JP2010001440A - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性エラストマーに植物性材料を50〜95質量%と多く含有させながら射出成形できる熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びにこの熱可塑性樹脂組成物を用いた成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】植物性材料と熱可塑性エラストマーとを含有し、植物性材料及び熱可塑性エラストマーの合計を100質量%とした場合に、植物性材料を50〜95質量%含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、混合溶融装置を用いて、ショアA硬度が50を越え且つ90以下である熱可塑性エラストマー(オレフィン系熱可塑性エラストマー等)を溶融させながら植物性材料(ケナフコア等)と混合する混合工程と、得られた混合物を、押し固めてペレットを得るペレット化工程と、を備える。更に、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して成形体を得る。
【選択図】図3

Description

本発明は熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、植物性材料を50〜95質量%と多く含有する熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びに成形体の製造方法に関する。
近年、ケナフ等の成長が早く、二酸化炭素吸収量が多い植物性材料は、二酸化炭素排出量削減及び二酸化炭素の固定化等の観点から注目され、樹脂との複合用途で期待されている。
しかし、特に多量の植物性材料を樹脂に混合し、更には、得られた複合材料を成形するには大きな困難を伴う。これは複合材料に従来の樹脂と同等の十分な流動性を付与することが難しいからであると考えられる。多量の植物材料を含む複合材料を扱う技術としては下記特許文献1及び2が知られている。
特開2005−105245号公報 特開2000−219812号公報
上記特許文献1では、ケナフ繊維の含有量が50質量%を超える場合に、樹脂組成物の流動性が著しく低下するので射出成形において、満足する製品形状や製品形態が得られない等の問題が発生することが示されている。一方、上記特許文献2では、樹脂にロジンや可塑剤を加えず、植物繊維のみを配合した場合には植物繊維が均一に分散され難く、樹脂と植物繊維の間の親和性が悪いことなどから、強度等に劣り、又品質の均一性にも欠け、実用性に乏しい材料しか得られないことが示されている。
即ち、いずれの文献においても、50質量%を超える多量の植物性材料を含む射出成形可能な熱可塑性樹脂組成物を得るには困難を伴うことが示されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、熱可塑性エラストマーに植物性材料を50〜95質量%と多く含有させながら射出成形できる熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法並びにこの熱可塑性樹脂組成物を用いた成形体の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下に示す通りである。
(1)植物性材料と熱可塑性エラストマーとを含有し、該植物性材料及び該熱可塑性エラストマーの合計を100質量%とした場合に、該植物性材料を50〜95質量%含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
混合溶融装置を用いて、ショアA硬度が50を越え且つ90以下である熱可塑性エラストマーを溶融させながら植物性材料と混合する混合工程と、
上記混合工程で得られた混合物を、押し固めてペレットを得るペレット化工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(2)上記熱可塑性エラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマーである上記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(3)上記植物性材料は、平均粒径が5.0mm以下のケナフコア粉末及び/又は平均繊維長が10mm以下のケナフ繊維である上記(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(4)上記混合工程において、上記熱可塑性エラストマー及び上記植物性材料と共に、酸変性熱可塑性樹脂を混合する上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(5)上記酸変性熱可塑性樹脂は、酸変性ポリプロピレンであり、
上記熱可塑性エラストマー、上記植物性材料及び上記酸変性ポリプロピレンの合計を100質量%とした場合に、上記酸変性ポリプロピレンは1〜10質量%である上記(4)に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(6)上記混合溶融装置は、上記混合を行う混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備え、
上記混合工程は、上記混合室中で上記混合羽根の回転により溶融された上記熱可塑性エラストマーと上記植物性材料とを混合する上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(7)上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法により得られたことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(8)上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法により得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、熱可塑性エラストマーに植物性材料を50〜95質量%と多く含有させながら射出成形できる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。更に、この熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形体では優れた耐衝撃性を発揮させることができる。加えて優れた柔軟性を発揮させることができる。
熱可塑性エラストマーがオレフィン系熱可塑性エラストマーである場合は、適度な曲げ弾性率が得られつつ大きな撓み量を得ることができる。
植物性材料が平均粒径5.0mm以下のケナフコア粉末及び/又は平均繊維長10mm以下のケナフ繊維である場合は、この範囲を外れる植物性材料を用いた場合に比べて高い機械的強度を得つつ、大きな撓み量を得ることができる。
混合工程において、熱可塑性エラストマー及び植物性材料と共に、酸変性熱可塑性樹脂を混合した場合は、酸変性熱可塑性樹脂を用いない場合に比べて、大きな撓み量は維持しつつ、曲げ弾性率をより大きくすることができる。
酸変性熱可塑性樹脂が酸変性ポリプロピレンであり、熱可塑性エラストマー、植物性材料及び酸変性ポリプロピレンの合計を100質量%とした場合に酸変性ポリプロピレンが1〜10質量%である場合は、酸変性熱可塑性樹脂の添加による熱可塑性樹脂組成物全体への性状変化を抑制しつつ、高い添加効果を得ることができる。
