JP2010012933A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】演算量が少なく、なおかつ設計が体系的かつ簡便な操舵制御装置を得ること。
【解決手段】操舵トルクを操舵トルク信号として検出する操舵トルク検出器と、操舵トルク信号に対して第1のゲインによる増幅とローパスフィルタとを作用させた信号と前記操舵トルク信号に対して少なくとも第2のゲインによる増幅を作用させた信号とに基づいて、操舵トルク信号に対して位相遅れ補償を定数倍した周波数応答特性を有する演算を行う位相遅れ補償部と、位相遅れ補償部の出力に基づく電流指令にモータの電流が一致するようモータの制御を行う電流制御部と、を備える。
【選択図】 図2

Description

この発明は、モータにより操舵力の補助を行う電動パワーステアリング制御装置に関するものである。
一般に、電動パワーステアリング制御装置は、操舵輪と操舵ホイールとを連結する操舵軸にギアを介して接続されたモータに対して、運転者がステアリングホイールを回転させたときに生じる操舵トルクを検出し、操舵トルクに応じて補償演算部でモータに対する電流指令を演算する。また電流指令に一致するようにモータの電流を制御してトルクを発生させることで、運転者による操舵を補助するようにモータトルクを発生させている。
この補償演算部における電流指令の演算においては、車両の安定性、操舵感などを損なわないような目的から、ゲインや各種のフィルタなどを用いて電流指令の演算を行っている。その目的のために、車両速度(車速)やトルク測定値の振幅に応じてゲインやフィルタの特性を変更するといった演算も一般的に行われている。また、このような電動パワーステアリング制御装置の特性は、適用する車種に応じて最適化を行う必要があり、この最適化作業を簡便かつ体系的に行うことも重要な課題である。更に、低コストな演算装置を用いて実現するために、演算をなるべく簡単化することも重要な課題である。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング制御装置によれば、その補償演算部において、検出した操舵トルクに対し、アシスト曲線と呼ばれる、操舵トルクの大きさに対して非線形で、かつ車速に応じて特性が変化する関数により信号を生成している。またアシスト曲線の演算結果に、適応トルクフィルタと呼ぶ遅れ・進みタイプのフィルタを作用させることで電流指令の演算を行っている。
アシスト曲線は操舵トルクの大きさや車速に応じた操舵感を実現するためのもので、上述のように非線形な特性を持つため、その入出力の微小変化の比である線形化ゲインに変動が生じる。この適応トルクフィルタは、アシスト曲線の線形化ゲインが最大の場合において、所望の特性が得られるよう設計されているが、適応トルクフィルタの特性が固定のままだと、制御系の安定性に大きく影響するゲイン交差周波数(開ループ周波数応答のゲインが0[dB]と交差する周波数)が変動し、制御系の特性が所望と異なる動作に変動する。
そこでこの特許文献1による技術では、アシスト曲線における線形化ゲイン、すなわち入出力の微小変化の比を逐次計算し、その結果に応じて適応トルクフィルタの極を逐次変化させることで、ゲイン交差周波数における補償演算部全体のゲインが変化しないように構成している。そのため、このような線形化ゲインの逐次計算、およびその結果に応じた適応トルクフィルタの極の逐次計算のために、演算量が増大するという問題がある。また、上記のアシスト曲線は、補償演算部の定常的な特性すなわち低周波数領域のゲインを決定する目的で設定されるが、このアシスト曲線の線形化ゲインの変化に対して、高周波数領域の特性である交差周波数が変化しないように、適応トルクフィルタの特性を高周波数領域で変化させている。したがって、低周波数領域を目的とした設計と、高周波数領域を目的とした設計とが互いに大きく干渉している。また、補償演算部を構成する適応トルクフィルタおよびアシスト曲線等の各部の構成と、上記の周波数領域毎の目的との対応が複雑で理解し難く、その設計が体系的かつ簡便ではない。
特許文献2に記載の電動パワーステアリング制御装置によれば、特許文献1と同様な課題に対して別の対策技術が記載されている。この技術では、検出した操舵トルクに対して、混合フィルタと呼ばれるローパスフィルタとハイパスフィルタの組み合わせを用いて信号を低周波数成分と高周波数成分に分離する。分離されたトルク検出値の低周波数成分に対しては特許文献1と同様なアシスト曲線と呼ばれる非線形な演算を行い、トルク検出値の高周波数成分に対しては変化しない線形ゲインを乗じ、これらの和を適応トルクフィルタに入力することで、適応トルクフィルタの出力を電流指令として演算を行っている。
ここで、特許文献2に記載の適応トルクフィルタは特許文献1と同様に、線形化ゲインが最大の場合に操舵制御装置が所望の特性を持つような遅れ・進みフィルタとして設計される。すなわち低周波数領域のゲインが、それより高い周波数領域より相対的に大きくなるような特性として設計する。一方、前述の特許文献1では、適応トルクフィルタをアシスト曲線における線形化ゲインの変化に応じて変化させていたのに対し、特許文献2では、線形化ゲインの変化に対して、適応トルクフィルタの特性は固定したまま、適切に設計された上記の混合フィルタを追加することで、線形化ゲインの変動に対してゲイン交差周波数が変動しないような所望の特性を実現している。更に詳細には、上記のように適応トルクフィルタに追加した混合フィルタの部分では、特許文献2の図8に図示されているように、主に、低周波数領域でゲインを低下させる位相進み特性を持つように設計される。その結果、操舵感に大きく関係する低周波数領域のゲインは、適応トルクフィルタと混合フィルタの両方の積で決まり、適応トルクフィルタにて一旦、相対的に大きくした後に、混合フィルタにて低下させている。そのため、設計の複雑化や計算量の増大が発生している。
特開平7−309250号公報 特開平7−309247号公報
特許文献1に記載される電動パワーステアリング制御装置によれば、その補償演算部において、変化するアシスト曲線の線形化ゲインを逐次計算しながら適応トルクフィルタの極を逐次計算して変化させるため、演算量が増大するという問題があった。また、補償演算部を構成する各部の動作と、周波数領域によって異なる設計目的との対応が複雑であり、設計が体系的かつ簡便ではないという問題があった。
また特許文献2に記載される電動パワーステアリング制御装置によれば、変化するアシスト曲線の線形化ゲインのうち特定の条件において最適になるように設計した遅れ・進みフィルタである適応トルクフィルタを備え、更に、アシスト曲線に応じて操舵制御装置全体が所望の特性を持つよう、適切に設計した混合フィルタを追加するよう構成している。そのため、混合フィルタを追加することによる操舵制御装置の次数の増加、およびそれに伴う設計の複雑化が生じていた。
すなわち、特許文献1および2に記載の技術においては、操舵制御装置における演算量が増加されるといった問題があった。また、その設計が体系的かつ簡便ではないといった問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、演算量が少なく、なおかつ設計が体系的かつ簡便な操舵制御装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、運転者が加えた操舵トルクに対してモータによる補助を行う電動パワーステアリング制御装置において、前記操舵トルクを操舵トルク信号として検出する操舵トルク検出器と、前記操舵トルク信号に対して第1のゲインによる増幅とローパスフィルタとを作用させた信号と前記操舵トルク信号に対して少なくとも第2のゲインによる増幅を作用させた信号とに基づいて、前記操舵トルク信号に対して位相遅れ補償を定数倍した周波数応答特性を有する演算を行う位相遅れ補償部と、前記位相遅れ補償部の出力に基づく電流指令に前記モータの電流が一致するよう前記モータの制御を行う電流制御部と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、簡単な演算で低周波数領域の特性を独立に設定できるようにしたので、演算量が少なく、なおかつ設計が体系的かつ簡便な操舵制御装置を得ることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明にかかる電動パワーステアリング制御装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による電動パワーステアリング制御装置を示す構成図である。ステアリングホイール1に連結したステアリング軸2の回転に応じて左右の操舵輪6が転舵される。ステアリング軸2には操舵トルク検出器3が配置され、ステアリング軸2に作用する操舵トルクを操舵トルク信号τsとして検出する。モータ4は減速機構5を介してステアリング軸2に連結しており、モータ4が発生するモータトルクτmをステアリング軸2に付与することができる。車両の速度である車速は車速検出器7で検出する。制御ユニット8は操舵トルク検出器3で検出した操舵トルク信号τsと車速検出器7で検出した車速に基づいてモータ4の電流を制御した結果としてモータ4に電流を供給する。
次に制御ユニット8の要部について図2を用いて説明する。制御ユニット8は補償演算部9と電流制御部10から構成され、操舵トルク検出器3で検出した操舵トルク信号τsと車速検出器7で検出した車速を補償演算部9に入力する。補償演算部9は後述する演算を行った結果として電流指令Irを出力する。電流制御部10は補償演算部9で演算した電流指令Irにモータ4の電流Imが一致するように制御を行う。なお、実際の補償演算部9へ入力する操舵トルク信号τsは、物理的な操舵トルクを操舵トルク検出器3で検出した信号、またそれに補正を加えた信号である場合もあるが、以下では補償演算部9への入力を単に操舵トルクτsと記述する。
