JP2009543572A - ピノシルビンを生産するための代謝改変細胞 - Google Patents

ピノシルビンを生産するための代謝改変細胞 Download PDF

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Abstract

シンナモイル−CoAを生産し、且つ、そこからスチルベンシンターゼに作用によってピノシルビンを生産する操作的な代謝経路を有する遺伝子操作された微生物が、ピノシルビンの生産に使用される。該ケイヒ酸は、基質としてフェニルアラニンを受容し、且つ、そこからケイヒ酸を生産するL−フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)によりL−フェニルアラニンから形成することができる。好ましくは、PALが基質としてチロシンを受容し、そこからクマル酸を形成する場合、該PALに対するKm(フェニルアラニン)/Km(チロシン)の比は、1:1未満であり、該微生物が、シンナメート−4−ヒドロキシラーゼ酵素(C4H)を生産する場合、Kcat(PAL)/Kcat(C4H)の比は、少なくとも2:1である。
【選択図】図3

Description

本発明は、一般的に、ポリフェノールピノシルビンの生産に関する。さらに、本発明は、ピノシルビンを作る天然微生物又は組換え微生物の、食物、餌、及び飲料の生産のための使用に関する。
薬品の微生物からの生産は、バイオテクノロジーの重要な応用となっている。典型的には、そのようなバイオ生産法の開発の工程として、1)適当な微生物宿主の選択、2)副産物を導く代謝経路の排除、3)酵素活性レベルと転写レベルの両方で望ましい経路の調節解除、及び4)望ましい経路での適当な酵素の過剰発現が挙げられるだろう。好ましい態様において、本発明は、ピノシルビンの望ましい生合成のために必要な前駆体を供給する植物のフェニルプロパノイド経路の酵素により、フェニルアラニンからの炭素の流れを再指示する上記工程の組合せを使用している。
ピノシルビン(すなわち、ピノシルビン、又は3,5―ジヒドロキシ―トランス―スチルベン)は、感染又は他のストレスに関連する現象に応答して植物中に活動的な防御機構を構成する低分子量の二次的代謝産物であるスチルベンフィトアレキシン類の群に属するフィトフェノールである。スチルベンフィトアレキシン類はスチルベン骨格(トランス−1,2−ジフェニルエチレン)をそれらの共通する基本構造として含み、この構造は他の基の付加により補われてもよい(ハート及びシュリンプトン(Hart and Shrimpton)、1979年、ハート(Hart)、1981年)。スチルベン類は一定の木(被子植物、裸子植物)に発見されてきたが、一部の多年草(フトモモ科、ブドウ科及びマメ科の種)にも発見されている。該化合物は、有害生物、特に菌類、細菌及び昆虫への毒性がある。ほんのわずかな植物がスチルベン類を合成する能力があるか、又は有害生物に対して十分な耐性を植物に与える量でスチルベン類を生産する能力を有する。
調査された大部分の種の中でも小さい遺伝子ファミリーからなるスチルベンシンターゼによる基本的なスチルベン骨格の合成が探究されている(Kodan et al.2002年)。スチルベンシンターゼは、カルコンシンターゼから進化したと思われて、65%を超えるアミノ酸相同を共有するpolyketide synthase(PKS)スーパーファミリーに属する。細菌のPKSsとは違って、スチルベンシンターゼと、カルコンシンターゼは共に、比較的小さいホモダイマー(homodimers)を形成し、1つの活性部位でユニモジュラーのPKSsとして機能する(Tropf et al.1995年)。スチルベンシンターゼ、及びカルコンシンターゼは、共有の基質、すなわち、3つのマロニル−CoAと、1つのシンナモイル−CoA/p−coumaroyl−CoAを使用し、これらの生成物を類似する反応メカニズムで形成する(Kindl,1985年)。スチルベンシンターゼは、リスベラトロールシンターゼ(EC 2.3.1.95)などの基質として4−coumaroyl−CoAに最も高い活性を有する4−coumaroyl−CoA−の特別なタイプであるか、ピノシルニンシンターゼ(EC 2.3.1.146)などの基質としてシンナモイル−CoAに最も高い活性を有するシンナモイル−CoA−の特別なタイプのどちらかに分類される。リスベラトロールシンターゼをコードする遺伝子は、peanut(Arachis hypogaea)(Schoppner and Kindle,1984年;Schoder et al.1988年)、及びgrapevine(Vitis vinifera)(Melchior and Kindl,1991年;Wiese et al.1994年)の初期に記述されている。これに対して、ピノシルビンシンターゼをコードする遺伝子は、pine(Pinus sylvestris and−strobus)(Schanz et al.1992年;Raiber et al.1995年;Kodan et al.2002年;Hemingway et al.1977年)に大部分が記述されている。
ピノシルビンは、Pinus.sylvestris、Pinus.densiflora、Pinus.taeda、Pinus.strobes等のユーカリノキ、トウヒ、松の木の木材中に存在する。松の木の種において、構成要素のピノシルビンは、心材中に単独に存在する(Kindl、1985年)。しかしながら、その化合物は、傷カビの攻撃、或いは、UV放射、オゾン汚染などの環境ストレスへの応答として辺材、師部、針葉中で誘発される(Hart、1981年;Kindl、1985年;Richter and Wild、1992年;Lieutier et al.、1996年;Rosemann et al.、1991年)。その化合物は、糸状菌の幅広い種類に対して強力なアンチ真菌性の活性を所有する(Lindberg et al.,2004;,Pacher et al.,2002)。
ピノシルビン(図1:トランス形)は2個の密に結合したフェノール環からなるのでポリフェノール類に属する。多くの他のピノシルビンとは違って、ピノシルビンは、環B(図1)においてヒドロキシル基が不足し、マロニル−CoAの3分子を有する非置換されたシンナモイル−CoAの縮合に由来する。とは言うものの、ピノシルビンは、赤ワイン中で発見されるトリ−ヒドロキシスチルベンリスベラトロールに構造的に類似する(Aggarwal et al.2004年)。多くのデータから、リスベラトロールの健康便益が明らかになってきた。例えば、多くの癌細胞株に渡ってリスベラトロールの強力な制癌活性が明らかになってきた(Aggarwal et al.2004年)。リスベラトロールと構造の点で類似するため、ピノシルビンは、強力な健康便益をも所有することが期待されている。実際に、結腸直腸癌、肝臓癌を含む様々な癌におけるピノシルビンの効用が研究され、ピノシルビンの効用は、化学療法予防活性、及び制白血病性活性であることが指摘されてきた(Skinnider and Stoessl,1986年;Mellanen et al.,1996年;Roupe et al.2005年と2006年)。さらに、ピノシルビンは、例えリスベラトロールよりも、より少ない量であっても、制酸化体としての能力も有する(Stojanovic et al.2001年)。
現在、ピノシルビンは、松の木の樹皮から発現する様々なフラボノイドの混合物中から大部分が得られる。前記抽出物は、低い収率で労働集約的な過程である。好ましい態様において、本発明は、いままでになく、より効率的で、生成物の高い収率を提供する。
植物において、フェニルプロパノイド経路は、リグニン、サリチル酸塩、クマリン、ヒドロキシ、ケイヒアミド、顔料、フラボノイド、及びフィトアレキシンを含む多種多様な第二の代謝化合物の合成に関与する。実際に植物中のスチルベンの形成は、フェニルプロパノイド経路を通じて進行する。アミノ酸L−フェニルアラニンは、L−フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)による非酸化脱アミノ反応を経由して、トランス−ケイヒ酸に変換される(図2)。トランス−ケイヒ酸からの経路は、リスベラトロールを形成するルート、或いは、ピノシルビンを形成するルートに分岐させることができる。前者のルートにおいて、トランス−ケイヒ酸は、シンナメート−4−ヒドロキシラーゼ(C4H)、すなわち、チトクロームP450モノオキシゲナーゼ酵素によってNADPH:チトクロームP450還元酵素(CPR)と結合してパラ位で4−ケイヒ酸(4−ヒドロキシケイヒ酸)にヒドロキシル基が導入される。続いて、4−ケイヒ酸は、4−クマレート−CoAリガーゼ(4CL)の反応によって4−クマロイル−CoAへ活性化される。リスベラトロールシンターゼ(VST1)は、マロニルCoAをもつ4−クマレート−CoAのフェニルプロパン単位の凝縮を触媒することができ、リスベラトロールの形成体が得られる。
後者のルートにおいて、トランス−ケイヒ酸は、ピノシルビンシンターゼ(PST)は、続いて、マロニルCoAを有するシンナモイル−CoAのフェニルプロパン単位の凝縮を触媒する4CLの反応によって、直接的にシンナモイル−CoAへ活性化させることができる。
スチルベンシンターゼは、さまざまな生理的で、且つ、非生理的な基質を受容することができる予想以上に混乱した酵素である。例えば、さまざまなフェニルプロパノイドCoA始動エステルの添加によって、生体外で、さまざまな生成物が形成される(Ikuro et al.2004年;Morita et al.2001年)。同様に、シンナモイル−CoAが、クマロイル−CoAの代わりに基質として使用された場合、ダイオウ(rhubarb)(Rheum tartaricum)由来のリスベラトロールシンターゼが、少量のピノシルビンを確かに合成することがわかってきた。(Samappito et al.2003年)。
同様に、クマロイル−CoAリガーゼは、ケイヒ酸の触媒効率(Km/Kcat)はクマル酸と比較して100倍劣るが、基質としてクマル酸とケイヒ酸の両方とも受容することができる(Allina et al.1998;Ehlting et al.1999)。標準的なリスベラトロールシンターゼとして指定される場合でも、4CLとスチルベンシンターゼからなる経路においてピノシルビンを生成することができるであろうことを我々は、上記のことから推定した。
近年、酵母菌において、ブドウマスト中に少量発見されるクマル酸からリスベラトロールを生産することができるということが公開された(Becker et al.2003,ZA200408194)。S.セレヴィシエの実験用菌株において、外因性の4−クマル酸と付随するリスベラトロール由来の4−クマロイル−CoAの生産は、ブドウのつるのリスベラトロールシンターゼ遺伝子(VST1)と共に、雑種ポプラから、非相同のコエンザイム−Aリガーゼ遺伝子を再発現させることによって達成された。リスベラトロールシンターゼの他の基質であるマロニル−CoAは、酵母菌中にすでに内生的に生成され、新たな脂肪酸生合成に取り込まれる。研究は、S.セレヴィシエの細胞が、4−クマル酸で補われた合成媒体において培養されるとき、自由形成か、あるいはグルコース結合による形成かどちらかで、わずかな量のリスベラトロールを生成することができることを示した。
さまざまなリスベラトロールシンターゼが与えられると、ケイヒ酸の実質的な量が与えられるとき、前記酵母菌もピノシルビンを生産することができるだろう。しかしながら、そのような酵母菌の商業的応用は、可能なピノシルビンの生産量が少ないことによって、産業媒体において豊富には存在しないケイヒ酸を追加する必要性によって阻まれている。したがって、調合薬と栄養補助食品の両方としてピノシルビンの使用を促進し、広めるため、ケイヒ酸、又はシンナモイル−CoAなどのあらゆる下流のケイヒ酸誘導体を追加せず、グルコースから直接ピノシルビンを生産することができる酵母菌、或いは他の微生物を提供することが非常に求められる。
最近の研究(ロー及びダグラス(Ro and Douglas)、2004年)には、ポプラに由来するPAL、C4H及びCPRを導入することによる、S.セレヴィシエにおけるフェニルプロパノイド経路のエントリポイントの再構成が記載されている。この目的は、PALとC4Hを含む多酵素複合体(MEC)が、フェニルプロパノイド代謝へのエントリポイントにおいて機能的に重要かどうかを評価することにあった。組換え酵母に[3H]−フェニルアラニンを供給することにより、代謝された[3H]−フェニルアラニンの大多数が4−[3H]−クマル酸に取り込まれること、及びフェニルアラニン代謝はC4H活性を阻害することにより非常に減少することがわかった。さらに、PLAのみのエクスプレッサーが微小のフェニルアラニンをケイヒ酸に代謝した。[3H]−フェニルアラニンと[14C]−トランス−ケイヒ酸を同時にトリプルエクスプレッサーに供給した場合、内因的に合成された[3H]−トランス−ケイヒ酸の4−クマル酸へのチャネリングについていかなる証拠も見られなかった。したがって、PALとCH4により触媒される反応によりフェニルアラニンから4−クマル酸への効率的な炭素の流れは酵母におけるMECによるチャネリングを必要とするようには思えず、PALとC4Hの真の生化学的カップリングが炭素の流れをフェニルプロパノイド経路に引き込むのに十分であるように思える。さらに別の研究(Hwangら、2003年)において、大腸菌による植物特異的なフラバノン類の生産は多様な異種起源のフェニルプロパノイド経路の3遺伝子(酵母Rhodotorula rubraに由来するPAL、放線菌ストレプトミセス coelicolorに由来する4CL及び甘草植物Glycyrrhiza echinataに由来するカルコンシンターゼ(CHS))を含む人工的な遺伝子クラスターの発現により達成された。細菌の4CL酵素はコエンザイムAをトランス−ケイヒ酸と4−クマル酸の両方に連結させたので、これらの経路はC4Hをバイパスした。さらに、Rhodotorula rubra由来のPALはフェニルアラニンとチロシンの両方を基質として利用する。したがって、該遺伝子クラスターを含有し、かつグルコースで増殖した大腸菌細胞は、少量の2種類のフラバノン(フェニルアラニンからピノセムブリン(0.29g/l)及びチロシンからナリンゲニン(0.17g/l))を産生した。さらに、大量のそれらの前駆体である4−クマル酸とトランス−ケイヒ酸(それぞれ0.47及び1.23mg/リットル)が蓄積された。さらに、これらの化合物の収率はフェニルアラニンとチロシンの添加により増加させることができた。
また、ピノシルビンシンターゼの酵素特性は、大腸菌(Escherichia coil)に、先ず遺伝子をクローニングすることによって研究されてきたことが記載されている。例えば、Raiber et al.1995は、大腸菌中に相同発現後、調査されたマツ属(Pinus strobus)(Eastern white pine)由来のスチルベンについて報告している。このP.strobusについて、P.strobuscDNAライブラリーをPinus sylvestris由来のスチルベンシンターゼ(STS)プローブで選別した。STS遺伝子、STS1、STS2に密接に関連する2つの単離されたcDNAsは、タンパク質の点で相違する5つのアミノ酸が探し出された。遺伝子は、プラスミドについてクローン化され、大腸菌に発現され、細胞抽出物に酵素アッセイを行った。両方のタンパク質が、基質としてシンナモイル−CoAを受容するようにみえ、ピノシルビンシンターゼとして考察されたが、大きな違いが明らかになった。STSIは、STS2の活性の3〜5%だけ有し、pH最適条件は、より低い値にシフトされ(pH6)、それから、2番目の未知の生成物であるシンナモイル−CoAと合成した。部位を指示する突然変異生成は、STS1中の単一Arg−to−His交換が全ての差異に関与したことを明らかにした。その他の研究において、Pinus densiflora由来の3つのSTS cDNAs(PDSTS1、PDSTS2、及びPDSTS3)は、単離され、cDNAは、酵素の特性を特徴づけるために、大腸菌中に非相同的に発現された(Kodan et al.2002)。PDSTS3は、テストされたSTSsの中でも、最も高いピノシルビンを形成する活性を示すようにみえた。さらに、PCSTS3は、PCSTS1、及びPCSTS2とは違って、生産物阻害に対して無反応であった。
PDSTS3の独特な特徴は、フレームシフトによる突然変異によってもたらされたスチルベンシンターゼに通常共通するC−ターミナル伸長の欠如とみなすことができる。さらに、別の研究では、遺伝子のDNAライブラリーは、プローブとしてピノシルビンシンターゼcDNA pSP−54と選別された(Muller et al.1999)。サブ・クローニング後、4つの異なるメンバーは、配列によって特徴づけられた。遺伝子PST−1、PST−2、PST−3、及びPST−5に由来すると推定されるアミノ酸配列は、概して95%を超えて一致した。
プロモーター強度における違いは、タバコ原形質体(tobacco protoplasts)における一時的な発現によって分析された。使用された構築は、マツ属の遺伝子PST−1、PST−2、及びPST−3のプロモーターの制御下で、細菌−グルクロニダーゼを含有した。UV光、又は真菌エリシターを使った処理で、PST−1のプロモーターは、最も高い反応性を示し、且つ、維管束において組織特異性の発現を導いた。
そのデータは、マツにおいて、PST−1の遺伝子生産物は、苗木中のストレス反応と、心材中のピノシルビン形成体の両方に関与することを指し示す。
さらなる研究により、Scots pine (Pinus sylvestris)由来のクローン化されたスチルベンシンターゼは、ジハイドロピノシルビンシンターゼとして、初期発育不全に割り当てられたが、ピノシルビンシンターゼになることが示されることを明らかにした。
先の誤解は、基質選択における細菌因子の影響によって、及び大腸菌で発現された植物特有のタンパク質の活性によってもたらされた。発現システムの改良後、次の速度論分析は、フェニルプロピオニル−CoAよりもむしろシンナモイル−CoAの方が、クローン化されたスチルベンシンターゼの好ましい基質であることを明らかにした。さらに、P.sylvestris由来の抽出物は、基質選択に選択的に影響を与えた。例えば、活性はフェニルプロピオニル−CoAで低下したが、シンナモイルCoAでは低下しなかった。このことは、植物抽出物と、大腸菌で発現したクローン化された酵素との明らかな違い、自然界に起因する警告を説明し、新しいホストは、クローン化された配列の機能的同定を複雑にさせるだろう。
さらに、ベクター(vectors)には、微生物の形質転換、及びペストや損傷に対して改良された抵抗を与える植物について、リスベラトロールシンターゼ、及びピノシルビンシンターゼを記したものであるスチルベンシンターゼ遺伝子について開示されている(EP0309862、及びEP0464461)。
また、さらに、ベクター(vectors)には、マツ属(Pinus sylvestris)のピノシルビンシンターゼを水素化物化するDNA配列が記述され(US5391724)、また、前記ベクター(vectors)には、植物中の発現に使用されることについて記述されている(US5973230)。しかしながら、微生物中のピノシルビンの生成のために、スチルベンシンターゼと共に、PALと4CLを組み込むことは、記述されていない。微生物を生産するピノシブリンについてはどんなものにも記述されていない。
最近、糸状菌の麹菌(コウジカビ)が、植物中のナリンゲニン等のフラボノイド類の生合成に通常関与するカルコンシンターゼ(CHS)酵素を含むとの証拠が示された(Juvvadiら、2005年;Seshimeら、2005年)。実際、麹菌がフェニルプロパノイド−フラボノイド代謝に関与する主要な一組の遺伝子(すなわち、PAL、C4H及び4CL)を含むことも示した。しかし、麹菌がリスベラトロールシンターゼ等のスチルベンシンターゼを含むとの証拠はない。
我々の継続中の国際公開WO2006/089898号には、微生物、特に酵母菌を生産するリスベラトロールについて記述されている。