混合溶融装置が混合を行う混合室及び混合室内に配置された混合羽根を備え、混合工程が混合室中で混合羽根の回転により溶融された熱可塑性エラストマーと植物性材料とを混合する工程である場合は、とりわけ効率よく熱可塑性エラストマーに植物性材料を多く含有させながら射出成形できる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、熱可塑性エラストマーに植物性材料が50〜95質量%と多く含有されながら射出成形することができる。更に、得られた成形体に優れた耐衝撃性を発揮させることができる。
本発明の成形体の製造方法によれば、植物性材料を50〜95質量%と多く含有しながら優れた耐衝撃性を発揮できる成形体が得られる。加えて優れた柔軟性を発揮させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[1]熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、植物性材料と熱可塑性エラストマーとを含有し、該植物性材料及び該熱可塑性エラストマーの合計を100質量%とした場合に、該植物性材料を50〜95質量%含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
混合溶融装置を用いて、ショアA硬度が50を越え且つ90以下である熱可塑性エラストマーを溶融させながら植物性材料と混合する混合工程と、
上記混合工程で得られた混合物を、押し固めてペレットを得るペレット化工程と、を備えることを特徴とする。
上記「混合工程」は、混合溶融装置を用いて、熱可塑性エラストマーを溶融させながら植物性材料と混合する工程である。
上記「植物性材料」は、植物に由来する材料である。この植物性材料としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花などの各種植物体から得られた植物性材料が挙げられる。この植物性材料は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかではケナフが好ましい。ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できるからである。
また、上記植物性材料として用いる植物体の部位は特に限定されず、非木質部、木質部、葉部、茎部及び根部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定部位のみを用いてもよく2ヶ所以上の異なる部位を併用してもよい。
尚、本発明におけるケナフとは、木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。
また、本発明におけるジュートとは、ジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
上記植物性材料(混合前の植物性材料)の形状は特に限定されず、繊維状及び非繊維状の形態が挙げられる。このうち非繊維状としては、粉末状(粒状及び球状等を含む)、チップ状(板状及び薄片状等を含む)及び不定形状(粉砕物状等を含む)などの形態が含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。形態が挙げられる。
上記のうち、繊維状の植物性材料(以下、単に「植物性繊維」ともいう)は、植物体から取り出された繊維であり、且つ繊維長Lに対する繊維径tの割合L/tが5.0〜20,000であるものをいう。この植物性繊維において、上記繊維長Lは、通常、0.5〜300mmであり、上記繊維径tは、通常、0.01〜1mmである。この繊維長は、JIS L1015における直接法と同様に、1本の植物性繊維を伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で測定した値(L)である。一方、繊維径は、繊維長を測定した当該植物性繊維について、繊維の長さ方向の中央における繊維径を光学顕微鏡を用いて測定した値(t)である。
更に、この植物性繊維の平均繊維長及び平均繊維径等は特に限定されないが、平均繊維長は、10mm以下が好ましい。平均繊維長が10mm以下の植物性繊維を用いることで、植物性繊維を用いることによる前記効果をよりよく得ることができる。この平均繊維長は1〜10mmがより好ましく、1.5〜8.5mmが更に好ましく、2〜7mmが特に好ましい。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。
一方、上記平均繊維径は、0.2mm以下が好ましい。平均繊維径が0.2mm以下の植物性繊維を用いることで、植物性繊維を用いることによる前記効果をよりよく得ることができる。この平均繊維径は0.01〜0.15mmがより好ましく、0.01〜0.1mmが特に好ましい。この平均繊維径は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、繊維の長さ方向の中央における繊維径を光学顕微鏡を用いて実測し、合計200本について測定した平均値である。
また、上記のうち、非繊維状の植物性材料(以下、単に「非繊維状植物性材料」ともいう)は、植物体から取り出された上記繊維状には含まれない形態の植物性材料である。その大きさは特に限定されないが、例えば、最大長さ(粒状の場合は最大粒径)は20mm以下(通常0.1mm以上、更には0.3〜20mm、より更には0.3〜15mm、特に0.5〜10mm)とすることが好ましい。
更に、その形状が粉末状である場合には、平均粒径は5.0mm以下(通常0.1mm以上、更には0.2〜5.0mm、より更には0.3〜4.0mm、特に0.3〜3mm、とりわけ0.5〜2mm)とすることが好ましい。尚、平均粒径とは、粒度分布測定装置によって測定された粒度分布におけるD50の値である。
尚、本方法により得られる熱可塑性樹脂組成物では、上記混合前の植物性材料の形状及び大きさは、熱可塑性樹脂組成物内でそのまま維持されてもよく、維持されなくてもよい。維持されない場合としては、混合時に更に細かく粉砕されて熱可塑性樹脂組成物内に含まれる場合が挙げられる。
また、植物性材料としてケナフを用いる場合、上記植物性繊維としてはケナフ繊維が挙げられ、上記非繊維状植物性材料としてはケナフコア粉末が挙げられる。本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法では上記のように非繊維状植物性材料を用いることができる。即ち、ケナフにおいてはケナフコア粉末を用いることができることとなる。
このケナフは靭皮と称される外層部分とコアと称される芯材部分とからなるが、このうち靭皮は、強靱な繊維を有するために利用価値が高いのに対して、コアはケナフ全体の60体積%程をも占めるにも関わらず、植物性繊維にすることができない。更に、見掛け比重が小さく嵩高いために取扱い性が悪く、樹脂等との混練が難しく、コアは廃棄又は燃料化されることが多い。しかし、本方法によれば、ケナフコアを植物性材料として利用しつつも機械的特性に優れ且つ射出成形が可能な高い流動性を有する熱可塑性樹脂組成物を選ることができる。
また、本方法により得られる熱可塑性樹脂組成物に含有される植物性材料は50〜95質量%である。この含有量は、通常、製造時に配合する植物性材料の配合量と同じである。即ち、植物性材料と熱可塑性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、50〜95質量%の植物性材料を配合するものである。この配合量は50〜90質量%が好ましく、52〜87質量%がより好ましく、54〜85質量%が更に好ましく、56〜83質量%が特に好ましく、58〜80質量%がより特に好ましい。
