図1は6本リブの傘の場合の斜視図、図2は同傘をリブの要素を抽出した構造図である。リブ1、3、5を陽リブ、リブ2、4,6を陰リブとして2グループに分け、シャフトのトップのノッチに陽リブの3本が固定されているが、ストレッチャーが無い。一方、陰リブはストレッチャーに支えられているが、ノッチに接続がなく、ストレッチャー・ブリッジがジョイント間を連結している。
図3は、2層構造の陽部品である。図で示すとおり、この傘の陽リブにはストレッチャーがない。陽リブは、特殊なノッチで接続され、リブの開閉の動きに抵抗を持たせるように調整されている。またイ、ロ、ハは、傘生地の折り目をつけるための補助リブで、柔らかい樹脂でできている。ここの外周部(露先側)に、次に説明する陰部品の陰リブが接続され、着脱可能にもなっている。
図4は2層構造の陰部品である。陰リブはノッチまで伸びることなく、ストレッチャーとのジョイント(ダボ)までで構成されている(ただし、ダボを超えて、より中心部にリブが伸びる応用も考えられる。これらは傘生地など他の部品の条件によって長さを選ぶことは自由だ)。陰リブは露先側だけにしないので、ノッチには接続されない。陰リブ側に2、4,6の三本の陰リブとストレッチャーのジョイントを頂点とした三角形をつなぐ支柱として、新たな部品「ストレッチャー・ブリッジ」がある。陰側には傘生地がない。
図5のように、陰側のシャフトのトップと、陽側のシャフトのボトムが、ネジで接続できる。ネジはロックができる機構を有し、使用中に緩まないような仕様となっている。
図6は、陰リブと陽側の傘生地との接続部である。方法はいくつかの案が想定されるが、磁気による接続、金属の留め具による接続、マジックテープ(登録商標)など、どの方法でも採用できる。ここでの重要なことは陰リブに傘生地が露先(外周)近くしか接続していないということである。傘生地を畳む(巻き取る)際に生地は外周部ほど移動量が多い。内周の生地は回転が始まるとすぐに巻き終わるので、力のほとんどが外周辺に集中した方がよいためである。ただし、この接続幅に関しては傘の大きさ、傘生地、ほかの部品条件によって増減をする。
図7は、磁気を応用した回転力を発生させるランナーとシャフトの構造と断面図である。ランナーの上部に回転する部分があり、ここにストレッチャーが接続される。このランナー回転部の内部には、磁石が2組対極上に配置されている。また、シャフト側にも磁石がランナーとは、逆向きに配置された磁石が内蔵されている。
図8は、その動きの一例である。ランナーがシャフト上を摺動すると、シャフト内の磁石配置がシャフトの高低によって配置位置を変えているため、その磁界の変化に追随してランナー回転部を回転させる。図では45度のスレッド移動を繰り返させることで、ランナー回転部を回転させ、その結果、回転部に接続されたストレッチャーを回転させることができる。
図9は、シャフト内の磁気パターン(磁石の配列)を展開図例で、その上をランナー回転部の磁石が、どのように移動するかの軌跡を記したものである。ランナーがシャフトの摺動することで、シャフトの磁界が変化するので、ランナー回転部の磁石がスレッド移動をしていくことになる。磁気パターンは傘の大きさ、傘生地、シャフトの太さ、ストレッチャーの本数によっていろいろな組み合わせが可能ではあるが、ここではシャフト中に螺旋階段ように磁石を配置している。
図10は、図9と同じシャフトの展開図である。シャフトとランナー回転部内経側(シャフトとの接触面)には凹凸が作れていて、ランナーがシャフトを摺動すると、シャフト内の凸部とランナー回転部の凸部がぶつかり、位置を物理的に制御する。図9では、磁界による変化で、ランナー回転部に回転運動を提供することを目的としているが、図10の凹凸デザインは、磁界領域外によるランナーの回転を抑制と、磁界領域内におけるランナーの回転補助を目的としている。磁力による回転が十分に行われなかった場合に、物理的な弾性力で回転を促すために凸部が作られているのである。凸部は、ランナー回転部、シャフトでそれぞれ、凸部の外周が円形なるようにデザインされており、両者の接触面積が小さくなるように設計され、摩擦による影響を極力排除している。また、シャフト側に対してランナー回転部の円の半径を大きくとっていること、シャフト側の円の配置を、磁気パターンに合わせて波状に配列されている。また、シャフトの凸部デザインを円ではなく、連続した波状の溝を作ることで同様の効果をもたせることも可能である。
図11は、シャフト(陰側)の全体図である。シャフトは磁気による回転領域をハンドル近くの一部としている。これは摺動限定領域でまず傘をある程度閉じてから、陰リブを回転させる動作をさせるためである。また、玉留近くにある摺動限定領域下は、傘を回転させ、傘生地を閉じた後に、玉留に閉じるための稼働に使われると共に、傘を開く初期過程にある程度リブを開かせ、傘生地に隙間を与えることで、傘生地を開く動作(回転)を補助する。
図12は、ストレッチャー同士を接続させた「ストレッチャー・ブリッジ」を横から見たものである。ブリッジの中間点にリブ・スタンドがある。これは、陽側のリブを下から支える役目を担っている。リブ・スタンド10はストレッチャー・ブリッジの中に収まっていて、その支点近くにはリブ・ワイヤーが張られている。リブ・ワイヤーは、ワイヤー留とジョイントを経由し、片側のリブとつながっている。ブリッジの開閉でワイヤーが張られ、リブ・スタンドが起きると共に、リブも外側に開く動作を可能にしている。
図13は、そのジョイント部分の拡大図である。リブ・ワイヤー30がジョイント内部を経由してリブとつながっている。向こう側には、もう一方のリブ・ブリッジと接続される(こちら側にはリブ・ワイヤーはない)。