本発明は、ケイヒ酸からピノシルビンを生産する少なくとも1種類の酵素活性を含む操作的な代謝経路を有する微生物を提供する。好ましい微生物において、前記経路は、ケイヒ酸を生産し、そこからピノシルビンを生産する。特に、本発明は、ピノシルビンを生産する際のそのような微生物の使用を提供するものである。そのような微生物は自然に存在してよく、縮重PCR(degenerate PCR)、Southern blotting、及びin silico homology searches等の適切なスクリーニング手順により単離してもよく、さらに好ましくは遺伝子組み換えされている。
本発明は、そのような微生物からピノシルビンを生産し、随意に単離し或いは生産されたピノシルビンを精製する方法を含む。培養は、ケイヒ酸の外部源の実質的な非存在下で好ましく行われる。このことは、シンナモイル−CoA等のフェニルプロパノイド経路において、そこから形成されるケイヒ酸の誘導体の外部源の実質的な非存在を含む。
好ましくは、該ピノシルビン又は誘導体は、内在性のマロニル−CoAが基質である酵素により触媒される反応で作られ、好ましくは、該ピノシルビンはシンナモイル−CoAから生成される。
前記ピノシルビン又は誘導体は、シンナモイル−CoAから好ましく生成され、好ましくは、前記微生物中において、前記微生物に固有ではない前記酵素をコードする核酸から発現されるスチルベンシンターゼによって生成される。
ここでは一般的に、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、ピノシルビンへの言及は、そのオリゴマー誘導体かグリコシド結合誘導体への言及を含む。
ある好ましい実施態様において、前記スチルベンシンターゼは、ラッカセイ属(Arachis)に属する植物、例えば、A.glabatra、A.hypogaea、ダイオウ属(Rheum)に属する植物、例えば、R.tataricum、ヴィートス属(Vitus)に属する植物、例えば、V.labrusca、V.riparaia、V.vinifera、又は、マツ属(Pinus)、トウヒ属(Picea)、ユリ属(Lilium)、ユーカリノキ属(Eucalyptus)、ツタ属(Parthenocissus)、シッサス属(Cissus)、カロコルタス属(Calochortus)、タデ属(Polygonum)、グネツム属(Gnetum)、パンノキ属(Artocarpus)、ナンキョクブナ属(Nothofagus)、ナツメヤシ属(Phoenix)、ウシノケグサ属(Festuca)、スゲ属(Carex)、シュロソウ属(Veratrum)、ハカマカズラ属(Bauhinia)、又はPterolobium属のいずれか1種類に属する植物に由来するリスベラトロールシンターゼ(EC 2.3.1.95)である。
スチルベンシンターゼは、基質とする4−シンナモイル−CoAとの転写回転率よりも、基質とするシンナモイル−CoAとより高い転写回転率を有するものであってもよく、例えば、少なくとも1.5のファクター、又は少なくとも2のファクターを有するものであってもよい。さらに、好ましい実施態様として、前記スチルベンシンターゼは、ピノシルビンシンターゼであって、好適には、マツ属(Pinus)、ユーカリノキ属(Eucalyptus)、トウヒ属(Picea)又はマクルラ属(Maclura)の木の種属等に由来する。特に、スチルベンシンターゼは、P.sylvestris、P.strobes、P.densiflora、P.taedaを含むマツ属(Pinus)に属する植物、トウヒ属(Picea)に属する植物、又はユーカリノキ属(Eucalyptus)のいずれか1種類に属する植物に由来するピノシルビンシンターゼ(EC 2.3.1.146)であってもよい。
好ましくは、前記ケイヒ酸は、アンモニアが生成される酵素触媒反応でL−フェニルアラニンから作られ、好適には、該ケイヒ酸は、フェニルアラニンアンモニアによりL−フェニルアラニンから形成される。
ある好ましい実施態様において、該L−フェニルアラニンアンモニアリアーゼは、植物又は微生物に由来するL−フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(EC4.3.1.5)である。植物は、シロイヌナズナ属に属する植物、例えば、シロイヌナズナ、Brassica属に属する植物、例えば、B.napus、B.rapa、シトラス属に属する植物、例えば、C.reticulata、C.clementinus、C.リモン、Phaseolus属に属する植物、例えば、P.coccineus、P.ヴァリガリス、パイナス属に属する植物、例えば、P.banksiana、P.monticola、P.パイナスター、P.sylvestris、P.taeda、Populus属に属する植物、例えば、P.balsamifera、P.deltoides、P.Canadensis、P.kitakamiensis、P.tremuloides、ナス属に属する植物、例えば、S.tuberosum、プラナス属に属する植物、例えば、P.avium、P.persica、ヴィティス属に属する植物、例えば、ヴィティス ヴィニヘラ、ズィー属に属する植物、例えば、Z.メイス又は他の植物属、例えば、Agastache属、Ananas属、Asparagus属、Bromheadia属、Bambusa属、Beta属、Betula属、Cucumis属、カメリア属、Capsicum属、Cassia属、Catharanthus属、Cicer属、Citrullus属、Coffea属、Cucurbita属、Cynodon属、Daucus属、Dendrobium属、Dianthus属、Digitalis属、Dioscorea属、ユーカリ属、Gallus属、Ginkgo属、グリシン属、Hordeum属、Helianthus属、Ipomoea属、Lactuca属、リソスパーマム・オフィシナーレ属、ハス属、Lycopersicon属、Medicago属、マリュス属、Manihot属、Medicago属、マツバギク属、タバコ属、Olea属、オリザ属、Pisum属、Persea属、ペトロセリウム属、Phalaenopsis属、Phyllostachys属、Physcomitrella属、Picea属、Pyrus属、Quercus属、Raphanus属、Rehmannia属、キイチゴ属、Sorghum属、Sphenostylis属、Stellaria属、Stylosanthes属、コムギ属、Trifolium属、コムギ属、Vaccinium属、Vigna属、Zinnia属に属してよい。微生物は、Agaricus属に属する真菌類、例えば、A.bisporus、アスペルギルス属に属する真菌類、例えば、麹菌、A.nidulans、A.フミガーツス、Ustilago属に属する真菌類、例えば、U.maydis、ロドバクテリア属に属する細菌、例えば、R.capsulatus、Streptomyces属に属する細菌、例えば、S.maritimus、Photorhabdus属に属する細菌、例えば、P.luminescens、Rhodotorulaに属する酵母菌、例えば、R.rubraであってよい。
上述したように、ピノシルビンの生産について我々は、基質の予想以上に混乱したPALによるチロシン由来のケイヒ酸の生成か、C4H酵素によるケイヒ酸の変換によるチロシン由来のケイヒ酸の生成かどうかよりはむしろ、PAL酵素によるケイヒ酸の生成、及びピノシルビンへの変換を要求するので、本発明で利用する微生物は、好ましくは基質としてチロシン(クマル酸を生成する)以上にフェニルアラニン(ケイヒ酸を生成する)に有利に働くPALを有する。好ましくは、PALに対するKm(フェニルアラニン)/Km(チロシン)の比は、1:1よりも少なく、好ましくは1:5よりも少なく、例えば1:10よりも少ない。通常、Kmは、生成形成物の最大速度の半分を生産する基質(フェニルアラニン、又はチロシン)のモル濃度である。
C4Hの存在は、ピノシルビンの生産に役立たないが、ケイヒ酸を経てリスベラトロールの形成に関してピノシルビンの生産から離れてケイヒ酸の転換が過度でなければC4Hは禁止されるものではない。それゆえ、好ましくはC4H生産が、非存在であるか、或いは、Kcat(PAL)/Kcat(C4H)は、2よりも大きく、好ましくは4よりも大きくなるようにするかどちらかである。従来通り、それぞれのケースで、KcatはVmax/[酵素]である。ここで、[酵素]は、関連のある酵素の濃度である。
図解を通じて、シロイヌナズナ(A.thaliana)に対する標準的なKm値であるフェニルアラニンアンモニアリアーゼPAL2とその相同体PAL1は、基質としてフェニルアラニンを使う場合には約60μMのであり(Cochrane et al.2004)、基質としてチロシンを使う場合には1000μM以上である(Watts et al.2006)。シロイヌナズナ(A.thaliana)PAL2に対する触媒の代謝回転速度は、フェニルアラニンをケイヒ酸に変換する場合、192molケイヒ酸/mol酵素PAL2であるが(Cochrane et al, 2004)、Kcatは、チロシンのクマル酸への変換に対する分である。上記力学的特性をもつPALは、基質としてフェニルアラニンに対して特有であり、フェニルアラニン由来のケイヒ酸の形成を単独的に与え、検出できないレベルのチロシン由来のクマル酸を与える。
C4Hによって触媒されるヒドロキシラーゼ反応に対するチロシンの代謝回転速度は、固有の酵母菌CPR活性がその反応を支持する場合、25molesクマル酸生産物/mole酵素/分である(Urban et al.1994)。C4Hの活性は、NADPH効能によって制限され、また、C4Hの活性は、酵素チトクロームP450ヒドロキシラーゼ(CPR)が過剰に発現される場合には増大するだろう。該CPRが文献中で例示されているように、5〜20倍過剰発現する場合(Mizutani et al.1998、Urban et al.1994)、ケイヒ酸をクマル酸に変換するC4H反応に対する代謝回転速度は、それぞれ125moleクマル酸生産物/mole酵素/分、及び530moleクマル酸生産物/mole酵素/分に増大する。
合併型反応PAL−C4H−CPRの結果は、触媒のナンバーや各酵素の存在に依存するだろう。特に、C4Hに対する電子供給、NADPHを支持するCPRの量に依存するだろう。効率の良いPALは、約192molesケイヒ酸/mole PAL/分を与え、また、配列に続いてC4H酵素は、このケイヒ酸/mole C4H/分の約25molesを、固有のCPR活性をもつクマル酸に変換するだろう。それゆえ、合併型反応PAL−C4H−CPR由来の主要な生成物は、ケイヒ酸になるだろう(167molesケイヒ酸/mole PAL 酵素/分と、固有のCPR活性を有する25molesクマル酸/mole酵素固有のCPR活性を有するC4H/分)。
より高いCPR活性は、高いレベルで過剰発現した場合、C4H酵素のmoleあたりのより多くのC4Hに導き、最終的に純粋なクマル酸に導くだろう。ミズタニの論文(Mizutani et al.1998)で5倍だけ過剰発現したCPRは、125molesクマル酸/moleC4H/分をもたらし、唯一の67molesケイヒ酸は、1分あたりPALからもたらされるだろう。それゆえ、CPRは、純粋なクマル酸に対して約8倍(望ましくない)少なくとも過剰発現するに違いない。
さまざまなPALs/TALs、及びC4Hをもつ組換え或いは天然の微生物の場合、1つは細胞抽出物を準備することができ、見掛け上の触媒の代謝回転速度、及び見掛け上の酵素PAL、TAL、又はC4Hの合計(あるいは凝集された酵素)としてKm値を測定することができる。これらの評価された合計から、微生物は主にクマル酸あるいはケイヒ酸を生産する場合、特性を決定することができ、4CLとVSTが、この微生物中で発現すると、リスベラトロール又はピノシルビンを生産する結果となるだろう。代謝回転速度は、純粋酵素moles生産物/(mole純粋酵素/時間)を使う場合に代わって、moles生産物/(mole total protein/時間)と表わすことができる。従って、1:1未満のPALに対する好ましい比Km(フェニルアラニン)/Km(チロシン)は、1種より多いPALが存在する総計のPAL活性に適用することができ、2よりも大きいKcat(PAL)/Kcat(C4H)の好ましい比は、1より多いPAL及び/又はC4H活性が存在する場合は、PAL及び/又はC4H活性(CPRによって調節)の凝集体に適用することができる。
好ましくは、微生物は、外因性C4Hを有さず、例えば、遺伝的に修正されず、結果的にC4H酵素の発現を提供する。あらゆるC4Hの生産物は、該微生物に固有のものであってよい。随意に、外因性のC4Hのない微生物は、外因性のC4Hが欠けていてもよい。外因性のC4Hの欠如は、酵素はその代謝を必要としないので、遺伝子技術、或いは、遺伝子を封じる方法によって取り除かれた固有のC4Hの能力に起因するもの、又は、微生物は、通常C4H遺伝子を欠くであろう。
また、上述したように、CPRの存在は、ピノシルビンの生産やその過剰発現に役立たないが、禁止しないのは一般的に好ましくない。従って、微生物は、好ましくは、内因性のCPRを有さず、外因性のCPRを有さず、固有のPCRの過剰発現を有さず、或いは、固有のCPRの発現を減少させてもよい。
好適には、前記L−フェニルアラニンアンモニアリアーゼは、微生物に固有ではない前記酵素をコードする核酸に由来する前記微生物中に発現される。
好ましくは、シンナモイル−CoAは、ATPとCoAが基質であり、且つ、ADPが生成物である酵素によって触媒される反応で形成され、好適にはシンナモイル−CoAが4−クマレート−CoAリガーゼ(なお、4−クマロイル−CoAリガーゼともいう。)によって触媒される反応で形成される。公知の4−クマレート−CoAリガーゼ酵素は、基質として4−クマル酸かケイヒ酸のどちらかを受容し、対応するCoA誘導体を生成する。一般に、そのような酵素は、酵素が基質とする4−クマル酸とより高い活性を示すか、或いは、基質とするケイヒ酸とより高い活性を示すにしても、4−クマレート−CoAリガーゼとして知られている。
しかしながら、我々は、ここで、選好する基質を有する酵素を、シンナメート−CoAリガーゼ’酵素(あるいは、シンナモイル−CoAリガーゼ)とよぶ。そのような酵素の1つは、例えばAneko et al.2003に記述されている。
前記4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼは、植物、微生物、又は線虫に由来する4−クマレート−CoAリガーゼ/シンナメート−CoAリガーゼ(EC 6.2.1.12)であってもよい。植物は、モミ属(Abies)、例えばA.beshanzuensis、B.firma、B.holophylla、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)に属する植物、例えばA.thaliana、アブラナ属(Brassica)に属する植物、例えば、B.napus、B.rapa、B.oleracea、ミカン属(Citrus)に属する植物、例えばC.sinensis、カラマツ属(Larix)に属する植物,例えば、L.decidua、L.gmelinii、L.griffithiana、L.himalaica、L.kaempferi、L.laricina、L.mastersiana、L.occidentalis、L.potaninii、L.sibirica、L.speciosa、インゲンマメ属(Phaseolus)に属する植物、例えば、P.acutifolius、P.coccineus、マツ属(Pinus)に属する植物、例えばP.armandii、P.banksiana、P.pinaster、ハコヤナギ属(Populus)に属する植物、例えばP.balsamifera、P.tomentosa、P.tremuloides、ナス属(Solanum)に属する植物、例えばS.tuberosum、ヴィートス属(Vitus)、例えばVitus vinifera、トウモロコシ属(Zea)に属する植物、例えばZ.mays、或いは、アガスタケ属(Agastache)、アンフォラ属(Amorpha)、カタヤ属(Cathaya)、ヒマラヤスギ属(Cedrus)、クロッカス属(Crocus)、ウシノケグサ属(Festuca)、ダイズ属(Glycine)、クルミ属(Juglans)、シマモミ属(Keteleeria)、リソスペルマム属(Lithospermum)、ロリウム属(Lolium)、ハス属(Lotus)、トマト属(Lycopersicon)、リンゴ属(Malus)、ウマゴヤシ属(Medicago)、メセンブリアンテマム属(Mesembryanthemum)、タバコ属(Nicotiana)、ノトツガ属(Nothotsuga)、オリザ属(Oryza)、テンジクアオイ属(Pelargonium)、ペトロセリヌム属(Petroselinum)、センタイ属(Physcomitrella)、トウヒ属(Picea)、サクラ属(Prunus)、モミ属(Pseudolarix)、トガサワラ属(Pseudotsuga)、ローザ属(Rosa)、キイチゴ属(Rubus)、Ryza属、サトウキビ属(Saccharum)、マツナ属(Suaeda)、テルンギエラ属(Thellungiella)、コムギ属(Triticum)、又はツガ属(Tsuga)のいずれか1種類に属する植物であってもよい。
微生物は、アスペルギルス属(Aspergillus)に属する糸状菌、例えばA.flavus、A.nidulans、A.oryzae、A.fumigatus、アカパンカビ属(Neurospora)に属する糸状菌、例えばN.crassa、ヤロウイア属(Yarrowia)に属する真菌、例えばY.lipolytica、Mycosphaerella属に属する真菌、例えばM.graminicola、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)に属する細菌、例えばM.bovis、M.leprae、M.tuberculosis、ナイセリア属(Neisseria)に属する細菌、例えばN.meningitidis、ストレプトマイセス属(Streptomyces)に属する細菌、例えばS.coelicolor、ロドバクター属(Rhodobacter)に属する細菌、例えばR.capsulatus、アンシロストーマ属(Ancylostoma)に属する線虫、例えばA.ceylanicum、カエノルハブディティス属(Caenorhabditis)に属する線虫、例えばC.elegans、ヘモンクス属(Haemonchus)に属する線虫、例えばH.contorus、Lumbricus属に属する線虫、例えばL.rubellus、Meilodogyne属に属する線虫、例えばM.hapla、Strongyloidus属に属する線虫、例えばS.rattii、S.stercoralis、Pristionchus属に属する線虫、例えばP.pacificusであってもよい。
微生物は、天然に発生すると同時に、好ましくは前記代謝経路においてそれぞれの酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、組み換え的に前記微生物に導入された。
前記酵素をコードするコード配列を導入することに加えて又は代わりに、前記微生物において、前記コード配列と固有的ではなく関連するプロモーター配列などの1つ以上の発現シグナルを提供することができる。従って、随意に、L−フェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーは、前記微生物において前記遺伝子配列と固有的に関連しない発現シグナルに随意に連結される。
発現シグナルは、転写、RNA処理、安定性、関連したコード配列の翻訳に影響を与えるコード配列の上流(5’non−コード配列)、中流、下流(3’non−コード配列)に位置するヌクレオチド配列を含む。そのような配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、及びポリアデニル化認識を含む。
