JP2010007795A - 給水制御バルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】カム部材の回転により操作軸を2次側から移動操作し、弁部を開閉方向に動作させるようになした給水制御バルブにおいて、操作軸とバルブボデーとの間を水密にシールするOリングが固着を起した場合においても、良好に弁部を動作させ得るようにする。
【解決手段】給水制御バルブにおいて、操作軸56を2次側の流出水路34を通り延出させて、弁部を操作するようになすとともに操作軸56をOリング86にて水密にシールする。そして操作軸56をカム部材62と、ばね部材80の付勢力にて移動させるようにするとともに、カム部材62には逆方向回転時に操作軸56の側の被係合ピン90に係合して、引込力を操作軸56に作用させる係合部96を設けておく。
【選択図】 図2

Description

この発明は給水制御バルブに関し、詳しくは2次側の流出水路の側から操作軸にて弁部を操作するようになした給水制御バルブに関する。
従来、バルブボデーに備えた1次側の流入水路と、2次側の流出水路と、それら流入水路と流出水路とで形成される水路上に設けられた弁部と、弁部を操作する操作軸とを有し、その操作軸により弁部を操作して弁部を開閉及び/又は開度変化させ、給水制御するようになした給水制御バルブが知られている。
またこのような給水制御バルブにおいて、操作軸をバルブボデーから2次側の流出水路を通って弁部の側に延出させ、流出水路の側で弁部を操作軸にて操作するようになしたものが公知である。
例えば下記特許文献1にこの種の給水制御バルブが開示されている。
図12はその具体例を示している。
図において200はバルブボデー、202,204はそれぞれ1次側の流入水路,2次側の流出水路、206はそれら流入水路202と流出水路204とで形成される水路上に設けられた弁部で、208はその弁部206を操作する操作軸である。
ここで操作軸208は、バルブボデー200から2次側の流出水路204を通って弁部206の側に延出しており、流出水路204の側で弁部206を操作するものとなしてある。
この給水制御バルブでは、流入水路202から流入した水がバルブボデー200と操作軸208との間を通って漏水するのを防ぐべく、操作軸208とバルブボデー200との間に、環状の弾性を有するシール部材としてOリング210を介在させ、かかるOリング210にて操作軸208とバルブボデー200との間を水密にシールするようにしている。
図12に示す給水制御バルブの場合、操作軸208は、操作軸208に設けた雄ねじ212とバルブボデー200に設けた雌ねじ214とで螺合させてあり、操作軸208を正方向に回転させることで、操作軸208がねじ送りで図中上方に押し上げられ、弁部206を開方向に動作させる。
また操作軸208をこれとは逆方向に回転させると、操作軸208がねじ送りで図中下向きに引き込まれ、弁部206を閉方向に動作させる。
しかしながらこのように操作軸208をねじ送りで図中上方と下方とに進退移動させるようになした場合、操作軸208の回転角度と弁部206の開度とは比例関係となって一義的に定まってしまい、操作軸208の回転角度の変化に応じて弁部206の開度を様々なパターンで変化させること、即ち流量制御特性を操作軸208の回転角度の変化に対してリニアな関係でなく、他の異なった様々な関係で設定することができない問題がある。
そこで回転運動により操作軸を軸方向に移動させるカム部材を設けるとともに、操作軸の上記弁部の側の一端側とは反対側の他端側に構成した従動部をカム部材のカム面に当接させる向きに操作軸を付勢するばね部材とを設け、カム部材の正方向回転により従動部に対するカム面の押出作用にて操作軸を押上げ側に前進移動させ、弁部を開方向に動作させるとともに、カム部材の逆方向回転時に、ばね部材の付勢力による従動部のカム面への弾性押圧作用にて操作軸を引込み側に後退移動させ、弁部を閉方向に動作させるようになすといったことが考えられる。
このようにカム部材にて操作軸を移動するようになした場合、カム面の形状を様々な形状に形成することによって、流量制御特性を様々に設定することが可能となる。
尚、このようにカム部材の回転により弁部を開閉方向に動作させるようになしたものについては従来公知である。
例えば下記特許文献2,特許文献3にこの種の給水制御バルブが開示されている。
