JP2010023037A - 塗布膜の乾燥方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続走行する帯状可撓性支持体に各種液状組成物を塗布して形成した塗布膜面の乾燥において、乾燥ムラを抑制し、且つ効率良く乾燥する。
【解決手段】連続走行する帯状可撓性支持体12に塗布手段16で各種液状組成物を塗布した塗布直後の走行位置の塗布面側に、塗布液中の溶媒を凝縮、回収させるドライヤ18を配設し、該ドライヤ18の後の走行位置に通風乾燥手段20を配設して、塗布膜を乾燥させるようにした。凝縮された溶媒を塗布面より上側で回収する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、塗布膜の乾燥方法に係り、特に、連続走行する帯状可撓性支持体に各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面を乾燥する乾燥方法に関する。
この技術は、光学補償シート等の光学的機能性フイルムシート、感光材料用のフイルムの溶剤下塗り、熱現像感光材料、ナノ粒子等の微細構造粒子を含む機能性フイルム、写真用フィルム、写真用印画紙、磁気記録テープ、接着テープ、感圧記録紙、オフセット版材、電池、等の製造、等に使用される。
連続走行する帯状可撓性支持体に各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面を乾燥する乾燥方法および装置については、非特許文献1に非塗布面側をロールで支持し、塗布面側にエア・ノズルから風を吹いて乾燥させる乾燥方法や、塗布面、非塗布面ともにエア・ノズルから風を吹いて、支持体を浮上させた状態、すなわち支持体がロール等に接触しないで乾燥させる非接触式のエア・フローティング乾燥方法について記されている。この非接触式の乾燥方法については、スペースを効率良く利用し、かつ効率良く乾燥させる方法として特許文献1に開示されているような弦巻き型の乾燥装置を用いた乾燥方法等がある。
通常これらの風を吹かせて乾燥させる方法(以下、通風乾燥方法という)では、調湿した風を塗布面に吹きつけることにより、塗布面中に含まれる溶媒を蒸発させて乾燥させている。この通風乾燥方法は乾燥効率に優れるものの、塗布面に直接または多孔板、整流板等を介して風をあてるために、この風によって塗布面が乱れて塗布層の厚さが不均一となってムラを生じたり、対流によって塗布面での溶媒の蒸発速度が不均一になったりし、いわゆるユズ肌(非特許文献2参照) 等が発生して、均一な塗布層が得られないという問題があった。
特に、塗布液中に有機溶剤を含む場合には、このようなムラの発生は顕著である。この理由は、乾燥初期には塗布膜中に有機溶剤が十分に含まれた状態であり、この段階で有機溶剤の蒸発分布が生じると、その結果、塗布膜面に温度分布、表面張力分布を生じ、塗布膜面内で、いわゆるマランゴニー対流等の流動が起きることによる。このようなムラの発生は重大な塗布欠陥となる。
塗布膜内に液晶を含む場合には、上記の乾燥ムラのみならず、吹きつける風によって塗布膜面の液晶の配向にズレが生じる等の問題もあった。
これらの問題点を解決する方法として、特許文献2に塗布直後に乾燥ドライヤを設ける構成が示されている。ここでは、乾燥ドライヤを分割し、分割された部分に支持体の幅方向の一方端側から他方端側へ風速を制御しながら送風し乾燥させることにより、ムラの発生を抑える方法が開示されている。特許文献3には、同様の目的で乾燥ドライヤを分割するかわりに金網を設置する方法が開示されている。
また特許文献2には、塗布液を高濃度化したり、塗布液に増粘剤を添加したりすることにより、塗布液の粘度を増加させ、これにより塗布直後の塗布膜面の乾燥風による流動を抑制する方法や、高沸点溶液を用いることにより、塗布直後の塗膜面の乾燥風による流動が発生してもレベリング効果によってムラの発生を防止する方法が開示されている。
しかしながら特許文献2、特許文献3の方法では、乾燥ドライヤ外からの不均一な風の流入抑止には効果があるものの、塗布膜面を乱さないように風速を制御しようとすると、風速を大きく下げる必要がある。その結果、乾燥速度が大幅に低下し、それに対処するべく乾燥ドライヤの長さを長くする必要がある。そのため、塗布効率が悪くなる。また、それでも風の影響を完全になくすことは困難である。
また、塗布液を増粘させたり、高沸点溶液を使用する方法は、特許文献2で述べられているように、高速塗布適性をなくしたり、乾燥時間の増大をもたらしたりし、生産効率が極端に悪くなるという問題があった。
このように、通風乾燥方法、特に塗布液に有機溶剤を含む場合の通風乾燥方法では、乾燥の初期において塗布面の乾燥の不均一を招くため、風を吹きつけないで乾燥させる方法が、特許文献4、特許文献5、特許文献6等に開示されている。すなわち、特許文献4には、風を吹かないで、塗布液中の溶媒を蒸発させ回収し乾燥させる方法が開示されている。この方法は、ケーシング上部に支持体の入口、出口を設け、ケーシング内では非塗布面を加熱して塗布面からの溶媒の蒸発を促進し、塗布面側に設置した凝縮板に結露させる方法で溶媒を凝縮させて溶媒を回収し塗布膜を乾燥する方法である。
