JP2010013539A - 腐食性燃料ガスの配管内面被覆用防食材料およびこれを用いた防食工法 - Google Patents

腐食性燃料ガスの配管内面被覆用防食材料およびこれを用いた防食工法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術のフレークライニング等より有効で且つ安価なコークス炉ガス配管内面の防食技術を提供する。
【解決手段】溶剤成分を含まない液状の主剤と硬化剤からなる常温硬化型エポキシ樹脂塗料であって、硬化剤中にアミノエチルピペラジンを10〜30重量%含有し、硬化後のガラス転移温度(Tg)が70〜150℃である腐食性燃料ガスの配管内面被覆用防食材料。また、この防食材料100にタルクを10〜30重量%添加してなる配管内面被覆用パテ材料。さらに、これらの材料を用いたコークス炉ガス配管内面の防食工法。
【選択図】図2

Description

本発明は、主に製鉄所や火力発電所において利用されているコークス炉ガス等の腐食性燃料ガス配管の防食技術に関する。とくに、コークス炉ガス配管内面においては、湿食と同時に硫化鉄を生成する腐食反応が生じるため、当該配管の板厚減少や孔食が進行し、配管の穴空きによるガス漏れ事故が発生し易い。本発明はかかる設備保全上の問題を解決するための腐食性燃料ガスの配管内面被覆用防食材料および防食工法に関する。
コークス炉ガス配管は、約10年から数10年の長期に渡って使用されるため、配管(通常は鋼管)内面の腐食が徐々に進行し、当該配管の板厚減少や孔食の進展および穴空きによるガス漏れの発生、と言う設備保全上の問題がある。
コークス炉ガスの主成分は、水素、メタン、一酸化炭素、タール等であり、微量(3〜5g/Nm3)の硫化水素も含まれている(例えば下記非特許文献1)。そのため、コークス炉ガスは可燃性ガスであり人体にも有害である。よって、ガス漏れが発生した場合には、重大な事故につながるおそれがあり、これを放置することはできない。
従来の技術では、コークス炉ガス配管からのガス漏れが発生した場合の事後保全策としては、応急処置としてFRPシートを接着しバンドで巻いて漏れを止め、恒久対策として設備休止時に配管を更新している。また、コークス炉ガス配管の内面からの孔食の進展を防止する予防保全策としては、防食工法としてフレークライニング(ビヒクルにビニルエステル樹脂を使用し且つ鱗片状材料としてガラスフレークを混入した高耐食塗料)によるコーティングや、腐食代を大きくして穴明きまでの設備寿命を長くするため鋼管の板厚の厚くする方法が採られてきた。
しかし、フレークライニングによる防食工法は、ブラストによる素地調整の後に専用プライマー1層、さらに数層のフレークライニングをコーティングする必要があり、非常に施工コストが高価であり、且つ施工のために長期間の設備休止を必要とする。
一方、鋼管の板厚を厚くする方法では、配管重量が増すため、配管サポートの強度アップや配管敷設の工事費アップにつながり、なかなか採用できない場合が多い。このような従来技術の状況から、より有効で且つ安価なコークス炉ガス配管の予防保全技術すなわち防食技術の開発が望まれていた。
社団法人 日本鉄鋼協会編集 鉄鋼製造法(第1分冊) 丸善株式会社(1982) 社団法人 日本防錆技術協会発行 第28回防錆防食技術発表大会予稿集 (2008) 社団法人 日本道路協会編集 鋼道路橋塗装・防食便覧 丸善株式会社(2005) 特開2005−255793号公報
かかる従来技術の状況を鑑み、本発明は従来技術であるフレークライニングや鋼管の板厚アップより有効で且つ安価なコークス炉ガス配管内面の防食技術を提供することを課題としている。すなわち、長期間に亘ってコークス炉配管の孔食等の進展による穴明きを確実に防止し、設備の信頼性を向上しつつ点検作業中の作業者の安全性を高め、配管メインテナンスの負荷を軽減し、これにより、安価で安全なコークス炉ガス配管の設備管理を実現することを課題としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、コークス炉ガス配管の内面被覆用防食材料に必要な要件について検討した。
