JP5123676B2 - 電子写真感光体およびカラー画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体およびカラー画像形成装置に関する。特に、感度のばらつきが少なく、かつ露光量が少ない場合であっても、優れた感度が得られる電子写真感光体およびそれを搭載したタンデム方式のカラー画像形成装置に関する。
従来、タンデム方式であって、複数のローラに架け渡される無端状のベルト状回転体を用いたカラー画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような画像形成装置は、例えば、電子写真方式で像担持体上に形成されたトナー像を1次転写した後、転写材に2次転写するための中間転写体をベルト状回転体(中間転写ベルト)から構成している。そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)等の複数色のトナーを中間転写ベルト上で重ね合わせることで、カラー画像を形成するカラー印刷機能を備えたタンデム方式が採用されている。したがって、このようなカラー画像形成装置は、複数色のトナーを重ね合わせるために、中間転写ベルトに沿って各色に対応する現像装置が並設されている。
そして、中間転写ベルト上には、現像装置の各感光体ドラムによるYMCK4色のトナー像が互いに重ね合わされるように、順次転写(1次転写)されてカラー画像が形成される。さらに、この中間転写ベルト上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルトに対向して設置された2次転写ローラによって用紙等の転写材上に転写(2次転写)されて、所定のカラー画像を形成することとなる。
特開2005−43593号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に記載のカラー画像形成装置においては、上述した4色のトナー現像に対応した4本の電子写真感光体において、感度のばらつきが生じやすく、良好な画像を形成することが困難となるという問題が見られた。
特に、電子写真感光体の回転数が所定以上、例えば、70rpm以上となったり、搭載する電子写真感光体の外径が30mm以下になったりすると、露光/現像時間がそれぞれ短くなって、露光量が減少することから、上述した4本の電子写真感光体における感度のばらつきが顕著に発生しやすくなるという問題が見られた。
そこで、露光強度を高めて、カラー画像の印刷特性を改良する試みもなされているが、電子写真感光体の光劣化が促進され、耐久性が著しく低下したり、あるいは、露光装置が高コスト化及び大型化したりするなどのさらなる問題が見られた。
したがって、4本の電子写真感光体における感度のばらつきを定量化するための適当なパラメータが求められているが、未だ明電位の値等によって感度の規格化がなされているにとどまっている。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、タンデム方式のカラー画像形成装置に搭載された電子写真感光体において、少なくとも2通りの所定露光量(単位面積当たり)を照射して測定した感度の比率を制御することにより、露光/現像時間がそれぞれ短くなった場合であっても、4本の電子写真感光体における感度のばらつきを効果的に定量化及び抑制できるとともに、優れた感度を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の目的は、タンデム方式のカラー画像形成装置に搭載されて、高速で画像形成を行った場合であっても、感度のばらつきが少なく、かつ優れた感度を得ることができる電子写真感光体及びそれを搭載した画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば、回転速度が70rpm以上の値であるドラム型の電子写真感光体を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置において用いられ、画像濃度として、1.3以上の値が得られる正帯電型の電子写真感光体であって、
単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を1.73以下の値とし、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm 2 とした場合における感度(Vb)を150V以下の値とし、かつ、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm 2 とした場合における感度(Va)を70〜120Vの範囲内の値とする電子写真感光体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、少なくとも2通りの所定露光量(単位面積当たり)を照射して測定した感度の比率を制御することにより、露光/現像時間がそれぞれ短くなった場合であっても、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを効果的に抑制できるとともに、優れた感度を得ることができる。
また、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm 2 とした場合における感度(Vb)をこのように構成することにより、露光量が少ない場合であっても、確実に優れた感度を得ることができる。
また、位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm 2 とした場合における感度(Va)をこのように構成することにより、複数の感光体間において、実質的に露光量が変動した場合であっても、感度のばらつきを容易に抑制することができる。
また、正帯電型を採用していることから、オゾンによる感光層の劣化が低減される結果、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを、さらに効率的に抑制することができる。
したがって、タンデム方式のカラー画像形成装置に搭載されて、高速で画像形成を行った場合であっても、画像濃度が安定した高品質なカラー画像を形成することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、外径を10〜30mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、電子写真感光体の小型化、軽量化に資することができる。なお、外径が小さくなることによって、電子写真感光体の回転数が増加することとなるが、本発明の電子写真感光体であれば、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを抑制することができるとともに、優れた感度を得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、平均粘度分子量が20,000〜80,000であるポリカーボネート樹脂を含む感光層を備えた単層型有機感光体であって、感光層の厚さを5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、感光層の光劣化や、機械的外力による劣化等に起因して、複数の電子写真感光体における感度のばらつきが生じるのを、より効果的に抑制することができる。