上記「熱可塑性エラストマー」は、混合工程で植物性材料と混合される成分であり、ショアA硬度が50を越え且つ90以下の熱可塑性及び弾性を有する成分である。上記ショアA硬度が50以下であると混合工程において混合溶融装置により熱可塑性エラストマーと植物性材料とを混合することが困難となり、熱可塑性樹脂組成物を得ることができない。一方、ショアA硬度が90を越える場合(即ち、ショアD硬度範囲)は、曲げ弾性率が低下するものの撓み量を十分に大きくすることができず、非エラストマー性の熱可塑性樹脂を用いた場合に比べて脆くなる傾向にある。このショアA硬度は、55〜85が好ましく、55〜80がより好ましく、55〜75が更に好ましく、58〜72が特に好ましい。尚、上記ショアA硬度はJIS K6253のデュロメータ(タイプAデュロメータ)硬さ試験による。
熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が例示される。これらの中ではオレフィン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、特にオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの形態は特に限定されないが、オレフィン系樹脂成分(ハードセグメントとして機能)とゴム成分(ソフトセグメントとして機能)とを含み、ゴム成分がオレフィン系樹脂成分内に分散されてなるものが好ましい。
このうち、オレフィン系樹脂成分は、オレフィンを主成分とする樹脂であること以外特に限定されない。このオレフィン系樹脂成分としては、オレフィンの単独重合体、オレフィンを含む共重合体(オレフィン共重合体を構成する構成単位全体を100モル%とした場合に70モル%以上のオレフィンに由来する構成単位を有する共重合体)が挙げられる。前者(オレフィンの単独重合体)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン・プロピレン共重合体(エチレン・プロピレンランダム共重合体など)等が挙げられる。一方、後者(オレフィンを含む共重合体)としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・アクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。これらのオレフィン系樹脂成分は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上記ゴム成分の組成は特に限定されず、種々のゴム成分を用いることができる。即ち、例えば、オレフィン系ゴム、スチレン系ゴム、ウレタン系ゴム、アクリル系ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのゴム成分のなかでは、オレフィン系ゴム及びスチレン系ゴムが好ましい。
上記オレフィン系ゴムとしては、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ヘプテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・酢酸ビニルゴム、エチレン・アクリルゴム等が挙げられる。これらの各共重合体の重合形態は限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体などのいずれであってもよい。また、上記非共役ジエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジシクロオクタジエン、1,2−ブタジエン等が挙げられる。これらの各種オレフィン系ゴムは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。尚、オレフィン系ゴムは単独で熱可塑性であってもよく非熱可塑性であってもよい。また、オレフィン系ゴムは、通常、その全構成単位を100モル%とした場合にオレフィンに由来する構成単位を50モル%以上含有する。但し、芳香族ビニル系化合物(スチレン等)に由来する構成単位は含まないか又は含んでも5モル%以下である。
一方、スチレン系ゴムは、芳香族ビニル系化合物(スチレン等)に由来する構成単位を有するゴムである。このスチレン系ゴムとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、水素添加型スチレン・ブタジエンランダム共重合体(HSBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。これらの各種スチレン系ゴムは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。尚、スチレン系ゴムは単独で熱可塑性であってもよく非熱可塑性であってもよい。また、スチレン系ゴムは、通常、その全構成単位を100モル%とした場合に芳香族ビニル系化合物(スチレン等)に由来する構成単位を5モル%を越えて含有する。
これらのオレフィン系熱可塑性エラストマーのなかでも、オレフィン系ゴム成分がオレフィン系樹脂成分内に分散されてなるものが好ましい。このうち、オレフィン系ゴム成分は、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)及び/又はエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(EPDM)が好ましい。また、オレフィン系樹脂成分は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン・プロピレン共重合体のうちの少なくとも1種であることが好ましく、特にエチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
このオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的に、ミラストマー(三井化学株式会社製)、タフマー(三井化学株式会社製)、サーモラン(三菱化学株式会社製)、ゼラス(三菱化学株式会社製)、エスポレックスTPE(住友化学株式会社製)、タフセレン(住友化学株式会社製)、エクセリンク(JSR株式会社製)、サントプレーン(AESジャパン)等の製品が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記オレフィン系ゴム成分がオレフィン系樹脂成分内に分散されてなる熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系ゴム成分とオレフィン系樹脂成分とは架橋されていてもよく、架橋されていなくてもよいが、少なくとも一部が架橋されていることが好ましい。
更に、オレフィン系ゴム成分がオレフィン系樹脂成分内に分散されてなる熱可塑性エラストマー全体を100質量%とした場合に、オレフィン系ゴム成分の含有量は90質量%以下であることが好ましい。オレフィン系ゴム成分の含有量が90質量%以下であることにより、混合工程における混合をより容易に行うことができる。
また、オレフィン系ゴム成分がオレフィン系樹脂成分内に分散されてなる熱可塑性エラストマーの架橋度は90%以下であることが好ましい。架橋度が90以下であることにより、混合工程における混合をより容易に行うことができる。
一方、上記熱可塑性エラストマーとしては、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー以外に他の熱可塑性エラストマーを用いることができる。そのなかでも上述のようにスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。このスチレン系熱可塑性エラストマーは芳香族ビニル系化合物(スチレン等)に由来する構成単位を含む共重合体であり、通常、この芳香族ビニル系化合物に由来する構成単位は、芳香族ビニル重合体ブロック(ポリスチレンブロック等)として含有され、スチレン系熱可塑性エラストマー内においてハードセグメントとして機能される。尚、スチレン系熱可塑性エラストマーは、通常、その全構成単位を100モル%とした場合に芳香族ビニル化合物(スチレン等)に由来する構成単位を5モル%を越えて含有する。
このようなスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、水素添加型スチレン・ブタジエンランダム共重合体(HSBR)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。これらのスチレン系熱可塑性エラストマーは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、上記水素添加型スチレン・ブタジエンランダム共重合体が特に好ましい。
このスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、タフテック(旭化成株式会社製)、セプトン(株式会社クラレ製)、クレイトンG(クレイトンポリマー・ジャパン製)、ダイナロン(JSR株式会社製)、ハイブラー(株式会社クラレ製)、エスポレックスSB(住友化学株式会社製)、タフプレン(旭化成株式会社製)、アサプレン(旭化成株式会社製)、ソルプレン(旭化成株式会社製)、ラバロン(三菱化学株式会社製)、JSR−TR(JSR株式会社製)、JSR−SIS(JSR株式会社製)、電化STR(電気化学株式会社製)、クインタック(日本ゼオン株式会社製)、レオストマー(リケンテクノス株式会社製)等の製品が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本発明において熱可塑性エラストマーとしては、上記各種熱可塑性エラストマーのなかでもオレフィン系熱可塑性エラストマー及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、更には、オレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることで、ケナフを得られる熱可塑性樹脂組成物全体(100質量%)に対して50〜95質量%と多量に含有させながら射出成形が可能な熱可塑性樹脂組成物をより容易に得ることができる。更に、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることで、耐衝撃性に優れつつ柔軟な成形体を得ることができる。特に後述の混合溶融装置(図4〜5に示す)を用いることでオレフィン系熱可塑性エラストマーの特性を得られる熱可塑性樹脂組成物に反映させることができる。
更に、オレフィン系熱可塑性エラストマーのなかでも、オレフィン系ゴム成分がオレフィン系樹脂成分内に分散されてなるものが好ましい。このうち、オレフィン系ゴム成分は、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)及び/又はエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(EPDM)が好ましい。また、オレフィン系樹脂成分は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン・プロピレン共重合体のうちの少なくとも1種であることが好ましく、特にエチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
また、植物性材料と熱可塑性エラストマーとの合計を100質量%とした場合に、上記熱可塑性エラストマーの含有量は5〜50質量%の範囲であればよい。例えば、前述のように、植物性材料は52〜87質量%が好ましいことから、熱可塑性エラストマーは13〜48質量%が好ましい。また、植物性材料は54〜85質量%がより好ましいことから、熱可塑性エラストマーは15〜46質量%がより好ましい。更に、植物性材料は56〜83質量%が特に好ましいことから、熱可塑性エラストマーは17〜44質量%が特に好ましい。また、植物性材料は58〜80質量%がより特に好ましいことから、熱可塑性エラストマーは20〜42質量%がより特に好ましい。
本発明の製造方法における混合工程では、上記植物性材料及び上記熱可塑性エラストマーと共に、酸変性熱可塑性樹脂を混合することができる。酸変性熱可塑性樹脂を混合することで、十分な大きさの撓み量を確保しながら、曲げ弾性率を適度に大きくできる。即ち、曲げ弾性率を500〜1500MPaと過度に大きくすることなく維持し、且つ撓み量は6mm以上(特に6〜14mm)と大きくすることができる。これにより、植物性材料を多く含有しながら優れた耐衝撃性を発揮できる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。この効果は、酸変性熱可塑性樹脂を配合することで植物性材料と熱可塑性エラストマーとの界面の接着性が向上されて得られるものと考えられる。
この酸変性熱可塑性樹脂は、植物性材料及び熱可塑性エラストマーと混合することができればよく、その混合順序は特に限定されないが、混合溶融装置を用いて、熱可塑性エラストマー及び酸変性熱可塑性樹脂を溶融させながら植物性材料と混合することが好ましい。
上記酸変性熱可塑性樹脂は、酸基を有する熱可塑性樹脂である。この酸変性熱可塑性樹脂としては、以下の熱可塑性樹脂に酸基を導入したものが挙げられる(尚、以下では酸基が導入されていない状態の樹脂を「ベース樹脂」ともいう)。
即ち、ベース樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いて得られた樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、オレフィン系エラストマー樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、ニトリルゴム(NBR)とオレフィン系樹脂との混合樹脂(NBR添加オレフィン樹脂)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(EPDM)とNBR添加オレフィン樹脂との混合樹脂、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)と水素添加型スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBBS)とスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)との混合樹脂などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記ベース樹脂のうち、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体などが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂などが挙げられる。
上記酸基の種類は特に限定されないが、通常、無水カルボン酸残基(−CO−O−OC−)及び/又はカルボン酸残基(−COOH)である。この酸基は共重合段階で導入されたものであってもよく、グラフト導入されたものであってもよい。また、酸基はどのような化合物により導入されたものであってもよく、その化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、無水マレイン酸及び無水イタコン酸が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
