JP2010008910A - 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層が積層されてなり、前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層が、特定のジアミン化合物を含有し、かつ露光光源として発振波長350〜500nmの半導体レーザまたは発光ダイオードを用いた露光により静電潜像を形成する露光手段を備えた画像形成装置に用いられることを特徴とする電子写真感光体により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし
Description
しかしながら、近年では、環境面、製造コスト、材料選択の自由度などの観点から、有機光導電性材料が広く用いられている。
有機光導電性材料を用いた感光体(以下「有機感光体」ともいう)は、可視光から赤外光までの各種露光光源に対応した材料を選択できること、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いことなどの利点を有する。
一方、欠点としては、機械的強度が弱く異物が付着し易いこと、化学的耐久性が弱く、多数枚のプリント時に感光体の静電特性の劣化や表面の擦過傷の発生などがあることなどが挙げられる。
一方、単層型感光体は、感光層が単一の層からなるので、積層型感光体に比べて、生産性が高く、低い製造原価で製造することができ、また帯電時に有害物質であるオゾンが発生し難い正帯電プロセスでの使用が可能であることから、実用化され始めている。
また、感光層を塗布によって形成する場合には、感光体の生産効率を向上させるために、塗布液が物理的にも化学的にも安定であることが要求される。
これらの中でも機械的耐久性には、感光体の表面層となる感光層の膜強度、すなわち耐刷性が影響する。感光層の膜強度が低く、耐刷性が充分でないと、繰返し使用によって感光層表面が削り取られて感光層の膜厚が減少し、帯電電位の低下および残留電位の上昇などの特性変化が引き起こされ易い。
例えば、非接触帯電方式を用いた電気写真システム(電子写真装置)では、感光体に接触しないことから、摺擦による感光体表面の摩耗はなく、感光体表面に傷がつき難く、機械的耐久性に優れ、感光体の長寿命化が期待できる。しかし、接触帯電方式に比べてオゾンの発生が多く、酸化性のガスによる感光体の疲労劣化が著しいという欠点を有している。
例えば、帯電電位の低下、残留電位の上昇、表面抵抗の低下により解像力の低下などをもたらし、その結果、出力画像上に白抜けや黒帯などの画像ボケを発生させ、著しく画質を低下させ、かつ感光体の寿命を短くしている。
このような現象に対して、コロナ帯電器などの帯電器の周りのガスを効率よく排気、置換し、感光体への直接的なガスの影響を避ける対策を盛り込む提案や、感光層に酸化防止剤、安定剤を添加し感光体自体の劣化を防ぐ提案がなされている。
また、近年のカラー画像形成で用いられるタンデム方式(複数の感光体を使用し、画像を重ね合わせる現像方式)では、複数本の感光体ドラムに対して、複数の周辺プロセスが搭載されるために、酸化性ガス濃度は飛躍的に増加し、画像ボケなどの不良が助長される傾向にある。
しかしながら、酸化防止剤の使用量によっては残留電位が著しく上昇するという問題や、長期使用時に窒素酸化物との反応により酸化防止剤自体が変質し、その効果を失い、電荷輸送物質や電荷発生物質が本来の特性を持続できず、帯電や感度が著しく低下するという問題があり、未だ充分とはいえないのが現状である。
このようなデジタル記録方式に対応させる露光光源には、例えば、小型で安価な信頼性の高い半導体レーザや発光ダイオードが多く用いられている。
現在最もよく使用されている半導体レーザの発振波長は780〜800nm付近の近赤外光領域にあり、代表的な発光ダイオードの発振波長は740nmである。
一般に感光体の表面に収束されるレーザ光(レーザビーム)のスポット径Dは、レーザビームの波長(レーザ光の発振波長)をλ、レンズ開口数をNAとしたとき、次式で表される。
D=1.22λ/NA
この式によれば、スポット径Dはレーザ光の発振波長に比例するので、スポット径Dを小さくするには発振波長の短いレーザを用いればよいことがわかる。
つまり、現在主流の近赤外半導体レーザに代えて、短波長レーザを用いれば、さらなる高解像度の画質が実現できることがわかる。
従来から実用化されている一般的な積層型感光体、すなわち導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層がこの順に積層されてなる感光体に、500nm以下の波長にも吸収を示す電荷発生材料を用いれば、一般的には500nm以下の短波長レーザの露光にも感度を示すはずである。しかし、実際には電荷輸送層が500nm以下の波長に吸収を示すことから、露光光源として用いた短波長レーザの露光光が電荷発生層に到達する前に吸収され、積層型感光体はこのような波長域では感度を示さない。
透過率Xは、発振波長における入射光をA1、電荷輸送層を通過した後の透過光をA2としたとき、次式のようにそれらの比により表される。
X=A2/A1×100
前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層が、一般式(I):
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、同一または異なって、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基または置換基を有してもよい1価の複素環残基であり;
Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6は、同一または異なって、置換基を有してもよい直鎖状のアルキレン基であり;
Zは、I)−Ar5−、ii)−Ar5−Ar6−またはiii)−Ar5−W−Ar6−
(式中、Ar5およびAr6は、同一または異なって、置換基を有してもよいアリレン基または置換基を有してもよい2価の複素環残基であり;Wは、酸素原子、硫黄原子または置換基を有してもよい直鎖状、分枝鎖状もしくは環状のアルキレン基である)である]
で示されるジアミン化合物を含有し、かつ
露光光源として発振波長350〜500nmの半導体レーザまたは発光ダイオードを用いた露光により静電潜像を形成する露光手段を備えた画像形成装置に用いられることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
