JP2016042436A - 静電気対策素子 - Google Patents

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健作 朝倉
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敬洋 藤森
昌治 平川
Shoji Hirakawa
昌治 平川
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Abstract

【課題】放電試験を繰り返し実施したときに、静電気吸収特性の劣化が少なく、ショート破壊を抑制できる静電気対策素子を提供することにある。
【解決手段】絶縁性基板11と、この絶縁性基板11上に配設された対向電極21,22と、これら電極21,22の周囲に配設された放電誘発部31と、放電誘発部が内包する中空部32と電極21,22の表面の一部に配される絶縁層51と放電誘発部31との間に配される中間層41と、放電誘発部31を覆うように形成された絶縁性保護層61と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、高速伝送系での使用やコモンモードフィルタとの複合化において有用な静電気対策素子に関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化が急速に進展している。また、携帯電話等のアンテナ回路、RFモジュール、USB2.0及びUSB3.0、S−ATA2、HDMI(登録商標)等の高速伝送系に代表されるように、伝送速度の高速化(1GHzを超える高周波数化)及び低駆動電圧化の進展が著しい。その反面、電子機器の小型化や低駆動電圧化にともなって、電子機器に用いられる電子部品の耐電圧は低下する。そのため、人体と電子機器の端子が接触した際に発生する静電気パルスに代表される過電圧からの電子部品の保護が、重要な技術課題となっている。
従来、このような静電気パルスから電子部品を保護するために、一般に、静電気が入るラインとグランドとの間に積層バリスタを設ける方法が採られている。しかしながら、積層バリスタは、一般に静電容量が大きいため、高速伝送系に用いた場合に、信号品質を低下させる要因となる。また、アンテナ回路やRFモジュールにおいては、静電容量の大きい静電気保護部品を用いることができなかった。そのため、高速伝送系に適用可能な、静電容量の小さな静電気対策素子の開発が求められている。
低静電容量の静電気対策素子としては、離間して対向配置された電極を有し、さらに放電誘発部として対向電極間に導体材料と絶縁体材料のコンポジット部を有したものが提案されている。これらの素子は、積層バリスタ同様、静電気の入るラインとグランドとの間に設けられ、過大な電圧が加わると、静電気対策素子の対向配置された電極間で放電が起こり、静電気をグランド側に導くことができる。
この種の所謂ギャップ型電極を搭載した静電気対策素子は、絶縁抵抗が大きい、静電容量が小さい、応答性が良好である、という特長を備える。
特許第4247581号公報 特開2008-244348号公報 国際公開第2010/061519号 国際公開第2010/061550号 特開2009-301819号公報
しかしながら、特許文献1に記載の静電気対策素子は、対向する電極の上部に形成された空洞部により放電によって生じる熱や応力を吸収することが可能である。また、対向する電極の下面のみに金属材料とセラミック材料とを含む混合部が形成されている。このため、放電を繰り返すにつれて混合部の機能が劣化し、静電気吸収特性が劣化することが懸念される。また、混合部の金属材料の溶融が発生した場合に、溶融物の凝集が発生し、電極間で短絡を生じることも懸念される。
特許文献2に記載の技術では、対向する電極間に導電性粒子の表面が無機ガラスで被覆された複合粒子を充填して静電気保護材料を構成し、さらに複合粒子間に形成された小さな穴を形成している。このような構成の場合、放電によって生じる熱や応力を完全に吸収することが困難である。放電を繰り返すことで徐々に静電気保護材料の破壊が進むことによる静電気吸収特性の劣化と、放電に伴う静電気保護材料の溶融による短絡を生じることも懸念される。
特許文献3に記載の静電気対策素子は、対向する電極の上下面に放電誘発部が形成され、中央に空洞が形成された構造である。補助電極が上下面に構成されているため、補助電極の劣化は抑制されると考えられる。一方で、補助電極の導電物の溶融が発生した場合に、溶融物の凝集が発生し、電極間で短絡を生じる懸念は払拭されないと推測される。
特許文献4に記載の静電気対策素子は、空洞部内に露出された放電電極間に導電性を有する粉状の補助電極材料が分散した構造をとっている。放電の際に補助電極材料の破損等が発生しやすく、放電を繰り返すにつれて補助電極の機能の劣化に伴う静電気吸収特性の劣化の問題がある。
特許文献5に記載の静電気対策素子は、仕事関数が低く、かつ絶縁性が高い金属酸化物を付着させることにより、静電気抑制効果とショート不良の抑制効果を有することを特徴としている。金属酸化物を電極に付着させている構造であるため、放電による熱や応力により、放電電極に付着された酸化物が放電電極から脱落しやすいと推測される。これにより、放電を繰り返すにつれて、電極表面の絶縁物が欠損し、電極間での短絡が生じることが推測される。
このようにこれらの先行文献では静電気吸収特性の劣化の抑制と短絡破壊の抑制について、両方の問題を同時に解決することは困難であった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、放電を繰り返し実施したとき、静電気吸収特性の劣化と短絡による ショート破壊(絶縁抵抗の劣化)を抑制できる静電気対策素子を提供することにある。
