JP4850004B2 - パイロット式流調弁 - Google Patents
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Description
そこで水栓における操作を軽くする手段として、かかる水栓をパイロット式流調弁、即ちパイロット弁を進退移動させることによって主弁をこれに追従して進退移動させ、主水路の開度を変化させる方式のパイロット式流調弁を内蔵した水栓とすることが考えられる。
図9はその具体例を示している。
同図において200,202は主水路を形成する1次側の流入水路,2次側の流出水路で、204はその主水路上に設けられたダイヤフラム弁から成る主弁である。
この主弁204は、主弁座206に対し接近離間方向に進退移動して主水路の開度を変化させ、その開度に応じて主水路における流量を調節する。
主弁204には、これを貫通して流入水路200と背圧室208とを連通させる導入小孔210が設けられている。
この導入小孔210は、流入水路200からの水を背圧室208に導いて背圧室208の圧力を増大させる。
主弁204にはまた、これを貫通して背圧室208と流出水路202とを連通させる水抜水路としてのパイロット水路212が設けられている。
このパイロット水路212は、背圧室208内の水を流出水路202に抜いて背圧室208の圧力を減少させる。
図9において、220はパイロット弁214を駆動軸216とともに進退駆動する電気的駆動装置である。
また一方パイロット弁214が図中上向きに後退運動すると、パイロット弁214とパイロット弁座218との隙間が大きくなってパイロット水路212の開度が大となり、ここにおいて背圧室208からパイロット水路212を通じて流出水路202に抜ける水の量が多くなって背圧室208の圧力が減少する。
そして主弁204は、その背圧室208の圧力と流入水路200の圧力とをバランスさせるようにして、パイロット弁214の進退移動に追従して図中上下方向に進退移動し、主水路の開度を変化させる。
そしてその主水路の開度の変化に応じて、流入水路200から流出水路202への水の流量が調節される。
この例は、主弁に軸方向の貫通穴を設けて、その貫通穴にパイロット弁を相対移動可能に嵌入させ、貫通穴の内周面とパイロット弁の外周面との間にパイロット水路を形成するとともに、貫通穴の内周面に沿ってパイロット弁座を環状に設けたものの具体例である。
尚234はパイロット弁230のシール部を表している。
226はこのパイロット弁座224におけるシール部で、そこに円環状をなす弾性を有するシール部材としてのOリング228が径方向に嵌め込まれて保持されている。
環状の凹部238の軸方向の各端部は、凹部238の最小径部に向かって漸次小径となるテーパ面240とされており、そのテーパ面240の大径側の端部に径方向外向きの段付部242,244が形成されている。
このため主弁222はパイロット弁230の図中上向きの後退移動に追従するようにして上向きに後退移動し、主弁座206との間に隙間を生ぜしめて主水路に水の流れを生ぜしめる。
またその際の水の流量はパイロット弁230の後退移動量に応じて制御される。
そして最終的にパイロット弁230が図10(A)に示す閉弁状態となったところで主弁222が閉弁状態となり、主水路における水の流れが停止する。
またシール部材を強く圧縮するものでないため、その際に大きな操作力を必要とせず、止水時のおいても小さな操作力で軽く操作することができ、しかも確実なシール即ち止水を行うことができる利点が得られる。
またその隙間が狭くなる程度も、空間252にグリスや水が閉じ込められた場合と、エアが閉じ込められた場合とで異なったものとなる。
そしてこれにより流調特性が変化してしまう。
またその傾向は、1次側である流入水路200の圧力が高いときの方が低いときよりも顕著となる。
同図に示しているように、圧力が高圧であるときには低圧であるときに比べて早い段階で(ハンドルを閉方向に操作したとき)止水が行われてしまう。
またこのように空間252にグリスや水が閉じ込められたときには、その抵抗によって止水を行う際の操作も重くなってしまう。
また空間252にグリスや水等が閉じ込められている場合、流調弁を繰り返し使用しているうちにグリスや水等が空間252から抜け出ていって流調特性に経時変化を生ぜしめる原因ともなる。
またこの場合において、シール部材及び嵌込溝はパイロット弁座の側に具備させておくことができる。
或いはまた、上記空間とパイロット水路の嵌込溝より下流部にまたがってパイロット弁座又はパイロット弁の嵌込溝を有する側に貫通孔を設け、その貫通孔にて上記連通路を構成することができる(請求項4)。
図1及び図2において10,12はそれぞれバルブボデーを構成する第1部材,第2部材で、第2部材12は更にそれぞれ円筒形状をなす上部14と、下部16と、中間部18とからなっており、それらが軸方向に組み付けられている。
ここで第2部材12、即ち上部14,下部16及び中間部18は何れも樹脂製とされている。
また下部16には円筒部22が、後述の整流部64とともに一体に構成されている。