また、特許文献5には、水平に走行する支持体の上部でドラムを使って溶媒を回収する方法が開示されている。さらに、特許文献6では、特許文献5のレイアウトの改良方法についての提案がなされている。
特公昭48−42903号公報 特開2001-170547号公報 特開平9−73016号公報 英国特許公開第1401041号明細書 米国特許第5168639号明細書 米国特許第5694701号明細書
E.B.Gutoff、E.D.Cohen 著の『Coating and Drying Defects』(Wiley-Intersciece, John Wiley & Sons, Inc) 尾崎勇次著、『コーティング工学』、pp293 〜294 、朝倉書店、1971年
しかし、特許文献4では、支持体の入口、出口がケーシング上部に限定されているために、装置のレイアウトにおいて制約が大きく、既存の塗布工程に組み込むのが難しい。また、Fig.5 に示される実施例では、塗布後回収ドライヤに入るまでに一定以上の距離が必要なことや回収ドライヤに入る前にベースを反転する必要があるため、塗布直後のムラを効率良く抑えることが困難である。
特許文献5では、塗布面から凝縮・溶剤回収ドラムまでの距離が塗布方向で変化することから、乾燥速度をケーシング内の全領域に亘って均一にコントロールすることが難しく、またケーシング入口、出口付近では塗布面と凝縮・冷却ドラムとの距離が不必要に離れてしまうため、自然対流の発生によって別の塗布ムラを生じてしまう。
特許文献5のレイアウトの改良方法では、塗布装置から凝縮・溶剤回収装置までの距離を接近させる構成を採ることが困難であり、塗布ムラ対策には不十分であった。
また、上記3種の従来技術は、溶媒の回収の方法については述べてあるものの、塗布直後の塗布ムラ発生の抑制方法に関する具体的な方法は示されていない。
同様に、上記3種の従来技術のように、溶媒を凝縮させて回収し塗布膜を乾燥させる方法では、通風乾燥に比べ格段に乾燥効率が落ちる。しかも、上記従来技術においては、乾燥システム全体で効率よく塗布膜を乾燥させるような改良方法等については述べられていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、連続走行する帯状可撓性支持体に各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面において、塗布直後に発生する乾燥ムラを抑制し、かつ効率良く乾燥させる塗布膜の乾燥方法および装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、走行する帯状可撓性支持体に塗布液を塗布手段により塗布面が水平方向に対して上側になるように塗布し、塗布された塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法において、塗布直後の走行位置の塗布面側に塗布液中の溶媒を凝縮する凝縮板と、溶媒を回収する樋を有するドライヤを斜めに配設するとともに、溶媒の回収を前記塗布面より上に配置された該樋で回収し、該ドライヤの後の走行位置に通風乾燥手段を配設して塗布膜を乾燥させることを特徴とする。
本発明によれば、連続走行する帯状可撓性支持体に各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面を乾燥させる方法において、塗布手段の直後に塗布液の溶媒を凝縮・回収するドライヤを配設し、そのドライヤの後に通風乾燥装置を配設して塗布膜を乾燥させることにより、塗布直後に発生しやすい乾燥ムラを抑制し、かつ効率良く乾燥させることができる。また、凝縮された溶媒を塗膜面より上側で回収することができる。
特に、塗布液中に有機溶剤が含まれている場合、または、塗布液の溶媒が全て有機溶剤で構成されている場合に効果が大きい。
また、本発明は、前記塗布液には有機溶剤を3質量%以上含有することを特徴とする。この場合にも本発明を適用することにより、塗布直後に発生する乾燥ムラを抑制し、かつ効率良く乾燥させることができる。
なお、有機溶剤とは、物質を溶解する性質をもつ有機化合物を意味し、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、オルトージクロルベンゼン等の塩化芳香族炭化水素類、モノクロルメタン等のメタン誘導体、モノクロルエタン等のエタン誘導体等を含む塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、エチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物等が該当する。
本発明の塗布膜の乾燥方法によれば、連続走行する帯状可撓性支持体に各種液状組成物を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面において、塗布直後に発生する乾燥ムラを抑制
