JP2010003255A - 丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラム - Google Patents

丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】丸棒が部分的に重なっている場合であっても、丸棒の本数を正確に計測することが可能な丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラムを提供すること。
【解決手段】搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射する照射手段と、前記丸棒の表面から反射する反射光を撮影するデジタル撮影手段と、撮影された画像に含まれる前記反射光を複数の抽出感度で抽出する抽出手段と、前記各抽出感度における前記反射光の個数を、それぞれカウントする反射光カウント手段と、前記各抽出感度における前記反射光の個数の最大値を、前記丸棒の本数と判断する判断手段とを備えた丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及びこの方法をコンピュータに実行させるための丸棒本数カウントプログラム。
【選択図】図4

Description

本発明は、丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラムに関し、さらに詳しくは、熱間圧延や冷間圧延などにより製造された後、所定の長さに切断された丸棒の本数を自動的に、かつ、高精度にカウントすることが可能な丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラムに関する。
鋼製の丸棒は、一般に角型のビレットを熱間圧延することにより製造される。ビレットの断面を丸型に粗圧延した後、丸棒の直径が目的とする直径となるまで、段階的に熱間圧延が繰り返される。所定の直径まで細径化された後、丸棒は、所定の長さに切り揃えられる。切り揃えられた丸棒は、搬送テーブル上に載せられ、冷却床で冷却される。
このような丸棒の製造ラインにおいては、異材の混入を防止するために、切り揃えられた丸棒の本数をカウントすることが行われている。しかしながら、丸棒に曲がりがあったり、丸棒が搬送テーブル上に斜めに載置されると、丸棒が部分的に重なり、計数誤差の原因になるという問題があった。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、
(1) 搬送テーブル上に並べられた棒鋼に、棒鋼の長手方向に沿って斜め方向から一定の線幅のレーザー光を照射し、
(2) 棒鋼表面に形成された三日月型のレーザー軌跡を、反射角側に設置された赤外線フィルター付きCCDシャッターカメラで撮影し、
(3) 画像処理により、三日月型のレーザー軌跡の個数を計測する
レーザー式本数カウント装置が開示されている。
同文献には、
(a) 熱鋼からの輻射光とは異なる単一波長のレーザー光を用いると、レーザー光と輻射光とを区別することができるので、熱鋼であっても計数できる点、及び、
(b) 棒鋼が重なっている場合であっても、棒鋼表面の三日月型の画像が分離するので、棒鋼を計数できる点、
が記載されている。
特開平9−305737号公報
特許文献1には、一定の線幅のレーザー光を鋼製丸棒の斜め方向から照射すると、丸棒表面に形成された三日月型のレーザー軌跡が分離するので、丸棒に重なりがあっても本数を計測できる点が記載されている。しかしながら、レーザー光を斜めに照射した場合であっても、丸棒の重なり具合によっては、レーザー軌跡が完全に分離せず、計数誤差が生ずるという問題がある。さらに、丸棒の重なり状態によって、丸棒表面への照明の当たり方が異なるので、ある状態を正確に計測可能な条件で他の状態を測定すると、他の状態の計数精度が低下するという問題がある。
また、熱間圧延された鋼製丸棒の表面は、酸化スケールで覆われ、肌が荒れた状態になっている。さらに、加熱された丸棒の周囲には、大気のゆらぎがある。そのため、熱間圧延された鋼製丸棒の本数を光学的に計測する場合において、直進性の高いレーザー光を用いると、レーザー光が丸棒表面で拡散し、計数誤差の原因となる。
本発明が解決しようとする課題は、丸棒が部分的に重なっている場合であっても、丸棒の本数を正確に計測することが可能な丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラムを提供することにある。
