JP2010027119A - 磁気記録媒体および情報記憶装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易エラーレートの悪化が抑えられサイドイレーズ耐性が向上した磁気記録媒体等を提供する。
【解決手段】磁気記録媒体200において、磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有する第1のグラニュラ層204と、第1のグラニュラ層上に形成され、磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有し、第1のグラニュラ層が有する磁気異方性と異なる量の磁気異方性を有する第2のグラニュラ層205とを備える。
【選択図】 図2

Description

本件は、情報が磁気的に記録される磁気記録媒体と、そのような磁気記録媒体を搭載した情報記憶装置に関する。
コンピュータの分野では、日常的に多量の情報が取り扱われるようになっており、このような多量の情報を記録再生する情報記憶装置の1つとして、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)が使用されている。HDDは記録容量が大きく情報へのアクセス速度が速いという特徴を持ち、ディスク状の磁気記録媒体、およびこの磁気記録媒体に情報を記録する磁気ヘッドを備えている。
情報記憶装置の大容量化および小型化に対応するため、磁気記録媒体には高記録密度化が求められている。高記録密度化を実現するため、基板上に形成された磁性層の磁化容易軸が基板面に対し垂直に配向した垂直磁気記録方式の記録媒体(以降、垂直磁気記録媒体と称する。)を用いた磁気記録装置(以降、垂直磁気記録装置と称する。)が実用化されている。垂直磁気記録装置は、垂直磁気記録媒体の記録ビット境界での反磁界の影響が小さく、情報の高密度記録が可能である。また、高記録密度を高めるため、記録層の下方に軟磁性体材料からなる裏打層を形成した構造が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。このような構造の垂直磁気記録媒体では、磁気ヘッドの主磁極で発生した磁束が裏打層に向かって記録層を通過し、記録層を垂直に磁化する。これによって記録層に情報が磁気的に記録される。裏打層を通った磁束は磁気ヘッドの補助磁極へと戻り、磁気回路を形成する。記録層の磁化状態は、磁気ヘッドにおける主磁極の垂直磁気記録媒体に対向する面の形状によって決まる。裏打層を有する垂直磁気記録媒体は書込み能力が高く、例えば5000Oeを超える大きな保磁力を有する磁気記録層にも書込みが可能である。
特開2002−203306号公報 特開昭62−239314号公報
垂直磁気記録媒体の記録密度を高めるには記録ビットの領域を小さくして記録ビットどうしを近接させる必要がある。ただし、記録ビット同士を近接させると、一方の記録ビットに記録された情報が、隣接する記録ビットへの記録磁束の影響を受けて消えやすくなる。垂直記録媒体において、情報が記録されたトラックについて、隣接したトラック上に磁気ヘッドからの磁場を印加するとき、いわゆる漏れ磁場により記録された情報が消される現象をサイドイレーズと称する。垂直磁気記録媒体のサイドイレーズ耐性が大きいほど、隣接するトラック間隔、つまり記録ビットの間隔を狭くすることが可能となる。垂直磁気記録媒体のサイドイレーズ耐性は、記録層を形成する材料の磁気異方性に依存し、磁気異方性が大きくなるほどサイドイレーズ耐性も大きくなる。しかしながら、磁気異方性を大きくすると、今度は磁気ヘッドによる記録能力が相対的に不足し、記録の誤り率を表す簡易エラーレートが上昇する。
上記事情に鑑み、本件開示は、簡易エラーレートの悪化を抑えつつ、サイドイレーズ耐性が向上した磁気記録媒体および情報記憶装置を提供する。
本件開示の磁気記録媒体の基本形態は、情報を担持する磁場の印加を受けてこの情報を磁気的に記録する記録層を有する磁気記録媒体であって、
上記記録層が、
磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有する第1のグラニュラ層と、
上記第1のグラニュラ層上に形成され、磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有し、この第1のグラニュラ層が有する磁気異方性と異なる量の磁気異方性を有する第2のグラニュラ層とを備えている。
また、上本件開示の情報記憶装置の基本形態は、
情報を担持する磁場の印加を受けてこの情報を磁気的に記録する記録層を有する磁気記録媒体と、
上記磁気記録媒体の上記記録層に対して情報記録を実行するヘッドと備え、
上記記録層が、
磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有する第1のグラニュラ層と、
上記第1のグラニュラ層上に形成され、磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有し、この第1のグラニュラ層が有する磁気異方性と異なる量の磁気異方性を有する第2のグラニュラ層とを備えたことを特徴とする。
これらの基本形態によれば、簡易エラーレートの悪化が抑えられサイドイレーズ耐性が向上する。
以上説明したように、磁気記録媒体および情報記憶装置の上記基本形態によれば、簡易エラーレートの悪化を抑えつつサイドイレーズ耐性を向上させることができる。
上記説明した磁気記録媒体および情報記憶装置の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、基本形態について説明した情報記憶装置の一例であるハードディスク装置(HDD)を示す図である。
この図1に示すHDD10のハウジング101には、回転軸102に装着されて回転する磁気ディスク200と、磁気ディスク200に対して情報記録と情報再生とを行なう磁気ヘッド103を先端に保持したヘッドジンバルアセンブリ104と、このヘッドジンバルアセンブリ104が固着されてアーム軸105を中心に磁気ディスク200の表面に沿って移動するキャリッジアーム106とキャリッジアーム106を駆動するアームアクチュエータ107とが収納されている。ここで、磁気ディスク200が、上述の磁気記録媒体および情報記憶装置の基本形態における磁気記録媒体の一例に相当し、磁気ヘッド103が、その基本形態におけるヘッドの一例に相当する。
磁気ディスク200は、情報を担持する磁場の印加を受けてこの情報を磁気的に記録する。磁気ディスク200への情報の記録および磁気ディスク200に記録された情報の再生に当たっては、アームアクチュエータ107によってキャリッジアーム106が駆動されて、磁気ヘッド103が、回転する磁気ディスク200上の所望のトラックに位置決めされる。そして、この磁気ヘッド103は、磁気ディスク200の回転に伴って、磁気ディスク200の各トラックをなぞって複数の情報を順次に記録する。
ここで、本実施形態では、磁気ディスク200のディスク面に対して垂直な方向の磁化によって情報が記録される垂直磁気記録方式が採用されている。このため、磁気ディスク200は、ディスク面に対して垂直な方向を磁化容易軸とした後述の記録層を有している。そして、情報は、磁化が磁気ディスク200の表面側を向いた状態と、裏面側を向いた状態との2状態を利用して記録層に記録される。
情報の記録時には、このように磁気ディスク200に近接した磁気ヘッドに電気的な記録信号が入力され、磁気ヘッド103により、その記録信号に応じた極性の磁界が磁気ディスク200に印加される。そして、記録層中の磁化が、磁気ディスク200の表面側と裏面側のうちの、その印加された磁界の極性に応じた側を向くことで情報が記録される。また、情報の再生時には、磁気ヘッド103によって、記録層中の磁化が発する微小磁界が検出され、情報が、その微小磁界の極性に応じた電気的な再生信号として取り出される。
図2は、図1に示す磁気ディスク200の断面を模式的に示す図である。
この図2に示すように、磁気ディスク200は、ディスク基板201、裏打軟磁性層202、中間層203、第1グラニュラ記録層204、第2グラニュラ記録層205、キャップ層206、および、保護層207が、この順番で積層されたものである。
ここで、第1グラニュラ層204が、上述の基本形態における第1のグラニュラ層の一例に相当し、第1グラニュラ記録層204上に形成された第2グラニュラ記録層205が、基本形態における第2のグラニュラ層の一例に相当する。また、第1グラニュラ層204および第2グラニュラ記録層205の組合せが基本形態における記録層の一例に相当する。
ディスク基板201は、ガラスまたはアルミニウム合金といった非磁性材料で形成された表面が平坦な円盤状の部材であり、外力によって破損しない程度の機械的強度を有している。
裏打軟磁性層202は、軟磁性材料で形成された非晶質であり、情報記録時に上記の磁気ヘッド103が印加した磁界に係る磁力線が磁気ヘッド103へと戻っていくときの磁路としての役割を果たす。裏打軟磁性層202の軟磁性材料としては、CoZnNb、CoZrTa、FeCoB、FeTaC、FeTaN、FeAlSi、FeCoAlO、CoNiFeB、CoFe、ZnFe、またはCoFeの合金で形成されている。
中間層203は、第1グラニュラ記録層204および第2グラニュラ記録層205の結晶配向性および結晶粒径を制御するために形成される。中間層203は、NiWおよびRuを下からこの順で積層した積層膜である。ただし、Ruの代わりにRuC、RuCrといったRu合金も採用可能である。