次に補償演算部9の演算動作について説明する。補償演算部9は操舵トルクτsを位相遅れ補償部110に入力し、以下に述べる演算によって操舵トルクτsに対して位相遅れ補償を定数倍した周波数応答特性を有する信号を出力する。
次に位相遅れ補償部110はその内部において、操舵トルクτsを低域補償部101に入力する。低域補償部101は低域増幅部103と低域フィルタ102とを備え、操舵トルクτsを低域増幅部103に入力する。
低域増幅部103は、操舵トルクτsに基づき、一般にルックアップテーブルの読み出し等で決定するアシスト曲線と呼ばれる関数を用いて増幅した信号を出力する。このアシスト曲線は、運転者の操舵感を適切に設定するためのものであり、操舵トルクτs、および車速に応じて出力を決定する。一般に車速の変化は操舵トルクτsの変化に比べると遅いので、このアシスト曲線を用いた低域増幅部103の動作を言い換えると、操舵トルクτsに対して非線形ゲインを乗じた増幅を行い、またこの非線形ゲインを車速に応じて変化させていると言える。
次に低域フィルタ102は低域増幅部103の出力に対してローパスフィルタの演算を行った結果を低域補償トルクτlとして出力する。低域フィルタ102の周波数応答特性は、所定の周波数である低域フィルタ周波数ωl[rad/s]より低い周波数でゲインが概ね1で平坦な特性、低域フィルタ周波数ωlより高周波数領域でゲインが低下する特性を持つ。
ここで、前記のようにアシスト曲線で定まる低域増幅部103において、その入力、すなわち操舵トルクτsの微小変化に対する、低域増幅部103の出力の微小変化の比を、線形化ゲインKl1と記述する。低域補償部101の伝達関数Gl(s)は次式のようにゲインKl1とローパスフィルタを乗じた特性を持つ。
Gl(s)=Kl1・ωl/(s+ωl) (式1)
次に、位相遅れ補償部110は操舵トルクτsを比例補償部104に入力し、比例補償部104は入力に対して所定の数値である比例ゲインKp1を乗じる演算を行い、その結果を比例補償トルクτpとして出力する。比例補償部104の伝達関数Gp(s)は次式となる。
Gp(s)=Kp1 (式2)
次に、位相遅れ補償部110は低域補償トルクτlと比例補償トルクτpとを加算器106で加算した結果を出力する。上記の(式1)および(式2)より、操舵トルクτsを入力とする位相遅れ補償部110の伝達関数Lg1(s)は次式となる。
Lg1(s)={Kp1・s+(Kl1+Kp1)・ωl}/(s+ωl) (式3)
ここで、上記の低域増幅部103における線形化ゲインKl1および比例補償部104における比例ゲインKp1が正の値になるように選ぶ。これにより、位相遅れ補償部110の高域ゲインはKp1、低域ゲインはKl1とKp1の和となり、低域ゲインの方が高域ゲインより大きい特性となる。すなわち、位相遅れ補償部110は、位相遅れ補償を定数倍した特性を有する演算を行う。
次に、補償演算部9は操舵トルクτsを高域補償部105に入力し、微分あるいは擬似微分演算と所定の数値である微分ゲインKd1を乗じる演算を行い、高域補償トルクτhとして出力する。説明の簡単化のために上記の演算において純粋な微分を用いたとすると、高域補償部105の伝達関数Gh(s)は次式となる。
Gh(s)=Kd1・s (式4)
次に、加算器106は位相遅れ補償部110の出力と高域補償トルクτhとを加算した結果をノイズフィルタ107に入力する。
ノイズフィルタ107はその入力に対し、所定のノイズ遮断周波数ωn[rad/s]より高い周波数成分を遮断するような、次式のFn(s)で表すローパスフィルタ演算を行い、電流指令Irを出力する。
Fn(s)=1/(s/ωn+1) (式5)
上記の結果、補償演算部9は、その全体で次式の伝達関数C(s)で表す演算を行っている。
C(s)=Fn(s)・{Lg1(s)+Gh(s)} (式6)
また上式は次の(式7)〜(式10)に変換される。
C(s)={b2・s^2+b1・s+g0・ωl}/{(s+ωl)・(s/ωn+1)} (式7)
g0=Kp1+Kl1 (式8)
b1=Kp1+Kd1・ωl (式9)
b2=Kd1 (式10)
上記(式7)の補償演算部9の伝達関数C(s)は、後述する所望の特性により、ωlは小さな値、ωnは大きな値に選ばれ、2次の分子多項式の根、すなわち2つの零点は、ωlとωnの間にあるよう設定するものである。
(式7)より、補償演算部9の伝達関数C(s)は、低域フィルタ周波数ωlより小さな周波数領域において、C(s)のsを0とおいた定常ゲインに近づき、次式で近似される。
C(s)≒g0 (式11)
また、補償演算部9の伝達関数C(s)は、ノイズ遮断周波数ωnが十分大きいとしてωnの逆数を0とすると、C(s)の零点より十分大きな周波数領域において次式に近似される。
C(s)≒b2・s (式12)
(式10)および(式12)より、補償演算部9の伝達関数C(s)は、その零点より高い周波数領域では近似的にKd1だけで特性を設定できる。また(式8)および(式11)より、低域フィルタ周波数ωlより低い周波数領域では、Kp1とKl1の和で設定できる。ここで比例ゲインKp1は分子の1次係数b1も変更するため、特に低い周波数領域のゲイン、すなわち定常ゲインだけを変更したい場合は、Kl1だけを変更すればよい。すなわち、零点より高い周波数領域の特性と、低い周波数領域の特性をそれぞれKl1とKd1で独立に設定できることが分かる。
次に、本実施の形態1の効果の説明を行うために、補償演算部9に望まれる特性、特に補償演算部9の伝達関数C(s)と、それを用いた結果である制御系の閉ループ特性との対応について図3を用いて説明を行う。
図3は図1および図2に示した電動パワーステアリング制御装置の動特性を表すブロック図であり、図1に示した構成図と対応付けて説明する。なお、車速に応じた特性の変化は比較的緩やかなものであるため、動特性を表す図3では無視して説明する。
図3において、ステアリングホイール1の角度であるハンドル角度θhを運転者が回転させることで、ステアリング軸2が弾性変形を行い操舵トルクτsを発生する。すなわち、ハンドル角度θhと操舵角度(すなわち操舵輪6およびモータ4の回転角度)θmとの差分を表す角度差分器11によって相対角度θeが生じ、相対角度θeに対して弾性定数部12でステアリング軸2の弾性定数Ksが乗じられることで操舵トルクτsが発生する。また操舵トルクτsはステアリングホイール1へと伝達されるとともに、操舵トルク検出器3(図示せず)で操舵トルクτsを検出して制御ユニット8に入力する。制御ユニット8において演算した電流指令Irに一致するようなモータ電流Imがモータ4へと供給される。ここで、簡単化のために電流指令Irとモータ電流Imは一致するとして説明すると、制御ユニット8の伝達関数は補償演算部9の伝達関数C(s)となる。制御ユニット8からモータ4へと供給されるモータ電流Imによってモータ4でモータトルクτmが発生する。すなわちモータ電流Imに対してトルク定数部13でトルク定数Ktを乗じてモータトルクτmが発生する。次に、モータ4、減速機構5、ステアリング軸2、操舵輪6等から構成される操舵機構に対して、モータトルクτmおよび操舵トルクτsが加わり、また路面反力τdが逆方向に加わる。すなわち、トルク加算器14によって、モータトルクτmと操舵トルクτsの加算および路面反力等の外乱トルクτdを減算したトルクが操舵機構慣性部15に作用し、操舵機構慣性部15が駆動された結果として操舵角度θmを出力する。
次に、制御入力である電流指令Irあるいはモータ電流Imから検出値である操舵トルクτsまでの特性、すなわち制御対象16の特性について、簡易なモデルを用いて説明する。制御対象16の伝達関数をP(s)と記述すると、簡易なP(s)のモデルは次式で表される。なお、数式上の制御対象P(s)の出力の定義は、常用的な古典制御としての説明の便宜上、図3における操舵トルクτsと正負の符号を反転させて記述する。
P(s)=Kt・Ks/(J・s^2+D・s+Ks) (式13)
上式において、Jは操舵機構慣性部15の慣性モーメントであり、Dはステアリング軸2における変形の粘性や摩擦等の影響を表す定数で相対的に小さいものである。上式より、制御対象P(s)は2次共振系として表され、その共振周波数(概ね10[Hz]程度)より数分の1以下の低周波数の領域では、ゲインが周波数に対して平坦な特性となる。また共振周波数より数倍以上の高周波数の領域では、概ね2階積分系の特性に近似され、周波数増大に対してゲインが低下するとともに、位相が概ね−180[deg]で一定な特性になる。
ここで、電動パワーステアリング制御装置の主要な目的は運転者による操舵で発生する操舵トルクτsを補助することであるが、操舵に対抗する力が主に路面反力であることを考慮すると、電動パワーステアリング制御装置の目的は、図3における路面反力τdから操舵トルクτsへ伝達する力を望ましい特性で低減することと考えることができる。そこで、路面反力τdから操舵トルクτsまでの伝達関数を操舵感度Sd(s)と呼ぶことにする。なおこの操舵感度Sd(s)は、路面反力が操舵トルクへ及ぼす影響を表すだけでなく、例えばモータ4で発生するトルクリプルなど、ステアリング軸2に加わる一般的な外乱トルクが操舵トルクへ与える影響を表している。したがって、運転者の操舵感への影響も考慮する必要があるものの、一般には操舵感度Sd(s)のゲインはなるべく広い周波数領域に渡って小さくしたいものである。
