JP2010004595A - 給電装置とそれを用いたハーネス配索構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロアレール等の他部材との干渉なく車両ボディ等にスムーズに装着し、スライドドアの開閉に伴うワイヤハーネスと車両ボディ等との干渉を防止する。
【解決手段】二つの収容部5,6を交差して有するケース4と、一方の収容部5にスライド自在に配置されたハーネス支持部材7と、ハーネス支持部材をハーネス余長吸収方向に付勢するばね部材8と、他方の収容部の先端側に設けられたハーネス導出用の開口11と、開口の両側に配設されたハーネス案内用の湾曲面9a,12aとを備え、フラットハーネス13がハーネス支持部材から該他方の収容部に沿って交差方向に屈曲し、湾曲面に沿ってさらに屈曲しつつ導出される給電装置1を採用する。ケースを固定構造体側に水平に配置し、フラットハーネス13を開口11からスライド構造体側に配索する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車のスライドドア等の常時給電に適用され、ケース内でフラットワイヤハーネスをハーネス支持部材に沿ってU字状等に屈曲させつつ外部に導出させる給電装置とそれを用いたハーネス配索構造に関するものである。
図7〜図9は、従来の給電装置とそれを用いたハーネス配索構造の一形態を示すものである(特許文献1参照)。
図7の如く、この給電装置61は、矩形状の合成樹脂製のケース62と、ケース内に長手方向スライド自在に配置された前後一対の半円状のハーネス支持部材63と、一対の支持部材63を相互に離れる方向に付勢するコイルばね64とを備えたものである。
ケース内でワイヤハーネス65は一対の支持部材63に沿ってループ状に配索され、ワイヤハーネス65の一方65aがケース62に固定されつつ外部に導出され、ワイヤハーネス62の他方65bがケース62の横長の開口66から外部に揺動且つ伸縮自在に導出されている。
図8の如く、給電装置61は例えば自動車の車両ボディ67のステップ69の下側に水平に配置され、ワイヤハーネス65の一方(固定側)65aが車両ボディ側に配索され、ワイヤハーネス65の他方(可動側)65bがスライドドア側に配索される。
図8のスライドドア68の閉じ状態で、図7のケース62内のワイヤハーネス65が前方に引き出されつつ一対の支持部材63がばね付勢に抗して接近し、図8からスライドドア68を後方にスライドして開くに伴って(半開時に)、ワイヤハーネス65がばね64の力でケース内に引き込まれて余長吸収(弛み防止)され、図9のスライドドア68の全開状態で、ワイヤハーネス65がばね付勢に抗してケース62から後方に引き出される。
特開2003−264929号公報(図3,図6,図7)
しかしながら、上記従来の給電装置とそれを用いたハーネス配索構造にあっては、一対のハーネス支持部材63を用いてワイヤハーネス65をループ状に巻き付けるために、構造が幅方向(短手方向)に大型化する傾向にあり、給電装置61を車両ボディ67に水平に配置する際に、スライドドア案内用の車両ボディ側のロアレール(図示せず)や、ロアレールに係合するスライドドア側のロアアーム69等に干渉して、上手く装着できないという懸念があった。また、給電装置61を車両ボディ67に水平に配置し、車両ボディ側からスライドドア側にワイヤハーネス65を配索した場合に、スライドドア68の開閉に伴って例えば全開時にワイヤハーネス65が車両ボディ67の昇降口の後端縁70やリヤホイルアーチ等に干渉し兼ねないという懸念があった。