第1グラニュラ記録層204は、中間層203上に形成されており、複数の磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有する。また、第2グラニュラ記録層205は、第1グラニュラ記録層204上に形成されており、複数の磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有する。第1グラニュラ記録層204および第2グラニュラ記録層205では、各磁性粒子は、各層の厚み方向に成長した柱状の粒子である。そして、それら柱状の磁性粒子の周りに非磁性材料が偏析したグラニュラ構造となっている。これにより、第1グラニュラ記録層204および第2グラニュラ記録層205では、柱状の磁性粒子それぞれが、ディスク面に対して垂直な方向を磁化容易軸とした強い磁気異方性を有している。
第1グラニュラ記録層204および第2グラニュラ記録層205のそれぞれが有する磁性粒子はCoおよびPtを含有している。より具体的には、第1グラニュラ記録層204および第2グラニュラ記録層205のそれぞれは、磁性粒子が、CoCr、CoCrPt、およびCoPtのいずれかの合金で形成されたものであり、上記非磁性材料が、SiO2、TiO2、およびOのうちから選択された材料を含有する酸化物である。CoCrやCoCrPt等の上記合金は良好な磁性材料であり、SiOやTiO等は良好な非磁性材料であり、これらを組み合わせることで、グラニュラ構造を簡単に実現することができる。第2グラニュラ記録層205は、第1グラニュラ記録層204が有する磁気異方性の量と異なる量の磁気異方性を有する。より詳細には、第2グラニュラ記録層205は、第1グラニュラ記録層204が有する磁気異方性よりも小さい磁気異方性を有する。さらに詳細には、第1グラニュラ記録層204は、4×10erg/cc以上の磁気異方性を有し、第2グラニュラ記録層205は、3×10erg/cc以下の磁気異方性を有している。磁気異方性は、それぞれ測定によって得られる飽和磁化Msと異方性磁界Hkとの積の1/2の値として算出される。
第1グラニュラ記録層204および第2グラニュラ記録層205の磁気異方性は、磁性粒子に含まれるCrおよびPtの一方または両方の含有比率を変えることによって調整することができる。例えば、Crの含有比率が低いほど磁気異方性が大きくなり、また、Ptの含有比率が高いほど磁気異方性が大きくなる。したがって、第2グラニュラ記録層205の磁気異方性を第1グラニュラ記録層204より小さくするためには、第2グラニュラ記録層205におけるCrの含有比率を第1グラニュラ記録層204より高くするか、または、Ptの含有比率を第1グラニュラ記録層204より低くする、あるいは、Crの含有比率を高くするとともにPtの含有比率を低くすればよい。第1グラニュラ記録層の材料として、例えば、磁性材料のうちCrを9at%、Ptを17at%含有するCCP(9−17)−8TiOを用いた場合、この材料における飽和磁化Msの測定値は550emuであり、異方性磁界Hkの測定値は15.5kOeである。このとき、磁気異方性Kuは、
Ku = (550×15.5×10)/2 = 4.26×10erg/cc
であり、4×10erg/cc以上の磁気異方性となる。この一方、第2グラニュラ記録層についても、例えば、磁性材料のうちCrを13at%、Ptを13at%含有するCCP(13−13)−8TiOを用いることで、第1グラニュラ記録層の上記例における磁気異方性よりも小さい3×10erg/cc以下の磁気異方性が得られる。
キャップ層206は、CoCrPtまたはCoCrPtBで形成されている。
保護層207は、窒化カーボン(CN)、ダイヤモンドライクカーボン(DCL)、または窒化シリコン(SiN)といった高硬度の材料で形成されている。
磁気ディスク200は、第1グラニュラ記録層204上に、この第1のグラニュラ層204が有する磁気異方性の量と異なる量の磁気異方性を有する第2グラニュラ記録層205を有している。このため、磁気ディスク200のサイドイレーズ耐性を大きくするために、磁気異方性の高い第1のグラニュラ層を採用した場合に、記録層の全てを磁気異方性の高い第1のグラニュラ層で形成する場合に比べ、簡易エラーレートの上昇が抑えられる。また、磁気ディスク200は、第2グラニュラ記録層205が有する磁気異方性は第1グラニュラ記録層204が有する磁気異方性より小さい。磁路となる裏打軟磁性層202に対し、第1グラニュラ記録層204を第2グラニュラ記録層205より近くに配置することで、磁気異方性が相対的に大きい第1グラニュラ記録層204での記録が促され、簡易エラーレートの上昇をさらに抑制される。
図2に示す磁気ディスク200に製造方法について説明する。
