JP2009542726A - 抗菌ペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、一般式(Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8Sを有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチドに関する。

Description

本発明は、抗菌活性及びエンドトキシン中和活性を有するポリペプチド及リポポリペプチドの新規なファミリーに関する。新規化合物はまた、従来の抗生物質又は抗エンドトキシン剤との併用療法に使用され得る。更に、本発明は、新規化合物の作製及び使用のためのプロセスを開示する。
商業的に入手可能な抗生物質に耐性のある病原菌の発生が増加していることによって、抗菌薬としてのペプチドの開発に対する関心が高まってきた。実際、大部分の院内感染(最高で70%)は、現在のところ抗生物質耐性菌が原因である。薬剤耐性の問題に加えて、グラム陰性菌感染症の抗生物質治療は、敗血症性ショックを誘発するエンドトキシンの放出を引き起こす可能性があり、このことは、抗菌剤療法に対する更なる課題となる。敗血症性ショックは、集中治療室における主要な死因である。グラム陰性菌は、特に、この知られた応答の最も効力のあるエリシターであるリポポリサッカライド(又はLPS)を、そのエンベロープ内に含有する、そのうえ、グラム陰性菌感染症に現在使用されている抗生物質は菌を死滅させることができるが、抗生物質の投与によっては、死滅しつつある菌の外膜から放出されたLPSは中和されない。LPSのこの放出は、現実に肺損傷を増加させ、且つ、敗血症候群につながる可能性がある。故に、抗菌性を有し、且つ、放出されたエンドトキシンを中和する剤があれば、故に細菌感染症の治療に大きな価値のあるものとなるであろう。
菌が、多数の既存の抗生物質に対する現在の多剤耐性へと進化してきたことから、新しい種類の化合物は、菌耐性の急激な発現を最小限にする可能性が高い。自然は、我々に、哺乳類の先天性免疫のエフェクター分子が、病原微生物の実質的アレイに対する防御の第1選択を提供し得るということを教示してきた。特に、宿主防御ペプチドは、多機能性エフェクター分子であると考えられ、抗菌剤耐性を克服するための治療剤の開発のための新規原料となる。従来の多くの抗生物質は、何日かの期間にわたって菌に打撃を与え、それを死滅させるが、大部分の抗菌ペプチドは、ほとんど即座に、即ち数分で死滅させる。種々の抗菌ペプチドはまた、その受容体(例えば、LBP、CD14、MD−2/TLR4)とのLPSの相互作用を遮断し、それによって、マクロファージの活性化の阻害(LPS毒性を低下させ得る特徴)が生じる。
ラクトフェリンは、哺乳類の外分泌物や、抗菌活性及びLPS結合活性を有する炎症反応中の好中性顆粒に認められる鉄結合性内因性糖タンパク質である。ラクトフェリンは、抗細菌性や、抗菌性、抗ウイルス性、抗腫瘍性、抗炎症性、免疫調節性等の多機能性を示す。ラクトフェリン及び誘導体は、細菌エンドトキシン(LPS)を中和する能力を有することが知られており、従って生物体を敗血症の悪影響から保護する。従って、in vitroにおけるその抗菌活性及び抗炎症活性に関する多くの報告は、ラクトフェリンが、感染症及び過剰な炎症に対する宿主防御に重要であることを確認している。in vitro及びin vivoにおけるヒトラクトフェリンのタンパク分解によって、ラクトフェリシンと呼ばれるペプチドフラグメントが生成し、それは内在性ラクトフェリンよりも抗菌活性が高い。ラクトフェリシンの多くのより短い合成誘導体は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対する抗菌活性を示し、LPSに特異的に結合する(Strom et al.,J.Peptide Res.57:127−139(2001))。多くの宿主防御ペプチドには、新規抗菌剤の候補物質としての見込みがあるが、ヒトラクトフェリン及び誘導体は、多機能活性を有し、且つ、ヒト由来であるために有害な生理作用を誘発する可能性が低いという点で独特である。
ミリストイル化アラニンリッチCキナーゼ基質(MARCKS)及びMARCKS関連タンパク質は、多くの細胞型における主要なプロテインキナーゼC基質である。MARCKSの転写は、細菌性LPSに応答したマクロファージ及びミクログリア細胞の刺激によって著しく上方制御されることが明らかにされた。MARCKS上のLPS結合モチーフは、コンビナトリアルライブラリーのアプローチを使用して同定された、効力のある抗菌ヘキサペプチドに、非常に類似している。MARCKSがN末端ミリストイル化によって天然で修飾されることから、より短いMARCKS誘導体への親油基の挿入によって、効力のある抗菌活性及び/又はLPS結合が生じ得ることが予想され得る。