本発明は、上記した点に鑑み、幅方向の肥大化を抑止して、ロアレール等の他部材との干渉なく車両ボディ等(固定構造体)にスムーズに装着することができ、また、スライドドア(スライド構造体)の開閉に伴うワイヤハーネスと車両ボディ等との干渉を防止することができる給電装置とそれを用いたハーネス配索構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る給電装置は、二つの収容部を交差して有するケースと、一方の収容部にスライド自在に配置されたハーネス支持部材と、該ハーネス支持部材をハーネス余長吸収方向に付勢するばね部材と、該他方の収容部の先端側に設けられたハーネス導出用の開口と、該開口の両側に配設されたハーネス案内用の湾曲面とを備え、フラットハーネスが該ハーネス支持部材から該他方の収容部に沿って交差方向に屈曲し、該湾曲面に沿ってさらに屈曲しつつ導出されることを特徴とする。
上記構成により、フラットハーネスがケース内で一方の収容部から他方の収容部にかけて交差方向に配索され、他方の収容部に沿って一方の収容部から離間する方向に配索される。他方の収容部でハーネス導出用の開口が一方の収容部から離間されたことで、一方の収容部が車両ボディ(固定構造体)の他の干渉部位を避けて配置される。また、他方の収容部を車両ボディの干渉部位に沿って配置することで、フラットハーネスが干渉部位を通過して配索され、開口から導出されたフラットハーネスと干渉部位との干渉が防止される。導出されたフラットハーネスの接続側であるスライドドア(スライド構造体)の開閉方向に応じて開口の一側又は他側の湾曲面に沿ってフラットハーネスが導出される。
請求項2に係る給電装置は、請求項1記載の給電装置において、前記他方の収容部内に進退自在に設けられ、先端内側に一方の前記湾曲面を有する第二のハーネス支持部材と、該第二のハーネス支持部材を付勢して前記開口から突出させる第二のばね部材とを備えることを特徴とする。
上記構成により、他方の収容部の開口から第二のハーネス支持部材が突出してフラットハーネスを一方の収容部に対して開口からさらに遠くに離間させる。フラットハーネスはハーネス支持部材の湾曲面に沿ってスムーズに屈曲しつつ接続側(スライドドア)に配索される。第二のハーネス支持部材はばね付勢に抗してスライド構造体で他方の収容部内に押し込まれることが好ましい。
請求項3に係る給電装置は、請求項1又は2記載の給電装置において、前記ばね部材が帯状薄板を巻いた定荷重ばねであることを特徴とする。
上記構成により、他方の収容部の開口からフラットハーネスが引き出された際に、ばね部材が一定荷重で伸長し、開口からフラットハーネスがケース内に引き込まれた際に、ばね部材が一定荷重で復元する(巻き取られる)。
請求項4に係る給電装置は、請求項1〜3の何れかに記載の給電装置において、前記導出されたフラットハーネスを接続側に固定するハーネス固定部材を備え、該ハーネス固定部材が該フラットハーネスを支持する湾曲面を有することを特徴とする。
上記構成により、スライドドアの開閉に応じて、例えばスライドドア(接続側)に固定されたハーネス固定部材の湾曲面に沿ってフラットハーネスがスライドドアに配索される。
請求項5に係る給電装置を用いたハーネス配索構造は、請求項1〜4の何れかに記載の給電装置を用いたハーネス配索構造であって、前記ケースを固定構造体側に水平に配置し、前記フラットハーネスを前記開口からスライド構造体側に配索したことを特徴とする。
上記構成により、ケースが例えば車両ボディの昇降口のステップの下側に配置され、他方の収容部の先端の開口からフラットハーネスがスライドドア側に配索固定される。
請求項6に係る給電装置を用いたハーネス配索構造は、請求項5記載の給電装置を用いたハーネス配索構造において、請求項2記載の前記第二のハーネス支持部材を前記スライド構造体の閉じ時に該スライド構造体で前記他方の収容部内に押し込むことを特徴とする。
