JP2010027993A - 電子線描画装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板上にパターンを精度よく描画する。
【解決手段】磁気シールド筐体24の円筒部25aの内部に磁気キャンセル機構50を設ける。この磁気キャンセル機構50は、環状コイル51,52の相互作用により、固定子ユニット34から発生する磁束密度Bxの第1の磁界を打ち消すための、磁束密度がBcの第2の磁界を発生させる。これにより、第1の磁界と第2の磁界とが相殺し結果的に、磁気シールド筐体24からの漏れ磁束の発生が回避される。
【選択図】図8
【解決手段】磁気シールド筐体24の円筒部25aの内部に磁気キャンセル機構50を設ける。この磁気キャンセル機構50は、環状コイル51,52の相互作用により、固定子ユニット34から発生する磁束密度Bxの第1の磁界を打ち消すための、磁束密度がBcの第2の磁界を発生させる。これにより、第1の磁界と第2の磁界とが相殺し結果的に、磁気シールド筐体24からの漏れ磁束の発生が回避される。
【選択図】図8
Description
本発明は、電子線描画装置に係り、更に詳しくは、電子線を用いて基板にパターンを描画する電子線描画装置に関する。
近年、情報のデジタル化に伴い、光ディスクやハードディスクの大容量化に対する要求が高まっており、CD(Compact Disk)や、DVD(Digital Versatile Disk)などの従来型光ディスクに代わり、例えば波長が400nm程度の紫外光により情報の記録及び再生が行なわれる次世代型の光ディスクや、高密度記録が可能なパターンドメディアが登場するに至っている。
次世代型光ディスクの原盤(スタンパ)やパターンドメディアの記録媒体等の製造工程では、記録層に形成されるパターンが従来型の光ディスクに比べて微細であることから、例えば、極細線描画が可能な電子線描画装置がよく用いられている(例えば特許文献1参照)。この種の電子線描画装置としては、回転する基板に電子線を照射して基板の表面にスパイラル状又は同心円状の微細パターンを描画するもの、或いは、水平面内を移動する基板に直線状の微細パターンを描画するものなどがある。
上述した電子線描画装置は、基板をXY平面内で駆動するステージ装置、及び基板を所定の回転数で回転するスピンドル機構などを備えている。これらのステージ装置及びスピンドル機構は、例えば回転機や、リニアモータ等からなる駆動系を含んで構成されている。このため、基板上に正確に電子線を入射させるためには、駆動系から生じる磁気を精度よくシールドする必要がある。
上記観点から、駆動系から発生した磁気を効率よくシールドする技術が種々提案されている(例えば特許文献2及び3参照)。
しかしながら、特許文献2に記載された磁気シールド方法では、コイル走行溝に沿って可動子が移動するため、コイル走行溝を完全にシールドすることができない。また、磁束を積極的にキャンセルする手段を持たないため外部への漏れ磁束が生じる。
この漏れ磁束はステージの移動に伴ってその磁束密度が変化する。そして、Z軸方向に進む電子ビームを収束させるように作用する。このため、このステージ装置を備える電子線描画装置でパターンの描画を行う際には、基板表面でフォーカスするように調整された電子ビームのフォーカス位置が、漏れ磁束の磁束密度の変化にともなって変動してしまい、結果的に電子ビームのデフォーカスが発生してしまうという問題がある。また、漏れ磁束のうち、X軸方向の磁束は電子ビームの軌道を曲げる作用がある。このため、ウエハ上の電子ビームの入射位置が、漏れ磁束の磁束密度の変化にともなって変動してしまうという問題がある。
また、特許文献3に記載された電子ビーム照射装置では、磁気シールド手段として、例えば、ヘルムホルツ型のコイルが用いられている。しかしながら、ヘルムホルツ型のコイルでは、X軸方向、Y軸方向、又はZ軸方向に一様なキャンセル磁界を発生させることしかできない。このため、例えば、磁界にスピンドルモータの1回転に同期して現れる周波数を持つ交流成分、及びその高調波成分などが含まれる場合には、これらの交流成分をキャンセルすることができない。また、この装置では、ステージの駆動にリニアモータが用いられているが、固定子側のコイルから発生する磁束に対する磁気対策はなされていない。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その目的は駆動系からの磁界を遮蔽及びキャンセルすることにより、基板に対して精度よくパターンを描画することが可能な電子線描画装置を提供することにある。