一連の傘を閉じる動作は以下の図14の通りとなる。図14は、傘生地のたたみ方を傘のハンドル側から見た図である。
傘を開いた状態から、ランナーをキャップに向けてシャフト上を摺動させると、陰ストレッチャーが閉じ始め、陰リブが閉じ始めると共に、ストレッチャー・ブリッジも閉じ始める(24の領域)。ここで陽リブは特殊なノッチのおかげで、まだ開いた状態に近い。ここで陰と陽リブに高低差が生じる。さらに、ランナーがキャップ方向に摺動すると、シャフトの25領域に入るので、ランナーと一部の陰ストレッチャーの接続パーツが回転を始め、陽リブにはストレッチャーが存在しないため、陰リブがその下を潜る形で傘生地を巻き込みながら回転する。回転が進むと陽リブに対しても傘生地の張力により閉じる力が加わっていく。陰リブが傘生地を巻き込みつつ、陽リブがその後を追うようにして閉じていき、傘生地を畳むことができる。傘生地を畳むのには、シャフト・ランナー回転部の径や、傘生地にも拠るが、1.3?1.5回転でほぼ傘生地を畳むことができる。最後に、26領域で傘を閉じる。開く場合は、26の領域で傘を開き、ある程度の傘生地に隙間を持たせ、その後に、回転しながら傘を開くという、逆の手順をたどればよい。
上記の傘生地がランナー回転部の回転によって畳まれる際に、陽リブが回転方向に引き込まれリブを曲げる応力(ここでは「ねじれ応力」とする)が働く。この応力に対抗するため、陽リブは、図15でみるように、複数の繊維が回転面に対して並んで結合した構造となっている。一方、補助リブは、陽リブよりも細く材質も柔軟な材質で作られている。
図16は、ノッチを下側(ハンドル側)から見た図となる。陽リブは、傘生地面に広がった三角形の器具にしっかりと固定され、シャフト方向への開閉稼働は可能だが、「ねじれ応力」には抗する構造になっている。一方、補助リブは自由に稼働が可能で、ノッチ・ワイヤーでつながっており、張力がある。また、傘生地はシャフトまでつながっていないで、ノッチの上に付けられた蓋で傘生地中心の穴をカバーしている。
図17は、本実施例の傘を構成する陽部品と陰部品の組み合わせの多様性を示す図である。図17に示すように、陽部品として傘生地を交換できるので、「通勤用」「休日用」「日傘」など、服装や使用目的に合わせて傘の生地(素材)を変えたり、色を変えたり、また、傘生地に合わせてハンドルを変えたりも可能である。さらに、杖などのオプションを使えば、傘と杖を兼用できることで、登山などアウトドアで軽量化にもつながる。
以上説明した本発明の実施例1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
傘を閉じる際に、濡れた傘生地を畳むことを閉じる行為の中に含ませることで自動化に近い効果を生みだし、傘生地までを畳む行為を促進させることができると共に、傘は閉じていても濡れた傘生地が開いていることによる、使用者や使用者周辺に発生する問題を解決することができる。また、傘生地を含む陽部品を陰部品から分離できるため、1つの傘に複数の傘生地を着替えさせることができる。また、傘生地、ハンドルを分離できることで、それぞれのパーツが壊れたときの補修にも優れている。特に、傘生地とリブの部分は、傘が壊れる弱い部分であるが、ここを分離交換できるので、資源を有効利用した環境にやさしい傘、ともいえる。
尚、本実施例において、各種変形例が考えられる。例えば、例では6本リブを想定し、陰陽3本ずつに分けて説明したが、8本リブ、10本リブと2n本リブ拡張でき(nは自然数)、ストレッチャー・ブリッジも6本リブでは3角形を作るようにつながっていたが、8本リブでは4角形、10本リブでは5角形、2n本リブ時にはn角形となる。また、陽部品側を「傘生地を回転させる」役目とし、陰部品側を「傘を閉じる」役目として、それぞれの陰と陽の役目分担を変えることも可能である。また、例えば、「ストレッチャー・ブリッジ」を外す構造もある。陰リブをノッチまで伸ばして接続させ、陽側のノッチとは別に、シャフトに対して回転できるようなノッチを設ければ、傘生地を畳む動作を可能にすることができる。
図18は、本発明の実施例2による傘の全体を示す斜視図であり、図19は、同傘を陽部品100と陰部品200とに分離した状態を示す斜視図である。図示の傘は、12本リブタイプの傘である。
陽部品100は、主たる構成要素として、陽側シャフト105と、陽側シャフトの上端に設けられるノッチ102と、複数の第1のリブ111及び複数の第2のリブ112からなるリブ群と、当該リブ群により裏面が支持される傘生地108とを含む。複数の第1のリブ111及び複数の第2のリブ112は、ノッチ102から放射状に傘生地108の縁部まで延在する。第1のリブ111及び第2のリブ112は、周方向に見て交互に存在する。従って、図示の実施例では、周方向に見て交互に第1のリブ111及び第2のリブ112が、それぞれ計6本存在する。
複数の第1のリブ111及び複数の第2のリブ112は、一般的な傘と同様、傘の周方向外側の縁部にて傘生地108に接続される。また、複数の第1のリブ111は、好ましくは、後述の如く傘生地108が適切に畳まれるようにするため、傘の周方向外側の縁部以外の箇所(例えば、後述のストレッチャー230との接続部)においても、傘生地108に結合される。同様に、複数の第2のリブ112は、傘の周方向外側の縁部以外の箇所においても、傘生地108に結合されてもよい。