酸変性熱可塑性樹脂に導入される酸基の量は特に限定されないものの、酸価において5以上であることが好ましい。このような酸変性熱可塑性樹脂を用いることにより、酸変性熱可塑性樹脂の添加量を抑制しつつ高い添加効果を得ることができるからである。この酸価は、10〜80がより好ましく、15〜70が更に好ましく、20〜60が特に好ましい。尚、この酸価はJIS K0070によるものである。
更に、酸変性熱可塑性樹脂の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量において10,000〜200,000であることが好ましい。即ち、比較的分子量の小さい酸変性熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような酸変性熱可塑性樹脂を用いることにより、酸変性熱可塑性樹脂の添加による熱可塑性樹脂組成物全体への性状変化を抑制しつつ、高い添加効果を得ることができる。更に、この範囲の酸変性熱可塑性樹脂を用いることにより、更に優れた耐衝撃性を発揮させることができる熱可塑性樹脂組成物を得られる。この重量平均分子量は、15,000〜150,000がより好ましく、25,000〜120,000が更に好ましく、35,000〜100,000が特に好ましい。尚、この重量平均分子量はGPC法によるものである。
上記熱可塑性エラストマーとして、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる場合には特に、上記酸変性熱可塑性樹脂を構成するベース樹脂もポリオレフィンであることが好ましく、更には、ポリオレフィンのなかでも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、及びポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂(アロイ)が好ましく、とりわけポリプロピレンが好ましい。従って、この酸変性熱可塑性樹脂としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
上記酸変性熱可塑性樹脂を用いる場合、植物性材料、熱可塑性エラストマー及び酸変性熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に、酸変性熱可塑性樹脂は1〜10質量%を用いることが好ましい。この範囲では、熱可塑性樹脂組成物全体への性状変化を抑制しつつ、高い添加効果を得ることができる。この量は、更に、2〜9質量%がより好ましく、2〜8質量%が更に好ましく、2〜7質量%が特に好ましく、3〜7質量%がより特に好ましい。
従って、植物性材料と熱可塑性エラストマーと酸変性熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に、植物性材料は50〜89質量%、熱可塑性エラストマーが10〜49質量%、酸変性熱可塑性樹脂が1〜10質量%とすることができる。そして、植物性材料は51〜86質量%、熱可塑性エラストマーが12〜47質量%、酸変性熱可塑性樹脂が2〜9質量%とすることが好ましく、また、植物性材料は53〜84質量%、熱可塑性エラストマーが14〜45質量%、酸変性熱可塑性樹脂が2〜8質量%とすることがより好ましく、また、植物性材料は55〜82質量%、熱可塑性エラストマーが16〜43質量%、酸変性熱可塑性樹脂が2〜7質量%とすることが更に好ましく、また、植物性材料は55〜80質量%、熱可塑性エラストマーが17〜42質量%、酸変性熱可塑性樹脂が3〜7質量%とすることが特に好ましい。
また、本発明の製造方法における混合工程では、上記植物性材料及び上記熱可塑性エラストマーと共に、酸変性されていない熱可塑性樹脂(以下、単に「非酸変性熱可塑性樹脂」という)を混合することができる。非酸変性熱可塑性樹脂を用いることで、上記酸変性熱可塑性樹脂を用いた場合の効果には劣るものの、十分な大きさの撓み量を確保しながら、曲げ弾性率を適度に大きくできる。非酸変性熱可塑性樹脂は、植物性材料及び熱可塑性エラストマーと混合することができればよく、その混合順序は特に限定されないが、混合溶融装置を用いて、熱可塑性エラストマー及び非酸変性熱可塑性樹脂を溶融させながら植物性材料と混合することが好ましい。
上記非酸変性熱可塑性樹脂としては、上記酸変性熱可塑性樹脂においてベース樹脂として挙げた各種非酸変性熱可塑性樹脂を用いることができる。これらの非酸変性熱可塑性樹脂は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
非酸変性熱可塑性樹脂のなかでも、ポリオレフィンが好ましく、なかでも、エチレン・プロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂(アロイ)が好ましく、とりわけエチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
上記非酸変性熱可塑性樹脂を用いる場合、植物性材料、熱可塑性エラストマー及び非酸変性熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に、植物性材料は50〜89質量%、熱可塑性エラストマーが10〜49質量%、非酸変性熱可塑性樹脂が1〜10質量%とすることができる。そして、植物性材料は51〜86質量%、熱可塑性エラストマーが12〜47質量%、非酸変性熱可塑性樹脂が2〜9質量%とすることが好ましく、また、植物性材料は53〜84質量%、熱可塑性エラストマーが14〜45質量%、非酸変性熱可塑性樹脂が2〜8質量%とすることがより好ましく、また、植物性材料は55〜82質量%、熱可塑性エラストマーが16〜43質量%、非酸変性熱可塑性樹脂が2〜7質量%とすることが更に好ましく、また、植物性材料は55〜80質量%、熱可塑性エラストマーが17〜42質量%、非酸変性熱可塑性樹脂が3〜7質量%とすることが特に好ましい。
尚、上記酸変性熱可塑性樹脂と非酸変性熱可塑性樹脂とを併用することもできる。この場合には、植物性材料、熱可塑性エラストマー、酸変性熱可塑性樹脂及び非酸変性熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に、植物性材料を50〜89質量%、熱可塑性エラストマーを10〜49質量%、酸変性熱可塑性樹脂と非酸変性熱可塑性樹脂とを合計でが1〜10質量%とすることが好ましい。
上記「混合溶融装置」は、熱可塑性エラストマーと植物性材料とを混合溶融する装置であって、押出タイプのものを除いた装置である。この混合溶融装置の種類などは特に限定されないが特に下記混合溶融装置が好ましい。この混合溶融装置を用いた場合には、上記酸変性熱可塑性樹脂の配合、上記植物性繊維の配合、に加えて、更に高い流動性を得ることができる。
この混合溶融装置{以下、図3、図4(図4は、特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレット図1を引用)及び図5(図5は、特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレット図2を引用)参照}としては、国際公開04/076044号パンフレットに記載の混合溶融装置1が好ましい。即ち、混合溶融装置1は、材料供給室13と、該材料供給室13に連接された混合室3と、該材料供給室13と該混合室3とを貫通して回転自在に設けられた回転軸5と、該材料供給室13内の該回転軸5に配設され且つ該材料供給室13に供給された混合材料(植物性材料及び熱可塑性エラストマー)を該混合室3へ搬送するらせん状羽根12と、該混合室3内の該回転軸5に配設され且つ該混合材料を混合する混合羽根10a〜10fと、を備える混合溶融装置が好ましい。
