JP2015033162A - 駆動装置、荷電粒子線照射装置、リソグラフィ装置 - Google Patents

駆動装置、荷電粒子線照射装置、リソグラフィ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁気シールドに対する着磁の影響も低減させ、かつ磁気シールドの開口を介して電磁アクチュエータから生じる磁場の漏れを低減させることが可能な駆動装置を提供すること。【解決手段】 本発明の駆動装置6は、電磁力により動力を生じる電磁アクチュエータ7と、電磁アクチュエータ7によって動く可動部73及び8と、電磁アクチュエータの磁場発生部に近いほうから順に前記電磁アクチュエータを囲む第1の磁気シールド91と第2の磁気シールド92を含む磁気シールドユニットとを有している。磁気シールド91、92の少なくとも一方にある、消磁コイル120が貫通している開口は、第1の磁気シールド91又は第2の磁気シールド92と対向していることを特徴とする。【選択図】 図2

Description

本発明は、駆動装置、駆動装置を搭載した荷電粒子線照射装置、及びデバイスの製造方法に関する。
磁場の影響を受けやすい装置の周辺には、磁性を帯びた物体を配置しないことが好ましい。例えば、電子線描画装置の場合は、基板を駆動するための電磁アクチュエータ等から生じる外部磁場の影響を受けてパターンの描画位置にずれが生じてしまうという課題がある。
そこで特許文献1には、複数の中空体の磁気シールドを用いて電磁アクチュエータを囲むことにより、電磁アクチュエータから生じる磁場の漏れを低減する技術が記載されている。特許文献2には、消磁コイルに対して交番電流を流し、その電流の大きさを徐々に減少させることによって磁場の漏れを低減させる技術が記載されている。
特開2004−153151号公報 特開2007−311457号公報
特許文献1に記載の技術を適用することで、電磁アクチュエータから生じる磁場の影響を低減させる効果はある。しかし、駆動装置の非常停止により磁気シールドに対して衝撃が加えられた場合に、磁気シールドに応力がかかると着磁してしまう。また、駆動装置の高速駆動によって磁気シールドに対して応力がかかる場合にも、磁気シールドが着磁してしまう恐れがある。
たとえ複数の磁気シールドで囲まれている電磁アクチュエータに対して特許文献2に記載の技術を適用したとしても、磁気シールドに対して消磁用のコイルを設置するためには磁気シールドに対して開口を設ける必要がある。そのため、内側の磁気シールドの開口が外側の磁気シールドの開口に対向していることに起因して磁場漏れが生じてしまう。
そこで、本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、磁気シールドの開口を介して電磁アクチュエータから生じる磁場の漏れを低減させつつ、磁気シールドに対する着磁の影響も低減させることが可能な駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の駆動装置は、電磁アクチュエータと、前記電磁アクチュエータによって動く可動部と、前記電磁アクチュエータの磁場発生部に近いほうから順に前記電磁アクチュエータを囲む、第1の磁気シールドと第2の磁気シールドとを含む磁気シールドユニットと、前記第1磁気シールド及び前記第2の磁気シールドの少なくとも一方に在る開口を貫通している消磁コイルとを有し、前記消磁コイルが貫通している開口は、該開口の少なくとも一部の領域で前記第1の磁気シールド又は前記第2の磁気シールドと対向していることを特徴とする。
本発明の駆動装置によれば、磁気シールドに対する着磁の影響を低減させることが可能となる。よって、本発明の駆動装置を例えば電子線描画装置に用いれば、外部磁場の影響によるパターンの描画精度の低下を低減することが可能となる。
実施形態1に係る駆動装置を搭載した電子線描画装置の構成を示す図 実施形態1に係る駆動装置の断面図 実施形態2に係る駆動装置の断面図 実施形態3に係る駆動装置の外観図 実施形態4に係る駆動装置の断面図
本発明の駆動装置は、駆動装置が搭載される装置であって、外部磁場の影響が懸念される装置に対して適用可能である。例えば、電子線描画装置、電子顕微鏡等の荷電粒子線を用いる機器(荷電粒子線照射装置)、あるいは磁場の変化を検知することによって被験者の脳機能を計測する脳磁界計測器(脳機能計測器)等の医療機器が挙げられる。
