して、導電性粒子が絶縁性無機材料のマトリックス中に分散したコンポジット(機能層)が形成される。このコンポジット(機能層)は、静電容量が小さく、放電開始電圧が低く、且つ、放電耐性に優れた低電圧放電タイプの静電気保護材料として機能するので、高性能な静電気対策素子が簡易に製造可能となる。しかも、上記従来技術とは異なり、液状物の調製、印刷法による塗布、及び、焼成処理等の一連のプロセスが必要とされないので、プロセス裕度が高められ、その結果、生産性及び経済性が高められるとともに、さらなる薄膜化が実現可能となる。また、上記従来の有機−無機複合膜とは異なり、低電圧放電タイプの静電気保護材料として絶縁性無機材料と導電性無機材料とのコンポジットを採用しているので、耐候性が格段に高められた静電気対策素子が実現される。
なお、本明細書において、「コンポジット」とは、絶縁性無機材料のマトリックス中に導電性無機材料が分散した状態を意味し、絶縁性無機材料のマトリックス中に導電性無機材料が一様に或いはランダムに分散した状態のみならず、絶縁性無機材料のマトリックス中に導電性無機材料の集合体が分散した状態、すなわち一般に海島構造と呼ばれる状態を含む概念である。また、本明細書において、「絶縁性」とは0.1Ωcm以上を、「導電性」とは、0.1Ωcm未満を意味する。
ここで、電極間に電圧を複数回印加することが好ましい。このようにすると、絶縁性無機材料のマトリックス中の導電性粒子の分散状態が安定化し、得られる静電気対策素子の放電特性(例えば、放電開始電圧)のバラツキが抑制され、その結果、高性能な静電気対策素子を安定して製造することが可能となる。
また、前記導体性無機材料は、Ni、Cr、Al、Pd、Ti,Cu、Ag、Au及びPtよりなる群から選択される少なくとも1種の金属或いはこれらの合金であることが好ましい。これらの金属或いは合金は、導電性に優れるので、コンポジットに分散される導電性粒子を構成する素材として有効に機能し、その結果、放電特性及び耐候性に優れる高性能な静電気対策素子を実現することができる。
さらに、前記絶縁性無機材料は、Al2O3、TiO2及びSiO2よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの金属酸化物は、絶縁性及び耐候性に優れるので、コンポジットの絶縁性マトリックスを構成する素材として有効に機能し、その結果、放電特性及び耐候性に優れる高性能な静電気対策素子を実現することができる。その上さらに、これらの金属酸化物は、低コストで入手可能であり、しかも、蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成法の適用が可能なので、生産性及び経済性も高められる。
ここで、前記薄膜を形成する際には、厚みが10nm〜1μmの薄膜を形成することが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。このように厚みが10nm〜1μmの薄い薄膜を形成することにより、得られる静電気対策素子及びこれを用いた電子機器のより一層の小型化及び高性能化が実現される。しかも、厚みが10nm〜1μmの極めて薄い薄膜は、スパッタリング法や蒸着法等の公知の薄膜形成方法を適用して形成することができ、これらの薄膜形成法を採用することにより、生産性及び経済性が高められる。換言すれば、この静電気対策素子の製造方法は、上記従来の印刷法により形成する有機−無機複合膜とは異なり、スパッタリング法や蒸着法等による層形成が可能な無機−無機複合膜(コンポジット)を機能層として形成する点において、格別の優位性を有する。
また、薄膜を形成する際には、電極搭載基板の電極の間に絶縁性無機材料と導電性無機材料とを含有するコンポジット薄膜を形成することが好ましい。このように構成すると、絶縁性無機材料のマトリックス中に導電性無機材料が分散したコンポジット薄膜中に、さらに電極から飛散した導電性粒子が取り込まれたコンポジット(機能層)が得られる。そのため、絶縁性無機材料のマトリックスにおける導電性素材(導電性無機材料及び導電性粒子)の均一分散性が高められ、放電特性に優れる高性能な静電気対策素子をより一層簡易に実現することができる。なお、放電特性に優れる高性能な静電気対策素子を実現する観点から、導体性無機材料は、C、Ni、Cu、Au、Ti、Cr及びPtよりなる群から選択される少なくとも1種の金属又はこれらの金属化合物であることが好ましい。