任意に、4−クマレートCoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、天然かどうかにかかわらず、該生物において該遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結される。
任意に、スチルベンゼンシンターゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、天然かどうかにかかわらず、該生物において該遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結される。
任意に、ピノシルビンシンターゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、天然かどうかにかかわらず、該生物において該遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結される。
ある態様において、本発明は、第1酵素により触媒され、かつその反応工程がアンモニアを作る反応により第1代謝産物が第2代謝産物に変換され、ATP及びCoAが基質であり、ADPが生成物である第2酵素により触媒される反応で該第2代謝産物が第3代謝物に変換され、内在性マロニル−CoAが基質である第3酵素により触媒される反応で第3代謝産物が第4代謝産物に変換される作動性代謝経路を有するさまざまに記述された代謝改変微生物を提供する。
上記微生物として、発現シグナルに作動可能に連結されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結された4−クマレートCoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結されたリスベラトロールシンターゼになるであろうスチルベンシンターゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有する微生物が挙げられる。
また、上述した微生物としては、発現シグナルに作動可能に連結されたチロシンアンモニアリアーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結された4−クマレートCoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結されたピノシルビンシンターゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有する微生物も挙げられる。
現在の文脈において、「微生物」は、細菌等の微生物、酵母等の微細菌に関する。
さらに具体的には、微生物は真菌であってよく、さらに具体的には、アスペルギルス属に属する糸状菌、例えば、黒色アスペルギルス、A.awamori、麹菌、A.nidulans、Saccharomyces属に属する酵母、例えば、S.セレヴィシエ、S.kluyveri、S.bayanus、S.exiguus、S.sevazzi、S.uvarum、Kluyveromyces属に属する酵母、例えば、K.lactis、K.marxianus var.marxianus、K.thermotolerans、カンジダ属に属する酵母、例えば、C.utilis、C.tropicalis、C.albicans、C.lipolytica、C.versatilis、ピチア属に属する酵母、例えば、P.stipidis、P.pastoris、P.sorbitophila、又は他の酵母属、例えば、クリプトコッカス属、Debaromyces属、Hansenula属、ピチア属、Yarrowia属、Zygosaccharomyces属又はシゾサッカロミセス属であってよい。他の微生物に関して、ペニシリウム属、クモノスカビ属、フサリウム属、Fusidium属、Gibberella属、ケカビ属、モルティエラ属、トリコデルマ属に属する種等の好適な糸状菌の非網羅的なリストが提供される。
細菌に関して、好適な細菌の非網羅的なリストは以下の通り与えられる:バシラス属に属する種、エシェリキア属に属する種、乳酸菌属に属する種、Lactococcus属に属する種、コリネバクテリア属に属する種、アセトバクター属に属する種、アシネトバクター属に属する種、シュードモナス属に属する種等。
本発明の好ましい微生物は、S.セレヴィシエ、黒色アスペルギルス、麹菌、大腸菌、乳酸連鎖球菌又は枯草菌であってよい。
構築され、改変された微生物は、ケモスタット培養、バッチ培養、流加バッチ培養等の一般に知られている方法を用いて培養することができる。
例えば、本発明は、微生物細胞を炭素基質にケイヒ酸の外部源の実質的な非存在下で接触させる工程を含むピノシルビンの製造方法であって、該細胞が該条件下でピノシルビンを作る能力を有し、該微生物が真菌及び細菌、特に酵母からなる群より選択することができる。
このようにして製造されたピノシルビンは、随意に単離、または精製されてもよく、最適な方法としては、n−ヘキサンを使った溶媒抽出後、100%エーテル、アセトン、メタノール、及び水を用いて順次抽出を徐々に行う方法、並びに、n−ヘキサン/エチルアセテート(2/1)システムを使ったシリカゲルカラムでのクロマトグラフィー精製が挙げられる(Suga et al.1993)。
前記炭素基質は、単糖類、小糖類及び多糖類、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、マンノース、スクロース、ラクトース、エリトロース、スレオース及び/又はリボースからなる発酵性炭素基質の群より任意に選択される。該炭素基質は、さらに又は代わりに、エタノール、アセテート、グリセロール及び/又はラクテート等の非発酵性炭素基質からなる群より選択してもよい。該非発酵性炭素基質は、さらに又は代わりに、アミノ酸からなる群より選択してよく、フェニルアラニンであってよい。
別の態様において、本発明は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4−クマレート−CoA−リガーゼ及びリスベラトロールシンターゼをコードするヌクレオチド配列の異種発現によるピノシルビンの製造方法、さらにフェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4−クマレート−CoAリガーゼ及びピノシルビンシンターゼをコードするヌクレオチド配列の異種発現によるピノシルビンの製造方法を含む。
そのように製造されるピノシルビンを含むピノシルビンは、例えば、乳製品又はビール等の飲料などの食品中の栄養補助食品として使用することができる。従って、本発明としては、微生物が生産したピノシルビンを含む食品も含む。
本発明は、さらに、微生物細胞からなる微生物組成物を含み、且つ、少なくとも乾燥重量基準で1.5mg/gのピノシルビンを含む。例えば、ピノシルビンを含有する、酵母菌、酵母菌含有物、酵母菌由来製剤、生成されたピノシルビンは、例えば、乾燥した状態で、人間や動物の消費物に用いてもよく、好適には、酵母菌を例えば少なくとも0.5g例えば1〜3g含む錠剤あるいはカプセルなどの経口投薬形態として用いてもよい。
ここで記述したあらゆる天然型酵素は、突然変異型によって置換することができる。天然型の必須の酵素活性を維持しながら、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の命名された天然型酵素に関連するアミノ酸相同を有する突然変異型が好適である。これは、天然型のあらゆる基質の選択を維持することを含む。例えば、チロシンよりフェニルアラニンへ、クマル酸よりケイヒ酸へ、クマロイル−CoAよりシンナモイル−CoAが挙げられる。ここで記述した酵素をコードするあらゆる天然型のコード配列は、同じ酵素であるがコドンの使用量が調節された酵素のコード配列と置換してもよい。これは、ここで記述した天然型酵素と、上記で議論された突然変異型の両方を表す。天然型酵素の突然変異型をコードするヌクレオチド配列は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の程度で対応する天然型酵素の野生型ヌクレオチド配列と相同であることが好ましい。
酵素の突然変異型は、天然型酵素のそれから大きく変化しないレベルの酵素活性を有し、或いは、より高いレベルの活性を有するように選択してもよい。天然型酵素のアミノ酸の同類置換は、公知の慣行に従って行うことができる。改良された活性を有する酵素は、技術的に知られている指向進化技術によって発展してもよく、E.coli、又はS.cerevisiae等の適したテスト組織中の酵素をコードする際に、ランダムに遺伝的変化を導入した後、所望の特性をスクリーニングすることによって改良された変異型を発現と選択する方法、又は改良された活性を発現する微生物の下で自己選択条件を与える方法によって生成される酵素にランダムな変化は、生存上優位となるであろう。
例えば、ケイヒ酸等の基質の供給の不在、或いは実質的な不在、或いは欠如についての言及は、基質に代謝されるか、又は基質のさらなる代謝の直接的な生成物である例えばシンナモイル−CoAなどのケイヒ酸エステル(チオエステルも含む)など誘導体の実質的な不在を含む。特に、ケイヒ酸の欠如は、シンナモイル−CoAの欠如を示唆するものである。
本発明に従って製造されるピノシルビンとしては、シス−ピノシルビン、又はトランス−ピノシルビンが挙げられ、それらは、それぞれシス−ケイヒ酸、及びトランス−ケイヒ酸から形成されることが期待される。もう1つの方法として、シス−ピノシルビンは、異性化を含むプロセスによってトランス−ピノシルビンから形成することができる。しかし、トランス−型が通常優位を占めることが期待される。
本発明の上記説明の容易な理解を助けるために、添付の図面を参照されたい。
図1は、ピノシルビンの化学構造を示す。 図2は、クマロイル−CoAに作用し、リスベラトロールに導くリスベラトロールシンターゼを利用するフェニルプロパノイド経路を示す。 図3は、シンナモイル−CoAに作用し、ピノシルビンに導くピノシルビンシンターゼ、又はリスベラトロールシンターゼを利用するフェニルプロパノイド経路を示す。 図4は、100g/lのガラクトースで成長させたS.セレヴィシエ菌株であるFSSC−PAL4CLVST1の浮遊物及び細胞抽出物のHPLCクロマトグラムを示す。60ナノグラムの純粋なピノシルビンのクロマトグラムが含まれる。 図5は、100g/lのガラクトースで成長させたS.セレヴィシエ菌株であるFSSC−PAL4CLRESの細胞抽出物のHPLCクロマトグラムを示す。60ナノグラムの純粋なピノシルビンのクロマトグラムが含まれる。 図6Aは、純粋なピノシルビンのLC−MSデータ、及び100g/lのガラクトースで成長させたS.セレヴィシエ菌株であるFSSC−PAL4CLVST1により生産されたピノシルビンのLC−MSデータを示す。MZ211.0759Da/eにおけるベースピーククロマトグラムとネガティブイオントレースが示されている。 図6Bは、純粋なピノシルビンのLC−MSデータ、及び100g/lのガラクトースで成長させたS.セレヴィシエ菌株であるFSSC−PAL4CLVST1により生産されたピノシルビンのLC−MSデータを示す。MZ211.0759Da/eにおけるベースピーククロマトグラムとネガティブイオントレースが示されている。 図6Cは、純粋なピノシルビンのLC−MSデータ、及び100g/lのガラクトースで成長させたS.セレヴィシエ菌株であるFSSC−PAL4CLVST1により生産されたピノシルビンのLC−MSデータを示す。MZ211.0759Da/eにおけるベースピーククロマトグラムとネガティブイオントレースが示されている。 図6Dは、純粋なピノシルビンのLC−MSデータ、及び100g/lのガラクトースで成長させたS.セレヴィシエ菌株であるFSSC−PAL4CLVST1により生産されたピノシルビンのLC−MSデータを示す。MZ211.0759Da/eにおけるベースピーククロマトグラムとネガティブイオントレースが示されている。 図7は、実施例16で得られたHPLCクロマトグラムを示す。 図8は、大腸菌(E.coli)の菌株(上段)、及び対照菌株(下段)を生産するピノシルビンの発酵に由来する抽出生成物のHPLCの分析結果を示す。
以下の限定されない実施例により本発明をさらに説明し、例示する。
(実施例1)
PAL、4CL、RES、及びVST1をコードする遺伝子の単離
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL2)(コクレンら(Cochrane et al.)、2004年;配列番号1、配列番号2)、4−クマレート:コエンザイムAリガーゼ(4CL1)(ハンバーガー及びハルブロック((Hamberger and Hahlbrock)、2004年;エルチングら(Ehlting et al.)、1999年;配列番号3、配列番号4)を、PCRにより、表1のプライマーを用いて、シロイヌナズナ(A.thaliana)のcDNA(バイオキャット社(BioCat)、ハイデルベルグ、ドイツ)から単離した。
ケイヒ酸とシンナモイル−CoAのそれぞれに対する好ましい速度パラメーターのために、幾つかのシロイヌナズナ相同体(A.thaliana homologues)のうち、PAL2と4CL1を選択した(コクレンら(Cochrane et al.)、2004年;ハンバーガー及びハルブロック((Hamberger and Hahlbrock)、2004年;エルチングら(Ehlting et al.),1999年)。
Rhubarb,Rheum tataricumに由来するリスベラトロールシンターゼ(RES)のコード配列(サマピトら(Samappito et al.)、2003年;配列番号5、配列番号6)は、S.セレヴィシエ(S.cerevisiae)での発現のために、www.entelechon.comのオンラインサービスバックトランスレーションツールを用いて、コドン最適化を行って、配列番号7と配列番号8を得た。
合成遺伝子組立てのためのオリゴ(Oligos)は、MWGバイオテック社(MWG Biotech)で構築され、合成遺伝子は、以下に述べるマーチンら(Martin et al.)(2003年)の若干改良された方法プロトコールを用いて、PCRにより組み立てられた。
Figure 2009543572
合成遺伝子の組立てのためにMWG社のプライマーをミリQ水に溶解させて100pmole/μlの濃度とした。各プライマーの5μlのアリコートをトータルミックス中で一緒にし、次にミリQ水で10倍希釈した。遺伝子は、融合DNAポリメラーゼ(フィンザイム社(Finnzymes))のために50μlあたり鋳型として5μlの希釈トータルミックスを用いたPCRにより組み立てた。
PCRプログラムは以下の通りである。
最初に98℃で30秒間、次に、1000塩基対あたり、98℃で10秒間、40℃で1分間及び72℃で1分間の30サイクル、及び最後に72℃で5分間とした。得られたPCR反応物から、20μlを1%アガロースゲルで精製した。その結果はPCRスメアであり、欲する大きさの周囲の領域をアガロースゲルから切り取り、QiaQuick Gel Extraction Kit(キアゲン社(Qiagen))を用いて精製した。
表1の外側のプライマーによる最終的なPCRは、要求されたRES遺伝子を与えた。Quickchange部位特異的変異誘発IIキット(ストラタジン社(Stratagene)、ラホーヤ、カリフォルニア州)を用いて点突然変異を補正した。
Vitis vinifera(grapevine)をコードするVST1遺伝子
リスベラトロールシンターゼ(Hain et al.,1993)を,GenScript Corporation(Piscataway,NJ)により合成した。アミノ酸配列(配列番号10)を、S.セレヴィシエ(S.cerevisiae)(配列番号9)での発現のために最適化された合成遺伝子コドンを産出するために鋳型として用いた。合成VST1遺伝子を、BamH1とXho1の制限部位によって側面に位置する大腸菌pUC57を供給し、挿入した。合成遺伝子を、BamH1/Xho1制限によるpUC57ベクターで精製し、且つ、QiaQuick Gel Extraction Kit(キアゲン社(Qiagen))を用いてアガロースゲルで精製した。
(実施例2)
PAL2発現用の酵母ベクターの構築
実施例1に記載のように単離されたPAL2をコードする遺伝子を、EcoR1とSpe1の制限部位(表1)を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いるPCRにより再増幅した。増幅されたPAL2 PCR産物をEcoR1/Spe1により消化し、消化されたpESC−URAベクター(ストラタジン社(Stratagene))をEcoR1/Spe1に連結して、ベクターpESC−URA−PAL2を得た。
遺伝子の配列は、2つの異なるクローンの配列決定により検証した。
(実施例3)
4CL1発現用酵母ベクターの構築
4CL1をコードする遺伝子を実施例1に記載のように単離した。増幅された4CL1 PCR産物をXba1/BamH1により消化し、Spe1/BglIIで消化されたpESC−TRPベクター(ストラタジン社(Stratagene))に連結して、ベクターpESC−TRP−4CL1を得た。pESC−TRP−4CL1の2つの異なるクローンの配列を決定して、クローニングされた遺伝子の配列を検証した。
(実施例4)
4CL1及びRES発現用の酵母ベクターの構築
RESをコードする遺伝子を実施例1に記載のように単離した。増幅された合成RES遺伝子をBamH1/Xho1により消化し、BamH1/Xho1で消化されたpESC−TRP−4CL1(実施例3)に連結した。
得られたプラスミドpESC−TRP−4CL1−RESは、分岐GAL1/GAL10プロモーターの制御下に4CL1とRESをコードする遺伝子を含んでいた。VST1をコードする遺伝子の配列はpESC−TRP−4CL1−VST1の2つの異なるクローンの配列決定により検証した。
(実施例5)
4CL1及びVST1発現用の酵母ベクターの構築
VST1をコードする遺伝子を実施例1に記載のように単離した。精製され且つ消化されたVST1遺伝子を、BamH1/Xho1で消化されたpESC−TRP−4CL(実施例4)に連結した。得られたプラスミドpESC−TRP−4CL1−VST1は、分岐GAL1/GAL10プロモーターの制御下に4CL1とVST1をコードする遺伝子を含んでいた。VST1をコードする遺伝子の配列はpESC−TRP−4CL1−VST1の2つの異なるクローンの配列決定により検証した。
(実施例6)
酵母S.セレヴィシエにおいてPAL2、4CL1、及びRESを用いてリスベラトロールを導く経路の発現
適当な遺伝子マーカーを含む酵母菌株を実施例2、実施例3、及び実施例4で記載したベクターにより別々に、又は組合せて形質転換した。酵母細胞の形質転換は、当分野で公知の方法にしたがって、コンピテント細胞、又はその代わりになるものとして例えば電気穿孔法を用いて実施した(例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)、1989年を参照)。形質転換体は、ウラシル及び/又はトリプトファンを欠如する培地上で選択し、画線を同培地上で精製した。
S.セレヴィシエ菌株FS01267(MATa trp1 ura3)を、pESC−URA−PAL2(実施例2)、及びpESC−TRP−4CL1−RES(実施例4)により同時形質転換し、形質転換された菌株をFSSC−PAL24CL1RESと命名した。
(実施例7)
酵母S.セレヴィシエにおいてPAL2、4CL1、及びVST1を用いてピノシルビンを導く経路の発現
適当な遺伝子マーカーを含む酵母菌株を実施例2、実施例3、及び実施例5で記載したベクターにより別々に、又は組合せて形質転換した。酵母細胞の形質転換は、当分野で公知の方法にしたがって、例えば、コンピテント細胞又は電気穿孔法を用いて実施した(例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)、1989年を参照)。形質転換体は、ウラシル及び/又はトリプトファンを欠如する培地上で選択し、画線を同培地上で精製した。