しかつ効率よく均一に塗布膜を乾燥できる。また、凝縮された溶媒を塗膜面より上側で回収することができる。
また、塗布、乾燥工程のレイアウトを大きく変更することなく、さらに、塗布液の物性や溶媒の種類等に制約されないので、塗布液処方手段の柔軟な設計が可能である。また、省エネルギー化、コストダウンにも効果がある。
さらに、塗布膜内の流動を防止でき、また、乾燥中に形成される塗布膜中の高分子、粒子のネットワークの構造を非常に細かく、しかも均一に形成できる。
本発明の塗布膜の乾燥方法および装置が適用される乾燥装置を組み込んだ塗布・乾燥ラインの一例を示す概念図 本発明の塗布膜の乾燥方法および装置が適用される乾燥装置を組み込んだ塗布・乾燥ラインの他の例を示す概念図 本発明の塗布膜の乾燥装置を光学補償シートの製造ラインに適用した例を示す概念図 本発明の塗布膜の乾燥装置を感光用セルロースアセテートフィルムの製造ラインに適用した例を示す概念図 従来例である通風乾燥タイプの乾燥器を感光用セルロースアセテートフィルムの製造ラインに適用した例を示す概念図
以下、添付図面に従って本発明に係る塗布膜の乾燥方法および装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の塗布膜の乾燥方法および装置が適用される乾燥装置を組み込んだ塗布・乾燥ライン10の一例を示す概念図である。
図示されるように、塗布・乾燥ライン10は、主として、ロール状に巻回された帯状可撓性支持体12を送り出す送り出し装置14、帯状可撓性支持体12に塗布液を塗布する塗布手段16、帯状可撓性支持体12に塗布形成された塗布膜の塗布液中の溶媒を凝縮、回収させるドライヤ18、塗布膜を乾燥させる通風乾燥手段20、および塗布・乾燥により製造された製品を巻き取る巻き取り装置24と、帯状可撓性支持体12が走行する搬送経路を形成する多数のガイドローラ22、22…とで形成される。
帯状可撓性支持体12としては、ポリエチレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセテート)等の樹脂フィルム、紙、金属箔等を使用できる。
塗布手段16は、各種方式のものが使用できる。たとえば、スロット・ダイコータ、ワイヤーバーコータ、ロールコータ、グラビアコータ、スライドホッパ塗布方式、カーテン塗布方式、等が使用できる。
なお、塗布手段16は、図1、図2に示されるように塗布面が水平方向に対して上側になるような構成であってもよいし、水平方向に対して下側になるような構成であってもよい。また、水平方向に対して傾斜するような構成であってもよい。
図3に示されているように、塗布手段16の前段に除塵設備70を設置したり、帯状可撓性支持体12の表面に前処理等を施してもよい。ゴミ等の殆どない高い品質が求められる光学性フイルム等では、これらを同時に採用することで、高品質な塗布、乾燥膜を得ることができる。
ドライヤ18は、帯状可撓性支持体12と所定距離をおいて略平行に設けられる板状部材である凝縮板30と、該凝縮板30の前後辺から下方に垂設される側面板等とで構成される。これにより、塗布膜の塗布液中の溶媒が揮発した際に、揮発した溶媒が凝縮板30に凝縮し回収される構成となっている。
凝縮板30の溶媒を凝縮させる面に用いる材質は、金属、プラスチック、木材等、特に限定はされないが、塗布液中に有機溶剤が含まれる場合には、その有機溶剤に対して耐性のある材料を使用するか、または表面にコーティングを施すことが望ましい。
ドライヤ18において、凝縮板30に凝縮した溶媒を回収させる手段は、たとえば、凝縮板30の凝縮面に溝を設け、毛管力を利用して溶媒を回収させる。溝の方向は、帯状可撓性支持体12の走行方向であってもよく、これに直交する方向であってもよい。凝縮板30が傾斜している場合には、溶媒を回収させやすい方向に溝を設ければよい。
図4に示される例において、凝縮板30右端の下方には凝縮した溶媒を回収するための樋30aが設けられており、樋30aを経て溶媒が回収される。
ドライヤ18に板状部材である凝縮板30を採用する構成以外に、同様な機能を奏する構成、たとえば、多孔板、網、簀の子、ロール等を使用する構成も採用できる。また、US5694701 に示されるような回収装置と併用してもよい。
ドライヤ18は、塗布液を塗布した直後の自然対流の発生による塗布膜の乾燥ムラを防止するため、塗布手段16のできるだけ近くに配設することが好ましい。具体的には、ドライヤ18の入口が塗布手段16から5m以内の位置になるように配設することが好ましく、2m以内の位置になるように配設することがより好ましく、0.7m以内の位置になるように配設することが最も好ましい。
同様の理由で、帯状可撓性支持体12の走行速度は、帯状可撓性支持体12が塗布手段16による塗布後20秒以内にドライヤ18に到達する速度であることが好ましい。
塗布液の塗布量および塗布膜厚さは、大きい程塗布膜内部での流動が起きやすいことよりムラが発生しやすいが、本発明によれば、塗布量および塗布膜厚さが大きい場合でも十分な効果が得られる。塗布膜の厚さが0.001〜0.08mmであれば、ムラなくかつ効率よく乾燥することができる。
