JP2008071420A - 磁気記録媒体および磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract


【課題】書き込みヘッドに高い飽和磁束密度を有する磁気コアを用いてある場合でも、電磁変換特性(特にOW特性)を悪化させることなく、熱揺らぎ問題を解決し、SNRの改善およびPW50の狭小化により、高記録密度を達成する磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】非磁性基板1上に、磁気記録膜3と、軟磁性膜4と保護膜5とが備えられてなる磁気記録媒体であって、磁気記録膜3の保磁力が2500Oe以上であり、かつ軟磁性膜4の膜厚が0.2〜0.5nmの範囲であり、前記軟磁性膜4の飽和磁束密度が1.5T以上であることを特徴とする磁気記録媒体を採用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体および磁気記録再生装置に関するものであり、特にオーバーライト特性、信号対ノイズ比および熱揺らぎ特性に優れた磁気記録媒体に関するものである。
磁気ディスク装置等の高記録密度化の研究開発が活発になされている。高記録密度化は、例えば、信号対ノイズ比(以下SNR)を改善し、PRMLチャンネル処理のため孤立波半値幅(以下PW50)を狭小化することによりなされる。
高SNR化およびPW50の狭小化を達成するために、記録層材料の磁気異方性を高めることにより、磁気記録膜の保磁力を向上させる手段がとられる。
上記手段は、一旦記録された信号が時間の経過とともに減少するという熱揺らぎ問題に対しても有効である。熱揺らぎ問題は、近年顕在化しつつある問題の一つである。
しかしながら、磁気記録媒体の保磁力を高めると、以下の電磁変換特性の面で問題を生じる場合があった。ひとつは、ヘッドの書き込み能力に限界があるため、一旦記録された信号が上書きしても消えない(オーバーライト(以下OW)特性の悪化)というものである。
そこで、これらの電磁変換特性の問題を解決するために、軟磁性層いわゆるキーパーレイヤーを挿入するという方法が提案された(非特許文献1、特許文献1〜4参照。)。これらの方法は、OW特性およびオフトラック特性などのような電磁変換特性に効果があるだけでなく、熱揺らぎ問題をも解決する。
しかしながら、それぞれの提案は、さらに種々の問題を有していた。
特許文献1に開示された磁気記録媒体は、記録再生時に軟磁性層を飽和させるためのバイアス磁束をインダクティブヘッド書き込みコアから付加させなければ、媒体表面から洩れ磁束を誘起させられず、良好な再生信号を得ることができなかった。そのため、従来からのインダクティブ-MR複合ヘッドを使用することができなかった。
特許文献2に開示された磁気記録媒体は、インダクティブヘッドを用いて、”正しくはバイアス電流0の読み込み-書き込みヘッドとともに用いられる”とされている。しかし、高記録密度が望まれている状況下では、インダクティブヘッドを用いるという方法は現実的ではない。なぜなら、MR、GMRヘッドに代表される磁気抵抗効果素子を利用した場合、再生感度が高いために、得られる孤立波出力は、インダクティブの3〜10倍高くなる。そのため、磁気記録膜を薄くすることができ、磁気記録膜を薄くすることで、磁気記録膜粒子サイズを小さくすることができるため低ノイズ化が可能だからである。また実施例で示されているような磁気記録媒体組成では、Cr添加量が少なく磁気記録膜の粒子の強い磁気的結合ため、磁気記録膜粒子径が粗大となり、低ノイズとする磁気記録媒体は得られない。
特許文献3に開示された磁気記録媒体は、従来のインダクティブ-MR複合ヘッドを使用できるとしているが、100〜1000の低透磁率の軟磁性層を使用するため、記録特性の改善が得られず、電磁変換特性の改善が認められない。さらに非磁性基板にNiPをメッキあるいはスパッターした場合、深いキズまたはピットのような欠陥を通してNiP膜中のNiが磁気記録媒体表面に拡散してきてコロージョンの原因となる。
これらを検案してなされた特許文献4に開示された磁気記録媒体は、上記種々の問題を解決することができたが、書き込みヘッドとの関係において不十分な点があることが分かった。近年、より高密度記録に対する要求が強まり、磁気記録媒体だけでなく、書き込みヘッドの高密度記録対応化技術も進み、書き込みヘッドに高い飽和磁束密度を有する磁気コアが用いられるようになってきた。そして、磁気記録媒体に用いる軟磁性膜の飽和磁束密度が、書き込みヘッドに使用される磁気コアの飽和磁束密度より低いときは、電磁変換特性のひとつであるOW特性の改善が見られないことが分かった。