さらに、前記絶縁性無機材料と前記導体性無機材料とを同時スパッタリングしてコンポジット薄膜を形成することが好ましい。このようにすると、絶縁性無機材料のマトリックス中に導電性無機材料が分散したコンポジット薄膜を、再現性良く簡便に得ることができ、放電特性に優れる高性能な静電気対策素子をより一層簡易に実現することができるとともに、生産性及び経済性が高められる。
本発明の静電気対策素子の製造方法によれば、生産性及び経済性が高められ、さらなる薄膜化が可能となる。また、静電容量が小さく、且つ、放電特性に優れるのみならず、耐候性が高められた静電気対策素子を簡便に製造可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明による静電気対策素子の第1実施形態を概略的に示す模式断面図である。静電気対策素子100は、絶縁性基板11及びこの絶縁性基板11上において相互に離間して対向配置された一対の導電性無機材料からなる電極21,22を有するギャップ型電極搭載基板1と、これら電極21,22の間に配設された機能層31と、電極21,22と電気的に接続された端子電極41(図6参照)を備える。そして、この静電気対策素子100において、機能層31は導電性粒子が絶縁性無機材料のマトリックス中に分散したコンポジットとなっており、この機能層31が低電圧放電タイプの静電気保護材料として機能することにより、静電気などの過電圧が印加された際に、この機能層31を介して電極21,22間で初期放電が確保されるように設計されている。
図1は、本発明による静電気対策素子の第1実施形態を概略的に示す模式断面図である。静電気対策素子100は、絶縁性基板11及びこの絶縁性基板11上において相互に離間して対向配置された一対の導電性無機材料からなる電極21,22を有するギャップ型電極搭載基板1と、これら電極21,22の間に配設された機能層31と、電極21,22と電気的に接続された端子電極41(図6参照)を備える。そして、この静電気対策素子100において、機能層31は導電性粒子が絶縁性無機材料のマトリックス中に分散したコンポジットとなっており、この機能層31が低電圧放電タイプの静電気保護材料として機能することにより、静電気などの過電圧が印加された際に、この機能層31を介して電極21,22間で初期放電が確保されるように設計されている。
図2は、静電気対策素子100の製造方法を概略的に示す工程図である。この静電気対策素子100は、ギャップ型電極搭載基板1を準備する工程(S11)、電極21,22間に絶縁性無機材料を含有する薄膜30を形成する工程(S12)、及び、電極21,22間に電圧を印加する工程(S13)を経て製造される。本実施形態では、薄膜30を形成する工程(S12)及び電極21,22間に電圧を印加する工程(S13)を経て、機能層31が形成される(S21)。以下、各工程について詳述する。
<ギャップ型電極搭載基板1の準備工程S11>
ここでは、まず、ギャップ型電極搭載基板1を準備する。図3は、ギャップ型電極搭載基板1を概略的に示す斜視図である。本実施形態においては、ギャップ型電極搭載基板1は、絶縁性基板11と、この絶縁性基板11上において相互に離間して対向配置された一対の導電性無機材料からなる電極21,22を有する。
ここでは、まず、ギャップ型電極搭載基板1を準備する。図3は、ギャップ型電極搭載基板1を概略的に示す斜視図である。本実施形態においては、ギャップ型電極搭載基板1は、絶縁性基板11と、この絶縁性基板11上において相互に離間して対向配置された一対の導電性無機材料からなる電極21,22を有する。
絶縁性基板11は、絶縁性表面11aを有する。絶縁性基板11は、少なくとも電極21,22及び機能層31を支持可能なものであれば、その寸法形状は特に制限されない。ここで、絶縁性表面11aを有する絶縁性基板11とは、絶縁性材料からなる基板の他、基板上の一部に又は全面に絶縁膜が製膜されたものを含む概念である。
絶縁性基板11の具体例としては、例えば、NiZnフェライトやアルミナ、シリカ、マグネシア、窒化アルミニウム等の誘電率が50以下、好ましくは20以下の低誘電率材料を用いたセラミック基板や、単結晶基板等が挙げられる。また、セラミック基板や単結晶基板等の表面に、NiZnフェライトやアルミナ、シリカ、マグネシア、窒化アルミニウム等の誘電率が50以下、好ましくは20以下の低誘電率材料からなる絶縁膜を形成したものも、好適に用いることができる。なお、絶縁膜の形成方法は、特に限定されず、真空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVDやPVD等の気相法等の公知の手法を適用できる。また、絶縁性基板11及び絶縁膜の膜厚は、適宜設定可能である。