(実施形態1)
図1は、実施形態1における駆動装置6を搭載した電子線描画装置の概略構成を示す図である。同図の電子線描画装置は、実施形態1における駆動装置6に代えて、後述する各実施形態における駆動装置を搭載可能であるものとする。電子線描画装置は、筐体1、基板2(照射対象物)、長ストロークステージ3、短ストロークステージ4を有する。筐体1は、基板2に向かって電子線を照射するための電子源(不図示)や電子光学系(不図示)を収容している。
短ストロークステージ4は基板2を搭載する基板支持部5(移動可能な物体)及び基板支持部5に駆動力を与えるための駆動装置6を有している。また、短ストロークステージ4は長ストロークステージ3の上面に載置されている。長ストロークステージ3は、長ストロークステージ3に搭載されている不図示の駆動手段により、基板2のおよその位置決めを行う。一方、短ストロークステージ4の基板支持部5は、駆動装置6によって基板2を短ストローク移動させて正確な位置決めを行う。
基板支持部5には、基板2を保持する基板ホルダ(不図示)や、基板支持部5の位置計測に用いられるミラー(不図示)が設置されている。レーザ干渉計(不図示)が放出するレーザ光を前記ミラーで反射させることで、X、Y、及びZ軸方向の基板支持部5の位置を計測する。計測された位置情報に基づいて、長ストロークステージ3や短ストロークステージ4の基板支持部5が駆動される。このように基板支持部5を駆動しつつ基板2に電子線を照射することによって基板2上に目的のパターンを描画する。
駆動装置6周囲の磁場の大きさを計測するため、筐体1に磁気センサ10が設けられている。ただし、磁気センサ10の位置は図1に示すような筐体1の側面に限らず、他の場所に配置されていても良い。また、複数個配置されていても良い。磁気センサ10としては、フラックスゲート式の磁気センサを使用することが好ましい。室温下で使用可能な磁気センサのうち、高感度かつ高分解能の性能を有し、比較的小型であるからである。
なお、電子線の照射前の時点で磁気センサ10が磁場を検知している場合には、その値をオフセット値とする。このようにすることで、駆動装置6を構成している後述の磁気シールド等が磁性を帯びた場合に、着磁を検知することができる。
以上の電子線描画装置の構成は、内部雰囲気が真空である真空チャンバー(不図示)内に設置されている。さらに真空チャンバーは磁気シールドルーム(不図示)内に設置されており、電子線を制御するための制御基板が入った電装ラック等の周辺機器からの磁場の影響を避けるようにしている。
図2は、実施形態1に係る駆動装置6の断面図である。基板支持部5を電磁力により駆動させる電磁アクチュエータとして電磁石ユニット7を搭載している。
電磁石ユニット7は、磁性材料からなる、固定子であるEコア71と可動子であるIコア73とを有している。さらに電磁石ユニット7はEコア71を励磁する励磁コイル72を備え、Iコア73は励磁されたEコア71との間に生じる磁気吸引力を受けて移動する。
励磁コイル72に流す電流の大きさや向きを制御することで、Eコア71とIコア73との間で生じる磁気吸引力の強さや方向が制御される。なお、短ストロークステージ4の可動する部分の軽量化を図るために、Iコア73はEコア71に比べて軽量であることが好ましい。電磁アクチュエータとして電磁石ユニット7を用いる利点として、例えば、単位電流に対する推力の取り出し効率に優れていることが挙げられる。
伝達部材8は、一端がIコア73と、もう一端が基板支持部5と連結されている。そのため、Iコア73が磁気吸引力を受けて移動すると、伝達部材8を介して、基板支持部5もIコア73に連動する。図2に示すように電磁石ユニット7が配置されている場合は、基板支持部5はX軸方向に移動する。なお、この伝達部材8は、磁場の漏れを防ぐためにも非磁性材料であることが好ましい。
駆動装置6は、電磁アクチュエータより生じる電磁力によって移動可能な可動部を介して、可動部に連結している物体を駆動させる。すなわち、本実施形態及び後述の実施形態2−4では、Iコア73及び伝達部材8が可動部である。図1における電子線描画装置に対して、図2に示すX軸方向に移動させるための駆動装置6の他に、不図示の、Y軸やZ軸方向の移動用の駆動装置も搭載することによって、基板支持部5を6軸方向に移動させることが可能となる。