磁気ディスク200を製造するには、まず、ガラス製またはアルミニウム合金製の例えば直径2.5インチの円盤状のディスク基板201を用意する。次にディスク基板201をDCマグネトロンスパッタ送信のチャンバ内に配置して、チャンバ内を真空排気する。その後、例えばCoZnNb等の軟磁性体材料をスパッタリングし、ディスク基板201上に裏打軟磁性層202を30〜100nmの厚さに形成する。なお、裏打軟磁性層202はめっき法により形成してもよい。
次に、裏打軟磁性層202の上にNiWを5〜9nm、Ruを20nmの厚さに順次スパッタリングして、これらの金属幕を積層した構造の中間層203を形成する。
次に、スパッタ法により、中間層203の上に、例えばCoCrPtーSiOのグラニュラ構造を有する第1グラニュラ記録層204を例えば9nmの厚さに形成する。次に、スパッタ法により、第1グラニュラ記録層204の上に、例えばCoCrPtーSiOのグラニュラ構造を有する第2グラニュラ記録層205を例えば3nmの厚さに形成する。このとき、第2グラニュラ記録層205のCrの含有比率を第1グラニュラ記録層204より高くするとともにPtの含有比率を低くする。
次に、第2グラニュラ記録層205の上にキャップ層206として、非グラニュラ構造を有するCoCrPtBを例えば8nmの厚さに形成する。
次に、ArおよびNを含む雰囲気中でCNをスパッタリングすることにより、キャップ層206の上に保護層207を例えば3〜5nmの厚さに形成する。なお、保護層207をDLCで形成するときはCVD法を使用し、SiNで形成するときはスパッタ法を使用する。
最後に、図2には図示しないが、保護層207の上にパーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、またはフッ素化カルボンサンを例えば0.5nm〜5nmの厚さに塗布して、潤滑層を形成する。
このようにして、磁気ディスク200が得られる。
次に、図2に示した構造の磁気ディスクにおいて、簡易エラーレートの悪化が抑えられ、サイドイレーズ耐性が向上することについて、第1グラニュラ記録層204および第2グラニュラ記録層205の条件が異なる複数のサンプルの例を示して説明する。、 図3および図4は、第1グラニュラ記録層204および第2グラニュラ記録層205の条件が異なる複数のサンプルおよび比較サンプルについて、簡易エラーレートの悪化が抑えられ、サイドイレーズ耐性が向上する様子を示すグラフである。
ここでは、図2に示した構造の磁気ディスクとして、サンプルとして第1から第4まで4つのサンプルを、上述した製造方法の例により作成し特性を測定した。また3つの比較サンプルも作成し特性を測定した。4つのサンプルは、いずれも、第1グラニュラ記録層204に、磁気異方性が4×10erg/cc以上の材料を用い、第2グラニュラ記録層205に磁気異方性が3×10erg/cc以下の材料を用いた。より具体的には、第1グラニュラ記録層204の材料として、磁性材料CoCrPtのうちCrを9at%、Ptを17at%含有するCCP(9−17)−8TiOを用い、第2グラニュラ記録層の材料として、磁性材料CoCrPtのうちCrを13at%、Ptを13at%含有するCCP(13−13)−8TiOを用いた。また、4つのサンプルは、磁化の全体量を等しくするため、第1グラニュラ記録層204における膜厚tと飽和磁束Bsの積t×Bs、および、第2グラニュラ記録層205における膜厚tと飽和磁束Bsの積t×Bsの和が70Gaussμmで一定となるようにした上で、それぞれの膜厚tを調整することによって、それぞれの膜厚tと飽和磁束の積t×Bsを変えた。なお、飽和磁束Bsとして、磁気ディスクとは別に、CCP(9−17)−8TiOおよびCCP(13−13)−8TiOを用いて形成した試料の測定値を用いた。
4つのサンプルのうち、第1サンプルは、第1グラニュラ記録層における膜厚tと飽和磁束の積t×Bs(以降、単に「積tBs」とも称する)が60Gaussμmとなり、第2グラニュラ記録層における積tBsを10Gaussμmとなるように形成した。すなわち、第1グラニュラ記録層の積tBsと第2グラニュラ記録層における積tBsとの比は60:10である。また、第2サンプルは、第1グラニュラ記録層の積tBsが50Gaussμmとなり、と第2グラニュラ記録層の積tBsが20Gaussμmとなるように形成した。すなわち、第1グラニュラ記録層の積tBsと第2グラニュラ記録層の積tBsとの比は50:20である。また、第3サンプルは、第1グラニュラ記録層の積tBsが30Gaussμmとなり、と第2グラニュラ記録層の積tBsが40Gaussμmとなるように形成した。すなわち、第1グラニュラ記録層の積tBsと第2グラニュラ記録層の積tBsとの比は30:40である。また、第4サンプルは、第1グラニュラ記録層の積tBsが10Gaussμmとなり、と第2グラニュラ記録層の積tBsが60Gaussμmとなるように形成した。すなわち、第1グラニュラ記録層の積tBsと第2グラニュラ記録層の積tBsとの比は10:50である。