さらに、本発明によれば、上記の画像形成装置がユニットとして複数配列して設けられ、前記複数の画像形成装置毎に異なる色のトナーを用いて異なる色のトナー像を記録媒体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置が提供される。
すなわち、一般式(I)のジアミン化合物は酸化性ガスとの反応に強く、酸化防止剤としての機能を長期に維持できるので、電荷発生物質および電荷輸送物質の変質による着色を抑制できる。また、一般式(I)のジアミン化合物は窒素酸化物との反応により発生する酸化生成物においても着色性がないために、ライフを通じて感光層の充分な透過性を維持でき、短波長領域の光に対しても優れた性能を確保できる。したがって、長期にわたり帯電低下、残量電位上昇、感度低下、表面抵抗の低下などによる解像度の低下が生じることなく、異常画像のない、鮮鋭性が良好な画像を形成可能な電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
で示されるジアミン化合物が好ましい。
で示されるジアミン化合物が特に好ましい。
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4の置換基を有してもよいアリール基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜6のジアルキルアミノ基およびハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基が挙げられる。
具体的には、フェニル基、o−トリル基、2,4−キシリル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニル基、o−トリル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が特に好ましい。
具体的には、シクロへキシル基、シクロペンチル基、4,4−ジメチルシクロへキシル基などが挙げられ、これらの中でも、シクロへキシル基が特に好ましい。
具体的には、フリル基、4−メチルフリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオフェニル基テトラヒドロフリル基、テトラメチルテトラヒドロフリル基などが挙げられ、これらの中でも、フリル基、ベンゾフリル基が特に好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基などが挙げられ、これらの中でも、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。
具体的には、p−フェニレン基、m−フェニレン基、メチル−p−フェニレン基、メトキシ−p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、ベンゾオキサゾレン基、ビフェニリレン基などが挙げられ、これらの中でも、p−フェニレン基、m−フェニレン基、メチル−p−フェニレン基、メトキシ−p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基が好ましく、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基が特に好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基などのアルキレン基;シクロヘキシリデニル基、4,4−ジメチルシクロヘキシリデニル基、シクロペンチリデニル基などシクロアルキリデン基が挙げられ、これらの中でも、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。
さらに、副式(III)における置換基Ar1、Ar2、Ar3およびAr4がフェニル基または4−メトキシフェニル基であるか、または置換基Ar1およびAr4が2,4−キシリル基でありかつ置換基Ar2およびAr3がシクロヘキシル基であるのが好ましい。
なお、以下の表1−1〜1−6において置換基を次のような略号で示す。
−Me−:メチレン基
−Et−:エチレン基
−Tr−:トリメチレン基
−Dm−:2,2−ジメチルトリメチレン基
反応式におけるX1およびX2のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの中でも、取り扱いの容易さおよび反応性などの観点から塩素原子、臭素原子が特に好ましい。
二級アミン化合物(IV)および(V)とジハロゲン化合物(VI)とを溶剤に溶解または分散させ、これに有機アミン塩基を加え、加熱攪拌する。反応終了後、析出物を濾別し、エタノール、メタノール、酢酸エチルなどの単独あるいは混合溶剤系において再結晶を行うことにより、簡便に収率よく高純度で目的物を得ることができる。
なお、溶剤の使用量は特に制限されず、反応基質の使用量、反応温度、反応時間などの反応条件に応じて、反応が円滑に進行する量を適宜設定できる。
有機アミン塩基としては、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロウンデセンなどが挙げられる。
例えば、対称性の化合物を得る場合、すなわち二級アミン化合物(IV)および(V)の何れか一方のみ使用する場合には、反応の効率性などを考慮して、ジハロゲン化合物(VI)1当量に対して使用する二級アミン化合物を2.0〜2.3当量程度用いるのが好ましい。
また、非対称性の化合物を得る場合、すなわち二級アミン化合物(IV)および(V)を共に使用する場合には、反応の効率性などを考慮して、ジハロゲン化合物(VI)1当量に対して各二級アミン化合物をそれぞれ1.0〜1.2当量程度、すなわち二級アミン化合物(IV)および(V)の合計では2.0〜2.4当量程度用いるのが好ましい。
また、加熱温度および反応時間は特に限定されるものではないが、反応の効率性などを考慮して、使用する溶剤にもよるが、60〜120℃で2〜8時間反応させるのが好ましい。
図1〜3は、本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1および図2は、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層型感光層(「機能分離型感光層」ともいう)である積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。本発明の感光体は、電荷発生層と電荷輸送層とを逆順で形成した逆二層型積層構造であってもよいが、前記積層型が好ましい。