複数の第2のリブ112は、典型的には、金属材料により構成され、一般的な傘のリブと同様に、陽側シャフトの軸方向に沿って見て陽側シャフトの周面の接線方向に平行な軸まわりに回転可能な態様で、ノッチ102に接続される。また、複数の第1のリブ111は、好ましくは、後述のストレッチャー230との接続部よりも上側(傘の周方向外側)では軟質材料(例えば軟質樹脂)からなる線状の部材で構成され、同接続部よりも下側(傘の周方向内側)では金属材料や硬質樹脂のような高剛性の材料で構成される(図37参照)。或いは、複数の第1のリブ111は、陽側シャフトの軸方向に沿って見て陽側シャフトの周面の接線方向に平行な軸まわりに回転可能で、且つ、同接線方向及び第1のリブ111の延在方向の双方に垂直な方向の軸まわりに回転可能な態様で、ノッチ102に接続される。
尚、第1のリブ111及び第2のリブ112の好ましい構成(ノッチ102との接続態様を含む)は、後に図35乃至図38を参照して詳説する。
陰部品200は、主たる構成要素として、陽側シャフト105の下端に上端が接続される陰側シャフト204と、陰側シャフト204の下端側に設けられるハンドル211と、陰側シャフト204に設けられ、陰側シャフト204の軸方向に摺動可能なランナー210と、複数のストレッチャー230と、回転力発生機構270とを含む。尚、本例では、陰側シャフト204は、基本断面が円形であり、これに対応して、ランナー210の内周面は、陰側シャフト204の外周面に沿う周形状を有する。ランナー210は、また、陰側シャフト204の軸まわりに回転可能なランナー回転部212(図32及び図33参照)を備える。
複数のストレッチャー230は、リブ群のうちの一部の複数のリブのみに上端がそれぞれ接続され、ランナー210に下端がそれぞれ接続される。本例では、複数のストレッチャー230は、複数の第1のリブ111のそれぞれに一対一の関係で接続される。従って、本例ではストレッチャー230は6個である。
図20は、陰部品200の6個のストレッチャー230を平面上に展開した状態で示す平面図である。各ストレッチャー230は、ひし形の形態を有する。即ちストレッチャー230は、4本の棒部材(ストラクチャー)231,232,233,234を各辺とするひし形の形態を有する。各ストレッチャー230は、ひし形の隣接する2辺が、両側で隣接するそれぞれのストレッチャー230の1辺を共有する関係を有する。即ち棒部材231,232は隣接する各ストレッチャー230間で共通である。複数のストレッチャー230のそれぞれのひし形の下側の頂点部分は、陰側シャフト204の軸まわりに回転可能なランナー回転部212(図32及び図33参照)に接続される。即ち、各棒部材231,232は、ランナー210のランナー回転部212に対して放射状に延在し、それぞれの下側の端部がランナー210のランナー回転部212に接続される。ストレッチャー230の棒部材231,232の下端とランナー回転部212との接続態様は、一般的な傘におけるストレッチャーとランナーとの接続態様と同様であり、紙面内におけるランナー210の周面の接線方向に平行な軸まわりに回転可能に接続される。また、棒部材232と棒部材233及び棒部材234とは、図20のX部の拡大図である図21にて矢印A1,A2で示すように、紙面垂直方向(ひし形の平面の法線方向)の回転軸まわりに回転可能に接続されると共に、図21にて矢印A3,A4で示すように、棒部材232の軸方向に平行な回転軸まわりに回転可能に接続される。この接続態様は、棒部材231と棒部材233及び棒部材234についても同様である。また、複数のストレッチャー230のそれぞれのひし形の上側の頂点部分は、互いに対して離反している。この頂点部分において、各ストレッチャー230の棒部材233と棒部材234とは、紙面垂直方向(ひし形の平面の法線方向)の回転軸まわりに回転可能に接続される。
図22は、特定の1つのストレッチャー230の上端(ひし形の上側の頂点部分)と、それに対応する1つの第1のリブ111との間の接続態様を示す図である。図22は、棒部材233及び棒部材234により画成される面が紙面に対して垂直面になる方向で当該接続態様を示す図である。ストレッチャー230の上端は、接続部材235を介して第1のリブ111側の接続部材111aに接続される。ストレッチャー230の上端と接続部材235とは、紙面垂直方向の回転軸(図示せず)まわりに回転可能に接続される。接続部材235と第1のリブ111側の接続部材111aとは、上述の実施例1における陰リブと陽側の傘生地との接続部と同様、磁石やマジックテープ(登録商標)等を用いて離脱可能に接続される。接続部材235及び第1のリブ111側の接続部材111aは、好ましくは、それぞれ図22中に示す符号B1,B2が付された接続面、即ち磁石のSN極を2つ組み合わせた接続面を有する。これにより、後述する陰陽部品を接続する際に接続のずれが防止する。尚、図22には、後述する係合フック240が示されている。係合フック240は、対角関係に位置する特定の2つのストレッチャー230(例えば、図20にて符号Cで指示された2つのストレッチャー230)の上端にそれぞれ結合されている。
各ストレッチャー230は、上述のような構成を有することにより、傘の開閉操作時、それぞれひし形を維持しつつ(但し、ひし形の各頂点の角度は変化する)、開閉する。これにより、一般的なストレッチャー構造よりも強化され壊れにくい構造を実現することができる。
次に、図23乃至図31を参照して、回転力発生機構270の構成及び機能の詳細を説明する。