S.セレヴィシエ菌株FS01267(MATa trp1 ura3)を、pESC−URA−PAL2(実施例2)、及びpESC−TRP−4CL1−VST1(実施例5)により同時形質転換し、形質転換された菌株をFSSC−PAL24CL1VST1と命名した。
(実施例8)
振盪フラスコによる組換え酵母菌株による発酵
前記組換え酵母菌株を、滅菌した接種用ループにより寒天プレートに接種し、ビタミン類、微量元素、5g/lのグルコース及び95g/lを含有する100mlの合成無機培地(ベルダインら(Verduyn et al.)、1992年)で増殖させた。500mlのコック付き振盪フラスコを3日間、30℃、160rpmでインキュベートした。
(実施例9)
a)ピノシルビンの抽出
5分間の遠心により5000gの細胞を回収した。50mlの上清アリコートを20mlの酢酸エチルで一回抽出した。この酢酸エチルを凍結乾燥し、乾燥生成物を0.7mlのメタノールで再溶解し、ろ過してHPLCバイアルに入れた。
100ml培地から得られた細胞ペレットを2mlの水に溶解し、3本の迅速調製チューブに分割し、ガラス玉で砕いた。これらの3チューブからの粗製抽出物を、50mlの縫工チューブ中の10mlの100%メタノール中にプールし、4℃の冷暗部屋でロータリーチャンバーにより48時間抽出した。48時間後、細胞デブリスを遠心により5分間、5000gで除去し、該メタノールを一晩の凍結乾燥により除去した。乾燥残留物を0.7mlのメタノールに再溶解し、ろ過してHPLCバイアルに入れた。
b)ピノシルビンの分析
(HPLC)
ケイヒ酸、クマル酸及びリスベラトロールの定量的分析のために、試料を、λ=306nmのUVダイオードアレイ検出前に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)アジレント(Agilent)シリーズ1100システム(ヒューレットパッカード社(Hewlett Packard)製)による分離に供した。
フェノメネックス社(Phenomenex)(トランス、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)製Luna3マイクロメートルC18(100×2.00mm)カラムを40℃で用いた。移動相として、アセトニトリルとミリQ水(両方とも50ppmのトリフルオロ酢酸を含む)のグラジエントを0.4ml/分の流速で用いた。グラジエントのプロフィールは20分間にわたる15%アセトニトリルから100%アセトニトリルの間、リニアであった。溶出時間はトランス−ピノシルビンで約8.8〜8.9分であった。純粋ピノシルビンスタンダード(>95%純粋)は、アルボノバ社(ArboNova)(トゥルク、フィンランド)から購入した。
(LC−MS)
サンプルと標準を、Agilent 1100 HPLCシステム(アジレントテクノロジーズ社(Agilent Technologies)、ワルブロン、ドイツ)に連結したLockspray(商品名)基準プルーブを具備したWaters(マイクロマス社(Micromass)、マンチェスター、イギリス)LCT(商品名)飛行時間質量分析計で、ネガティブ電気スプレイによって分析した。分離は、0.3ml/分で水−アセトニトリドのグラジエントを用いて、4mm×2mm ID SecurityGuard(商品名)プレ−カラム(フェノメネックス社(Phenomenex)、アメリカ)に取り付けられた50mm×2mm ID Luna C−18(II)カラム(フェノメネックス社(Phenomenex、アメリカ)で行った。2つの溶離液は共に、20mMのギ酸を含有していた。溶媒の組成を、20分間で、注入時15%のアセトニトリルから100%のアセトニトリルへ変化させ、それをグラジエントを始動条件に戻す前に5分間維持した。3μlサンプルを、すべてのケースに注入し、カラムを40℃に維持した。すべての化学物質は、HPLC勾配で、MiLLi−Q(商品名)水に溶解した。UVスペクトルは、4nmの分解能を有する2スペクトル/秒で200〜700nmから収集した。質量分析計を、ロイシン enkphaline(0.5%ギ酸を使って50%アセトニトリル中で0.5μg/ml)の溶液に5500FWHよりも良好な分解能になるようにネガティブ電気スプレイモードで最大感度にして調節した。前記溶液を、15μl/分のネガティブESIのLockspray(商品名)で質量基準として使用した。機器を、50%アセトニトリルのカルボキシル化したPEG混合液においてネガティブESIで較正した。両方の場合の較正において、少なくとも25キャリブレーションイオンで2mDaよりも少ない残余誤差であった。運転条件は、最小インソースフラグメンテーションのために選んだ。質量スペクトルを、0.1秒のインタースキャン時間のスペクトルあたりの0.4秒の比で100〜900Da/eから収集した。基準スペクトルを、3秒毎に、Lockspray(商品名)プローブから収集し、10の基準スペクトルを、内部質量補正のために平均化した。狭いイオンの微量を、期待された代謝のプロトン化、又は非プロトン化した質量あたりで+/−25mDaを用いて抽出した。
(結果)
FSSC−PAL24CL1RES菌株とFSSC−PAL24CL1VST1菌株を実施例8に記載のように100g/lのガラクトースで培養し、ピノシルビンの含量を分析した。さらに、空のベクターのみを含むコントロール菌株のFSSCコントロールを含めた。HPLC分析は、FSSC−PAL24CL1VST1菌株とFSSC−PAL24CL1RES菌株がトランス−ピノシルビンと同じ8.8〜9.0分の保持時間を有する成分を含むことを示した(図4及び図5)。この結果は、8.2分の保持時間を有するFSSC−PAL24CL1VST1菌株の浮遊物中の成分の存在を明らかにするLC−MSによっても確認され、この浮遊物中の成分は、211.0579Da/e±25のM/Zを有し、ネガティブイオンモードで純粋ピノシルビンのM/Zに実際に一致した。
さらに、UV吸収スペクトルは、約306nmのλmaxを有する純粋なトランス−ピノシルビン(図示せず)の吸収スペクトルに類似した。
したがって、これらの結果は、トランス−ピノシルビンのインビボ生産を導くS.セレヴィシエの活性フェニル−プロパノイド経路の存在を示した。明確な増殖条件下にバッチ培養及び連続培養で菌株を培養し、及び/又は個々の酵素の発現/活性を最適化することによってピノシルビンの生産が最も高い可能性で向上できるだろう。
(実施例10)
a)大腸菌におけるPAL2の発現用細菌ベクターの構築
以下の実施例で用いられたプラスミドは1つ以上のマーカー遺伝子を持っており、それらを持つ微生物を、それらを持たない微生物から選択することができる。選択システムは、優性マーカー、例えば、アンピシリンとカナマイシンに対する耐性に基づく。さらに、プラスミドは、組換え遺伝子の発現を可能とするプロモーター配列とターミネーター配列を含む。さらに、プラスミドはDNA断片のクローニングとそれに引き続く組換え体の同定を容易にする好適な独自の制限部位を含む。本実施例において、プラスミドは、pET16b(ノヴァゲン社(Novagen))と呼ばれるアンピシリン耐性遺伝子又はpET26b(ノヴァゲン社(Novagen))と呼ばれるカナマイシン耐性遺伝子のいずれかを含む。
実施例1に記載のように単離されたPAL2をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpESC−URA−PAL2(実施例2)からPCRにより再増幅した。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を乳酸連鎖球菌に由来するT7を含む消化pET16Bベクターに連結することができる。得られたプラスミドpET16B−PAL2は、T7プロモーターの制御下にPAL2をコードする遺伝子を含有する。
b)大腸菌における4CL1及びVST1発現用細菌ベクターの構築
実施例1に記載のように単離された4CL1をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いてプラスミドpESC−URA−4CL1−VST1(実施例5)からPCRにより再増幅する。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を消化pET26Bベクターに連結することができる。得られたプラスミドpET26B−4CL1は、乳酸桿菌(Lactobacillus lactis)由来のT7プロモーターの制御下に4CL1をコードする遺伝子を含有する。
実施例1に記載のように単離されたVST1をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpESC−URA−4CL1−VST1(実施例5)からPCRにより再増幅した。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を消化pET16Bベクターに連結することができる。得られたプラスミドpET16B−VST1は、T7プロモーターの制御下にVST1をコードする遺伝子を含む。T7プロモーターと、VST1をコードする遺伝子とを、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpET16B−VST1からPCRにより1つの断片として再増幅する。DNA断片の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を消化プラスミドpET26B−4CL1に連結することができる。得られたプラスミドpET26B−4CL1−VST1は、個々のT7プロモーターの制御下に4CL1及びVST1をそれぞれコードする遺伝子を含む。4CL1とVST1をコードする遺伝子の配列を、pET26B−4CL1−VST1の2つの異なるクローンの配列決定により検証する。
c)大腸菌において、ピノシルビンを導く経路の発現
大腸菌の菌株を、(a)と(b)に記載されたベクターで別々に、又は組合せて形質転換した。細菌細胞の形質転換は、当分野で公知の方法にしたがって、コンピテント細胞、又はその代わりになるものとして例えば電気穿孔法を用いて実施した(例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)、1989年を参照)。形質転換体は、抗生物質アンピシリン(antibiotics ampicilin)及びカナマイシンを含む培地上で選択し、画線を同培地上で精製した。
別に、大腸菌の菌株B21(DE3)をベクターpET16B−PAL2(a)により形質転換して、菌株FSEC−PAL2を得て、pET26B−4CL1−VST1(b)により菌株FSEC−4CL1VST1を得た。さらに、大腸菌の菌株BL21(DE3)を、pET16B−PAL2(a)により同時形質転換し、この形質転換された菌株をFSEC−PAL24CL1VST1と命名した。
d)発酵槽での組換え大腸菌株による発酵
組換え酵母菌株は、バッチ培養、流加バッチ培養又はケモスタット培養として操作される発酵槽で増殖させることができる。この場合、発酵を、振盪フラスコで行った。
大腸菌BL21(DE3)の前培養物を、100μg/mlのアンピシリンと60μg/mlのカナマイシンを含む7mlのLB培地で、160rpm、37℃にてガラス管中で増殖させた。指数関数的に成長する前培養物を、50g/lのグルコース、5g/lのKHPO、80μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのカナマイシンを追加した200mlのLB培地を含む500mlバッフル付き振盪フラスコの接種に用いて、160rpm、37℃でインキュベートする。5時間後、3遺伝子(PAL2、4CL1及びVST1)のそれぞれの上流に存在するT7プロモーターの誘導因子として、イソプロピルβ−チオガラクトピラノシド(IPTG)を1mMの最終濃度で加えた。37℃での48時間のインキュベーション時間の後、細胞を採取し、抽出手順に供し、産生したピノシルビンの有無を分析した。
e)大腸菌におけるピノシルビンの抽出と分析
抽出と分析は実施例9に記載された方法を用いて実施した。
記述した改変菌株(上段)と対照菌株(下段)を使用する発酵に由来する抽出物について行ったHPCLの結果を、図9に示す。ピノシルビンとケイヒ酸の生成物は、図にマークされている。
(実施例11)
a)乳酸連鎖球菌におけるPAL2の発現用細菌ベクターの構築
下記実施例に使用されるプラスミドpSH71とその誘導体は、大腸菌と乳酸連鎖球菌に由来する複数の複製開始点を有する二機能性シャトルベクターである。それによって、宿主域特異性は大腸菌及び他の種の乳酸菌にわたる。したがって、乳酸連鎖球菌の形質転換は通常は問題なく進むが、他の種の乳酸菌の推定上の困難な形質転換は組換えプラスミドの構築のための中間ホストとして大腸菌を用いることにより克服することができる。プラスミドは1つ以上のマーカー遺伝子を持っており、それらを持つ微生物を、それらを持たない微生物から選択することができる。乳酸連鎖球菌に用いられる選択システムは、優性マーカー、例えば、エリスロマイシンとクロラムフェニコールに対する耐性に基づくが、糖質代謝に関与する遺伝子、ペプチダーゼ及び食品用マーカーに基づくシステムも記載されてきた。さらに、プラスミドは、組換え遺伝子の発現を可能とするプロモーター配列とターミネーター配列を含む。好適なプロモーターは、乳酸連鎖球菌の遺伝子、例えば、lacAから取られる。さらに、プラスミドはDNA断片のクローニングとそれに引き続く組換え体の同定を容易にする好適な独自の制限部位を含む。
下記の手順において、プラスミドは、pSH71−ERYと呼ばれるエリスロマイシン耐性遺伝子又はpSH71−CMと呼ばれるクロラムフェニコール耐性遺伝子のいずれかを含む。
実施例1に記載のように単離されたPAL2をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpESC−URA−PAL2(実施例2)からPCRにより再増幅した。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を乳酸連鎖球菌に由来するlacAプロモーターを含む消化pSH71−ERYベクターに連結することができる。得られたプラスミドpSH71−ERY−PAL2は、乳酸連鎖球菌由来のlacAプロモーターの制御下にPAL2をコードする遺伝子を含有する。PAL2をコードする遺伝子の配列は2つの異なるpSH71−ERY−PAL2のクローンの配列決定により検証した。
b)乳酸連鎖球菌における4CL1及びVST1の発現用細菌ベクターの構築
実施例1に記載のように単離された4CL1をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpESC−TRP−4CL1−VST1(実施例5)からPCRにより再増幅した。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を消化pSH71−CMベクターに連結することができる。得られたプラスミドpSH71−CM−4CL1は、乳酸桿菌(Lactobacillus lactis)由来のlacAプロモーターの制御下に4CL1をコードする遺伝子を含有する。
実施例1に記載のように単離されたVST1をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpESC−TRP−4CL1−VST1(実施例5)からPCRにより再増幅した。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を消化pSH71−ERYベクターに連結することができる。得られたプラスミドpSH71−ERY−VST1は、乳酸連鎖球菌に由来するlacAプロモーターの制御下にVST1をコードする遺伝子を含む。lacAプロモーターと、VST1をコードする遺伝子とを、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpSH71−ERY−VST1からPCRにより1つの断片として再増幅する。DNA断片の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を消化プラスミドpSH71−CM−4CL1に連結することができる。得られたプラスミドpSH71−CM−4CL1−VST1は、個々のlacAプロモーターの制御下に4CL1及びVST1をそれぞれコードする遺伝子を含む。4CL1とVST1をコードする遺伝子の配列を、pSH71−CM−4CL1−VST1の2つの異なるクローンの配列決定により検証する。
c)乳酸連鎖球菌においてピノシルビンを導く経路の発現
乳酸連鎖球菌株を、実施例16及び実施例17に記載されたベクターで別々に、又は組合せて形質転換する。細菌細胞の形質転換は当分野で公知の方法にしたがって、例えば、コンピテント細胞又は電気穿孔法を用いて実施した(例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)(1989年)を参照)。形質転換体は、抗生物質のエリスロマイシンとクロラムフェニコールとを含有する培地上で選択し、画線を同培地上で精製した。
別に、乳酸連鎖球菌株MG1363をベクターpSH71−ERY−PAL2(実施例16)により形質転換して、菌株FSLL−PAL2を得る。さらに、乳酸連鎖球菌株MG1363を、pSH71−ERY−PAL2(実施例16)及びpSH71−CM−4CL1−VST1(実施例17)により同時形質転換し、この形質転換された菌株をFSLL−PAL24CL1VST1と命名する。
d)発酵槽での組換え乳酸連鎖球菌株による発酵
組換え乳酸連鎖球菌株は、バッチ培養、流加バッチ培養又はケモスタット培養として操作される発酵槽で増殖させることができる。
(バッチ培養と流加バッチ培養)
微生物を、1.5リットルの有効容積のバッフル付きバイオリアクターで、嫌気的、好気的又は微好気的条件で増殖させる。すべての培養物を30℃で、350rpmにてインキュベートする。pH6.6で一定になるように10MのKOHの自動添加により維持する。細胞を、以下の成分を補充した合成MS10培地中でラクトースにより増殖させて好気的条件下の増殖を可能とする:MnSO(1.25×10−5g/l)、チアミン(1mg/l)及びDL−6,8−チオクト酸(2.5mg/l)。ラクトース濃度は、例えば、50g/lである。3倍高い濃度のKHPOとKHPOで緩衝化した上記培地により、振盪フラスコ内、30℃で増殖させた前培養物の細胞をバイオリアクターに接種する。接種前にN(純度99.998%)を培地に流すことにより、かつ培養中にバイオリアクターの上部空間にN50ml/分の定速を維持することにより好気的条件を確保する。微好気的条件及び好気的培養のために用いられるバイオリアクターは、空気(DOT、100%)及びN(DOT、0%)で較正されたポーラログラフィー酸素センサーを備える。好気的条件はバイオリアクターに空気を1vvmの速度で拡散させてDOTが80%を超えることを確保することで得られる。微好気的実験中、Nと大気の空気の混合物からなる気体を0.25vvmの速度でリアクターに拡散することによりDOTが5%の一定に保たれる。
(ケモスタット培養物)
ケモスタット培養物において、細胞は例えば1Lの有効容積のアプリコン(Applikon)実験室用発酵槽で、30℃、350rpmで増殖させることができる。希釈率(D)は、異なった値、例えば、0.050h−1、0.10h−1、0.15h−1又は0.20h−1に設定することができる。消泡剤(50μl/l)を追加した上記成長培地を用いて、5MのKOHの自動追加によりpHを一定、例えば6.6に保つ。ラクトースの濃度を異なる値、例えば、3.0g/l、6.0g/l、12.0g/l、15.0g/l又は18.0g/lに設定することができる。バイオリアクターに1mg/lの初期バイオマス濃度で接種し、指数増殖期の終わりにフィードポンプを作動させる。
嫌気的定常状態は50ml/分のN(純度99.998%)をバイオリアクターの上部空間に導入することにより得る。異なる無酸素性定常状態は、N(純度99.998%)と大気の空気とから多様な比率で構成される250ml/分のガスをリアクターに拡散させることにより得ることができる。バイオリアクターに空気(100%DOT)とN(0%DOT)を拡散させることにより酸素電極を較正する。