制御ユニット8すなわち補償演算部9の伝達関数C(s)および制御対象P(s)からなる開ループの伝達関数を次式のL(s)で表すと、操舵感度Sd(s)は(式15)で表される。
L(s)=C(s)・P(s) (式14)
Sd(s)=P(s)/(1+L(s)) (式15)
上記(式15)における分母の効果より、開ループ伝達関数L(s)のゲインが1(すなわち0[dB])より小さければ、操舵感度Sd(s)のゲイン低減効果を十分に得ることはできないことが解る。したがって、L(s)のゲインが0[dB]と交差するゲイン交差周波数(以下では単に交差周波数と呼ぶ)は制御系の性能を表す大きな指標となる。また一般に制御帯域と呼ばれる周波数もこの交差周波数に対応する。
ここで、上述のように、制御対象P(s)が共振周波数より低い周波数でゲインが平坦な特性となり、その定常ゲインはトルク定数Ktとなる。モータ4にてステアリング軸2で発生する操舵トルクより大きなモータトルクで補助を行う場合、すなわち補償演算部9の伝達関数C(s)のゲインを1/Ktより大きくすると、交差周波数は共振周波数より大きく選ぶ必要があることは容易に理解できる。言い換えると、弾性定数Ksがステアリング軸に与える動的な影響を表す共振周波数は、操舵制御装置の制御帯域に比べて低い周波数領域になるよう、交差周波数を高い周波数に選ぶ必要がある。
具体的には、制御対象P(s)の共振周波数は概ね10[Hz]程度であり、交差周波数は概ね30[Hz]より大きな値に選ばれる。その結果、通常選ばれる交差周波数付近においては、制御対象P(s)の位相は−180[deg]に近い値となる。
次に、上記のような交差周波数の位相が−180[deg]に近い制御対象に対し、ステアリング軸2の弾性定数Ksと同様な比例要素だけで制御を行うと、バネと同様な特性で振動的になり安定性が劣化する。また実際には、制御ユニット8と制御対象16とから構成される制御ループに、電流制御部10の制御遅れや操舵トルク検出器3おける検出遅れ等、簡易モデルに対するモデル化誤差に起因した位相遅れが存在するため、制御系は不安定に発散する。このようなフィードバック制御系においては、交差周波数において、L(s)の位相が−180[deg]に比べて位相余裕と呼ばれる分だけ進んでいる必要がある。なお、この位相余裕は通常は30[deg]程度以上確保する必要がある。
上記の交差周波数付近の特性は、後述する運転者の操舵感に大きく影響する低周波数領域に比べて高い周波数領域の特性を決定づけるが、上記のように開ループ伝達関数L(s)の位相を−180[deg]より進ませるためには、制御対象P(s)の位相が−180[deg]に近いため、制御ユニット8すなわち補償演算部9の伝達関数C(s)を0[deg]より進める必要がある。したがって、補償演算部9の伝達関数C(s)は、交差周波数付近の高周波数領域において微分、あるいは擬似微分に近い特性にする必要がある。その結果、交差周波数付近の高周波数領域において、補償演算部9の伝達関数のゲインは、周波数の増加に対して増大するような特性にする必要がある。
ただし実際には、信号量子化誤差等や微分によって励起するノイズ除去のためのノイズフィルタ107による位相遅れや、上述のように、モデル化誤差に起因した位相遅れが存在することにより、実現可能な交差周波数には上限がある。
次に運転者の操舵感に大きく影響する低周波数領域の望ましい特性について説明する。一般に1Hz〜数Hzより低い低周波数領域では、路面反力の影響を自然に運転者すなわちステアリングホイール1へと伝達する必要がある。そのためには、上述の操舵感度Sd(s)が、低周波数領域で一定、すなわちゲインの周波数特性が平坦である必要がある。
ここで、交差周波数より十分に低い低周波数領域では、通常は開ループ伝達関数L(s)のゲインが0[dB]より十分に大きい。すなわち次式で表される。
|L|>>1 (式16)
(式14)、(式15)、(式16)より、低周波数領域の操舵感度Sd(s)は次式で近似される。
|Sd|≒|P|/|L|=1/|C| (式17)
上式より、(式16)が成り立つ低周波数領域においては、操舵感度Sd(s)のゲイン特性は補償演算部9の伝達関数C(s)のゲインの逆数に近似されることがわかる。したがって、低周波数領域において操舵感度Sd(s)のゲインを周波数に対して平坦に実現するためには、補償演算部9の伝達関数C(s)のゲインを周波数に対して平坦にする必要があることが理解できる。また一般的には、特に車速が小さい場合など、操舵トルクτsに対してモータトルクτmにより補助を行う比率であるアシスト比を大きくすることが望まれる。すなわち、伝達関数C(s)および開ループ伝達関数L(s)の定常ゲインを大きくすることで、操舵感度Sd(s)の定常ゲインを小さくすることが望まれる。一方で、運転状況に応じた運転者の操舵感を適切にするため、車速や操舵トルクτsの大きさに応じて、アシスト比すなわち補償演算部9の伝達関数C(s)の定常ゲインを大きくし過ぎないことが望まれる場合もある。すなわち、補償演算部9の伝達関数C(s)の低周波数領域の特性は運転状況に応じた操舵感を調整するために決定される。
上記のように、伝達関数C(s)および開ループ伝達関数L(s)は、交差周波数付近の高周波数領域では、一般的な外乱に対する補償効果を増大させる目的から、制御系の安定性を確保しつつ、なるべくゲインを大きくするよう設計するのが望ましい。その限界は、制御対象16や制御ユニット8のハードウエア的な性能への依存性が高く、制御対象16の特性が大きく変動しなければ、運転状況によらず、ほぼ一定の特性が望ましい。一方で低周波数領域および定常ゲインは、運転者の操舵感向上を目的に設計される。またこの操舵感に関する特性は、運転状況に応じて、操舵トルクτsの大きさや車速等によって変化させる。すなわち、低周波数領域と高周波数領域で異なる観点から設計を行う必要がある。
次に、上記の低周波数領域と高周波数領域(交差周波数近辺の領域)との中間にあたる中間周波数領域の望ましい特性について説明する。上述のように実現可能な交差周波数には限界がある。一方、上記のように、一般的には開ループ伝達関数L(s)のゲインを大きくすることが望まれる。ここで、交差周波数を、上記の操舵感に大きく影響する低周波数領域の数倍以上に大きくすることができれば、低周波数領域と交差周波数近辺との中間の中周波数領域においては、補償演算部9の伝達関数C(s)のゲインを、周波数の増大に対してゲインが減少するような特性、逆に言えば、周波数の減少に対してゲインが増大するような特性にすれば、交差周波数付近のゲインが制限されても低周波数領域のゲインを増大させることができる。このような特性を実現するためには、補償演算部9の伝達関数C(s)を、この中周波数領域において積分特性に近似されるような特性にすればよい。すなわち、補償演算部9の伝達関数C(s)において、ゲインが平坦な特性が望まれる低周波数領域と中周波数領域との間の周波数に、極を持たせることで実現できる。またその結果として、この中周波数領域において、補償演算部9の伝達関数C(s)の位相は0[deg]より遅れることになる。
ここで、上記で説明した望ましい伝達関数C(s)の特性を持ち、次数も少なく演算が簡単な補償演算部9の構成の一つとして、特許文献1および特許文献2にも記載されている遅れ進みフィルタとゲインの積で表される構成が考えられる。本実施の形態1と対比させるため、このような遅れ進みフィルタとゲインの積で表される補償演算部9の特徴について説明する。
遅れ進みフィルタとゲインの積で表す補償演算部9の伝達関数を(式18)に示す。z1、p1は位相遅れ補償フィルタの零点および極で、p1<z1である。またz2、p2は位相進み補償フィルタの零点および極で、z2<p2である。p1は上記のように低周波数領域と中周波数領域との境界に設定されるもので、p2は上記のノイズ除去等の目的で交差周波数より大きな値に設定されるもの、z1、z2はp1とp2の間の大きさに設定されるものであって、中周波数領域と高周波数領域の境界に相当するものである。
C(s)=K0・{(s/z1+1)/(s/p1+1)}・{(s/z2+1)/(s/p2+1)} (式18)
上式において、位相遅れ補償フィルタと位相進み補償フィルタの積からなる遅れ進みフィルタは、特許文献1および特許文献2にも記載されているよう、通常は定常ゲインが1になるように選択される。このことは「フィルタ」の言葉の持つ意味からも類推できる。このような遅れ進みフィルタを用いたC(s)全体の定常ゲインは、全体に乗じられているゲインK0で設定される。
ここで、上式におけるp1およびp2は、本実施の形態1におけるωlおよびωnと同様な意味を持つため置き換えると、(式18)の伝達関数自体は(式7)に示した本実施の形態1と等価となる。遅れ進みフィルタとゲインの積による補償演算部を本実施の形態1に等価変換した場合の分子多項式の係数は以下となる。
g0=K0 (式19)
b1=K0・ωl(1/z1+1/z2) (式20)
b2=K0・ωl/(z1・z2) (式21)
上記の(式11)および(式12)で説明したように、C(s)の低周波数領域のゲインはg0で決まり、交差周波数付近の高周波数領域の特性はb2だけで近似される。また、上記で説明したように、高周波数領域と低周波数領域の特性は、異なる観点から設計および調整がなされるものであることから、b2およびg0は異なる観点から決定する必要がある。ところが(式18)で表す遅れ進みフィルタとゲインの積の構成でC(s)の演算を行うと、ゲインK0が伝達関数全体に掛かっている。またフィルタの極ωl(=p1)も操舵感の観点から調整するが、これらのゲインK0やフィルタの極ωlを変更するとb2も変化する。すなわち本来はなるべく高い値に設定して変更したくない高周波数領域の特性も変更してしまうことがわかる。
