JP2010084814A - 振動除去装置 - Google Patents

振動除去装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010084814A
JP2010084814A JP2008252498A JP2008252498A JP2010084814A JP 2010084814 A JP2010084814 A JP 2010084814A JP 2008252498 A JP2008252498 A JP 2008252498A JP 2008252498 A JP2008252498 A JP 2008252498A JP 2010084814 A JP2010084814 A JP 2010084814A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inertial body
vibration
housing
actuator mechanism
removing device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008252498A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Sasaki
隆 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PSC KK
Original Assignee
PSC KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PSC KK filed Critical PSC KK
Priority to JP2008252498A priority Critical patent/JP2010084814A/ja
Publication of JP2010084814A publication Critical patent/JP2010084814A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Reciprocating, Oscillating Or Vibrating Motors (AREA)

Abstract

【課題】振動除去装置において、流体供給を要せずに対象物に振動除去のための反力を発生する慣性体を支持できるようにすることである。
【解決手段】振動除去装置10は、慣性体と慣性体を駆動するアクチュエータ機構とを含んで構成される装置本体部20と、図示されていないが定盤8のX方向加速度αを検出してこれを取得し、装置本体部20にこのαを打ち消すように慣性体の反力を生じさせる制御を行う制御部12とを含んで構成される。装置本体部20は、筐体22と、筐体22の内部に、軸方向移動に対する剛性が径方向移動に対する剛性よりも小さい支持バネ26によって支持される慣性体24と、慣性体24を筐体22に対し軸方向に保持する保持バネ50,52と、慣性体24をX方向に移動駆動するアクチュエータ機構30と、速度センサ40とを含んで構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は振動除去装置に係り、対象物の振動を除去する振動除去装置に関する。
精密な測定、加工、作業等を行う際に、対象物が微小振動していると、その精度が確保できない。外部からの振動を対象物に与えないようにするために、防振台、あるいは除振台が用いられる。防振台、あるいは除振台は、大きな質量を有する定盤を、空気バネ等で支持し、テーブルに伝達される外部からの振動を抑制するように工夫される。さらに、定盤自身の振動を抑制し、あるいは、定盤上の対象物の振動が定盤に伝達されないように工夫がなされる。
例えば、特許文献1には、定盤の加速度のDC成分を除去するための振動除去装置が開示されている。ここでは、定盤の下部にコイルアクチュエータを床面に固定された基台との間に設けている。コイルアクチュエータは、空気バネを介して基台の上に立設したコイルと、定盤の下部に固定されたマグネット及び磁性体から構成されている。定盤上の制御対象の加速度が加速度センサで検出されると、時系列信号として記憶し、その平均値を求め、最新の加速度との差分をとって、加速度のDC成分を除去することが述べられている。