図23は、本実施例の傘における陰側シャフト204と回転力発生機構270及びその関連部分を示す図である。尚、図23では、明瞭性のため、傘生地108等については図示が省略されている。図24(A)は、図23のラインD1−D1に沿った陰側シャフト204の断面図であり、図24(B)は、図23のラインD2−D2に沿った陰側シャフト204の断面図である。図25は、図23のラインD3−D3に沿った断面図である。図26は、回転力発生機構270の一部を示す斜視図である。図27は、金属プレート278,279の端部構造を示す斜視図である。図28は、図25のZ部の拡大図である。図29は、係合フック240とホルダ278A,279Aの係合状態を示す図である。
特に、図23、図25、図28及び図29は、傘が閉じられていく過程(即ち、ライナー210が下方向に下げられていく過程)で生ずる係合フック240が後述のホルダ278A,279Aに係合するポイント(以下、「係合ポイント」という)での状態を示す。係合ポイントは、傘生地108が畳まれ始めるポイント(即ち畳まれ開始ポイント)に対応する。
図23に示すように、陰側シャフト204は、上述の如く、上端が陽側シャフト105に離脱可能に接続される。この接続態様は、上述の実施例1において図5を参照して説明した接続態様と同様であってよい。
回転力発生機構270は、図25に示すように、陰側シャフト204まわりに嵌合される嵌合リング271と、嵌合リング271の外周面に固定される対の固定リング272A,272Bと、対の回動リング273A,273Bと、対の金属プレート278,279とを含む。
嵌合リング271は、陰側シャフト204の軸方向に摺動可能に設けられる。この摺動範囲は、図23中の符号Hで示す範囲で示されている。また、嵌合リング271は、陰側シャフト204の軸まわりに回転不能に設けられる。これらの目的のため、摺動範囲における陰側シャフト204の断面は、図24(A)に示すように、非円形であり、嵌合リング271の内周面は、陰側シャフト204の外周面に沿う形状を有する。尚、本例では、陰側シャフト204の基本断面が円形であり、摺動範囲だけ当該円形の周面の一部を削いだ形状となっている。嵌合リング271は、摺動範囲の下端には、図24(B)に示すように、磁石204aが設けられる。磁石204aは、陰側シャフト204の基本断面を画成するような形状(摺動範囲で削がれた円形の周面の一部を補う形状)を有する。磁石204aは、嵌合リング271に設けられる対応する磁石(図示せず)と結合して、係合ポイントで嵌合リング271(ひいては回転力発生機構270の各要素の軸方向の位置)を保持する役割を果たす。尚、摺動範囲の下端は、後述の係合ポイントにおける係合フック40の高さに対応するような位置に設定される。
対の固定リング272A,272Bは、嵌合リング271の外周に沿って設けられ、互いに対角の位置に設けられる。対の回動リング273A,273Bは、対の固定リング272A,272Bと略同様の形状を有する。対の回動リング273A,273Bのそれぞれは、図25の紙面垂直方向(即ち陰側シャフト204の軸方向に平行な方向)まわりに回転可能となる態様で、対の固定リング272A,272Bのそれぞれの端部に支持される。従って、対の回動リング273A,273Bのそれぞれは、対の固定リング272A,272Bのそれぞれの端部の回転軸まわりに、陰側シャフト204に近接する方向又は離反する方向に回動することができる。図25は、対の回動リング273A,273Bが最も陰側シャフト204から離反した状態(全開状態)を示している。この全開状態と対照的な後述の全閉状態では、対の回動リング273A,273Bは、対の固定リング272A,272Bと協動して、円形のリング形状を画成することができる。対の固定リング272A,272B及び対の回動リング273A,273Bは、図26に最も良く示すように、好ましくは、対の金属プレート278,279の軸方向の抜けを防止する凹断面を有する。凹断面により画成される凹部には、また、対の回動リング273A,273Bの全閉状態で対の金属プレート278,279が収容される。
対の金属プレート278,279は、図26に最も良く示すように、対の固定リング272A,272B及び対の回動リング273A,273Bの外周側に巻回される。対の金属プレート278,279の一方の端部は、図27に示すように、蛇の頭のような形状のホルダ278A,279Aに固定されて構成される。尚、図27及び図28では、金属プレート279側のホルダ279Aのみが示されている。また、対の金属プレート278,279のそれぞれは、図27に示すように、他方の金属プレート279,278のホルダ279A,278Aに対して径方向内外の相対移動が規制される態様で摺動可能に係合する。図示の例では、対の金属プレート278,279のそれぞれは、ホルダ279A,278Aに径方向内外に設けられるそれぞれ2つの円筒ピン279B1、279B2及び278B1,278B2の間を通される。円筒ピン279B1、279B2及び278B1,278B2は、好ましくは、摺動抵抗を低減するために、低摩擦係数の材料からなってもよく、及び/又は、自身が回転可能であってもよい。また、対の金属プレート278,279のそれぞれの他方の端部は、図28に黒塗りの三角形で概略的に示すように、対の回動リング273A,273Bのそれぞれに固定部278C,279Cにて固定される。尚、図27及び図28では、金属プレート278を固定する固定部278Cのみが示されている。対の金属プレート278,279は、本来的には平らな金属板であり、従って、湾曲して取り付けられた図示の取り付け状態では、図25に模式的に示すように、張力(復元力)により径方向外側に開くような力Pを常時発生する。