例えば、K0が大きな値で最適になるようにC(s)を決定した後にK0を小さく変化させると、交差周波数は、元々は中周波数領域として設計した周波数領域にまで小さくなり、その結果、上記のように中周波数領域では位相を遅らせる特性としているため、制御系の安定性も劣化してしまうといった問題も生じる。
ここで、特許文献1に記載の技術では、アシスト曲線の線形化ゲインに相当する上記K0の変化を逐次計算してω0を変化させることで上記の問題に対応しており、演算や設計が複雑になっている。また特許文献2に記載の技術では、直列に混合フィルタを追加して、アシスト曲線を用いて低周波数領域のゲインだけを低減するよう、すなわち位相進み補償を追加するように構成することで上記の問題に対応しており、演算量や設計手順の増大を招いている。
一方、本実施の形態1による補償演算部9は上記のように構成しているので、遅れ進みフィルタと同じ次数の簡単な演算で、なるべく大きく設定したい交差周波数付近の高周波数領域の特性はb2すなわちKd1で決定し、操舵感に深く関係する低周波数領域の特性はg0で、すなわちKl1を用いて独立に決定することができる。したがって、体系的かつ簡易な設計が可能となる。
また、上記のように、操舵トルクτsや車速に応じた操舵感を実現するために定める非線形なゲインであるアシスト曲線を用いることで、アシスト曲線の線形化ゲインであるKl1を所望な特性で変化させるが、その際にも、高周波数領域の特性はKd1で決定しているため、安定性に大きく影響する交差周波数付近の特性を劣化させることなく、簡単な演算で所望の特性を実現することができる。
ここで、電動パワーステアリング制御装置に限定しない一般的なモータ制御装置との対比について述べておく。(式7)で示した本実施の形態1における補償演算部9の伝達関数C(s)において、g0・ωlを定数Ki1と置き換えた上で、低域フィルタ周波数ωlを0に近づけると、(式7)の伝達関数C(s)は、Kp1を比例ゲイン、Kd1を微分ゲイン、Ki1を積分ゲインとしたPID制御と呼ばれる形の制御器にノイズ除去フィルタを付加したものと同じであることが分かる。ここで、電動パワーステアリング制御装置では、操舵トルクτsの補助を行うようモータ4にトルクを発生させるため、操舵トルクτsの検出値を増幅してモータトルクτmを発生させるという見方に基づいて設計するのが一般的である。そのため、操舵感を考慮して決定するアシスト曲線を用いた増幅器と、安定性の確保のためのフィルタを直列に構成して補償を行うことが一般的である。一方、電動パワーステアリング制御装置においては、一般的なモータ制御装置のような、位置や速度に対する指令値が存在しないものの、図3に示した本実施の形態1における電動パワーステアリング制御装置の動特性を表す構成図において、ハンドル角度θhを指令値と見做せば、制御ユニット8は、位置指令値と見做せるハンドル角度θhと操舵角度θmとの相対角度すなわち偏差を低減させる働きをしていると言える。すなわち電動パワーステアリング制御装置を、モータ角度制御を行うPID制御と同様のものと見ることができる。また操舵感度Sd(s)のゲイン低減問題も、モータ位置制御において外乱応答特性を整形することと同様に見做せる。このようなモータ角度制御を行う場合、PID制御に基づく制御方式が広く採用されており、従前から多くの知識が体系化されている。このような知識を利用できるといった観点からも、本実施の形態1のパワーステアリング制御装置が、体系的かつ簡便な設計が行えるといえる。
一方で、電動パワーステアリング制御装置においては、一般的なモータの位置制御装置と異なり、相対角度θeの定常値を0に収束させる純粋な積分補償は行えない、低周波数領域の特性は操舵感の観点から設計する必要があるといった特有の要求がある。本実施の形態1はこのような要求に対応するものであり、電動パワーステアリング制御装置特有の効果を有するものである。
次に本実施の形態1の効果をシミュレーション結果のグラフを用いて説明する。図4は、本実施の形態1を用いた場合の、補償演算部9の伝達関数C(s)の周波数応答を、図5は開ループ伝達関数L(s)の周波数応答を、図6は操舵感度Sd(s)のゲインの周波数応答を示している。各図において、低域増幅部103におけるアシスト曲線の線形化ゲインKl1が最大の場合を太実線で、Kl1が0の場合を破線で、その中間の場合を鎖線で示している。これらのシミュレーションに用いた制御対象P(s)は、共振周波数が8[Hz]のものを用いている。
本シミュレーションにおける補償演算部9の伝達関数C(s)の各ゲインの決定方法について説明する。上述のように、ノイズによる悪影響等を考慮しながら交差周波数を決定する。すなわち、交差周波数に対応する高域補償部105の微分ゲインKd1とノイズフィルタ107のノイズ遮断周波数ωnを決定する。本シミュレーションでは交差周波数を40[Hz]、ノイズ遮断周波数ωnをその2.5倍に設定する。
次に操舵感を考慮して、低周波数領域の上限に対応する低域フィルタ102の低域フィルタ周波数ωlを決定する。本シミュレーションでは2[Hz]を選択している。
次に、交差周波数付近の開ループ伝達関数L(s)の位相をあまり遅らせない範囲で、比例補償部104における比例ゲインKp1と、低域増幅部103におけるアシスト曲線の線形化ゲインKl1をなるべく大きくするように決定する。このようにKp1およびKl1を決定することは、(式7)に示した補償演算部9の伝達関数C(s)の零点を、交差周波数の数分の1程度に決定することになる。
ここで、(式18)に示した遅れ進みフィルタとゲインの積による補償演算部9の伝達関数C(s)は、通常、実数の零点しか選ぶことができないが、本実施の形態1では(式7)に示した補償演算部C(s)の零点を複素数に選ぶことが可能で、その分、実現可能な制御特性の範囲が広くなる。また、複素数に選ぶことで、零点付近でのゲインの変化や位相が回復する変化を急峻にすることができ、交差周波数付近の安定余裕を劣化させることなく、開ループ伝達関数L(s)における低周波数領域のゲインをより増大することが可能になる。本シミュレーションでも、零点の減衰係数が1より若干小さい複素数を選択している。
次に、低域増幅部103におけるアシスト曲線を、その線形化ゲインKl1が上記の上限値を超えない範囲で、操舵感を適切にする目的に応じて、操舵トルクτsの大きさおよび車速に従って変化するよう決定する。
本実施の形態1では、上記の手順だけで、本実施の形態1に示した補償演算部C(s)の定数は全て決定される。
図4および図5より、低域増幅部103におけるアシスト曲線の線形化ゲインKl1を変化させることにより、補償演算部9の伝達関数C(s)および開ループ伝達関数L(s)は、低周波数領域のゲインを大きく変動させている。その一方、交差周波数付近の高周波数領域における変動は小さく、交差周波数におけるゲインおよび位相は殆ど変化せずに位相余裕が所望の30[deg]を確保していることが分かる。
また上記のように設計した結果、図6に示した操舵感度Sd(s)は、低周波数領域では常にゲインが所望のとおりに平坦で、線形化ゲインKl1が低下しても安定性の劣化によるSd(s)のゲイン増大は生じなく、設計に従った低周波数領域のゲイン増加だけ、所望の特性として得られていることが分かる。
これらのことから、低周波数領域と高周波数領域とを分離した設計および補償演算部9の動作が実現できていることがわかる。
なお、本実施の形態1において、低域補償部101では低域補償部101において低域増幅部103における増幅演算の後に低域フィルタ102の演算の演算を行うよう説明したが、これらの順序を入れ替えても同様に、操舵トルクτsに対して線形化ゲインKl1とローパスフィルタを乗じた周波数応答特性を有する信号を生成し、同様な効果を得ることができる。ただし、低域増幅部103は通常、微小な入力の変化に対しては出力の変化が小さい不感帯を含む特性を持たせるため、操舵トルクτsが急峻に大きな変化を行った場合を想定すると、上記で説明したように、操舵トルクτsを低域増幅部103で増幅した後に低域フィルタ102によるローパスフィルタ演算を行った場合は、低域フィルタ102の入力が直ちに大きく変化するため、低域補償部101の出力は立ち上がりが鈍るものの、直ちに反応する。一方、これらの順序を逆にした演算を行った場合、低域フィルタ102により操舵トルクτsの立ち上がりを鈍らせた後に、低域増幅部103で不感帯を作用させる。その結果、操舵トルクτsの立ち上がり直後は低域増幅部103の出力が反応しない現象を生じ、低域補償部101の出力の反応が遅くなるという違いがある。
また、比例補償部104では単に比例ゲインKp1を乗じると記述したが、(式10)および(式12)の説明から分かるように、比例ゲインKp1も交差周波数付近の特性に大きくは関与しない。したがって、比例補償部104も低域補償部101と同様に、例えばアシスト曲線を用いた非線形な増幅演算を行っても構わないものである。
また、高域補償部105における微分ゲインKd1は、制御対象P(s)の特性が変化しなければ固定の値としてよいが、車速に応じて制御対象P(s)の特性が変化する場合など、目的に応じて変化させても構わないものである。
上記のように、本実施の形態1の説明において、特に非線形と断っていない乗算において非線形な増幅処理を施してもよく、またそのような場合においても、微小振幅における周波数応答特性を考慮して、補償演算部9の内部における各部の特性を決定できる。
