JP2010000774A - 積層板、プリプレグ、金属箔張積層板、回路基板及びled搭載用回路基板 - Google Patents

積層板、プリプレグ、金属箔張積層板、回路基板及びled搭載用回路基板 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性、耐熱性、ドリル耐摩耗性、及び難燃性に優れたコンポジット積層板を提供することを目的とする。
【解決手段】不織繊維基材1aに樹脂組成物1bを含浸させてなる芯材層1と、織繊維基材2aに樹脂組成物2bを含浸させてなり、芯材層1の両表面にそれぞれ積層された表材層2と、が積層一体化されたコンポジット積層板10であって、芯材層1に含浸された樹脂組成物1bが、ギブサイト型水酸化アルミニウム、ベーマイト型水酸化アルミニウム、及びアルミナを含む充填材を含有するコンポジット積層板を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器用の回路基板の分野において用いられる積層板、詳しくは放熱性に優れた積層板、その積層板を得るためのプリプレグ、及びその用途に関する。
電子機器用のプリント配線基板に用いられる代表的な積層板として、ガラスクロスにエポキシ樹脂等の樹脂成分を含浸させたプリプレグを積層成形して得られるFR−4と称されるタイプの積層板が広く用いられている。なお、FR−4の称呼は、アメリカのNEMA(National Electrical Manufactures Association)による規格による分類である。しかしながら、FR−4タイプの積層板は、打抜加工性やドリル加工性が悪いという欠点があった。このような欠点を解決しうるプリント配線板として、芯材層として、不織布に樹脂成分を含浸させた層が配置され、該芯材層の両表面にそれぞれ、表面層としてガラスクロスに樹脂成分を含浸させた層が積層されて構成される、CEM−3タイプと称されるコンポジット積層板が知られている。
例えば、下記特許文献1には、層間接着強度が高く、耐アルカリ性、耐熱性、打抜加工性に優れたコンポジット積層板として、不織布および/または紙に樹脂ワニスが含浸されてなる樹脂含浸材芯材の両面に、ガラス布に樹脂ワニスが含浸されてなる樹脂含浸表層材が貼着され、さらに金属箔が貼設されてなるコンポジット積層板において、芯材に用いられる樹脂ワニスが、タルクと水酸化アルミニウムを併せた充填剤を含有しており、タルクと水酸化アルミニウムとの配合比が0.15〜0.65:1であり、水酸化アルミニウムがベーマイト型であることを特徴とするコンポジット積層板が記載されている。
また、例えば、下記特許文献2には、熱的に安定で難燃性に優れたコンポジット積層板として、樹脂含浸ガラス織布からなる表面層および硬化性樹脂含浸ガラス不織布からなる中間層で構成されるプリント回路基板用積層材において、中間層が、中間層中の樹脂基準で200重量%〜275重量%の量の、分子式Al23・nH2O(式中、nは>2.6かつ<2.9の値を有する)水酸化アルミニウムを含有することを特徴とする積層材が記載されている。
特開昭62−173245号公報 特表2001−508002号公報
近年、電子機器の軽薄短小化の進展に伴い、プリント配線板に実装される電子部品の高密度実装化が進んでおり、また、実装される電子部品としては、放熱性が要求されるLED(Light Emitting Diode)等が複数実装されることもある。このような用途において用いられる基板としては、従来の積層板では、放熱性が不充分であるという問題があった。また、実装方法としては、リフローハンダが主流となっており、特に、環境負荷を軽減する目的から、高温のリフロー処理が必要とされる鉛フリー半田を用いたリフローハンダが主流となっている。このような、鉛フリーハンダを用いたリフローハンダ工程においては、ブリスタの発生等を抑制するために高い耐熱性が求められる。さらに、ドリル加工性を維持することも求められる。また、安全面からは、UL−94でV−0レベルを満たすような難燃性も求められる。
積層板に放熱性を付与するために、熱伝導性に優れた水酸化アルミニウムを配合した場合、積層板の放熱性は向上する。また、難燃性も向上する。しかしながら、水酸化アルミニウムを配合しすぎた場合、積層板の耐熱性が大幅に低下して、ハンダリフロー時にブリスタ等が発生しやすくなるという問題が生じた。また、水酸化アルミニウムに代えて、放熱性に優れたアルミナを配合した場合、ドリル加工時のドリル刃の摩耗が著しく、頻繁にドリル刃を交換しなければならないという問題や、難燃性が低下するという問題が生じた。また、ドリル刃の摩耗を抑制するためにアルミナの配合量を減量した場合には、熱伝導性が充分に得られないという問題が生じた。このように、高い熱伝導性、高い耐熱性、ドリル加工性及び高い難燃性の全てを満足させることは困難であった。