また、本発明の別の態様は、回転速度が70rpm以上の値であるドラム型の電子写真感光体を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置であって、画像濃度として1.3以上の値が得られる正帯電型の電子写真感光体を搭載するとともに、当該電子写真感光体の単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を1.73以下の値とし、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm 2 とした場合における感度(Vb)を150V以下の値とし、かつ、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm 2 とした場合における感度(Va)を70〜120Vの範囲内の値とするカラー画像形成装置である。
すなわち、本発明の画像形成装置は、上述した所定の電子写真感光体を搭載していることから、露光/現像時間がそれぞれ短くなった場合であっても、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを効果的に定量化及び抑制できるとともに、優れた感度を得ることができる。
したがって、高速で画像形成を行った場合であっても、画像濃度が安定した高品質なカラー画像を形成することができる。
また、本発明のカラー画像形成装置を構成するにあたり、プロセススピードを80〜200mm/secの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、画像形成を高速で行うことができ、画像形成効率を向上させることができる。なお、プロセススピードが速くなることによって、露光/現像時間がそれぞれ短くなるものの、本発明の電子写真感光体であれば、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを抑制することができるとともに、優れた感度を得ることができる。
また、本発明のカラー画像形成装置を構成するにあたり、クリーナーレスシステムであることが好ましい。
このようにクリーナーブレード等を省略した構成とすることにより、カラー画像形成装置の小型化、軽量化等に資することができる。
なお、従来のカラー画像形成装置の場合、クリーナーレスシステムを採用すると、電子写真感光体上の残留トナーが多くなって、実質的な露光量に変動が生じやすくなる。しかしながら、本発明の電子写真感光体であれば、クリーナーレスシステムであっても、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを抑制することができる。したがって、電子写真感光体上の残留トナーが多くなって、露光量に変動が生じたとしても、優れた感度を得ることができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、回転速度が70rpm以上の値であるドラム型の電子写真感光体を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置において用いられ、画像濃度として、1.3以上の値が得られる正帯電型の電子写真感光体であって、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を1.73以下の値とし、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm 2 とした場合における感度(Vb)を150V以下の値とし、かつ、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm 2 とした場合における感度(Va)を70〜120Vの範囲内の値とする電子写真感光体である。
以下、単層型の電子写真感光体を例にとって、第1の実施形態としての電子写真感光体について、具体的に説明する。
1.基本的構成
図2(a)に示すように、単層型感光体10は、基体12上に単一の感光層14を設けたものである。
また、かかる感光層は、結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含むとともに、さらに必要に応じてレベリング剤またはシリル基含有化合物等の添加剤を含むことができる。
また、図2(b)に示すように、基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層16が形成されている単層型感光体10´でもよい。
なお、本発明の電子写真感光体は、正帯電型であることを特徴とする。
この理由は、正帯電型を採用することにより、主に負帯電させる際に発生するオゾンによって感光層が劣化することを低減することができることから、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを抑制することに資することができるためである。
また、基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上述した金属が蒸着又はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス、あるいはカーボンブッラク等の導電性微粒子を分散してなるプラスッチク材料等が挙げられる。
2.感光層
(1)結着樹脂
(1)−1 種類
本発明の電子写真感光体に使用する結着樹脂の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂をはじめ、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
(1)−2 具体例
また、上述した結着樹脂の中でも、ポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。かかるポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記式(1)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1)が挙げられる。
(1)−3 粘度平均分子量
また、上述したポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を20,000〜80,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量をかかる範囲とすることにより、感光層の光劣化や、機械的外力による劣化等に起因して、複数の電子写真感光体における感度のばらつきが生じるのを、より効果的に抑制することができるためである。
すなわち、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が20,000未満の値となると、感光層の光劣化や、機械的外力による劣化を十分に抑制することが困難となる場合があるためである。一方、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が80,000を超えた値となると、感光層用塗布液の粘度が著しく増加し、均一な感光層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を25,000〜70,000の範囲内の値とすることがより好ましく、30,000〜60,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、オストワルド粘度計によって、極限粘度[η]を求め、Schnellの式によって、[η]=1.23×10-40.83より算出することができる。なお、[η]は、20℃で、塩化メチレン溶液を溶媒として、濃度(C)が6.0g/dm3となるようにポリカーボネート樹脂を溶解させて得られたポリカーボネート樹脂溶液において測定することができる。