図3は、感光層が一層からなる単層型感光層である単層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図2の感光体102は、導電性材料からなる円筒状の導電性支持体201の表面(外周面)に、後述する下引層(中間層)207と、電荷発生物質202を含有する電荷発生層205と電荷輸送物質203を含有する電荷輸送層206とがこの順で積層された積層型感光層204とがこの順で形成されている。
図3の感光体103は、導電性材料からなる円筒状の導電性支持体201の表面(外周面)に、電荷発生物質202と電荷輸送物質203とを含有する単層型感光層204’が形成されている。
導電性基体201は、感光体の電極としての役割を果たすとともに、他の各層の支持部材としても機能する。
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属および合金材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料または合金材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
積層型感光層204は、電荷発生層205と電荷輸送層206とからなる。このように電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることにより、各層を構成する最適な材料を独立して選択することができる。
電荷発生層205は、照射された光を吸収することにより電荷を発生する電荷発生能を有する電荷発生物質202を主成分とし、任意に公知の添加剤およびバインダ樹脂(結合剤)を含有する。
具体的には、アゾ系顔料(カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有する、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料など)、ペリレン系顔料(ペリレンイミド、ペリレン酸無水物など)、多環キノン系顔料(キナクリドン、アントラキノン、ピレンキノンなど)、フタロシアニン系顔料(金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなど)、インジゴ系顔料(インジゴ、チオインジゴなど)、スクアリリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、ピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機顔料または染料、さらにセレン、非晶質シリコンなどの無機材料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
また、上記の電荷発生物質の中でも、アゾ系顔料、ぺリレン系顔料、多環キノン系顔料は350〜500nmの波長領域に高感度特性を有することから特に好ましい。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のようなヒンダードフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミンなどのアミン系酸化防止剤、ビタミンE、ハイドロキノン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄系化合物、有機燐系化合物などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ヒンダードアミンは、酸化性ガスとの反応により着色するものが多いことからその使用は制限される。
本発明における短波長域における着色は、透過率の低下を示し、感度への影響が懸念されることから、その量は少量であることが好ましい。
レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸エステルなどの二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などが挙げられる。
乾式法としては、例えば、電荷発生物質202を導電性支持体201の表面に真空蒸着する方法が挙げられる。
湿式法としては、例えば、電荷発生物質202、必要に応じて添加剤およびバインダ樹脂を適当な有機溶剤に溶解または分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体201の表面に、または導電性支持体201上に形成された下引き層207の表面に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去する方法が挙げられる。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアミド、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマールなどの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
バインダ樹脂の含有量が50重量部未満であると、電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなるおそれがある。
一方、バインダ樹脂の含有量が1000重量部を超えると、感光体の感度が低下するおそれがある。
予備粉砕は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などの一般的な粉砕機を用いて行うことができる。
構成物質の樹脂溶液への溶解または分散は、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル、サンドミルなどの一般的な分散機を用いて行うことができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定するのが好ましい。
浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に導電性支持体201を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって導電性支持体201上に層を形成する方法である。この方法は比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがある。また、乾燥温度が140℃を超えると、感光体の繰返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化するおそれがある。
このような感光層の製造における温度条件は、感光層のみならず後述する中間層などの層形成や他の処理においても共通する。