絶縁性基板11の絶縁性表面11a上には、一対の電極21,22が相互に離間して配設されている。本実施形態では、一対の電極21,22は、絶縁性基板11の平面略中央位置にギャップ距離△Gを置いて、対向配置されている。
電極21,22を構成する素材としては、導電性無機材料であり、例えば、Ni、Cr、Al、Pd、Ti,Cu、Ag、Au及びPtなどの金属、或いはこれらの合金等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、本実施形態では、電極21,22は、平面視で矩形状に形成されているが、その形状は特に制限されず、例えば、櫛歯状、或いは鋸状に形成されていてもよい。
電極21,22間のギャップ距離△Gは、所望の放電特性を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されないが、通常、0.1〜50μm程度であり、低電圧初期放電を確保する観点から、より好ましくは0.5〜20μm程度、さらに好ましくは1〜10μm程度である。なお、電極21,22の厚みは、適宜設定することができ、特に限定されないが、通常、0.05〜10μm程度である。
<絶縁性無機材料を含有する薄膜30を形成する工程S12>
次に、ギャップ型電極搭載基板1の電極21,22間に、絶縁性無機材料を含有する薄膜30を形成する。図4は、電極21,22間に薄膜30を形成したギャップ型電極搭載基板1を概略的に示す斜視図である。本実施形態においては、絶縁性基板11の絶縁性表面11a上及び/又は電極21,22上に絶縁性無機材料を付与することにより、薄膜30を形成する。
次に、ギャップ型電極搭載基板1の電極21,22間に、絶縁性無機材料を含有する薄膜30を形成する。図4は、電極21,22間に薄膜30を形成したギャップ型電極搭載基板1を概略的に示す斜視図である。本実施形態においては、絶縁性基板11の絶縁性表面11a上及び/又は電極21,22上に絶縁性無機材料を付与することにより、薄膜30を形成する。
薄膜30の形成に用いる絶縁性無機材料の具体例としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。絶縁性やコスト面を考慮すると、Al2O3、TiO2及びSiO2が好ましい。
薄膜30の形成方法は、特に限定されず、真空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVDやPVD等の気相法等の公知の薄膜形成方法を適用することができる。
形成される薄膜30の総厚みは、特に限定されるものではなく、適宜設定することができるが、より一層の薄膜化を達成する観点から、10nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがより好ましい。
この工程S12においては、上記の絶縁性無機材料の他に導電性無機材料を含む薄膜30、より具体的には、絶縁性無機材料のマトリックス中に導電性無機材料が不連続に含まれる(一様に又はランダムに分散した)コンポジット薄膜を形成してもよい。かかるコンポジット薄膜は、公知の薄膜形成方法を適用して形成することができ、例えば、導電性無機材料の含有割合が1〜30wt%の絶縁性無機材料−導電性無機材料ターゲットを用いてスパッタリングや蒸着等を行うことにより形成することができる。導電性無機材料の具体例としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。導電性を考慮すると、C、Ni、Cu、Au、Pt、Ti、Cr或いはこれらの合金が好ましい。
<電極21,22間に電圧を印加する工程S13>
次いで、電極21,22に端子電極41を接続した後、電極21,22間に所定の電圧を印加する。図5は、電極21,22に端子電極41を接続したギャップ型電極搭載基板1を概略的に示す斜視図である。
次いで、電極21,22に端子電極41を接続した後、電極21,22間に所定の電圧を印加する。図5は、電極21,22に端子電極41を接続したギャップ型電極搭載基板1を概略的に示す斜視図である。
電極21,22間に印加する電圧は、電極21,22間のギャップ距離△Gや所望の放電特性を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されないが、50V〜8kVであることが好ましく、より好ましくは100〜500Vである。また、電圧の印加時間は、特に限定されるものではないが、絶縁性無機材料と導電性無機材料を固溶させない観点から、0.1ns〜1μsであることが好ましく、より好ましくは0.1〜60nsである。