電磁石ユニット7から発生する磁場の漏れを低減するために、電磁石ユニット7の周囲を複数の磁気シールド(磁気シールドユニット)により多重に囲んでいる。磁気シールドは中空体の直方体(6面体)形状をしている。電磁石ユニット7の磁場発生部、すなわち本実施形態ではEコア71からから近いほうから順に、開口121、123の在る磁気シールド91(第1の磁気シールド)と、開口122、124の在る磁気シールド92(第2の磁気シールド)とを含む。
磁気シールド91、92の材料としては、パーマロイのような軟質磁性材料を使用する。軟質磁性材料は高透磁率材料であり、その材料で閉じた空間内の磁場を閉じ込める遮蔽性に優れた材料である。
磁気シールド91、92、Eコア71を固定して一体構成とするために、磁気シールド91と磁気シールド92、及び磁気シールド91とEコア71はエポキシ系の接着剤11によって接着されている。ただし、磁気シールド91、92、Eコア71を固定して一体構成とする方法は、これに限らず磁性を帯びにくい構成とすれば良い。
磁気シールド91、92には、Iコア73に連結されている伝達部材8を非接触で貫通させるために、開口101、102が各々設けられている。開口101、102を貫通している伝達部材8によって、電磁石ユニット7より生じる推力を基板支持部5に伝えることが可能となる。
磁気シールド91には開口121と開口123が設けられている。磁気シールド92には開口122と開口124が設けられている。これらの開口121−124は、磁気シールドが着磁してしまった場合に、その磁性を消磁するための消磁コイル120を貫通させるための開口である。消磁コイル120は開口121−124に接触しても良い。また、開口121−124は、磁場の漏れを抑えるためにもなるべく小さいサイズであることが好ましい。例えば、直径1mm以下、より好ましくは0.1mm程度であることが好ましい。
電磁石ユニット7から生じる磁場が、開口121−124を介して漏れ出てくることを防ぐために開口122は開口121に対してX軸方向にa、開口124は開口123に対してbずれて配置されている。このように磁気シールド91の開口121や開口123の少なくとも一部の領域が、磁気シールド92と対向するようすることで、開口121や開口123を通じて漏れ出た磁場を磁気シールド92により遮蔽できるようにしている。
なるべく、開口121が開口122と対向する面積よりも、また開口123が開口124と対向する面積よりも、磁気シール92と対向する面積が大きいほうが好ましい。より好ましい形態は、開口121及び開口123が磁気シールド92とのみ対向している状態である。
なお、ずれ幅aやずれ幅bは、消磁したい領域と、描画時の基板2周囲の磁場が電子線の軌道に与える影響との兼ね合いで決められる。なお、開口123と開口124のほうが、開口121と開口122に比べて基板2から離れている。すなわち、開口123と開口124から漏れる磁場のほうが、基板2に対する電子線による描画の位置ずれ現象に与える影響が小さい。よって、開口のずれ幅aとずれ幅bに関して、aはbよりも大きいほうが好ましい。
消磁コイル120は、電流源13と接続されている。電磁気センサ10が駆動装置6の着磁を感知した場合、電流源13を用いて消磁コイル120に対して交番電流を流す。交番電流は着磁した磁性が飽和する程度の大きさで流し、その交番電流の大きさ(振幅)を徐々に減少させてゼロに近づけることで、消磁コイル120周辺の磁場を低減させることが可能となる。
例えば図2において消磁コイル120に交番電流を流すと、消磁コイル120で囲われている領域内をY軸方向に貫き、消磁コイル120の周囲を周回する交番磁場が生じる。これによって、消磁コイル120で囲われている領域内及びその周辺領域の磁性を低減させることが可能となる。
なお、磁気センサ10による計測や消磁コイル120による消磁は、電子線による描画が実行されていないときに実行する。例えば、1枚の基板や、1ロット分の複数の基板への描画が終了する毎に行う。基板2への電子線照射中に磁気センサ10による計測や消磁コイル120による消磁を行ってしまうと、消磁コイル120から生じる磁場が電子線の軌道を曲げてしまうからである。磁場の影響を受ける作業を行わないのであれば、駆動装置6を移動させる等の他の作業と並行しながら消磁作業を実行しても構わない。