円筒部22の先端部(図中上端部)は、円環状をなす主弁座24として構成されており、また円筒部22の外周側には、1次側の流入水路20aの一部をなす流入室50が形成されている。
この主弁26は、ダイヤフラム膜28の外周端部がバルブボデーにて固定状態に保持され、その中心部が軸心方向(図中上下方向)に進退移動(変位)して主弁座24との距離を変化させ、主水路20の開度を変化させる。
また主弁座24からの離間量に応じて開度を大小変化させ、主水路20を流れる水の流量、即ち給水流量を調節する。
背圧室32は、内部の圧力を主弁26に対して図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁26には、これを貫通して流入室50と背圧室32とを連通させる導入小孔33が設けられている。
この導入小孔33は、流入室50からの水を背圧室32に導いて背圧室32の圧力を増大させる。
このパイロット水路34は、背圧室32内の水を流出水路20bに抜いて背圧室32の圧力を減少させる。
この主弁26には、貫通穴36の内周面に沿って主弁26の軸心周りに環状をなすパイロット弁座37が一体に設けられている。
38はこのパイロット弁座37におけるシール部で、径方向内方が開放された形態の環状の嵌込溝72と、そこに嵌め込まれて保持された弾性を有するリング状のシール部材としてのOリング40が備えられている。
尚、嵌込溝72は主弁26、詳しくは主弁本体30の上面に起立状態に設けられた円筒形状の且つ上面が開放された堤部に対し、閉鎖部材74が下向きに嵌着されることによって形成されている。
詳しくはこのパイロット弁35は、断面円形をなし且つ図中上下方向即ち進退方向において外径が同径のシール部42と、その下側(図中下側)の環状の凹所44とを有している。
環状の凹所44の軸方向の各端部は、凹所44の最小径部に向かって漸次小径となるテーパ面46とされており、そのテーパ面46の大径側の各端に段付部48,49が形成されている。
またこのとき、主弁26は主弁座24に着座した状態にあって、主水路20は閉鎖された状態にある。
またこのとき、主弁26は主弁座24から図中上向きに大きく離間した状態にあって、主水路20を大きく開いた状態にある。
この実施形態では、パイロット弁35が図1の止水状態から図中上向きに後退移動すると、パイロット弁35とパイロット弁座37との間に隙間が生じ、背圧室32内の水がパイロット水路34を通じて流出水路20b側に抜け出して背圧室32の圧力が減少する。
そこで図4(I)に示しているように主弁26が流入室50との圧力差により図中上向きに後退移動し、流入室50の圧力と背圧室32の圧力とがバランスする位置で主弁26の後退移動が停止する。
この主弁26の後退移動によって、主弁26と主弁座24との間に隙間が生じ、流入室50から流出水路20bに向けて水が流出する。
このとき主弁26と主弁座24との間の隙間は小さくなって、即ち主水路20の開度が小さくなって、主水路20を流れる水の流量が減少する。
この図において、58は回転式の操作部(ハンドル)で、この操作部58と駆動軸56との間に、操作部58の回転操作によりその操作量に応じて駆動軸60をねじ送りで進退させてパイロット弁35を図中上下方向に一体に進退移動させ、その位置を変化させる流調機構(図示省略)が組み込まれている。
これによって主水路20を流れる水の流量調節が行われる。
即ち操作部58の回転操作によって止水と吐水も行うようになしている。
尚、駆動軸56と背圧室32との間はOリング61にて水密にシールされている。
またバルブボデーにおける第2部材16と第1部材10との間が、Oリング62にて水密にシールされている。
この整流部64もまた樹脂製とされており、第2部材12における下部16に一体に構成されている。
Oリング40はまた、嵌込溝72の溝側面82、詳しくは背圧室32にてOリング40が押圧される側の溝側面82にも弾性的に接触しており、これにより嵌込溝72の隅に角部空間、具体的には溝底面80と溝側面82及びOリング40にて囲まれた空間84が形成されている。
尚、図6において実線で示すOリング40の形状はOリング40が変形する前の形状を、また破線はOリング40が背圧室32の圧力で変形したときの形状を表している。
また空間84にエアが閉じ込められるといったこともないので、空間84に閉じ込められたエアによる抵抗によってOリング40の変形が抑制され、そのことによって流調特性が不安定化してしまう問題も解決できる。
因みに図6(B)は、1次側の流入水路20aの圧力が高い高圧時と、圧力が低い低圧時とにおける流調特性を、横軸に操作部の操作量(ハンドル操作角)、縦軸に流量をとって表したもので、図に示しているようにこの実施形態によれば、操作部58を止水方向に操作したときに、高圧時において早い段階で止水が行われるといったことがなく、高圧時,低圧時何れもほぼ同じ操作位置で止水を行わせることができる。
この実施形態は、空間84とパイロット水路34の嵌込溝72の下流部とにまたがって、パイロット弁座37の側に貫通穴88を連通路として形成した例を示している。
この図7に示す実施形態においても上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