また、本発明が解決しようとする課題は、丸棒の重なり状態によらず、丸棒の本数を正確に計測することが可能な丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラムを提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、高温に加熱された丸棒であっても、丸棒の本数を正確に計測することが可能な丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る丸棒本数カウント装置は、
搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射する照射手段と、
前記丸棒の表面から反射する反射光を撮影するデジタル撮影手段と、
撮影された画像に含まれる前記反射光を複数の抽出感度で抽出する抽出手段と、
前記各抽出感度における前記反射光の個数を、それぞれカウントする反射光カウント手段と、
前記各抽出感度における前記反射光の個数の最大値を、前記丸棒の本数と判断する判断手段とを備えていることを要旨とする。
前記照射光は、非レーザー光が好ましい。
また、本発明に係る丸棒本数カウント方法は、
照射手段を用いて搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射する照射工程と、
デジタル撮影手段を用いて前記丸棒の表面から反射する反射光を撮影する撮影工程と、
撮影された画像に含まれる前記反射光を複数の抽出感度で抽出する抽出工程と、
前記各抽出感度における前記反射光の個数を、それぞれカウントする反射光カウント工程と、
前記各抽出感度における前記反射光の個数の最大値を、前記丸棒の本数と判断する判断工程とを備えていることを要旨とする。
さらに、本発明に係る丸棒本数カウントプログラムは、
コンピュータを、
照射手段に、搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射させる照射手段、
デジタル撮影手段に、前記丸棒の表面から反射する反射光を撮影させる撮影手段、
撮影された画像を入力する入力手段、
撮影された画像に含まれる前記反射光を複数の抽出感度で抽出する抽出手段、
前記各抽出感度における前記反射光の個数を、それぞれカウントする反射光カウント手段、
前記各抽出感度における前記反射光の個数の最大値を、前記丸棒の本数と判断する判断手段として機能させることを要旨とする。
搬送テーブル上に並べられた丸棒の本数を光学的に計測する場合において、丸棒に部分的な重なりが生じているときには、反射光の個数が、抽出感度に応じて変化する。そのため、丸棒表面の反射光を複数の抽出感度で抽出し、各抽出感度における反射光の個数を、それぞれカウントすれば、各抽出感度における反射光の個数の最大値から丸棒の真の本数を知ることができる。また、丸棒の重なり具合によらず、丸棒の本数を正確に計測することができる。
さらに、丸棒に照射する照射光として非レーザー光を用いると、反射光の拡散を抑制することができるので、丸棒が高温に加熱されている場合であっても、丸棒の本数を正確に測定することができる。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 丸棒本数カウント装置]
本発明に係る丸棒本数カウント装置は、照射手段と、デジタル撮影手段と、抽出手段と、反射光カウント手段と、判断手段とを備えている。
[1.1 照射手段]
照射手段は、搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射するための手段である。
本発明において、丸棒の材質は、特に限定されるものではない。すなわち、丸棒は、金属材料(例えば、鉄鋼材料)であっても良く、あるいは、非金属材料であっても良い。また、丸棒の温度も特に限定されるものではない。すなわち、丸棒の温度は、室温であっても良く、あるいは、数百℃〜千数百℃の高温であっても良い。本発明に係る丸棒本数カウント装置は、特に、高温に加熱された金属製の丸棒の本数を測定するための装置として好適である。
丸棒に照射する照射光の色(波長)は、丸棒の材質や温度に応じて、最適なものを選択する。例えば、冷間の丸棒を計測する場合、照射光にはあらゆる色の光を用いることができ、赤色光であっても用いることもできる。一方、熱間の金属製丸棒を計測する場合、丸棒から赤色の輻射光が放出されるので、赤色以外の照射光を用いるのが好ましい。熱間の丸棒を計測する場合、照射光は、特に緑色光が好ましい。緑色光を用いると、熱間の丸棒から輻射される赤色光に影響されることなく、丸棒の本数を計測することができる。