まず、コークス炉ガス配管の内部環境を考えてみると以下のごとくになる。コークス炉ガスの主成分は水素、メタン、一酸化炭素、タール等であり、微量(3〜5g/Nm3)の硫化水素も含まれていることに加え、ドレンとして、塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硝酸イオン、チオ硫酸イオン、アンモニウムイオン、ベンゼン、トルエン、キシレンを含む水溶液が配管内下部に溜まっている。ドレンのpHは概ね8〜9の弱アルカリ性である。
また、コークス炉ガスの温度は外気温度よりも高く、通常はおよそ30〜60℃である。このように温度が高いのは以下の理由による。一般にコークス炉で発生した高温のコークス炉ガスは、一旦コークス炉ガス・ホルダーに貯留される。ホルダーには常に熱ガスが供給され、ガスの熱伝導が悪いため、ホルダーからの放熱は比較的少ない。そのため、ホルダー内のガス温度は、外気温度よりかなり高く、およそ30〜60℃になっているのが通例である。このような温度のガスが流れる配管も通常は30〜60℃になっていると考えられる。
このような環境において、配管内面に防食コーティングが施されていない場合では、微量の硫化水素が存在することから内面全周にわたって硫化鉄を生成する腐食反応とドレン水およびその水蒸気による湿食が同時並行に進展すると考えられる。コークス炉ガス配管内において、湿食と同時に硫化鉄を生成する反応が生じ、腐食現象を加速している可能性が考えられることが、たとえば前記非特許文献2において指摘されている。
一方、コーティングによる防食を考える場合には、ガス温度30〜60℃に対する耐久性、ドレン中の各成分やドレンのpHに侵されない耐ドレン性、ガス圧力0.1〜0.5MPaに対する耐久性(大気圧よりも高い圧力下において膨潤による塗膜劣化が加速されない特性)を有する防食材料がなければならない。
特に注意を要するのは、通常は溶剤として用いられるベンゼン、トルエン、キシレンがドレン中に含まれる点である。これらの溶剤成分は、通常の溶剤タイプのエポキシ樹脂塗料による防食塗膜では、その塗膜を軟化させ、密着力を失わせて、剥離させる作用がある。
また、コークス炉ガス配管内の温度が30〜60℃であることは、常温に比べて塗膜自体を軟化させ、膨潤を加速させる効果がある点にも注意する必要がある。よって、コークス炉ガス配管内面に適用する防食材料に必要とされる性能は、耐熱性、耐ドレン性、耐圧力性を有して硫化水素を遮断できる気孔のない塗膜を形成できることである。
上記の必要性能を満たす防食材料を検討すると、以下のごとくなる。
(1)無溶剤タイプの塗料であること:耐ドレン性の観点から溶剤を含む塗料を採用することは望ましくない。溶剤を含む塗料は、硬化後の塗膜中に残留溶剤が内在する可能性があり、コークス炉ガスドレイン中の溶剤成分と反応して、軟化や剥離を起こし易いことは既に述べたとおりである。
また、溶剤タイプの塗料の場合は硬化時に溶剤が揮発するため、気孔(ボイド)を生じ易く、コークス炉中の腐食成分(とくに硫化水素)の遮断性の観点からも望ましくない。
(2)常温硬化型の液状塗料であること:既設のコークス炉ガス配管を現場施工でコーティングするためには、熱硬化型塗料は使用できない。
(3)専用プライマーを必要とせず、塗装の施工が簡易であること:最少は1層で多くても2層のコーティングで必要な塗膜厚が得られることが望ましい。従来技術であるフレークライニングは、耐薬品性の高いビニルエステルをベース樹脂として、これにガラスフレークを分散させたものであるが、鋼面に適用する場合は専用プライマーを含めて最少でも2層、通常は3〜4層の重ね塗りが必要で、施工コストが高価で施工期間が長くなるという問題がある。したがって、施工コストを安価にするためには、専用プライマーを必要とせず、最少は1層で多くても2層のコーティングで必要な塗膜厚が得られものが望ましい。