すべての条件で、ガスはバイオリアクターに導入する前に滅菌ろ過する。オフガスは、−8℃未満に冷却した冷却器を経て、アコースティックガスアナライザーによりそのCOとOの体積含量が分析される。
少なくとも5滞留時間後、及びバイオマスと発酵最終生成物の濃度が最後の少なくとも2滞留時間にわたって変化しない(5%相対偏差未満)の場合、培養は定常状態にあると考えられる。
e)乳酸連鎖球菌におけるピノシルビンの抽出と分析
抽出と分析は実施例9に記載された方法を用いて実施する。
(実施例12)
a)アスペルギルス属に属する種におけるPAL2の発現用真菌ベクターの構築
本実施例で使用されるプラスミドは、黒色アスペルギルスと麹菌で自己プラスミド複製も維持する、アスペルギルス nidulans由来のAMA1開始複製配列を含有するpARp1から得られる(ゲムスら(Gems et al.)、1991年)。さらに、プラスミドは大腸菌の複製配列を含むシャトルベクターであるので、黒色アスペルギルス及び麹菌での固有の困難な形質転換が、組換えプラスミドの構築のために中間ホストとして大腸菌を用いることにより克服することができる。プラスミドは1つ以上のマーカー遺伝子を持っており、それらを持つ微生物を、それらを持たない微生物から選択することを可能とする。選択システムは、優性マーカー、例えば、ハイグロマイシンB、フレオマイシン及びブレオマイシンに対する耐性、又は異種マーカー、例えば、アミノ酸及びpyrG遺伝子に基づくことができる。さらに、プラスミドは組換え遺伝子の発現を可能とするプロモーター配列とターミネーター配列を含む。好適なプロモーターは、アスペルギルス nidulansの遺伝子、例えば、alcA、glaA、amy、niaD及びgpdAから得られる。さらに、プラスミドはDNA断片のクローニング及びその後の組換え体の同定を容易にする好適な独自の制限部位を含む。
プラスミドは強力な構成的gpdAプロモーターと栄養要求性マーカーを含み、これらすべてがアスペルギルス nidulansを起源とする。メチオニン生合成に関与する遺伝子methGを含むプラスミドをpAMA1−METと命名する。ヒスチジン生合成に関与する遺伝子hisAを含むプラスミドをpAMA1−HISと命名する。
実施例1に記載のように単離されたPAL2をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpESC−URA−PAL2(実施例2)からPCRにより再増幅する。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物をアスペルギルス nidulansに由来するgpdAプロモーターを含む消化pAMA1−METベクターに連結することができる。得られたプラスミドpAMA1−MET−PAL2は、アスペルギルス nidulans由来のgpdAプロモーターの制御下にPAL2をコードする遺伝子を含有する。PAL2をコードする遺伝子の配列を、pAMA1−MET−PAL2の2つの異なるクローンの配列決定により検証する。
b)アスペルギルス属に属する種における4CL1及びVST1の発現用真菌ベクターの構築
実施例1に記載のように単離された4CL1をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpESC−TRP−4CL1−VST1(実施例5)からPCRにより再増幅する。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を、アスペルギルス nidulans由来のgpdAプロモーターを含む消化pAMA1−HISベクターに連結することができる。得られたプラスミドpAMA1−HIS−4CL1は、アスペルギルス nidulansに由来するgpdAプロモーターの制御下に4CL1をコードする遺伝子を含む。
実施例1に記載のように単離されたVST1をコードする遺伝子を、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpESC−TRP−4CL1−VST1(実施例5)からPCRにより再増幅する。遺伝子の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を、アスペルギルス nidulans由来のgpdAプロモーターを含む消化pAMA1−METベクターに連結して、pAMA1−MET−VST1を得ることができる。
gpdAプロモーターと、VST1をコードする遺伝子とを、好適な制限部位を含む5'突出を有するフォワードプライマーとリバースプライマーを用いて、プラスミドpAMA1−MET−VST1からPCRにより1つの断片として再増幅する。DNA断片の5'末端と3'末端における該制限酵素部位の導入により、制限PCR産物を消化プラスミドpAMA1−HIS−4CL1に連結することができる。得られたプラスミドpAMA1−HIS−4CL1−VST1は、アスペルギルス nidulansに由来する個々のpgdAプロモーターの制御下にC4L1とVST1をそれぞれコードする遺伝子を含む。4CL1とVST1をコードする遺伝子の配列をpAMA1−HIS−4CL1−VST1の2つの異なるクローンの配列決定により検証する。
c)黒色アスペルギルスにおいてピノシルビンを導く経路の発現
黒色アスペルギルス菌株を、(a)及び(b)に記載されたベクターで、別々に、又は組合せて形質転換する。細菌細胞の形質転換は当分野で公知の方法にしたがって、例えば、電気穿孔法又は接合を用いて実施する(例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)(1989年)を参照)。形質転換体は、メチオニン及び/又はヒスチジンを欠く最小培地により選択する。
ヒスチジンとメチオニンに対して栄養要求性のあるアスペルギルス nigerの菌株、例えば、別々にFGSC A919菌株(http://www.fgsc.netを参照)をベクターpAMA1−MET−PAL2(a)により形質転換して菌株FSAN−PAL2を得て、pAMA1−HIS−4CL1−VST1(b)により形質転換して菌株FSAN−4CL1VST1を得る。さらに、黒色アスペルギルス菌株FGSC A919をpAMA1−MET−PAL2(a)とpAMA1−HIS−4CL1−VST1(b)とで同時形質転換して、形質転換菌株をFSAN−PAL24CL1VST1と名付ける。
(実施例13)
麹菌においてピノシルビンを導く経路の発現
PAL2、及び4CL1をコードする天然の遺伝子組を含有する麹菌の菌株(セシムら(Seshime et al.)、2005年)であって、メチオニンに対して栄養要求性のある菌株をベクターpAMA1−MET−VST1(実施例29)により形質転換して、菌株FSAO−VST1を得る。真菌細胞の形質転換は当分野で公知の方法にしたがって、例えば、電気穿孔法又は接合を用いて実施する(例えば、サムブルックら(Sambrook et al.)(1989年)を参照)。形質転換体はメチオニンを欠く培地により選択する。
(実施例14)
培養槽における黒色アスペルギルス及び麹菌の組換え菌株による発酵
組換えアスペルギルス菌株は、バッチ培養、流加バッチ培養又はケモスタット培養として操作される発酵槽で増殖させることができる。
(バッチ培養及び流加バッチ培養)
微生物は、好気的条件下で、1.5リットルの有効容積のバッフル付きバイオリアクターで増殖させる。すべての培養物を30℃で、500rpmにてインキュベートする。pH6.0で一定となるように10MのKOHの自動添加により維持し、好気的条件は空気を1vvmの速度でバイオリアクターに拡散させてDOTが80%を超えることを確保することで得られる。以下の成分からなる合成培地中で細胞をグルコースで増殖させてバッチ培養で増殖させる。7.3g/lの(NHSO、1.5g/lのKHPO、1.0g/lのMgSO・7HO、1.0g/lのNaCl、0.1g/lのCaCl・2HO、0.1ml/lのシグマ社製の消泡剤、7.2mg/lのZnSO・7HO、1.3mg/lのCuSO・5HO、0.3mg/lのNiCl・6HO、3.5mg/lのMnCl・4HO及び6.9mg/lのFeSO・7HO。グルコース濃度は、例えば、10g/l、20g/l、30g/l、40g/l又は50g/lである。流加バッチ培養で細胞を増殖させるために、培地は、バッチ相中の7.3g/lの(NHSO、4.0g/lのKHPO、1.9g/lのMgSO・7HO、1.3g/lのNaCl、0.10g/lのCaCl・2HO、0.1ml/lのシグマ社製の消泡剤、7.2mg/lのZnSO・7HO、1.3mg/lのCuSO・5HO、0.3mg/lのNiCl・6HO、3.5mg/lのMnCl・4HO及び6.9mg/lのFeSO・HOからなる。次に、リアクターに、例えば、285g/kgのグルコースと42g/kg(NHSOを供給する。
前バッチからの遊離した菌糸体を用いて、バッチ培養物及び流加バッチ培養物に接種する。2.10/l濃度の胞子を用いて、pH2.5の前バッチ培養物に接種する。以下の成分が添加された29gの米により凍結乾燥胞子を増殖させて胞子を得る。6mlの15g/lのスクロース、2.3g/lの(NHSO、1.0g/lのKHPO、0.5g/lのMg・7HO、0.50g/lのNaCl、14.3mg/lのZnSO・7HO、2.5mg/CuSO・5HO、0.50mg/lのNiCl・6HO及び13.8mg/lのFeSO・7HO。これらの胞子は、30℃で、7〜14日間増殖して米粒上に胞子の黒い層を生じ、滅菌水中の100mlの0.1%Tween20を加えることにより胞子を回収する。すべての条件に関して、ガスはバイオリアクターに導入する前に滅菌ろ過する。オフガスは−8℃未満に冷却した冷却器を経て、アコースティックガスアナライザーによりそのCOとOの体積含量を分析する。
(ケモスタット培養)
ケモスタット培養では、例えば1.5リットルの有効容積のバッフル付きバイオスタットB実験室用発酵槽で、30℃、500rpmで細胞を増殖させることができる。pH6.6で一定になるように10MのKOHの自動添加により維持し、好気的条件は、空気を1vvmの速度でバイオリアクターに拡散して、確実にDOTが80%を超えさせることにより得られる。希釈率(D)は、異なる値、例えば、0.050h−1、0.10h−1、0.15h−1又は0.20h−1に設定できる。以下の成分を有する最小成長培地を用いて、10Mの自動追加によりpHを一定、例えば、6.6に保持する。2.5g/lの(NHSO、0.75g/lのKHPO、1.0g/lのMgSO・7HO、1.0g/lのNaCl、0.1g/lのCaCl・2HO、0.1ml/lのシグマ社製消泡剤、7.2mg/lのZnSO・7HO、1.3mg/lのCuSO・5HO、0.3mg/lのNiCl・6HO、3.5mg/lのMnCl・4HO及び6.9mg/lのFeSO・7HO。グルコースの濃度は異なる値、例えば、3.0g/l、6.0g/l、12.0g/l、15.0g/l又は18.0g/lに設定することができる。バイオリアクターには上記のように前バッチ培養物からの遊離菌糸体が接種され、指数増殖期の終わりにフィードポンプを作動させる。
すべての条件について、ガスはバイオリアクターに導入する前に滅菌ろ過する。オフガスは−8℃未満に冷却した冷却器を経て、アコースティックガスアナライザーによりそのCOとOの体積含量を分析する。
少なくとも5滞留時間後、及びバイオマスグルコースとオフガスの組成が最後の2滞留時間にわたって変化しない(5%相対偏差未満)の場合、培養は定常状態にあると考えられる。
(実施例15)
黒色アスペルギルス及び麹菌におけるリスベラトロールの抽出と分析
抽出と分析は実施例9に記載された方法を用いて実施する。
(実施例16)
黒色アスペルギルスAR1におけるピノシルビンの生産
黒色アスペルギルスAR1は、次の遺伝子argB2、pyrG89、veAを削除した。
a)argBマーカー(オルニチン カルバモイルトランスフェラーゼ)を有する糸状菌発現ベクターの構築
同種のプロモーター、及び終了配列を含むargBをコードする遺伝子を、制限酵素認識部位 EcoRI及びXmaIをそれぞれ含む5'突出を有するフォワードプライマー 5−CG GAATTC ATA CGC GGT TTT TTG GGG TAG TCA−3(配列番号17)、及びリバースプライマー 5−CG CCCGGG TAT GCC ACC TAC AGC CAT TGC GAA−3(配列番号18)を用いて、黒色アスペルギルスAR1ゲノムDNAから増幅した。
PCR生成物において、組み込まれた制限酵素認識部位は、pUC19(New England biolabs,Ipswich,MA.)への挿入が許可され、pUC19−argBを与えるEcoRIとXmaIとで消化した。
trpC(インドール−3−グリセロールフォスフェートシンターゼ)ターミネーターを、制限酵素認識部位 BamHI及び27の塩基対adaptamerをそれぞれ含む5'突出を有するフォワードプライマー 5−GC GGATCC ATA GGG CGC TTA CAC AGT ACA CGA−3(配列番号19)、及びリバースプライマー 5−CGGAGAGGGCGCGCCCGTGGCGGCCGCGGA TCC ACT TAA CGT TAC TGA−3(配列番号20)を使って、黒色アスペルギルスAR1ゲノムDNAから増幅した。
gpdA(グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ)プロモーターを、27の塩基対adaptamer及び制限酵素認識部位 HindIIIをそれぞれ含む5'突出を有するフォワードプライマー 5−GCGGCCGCCACGGGCGCGCCCTCTCCG GCG GTA GTG ATG TCT GCT CAA−3(配列番号21)、及びリバースプライマー 5−CG AAGCTT TAT AAT TCC CTT GTA TCT CTA CAC−3(配列番号22)を用いて、黒色アスペルギルスAR1ゲノムDNAから増幅した。
PCR生成物において、組み込まれた制限酵素認識部位をもつ断片trpC及びgpdAの融合PCR生産物は、pAT3を産出するBamHI及びHindIIIで消化されたpUC19−argBへの挿入を許可する。
b)黒色アスペルギルスAR1におけるC4H(シンナメート−4−ヒドロキシラーゼ)の発現のpyrG(orotidine−5’−モノフォスフェートデカルボキシラーゼ)マーカーを有する糸状菌発現ベクターの構築
C4Hをコードする遺伝子を、制限酵素認識部位 BssHII及びNotIをそれぞれ含む5'突出を有するフォワードプライマー 5−CG G CGCG C ATA ATG GAC CTC CTC TTG CTG GAG−3(配列番号23)、及びリバースプライマー 5−GG GC GGCC GC TTA TTA ACA GTT CCT TGG TTT CAT AAC G−3(配列番号24)を用いて、酵母菌プラスミドpESC−IRA−PAL2−C4H(WO2006089898、実施例3)から再増幅した。
PCR生成物において、組み込まれた制限酵素認識部位は、BssHII及びpAT3−C4Hを与えるNotIで消化されたpAT3への挿入を許可した。該構築は、制限酵素切断及び配列によって検証された。argBマーカーを、2つの制限酵素BsiWI及びPciIを使うことによって取り除いた。
同種のプロモーター、及び終了配列を含むpyrGをコードする遺伝子を、フォワードプライマーにおいては制限酵素認識部位 BsrGI、PacI、AsiSI、リバースプライマーにおいてはPciIを含む5'突出を有するフォワードプライマー 5−CGT GTAC AATA TTA AT TAA CGAGA GCG AT VGV AAT AAC CGT ATT ACC GCC TTT GAG−3(配列番号25)、及びリバースプライマー 5−CGA CATG TAT TCC CGG GAA GAT CTC ATG GTC A−3(配列番号26)を用いて、黒色アスペルギルスAR1ゲノムDNAから再増幅した。PCR生成物において、組み込まれた制限酵素認識部位は、pAT3−C4H−pyrGを与えるBsiWI及びPciIで消化されたpAT3への挿入を許可した。該構築は、制限酵素切断及び配列によって検証された。
c)黒色アスペルギルスAR1における4CL1(4−クマレート−CoAリガーゼ)の発現のargBマーカーを有する糸状菌発現ベクターの構築
4CL1をコードする遺伝子を、フォワードプライマー 5−GCGGAGAGGGCGCG ATG GCG CCA CAA GAA CAA GCA−3(配列番号27)、及びリバースプライマー 5−TGGATCCGCGGCCGC TCA CAA TCC ATT TGC TAG TTT TGC−3(配列番号28)を用いて、酵母菌プラスミドpESC−TRP−4CL1−VST1から再増幅した。
4CL1遺伝子は、注入PCR(In−fusionTMPCR)クローン技術(Clontech, Mountain View,Calif)を使って、pAT3−4CL1を産出するために、BssHII及びNotIで消化されたpAT3ベクターへ挿入された。該構築は、制限酵素切断及び配列によって検証された。
d)黒色アスペルギルスAR1におけるVST1(リスベラトロールシンターゼ)の発現のargBマーカーを有する糸状菌発現ベクターの構築
VST1をコードする遺伝子を、制限酵素認識部位 BssHII及びNotIをそれぞれ含む5'突出を有するフォワードプライマー 5−CG G CGCG C ATA ATG GCA TCC GTA GAG GAG TTC−3(配列番号29)、及びリバースプライマー 5−GG GC GGCC GC TTA TCA TTA GTT AGT GAC AGT TGG AA−3(配列番号30)を用いて、酵母菌プラスミドpESC−TRP−4CL1−VST1(実施例5)から再増幅した。PCR生成物において、組み込まれた制限酵素認識部位は、BssHII及びpAT3−VST1を与えるNotIで消化されたpAT3への挿入を許可した。該構築は、制限酵素切断及び配列によって検証された。
e)C4H、4CL1、及びVST1を使った黒色アスペルギルスAR1(菌株は欠失(deletions)(argB2、pyrG89、veA1)を有する)におけるピノシルビンを導く経路の発現
黒色アスペルギルス真菌細胞の形質転換を、細胞壁溶解酵素を使って原形質位置(protoplastation)によって当分野で公知の方法にしたがって行った。C4H、4CL1、及びVST1のランダム融合(random integration)を、2段階で行った。プラスミドpAT3−4CL1、及びpAT3−VST1を、栄養要求性のマーカーを利用するウエラら(Guerra et al.)(2006)に従って、制限酵素BmrIを使って線形化し、同時形質転換によってゲノム中に組み込んだ。
4CL1及びVST1発現カセットを含む形質転換を、単離し、BmrIで線形化されたpAT3−C4H−pyrGで連続的形質転換は、C4H、4CL1、VST1を含む組み換えA.nidulans菌株を与えた。
f)振盪フラスコによる組換えA.nidulans菌株による発酵
A.nidulansの前培養を、1g/L グルコース、0.85g/L NaNo、0.1g/L KCl、0.1g/L MgSO・7HO; 及び0.3g/L KHPO、0.00008g/L CuSO・5HO、0.000008g/L Na・10H2O、0.00016g/L FeSO・7HO、0.00016g/L MnSO・2HO、0.00016g/L Na2MoO/2HO、0.0016g/L ZnSO・7HOを含む37℃の寒天プレートにて5日間成長させた。
前培養には、100mlのCzapek medium(CZ)を含む500mlのbaffled振盪フラスコを植菌のため使用した。該振盪フラスコは、150rpm、30℃で培養され、その培地の初期pHは6.2であった。24時間培養した後、そのサンプルを取り出し、抽出法に従い(下記参照)、生成したピノシルビンの存在を分析した。
g)A.nidulans振盪フラスコ培養物からのピノシルビンの抽出