また、特許文献2には、移動体の加減速に伴う反力を定盤に伝えなくするステージ装置が開示されている。ここでは、定盤の上に設置されるXYステージとその駆動源であるXYリニアモータの加減速に伴う反力を打ち消すため、力補償素子を設けている。この力補償素子は、Xリニアモータのコイルを支持するX固定子である連結フレームの先端に力補償素子用コイルが設けられ、定盤が置かれる床面に固定された基台側に永久磁石とヨークが設けられている。そして、力補償用コイルは、Xリニアモータのコイルと同じ特性のものとし、それに与える指令値もXリニアモータのコイルに与えるものと同じとすることで、簡単にXリニアモータが定盤に与える反力を打ち消すことができると述べられている。
これらの従来技術は、定盤の振動を抑制するために、定盤とは別の基台に、コイルアクチュエータあるいは力補償素子の一端を固定し、これらから、振動抑制のための力を定盤に与えている。すなわち、従来技術は、振動がない基台を基準として、定盤の振動を抑制していることになる。
実際の精密機器等では、振動がない基台を基準とできない場合がある。特許文献3には、振動がない基台を基準として用いなくてもよい振動除去装置として、振動除去対象物に筐体を固定して取り付け、その筐体に対して流体支持されて移動可能な慣性体をアクチュエータで移動駆動する構成が述べられている。ここでは振動除去対象物の加速度を加速度センサで検出し、その検出値に応じてアクチュエータを駆動制御することで、筐体を介して慣性体の移動の反力を対象物に伝えて対象物の振動の加速度を打ち消すことが述べられている。
特開平6−137371号公報 特開平10−125593号公報 特開2008−111507号公報
上記のように、特許文献3の構成を用いることで、振動がない基台を基準として用いることなく、対象物の振動を抑制または除去することが可能となる。この特許文献3の構成では、対象物に振動除去のための反力を発生する慣性体を流体支持しているので、加圧空気等の流体供給装置を要し、例えば真空中での使用が不便である。
本発明の目的は、流体供給を要せずに対象物に振動除去のための反力を発生する慣性体を支持できる振動除去装置を提供することである。
本発明に係る振動除去装置は、振動除去の対象である対象物に取り付けられて固定される筐体と、軸方向移動に対する剛性が径方向移動に対する剛性よりも小さい支持バネによって筐体に対し移動可能に支持される慣性体と、慣性体に移動駆動力を非接触で与えるアクチュエータ機構と、筐体を介して慣性体の移動の反力を対象物に伝えて対象物の振動の加速度を打ち消すように、対象物の加速度に応じてアクチュエータ機構を駆動制御する制御部と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る振動除去装置において、慣性体を筐体に対し中立位置に支持する支持部材であって、そのバネ定数と、慣性体の質量とで定まる固有振動数が0.1Hz以上10Hz以下である支持部材を有することが好ましい。
また、本発明に係る振動除去装置において、慣性体の移動状態を検出するセンサを有し、制御部は、センサの検出値に基いて慣性体の速度を求め、その速度をフィードバックするフィードバック手段と、速度のフィードバック量を調整して慣性体の移動のダンピング特性を調整する調整手段と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係る振動除去装置において、アクチュエータ機構は、筐体側に駆動電流が供給される駆動コイルを含み、慣性体側に永久磁石を含み、駆動コイルによって生成される磁束と永久磁石との協働で慣性体に移動駆動力を与えるボイスコイルモータであり、センサは、アクチュエータ機構と同じ形状を有し、慣性体を挟んでアクチュエータ機構と反対側に配置され、慣性体側に永久磁石を含み、筐体側に検出コイルを含む速度センサであることが好ましい。
また、本発明に係る振動除去装置において、筐体は、磁性体で構成されていることが好ましい。
また、本発明に係る振動除去装置において、筐体は、その外側を電磁シールド材料で囲まれることが好ましい。
上記構成により、振動除去装置は、振動除去の対象である対象物に取り付けられて固定される筐体に、慣性体が、軸方向移動に対する剛性が径方向移動に対する剛性よりも小さい支持バネによって筐体に対し移動可能に支持され、慣性体は、アクチュエータ機構によって非接触で移動駆動力を与えられ、その移動の反力が、対象物の振動の加速度を打ち消すように筐体を介して対象物に伝えられる。したがって、流体供給を要せずに対象物に振動除去のための反力を発生する慣性体を支持することができる。
また、振動除去装置において、慣性体を筐体に対し中立位置に支持する支持部材は、そのバネ定数と、慣性体の質量とで定まる固有振動数が0.1Hz以上10Hz以下である。つまり、支持部材は、振動特性から言うと、弱いバネであって、慣性体の駆動力は、このバネの付勢力の影響をほとんど受けず、アクチュエータ機構への指令加速度にほぼ比例する駆動力を受ける。したがって、慣性体の移動による反力も、この指令加速度にほぼ比例することになり、振動除去装置の特性として、入力指令加速度にほぼ比例した振動除去加速度を出力することができる。