磁気シールド91、92に対して開口121−124を設け、消磁コイル120を貫通させておくことにより、磁気シールド91、92に対する着磁が感知された場合に駆動装置6を真空チャンバーから取り出すことなく、その場で消磁させることが可能となる。さらに、開口の少なくとも一部の領域が磁気シールド92と対向するように配置することによって、電磁石ユニット7から生じる磁場の漏れを低減させることが可能となる。
(実施形態2)
実施形態2に係る駆動装置6の構成を図3に示す。実施形態2は、実施形態1における開口121と開口122が、伝達部材8が貫通している磁気シールド91の開口103及び磁気シールド92の開口104と兼用されている形態である。
消磁の効果は、消磁コイル120から対称的に磁場を発生させることで得られるため、消磁コイル120を貫通させる開口が非対称に配置されるほど効果が弱くなる。そのため、駆動装置6に着磁した磁性を消磁するためには、消磁コイル120が電磁石ユニット7の中央部に近い部分を通過している本実施形態のほうが好ましい。
さらに、磁気シールド91、92に設ける消磁コイル120用の開口を2つ減らすことにより、実施形態1と同様の消磁効果が得られるだけでなく、磁気シールド92から漏れる磁場を低減することが可能となる。
伝達部材8が貫通している開口103又は開口104のどちらか一方とのみ兼用され、さらに磁気シールド91又は92のどちらか一方に消磁コイル120用の開口を設けている場合でも構わない。消磁コイル120が貫通している開口が磁気シールド91あるいは磁気シールド92に対向しているのであれば、磁気シールド92から漏れる磁場を低減することが可能となる。
さらに伝達部材8が貫通する開口103、104をX軸方向にcずらして、開口103が磁気シールド92と対向するように構成することで開口103及び開口104を介して漏れる磁場を低減することが可能となる。同様に、開口123と開口124をX軸方向にdずらして開口123が磁気シールド92と対向するように配置することで、開口123及び開口124を介して漏れる磁場を低減することが可能となる。なお、本実施形態の場合、伝達部材8はX軸方向にずれた位置に在る開口103、104を貫通できるように屈曲した形状をしている。
(実施形態3)
本実施形態3は、駆動装置6に対して1本の消磁コイル120を複数回巻きつけている形態である。本実施形態に係る駆動装置6の外観図を図4に示す。図4には、消磁コイル120が駆動装置6の有する磁気シールド92の各面に沿うように4回巻かれている。電流源13が、消磁コイル120に接続されている。消磁方法は、実施形態1、2と同様である。
本実施形態の場合は、駆動装置6の前後左右に巻かれている。このように消磁コイル120を巻くことによって、駆動装置6に着磁した磁性を全体的に消磁することができるという効果が得られる。さらに、直列的に複数回消磁コイル120が巻かれていることにより、単位電流に対する消磁効果が大きくなるという利点を有する。
図4では、磁気シールド92の1つの穴に対して消磁コイル120が4回分貫通している状態を示している。磁気シールド92内部の磁気シールド91においても、磁気シールド91の1つの開口に対して消磁コイル120が複数回貫通していても、別々の開口を貫通していても構わないものとする。しかし、X,Y,Z軸のいずれかの方向に対して開口121と開口122、および開口123と開口124のいずれか1組の開口がずれているように配置することで、磁気シールド92から漏れ出る磁場を低減させる。
本実施形態では、4回巻いた消磁コイル120を例に示したが、それ以上の回数を巻いても良い。消磁コイルをより多回数巻くほど、単位電流に対して生じる磁場が大きくなるため、消磁に必要な電流の大きさを低減させることが可能となる。
さらに、本実施形態の変形例として、消磁コイル120を複数の閉回路からなる並列回路を構成しても構わない。この場合は、電流を与えるために必要な電圧を抑制することが可能となる。
(実施形態4)
実施形態4に係る駆動装置6の構成を図5に示す。本実施形態は、磁気シールド93、94、95の形状及び消磁コイル120の配置が他の実施形態とは異なる。中空体の直方体において一面が無い形状をしており、大きさの異なる磁気シールド93、94、95を組み合わせることで、電磁石ユニット7から生じる磁場の漏れを低減させる構成としている。また、Eコア71を固定させつつ磁気シールド95と接触しないようにするため、磁気シールド95には非磁性部材14が載置されており、Eコア71が非磁性部材14によって固定されている。