100mlの培養物(細胞と培養液の両方)からなるサンプルは、振盪フラスコから回収された。代謝物の抽出は、次のように行った。サンプルは2つのSartorius tubesに移し、4500rpmで10分間遠心分離を行った。浮遊物は、ビーカーに移し、約300μlのガラスビーズ(0.25〜0.50mm)を含むカップで2mlSartoriusマイクロ管に移されて、バイオマスは8つのアリコートに分割した。該管は、Fastprep120(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA.)に挿入し、1回につき30秒間レベル6.5で4サイクル行ない、サイクルの間に冷たい状態を維持した。破砕細胞は2つの15ml Sartorius tubesに分割した。該管は、10mlの浮遊物で満たし、3mlのエチルアセテートを添加した。該管は、渦巻きミキサーで活発に2分間混合させ、5分間氷を当てた。エチルアセテート相は、4500rpmで10分間遠心分離し、4つの1.5mlエッペンドルフ管に集めた。エチルアセテートは、45分間凍結乾燥させて、乾燥させたサンプルは、実施例9bに記述したように、HPLC分析のために、0.3ml、50%メタノールで再溶解させた。
h)組換えA.nidulans由来の振盪フラスコ結果
図7は、典型的な振盪フラスコ実験由来のHPLC−クロマトグラムを表す。上段は、ピノシルビンを生産する人工的に作り出された菌株由来の結果で、下段は、親野生型対照菌株由来の結果を示す。人工的に作り出された菌株によって生産されたピノシルビン濃度は、1.0〜2.0mg/lの範囲で変化させた。対照菌株は、あらゆるピノシルビンの形成体を示すものではない。
ピノシルビンピークの識別は、純粋な標準UV−クロマトグラムと比較することによって、ダイオードアレイUV−スペクトルで、さらに確認された(図8)。
(実施例17)
PALCPRの連続的培養物においてスチルベノイドの細胞内及び細胞外の濃度の定量
過剰発現したCPRを有する酵母菌株FSSC−PAL2C4H4CL2VST1−pADH1CPR1を、1リッターの可動範囲で炭素制限された連続的培養物中で成長させた。ヴェルダインら(Verduyn et al.)(1992)に従って、5.0g/Lの(NH4)2SO4、3.0g/LのKH2PO4、0.5gLのMgSO4・7H2O、微量金属、ビタミン、及び、成長を制限する栄養物として5/lのグルコース及び35g/lのガラクトースを含有する特定の培地で培養物を成長させた。泡立ちを避けるために、消泡剤(300μl/L、シグマ社(Sigma)、A−8436)を、加えた。炭素源を、無機培地とは別にオートクレーブし、その後、発酵装置に加えた。さらに、培地をオートクレーブ及び冷却した後、ビタミンと、微量金属の溶解液を、除菌により発酵装置に加えた。発酵システムは、Sartorius BBIシステムであり、Biostat B Plusコントローラーを具備した1リッターの可動範囲を有するでバッフル3リッター反応器からなる。反応器は、2つのRushton turbineを具備し、該Rushton turbinesは、1000rpmもしないで回転した。温度を30±1℃に維持し、2M KOHの自動添加によってpHを5.5±0.2に維持した。ガス流を、質量流量コントローラーによって制御し、1.5vvm(1.5 l/分)に設定した。排気ガスを、冷却されたコンデンサーに導き、OとCOについて分析した(Model 1308、イノヴァ社(Innova)、デンマーク)。35g/lのガラクトースを有する初期バッチ培養を、5g/lグルコース及び35g/lガラクトースを含む、10mlの対数的に成長する振盪フラスコ培養を有する培養の植菌によって開始した。バッチ培養を、反応物に継続的に同じ培地を供給することによって継続モードに交換した。D=0.050h−1になるように一定の基準レベルで希釈率を制御した。希釈率と排ガスシグナルの両方が、少なくとも5度の滞留時間において変化しなかった時、及び、1つの滞留時間の間隔でとった2つの連続的なサンプルにおける代謝濃度が、3%未満を逸脱しなかった時、連続的培養は定常状態であるとみなした。連続的に観察された溶解酸素濃度を、60%を超える空気の飽和状態に維持した。前記条件下で、菌株は、全てのガラクトースを消費し、主にバイオマス、CO、及び、ごく少量のエタノールを生産した。さらに、RQは、一致に近く、代謝の大部分が呼吸モードであることを示した。
スチルベノイドの定量するために、サンプルを、約300時間で15保持時間に対応する発酵中に採取した。5000gの細胞を、5分間遠心分離することによって収穫した。スチルベノイドの細胞外の濃度の定量のために、浮遊物の25mlのアリコートを、10mlエチルアセテートで一度に抽出した。エチルアセテートを、凍結乾燥し、乾燥生成物を、0.6mlのエタノール中で再溶解した。サンプルを、HPLCバイアル中に移し、水で50倍に希釈し、HPLCの小瓶に移し、HPCLによって分析した。さらに、生成されたスチルベノイドのレベルが、培地の溶解度を超えたか、或いは、細胞培養の1mlアリコートの細胞膜に結合しているかを評価するために、細胞と培地の両方を、100%エタノールの1mlと混合し、遠心分離の前に激しく混合した。浮遊物を、HPLCの小瓶に移し、スチルベノイドの量を直接分析した。スチルベノイドの細胞内の濃度の定量するために、50ml培養のアリコートを、サンプリングし、細胞と培地を、遠心分離によって分離した。沈殿物を50mlの水で洗浄し、細胞結合又は沈殿物中に閉じ込められた全てのスチルベノイドを取り除いた。再沈澱させた後、該沈殿物を1mlの水に溶解した。得られた細胞懸濁液を、抽出管に分配し、迅速調製装置を使って、ガラス玉で砕いた。粗性抽出物を、10mlの100%メタノールに集め、4℃の冷暗室で24時間、回転チャンバーで抽出した。その後、5000gの細胞の破片を5分間の遠心分離で取り除き、残っているメタノールを、一晩凍結乾燥することで取り除いた。乾燥した残渣を、0.4mlのメタノールと0.1mlの水に再溶解した。水で50倍に希釈したサンプルをHPLCの小瓶に移し、HPCLによって分析した。
次の表は、300時間の連続的な培養後の結果をまとめたものである。
Figure 2009543572
スチルベノイドの細胞内の濃度を、次のセクションで説明される計算に従って、グラムバイオマス(乾燥重量)あたりのmgで表した。抽出物中のピノシルビンの濃度は1646mg/lであり、抽出物の量は0.5mlであり、抽出されたピノシルビンの絶対値は0.5*1646/1000=0.8230mgであった。スチルベノイドを、50ml培養−アリコートから抽出し、リッター培養あたりで表されたピノシルビンの細胞内の濃度は、0.8230*(1000/50)=16.46mg/lであった。前記培養のバイオマス濃度は9g/lであった。グラム乾燥重量あたりで表された細胞内のピノシルビンの濃度は、16.46/9=1.83mg/g乾燥重量であった。
(実施例18)
脂肪性の酵母菌、Yarrowia lipolyticaにおけるトランスピノシルビンの経路のクローニング
a)遺伝子の単離
遺伝子がタンパク質のコード配列として定義される、PAL(フェニルアラニン アンモニアリアーゼ)、CL(シンナモイル:CoAリガーゼ)、及びVST1遺伝子を、Yarrowia lipolyticaにおける発現に対するコドン最適化で、合成遺伝子(ジェンスクリプト コーポレーション(GenScript Corporation)、ピスカタウェィ、ニュージャージー州、アメリカ合衆国)として生成する。Y.lipolyticaにおけるコドン使用量の定量は、前述した(WO2006125000)。PALと4CL遺伝子は、A.thaliana cDNA(Stratagene)からPCRによって単離することができる。シンナモイル:CoAリガーゼCLは、基質としてケイヒ酸を受容するあらゆるヒドロキシシンナモイル:CoAリガーゼになりえる。例えば、4CL1及び4CL2遺伝子によってコードされたA.thaliana由来の4−クマロイル:CoAリガーゼは、好ましい基質は4−ヒドロキシケイヒ酸(クマル酸)であるが、ケイヒ酸を受容する(Hamberger and Hahlbrock,2004;コスタら(Costa et al),2005)。最も好ましくは、CLが、ストレプトミセスcoelicolor由来のシンナメイト:CoAなど、基質としてケイヒ酸に対して特有のコドンで最適化されたリガーゼである(カネコら(Kaneko et al),2003)。同様に、リスベラトロール、いわゆるリスベラトロールシンターゼを生成するスチルベンシンターゼにおいて、通常好ましい基質は4−クマロイル:CoAであるが、VST1遺伝子は、あらゆる基質としてシンナモイル:CoAを受容するコドンで最適化された、又は、最適化されていないスチルベンシンターゼであってもより。2重の基質の許容性のタイプは、Vitis viniferaに由来するVST1遺伝子(配列番号9)の性質を持っている。もっとも好ましくは、基質としてシンナモイル:CoAに特有のPinusのファミリー由来のスチルベンシンターゼを用いる(シャンズら(Schanz et al),1992、コダンら(Kodan et al),2002)。
b)プロモーターとターミネーターの単離
Yarrowia lipolyticaにおいて非相同遺伝子の発現に使用することができるプロモーターは、次のプロモーターに制限されてはいないが、例えば、長鎖アシル:CoAオキシダーゼPOX2、hp4d、イソシトレート・リアーゼICL1、細胞外のアルカリプロテアーゼXPR2、翻訳延長ファアクターTEF、リボソームタンパク質S7 RPS7、グリセルアルデヒド−3−フォスフェイトデヒドロゲナーゼGPD、YAT1、GPAT、FBA1、及びFBAINプロモーターが挙げられる(ミューラーら(Muller et al),1998、WO2006055322、WO2006125000)。
Yarrowia lipolyticaにおいて非相同遺伝子の発現に使われるターミネーターは、次のターミネーターに制限されてはいないが、例えば、XPR2、LIP2、PEX20、及びSQSターミネーターが挙げられる(メルクロブら(Merkulov et al),2000、WO2006055322、WO2006125000)。
ターミネーターとプロモーターDNA断片の単離は、Y.lipolyticaの全細胞から調製されたYarrowia lipolytica遺伝子のDNA由来のPCRによって行うことができ、限定されないが、例えばATCC16618、ATCC18943、ATCC18944、ATCC90811、ATCC90812、ATCC90903等のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション由来の細胞が挙げられる。
c)発現カセットの産出
発現カセットの産出は、例えば5’−プロモーター::遺伝子::ターミネーター−3’DNA断片など、非相同遺伝子のタンパク質をコードする配列とターミネーター配列と共に融合されたプロモーター(構造性の又は誘導性の)を含む線状二本鎖DNA断片の集合を意味する。
発現カセットは、プロモーター、遺伝子をコードする配列、ターミナル断片を含む異なる遺伝子断片の融合PCRの組み合わせによって産出されうる。例えば、PAL遺伝子は、XPR2プロモーターに対するPCR技術と融合され、また、得られるXPR2::PAL断片は、ターミネーターへの第2のPCR反応によってさらに融合され、発現カセットXPR2::PAL::ターミネーターを産出することができる。
発現カセットを産出する別の方法として、既存発現ベクターと、これに限定されないが例えばATCCベクター69355(商品名)において、非相同遺伝子(PAL等)のすでにプロモーター(XPR2)及びターミネーター領域を有し、また、標準的な分子生物学のツールによって非相同遺伝子を導入するための、プロモーターとターミネーターとの間に固有の制限部位を有する、多重クローニング部位(MCS)を有する。標的となるベクターにおいて、プロモーター領域とターミネーター領域との間の制限部位の数が制限される場合、遺伝子組み入れに対するベクターにおいて唯一の制限部位が必要なので、導入クローン化キット技術を使用することができる(クロンテック(Clontech)、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)。プロモーターとターミネーターとの間のベクターに遺伝子を組み入れることによって、発現カセットプロモーター::遺伝子::ターミネーターが、円形ベクターの内側で創造され、単一の二本鎖のDNA断片としてではなく創造される。線状DNA発現カセット断片が必要とされる場合、PCRは発現ベクター由来の発現カセットの増幅に使用されうる。当業者は、いくつかの発現カセットは、好ましくはピノシルビンの生成経路(PAL、CL、及びVST1遺伝子)などの全代謝経路由来の遺伝子と発現カセットのクラスターで得られる、同じプラスミド又はベクターに導入されうることを認めるだろう。ピノシルビンの生成(PAL、CL、及びVST1)に必要とされる3つの遺伝子に対する発現カセットのクラスターは、ピノシルビン経路発現クラスターとして定義される。
d)Y.lipolyticaにおける、ピノシルビン生成のための非相同遺伝子、PAL、CL、及びVST1の組み入れ
ピノシルビン経路遺伝子(PAL、CL、VST1)は、プロモーター、及びターミネータープロモーター::遺伝子:ターミネーターと発現カセットとして組み立てられる。プロモーター及びターミネーターは、異なる遺伝子、PAL、CL、及びVST1に対する異なるプロモーターとターミネーターの同一物或いは組み合わせになりうる。当業者は、Y.lipolyticaにおいてピノシルビン経路発現クラスター(遺伝子PAL、CL、及びVST1を有する発現カセットを含む)の導入と発現に必要とされる利用できるクローニング技術、クローニングベクター、クローニングツールを、これらのツールがさまざまな文献(レダルら(Le DAll et al),1994、ピグネデら(Pignede et al),2000、ジュレツゼクら(Juretzek et al),2001、マザクら(Madzak et al),2004)、及び公報(WO2006055322、WO2006125000)に記述されてきたので認めるだろう。
要約すれば、Y.lipolyticaにおいてピノシルビン経路(PAL、CL、及びVST1)を発現するために適する発現カセットを得られれば、それらを、Y.lipolyticaホストにおいてピノシルビン経路発現クラスターを確立するために、(i)ホスト細胞における自己複製が可能なプラスミドベクターに置くことができ、又は、(ii)ホスト細胞のゲノムに直接結合させることができ、又は組み合わせることができる。発現カセットは、ホストゲノム内に無作為に結合してデザインされ、又は、特有の部位を標的にされうる。両方の場合、発現カセットはさらに発現カセットの両側にホストゲノムと相同の周囲領域を含むように構成される。相同の領域は、ホスト遺伝子座と標的組換えに十分な200〜1000塩基対であってもよい。単一コピーは、必須遺伝子の欠失を導かないゲノムの全ての部分に標的にされうる。遺伝子の高い発現レベルが要求されるとき、Y.lipolyticaゲノム内の複数の部位にへの融合は、特に有益である。発現カセットの複数のコピーの融合のターゲットは、これらに限定されないが、例えば、リボソームのDNA配列(rDNA)、又はレトロ・トランスポゾン成分(TY1成分)(ピグネデら(Pignede et al),2000)が挙げられる。Y.lipolyticaゲノム中のランダムな部位を標的にした発現カセットの複数のコピーを融合するとき、融合によって、Y.lipolyticaにおいて既に存在するターミネーターが、発現カセットのためのターミネーターとなるので、発現カセットプロモーター−遺伝子−ターミネーターは、実際にはプロモーター遺伝子のみを含み短くすることができる。
発現カセットに望まれるコピーナンバーに達するために発現カセットを含むプラスミドDNAを代わりの遺伝子座に融合することができ、これに限定されないが、例えば、URA3遺伝子座(受入番号 AJ306421)、及びLEU遺伝子座(受入番号 AF260230)が挙げられる。LEU2融合ベクターは、これに限定されないが、例えばATCCベクター69355(商品名)が挙げられる。発現カセットを含む発現ベクターは、Y.lipolyticaLEU2マーカー遺伝子を含む発現ベクターを選択するためのロイシンについて栄養要求性のY.lipolytica細胞への形質転換に直接使用される。発現カセットは、適した選択的抗生物質マーカー、又は生合成アミノ酸マーカーを含むその他の発現ベクターの構築にさらに使用されるPCR技術によって発現ベクターから増幅されうる。
URA3の融合部位は、5−fluoroorotic acid(5−FOA)選択との組み合わせで繰り返し使用することができる。詳細には、ネガティブURA3遺伝子は、URA−栄養素要求性の表現型を有する菌株を産出するためのY.lipolyticaホスト菌株において取り除かれ、5−FOA抵抗に基づいて選択が行われる。URA3が存在するとき、5−FOAは、URA3遺伝子によってエンコードされたオロチジン−5’−フォスフェートデカルボキシラーゼによって毒性化合物5−フルオロウラシルに分解され、URA3遺伝子が欠損した細胞だけが抵抗するだろう。その結果として、複数の発現カセットのクラスター、及び新しいURA3遺伝子を、複数の円形型においてYarrowia lipolyticaゲノムの異なる遺伝子座へ結合することができ、それによりURA+原栄養の表現型を有する新しい菌株を形成することができる。その結果生じた結合は、導入されたURA3遺伝子が独立して取り除かれるとき(いわゆる、ループアウト又はポップアウト)、5−FOA選択を再度使って新しいURA3−栄養要求性の菌株を形成する。従って、5−FOA選択との組み合わせにおけるURA3遺伝子は、遺伝子組み換え及び発現カセットの融合の複数の円形型における選択マーカーとして使用することができる。
e)Y.lipolyticaの形質転換
標準的な形質転換技術(チェンら(Chen et al),1997、WO2006125000)を、Y.lipolyticaホストへ発現カセットを含む異質DNA、自己複製ベクター、又はDNA断片を導入するために使用することができる。これに限定されないが、例えば、ATCC90811、ATCC90812、及びARCC90903等のホスト細胞が挙げられる。Y.lipolyticaに導入された異質DNAを維持するために使用される選択方法は、アミノ酸マーカー(フィッカーら(Fickers et al),2003)、又は抗生物質マーカー(コルデロら(Cordero et al),1996)に基づいていてもよい。
(実施例19)
(a)組み換え型大腸菌の菌株を使ったバッチ培養
大腸菌PAL24CL1VST1及びBL21(DE3)(対照菌株)の組換え型菌株を、好気的条件下で、1.5リッターの可動範囲のバッフルされた生物反応器で成長させた。培養を、30℃、800rpmでインキュベートした。一定pH7を、2NのKOHの自動添加によって維持した。好気的条件は、溶解酸素濃度(DOT)が60%を超えることを確かめるために、1vvmの割合で生物反応器に、空気を散布することによって得られた。空気を、生物反応器に導入する前に細菌ろ過した。排気ガスを、コンデンサーを通じて導き、6℃未満に冷却し、音響ガス分析機(acoustic gas analyser)によってCO及びOの容積測定の含有量について分析した。生物反応器には、空気(DOT、100%)とN(DOT、0%)で較正されたポーラログラフの酸素センサーが備え付けられた。
細胞を、バッチ培養で成長するように、次の成分からなる準定義された培地においてグリセロールについて成長させた。6.0g/lの酵母菌の抽出物、27.2g/lのNaHPHO(無水)、12.0g/lのKHPO、2.0g/lのNaCl、4.0g/lのNHCl。グリセロールの濃度は、20g/lであった。培地に、50mg/lのアンピシリン、及び50mg/lのカナマイシンを補足した。消泡剤を、最終的な濃度が50μl/lとなるまで加えた。