また、振動除去装置において、慣性体の移動状態を検出するセンサに基いて慣性体の速度を求め、その速度をフィードバックする。そして、速度のフィードバック量を調整して慣性体の移動のダンピング特性を調整する。慣性体の運動系は、ダンピング項をほとんど有していない。上記構成によれば、速度フィードバックを行うことで、ダンピング効果を生じさせることができる。
また、振動除去装置において、センサは、アクチュエータ機構と同じ形状を有し、慣性体を挟んでアクチュエータ機構と反対側に配置される速度センサである。これにより、特別なセンサを用いずに、アクチュエータ機構と同じものを用いて速度フィードバックを行わせることができる。
このように、センサとアクチュエータ機構とを、永久磁石とコイルを用いた同じ形状とすることで、例えば、振動除去のための加速度反力を大きくしたい仕様のときに、回路接続を変更してアクチュエータの推力を2倍にして対応することが可能となる。
また、振動除去装置において、筐体は、磁性体で構成されているので、アクチュエータとして電磁力を用いる場合に、そのノイズを外部に放射せず、また、外部の電磁ノイズの影響を受けない。
また、振動除去装置において、筐体は、その外側を電磁シールド材料で囲まれるので、アクチュエータとして電磁力を用いる場合に、そのノイズを外部に放射せず、また、外部の電磁ノイズの影響を受けない。
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、振動除去の対象物を、定盤として説明するが、微小振動を除去する必要がある対象物であれば、定盤以外のものであってもよい。例えば、精密測定器の筐体あるいはステージ、露光装置のステージ、精密引張試験機の筐体、精密加工機のステージ、精密組立機のステージ等であってもよい。なお、以下では、除去する振動を、例えば、変位でμmあるいはnm程度の微小振動として説明するが、これは小型の振動除去装置を想定しての説明のためであって、除去すべき対象物の加速度の大きさに対応して、慣性体の質量の大きさ、駆動力を設定することで、一般的な振動の除去に用いることができることはもちろんである。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、振動除去装置10の構成を説明する図である。振動除去装置10は、振動除去の対象である対象物に取り付けて、その対象物の微小振動を除去する機能を有する。微小振動とは、対象物の変位に換算して、nmからμm程度の大きさの振動で、対象物の機能、例えば、精密測定、精密加工、精密組立等の観点から無視できない振動である。なお、図1に示すY方向は、重力方向で、X方向は重力方向に垂直な水平方向である。
図1には、振動除去装置10の構成要素ではないが、振動除去の対象である定盤8が示されている。定盤8は、例えば、空気バネ等で基台に据え付けられており、その上で精密な加工、測定等を行うものである。振動除去装置10は、加工、測定、あるいは外力等の外乱によって生じる定盤8の微小な振動を除去する機能を有するものである。以下では、定盤8について除去対象の振動の加速度方向は、定盤8の面に平行な方向としてある。図1においては、定盤8の面は水平面であるので、除去対象の微小振動の加速度方向は、X方向である。
振動除去装置10は、慣性体と慣性体を駆動するアクチュエータ機構とを含んで構成される装置本体部20と、図示されていないが定盤8のX方向加速度αを検出してこれを取得し、装置本体部20にこのαを打ち消すように慣性体の反力を生じさせる制御を行う制御部12とを含んで構成される。
装置本体部20は、筐体22と、筐体22の内部に、支持バネ26によって支持される慣性体24と、慣性体24をX方向に移動駆動するアクチュエータ機構30を含んで構成される。
筐体22は、外形がほぼ円筒形または直方体の部材で、その内部には、慣性体24をX方向に移動可能に支持バネで支持するための断面円形の空間が形成されている。筐体22は、外部からの電磁ノイズから内部のアクチュエータ機構30を遮蔽し、又、逆にアクチュエータ機構30からの電磁ノイズの外部放出を抑制するように、磁性体で構成される。かかる電磁シールド構造の筐体22は、例えば、軟鉄材を加工したものを用いることができる。