本発明は、絶縁性基板と、該絶縁性基板上において相互に離間して対向配置された対向電極の表面の一部にガラス質を含む絶縁層を有する対向電極と、対向電極を結ぶ方向に形成される中空部を内包するように設けられ、導電性無機材料と絶縁性無機材料、および微小空隙を有する放電誘発部を有する。且つ、絶縁層と放電誘発部の間に中間層を有することを特徴とする。
すなわち、上記構成の静電気対策素子において、絶縁性基板と、該絶縁性基板上において相互に離間して対向配置された対向電極の表面の一部にガラス質を含む絶縁層を有する対向電極と、前記対向電極を結ぶように形成される中空部を内包するように設けられた放電誘発部を有する。且つ、絶縁層と放電誘発部の間に中間層を有する。放電は中空部と放電誘発部の界面で発生する沿面放電によるものと推測される。放電の際の衝撃は中空部と放電誘発部の微小空隙で緩和される。また、過大な静電気電圧が素子に印加された場合に、放電の際には対向電極、放電誘発部が高温にさらされる。このときに溶融物が対向電極間に生成し、放電を繰り返すにつれて対向電極の幅方向へ広がる傾向にある。対向電極の表面は絶縁層を有するため、対向電極間の溶融物による短絡を抑制することが可能となる。
また、中間層を有することにより、無い場合と比べて、静電気吸収特性の劣化を抑制し、ショート破壊を抑制することができる。その理由は明らかではないが、以下のように推測される。中間層を有さない場合、焼成時に変形や拡散が生じるため、その結果、素子間で構造ばらつきが生じやすい。この構造ばらつきは初期特性には大きな問題とはならないが、複数の素子について耐久性に関する測定を行った場合に、素子個々でばらつきが表面化する。このため、全体として評価結果が悪くなることを確認した。これらの結果により、放電の際の電極間の短絡が抑制され、耐久性が高められたものと推察される。但し、作用は、これらに限定されない。
前記絶縁層は、前記ガラス質と少なくとも1種類の絶縁性酸化物粒子を含むことが好ましい。このような構成にすることにより、絶縁層の形成を容易にすることが可能となる。その結果、絶縁性をより高めることができ、絶縁抵抗の劣化を抑制することができる。
上記において、前記絶縁層に含まれるガラス質は、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO、KO、ZnO及びZrOよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの酸化物からなるガラス質を含んだ絶縁層は絶縁性、緻密性、および前記電極への密着性に優れることから、前記対向電極を覆う絶縁層を構成する素材として有効に機能する。
本発明によれば、放電を繰り返し行ったときの静電気吸収特性の劣化とショート破壊を抑制した静電気対策素子を実現できる。
実施形態1の静電気対策素子100を概略的に示す模式断面図である。 実施形態1の静電気対策素子100を図1のIで示す位置で切断して上面から見たときの模式断面図である。 実施形態1の静電気対策素子100を図1の中間層と放電誘発部との境界で切断して上面から見たときの模式断面図である。 実施形態1の静電気対策素子100を図1のI Iで示す位置で切断して上面から見たときの模式断面図である。 実施形態1の静電気対策素子100を図2のI I Iで切断したときの模式断面図である。 実施形態1の静電気対策素子100の放電誘発部31を中空部側からみたときの模式断面図である。 静電気対策素子100の製造工程を示す模式斜視図である。 静電気対策素子100の製造工程を示す模式斜視図である。 静電気対策素子100の製造工程を示す模式斜視図である。 静電気対策素子100の製造工程を示す模式断面図である。 静電気放電試験における回路図である。 第1の変形例を示す模式断面図である。 第2の変形例を示す模式断面図である。 第3の変形例を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。
図1は、本実施形態の静電気対策素子を概略的に示す模式断面図である。静電気対策素子100は、絶縁性基板11と、この絶縁性基板11上に配設された対向電極21,22と、これら対向電極21,22の周囲に配設された放電誘発部31で構成される。放電誘発部31は微小空隙(図6にて後述)が不連続に点在した構造を有しており、さらに中空部32を内包する。また、静電気対策素子100は、対向電極21,22の表面の一部に絶縁層51、52を有する。さらに、絶縁層51、52と放電誘発部31との間に中間層41、42と、電気的に接続された端子電極(図示せず。図11参照)と、放電誘発部31を覆うように形成された絶縁性保護層61と、を備える。
図2は本実施形態の静電気対策素子を図1で示されているIで切断し、上面から観察した図である。図2のように放電誘発部31は中空部を内包する構造をとる。また、対向電極21,22の先端の一部は、中空部32に露出している。そして、この静電気対策素子100においては、放電誘発部31は低い静電気電圧より放電する静電気保護材料として機能する。静電気などの過電圧が印加された際に、この放電誘発部31(中空部32)を介して対向電極21,22間で放電が発生するように設計されている。
図3は図1の中間層と放電誘発部の境界で切断して、上面から観察した図である。ここでΔGは中空部の幅方向の寸法を表している。また、ΔDは対向電極の幅方向の寸法、ΔHは放電誘発部の幅方向の寸法を表しており、中空部は放電誘発部31の内側に内包されている。また対向電極21、22についても放電誘発部32の内側に配置されている。
図4は本実施形態の静電気対策素子を図1で示されているIIで切断し、上面から観察した図である。図5は実施形態1の静電気対策素子100の中空部が形成されていない箇所を概略的に示す模式断面図である。対向電極先端部で中空部に露出していない箇所は絶縁層で被覆されている。以下、各構成要素について、詳述する。
