JP2010022245A - 吸油量の少ない天ぷら用ミックス粉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】保水力(ドライベース)が85〜110になるように調製した熱処理小麦粉を含むことを特徴とする天ぷら用ミックス粉である。さらに粘度が2〜10mPa・sであるアルギン酸プロピレングリコールエステルを含むことを特徴とする前記天ぷら用ミックス粉である。また、穀粉類として保水力(ドライベース)が85〜110になるように調製した熱処理小麦粉のみを含む前記天ぷら用ミックス粉である。
【選択図】なし
Description
近年では油の摂取量の多い食生活を改善しカロリー摂取を控える傾向があり天ぷら衣の吸油量もより少ないものが求められている。
従来の天ぷら用ミックス粉を用いて得られた天ぷらは衣の吸油量が比較的多いため天ぷら衣の吸油量を減らす試みがなされている。
例えば成型生地、衣中に蛋白質を混合すること(例えば特許文献1参照)、グルタチオン高含有乾燥酵母を添加すること(例えば特許文献2参照)などが知られている。
また、サクミの保持を目的に、粒子径が500μm以下の粉末状であり、主構成脂肪酸がパルミチン酸及び/又はステアリン酸であり、エステル化率が30〜70%の範囲にあるポリグリセリン脂肪酸エステルを油揚げ食品用ミックス粉に添加することが知られている(例えば特許文献3参照)。
従って、本発明は、保水力(ドライベース)が85〜110になるように調製した熱処理小麦粉を含むことを特徴とする天ぷら用ミックス粉である。
さらに粘度が2〜10mPa・sであるアルギン酸プロピレングリコールエステルを含むことを特徴とする前記天ぷら用ミックス粉である。
また、穀粉類として保水力(ドライベース)が85〜110になるように調製した熱処理小麦粉のみを含む前記天ぷら用ミックス粉である。
なお、本発明において、○○〜△△とは、○○以上、△△以下を意味し、例えば85〜110とは85以上110以下を表す。
本発明の熱処理小麦粉とは、加熱処理によりグルテンが変性した小麦粉をいう。
本発明の熱処理小麦粉は、未処理の小麦粒を湿熱処理した後通常の製粉工程により粉砕したり、未処理の小麦粉あるいは予め熱処理された小麦粉を過熱蒸気が導入された密閉状態の圧力容器中で加熱処理した後粉砕して得ることができる。
本発明の熱処理小麦粉は保水力(ドライベース)が85〜110になるように調製するが、前記熱処理の温度、時間、蒸気量などを適宜調整することにより調製することができる。
本発明の熱処理小麦粉のグルテンは前記の加熱処理により以下に説明するグルテン採取法で採取したとき団子状のグルテンの塊がなくグルテン粒子が100メッシュ程度の砂状になっている。
通常の小麦粉のグルテンは団子状になるが、本発明の熱処理小麦粉のグルテンは、団子状にまとまることがなく、砂状になるまで熱変性されている。
小麦粉サンプル25gに15mlの加水を行い捏練により生地を作成、約1時間後に水で洗浄し、目開き125μmのスクリーンによりグルテンを回収する。
通常、未処理の小麦粉の保水力は、60〜65程度である。
保水力(ドライベース)=(試料が含んだ水の重さ/試料の重さ)×100
試料が含んだ水の重さ=後秤量−風袋−試料乾物量
試料の重さ=試料乾物量=試料量×(100−水分含有量)/100
測定方法は、以下のとおりである。
1.使用機器
低温室(約5℃)
振とう機(低温室内に設置 例としてTAIYO製SR−II型)
遠心機
2.使用器具
50ml遠沈管(例としてグライナー製):試料数×2
50mlメスシリンダー
プラスチックカップ
きり
試験管ミキサー
遠沈管静置用の専用ケース
3.手順
(1)予め蒸留水を容器に入れ冷蔵庫で冷やしておく。
(2)氷を入れた洗面器に前記(1)の蒸留水を容器ごと入れておく。
(3)遠沈管に番号を付け、それぞれの重さを0.1mgまで精秤する。
(4)試料約10g(±0.1g)を0.1mgまで精秤し、薬包紙に乗せた状態でアルミトレーに置く。測定はダブルで行う。全ての試料について(4)を繰り返す。
(5)前記(2)で用意した冷水をメスシリンダーで30ml量り、遠沈管に約半分入れる。続いて試料を入れ、最後に残りの半分の冷水を入れる。全ての試料について(5)を繰り返す。
(6)タオルをかけた試験管ミキサーで30秒間撹拌する。最後に手で上下に10回激振する。全ての試料について(6)を繰り返す。
(7)低温室の振とう機で250回/分で10分間振とうする。
(8)振とう後、遠心分離する(2000回転/分、10分間)