疎水性の、特にリポペプチドのアルキル鎖又はアシル鎖の存在の、その抗菌活性との関連は、リポペプチド(例えば、ポリミキシン、オクタペプチン、ダプトマイシン)について記載されてきた。更に、ポリミキシンは、LPS分子との親和性が高く、LPS上の結合部位からの2価カチオンの移動によって負に荷電した頭部基を崩壊させることによって外膜を浸透性にする。ラクトフェリシンBの9量体コアペプチドのN末端のアシル化によって、抗菌活性が改善した。最近、長鎖N−アシルアミノ酸抗生物質が土壌試料から単離された。また、リポポリアミン(DOSPER、DOSPA、DOGS(全てC17のアルキル鎖を含む)は、LPSを封鎖し、次いで炎症性メディエーターの産生につながる下流の細胞活性化事象を遮断することによって抗エンドトキシン活性を示すことが報告された。緑膿菌による侵襲性のグラム陰性菌血症を伴う好中球減少症ラットにおける単独の投与の場合には無効であったが、抗生物質セフタジジムと併用して投与した場合には、これらのリポポリアミンは、セフタジジムよりも有意に生存率を増加させた。
新規送達系の開発を継続することによって、感染症に対する治療分野におけるペプチドのポテンシャルが増大することが期待される。例えば、脳組織へのペプチド送達は、現在、最近のキメラペプチド戦略の開発によって可能である(Bickel et al.,Adv.Drug De−liv.Rev.46:247−279(2001))。肺全摘除並びにポリミキシンB固定化ファイバー及び持続的血液透析濾過による後治療の成功した症例が、肺結核を患う患者における敗血症(「敗血症性ショック」)の原因因子を除去したとして報告された(Takahashi et al., Ann.Thorac.Cardi−ovasc.Surg.9:319−322(2003))。同様に、経口投与後のペプチド薬の生物学的利用能を高めるために、多くの戦略が開発中である。その戦略としては、微粒子薬物送達(例えばナノ粒子、マイクロカプセル、リポソーム、乳剤)、粘膜付着性剤送達や、透過増強剤の使用が挙げられる(Kompella et al.,Adv.Drug Deliv.Rev.46:211−245(2001))。
Japelj B.et al.,(J Biol Chem.280(17)(2005):16955−61)は、ラクトフェリンに由来するアミノ酸配列FQWQRNIRKVR−NH2を含むエンドトキシン中和ペプチド(LF11)に関するものである。これらの試験の中で、LPS結合の原因となるLF11のアミノ酸残基が決定された。
Japelj B et al.と同様に、Andrae J.et al.(Bio−chem J.385(2005):135−43)においては、C12のアルキル鎖に結合したラクトフェリン由来ペプチドLF11のLPSとの相互作用が解析された。
Farnaud S.et al.(FEMS Microbiol Lett.238(1)(2004):221−6)においては、ウシ及びヒトのラクトフェリン由来の抗菌ペプチドが開示されている。この科学的な著作の著者は、LPSへのこれらのペプチドの結合について検討した。
米国特許第2003/0022821号は、アミノ酸残基の内の3個以上がカチオン性となる7〜25個のアミノ酸残基を含む修飾ラクトフェリンペプチドに関するものである。米国特許第2003/0022821号に記載のペプチドは、更に、バルキーなアミノ酸残基と疎水性アミノ酸残基とを含む。
Chen PW et al.(Am J Vet Res.64(9)(2003):1088−92)は、疎水性アミノ酸残基とカチオン性アミノ酸残基とを高含有率で含むラクトフェリン類似体に関するものである。
本発明の目的は、抗菌特性とエンドトキシン中和特性とを示すペプチドを提供することにある。
故に、本発明は、式
(Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8S
[式中、
Xaa1は疎水性アミノ酸であり、好ましくはフェニルアラニン(Phe)、アラニン(Ala)、ロイシン(Leu)及びバリン(Val)からなる群から選択され、
Xaa2は塩基性アミノ酸であり、好ましくはアルギニン(Arg)及びリジン(Lys)からなる群から選択され、
Xaa3は疎水性アミノ酸であり、好ましくはトリプトファン(Trp)であり、
Xaa4は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、グルタミン(Gln)、アスパラギン(Asn)、プロリン(Pro)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)及びバリン(Val)からなる群から選択され、