上記混合溶融装置を用い、植物性材料及び熱可塑性エラストマーを混合溶融装置1(材料供給室13)へ投入し、混合溶融装置1の混合羽根10a〜10fを回転させることで、植物性材料及び熱可塑性エラストマーが共に、混合室3の内壁へ向かって押し付けるように打撃し且つ押し進められ、材料同士の衝突するエネルギー(熱量)により短時間で熱可塑性エラストマーが軟化され、更には溶融され、植物性材料と混合され、更には混練される。また、得られる混合物(ペレット化前の熱可塑性樹脂組成物)には射出成形が可能な優れた流動性が発現される。
上記混合羽根10a〜10fは、上記回転軸5の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向すると共に、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で該回転軸5に配設された少なくとも2枚の混合羽根(10a〜10f)によって構成され、該混合羽根10a〜10fの該回転軸5に対する取付け角は、該回転軸5に取り付けられる該混合羽根10a〜10fの根元部から半径方向外方の先端部まで同一であることが好ましく、更には、上記混合羽根10a〜10fが矩形板状をなすことが好ましい。
また、上記混合室は、該混合室を構成する壁に冷却媒体を循環させることができる混合室冷却手段を備えることがより更に好ましい。この構成により、混合室内の過度な温度上昇を抑制でき、熱可塑性エラストマーの分解及び熱劣化を抑制(更には防止)できる。
上記「混合」における各種条件は特に限定されないが、例えば、混合時の温度は特に限定されないが、混合室外壁の温度を200℃以下(より好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下)に制御することが好ましく、更には、50℃以上(より好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上)に制御することが好ましい。また、この温度は10分以内(より好ましくは5分以内)に到達させることが好ましい。短時間で高温にすることで急激に水分を蒸散させると共に上記混合を行うことができ、熱可塑性エラストマーの劣化をより効果的に抑制できる。更に、上記温度範囲とするのも15分以内(より好ましくは10分以内)とすることが好ましい。
また、上記温度の制御は、混合溶融装置の混合羽根の回転速度を制御することによって行うことが好ましい。より具体的には、混合羽根の先端の回転速度を5m/秒〜50m/秒となるように制御することが好ましい。この範囲に制御することで、効率よく熱可塑性エラストマーを軟化・溶融させつつ、植物性材料とより強力に(より均一に)混合することができる。
更に、この混合における終点は特に限定されないが、上記回転軸に負荷されるトルクの変化により決定できる。即ち、上記回転軸に負荷されるトルクを測定し、そのトルクが最大値となった後に混合を停止することが好ましい。これにより、植物性材料と熱可塑性エラストマーとを相互に分散性よく混合できる。更に上記トルクの最大値となった後にトルクが低下し始めてから混合を停止させることがより好ましい。特に最大トルクに対して40%以上(とりわけ好ましくは50〜80%)のトルク範囲で混合を停止することが特に好ましい。これにより、植物性材料と熱可塑性エラストマーとを相互により分散性よく混合できると共に、混合室内部から混合物(ペレット化前の熱可塑性樹脂組成物)を160℃以上の温度で取り出すことができ、混合室内に熱可塑性樹脂組成物が付着して残存されることをより確実に防止できる。
本発明の製造方法では、植物性材料、熱可塑性エラストマー及び酸変性熱可塑性樹脂以外にも他の成分を配合できる。他の成分としては、各種帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤等も配合できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これら他の成分は、どの工程で配合してもよいが、通常、上記混合工程で配合する。
上記「ペレット化工程」は、上記混合工程で得られた混合物を、押し固めてペレットを得る工程である(図3参照)。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その後、射出形成できるが、この際には、熱可塑性樹脂組成物がペレット化されている必要があるからである。
ペレット化は、どのように行ってもよい。即ち、例えば、上記混合溶融装置と、得られた熱可塑性樹脂組成物が除熱される前にペレット化(細分化)できるペレット化装置と、が一体的に設けられた装置を用いる場合には、混合とペレット化とを連続的に行ってペレットを得ることができる。また、上記のようなペレット化装置が併設されていない装置を用いる場合は、混合溶融装置からは、通常、塊状の熱可塑性樹脂組成物が得られるため、この塊状の熱可塑性樹脂組成物をペレット化することでペレットを得ることができる。
尚、塊状の熱可塑性樹脂組成物は、通常、ペレット化前に破砕を行う。破砕方法は特に限定されないが、従来公知の破砕機を用いて行うことができる。
上記後者の方法(混合溶融装置から塊状の熱可塑性樹脂組成物を得る場合)においては、混合工程の後に、混合工程で得られた混合物(ペレット化される前の熱可塑性樹脂組成物)を加熱せず押し固めてペレットを得るペレット化工程を備えることが好ましい(図3参照)。このように加熱せず押し固めてペレット化することで、例えば、混合工程で得られた熱可塑性樹脂組成物を再度溶融させて二軸押出し機等の一般的な方法を用いてペレット化を行う場合に比べて、熱可塑性樹脂組成物への熱履歴を低減できるために得られる成形体の機械的特性をより高く維持できる。
この加熱せず押し固めてペレット化するペレット化工程では、どのような装置及び手段を用いてもよいが、特に各種圧縮成形方法を用いることが好ましい。この圧縮成形方法としては、例えば、ローラー式成形方法及びエクストルーダ式成形方法などが挙げられる。ローラー式成形方法は、ローラー式成形機を用いる方法であり、ダイに接して回転されるローラーにより混合物がダイ内に圧入された後、ダイから押し出されて成形される。ローラー式成形機には、ダイの形状が異なるディスクダイ式(ローラーディスクダイ式成形機)とリングダイ式(ローラーリングダイ式成形機)が挙げられる。一方、エクストルーダ式成形方法は、エクストルーダ式成形機を用いる方法であり、スクリューオーガの回転により混合物がダイ内に圧入された後、ダイから押し出されて成形される。これらの圧縮成形方法のなかでは、特にローラーディスクダイ式成形方法を用いる方法が好ましい。この圧縮成形方法で用いられるローラーディスクダイ式成形機は圧縮効率が高く特に好適である。
更に、本方法では下記特定のローラーディスクダイ式成形機500(図3及び主要部を図6に例示)を用いてペレット化することが特に好ましい。即ち、複数の貫通孔511が穿設されたディスクダイ51と、該ディスクダイ51上で転動されて該貫通孔511内に非圧縮物(混合物)を押し込むプレスローラ52と、該プレスローラ52を駆動する主回転軸53と、を備え、上記ディスクダイ51は、上記貫通孔511と同方向に貫通された主回転軸挿通孔512を有し、上記主回転軸53は、上記主回転軸挿通孔512に挿通され且つ該主回転軸53に垂直に設けられたプレスローラ固定軸54を有し、上記プレスローラ52は、上記プレスローラ固定軸54に回転可能に軸支されて上記主回転軸53の回転に伴って上記ディスクダイ51表面で転動されるローラーディスクダイ式成形部50を有するローラーディスクダイ式成形機(ペレット化装置)500である。
このローラーディスクダイ式成形機500では、上記構成に加えて更に、上記プレスローラ52は表面に凹凸521を備えるものであることが好ましい。また、主回転軸53の回転に伴って回転される切断用ブレード55を備えることが好ましい。