帯状可撓性支持体12の走行速度が大きすぎると、同伴風によって塗布膜近傍の境界層が乱され、塗布膜に悪影響を及ぼす。したがって、帯状可撓性支持体12の走行速度は1〜100m/分に設定することが好ましい。
塗布膜のムラは、乾燥初期で特に発生しやすいので、ドライヤ18が塗布液中の溶媒の10%以上を凝縮、回収し、残りの塗布液を通風乾燥手段20で乾燥させることが好ましい。塗布液中の溶媒の何%を凝縮、回収させるかは、塗布膜の乾燥ムラへの影響、生産効率、等を総合的に判断して決定すればよい。
塗布液中の溶媒の蒸発、凝縮を促進させるため、帯状可撓性支持体12および/または塗布膜を加熱するか、凝縮板30を冷却するか、またはその両手段を採用することが好ましい。たとえば、ドライヤに冷却手段を配し、また、帯状可撓性支持体12を挟んでドライヤ18の反対側に加熱手段を配する。
いずれの場合も、塗布膜の乾燥速度を制御するために、温度管理されていることが望ましい。凝縮板30は、温度コントロールできるようにし、冷却したい場合には、冷却するための設備を設置する必要がある。冷却には、冷媒等を使った水冷式の熱交換器方式のもの、風を使った空冷式、電気を用いた方式、たとえばペルチェ素子を使用した方式、等を用いることができる。
帯状可撓性支持体12もしくは塗布膜、またはその両方を加熱したい場合には、反塗布膜側にヒータを配設して加熱することができる。また、昇温可能な搬送ロール(加熱ロール)を配設して加熱することもできる。その他、赤外線ヒータ、マイクロ波加熱手段等を用いて加熱してもよい。
帯状可撓性支持体12、塗布膜、凝縮板30の温度を決定する際、注意しなければならないのは、蒸発させた溶媒が凝縮板30以外の場所、たとえば、搬送ロールの表面等に結露しないようにしなければならないことである。このため、たとえば、凝縮板30以外の部分の温度を凝縮板30の温度よりも高くしておくことによりこの種の結露を回避することができる。
塗布膜の表面とドライヤ18の凝縮板30表面との距離(間隔)は、所望の塗布膜の乾燥速度を考慮した上で、適当な距離に調整する必要がある。距離を短くすると乾燥速度が上がる一方、設定した距離精度の影響を受けやすい。一方、距離を大きくすると乾燥速度が大幅に低下するのみならず、熱による自然対流が起きて乾燥ムラを引き起こす。塗布膜の表面とドライヤ18の凝縮板30表面との距離は、0.1〜200mmが好ましく、0.5〜100mmがより好ましい。
なお、ドライヤ18において、帯状可撓性支持体12を挟んで凝縮板30の反対側に多数のガイドローラ22、22…を設ける図1(b)、図2(b)の構成も採り得、ガイドローラ22、22…を設けない図1(a)、図2(a)の構成も採り得る。
ドライヤ18は、必ずしも図1に示されるような直線状である必要はなく、たとえば、図2に示されるような円弧状のドライヤ18であってもよい。また、大きなドラムを設け、それにドライヤを配設してもよい。
なお、図2に示される例では、円弧状のドライヤ18を塗布手段16に近づけて溶媒の回収効率の向上を図っている。
通風乾燥手段20としては、従来技術として使用されている、非塗布面側をロールで支持し、塗布面側にエア・ノズルから風を吹いて乾燥させるローラ搬送ドライヤ方式、塗布面、非塗布面ともにエア・ノズルから風を吹いて、支持体を浮上させた状態、すなわち支持体がロール等に接触しないで乾燥させる非接触式のエアフローティングドライヤ方式、非接触式の乾燥方式の一種で、スペースを効率良く利用し、かつ効率良く乾燥させる弦巻き型の乾燥方式、等の乾燥装置が使用できる。いずれの方式の乾燥装置であっても、乾燥した空気を塗布膜の表面に供給して塗布膜を乾燥させる点では共通する。
その他、本発明の塗布膜の乾燥方法および装置が適用される乾燥装置を組み込んだ塗布・乾燥ライン10に使用されている送り出し装置14、ガイドローラ22、巻き取り装置
24等には慣用の部材を使用しており、それらの説明は省略する。
以上に詳述した本発明の塗布膜の乾燥装置によれば、塗布直後の塗布膜に発生するムラを抑制しかつ効率よく均一に塗布膜を乾燥できる。また、塗布、乾燥工程のレイアウトを大きく変更することなく、さらに、塗布液の物性や溶媒の種類等に制約されないので、塗布液処方手段の柔軟な設計が可能である。
すなわち、たとえば既存の通風乾燥装置を含む塗布・乾燥装置の塗布部と通風乾燥装置との間に溶媒を凝縮・回収するドライヤを増設するだけで、本発明の装置と同様の形態とでき、その結果、低コストで装置改造ができる。
また、本発明の塗布膜の乾燥装置によれば、省エネルギー化、コストダウンにも効果がある。すなわち、塗布・乾燥ラインで発生する蒸発気体のうち 水以外の溶媒はそのまま大気へ放出できないので、蒸発気体を液化して回収する必要があり、そのための溶剤ガス回収設備が必要である。ところが、塗布・乾燥ライン10では、塗布液の一部を凝縮・回収するドライヤにより溶媒を液体の状態で直接回収できるため、溶剤ガス回収設備の負荷を減らすことができる。