ところで、上記のようにカム部材と、操作軸の他端側に構成した従動部をカム部材のカム面に対して付勢するばね部材とにより、操作軸を押上げ側に前進移動させたり、引込み側に後退移動させたりして、弁部を開閉方向に動作させる給水制御バルブにあっては、ばね部材のばね力(付勢力)を強く設定しておくと、カム部材のカム面及び従動部の摺動摩耗が大となってそれらの部分が摩耗により削られてしまい、給水制御特性に悪影響が及んでしまう問題を生ずる。
従ってこの場合にはばね部材のばね力を可及的に小さく設定しておくことが望ましい。
一方でそのようにばね部材のばね力を小さくしておくと、操作軸とバルブボデーとの間を水密にシールするシール部材が固着を起したときに、給水制御バルブがコントロール不能に陥ってしまう恐れが生ずる。
給水制御バルブにあっては、弁部が開いたまま(操作軸が所定ストローク押し上げられたまま)長期間放置されてしまうことがあり、そのような場合にシール部材が固着(操作軸に対する固着)を起してしまうことがある。
この場合、従動部をカム面に対して付勢し押圧するばね部材のばね力が小さいと、シール部材の固着による抵抗力がばね部材の付勢力に打ち勝って、弁部を閉じる方向に、つまり操作軸を引込む方向(後退方向)にカム部材を回転させても、操作軸がカム面の回転に追従して後退移動せず、カム面と操作軸の従動部との間に隙間が生じてしまう。
このような状態に陥ると、カム部材を回転させても操作軸がこれに追従して引込み側に後退移動して来ないために、弁部がこれに応じて閉方向に動作せず、コントロール不能な状態に陥ってしまう。
尚、このように弁部が開いたまま長期間放置されることによるシール部材の固着の現象は、例えば次のような場合に生じる。
即ち、給水バルブの施工時において、弁部を開いたまま元栓を閉じてしまうと、給水制御バルブはその状態では給水を行わないために、弁部が開いた状態のまま放置されてしまうといったことが起り得る。
或いは給水制御バルブで流量調節を行うようにし、別途に設けた吐止水バルブにて吐水と止水とを行うようになしたものにあっては、給水制御バルブの弁部を開いたままの状態で、別途に設けた吐止水バルブを閉じておくことで、給水制御バルブの弁部が開いたまま長時間放置されてしまうことが起り得る。
特開2007−24059号公報 特開2007−24061号公報 特開平1−229184号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、カム部材の回転により操作軸を2次側から移動操作し、弁部を開閉方向に動作させるようになした給水制御バルブにおいて、操作軸とバルブボデーとの間を水密にシールするシール部材が固着を起した場合においても、良好に給水制御動作を行うことのできる給水制御バルブを提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、バルブボデーに備えた1次側の流入水路と、2次側の流出水路と、それら流入水路と流出水路とで形成される水路上に設けられた弁部と、該弁部を操作する操作軸と、を有し、該操作軸により該弁部を操作して該弁部を開閉及び/又は開度変化させ、給水制御するようになした給水制御バルブにおいて、前記操作軸の前記弁部側の一端側を前記バルブボデーから前記2次側の流出水路を通り延出させて、該操作軸と該バルブボデーとの間を弾性を有する環状のシール部材にて水密にシールするとともに、回転運動により前記操作軸を軸方向に移動させるカム部材と、該操作軸の前記弁部側の一端側とは反対側の他端側に構成した従動部を該カム部材のカム面に当接させる向きに該操作軸を付勢するばね部材とを設け、該カム部材の正方向回転により前記従動部に対する該カム面の押上作用にて前記操作軸を前記ばね部材の付勢力に抗し押上げ側に前進移動させ、前記弁部を開方向に動作させるとともに、該カム部材の逆方向回転時に、前記ばね部材の付勢力による前記従動部の前記カム面への弾性押圧作用にて該操作軸を引込み側に後退移動させ、前記弁部を閉方向に動作させるようになし、且つ前記カム部材には、該カム部材の前記逆方向回転時に前記操作軸の側の被係合部に係合して、該カム部材の逆方向回転による引込力を該操作軸に作用させる係合部を設けたことを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記係合部が、前記カム面に沿って該カム面の全長に亘り設けてあることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記弁部が、パイロット弁の進退移動に追従して主弁を該パイロット弁と同方向に進退移動させるパイロット式弁部となしてあり、前記操作軸が該パイロット弁を操作するものとなしてあることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、カム部材の逆方向回転時にカム面から離間しようとする操作軸の側の被係合部に係合して、カム部材の逆方向回転により引込力を操作軸に作用させる係合部をカム部材に設けたものである。