電荷輸送層206は、電荷発生物質202で発生した電荷を受け入れ、それを輸送する能力を有する電荷輸送物質203と、一般式(I)で示されるジアミン化合物と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
具体的には、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質;
フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
本発明の感光体では、電荷輸送物質は、使用する半導体レーザの発振波長、すなわち350〜500nmの波長領域の光に対して透過性を有する(吸収を示さない)ことが望ましい。
このような観点から、上記の電荷輸送物質の中でも、アリールアミン系、ベンジジン系の化合物が特に好ましい。
したがって、一般式(I)で示されるジアミン化合物を感光層に含有する感光体は、優れた電子写真特性を有し、システムから発生するオゾン、窒素酸化物の影響を受けにくく、繰返し使用においても安定した特性および画質を有し、極めて高い耐久性を達成する。
ジアミン化合物の含有量が0.1重量部未満であると、その効果が極めて小さくなるおそれがある。
一方、ジアミン化合物の含有量が20重量部を超えると、電荷輸送物質に対する相対量比が高くなり、感度低下などの弊害が発生するおそれがある。
ジアミン化合物は、電気特性を損なわない範囲で他の酸化防止剤と混合して使用されてもよい。
これらの樹脂の中でも、ポリカーボネートを主成分とする樹脂、ポリアリレート樹脂およびポリスチレン樹脂は、光化学的に安定で、一般式(I)で示されるジアミン化合物との相溶性に特に優れ、さらに体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましい。
本発明の感光体では、バインダ樹脂は、使用する半導体レーザの発振波長、すなわち350〜500nmの波長領域の光に対して透過性を有する(吸収を示さない)ことが望ましい。このような観点においても、上記のバインダ樹脂は特に好ましい。
バインダ樹脂の含有量が120重量部未満であると、感度特性は良好であるものの、帯電特性、膜の機械的強度、帯電プロセスにて発生するオゾン、NOxなどに対する画像安定性(ハーフトーン白抜け、黒帯発生)が低下し、バインダ樹脂の比率が高いときに比べて耐刷性が低くなり、感光層の摩耗量が増加するおそれがある。
一方、バインダ樹脂の含有量が300重量部を超えると、バインダ樹脂の比率が高くなり、機械的強度は良好であるものの浸漬塗布法によって感光層を形成する場合には、塗布液の粘度が増大するので、塗布速度低下を招き生産性が著しく悪くなるおそれがある。また、塗布液の粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶剤の量を多くすると、ブラッシング現象が発生し、形成された電荷輸送層に白濁が発生するおそれがある。
酸化防止剤の添加量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果が得られないおそれがある。また、酸化防止剤の添加量が40重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
本発明の感光体は、導電性支持体201と単層型感光層204’または積層型感光層204との間に下引き層207を有するのが好ましい(例えば、図2参照)。
下引き層は、導電性支持体から単層型感光層または積層型感光層への電荷の注入を防止する機能を有する。すなわち、単層型感光層または積層型感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。
また、導電性支持体の表面を被覆する下引き層は、導電性支持体の表面の欠陥である凹凸の度合を軽減して表面を均一化し、単層型感光層または積層型感光層の成膜性を高め、導電性支持体と単層型感光層または積層型感光層との密着性(接着性)を向上させることができる。
アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロンなどを共重合させた共重合ナイロン;N−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などが挙げられる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
金属酸化物粒子は、下引き層の体積抵抗値を容易に調節でき、積層型感光層への電荷の注入をさらに抑制できると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持できる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化スズなどが挙げられる。
また、樹脂材料の含有量をE、金属酸化物粒子の含有量をFとするとき、両者の重量比率(E/F)は、1/99〜90/10が好ましく、5/95〜70/30が特に好ましい。
下引き層の膜厚が0.01μm未満では、下引き層として実質的に機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体からの感光層への電荷の注入を防止することができなくなるおそれがあり、下引き層の膜厚が20μmを超えると、均一な下引き層を形成し難く、また感光体の感度も低下するおそれがある。
なお、導電性支持体の構成材料がアルミニウムの場合には、アルマイトを含む層(アルマイト層)を形成し、下引き層とすることができる。
単層型感光層204’は、電荷発生物質202と、電荷輸送物質203と、一般式(I)で示されるジアミン化合物と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
単層型感光層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層および電荷輸送層の形成に準ずる。
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体に対して露光を施す露光手段と、露光によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写されたトナー像を記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段を少なくとも備える画像形成ユニットが複数配列して設けられ、前記複数の画像形成ユニット毎に異なる色のトナーを用いて異なる色のトナー像を記録媒体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする。