(2)正孔輸送剤
(2)−1 種類
本発明の電子写真感光体において使用される正孔輸送剤としては、所定露光量(単位面積当たり)において測定した感度の比率を、所定の範囲とすることができる化合物であれば、特に制限されるものではなく、従来公知の種々の正孔輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物(例えば2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなど)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールなど)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなど)、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、及びジフェニレンジアミン系化合物などが好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
(2)−2 具体例
また、上述した正孔輸送性化合物の中でも、特に好適に使用される化合物としては、下記式(2)〜(7)で表される化合物(HTM−1〜6)を挙げることができる。
(2)−3 含有量
また、正孔輸送剤の含有量を、感光層における結着樹脂100重量部に対して10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、正孔輸送剤の含有量を、かかる範囲とすることによって、かかる正孔輸送剤が感光層中で結晶化することを効果的に抑制しつつ、優れた電気特性を得ることができるためである。
すなわち、正孔輸送剤の含有量が10重量部未満の値となると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、正孔輸送剤の含有量が100重量部を超えた値となると、かかる正孔輸送剤が過度に結晶化しやすくなって、感光層としての適正な膜を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、正孔輸送剤の含有量を20〜90重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜80重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)電子輸送剤
(3)−1 種類
また、本発明の電子写真感光体において使用される電子輸送剤としては、所定露光量(単位面積当たり)において測定した感度の比率を、所定の範囲とすることができる化合物であれば、特に制限されるものではなく、従来公知の種々の電子輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にジフェノキノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(3)−2 具体例
上述した電子輸送性化合物の中でも、特に好適に使用される化合物としては、下記式(8)〜(10)で表される化合物(ETM−1〜3)を挙げることができる。
(3)−3 含有量
また、電子輸送剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、電子輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光層として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の添加量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、電子輸送剤の添加量を定めるにあたり、正孔輸送剤の添加量を考慮することが好ましい。より具体的には、電子輸送剤(全ETM)の添加割合(全ETM/全HTM)を、正孔輸送剤(全HTM)に対して、0.25〜1.3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる全ETM/全HTMの比率がかかる範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。
したがって、かかる全ETM/全HTMの比率を0.5〜1.25の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)電荷発生剤
(4)−1 種類
また、本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤等の一種単独又は二種以上の混合物が挙げられる。
(4)−2 具体例
また、これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(11)〜(14)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜D)を使用することがより好ましい。
(4)−3 含有量
また、電荷発生剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の含有量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の含有量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の含有量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(5)添加剤
また、添加剤として、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
(6)厚さ
また、感光層の厚さを5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光層の機械的強度が低下するばかりか、感光層を均一に形成することが困難となる場合があるためである。一方、感光層の厚さが50μmを超えた値となると、感光層が基体から剥離しやすくなる場合があるためである。
また、感光層の厚さがこのような範囲内の値であれば、電子写真感光体の外径を比較的小さくしたり、高速回転させたりした場合であっても、機械的劣化等を効果的に抑制することができるためである。したがって、感光層の劣化に起因して、複数の電子写真感光体における感度のばらつきが生じるのを、さらに効果的に抑制することができる。
よって、感光層の厚さを8〜40μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(7)製造方法
また、単層型電子写真感光体の製造方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、以下のような手順で製造することができる。