この実施形態は、主弁26の上面にパイロット弁座37を円環状に且つ突出状に構成する一方、パイロット弁35をパイロット弁座37に対して軸方向に移動可能に外嵌する筒状に構成して、そのパイロット弁35の側にOリング40と嵌込溝72とを備え(図8(A))、或いはパイロット弁座37の側に嵌込溝72とOリング40とを備え(図8(B))、それぞれのシール部42,38を形成した例である。
(B)の例ではパイロット弁座37のシール部38に備えられた嵌込溝72の溝側面82に連通溝86が放射状に設けられ、また(A)の例ではパイロット弁35のシール部42に備えられた嵌込溝72の溝側面82に連通溝86が放射状に設けられている。
このような場合にも流調特性が不安定化するが、この実施形態においても連通溝86を設けることによって、嵌込溝72の隅の角部空間にグリースや水が閉じ込められることによってOリング40に対する変形抵抗が大きくなるといったことが防止されるため、上記実施形態及び図8(A)に示す場合と同様に安定した流調特性が得られる。
尚、図8の実施形態においても連通溝86に代えて上記の貫通孔88を設けることも可能である。
例えば本発明においては、Oリング等のシール部材における溝側面82への接触面の側、即ち背圧室の圧力にて嵌込溝72の溝側面82に押圧される側の面に、上記の空間84と2次側の流出通路20bとを連通させるための溝その他の連通路を設けておくといったことも可能であるし、また本発明は上例以外の他の様々な径方向シール構造のパイロット式流調弁に対して適用可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
20a 流入水路
20b 流出水路
24 主弁座
26 主弁
32 背圧室
33 導入小孔
34 パイロット水路
35 パイロット弁
37 パイロット弁座
38,42 シール部
40 Oリング
72 嵌込溝
80 溝底面
82 溝側面
84 空間
86 連通溝
88 貫通孔
Claims (4)
- (イ)主弁座に対して接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させる主弁と
(ロ)該主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と
(ハ)前記主水路における1次側の流入水路の水を該背圧室に導いて該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と
(ニ)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と
(ホ)前記主弁と同方向に進退移動して該主弁の側に設けられたパイロット弁座に対する相対位置を変化させ、該パイロット水路の開度を制御するパイロット弁と
を備え、該パイロット弁の進退移動に追従して前記主弁を進退移動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式流調弁において、
前記主弁及びパイロット弁の進退方向である軸方向に対して前記パイロット弁座を径方向の向きに環状に設けて、該パイロット弁座のシール部若しくは該パイロット弁のシール部にリング状の弾性を有するシール部材と該シール部材を嵌め込んで保持する環状の嵌込溝とを具備させ、該パイロット弁の前進端で該パイロット弁のシール部を前記シール部材を介して前記パイロット弁座に対し径方向に接触嵌合させて前記パイロット水路を閉鎖する閉弁状態とする一方、該パイロット弁の後退移動により該パイロット弁の前記シール部を前記パイロット弁座のシール部より軸方向に離間させて前記パイロット水路を開き且つ離間量に応じて該パイロット水路の開度を変化させるようになし、
前記シール部材は前記嵌込溝の溝底面に常時水密シール状態に接触させてあるとともに、
前記嵌込溝の溝底面、前記背圧室の圧力で該シール部材が押圧される側の溝側面及び該シール部材で囲まれた空間と前記2次側の流出水路とを連通状態とする連通路を設けて、該空間を該流出水路への開放空間となしたことを特徴とするパイロット式流調弁。 - 請求項1において、前記主弁に軸方向の貫通穴を設け、該貫通穴に前記パイロット弁を相対移動可能に嵌入させて、該貫通穴の内周面と該パイロット弁の外周面との間に前記パイロット水路を形成するとともに、該貫通穴の内周面に沿って前記パイロット弁座を環状に設けてあることを特徴とするパイロット式流調弁。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記連通路が、前記空間と前記パイロット水路の前記嵌込溝より下流部とを連通させる状態に該嵌込溝の前記溝側面に設けられた連通溝であることを特徴とするパイロット式流調弁。
- 請求項1において、前記連通路が、前記空間と前記パイロット水路の前記嵌込溝より下流部とにまたがって前記パイロット弁座又はパイロット弁の該嵌込溝を有する側に設けられた貫通孔であることを特徴とするパイロット式流調弁。
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