生物反応器を、1mlの組み換え型菌株のグリセロール保存培養で植菌し、600nmにおける最終的な光学的濃度を約0.03にした。グリセロール保存培養を、30℃、150rpmで、準定義された培地上で振盪フラスコ内の細胞を成長させることによって得た。培地の組成は、上述したものと同様にしたが、4倍低くし縮小した。例えば、:5g/lのグリセロール、1.5g/lの酵母菌抽出物、6.8g/lのNaHPHO(無水)、3.0g/lのKHPO、0.5g/lのNaCl、及び1.0g/lのNHClである。培地に、50mg/lのアンピシリン、及び50mg/lのカナマイシンを補足した。細胞を、後半の指数増殖期中に採取し、遠心分離によって収集し、滅菌グリセロール溶液15%(w/v)の適した体積中で再懸濁し、600nmにおける最終的な光学的濃度は、30であった。懸濁された細胞の1mlのアリコートを、−80℃で保存した。
細胞が、生物反応器内で成長し始めた後(植菌後5.5時間)、イソプロピルβ−チオガラクトピラノサイド(IPTG)を、3つの遺伝子PAL2、4CL1、及びVST1のそれぞれ直前であるT7プロモーターの誘導因子として、1mMの最終濃度に加えた。
細胞の培養液のサンプルは、バッチ培養の過程で採取され、ピノシルビンの存在について分析された。加えて、サンプルを、バイオマス(光学的濃度OD600に関して)、炭素源(グリセロール)、及び主要な副生成物(エタノール、アセテート、ピルビン酸塩、コハク酸エステル)について分析した。
(b)大腸菌におけるピノシルビンの抽出
細胞内のピノシルビンをエチルアセテートを使って抽出した。その目的のために、4mlのエチルアセテートを8mlの細胞培養液に加えた。その抽出物を、混合し(30秒)、遠心分離器(4℃で、5分間、4500rpm)によって相分離した。アセテート相を、凍結乾燥し(約2時間)、乾燥生成物を0.5mlのメタノールに再溶解し、HPLCによって分析した。これらのサンプルを、さらに水で希釈し(1:5)、HPLCによって分析した。
(c)ピノシルビンの分析
バッチ培養由来のサンプルにおけるピノシルビンの分析を、実施例9bで記述されたような方法を使って行った。サンプルを、あらかじめ次のサンプル前処理手順で、同時に処理した。(i)細胞培養液の遠心分離(5分)と浮遊物の分析、(ii)エタノール(99.9%)添加して50%(v/v)の最終濃度にし、渦(30秒)、遠心分離(5分)を行い、浮遊物を分析、(iii)上記(b)に従ってエチルアセテートで抽出し、メタノール中に再溶解させた乾燥したサンプルを分析。
(結果)
実施例10cに示されるように、大腸菌FSEC−PAL24CL1VST1、及びBL21(DE3)(対照菌株)の組み換え型菌株を、上述の(a)のように、バッチモードにおいて生物反応器で20g/Lのグリセロールで培養した。培養過程で、組み換え型菌株を、上述の(c)に従ってピノシルビンの含有量について分析した。
HPLC分析によって、菌株FSEC−PAL24CL1VST1が、トランス−ピノシルビンの標準物質と同一の保持時間を有する成分を含むことが示された(図4及び5)。加えて、UV吸収スペクトルは、約306nmのλmaxを有する純粋なトランス−ピノシルビン(図示せず)の吸収スペクトルに類似した。
検出されたピノシルビンの最大濃度を、次の表に示す。
Figure 2009543572
対照菌株を用いたバッチ培養由来のサンプルにおいて、ピノシルビンは検出されなかった。
その結果は、したがって、バッチモードの生物反応器内で成長した大腸菌において、トランス−ピノシルビンの生体内の生成につながる活性化されたフェニル−プロパノイド経路の存在を明らかにした。
(実施例20)
(a)組み換え型の黒色アスペルギルス菌株を用いたバッチ培養
C4H、4CL1、及びVST1を含む黒色アスペルギルスの組み換え型菌株を、好気的条件下で1.5リッターの可動範囲のバッフルされた生物反応器内で成長させた。培養を、30℃、700rpmでインキュベートした。一定pH6を、2NのKOHの自動添加によって維持した。好気的条件は、溶解させた酸素圧(DOT)が60%を超えることを確認するために、1vvmの割合で生物反応器に空気を散布することによって得られた。空気を、生物反応器に導入する前に細菌濾過した。排気ガスを、コンデンサー通じて導き、6℃未満に冷却し、音響ガス分析機(acoustic gas analyser)によってCO及びOの容積測定の含有量について分析した。生物反応器には、空気(DOT、100%)とN(DOT、0%)で較正されたポーラログラフの酸素センサーが備え付けられた。細胞を、次の成分を含む定義された培地のスクロース上で成長させた。3.0g/lのNaNO、1.0g/lのKHPO、0.5g/lのKCl、0.5g/lのMgSO・7HO、0.5g/lのFeSO・7HO。スクロースの濃度は30g/lであった。消泡剤を最終濃度が50μ/lとなるまで添加した。
生物反応器を、次の組成の固体の最小培地上であらかじめ繁殖させたC4H、4CL1、及びVST1を含む黒色アスペルギルス菌株の胞子を使ってインキュベートをした。1g/Lのグルコース、0.85g/LのNaNO、0.1g/LのKCl、0.1g/LのMgSO・7HO、及び、0.3g/LのKHPO、0.000008g/LのCuSO・5HO、0.000008g/LのNa・10HO、0.00016g/LのFeSO・7HO、0.00016g/LのMnSO・2HO、0.00016g/LのNaMoO・2HO、0.0016g/LのZnSO・7HO。胞子を5日間37℃で培養し、Tween80%溶液(0.25%(w/v))を添加することによって集菌した。
(b)黒色アスペルギルスにおけるピノシルビンの抽出
細胞を、均質化によって分裂させ(ポリトロン細胞組織ホモジナイザー)、細胞内のピノシルビンを、10mlのエチルアセテートを用いて抽出した。その抽出物を、回転混合機によって混合し(約15分)、遠心分離器(4℃で、5分間、4500rpm)によって、相分離した。アセテート相を、凍結乾燥(約2時間)し、乾燥生成物を0.5mlのメタノールで再溶解し、HPLCによって分析した。
(c)ピノシルビンの分析
バッチ培養由来のサンプルにおけるピノシルビンの分析を、実施例9bに記述されたような方法で行った。
(結果)
実施例16eに記述されているようにC4H、4CL1、及びVST1を含む黒色アスペルギルスの組み換え型菌株を、実施例HD4に従って、バッチモードにおいて生物反応器で30g/Lのスクロースで培養した。約48時間の培養後、細胞を生物反応器から集菌し、均質化によって分裂させ、上述した(b)及び(c)に従ってピノシルビンの細胞内の含有量について分析した。
HPLC分析によって、C4H、4CL1、及びVST1を含む黒色アスペルギルス菌株が、細胞内にトランス−ピノシルビンの標準物質と同一の保持時間を有する成分を発現することを示した(図4及び5)。さらに、UV吸収スペクトルは、約306nmのλmaxを有する純粋なトランス−ピノシルビン(図示せず)の吸収スペクトルに類似した。
その結果は、したがって、バッチモードの生物反応器内で成長した黒色アスペルギルスにおいて、トランス−ピノシルビンの生体内の生成につながる活性化されたフェニル−プロパノイド経路の存在を明らかにした。
参考文献
下記の刊行物はすべて、参照され本明細書の一部とされる。
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以下は、本明細書に現れるヌクレオチド配列とアミノ酸配列の概要である。
配列番号1は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL2)をコードするシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のヌクレオチド配列である。
配列番号2は、配列番号1によりコードされるアミノ酸配列である。
配列番号3は、4−クマレート:補酵素Aリガーゼ(4CL1)をコードするシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のヌクレオチド配列である。
配列番号4は、配列番号3によりコードされるアミノ酸配列である。
配列番号5は、リスベラトロールシンターゼ(RES)をコードするRheum tataricum由来のヌクレオチド配列である。
配列番号6は、配列番号5によりコードされるアミノ酸配列である。
配列番号7は、S.セレヴィシエ(S.cerevisiae)での発現のためにコドン最適化されたリスベラトロールシンターゼ(RES)をコードするRheum tataricum由来のヌクレオチド配列である。
配列番号8は、配列番号7によりコードされるアミノ酸配列である。
配列番号9は、S.セレヴィシエ(S.cerevisiae)での発現のためにコドン最適化されたリスベラトロールシンターゼ(VST1)をコードするVitis vinifera由来のヌクレオチド配列である。
配列番号10は、配列番号9によりコードされるアミノ酸配列である。
配列番号11〜16は、表1に現れる実施例1のプライマー配列である。
配列番号17〜22は、実施例16aで使用されるプライマー配列である。
配列番号23〜26は、実施例16bで使用されるプライマー配列である。
配列番号27〜30は、実施例16cで使用されるプライマー配列である。

Claims (89)

  1. 少なくとも1種類の酵素活性を含む操作的な代謝経路を有する微生物において、当該経路がケイヒ酸からピノシルビンを生産することを特徴とするピノシルビン生産微生物の使用。
  2. 前記微生物が、ケイヒ酸を生産し、且つ、そこからピノシルビンを生産することを特徴とする請求項1に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  3. 前記ピノシルビンが、内在性のマロニル−CoAが基質である酵素により触媒される反応で生産されることを特徴とする請求項2に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  4. 前記ピノシルビンが、シンナモイル−CoAから生産されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  5. 前記ピノシルビンが、シンナモイル−CoAからスチルベンシンターゼにより生産されることを特徴とする請求項4に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  6. 前記スチルベンシンターゼが、前記微生物中において、前記微生物に固有ではない前記酵素をコードする核酸から発現されることを特徴とする請求項5に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  7. 前記スチルベンシンターゼが、ラッカセイ属に属する植物、ダイオウ属に属する植物、ヴィートス属に属する植物、或いは、マツ属、トウヒ属、ユリ属、ユーカリノキ属、ツタ属、シッサス属、カロコルタス属、タデ属、グネツム属、パンノキ属、ナンキョクブナ属、ナツメヤシ属、ウシノケグサ属、スゲ属、シュロソウ属、ハカマカズラ属、又はPterolobium属のいずれか1種類に属する植物に由来するリスベラトロールシンターゼ(EC 2.3.1.95)であることを特徴とする請求項6に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  8. 前記スチルベンシンターゼが、P.sylvestris、P.strobes、P.densiflora、P.taedaを含むマツ属に属する植物、トウヒ属に属する植物、又はユーカリノキ属のいずれか1種類に属する植物に由来するピノシルビンシンターゼ(EC 2.3.1.146)であることを特徴とする請求項6に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  9. 前記ケイヒ酸が、アンモニアが生成される酵素触媒反応でL−フェニルアラニンから前記経路で生産されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  10. 前記ケイヒ酸が、L−フェニルアラニンからL−フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)により形成されることを特徴とする請求項9に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  11. 前記フェニルアラニンアンモニアリアーゼが、前記微生物中において、前記微生物に固有ではない前記酵素をコードする核酸から発現されることを特徴とする請求項10に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  12. 前記ケイヒ酸が、シロイヌナズナ属に属する植物、アブラナ属に属する植物、ミカン属に属する植物、インゲンマメ属に属する植物、マツ属に属する植物、ハコヤナギ属に属する植物、ナス属に属する植物、サクラ属に属する植物、ヴィートス属に属する植物、トウモロコシ属に属する植物、或いは、アガスタケ属、アナナス属、アスパラガス属、ブロムヘディア属、ホウライチク属、フダンソウ属、カバノキ属、キュウリ属、ツバキ属、トウガラシ属、カッシア属、カタランサス属、マメ属、スイカ属、コーヒーノキ属、カボチャ属、ギョウギシバ属、ニンジン属、デンドロビウム属、ナデシコ属、ジギタリス属、ヤマノイモ属、ユーカリ属、ガルス属、イチョウ属、ダイズ属、オオムギ属、ヒマワリ属、サツマイモ属、アキノノゲシ属、リソスペルマム属、ハス属、トマト属、ウマゴヤシ属、リンゴ属、マニホット属、ウマゴヤシ属、メセンブリアンテマム属、タバコ属、オリーブ属、オリザ属、ピスム属、ペルセア属、ペトロセリヌム属、ファレノプシス属、マダケ属、センタイ属、ピケア属、ピルス属、ケルクス属、ラファヌス属、ジオウ属、キイチゴ属、モロコシ属、スフェノスチリス属、ハコベ属、スタイロ属、コムギ属、シャジクソウ属、コムギ属、スノキ属、ササゲ属、又はジニア属のいずれか1種類に属する植物、又は、アスペルギルス属に属する糸状菌に由来するL−フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(EC 4.3.1.5)によりL−フェニルアラニンから形成されることを特徴とする請求項11に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  13. 前記PALが、基質としてチロシンを受容し、且つ、そこからケイヒ酸を形成する場合、前記PALに対するKm(フェニルアラニン)/Km(チロシン)の比は、1:1未満となるように、前記PALが、基質としてフェニルアラニンを受容し、且つ、そこからケイヒ酸を生産することを特徴とする請求項10〜12のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  14. 前記微生物が、シンナメート−4−ヒドロキシラーゼ酵素(C4H)を生産する場合、Kcat(PAL)/Kcat(C4H)の比は、少なくとも2:1であることを特徴とする請求項13に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  15. 前記シンナモイル−CoAが、ATP及びCoAが基質で、且つ、ADPが生産物である酵素により触媒される反応で、前記経路により形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  16. 前記シンナモイル−CoAが、4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナモイル−CoAリガーゼにより触媒される反応で形成されることを特徴とする請求項1〜15のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  17. 前記4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼが、モミ属に属する植物、シロイヌナズナ属に属する植物、アブラナ属に属する植物、ミカン属に属する植物、カラマツ属に属する植物、インゲンマメ属に属する植物、マツ属に属する植物、ハコヤナギ属に属する植物、ナス属に属する植物、ヴィートス属、トウモロコシ属に属する植物、或いは、アガスタケ属、アンフォラ属、カタヤ属、ヒマラヤスギ属、クロッカス属、ウシノケグサ属、ダイズ属、クルミ属、シマモミ属、リソスペルマム属、ロリウム属、ハス属、トマト属、リンゴ属、ウマゴヤシ属、メセンブリアンテマム属、タバコ属、ノトツガ属、オリザ属、テンジクアオイ属、ペトロセリヌム属、センタイ属、トウヒ属、サクラ属、モミ属、トガサワラ属、ローザ属、キイチゴ属、Ryza属、サトウキビ属、マツナ属、テルンギエラ属、コムギ属、又はツガ属のいずれか1種類に属する植物に由来する、又は、アスペルギルス属に属する糸状菌、アカパンカビ属に属する糸状菌、ヤロウイア属に属する真菌、Mycosphaerella属に属する真菌に由来する、又は、マイコバクテリウム属に属する細菌、ナイセリア属に属する細菌、ストレプトマイセス属に属する細菌、ロドバクター属に属する細菌に由来する、又は、アンシロストーマ属に属する線虫、カエノルハブディティス属に属する線虫、ヘモンクス属に属する線虫、Lumbricus属に属する線虫、Meilodogyne属に属する線虫、Strongyloidus属に属する線虫、又はPristionchus属に属する線虫類に由来する4−クマレート−CoAリガーゼ/シンナメート−CoAリガーゼ(EC 6.2.1.12)であることを特徴とする請求項16に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  18. 前記代謝経路の各酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物に組換えで導入されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  19. フェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物中の前記遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結していることを特徴とする請求項1〜18のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  20. 4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物中の前記遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結していることを特徴とする請求項1〜19のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  21. リスベラトロールシンターゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物中の前記遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結していることを特徴とする請求項1〜20のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  22. ピノシルビンシンターゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物中の前記遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結していることを特徴とする請求項1〜21のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  23. 前記微生物が、発現シグナルに作動可能に連結されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結された4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結されたリスベラトロールシンターゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有する微生物であることを特徴とする請求項1に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  24. 