(4)ガラス転移温度(Tg)が70〜150℃であること:コークス炉ガスの温度30〜60℃であることから、塗料の耐熱性としては、Tgが70〜150℃であることが必要である。
しかし、このような条件を満たす防食材料を市場より入手することは残念ながら現状では困難である。例えば、常温硬化型の液状2液型の無溶剤エポキシ樹脂塗料としては、水道管内面用として溶剤臭をなくし環境負荷を少なくするという目的で開発されたもの(日本水道協会規格 JWWA K 157参照)が市販されているが、ガラス転移温度(Tg)が約60℃以下であるため、コークス炉ガス配管の防食材料としては耐熱性が不足している。
また、前記特許文献1に示される無溶剤1液型の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)が150℃と高く、液状の無溶剤タイプであるが、残念ながら常温硬化ではなく熱硬化性の材料である。
そこで、本発明者らは既存の水道管用の無溶剤エポキシ樹脂塗料を改良し、硬化剤にアミノエチルピペラジンを適量含有させることによって、液状の無溶剤タイプであり、常温硬化でガラス転移温度(Tg)が70〜150℃となるエポキシ樹脂塗料を、実現可能なことを知見した。
この知見に基く、本発明の第一は、
溶剤成分を含まない液状の主剤と硬化剤からなる常温硬化型エポキシ樹脂塗料であって、硬化剤100重量部中アミノエチルピペラジンを10〜30重量部含有し、硬化後の該塗料のガラス転移温度(Tg)が70〜150℃である腐食性燃料ガスの配管内面被覆用防食材料である。
実際に既設コークス炉ガス配管の内面防食工事を行う場合は、既に配管内面の腐食が相当に進んでいるため、孔食の内部までしっかりと本発明の防食材料を充填するとともに、腐食した表面の凹凸を平滑化する不陸調整という作業が必要となる。孔食対応と不陸調整を塗装用防食材料で行うことは難しく、パテ状の防食材料も必要である。
そこで、本発明の第二は、
上記第一発明の防食材料100重量部にタルクを10〜30重量部添加してなる腐食性燃料ガスの配管内面被覆用パテ材料である。
上記第一発明の防食材料及び第二発明のパテ材料は、前記腐食性燃料ガスが、
2g/Nm3以上の硫化水素を含有し、かつそのドレンが塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硝酸イオン、チオ硫酸イオン、アンモニウムイオン、ベンゼン、トルエン、キシレンをそれぞれ0.01〜10g/L含む水溶液である場合に特に有効である。
また、これら両材料は、前記腐食性燃料ガスがコークス炉ガスである場合に、さらに有効である。
また、本発明の防食工法は
腐食性燃料ガスの配管内面を防食するに際して、先ず、ブラスト工法によってSa2以上の素地調整を行う工程と、次いで必要に応じて1次防錆用プライマーとして有機ジンクリッチペイントをコーティングする工程と、孔食進行箇所がある場合に必要に応じて上記第二発明のパテ材料による不陸調整を行う工程と、次いで上記第一発明の防食材料をコーティングする工程とを具備することを特徴とする防食工法である。
この防食工法は、前記腐食性燃料ガスが、2g/Nm3以上の硫化水素を含有し、かつそのドレンが塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硝酸イオン、チオ硫酸イオン、アンモニウムイオン、ベンゼン、トルエン、キシレンをそれぞれ0.01〜10g/L含む水溶液である場合に特に有効であり、前記腐食性燃料ガスがコークス炉ガスである場合に、さらに有効である。
本発明により、コークス炉ガス配管内面の腐食による穴明きとガス漏れの対策として、安価で高性能な防食施工が可能となった。これにより、設備保全の観点からは、修理費用の削減と修理後の点検頻度の削減により修繕コスト低減という大きな経済的効果が得られる。また、安全の観点からは、ガス漏れの恐れが長期に渡り低減されることから、点検者等のガス中毒の回避及び漏れたガスの引火や爆発の危険回避が可能になり、安全性の大幅な向上を図ることができる。