かかる本発明では、操作軸とバルブボデーとを水密にシールするシール部材が固着を起した場合においても、カム部材に設けた係合部と操作軸の側の被係合部との係合作用により、カム部材の逆方向回転による引込力を操作軸に及ぼし、これをカム部材の逆方向回転に伴って良好に引込み側に後退移動させることができる。即ち開弁状態にある弁部を支障無く閉弁動作させることができる。
尚、シール部材の固着により高まった操作軸の移動抵抗は、その操作軸に強制力を加えて操作軸を微小移動させた時点でシール部材の固着が解除されることにより、元の低抵抗状態に復帰する。従ってその後においては操作軸をシール部材に対し円滑に摺動運動させることが可能である。
本発明における上記の係合部及び被係合部は、上記のシール部材の固着を解除することを主目的としたもので、従って上記係合部は、少なくともカム部材の逆方向回転の何れかの位置で操作軸の側の被係合部に係合し、引込力を操作軸に加えて固着解除し得るものであれば良い。
シール部材が固着解除されれば、操作軸は以後ばね部材による付勢力にてカム部材の逆方向回転に良好に追従して引込み側に後退移動し、これに基づいて弁部が良好に閉弁方向に動作する。
一方、本発明では上記係合部をカム面に沿ってカム面の全長に亘り設けておくことができる(請求項2)。
この請求項2によれば、シール部材が経時変化により劣化して硬くなり、そのことによりシール部材による抵抗がばね部材による付勢力に打ち勝つに到った場合であっても、即ちシール部材の一時的な固着ではなくシール部材自身の硬化の現象により、操作軸の移動に対する抵抗が大きくなった場合であっても、カム部材の逆方向回転の際に操作軸を支障無く引込み側に後退移動させることができ、弁部を閉弁動作させることが可能となる。
本発明は、上記弁部を、パイロット弁の進退移動に追従して主弁を同方向に進退移動させるパイロット式弁部となし、上記操作軸を、そのパイロット弁を操作するものとなしておくことができる(請求項3)。
このようにすれば、操作軸をより小さな駆動力で移動させることができ、従ってカム部材を電動モータにて回転させるに際し、より小型の電動モータを用いることが可能となる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は水栓で、12は水栓10における吐水管である。
吐水管12は、カウンタ上面等の取付面(図示省略)から起立する形態で設けられている。
吐水管12は、ここでは全体として逆U字状のグースネック形状をなしており、その先端に吐水口14が備えられている。
また吐水管12には、最上位から先端にかけて下向きに下がった下がり形状部且つその先端部の上面に、吐水の流量調節を行う回転式のダイヤル操作部16,自動吐止水のための赤外線式のセンサ18が設けられている。
ここでダイヤル操作部16は電気的操作部として構成してあって、このダイヤル操作部16を回転させると、回転位置検出センサがこれを検知して、その回転位置に応じた信号を発生する。そしてその信号が後述の制御部28に送られる。
センサ18は、発光部から赤外線を発光し、人体による反射光を受光部で受光して人体検知を行う。水栓10は、このセンサ18による人体検知に基づいて自動吐水し、人体非検知に基づいて自動止水する。
22は給水路で、この給水路22上に本実施形態の給水制御バルブ24が設けられている。
26はその駆動源となるステッピングモータ(電動モータ)で、給水制御バルブ24における制御部28に電気的に接続されている。
制御部28にはまた、上記のダイヤル操作部16(詳しくはその回転位置を検出する回転位置検出センサ)が電気的に接続されている。更にこの制御部28には、上記のセンサ18が電気的に接続されている。
図2及び図3に、この給水制御バルブ24の具体的構成が示してある。
図において30はバルブボデーで、分割体30-1,30-2,30-3及び30-4の上下の分割構造とされている。
このバルブボデー30には、1次側の流入水路32と、2次側の流出水路34とが設けられており、それら流入水路32と流出水路34とで形成される主水路(水路)上に弁部が設けられている。