(9)きりで遠沈管に穴を開け上澄みを捨てる。
(10)フタを緩めて、穴を真下に斜めに立てかけ、15分静置する。
(11)遠沈管の外側の水滴を拭き取り、重さを0.1mgまで精秤する。
(12)前記の式に従い試料の保水力(ドライベース)を求める。
また、保水力(ドライベース)が110を超えると天ぷらの衣がガリガリとしてかたく歯切れの悪い食感となり好ましくない。
熱処理小麦粉の原料となる小麦又は小麦粉は、特に限定されないが天ぷらにしたときに食感が軽くなる点で薄力系が好ましい。
本発明の熱処理小麦粉の配合量は、天ぷら用ミックス粉全量中80〜97質量%が好ましい。
配合量がこれより少ないと通常の天ぷらよりも、吸油が少なくかつフライ後時間が経過しても十分な衣のサクサクとした食感を得られにくく、他方これより多いとガリガリとしてかたく歯切れの悪い食感となる傾向がある。
本発明の天ぷら用ミックス粉に使用する穀粉は、熱処理小麦粉以外に、例えば、未処理の小麦粉、そば粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、トウモロコシ粉などを使用することができるが、他の穀粉を使用すると本発明の天ぷら用ミックス粉の吸油量を少なくするという効果が得られ難くなり好ましくない。
穀粉として全量熱処理小麦粉であることが好ましい。
なお、本発明の天ぷら用ミックス粉は他の通常食品に使用可能な増粘多糖類であればいずれも使用することができる。
例えばグアガム、タマリンドガム、タラガム、キサンタンガムなどが挙げられ、これらは単独または2種以上をアルギン酸プロピレングリコールエステルと併用して用いることができる。
しかし、熱処理小麦粉とアルギン酸プロピレングリコールエステルを併用したときほどの効果を得ることはできない。
本発明に使用できるアルギン酸プロピレングリコールエステルの粘度は2〜10mPa・s であり、好ましくは3〜5mPa・sである。
本発明において粘度とは20℃の1%水溶液(例として試料3gを300mlの水に溶解した場合)の粘度をいう。
本発明において粘度の測定は、BLアダプターを取り付けたBL型粘度計を用いて行う。
まず、300ml容のトールビーカーに300mlの試料を入れ、試料が20℃になるように温度を調整する。
そして、ローター回転軸の切り欠き部が液面と同一になるまで沈め、回転数60rpmで測定開始後30秒の値を読むことにより行う。
粘度が2mPa・s未満のアルギン酸プロピレングリコールエステルは現状得ることができず、粘度が5mPa・sを超えると天ぷらバッターの粘度が上昇していき、粘度が10mPa・sを超えると天ぷらバッターとしては好適な粘度ではなくなるため好ましくない。
本発明の天ぷら用ミックス粉は、従来の天ぷら用ミックス粉と同様に使用することができる。
[実施例1]
小麦粒を湿熱処理して製粉し保水力(ドライベース)が104の熱処理小麦粉を得た。
なお、前記小麦粒を湿熱処理せず、製粉した小麦粉の保水力(ドライベース)は65であった。
前記熱処理小麦粉93.5質量部にコーンスターチ5.0質量部、ベーキングパウダー1.5質量部を混合し天ぷら用ミックス粉を得た。
前記天ぷら用ミックス粉に水160質量部を加え、撹拌してバッター液を調製した。
前記バッター液約30mlをシリンジで吸引し重量(g)を測定した。
前記バッター液を前記ステンレス製の円筒形の型に滴下が15秒間で完了するようにシリンジを使用して円盤状の揚げ玉となるように滴下した。
滴下してから1分間後に前記円盤状の揚げ玉を型から外し、さらに1分半後に前記円盤状の揚げ玉を反転してさらにフライし合計3分間フライした。
前記円盤状の揚げ玉をろ紙に載せ2分間後にろ紙から外し、揚げ玉が吸油したサラダ油の量を測定した。
揚げ玉が吸油したサラダ油の量(g)は、フライ前の油の量(g)からフライ後の油の量(ろ紙の分を含む)(g)を引いて求めた。
また、バッター液を滴下後のシリンジの重さを測定し使用したバッター液量(g)を求めた。
バッター1gあたりの吸油量は次の式により求めた。
バッター1gあたりの吸油量=吸油したサラダ油の量(g)/バッター液量(g)
また、フライ後室温で5時間保管した後の衣の外観、食感を10名のパネラーにより同様に評価した。
外観
5 衣のハナ咲き大きく、極めて良好
4 衣のハナ咲きかなり大きく、ほぼ良好
3 衣のハナ咲き普通で、やや良好
2 衣のハナ咲き小さく、やや劣る
1 衣のハナ咲きほとんどなく、劣る
食感
5 極めてサクサクしている
4 サクサクしている