本発明の防食材料は、2液型のエポキシ樹脂塗料であって、主剤は溶剤成分を含まない液状のものであり、硬化剤中に10〜30重量%のアミノエチルピペラジンを含有し、常温硬化型であって、かつ硬化後の該塗膜のガラス転移温度(Tg)が70〜150℃であることを特徴とする。
まず、主剤の主たる成分であるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂でもビスフェノールF型エポキシ樹脂でもノボラック型エポキシ樹脂であってもかまわない。更に、ビスフェノールA型とビスフェノールF型もしくはノボラック型の複数の混合体であっても構わない。これらの樹脂は常温で液状であり、塗料として適度の粘性を有するので、溶剤無添加でも主剤として用いることができる。主剤の残りの成分としては、体質顔料や着色顔料に適量の揺変剤や変性剤や密着性付与剤を加えた構成でよい。
次ぎに、本発明において、硬化剤にアミノエチルピペラジンを添加する理由について説明する。通常のエポキシ樹脂塗料においては、脂肪族ポリアミンや脂環式ポリアミンを主たる硬化剤として用いているが、これらのポリアミンは分子構造が直鎖状であれ環状であれ1重の炭素結合(−C−C−)からなっている。この結合は結合強度が弱く、主剤として多官能性のエポキシ樹脂塗料をもってきて架橋密度を上げても、十分に高いガラス転移温度(Tg)を得ることは難しい。
一方、硬化剤として芳香族アミンを用いると、芳香環の強固な結合により高いガラス転移温度(Tg)が得られるが、芳香環の立体障害のため常温硬化は難しく、熱硬化タイプとして硬化には加熱が必要となる。そこで、常温硬化が可能で強固な環状構造を可能にするため、硬化剤にアミノエチルピペラジンを適量添加するものである。
アミノエチルピペラジンの分子構造を図1に示す。芳香族に似た環状構造を持ちつつ、第1級アミンと第2級アミン、第3級アミンを合わせ持っている。芳香族アミンが芳香環の立体障害によって反応に乏しいのに対して、エチルアミンの形で環状構造から離れて第1級アミンを有していることから、反応性に富み、常温硬化を可能とすることができる。また、環状構造の特性である結合力の強さと、架橋後に自由度の少ない剛性の有る構造となることから、高いガラス転移温度(Tg)を実現できる可能性がある。また、環状部に第2級アミンを有しており、ここでもエポキシ・アミンの硬化反応が進めば、より強固で且つ複雑に絡み合った架橋構造が得られる。
本発明は、硬化剤100重量部中にこのようなアミノエチルピペラジンを10〜30重量部添加することを特徴とする。当該硬化剤の残りの成分としては、通常用いられる各種の脂肪族もしくは脂肪環のポリアミンに加え、アルコール類やビスフェノールA等の反応に寄与する成分から構成すれば良い。
次ぎに、硬化剤中のアミノエチルピペラジン添加割合の決定根拠について説明する。図2に、硬化剤においてアミノエチルピペラジンの重量%を変化させたときの24時間後の塗膜1mmにおける、ASTM D−256による衝撃吸収エネルギーと、3%アンモニア水の吸水率のグラフを示す。
図に見られるように、衝撃吸収エネルギーは、アミノエチルピペラジンが10重量%以下と少ないと塗膜強度がないために小さな値となり、30重量%を越えると塗膜が硬くなりすぎることから割れを生じるため下がってしまう。これより、実用上の塗膜に必要な適度な強度を得るためには、10〜30重量%のアミノエチルピペラジン添加が適正と言える。
また、耐薬品性を見るために行った3%アンモニア水の吸水率では、10重量%以下では非常に膨潤しやすいことが確認できている。このときの主剤は、エポキシ樹脂としてはノボラック型エポキシ樹脂を60重量%のものを用いた。
次ぎに、本発明のパテ材料について説明する。このパテ材料が必要な理由は、上述の防食材料は塗装用に調製されたもので、腐食が進行した既設配管の孔食の穴埋めや、凹凸面の不陸調整に適さないためである。すなわち上述の塗装用防食材料は、1コートで塗膜厚300μmとなるように塗装時の粘度が調整されている。硬化する前に重ね塗りしても750μm以上の塗膜厚では、ダレを生じることになる。したがって、配管上部内面では、孔食を穴埋めしても硬化前に滴下してしまう。同様に不陸調整の厚塗をしても、硬化前にダレを生じて平滑な面が得られない。