本発明は、第1の観点からすると、電子線を用いて基板にパターンを描画する電子線描画装置であって、前記基板を保持するステージと;前記ステージを所定軸方向へリニアモータにより駆動する駆動機構と;前記駆動機構を覆う強磁性材料からなる磁気シールド筐体と;前記磁気シールド筐体に形成された開口部からの漏れ磁束をキャンセルするキャンセル機構と;を備える電子線描画装置である。
これによれば、駆動機構からの磁界は、磁気シールド筐体によって遮蔽されるとともに、磁気シールド筐体の開口からの漏れ磁束は、キャンセル機構によってキャンセルされる。したがって、電子線に作用する磁界の影響を抑制することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1には本実施形態に係る電子線描画装置100の概略構成が示されている。この電子線描画装置100は、例えば真空度が10−4Pa程度の環境下において、レジスト材がコーティングされた基板Wに電子ビームを照射して、基板Wの描画面に微細パターンを描画する電子線描画装置である。
図1及び図2は、本実施形態にかかる電子線描画装置100の概略的な構成を示す図である。図1に示されるように、この電子線描画装置100は、電子ビームを基板に照射する照射装置20、基板を駆動する駆動機構30、該駆動機構30等を収容する真空チャンバ10、及び上記各部を統括的に制御する不図示の制御装置などを備えている。
前記真空チャンバ10は、駆動機構30が収容される第1真空室10bと、照射装置20の下半分が収容される第2真空室10aとを有し、床面に載置された板状の定盤12の上面に載置されている。そして、真空チャンバ10の内部は、不図示の真空ポンプ等によって所定の真空度に維持されている。
前記照射装置20は、長手方向をZ軸方向とするケーシングと、該ケーシングの内部上方から下方に向かって順次配置された、電子銃、磁界レンズ、ブランキング装置、走査電極など備えている。そして、駆動機構30に保持される基板Wの表面に電子線を照射する。この照射装置20は、真空チャンバ10の上面に設けられた開口部に上方から挿入された状態で支持されている。
前記駆動機構30は、図1及び図2を総合して見るとわかるように、基板Wを回転する回転機構36と、該回転機構36を保持してX軸方向に移動する移動ステージ32と、該移動ステージ32が載置されるベース31と、移動ステージ32に取り付けられた交流磁気シールド28と、強磁性材料からなり上記各部を覆う磁気シールド筐体24と、駆動機構30からの磁気をキャンセルする磁気キャンセル機構50(図8参照)とを有している。
図3は、回転機構36を示す図であり、図4は、回転機構36のケーシング37を断面して示す図である。図3及び図4を総合して見るとわかるように、回転機構36は、非磁性材料からなり基板Wを保持する円形板状の回転テーブル39、回転テーブル39の下面に貼り付けられた円形板状の磁気シールド部材41、回転テーブル39の下面の中心に磁気シール部材41を介して固定された、長手方向をZ軸方向とする回転シャフト37b、回転シャフト37bを所定の回転数で回転させるスピンドルモータ37c、回転シャフト37bを回転可能に保持する空気軸受機構37d、及び外周面に沿ってフランジ37aが形成されるとともに内部にスピンドルモータ37cと空気軸受機構37dを収容する円筒状のケーシング37などを有している。
この回転機構36では、ケーシング37の内部に配置された空気軸受機構37dによって回転シャフト37bは、ケーシング37に対してラジアル方向、及びスラスト方向に静圧浮上(離間)した状態で鉛直軸回りに回転可能に支持されている。そして、回転シャフト37bとケーシング37との隙間には、磁性流体シール37eが設けられている。これにより、ケーシング37の内部と真空チャンバ10の内部とは相互に気密された状態となっている。
上述のように構成された回転機構36では、不図示の制御装置により、回転シャフト37bがスピンドルモータ37cによって回転されることで、回転テーブル39が所定の回転数で回転される。これにより、基板Wは電子線に対して相対的に回転する。また、回転テーブル39の回転数や回転角度は、不図示のエンコーダなどによって常時モニタされる。
図3に示されるように、ケーシング37の周囲には、上下方向に相互に嵌合する磁気シールド部材42及び磁気シールド部材43が設けられている。本実施形態では、磁気シールド部材42及び磁気シールド部材43が嵌合することで、回転機構36のケーシング37を包囲する磁気筐体が形成されている。