対の金属プレート278,279は、図25に示すように、陰側シャフト204の軸方向に見たとき、協動して円形の形態を有し、当該円形は、金属プレート278,279が互いの上を摺動して移動することで径が可変となる。図25に示す状態は、係合ポイントに対応して、当該円形の径が最大となっている状態である。この状態では、金属プレート278,279は、依然として径方向外側に開こうとするが、固定部278C及び279Cは、それぞれ、円筒ピン279B1、279B2の間及び円筒ピン278B1,278B2の間を抜けないように構成されている。従って、対の金属プレート278,279は、対の回動リング273A,273Bの各自由端を径方向外側に付勢しつつ(回動する方向に付勢しつつ)、対の回動リング273A,273Bの各自由端の径方向の位置を規定する機能を果たす。
図25、図28及び図29は、係合ポイントの状態、即ち係合フック240がホルダ278A,279Aに係合している状態を良く示している。この係合ポイントでは、図28及び図29に最も良く示すように、係合フック240は、対の金属プレート278,279の先端部(ホルダ278A,279A)に引っ掛かる。この係合状態が維持されている間、係合フック240は、対の金属プレート278,279の先端部の径方向内外の動きを規制する機能を果たす。尚、上述の如く、係合フック240は、対角関係にある特定の2つの第1のリブ111とストレッチャー230との接続部に設けられている。
ここで、係合ポイントにおけるホルダ278A,279Aの3次元位置(被係合部の位置)は、係合ポイントにおける係合フック240の3次元位置に対応するように設定される。即ち、係合ポイントにおけるホルダ278A,279Aの位置、即ち対の回動リング273A,273Bの全開時におけるホルダ278A,279Aの位置は、係合ポイントにて係合フック240とホルダ278A,279Aとの係合が実現されるように設定される。
尚、係合ポイントから最終ポイント(後述)までの区間において、ホルダ278A,279Aと係合フック240との係合状態は維持される必要がある。このため、図29に示すように、ホルダ278A,279Aの軸方向の幅H1は、係合ポイントから最終ポイントまでのランナー210の軸方向の移動によって生ずる係合フック240の移動量H2(即ち係合ポイントから最終ポイントまでの係合フック240の摺動幅H2)よりも大きく設定される。
図30は、最終ポイントにおける傘の要部の状態を示す図であり、図23に示した係合ポイントから更に傘を閉じたときの状態(傘が完全に閉じた状態)を示す図である。最終ポイントは、傘生地108が畳まれる最終段階のポイントに対応する。図31(A)は、対照用の図として図25と実質的に同一の図(係合ポイントにおける畳む前の状態を示す図)であり、図31(B)は、図30のラインD4−D4に沿った断面図である。
図31(A)及び図31(B)では、第1のリブ111の回転態様(ストレッチャー230の回転態様)が良く分かるように、同一の第1のリブ111について、丸で囲まれたアルファベットA乃至Fが付され、同一の第2のリブ112について、丸で囲まれた数字1乃至6が付されている。また、図31(B)では、傘生地108が畳まれた状態が示されているが、傘生地108の畳まれ方の原理が良く分かるように、便宜上、第2のリブ112の各側からの第1のリブ111までの傘生地108のうち、時計回りに見て第2のリブ112の下流側の第1のリブ111までの傘生地108の部分の図示を省略している。例えば、丸で囲まれた数字1で指示される第2のリブ112に関して、丸で囲まれたアルファベットAで指示される第1のリブ111までの傘生地108の部分のみが示され、丸で囲まれたアルファベットBで指示される第1のリブ111までの傘生地108の部分は図示が省略されている。
図30に示すように最終ポイントは、図23に示した係合ポイントから更に所定量傘を閉じると実現される(即ち、ランナー210を軸方向下向きに所定量摺動させると実現される)。この最終ポイントでは、図31(A)に示す係合ポイントでの傘生地108の状態が、図31(B)に示すように、傘生地108が畳まれた状態へと変化する。このとき、本実施例では、傘生地108は、内側に巻き込まれる態様で畳まれている。即ち、第1のリブ111が第2のリブ112より内周側を回転して畳まれている。
ここで、主に図31(A)及び図31(B)を参照して、上述の如く傘生地108が畳まれる原理を説明する。ここでは、説明の都合上、係合フック240が設けられる対角位置の第1のリブ111、即ち丸で囲まれたアルファベットAとDでそれぞれ示された第1のリブ111を特別に指示するときは、それぞれ第1のリブ111A及び第1のリブ111Dと称する。
図31(A)に示す係合ポイントから更に傘を閉じていくと、第1のリブ111が径方向に沿って径方向内側に向けて移動しようとする。これに伴い、第1のリブ111A及び第1のリブ111Dは、図31(A)で矢印Qにて示すように、対の金属プレート278,279のホルダ278A,279Aに対して、径方向に沿って径方向内側に付勢する力を与える。これに伴い、対の金属プレート278,279で画成される円形は、その径が減少する方向に収縮していき、これにより、回動リング273A,273Bの自由端(最も径方向外側にある部位)が径方向内側に付勢され、回動リング273A,273Bが全閉状態へ向けて回動する。
このとき、金属プレート278は、回動リング273A側の端部が、回動リング273Aの自由端と同様の軌跡で径方向内側に回動する。他方、このとき、金属プレート278の反対側の端部(即ちホルダ278A)は、第1のリブ111Aの係合フック240から径方向内側に付勢されつつ、上述の回動リング273A側の端部の回動に起因して周方向に付勢される。従って、金属プレート278の反対側の端部(即ちホルダ278A)は、図31(A)で矢印Rにて示すように、円筒ピン278B1,278B2の間で金属プレート279を摺動させつつ、金属プレート279の外周面に沿って移動する。