Xaa5は、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)及びチロシン(Tyr)からなる群から選択され、
Xaa6は、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、チロシン(Tyr)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、
Xaa7は、疎水性アミノ酸であり、好ましくはイソロイシン(Ile)、トリプトファン(Trp)、バリン(Val)及びロイシン(Leu)からなる群から選択され、及び
Xaa8は、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、イソロイシン(Ile)及びセリン(Ser)からなる群から選択され、且つ
Oは0であり、
Mは1又は2であり、
Pは2又は3であり、
Q及びRは1であり、及び
Sは、1、2、3又は4である]を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチドに関する。
本発明は、抗菌活性とエンドトキシン中和活性とを示す単離されたペプチド、ポリペプチド及びリポペプチドに関する。これらの分子は、さまざまな病原菌(細菌、ウイルス、真菌等)に対する広域抗菌スペクトルの活性を示す。活性化合物の開発は、新規ペプチド化合物を使用した、SAR解析実験、生物物理学的実験、微生物学的実験、免疫学的実験、及び構造的実験に基づいて行われた。
本発明は、抗菌活性及び/又は抗エンドトキシン活性を有するペプチド及びリポペプチドを提供するものである。本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、天然のアミノ酸及びその誘導体の両方を指す。更に、1種以上のアミノ酸の模倣体(別名ペプチドの模倣体又はペプチド模倣体として知られている)も使用され得る。本明細書で使用される「模倣体」という用語は、アミノ酸と同一又は類似の機能特性を有するアミノ酸又はアミノ酸類似体を意味する。ペプチドの模倣体又はペプチド模倣体は、対応するペプチド中に存在するものと類似のペプチド鎖ファーマコフォア基を保持する有機分子である。上記のようにアミノ酸を非天然アミノ酸又はペプチド模倣体で置換することによって、側鎖官能基の修飾に基づいて個々のペプチドの全体的な活性又はその他の性質を向上させることができる。例えば、例示されたペプチドに対するこの種の修飾によって、酵素分解に対するペプチドの安定性の向上、生物学的活性の増大、又は免疫原性の低下が可能になる。
当業者は、本発明のペプチド及びリポペプチドを容易に合成することができる。合成ペプチドを調製するための標準手順は、当該技術分野で周知である。本発明のペプチドは、α−アミノ基のt−BOC保護又はFMOC保護等の一般的に用いられる方法によって合成され得る。両方法は、各ステップで単一アミノ酸がペプチドのカルボキシル末端から添加される段階的な合成を伴う(Coligan et al.,Current Protocols in Immunology,Wiley Interscience,1991,Unit 9参照)。本発明のペプチドはまた、当該技術分野で周知の固相ペプチド合成方法によって合成できる。(Merrifield,J.Am.Chem.Soc,85:2149,1963),及びStewart and Young,Solid Phase Peptides Synthesis,Pierce,Rockford,Ill.(1984))。ペプチドは、0.1〜1.0mmol/gのアミンのポリマーを含有するコポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)を使用して合成され得る。化学合成終了後、ペプチドは、0℃で約0.25〜1時間液体HF−10%アニソールで処理することによってポリマーから脱保護及び切断され得る。試薬の蒸発後、1%酢酸溶液でポリマーからペプチドを抽出し、次いで凍結乾燥して粗製物質を生成する。これは、典型的には、溶媒として5%酢酸を使用したSephadexG−15によるゲル濾過等の手法や、高圧液体クロマトグラフィ等によって精製され得る。カラムの適切な分画物の凍結乾燥によって均質のペプチド又はペプチド誘導体が産生し、次いでそれをアミノ酸分析、薄層クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、紫外吸収分光法、モル旋光度、溶解度等の標準手法によって特性評価し、固相エドマン分解法によって評価することができる(例えば、Protein Purification,M.P.Deutscher,ed.Methods in Enzymology,Vol 182,Academic Press,1990参照)。FMOC固相合成方法を使用する自動合成は、自動ペプチド合成機を使用して達成され得る(Model 432A、Applied Biosystems,Inc.)。