図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す、本発明の感光体を搭載したカラー複合機の概略断面図である。
図4に示すように、画像形成装置1は、色分解された画像情報に応じて各色相に合致した現像剤(トナー)により形成される現像剤像(トナー像)を担持する感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)を備えた画像形成部を構成する複数のプロセス印刷ユニット20(20a,20b,20c,20d)と、感光体ドラム3に形成されたトナー像を積層して一時的に転写する無端の中間転写ベルト(中間転写体)7と、中間転写ベルト7から記録用紙にトナー像を転写する転写部(転写機構)11と、記録用紙に転写されたトナー像を熱定着させる定着ユニット12と、中間転写ベルト7から記録用紙上に転写されずに中間転写ベルト7上に残留したトナーを除去する転写ベルトクリーニングユニット(クリーニング部)9とを備えている。
図4に示すように、画像形成装置1は、画像情報を色分解して色相毎に画像を形成してカラー画像を出力するようにした、いわゆるデジタルカラー複合機であって、大略的に画像形成部108と給紙部109とにより構成され、外部に接続されたパーソナルコンピュータなどの情報処理装置(図示省略)からの印刷ジョブに基づいて多色画像または単色画像を記録用紙上に形成するものである。記録用紙は紙類の他、樹脂製シート類、金属製シート類も必要に応じて使用することができる。
また、転写ベルトユニット8の他端側には転写ベルトクリーニングユニット9が設けられている。さらに、画像形成部108の上部には定着ユニット12に隣接して排紙トレイ15が設けられている。そして、この画像形成部108の下側に給紙部109が構成されている。
中間転写ベルト7上に転写されるトナー像の中で最初に転写される色相のプロセス印刷ユニット20d、すなわち、転写部11から最も遠い位置に配置される色相のプロセス印刷ユニット20dは、イエローの色相のトナーを備え、中間転写ベルト7上に最初にイエローのトナー像を形成するものである。
ここで、各色毎に対応する構成要素に付したa、b、c、dの記号は、それぞれブラック(BK)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色に対応するように記載したものであるが、以下の説明において、特定の色に対応する構成要素を指定して説明する場合を除き、各色に対して設けられている構成要素をまとめて、感光体ドラム3、帯電器5、現像器2、クリーナユニット4と記載するものとする。
本発明の画像形成装置では、画像形成ユニットの帯電手段は、ローラ形状またはブラシ形状の帯電部材を備えてなるのが好ましい。
露光ユニット50は、主に、レーザ照射部51aを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)51、ポリゴンミラー52、および色毎にレーザ光を反射する反射ミラー53a、53b、53c、53d、54a、54b、54c等により構成され、レーザ照射部51aより出射されたレーザ光を複数の感光体ドラム3a、3b、3c、3dにそれぞれ出射する光走査装置である。
fθレンズ55は、2つのレンズにより成り、例えば、第1のレンズとしてシリンダレンズ55aと、第2のレンズとしてトロイダルレンズ55bとにより構成されている。
筐体50aの上面には、感光体ドラム3a、3b、3c、3dと対向する位置で感光体ドラムの軸線に沿った方向に沿って長く開口された開口部が形成され、その開口部には、反射ミラー53d、54a、54b、54cで反射されたレーザ光が透過し、それぞれの感光体ドラム3a、3b、3c、3d上で焦点を結ぶ集光レンズ56a、56b、56c、56dがそれぞれ配置されている。
現像器2は、ブラック(BK)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびイエロー(Y)の各色のトナーが各色ずつ現像器2毎に収納されており、感光体ドラム回転方向(図中の矢印A方向)で帯電器5より下流側に配置されている。そして、該感光体ドラム3の外周面に形成された静電潜像に各色のトナーを供給して顕像化するように構成されている。
また、クリーナユニット4は、クリーニングブレードを備え、該クリーニングブレードを感光体ドラム3の外周面に沿って当接配置し、該感光体ドラム3上の残留トナーを掻き取り回収するように構成されている。
そして、転写ベルトユニット8は、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト7に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト7上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有する。
中間転写ベルト7は、材質にクロロプレンゴムを用いて無端状に形成されている。
尚、本実施形態とは別の中間転写ベルトの構成として、材質にポリイミド、ポリカーボネイト、サーモプラスチックエラストマーアロイ等を用いた厚さ75μm〜120μm程度のフィルムを無端状に形成したものであってもよい。
転写ベルト従動ローラ8−2は、筐体1aの他端側に配置され、転写ベルト駆動ローラ8−1とともに中間転写ベルト7を筐体1aの一端側から他端側に渡り略水平に架設している。
また、中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えば、ステンレス)軸を備え、その金属軸の外周面にEPDM、発泡ウレタン等の導電性を有する弾性材が被覆されている。
尚、本実施形態では、中間転写を行うための構成として、ローラ形状の電極を用いた中間転写ローラを使用しているが、その他の方式として、ブラシ状の転写電極(転写ブラシ)を中間転写ベルト7の裏側に接触させるようにしたものであってもよい。
また、転写ローラ11aと転写ベルト駆動ローラ8−1とは、その何れか一方が硬質材料(金属等)からなり、他方が芯金の表面に軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が被覆された弾性ローラで構成されている。これによって、所定幅のニップが定常的に得られる。
また上記のように、感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、または中間転写ローラ6によって記録用紙上に転写画行われずに中間転写ベルト7残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるため、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるように設定されている。