まず、溶剤に電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂、添加剤等を含有させて塗布液を作成する。このようにして得られた塗布液を、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて導電性基材(アルミニウム素管)上に塗布する。
次いで、例えば、110℃、30分間の条件で熱風乾燥して、所定膜厚の感光層を有する単層型電子写真感光体を得ることができる。
なお、分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、1,4-ジオキサン、等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。このとき、さらに、電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を含有させてもよい。
さらに、感光層を形成する前に、基体上に、予め中間層を形成しておくことも好ましい。
このような中間層を形成するにあたり、結着樹脂、必要に応じて添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を適当な分散媒とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して塗布液を調整することが好ましい。そして、この塗布液を公知の手段、例えばブレード法、浸漬法、スプレー法により塗布して、さらに熱処理を施して、中間層を形成することができる。
なお、製造時における沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止する等の目的のために、中間層用の塗布液中に、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を添加することも好ましい。
次いで、得られた感光層用の塗布液を、公知の製造方法に準じて、例えば、支持基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて塗布することができる。
その後、基体上の塗布液を乾燥する工程は、20〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが好ましい。よって、このようにして支持基体(アルミニウム素管)上に、所定の感光層を形成することができる。
(8)積層型電子写真感光体
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、図3(a)に示すように、電荷発生剤を含む電荷発生層24と、電荷輸送剤及び結着樹脂を含む電荷輸送層22と、からなる積層型の感光層20であることも好ましい。
この積層型電子写真感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電荷輸送剤と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製することができる。
また、上述した構造とは逆に、図3(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図3(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
また、単層型感光体の場合と同様に、基体上に中間層25を形成することも好ましい。
なお、かかる積層型の感光層を採用した場合、電荷発生剤や、電荷輸送剤等の感光性材料の選択肢が広がり、構造設計上の自由度を向上させることができるという利点がある。
また、電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂などの所定の成分を、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
この積層型感光層20において、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の厚さは、特に限定されないが、電荷発生層については、0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましい。一方、電荷輸送層については、2〜40μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また電荷輸送剤の含有量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して10〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷輸送剤の含有量をかかる範囲とすることにより、かかる電荷輸送剤が電荷輸送層中で結晶化することを効果的に抑制しつつ、優れた電気特性を得ることができるためである。
したがって、電荷輸送剤の含有量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して25〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、電荷発生層における電荷発生剤の含有量は、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
3.外径
また、電子写真感光体の外径を10〜30mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電子写真感光体の外径をかかる範囲内の値とすることにより、電子写真感光体の小型化、軽量化に資することができるためである。
すなわち、電子写真感光体の外径が10mm未満の値となると、電子写真感光体の回転数が過度に増加して、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを抑制することが困難となる場合があるためである。
一方、電子写真感光体の外径が30mmを超えた値となると、電子写真感光体の小型化、軽量化に資することが困難となるためである。
したがって、電子写真感光体の外径を12〜28mmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜25mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
4.感度比率
また、本発明の電子写真感光体は、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を1.73以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、少なくとも2通りの所定露光量(単位面積当たり)において測定した感度の比率を制御することにより、露光/現像時間がそれぞれ短くなった場合、例えば、電子写真感光体の回転速度が70rpm以上になった場合であっても、複数の電子写真感光体間における感度のばらつきを効果的に抑制することができるとともに、優れた感度を得ることができるためである。
したがって、タンデム方式のカラー画像形成装置に搭載して、高速で画像形成を行った場合であっても、複数の電子写真感光体間で、画像濃度が安定し、それぞれ高品質なカラー画像を、長時間にわたって形成することができる。
ここで、少なくとも2通りの所定露光量(単位面積当たり)において測定した感度の比率を制御する理由をさらに詳細に説明する。