図1には、筐体22の外側に、さらにシールドケース18が設けられる様子が示される。シールドケース18は、軟鉄、パーマロイ等の電磁シールド材料で構成され、筐体22の外側を囲むものである。文字通り、箱形状としてその内部に筐体22等を収納するものとしてもよく、また、筐体22の外側面に、電磁シールド材料の板等を貼り付ける構成としてもよい。このように磁性体で構成される筐体22の外側をさらにシールドケース18で囲むことで、外部からの電磁ノイズから内部のアクチュエータ機構30を一段と遮蔽し、また、逆にアクチュエータ機構30からの電磁ノイズの外部放出を一段と抑制することができる。例えば、1mGauss程度以下に電磁ノイズの放出を抑制する。
なお、振動除去装置10の仕様によっては、シールドケース18を省略してもよく、あるいは、シールドケース18を用いて筐体22を磁性体でない一般的な材料で構成するものとしてもよい。
筐体22は、上記のように、直方体の軟鉄材に、中央にX方向に平行な中心軸を有する円筒形の慣性体配置空間が形成される。その円筒形の両端をふさぐように側板が両側に設けられるが、図1で左側の側板と慣性体24一方端側との間にアクチュエータ機構30が設けられ、右側の側板と慣性体24の他方側端との間に速度センサ40が設けられる。アクチュエータ機構30と速度センサ40とは、構造が全く同じで、いずれもコイルと永久磁石とから構成される。
アクチュエータ機構30は、側板、すなわち筐体22に固定されるコイル32に電流を流して、慣性体24に取り付けられる磁石34との協働により、慣性体24に駆動力を与える。一方で、速度センサ40は、慣性体24に固定されている磁石44が移動することで、側板、すなわち筐体22に取り付けられるコイル42に速度に比例した大きさの電圧を発生させる。このように、アクチュエータ機構30と速度センサ40とは、入力と出力の関係が逆となる双子形の素子である。
アクチュエータ機構30は、制御部12の制御の下で、筐体22に対し、慣性体24を所定の加速度で移動駆動する機能を有し、具体的にはいわゆるボイスコイルモータあるいはフォースモータの構成を有する。上記のように、アクチュエータ機構30は、筐体22の側板に、固定子であるコイル32が取り付けられ、慣性体24の一方端側に可動子である永久磁石34が取り付けられる。コイル32の各端子は、筐体22に設けられた端子台36を経由して制御部12に接続され、制御部12より駆動電流信号が供給される。
速度センサ40は、制御部12に対し、慣性体24の速度情報を提供する機能を有し、具体的にはいわゆる電磁検出素子の構成を有する。上記のように、速度センサ40は、筐体22の側板に、磁束検出子であるコイル42が取り付けられ、慣性体24の一方端側に磁束発生源である永久磁石34が取り付けられる。コイル42の各端子は、筐体22に設けられた端子台46を経由して制御部12に接続され、コイル42によって検出された速度は、制御部12に伝送される。
慣性体24は、円柱状の部材で、比質量の比較的大きな材料で形成される質量体である。例えば、ステンレス鋼、または比質量の大きいタングステン等を円柱状に加工し、さらに必要な形状加工を加えたものを用いることができる。
慣性体24の両端部と、筐体22の両側板との間に設けられる保持バネ50,52は、慣性体24を筐体22に対し、X方向について中立位置に支持するための支持部材である。保持バネ50,52は、その両端部においてボール座によって支持されている。これによって、保持バネ50,52と、慣性体24、筐体22の両側板との間の摩擦を低減することができる。なお、保持バネ52と筐体22の側面との間には、中立位置を微調整するための調整ネジ54,56が設けられる。
保持バネ50,52は、振動特性的に弱いバネとして構成される。具体的には、慣性体24の質量Mと、保持バネ50,52のバネ定数kとで定まる固有振動数が、0.1Hzから10Hz程度となるように、バネ定数kが設定される。好ましくは、固有振動数が1Hz程度となるバネ定数がよい。このようにすることで、アクチュエータ機構30によって慣性体24がX方向に移動駆動されるときに、保持バネ50,52の付勢力の影響を抑制することができる。つまり、慣性体24をαの加速度で移動させるためには、保持バネ50,52の影響を考慮せずに、アクチュエータ機構30が、慣性体24にMαの駆動力を与えればよい。したがって、慣性体24の移動駆動の制御が簡単になる。
慣性体24の両側面の外周部と、これに対応する筐体22の張り出し両側面の内周部との間に設けられる支持バネ26は、軸方向移動に対する剛性が径方向移動に対する剛性よりも小さい薄板バネである。この支持バネ26によって、慣性体24は、筐体22に対し、軸方向の両端で支持され、この支持バネ26の支持を除けば、空間的に筐体22から浮いた状態で保持される。支持バネ26の剛性の異方性によって、慣性体24は、軸方向、すなわちX方向に移動自在に、Y方向には移動が拘束されて筐体22に支持される。