<絶縁性基板11>
絶縁性基板11は、少なくとも対向電極21、22及び放電誘発部31を支持可能なものであれば、その寸法形状や絶縁性基板11の積層数は特に制限されない。ここで、絶縁性表面を有する絶縁性基板11とは、絶縁性材料からなる基板の他、基板上の一部に、または全面に絶縁膜が成膜されたものを含む概念である。
絶縁性基板11の具体例としては、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシア、窒化アルミ、フォルステライト等の誘電率が50以下、好ましくは20以下の低誘電率材料を用いたセラミック基板が挙げられる。
<対向電極21、22>
絶縁性基板11の絶縁性表面上には、対向電極21、22が相互に離間して配設されている。本実施形態では、対向電極21、22は、図1に示されているように、絶縁性基板11の平面略中央位置にギャップ距離ΔGを置いて、対向配置されている。ここで、ギャップ距離ΔGは、対向電極21,22間の最短距離を意味する。
対向電極21、22を構成する素材としては、例えば、C、Ni、Al、Fe、Cu、Ti、Cr、Au、Ag、Pd及びPtから選ばれる少なくとも一種類の金属、或いはこれらの合金等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、本実施形態では、電極21,22は、平面視で矩形状に形成されているが、その形状は特に制限されず、例えば、櫛歯状、或いは、鋸状に形成されていてもよい。
対向電極21、22間のギャップ距離ΔGは、所望の放電特性を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されないが、通常、1〜50μm程度であり、低い静電気電圧から放電を確保するという観点から、より好ましくは5〜40μm程度、さらに好ましくは8〜30μm程度である。なお、対向電極21、22の厚みは、適宜設定することができ、特に限定されないが、通常、1〜10μm程度である。
対向電極21、22の形成方法は、特に限定されず、公知の手法を適宜選択することができる。具体的には、例えば、塗布、印刷等により、絶縁性基板11上に所望の厚みを有する電極層をパターン形成する方法が挙げられる。対向電極21、22間のギャップ部をパターン形成した製版を用いてスクリーン印刷を行うことにより、基板上に金属或いは合金の前駆体をパターン印刷した後、焼成を行うことにより、対向電極21、22を形成してもよい。あるいは、絶縁物より構成されるグリーンシート上にスクリーン印刷により対向電極21、22を形成してもよい。
<絶縁層51、52>
対向電極21、22の表面の一部を覆う絶縁層51、52を構成する素材の中でガラス質としては、例えば、シリケートガラスやアルミナ珪酸塩ガラス等が挙げられるが、これらに特に限定されない。絶縁性を考慮すると、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO、KO、ZnO及びZrOを含んでいることが好ましい。さらにシリケートガラス、アルミナ珪酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、ホウ珪酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、鉛酸塩ガラス及び他の無機酸塩ガラスを含んでいることが好ましい。またこれらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記絶縁層51、52は、前記ガラス質に加えて少なくとも1種類の絶縁性酸化物粒子を含むことが好ましい。このような構成にすることにより、対向電極の表面へ絶縁層の形成を容易に行うことが可能となる。その結果、絶縁性をより高めることができ、ショート破壊を抑制することができる。
また、絶縁層51、52の厚みは0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。この範囲の厚みにすることにより、放電を繰り返し行ったときのショート破壊がさらに抑制される。
ここで、絶縁層51、52に含まれるガラス質、および絶縁性酸化物粒子は絶縁性を維持する観点から、抵抗率が10Ωm以上であることが好ましい。また絶縁層51、52は必ずしも緻密な構造を有する必要はなく、層や皮膜に限定されない。さらには絶縁体材料の粒子の凝集体として形成されていてもよく、その性状は特に限定されない。
また、絶縁層51、52は、静電気吸収特性の劣化の抑制、ショート破壊の抑制が可能な静電気対策素子を再現性よく実現する観点から、対向電極先端部で中空部に露出していない箇所については、完全に被覆されている事が好ましい。ここで対向電極先端部とは、図1で示されているΔLより内側に位置する対向電極を意味する。また、対向電極表面部の先端部で中空部に露出した箇所は、本実施形態の範囲内においては絶縁層に被覆されていてもよい。一方で、対向電極先端部が絶縁層に覆われていることにより、放電の妨げになる場合がある。絶縁層が厚く、かつ広く被覆される場合は、放電の際の衝撃が大きくなり、特に静電気吸収特性の劣化の抑制効果が小さくなる。また、より低い電圧から放電を発生させるためには、前記対向電極先端部で中空部内に露出した箇所の一部は前記絶縁層に覆われていないことが好ましい。また、絶縁層51、52の厚みは、放電を繰り返し行ったときの静電気吸収特性の劣化とショート破壊を抑制した静電気対策素子100を再現性よく実現する観点から、0.01μm以上3μm以下であることが好ましい。