また、比較例として3つの比較サンプルを用意した。第1比較サンプルは、グラニュラ記録層として上記サンプルにおける第2グラニュラ記録層に対応する層は形成せず、磁気異方性が4×10erg/cc以上のCCP(9−17)−8TiOで第1グラニュラ記録層に対応する1層のみを形成した。この層は、積tBsが70Gaussμmとなるように形成した。第1比較サンプルにおける積の比を70:0と表現する。
また、第2比較サンプルは、グラニュラ記録層として上記サンプルにおける第1グラニュラ記録層に対応する層は形成せず、磁気異方性が3×10erg/cc以下のCCP(13−13)−8TiOで第2グラニュラ記録層に対応する1層のみを形成した。この層は、積tBsが70Gaussμmとなるように形成した。第2比較サンプルにおける積の比を0:70と表現する。
また、第3比較サンプルは、グラニュラ記録層として、磁性材料のうちCrを11at%、Ptを13at%含有するCCP(11−13)−8TiOで1層のみ形成した。CCP(11−13)−8TiO2は、上記サンプルにおける第1グラニュラ記録層の材料組成と第2グラニュア層の材料組成の中間的な組成の材料である。この層は、積tBsが70Gaussμmとなるように形成した。
図3は、4つのサンプルおよび3つの比較サンプルにおける簡易エラーレートVMML2と記録幅WCwを示すグラフである。
VMM2Lは、再生時に磁気ヘッドから出力される信号から記録情報を復号する復号方法の1つであるビタビ復号法において、復号結果がどの程度不確かなものとなっているかを表すことで再生信号におけるエラーレートを示すものである。再生時には、磁気ヘッドから、各々が1ビットの情報に対応している信号値の配列からなる再生信号が出力される。ビタビ復号法は、まず、所定ビット数の信号値配列毎に、その信号値配列が表しているであろう情報配列の候補が2種類用意される。そして、信号配列を構成する各ビットの信号値と、情報配列の候補を構成する各ビットの情報との差の2乗和(メトリック値)が算出され、メトリック値が小さい候補が、その信号配列が表している情報配列として選択される。上記のVMM2Lは、磁気ディスクにおいて記録情報が磁気ヘッドで再生されたときの再生信号を上記の所定ビット数の信号配列に分割したときの複数の信号配列のうち、上記の2種類の候補間におけるメトリック値の差が所定の閾値を下回った信号値配列の数である。
実効トラック幅は、磁気ヘッドから見たときに、磁気ディスク上に情報が記録されていると認識できるトラックの幅であり、磁気ディスクに形成されたトラックからの情報の再生を、磁気ヘッドをトラックの幅方向にずらしながら行い、再生可能なずれの範囲を測定することで得られる。この実効トラック幅が広いということは、情報の記録時に磁化の配向が広く拡散していることを意味する。
図3に示すグラフでは、横軸に実効トラック幅Wcwがとられ、縦軸にVMM2Lがとられている。そして、このグラフ上には、4つのサンプルおよび3つの比較サンプルについて、磁気ディスク上の2つのトラックそれぞれについて情報の再生が行われたときの、各トラックの実行トラック幅Wcwと、そのトラックからの再生信号についてのVMM2Lとに対応する点がプロットされている。一般的に、同一の磁気ディスクでは、実効トラック幅が大きいほどVMM2Lが小さい傾向を有することから、図3のグラフでは、実効トラック幅が小さく、かつVMM2Lが小さいほど、すなわち、グラフの左下に向かうほど磁気ディスクとしてのエラーレートが小さいといえる。
図4は、4つのサンプルおよび3つの比較サンプルにおける簡易エラーレートVMM2LとサイドイレーズS−ERSを示すグラフである。
サイドイレーズは、磁気ディスクのトラック上にデータを記録した後、このトラックの近傍に別の値のデータを記録した場合に、先に記録したトラックから記録したデータと同じ値のデータが読み出される程度を表している。磁気ディスクの特性として、0に向かうほど、すなわちグラフの右に向かうほど、近接する位置への書き込みのからの影響を受けにくく良好であり、サイドイレーズ耐性が高いことを表している。