特開平9−28809号公報 特開平7−169037号公報 特開平10−116412号公報 特開2000−222715号公報 ビー・グーチ(B.Gooch)、 アール・ニデルメイヤー(R.Niedermeyer)、アール・ウッド(R.Wood)とアール・ピシャロディ(R.Pisharody)、アイトリプルイー・トランザクションス・オン・マグネティクス(IEEE Transactions on magnetics )、1991、vol.27、No.6、p.4549
そこで本発明は、書き込みヘッドに高い飽和磁束密度を有する磁気コアを用いてある場合でも、電磁変換特性(特にOW特性)を悪化させることなく、熱揺らぎ問題を解決し、SNRの改善およびPW50の狭小化により、高記録密度を達成する磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
(1) 非磁性基板上に、磁気記録膜と、軟磁性膜と保護膜とが備えられてなる磁気記録媒体であって、磁気記録膜の保磁力が2500Oe以上であり、かつ軟磁性膜の膜厚が0.2〜0.5nmの範囲であり、前記軟磁性膜の飽和磁束密度が1.5T以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
(2) 前記軟磁性膜の膜厚が2〜4nmの範囲であることを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体。
(3) 前記軟磁性膜の飽和磁束密度が2.2T以上であることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(4) 前記軟磁性膜がCo及びFeを含む合金であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(5) 軟磁性膜がCoFe合金であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(6) 前記磁気記録膜がCoaCrbPtcTadZreCuf Nig(但し、組成比を示すa、b、c、d、e、f、gはそれぞれ、b:16〜25at%、c:0〜20at%、d:0〜7at%、e:0〜4at%、f:0〜3at%、g:0〜10at%、a:残部である。)からなるCo合金層であることをを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(7) 前記非磁性基板と前記磁気記録膜との間に下地膜が介在され、前記下地膜がCr単一組成またはCrX(但し、XはMo、W、V、Tiのうちのいずれか1種または2種以上の元素である。)からなることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(8) 前記磁気記録膜に接して、CohCriPtjTakZrlCum Bn(但し、組成比を示すh、i、j、k、l、m、nはそれぞれ、i:25〜50at%、j:0〜10at%、k:0〜10at%、l:0〜5at%、m:0〜5at%、n:0〜10at%、h:残部である。)からなる非磁性中間膜が積層されていることを特徴とする(1)〜(7)に記載の磁気記録媒体。
(9) 磁気記録情報の再生に磁気抵抗効果を利用する再生素子が用いられることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(10) 前記軟磁性膜の最大透磁率が1000〜1000000の範囲にあることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(11) Ni溶出量が、磁気記録媒体単位面積あたり0.03ng/cm2以下であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(12) 前記軟磁性膜として、書き込みヘッドの磁気コアの飽和磁束密度と同等以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜が備えられていることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(13) (1)〜(12)のうちいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、書き込みヘッドとを備えていることを特徴とする磁気記録再生装置。
(14) 前記磁気記録媒体の備えられた軟磁性膜の飽和磁束密度が、前記書き込みヘッドを構成する磁気コアの飽和磁束密度と同等以上であることを特徴とする(13)に記載の磁気記録再生装置。