本発明者らは、このような問題を解決すべく、熱伝導性、耐熱性、ドリル加工性、及び難燃性に優れた積層板を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の一局面は、不織繊維基材に樹脂組成物を含浸させて得られた芯材層と、前記芯材層の両表面にそれぞれ積層された表材層と、が積層一体化された積層板であって、前記芯材層が織繊維基材に樹脂組成物を含浸させてなり、前記芯材層に含浸された樹脂組成物は熱硬化性樹脂100体積部に対して、無機充填材80〜150体積部含有し、前記無機充填材は、(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子、(B)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子、及び、(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有するアルミナ粒子を含有し、前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記ベーマイト粒子(B)と前記アルミナ粒子(C)との配合比(体積比)が、1:0.1〜1:0.1〜1である積層板に関する。このような積層板は、熱伝導性、耐熱性、ドリル加工性、及び難燃性に優れる。熱伝導性を高めるために、積層体にアルミナを配合した場合にはドリル加工性が著しく低下する。アルミナは高い硬度を有するためである。本発明においては、粒子径の極めて小さいアルミナを所定割合で配合することにより、ドリル加工性を低下させずに、耐熱性を著しく向上させたものである。さらに、アルミニウム化合物であるギブサイト型水酸化アルミニウム(Al(OH))は、熱伝導性、ドリル加工性、及び難燃性をバランスよく付与する成分である。ギブサイト型水酸化アルミニウムは、約200〜230℃程度で水を放出する特性を潜在的に有するために、特に難燃性を付与する効果が高い。しかしながら、配合割合が多すぎる場合には、ハンダリフロー時にブリスタ等を発生させる原因になる。一方、アルミニウム系化合物であるベーマイト(AlOOH)は、積層体に熱伝導性と耐熱性とを付与することに寄与する。ベーマイトは、約450〜500℃程度で水を放出する特性を潜在的に有するために、ギブサイト型水酸化アルミニウムよりも耐熱性に優れている。また、高温時における難燃性を発揮する。本発明においては、ギブサイト型水酸化アルミニウム、ベーマイト粒子、及び粒子径の小さいアルミナを上記所定割合で配合することにより、優れた熱伝導率、優れた耐熱性、優れたドリル加工性、及び難燃性を兼ね備えた積層体が得られる。このような積層板は、高い放熱性が要求される各種基板、特に、発熱量が多い複数のLEDが搭載されるようなLED搭載用基板に好ましく用いられうる。このような積層板からなるプリント配線板は、各種電子部品を表面実装する場合において、鉛フリーのリフローハンダ温度である260℃程度の温度においても、金属箔にブリスター等が発生しにくいものである。
また、前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(b1)が、2〜10μmの平均粒子径(D50)を有する第1のギブサイト型水酸化アルミニウムと、10〜15μmの平均粒子径(D50)を有する第2のギブサイト型水酸化アルミニウムとの配合物である場合には、無機充填材がより密に充填されることにより、熱伝導性が特に優れる積層板が得られる点から好ましい。
本発明によれば、熱伝導性、耐熱性、ドリル加工性、及び難燃性の全てに優れた積層板や回路基板が得られる。
本発明に係る一実施形態のコンポジット積層板10を図1を参照しながら説明する。
コンポジット積層板10は、芯材層1と、芯材層1の両表面に積層された表材層2とが積層一体化された層構成を有する。そして、その表層には、さらに金属箔3が積層されて金属箔張積層板を構成している。
芯材層1は不織繊維基材1aと充填材を含有する樹脂組成物1bから構成されており、表材層2は、織繊維基材2aと樹脂組成物2bから構成されている。
芯材層1はガラス不織布やガラス紙のような不織繊維基材1aに樹脂組成物1bを含浸させてなる。また、樹脂組成物1bは、熱硬化性樹脂に、2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)、2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子(B)、及び、1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有するアルミナ粒子(C)を含む無機充填材が、配合されてなる。
一方、表材層2は、ガラスクロスのような織繊維基材2aに樹脂組成物2bを含浸させてなる。
以下に、コンポジット積層板10の製造方法について詳しく説明する。