また、本発明の塗布膜の乾燥装置を用いると、乾燥初期において非常に均一な乾燥が可能なため、次のような予期しなかった効果が得られることがわかった。すなわち、従来の通風乾燥装置では、塗布膜を乱す影響を完全には抑えられないため、塗布膜内に流動を生じていたが、本発明の装置を用いると、それらの流動を防止でき、また、乾燥中に形成される塗布膜中の高分子、粒子のネットワークの構造を非常に細かく、しかも均一に形成できることがわかった。
これにより、単に塗布膜を均一に乾燥させるだけのみならず、塗布膜の構造が細かくなることにより、たとえば、光学フイルムの場合、新たな付加機能を追加できることにもつながる。
また、本発明の塗布膜の乾燥装置は、たとえば、ナノ粒子等が含まれる機能性膜の乾燥等にも非常に適しているといえる。
本発明の塗布膜の乾燥装置は、塗布液に高分子や粒子等の固形分が溶解または分散されたものに適用した場合でも、同様の効果が得られる。むしろ、粒子等が含まれる系では、乾燥ムラの発生が塗布膜中の粒子の分散分布にも大きく影響する。したがって、この系に本システムを使用することは好ましい。
[実施例1]
図3に示される光学補償シートの製造ラインにおける塗布層の乾燥工程に、塗布液中の溶媒を凝縮、回収させるドライヤ18を配設して、光学補償シートを製造する上での好適なドライヤの構造および溶媒の凝縮、回収条件を検討した。
図3に示されるように、光学補償シートの製造ラインは、たとえば下記の工程により行われる。
1)透明フィルム12の送出工程50;
2)透明フィルムの表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を塗布、乾燥する配向膜形成用樹脂層の形成工程52;
3)表面に配向膜形成用樹層が形成された透明フィルム上に、樹脂層の表面にラビング処理を施し透明フィルム上に配向膜を形成するラビング工程54;
4)液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を、配向膜上に塗布する液晶性ディスコティック化合物の塗布工程16;
5)該塗布膜を乾燥して該塗布膜中の溶媒を蒸発させる乾燥工程18;
6)該塗布膜をディスコティックネマティック相形成温度に加熱して、ディスコティックネマティック相の液晶層を形成する液晶層形成工程58;
7)該液晶層を固化する(すなわち、液晶層形成後急冷して固化させるか、または、架橋性官能基を有する液晶性ディスコティック化合物を使用した場合、液晶層を光照射(または加熱)により架橋させる)工程60;
8)該配向膜および液晶層が形成された透明フィルムを巻き取る巻取り工程24。
なお、図3において、62は乾燥ゾーンを、64は検査装置を、66は保護フィルムを、68はラミネート機を、70は徐塵設備をそれぞれ示す。
光学補償シートの製造方法は、図3に示されるように長尺状透明フィルムを送り出す工程から、得られた光学補償シートを巻き取る工程まで一貫して連続的に行なった。トリアセチルセルロース(フジタック、富士写真フィルム(株)製、厚さ:100μm、幅:500mm)の長尺状のフィルムの一方の側に、長鎖アルキル変成ポバール(MP−203、クラレ(株)製)5重量%溶液を塗布し、90℃で4分間乾燥させた後、ラビング処理を行って膜厚2.0μmの配向膜形成用樹脂層を形成した。フィルムの搬送速度は、20m/分であった。
上記トリアセチルセルロースフィルムは、フィルム面内の直交する二方向の屈折率をnx、ny、厚さ方向の屈折率をnz、そしてフィルムの厚さをdとしたとき、(nx−ny)×d=16nm、{(nx−ny)/2−nz}×d=75nmであった。また、上記配向膜形成用樹脂層の形成は、塗布・乾燥装置を用いて行なった。
続いて、得られた樹脂層を有するフィルムを、連続して20m/分で搬送しながら、樹脂層表面にラビング処理を施した。ラビング処理は、ラビングローラの回転数を300rpmにて行い、次いで得られた配向膜の除塵を行った。
次いで、得られた配向膜を有するフィルムを、連続して20m/分の速度で搬送しながら、配向膜上に、ディスコティック化合物TE−8の(3)とTE−8の(5)の重量比で4:1の混合物に、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を上記混合物に対して1重量%添加した混合物の10重量%メチルエチルケトン溶液(塗布液)を、ワイヤーバー塗布機にて、塗布速度を20m/分、塗布量を5cc/m2で塗布し、次いで乾燥および加熱ゾーンを通過させた。乾燥ゾーンには風を送り、加熱ゾーンは130℃に調整した。塗布後3秒後に乾燥ゾーンに入り、3秒後に加熱ゾーンに入った。加熱ゾーンは約3分で通過した。
続いて、この配向膜および液晶層が塗布されフィルムを、連続して20m/分で搬送しながら、液晶層の表面に紫外線ランプにより紫外線を照射した。すなわち、上記加熱ゾーンを通過したフィルムは、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、液晶層を架橋させた。
上記の工程により、6種類の条件で試験を行った。以下に、その条件および結果を記す。
(試験1)