上記構成により、例えばスライドドアの開き時にスライドドアが車両外側に離間した際に、第二のハーネス支持部材がばね付勢力で外部に突出してフラットハーネスを車両ボディとの干渉なく屈曲支持し、スライドドアの閉じ時にスライドドアが車両内側に移動した際に、第二のハーネス支持部材がばね付勢に抗してスライドドアでケース内に押し込まれる。
請求項7に係る給電装置を用いたハーネス配索構造は、請求項5又は6記載の給電装置を用いたハーネス配索構造において、前記スライド構造体側のアームをスライド自在に係合させた前記固定構造体側のレールよりも固定構造体内側に前記一方の収容部を配置し、該レールの端部と該固定構造体の外向き突出部との間に前記他方の収容部を配置したことを特徴とする。
上記構成により、他方の収容部の長さの分だけ一方の収容部がレールを避けて固定構造体内側に配置され、レールとの干渉及びレールに係合するアームとの干渉が防止される。
請求項8に係るハーネス配索構造は、請求項7記載の給電装置を用いたハーネス配索構造において、前記他方の収容部に対して前記一方の収容部が前記スライド構造体の開き方向又は閉じ方向に配置されたことを特徴とする。
上記構成により、例えば車両ボディの干渉部位であるリヤホイルアーチの位置に応じて、他方の収容部が昇降口の後端面に沿った共通位置に配置され、一方の収容部がスライドドアの開き方向(後向き)又は閉じ方向(前向き)に配置される。
請求項1記載の発明によれば、ケースの他方の収容部でフラットハーネスの導出位置を一方の収容部から離間させたことで、ケース搭載側の車両ボディ(固定構造体)等の干渉部位を避けてケースを配置することができ、しかも車両ボディ等の他の干渉部位を避けてフラットハーネスを配索することができる。また、ワイヤハーネスとしてフラットハーネスを用いたので、各収容部の幅方向の肥大化を抑止することができる。
請求項2記載の発明によれば、第二のハーネス部材の突出長さの分だけ一方の収容部からのフラットハーネスの離間距離を増加させることができるから、請求項1記載の発明の効果が促進される。
請求項3記載の発明によれば、定荷重ばねでフラットハーネスの引き出し及び引き込みに要する力が均一化し、スライドドア(スライド構造体)の開閉操作性が高まる。
請求項4記載の発明によれば、接続側(スライドドア等)へのフラットハーネスの固定をワイヤハーネスの屈曲耐久性を損なうことなく行うことができる。
請求項5記載の発明によれば、例えば車両ボディのステップの下側においてケースの他方の収容部の開口から後方のホイルアーチ等を避けてフラットハーネスを干渉なくスライドドア側に配索することができる。
請求項6記載の発明によれば、第二のハーネス支持部材を必要な時のみ突出させてフラットハーネスの軌跡を規定し、不要な時なケース内に自動的に収容させてコンパクト化を図ることができる。
請求項7記載の発明によれば、他方の収容部の長さの分だけ一方の収容部をレールから遠ざけることで、ケースの主体部分である一方の収容部とレールとの干渉及びレールに係合するアームとの干渉を防止することができ、車両ボディにおけるケースの装着位置の自由度が高まる。
請求項8記載の発明によれば、車両の形態等に応じて車両ボディへのケースの配置の自由度を高めることができる。
図1〜図5は、本発明に係る給電装置とそれを用いたハーネス配索構造の一実施形態を示すものである。
図1の如く、この給電装置1は、合成樹脂を材料として長辺側の収容部(一方の収容部)5と短辺側の収容部(他方の収容部)6とを直交させたL字状のケース4と、長辺側の収容部5内にスライド自在に係合したハーネス支持部材7と、長辺側の収容部5においてハーネス支持部材7を長辺側の収容部5の先端(前端)方向に付勢するばね部材8と、ケース4の短辺側の収容部6内にスライド自在に係合した第二のハーネス支持部材9と、第二の支持部材9を短辺側の収容部6から突出する方向に付勢する第二のばね部材10と、ケース4の基端(後端)側からハーネス支持部材7と第二のハーネス支持部材9又はケース開口部11の前側壁12に沿って配索されるフレキシブルなフラットワイヤハーネス13とを備えるものである。