本発明によれば、書き込みヘッドに高い飽和磁束密度を有する磁気コアを用いてある場合でも、電磁変換特性(特にOW特性)を悪化させることなく、熱揺らぎ問題を解決し、SNRの改善およびPW50の狭小化により、高記録密度を達成する磁気記録媒体を提供することができる。
発明を実施するための最良の形態を、図1および図2を用いて説明する。
まず、図1は、本発明に使用される磁気記録媒体の一例を示す断面図の模式図である。図1に示すように、本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板1と非磁性基板上に順次積層された下地膜2、磁気記録膜3、軟磁性膜4および保護膜5とから構成されている。
非磁性基板1としては、磁気記録媒体用基板として一般的に用いられているNiPメッキ膜が形成されたAl合金基板(以下、NiPメッキAl基板)、ガラス基板、セラミックス基板、可曉性樹脂基板、NiPをメッキあるいはスパッター法により蒸着せしめた基板などを用いることができる。
また、非磁性基板1には、より良好な電磁変換特性を得る、面内磁気異方性を付与して熱揺らぎ特性を良くする、研磨痕を消す等の目的でテクスチャー処理が施されているものでもよい。
非磁性基板1上に形成される下地膜2は、従来公知の非磁性下地膜、例えば、Cr、Ti、Ni、Si、Ta、W等の単一組成膜、または、それらの結晶性を損なわない範囲で他の元素を含有する合金を使用できるが、本発明に関わる磁気記録膜3との関係では、Cr単一組成、または、CrにMo、W、V、Tiのうちの1種または2種以上の元素を含有させた合金からなる下地膜2であることが望ましい。
下地膜2の厚さは、5nm〜40nmが好ましい範囲であるが、10nm〜30nmにするとさらに好ましい。これは下地膜2の膜厚が薄くなりすぎると下地膜2上の磁気記録膜4、または非磁性中間膜3の結晶配向性が悪くなって、SNRが悪くなるので好ましくない。逆に下地膜2の膜厚が厚すぎると、下地膜2の粒子径が大きくなり、下地膜2上の磁気記録膜4、または非磁性中間膜3の粒子径が下地膜2の粒子径の増加に伴って大きくなって、SNRが悪くなるので好ましくない。
また、下地膜2は一層のみから構成される場合のみならず、必要に応じて同一組成の膜、もしくは異なる組成の膜を複数積層させた多層構造としても良い。下地膜2の厚さは、所望の保磁力が得られる範囲であれば制限されるものではない。とくに非磁性基板1の種類によっては、下地膜2としてNiAlを積層させると格段のSNR向上が達成され、好ましい場合がある。
磁気記録膜3は、所望の保磁力が得られる磁性膜であれば特に制限されるものではないが、CoaCrbPtcTadZreCuf Nig(但し、組成比を示すa、b、c、d、e、f、gはそれぞれ、b:16〜25at%、c:0〜10at%、d:1〜7at%、e:0〜4at%、f:0〜3at%、g:0〜10at%、a:残部である)で表されるCo合金層とすることで磁気異方性を高め、より保磁力を向上させることができる。
Crの組成比を示すbを16〜25at%とするのは、16at%未満ではCrの偏析によるCo粒子の分散が不十分であり磁性粒子の磁気的結合を弱め低ノイズ化することができない。26at%を超えると保磁力の低下が著しくなり所望の保磁力が得られなくなるからである。
Ptの組成比を示すcを0〜20at%とするのは、11at%以上ではSNが悪化するからである。
Taの組成比を示すdを0〜7at%とするのは、7at%を超えると高い保磁力を得ることが困難になるからである。
また、Zrの組成比を示すeを0〜4at%、Cuを0〜3at%、および/またはNiを0〜10at%添加するのは、Zr、Cu、および/またはNiを加えることでさらに高保磁力、高SNRの磁気記録媒体が得られるからである。
磁気記録膜3の厚さは、特に限定されるものではないが、磁気抵抗効果素子を利用した再生ヘッド用として用いる場合には、残留磁化(以下Br)とその膜厚(以下t)の積(以下Brt)が0.2〜1.0memu/cm2の範囲内になるように調整することが望ましい。Brtが0.2memu/cm2未満では適切な再生出力が得られにくく、1.0memu/cm2を超えるとSNRが極端に悪くなるからである。よって磁気記録膜3の膜厚としては、10〜40nmが好ましい。さらに好ましくは、10〜25nmである。
磁気記録膜3の保磁力は2500〜6000Oeとすることが好ましい。2500Oe未満では、ヒ゛ット間遷移領域が広がり、PW50が悪化するとともにノイズも増大し、SNRが悪化するからである。現状では、磁気記録媒体として使用可能で保磁力が6000Oeを超えるディスクは製造が困難である。最適な保磁力の範囲は、使用する記録ヘッドにも依存するが、信号を十分に書き込むことが可能なヘッドでは、高いほど良い。すなわち、本実施例では3000Oe以上で好ましい結果が得られているが、十分書き込み可能なヘッドを用いた場合は、保磁力3500Oe以上あることが望ましい。なお、1Oeは79A/mである。