図2に戻り、前記ベース31は、X軸方向を長手方向とする板状の部材であり、定盤12の上面に配置されている。また、ベース31の上面には、YZ断面での形状がV字状の2組の溝31aが、X軸に平行となるように形成されている。
前記移動ステージ32は、その下面にベース31に形成されたV字状の溝31aそれぞれに対応した、X軸方向を長手方向とするガイド部が形成されている。そして、このガイド部がベース31の溝31aの表面に配置されたベアリング31bを介してベース31に支持されることで、移動ステージ32は、ベース31の上面をX軸方向へ移動可能となっている。また、移動ステージ32には、その上面に開口部が形成され、該開口部には上方から回転機構36のケーシング37が挿入されている。これにより、回転機構36は、ケーシング37のフランジ37aを介して、移動ステージ32の上面に支持される。
本実施形態では、図5を参酌するとわかるように、移動ステージ32の−Y側及び+Y側の側面には、X軸に沿ってY軸方向に突出するコアが複数形成され、各コアに電機子コイルがそれぞれ設けられることで、複数のコイルがX軸方向に配列された可動子32aが形成されている。そして、この可動子32aに対向する複数の永久磁石からなる1組の固定子ユニット34が、定盤12に設けられた支持部材33にヨーク33aを介して支持されている。
前記固定子ユニット34は、X軸方向に配列された複数の永久磁石を含んで構成され、それぞれの永久磁石は、可動子32aに対向する面の極性が隣接する永久磁石相互間で異なるように配置されている。これにより、固定子ユニット34と可動子32aとでムービングコイル方式のリニアモータが構成される。そして、可動子32aの各コイルに供給される電流が、不図示の制御装置によって制御されることにより、移動ステージ32は、固定子ユニット34と可動子32aとの間に生じる電磁力により、X軸方向に駆動される。
図6は、1組の交流磁気シールド28のうちの1つを示す図である。図6に示されるように、前記交流磁気シールド28は、非磁性金属、硬質樹脂又はガラスエポキシなどを素材とするU字状のコア部材28aと、このコア部材28aに巻回された巻線28bとを有している。前記コア部材28aは、その表面に例えば抵抗率が130×10−8Ω・mで、幅が5センチ、厚さ20μm程度の非晶質材からなる磁性薄帯がヘリカル巻きされている。交流磁気シールド28では、巻線28bに周波数が200Hz程度のシェイキング電流が印加されるとで、コア部材28aのX軸方向の透磁率が実効的に高められるようになっている。
上述した1組の交流磁気シールド28は、図2を参酌するとわかるように、上面に形成された半円形状の湾曲部が、−Y側及び+Y側から回転機構36を包囲した状態で、移動ステージ32の上面に固定されている。
図7は、磁気シールド筐体24を示す図である。図7に示されるように、前記磁気シールド筐体24は、磁気をシールドする例えばパーマロイ等を素材とする一組のケース25A,25Bとから構成されている。ケース25A,25Bそれぞれは、X軸方向の一方と下方が開放されるとともに、X軸方向の他方の側壁に内部空間と連通する円筒部25aが形成された部材である。そして、これらのケース25A,25Bは、連結部材27によって連結されることで下方が開放されるとともに、−X側及び+X側の側面に、内部空間と連通する4つの円筒部25aが形成された筐体となる。なお、本実施形態では、前記円筒部25aは、X軸方向の磁束が鎖交するため、他の部分よりその厚みが大きくなるように構成するのが望ましい。
この磁気シールド筐体24は、図1及び図2を参酌するとわかるように、ケース25A,25Bの上面に形成された半円形状の湾曲部が、−X側及び+X側から回転機構36を包囲した状態で連結部材27によって一体化されている。また、この磁気シールド筐体24は、ケース25A,25Bが移動ステージ32に取り付けられることで、交流磁気シールド28から所定のクリアランスを隔てた位置に配置されている。そして、この状態のときには、移動ステージ32、ベース31、及び固定子ユニット34などが磁気シールド筐体24の内部に収容され、図1に示されるように、磁気シールド筐体24の円筒部25aは、真空チャンバ10の−X側及び+X側の側壁に設けられた開口部10cから突出した状態となっている。また、本実施形態では、真空チャンバ10に形成された開口部10cは、キャップ部材11によって閉塞されている。