照射光は、単一の波長を持つレーザー光であっても良く、あるいは、複数の波長の光が重畳された非レーザー光であっても良い。特に、非レーザー光は、大気のゆらぎの影響が少ないので、熱間の丸棒を計測するための照射光として好適である。
熱間の丸棒の計測に適した非レーザー光を放出可能な照射手段としては、例えば、LED照明、ハロゲンランプ、蛍光灯、白熱灯などがある。
照射光の入射角は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、入射角(丸棒表面の法線方向と照射光の入射方向とのなす角)がゼロに近づくほど、強い反射光が得られるので、計測精度を高めることができる。入射角は、具体的には、30°以下が好ましい。入射角は、さらに好ましくは20°以下、さらに好ましくは10°以下である。
照射手段は、一定の照度の照射光のみを照射可能なものでも良く、あるいは、照射光の照度を複数段階に変える照度可変手段を備えているものでも良い。照度変更手段を備えた照射手段を用いると、後述するように、抽出感度を複数段階に変えて反射光を抽出するのが容易化するという利点がある。照度変更手段は、照射光の照度を変更可能なものであれば良く、周知の手段を用いることができる。
また、照明手段は、丸棒の全体に照射光を照射可能なものでも良く、あるいは、丸棒の一部分を照射可能なものでも良い。丸棒の一部分を照射する照明手段としては、例えば、一定の幅を有するスリット光を照射可能なものなどがある。
[1.2 デジタル撮影手段]
デジタル撮影手段は、丸棒の表面から反射する反射光を撮影するための手段である。
「デジタル撮影手段」とは、撮像素子(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)など)を用いて画像を電気信号に変換可能なものをいう。デジタル撮影手段としては、例えば、CCDエリアカメラ、CCDラインカメラなどがある。
デジタル撮影手段は、照射手段に対して反射角側に設置される。反射光の撮影に支障がない限り、反射角(丸棒の法線方向とデジタル撮影手段の撮影方向とのなす角)は、特に限定されるものではなく、入射角と一致している必要もない。デジタル撮影手段と照射手段の位置関係が同軸(入射角=反射角=0)に近づくほど、強い反射光が得られるので、計測精度を高めることができる。
[1.3 抽出手段]
抽出手段は、撮影された画像に含まれる反射光を複数の抽出感度で抽出するための手段である。
丸棒表面に照射光を照射すると、反射光の照度は、丸棒の頂部が最も高くなり、丸棒の側面に行くほど低くなる。従って、所定のしきい値以下の照度を持つ反射光をカットすると、丸棒の本数にほぼ対応する不連続な反射光が得られる。
反射光の抽出は、例えば、
(1)撮影された画像から、照射光に対応する色の反射光成分のみ(例えば、照射光として緑色光を用いたときには、反射した緑色成分のみ)を色抽出し、
(2)色抽出された色成分について、所定のしきい値でカラー2値化処理を施す
ことにより行うことができる。
また、反射光を複数の抽出感度で抽出する手段には、
(a)照射手段から照射される照射光の照度を複数段階に変えて複数の画像を撮影し、しきい値一定の条件下で複数の画像からそれぞれ反射光を抽出する第1の手段、
(b)照射手段から一定の照度の照射光を照射して1枚の画像を撮影し、しきい値を複数段階に変えて1枚の画像から反射光を複数回抽出する第2の手段、
(c)照射手段から照射される照射光の照度を複数段階に変えて複数の画像を撮影し、しきい値を複数段階に代えて複数の画像からそれぞれ反射光を抽出する第3の手段(第1の手段と第2の手段の組み合わせ)、
などがある。本発明においては、いずれの手段を用いても良い。特に、第1の手段は、制御が容易であるので、抽出手段として特に好適である。
[1.4 反射光カウント手段]
反射光カウント手段は、各抽出感度における反射光の個数を、それぞれカウントする手段である。
反射光のカウントに用いる画像は、色抽出・2値化処理された画像であっても良く、あるいは、色抽出・2値化処理後の画像に対して収縮・膨張処理を行った画像でも良い。色抽出・2値化処理後の画像に対してさらに収縮・膨張処理を行うと、丸棒の本数とは無関係な領域が塗りつぶされるので、計数精度が向上するという利点がある。さらに、反射光のカウントに用いる画像は、収縮・膨張処理を行った後、さらに計測領域を特定の領域に制限する処理を行った画像でも良い。計測領域の制限は、演算時間の短縮に有効である。
反射光のカウントは、具体的には、必要に応じて各種の処理を施した画像を粒子解析し、その個数をカウントすることにより行うことができる。
[1.5 判断手段]