そこで、上述の塗装用防食材料にタルク(Mg3Si4O10(OH)2)を10〜30重量%添加することによってパテ状とした材料を開発した。添加材としてタルクを用いた理由は、防蝕性能を低下させることなく、添加量を調整することで現場においても粘度調整が可能であり、かつ安価なためである。
このパテ材は、実際の工事において、ブラストによる素地調整後に孔食の著しい箇所への充填と、腐食の凹凸面の不陸調整をゴムヘラにて手塗りすることで十分に作業できることが確認された。また、このパテ材については、ダレ限界が1.7mmであり、80℃陰極剥離試験による防食性能の確認においても、以下に述べるように、塗装用の防食材料とほぼ同等であった。
図3は、80℃陰極剥離試験により本発明のパテ材料の防食性能を確認した結果の例を示す図である。80℃陰極剥離試験は、塗膜面に温度80℃の水分と接し且つ塗膜疵部(人口疵6mmφ)に陰極電圧(−1,50±0.01V)を印加し、疵周囲の塗膜剥離距離を測る耐久性確認試験(例えば、ASTM G 8−90に規定する試験)である。
図に見られるように、本発明のパテ材料の塗膜は、タルクの添加量10%の場合も、20%の場合もともに、本発明の防食材料(タルクなし)の塗膜と比較して、80℃陰極剥離試験後の剥離幅はほぼ同等であり、この結果から、タルクの添加による防食性能の低下は無いものと推測される。
次ぎに、上記の防食材料及びパテ材料を用いたコークス炉配管内面の防食工法について説明する。この工法には、大別して表1に示す二つの実施態様が考えられる。実施態様1(以下防食塗装系1という)は、ある程度腐食の進んだ既設配管内面に現地施工で防食を行う場合で、実施態様2(以下防食塗装系2という)は、新設配管の内面に工場施工で防食を行う場合である。
防食塗装系1で、上述の本発明の防食材料及びパテ材料を用いて、既設のコークス炉ガス配管の内面防食を実際に行う場合は、さらに1つ工夫を要する。それは、例えば前記非特許文献3に示されているように、一般にブラストによる素地調整後の防食施工は4時間以内に行う必要がある点である。
現地での防食工事では施工能率上、ブラストによる素地調整から8時間から6ケ月の範囲で防食施工することを可能とするプライマーが必要となる。
防食塗装系1では、表1に示す4ステップの工程で、防食塗装の施工を行う。第1ステップは素地調整の工程で、ブラスト工法により除錆度Sa2以上まで、素地調整を行う。除錆度Sa2以上が必要な理由は、除錆度Sa2未満であれば表面積の1/3以上に錆が残存しているため、塗膜の密着に支障をきたすからである。
Figure 2010013539
次いで、プライマーの塗布を行う。プライマーとしては、Sa2以上の素地調整面と本発明の防食材料及びパテ材料との組み合わせによる総合的な防蝕性能が優れるという理由から、有機ジンクリッチペイントが好適である。
その後、第3ステップとして既設配管内面の孔蝕部の充填及び表面凹凸の不陸調整を本発明のパテ材料を用いて行う。パテ材料の塗布方法はとくに限定を要しないが、手塗りで十分対応可能である。
さらにその後、第4ステップとして本発明の防食材料の塗布を行う。この塗布は通常の塗料と同様の方法で行うことができる。
一方表1の防食塗装系2、すなわち塗装工場において新鋼管内面を防食施工する場合には、ブラスト後4時間以内に塗装できる設備が整っている場合が多いので、プライマーは不必要となる。第2ステップのプライマー塗布工程は不要である。また、新規の防食塗装済鋼管の製造では、配管内面に孔蝕や表面凹凸は無いので、第3ステップの不陸調整の工程も不要である。したがって、第1ステップの素地調整の後、直ちに第4ステップの防食材料の塗布を行えばよい。