さらに、定着ユニット12の上方には、搬送ローラ25−5に隣接して排紙ローラ25−6が設けられ、搬送ローラ25−5から搬送された記録用紙を該排紙ローラ25−6により排紙トレイ15上に記録用紙を排紙するようにされている。
給紙部109は、画像形成に使用する記録用紙を収容するための複数の給紙トレイ10を備え、給紙トレイ10から記録用紙を一枚ずつ画像形成部108に供給するようにされている。
給紙トレイ10の一端部(図中の左側端部)の上にはそれぞれピックアップローラ16が設けられ、給紙トレイ10にセットされた記録用紙の最上部にある記録用紙の一端部の表面と接触して、ローラの摩擦抵抗により一枚ずつ確実に繰り出して搬送するようになっている。
また、給紙部109には、給紙トレイ10の記録用紙を転写部11および定着ユニット12を経由して上方に設けられた排紙トレイ15に搬送するための略垂直形状の用紙搬送路Sが構成されている。
また、給紙トレイ10から排紙トレイ15に到る用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、転写部11、定着ユニット12および記録用紙を搬送する搬送ローラ25(25−1〜25−8)などが配されている。
搬送された記録用紙は、転写部11で中間転写ベルト7上のトナー像が転写され、さらに定着ユニット12に搬送されて、記録用紙上の未定着トナーが熱で溶融して記録用紙に融着する。定着ユニット12を通過後は、自然に冷却されて記録用紙上に固着する。そして、記録用紙は、搬送ローラ25−5を経て排紙ローラ25−6から排紙トレイ15上に排出される。
なお、多色トナー像の定着後の記録用紙は、搬送ローラ25−5、25−6によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出されるようになっている。
制御基板40は、画像形成装置1の各部の動作を制御するためのマイクロコンピュータ、マイクロコンピュータが実行する制御プログラムを格納するROM、マイクロコンピュータの処理のためのワークエリアおよび画像データの記憶領域を提供するRAMを有する。
また本発明の画像形成装置の画像形成ユニットにおける帯電手段は、接触帯電方式であるのが好ましい。これにより、従来のコロナ帯電方式より少ないオゾン量、NOx量に抑えることができ、高速、高耐久性の画像形成装置を提供することができる。
一般式(IV)および一般式(V)で示されるアミン化合物としてジベンジルアミン、一般式(IX)で示されるジハロゲン化合物として4,4’−ビス(クロロメチル)フェニルを用い、次の反応式にしたがって、例示化合物No.2を製造した。
NMR、LC−MS、元素分析およびFT−IRにより、得られた化合物の化学構造、分子量および元素分析を測定し、目的の化合物が得られたことを確認した。
製造例1において、一般式(IV)および(V)で示されるアミン化合物、一般式(VI)で示されるジハロゲン化合物として表2に示す各原料化合物を用い、製造例1と全く同様にして、例示化合物No.1、4、8、14、22、29、38、50、53および57をそれぞれ製造した。なお、表2には、例示化合物No.2の原料化合物も併せて示す。
酸化チタン(商品名:タイベークTTO55A、石原産業株式会社製)3重量部および共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)3重量部を、メチルアルコール65重量部と1,3-ジオキソラン35重量部の混合溶剤に加え、ペイントシェーカにて8時間分散処理して下引き層用塗液を調整した。この塗液を塗布槽に満たし、導電性支持体として直径30mm、全長350mmのアルミニウム製のドラム状支持体を浸漬した後引き上げ、自然乾燥して導電性支持体上に膜厚1μmの下引き層を形成した。
上記工程により、図2に示される感光体を作製した。
また、後述の耐オゾンガス性評価用に、膜厚15μmの電荷輸送層を有する感光体も同様に作製した。
電荷輸送層用塗布液の添加剤としてのジアミン化合物(例示化合物No.2)の代わりに、それぞれ例示化合物No.1、4、8を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液の添加剤としてのジアミン化合物(例示化合物No.2)0.1重量部を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液の添加剤としてのジアミン化合物(例示化合物No.2)20重量部を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液の添加剤としてのジアミン化合物(例示化合物No.2)0.05重量部を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液の添加剤としてのジアミン化合物(例示化合物No.2)25重量部を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液のバインダ樹脂としてのポリカーボネート樹脂(商品名:TS2040、帝人化成株式会社製)120重量部を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液のバインダ樹脂としてのポリカーボネート樹脂(商品名:TS2040、帝人化成株式会社製)300重量部を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液のバインダ樹脂としてのポリカーボネート樹脂(商品名:TS2040、帝人化成株式会社製)100重量部を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液のバインダ樹脂としてのポリカーボネート樹脂(商品名:TS2040、帝人化成株式会社製)320重量部を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
下引き層を形成しないこと以外は実施例1と同様にして、図1に示される感光体を作製した。
電荷発生物質として前記構造式(A)で示されるぺリレン顔料2重量部をテトラヒドロフラン100重量部に混合し、ペイントシェーカーにて12時間分散処理した後、電荷輸送物質として前記構造式(B)で示されるトリアリールアミン系化合物100重量部、バインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(商品名:TS2040、帝人化成株式会社製)160重量部および添加剤として製造例1で得られたジアミン化合物(例示化合物No.2)3重量部を、テトラヒドロフラン880重量部に溶解させ、攪拌して感光層用塗布液を調整した。この塗布液を、実施例1の下引き層と同様の浸漬塗布法で、導電性支持体として直径30mm、全長350mmのアルミニウム製のドラム状支持体上に塗布し、得られた塗膜を130℃で1時間乾燥して、膜厚22μmの単層型感光層を形成した。