36は、その弁部におけるダイヤフラム弁から成る主弁で、この主弁36は、図4にも示しているように硬質の主弁本体38と、これにより保持されたゴム製のダイヤフラム膜40とから成っている。
この主弁36は、主弁座42に向けて進退移動して上記の主水路を開閉し、また開度を変化させる。
詳しくは、主弁36は主弁座42への着座によって主水路を遮断し、また主弁座42から図中上向きに離間することによって主水路を開放する。
また主弁座42からの離間量に応じて主水路の開度を大小変化させ、主水路を流れる水の流量を調節する。
この主弁36の図中上側、即ち主弁36に対し流出水路34と反対側に背圧室44が設けられている。
背圧室44は、内部の圧力を主弁36に対し図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁36には、これを貫通して1次側の流入水路32と背圧室44とを連通させる導入小孔46が設けられている。
導入小孔46は、流入水路32からの水を背圧室44に導いて背圧室44の圧力を増大させる。
主弁36にはまた、これを貫通して背圧室44と2次側の流出水路34とを連通させる、水抜水路としてのパイロット水路48(図4参照)が設けられている。
このパイロット水路48は、背圧室44内の水を流出水路34に抜いて背圧室44の圧力を減少させる。
45は上記弁部におけるパイロット弁で、その下部にはゴム等の弾性材から成るシール部材47が設けられている。
このパイロット弁45は図中上下方向、即ち主弁36に設けられたパイロット弁座50に対し図中上下方向(軸方向)に進退移動して、パイロット水路48の開度を変化させる。
詳しくは、パイロット弁45がパイロット弁座50に着座することでパイロット水路48が閉鎖され、またパイロット弁45がパイロット弁座50から図中上向きに離間することで、パイロット水路48が開放される。
更にパイロット弁45のパイロット弁座50からの離間量に応じてパイロット水路48の開度が変化せしめられる。
但しこの実施形態では、実際にはパイロット弁45が図中上下方向に進退移動すると、主弁36がこのパイロット弁45に追従して図中上下方向に進退移動する。
その際、主弁36はパイロット弁座50とパイロット弁45との間に一定の微小な追従間隙を保持した状態で、パイロット弁45の進退移動に追従して同方向に進退移動する。
詳しくは、図6に示しているようにパイロット弁45が図中上方向に後退移動すると、パイロット水路48が開いて背圧室44内の水がパイロット水路48を通じて流出水路34に抜け、背圧室44の圧力が低下する。
すると背圧室44の圧力と流入水路32の圧力とをバランスさせるようにして、主弁36がパイロット弁45の後退移動に追従して上向きに後退移動し、主水路を開いて流入水路32から流出水路34へと水を流通させる(図6(II))。
主弁36は、パイロット弁座50とパイロット弁45との間隙を一定に維持しつつ、パイロット弁45の更なる後退移動に追従して同方向に移動し、主水路の開度を更に拡くして、主水路における水の流量を増大変化させる(図6(III))。
また逆にパイロット弁45が図中下向きに前進移動すると、図7(I)に示すように背圧室44の圧力と流入水路32の圧力とをバランスさせるようにして、主弁36がパイロット弁45の前進移動に追従して図中下向きに移動し、主水路の開度を減少変化させて、主水路における水の流量を減少させる(図7(II))。
そして最終的に主弁36及びパイロット弁45が主弁座42,パイロット弁座50に着座して、それぞれが閉弁状態となる(図7(III))。
尚パイロット弁45からは図中下向きに細径のピン54が突出しており、このピン54が、主弁36の中心部の貫通孔を下向きに挿通している。
上記パイロット水路48は、このピン54と主弁36の貫通孔の内周面との間に狭小幅で環状に形成されている。
一方ピン54とは反対側において、パイロット弁45の上側に金属製のコイルばね52が配設されており、このコイルばね52によって、パイロット弁45が図中下向きに付勢されている。
56は、図2及び図4に示しているようにパイロット弁45に対し図中上下方向に対向して同軸状に配置された操作軸で、図中57は操作軸56における軸部である。
軸部57は、バルブボデー30から2次側の流出水路34を通って弁部の側に一端側(上端側)が延出している。そして操作軸56は、パイロット弁45を介して主弁36を流出水路34側から操作する。
尚この操作軸56における軸部57の上端近傍位置には、大径をなす止め輪58が装着されている。