ケース4はL字状のベース部(ケース主体部)2とL字状のカバー部3とで構成されている。ベース部2とカバー部3とは各ブラケット部14で相互にねじ締め等で結合されつつ車両ボディ側に固定される。
ベース部2は、長辺側の収容部5を成す左右の長い垂直な側壁15と、両側壁15を連結する幅狭で水平な底壁16と垂直な前端の壁部17と、短辺側の収容部6を成す前後の垂直な壁部18と、前後の壁部18を連結する幅狭な底壁19とを備えている。L字状に屈曲した内側の壁部である左側の側壁15と前側の壁部18とは、滑らかな1/4円弧状の湾曲部20で続いている。長辺側の収容部5内にハーネス支持部材7とフラットハーネス13とを収容する横長の空間が形成され、短辺側の収容部6内に第二のハーネス支持部材9とフラットハーネス13の一部とを収容する短めの空間が形成されている。
長辺側の収容部5と短辺側の収容部6との交差部において後端の壁部18にハーネス固定部21が形成され、ハーネス固定部21は略U字状に狭ピッチで屈曲した溝21aを成す壁部で構成され、その屈曲溝21aを経てフラットハーネス13が外部(車両ボディ側)に導出される。長辺側の収容部5の底壁16にはハーネス支持部材7をスライド自在に係合させるガイド部13としての溝ないし長孔が設けられ、底壁16の前端側にばね部材8の先端を固定する部分(固定部)24が設けられている。
短辺側の収容部6の前後の壁部18の先端(左端)の間に矩形状の開口部11が形成され、開口部11から第二の支持部材9がばね部材10の付勢力で突出し、ばね付勢に抗して短辺側の収容部6内に収容自在となっている。開口部11において前側の壁部18と一体にハーネス導出案内用の半円状の壁部12が形成され、壁部12の外側の湾曲面12aは前後方向に180°の範囲で形成されている。第二のハーネス支持部材9の先端部内側には1/4円弧状のハーネス導出案内用の湾曲面9aが形成され、第二の支持部材9の引き込み時に両湾曲面9a,12aは前後に対向して位置する。
長辺側の収容部5内のハーネス支持部材7は合成樹脂を材料として、前半の半円状部7aと後半の矩形状部7bとで成り、内側にばね部材8の巻き部(符号8で代用)を収容する矩形状の開口7cを上下方向に貫通して有している。ハーネス支持部材7の底部に長辺側の収容部5の底側のガイド部23に係合するスライド部(図示せず)が設けられている。前半の半円状部7aは外側にハーネス支持用の半円状の湾曲面7dを有し、湾曲面7dは左右180°の範囲で形成されている。
カバー部3は、水平な天壁25と周囲の垂直な周壁26とブラケット14とで成り、周壁26は短辺側の収容部6の先端側と基端側とで開口されて(開口部を符号11,27で示す)、ハーネス可動側と固定側の各開口11,27を成している。ベース部2に各ハーネス支持部材7,9や各ばね部材8,10が収容され、カバー部3はベース部2の上部開口を覆ってベース部2内への水や塵の侵入を阻止する。
ばね部材8は、金属製の薄板帯材を螺旋状に巻いた定荷重ばねであり、自由状態で自らの弾性で螺旋状に巻かれて、伸縮ストロークに対してばね力がほぼ一定に維持されるものである。図1でばね部材8は前方に真直に伸長され、その真直部8aがハーネス支持部材7の下側を通って底壁16に沿って配索され、真直部8aの先端が底壁16の前端側24に固定されている。フラットハーネス13はハーネス支持部材7と共にスライドドアの閉じ動作で後方に引っ張られている。ハーネス支持部材7やばね部材8については本出願人が先に特願2008−20513で提案したものと同様である。
なお、本例ではハーネス支持部材7とばね部材8の巻き部とを一体的に配置したが、ばね部材8の巻き部を長辺側の収容部5の前端側に配置し、真直部8aの先端をハーネス支持部材7に固定しても、作用的には同じである。巻き部(符号8で代用)や真直部8aを長辺側の収容部5の内側ではなく外側に配置することも可能である。