絶縁層51、52の形成方法は、特に限定されず、公知の薄膜、厚膜形成方法を適用することができるが、上述した絶縁体材料を含有する混合物を塗布した後に焼成する方法が好適である。例えば、上記絶縁体材料を少なくとも含有する混合物を調製し、この混合物が対向電極21、22を覆うように塗布や印刷等、あるいは他の手法により付与すればよい。なお、対向電極表面の絶縁層の厚みや被覆の程度は、対向電極間に前記絶縁体材料を含む混合物を形成する際のスクリーンの種類、印刷パターン、および塗布量などの手法で調節すればよい。
図6は、本実施形態の放電誘発部31の模式図である。本実施形態では、放電誘発部31は、中空部32が形成されることで中空構造を有する一方、コンポジット中に微小空隙35が不連続に点在した構造を有するものとなっている。これを言い換えれば、放電誘発部31は、絶縁性無機材料34のマトリックス中に導電性無機材料33及び微小空隙35が不連続に点在した状態で含まれる多孔質構造物によって、中空部32が区画されたものとなっている。言い換えると、図1でみたときに放電誘発部によって中空部が取り囲まれている構造をとる。また、図2でみたときも同様に放電誘発部によって中空部が取り囲まれている構造をとる。
図6のような構造とするためには、例えば一対の対向電極が形成された絶縁性基板11に放電誘発部を形成するための導電性無機材料33、絶縁性無機材料34と樹脂からなる混合ペーストを塗布し、乾燥後に焼成の際に焼失する樹脂により構成されるペーストを塗布し、再度放電誘発部を形成するための混合ペーストを塗布し、乾燥後に焼成を行うことで放電誘発部が中空部を内包する構造物を得ることが可能となる。
また、対向電極の先端部が中空部に露出している構造を形成する場合、その箇所に空洞形成用の樹脂ペーストを塗布し、その後、絶縁層を構成する混合物を塗布したものを焼成することにより、中空部に露出する箇所は絶縁物で被覆されていない構造にすることができる。なお、混合物の調製の際、又は、混合物の塗布或いは印刷の際に、溶剤やバインダー等の各種添加物を配合してもよい。また、焼成時における処理条件は、特に限定されないが、生産性及び経済性を考慮すると、大気雰囲気下、500〜1200℃で10分〜5時間程度が好ましい。
ここで、上記の中空部32は、電極間を結ぶように形成されている必要がある。このように中空部が形成されていると、対向電極間の放電が放電誘発部と中空部の界面で放電が発生する沿面放電となるため、耐久性の向上につながる
<放電誘発部31>
放電誘発部31を構成する素材は、過電圧が印加された際に、対向電極21、22間で放電が確保されるように設計されている限り、特に限定されない。比較的に低い電圧で放電を誘発する静電気保護材料として、例えば、Al23、TiO2およびSiO2、フォルステライト等の金属酸化物や金属窒化物等の絶縁性無機材料のマトリックス中に導電性無機材料が不連続に含まれる(一様に又はランダムに分散した)コンポジット等が知られている。
前記放電誘発部31は、導電性無機材料の比率を高くすることで導電性無機材料同士の接触が発生しやすくなり、素子の絶縁性に影響を与えることになる。静電気吸収特性と素子の絶縁性を考慮すると、概ね10〜50vol%程度にすることが好ましい。
絶縁性無機材料の具体例としては、例えば、絶縁性金属酸化物やフォルステライト等の金属窒化物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。絶縁性やコスト面を考慮すると、Al23、SrO、CaO、BaO、TiO2、SiO2、ZnO、In23、NiO、CoO、SnO2、Bi23、Mg2SiO4、V25、CuO、MgO、ZrO2、AlN、BN及びSiCであることが好ましい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。絶縁性無機材料のマトリックスは、絶縁性無機材料の一様な膜として形成されていても、絶縁性無機材料の粒子の凝集体として形成されていてもよく、その性状は特に限定されない。これらのなかでも、絶縁性に優れる、Al23、SiO2、フォルステライト等を用いることがより好ましい。
導電性無機材料の具体例としては、例えば、金属、合金、導電性金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。導電性を考慮すると、C、Ni、Al、Fe、Cu、Ti、Cr、Au、Ag、Pd及びPt等を用いることが好ましい。また、これらの合金も用いることができる。
微小空隙35は、放電誘発部31(コンポジット)に多孔性を付与し、これにより放電の際に生じる熱や応力を吸収し、対向電極21,22及びその周辺の破壊(溶融や変形等)を緩和する。ここで、本明細書において、微小空隙は、その大きさが0.1〜5μmのものを意味する。上記のようにして得られた実施例1〜5の静電気対策素子100において、放電誘発部31の断面を研磨し、SEMを用いて断面観察を行い、倍率7500倍で写真を撮影した。撮影した写真から、空隙を50点選択し、50点の平均値を微小空隙の大きさとした。微小空隙35の大きさと含有比率(放電誘発部31に対する微小空隙34の体積割合(vol%)は、所望する静電気吸収特性に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、微小空隙34の大きさは0.1〜2μmが好ましい。また、微小空隙の含有比率は1〜40vol%が好ましく、より好ましくは2〜30vol%、さらに好ましくは5〜20vol%である。
放電誘発部31の厚みは、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。対向電極を中空部に露出させることを考慮すると、対向電極の厚みよりも厚く、絶縁性保護層の厚みよりも薄い必要がある。