この止め輪58は、パイロット弁45を図中上向きに後退移動させたときに、主弁36がこれに追従して移動しないとき、主弁36詳しくは硬質の主弁本体38に当接して、これを強制的に図中上側に持ち上げ、開弁させる働きをなす。
図2において、60は駆動源となるステッピングモータ26の出力軸で、この出力軸60にカム部材62が一体回転状態に組み付けられている。
このカム部材62は円筒形状をなしていて、図5に示しているように中心部に挿入孔64を有しており、そこに出力軸60が上向きに挿入されている。
図5に詳しく示しているように、この出力軸60とカム部材62の挿入孔64とには、切落し形状の平坦な係合面66,68がそれぞれ形成されており、出力軸60と挿入孔64とがそれら係合面66と68とにおいて互いに係合させられている。
そしてそれらの係合作用により、カム部材62が出力軸60と一体回転するようになっている。
ここでカム部材62の上面は、周方向に沿って図中反時計方向に移動するにつれ上方に移行する形状の、部分螺旋形状をなすカム面70とされている。
上記操作軸56は、上側の軸部57と、下側のキャップ状の従動部材72とに分割されている。
従動部材72には、図5に示しているようにその中心部に挿込孔76が形成され、そこに軸部57が圧入によって挿し込まれることで、上側の軸部57と下側の従動部材72とが上下に結合されている。
この従動部材72には、下向きに突出する従動部としての突起74が設けられており(即ち操作軸56の一端側(上端側)とは反対側の他端側(下端側)に従動部としての突起74が設けられており)、この突起74が、カム部材62の上面のカム面70に図中下向きに当接させられている。
従ってステッピングモータ26の出力軸60が回転し、そしてこれと一体にカム部材62が回転すると、操作軸56が上下方向に駆動され、パイロット弁45を介して主弁36を動作させる。
詳しくは、操作軸56がパイロット弁45の下向きに突出したピン54に当接して、パイロット弁45を図中上下方向に進退移動させ、そしてこれに伴って主弁36を同方向に進退移動させて、主弁36を開閉及び開度変化させる。
図2に示しているようにバルブボデー30、詳しくは分割体30-2には、その中心部に凹部77が形成されており、その凹部77の下部に、上記の従動部材72が上下に摺動可能に嵌挿されている。
一方凹部77の上部にはグリースキャップ78が嵌挿されている。このグリースキャップ78の内側にはグリース溜りが形成され、そこにグリースが保持されている。
このグリースキャップ78と従動部材72との間には、金属製のコイルばねから成るばね部材80が介装されており、このばね部材80によって従動部材72が図中下向きに付勢されている。即ち操作軸56がばね部材80にて図中下向きに付勢されている。
上記操作軸56は、分割体30-2の凹部77から分割体30-3の貫通孔82を貫通して、2次側の流出水路34へと突出している。
そして分割体30-3は、図3及び図4に示しているように貫通孔82の一部が環状の収容凹所84とされていて、そこに環状シール部材としての弾性を有するゴム製のOリング86が収容されている。
そしてこのOリング86によって、操作軸56とバルブボデー30との間、詳しくは分割体30-3との間が水密にシールされている。
上記のようにこの実施形態では、操作軸56の下端側に構成された従動部材72の従動部となる突起74が、カム部材62の上面のカム面70に下向きに当接させられている。
従ってステッピングモータ26によりカム部材62を図8中矢印P方向で示す正方向(時計方向)に回転させると、突起74に対するカム面70の押上作用にて操作軸56が上向きに押し上げられ、前進移動する。
そして操作軸56の図中上向きの前進移動により、パイロット弁45が図中上向きに後退移動させられ、そしてそのパイロット弁45の図中上向きの後退移動に追従して主弁36が図中上向きに開弁する。即ち主弁36が開方向に動作せしめられる。
また逆にステッピングモータ26にてカム部材62を上記とは逆方向、即ち図8中矢印Pと反対方向(反時計方向)に回転させると、ばね部材80の図中下向きの付勢力によって、従動部材72の突起74がカム面70に沿って下向きに移行し、ここにおいて操作軸56が図中下向きに引き込まれ、後退移動する。
これによりパイロット弁45が図中下向きに移動し、またこれに追従して主弁36が移動せしめられる。即ち主弁36が閉弁方向に動作せしめられる。