同様に、金属プレート279は、回動リング273B側の端部が、回動リング273Bの自由端と同様の軌跡で径方向内側に回動する。他方、このとき、金属プレート279の反対側の端部(即ちホルダ279A)は、第1のリブ111Dの係合フック240から径方向内側に付勢されつつ、上述の回動リング273B側の端部の回動に起因して周方向に付勢される。従って、金属プレート279の反対側の端部(即ちホルダ279A)は、図31(A)で矢印Rにて示すように、円筒ピン279B1,279B2の間で金属プレート279を摺動させつつ、金属プレート278の外周面に沿って移動する。
このような回転力発生機構270(特にホルダ278A,279A)の一連の動きにより、第1のリブ111A及び第1のリブ111Dは回転方向の力を受ける。第1のリブ111A及び第1のリブ111Dを支持するストレッチャー230は、図20を参照して上述したようにひし形を維持する構成であるので、第1のリブ111A及び第1のリブ111Dがこのような回転方向の力を受けると、ランナー回転部212の回転が生ずる。この結果、ストレッチャー230及び第1のリブ111は、陰側シャフト204まわりに回転して、図31(B)に示すような状態へと傘生地108が畳まれることになる。尚、この際、第2のリブ112は、ストレッチャー230に接続されていないため、回転しない。また、第2のリブ112は、ストレッチャー230に接続されていないため、傘の閉め動作時は、直接的に閉じ力を受けず、従って、係合ポイントでは、図31(A)に示すように、第1のリブ111の方が第2のリブ112よりも径方向内側に位置する。従って、上述の如く第1のリブ111は、第2のリブ112に干渉することなく、第2のリブ112よりも径方向内側で回転することができる。
尚、上述のランナー回転部212の回転量、即ち傘生地108の畳み量は、係合ポイントにおける対の回動リング273A,273Bの自由端の径方向の位置や対の回動リング273A,273Bの長さ等に依存する。従って、かかるパラメータを設計時に調整することで、所望の傘生地108の畳み量を実現すればよい。例えば、本例のように第2のリブ112が6本の傘の場合、傘展開時のストレッチャー230の上端位置での傘生地108の円周の略1/12(傘生地の種類や傘の大きさ、シャフトの太さ等によって微調整がある)の長さが畳まれるように、係合ポイントにおける対の回動リング273A,273Bの自由端の径方向の位置を調整することとしてもよい。また、対の回動リング273A,273Bの長さについても、本例では全周の1/4の長さとしているが、全周の1/2(最大)まで長くすることも可能である。
傘の開操作時には、回転力発生機構270において上述の逆の動作が生じる。即ち、傘の開操作時には、上述のランナー回転部212の回転方向とは逆方向の回転が生じて、傘生地108が展開されていく。ランナー210が係合ポイントから更に傘上部方向に移動されると、係合フック240とホルダ278A,279Aとの係合が解除され、当該解除後、第1のリブ111は、回転力発生機構270から何ら拘束を受けることなく、ストレッチャー230の展開に伴い径方向外側に開くことができる。
次に、図32乃至図34を参照して、回転力アシスト機構280の構成及び機能の詳細を説明する。傘生地の回転を開始する係合ポイントまで、通常の傘と同様にランナーを摺動させ係合ポイントから最終ポイントまでの最後の僅かな距離で傘を回転させる力をランナーの摺動する力で提供しなければならないため、その力を確実に提供するために用意された機構である。使用者は係合ポイントまでランナーを摺動させれば、そこでランナーは固定され、あとはアシスト機構の力で最終ポイントまでの回転力を提供する。
図32は、回転力アシスト機構280とランナー210を示す斜視図である。図33(A)及び図33(B)は、回転力アシスト機構280とランナー210を示す断面図であり、図33(A)は、最終ポイントの状態を示し、図33(B)は、係合ポイントの状態を示す。図34(A)及び図34(B)は、陰側シャフト204の上側における回転力アシスト機構280と回転力発生機構270の関係を示す図である。
回転力アシスト機構280は、上述の回転力発生機構270による回転力の発生をアシストする機構である。図示の例では、回転力アシスト機構280は、陰側シャフト204まわりに設けられるスプリング282の弾性力により、ランナー210の軸方向下向きへの推進力を発生させ、これにより、回転力発生機構270による回転力の発生をアシストする。尚、このような回転力アシスト機構280は、特に係合ポイントから最終ポイントまでのランナー210の軸方向の摺動ストロークが短いときに好適となる。
傘の閉じ動作の過程でランナー210が軸方向下向きへ移動され、係合ポイントに至ると、回転力アシスト機構280は、図33(B)に示すように、スライドリング281のロックアーム284が回動軸286まわりに回動して(図中の符号R2参照)、スプリングシート288の係合突起288aを解除する。尚、ロックアーム284は、付勢スプリング285により回動軸286まわりに陰側シャフト204に向けて付勢されており、陰側シャフト204の周部に形成された穴204b(係合ポイントに対応する位置に形成されている)の存在により、回動が引き起こされる。ロックアーム284が回動して穴204b内に収まると、スライドリング281は陰側シャフト204に対して軸方向の移動が拘束される。スプリングシート288の係合突起288aが解除されると、圧縮状態のスプリング282が復元(伸張)し、その復元力により、ランナー210の軸方向下向きの移動がアシストされ、図33(A)に示すように、ランナー210が最終ポイントに至る。尚、スプリング282は、最終ポイントにおいても圧縮状態(弾性変形状態)が維持されるように構成されてもよい。また、アシストするためのスプリング以外のもの、磁石を利用したアシストとして併用も可能である。最初の例のような磁石を回転補助として使用したり、スプリングと動方向の力に対する補助になるように配置したり、複合的な組み合わせも考えられる。