保磁力2500〜6000Oeの磁気記録膜3と組み合わせる軟磁性膜4の厚さは、0.2〜0.5nmの範囲が好ましく、0.2〜0,4nmの範囲がより好ましい。としなければならない。0.2nm未満および0.5nm超ではSNR特性が悪化するので好ましくない。
軟磁性膜4の飽和磁束密度は1.5T以上であることが好ましい。さらに望ましくは、2.2T以上である。高い飽和磁束密度を有することにより、OW特性を飛躍的に改善することができるからである。
軟磁性膜4の最大透磁率は、1000〜1000000とするのが好ましく、100000〜500000とするのがより好ましい。最大透磁率が1000未満であると、記録時に磁気記録媒体への書き込みが不十分となり、書き込み後の磁化遷移間の反磁界を緩和することができないため十分な電磁変換特性を得られなくなるおそれがある。また最大透磁率が1000000を越える軟磁性膜を作製するのは技術的に難しい。
上記最大透磁率は、次のように定義される。すなわち軟磁性体スパッタターゲット試験片を、例えば振動式磁気特性装置(VSM)を用いて全く磁化されていない状態から外部磁界を印加することにより徐々に磁化していき、磁界を増加しても磁化の強さが増加しない状態に達するまでの磁化曲線中で、磁界の変化に対する磁化の変化の割合のうち最大となったものを最大透磁率とする。なお、透磁率はCGS単位系で表した値である。
特に、書き込みヘッドに使用される磁気コアとの関係は重要である。本発明の磁気記録媒体に用いる軟磁性膜4は、その飽和磁束密度が書き込みヘッドに使用される磁気コアの飽和磁束密度と同等以上でなくてはならない。
書き込みヘッドに使用される磁気コアの飽和磁束密度を本発明の磁気記録媒体に用いる軟磁性膜4の飽和磁束密度と同等以上でない場合は、OW特性の改善などが見られない。
軟磁性膜4の材質はとくに限定されるものではないが、CoおよびFeを含む合金が好ましく、CoFe合金は最も好まれる材料である。1.5T以上、好ましくは2.2T以上の飽和磁束密度を得る組成が多くあり、また安定した特性を得られるためである。そのほか、FeN、純Feなども高い飽和磁束密度を有するので、軟磁性膜4材料として用いることができる。
上述組成の軟磁性膜4を積層することによって、Al-NiP基板またはNiPをスパッターもしくはメッキした非磁性基板1を用いた場合に、深い傷、またはピットのような欠陥からNiの拡散を防止することができ、また、ガラスまたはセラミックス基板を用いた場合には基板に含有されている軽元素の拡散を妨げることができる。
軟磁性膜4は、磁気記録膜3の非磁性基板1の反対側に配置することが好ましい。さらには磁気記録膜3を2層以上形成し、各磁気記録膜3の間に軟磁性膜4を配置しても良い。
磁気記録膜3と軟磁性膜4の間に非磁性中間膜を施しても何ら本発明の効果を損ねるものではない。さらに磁気記録膜3に接して非磁性中間膜を積層してもよく、磁気記録膜3の非磁性基板1側に磁気記録膜3と接して非磁性中間膜を積層してもよい。非磁性中間膜は、CohCriPtjTakZrlCum Bn(但し、組成比を示すh、i、j、k、l、m、nはそれぞれ、i:25〜50at%、j:0〜10at%、k:0〜10at%、l:0〜5at%、m:0〜5at%、n:0〜10at%、h:残部である。) で示されるものが望ましい。上記組成で示される非磁性中間膜を非磁性基板1側に磁気記録膜3と接して配置することで、磁気記録膜3の結晶構造が比較的乱れやすい初期成長層を減らすことができ、保磁力が高く、低ノイズの磁気記録媒体を構成できる。また、磁気記録膜3と軟磁性膜4の間に非磁性中間膜を設けることで、磁気記録膜3の結晶成長を助け、さらに高保磁力、低ノイズの磁気記録媒体を構成できる。
これら軟磁性膜4、磁気記録膜3および下地膜2は、スパッタリング法により成膜することができる。
本発明の磁気記録媒体においては、ヘッドと媒体表面の接触による損傷を防ぐために磁性膜上に保護膜5を形成する。保護膜5を構成する物質としては従来公知の物で良く、例えば、C、SiO2、ZrO2等の単一成分またはそれぞれを主成分とする膜を使用することができる。保護膜は、スパッタリング法、イオンビーム法、プラズマCVD法を用いて成膜することができる。保護膜5の厚さは、通常2〜20nmとされる。
さらに好ましくは、2〜9nmがスペーシングロスを少なくできるために良い。保護膜5の表面には、必要に応じ、潤滑膜を形成することもできる。潤滑材としては、パーフルオロエーテル(PFPE)等の弗化系液体潤滑材、脂肪酸等の固体潤滑剤が使用される。潤滑剤の塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法など従来公知の方法を使用すればよい。