すなわち、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度(明電位)Vaのみを電子写真感光体の感度特性を評価する基準とした場合、かかる明電位は、十分な露光量における明電位であることから、その電子写真感光体における飽和した明電位とみなすことができる。
しかしながら、電子写真感光体を、タンデム方式のカラー画像形成装置において使用した場合には、このような評価基準では、十分にその感度特性を評価することが困難となるという問題が見られた。
より具体的には、タンデム方式のカラー画像形成装置においては、複数の電子写真感光体が同時に使用される使用形態をとる。この場合、かかる複数の電子写真感光体間における感度のばらつきが、4色のカラートナーからなる画像品質や画像濃度に大きく影響することとなる。そして、かかる感度のばらつきは、高速画像形成によって露光/現像時間がそれぞれ短くなった場合に、より顕著な問題となる。
一方、本発明においては、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度(明電位)Va(V)のほかに単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度(明電位)Vb(V)を測定し、Vb/Vaで表される感度比率を1.73以下の値としているため、それぞれの電子写真感光体間で、実質的な露光量が変化したような場合であっても、感度のばらつきを抑制することができる。
すなわち、比較的少ない露光量における明電位と、その電子写真感光体における飽和した明電位と、の比率を所定の範囲に規定することによって、実質的な露光量が変化した場合であっても、個々の電子写真感光体において、飽和状態に近い、安定した明電位を得ることできる。
したがって、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を1〜1.73の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜1.5の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、実際にカラー画像を形成する際の、感光体に対する単位面積当たりの露光量(Ic)は、当該単位面積当たりの露光量(Ic)が、単位面積当たりの露光量(Ib=0.6μJ/cm2)と、単位面積当たりの露光量(Ia=1.5μJ/cm2)と、の間の値であるか、あるいは、単位面積当たりの露光量(Ib)と実質的に同一かあるいはそれよりも若干小さい値であることが好ましい。
この理由は、単位面積当たりの露光量(Ic)が多少変化したとしても、単位面積当たりの露光量(Ib)と、単位面積当たりの露光量(Ia)と、の間の値であれば、確実に、所定の感度を得られやすいためである。一方、単位面積当たりの露光量(Ic)が、単位面積当たりの露光量(Ib)と実質的に同一(例えば、Ibの90〜100%)かあるいはそれよりも若干小さい値(例えば、Ibの70〜90%未満)であっても、所定の感度を得られやすい上に、感光体に対する光劣化をさらに有効に防止できることが確認されているためである。
次いで、図1を用いて、上述した感度比率と、感度のばらつき及び画像濃度と、の関係を説明する。
図1においては、横軸に単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率(−)を採り、縦軸に感度のばらつき(V)を採った特性曲線Aと、縦軸に画像濃度(−)を採った特性曲線Bと、が示してある。
なお、感度の測定方法、感度のばらつきの算出方法及び画像濃度の測定方法等の詳細については、後の実施例において記載する。
まず、特性曲線Aから理解されるように、感度比率の値が増加するのにしたがって、感度のばらつきが増加している。
より具体的には、感度比率の値が2未満の範囲では、その増加にともなって、感度のばらつきが緩やかに増加しているものの、20V以下の値を安定的に保持している。一方、感度比率の値が2以上の値となると、その増加にともなって、感度のばらつきが急激に増加し始めることがわかる。例えば、感度比率の値が2.2の場合には、感度のばらつきが40V以上の値にまで急増してしまうことがわかる。
次に、特性曲線Bから理解されるように、感度比率の値が増加するのにしたがって、ほぼ一定の割合で、画像濃度の値が低下している。
そして、感度比率の値が2未満の範囲では、画像濃度の値が1.3以上の値を保持できるのに対し、感度比率の値が2以上の範囲では、画像濃度の値が1.3未満の値となってしまい、十分な画像濃度を安定的に得ることが困難となることが理解される。
したがって、特性曲線A及びBからは、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を、1.73以下の値とすることにより、感度のばらつきを臨界的に抑制することができるとともに、画像濃度の低下についても、効果的に抑制することができることがわかる。
つまり、感度比率を1.73以下の値とすることにより、複数の電子写真感光体を使用するタンデム方式のカラー画像形成を実施した場合であっても、これらの電子写真感光体間における感度ひいては画像濃度のばらつきを効果的に抑制して、高品質なカラー画像を形成できることがわかる。
また、図4を用いて、上述した感度比率について、より具体的に説明する。
図4においては、横軸に単位面積当たりの露光量(μJ/cm2)を採り、縦軸に感度(V)を採った特性曲線C及びDが示してある。
また、特性曲線Cは、感度比率の値が2未満の値である場合の特性曲線であり、特性曲線Dは、感度比率の値が2以上の値である場合の特性曲線である。
すなわち、特性曲線C及びDからわかるように、単位面積当たりの露光量の値が大きくなるほど、感度の値は低下し、より明確な静電潜像を形成することができることがわかる。
しかしながら、特性曲線Dのように、単位面積当たりの露光量の大小にともなって、感度の値が大きく異なる電子写真感光体では、実質的な露光量が変化した場合に、感度の値も大きく変化してしまい、複数の電子写真感光体間での感度のばらつきを抑制することが困難となる。
一方、特性曲線Cのように、単位面積当たりの露光量の大小に関わらず、比較的感度の値が安定している電子写真感光体では、実質的な露光量が変化した場合であっても、感度の値が変化することを抑制することができる。したがって複数の電子写真感光体間での感度のばらつきを効果的に抑制することができる。
つまり、本発明においては、上述した理由から、2通りの所定露光量(単位面積当たり)において測定した感度比率を制御している。
また、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度(Vb)を150V以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度(Vb)をかかる範囲内の値とすることにより、露光量が少ない場合であっても、確実に優れた感度を得ることができるためである。
すなわち、比較的少ない露光量における明電位を、かかる範囲内の値とすることによって、実質的な露光量が減少した場合であっても、十分に飽和状態に近い、安定した明電位を得ることができるためである。