電極21,22間への電圧の印加は、複数回行うことが好ましい。電極21,22間への電圧の印加を複数回行うことにより、形成されるコンポジットの複合構造や導電性微粒子の分散状態が安定化し、得られる静電気対策素子の放電特性(例えば、放電開始電圧)のバラツキを抑制することが可能となる。電極21,22間への電圧の印加回数は、導電性微粒子の分散状態を安定化させる観点から、2〜20回であることが好ましく、より好ましくは5〜10回である。
上記の通り、電極21,22間に電圧を印加することにより、電極21,22の一部が薄膜30中へ飛散して、これにより、導電性粒子が絶縁性無機材料のマトリックス中に分散したコンポジット(機能層31)が形成される(図6参照)。
機能層31に含まれる導電性粒子の形状は、特に限定されず、例えば、粒状、球状、矩形状、角柱状、円柱状、楕円球状、針状、角錐状、円錐状、不定形状等、種々の形態を採り得る。
機能層31に含まれる導電性粒子の粒子サイズは、特に限定されるものではないが、その長軸及び短軸が、1nm〜10μm程度の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1〜500nmである。
機能層31の総厚みは、特に限定されるものではなく、適宜設定することができるが、より一層の薄膜化を達成する観点から、10nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがより好ましい。なお、機能層31の寸法形状及びその配設位置は、過電圧が印加された際に自身を介して電極21,22間で初期放電が確保されるように設計されている限り、特に限定されない。
かくして得られる静電気対策素子100は、電圧印加の際に電極21,22の一部が薄膜中へ飛散することにより、導電性粒子が絶縁性無機材料のマトリックス中に不連続に分散したコンポジット(機能層31)が形成されたものとなる。そして、かかる機能層31が低電圧放電タイプの静電気保護材料として機能し、これにより、静電容量が小さく、放電開始電圧が低く、且つ、放電耐性に優れる、高性能な静電気対策素子100が実現される。しかも、低電圧放電タイプの静電気保護材料として機能する機能層31として、少なくとも絶縁性無機材料と導電性無機材料とから構成されるコンポジットが採用されている。そのため、上記従来の有機−無機複合膜のものに比して、耐熱性が高められ、また、温度や湿度等の外部環境により特性が変動し難いものとなり、その結果、信頼性が高められる。その上さらに、スパッタリング法や蒸着法等の薄膜形成法により機能層31が形成可能であり、これにより、生産性及び経済性がより一層高められる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示すように、まず、絶縁性基板11(NiZnフェライト基板、誘電率:13、TDK株式会社製)の一方の絶縁性表面11aに、スパッタリング法により、厚み100nmのCuの金属薄膜を略全面に形成し、形成されたCu薄膜をフォトリソ法によりエッチングすることにより、相互に離間して対向配置された一対の帯状の電極21,22を形成した。このとき、電極21,22間のギャップ距離△Gは、3umとした。
図3に示すように、まず、絶縁性基板11(NiZnフェライト基板、誘電率:13、TDK株式会社製)の一方の絶縁性表面11aに、スパッタリング法により、厚み100nmのCuの金属薄膜を略全面に形成し、形成されたCu薄膜をフォトリソ法によりエッチングすることにより、相互に離間して対向配置された一対の帯状の電極21,22を形成した。このとき、電極21,22間のギャップ距離△Gは、3umとした。
次いで、図4に示すように、上記の絶縁性基板11上及び電極21,22上に、スパッタリング法により、薄膜30を形成した。具体的には、酸化アルミニウムと酸化チタンのターゲット(酸化チタンの含有割合:30wt%)を用いて、絶縁性基板11の電極21,22が形成された面側にスパッタリングを行うことにより、電極21,22を厚み方向に完全に覆うように厚み3μmの薄膜31を略全面に形成した。これにより、酸化アルミニウムと酸化チタンのマトリックス中にチタンが一様に分散したコンポジットが形成されていることが確認された。なお、このスパッタリングは、マルチターゲットスパッタ装置(商品名:ES350SU、株式会社エイコー・エンジニアリング製)を使用し、アルゴン圧力が100mTorr、投入電力が9500W、スパッタ時間が80分の条件下で実施した。
次に、図5に示すように、電極21,22の外周端部にCuを主成分とする端子電極41を接続した後、電極21,22間に電圧を5回印加して機能層31を形成し(印加電圧350V、印加時間1n秒、インターバル1秒)、これにより、実施例1の静電気対策素子100を得た。