高い飽和磁束密度を有する磁気コアを用いる場合、本発明の磁気記録媒体は、書き込みヘッドに用いられている磁気コアの飽和磁束密度の値よりも大きい値を有する軟磁性膜を有しているので、従来の磁気記録媒体が受けていた書き込みヘッドからの影響を緩和することができる。その結果、電磁変換特性、特にOW特性を改善し、さらに熱揺らぎ問題を解決する。同時に、SNRの改善およびPW50の狭小化を行うことができ、結果として、高記録密度を達成する磁気記録媒体を提供することができる。
図2は、上記磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の一例である。ここに示す磁気記録再生装置は、上記構成の磁気記録媒体6と、磁気記録媒体6を回転駆動させる媒体駆動部7と、磁気記録媒体6に情報を記録再生する磁気ヘッド8と、ヘッド駆動部9と、記録再生信号処理系10とを備えている。記録再生信号処理系10は、入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド8に送り、磁気ヘッド8からの再生信号を処理してデータを出力することができるようになっている。
この磁気記録再生装置にあっては、磁気記録媒体の磁気異方性を高め、また、磁気ヘッドに使用した軟磁性膜の特性を考慮して、磁気記録媒体の軟磁性膜を作成したことによって、熱安定性のより一層の向上が得られ、熱揺らぎ現象に起因するデータ消失などのトラブルを未然に防ぐことができる。
また、OW特性も改善されるため、エラーレート、ノイズ特性などの磁気特性を向上させ、高記録密度化を図ることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はその範囲を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(比較例)
表面に厚さ10μmのNiPメッキ膜が形成されてなる厚さ0.8mmのアルミニウム合金基板上に、表面平均粗さRaが1nmとなるようにメカニカルテクスチャー加工を施した後、この基板をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製3010)のチャンバ内にセットした。
チャンバ内を真空度2×10-7Torrとなるまで排気し、この基板を200℃まで加熱した後、この基板上に、厚さ8nmのCrを25at%含むCrW合金(Cr25W75)下地膜と、18at%Cr-8at%Pt-3at%Ta-1at%Cu-残部Co(CobalCr18PtTaCu)からなる厚さ30nmの磁気記録膜を、順次スパッタリングにより形成した。
磁気記録膜上には、プラズマCVD装置(アネルバ社製)を用いてプラズマCVD法により厚さ7nmのカーボン膜を形成した。カーボン膜成膜後、ディッピング法によりPFPE潤滑剤を塗布することにより、比較例の磁気記録媒体を作製した。
(実施例1)
Coを65at%含むCoFe合金(Co65Fe35)からなる厚さ0.2nmの軟磁性膜を、磁気記録膜上に成膜した以外は比較例1と同様にして実施例1の磁気記録媒体を作製した。
(実施例2)
Co65Fe35なる組成の厚さ0.4nmの軟磁性膜を、磁気記録膜上に成膜した以外は比較例1と同様にして実施例2の磁気記録媒体を作製した。
(実施例3)
Co65Fe35なる組成の厚さ0.6nmの軟磁性膜を、磁気記録膜上に成膜した以外は比較例1と同様にして実施例3の磁気記録媒体を作製した。
(実施例4)
Co65Fe35なる組成の厚さ0.8nmの軟磁性膜を、磁気記録膜上に成膜した以外は比較例1と同様にして実施例4の磁気記録媒体を作製した。
(実施例5)
Co65Fe35なる組成の厚さ1.0nmの軟磁性膜を、磁気記録膜上に成膜した以外は比較例1と同様にして実施例5の磁気記録媒体を作製した。
(実施例6)
Co65Fe35なる組成の厚さ1.5nmの軟磁性膜を、磁気記録膜上に成膜した以外は比較例1と同様にして実施例6の磁気記録媒体を作製した。
上記比較例1および実施例1〜6の磁気記録媒体の静磁気特性を振動式磁気特性測定装置(VSM)を用いて測定した。また、これら磁気記録媒体の記録再生特性を、信号再生素子に 磁気抵抗効果素子を有するMR,またはGMR素子、もしくは、トンネル効果を利用したTuMR素子を利用した 記録再生ヘッドを用い、測定を行った。