したがって、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度(Vb)を120〜145Vの範囲内の値とすることがより好ましく、125〜140Vの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度(Va)を70〜120Vの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度(Va)をかかる範囲内の値とすることにより、複数の感光体間において、実質的に露光量が変動した場合であっても、感度のばらつきを容易に抑制することができるためである。
すなわち、飽和状態の明電位を、かかる範囲内の値とすることによって、実質的な露光量が減少した場合であっても、明電位の変動を抑制して、安定した明電位を得ることができるためである。
したがって、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度(Va)を75〜115Vの範囲内の値とすることがより好ましく、80〜110Vの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、回転速度が70rpm以上の値であるドラム型の電子写真感光体を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置であって、画像濃度として1.3以上の値が得られる正帯電型の電子写真感光体を搭載するとともに、当該電子写真感光体の単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を1.73以下の値とし、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm 2 とした場合における感度(Vb)を150V以下の値とし、かつ、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm 2 とした場合における感度(Va)を70〜120Vの範囲内の値とすることを特徴とするカラー画像形成装置である。
以下、第1の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第2の実施形態としてのカラー画像形成装置について説明する。
まず、第2の実施形態のカラー画像形成装置は、例えば、図5に示すように、カラープリンタ100の全体構成である。また、図6は、図5に示したカラープリンタ100の画像転写部103周辺の構成を示した要部拡大図である。まず、図5及び図6を参照して、本発明の第1実施形態であるタンデム方式のカラープリンタ100の全体構成について説明する。
このカラープリンタ100は、図5に示すように、箱型の機器本体100aを有している。この機器本体100a内には、用紙Pを給紙する給紙部102と、この給紙部102から給紙された用紙Pを搬送しながら当該用紙Pに画像を転写するための画像転写部103と、この画像転写部103で用紙Pに転写された画像に対して定着処理を施す定着部104と、が設けられている。さらに、機器本体100aの上面には、定着部104で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部105が設けられている。
また、給紙部102は、給紙カセット121、ピックアップローラ122、給紙ローラ123,124,125、及びレジストローラ126を備えている。給紙カセット121は、機器本体100aから挿脱可能に設けられ、各サイズの用紙Pを貯留する。ピックアップローラ122は、給紙カセット121の右上方位置に設けられ、給紙カセット121に貯留されている用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラ123,124,125は、ピックアップローラ122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路に送り出す。レジストローラ126は、給紙ローラ123,124,125によって用紙搬送路に送り出された用紙Pを一時待機させた後、所定のタイミングで画像転写部103に供給する機能を有している。
また、給紙部102は、機器本体100aの右側面に取り付けられる手差しトレイ(図示せず)と、ピックアップローラ127とをさらに備えている。このピックアップローラ127は、手差しトレイに載置された用紙Pを取り出す機能を有している。したがって、ピックアップローラ127によって取り出された用紙Pは、給紙ローラ123,125によって用紙搬送路に送り出され、レジストローラ126によって、所定のタイミングで画像転写部103に供給される。
また、画像転写部103は、画像転写ユニット107と、この画像転写ユニット107によってその表面(接触面)にトナー像が1次転写される中間転写ベルト111と、この中間転写ベルト111上のトナー像を給紙カセット121から送り込まれた用紙Pに2次転写させるための2次転写ローラ112と、を備えている。
また、画像転写ユニット107は、上流側(図5では左側)から下流側に向けて順次配設されたブラック用ユニット107Kと、イエロー用ユニット107Yと、シアン用ユニット107Cと、マゼンタ用ユニット107Mとを備えている。
各ユニット107K,107Y,107C及び107Mは、それぞれの中央位置に像担持体としての感光体ドラム171が矢符(反時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、各感光体ドラム171の周囲には、帯電器175、露光装置176、現像装置172、及び除電器174等が、回転方向上流側から順に各々配置されている。
なお、図5および図6においては、クリーニング装置を設けていない。
また、帯電器175は、矢符方向に回転されている感光体ドラム171の周面を均一に帯電させる機能を有している。このような帯電器175としては、例えば、スコロトロン帯電器等が挙げられる。
また、露光装置176は、いわゆるレーザ走査ユニットであり、帯電器175によって均一に帯電された感光体ドラム171の周面に、画像読取装置等から入力された画像データに基づくレーザ光を照射し、感光体ドラム171上に画像データに基づく静電潜像を形成する機能を有している。
また、現像装置172は、静電潜像が形成された感光体ドラム171の周面にトナーを供給することで、画像データに基づくトナー像を形成させる機能を有している。そして、このトナー像が中間転写ベルト111に1次転写される。
また、除電器174は、1次転写が終了した後、感光体ドラム171の周面を除電する機能を有している。したがって、除電器174によって除電された感光体ドラム171の周面は、新たな帯電処理のために帯電器175へ向かい、新たな帯電が行われる。
また、中間転写ベルト111は、無端状のベルト状回転体であって、表面(接触面)側が各感光体ドラム171の周面にそれぞれ当接するように駆動ローラ113、ベルト支持ローラ114、バックアップローラ115、一次転写ローラ116及びテンションローラ117等の複数のローラに架け渡されている。
また、中間転写ベルト111は、各感光体ドラム171と対向配置された一次転写ローラ116によって感光体ドラム171に押圧された状態で、複数のローラによって無端回転するように構成されている。