第二の支持部材9は合成樹脂で水平な矩形柱状に形成され、内部の水平な孔9bに水平なガイドピン28が挿入され、ガイドピン28の周囲に第二のばね部材10である圧縮コイルばねが弾設され、ばね部材10の先端は支持部材9の基端面に当接し、ばね部材10の基端は短辺側の収容部6のハーネス固定部21の内側の段壁22に当接している。第二の支持部材9は自由状態でばね部材10の付勢力で先端から長手方向中間以上の範囲で外部に突出する。
フラットハーネス13は第一のハーネス支持部材7からケース4の中間(交差部)の湾曲部20の内面を経て第二のハーネス支持部材9の湾曲面9aに沿って後方に引き出され(図1のスライドドア全開時)、第一のハーネス支持部材7からケース4の中間(交差部)の湾曲内面(符号20で代用)を経て短辺側の収容部6の開口部11の前側湾曲面12aに沿って前方に引き出される(スライドドア全閉時)。
フラットハーネス13はスライドドア(接続側)に固定部材29で固定されつつスライドドア側に配索される。本例の固定部材29は、合成樹脂を材料として、半円ないし略円形の外側の湾曲面30aを後向きに有するハーネスガイド部30と、ガイド部30と一体に形成されたブラケット31とで成り、ガイド部30の内部にU字ないしS字状の溝30bが狭ピッチで形成され、溝30b内にフラットハーネス13が屈曲配索して固定されている(溝30b内にハーネス固定用の係止片やねじ締め手段等を設けてもよい)。ブラケット31がスライドドアにねじ締め等で固定される。
なお、ハーネス固定部材29のハーネスガイド部30として例えば略ハート型のものを用い(図示せず)、ガイド部の前後両側にハーネス案内用の湾曲面を有し、ガイド部の中央から各湾曲面に沿ってフラットハーネス13が配索されるもの等を用いてもよい。
フラットハーネス13は、複数本の細長の銅箔状の並列な導体を表裏の絶縁シートで覆って構成される既存のものである。ハーネス支持部材7の湾曲面7dやハーネス固定部材30の湾曲面30aはフラットハーネス13を屈曲耐久限界付近まで屈曲させるべく小径に形成されることが好ましい。
以下に図2〜図5を用いて、上記給電装置1の作用(給電装置を用いたハーネス配索構造)を説明する。図2,図3は自動車のスライドドア(スライド構造体)32の全開状態、図4はスライドドア32の半開状態、図5はスライドドア32の全閉状態をそれぞれ示すものである。
図2,図3の如く、給電装置1のケース4は車両ボディ(固定構造体)33のステップの下側において水平なパネル34の上面に水平に配置固定され、ケース4の長辺側の収容部5の右側の側壁15が垂直な車両内側のパネル35に沿って位置し、ケース4の短辺側の収容部6がリヤホイルアーチ(外向き突出部)36の前端に沿って車両ボディ側のロアレール(レール)37の後端37cとの間(スライドドア側のロアアーム38との間)に進入して位置し、ケース4の外側に(長辺側の収容部5の左側の側壁5に沿って)ロアレール37が位置し、ロアレール37は下側のパネル34から少し上向きに離間して懸架され、ロアレール37の下側からスライドドア側のロアアーム(アーム)38の先端ローラ38aがスライド自在に進入係合し、ケース4はロアアーム38とほぼ同じ高さで位置している。
ロアレール37の前部は車両内側に向けて湾曲している(湾曲部を符号37aで示す)。フラットハーネス13の一方(固定側の部分)はケース4のハーネス固定部21から車両ボディ側に導出されて、車両ボディ側のワイヤハーネス(図示せず)にコネクタ接続され、フラットハーネス13の他方(引き出し側の部分)はハーネス固定部材29からスライドドア側に配索されて、スライドドア側のワイヤハーネスや補機等(図示せず)にコネクタ接続される。図2で符号39はリヤホイルである。明細書で上下前後左右の方向性は車両の方向に一致させている。