電磁変換特性評価には、Guzik社製リードライトアナライザRWA2002およびスピンスタンドU2002を用いた。LFTAA測定には、線記録密度150kFCIで行い、OW測定は900kFCIと150kFCIの線記録密度を用いた。SNR測定は、シグナルとして450kFCI出力のbase-Peak値を用い、ノイズには450kFCI記録時の900kFCI周波数帯域までの積分ノイズ実効値を用いた。その他、測定において設定した条件および得られた実験値を表1に示す。
Figure 2008071420
ここで、表1に示した各指標の意味は次のとおりである。
LFTAAは150kFCI書き込み時の信号強度である。OWは150kFCIを記録した後、900kFCIで上書きした際の、上書き前後の信号強度比をLogスケールで示したものである。OW=20Log(上書き前の150kFCIシグナル/上書き後の150kFCIシグナル)である。PW50は37.5kFCIシグナルのピーク半価幅である。SpSNRは20Log(450kFCIシグナル/450kFCI信号書き込み時のノイズ)である。
表1に示した比較例1および実施例1〜6の記録再生特性のうち、いくつかの代表的な特性について、軟磁性膜であるCo65Fe35の厚さに対してプロットし、図3〜8に示した。
図4のグラフから、PW50については、0.2〜0.6nmの間に極小となる最適値を持つことがわかった。Co65Fe35を膜厚0.2〜0.4nmの範囲で形成するだけで出力は10〜20%も増加したが、PWはむしろ良くなった。Co膜厚を下げることで、さらなるPW改善が見込まれる。
図5のグラフから、OWは、軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚の増加に従い、改善することがわかった。Co65Fe35を膜厚0.2〜0.4nmの範囲で形成することで、OWは 3dB程度改善し、低電流OWは 4〜8dB程度改善した。低電流OWの改善が大きいということは、OWが低いヘッドによるHDD量産時のフェイルの低減が見込まれる可能性を示している。
図6のグラフから、軟磁性膜であるCo65Fe35を形成することで、書き込みがよくなるため、オフトラック性能は悪化することがわかった。しかし、最適範囲の0.2〜0.4nmでは変化は比較的小さく、バランスを調整すれば、成立させることができる。
図7のグラフから、SNRは、軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚が0.6nmを超えた辺りから悪化することがわかった。軟磁性膜であるCo65Fe35を厚く形成することでSNRは極端に悪化した。
以上をまとめると、OW特性は、軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚が増加するに従い良くなるが、SNRは0.5nm以上になると急激に悪化する。そのため、最適範囲は、0.2〜0.4nmのところにあることがわかった。
比較例1および実施例1〜6の磁気記録媒体のKuV/kTの結果を表2に示す。
Figure 2008071420
比較例1および実施例1〜6のKuV/kTの値を軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚に対してプロットし、図8に示した。
図8のグラフから、磁化の安定性に寄与するKuV/kTは、軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚が0.2および0.4nmのとき、それぞれ62.32、67.64と、膜厚が厚くなることで大きく改善していくことがわかった。
以上すべての実験結果を勘案して、軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚依存性を考慮すると、その膜厚が0.2〜0.4nmのとき、記録再生特性が最適となることがわかった。
以上説明したように、本発明の磁気記録媒体にあっては、軟磁性膜であるCo65Fe35を記録層直上に0.2〜0.4nmの膜厚で形成することでOW特性を改善し、書き込みのための出力を上げることができた。また、KuV/kT値も十分な値を示している。これは、結晶磁気異方性定数Kuを高めているか、あるいは磁性膜の磁性粒子の実効体積を大きくしていることを示し、どちらも結果として熱揺らぎ特性を改善し、安定した記録再生を行うことができることがわかった。