前記微生物が、発現シグナルに作動可能に連結されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結された4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結されたピノシルビンシンターゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有する微生物であることを特徴とする請求項1に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  25. 前記微生物が、真菌であることを特徴とする請求項1〜24のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  26. 前記微生物が、糸状菌であることを特徴とする請求項25に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  27. 前記微生物が、アスペルギルス属に属することを特徴とする請求項26に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  28. 前記微生物が、黒色アスペルギルス、又は麹菌の菌株であることを特徴とする請求項27に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  29. 前記微生物が、酵母菌であることを特徴とする請求項25に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  30. 前記微生物が、サッカロミセス属、クリベロミセス属、カンジダ属、ピチア属、デバロミセス属、ハンゼヌラ属、ヤロウイア属、ザイゴサッカロミセス属、又はシゾサッカロミセス属に属することを特徴とする請求項29に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  31. 前記微生物が、Saccharomyces cerevisiae、S.kluyveri、S.bayanus、S.exiguus、S.sevazzi、S.uvarum、Klyuveromyces lactis K.marxianus var.marxianus、K.thermotolerans、Candida utilis C.tropicalis、Pichia stipidis、P.pastoris、P.sorbitophila、Debaromyces hansenii、Hansenula polymorpha、Yarrowia lipolytica、Zygosaccharomyces rouxii、又はSchizosaccharomyces pombeの菌株であることを特徴とする請求項30に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  32. 前記微生物が、細菌であることを特徴とする請求項1〜24のいずれかの請求項に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  33. 前記微生物が、エシェリキア属、又はラクトコッカス属に属することを特徴とする請求項32に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  34. 前記微生物が、大腸菌、又は乳酸連鎖球菌の菌株であることを特徴とする請求項33に記載のピノシルビン生産微生物の使用。
  35. フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼ、及びリスベラトロールシンターゼをコードするヌクレオチド配列の異種発現のピノシルビンを生産するための使用。
  36. フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼ、及びピノシルビンシンターゼをコードするヌクレオチド配列の異種発現のピノシルビンを生産するための使用。
  37. ピノシルビンの生産条件下で、代謝経路を作り出すピノシルビンを有する微生物細胞を培養する工程を含むピノシルビンを生産する方法であって、
    前記経路が、基質としてフェニルアラニンを受容し、且つ、そこからケイヒ酸を生産するフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を含み、
    前記PALが、基質としてチロシンを受容し、且つ、そこからクマル酸を形成する場合、前記PALに対するKm(フェニルアラニン)/Km(チロシン)の比は、1:1未満であり、且つ、
    前記微生物が、シンナメート−4−ヒドロキシラーゼ酵素(C4H)を生産する場合、Kcat(PAL)/Kcat(C4H)の比は、少なくとも2:1であることを特徴とするピノシルビンを生産する方法。
  38. 生産された単離ピノシルビンをさらに含むことを特徴とする請求項37に記載のピノシルビンを生産する方法。
  39. 前記培養工程が、ケイヒ酸又はその誘導体の外部源の実質的な非存在下で行われることを特徴とする請求項37又は請求項38に記載のピノシルビンを生産する方法。
  40. 前記微生物細胞が、糸状菌及び細菌からなる群より選択されることを特徴とする請求項37〜39のいずれかの請求項に記載のピノシルビンを生産する方法。
  41. 前記微生物細胞が、酵母菌からなる群より選択される真菌であることを特徴とする請求項40に記載のピノシルビンを生産する方法。
  42. 前記酵母菌が、Saccharomyes属より選択されることを特徴とする請求項41に記載のピノシルビンを生産する方法。
  43. 前記微生物細胞には、C4Hの外因性の生産がないことを特徴とする請求項37〜42のいずれかの請求項に記載のピノシルビンを生産する方法。
  44. 前記微生物細胞には、C4Hの内因性の生産がないことを特徴とする請求項43に記載のピノシルビンを生産する方法。
  45. 前記微生物細胞が、請求項1〜36のいずれかに従って用いられることを特徴とする請求項37〜44のいずれかの請求項に記載のピノシルビンを生産する方法。
  46. 前記培養工程が、単糖類、オリゴ糖類、多糖類からなる発酵性の炭素基質からなる群より選択される炭素基質の存在下で行われることを特徴とする請求項37〜45のいずれかに記載のピノシルビンを生産する方法。
  47. 前記発酵性の炭素基質が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、マンノース、スクロース、ラクトース、エリトロース、スレオース、リボースであることを特徴とする請求項46に記載のピノシルビンを生産する方法。
  48. 前記培養工程が、非発酵性の炭素基質からなる群より選択される炭素基質の存在下で行われることを特徴とする請求項37〜47のいずれかの請求項に記載のピノシルビンを生産する方法。
  49. 前記非発酵性の炭素基質が、エタノール、アセテート、グリセロール、乳酸塩であることを特徴とする請求項48に記載のピノシルビンを生産する方法。
  50. 前記非発酵性の炭素基質が、アミノ酸からなる群より選択されることを特徴とする請求項48に記載のピノシルビンを生産する方法。
  51. 前記非発酵性の炭素基質が、フェニルアラニンからなる群より選択されることを特徴とする請求項50に記載のピノシルビンを生産する方法。
  52. 食物又は餌の製品に、栄養補助食品として前記生産されたピノシルビンの組み込みをさらに含むことを特徴とする請求項37〜51のいずれかの請求項に記載のピノシルビンの生産方法。
  53. 前記ピノシルビンが、乳製品又は飲料の栄養補助食品として使用されることを特徴とする請求項52のピノシルビンを生産する方法。
  54. 前記ピノシルビンが、ビールの栄養補助食品として使用されることを特徴とする請求項52のピノシルビンを生産する方法。
  55. 基質とする4−シンナモイル−CoAとの転写回転率よりも、基質とするシンナモイル−CoAとより高い転写回転率を有するスチルベンゼンシンターゼの作用によって、シンナモイル−CoAを生産し、且つ、そこからピノシルビンを生産する操作的な代謝経路を有する微生物。
  56. 前記スチルベンシンターゼが、前記微生物中において、前記微生物に固有ではない前記酵素をコードする核酸から発現されることを特徴とする請求項55に記載の微生物。
  57. 前記スチルベンシンターゼが、木の種に属するピノシルビンシンターゼであることを特徴とする請求項56に記載の微生物。
  58. 前記スチルベンシンターゼが、マツ属、ユーカリノキ属、トウヒ属、マクルラ属に固有のピノシルビンシンターゼであることを特徴とする請求項57に記載の微生物。
  59. 前記スチルベンシンターゼが、P.sylvestris、P.strobes、P.densiflora、P.taedaを含むマツ属に属する植物に由来するピノシルビンシンターゼ(EC 2.3.1.146)であることを特徴とする請求項58に記載の微生物。
    前記ケイヒ酸が、L−フェニルアラニンからL−フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)により形成されることを特徴とする請求項55に記載の微生物。
  60. 前記スチルベンシンターゼが、前記微生物中において、前記微生物に固有ではない前記酵素をコードする核酸から発現されることを特徴とする請求項59に記載の微生物。
  61. 前記ケイヒ酸が、シロイヌナズナ属に属する植物、アブラナ属に属する植物、ミカン属に属する植物、インゲンマメ属に属する植物、マツ属に属する植物、ハコヤナギ属に属する植物、ナス属に属する植物、サクラ属に属する植物、ヴィートス属に属する植物、トウモロコシ属に属する植物、或いは、アガスタケ属、アナナス属、アスパラガス属、ブロムヘディア属、ホウライチク属、フダンソウ属、カバノキ属、キュウリ属、ツバキ属、トウガラシ属、カッシア属、カタランサス属、マメ属、スイカ属、コーヒーノキ属、カボチャ属、ギョウギシバ属、ニンジン属、デンドロビウム属、ナデシコ属、ジギタリス属、ヤマノイモ属、ユーカリ属、ガルス属、イチョウ属、ダイズ属、オオムギ属、ヒマワリ属、サツマイモ属、アキノノゲシ属、リソスペルマム属、ハス属、トマト属、ウマゴヤシ属、リンゴ属、マニホット属、ウマゴヤシ属、メセンブリアンテマム属、タバコ属、オリーブ属、オリザ属、ピスム属、ペルセア属、ペトロセリヌム属、ファレノプシス属、マダケ属、センタイ属、ピケア属、ピルス属、ケルクス属、ラファヌス属、ジオウ属、キイチゴ属、モロコシ属、スフェノスチリス属、ハコベ属、スタイロ属、コムギ属、シャジクソウ属、コムギ属、スノキ属、ササゲ属、又はジニア属のいずれか1種類に属する植物、又は、アスペルギルス属に属する糸状菌に由来するL−フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(EC 4.3.1.5)によりL−フェニルアラニンから形成されることを特徴とする請求項60に記載の微生物。
  62. 前記PALが、基質としてチロシンを受容し、且つ、そこからケイヒ酸を形成する場合、前記PALに対するKm(フェニルアラニン)/Km(チロシン)の比は、1:1未満となるように、前記PALが、基質としてフェニルアラニンを1つ受容し、且つ、そこからケイヒ酸を生産することを特徴とする請求項59〜61のいずれかの請求項に記載の微生物。
  63. 前記微生物が、シンナメート−4−ヒドロキシラーゼ酵素(C4H)を生産する場合、Kcat(PAL)/Kcat(C4H)の比は、少なくとも2:1であることを特徴とする請求項62に記載の微生物。
  64. スチルベンシンターゼの作用により、シンナモイル−CoAを生産し、且つ、そこからピノシルビンを生産する操作的な代謝経路を有する微生物であって、
    前記L−フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)が、基質としてチロシンを受容し、且つ、そこからクマル酸を形成する場合、前記PALに対するKm(フェニルアラニン)/Km(チロシン)の比は、1:1未満となるように、前記ケイヒ酸が、基質としてフェニルアラニンを受容し、且つ、そこからケイヒ酸を生産する前記PALにより、L−フェニルアラニンから形成されることを特徴とするピノシルビンを生産する方法。
  65. 前記微生物が、シンナメート−4−ヒドロキシラーゼ酵素(C4H)を生産する場合、Kcat(PAL)/Kcat(C4H)の比は、少なくとも2:1であることを特徴とする請求項64に記載の微生物。
  66. シンナモイル−CoAが、ATP及びCoAが基質で、且つ、ADPが生成物である酵素により触媒される反応で形成されることを特徴とする請求項55〜65のいずれかの請求項に記載の微生物。
  67. シンナモイル−CoAが、4−クマロイル−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼにより触媒される反応で形成されることを特徴とする請求項66に記載の微生物。
  68. 前記4−クマロイル−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼが、前記微生物中において、前記微生物に固有ではない前記酵素をコードする核酸から発現されることを特徴とする請求項67に記載の微生物。
  69. 前記4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼが、モミ属に属する植物、シロイヌナズナ属に属する植物、アブラナ属に属する植物、ミカン属に属する植物、カラマツ属に属する植物、インゲンマメ属に属する植物、マツ属に属する植物、ハコヤナギ属に属する植物、ナス属に属する植物、ヴィートス属、トウモロコシ属に属する植物、或いは、アガスタケ属、アンフォラ属、カタヤ属、ヒマラヤスギ属、クロッカス属、ウシノケグサ属、ダイズ属、クルミ属、シマモミ属、リソスペルマム属、ロリウム属、ハス属、トマト属、リンゴ属、ウマゴヤシ属、メセンブリアンテマム属、タバコ属、ノトツガ属、オリザ属、テンジクアオイ属、ペトロセリヌム属、センタイ属、トウヒ属、サクラ属、モミ属、トガサワラ属、ローザ属、キイチゴ属、Ryza属、サトウキビ属、マツナ属、テルンギエラ属、コムギ属、又はツガ属のいずれか1種類に属する植物に由来する、又は、アスペルギルス属に属する糸状菌、アカパンカビ属に属する糸状菌、ヤロウイア属に属する真菌、Mycosphaerella属に属する真菌に由来する、又は、マイコバクテリウム属に属する細菌、ナイセリア属に属する細菌、ストレプトマイセス属に属する細菌、ロドバクター属に属する細菌に由来する、又は、アンシロストーマ属に属する線虫、カエノルハブディティス属に属する線虫、ヘモンクス属に属する線虫、Lumbricus属に属する線虫、Meilodogyne属に属する線虫、Strongyloidus属に属する線虫、又はPristionchus属に属する線虫類に由来する4−クマレート−CoAリガーゼ/シンナメート−CoAリガーゼ(EC 6.2.1.12)であることを特徴とする請求項68に記載の微生物。
  70. 前記代謝経路の各酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物に組換えで導入されていることを特徴とする請求項55〜69のいずれかの請求項に記載の微生物。
  71. フェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物中の前記遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結していることを特徴とする請求項55〜70のいずれかの請求項に記載の微生物。
  72. 4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物中の前記遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結していることを特徴とする請求項55〜71のいずれかの請求項に記載の微生物。
  73. 前記シンナメート−CoAリガーゼが、基質とするトランス−クマル酸よりも、基質するクマル酸とより大きい活性を有することを特徴とする請求項72に記載の微生物。
  74. ピノシルビンシンターゼをコードする遺伝子配列の少なくとも1つのコピーが、前記微生物中の前記遺伝子配列に天然では関連しない発現シグナルに作動可能に連結していることを特徴とする請求項55〜73のいずれかの請求項に記載の微生物。
  75. 前記微生物が、発現シグナルに作動可能に連結されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結された4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結されたリスベラトロールシンターゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有することを特徴とする請求項55、請求項64、又は請求項65に記載の微生物。
  76. 前記微生物が、発現シグナルに作動可能に連結されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結された4−クマレート−CoAリガーゼ、又はシンナメート−CoAリガーゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有し、発現シグナルに作動可能に連結されたピノシルビンシンターゼをコードする異種DNA配列の1つ以上のコピーを含有することを特徴とする請求項55、請求項64、請求項65に記載の微生物。
  77. 前記微生物が、真菌であることを特徴とする請求項55〜76のいずれかの請求項に記載の微生物。
  78. 前記微生物が、糸状菌であることを特徴とする請求項77に記載の微生物。
  79. 前記微生物が、アスペルギルス属に属する微生物であることを特徴とする請求項78に記載の微生物。
  80. 前記微生物が、黒色アスペルギルス、又は麹菌の菌株であることを特徴とする請求項79に記載の微生物。
  81. 前記微生物が、酵母菌であることを特徴とする請求項77に記載の微生物。
  82. 前記微生物が、サッカロミセス属、クリベロミセス属、カンジダ属、ピチア属、デバロミセス属、ハンゼヌラ属、ヤロウイア属、ザイゴサッカロミセス属、又はシゾサッカロミセス属に属することを特徴とする請求項81に記載の微生物。
  83. 前記微生物が、Saccharomyces cerevisiae、S.kluyveri、S.bayanus、S.exiguus、S.sevazzi、S.uvarum、Klyuveromyces lactis K.marxianus var.marxianus、K.thermotolerans、Candida utilis C.tropicalis、Pichia stipidis、P.pastoris、P.sorbitophila、Debaromyces hansenii、Hansenula polymorpha、Yarrowia lipolytica、Zygosaccharomyces rouxii、又はSchizosaccharomyces pombeの菌株であることを特徴とする請求項82に記載の微生物。
  84. 前記微生物が、細菌であることを特徴とする請求項55に記載の微生物。
  85. 前記微生物が、エシェリキア属、又はラクトコッカス属に属することを特徴とする請求項84に記載の微生物。
  86. 前記微生物が、大腸菌、又は乳酸連鎖球菌の菌株であることを特徴とする請求項85に記載の微生物。
  87. ピノシルビンの生産条件下で、請求項55〜86のいずれかの請求項に記載の微生物を培養する工程を含むピノシルビンを生産する方法。
  88. 微生物で生産されたピノシルビンを含む食物の製品。
  89. 微生物細胞、及び少なくとも乾燥重量基準で1.5mg/gのピノシルビンを含む微生物組成物。
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