判断手段は、各抽出感度における反射光の個数の最大値を、丸棒の本数と判断する手段である。
搬送テーブル上に複数の丸棒を載置した場合において、側壁に丸棒が乗り上げたり、あるいは、複数の丸棒が折り重なると、丸棒の一部が影となり、各丸棒からの反射光に強弱が生じる。そのため、抽出感度を変えて反射光を抽出すると、抽出感度に応じて、反射光の個数が増減する。本発明においては、各抽出感度における反射光の個数の最大値を、丸棒の本数と判断する。
[2. 丸棒本数カウント方法]
本発明に係る丸棒本数カウント方法は、
照射手段を用いて搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射する照射工程と、
デジタル撮影手段を用いて前記丸棒の表面から反射する反射光を撮影する撮影工程と、
撮影された画像に含まれる前記反射光を複数の抽出感度で抽出する抽出工程と、
前記各抽出感度における前記反射光の個数を、それぞれカウントする反射光カウント工程と、
前記各抽出感度における前記反射光の個数の最大値を、前記丸棒の本数と判断する判断工程とを備えている。
照射工程、撮影工程、抽出工程、反射光カウント工程、及び判断工程の詳細は、それぞれ、上述した照射手段、撮影手段、抽出手段、反射光カウント手段、及び判断手段と同様であるので、説明を省略する。
[3. 丸棒本数カウントプログラム]
図1に、本発明に係る丸棒本数カウントプログラムのフローチャートを示す。
まず、ステップ1(以下、「S1」という)において、照度変更の繰り返し回数nに初期値「1」を代入する。次に、S2において、n番目(この時点では、1番目)の照度を設定する。S3において、照射手段に、搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に、設定された照度の照射光を照射させる(照射手段)。S4において、デジタル撮影手段に、丸棒の表面から反射する反射光を撮影させる(撮影手段)。さらに、S5において、撮影手段により撮影された画像をコンピュータに入力する(入力手段)。
S6では、抽出感度の変更数mに初期値「1」を代入する。S7において、m番目(この時点では、1番目)の抽出感度を設定し、S8において、撮影された画像に含まれる反射光を設定された抽出感度で抽出する(抽出手段)。反射光を抽出した後、必要に応じて、膨張・収縮処理、あるいは、計測範囲を決める処理などを行っても良い。さらに、S9において、設定された抽出感度で抽出された反射光の個数をカウントする(反射光カウント手段)。
S10において、抽出感度の変更数mがあらかじめ定められた最大値(mmax)に達したか否かが判断される。抽出感度の変更数の最大値(mmax)が2以上である場合、この時点では、1回目の抽出が行われたのみである(S10:NO)ので、S11に進み、変更数mに1を加える。さらに、S7に戻り、m番目(この時点では、2番目)の抽出感度を設定する。そして、抽出感度の変更数mがあらかじめ定められた最大値(mmax)になるまで、上述したS7〜S11の各ステップを繰り返す。
抽出感度の変更数mが予め定められた最大値(mmax)に達した場合、S12に進む。S12においては、照射光の照度を変えて反射光を撮影するか否かが判断される。照射光の照度を変えて複数の画像を撮影する場合には、S13に進み、照度変更の繰り返し回数nがあらかじめ定められた最大値(nmax)に達したか否かが判断される。この時点では、1回目の照度設定が行われたのみである(S13:NO)ので、S14に進み、繰り返し回数nに1を加える。さらに、S2に戻り、n番目(この時点では、2番目)の照度を設定する。そして、照度変更の繰り返し回数nがあらかじめ定められた最大値(nmax)になるまで、上述したS2〜S14の各ステップを繰り返す。
一方、照度変更を行わない場合(S12:NO)、又は、あらかじめ定められた回数の照度変更、並びに、照射光照射、画像撮影、画像入力、反射光抽出及び反射光カウントが行われた場合(S13:YES)には、S15に進む。
S15においては、各抽出感度における反射光の個数を対比する。そして、各抽出感度における反射光の個数の最大値を、丸棒の本数と判断する(判断手段)。
なお、抽出感度の変更は、上述したように、
(1)照射光の照度を変えて撮影したnmax枚(nmax≧2)の画像から、一定のしきい値(mmax=1)で反射光を抽出する第1の方法、
(2)1枚の画像(nmax=1)から、しきい値をmmax段階(mmax≧2)に変えて反射光を抽出する第2の方法、
(3)第1の方法と第2の方法の組み合わせ、
のいずれを用いても良い。