図2,図3のスライドドア32の全開状態で、ハーネス固定部材29がスライドドア32と一体に後退して、フラットハーネス13が後方に引き出されつつ、第一のハーネス支持部材7がばね部材8の付勢力に抗してケース4の長辺側の収容部5の後端側にスライド移動する。第二のハーネス支持部材9はコイルばね10の伸び力で外部に突出し、先端内側の湾曲面9a(図1)でフラットハーネス13を略90°方向にスムーズに屈曲させる。
ケース4を細長のL字状に形成し、短辺側の収容部6に沿ってフラットハーネス13を導出させたことで、ケース4とロアレール37やロアアーム38との干渉が防止されている。また、第二のハーネス支持部材9をフラットハーネス13と共に外側(車両外向き)に突出させることで、フラットハーネス13とリヤホイルアーチ36との干渉が防止されている。
図4の如く、スライドドア32を前方に閉じるに伴って、スライドドア32の半開状態で、ケース4内のハーネス支持部材7がばね部材8の復元力で長辺側の収容部5の前端側に移動し、ばね部材8はハーネス支持部材7内で螺旋状に巻き取られ、フラットハーネス13がハーネス支持部材7に沿ってケース4内に引き込まれて弛み(余長)吸収され、フラットハーネス13はL字状のケース4に沿ってL字状に屈曲しつつ短辺側の収容部6の先端の開口11(図1)からアライドドア32に直交して真直に最短距離で導出される。
フラットハーネス13はハーネス支持部材7の前半の湾曲面7d(図1)からケース4の交差部の湾曲内面20に沿って屈曲し、第二のハーネス支持部材9の長手方向に沿って短辺側の収容部6の開口11(図1)からスライドドア側に真直に延びている。スライドドア32のロアアーム38はロアレール37の真直部37bの前端寄りに位置している。ケース4はスライドドア32の開(閉)ストロークのほぼ半分の位置に配置されている。
図4の半開状態から図5の如くスライドドア32を前方に閉じる(全閉)に伴って、フラットハーネス13がケース4から前方に引き出されつつ、ハーネス支持部材7がばね部材8の付勢力に抗してケース4の後端側にスライド移動する。
フラットハーネス13はハーネス支持部材7の湾曲面7d(図1)からケース4の交差部の湾曲内面20に沿って外向きに屈曲し、さらに短辺側の収容部6の開口部11(図1)の前側の湾曲面12aに沿って前方に屈曲してハーネス固定部材29に続き、ハーネス固定部材29の湾曲面30a(図1)に沿って略U字状に屈曲している。ハーネス固定部材29はスライドドア32の前後方向の中央付近に配置されている。
第二のハーネス支持部材9はスライドドア32のドアインナパネル32aで押されてケース4内に引っ込み、ハーネス支持部材9の先端はばね部材10(図1)の力でドアインナパネル32aに弾性的に接している。ロアアーム38の先端ローラ38aはガイドレール37の湾曲部37aに沿ってレール前端側に位置し、それによってスライドドア32が車両内側に移動して閉止され、それに伴って第二のハーネス支持部材9がドアインナパネル32aでケース内に押し込まれる。
スライドドア全閉時にはフラットハーネス13が車両ボディ等に干渉することがないので、第二のハーネス支持部材9は不要となる。フラットハーネス13の引き出し部分13aはロアレール37の下側に配索される。
なお、図1〜図5の実施形態においては、第二のハーネス支持部材9を用いたが、例えば、ケース4の短辺側の収容部6をホイルアーチ36の幅と同程度ないしそれよりも長く突出形成した場合には、第二のハーネス支持部材9を排除し、それに代えて短辺側の収容部6の開口11の後側に前側の湾曲面12aと同様のハーネス導出案内用の湾曲面(9a)を形成してもよい。