本発明のペプチド/ポリペプチドはまた、アニオン性担体ペプチドをカチオン性ペプチドに融合させる融合タンパク質微生物法を使用して合成され得る。抗菌活性を有するカチオン性ペプチドのかかる微生物産生の方法は、米国特許第5,593,866号において提供される。
このように産生される本発明のペプチドは、タンパク質化学の分野で一般に知られているタンパク質の単離/精製方法によって精製され得る。更に詳細には、例えば、抽出、再結晶化、硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウム等による塩析、遠心分離、透析、限外濾過、吸着クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ、順相クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、ゲル剤濾過法、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、電気泳動、向流分配等や、これらの併用を挙げることができる。最も有効な方法は、逆相高速液体クロマトグラフィによる方法である。
本発明のペプチドは、酸の添加によって塩を形成することができる。酸の例としては、無機酸(例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸)や有機カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸)、酸性糖(例えば、グルクロン酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、アスコルビン酸等)、酸性多糖(例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルギン酸)、有機硫酸(例えば、メタンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸)等が挙げられる。これらの塩の中では、薬学的に許容される塩が好ましい。
本発明のペプチドは、塩基性物質によって塩を形成することができる。塩の例としては、例えば、無機塩基を有する塩(例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等)や有機塩基を有する塩(例えば、ジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩等)から選択される薬学的に許容される塩が挙げられる。
本明細書において用いられる「アミノ酸」という用語はL−アミノ酸を意味する。一方でまた、D−アミノ酸も本発明に記載のペプチドの製造に使用され得る。
本明細書で用いられる「ペプチド」は、2〜50個のアミノ酸残基を含む。「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、50個超のアミノ酸残基を含む。
本明細書で使用される「抗菌性」とは、本発明のペプチド及びポリペプチドの生物学的活性を意味するものであって、ポリペプチドが32μM未満、好ましくは16μM未満の最小発育阻止濃度(Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI(旧NCCLS))の推奨に従ってミュラーヒントン培地で決定される「MIC」)を有するように、ペプチド/ポリペプチドが、死滅させるか、繁殖を阻止するか、若しくは微生物の生育を抑制する能力を有することを意味するものである。本発明に記載の被抑制微生物としては、細菌、真菌、酵母等が挙げられる。抗菌ポリペプチドのMICを決定する手順は当業者に周知であり、例えば、Powell et al.(Molecular Plant−Microbe Interactions,8:792−794(1995)),Wu and Hancock(J.Biol Chem.274:29−35(1999))及びLorian V.("Antimicrobials in laboratory Medicine",1996 4th ed.pp.330−396,Williams and Wilkins,Baltimore,Md)に記載されている。MICアッセイによって、微生物の増加及び生育を抑制するペプチドの最低濃度の決定が可能になる。本発明のために、ポリペプチドは、本明細書で用いられる微生物に対する上述のMICを有する場合には抗菌剤であると考えられる。