上記ローラーディスクダイ式成形機500では、例えば、図6においては、主回転軸53の上方から投入された混合物をプレスローラ52が備える表面凹凸521が捉えて貫通孔511内に押し込み、ディスクダイ51の裏面側から押し出される。押し出された紐状の混合物は、切断用ブレード55により適宜の長さに切断されてペレット化され、下方に落下されて回収される。
ペレット化された熱可塑性樹脂組成物の形状及び大きさは特に限定されないが、柱状(その他の形状であってもよいが、円柱状が好ましい)であることが好ましい。また、その最大長さは1mm以上(通常20mm以下)とすることが好ましく、1〜10mmがより好ましく、2〜7mmが特に好ましい。
本方法では、上記混合工程及び上記ペレット工程以外に他の工程を備えることができる。他の工程としては、混合工程前に用いる植物性材料を押し固めて原料ペレットを調製する工程が挙げられる。
即ち、植物性材料を押し固めて原料ペレットを得る原料ペレット作製工程と、
混合溶融装置を用いて、ショアA硬度が50を越え且つ90以下である熱可塑性エラストマーを溶融させながら上記原料ペレットと混合する混合工程と、
上記混合工程で得られた混合物を、押し固めてペレットを得るペレット化工程と、をこの順に備える熱可塑性樹脂組成物の製造方法とすることができる。
この原料ペレット作製工程においても上記ペレット化工程と同様に上記ローラーディスクダイ式成形機500を用いることができる。
このように原料ペレット作製工程を備えることで、植物性材料と熱可塑性エラストマーとの間の比重差を小さくでき、作業性が向上され、混合の際の材料の偏在も抑制でき、植物性材料と熱可塑性エラストマーとが相互に均一に分散された熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。更に、得られる成形体は高い機械的強度を有する。
[2]熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記本発明の製造方法により得られたことを特徴とする。即ち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、植物性材料と熱可塑性エラストマーとを含有し、該植物性材料及び該熱可塑性エラストマーの合計を100質量%とした場合に、該植物性材料を50〜95質量%含有する熱可塑性樹脂組成物であって、混合溶融装置を用いて、ショアA硬度が50を越え且つ90以下である熱可塑性エラストマーを溶融させながら植物性材料と混合した後、得られた混合物を押し固めてペレットを得るペレット化してなることを特徴とする。この熱可塑性樹脂組成物における「植物性材料」、「熱可塑性エラストマー」、「混合溶融装置」等は前記各々の記載をそのまま適用できる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、前述の通り、上記植物性材料及び上記熱可塑性エラストマー以外にも酸変性熱可塑性樹脂を含有できる。その含有量及び好ましい範囲についても各々前述の通りである。但し、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂(酸変性されておらずエラストマーでもない熱可塑性樹脂)は実質的に含有されないことが好ましい。
[3]成形体の製造方法
本発明の成形体の製造方法は、前記本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法により得られた熱可塑性樹脂組成物(ペレット化された熱可塑性樹脂組成物)を射出成形して成形体を得る成形工程を備えることを特徴とする。
上記熱可塑性樹脂組成物は、植物性材料を多く含有しつつも、優れた流動性が発現される。このため、成形時の計量時間(射出成形機における計量時間等)、及び射出時間などを短縮できる結果、成形サイクルが短縮されて、成形効率を向上させることができる。射出成形における各種成形条件及び使用する装置等は特に限定されず、目的とする成形体及び性状、使用されている熱可塑性エラストマーの種類等により適宜のものとすることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる成形体の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この成形体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
[1]熱可塑性樹脂組成物の製造
(1)実験例1〜11(実験例3〜6及び10〜11)
下記に示す各植物性材料、熱可塑性エラストマー、酸変性熱可塑性樹脂及び非酸変性熱可塑性樹脂を、表1に示す組合せ及び配合量で用い、混合溶融装置1(株式会社エムアンドエフ・テクノロジー製、WO2004−076044号に示された器機)の材料供給室(図4の13)に投入(植物性材料と熱可塑性エラストマーとで合計700g)した後、混合室(容量5L、図4の3)内で混合した。この混合に際して混合羽根(図3の10及び図5の10a〜10f)は回転速度2000rpmで回転させた。そして、混合羽根にかかる負荷(トルク)が上昇し、最大値に達して(100%を超えて)6秒後を終点として混合を停止して、得られた混合物(ペレット化前の熱可塑性樹脂組成物)を混合溶融装置から排出した。
その後、得られた混合物を破砕機(株式会社ホーライ製、形式「Z10−420」)を用いて5.0mm程度に破砕した後、ローラーディスクダイ式成形機500{株式会社菊川鉄工所製、形式「KP280」、貫通孔径(図6の511)4.2mm}に、フィダー周波数20Hzで投入し、各混合物を直径約4mm且つ長さ約5mmの円柱状のペレットにした。その後、得られたペレットをオーブンにて100℃で24時間乾燥させて、実験例1〜6及び8〜11の熱可塑性樹脂組成物を得た。
Figure 2010001440
[植物性材料]
「ケナフコア」;粒径1.0mm以下のケナフコアの破砕物(ケナフコアを破砕後、目
開き1.0mm円孔板篩の篩下として選別)。
「ケナフ繊維」;平均繊維長3mmのケナフ繊維(ケナフ繊維の裁断物を篩選別後、J
IS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ
取り出し、伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し
、合計200本についての平均値)。
[熱可塑性エラストマー]
「E1/90A」 ;ショアA硬度90の熱可塑性エラストマー(三井化学株式会社製
、品名「ミラストマー 9070N」)
「E2/70A」 ;ショアA硬度70の熱可塑性エラストマー(三井化学株式会社製
、品名「ミラストマー 7030N」)
「E3/60A」 ;ショアA硬度60の熱可塑性エラストマー(三井化学株式会社製
、品名「ミラストマー 6030N」)
「E4/50A」 ;ショアA硬度50の熱可塑性エラストマー(三井化学株式会社製
、品名「ミラストマー 5030N」)
[酸変性熱可塑性樹脂]
「酸変性PP」;無水マレイン酸変性ポリプロピレン(酸変性熱可塑性樹脂、三洋化成
工業株式会社製、品名「ユーメックス #1001」、ベース樹脂が
ポリプロピレン、重量平均分子量が40,000、溶融粘度が16,
000mPa・s、酸価が26)。
[非酸変性熱可塑性樹脂]
「PP」 ;ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバティック
NBX03HRS」)
[2]成形体の製造
上記[1]で得られた実験例1〜6及び8〜11の各熱可塑性樹脂組成物を射出成形機(住友重機械工業株式会社製、形式「SE100DU」)に各々投入し、シリンダー温度190℃、型温度40℃の条件で、各種試験片(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)を成形した。