はじめに、芯材層1を形成するためのプリプレグ(以下、芯材層プリプレグとも呼ぶ)について説明する。
芯材層プリプレグは、ガラス不織布、ガラス紙、合成樹脂不織布、紙、等の不織繊維基材1aに、前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)、前記ベーマイト粒子(B)、及び、前記アルミナ粒子(C)を含む無機充填材を分散させた熱硬化性樹脂のワニスを含浸させることにより得られる。
不織繊維基材の種類は特に限定されないが、ガラス不織布やガラス紙、アラミド繊維,ポリエステル繊維,ナイロン繊維等の合成樹脂繊維を用いた合成樹脂不織布、紙等が挙げられる。このような不織繊維基材は織繊維基材に比べて粗であるために、コンポジット積層体のドリル加工性を向上させる。
芯材層プリプレグを形成するための熱硬化性の樹脂ワニスの具体例としては、例えば、エポキシ樹脂;不飽和ポリエステル樹脂,ビニルエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂;等の熱硬化性樹脂を含む樹脂ワニスが挙げられる。熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いる場合には、必要に応じて、硬化剤や硬化触媒を配合する。また、ラジカル重合型熱硬化性樹脂を用いる場合には、必要に応じて、スチレン、ジアリルフタレート等のラジカル重合性モノマー等を適宜配合しても良い。また、いずれにおいても、粘度調整のために、必要に応じて溶剤を配合してもよい。
芯材層1を構成する樹脂組成物1bに含有される無機充填材には、前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)、前記ベーマイト粒子(B)、及び、前記アルミナ粒子(C)を含む無機充填材が含有される。
前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)は、(Al(OH))または(Al23・3H2O)で表されるアルミニウム化合物であり、積層体に、熱伝導性、難燃性、ドリル加工性をバランスよく付与する成分である。
ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の平均粒子径(D50)は、2〜15μmであり、好ましくは3〜10μmである。ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の平均粒子径(D50)が15μmを超える場合にはドリル加工性が低下し、2μm未満の場合には、熱伝導性が低下するとともに、生産性が低下する。また、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)としては、平均粒子径(D50)が2〜10μmの第1のギブサイト型水酸化アルミニウムと、平均粒子径(D50)が10〜15μmの第2のギブサイト型水酸化アルミニウムとの配合物を用いることが、充填材がより密に充填されることにより、放熱性がさらに向上する点から好ましい。
なお、本明細書における平均粒子径(D50)はレーザ回折式粒度分布測定装置にて測定して得られる粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒子径を意味する。
前記ベーマイト粒子(B)は、(AlOOH)または(Al23・H2O)で表されるアルミニウム化合物であり、積層体の耐熱性を低下させずに熱伝導性と難燃性とを付与する成分である。
ベーマイト粒子(B)の平均粒子径(D50)は、2〜15μmであり、好ましくは3〜10μmである。ベーマイト粒子(B)の平均粒子径(D50)が15μmを超える場合にはドリル加工性が低下し、2μm未満の場合には、熱伝導性が低下するとともに、生産性が低下する。
前記アルミナ粒子(C)は、得られる積層板に高い熱伝導率を付与する成分である。アルミナ粒子(C)の平均粒子径(D50)は1.5μm以下であり、好ましくは0.4〜0.8μmである。アルミナ粒子の粒子径が1.5μmを超える場合には、芯材層1を形成するプリプレグに充分な配合量で充填しにくくなり、また、ドリル加工性も低下する。また、アルミナの粒子径が小さすぎる場合には、積層体の熱伝導率が不充分になるとともに、生産性が低下する。
前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)、前記ベーマイト粒子(B)、及び、前記アルミナ粒子(C)の配合比(体積比)は、1:0.1〜1:0.1〜1であり、好ましくは、1:0.1〜0.5:0.1〜0.5である。ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の配合量1に対して、ベーマイト粒子(B)の配合量が1を超える場合には、ドリル加工性が低下し、0.1未満の場合には、耐熱性が低下する。また、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)の配合量1に対して、アルミナ粒子(C)の配合量が1を超える場合には、ドリル加工性が低下し、0.1未満の場合には、熱伝導率が低下する。