3 ややかたく、割れにくくヒキがある
2 かたく、割れにくい
1 極めてやわらかく、ヒキが強い
油っぽさ
5 油っぽくない
4 やや油っぽくない
3 油っぽい
2 やや油っぽい
1 極めて油っぽい
総合
5点・・・良い
4点・・・やや良い
3点・・・普通
2点・・・やや悪い
1点・・・悪い
結果を表1に示す。
実施例1の天ぷら用ミックス粉を用いた天ぷらの衣の場合には、バッター1g当たりの吸油量が少なく、揚げたての衣の外観及び食感に優れ油っぽさが少なかった。
しかもそのような良好な外観及び食感がフライ後5時間経ってもそのまま良好に保たれていた。
実施例1の熱処理小麦粉93.4質量部にコーンスターチ5.0質量部、ベーキングパウダー1.5質量部、アルギン酸プロピレングリコールエステル(粘度3.8mPa・s)0.1質量部を混合し天ぷら用ミックス粉を得た。
前記天ぷら用ミックス粉に水160質量部を加え、撹拌してバッター液を調製した。
以下、実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表1に示す。
実施例2の天ぷら用ミックス粉を用いた天ぷらの衣の場合には、実施例1のアルギン酸プロピレングリコールエステルを含まない天ぷら用ミックス粉を用いた天ぷらの衣の場合に比べて、バッター1g当たりの吸油量がさらに少なく、揚げたての衣の外観及び食感にさらに優れ、より油っぽさが少なかった。
しかもそのような良好な外観及び食感がフライ後5時間経ってもそのまま良好に保たれていた。
実施例2において熱処理小麦粉を、未処理の小麦粒を製粉した小麦粉(比較例1)、未処理の小麦粒の熱処理条件を調整し保水力を表1のとおり調製した小麦粉(実施例3〜5、比較例2)、に代えた以外は実施例1と同様にして評価を行った。
なお、比較例3は熱処理粉を用いたと思われる市販品の天ぷら粉であり実施例1と同様にして評価を行った。
結果を表1に示す。
しかもそのような良好な外観及び食感がフライ後5時間経ってもそのまま良好に保たれていた。
それに対して、本発明の熱処理小麦粉を配合しない比較例1〜3の天ぷら用ミックス粉を用いた天ぷらの衣の場合には、バッター1g当たりの吸油量が多く、揚げたての衣の外観及び食感も劣り、油っぽさも多かった。
しかもそのような不良な外観および食感がフライ後五時間経ってさらに不良な外観及び食感となった。
実施例2においてアルギン酸プロピレングリコールエステルを粘度が異なる数種のアルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム及びグアガムに代えた以外は実施例2と同様にして天ぷら用ミックス粉を得た。
この天ぷら用ミックス粉を用い、実施例1と同様にして評価を行った。
なお、使用した増粘剤の種類は、実施例6〜12はアルギン酸プロピレングリコールエステル、比較例4はキサンタンガム、比較例5はグアガムである。
得られた評価結果を表2に示す。
しかもそのような良好な外観及び食感がフライ後5時間経ってもそのまま良好に保たれていた。
それに対して、主原料として本発明の保水力(ドライベース)85〜110の熱処理小麦粉を配合しても、副原料としてキサンタンガムやグアガムを使用した比較例4〜5の天ぷら用ミックス粉を用いた天ぷらの衣の場合には、揚げたての衣の外観及び食感も劣り、油っぽさが多かった。
しかもそのような不良な外観および食感がフライ後五時間経って、さらに不良な外観および食感となった。
実施例2においてアルギン酸プロピレングリコールエステルの配合量を表3に示す配合量に変更した以外は実施例2と同様にして天ぷら用ミックス粉を得た。
この天ぷら用ミックス粉を用い、実施例1と同様にして評価を行った。
得られた評価結果を表3に示す。
またしかもそのような良好な外観及び食感がフライ後5時間経ってもそのまま良好に保たれていた。
Claims (3)
- 保水力(ドライベース)が85〜110になるように調製した熱処理小麦粉を含むことを特徴とする天ぷら用ミックス粉。
- さらに粘度が2〜10mPa・sであるアルギン酸プロピレングリコールエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の天ぷら用ミックス粉。
- 穀粉類として保水力(ドライベース)が85〜110になるように調製した熱処理小麦粉のみを含む請求項1又は請求項2に記載の天ぷら用ミックス粉。
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