尚、傘を開く過程では、スプリングシート288の端部(傘の上部側端部)がロックアーム284の逆方向の回動を引き起こし、これにより、スプリングシート288の係合突起288aがロックアーム284によりロックされる。これと同時に、ロックアーム284が回動して穴204b外に抜け、スライドリング281は、陰側シャフト204に対して軸方向の移動が可能となる。そして、スプリングシート288とスライドリング281とは、圧縮状態のスプリング282を間に保持しつつ、一体的に軸方向上向きに移動していく。その後、ユーザの操作によりスプリングシート288とスライドリング281とが更に軸方向上向きに移動していくと、図34(A)に示すように、その摺動範囲の下端で留まっている回転力発生機構270と一体化し、図34(B)に示すように、一体化した状態で傘の全開位置に対応する位置まで移動していく。このとき、スライドリング281の磁石281a(図32参照)は、回転力発生機構270の嵌合リング271に設けられる対応する磁石(図示せず)と結合して、回転力発生機構270の嵌合リング271との一体化を実現する。尚、傘を閉じる過程では、図34(A)に示すポイントで、回転力発生機構270は、軸方向の動きが停止され(スライドリング281から離れ)、係合フック240との係合を待ち受ける状態となる。
次に、図35乃至図38を参照して、第1のリブ111及び第2のリブ112の好ましい構成を説明する。
図35は、傘の上部(ノッチ102周辺部)を軸方向に沿った上面視で示す図である。図36は、傘の軸方向に沿った上面視で補強ワイヤー112aの配索態様を示す図である。図37は、第1のリブ111及び第2のリブ112を傘表面側から見た図である。図38(A)は、図37のラインE1−E1に沿った断面図であり、図38(B)は、図37のラインE2−E2に沿った断面図である。
図35及び図36並びに図38(B)に示すように、第2のリブ112には、補強ワイヤー112aが設けられる。補強ワイヤー112aは、図35及び図36に示すように、ノッチ102側でたすき掛けされつつ、各第2のリブ112に沿って連続的に張り巡らされている。即ち、第2のリブ112が同一方向に引っ張られないように、各第2のリブ112の両側の隣り合わせた補強ワイヤー112aに逆方向に応力が働くようにしている。即ち、例えば上述のランナー回転部212の回転に伴い、第2のリブ112が横向きに変形しようとすると、補強ワイヤー112aがその変形を抑える力を発生する。各第2のリブ112は、図38(B)に示すように、横向きのH型断面の金属部材112bと、H型の凹部に入り込む補強ワイヤー112aとからなる断面を有する。また、第2のリブ112は、好ましくは、図38(B)に示すように、下側が滑らかな断面形状を有する。これにより、上述のランナー回転部212の回転時に第1のリブ111が第2のリブ112の内周側を通過しやすくなる。
尚、第2のリブ112の頂点付近には、補強ワイヤー112aを留めるためのクリップ114が設けられる。また、ノッチ102には、図35に示すように、ノッチカバー102aが設けられてもよく、ノッチカバー102aは、第1のリブ111及び第2のリブ112の抑えとしての機能も有する。
また、図37に示す例では、支持ワイヤー113が設けられる。支持ワイヤー113は、例えば細いピアノ線のような柔軟性のある線からなり、第2のリブ112間を周方向に巻回される。支持ワイヤー113は、その張力によって傘生地108を支える。支持ワイヤー113は、好ましくは、ストレッチャー230が第1のリブ111と接続する同心円上に張られる。これにより、傘展開時の円周にあわせたピアノ線が一つの円となって傘生地108全体を支える構造となる。即ち、傘生地108が点ではなく線(円周ライン)で支えられるので、第2のリブ112がストレッチャー230により支持されていない本実施例においても、傘展開時における傘生地108に必要な支持力を提供することができる。
また、図37に示す例では、支持ワイヤー113には、隣接する第2のリブ112間に、リブ・ブリッジ112cが設けられる。リブ・ブリッジ112cは、傘が閉じられるときに第2のリブ112間の距離を一定に保たせる機能を提供する。
図37に示す例では、第1のリブ111は、ストレッチャー230との接続部よりも上側(傘の周方向外側)では軟質樹脂からなり、同接続部よりも下側(傘の周方向内側)では金属材料や硬質樹脂のような硬質材料からなる。この場合、第1のリブ111は、ストレッチャー230との接続部よりも上側がノッチ102に簡易に接続され、ノッチ102に対して自由に曲げることも可能である。第1のリブ111は、好ましくは、図38(B)に示すように、ストレッチャー230との接続部よりも下側の部分において、翼形の滑らかな断面形状を有する。これにより、上述のランナー回転部212の回転時に第1のリブ111が第2のリブ112の内周側に潜り込んで通過しやすくなる。
以上説明した本発明の実施例2によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