基板支持部5は、磁気シールド93、93、伝達部材81、82、及びIコア73と一体に連結されている。Iコア73より生じる推力と共に、これに連結されている前述の部材も駆動する。
消磁コイル120は、磁気シールド93の開口125を貫通している消磁コイル120bと、磁気シールド94の開口126を貫通している消磁コイル120aを含む。電磁石ユニット7により近い開口126は磁気シールド93に対向している。このように配置することによって、電磁石ユニット7から生じる磁場の漏れも低減させることが可能となる。
さらに、図5に示すように、異なる閉回路を形成している消磁コイル120a、120bを各々別の開口に貫通させても良い。また、本実施形態のように対称的に消磁コイル120を配置することによって、駆動装置6に対して全体的に消磁することが可能となる。
以上、本実施形態においても開口125と開口126をX軸方向にeだけずらして配置している。これによって、磁気シールド91、92に着磁した磁性を消磁しつつ、磁場の漏れを低減することが可能な駆動装置6となる。
(その他の実施形態)
最後に、実施形態1−4のでは、伝達部材8のみが磁気シールド91、92に在る開口を貫通している例を示したが、これに限らない。電磁アクチュエータによって移動可能な可動部が貫通していれば良く、例えば可動子73が開口を貫通していても良い。
Iコア73と伝達部材8やのように電磁アクチュエータによって移動可能な部分は、必ずしも別の材料を組み合わせて構成される必要はなく、同じ材料を用いて一体として成形されていても良い。一体として成形することで、組立に要するコストを削減することが可能となる。
図2、3、5における駆動装置6の断面図においては、消磁コイル120が貫通している開口がX軸方向にずれている場合を示したが、その他の方向(Y軸方向、あるいは、X軸及びY軸方向の成分を有する方向)にずれていても良い。
また、磁気センサ10が着磁を検知した場合であっても、その値が許容値以下であれば消磁を実行しないように設定することも可能である。
電磁アクチュエータとしては、電磁石ユニット7の代わりにリニアモータユニットを搭載しても構わない。また、磁気シールドの形状は中空の直方体に限らず、曲面を有している磁気シールドでも構わないし、直方体の磁気シールドと曲面を有する磁気シールドとを組み合わせたものでも構わない。
また、2層の磁気シールドの構成を例示しているが、3層以上の磁気シールドで構成しても良い。磁場の遮蔽率は、磁気シールド91、92の厚みや、各磁気シールド間の距離にも依存しているので、これらの要素を考慮して構成を決めれば良い。ただし、3層以上の磁気シールドを用いて駆動装置6を構成する場合であり、消磁コイル120が1回巻きである場合には、消磁コイル120はなるべく電磁石ユニット7に近い磁気シールドを貫通していることが望ましい。消磁コイル120により生じる磁場の対称性を考慮すると、駆動装置6の中心付近に消磁コイル120が存在しているほうが、消磁のために発生させる磁場分布の偏りが少なくなるからである。
以上、磁気シールド91、92に着磁された磁性を消磁するための消磁コイル120及び消磁コイル120を貫通させるための開口の配置構成に関して説明した。磁気シールド91の開口の少なくとも一部の領域が磁気シールド92に対向するように配置することで、磁気シールド91、92に着磁した磁性を消磁させる効果が得られると共に、消磁コイル120用の開口から漏れる磁場を低減することが可能となる。
これにより、電磁アクチュエータから生じる磁場の漏れや、磁気シールド91、92に対して着磁した磁性の影響を受けることなく、電子線の照射により基板2に所望のパターンを描画することが可能となる。
(デバイスの製造方法)
本発明におけるデバイスの製造方法は、各実施形態に記載の駆動装置6によって基板支持部5を移動させながら、基板支持部5上の基板2に対して荷電粒子線を照射する工程と、パターンが描画された基板2を現像する工程とを含む。さらに、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含んでも良い。
7 電磁石ユニット
91、92 磁気シールド