上記工程により、図3に示される感光体を作製した。
また、後述の耐オゾンガス性評価用に、膜厚15μmの単層型感光層を有する感光体も同様に作製した。
電荷輸送層用塗布液に添加剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液の添加剤としてのジアミン化合物の代わりに、下記構造式(C)で示される公知の化合物(ヒンダードフェノール、商品名:K―NOX BHT、共同薬品株式会社製)を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液の添加剤としてのジアミン化合物の代わりに、下記構造式(D)で示される公知の酸化防止剤(ヒンダードアミン、東京化成工業株式会社製)を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
電荷輸送層用塗布液の添加剤としてのジアミン化合物の代わりに、下記構造式(E)で示される公知の酸化防止剤(ヒンダードアミン、長瀬産業株式会社製)を用いること以外は実施例1と同様にして、図2に示される感光体を作製した。
作製した実施例1〜14および比較例1〜4の各感光体について、以下のようにして、感度(電気特性)、耐刷性、耐オゾンガス性、画像および感光体の色差を評価し、さらに総合評価を行なった。
次いで、この複合機を用いて、以下の方法により文字テストチャートを10万枚画像形成することにより、感度、耐刷性および画像を評価した(サンプル画像出力および画像形成時、すべてモノクロ印字とした)。
複合機から現像器を取り外し、代わりに表面電位計(型式:model 344、トレック・ジャパン製)を取り付けた。この複合機を用いて、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境下において、レーザ光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−600Vに調整した。その状態でレーザ光により感光体を露光(1.0μJ/cm2)し、感光体の初期の表面電位を露光電位VL1(−V)とした。次いで、文字テストチャート(ISO19752)を記録紙10万枚に印刷することで、耐刷試験後の表面電位を露光電位VL2(−V)として測定した。
得られたVLから下記の基準で感度を評価した。
この耐刷試験前後の露光電位差ΔVLの差が小さいほど、繰り返し特性に優れていると
評価した。また、この絶対値が小さい程、感光体が高感度であることを意味する。
◎:|ΔVL|<50(V)
○:50(V)≦|VL|<80(V)
×:80(V)≦|VL|
デジタル複合機に備わるクリーニング器のクリーニングブレードが、感光体に接する圧力、いわゆるクリーニングブレード圧を21gf/cm(2.06×10-1N/cm:初期線圧)に調整した。N/N環境下で、文字テストチャート(ISO19752)を記録紙10万枚に印刷することで、耐刷試験を行なった。
耐刷試験開始時と10万枚画像形成後の感光層の厚みを、膜厚測定装置(型式:F−20−EXR、フィルメトリックス社製)を用いて測定した。
耐刷試験開始時の膜厚と10万枚画像形成後の膜厚との差から、感光体ドラム10万回転あたりの削れ量を求め、得られた削れ量から下記の基準で耐刷性を評価した。
なお、削れ量が多い程、耐刷性が悪いことを意味する。
◎:削れ量d<3.5μm/100k回転
○:3.5μm/100k回転≦削れ量d<5.5μm/100k回転
×:5.5μm/100k回転≦削れ量d
耐オゾンガス性評価用に作成した感光体を用いた(積層型感光体の電荷輸送層および単層型感光体の単層型感光層の膜厚はそれぞれ15μm)。
デジタル複合機に感光体を装着し、N/N環境下で、帯電直後の感光体の表面電位V1(V)および帯電から3秒間経過後の感光体の表面電位V2(V)を測定した。
測定値を下式に代入し、電荷保持率DD(%)を算出し、これを初期電荷保持率DD0とした。
オゾン暴露後、感光体をN/N環境下に2時間放置した後、オゾン暴露前と同様にして電荷保持率DD(%)を求め、これをオゾン暴露後の電荷保持率DD02とした。
◎:ΔDD<3.5
○:3.5≦ΔDD<5.0
×:5.0≦ΔDD
(1)画像判定(ドット・文字再現性<鮮鋭性>)
デジタル複合機にて、温度25℃、相対湿度20%の常温/低湿(N/L:Normal Temperature/Low Humidity)環境下において、耐刷試験スタート前に1200dpi相当の1ドット1スペース画像および5ポイントの文字画像を出力した。これらの画像から、下記の基準で評価した。
◎:目視にて、画像上に異常なく、鮮明な画像。
○:目視にて、画像上に若干のドット・文字の乱れがみられるが実使用上問題ないレベル。
×:目視にて、画像上にドット・文字の乱れが発生し不鮮明な画像。
耐刷試験後の画質の低下レベルを、ハーフトーン画像を出力することで、下記の基準で評価した。
◎:目視にて、画像に濃度ムラなし。良好な画像。
○:目視にて、画像に濃度ムラあり。実使用上問題ないレベル。
×:目視にて、画像に濃度ムラあり。実使用上問題となるレベル。
耐刷試験後の画質の低下レベルを、1200dpi相当の1ドット1スペース画像および5ポイントの文字画像を出力することで、下記の基準で評価した。
◎:目視にて、画像上に画像ボケ無し。良好な画像。
○:目視にて、画像上に部分的な画像ボケが発生したが、実使用上問題ないレベル。
×:目視にて、画像上に部分的に数箇所、または広範囲に画像ボケが1枚以上発生。
オゾン暴露試験前後の感光体における色目の変化の有無を目視で確認した。
上記7項目の判定結果をに基づいて、下記の基準で評価した。
◎:7項目すべて○
○:7項目とも◎あるいは○
×:少なくとも1つ以上×
以上の評価結果を表4に示す。
表中、CTM/CTBは、電荷輸送物質/バインダ樹脂の重量比を示す。
(1)単層型感光層中または積層型感光層の電荷輸送層中に、添加剤として一般式(I)
で示されるジアミン化合物を含有する実施例1〜14の感光体は、初期感度、繰り返しにおける電気特性安定性、繰り返し疲労による耐刷性、オゾン暴露後の酸化性ガス安定性および画像評価、いずれも良好な結果を得られた。一方、添加剤を含有しないか、あるいは他の添加剤を含有する比較例1〜4の感光体は、繰り返し後の電位上昇、膜減り量増大、オゾン暴露後の電荷保持率の顕著な低下および画像欠陥などのいずれかの不良がみられた。また同時にそれら劣化傾向にある感光体には暴露前後で色目に差が見られた。