図2は、支持バネ26の平面図で、ここでは、筐体22と慣性体24に取り付けられた様子が示され、保持バネ50と、コイル32が図示されている。支持バネ26は、外周側の円環状部分で筐体22に固定され、内周側の円環状部分で慣性体24に固定される。そして、内周側の円環状部分と外周側の円環状部分とを接続する部分の形状が、軸方向移動に対する剛性が径方向移動に対する剛性よりも小さくなるように形成される。
支持バネ26は、上記のように筐体22と慣性体24との間を接続する薄板部材である。支持バネ26のパターンは、複雑に曲がりくねった形状を有し、軸方向への変位に対する剛性が径方向への変位に対する剛性が小さいように、径方向に延びる部分の形状と円周状に延びる部分の形状とを適切に組み合わせて全体の形状が形成される。かかる支持バネ26は、金属薄板を所定のパターンにエッチング加工して得ることができる。例えば厚さ約0.1mm程度のSUS板に対しエッチング加工または放電加工等を行うことによって得ることができる。なお、支持バネは、その形状パターンが、曲がりくねっていて、雲形に似ていることから、雲形バネと呼ばれることがあるが、軸方向変形に対する剛性が小さく、径方向変形に対する剛性の大きいバネであればそれ以外の呼称のものであってもよい。
制御部12は、図示されていない加速度センサによって取得される定盤8の加速度αが入力され、その入力値に応じて、アクチュエータ機構30のコイル32に駆動電流を供給して、慣性体24をX方向に移動駆動させる機能を有する。そして、慣性体24の速度が速度センサ40によって検出され、制御部12に与えられる。制御部12は、この速度情報を制御ループにフィードバックすることで、慣性体24の運動にダンピング要素を加えることができる。
図3は、慣性体24の駆動制御を示すブロックダイアグラムである。このブロックダイアグラムは、主ルートとしてのオープンループと、変位をフィードバックするフィードバックループとを有する。主ループは、図1の装置本体部20における慣性体24のオープンループ制御に相当する。すなわち、制御部12に入力される加速度(α)70は、ゲイン(Ga)72を介して加速度を示す電圧等の信号値に変換され、増幅器76を経由して電流ブースタ78によって駆動電流指令値に変換され、アクチュエータ機構(VCM)30に供給され、これによって質量Mを有する慣性体24を移動駆動すると共に、定盤8に振動除去のための反力加速度である補償力80を与える。慣性体24の変位は、保持バネ50,52のバネ定数kによって力成分となり、アクチュエータ機構30からの駆動力を減算する。
慣性体24の速度は、速度センサ40によって検出され、ゲイン(Gv)82を介して速度を示す電圧等の信号値に変換されて、フィードバックループによって減算器74に戻される。減算器74では、ゲイン72の出力である信号値からゲイン82の出力である信号値が減算され、その結果がフィードバックされた信号値として増幅器76に供給される。
上記のように、慣性体24は質量Mを有する質量体であって、これを支持する支持バネ26は軸方向移動に対する剛性が小さく、また、保持バネ50,52もバネ定数kが小さく設定される。したがって、慣性体24を含む運動系は、ほとんど質量Mのみで構成され、ダンピング要素をほとんど有していない。したがって、図4に示すように、特性周波数f1の近傍では、その応答特性が共振的挙動を示す。
図4は、横軸に周波数をとり、縦軸には、紙面の上方から下方に向かって順に、慣性体24の運動についての変位のゲイン、速度のゲイン、加速度のゲインをそれぞれとって示したものである。ここで、変位のゲインとは、変位指令に対する実変位の比、速度のゲインとは、速度指令に対する実速度の比、加速度のゲインとは、加速度指令に対する実加速度の比である。各指令はeCで示してある。
図4に示されるように、特性周波数f1の近辺で、いずれのゲインも共振的となっており、これによって、慣性体24の使用周波数範囲がf1以上とされる。図3で説明したフィードバックループを用いずに、オープンループで使用すると、特性周波数f1における共振的傾向が強くなり、いずれのゲインも異常に突出する傾向となり、慣性体24の使用周波数範囲がf1よりかなり高周波数側にずれることになる。
図3で説明した速度フィードバックループを用いると、慣性体24の運動系にダンピング要素が加わる。したがって、特性周波数f1付近における共振的挙動が抑制され、矢印で示されるように、ダンピング要素が多くなるほど滑らかな特性となる。このダンピング要素の付加による共振的挙動の抑制は、メインループであるオープンループの特性に、フィードバックループの寄与をどの程度大きくするかで定まる。具体的には、図3の増幅器76のゲイン調整によって、ダンピング要素の付加による共振的挙動の抑制程度を加減できる。これによって、慣性体24の使用周波数範囲を広げることができる。