120 消磁コイル

Claims (13)

  1. 電磁アクチュエータと、
    前記電磁アクチュエータによって動く可動部と、
    前記電磁アクチュエータの磁場発生部に近いほうから順に前記電磁アクチュエータを囲む、第1の磁気シールドと第2の磁気シールドとを含む磁気シールドユニットと、
    前記第1磁気シールド及び前記第2の磁気シールドの少なくとも一方に在る開口を貫通している消磁コイルとを有し、
    前記消磁コイルが貫通している開口は、該開口の少なくとも一部の領域で前記第1の磁気シールド又は前記第2の磁気シールドと対向していることを特徴とする駆動装置。
  2. 前記第2の磁気シールドの開口からの磁場の漏れが低減されるように、前記消磁コイルが貫通している開口は、該開口の少なくとも一部の領域で前記第1の磁気シールド又は前記第2の磁気シールドと対向していることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記第1及び第2の磁気シールドの少なくとも一方に着磁した磁性が低減されるように、前記消磁コイルに交番電流を流すことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動装置。
  4. 前記消磁コイルが貫通している開口は、前記第1の磁気シールド又は前記第2の磁気シールドの開口と対向している面積よりも、前記第1の磁気シールド又は前記第2の磁気シールドと対向している面積のほうが大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置。
  5. 前記消磁コイルが貫通している開口は、前記第1の磁気シールド又は前記第2の磁気シールドとのみ対向していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動装置。
  6. 前記磁気シールドユニットが少なくとも3つの磁気シールドを有する場合に、前記第1の磁気シールドが、前記電磁アクチュエータに最も近い磁気シールドであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動装置。
  7. 前記消磁コイルが貫通している開口は、前記可動部の貫通している開口の少なくとも1つと兼用していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の駆動装置。
  8. 前記消磁コイルは、前記第1の磁気シールド又は前記第2の磁気シールドの少なくとも一方の開口を複数回貫通していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の駆動装置。
  9. 前記消磁コイルは、並列回路を構成していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の駆動装置。
  10. 前記磁気シールドは6面体であって、前記消磁コイルは前記6面体の各面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の駆動装置。
  11. 移動可能な物体と、前記物体に駆動力を与える駆動装置とを有し、前記物体上の照射対象物に向かって荷電粒子線を照射する照射装置であって、
    請求項1乃至10のいずれか1項に記載の前記駆動装置と、
    磁気を計測する磁気センサとを有していることを特徴とする荷電粒子線照射装置。
  12. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の駆動装置を用いて、照射対象物である基板に対して荷電粒子線を照射する工程と、
    前記工程で照射される前記基板を現像する工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法。
  13. 磁場の変化を検知することによって被験者の脳機能を計測する脳機能計測器であって、
    前記脳機能計測器が有する駆動装置が、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の駆動装置であることを特徴とする脳機能計測器。
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