図6は、本発明に係る給電装置とそれを用いたハーネス配索構造の変形例を示すものである。図1の実施形態と同じ構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この給電装置1’は図1のものと基本的な構造は同じであるが、車両の昇降口の後端面(外向き突出部)40又は車両ボディ側のロアレール37の後端37cからリヤホイルアーチ36の前端までの距離が長いもの(例えば三列シート車等)において、給電装置1’を図1のものとは前後反転させた対称形状とし、且つケース4’の短辺側の収容部6の開口11(図1)の後側に第二のハーネス支持部材9を配置し、第二の支持部材9に対向して開口11の前側にハーネス導出案内用の湾曲面(図1の符号12a)を一体形成したものである。
図6で符号2’はベース部、3’はカバー部、7はハーネス支持部材、13はフラットハーネスをそれぞれ示す。ばね部材8(図1)の巻き部は図1の例と同様にハーネス支持部材7の内側に配置されている。スライドドア側のハーネス固定部材29(図1)は図示を省略している。
第二のハーネス支持部材9はフラットハーネス13の引き出し部と車両ボディ33’の昇降口の後端エッジ40aとの干渉を防止する。ケース4’の短辺側の収容部6の長さを昇降口の後端面40の幅と同程度に長く突出するように設定すれば、第二のハーネス支持部材9は不要であり、それに代えて短辺側の収容部6の開口11の後側にハーネス導出案内用の湾曲面(9a)を形成する。この場合(図1の例でも同様であるが)、スライドストロークの短いスライドドアの場合はケース4’の長辺側の収容部5と短辺側の収容部6が同程度の長さになることもあり得る。
給電装置1’の作用は図1の実施形態と同様であり、図6のスライドドア32’の半開状態で、ハーネス支持部材7はばね部材8(図1)の付勢力で後退してフラットハーネス13をケース4’内に引き込む。スライドドア32’の全開時に、フラットハーネス13がばね付勢に抗して後方に引き出されつつ、ハーネス支持部材7がばね付勢に抗して前進し、フラットハーネス13が第二のハーネス支持部材9の先端内側の湾曲面9a、又は短辺側の収容部6の開口11の後端側の湾曲面(第二のハーネス支持部材9を用いない場合)で安定に屈曲支持される。
スライドドア32’の全閉時に、フラットハーネス13がばね付勢に抗して前方に引き出されつつ、ハーネス支持部材7がばね付勢に抗して前進し、フラットハーネス13がケース4’の短辺側の収容部6の開口11の前端側の湾曲面12a(図1)で安定に屈曲支持される。
なお、上記各実施形態においては、給電装置1,1’を車両ボディ側に水平に配置したが、給電装置1,1’を車両ボディ側ではなくスライドドア側に水平に配置し、スライドドア32,32’から車両ボディ33,33’にかけてフラットハーネス13を配索することも可能である。また、スライド構造体としてスライドドアではなく自動車のスライドシート(図示せず)に同様に適用して、ケース4,4’の短辺側の収容部6で車両フロア等の突出物とフラットハーネス13との干渉を防ぐこともできる。自動車以外の車両やそれ以外のスライド構造体にも適用可能である。
また、上記各実施形態においては、ばね部材8として定荷重ばねを用いたが、これに代えてばね部材として圧縮コイルばねや引っ張りコイルばねあるいは波型のばね等(図示せず)を用いることも可能である。但し、定荷重ばねによるスライドドア32,32’の開閉ストロークに対する開閉操作力の均一化の効果は損なわれる。
また、上記各実施形態においては、ケース4,4’の長辺側の収容部5と短辺側の収容部と6を直交させたが、車両ボディ33,33’の組み付け側の形状等によっては、長辺側の収容部5と短辺側の収容部6とを直交ではなく鈍角的又は鋭角的な開き角度で交差させることも可能である。