従って、第1の方法を用いる場合には、反射光の抽出は、画像の数に相当する回数(nmax回)だけ繰り返される。また、第2の方法を用いる場合には、反射光の抽出は、抽出感度のしきい値の数に相当する回数(mmax回)だけ繰り返される。さらに、第1の方法と第2の方法を組み合わせる場合、反射光の抽出は、画像の数としきい値の数の積に相当する回数(nmax×mmax回)だけ繰り返される。
[4. 丸棒本数カウント装置、丸棒本数カウント方法、及び丸棒本数カウントプログラムの作用]
丸棒を製造する過程において、切り揃えられた丸棒は、搬送テーブル上に乗せられ、本数がカウントされる。しかしながら、丸棒に曲がりがあったり、丸棒が搬送テーブル上に斜めに載置されると、丸棒が部分的に重なり、計数誤差の原因になる。
図2に、丸棒の重なり状態の模式図を示す。搬送テーブル上に並べられた丸棒の重なり状態は、側端の丸棒が搬送テーブルの側壁に乗り上げるケース(図2(a))と、複数の丸棒が折り重なった状態(ダンゴ状態)となるケース(図2(b))に大別される。
図2(a)に示すように、搬送テーブルの側端において丸棒が側壁に乗り上げた場合、側壁に乗り上げた丸棒1からの反射光と、これに隣接する丸棒2からの反射光とは、重なり気味となる。このような状態において、抽出感度を「大」に設定すると、丸棒1の反射光と丸棒2の反射光とを分離できなくなり、丸棒1と丸棒2を合わせて1本としてカウントする。従って、丸棒1と丸棒2を分離するためには、反射光の抽出感度を「小」に設定する必要がある。
一方、図2(b)に示すように、複数の丸棒が折り重なった場合、上に乗り上げた丸棒3、5からの反射光は強いが、これらの下にある丸棒4からの反射光は、丸棒3、5からの反射光によって弱くなる。このような状態において、反射光の抽出感度を「小」に設定すると、丸棒4からの反射光を検出することができない。従って、丸棒4からの反射光を検出するためには、反射光の抽出感度を「大」に設定する必要がある。
そのため、丸棒の製造ラインにおいて、抽出感度を「大」に維持したまま、丸棒の本数をカウントすると、図2(b)のケースについて丸棒の本数を正確にカウントすることはできるが、図2(a)のケースについては丸棒の本数に計数誤差が生ずる場合がある。
一方、抽出感度を「小」に維持したまま、丸棒の本数をカウントすると、図2(a)のケースについては丸棒の本数を正確にカウントすることはできるが、図2(b)のケースについては丸棒の本数に計数誤差が生ずる場合がある。
これに対し、抽出感度を変えて反射光を複数回抽出し、各抽出感度における反射光の個数を、それぞれカウントすると、丸棒の本数を正確に把握することができる。
例えば、図2(a)のケースにおいて、抽出感度を変えて反射光の抽出・カウントを行うと、抽出感度「小」での反射光の個数は、抽出感度「大」での反射光の個数より多くなる。そのため、抽出感度「小」での反射光の個数から、丸棒の本数を正確に把握することができる。
同様に、図2(b)のケースにおいて、抽出感度を変えて反射光の抽出・カウントを行うと、抽出感度「大」での反射光の個数は、抽出感度「小」での反射光の個数より多くなる。そのため、抽出感度「大」での反射光の個数から、丸棒の本数を正確に把握することができる。
(実施例1)
[1. 試験方法]
本発明に係る丸棒本数カウント装置を用いて、熱間圧延された鋼製丸棒の本数をカウントした。照明には、緑色のLED照明を用い、搬送テーブル上に並べられた丸棒のほぼ真上(入射角≒0°)に設置した。デジタル撮影手段にはCCDカメラを用い、LED照明とほぼ同軸上(反射角≒20°)に設置した。
[2. 結果]
図3に、撮影された丸棒の画像を示す。図3(a)は、CCDカメラによる取り込み画像である。緑色照明により自発光(赤外光)をカットしているため、鋼材の上面部位が強く反射していることがわかる。図3(b)は、反射した緑色成分のみを抽出し、カラー2値化処理を施した画像である。図3(c)は、図3(b)の画像に対して膨張+収縮処理を行った後の画像である。丸棒の表面のみが白くなっていることがわかる。図3(d)は、反射光の個数をカウントするための計測範囲を決める処理をした後の画像である。丸棒のほぼ中央の白い部分が計測範囲である。計測範囲の処理が行われた画像は、粒子解析に共され、反射光の個数がカウントされる。
図4(a)に、抽出感度「大」で反射光を抽出した画像を示す。左端の丸棒が側壁に乗り上げているため、左端の丸棒とその隣の丸棒の反射光が分離していないことがわかる。図4(a)の条件下では、丸棒の本数は、19本とカウントされた。
一方、図4(b)に、抽出感度「小」で反射光を抽出した画像を示す。抽出感度を「小」とすることにより、左端の丸棒の反射光が分離していることがわかる。図4(b)の条件下では、丸棒の本数は、20本とカウントされた。