ここで、上記構成の振動除去装置10の作用を説明する。上記のように、保持バネ50,52は、この移動駆動に対し、ほとんど影響を与えない程度に振動特性的に弱いバネ定数を有している。また、支持バネ26も径方向移動に対する剛性に比較し軸方向移動に対する剛性が小さい。したがって、定盤8の加速度が−αであるとすれば、制御部12は、アクチュエータ機構30に対し、慣性体24への駆動力が−Mαとなるような駆動電流を与える。これにより、慣性体24は、−αの加速度で、筐体22に対し移動する。この移動の反力であるMαは、コイル32を経て、筐体22に伝えられ、筐体22が固定される定盤8に伝えられる。すなわち、定盤8には、振動除去装置10から+αの加速度が与えられることになる。これによって、定盤8の振動の加速度−αが、相殺され、除去される。
また、速度フィードバックが行われることで、振動除去装置10の使用周波数範囲を低周波側に広げることができる。また、慣性体24は支持バネ26によって筐体22に支持されるので、流体支持を用いなくても、軸方向に移動自在に、摩擦力なしで筐体22に支持されることができる。また、筐体22が磁性体であるので、外部からの磁気を遮蔽し、また、外部への磁気の放射を抑制することができる。
上記では、速度センサ40をアクチュエータ機構30と同じ形状のものとして説明した。これ以外の形態のセンサを用いて、筐体22に対する慣性体24の運動情報を取得し、その情報から筐体22に対する慣性体24の速度を取得するものとしてもよい。
図5は、アクチュエータ機構30と異なる形式でX方向の変位または速度を検出するセンサ60を設けた振動除去装置11を示す図である。なお、ここでは、簡単のためにシールドケース18の図示を省略してある。
変位または速度を検出するセンサ60は、慣性体24側に取り付けられる磁性プローブ64と、筐体22の側板に設けられる検出コイル62を含んで構成される。なお、センサ60の出力は、筐体22に設けられる端子台66を経由して、制御部12に伝送される。制御部12では、検出コイル62の検出値から筐体22に対する慣性体24の変位または速度を取得する。変位を取得するセンサ60の場合は、この検出値を時間で微分することで、筐体22に対する慣性体24の速度を取得する。すなわち、慣性体24の速度は、演算によって取得するものであってもよい。この速度を用いて制御部12はアクチュエータ機構30の制御を行う。
変位を検出できるセンサ60として、これ以外の方式、例えば、光学式変位センサ、静電容量型変位センサ等を用いるものとしてもよい。なお、図5では、センサ60を慣性体24の中心軸上から偏移した位置に配置した例を示しているが、保持バネ52の内部にセンサ60を配置する等の方法によって、センサ60を慣性体24の中心軸上に配置するものとしてもよい。
本発明に係る実施の形態における振動除去装置の構成を説明する図である。 本発明に係る実施の形態における支持バネの平面図である。 本発明に係る実施の形態において、慣性体の駆動制御を示すブロックダイアグラムである。 本発明に係る実施の形態において、横軸に周波数をとり、縦軸には、慣性体の運動についての変位のゲイン、速度のゲイン、加速度のゲインをそれぞれとって示す図である。 本発明に係る実施の形態において、変位センサを設ける例を示す図である。
符号の説明
8 定盤、10,11 振動除去装置、12 制御部、18 シールドケース、20 装置本体部、22 筐体、24 慣性体、26 支持バネ、30 アクチュエータ機構、32,42 コイル、34,44 永久磁石、36,46,66 端子台、40 速度センサ、50,52 保持バネ 54,56 調整ネジ、60 センサ、62 検出コイル、64 磁性プローブ、70 加速度、72,82 ゲイン、74 減算器、76 増幅器、78 電流ブースタ、80 補償力。

Claims (6)

  1. 振動除去の対象である対象物に取り付けられて固定される筐体と、
    軸方向移動に対する剛性が径方向移動に対する剛性よりも小さい支持バネによって筐体に対し移動可能に支持される慣性体と、
    慣性体に移動駆動力を非接触で与えるアクチュエータ機構と、
    筐体を介して慣性体の移動の反力を対象物に伝えて対象物の振動の加速度を打ち消すように、対象物の加速度に応じてアクチュエータ機構を駆動制御する制御部と、
    を有することを特徴とする振動除去装置。
  2. 請求項1に記載の振動除去装置において、