ところでカム部材62が逆方向(反時計方向)、即ち図8中矢印Pと逆方向に回転したときに、従動部材72の突起74がばね部材80の付勢力だけによって、カム部材62のカム面70の動きに従動して図中下向きに移動するようになしてある場合、即ち操作軸56がばね部材80による図中下向きの付勢力だけで、下向きに移動するようになしてある場合、主弁36が開弁状態に長期間放置されていることによって、操作軸56とバルブボデー30との間を水密にシールするOリング86が固着を起したとき、カム部材62が図8中矢印Pと逆方向に回転したときに、操作軸56がばね部材80の下向きの付勢作用によってカム面70の回転に従動して下向きに移動することができず、図9及び図10の比較例に示しているように、突起74とカム面70との間に隙間Sを生ぜしめてしまう。
即ち、ステッピングモータ26にてカム部材62が回転しているにも拘らず、操作軸56が図中下向きに引込運動できず、主弁36は依然として開いたままの状態となってしまう。即ち主弁36を閉弁方向に動作させることができず、コントロール不能に陥ってしまう。
そこでこの実施形態では、図5に示しているように突起74に被係合ピン(被係合部材)90を半径方向に突出する状態に設け、またカム部材62の側に係合部材92を設けている。
ここで係合部材92は、周方向両端の一対の支柱94と、部分螺旋形状をなす係合部96とを有している。
係合部96は、カム面70との間に一定の間隔を保持しつつカム面70に沿って螺旋状に延びる形状をなしており、カム面70との間に形成される隙間に突起74側の被係合ピン90を挿入せしめている。
尚この実施形態では、係合部96はカム面70に沿って且つカム面70の全長(有効長)に亘って設けてある。
従ってこの実施形態では、Oリング86が固着を起し、その固着により操作軸56の移動に対する抵抗力がばね部材80の付勢力よりも大となった場合であっても、カム部材62の回転により操作軸56を支障なく図中上方向の押上方向にも、また下方向の引込方向にも移動させることができる。
即ち、カム部材62の図8中P方向(正方向)の回転により操作軸56を上向きに移動させ、主弁36を開弁方向に動作させることができることはもとより、主弁36が一定開度開いた状態の下でOリング86が固着を起した場合においても、カム部材62の図8の矢印と逆方向の逆回転時に、係合部96と被係合ピン90との係合作用に基づいて操作軸56に対し下向きの引込力を加え、操作軸56をカム部材62の逆回転とともに下向きの引込み側に後退移動させ、主弁36を閉弁方向に動作させることができる。
尚、この実施形態では係合部96がカム面70の全長に亘り設けられているため、主弁36が全閉状態から全開状態までの間のどの開度でOリング86が固着を起した場合であっても、カム部材62の逆回転と同時に、係合部96と被係合ピン90との係合作用で直ちに操作軸56に下向きの引込力を作用させ得、Oリング86の固着を解除して操作軸56を下向きに移動させることができる。即ち主弁36を閉弁動作させることができる。
以上のように本実施形態によれば、操作軸56とバルブボデー30とを水密にシールするOリング86が固着を起した場合においても、カム部材62に設けた係合部96と操作軸56の側の被係合ピン90との係合作用により、操作軸56をカム部材62の逆方向回転に伴って良好に引込み側に後退移動させることができ、開弁状態にある弁部を支障無く閉弁動作させることができる。
またこの実施形態によれば、Oリング86が経時変化により劣化して硬くなり、そのことによりOリング86による抵抗が常時ばね部材80による付勢力に打ち勝つに到った場合であっても、即ちOリング86の一時的な固着ではなく、Oリング86自身の経時変化による硬化の現象により操作軸56の移動に対する抵抗が常時大きくなった場合であっても、カム部材62の逆方向回転の際に操作軸56を支障無く引込み側に後退移動させることができ、弁部を閉弁動作させることが可能となる。
本実施形態ではまた、パイロット弁45の進退移動に追従して主弁36を同方向に進退移動させるパイロット式弁部となし、操作軸56にてそのパイロット弁45を操作するものとなしてあることから、操作軸56をより小さな駆動力で移動させることができ、従って駆動源としての電動モータとして小型の電動モータを用いることが可能である。
尚、カム部材62の逆方向の回転にも拘らず、操作軸56が図中下向きに引込運動しない原因が、単にOリング86の固着が原因である場合、カム部材62を図8の矢印Pと反対方向に逆回転させて係合部96を被係合ピン90に係合させた時点で、操作軸56に対しステッピングモータ26による下向きの引込力が働いて固着が解除され、その時点で操作軸56がばね部材80の付勢力で、突起74をカム面70に当接させる位置まで下向きに移動せしめられる。従ってこの場合には係合部96とカム面70との上下の間隔を、被係合ピン90の上下寸法よりも大きなものとなしておくことが可能である。