ヒータ温度を85℃、凝縮板温度を25℃とした。ドライヤ18の長さは3mとし、入口が塗布手段16から500mmの位置となるように配した。塗布膜の表面とドライヤ1
8の凝縮板30表面との距離は1mmとした。帯状可撓性支持体12の走行速度は20m/分とした。ドライヤ18による処理後、通風乾燥手段により乾燥させた。
その結果、塗布膜品質に問題は生じなかった。
(試験2)
ヒータ温度を60℃とした。ドライヤ18は長さが1.5mのブロック状のものを3個連ねた構成(凝縮板30を3個のゾーンに分割した)とし、入口が塗布手段16から1mの位置となるように配した。また、3個の凝縮板30の凝縮板温度は、走行方向の下流側に向かって、それぞれ25℃、20℃、15℃とした。塗布膜の表面とドライヤ18の凝縮板30表面との距離は1.5mmとした。帯状可撓性支持体12の走行速度は20m/分とした。ドライヤ18による処理後、通風乾燥手段により乾燥させた。
その結果、塗布膜品質に問題は生じなかった。
(試験3、比較例)
ドライヤ18を設けず、通風乾燥手段のみにより塗布膜を乾燥させた。他の条件は試験1と同一とした。
その結果、塗布膜に乾燥ムラを生じ、また、配向不良も発生した。
[実施例2]
感光用セルロースアセテートフィルムの製造ラインにおける下塗り塗布後の乾燥工程において、本発明における塗布液中の溶媒を凝縮、回収させるドライヤを配設した場合と、従来の通風乾燥タイプの乾燥器を配設した場合とを比較した。
図4に示される、本発明におけるドライヤを使用した製造ラインにおいて、セルロースアセテートドープが流延ダイから流延ドラム面上に流延され、それによって形成されたフィルムが剥ぎ取りローラで剥ぎ取られ、前乾燥工程のロール間を走行する間に熱風により乾燥される。
次いで、写真感光材料用下塗りを行い、さらにドライヤ18で乾燥させる。残留溶媒が約10%以下となった時点で、幅規制装置(図示略)に導き幅方向に2〜6%延伸させ、さらに緊張状態のまま冷却した後に巻き取られる。
ドライヤ18の凝縮板30は2個のゾーンに分割した。また、2個の凝縮板30は、いずれも走行方向の下流側が塗布膜から離れるような傾斜角度をもって配した。塗布膜の表面とドライヤ18の凝縮板30表面との距離は、走行方向の下流側に向かって、上流側の凝縮板30の入口側で0.8mm、出口側で2mmとし、下流側の凝縮板30の入口側で0.8mm、出口側で2mmとした。
また、上流側の凝縮板30の長さを2m、下流側の凝縮板30の長さを4mとした。凝縮板30の設定温度は、いずれも15℃とした。
製造した製品の表面性状は良好であった。
図5に示される、従来の通風乾燥タイプの乾燥器を使用した製造ラインにおいて、下塗り塗布乾燥工程の装置は、通常の通風乾燥タイプの乾燥器である。製造ラインのその他の部分は図4に示される構成同様であり、説明を省略する。
製造した製品の表面性状は、下塗りでの乾燥ムラを生じ不良となった。
[実施例3]
熱現像感光材料の製造ラインの乾燥工程に、凝縮・回収するドライヤ(前段側)と通風乾燥手段(後段側)とを組み合わせた乾燥手段を配設した場合の実施例と、従来の通風乾燥タイプの乾燥手段のみを配設した場合の比較例とを対比した。
帯状可撓性支持体に塗布する熱現像感光材料用の塗布液は次のように調製した。
1)ハロゲン化銀粒子の調製
水700mリットルにフタル化ゼラチン22gおよび臭化カリウム30mgを溶解して温度35℃にてPHを5に調整した後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mリットルと臭化カリウムと沃化カリウムとを92:8のモル比で含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で10分間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.4gを含む水溶液476mリットルと六塩化イリジウム酸第二カリウムを10.5μモル/リットルと、臭化カリウムを1モル/リットルで含む水溶液pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で30分間かけて添加した。その後、PHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.11gを加え、PH5.9,pAg8.2に調整し、沃臭化銀粒子(沃素含量コア8モル%、平均2モル%、平均サイズ0.05μm、投影面積変動係数8%、(100)面比率90%の立方体粒子)を調製した。
こうして得たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1モル当たりチオ硫酸ナトリウム85μモルと、2,3,4,5,6 ペンタフルオロフェニルジフェニルフォスフィンセレニドを11μモル、15μモルのテルル化合物、塩化金酸3.6μモル、チオシアン酸280μモルを添加し、120分間熟成した後、30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤を得た。
2)有機酸銀乳剤の調製
