図1は、本発明の一実施形態におけるリソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば紫外線またはEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILを備える。サポート(例えば、マスクテーブル)MTは、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置付けるように構成された第1ポジショナPMに連結されている。基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTは、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置付けるように構成された第2ポジショナPWに連結されている。投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSは、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている。
照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、かつ/または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
サポートは、パターニングデバイスの重量を支えるなどしてパターニングデバイスを支持する。サポートは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポートは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポートは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポートは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レゼンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば透過型マスクを採用しているもの)であってもよい。
リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるための技術においてよく知られている。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射を受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
放射ビームBは、サポート(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリからマスクを機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
1. ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度に(すなわち、単一静止露光)ターゲット部分C上に投影する。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静止露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
2. スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズよって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
3. 別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
本発明の一実施形態では、放射システムは、放射スペースの物質内に放電を起こすように構成されたアノードとカソードを有する放射源を含む。電磁放射、特にEUV放射を生成するようにプラズマが放電空間内に形成される。放射システムは、例えばレーザビームなどのエネルギビームによって、放電空間に近接する表面上の領域を照射することにより、放電を開始するトリガデバイスを含む。
図2A〜2Eは、レーザ光線38を使ったピンチトリガリング(pinch triggering)の一般的な原理を説明するために使用する。これらの図面は、電気的に離隔されたアノード20およびカソード10を含む放射源の断面を示す。アセンブリは実質的に密閉されており、例えばキセノンやリチウムのようなガスまたは蒸気が、放電材料源(図示なし)から低圧力で供給される。アノード20とカソード10は、放電電源(図示なし)に接続されている。放電フィールド線(discharge field line)45も、図示されている。ピンチの形成は、適切なレーザ光ビーム38(例えば、波長:254〜1060nm、出力:1〜100nsで10〜100W、直径:0.1〜1mm)を使用して誘発され得る。
図2Aに示すように、放射電源(図示なし)および放射材料源(図示なし)を使い、放射源は、ピンチが形成される寸前の状態にされる。
例えば、アノード20はグランドに接続され、カソード10は100Hzで11kVの交流電圧に接続され、キセノンは5〜50sccm(Standard Cubic Centimeters per Minute:標準立方センチメートル毎分)の速度で供給される。放電電源(図示なし)のサイクルにおける所定の瞬間に、レーザ光ビーム38は、例えばアノード20の表面上の所定の領域21に発射され得る(例えば、図2Bを参照)。レーザ光ビーム38により、領域37が加熱され、図2Cに示すように、材料35のいくらかがアノード20の表面から蒸発されることになる(アブレーション)。放出された材料35は、放電領域に入り、ピンチ効果を誘発し(図2D参照)、高温プラズマを含む収縮(ピンチ)50を引き起こす(図2E参照)。このプラズマは、断面が小さいために高い抵抗を有し、放電の電気エネルギをプラズマの熱エネルギに効率的に変換し、最終的に放電軸22に沿った放出放射60へと変換する。しばらく経過した後、ピンチは消失し、放射源は拡散放電の状態に戻ることになる(図2A参照)。