図7は、以上の操作により形成された機能層31の断面を走査透過型電子顕微鏡により観察した結果である。図7から、Al2O3のマトリックス中にCuが分散したコンポジットが形成されていることが確認された。
(実施例2)
電極21,22を、厚み100nmのNiの金属薄膜で形成すること以外は、実施例1と同様に操作して、実施例2の静電気対策素子100を得た。
電極21,22を、厚み100nmのNiの金属薄膜で形成すること以外は、実施例1と同様に操作して、実施例2の静電気対策素子100を得た。
<静電気放電試験>
次に、上記のようにして得られた実施例1及び2の静電気対策素子について、図8に示す静電気試験回路を用いて、静電気放電試験を実施した。
次に、上記のようにして得られた実施例1及び2の静電気対策素子について、図8に示す静電気試験回路を用いて、静電気放電試験を実施した。
この静電気放電試験は、国際規格IEC61000−4−2の静電気放電イミュニティ試験及びノイズ試験に基づき、人体モデルに準拠(放電抵抗330ohm、放電容量150pF、印加電圧8kV、接触放電)して行った。具体的には、図8の静電気試験回路に示すように、評価対象の静電気対策素子の一方の端子電極をグランドに接地するとともに、他方の端子電極に静電気パルス印加部を接続した後、静電気パルス印加部に放電ガンを接触させて静電気パルスを印加した。ここで印加する静電気パルスは、放電開始電圧以上の電圧を印加した。
なお、放電開始電圧は、静電気試験を0.4kVから0.2kV間隔で増加させながら行なった際に観測される静電気吸収波形において、静電気吸収効果が現れた電圧とする。また、ピーク電圧は、IEC61000−4−2に基づく静電気試験を充電電圧8kVの接触放電で行なった際における、静電気パルスの最大電圧値とする。さらに、クランプ電圧は、IEC61000−4−2に基づく静電気試験を充電電圧8kVの接触放電で行なった際における、静電気パルスの波頭値から30ns後の電圧値とする。
なお、静電容量は、1MHzにおける静電容量(pF)を測定した。また、放電耐性は、静電気放電試験を繰り返し実施して、静電気対策素子が機能しなくなる回数を測定し、その回数の大小により評価した。表1に、評価結果を示す。
表1に示す結果より、実施例1及び2の静電気対策素子は、放電開始電圧が2kV以下で静電容量が0.15〜0.35pFと小さく、高速伝送系において適用可能な性能を有するとともに、放電耐性においても優れた性能を有することが確認された。
以上説明した通り、本発明の静電気対策素子の製造方法によれば、静電容量が小さく放電特性に優れるのみならず、耐候性が高められ、しかも、さらなる薄膜化が達成可能であり、生産性及び経済性をも高めることができるので、これを備える電子・電気デバイス及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能である。
1…ギャップ型電極搭載基板、11…絶縁性基板、11a…絶縁性表面、21,22・・・電極、31…機能層、41…端子電極、100…静電気対策素子、G…ギャップ距離、S11…ギャップ型電極搭載基板1を準備する工程、S12…薄膜30を形成する工程、S13…電圧を印加する工程、S21…機能層31を形成する工程(S21)。
Claims (5)
- 相互に離間して対向配置された導電性無機材料からなる電極を絶縁性基板上に有する電極搭載基板を準備する工程と、
前記電極搭載基板の前記電極の間に絶縁性無機材料を含有する薄膜を形成した後、該電極間に電圧を印加して機能層を形成する工程と、
を有する、静電気対策素子の製造方法。 - 前記電極間に電圧を複数回印加する、
請求項1に記載の静電気対策素子の製造方法。 - 前記導体性無機材料は、Ni、Cr、Al、Pd、Ti,Cu、Ag、Au及びPtよりなる群から選択される少なくとも1種の金属或いはこれらの合金である、
請求項1又は2に記載の静電気対策素子の製造方法。 - 前記絶縁性無機材料は、Al2O3、TiO2及びSiO2よりなる群から選択される少なくとも1種である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電気対策素子の製造方法。 - 厚みが10nm〜10μmの前記薄膜を形成する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電気対策素子の製造方法。
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