本発明の磁気記録媒体の一実施形態を示す一部断面図である。 本発明の磁気記録再生装置の一実施形態を示す一部断面図である。 磁気記録媒体のLFTAA(再生出力信号)特性と軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚の関係を示すグラフである。 磁気記録媒体のPW50特性と軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚の関係を示すグラフである。 磁気記録媒体のOW特性と軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚の関係を示すグラフである。 磁気記録媒体のTP-MWW特性と軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚の関係を示すグラフである。 磁気記録媒体のSpSNR特性と軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚の関係を示すグラフである。 磁気記録媒体のKuV/kT特性と軟磁性膜であるCo65Fe35の膜厚の関係を示すグラフである。
符号の説明
1…非磁性基板、2…下地膜、3…磁気記録膜、4…軟磁性膜、5…保護膜、6…磁気記録媒体、7…媒体駆動部、8…磁気ヘッド、9…ヘッド駆動部、10…記録再生信号処理系

Claims (14)

  1. 非磁性基板の上に、磁気記録膜と軟磁性膜と保護膜とが備えられてなる磁気記録媒体であって、前記磁気記録膜の保磁力が2500Oe(198kA/m)以上であり、かつ前記軟磁性膜の膜厚が2〜5nmの範囲であり、前記軟磁性膜の飽和磁束密度が1.5T以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記軟磁性膜の膜厚が2〜4nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記軟磁性膜の飽和磁束密度が2.2T以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記軟磁性膜がCo及びFeを含む合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 前記軟磁性膜がCoFe合金であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 前記磁気記録膜がCoaCrbPtcTadZreCuf Nig(但し、組成比を示すa、b、c、d、e、f、gはそれぞれ、b:16〜25at%、c:0〜20at%、d:0〜7at%、e:0〜4at%、f:0〜3at%、g:0〜10at%、a:残部である。)からなるCo合金層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  7. 前記非磁性基板と前記磁気記録膜との間に下地膜が介在され、前記下地膜がCr単一組成またはCrX(但し、XはMo、W、V、Tiのうちのいずれか1種または2種以上の元素である。)からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  8. 前記磁気記録膜に接して、CohCriPtjTakZrlCum Bn(但し、組成比を示すh、i、j、k、l、m、nはそれぞれ、i:25〜50at%、j:0〜10at%、k:0〜10at%、l:0〜5at%、m:0〜5at%、n:0〜10at%、h:残部である。)からなる非磁性中間膜が積層されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  9. 磁気記録情報の再生に、磁気抵抗効果を利用する再生素子が用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  10. 前記軟磁性膜の最大透磁率が1000〜1000000の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  11. Ni溶出量が、磁気記録媒体の単位面積あたり0.03ng/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  12. 前記軟磁性膜として、書き込みヘッドの磁気コアの飽和磁束密度と同等以上の飽和磁束密度を有する軟磁性膜が備えられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  13. 請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の磁気記録媒体と、書き込みヘッドとを備えていることを特徴とする磁気記録再生装置。
  14. 前記磁気記録媒体の備えられた軟磁性膜の飽和磁束密度が、前記書き込みヘッドを構成する磁気コアの飽和磁束密度と同等以上であることを特徴とする請求項13に記載の磁気記録再生装置。
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