実際のコークス炉ガス配管内面に本発明を適用した場合の防食性能を、従来の防食方法と比較する試験を実施した。本発明例1は上述の防食塗装系1、すなわち腐食の進んだ既設配管内面を現地施工で本発明の方法により防食被覆した場合で、本発明例2は上述の防食塗装系2は、すなわち新しい鋼管内面を工場施工で本発明の方法により防食被覆した場合である。
比較例1は、一般に用いられているガス管内面用の溶剤タイプのエポキシ樹脂塗料を既設配管内面に現地施工で防食被覆した場合で、比較例2は、従来技術であるフレークライニングを既設配管内面に現地施工で適用した場合である。本試験における防食性能の確認としては、実際にコークス炉ガス配管に試験塗装を行い6ケ月間に渡って、その塗膜性能を調査した。具体的には、実配管に試験塗装して、1ケ月後と2ケ月後および6ケ月後の塗膜の密着力測定(測定法はアドヒージョンテスターによる(ASTM D 4521−02参照))を実施した。本発明例及び比較例の防食施工の方法を表2に、試験結果の密着力測定値を表3に示す。
Figure 2010013539
Figure 2010013539
一般的に防食塗装に要求される密着力は約20kg/cm2以上であるが、本発明例1及び2では6ケ月後の塗膜の密着力が100kg/cm2以上ときわめて高い値であった。これに対して、比較例1(溶剤型のガス管内面用エポキシ樹脂)では6ケ月後の密着力が20kg/cm2以下となり、十分な防食性能は望めないことが知れた。また、比較例2(現状でもコークス炉ガス配管の内面防食に用いられているフレークライニング)については、6ケ月後の密着力は20kg/cm2以上が保たれていることがわかる。
但し、表2に見るように、フレークライニングの場合は、本発明の防食塗装系1よりも塗装回数が1回多く、パテを除く全塗膜厚も厚いため、施工費用も非常に高価となる。また、防食性能に関しても本発明の防食塗装系1と2の密着力は、フレークライニングの密着力より非常に大きく、長期に渡って安定している。
以上のことから、本発明の防食材料として、本発明の高Tg無溶剤タイプ常温硬化型エポキシ樹脂塗料と、これに10〜30重量%のタルクを添加した本発明のパテ材料を(必要に応じて)用いた、本発明の防食工法は、十分な防食性能があることが実際のコークス炉ガス配管内面での曝露試験で確認された。
アミノエチルピペラジンの分子構造の説明図である。 硬化剤中のアミノエチルピペラジンの重量%と防食材料の特性を調査した結果の例を示す図である。 本発明の防食材料にタルクを添加した場合(パテ材料)と、無添加の場合の防食性能を比較した結果の例を示す図である。

Claims (5)

  1. 溶剤成分を含まない液状の主剤と硬化剤からなる常温硬化型エポキシ樹脂塗料であって、硬化剤100重量部中アミノエチルピペラジンを10〜30重量部含有し、硬化後の該塗料のガラス転移温度(Tg)が70〜150℃である腐食性燃料ガスの配管内面被覆用防食材料。
  2. 請求項1記載の防食材料100重量部にタルクを10〜30重量部添加してなる腐食性燃料ガスの配管内面被覆用パテ材料。
  3. 腐食性燃料ガスの配管内面を防食するに際して、先ずブラスト工法によってSa2以上の素地調整を行う工程と、次いで必要に応じて1次防錆用プライマーとして有機ジンクリッチペイントをコーティングする工程と、孔食進行箇所がある場合に必要に応じて請求項2記載のパテ材料による不陸調整を行う工程と、次いで請求項1記載の防食材料をコーティングする工程とを具備することを特徴とする防食工法。
  4. 前記腐食性燃料ガスが、2g/Nm3以上の硫化水素を含有し、かつそのドレンが塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硝酸イオン、チオ硫酸イオン、アンモニウムイオン、ベンゼン、トルエン、キシレンをそれぞれ0.01〜10g/L含む水溶液である請求項3に記載の防食工法。
  5. 前記腐食性燃料ガスがコークス炉ガスである請求項4に記載の防食工法。
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