ステアリン酸1.3g、アラキジン酸0.5g、ベヘン酸8.5g、蒸留水300mリットルを、90℃で40分間混合し、激しく攪拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液31.1mリットルを15分かけて添加した後、30℃に昇温した。次に、1Nのリン酸水溶液7mリットルを添加し、より激しく攪拌しながらN−ブロモスクシンイミド0.012gを添加した後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子をハロゲン化銀量が2.5mモルになるように添加した。さらに、1Nの硝酸銀水溶液25mリットルを25分かけて添加し、そのまま90分間攪拌し続けた。その後、吸引ろ過で固形分をろ別し、固形分をろ過水の伝導度が30μS・cmになるまで水洗いした。こうして得られた固形分にポリ酢酸ビニルの1.2重量%の酢酸ブチル溶液37gを加えて攪拌し、攪拌を止めて放置し、油層と水層に分離させ、含まれる塩とともに水層を除去し、油層を得た。次に、この油層にポリビニルブチラールの2.5重量%2−ブタノン溶液20gを添加し攪拌した。さらに、過臭化ピリジニウム0.1mモルと、臭化カルシウム二水和物0.18mモルを0.7gメタノールとともに添加した後、2−ブタノン40gとポリビニルチラールの7.8gを添加し、ホモジナイザで分散し、有機酸銀塩乳剤(平均短径0.04μm、平均長径1μm、変動係数30%の針状粒子)を得た。
3)乳剤層塗布液の調製
上記で得た有機酸銀塩に銀1モル当たり以下の量になるように各薬品を添加した。25℃でフェニルチオスルホン酸ナトリウム10mg、68mgの色素1、30mgの色素2、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール2g、4−クロロベンゾフェノン−2−カルボン酸21.5gと、2−ブタノン580g、ジメチルホルムアミド220gを攪拌しながら添加し、3時間放置した。ついで、5−トリブロモメチルスルフォニル−2−メチルチアジアゾール8g、2−トリブロモメチルスルフォニルベンゾチアゾール6g、
4,6−ジトリクロロメチル−2−フェニルトリアジン5g、ジスルフィド化合物2g、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5トリメチルヘキサン160g、テトラクロロフタル酸5g、1.1gのフッ素系界面活性剤、2−ブタノン590g、メチルイソブチルケトン10gを攪拌しながら添加した。
上記の如く調製した乳剤層塗布液を青色染料で色味付けした175μmのポリエチレンテレフタレート支持体(帯状可撓性支持体)に、銀が2.3g/cm2 になるように塗布した。そして、塗布後、実施例の場合には凝縮・回収するドライヤ(前段側)と通風乾燥手段(後段側)とで乾燥させた後、紫外線照射して熱現像感光材料を得た。一方、比較例の場合には塗布膜を通風乾燥タイプの乾燥器のみで乾燥した後、紫外線照射して熱現像感光材料を得た。
実施例の方法で製造した製品の表面性状は良好であった。一方、比較例の方法で製造した製品の表面性状は、風ムラの影響を受け不良となった。
[実施例4]
ハードコートフィルムの製造ラインの乾燥工程に、凝縮・回収するドライヤ(前段側)と通風乾燥手段(後段側)とを組み合わせた乾燥手段を配設した場合の実施例と、従来の通風乾燥タイプの乾燥手段のみを配設した場合の比較例とを対比した。
帯状可撓性支持体に塗布するハードコート塗布液は次のように調製した。
1)無機粒子分散液(M−1)の調製
セラミックコートがなされた容器に、以下の各試薬を以下の配合量で配合して混合液を調製した。
・シクロヘキサン…337g
・リン酸基含有メタアクリレート(PM−2:日本化薬製)…31g
・アルミナ(AKP−G015:住友化学工業製、粒径15nm)…92g
得られた混合液をサンドミル(1/4Gのサンドミル)にて1600rpm、10時間微細分散した。メディアとしては1mmφのジルコニアビーズを1400g用いた。分散後、ジルコニアビーズを分離し、表面修飾した無機粒子分散液(M−1)を得た。
2)活性エネルギー線硬化層用塗布液の調製
表面処理したアルミナ微粒子の43重量%シクロヘキサン分散液(M−1)116gに、メタノール97g、イソプロパノール163g、およびメチルイソブチルケトン163gを加えた。この混合液にジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬製)200gを加えて溶解した。さらに、光重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)7.5gを加えて溶解した。この混合物を30分間攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して活性エネルギー線硬化層用塗布液を調製した。