また、補償演算部9の内部における各部の演算において、補償演算部9全体の動作に大きな影響を与えない近似計算をしても良いことは言うもでもない。例えば、ローパスフィルタ特性、すなわち高域ゲインが0となる特性として記述した低域フィルタ102の演算において、高域ゲインが小さな値を持っても構わない。また比例補償部104の演算において、例えば交差周波数より高い周波数成分を除去するローパスフィルタを作用させても構わないことも言うまでもない。また高域補償部105の特性は、微分あるいは擬似微分特性と記述したが、交差周波数より十分低い周波数領域でゲインの周波数応答が平坦で、比例補償部104に比べて微小な定常ゲインを持つような特性としても、制御系全体の特性に与える影響は微小であり、そのような特性も本発明の請求範囲に掛かることも言うまでもない。また、高域補償部105において擬似微分を用いて高域ノイズを励起しないようにした場合など、ノイズフィルタ107を省略してもよいことも言うまでもない。
また、位相遅れ補償部110の出力と高域補償部105の出力を加算器116で加算する構成としたが、加算器116を位相遅れ補償部110における加算器106に統合しても良いことは言うまでも無い。
このように、本実施の形態1によれば、操舵トルク信号に対してアシスト曲線で定めるゲインによる増幅とローパスフィルタとを作用させる低域補償部と、操舵トルク信号に対して比例ゲインによる増幅演算を行う比例補償部と、これらの演算結果を加算することで位相遅れ補償を定数倍した特性を実現する位相遅れ補償部を有し、位相遅れ補償部の出力に基づいて電流指令を算出するようにしたので、簡単な演算で電流指令を算出できるとともに低周波数特性を独立に設定できる。すなわち、演算量が少なく、なおかつ設計が体系的かつ簡便な操舵制御装置を得ることができる。さらに、操舵トルクに基づく信号に対して微分ゲインによる増幅と微分あるいは擬似微分とを作用させる高域補償部を有し、高域補償部の出力を位相遅れ補償部の出力に加算した値に基づいて電流指令を算出するようにしたので、高周波数特性も低周波数特性とは独立に設定でき、操舵感と安定性との要求を満たす電動パワーステアリング制御装置の所望の特性を実現できる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に関わる電動パワーステアリング制御装置について説明する。その全体構成は図1に示したものと同じであり、説明を省略する。図7は本実施の形態2における制御ユニット8の構成を表すブロック図であり、実施の形態1と同一部分には同一符号を記す。実施の形態2の制御ユニット8は、実施の形態1と同じ位相遅れ補償部110を用いるとともに、高域補償部105を除去して、ノイズフィルタ107を位相進み補償部207に置き換えたものである。
制御ユニット8は補償演算部9と電流制御部10から構成され、操舵トルク検出器3で検出した操舵トルクτsと車速検出器7で検出した車速を補償演算部9に入力する。補償演算部9は後述する演算を行った結果として電流指令Irを出力する。電流制御部10は補償演算部9で演算した電流指令Irにモータ4の電流Imが一致するように制御を行う。
次に補償演算部9の演算動作について説明する。補償演算部9は操舵トルクτsを位相遅れ補償部110に入力する。位相遅れ補償部110は実施の形態1と同じ動作を行うため、その詳細な説明は省略する。位相遅れ補償部110の伝達関数は実施の形態1と同様に(式3)で表される。
次に、補償演算部9は位相遅れ補償部110の出力を位相進み補償部207に入力する。
次に位相進み補償部207はその入力に対し、低域ゲインが1、位相進み周波数ωldの零点、所定のノイズ遮断周波数ωn[rad/s]の極を持つような、次式のFld(s)で表す位相進み補償フィルタの演算を行い電流指令Irを出力する。
Fld(s)=(s/ωld+1)/(s/ωn+1) (式22)
上記の結果、補償演算部9は、その全体で次式の伝達関数C(s)で表す演算を行っている。
C(s)=Fld(s)・Lg1(s) (式23)
また(式23)は次の(式24)〜(式27)に変換される。
C(s)= {b2・s^2+b1・s+g0・ωl}/
{(s+ωl)・(s/ωn + 1)} (式24)
g0=Kp1+Kl1 (式25)
b1=Kp1+(Kp1+Kl1)・ωl/ωld (式26)
b2=Kp1/ωld (式27)
上記の(式24)は実施の形態1における補償演算部9の伝達関数C(s)を表す(式7)と全く同じであり、(式8)〜(式10)で表した係数を(式25)〜(式27)に置き換えたものであることが分かる。
ここで、実施の形態1で説明したように、低域フィルタ周波数ωlは操舵感に関係する低周波数領域を定める周波数で交差周波数より低く、またノイズ遮断周波数ωnは交差周波数より大きく設定される。その結果、補償演算部9の伝達関数C(s)の特性は、交差周波数付近の高周波数領域の特性はほぼb2で決定され、低周波数領域の特性はg0で決定される。
本実施の形態2では、位相進み補償部207が補償演算部9の内部で直列に接続されており、その結果、補償演算部9の伝達関数C(s)は位相進み補償部207の実数零点(ωld)を零点として含み、零点が実数に制約されている。その結果、実施の形態1に比べると補償演算部9の伝達関数C(s)の特性の実現可能な範囲に制約があり、性能にも多少の制約を生じる。
また本実施の形態2では、上記の(式27)より、高周波数領域の特性を決定する係数b2は比例ゲインKp1と位相進み周波数ωldの比で決定され、更に比例ゲインKp1は係数b1も変更するため、高周波数領域の特性を決めるパラメータが実施の形態1に比べると複雑さを増している。また、高周波数領域の特性を決定するために比例ゲインKp1を用いて係数b2を変更すれば、係数g0も変化し、低周波数領域の特性も変化させる。
しかしながら、本実施の形態2においても、低域補償部101の低域増幅部103における線形化ゲインKl1は係数g0にだけ関係しており、線形化ゲインKl1の設定で低周波数領域の特性を高周波数領域の特性と独立に設定できることが分かる。
本実施の形態2における補償演算部9の設計手順の例を説明する。位相進み補償部207における位相進み周波数(零点)を所望の交差周波数の数分の1程度に設定し、ノイズ遮断周波数ωnを所望の交差周波数より高く設定する。次に比例補償部104における比例ゲインKp1を大きくすることで(式27)の係数b2に対応する交差周波数を所望の値まで大きくする。次に低域フィルタ周波数を操舵感の観点から低い周波数に設定し、低域増幅部103における線形化ゲインKl1を、交差周波数付近の開ループ伝達関数の位相が遅れない範囲で大きくする。その後、低域増幅部103におけるアシスト曲線を実施の形態1と同様に決定する。
本実施の形態2は上記のように設定することで、低域増幅部103の線形化ゲインKl1の変化に対する制御系の特性は、実施の形態1に比べると多少の制約があるものの、ほぼ同様な特性を実現することができる。また、補償演算部9の次数は実施の形態1と同等であり、計算量も非常に少ないものである。
なお、本実施の形態2において、低周波数領域の補償演算部9の特性を高周波数領域と独立に設定できる理由の本質は、実施の形態1と同様に、位相遅れ補償部110において低域補償部101の演算結果と比例補償部104の演算結果を加算器106で加算し、その結果に基づいて電流指令Irの演算を行っていることにある。
なお、実施の形態1においては、高周波数領域の特性を高域補償部105の微分ゲインKd1を用いて独立に設計できたため、比例補償部104が低域補償部101と同様なアシスト曲線を用いた非線形な増幅演算を行っても構わないと記述したが、本実施の形態2においては、上述のように、比例補償部104の比例ゲインKp1を変化させると高周波数領域の特性も変化させる。したがって比例補償部104の比例ゲインKp1を低域補償部101の低域増幅部103と全く同じ非線形ゲインにすることは望ましくない。しかしながら、例えば不感帯など、低域増幅部103の非線形ゲインに比べると弱い非線形性を持つ増幅演算を行っても構わない。
このように、本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、操舵トルク信号に対してアシスト曲線で定めるゲインによる増幅とローパスフィルタとを作用させる低域補償部と、操舵トルク信号に対して比例ゲインによる増幅演算を行う比例補償部と、これらの演算結果を加算することで位相遅れ補償を定数倍した特性を実現する位相遅れ補償部を有し、位相遅れ補償部の出力に基づいて電流指令を算出するようにしたので、低周波数領域の特性を高周波数領域と独立に設定できるので、体系的かつ簡単な設計で、なおかつ非常に少ない演算量で、操舵感と安定性との要求を満たす電動パワーステアリング制御装置の所望の特性を実現できる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に関わる電動パワーステアリング制御装置について説明する。その全体構成は図1に示したものと同じであり、説明を省略する。図8は本実施の形態3における制御ユニット8の構成を表すブロック図であり、実施の形態1と同一部分には同一符号を記す。本実施の形態3は、実施の形態1における位相遅れ補償部110を、異なる構成で等価な演算を行う位相遅れ補償部310に置き換えたものである。
制御ユニット8は補償演算部9と電流制御部10から構成され、操舵トルク検出器3で検出した操舵トルクτsと車速検出器7で検出した車速を補償演算部9に入力する。補償演算部9は以下で述べる演算を行った結果として電流指令Irを出力する。電流制御部10は補償演算部9で演算した電流指令Irにモータ4の電流Imが一致するように制御を行う。