    慣性体を筐体に対し中立位置に支持する支持部材であって、そのバネ定数と、慣性体の質量とで定まる固有振動数が0.1Hz以上10Hz以下である支持部材を有することを特徴とする振動除去装置。
  3. 請求項1に記載の振動除去装置において、
    慣性体の移動状態を検出するセンサを有し、
    制御部は、
    センサの検出値に基いて慣性体の速度を求め、その速度をフィードバックするフィードバック手段と、
    速度のフィードバック量を調整して慣性体の移動のダンピング特性を調整する調整手段と、
    を含むことを特徴とする振動除去装置。
  4. 請求項3に記載の振動除去装置において、
    アクチュエータ機構は、
    筐体側に駆動電流が供給される駆動コイルを含み、慣性体側に永久磁石を含み、駆動コイルによって生成される磁束と永久磁石との協働で慣性体に移動駆動力を与えるボイスコイルモータであり、
    センサは、アクチュエータ機構と同じ形状を有し、慣性体を挟んでアクチュエータ機構と反対側に配置され、慣性体側に永久磁石を含み、筐体側に検出コイルを含む速度センサであることを特徴とする振動除去装置。
  5. 請求項1に記載の振動除去装置において、
    筐体は、磁性体で構成されていることを特徴とする振動除去装置。
  6. 請求項1に記載の振動除去装置において、
    筐体は、その外側を電磁シールド材料で囲まれることを特徴とする振動除去装置。
JP2008252498A 2008-09-30 2008-09-30 振動除去装置 Pending JP2010084814A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008252498A JP2010084814A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 振動除去装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008252498A JP2010084814A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 振動除去装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010084814A true JP2010084814A (ja) 2010-04-15

Family

ID=42248981

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008252498A Pending JP2010084814A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 振動除去装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010084814A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102820761A (zh) * 2012-07-30 2012-12-12 北京航空航天大学 一种基于非线性膜簧的音圈作动器
WO2016104632A1 (ja) * 2014-12-24 2016-06-30 ピー・エス・シー株式会社 振動体ユニット

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06294442A (ja) * 1993-04-02 1994-10-21 Suzuki Motor Corp ダイナミックバランサ
JP2002130362A (ja) * 2000-10-24 2002-05-09 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 構造物の動電型制振装置
JP2006298352A (ja) * 2005-03-22 2006-11-02 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ダイナミックダンパ、ダイナミックダンパユニット及びそのダイナミックダンパの製造方法
JP2008111507A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Psc Kk 振動除去装置
JP2008261431A (ja) * 2007-04-12 2008-10-30 Kurashiki Kako Co Ltd アクティブ除振装置及びそれに用いられる制振ユニット