前記磁気キャンセル機構50は、図8に示されるように、一組の環状コイル51,52からなるヘルムホルツコイルであり、磁気シールド筐体24に形成された円筒部25aそれぞれの内部に配置されている。この磁気キャンセル機構50の環状コイル51,52それぞれには、磁気キャンセル機構50の近傍に配置された磁気センサ55からの出力信号に基づいて、所定の電流が供給される。
前記制御装置(不図示)は、一例としてCPU、及び上記各部を制御するプログラムやパラメータが格納されたメモリなどを含んで構成された制御用コンピュータである。この制御装置は、例えばユーザから指令に基づいて、照射装置20、駆動機構30、磁気キャンセル機構50などを統括的に制御する。
また、図1に示されるように、本実施形態では、上述の照射装置20のケーシングは、真空チャンバ10の内部に位置する部分が磁気シールド部材54bによって覆われており、真空チャンバ10の外部に位置する部分が磁気シールド部材54aによって覆われている。そして、真空チャンバ10の第1真空室10bを形成する内壁面には、磁気シールド部材23が貼り付けられている。
上述した電子線描画装置100では、描画開始指令が入力または通知されると、制御装置は、駆動機構30を駆動することにより、基板Wを+X方向へ微小移動させながら所定の回転数で回転させる。次に、照射装置20を駆動して、描画パターンに基づいて変調された電子ビームを基板Wの表面に照射して、基板Wの表面に同心円状又はスパイラル状のパターンを描画する。
以上説明したように、本実施形態の電子線描画装置100では、磁気シールド筐体24の円筒部25aの内部に磁気キャンセル機構50が設けられている。図9を参酌するとわかるように、この磁気キャンセル機構50は、磁気センサ55からの出力信号に基づいて、制御装置から所定の電流が1組の環状コイル51,52に供給されることで、環状コイル51,52の相互作用により、固定子ユニット34から発生する磁束密度Bxの磁界を打ち消すような磁束密度がBcの磁界を発生させる。これにより、図8に模式的に示されるように、向きをX軸方向とする固定子ユニット34からの磁束は、磁気キャンセル機構50からの磁束によって相殺され、磁気シールド筐体24から外部に漏れることがない。したがって、パターンを基板Wに描画する際に、漏れ磁束により電子線が受ける影響を低減することができ、精度よく基板Wにパターンを描画することが可能となる。
また、本実施形態においては、磁気キャンセル機構50の環状コイル51,52は、環状コイル51,52の半径をaとするものを用い、相互間の距離をaとするのが好ましい。これにより、環状コイル51,52の中間位置に、一様な磁束密度の磁界を作り出すことができる。
また、本実施形態では、駆動機構30の固定子ユニット34からの磁界は、磁気シールド筐体24によって、効果的に遮蔽される。したがって、電子線が受ける駆動機構30からの磁界の影響を効果的に抑制することができ、精度よく基板Wにパターンを描画することが可能となる。
また、本実施形態では、固定子ユニット34からの磁束は、巻線28bにシェイキング電流が印加された交流磁気シールド28のコア部材28aに進入し、コア部材28aに渦電流を発生させることで減衰しながらX軸方向へ誘導される。したがって、固定子ユニット34からX軸に直交する方向に発生する磁界を、効果的に減衰させるとともに、磁束を磁気キャンセル機構50へ効果的に導くことができる。なお、シェイキング電流が印加された交流磁気シールド28からの磁気は、磁気シールド筐体24によって遮蔽される。
また、本実施形態では、回転テーブル39は非磁性材料からなり、回転テーブル39の下面には、磁気シールド部材41が貼り付けられている。これにより、磁気シールド部材42と回転シャフト37bとの間から漏れる磁束は、Z軸に直交する方向に向きが変わり、図8中の矢印に示されるように、再び磁気シールド筐体24の外壁面の内部に戻る。これにより、基板Wに入射する電子線に向かう磁束を大幅に低減することができる。
また、本実施形態では、照射装置20のケーシング表面が、磁気シールド部材54a,54bによって覆われている。これより、照射装置20から射出された電子線が、照射装置20の内部の集束レンズ等の素子から発生する磁界の影響を受けることがなく、電子線を精度よく基板W表面の所望の位置へ入射させることができ、結果的に基板Wに精度よくパターンを描画することができる。