3)帯状可撓性支持体(基材フィルム)をグロー放電処理した後、アルミナを含有した活性エネルギー線硬化層用塗布液が乾燥膜厚が8μmになるようにワイヤーバー塗布手段により塗布した。そして、塗布後、実施例の場合には凝縮・回収するドライヤ(前段側)と通風乾燥手段(後段側)とで乾燥させた後、紫外線照射して硬化層を得た。一方、比較例の場合には塗布膜を通風乾燥タイプの乾燥器のみで乾燥した後、紫外線照射して硬化層を得た。
次に、厚膜ハードコートフィルムの製造ラインの乾燥工程に、凝縮・回収するドライヤ(前段側)と通風乾燥手段(後段側)とを組み合わせた乾燥手段を配設した場合の実施例
と、従来の通風乾燥タイプの乾燥手段のみを配設した場合の比較例とを対比した。
帯状可撓性支持体に塗布する厚膜ハードコート塗布液は次のように調製した。
1)開環重合性基含有化合物(K−1)の調製
メチルエチルケトン(MEK)275mリットルを窒素気流下で、60℃で1時間攪拌した後、重合開始剤(V−65:和光純薬製)0.5gをMEK8.3mリットルに溶解したものを全量添加した重合開始剤添加溶液を調製した。その後、グリシジルメタクリレート50gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、調製しておいた重合開始剤添加溶液を添加し、2時間反応させた。その後、反応温度を80℃として2時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却させた。得られた反応溶液をヘキサン10リットルに、1時間かけて滴下し、沈殿物を35℃、8時間減圧乾燥して開環重合性基含有化合物(K−1)を得た。
2)硬化性組成物の調製
トリメチロールプロパントリアクリレート(エチレン性不飽和基含有化合物)75部と、前記調製した開環重合性基含有化合物(K−1)25部と、ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)と、カチオン重合開始剤(UVI−6990:ユニオンカーバイド日本社製)を、メチルイソブチルケトン/メチルエチルケトン(1/5)混合溶液40部に溶解後、30分攪拌し、硬化性組成物を得た。なお、重合開始剤は、エチレン性不飽和基含有化合物と開環重合性基含有化合物との総質量に対し、ラジカル重合開始剤と、カチオン重合開始剤とを2.9重量%ずつ添加した。
3)透明な帯状可撓性支持体(透明基材フィルム)として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをグロー放電処理した後、上記調製した硬化性組成物をエクストルージョン型の塗布方法により塗布した。そして、塗布後、実施例の場合には凝縮・回収するドライヤ(前段側)と通風乾燥手段(後段側)とで乾燥させた後、紫外線照射し、さらに120℃で10分加熱することにより厚膜ハードコートフィルムを得た。一方、比較例の場合には塗布膜を通風乾燥タイプの乾燥器のみで乾燥した後、紫外線照射し、さらに120℃で10分加熱することにより厚膜ハードコートフィルムを得た。なお、乾燥は120℃で2分、紫外線照射は750mj/cm2 の条件で行った。
実施例の方法で製造した製品の表面性状は良好であった。一方、比較例の方法で製造した製品の表面性状は、風ムラの影響と思われる厚さムラを生じ不良となった。
10…塗布・乾燥ライン、12…帯状可撓性支持体、14…送り出し装置、16…塗布手段、18…ドライヤ、20…通風乾燥手段、22…ガイドローラ、24…巻き取り装置、30…凝縮板

Claims (7)

  1. 走行する帯状可撓性支持体に塗布液を塗布手段により塗布面が水平方向に対して上側になるように塗布し、塗布された塗布膜を乾燥させる塗布膜の乾燥方法において、
    塗布直後の走行位置の塗布面側に塗布液中の溶媒を凝縮する凝縮板と、溶媒を回収する樋を有するドライヤを斜めに配設するとともに、溶媒の回収を前記塗布面より上に配置された該樋で回収し、該ドライヤの後の走行位置に通風乾燥手段を配設して塗布膜を乾燥させることを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
  2. 前記凝縮板は凝縮面に前記帯状可撓性支持体の走行方向と同方向の溝を有する請求項1に記載の塗布膜の乾燥方法。
  3. 前記ドライヤ内の水平方向に対する前記帯状可撓性支持体の走行方向の角度は、前記通風乾燥手段内より大きい請求項1又は2記載の塗布膜の乾燥方法。
  4. 水平方向に対する前記帯状可撓性支持体の走行方向の角度は、前記ドライヤ内において、前記ドライヤ内に設けられた複数の搬送ローラにより、該ドライヤの入口側より出口側で小さくなるよう変更される請求項1、2または3に記載の塗布膜の乾燥方法。
  5. 前記通風乾燥手段が前記ドライヤから距離をあけて配設される請求項1、2、3または4に記載の塗布膜の乾燥方法。
  6. 前記ドライヤ内で、前記凝縮板以外の部分を保温する請求項1〜5の何れかに記載の塗布膜の乾燥方法。
  7. 前記塗布液には有機溶剤を3質量%以上含有する請求項1〜6の何れかに記載の塗布膜の乾燥方法。
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