次に補償演算部9の演算動作について説明する。補償演算部9は操舵トルクτsを位相遅れ補償部310に入力する。位相遅れ補償部310は操舵トルクτsを低域増幅部303に入力する。低域増幅部303は実施の形態1における低域増幅部103と同様に、アシスト曲線によって定める、操舵トルクτsおよび車速に応じて変化する非線形なゲインで増幅する演算を行った結果を出力する。低域増幅部303における非線形なゲインの線形化ゲインをKl3と記述する。
次に位相遅れ補償部310は操舵トルクτsを比例補償部304に入力し、比例補償部304は入力に対して所定の数値である比例ゲインKp3を乗じる演算を行い、その結果を出力する。ただし比例補償部304における演算は低域増幅部303と同様にアシスト曲線を用いた非線形な増幅演算でもよい。
次に位相遅れ補償部310は低域増幅部303の出力と比例補償部304の出力を周波数結合フィルタ311に入力する。周波数結合フィルタ311はその内部において、低域増幅部303の出力から比例補償部304の出力を減算した信号を低域フィルタ302に入力する。低域フィルタ302は実施の形態1における低域フィルタ102と入力は異なるものの、演算は同様に低域フィルタ周波数ωlのローパスフィルタの演算を行った結果を出力する。次に周波数結合フィルタ311は低域フィルタ302の出力と比例補償部304の出力とを加算した結果を出力し、位相遅れ補償部310は周波数結合フィルタ311の出力を出力する。
上記の位相遅れ補償部310において、低域増幅部303の入力から周波数結合フィルタ311の出力までの伝達関数Gl(s)、比例補償部304の入力から周波数結合フィルタ311の出力までの伝達関数Gp(s)、位相遅れ補償部310の入力である操舵トルクτsから位相遅れ補償部310の出力までの伝達関数Lg3(s)はそれぞれ下式となる。
Gl(s)=Kl3・ωl/(s+ωl) (式28)
Gp(s)=Kp3・s/(s+ωl) (式29)
Lg3(s)=Gl(s)+Gp(s)
=(Kp3・s+Kl3・ωl)/(s+ωl) (式30)
ここで、補償演算部9の伝達関数C(s)は実施の形態1において説明したように、通常は低域のゲインが大きくなるように設定されるものである。したがって上記(式30)で示した位相遅れ補償部310の伝達関数Lg3(s)は、低域のゲインが高域のゲインより大きくなるようKl3をKp3より大きく設定する。すなわち、位相遅れ補償部310は位相遅れ補償を定数倍した周波数応答特性を有する演算を行っている。
次に、補償演算部9は実施の形態1と同様に操舵トルクτsを高域補償部105に入力し、高域補償部105は実施の形態1と同様に(式4)の伝達関数Gh(s)で表す、微分ゲインKd1による増幅と微分あるいは擬似微分とを作用させる演算を行い高域補償トルクτhを出力する。
次に、補償演算部9の内部において、加算器116は位相遅れ補償部310の出力と、高域補償部105の出力である高域補償トルクτhを加算し、ノイズフィルタ107に入力する。
ノイズフィルタ107は実施の形態1と同様に、その入力に対して所定のノイズ遮断周波数ωn[rad/s]より高い周波数成分を遮断するような、(式5)のFn(s)で表すローパスフィルタ演算を行い電流指令Irを出力する。
上記の演算の結果、補償演算部9は、その全体で次式の伝達関数C(s)で表す演算を行っている。
C(s)=Fn(s)・{Lg3(s)+Gh(s)} (式31)
また(式31)は次の(式32)〜(式35)に変換される。
C(s)={b2・s^2+b1・s+g0・ωl}/{(s+ωl)・(s/ωn+1)} (式32)
g0=Kl3 (式33)
b1=Kp3+Kd1・ωl (式34)
b2=Kd1 (式35)
上記の(式32)は実施の形態1における補償演算部9の伝達関数C(s)を表す(式7)と全く同じであり、(式8)〜(式10)で表した係数を(式33)〜(式35)に置き換えたものであることが分かる。また、(式34)で設定する係数b1および(式35)で設定する係数b2は、実施の形態1と本実施の形態3で、比例補償部104と、高域補償部105と、ノイズフィルタ107により全く同様に設定していることが分かる。一方、C(s)の定常ゲインを設定するg0は、実施の形態1においては比例補償部104の比例ゲインKp1と低域増幅部103の線形化ゲインKl1の和で設定していたものを、本実施の形態3においては、低域増幅部303の線形化ゲインKl3だけで設定していることが分かる。したがって、本実施の形態3において、低域増幅部303のアシスト曲線を、その線形化ゲインKl3が、比例ゲインKp3と実施の形態1におけるアシスト曲線の線形化ゲインKl1との和に一致するように設定すれば、本実施の形態3は実施の形態1と全く同様に動作することが分かる。
ここで、位相遅れ補償部310は上述の演算を行っているので、低域フィルタ302の出力は、操舵トルクτsに対して、線形化ゲインKl3から比例ゲインKp3を減じた大きさのゲインを乗じた信号に、更に低域フィルタ302のローパスフィルタを作用させた信号である。したがって周波数結合フィルタ311の内部において、操舵トルクτsに対してゲイン(Kl3−Kp3)による増幅とローパスフィルタとを作用させた信号と、操舵トルクτsに対して比例ゲインKp3による増幅を行った信号を加算している。
また、(式28)〜(式30)から容易に分かるよう、位相遅れ補償部310の動作は、低域増幅部303の出力にローパスフィルタを作用させた信号と比例補償部304の出力にハイパスフィルタを作用させた信号とを加算して出力するのと等価である。すなわち周波数結合フィルタ311は低域増幅部303の出力の低周波数成分と比例補償部304の出力の高周波数成分を加算した信号を出力している。また、周波数結合フィルタ311を、低域増幅部303の出力と比例補償部304の出力にそれぞれローパスフィルタとハイパスフィルタを作用させて加算するように構成しても全く同じ効果が得られる。
なお、本実施の形態3における位相遅れ補償部310の動作においては、非線形な増幅演算を行う低域増幅部303による演算の後に、周波数結合フィルタ311における低域フィルタ302のローパスフィルタ演算を作用させるので、実施の形態1において説明したように、低域増幅部303のアシスト曲線が不感帯に近い非線形特性を持っていても、操舵トルクτsが急変した場合に非線形特性の影響で応答が遅くなるようなことは無い。
このように、本実施の形態3によれば、操舵トルク信号に対してアシスト曲線で定めたゲインによる増幅とローパスフィルタとを作用させた信号と、操舵トルク信号に対して少なくとも比例ゲインによる増幅を作用させた信号との加算により、位相遅れ補償を定数倍した特性を実現する位相遅れ補償部を有し、位相遅れ補償部の出力に基づいて電流指令を算出するようにしたので、簡単な演算で電流指令を算出できるとともに低周波数特性を独立に設定できる。すなわち、演算量が少なく、なおかつ設計が体系的かつ簡便な操舵制御装置を得ることができる。さらに、操舵トルクに基づく信号に対して微分ゲインによる増幅と微分あるいは擬似微分とを作用させる高域補償部を有し、高域補償部の出力を位相遅れ補償部の出力に加算した値に基づいて電流指令を算出するようにしたので、高周波数特性も低周波数特性とは独立に設定でき、操舵感と安定性との要求を満たす電動パワーステアリング制御装置の所望の特性を実現できる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4に関わる電動パワーステアリング制御装置について説明する。その全体構成は図1に示したものと同じであり、説明を省略する。図9は本実施の形態4における制御ユニット8の構成を表すブロック図であり、実施の形態1と同一部分には同一符号を記す。本実施の形態4は、実施の形態1における位相遅れ補償部110、あるいは実施の形態3における位相遅れ補償部310を、異なる構成で同様な演算を行う位相遅れ補償部410に置き換えたものである。
制御ユニット8は補償演算部9と電流制御部10から構成され、操舵トルク検出器3で検出した操舵トルクτsと車速検出器7で検出した車速を補償演算部9に入力する。補償演算部9は以下で述べる演算を行った結果として電流指令Irを出力する。電流制御部10は補償演算部9で演算した電流指令Irにモータ4の電流Imが一致するように制御を行う。
次に補償演算部9の演算動作について説明する。補償演算部9は操舵トルクτsを位相遅れ補償部410に入力する。位相遅れ補償部410はその内部において操舵トルクτsを周波数分離フィルタ411に入力する。周波数分離フィルタ411はその内部において操舵トルクτsを低域フィルタ402に入力し、低域フィルタ402は実施の形態1における低域フィルタ102と同様にローパスフィルタの演算を行い、その結果を低域操舵トルク信号として出力する。周波数分離フィルタは低域操舵トルク信号と、操舵トルクτsから低域トルク信号を減算した高域操舵トルク信号とを出力する。すなわち周波数分離フィルタ411は、特許文献1に記載されている混合フィルタと同様に、操舵トルクτsを低周波数成分と高周波数成分とに分離するフィルタである。
次に位相遅れ補償部410はその内部において、低域操舵トルク信号を低域増幅部403に入力する。低域増幅部403は、実施の形態1における低域増幅部103と同様に、低域フィルタ402の出力に対して、非線形かつ車速に応じて変化するアシスト曲線によって定まるゲインで増幅する演算を行って低域補償トルクτlを出力する。低域増幅部403における非線形なゲインの線形化ゲインをKl4と記述する。操舵トルクτsから低域補償トルクτlまでの伝達関数Gl(s)は次式のようにゲインKl4による増幅とローパスフィルタとを作用させた特性を持つ。