また、真空チャンバ10の第1真空室10bの内壁面には、電子線が装置の外部からの磁界の影響を受けないように、磁気シールド部材23が貼り付けられている。この磁気シールド部材23は、特に商用電力である50Hzの交流磁界が真空チャンバ10の内部に与える影響を低減する。これにより、電子線を精度よく基板W表面の所望の位置へ入射させることができ、結果的に基板Wに精度よくパターンを描画することができる。
また、本実施形態では、磁気シールド部材23の開口に磁気シールド筐体24の円筒部25aが挿入された状態となっている。これにより、移動ステージ32がベース31の上面を移動しても、基板Wは、磁気シールド筐体24と磁気シールド部材23とによって囲まれる空間に配置されることとなる。したがって、電子線が受ける磁界の影響が効率よく低減される。
なお、本実施形態では、電子線描画装置100が、1組の環状コイル51,52を有する磁気キャンセル機構50を備えている場合について説明したが、これに限らず、環状コイルは1つでもよく、3つ以上であってもよい。要するに、磁気キャンセル機構は、X軸方向の磁界を発生させて、駆動機構30から発生するX軸方向の磁界をキャンセルすることができる構成であればよい。また、磁気センサ55によって、X軸方向以外の磁界を検出し、それぞれの方向の磁界をキャンセルするための磁気キャンセル機構をそれぞれ設けてもよい。
また、図10に示されるように、磁気キャンセル機構50に加えて、固定子ユニット34に対向する側が、隣接する固定子ユニット34の永久磁石の極性と反対となる永久磁石53を別途設けることとしてもよい。この永久磁石53は、固定子ユニット34の永久磁石とともに磁気回路を構成するため、固定子ユニット34から磁気シールド筐体34の外部へ向かう磁束を減らすことができる。なお、永久磁石53の磁力は、固定子ユニット34を構成する永久磁石の磁力よりも小さくすることが望ましい。その理由は、全体の磁束の流れを大きく乱すことがないようにするためである。
また、本実施形態では、電子線描画装置100は、磁気シールド筐体24と交流磁気シールド28とを有している。このため、磁気シールド筐体24のみを用いた場合に比べて、磁気飽和密度を高くすることができ、真空チャンバ10内部への磁束漏れをさらに減らすことができる。また、X軸方向へ磁束を誘導することが容易となる。これにより、電子線が磁界の影響を受けることがなくなるので、結果的に基板Wに精度よくパターンを描画することができる。
また、本実施形態では、磁束の方向をX軸方向に変えるために、磁気シールド筐体24や交流磁気シールド28が用いられている。磁気シールド筐体24の内部に残る磁束は、X軸方向に向かい磁気キャンセル機構によってキャンセルされる。
また、本実施形態では、磁束減衰誘導手段として交流磁気シールド28が用いられている。このため、X軸に垂直な方向に対して、磁気シールド効果を高めることができる。また交流磁気シールド28は、パーマロイに代表される強磁性材を使った場合に比べて、極めて軽く、特定の方向に対しては、強磁性材料と同等以上のシールド効果を発揮する。このため、交流磁気シールド28が移動ステージ32に取り付けられることを考慮すると移動ステージ32の可動重量を小さくすることができ、ステージ駆動用のリニアモータを小さくすることができる。また、これにより、磁気シールド筐体24の内部で発生する磁界の大きさを小さくすることができる。
また、本実施形態では、磁気キャンセル機構50によって、磁気シールド筐体24の内部で発生する磁束を消磁させることで、磁気シールド筐体24の飽和磁束密度を越えて、真空チャンバ10の内部に漏れる磁束を小さくすることができる。
また、本実施形態では、磁気シールド筐体24の円筒部25aの内部に永久磁石53を配置することで、永久磁石53に対向する固定子ユニット34の磁石との間に磁気回路が構成される。これにより、駆動機構30で生じる磁束の方向をX軸方向に向けることが容易になる。したがって、X軸に対して垂直な方向に向かう磁束の大きさを低減することができ、結果的に磁気シールド筐体24の飽和磁束密度を越えて、真空チャンバ10の内部に漏れる磁束を少なくすることができる。
また、本実施形態では、磁気キャンセル機構として、ヘルムホルツコイルを用いることで、効率的に磁束をキャンセルすることができる。したがって、磁気キャンセル機構を小型化することができ、結果的に装置を小型化することができる。
以上説明したように、本発明の電子線描画装置は、基板にパターンを描画するのに適している。