尚、実験例7では、熱可塑性エラストマー(E4/50A)と植物性材料とを十分に混合することができず、熱可塑性樹脂組成物を得ることができなかったために、成形体を得ることができなかった。
[3]成形体の評価
上記[2]で得られた実験例1〜6及び8〜11の成形体の曲げ弾性率及び撓み量を測定した。このうち曲げ弾性率については、各試験片を支点間距離(L)64mmとした2つの支点(曲率半径5mm)で支持しつつ、支点間中心に配置した作用点(曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重の負荷を行い測定した(JIS K7171に準拠)。また、上記曲げ弾性率の測定において得られたF−S曲線{荷重とストローク(撓み)}から読みとった各試験片の破断時のストローク量を撓み量とした。この結果は上記表1に併記した。更に、実験例1〜4で用いた熱可塑性エラストマーの硬度と撓み量及び曲げ弾性率との相関を図1に、実験例8〜11で用いた熱可塑性エラストマーと撓み量及び曲げ弾性率との相関を図2に、各々グラフとして示した。
[4]実施例の効果
表1、図1及び図2の結果より、ショアA硬度が50である熱可塑性エラストマーを用いた実験例7では、植物性材料と熱可塑性エラストマーとの混合を行うことができず、熱可塑性樹脂組成物を得ることができなかった。一方、ショアA硬度が90である熱可塑性エラストマーを用いた実験例2では、エラストマーではないポリプロピレンを用いた実験例1に比べて撓み量が1.6倍にしかならず、実験例8では1.2倍にしかならなかった。即ち、ショアA硬度90以上の熱可塑性エラストマーを用いた場合には、曲げ弾性率は下げることができるものの、撓み量を大きくすることはほとんどできず、得られる成形体は単に割れやすくなったに過ぎなかった。
これに対して、実験例3〜4及び実験例10〜11では、ショアA硬度が60又は70の熱可塑性エラストマーを用いており、先の実験例2、7及び9と配合量は同量であるにも関わらず、射出成形可能な熱可塑性樹脂組成物が得られると共に、得られた成形体は、実験例1に対してその撓み量が、実験例3では4倍、実験例4では5倍、及び、実験例8に対してその撓み量が、実験例10では2.6倍、実験例11では3.6倍、と顕著に向上させることができた。一方で、曲げ弾性率は適度に低下された。
その結果、得られた成形体においては、ポリプロピレン(非酸変性熱可塑性樹脂)と植物性材料とのみを混合した組成物(実験例1及び8)に比べて、飛躍的に大きな撓みを発揮させることができると共に、割れるときには過度な応力を蓄積することなく割れるという実用性に優れた熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得ることができた。
また、植物性材料のうち、ケナフコアとケナフ繊維とを比べた場合に、熱可塑性エラストマーを混合したことによる撓み量を大きくする作用はケナフコアにより効果的に現れることが分かる。
更に、実験例5及び6に示すように、酸変性熱可塑性樹脂又は非酸変性熱可塑性樹脂を熱可塑性エラストマーと併用することによって、実験例4と比較して十分な撓み量を維持しながら、曲げ弾性率を大きくすることができることが分かる。そして、曲げ弾性率は、実験例4対して実験例6は2.1倍であるのに対して、実験例5では2.4倍であり、非酸変性熱可塑性樹脂を用いるよりも、酸変性熱可塑性樹脂を用いることでより効果的に曲げ弾性率を大きくすることができることが分かる。
本発明の熱可塑性組成物及びその製造方法並びに成形体の製造方法は、自動車関連分野及び建築関連分野などにおいて広く利用される。特に自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等に好適であり、なかでも自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等に好適である。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材にも好適である。具体的には、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等としても好適である。
用いる熱可塑性エラストマーの硬度と撓み量及び曲げ弾性率との相関を示すグラフである。 用いる熱可塑性エラストマーの硬度と撓み量及び曲げ弾性率との相関を示すグラフである。 本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を説明する模式的な説明図である。 混合溶融装置の一例を示す模式的な断面図である。 混合溶融装置に配設された混合羽根の一例を示す模式的な側面図である。 ローラーディスクダイ式成形機の要部の一例を示す模式的な斜視図である。
符号の説明
1;混合溶融装置、3;混合室、5;回転軸、10及び10a〜10f;混合羽根、12;らせん状羽根、13;材料供給室、500;ローラーディスクダイ式成形機(ペレット化装置)、50;ローラーディスクダイ式成形部(ペレット化部)、51;ディスクダイ、511;貫通孔、512;主回転軸挿通孔、52;プレスローラ、521;凹凸部、53;主回転軸、54;プレスローラ固定軸、55;切断用ブレード。

Claims (8)

  1. 植物性材料と熱可塑性エラストマーとを含有し、該植物性材料及び該熱可塑性エラストマーの合計を100質量%とした場合に、該植物性材料を50〜95質量%含有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
    混合溶融装置を用いて、ショアA硬度が50を越え且つ90以下である熱可塑性エラストマーを溶融させながら植物性材料と混合する混合工程と、
    上記混合工程で得られた混合物を、押し固めてペレットを得るペレット化工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 上記熱可塑性エラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマーである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 上記植物性材料は、平均粒径が5.0mm以下のケナフコア粉末及び/又は平均繊維長が10mm以下のケナフ繊維である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 上記混合工程において、上記熱可塑性エラストマー及び上記植物性材料と共に、酸変性熱可塑性樹脂を混合する請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 上記酸変性熱可塑性樹脂は、酸変性ポリプロピレンであり、
    上記熱可塑性エラストマー、上記植物性材料及び上記酸変性ポリプロピレンの合計を100質量%とした場合に、上記酸変性ポリプロピレンは1〜10質量%である請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 上記混合溶融装置は、上記混合を行う混合室及び該混合室内に配置された混合羽根を備え、
    上記混合工程は、上記混合室中で上記混合羽根の回転により溶融された上記熱可塑性エラストマーと上記植物性材料とを混合する請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法により得られたことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法により得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
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