して0.1〜20重量部である実施例1、5および6の感光体は、電気安定特性、耐刷性、耐ガス安定性、画像評価のいずれもにおいても優れている。一方、ジアミン化合物の含有量が0.1重量部より少ない実施例7の感光体は、実用には耐え得るが、耐刷試験後の若干の感度上昇および文字画像のボケがみられ、鮮鋭性が低下している。また、ジアミン化合物の含有量が20%より多い実施例8の感光体は、実用には耐え得るが、顕著な感度上昇がみられた。
これらの結果から、ジアミン化合物の含有量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲が好ましいことがわかる。
印刷・評価画像をモノクロ印字からカラー4色印字に変更したこと以外は評価1と同様にして感光体を評価した。
よりもカラー4色印字による画像形成において、短波長レーザによる鮮鋭性の向上が顕著に現れた。
1a、50a 筐体
2、2a、2b、2c、2d 現像器(現像手段)
3、3a、3b、3c、3d 感光体(感光体ドラム)
4、4a、4b、4c、4d クリーナユニット
5、5a、5b、5c、5d 帯電器(帯電手段)
6、6a、6b、6c、6d 中間転写ローラ
7 中間転写ベルト(中間転写体)
8 転写ベルトユニット(中間転写ユニット)
8−1 転写ベルト駆動ローラ
8−2 転写ベルト従動ローラ
8−3 転写ベルトテンション機構
9 転写ベルトクリーニングユニット(クリーニング部)
9a クリーニングブレード
9b トナー回収部
10 給紙トレイ
11a 転写ローラ
12 定着ユニット
14 レジストローラ
15 排紙トレイ
16 ピックアップローラ
20、20a、20b、20c、20d プロセス印刷ユニット(画像形成部)
搬送ローラ25(25−1〜25−8)
31 加熱ローラ
32 加圧ローラ
40 制御基板
51 レーザスキャニングユニット(LSU)
51a レーザ照射部
52 ポリゴンミラー
53a、53b、53c、53d、54a、54b、54c 反射ミラー
55a シリンダレンズ
55b トロイダルレンズ
56a、56b、56c、56d 集光レンズ
108 画像形成部
55 fθレンズ
109 給紙部
201 導電性支持体
202 電荷発生物質
203 電荷輸送物質
204 積層型感光層
204’ 単層型感光層
205 電荷発生層
206 電荷移動層
207 下引き層(中間層)
Claims (10)
- 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層型感光層、または電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層が積層されてなり、
前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層が、一般式(I):
Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、同一または異なって、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基または置換基を有してもよい1価の複素環残基であり;
Y1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6は、同一または異なって、置換基を有してもよい直鎖状のアルキレン基であり;
Zは、I)−Ar5−、ii)−Ar5−Ar6−またはiii)−Ar5−W−Ar6−
(式中、Ar5およびAr6は、同一または異なって、置換基を有してもよいアリレン基または置換基を有してもよい2価の複素環残基であり;Wは、酸素原子、硫黄原子または置換基を有してもよい直鎖状、分枝鎖状もしくは環状のアルキレン基である)である]
で示されるジアミン化合物を含有し、かつ
露光光源として発振波長350〜500nmの半導体レーザまたは発光ダイオードを用いた露光により静電潜像を形成する露光手段を備えた画像形成装置に用いられることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記副式(III)における置換基Ar1、Ar2、Ar3およびAr4が、同一または異なって、置換基を有してもよいフェニル基またはシクロヘキシル基であり、かつAr5がフェニレン基またはビフェニレン基である請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記副式(III)における置換基Ar1、Ar2、Ar3およびAr4がフェニル基または4−メトキシフェニル基であるか、または置換基Ar1およびAr4が2,4−キシリル基でありかつ置換基Ar2およびAr3がシクロヘキシル基である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記ジアミン化合物の含有量が、前記電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜20重量部である請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
- 前記単層型感光層または前記積層型感光層の電荷輸送層がバインダ樹脂を含有し、該バインダ樹脂の含有量が、前記電荷輸送物質100重量部に対して120〜300重量部である請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
- 前記導電性支持体と前記単層型感光層または前記積層型感光層との間に下引き層を有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜8のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体に対して露光光源として発振波長350〜500nmの半導体レーザまたは発光ダイオードを用いて露光を施して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項9に記載の画像形成装置がユニットとして複数配列して設けられ、前記複数の画像形成装置毎に異なる色のトナーを用いて異なる色のトナー像を記録媒体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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