上述の実施例1と同様、上述の如く傘を閉じる際に、濡れた傘生地108を畳むことを閉じる行為の中に含ませることで自動化に近い効果を生みだし、傘生地108までを畳む行為を促進させることができる。また、上述の実施例1と同様、傘生地108の表面(濡れた側の面)が内側に畳み込まれるので、濡れた傘生地に起因した使用者や使用者周辺に発生する問題を解決することができる。また、上述の実施例1と同様、陽部品100と陰部品200とを容易に分離できるため、1つの傘に複数の傘生地108(陽部品100)を着替えさせることができる。また、上述の実施例1と同様、傘生地108、ハンドル211を分離できることで、それぞれのパーツが壊れたときの補修にも優れている。特に、傘生地108と第2のリブ112の部分は、傘が壊れる弱い部分であるが、ここを分離交換できるので、資源を有効利用した環境にやさしい傘、ともいえる。
尚、実施例2において、陽側を交換するに方法として(傘生地を交換するにあたり)、ランナーを係合ポイントにて固定し、陽側リブと接続している接続部材111と111aとの6箇所(12本リブの場合、リブ本数n/2)を分離する。陰側は回転力発生機構270に接続しているため、リブが離れても安定している。この後、陰シャフトとの接続部分を分離することで可能とする。リブを外したままで保管する場合は、このままランナーを最終ポイントまで引いて固定する。逆に陽部品群を新たに換装する場合、係合ポイントにあるランナー(最終ポイントまで閉じている場合は、係合ポイントまで開放する)の状態で、陰シャフトに陽部品を固定させる。このときのリブ111の位置は、接合すべきそれぞれの陰側の111aと同一線上に一致するようにシャフト接合は調整されているので、あとは磁石(それ以外でもよいが)で簡単に接続できる。このように陰陽部品の交換を簡単にする機構も考慮されたものであり、(例えば傘生地だけを分離できるものに比して)簡易で作業を容易にしている。実施例2は、上述の実施例1と同様、傘生地を容易に交換できることを重視しており、環境にやさしく、ファッション性に高い機能である。
尚、本実施例において、各種変形例が考えられる。例えば、上述では12本リブを想定し、6本ずつに分けて説明したが、8本リブ、10本リブと2n本リブ拡張できる(nは自然数)。
また、本実施例2では、第2のリブ112が固定され、第1のリブ111の回転方向することで傘生地108を内側に巻き込みながら畳むという機構であるが、第2のリブ112が第1のリブ111の径方向外側を逆に回転することで、同様に傘生地108を内側に巻取る方法も当然考えられる。また、第1のリブ111及び第2のリブ112の双方が互いに対して逆回転をして傘生地108を畳むことも考えられる。例えば、図39に示すような変形例が考えられる。
図39に示す変形例では、上述の実施例2に対して、陽側シャフト105を、回転力発生機構270の嵌合リング271の摺動範囲の下端まで延長している。即ち、嵌合リング271の摺動範囲が陽側シャフト105により画成され、回転力発生機構270が陽側に設けられることになる。陽側シャフト105は、陰側シャフト204に軸まわりに回転可能に接続される。これにより、陽部品100全体が陰側シャフト204に対して回転可能となる。回転力発生機構270と陽側シャフト105との関係は、上述の実施例2における回転力発生機構270と陰側シャフト204との関係と同様である。例えば、陽側シャフト105には、嵌合リング271を回転させない切込み(円形の周面の一部を削ぐ切込み、図24(A)参照)が形成される。これにより、回転力発生機構270が発生する回転力が第1のリブ111及び第2のリブ112に相対的に伝わるようになる。尚、図39に示す変形例において、ランナー回転部212を回転不能に構成してもよい。この場合、第2のリブ112側のみが回転をして傘生地108を畳む構成となる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、陽側シャフトを実質的に無くすことは可能である。即ち陽側群にシャフトがなくなり、ノッチを直接、陰シャフトの上部にさせる構造とすればいい。更に拡張させてノッチまでを陰側にして、それと連動させるリブが接合したリングをノッチに接合させるという機構もありえる。(陽側は部品点数を減らした方が、交換部品としてのメリットは増えるのでノッチまでも陰にしてしまうことはあり得る)。また、陰側に接続する第1のリブまでも陰側に残し、第2のリブだけを陽側にするという構造はノッチに多少の工夫を加えればありえる。これも陽側の部品点数を減らす観点から有利である。
また、上述した実施例2では、回転力発生機構270は、傘を閉じる動作のためにユーザから付与される操作力及びスプリング282の弾性力を利用して、回転力を発生させるものであるが、他の力を(例えば、磁気的な力やモータの駆動力)を利用してもよい。即ち、回転力は、磁力、弾性力、モータの駆動力、及び、当該傘を閉じる動作のためにユーザから付与される操作力、並びにこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかを利用して発生されてもよい。尚、モータの駆動力を利用する場合、他の力を利用する場合とは対照的に、必ずしも傘を閉じる動作に連動(関連)させる必要は無い。例えば、上述した実施例2における係合ポイントから最終ポイントの間の任意のポイントで、モータを駆動してランナー回転部212を回転させることとしてもよい。この場合、モータを駆動させるトリガは、ユーザによるボタン操作であってもよいし、或いは、ランナー210が軸方向の所定位置を下方向に通過したことをセンサにより検出したことであってもよい。