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06294442A (ja) * 1993-04-02 1994-10-21 Suzuki Motor Corp ダイナミックバランサ
JP2002130362A (ja) * 2000-10-24 2002-05-09 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 構造物の動電型制振装置
JP2006298352A (ja) * 2005-03-22 2006-11-02 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ダイナミックダンパ、ダイナミックダンパユニット及びそのダイナミックダンパの製造方法
JP2008111507A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Psc Kk 振動除去装置
JP2008261431A (ja) * 2007-04-12 2008-10-30 Kurashiki Kako Co Ltd アクティブ除振装置及びそれに用いられる制振ユニット

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102820761A (zh) * 2012-07-30 2012-12-12 北京航空航天大学 一种基于非线性膜簧的音圈作动器
WO2016104632A1 (ja) * 2014-12-24 2016-06-30 ピー・エス・シー株式会社 振動体ユニット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW581899B (en) Linear motor driven mechanism using flexure bearings for opto-mechanical devices
US10808790B2 (en) Vibration isolation system
US20120235516A1 (en) Vertical Actuator Drive Having Gravity Compensation
JP5107984B2 (ja) ステージ装置
JP2539906B2 (ja) 磁気式防振装置
JP2006510182A (ja) 高い位置正確性で物体を処理するための装置
JP4739754B2 (ja) アクティブ振動絶縁及びアクティブ振動相殺のためのシステム及び方法
WO2019225110A1 (ja) ステージ装置、荷電粒子線装置および真空装置
US9791018B2 (en) Vibration isolation apparatus, method of isolating vibration, lithography apparatus, and method of producing device
KR100541171B1 (ko) 진동제어장치
JP2007120646A (ja) 制振装置およびそれを備えた露光装置
JP2010084814A (ja) 振動除去装置
JP2007240396A (ja) 振動検出センサ、防振装置、及び露光装置
JPH10116779A (ja) ステージ装置
JP2019209399A (ja) 工作機械の主軸システム
JP4890196B2 (ja) 振動除去装置
JP2012253144A (ja) 位置決め装置、露光装置およびデバイス製造方法
JP5882798B2 (ja) 振動抑制装置および振動抑制方法
JP2005134332A (ja) 形状測定装置
JP2009271783A (ja) 精密位置決め装置
US20030117099A1 (en) System and method for reducing oscillating tool-induced reaction forces
JP2022055903A (ja) ボイスコイルモータ
JP2007184193A (ja) 荷電粒子線装置
JP2009071930A (ja) 電流駆動型アクチュエータ駆動制御装置
JP5090392B2 (ja) ステージ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120522

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130115

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130318

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130806