10…真空チャンバ、10a…第2真空室、10b…第1真空室、10c…開口部、11…キャップ部材、12…定盤、20…照射装置、23…磁気シールド部材、24…磁気シールド筐体、25A,25B…ケース、25a…円筒部、27…連結部材、28…交流磁気シールド、28a…コア部材、28b…巻線、30…駆動機構、31…ベース、31a…溝、31b…ベアリング、32…移動ステージ、32a…可動子、33…支持部材、33a…ヨーク、34…固定子ユニット、36…回転機構、37…ケーシング、37a…フランジ、37b…回転シャフト、37c…スピンドルモータ、37d…空気軸受機構、37e…磁性流体シール、39…回転テーブル、41〜43…磁気シールド部材、50…キャンセル機構、51,52…環状コイル、53…永久磁石、54a,54b…磁気シールド部材、55…磁気センサ、100…電子線描画装置、W…基板。
Claims (11)
- 電子線を用いて基板にパターンを描画する電子線描画装置であって、
前記基板を保持するステージと;
前記ステージを所定軸方向へリニアモータにより駆動する駆動機構と;
前記駆動機構を覆う強磁性材料からなる磁気シールド筐体と;
前記磁気シールド筐体に形成された開口部からの漏れ磁束をキャンセルするキャンセル機構と;を備える電子線描画装置。 - 前記磁気シールド筐体の内部に配置され、前記リニアモータからの磁束を減じるとともに、前記磁気シールド筐体に設けられた前記開口部に誘導する磁束減衰誘導機構を更に備える請求項1に記載の電子線描画装置。
- 前記開口部は、前記磁気シールド筐体の前記所定軸方向に設けられており、前記キャンセル機構は、前記所定軸方向の磁束をキャンセルするための磁束を発生する請求項1又は2に記載の電子線描画装置。
- 前記磁束減衰誘導機構は、交流磁気シールドを含む請求項2又は3に記載の電子線描画装置。
- 前記キャンセル機構は、前記磁気シールド筐体の前記開口部に設けられた磁気センサと、前記所定軸方向の磁束をキャンセルするための磁束を発生させるためのキャンセルコイルと、前記磁気センサからの検出信号に基づく電流を前記キャンセルコイルに供給する電流供給装置とを有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子線描画装置。
- 前記キャンセル機構は、前記所定軸方向の磁束をキャンセルするための磁束を発生させる永久磁石を更に有する請求項5に記載の電子線描画装置。
- 前記キャンセルコイルはヘルムホルツコイルで構成されている請求項5又は6に記載の電子線描画装置。
- 前記ステージ装置を収容する真空チャンバと、該真空チャンバの内壁面に設けられた磁気シールドとを更に備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子線描画装置。
- 前記磁気シールド筐体には、前記基板を回転する回転軸が挿入される第2の開口が形成され、
前記第2の開口からの漏れ磁束をシールドするシールド部材を更に備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子線描画装置。 - 前記磁気シールド筐体は、前記開口部の周囲を囲む円筒部を有し、前記円筒部は、前記磁気シールドに設けられた開口に対して相対移動する請求項8又は9に記載の電子線描画装置。
- 一側に載置された前記基板を回転可能に保持する回転テーブルを更に備え、前記シールド部材は強磁性材料からなり、前記回転テーブルの他側に取り付けられている請求項9又は10に記載の電子線描画装置。
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JP2014511567A (ja) * | 2011-02-16 | 2014-05-15 | マッパー・リソグラフィー・アイピー・ビー.ブイ. | 磁気シールド用システム |
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- 2008-07-24 JP JP2008190372A patent/JP2010027993A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014511567A (ja) * | 2011-02-16 | 2014-05-15 | マッパー・リソグラフィー・アイピー・ビー.ブイ. | 磁気シールド用システム |
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