また、無機充填材としては、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の無機粒子を配合してもよい。その他の無機粒子の具体例としては、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物または金属水酸化物;窒化アルミニウム;結晶性シリカ、タルク、クレー、マイカ、及びワラストナイト等の熱伝導性に優れた無機粒子が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような、その他の無機粒子の配合割合としては、無機充填材全量中50体積%以下、さらには30体積%以下、とくには20体積%以下であることが好ましい。
熱硬化性樹脂100体積部に対する無機充填材の配合割合は、80〜150体積部であり、好ましくは、100〜140体積部である。無機充填材の配合割合が80体積部未満の場合には、積層体の熱伝導率が低くなり、150体積部を超える場合には、ドリル加工性が低下するとともに、積層体の製造性(樹脂含浸性、成形性)も低下する。
次に、表材層2を形成するためのプリプレグ(以下、表材層プリプレグとも呼ぶ)について説明する。
表材層プリプレグは、ガラスクロス(織布)や、アラミド繊維,ポリエステル繊維,ナイロン繊維等の合成繊維を用いた合成繊維クロス(織布)のような織繊維基材2aに、樹脂ワニスを含浸させることにより得られる。このように、表材層に織繊維基材を用いることにより、得られるコンポジット積層板の寸法安定性や耐熱性を向上させることができる。
表材層プリプレグを形成するための樹脂ワニスとしては、芯材層プリプレグの製造に用いるのと同様の、エポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂,ビニルエステル樹脂等のラジカル重合型の熱硬化性樹脂を樹脂成分とする樹脂ワニスが用いられうる。なお、表材層プリプレグを形成するための樹脂ワニスにも、芯材層プリプレグを形成するための樹脂ワニスと同様に、必要に応じて、各種反応開始剤や硬化剤、充填材を適宜配合してもよい。
そして、芯材層プリプレグの両表面それぞれに表材層プリプレグを積層し、さらに、その該表面に金属箔3を積層し、この積層体を積層成形することにより、金属箔が張られたコンポジット積層板10が得られる。なお、芯材層プリプレグ及び表材層プリプレグはそれぞれ1層のみであっても、複数層、具体的には1〜3層重ねたようなものであってもよく、目的に応じて適宜調整される。
金属箔としては、特には限定されないが、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔等が用いられうる。また、金属箔は両表面に配しても、片面のみに配してもよい。なお、金属箔を配さない面には、金属箔に代えて離形フィルムを配置して積層体を加熱加圧成形してもよい。
そして、このようにして形成されたコンポジット積層板10に対して、アディティブ法やサブトラクティブ法等による公知の配線加工処理やスルーホール加工を施すことによりプリント配線板が得られる。
このとき、本実施形態のコンポジット積層板10においては、芯材層1を構成する樹脂組成物中に、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)を配合し、また、平均粒子径が小さなアルミナ粒子(C)を所定量配合しているために、積層板のドリル加工時のドリル刃の摩耗を抑制することができる。そのために、ドリルを長寿命化させることができる。また、スルーホール形成のためにドリル加工を適用しても、形成される孔の内面には凹凸が形成されにくく、この孔の内面を平滑に形成することもできる。このために孔の内面にホールメッキを施してスルーホールを形成した場合にこのスルーホールに高い導通信頼性を付与することもできる。また、熱伝導性に優れたアルミナ粒子(C)を配合することにより、積層板の熱伝導性を著しく向上させることができる。なお、小さい粒子径のアルミナ粒子(C)を配合するために、積層板のドリル加工性を著しく低下させることがない。また、前記ベーマイト粒子(B)を配合することにより、耐熱性及びドリル加工性を著しく低下させることなく、熱伝導性を付与することができる。
本実施形態の熱伝導性及びドリル加工性に優れたコンポジット積層板は、液晶ディスプレイに搭載されるようなLEDバックライトユニットのプリント配線基板や、LED照明のプリント配線基板等のような、高い放熱性が要求される用途に好ましく用いられる。