放電誘発部31の形成方法は、特に限定されず、例えば、公知の薄膜形成方法・積層工法を適用することができる。放電誘発部31の微小空隙35が所定の比率で含む構造物を形成する観点、上記の構造の放電誘発部31を再現性良く簡便に得る観点から、絶縁性無機材料と導電性無機材料、および微小空隙35を作製するための焼成により消失する樹脂材料(消失材)とを少なくとも含有する混合物を塗布し、さらに混合物上の所望位置に中空部31を作製するための消失材を所望形状に塗布した後、これを焼成して消失材を消失させることで、上記の微小空隙35を有する多孔質構造を形成するとともに中空構造を区画形成する方法が好適である。以下、好ましい放電誘発部31の形成方法について説明する。
この方法では、まず、絶縁性無機材料と導電性無機材料、および微小空隙35を作製するための消失材とを含有する混合物を調製し、この混合物を対向電極下側と対向電極間の一部に配置されるように絶縁性基板11の所定の箇所に塗布或いは印刷等により形成する。そして、電極21,22の対向電極を形成し、その後、中空部31を作製するための消失剤を所望形状に塗布、あるいは印刷等を行う。その後、再び、対向電極と中空部用の焼失材が形成された絶縁性基板上の所定位置の位置に、さらに前述の混合物を塗布或いは印刷等して付与してもよい。その後、焼成処理を施すことで、消失材を熱分解・揮発等させて消失させる。このように焼成時に消失材が除去されることより、所望の大きさの微小空隙35を所定の含有比率を含む構造体であって、所望の位置に中空部32を内包する中空構造を有する放電誘発部31が得られる。ここで、焼成時における処理条件は、特に限定されないが、生産性及び経済性を考慮すると、大気雰囲気下、500〜1200℃で10分〜5時間程度が好ましい。
なお、上記の方法で使用する消失材としては、焼成時に熱分解・揮発等して消失するものである限り、特に限定されず、公知のものを適宜選択して用いることができる。このような消失材の具体例としては、例えば、樹脂粒子や溶媒と樹脂との混練物(樹脂ペースト)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。代表的な樹脂粒子としては、例えば、アクリル系樹脂等の熱分解性に優れるものが挙げられる。また、代表的な樹脂ペーストとしては、例えば、焼成時に熱分解・揮発・消失する樹脂、例えば、アクリル樹脂、エチルセルロース、ポリプロピレン等を公知の溶媒に混合したものが挙げられる。ここで、樹脂粒子を用いて微小空隙35を作成する場合、その樹脂粒子の粒径は、所望の大きさの微小空隙35が得られるように適宜設定することができる。なお、混合物の調製の際、又は、混合物の塗布或いは印刷の際に、溶剤、バインダー等の各種添加物を配合してもよい。また、樹脂ペーストを用いて中空部31を形成する場合、所望形状・サイズの中空部31が得られるように樹脂ペーストの固形分濃度や粘度等を適宜調整することができる。
<中間層41、42>
中間層41、42は絶縁層51、52と放電誘発部31の間に配設されており、焼成を行う際に各部の縮率差による応力を緩和する効果を有する。静電気対策素子で放電が発生する周囲の構造物は対向電極、放電誘発部、対向電極先端部の絶縁層が挙げられるが、各部の縮率が大きく異なる。例えば絶縁層にガラス質を含む場合、焼成の際の縮率が大きいが、その一方で、放電誘発部は導電性無機材料、絶縁性無機材料、および微小空隙より構成される多孔質体であるため、焼成の際の縮率はガラス質に比べて小さい。このため、絶縁層と放電誘発部を接した状態で焼成を行うと、縮率差による変形等が発生しやすい。そこで、絶縁層を構成する成分と放電誘発部を構成する成分からなる中間層を設けることで、縮率差による対向電極部、絶縁層、及び放電誘発部の焼成の際に生じる変形等を抑制することが可能となる。その結果、所望の構造、寸法となる静電気対策素子を得ることが可能となる。また、放電誘発部と絶縁層を隣合わせで形成する場合、絶縁層のガラス質が放電誘発部へ拡散することにより微小空隙が焼失する等の不具合が生じる恐れがあるが、中間層を有することによりこのような問題が解決することができる。この結果、素子の構造ばらつきを抑制することができるため、複数の素子について耐久性に関する測定を行う際に、良好な結果が得られる。
中間層41、42は絶縁層と放電誘発部31が接触するのを防ぐように配置されることが好ましく、該当する箇所に形成する必要がある。そのため、塗布、印刷工法により形成する場合、絶縁層が配された対向電極が形成されている絶縁性基板の所定の箇所に中間層を形成し、その後、放電誘発部を形成することが好ましい。各部を印刷、塗布により形成後に絶縁性保護層を積層して焼成を行うことで、静電気対策素子100を得ることができる。
中間層41、42には前記放電誘発部に含まれる導電性無機材料および絶縁性無機材料と同じ材質、ならびに前記絶縁層に含まれるガラス質と同じ材質を少なくとも含むことが好ましい。
前期中間層41、42の厚みは特に指定されないが、放電誘発部や絶縁層に用いる材料の種類により各部の縮率も異なるため、素子の静電気吸収特性、絶縁性を考慮し、特に焼成後に放電に寄与する部分が所望の寸法となるように都度調整すればよい
中間層を配することで絶縁層と放電誘発部の縮率差による変形や、焼成の際に生じる絶縁層の成分が放電誘発部へ拡散するのを抑制することができる。これにより静電気対策素子100を構成する各部位を精度よく形成することが可能となり、その結果、静電気対策素子が実現される。