電蝕により、電極の変形、および/または、放電材料の供給速度の変動、放電の空間的位置の不確実性が生じる。結果として、放電軸22はわずかに変動し、これは、リソグラフィ装置における不精密な露光の原因となり得る。これらの放電軸22の変動を補正するために、一実施形態によると、トリガデバイスは、少なくとも1つの入力信号に応じて、領域21の位置を制御するように構成される。本発明は、プラズマの放電軸22の方向が、レーザビーム38が誘導される領域21の特定の位置により決定される、という見識に基づいている。
図3は、トリガデバイスが、エネルギビーム38を生成するように構成されたエネルギビーム源30を含む、一実施形態を示す。このトリガデバイスは、エネルギビーム38を領域21へ反射するように構成されるミラー32をさらに含む。アクチュエータ34は、少なくとも1つの入力信号に応じて、ミラー32の位置を制御するように構成される。この入力信号は、以下で詳細に説明するが、リソグラフィ装置内に構成される(図3には図示しない)センサにより提供され得る。さらに、トリガデバイスは、入力信号を受け、かつ、この入力信号をアクチュエータ34の制御信号に変換するように構成されるプロセッサ36を含んでもよい(図3参照)。
アクチュエータ34は、アノード20上でレーザビーム38が当たる領域21の位置が変更するように、1つ以上の方向にミラー32を傾け得る、または、上昇/下降させ得る。アノード20の領域の代わりに、カソード10上の領域あるいは放電空間内または放電空間付近の他の適切な表面が照射されてもよいことを理解されたい。
図4は、放射源がカソード41とアノード42を含み、このアノード42とカソード41がホイール状に形成されている実施形態を示す。放射源は、Snなどの液体金属を収容して使用する2つの液体槽43、44をさらに含む。カソード41とアノード42は、回転するように構成され、各槽43、44で湿らされるように位置決めおよび寸法決めされる。カソードおよびアノードを回転させることにより、カソード41とアノード42の表面は常に液体膜で覆われることになる。アノード41とカソード42は、放電電源(図示なし)に接続されている。
放射システムは、レーザビームをミラー32に向けて誘導するように構成されたレーザビーム源30を含み、このミラー32は、レーザビーム38をカソード41の表面へ再誘導するように構成される。ミラー32の位置は、アクチュエータ34により決定される。アクチュエータ34は、プロセッサ36からの制御信号を受信し得る(図3参照)。
カソード41とアノード42との間に電界を生成し、カソード41とアノード42との間の放電空間にガスを加えると、放電を生成することができる。放電空間内には、カソードホイールから分解された材料のみで、ガスは存在しないことが望ましい。例えばデブリ軽減システムにより存在するガスは、バッファガスのように作用し、放電の効率を低下させる。
この放電は、レーザビーム38によって誘発され得る。上述したように、放電空間に一時的なピンチ50が形成される(図4参照)。このピンチ50の正確な方向、形状および位置は、とりわけカソード41上のレーザビームの位置に依存する。カソード41上のレーザビーム38の位置の変化は、ピンチ50の配向および位置の(小さな)変化、つまり放電軸の方向の変化を引き起こす。図4では、カソード41とアノード42との間の距離d1の寸法が誇張されて示されている。実際は、これら2つのホイール41,42間の距離は2〜5mmであり、一方、これらのホイール41,42の直径は約5cmである。
カソード41(またはアノード42)の表面を照射することにより、この表面は局所的に加熱され、いくらかの材料がこの表面から蒸発することになる。このアブレーションにより、ピンチ50が生じる。槽43,44から液体金属が常にカソード41とアノード42に供給されるため、これらの電極の表面は、修復される。
一実施形態において、リソグラフィ装置は、放射源SOからの放射を受けるように構成された汚染バリア60を含む(図5参照)。このリソグラフィ装置は、汚染バリア60の下段に構成された第1センサ62をさらに含む。第1センサ62は、パワーセンサ62であってもよく、放射ビームの中に位置決めされる。第1センサ62は、パルス毎のエネルギ量またはパワーを測定し、プロセッサ36は、この値を使用し、第1センサ62が最大エネルギ値を測定するようにピンチの位置を変更する。センサ62が受けたパルス毎のエネルギ量を最適化することにより、汚染バリア60の透過率が最適化される。
図6Aは、リソグラフィ装置が、放射源SOからの放射を集光し、かつ再誘導するように構成されたコレクタCOを含む、他の実施形態を示す。この実施形態では、コレクタCOは、放射ビームの中間焦点IFを形成するように構成される(図6A参照。)中間焦点IFは、コレクタCOとイルミネータILとの間に位置する。IFにおいて、イルミネータILのダイアフラムまたは開口であるアパーチャ64が構成される。リソグラフィ装置は、イルミネータILの入口68付近に構成されるセンサ65およびミラー66をさらに含む。このセンサは、カメラ65であることが望ましい。ミラー66は、イルミネータILの直前に設けられ、カメラ65上に中間焦点の像を形成する。カメラ65はこの中間焦点IFの位置と形状を測定する。アパーチャ64に対して測定されたIFの位置は、放射源SOのレーザビーム位置を補正するために使用される。この測定構成は、オンラインでも使用可能であるため、露光中も使用することができる。他の実施形態では、アパーチャ64の直後であり中間焦点IF上に、中間焦点IFにおけるパワー(つまり、エネルギ量)を測定するよう構成されたパワーメータが構成される。