具体的には、LEDの用途の一つとして、図2の模式上面図として示したような、液晶ディスプレイに搭載されるようなLEDバックライトユニット20が挙げられる。図2におけるLEDバックライトユニット20は、プリント配線基板21に複数(図2では3個)のLED22が実装されたLEDモジュール23を多数配列して構成されており、液晶パネルの背面に配設することにより、液晶ディスプレイ等のバックライトとして用いられる。従来から広く普及しているタイプの液晶ディスプレイには、液晶ディスプレイのバックライトとして冷陰極管(CCFL)方式のバックライトが広く用いられてきたが、近年、冷陰極管方式のバックライトに比べて色域を広げることができるために画質を向上させることができ、また、水銀を用いていない点から環境負荷が小さく、さらに薄型化も可能であるという利点から、上記のようなLEDバックライトユニットが活発に開発されている。
LEDモジュールは、一般的に、冷陰極管に比べて消費電力が大きく、そのために発熱量が多い。このような高い放熱性が要求されるようなプリント配線基板21として、本発明のコンポジット積層板を用いることにより、放熱の問題が大幅に改善される。したがって、LEDの発光効率を向上させることができる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
〈積層体の製造〉
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とジシアンジアミド(Dicy)系硬化剤とを含有する熱硬化性樹脂ワニスの熱硬化性樹脂分100体積部に対して、ギブサイト型水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、D50:5.4μm)35体積部、ギブサイト型水酸化アルミニウム(住友化学(株)製、D50:12.6μm)35体積部、ベーマイト(D50:5.5μm)15体積部、及びアルミナ(住友化学(株)製、D50:0.76μm)15体積部を配合し、均一に分散させた。充填材が配合された樹脂ワニスを、目付け60g/m、厚み400μmのガラス不織布(バイリーン(株)製のガラス不織布)に含浸させ芯材層プリプレグを得た。
一方、目付け200g/m、厚み180μmのガラスクロス(織布)(日東紡(株)製の7628)に、硬化剤含有エポキシ樹脂ワニスを充填材を配合せずに含浸させることにより、表材層プリプレグを得た。
そして、芯材層プリプレグを2枚重ね、その両外表面それぞれに、表材層プリプレグ1枚と厚み0.018mmの銅箔を順に載せて積層体を得た。この積層体を2枚の金属プレート間に挟み、温度180℃、圧力30kg/mの条件で加熱成型することにより、
厚み1.0mmの銅箔張コンポジット積層板を得た。
得られた銅箔張コンポジット積層板を以下の評価方法に従い、熱伝導率、220℃オーブン耐熱性試験、260℃ハンダ耐熱試験、プレッシャークッカー試験(PCT)、ドリル磨耗率、及び難燃性を評価した。その結果を下記表1に示す。なお、下記表1及び表2において、各実施例及び各比較例における括弧中に示した値は、ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子1体積部に対するベーマイト粒子又はアルミナ粒子の配合比を表す。
[熱伝導率]
得られた銅箔張コンポジット積層板の密度を水中置換法により測定し、また、比熱をDSC(示差走査熱量測定)により測定し、さらに、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定した。
そして、熱伝導率を以下の式から算出した。
熱伝導率(W/m・K)=密度(kg/m3)×比熱(kJ/kg・K)×熱拡散率(m2/S)×1000
[220℃オーブン耐熱試験]
得られた銅箔張コンポジット積層板を用いて、JIS C 6481に準じて作製した試験片を220℃にで設定した空気循環装置付き恒温槽中で一時間処理したときに、銅箔および積層板にふくれ及びはがれが生じなかったときを「優」、ふくれまたははがれが生じたときを「劣」と判定した。
[260℃ハンダ耐熱試験]
得られた銅箔張コンポジット積層板を用いて、JIS C 6481に準じて作製した試験片を260℃のハンダ浴に浸漬したときに、銅箔および積層板にふくれまたははがれが生じなかったときの最大時間を特定した。
[プレッシャークッカー試験(PCT)]
得られた銅箔張コンポジット積層板を用いて、JIS C 6481に準じて作製した試験片を、121℃、2気圧のオートクレーブ中で60分間処理した。そして、処理された積層板を、260℃のはんだ槽にディッピングしたときに、銅箔および積層板にふくれまたははがれが生じなかったときの最大時間を特定した。
[ドリル磨耗率]