Gl(s)=Kl4・ωl/(s+ωl) (式36)
次に位相遅れ補償部410はその内部において、高域操舵トルク信号を比例補償部404に入力し、比例補償部404は入力に対して所定の数値である比例ゲインKp4を乗じる演算を行い、その結果を比例補償トルクτpとして出力する。操舵トルクτsから比例補償トルクτpまでの伝達関数Gp(s)は次式となる。すなわちハイパスフィルタと比例ゲインKp4による増幅を作用させた特性となる。
Gp(s)=Kp4・s/(s+ωl) (式37)
ここで、上記の操舵トルクτsから補償トルクτpまでの伝達関数Gp(s)はハイパスフィルタとゲインを乗じた特性になっており、実施の形態1における(式2)とは異なる特性を持つ。
次に、位相遅れ補償部410は低域補償トルクτlと比例補償トルクτpとの和を出力する。上記の(式36)および(式37)より、操舵トルクτsを入力とする位相遅れ補償部410の伝達関数Lg4(s)は次式となる。
Lg4(s)=(Kp4・s+Kl4・ωl)/(s+ωl) (式38)
ここで、補償演算部9の伝達関数C(s)は実施の形態1において説明したように、通常は低域のゲインが大きくなるように設定されるものである。したがって上記(式38)で示した位相遅れ補償部410の伝達関数Lg4(s)は、低域のゲインが高域のゲインより大きくなるようKl4をKp4より大きく設定する。すなわち、位相遅れ補償部310は位相遅れ補償を定数倍した特性を有する演算を行っている。
次に、補償演算部9は実施の形態1と同様に操舵トルクτsを高域補償部105に入力し、高域補償部105は実施の形態1と同様に(式4)の伝達関数Gh(s)で表す、微分ゲインKd1による増幅と微分あるいは擬似微分とを作用させる演算を行い高域補償トルクτhを出力する。
次に、補償演算部9の内部において、加算器116は位相遅れ補償部310の出力と、高域補償部105の出力である高域補償トルクτhを加算し、ノイズフィルタ107に入力する。
ノイズフィルタ107は実施の形態1と同様に、その入力に対して所定のノイズ遮断周波数ωn[rad/s]より高い周波数成分を遮断するような、(式5)のFn(s)で表すローパスフィルタ演算を行い電流指令Irを出力する。
上記の演算の結果、補償演算部9は、その全体で次式の伝達関数C(s)で表す演算を行っている。
C(s)=Fn(s)・{Lg4(s)+Gh(s)} (式39)
また(式39)は次の(式40)〜(式43)に変換される。
C(s)={b2・s^2+b1・s+g0・ωl}/{(s+ωl)・(s/ωn+1)} (式40)
g0=Kl4 (式41)
b1=Kp4+Kd1・ωl (式42)
b2=Kd1 (式43)
上記の(式40)は実施の形態1および実施の形態3における補償演算部9の伝達関数C(s)を表す(式7)および(式32)と全く同じである。また(式41)〜(式43)で表した係数も、実施の形態3における(式33)〜(式35)において、低域増幅部303の線形化ゲインKl3および比例補償部304の比例ゲインKp3を本実施の形態3における低域増幅部403の線形化ゲインKl4および比例補償部404の比例ゲインKp4に置き換えたものと全く同じであることが分かる。したがって、本実施の形態4は実施の形態3と同様な動作を行うことがわかる。
なお、本実施の形態4における位相遅れ補償部410の動作においては、周波数分離フィルタ411における低域フィルタ402のローパスフィルタ演算の後に、低域増幅部403による非線形な増幅演算を作用させるので、実施の形態1において説明したように、低域増幅部303のアシスト曲線が不感帯に近い非線形特性を持たせていると、操舵トルクτsが急変した場合に非線形特性の影響で応答が遅くなるという、実施の形態3に比べた短所がある。
このように、本実施の形態4によれば、実施の形態1と同様に、低周波数領域と高周波数領域との特性をそれぞれ独立に設定でき、非常に体系的かつ簡単な設計で、なおかつ非常に少ない演算量で、操舵感と安定性との要求を満たす電動パワーステアリング制御装置の所望の特性を実現できる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5に関わる電動パワーステアリング制御装置について説明する。その全体構成は図1に示したものと同じであり、説明を省略する。図10は本実施の形態5における制御ユニット8の構成を表すブロック図であり、実施の形態2および実施の形態4と同一部分に同一符号を示す。本実施の形態5は、実施の形態2における位相遅れ補償部110を実施の形態4における位相遅れ補償部410に置き換えたものである。
制御ユニット8は補償演算部9と電流制御部10から構成され、操舵トルク検出器3で検出した操舵トルクτsと車速検出器7で検出した車速を補償演算部9に入力する。補償演算部9は以下で述べる演算を行った結果として電流指令Irを出力する。電流制御部10は補償演算部9で演算した電流指令Irにモータ4の電流Imが一致するように制御を行う。
次に補償演算部9の演算動作について説明する。補償演算部9は操舵トルクτsを位相遅れ補償部410に入力する。位相遅れ補償部410は実施の形態4における位相遅れ補償部410と全く同様な演算を行う。すなわち、(式38)で表される伝達関数Lg4(s)においてKl4をKp4より大きく設定することにより、位相遅れ補償を定数倍した特性の演算を行う。
次に補償演算部9は位相遅れ補償部410の出力を位相進み補償部207に入力し、位相進み補償部207は実施の形態2と全く同様に、(式22)のFld(s)で表す位相進み補償フィルタの演算を行い電流指令Irを出力する。
上記の結果、補償演算部9は、その全体で次式の伝達関数C(s)で表す演算を行っている。
C(s)=Fld(s)・Lg4(s) (式44)
また(式44)は次の(式45)〜(式48)に変換される。
C(s)={b2・s^2+b1・s+g0・ωl}/{(s+ωl)・(s/ωn+1)} (式45)
g0=Kl4 (式46)
b1=Kp4+Kl4・ωl/ωld (式47)
b2=Kp4/ωld (式48)
上記の(式45)は実施の形態1における補償演算部9の伝達関数C(s)を表す(式7)、また実施の形態2の補償演算部9の伝達関数C(s)を表す(式23)と全く同じである。更に、その係数である(式46)〜(式48)は、実施の形態2における(式25)〜(式27)におけるKl1とKp1の和をKl4に、Kp1をKp4に置き換えることで、実質的に全く同じであることが分かる。
したがって、本実施の形態5において、低域増幅部403のアシスト曲線を、その線形化ゲインKl4が、比例ゲインKp4と実施の形態2におけるアシスト曲線の線形化ゲインKl1との和に一致するように設定すれば、本実施の形態5は実施の形態2と全く同様に動作することが分かる。
なお、本実施の形態5と特許文献2に記載の技術との比較を述べておく。特許文献2に記載の技術は、本実施の形態5における位相進み補償部207を、遅れ補償フィルタと進み補償フィルタの積である遅れ進みフィルタに置き換えた構成となっている。したがって本実施の形態5に比べて演算量の増大が生じている。また、特許文献2に記載の技術では、上記の遅れ進みフィルタにて定常ゲインすなわち低周波数領域のゲインが、相対的になるべく大きくなるように設定した後、本実施の形態5における位相遅れ補償部410に相当する混合フィルタにて、非線形なゲインを用いて定常ゲインを低減するように構成している。すなわち特許文献2に記載の技術では、本実施の形態5における位相遅れ補償部410に相当する混合フィルタにて、位相遅れ補償でなく位相進み補償特性の演算を行っている。これらの結果、本実施の形態5が位相遅れ補償部410の部分だけで、低周波数領域の特性を決定する定常ゲインg0と極ωlとを設定しているのに対して、特許文献2に記載の技術では、低周波数領域の特性を決定するために、混合フィルタの定常ゲインと、遅れ進み補償フィルタの極と、混合フィルタの極あるいは零点を、相互に関連しながら設計する必要が生じる。すなわち本実施の形態5の方が計算量が少なく、補償演算部の各部の動作や設計が体系的かつ簡単であることが分かる。
またこのように、特許文献2に記載の技術より体系的かつ簡単に実現できる理由は、本実施の形態5における位相遅れ補償部410において、低域フィルタ402、低域増幅部403、比例補償部404の作用により、操舵トルクτsに対して低域フィルタ402のローパスフィルタと低域増幅部403における線形化ゲインKl4による増幅を作用させた信号と、操舵トルクτsに少なくとも比例補償部404の比例ゲインKp4を作用させた信号を加算する演算により、位相遅れ補償部410が位相遅れ補償を定数倍した特性となるよう構成していることによっている。この理由により、位相遅れ補償の出力に対して遅れ進み補償でなく、位相進み補償部207による位相進み補償だけを施すことができる。
また本実施の形態5では、実施の形態4と同じ位相遅れ補償部410を用いているため、実施の形態4と同様に、操舵トルクτsが急変した場合に非線形特性の影響で応答が遅くなるという、実施の形態2に比べた短所がある。