そして、駆動ローラ113は、ステッピングモータ等の駆動源118によって回転駆動し、中間転写ベルト111を無端回転させるための駆動力を与える。したがって、駆動ローラ113は、表面にウレタンゴム等からなる弾性体層を有するローラであることが好ましい。そうすることによって、中間転写ベルト111の裏面を傷つけることなく、かかる中間転写ベルト111を駆動させることができる。
また、ベルト支持ローラ114、バックアップローラ115、一次転写ローラ116及びテンションローラ117は、回転自在に設けられ、駆動ローラ113による中間転写ベルト111の無端回転に伴って回転する従動ローラである。
これらの従動ローラ114,115,116,117は、駆動ローラ113の主動回転に応じて中間転写ベルト111を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト111を支持する機能を有している。
さらに、テンションローラ117及び一次転写ローラ116は、以下のように機能している。
まず、テンションローラ117は、中間転写ベルト111が弛まないように中間転写ベルトに対してテンション(張力)を与える。このテンションローラ117は、例えば、ばね(スプリング)体等の付勢部材117a等によって付勢されることで、中間転写ベルト111の裏面(内周側)から表面(外周側)へ向けて該中間転写ベルト111に対して押圧力を加えるようにしてテンションを発生させる。
一方、1次転写ローラ116は、1次転写バイアス(トナーの帯電極性とは逆極性)を中間転写ベルト111に印加する。そうすることによって、各感光体ドラム171上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム171と、1次転写ローラ116との間で、駆動ローラ113の駆動により矢符(時計回り)方向に周回する中間転写ベルト111に重ね塗り状態で順次転写(1次転写)される。
また、従動ローラ114,115,116,117は、表面が少なくとも金属からなる金属ローラ、及び表面が弾性体からなるゴムローラ等が用いられ、従動ローラ114,115,116,117のうち少なくとも1つは、金属ローラが用いられる。なお、従動ローラ(1次転写ローラ)116は、導電性のゴムローラであることが好ましい。
また、2次転写ローラ112は、トナー像と逆極性の2次転写バイアスを用紙Pに印加する。そうすることによって、中間転写ベルト111上に1次転写されたトナー像は、2次転写ローラ112とバックアップローラ115との間で、用紙Pに転写され、これによって、用紙Pにカラーの転写画像が形成される。
また、定着部104は、画像転写部103で用紙Pに転写された転写画像に定着処理を施すものであり、通電発熱体により加熱される加熱ローラ141と、この加熱ローラ141に対向配置され、周面が加熱ローラ141の周面に押圧当接される加圧ローラ142とを備えている。
そして、画像転写部103で、2次転写ローラ112により用紙Pに転写された転写画像は、当該用紙Pが加熱ローラ141と、加圧ローラ142との間を通過する際の加熱による定着処理で用紙Pに定着される。そして、定着処理の施された用紙Pは、排紙部105へ排紙されるようになっている。また、本実施形態のカラープリンタ101では、定着部104と、排紙部105との間であって、適所に搬送ローラ106が配設されている。
なお、本発明の画像形成装置においては、電子写真感光体の回転速度を70rpm以上の値とすることを特徴とする。
この理由は、本発明の画像形成装置であれば、電子写真感光体の回転速度をかかる範囲とした場合であっても、複数の電子写真感光体間における感度のばらつきを効果的に抑制して、良質なカラー画像を高速画像形成することができるためである。
したがって、電子写真感光体の回転速度を75〜100rpmの範囲内の値とすることがより好ましく、80〜90rpmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明のカラー画像形成装置を構成するにあたり、プロセススピードを80〜200mm/secの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、プロセススピードをかかる範囲内の値とすることにより、画像形成を高速で行うことができ、画像形成効率を向上させることができるためである。なお、プロセススピードが速くなることによって、露光/現像時間がそれぞれ短くなるものの、本発明の電子写真感光体であれば、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを抑制することができるとともに、優れた感度を得ることができる。
したがって、プロセススピードを90〜150mm/secの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜120mm/secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明のカラー画像形成装置を構成するにあたり、クリーナーレスシステムであることが好ましい。
このようにクリーナーブレード等を省略した構成とすることにより、カラー画像形成装置の小型化、軽量化等に資することができる。
なお、従来のカラー画像形成装置の場合、クリーナーレスシステムを採用すると、電子写真感光体上の残留トナーが多くなって、実質的な露光量に変動が生じやすくなる。しかしながら、本発明の電子写真感光体であれば、クリーナーレスシステムであっても、複数の電子写真感光体における感度のばらつきを抑制することができる。したがって、電子写真感光体上の残留トナーが多くなって、露光量に変動が生じたとしても、優れた感度を得ることができる。
[実施例1]
1.電子写真感光体の作成
容器内に、結着樹脂として式(1)で表される粘度平均分子量が30,000のポリカーボネート樹脂(Resin−1)を100重量部に対して、電荷発生剤として、式(11)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)を4重量部と、正孔輸送剤として式(2)で表される化合物(HTM−1)を80重量部と、電子輸送剤として式(8)で表される化合物(ETM−1)を30重量部と、溶媒としてテトラヒドロフランを800重量部と、を収容した。
次いで、ボールミルにて50時間混合分散して、単層型感光層用の塗布液を作成した。得られた塗布液を、長さ254mm、直径24mmの基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布し、110℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚30μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を得た。
なお、同様の条件で、合計100本の電子写真感光体を製造した。
2.電子写真感光体の評価
(1)感度測定
得られた電子写真感光体(測定数=100本)の感度測定を以下の条件で測定した。
すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC(株)製、シンシア30M)を用いて、電子写真感光体の表面電位を+800Vに帯電させた状態で、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm)を、電子写真感光体表面に対して、40msec照射し、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした。次いで、露光開始から300msec経過した時点での表面電位(Vb)を測定し、それから平均値(測定数=100本)を算出した。