図6Bに示すさらに他の実施形態では、コレクタCOと中間焦点IFとの間に、差込み可能なフラットミラー67が構成される。このミラー67は、ビーム内に配置されると、パワーセンサ65’へのビームを逸らす。パワーセンサ65’は、所定の時間間隔にわたるビームのパワーまたはパルス毎のエネルギ量を測定し、測定されたパワー/エネルギを示す信号をプロセッサ36に送信する。本実施形態によると、プロセッサ36はパワーセンサ65’がパルス毎の最大エネルギ量を受信できるよう、ピンチの位置を変動するように構成されている。
なお、中間焦点IFをコレクタCOにより形成する代わりに、リソグラフィ装置の投影システム内の他の光学構成が中間焦点を形成しても良い。
図7は、基板テーブルWTであって、その内部または付近に構成されたセンサ70を有する基板テーブルWTの上面図を概略的に示す。図7は、基板テーブルWT上の放射ビームスリットの一例も示す。この投影スリットは、バナナ形をしており、幅Swを有する。センサ70は、このスリットがセンサ70を通過するときに放射を受ける。センサ70は、プロセッサ36に接続され、照明スリット74が通過する際に受けた光を積分して、測定シグナルをプロセッサ36へ送信するように構成される。基板テーブルWTは、スリット全体の、スリット積分均一度(slit integrated uniformity)を測定するように、照明スリットに対して移動させ得ることを理解されたい。この場合、スリット方向Xに沿った複数点における、スリット積分照度(slit integrated illumination)が測定され、計算されることになる。得られた曲線の全体が、プロセッサ36またはこの目的で構成された他のコンピュータにより処理される。その後、プロセッサ36は、このスリット積分均一曲線(slit integrated uniformity curve)におけるずれについて、トリガデバイスの放射点を補正するように、アクチュエータ34用の制御信号を生成する。
例えば、スリット均一度の測定された傾きは、レーザ位置を補正するようにプロセッサ36に入力され得る。
図8は、装置が、汚染バリア60と、上述したトリガデバイス用の入力信号を生成するべくこの汚染バリア60の温度を測定するように構成された温度センサ80と、を含む、さらに他の実施形態を示す。この温度センサは、汚染バリアの外側シェルに直接固定され得る。汚染バリア60上の取付け位置として他に考えられるのは、汚染バリア60のフレーム上または汚染バリア60の内側カップ上である。なお、複数の点で測定するために1つ以上の温度センサを設け、測定精度を向上させてもよい。
プロセッサ36は、汚染バリア60の温度を、放射源へのレーザビームの特定の位置へと変換するのに使用可能な数学的モデルを使用するように構成され得る。この数学的モデルは、例えば、試験フェーズにおいて、設計し、かつバイアスをかけることができる。異なるデューティサイクルで、かつ、汚染物質バリア60に対する異なる放射源位置において、汚染バリア60を露光することにより、入力されるパワー、デューティサイクル、および、放射源位置の関数として、汚染バリア60の温度を予測するモデルを作ることができる。1つの温度センサのみを使い、放射方向におけるピンチ位置のずれを測定することができる。x軸およびy軸のそれぞれに沿った2つのセンサを使用すれば、x変位とy変位との間で差異を生じさせることができる。
図9は、約10〜100μmの直径を有する、アパーチャのようなピンホールを含むスポットセンサ90が基板テーブルWT上に構成された、他の実施形態を示す。スポットセンサ90は、基板レベルでのテレセントリック性を測定するために使用することができる。このテレセントリック性は、2つの異なる方法で測定することができる。1つは、スポットセンサ90を使用し、基板レベルの異なるz位置において正方形イメージの位置を計測する方法である。図10は、3つの異なるz値(z1、z2、z3)における測定の例を示し、ここで、z1<z2<z3である。基板テーブルWTは、スポットセンサ90が3つの異なるz高さで像をスキャンするように移動される。例えば、単純な正方形を使用し、像を形成する。Z1、Z2、Z3における強度測定の結果としては、図10に示すようなものが考えられる。図10から読み取れるように、Z=Z3での強度プロフィールがZ=Z2での強度プロフィールよりも広ければ、ひいてはZ1での強度プロフィールよりも広い。これは、基板テーブルWT付近の特定の収束ビームの結果である。さらに、zが増加すると、強度プロフィールの中心が右方向へずれる(図10参照)。このずれは、テレセントリック性メジャーとして使用することができる。もしくは、同様の測定方法に従って、マーカを使用してもよい。マーカの変位から、テレセントリック性の値を導き出すことができる。マーカの位置は、変化し、シャープさは低下するが、これは結果には影響しない。
なお、上述した実施形態は組み合わせてもよく、異なるセンサ62、65、70、80、90は、ミラーのアクチュエータを制御するように構成された1つ以上のプロセッサに接続させることができる。領域21の位置を変更するためにミラーを使用する代わりに、プリズムや他の適切な光エレメントを使用することも可能である。
上述したシステムと装置を使用し、リソグラフィ装置の光学部品に対して放電放射源の放電軸を位置合わせする方法を実行することが可能となる。まず、アノードとカソードとの間の放電空間内の物質内に放電が生成され、電磁放射を生成するようにプラズマを形成する。その後、放電空間に近接した表面上の領域21をエネルギビームで照射することより、放電が誘発される。次に、リソグラフィ装置内の放射特性、および/または、リソグラフィ装置の汚染バリア60の温度に応じて、領域21の位置が制御される。照射される領域21の位置制御により、汚染バリア、照明システム、基板テーブル、および/または、投影システムPSなどの異なるリソグラフィモジュールに対し、より優れた放電軸の位置合わせを行うことが可能となる。
本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよいことが理解されるべきである。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。