本実施形態の静電気対策素子100においては、絶縁性無機材料のマトリックス中に導電性無機材料33が不連続に分散したコンポジットである放電誘発部31が、絶縁抵抗が大きい、静電容量が小さい、応答性が良好である、放電特性に優れる、という静電気保護材料として有効に機能する。そして、放電誘発部31は、微小空隙が不連続に点在した構造からなり、且つ、中空部31を有する中空構造を有しているため、電極周辺の破壊や放電誘発部の破壊を緩和することができる。このため、放電を繰り返し行ったときの耐久性が高められる。また、放電誘発部31は、放電によって生じ得る溶融物の凝集が1箇所に集中し難い構成となっているため、対向電極21,22間での短絡が有効に抑制される。以上のことから、静電容量が小さく、静電気吸収特性の劣化が抑制され、ショート破壊が抑制された高性能な静電気対策素子100が実現される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、図7に示すように、絶縁性基板11として、主成分がAlとガラス成分より構成される材料をシート化したグリーンシートを用意し、その表面11aに放電誘発部形成用のペーストをスクリーン印刷し、パターン形成を行った。ここで放電誘発部形成用のペーストは以下のように作成したものを用いた。絶縁性無機材料32としてSiOを主成分とするガラス粉末を10vol%、および平均粒径1μmのAl(住友化学株式会社製、商品番号:AM−27)を50vol%、導電性無機材料33として平均粒径1μmのAg粒子(三井金属鉱業株式会社製、商品番号:SPQ05S)を30vol%、微小空隙34を形成するための平均粒径1μmの球状のアクリル系樹脂粒子(綜研化学株式会社製、商品番号:MX-150)を10vol%、となるように秤量し、これらを混合して混合物を得た。これとは別に、バインダーとしてエチルセルロース系樹脂と溶剤としてのタ―ピネオールとを混錬して、固形分濃度が8質量%のラッカーを調製した。次いで、上記のようにして得られた混合物にラッカーを加えた後、混練することにより、放電誘発部形成用のペースト状混合物を作製した。
次に、Agペーストをスクリーン印刷により厚み15μm程度となるように印刷することで、対向電極21、22をパターン形成した。印刷後の対向電極について、電極21、22の長さは0.5mm、幅は0.4mm、電極21,22距離ΔGは、40μmとした。次に図8に示すように、中空部形成用ペースト状混合物81を対向電極の中央部にスクリーン印刷し、パターン形成を行った。また、中空部形成の樹脂ペーストは、アクリル樹脂をブチルカルビトールに混合して、固形分濃度が40質量%の樹脂ペーストを用いた。
次に、対向電極の表面に配される絶縁層51、52の形成を行った。絶縁層はペースト状の混合物をスクリーン印刷により、対向電極周辺部にパターン形成を行った。なお、印刷後の絶縁層厚みについては2μm程度となるようにペーストの物性とスクリーンの調整を行った。絶縁層形成用のペーストは以下のようにして作成したものを用いた。絶縁層としてSiOを主成分とするガラス質を用いた。バインダーとしてエチルセルロース系樹脂と溶剤としてのタ―ピネオールとを混錬して、固形分濃度が8wt%のラッカーを調製した。次いで、上記ガラスにラッカーを加えた後、混練することにより、絶縁体ペーストを調整した。
次に、中間層を所定の位置にスクリーン印刷によりパターン形成を行った。中間層の厚みは20μm程度となるように調整した。中間層を構成する材料として、放電誘発部を構成する材料と絶縁層を構成する材料を用いて、中間層形成用のペースト状の混合物の作製を行った。具体的には導電性無機材料としてAg粒子を20vol%、絶縁性無機材料としてAl2O3粒子を50vol%とガラス粉末を30vol%となるように秤量し、混合した後に、バインダーとしてエチルセルロース系樹脂と溶剤としてのタ―ピネオールとを混錬して、固形分濃度が8wt%のラッカーを調製した。
次に、得られた放電誘発部形成用のペースト状混合物を、図9で示されているように上記工程で形成された中間層までの領域を覆うようにスクリーン印刷した。そして、放電誘発部31の前駆体上に絶縁性保護層52となるグリーンシートを積層した後、さらに熱プレスを行うことにより、積層体を作製した。その後、得られた積層体を所定の大きさに切断し、個片化を行った。しかる後、個片化された積層体に200℃で1時間の熱処理(脱バインダー処理)を施し、その後、毎分10℃で昇温し、大気中950℃で30分間保持した。この焼成処理によって、放電誘発部31の前駆体からアクリル系樹脂粒子、エチルセルロース系樹脂及び溶剤が除去され、その結果、微小空隙35が不連続に点在した構造体となり、中空部31を内包する構造を有し、対向電極先端部で中空部に露出した箇所のみが絶縁層で被覆されず、かつ、絶縁層と放電誘発部が接しないように中間層41、42が配される静電気対策素子100を得ることができる。なお、焼成後の対向電極21,22間のギャップ距離ΔGは30μmであった。また、電極21,22間を結ぶ方向の中空部31a,31bの長さ(ΔM)は40μmであった。また、放電誘発部の長さ(ΔL)は80μmであった。また、対向電極先端部の絶縁層の厚みは1μmであった。また、中間層の厚みは10μmであった。
その後、図10に示すように、電極21,22の外周端部に接続するように、Agを主成分とする端子電極71、72を形成することにより、実施例1の静電気対策素子100を得た。
(実施例2)
絶縁層形成用ペースト状混合物のスクリーン印刷時において、塗布厚みの調整を行い、焼成後の絶縁層厚みを0.5μmとすること以外は、実施例1と同様に操作して、微小空隙が不連続に点在し、中空部を内包する放電誘発部を有し、かつ中空部に露出した対向電極表面には絶縁層を配さず、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有する実施例2の静電気対策素子100を得た。
(実施例3)