図4より、抽出感度を変えて反射光の数をカウントし、その最大値を丸棒の本数とすれば、丸棒に部分的な重なりがあっても、丸棒の本数を正確に計測できることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る丸棒本数カウント装置及び丸棒本数カウント方法、並びに丸棒本数カウントプログラムは、熱間加工又は冷間加工により製造される鋼製丸棒を製造ライン中においてリアルタイムで計測するための装置及び方法、並びに、これをコンピュータに実行させるためのプログラムとして用いることができる。
本発明に係る丸棒本数カウントプログラムのフローチャートである。 図2(a)は、側端の丸棒が搬送テーブルの側壁に乗り上げた状態を示す模式図、図2(b)は、複数の丸棒が折り重なった状態(ダンゴ状態)を示す模式図である。 本発明に係る丸棒本数カウント装置で撮影された丸棒の取り込み画像(図3(a))、色抽出+カラー2値化処理後の画像(図3(b))、収縮+膨張処理後の画像(図3(c))、及び、計測範囲の処理が施された画像(図3(d))である。 図4(a)は、抽出感度大で抽出した反射光の画像であり、図4(b)は、抽出感度小で抽出した反射光の画像である。

Claims (11)

  1. 搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射する照射手段と、
    前記丸棒の表面から反射する反射光を撮影するデジタル撮影手段と、
    撮影された画像に含まれる前記反射光を複数の抽出感度で抽出する抽出手段と、
    前記各抽出感度における前記反射光の個数を、それぞれカウントする反射光カウント手段と、
    前記各抽出感度における前記反射光の個数の最大値を、前記丸棒の本数と判断する判断手段と
    を備えた丸棒本数カウント装置。
  2. 前記照射光は、緑色光である請求項1に記載の丸棒本数カウント装置。
  3. 前記照射光は、非レーザー光である請求項1又は2に記載の丸棒本数カウント装置。
  4. 前記照射光の入射角は、30°以下である請求項1から3までのいずれかに記載の丸棒本数カウント装置。
  5. 前記照射手段は、前記照射光の照度を複数段階に変える照度可変手段を備え、
    前記抽出手段は、前記反射光の抽出時のしきい値を一定にし、前記照射光の照度を複数段階に変えて撮影された複数の画像から前記反射光をそれぞれ抽出するものである請求項1から4までのいずれかに記載の丸棒本数カウント装置。
  6. 照射手段を用いて搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射する照射工程と、
    デジタル撮影手段を用いて前記丸棒の表面から反射する反射光を撮影する撮影工程と、
    撮影された画像に含まれる前記反射光を複数の抽出感度で抽出する抽出工程と、
    前記各抽出感度における前記反射光の個数を、それぞれカウントする反射光カウント工程と、
    前記各抽出感度における前記反射光の個数の最大値を、前記丸棒の本数と判断する判断工程と
    を備えた丸棒本数カウント方法。
  7. 前記照射光は、緑色光である請求項6に記載の丸棒本数カウント方法。
  8. 前記照射光は、非レーザー光である請求項6又は7に記載の丸棒本数カウント方法。
  9. 前記照射光の入射角は、30°以下である請求項6から8までのいずれかに記載の丸棒本数カウント方法。
  10. 前記照射工程は、前記照射光の照度を複数段階に変えて照射するものであり、
    前記抽出工程は、前記反射光の抽出時のしきい値を一定にし、前記照射光の照度を複数段階に変えて撮影された複数の画像から前記反射光をそれぞれ抽出するものである請求項6から9までのいずれかに記載の丸棒本数カウント方法。
  11. コンピュータを、
    照射手段に、搬送テーブル上に並べられた複数の丸棒に照射光を照射させる照射手段、
    デジタル撮影手段に、前記丸棒の表面から反射する反射光を撮影させる撮影手段、
    撮影された画像を入力する入力手段、
    撮影された画像に含まれる前記反射光を複数の抽出感度で抽出する抽出手段、
    前記各抽出感度における前記反射光の個数を、それぞれカウントする反射光カウント手段、
    前記各抽出感度における前記反射光の個数の最大値を、前記丸棒の本数と判断する判断手段
    として機能させるための丸棒本数カウントプログラム。
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