このように、本実施の形態5によれば、実施の形態1に比べると補償演算部9の伝達関数C(s)の特性の実現可能な範囲に制約があり、性能にも多少の制約を有し、また、高周波数領域の特性の設定が実施の形態1に比べると複雑さを増しているものの、低周波数領域の特性を高周波数領域と独立に設定でき、体系的かつ簡単な設計で、なおかつ少ない演算量で、操舵感と安定性との要求を満たす電動パワーステアリング制御装置の所望の特性を実現できる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6に関わる電動パワーステアリング制御装置について説明する。その全体構成は図1に示したものと同じであり、説明を省略する。図10は本実施の形態6における制御ユニット8の構成を表すブロック図であり、実施の形態5および実施の形態3と同一部分に同一符号を示す。本実施の形態6は、実施の形態5における位相遅れ補償部110を実施の形態3における位相遅れ補償部310に置き換えたものである。
制御ユニット8は補償演算部9と電流制御部10から構成され、操舵トルク検出器3で検出した操舵トルクτsと車速検出器7で検出した車速を補償演算部9に入力する。補償演算部9は以下で述べる演算を行った結果として電流指令Irを出力する。電流制御部10は補償演算部9で演算した電流指令Irにモータ4の電流Imが一致するように制御を行う。
次に補償演算部9の演算動作について説明する。補償演算部9は操舵トルクτsを位相遅れ補償部310に入力する。位相遅れ補償部310は実施の形態3における位相遅れ補償部310と全く同様な演算を行う。すなわち、(式38)で表される伝達関数Lg3(s)においてKl3をKp3より大きく設定することにより、位相遅れ補償を定数倍した特性の演算を行う。
次に、補償演算部9は位相遅れ補償部310の出力を位相進み補償部207に入力し、位相進み補償部207は実施の形態5と同様に位相進み補償フィルタの特性を持つ演算を行って電流指令Irを出力する。
本実施の形態6は上記のように動作するので、実施の形態5と比較すると、実施の形態4の位相遅れ補償部410が周波数分離フィルタ411の演算の後で低域増幅部403および比例補償部404の演算を行っていたのに対し、本実施の形態6では実施の形態5における周波数分離フィルタ411の代わりに周波数結合フィルタ311を用い、低域増幅部303および比例補償部304の後で周波数結合フィルタの演算を行うという、非線形な演算と線形なフィルタの計算順序が異なるだけの構成である。実施の形態5による構成の場合、周波数分離フィルタ411における低域フィルタ402の演算の後に低域増幅部403が作用するため、実施の形態1にて説明したように、操舵トルクτsが急峻に変化した場合など、低域増幅部403におけるアシスト曲線が不感帯に近い特性を持つ場合に反応が遅くなるという短所があるが、本実施の形態6においては、そのような反応の遅れが無いという特徴がある。
このように、本実施の形態6によれば、実施の形態5と同様に、実施の形態1に比べると補償演算部9の伝達関数C(s)の特性の実現可能な範囲に制約があり、性能にも多少の制約を生じるとともに、高周波数領域の特性の設定が実施の形態1に比べると複雑さを増しているものの、低周波数領域の特性を高周波数領域と独立に設定でき、体系的かつ簡単な設計で、なおかつ少ない演算量で、操舵感と安定性との要求を満たす電動パワーステアリング制御装置の所望の特性を実現できる。
以上のように、本発明にかかる電動パワーステアリング制御装置は、モータにより操舵力の補助を行う電動パワーステアリング制御装置に適用して好適である。
実施の形態1による電動パワーステアリング制御装置の構成を示す図である。 実施の形態1による電動パワーステアリング制御装置における制御ユニットの構成を示すブロック図である。 実施の形態1による電動パワーステアリング制御装置の動特性を表すブロック図である。 実施の形態1による電動パワーステアリング制御装置における制御ユニットの周波数応答を表す図である。 実施の形態1による電動パワーステアリング制御装置を用いた開ループ伝達関数の周波数応答を表す図である。 実施の形態1による電動パワーステアリング制御装置を用いた操舵感度の周波数応答ゲインを表す図である。 実施の形態2による電動パワーステアリング制御装置における制御ユニットの構成を示すブロック図である。 実施の形態3による電動パワーステアリング制御装置における制御ユニットの構成を示すブロック図である。 実施の形態4による電動パワーステアリング制御装置における制御ユニットの構成を示すブロック図である。 実施の形態5による電動パワーステアリング制御装置における制御ユニットの構成を示すブロック図である。 実施の形態6による電動パワーステアリング制御装置における制御ユニットの構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリング軸
3 操舵トルク検出器
4 モータ
5 減速機構
6 操舵輪
7 車速検出器
8 制御ユニット
9 補償演算部
10 電流制御部
11 角度差分器
12 弾性定数部
13 トルク定数部
14 トルク加算器
15 操舵機構慣性部
16 制御対象
101 低域補償部
102 低域フィルタ
103 低域増幅部
104 比例補償部
105 高域補償部
106 加算器
107 ノイズフィルタ
110 位相遅れ補償部
116 加算器
207 位相進み補償部
302 低域フィルタ
303 低域増幅部
304 比例補償部
310 位相遅れ補償部
311 周波数結合フィルタ
402 低域フィルタ
403 低域増幅部
404 比例補償部
407 位相進み補償部
410 位相遅れ補償部
411 周波数分離フィルタ

Claims (8)

  1. 運転者が加えた操舵トルクに対してモータによる補助を行う電動パワーステアリング制御装置において、
    前記操舵トルクを操舵トルク信号として検出する操舵トルク検出器と、
    前記操舵トルク信号に対して第1のゲインによる増幅とローパスフィルタとを作用させた信号と前記操舵トルク信号に対して少なくとも第2のゲインによる増幅を作用させた信号とに基づいて、前記操舵トルク信号に対して位相遅れ補償を定数倍した周波数応答特性を有する演算を行う位相遅れ補償部と、
    前記位相遅れ補償部の出力に基づく電流指令に前記モータの電流が一致するよう前記モータの制御を行う電流制御部と、
    を備えることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 前記位相遅れ補償部は、前記第1のゲインを少なくとも前記操舵トルク信号を用いて定めることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  3. 前記位相遅れ補償部は、
    前記操舵トルク信号に対して前記第1のゲインによる増幅とローパスフィルタとを作用させた信号を生成する低域補償部と、
    前記操舵トルク信号に対して前記第2のゲインによる増幅を行う比例補償部と、
    前記低域補償部の出力と前記比例補償部の出力との加算する加算器と、
    を備え、
    前記電流制御部は、前記加算器の出力に基づく電流指令に前記モータの電流が一致するよう前記モータの制御を行う、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  4. 前記低域補償部は、
    前記操舵トルク信号を前記第1のゲインにより増幅する低域増幅部と、
    前記低域増幅部の出力に対してローパスフィルタの演算を行う低域フィルタと、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  5. 前記位相遅れ補償部は、
    前記操舵トルク信号に対して前記第1のゲインにより増幅する低域増幅部と、
    前記操舵トルク信号を前記第2のゲインで増幅する比例補償部と、
    前記低域増幅部の出力の低周波数成分と前記比例補償部の出力の高周波数成分とを加算した信号を生成する周波数結合フィルタと、
    を備え、
    前記電流制御部は、前記周波数結合フィルタが生成した信号に基づく電流指令に前記モータの電流が一致するよう前記モータの制御を行う、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  6. 前記位相遅れ補償部は、
    前記操舵トルク信号の低周波数成分と高周波数成分を分離する周波数分離フィルタと、
    前記操舵トルク信号の低周波数成分を前記第1のゲインによる増幅する低域増幅部と、
    前記操舵トルク信号の高周波数成分を前記第2のゲインで増幅する比例補償部と、
    前記低域増幅部の出力と前記比例補償部の出力とを加算する加算器と、
    を備え、
    前記電流制御部は、前記加算器の出力に基づく電流指令に前記モータの電流が一致するよう前記モータの制御を行う、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  7. 前記操舵トルク信号に対して第3のゲインによる増幅と微分または擬似微分とを作用させる高域補償部をさらに備え、
    前記電流制御部は、前記位相遅れ補償部の出力と前記高域補償部の出力とを加算した信号に基づく電流指令に前記モータの電流が一致するよう前記モータの制御を行う、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
  8. 前記位相遅れ補償部の出力に対して位相進み補償フィルタの特性を有する演算を行い、該演算結果を電流指令として出力する位相進み補償部をさらに備え、
    前記電流制御部は、前記位相進み補償部が出力した前記電流指令に前記モータの電流が一致するよう前記モータの制御を行う、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
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