その後、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2から1.5μJ/cm2に変えたほかは同様にして、露光開始から300msec経過した時点での表面電位(Va)を測定し、それから平均値(測定数=100本)を算出した。
(2)感度のばらつき
電子写真感光体(測定数=100本)の感度測定の結果(単位面積当たりの露光量:0.6μJ/cm2)のうち、表面電位の値が大きい、上位20点の平均値を最大値(Vmax)とし、表面電位の値が小さい、下位20点の平均値を最小値(Vmin)とし、以下の感度のばらつき(V)を算出した。
感度のばらつき(V)=最大値(Vmax)−最小値(Vmin
(3)画像濃度
電子写真感光体(測定数=100本)を、京セラミタ製KM−C3232改造機に搭載して、以下の条件で、ソリッド画像パターンを1万枚印刷した。
次いで、1万枚印刷後に得られたソリッド画像パターンにおける画像濃度を、マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。より具体的には、ソリッド画像パターンのベタ部における画像濃度測定を行ない、その平均値を算出して、画像濃度とした。
帯電方式:スコロトロン帯電方式(帯電電位:800V)
露光方式:レーザ光源露光方式(単位面積当たりの露光量:0.5μJ/cm2
現像方式:非磁性一成分トナー(重合トナー、ブラックタイプのみ使用)
中間転写方式:ベルト状転写方式
クリーニングブレード:無し
プロセススピード:100mm/sec
ドラム回転速度:80rpm
実施例2〜4、参考例5〜6および比較例1
実施例2〜4、参考例5〜6および比較例1においては、表1に示すように、電子写真感光体の正孔輸送剤の種類を変えたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。なお、比較例1においては、下記式(15)で表される化合物(HTM−7)を使用した。
参考例7、実施例8および比較例2
参考例7、実施例8および比較例2においては、表1に示すように、電子写真感光体の電子輸送剤の種類を変えたほかは、実施例2と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。なお、比較例2においては、下記式(16)で表される化合物(ETM−4)を使用した。

以上、詳述したように、本発明によれば、単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を所定値とすることによって、感度のばらつきが少なく、かつ露光量が少ない場合であっても、優れた感度が得られる電子写真感光体およびそれを搭載したタンデム方式のカラー画像形成装置が得られるようになった。
したがって、本発明の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における長寿命化、高速化等に寄与することが期待される。
感度比率と、感度のばらつき及び画像濃度と、の関係を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、単層型電子写真感光体の基本構造及び変形構造を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、積層型電子写真感光体の基本構造及び変形構造を説明するために供する図である。 単位面積当たりの露光量と、感度との関係を説明するために供する図である。 タンデム方式のカラー画像形成装置を説明するために供する図である(その1)。 タンデム方式のカラー画像形成装置を説明するために供する図である(その2)。
符号の説明
10:単層型感光体
12:導電性基体
14:感光層
16:バリア層
20:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
100:カラー画像形成装置(カラープリンタ)
100a:機器本体
102:給紙部
103:画像転写部
104:定着部
105:排紙部
107(107K,107Y,107C,107M):画像転写ユニット
111:中間転写ベルト
112:2次転写ローラ
171:感光体ドラム
172:現像装置
174:除電器
175:帯電器
176:露光装置

Claims (6)

  1. 回転速度が70rpm以上の値であるドラム型の電子写真感光体を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置において用いられ、画像濃度として、1.3以上の値が得られる正帯電型の電子写真感光体であって、
    単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を1.73以下の値とし、
    前記単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm 2 とした場合における感度(Vb)を150V以下の値とし、かつ、
    前記単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm 2 とした場合における感度(Va)を70〜120Vの範囲内の値とすることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 外径を10〜30mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 粘度平均分子量が20,000〜80,000であるポリカーボネート樹脂を含む感光層を備えた単層型有機感光体であって、前記感光層の厚さを5〜50μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 回転速度が70rpm以上の値であるドラム型の電子写真感光体を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置であって、
    画像濃度として1.3以上の値が得られる正帯電型の電子写真感光体を搭載するとともに、
    当該電子写真感光体の単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm2とした場合における感度をVb(V)とし、単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm2とした場合における感度をVa(V)としたときに、Vb/Vaで表される感度比率を1.73以下の値とし、
    前記単位面積当たりの露光量を0.6μJ/cm 2 とした場合における感度(Vb)を150V以下の値とし、かつ、
    前記単位面積当たりの露光量を1.5μJ/cm 2 とした場合における感度(Va)を70〜120Vの範囲内の値とすることを特徴とするカラー画像形成装置。
  5. プロセススピードを80〜200mm/secの範囲内の値とすることを特徴とする請求項に記載のカラー画像形成装置。
  6. クリーナーレスシステムが採用してあることを特徴とする請求項4または5に記載のカラー画像形成装置。
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