中空部形成用のペースト状混合物をスクリーン印刷する際に、中空部形成用のペースト状混合物を塗布する工程より先に絶縁層を塗布することを除いては実施例1と同様に操作して、微小空隙35が不連続に点在した構造体からなり、中空部を有し、対向電極先端部、および対向電極先端部で中空部に露出した箇所に絶縁層を有し、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有する実施例3の静電気対策素子100を得た。
(実施例4)
絶縁層形成用ペースト状混合物のスクリーン印刷時において、塗布厚みの調整を行い、焼成後の絶縁層厚みを0.5μmとすること以外は、実施例3と同様に操作して、微小空隙が不連続に点在し、中空部を内包する放電誘発部を有し、対向電極先端部、および対向電極先端部で中空部に露出した箇所に絶縁層を有し、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有する実施例4の静電気対策素子100を得た。
(比較例1)
中空部形成用のペースト状混合物をスクリーン印刷する際に、中空部形成用のペースト状混合物を塗布する工程を省略することを除いては実施例1と同様に操作して、微小空隙35が不連続に点在した構造体からなり、且つ、中空部を有さない非中空構造の放電誘発部を作製し、比較例1の静電気対策素子100を得た。
(比較例2)
中間層形成用のペースト状混合物をスクリーン印刷する際に、中間層形成用のペースト状混合物を塗布する工程を省略するのを除いては実施例1と同様に操作して、微小空隙35が不連続に点在した構造体からなり、中空部を有し、対向電極先端部で中空部に露出した箇所には絶縁層を有さず、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有さない比較例1の静電気対策素子100を得た。
(比較例3)
絶縁層形成用ペースト状混合物のスクリーン印刷時において、絶縁層形成用のペースト状混合物を塗布する工程を省略するのを除いて、実施例1と同様に操作して、微小空隙が不連続に点在し、中空部を内包する放電誘発部を有し、かつ対向電極先端部で中空部に露出した箇所には絶縁層を有さず、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有する実施例2の静電気対策素子100を得た。
(実施例5)
放電誘発部の導電粒子比率と絶縁物の比率をそれぞれ20vol%、60vol%とする以外は、実施例1と同様に操作して、微小空隙が不連続に点在し、中空部を内包する放電誘発部を有し、対向電極先端部でかつ中空部に露出する箇所には絶縁層を有さず、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有する実施例5の静電気対策素子100を得た。
(実施例6)
放電誘発部の導電性無機材料の比率と絶縁性無機材料の比率をそれぞれ40vol%、40vol%とする以外は、実施例1と同様に操作して、微小空隙が不連続に点在し、中空部を内包する放電誘発部を有し、かつ対向電極先端部で中空部に露出する箇所には絶縁層を有さず、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有する実施例6の静電気対策素子100を得た。
(比較例4)
中間層形成用のペースト状混合物をスクリーン印刷する際に、中間層形成用のペースト状混合物を塗布する工程を省略するのを除いては実施例3と同様に操作して、微小空隙34が不連続に点在した構造体からなり、中空部を内包する放電誘発部を有し、かつ対向電極先端部で中空部に露出する箇所には絶縁層を有さず、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有さない比較例4の静電気対策素子100を得た。
(比較例5)
中間層形成用のペースト状混合物をスクリーン印刷する際に、中間層形成用のペースト状混合物を塗布する工程を省略するのを除いては実施例4と同様に操作して、微小空隙35が不連続に点在した構造体からなり、中空部を内包する放電誘発部を有し、かつ対向電極先端部で中空部に露出した箇所には絶縁層を有さず、絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有さない比較例5の静電気対策素子100を得た。
<構造観察>
上記のようにして得られた実施例1〜6の静電気対策素子100において、放電誘発部31の断面を研磨し、SEMを用いて断面観察を行ったところ、微小空隙35が不連続に点在し、中空部を内包する放電誘発部を有し、対向電極先端部が前記中空部内に露出しており、かつ絶縁層と放電誘発部との間に中間層を有する実施例1〜6の静電気対策素子を得た。
<静電気放電試験>
次に、上記のようにして得られた実施例1〜6の静電気対策素子100及び比較例1〜5の静電気対策素子について、図11に示す静電気試験回路を用いて、静電気放電試験を実施した。表1及び表2に、試験結果を示す。ここで、静電気吸収特性の劣化についての評価結果は耐久性、またショート破壊についてはショート率に示されている。
この静電気放電試験は、国際規格IEC61000−4−2の静電気放電イミュニティ試験及びノイズ試験に基づき、人体モデルに準拠(放電抵抗330Ω、放電容量150pF、印加電圧8.0kV、接触放電)して行った。具体的には、図11の静電気試験回路に示すように、評価対象の静電気対策素子の一方の端子電極をグランドに接地するとともに、他方の端子電極に静電気パルス印加部を接続した後、静電気パルス印加部に放電ガンを接触させて静電気パルスを印加した。ここで印加する静電気パルスは、放電開始電圧以上の電圧を印加した。