また、ケース4の交差部の湾曲内面20に代えてローラ等のガイド部材(図示せず)を設け、そのガイド部材に沿ってフラットハーネス13をハーネス支持部材7から開口11側へ案内することも可能である。但しこの場合は部品点数が増し構造が複雑化する。
本発明に係る給電装置とそれを用いたハーネス配索構造の一実施形態を示す分解斜視図である。 給電装置を自動車のスライドドアの給電に適用した場合のスライドドアの全開状態を示す斜視図である。 同じくスライドドアの全開状態を図2とは左右逆度の角度から見た斜視図である。 同じくスライドドアの半開状態を示す斜視図である。 同じくスライドドアの全閉状態を示す斜視図である。 給電装置とそれを用いたハーネス配索構造の他の実施形態(変形例)を示す分解斜視図である。 従来の給電装置の一形態を示す斜視図である。 同じく従来の給電装置を用いたハーネス配索構造を示すスライドドア全閉時の斜視図である。 同じくスライドドア全開時の斜視図である。
符号の説明
1 給電装置
4 ケース
5 長辺側の収容部(一方の収容部)
6 短辺側の収容部(他方の収容部)
7 ハーネス支持部材
8 ばね部材
9 第二のハーネス支持部材
9a,12a 湾曲面
10 第二のばね部材
11 開口
13 フラットハーネス
29 ハーネス固定部材
30a 湾曲面
32,32’ スライドドア(スライド構造体)
33,33’ 車両ボディ(固定構造体)
36 ホイルアーチ(外向き突出部)
37 ガイドレール
38 ロアアーム(アーム)
40 昇降口の後端面

Claims (8)

  1. 二つの収容部を交差して有するケースと、一方の収容部にスライド自在に配置されたハーネス支持部材と、該ハーネス支持部材をハーネス余長吸収方向に付勢するばね部材と、該他方の収容部の先端側に設けられたハーネス導出用の開口と、該開口の両側に配設されたハーネス案内用の湾曲面とを備え、フラットハーネスが該ハーネス支持部材から該他方の収容部に沿って交差方向に屈曲し、該湾曲面に沿ってさらに屈曲しつつ導出されることを特徴とする給電装置。
  2. 前記他方の収容部内に進退自在に設けられ、先端内側に一方の前記湾曲面を有する第二のハーネス支持部材と、該第二のハーネス支持部材を付勢して前記開口から突出させる第二のばね部材とを備えることを特徴とする請求項1記載の給電装置。
  3. 前記ばね部材が帯状薄板を巻いた定荷重ばねであることを特徴とする請求項1又は2記載の給電装置。
  4. 前記導出されたフラットハーネスを接続側に固定するハーネス固定部材を備え、該ハーネス固定部材が該フラットハーネスを支持する湾曲面を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の給電装置。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の給電装置を用いたハーネス配索構造であって、前記ケースを固定構造体側に水平に配置し、前記フラットハーネスを前記開口からスライド構造体側に配索したことを特徴とする給電装置を用いたハーネス配索構造。
  6. 請求項2記載の前記第二のハーネス支持部材を前記スライド構造体の閉じ時に該スライド構造体で前記他方の収容部内に押し込むことを特徴とする請求項5記載の給電装置を用いたハーネス配索構造。
  7. 前記スライド構造体側のアームをスライド自在に係合させた前記固定構造体側のレールよりも固定構造体内側に前記一方の収容部を配置し、該レールの端部と該固定構造体の外向き突出部との間に前記他方の収容部を配置したことを特徴とする請求項5又は6記載の給電装置を用いたハーネス配索構造。
  8. 前記他方の収容部に対して前記一方の収容部が前記スライド構造体の開き方向又は閉じ方向に配置されたことを特徴とする請求項7記載の給電装置を用いたハーネス配索構造。
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