一方、Oリング86が経時変化による劣化にて硬化し、操作軸56の移動抵抗が大となったときにも、操作軸56をカム部材62の逆方向回転とともに下向きに引込運動させるためには、係合部96とカム面70との間の間隔を、被係合ピン90の上下寸法とほぼ同等寸法となしておくことが望ましい。
このようにしておけば、カム部材62の正方向回転により操作軸56を上向きに移動させて主弁36を開弁方向に動作させる際と、操作軸56を下向きに移動させて主弁36を閉弁方向に動作させる際とで、流量制御特性にヒステリシスが生じるのを回避することができる。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えばOリング86の固着により操作軸56が開弁状態の位置から下向きに引込移動しなくなった場合において、Oリング86による固着解除のためだけに、図11に示しているように、カム面70の回転移動の途中個所で操作軸56の側に設けた被係合ピン90に係合して操作軸56に対し下向きの引込力を、カム部材62の所定回転範囲内だけ及ぼす形態の係合部96を設けておくことも可能である。尚図11中92は係合部材を表す。
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
本発明の一実施形態である給水制御バルブを有する水栓の概略全体図である。 同実施形態の給水制御バルブを示す正面断面図である。 図2の給水制御バルブの要部拡大図である。 図2の給水制御バルブの図3とは異なる要部拡大図である。 同実施形態における駆動力の伝達機構を各部品に分解して示す斜視図である。 同実施形態の作用説明図である。 図6に続く作用説明図である。 同実施形態の図6とは異なる作用説明図である。 同実施形態の利点を説明するための比較例図である。 図9のカム部材を展開して表した図である。 本発明の他の実施形態の要部の図である。 従来の給水制御バルブの一例を示す図である。
符号の説明
24 給水制御バルブ
30 バルブボデー
32 流入水路
34 流出水路
36 主弁
45 パイロット弁
56 操作軸
62 カム部材
70 カム面
72 従動部材
80 ばね部材
86 Oリング(シール部材)
90 被係合ピン(被係合部)
96 係合部

Claims (3)

  1. バルブボデーに備えた1次側の流入水路と、2次側の流出水路と、それら流入水路と流出水路とで形成される水路上に設けられた弁部と、該弁部を操作する操作軸と、を有し、該操作軸により該弁部を操作して該弁部を開閉及び/又は開度変化させ、給水制御するようになした給水制御バルブにおいて、
    前記操作軸の前記弁部側の一端側を前記バルブボデーから前記2次側の流出水路を通り延出させて、該操作軸と該バルブボデーとの間を弾性を有する環状のシール部材にて水密にシールするとともに、
    回転運動により前記操作軸を軸方向に移動させるカム部材と、該操作軸の前記弁部側の一端側とは反対側の他端側に構成した従動部を該カム部材のカム面に当接させる向きに該操作軸を付勢するばね部材とを設け、
    該カム部材の正方向回転により前記従動部に対する該カム面の押上作用にて前記操作軸を前記ばね部材の付勢力に抗し押上げ側に前進移動させ、前記弁部を開方向に動作させるとともに、該カム部材の逆方向回転時に、前記ばね部材の付勢力による前記従動部の前記カム面への弾性押圧作用にて該操作軸を引込み側に後退移動させ、前記弁部を閉方向に動作させるようになし、
    且つ前記カム部材には、該カム部材の前記逆方向回転時に前記操作軸の側の被係合部に係合して、該カム部材の逆方向回転による引込力を該操作軸に作用させる係合部を設けたことを特徴とする給水制御バルブ。
  2. 請求項1において、前記係合部が、前記カム面に沿って該カム面の全長に亘り設けてあることを特徴とする給水制御バルブ。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記弁部が、パイロット弁の進退移動に追従して主弁を該パイロット弁と同方向に進退移動させるパイロット式弁部となしてあり、前記操作軸が該パイロット弁を操作するものとなしてあることを特徴とする給水制御バルブ。
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