なお、放電開始電圧は、静電気試験を0.4kVから0.2kV間隔で増加させながら行なった際に観測される静電気吸収波形において、静電気吸収効果が現れた電圧(kV)とした。また、静電容量は、1MHzにおける静電容量(pF)とした。さらに、ショート率については、各々サンプル100個を用意し、静電気放電試験を各々8.0kVで100回繰り返した際に、電極間の短絡が発生した個数をカウントし、その割合(%)で示している。この割合が低いほどショート破壊の頻度が低いことになる。また、耐久性については、各々サンプル100個を用意し、静電気放電試験を各々8.0kVで99回繰り返した後、100回目のピーク電圧が500V以下となるサンプルの個数をカウントし、その割合(%)で示している。この割合が高いほど静電気吸収特性の劣化が低いことになる。
Figure 2016042436
Figure 2016042436
表1及び表2に示す結果より、実施例1〜6の静電気対策素子は、放電開始電圧が最大で3kV程度と低く、且つ、静電容量が0.2pF以下と小さく、高速伝送系において適用可能な高性能なものであることが確認された。その上さらに、実施例1〜6の静電気対策素子は、電極間の短絡の発生が格別に抑制されていることが確認され、放電試験を繰り返し行う耐久性が高められ、信頼性に優れるものであることが確認された。実施例1〜6の中で、対向電極先端部で中空部に露出した箇所が絶縁層で覆われている素子については、覆われていないものよりも放電開始電圧が高い傾向にある。これは絶縁層が対向電極の表面を覆っていることが原因と考えられる。しかし、実施形態の範囲内においては本願の効果である静電気吸収特性の劣化の抑制と短絡による絶縁劣化の抑制には影響を及ぼさない。
一方、表1に示す結果より、比較例1の静電気対策素子は、中空部がないため、特にショート率が高く、繰り返し放電試験を行ったときの静電気吸収特性の劣化も大きいことが確認された。これは、放電によって生じる熱や応力によって放電誘発部や対向電極の破壊が生じ易く、そのため、ショート破壊が多くなったと考えられる。また比較例2〜5の静電気対策素子は、耐久性については良好であるが、ショート破壊が発生していることが確認された。比較例2については、中間層を有さないために対向電極表面に有する絶縁層のガラス質が放電誘発部へ拡散すること、および縮率差による絶縁層の形成不良が発生し、素子の構造ばらつきが大きくなったため、ショート率が高くなると推測される。比較例3については絶縁層が配されていないため、ショート率が高くなったと推測される。
表2に示す結果より、比較例4の静電気対策素子について、放電誘発部の導電粒子の比率は20vol%であり、短絡が少ないと想定される条件であるが、中間層を有していないため、焼成時に絶縁層が放電誘発部に拡散し、絶縁層の形成不良が発生し、素子の構造ばらつきが大きくなったため、ショート率が高くなったと推測される。比較例5は導電性無機材料の比率が40vol%と高い条件で、かつ中間層を有していないため、ショート率が比較例4に比べて高くなったと推測される。
なお、本発明は上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、中空部31の設置数・形状・大きさ・レイアウト等は適宜変更することができる。具体的には、例えば、図12に示すように2つの中空部31a,31bを設置したりすることもできる。また、図13、14に示すように、対向電極先端部で中空部に露出した箇所の絶縁層の一部が欠損しているような構造をとることもできる。
以上説明した通り、本発明の静電気対策素子は、電極間の短絡の発生が抑制され、放電を繰り返し行った場合に静電気吸収特性の劣化が少なく、これを備える電子・電気デバイス及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能である。
11…絶縁性基板、11a…絶縁性表面、21,22…対向電極、31…放電誘発部、32…中空部、33…導電性無機材料、34…絶縁性無機材料、35…微小空隙、41, 42…中間層、51, 52…絶縁層、61…絶縁性保護層、71, 72…端子電極、81…中空部形成用ペースト状混合物、100…静電気対策素子、ΔG…ギャップ距離、ΔM…電極21,22間を結ぶ方向の中空部31の長さ、ΔL…放電誘発部31の長さ

Claims (5)

  1. 絶縁性基板と、
    前記絶縁性基板上において相互に離間して対向配置された対向電極と、
    前記対向電極の表面に設けられ、且つガラス質を含む絶縁層と、
    前記対向電極を結ぶように形成される中空部と、
    前記中空部を内包するように設けられた放電誘発部とを有し、
    前記放電誘発部は、導電性無機材料、絶縁性無機材料および微小空隙を少なくとも含み、
    前記絶縁層と前記放電誘発部との間に中間層を有することを特徴とする静電気対策素子。
  2. 前期中間層は、前記放電誘発部に含まれる導電性無機材料および絶縁性無機材料と同じ材質、ならびに前記絶縁層に含まれるガラス質と同じ材質を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の静電気対策素子。
  3. 前記対向電極の一部が前記中空部内に露出しており、且つ露出した前記対向電極の少なくとも一部の表面は前記絶縁層に覆われていないことを特徴とする請求項1または2に記載の静電気対策素子。
  4. 前記絶縁層は、少なくとも1種類の絶縁性酸化物粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の静電気対策素子。
  5. 前記ガラス質はその成分として、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、BaO、LiO、NaO、KO、ZnO及びZrOよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の静電気対策素子。
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