得られた積層体を3枚重ね、ドリル(ドリル径0.5mm、振れ角35°)にて60000回転/minで孔を3000個穿設した後のドリルの刃の摩耗率を、ドリル加工前のドリル刃の大きさ(面積)に対するドリル加工により摩耗したドリル刃の(面積)の割合(百分率)により評価した。
[難燃性]
得られた銅箔張コンポジット積層板を所定の大きさに切り出し、UL 94の燃焼試験法に準じて燃焼試験を行い、判定した。
(実施例2〜7、及び比較例1〜14)
芯材層プリプレグの製造において、樹脂組成物の組成を表1または表2のように変更した以外は実施例1と同様にして積層体を得、評価した。結果を表1及び表2に示す。
なお、実施例4及び実施例6では、平均粒子径(D50)6.5μmのタルク(富士タルク工業(株)製の)、比較例8では、平均粒子径(D50)0.76μmのアルミナ(住友化学(株)製)を用いた。
Figure 2010000774
Figure 2010000774
表1及び表2に示された結果から、本発明に係る実施例1〜7の銅箔張コンポジット積層板は何れも0.97W/m・K以上の高い熱伝導性を有し、耐熱性、ドリル耐摩耗性、難燃性の何れもが高いものであった。一方、一般的な粒子径のアルミナを用いた比較例8の銅箔張コンポジット積層板は、微細な粒子径のアルミナを用いた実施例1の銅箔張コンポジット積層板と比較して、ドリル耐摩耗性が非常に悪かった。また、実施例2と比較例4とを比較すると、アルミナを配合しなければ充分な熱伝導率が得られないことが分かる。また、ギブサイト型水酸化アルミニウムを配合しなかった比較例10及び比較例11では難燃性がV−1レベルであった。また、無機充填材の合計量がエポキシ樹脂100質量部に対して70質量部である比較例12においては、熱伝導率が著しく低かった。また、ベーマイトを含有しない比較例2、3、6、7、14はオーブン耐熱性及びハンダ耐熱性が低かった。
本発明の一実施形態に係るコンポジット積層板の模式断面図。 LEDバックライトユニットの模式構成図。
符号の説明
1 芯材層
2 表材層
3 金属箔
10 コンポジット積層板
20 LEDバックライトユニット
21 プリント配線基板
22 LED
23 LEDモジュール

Claims (6)

  1. 不織繊維基材に樹脂組成物を含浸させて得られた芯材層と、前記芯材層の両表面にそれぞれ積層された表材層と、が積層一体化された積層板であって、
    前記芯材層が織繊維基材に樹脂組成物を含浸させてなり、
    前記芯材層に含浸された樹脂組成物は熱硬化性樹脂100体積部に対して、無機充填材80〜150体積部含有し、
    前記無機充填材は、(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子、(B)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子、及び、(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有するアルミナ粒子を含有し、
    前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記ベーマイト粒子(B)と前記アルミナ粒子(C)との配合比(体積比)が、1:0.1〜1:0.1〜1であることを特徴とする積層板。
  2. 前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)が、2〜10μmの平均粒子径(D50)を有する第1のギブサイト型水酸化アルミニウムと、10〜15μmの平均粒子径(D50)を有する第2のギブサイト型水酸化アルミニウムとの配合物である請求項1に記載の積層板。
  3. 請求項1または2に記載の積層板の少なくとも一表面に、金属箔が張られてなることを特徴とする金属箔張積層板。
  4. 請求項3に記載された金属箔張積層板に回路形成して得られることを特徴とする回路基板。
  5. 請求項4に記載された回路基板からなるLED搭載用回路基板。
  6. 織繊維基材に樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグであり、
    前記樹脂組成物は熱硬化性樹脂100体積部に対して、無機充填材80〜150体積部含有し、
    前記無機充填材は、(A)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するギブサイト型水酸化アルミニウム粒子、(B)2〜15μmの平均粒子径(D50)を有するベーマイト粒子、及び、(C)1.5μm以下の平均粒子径(D50)を有するアルミナ粒子を含有し、
    前記ギブサイト型水酸化アルミニウム粒子(A)と前記ベーマイト粒子(B)と前記アルミナ粒子(C)との配合比(体積比)が、1:0.1〜1:0.1〜1であることを特徴とするプリプレグ。
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