図4および図3のグラフに示すように、相対的に磁気異方性の小さい3×10erg/cc以下の材料のみでグラニュラ記録層が形成された第2比較サンプルは、サイドイレーズ特性が不良であるが、この一方で、第1比較サンプルのように、相対的に磁気異方性の大きい4×10erg/cc以上の材料のみでグラニュラ記録層が形成された場合にはエラーレートが不良となる。一方、磁気異方性が相対的に大きい4×10erg/cc以上の材料で形成された第1のグラニュラ層と、磁気異方性が相対的に小さい3×10erg/cc以下の材料で形成された第2のグラニュラ層と有する第1サンプルから第4サンプルまでの4つのサンプルは、サイドイレーズ特性およびエラーレートともに良好となっている。特に、第1のグラニュラ層における積tBsと、第2の磁性グラニュラ層における積tBsとの比が60:10から50:20までの範囲となるよう形成された第1サンプルおよび第2サンプルは、エラーレートの悪化を抑えつつ、サイドイレーズ特性がさらに良好である。第1サンプルおよび第2サンプルは、第1グラニュラ記録層の材料組成と第2グラニュア層の材料組成の中間的な組成の材料(CCP(11−13)−8TiO)でグラニュア記録層が形成された第3比較サンプルに比べても、エラーレートが同程度の範囲に抑えられ、かつ、サイドイレーズ特性が良好である。
この中でも特に、第1のグラニュラ層における積tBsと、第2の磁性グラニュラ層における積tBsとの比が50:20の第2サンプルは、第3比較サンプルに比べ、エラーレートおよびサイドイレーズ特性のいずれも良好である。
なお、上記では、上述の基本形態における第1のグラニュラ層および第2のグラニュラ層の一例として、4×10erg/cc以上の磁気異方性を有する第1グラニュラ記録層204、および、3×10erg/cc以下の磁気異方性を有する第2グラニュラ記録層205の例が示されているが、これら第1のグラニュラ層および第2のグラニュラ層は、上記の値の範囲外の磁気異方性を有するものであってもよい。
情報記憶装置の一例であるハードディスク装置を示す図である。 図1に示す磁気ディスク200の断面を模式的に示す図である。 4つのサンプルおよび3つの比較サンプルにおける簡易エラーレートと記録幅を示すグラフである。 4つのサンプルおよび3つの比較サンプルにおける簡易エラーレートとサイドイレーズを示すグラフである。
符号の説明
10 HDD(情報記憶装置)
200 磁気ディスク(磁気記録媒体)
201 ディスク基板
202 裏打軟磁性層
203 中間層
204 第1グラニュラ記録層(第1のグラニュラ層)
205 第2グラニュラ記録層(第2のグラニュラ層)

Claims (5)

  1. 情報を担持する磁場の印加を受けて該情報を磁気的に記録する記録層を有する磁気記録媒体であって、
    前記記録層が、
    磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有する第1のグラニュラ層と、
    前記第1のグラニュラ層上に形成され、磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有し、該第1のグラニュラ層が有する磁気異方性と異なる量の磁気異方性を有する第2のグラニュラ層とを備えたことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記第2のグラニュラ層が、前記第1のグラニュラ層の磁気異方性よりも小さな磁気異方性を有するものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 前記第1のグラニュラ層および前記第2のグラニュラ層のそれぞれが有する磁性粒子がCoおよびPtを含有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 前記第1のグラニュラ層における飽和磁束および層厚の積と、前記第2の磁性グラニュラ層における飽和磁束および層厚の積との比が60:10から50:20までの範囲となるよう形成されたことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の磁気記録媒体。
  5. 情報を担持する磁場の印加を受けて該情報を磁気的に記録する記録層を有する磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体の前記記録層に対して情報記録を実行するヘッドと備え、
    前記記録層が、
    磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有する第1のグラニュラ層と、
    前記第1のグラニュラ層上に形成され、磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔てたグラニュラ構造を有し、該第1のグラニュラ層が有する磁気異方性と異なる量の磁気異方性を有する第2のグラニュラ層とを備えたものであることを特徴とする情報記憶装置。
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