本発明のペプチドの「エンドトキシン中和」活性及び/又は結合活性は、例えばマクロファージ細胞株を使用してin vitroアッセイにおいて検査され得る(Gough et al.(1996)Infect.Immun.64:4922−4927)。
本発明によるペプチドはまた、抗真菌活性を示す。この活性は、幾種かの真菌、例えばクリプトコックス・ネオフォルマンスについて示された。
前記式は、好ましくは、FWQRIRKVR(配列番号1)、FWQRRIRKVRR(配列番号2)、FWQRKIRKVRK(配列番号3)、FWQRNIRIRR(配列番号4)、FWQRNIRKVR(配列番号5)、FWQRNIRVR(配列番号6)、FWQRNIRKVRR(配列番号7)、FWQRNIRKVKK(配列番号8)、FWQRNIRKVRRR(配列番号9)、FWQRNIRKVKKK(配列番号10)、FWQRNIRKVRRRR(配列番号11)、FWQRNIRKVRRRI(配列番号12)、FWQRNIRKVKKKK(配列番号13)、FWQRNIRKVKKKI(配列番号14)、FWQRNIRKIR(配列番号15)、FWQRNIRKLR(配列番号16)、FWQRNIRKWR(配列番号17)、FWQRNWRKVR(配列番号18)、FWQRNFRKVR(配列番号19)、FWQRNYRKVR(配列番号20)、FWQRNIRKVS(配列番号21)、FWQRRIRIRR(配列番号22)、FWQRPIRKVR(配列番号23)、FWQRRIRKWR(配列番号24)、FWQRRIRRWRR(配列番号25)、FWPRNIRKVR(配列番号26)、FWARNIRKVR(配列番号27)、FWIRNIRKVR(配列番号28)、FWLRNIRKVR(配列番号29)、FWVRNIRKVR(配列番号30)、FWQRNIFKVR(配列番号31)、FWQRNIYKVR(配列番号32)、FAWQRNIRKVR(配列番号33)、FLWQRNIRKVR(配列番号35)及びFVWQRNIRKVR(配列番号36)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明において用いられる場合、アミノ酸配列内の小文字は、これらの特定のアミノ酸残基がD−コンフィギュレーションであって、L−コンフィギュレーション(大文字)ではないことを意味する。
本発明の別の態様は、式
(Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8S
[式中、
Xaa1は疎水性アミノ酸であり、好ましくはフェニルアラニン(Phe)及びイソロイシン(Ile)からなる群から選択され、
Xaa2は塩基性アミノ酸であり、好ましくは、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)からなる群から選択され、
Xaa3は、疎水性アミノ酸であり、好ましくはトリプトファン(Trp)であり、
Xaa4は、グリシン(Gly)、アスパラギン(Asn)、イソロイシン(Ile)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、
Xaa5は、イソロイシン(Ile)又はトリプトファン(Trp)であり、
Xaa6は、アルギニン(Arg)又はリジン(Lys)であり、
Xaa7は、疎水性アミノ酸であり、好ましくは、イソロイシン(Ile)、トリプトファン(Trp)及びバリン(Val)からなる群から選択され、及び
Xaa8はアルギニン(Arg)であり、且つ
Oは0であり、
Mは1又は2であり、
Rは0又は1であり、
Pは1、2又は3であり、
Qは1であり、及び
Sは、0、1又は2である]を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチドに関する。
前記式は、好ましくは、FWRIRKWR(配列番号37)、FWRIRKVR(配列番号38)、FWRWRR(配列番号39)、FWRRWRR(配列番号40)、FWRRWIRR(配列番号41)、FWRGWRIRR(配列番号42)、FWRRFWRR(配列番号43)、FWRWRWR(配列番号44)、FWRIWRWR(配列番号45)、FWRIWRIWR(配列番号46)、FWRNIRKWR(配列番号47)及びFWRRRIRIRR(配列番号48)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の別の態様は、式
(Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8S
[式中、
Xaa1は疎水性アミノ酸であり、好ましくはプロリン(Pro)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、
Xaa2は塩基性アミノ酸であり、好ましくはアルギニン(Arg)、リジン(Lys)からなる群から選択され、
Xaa3は疎水性アミノ酸であり、好ましくはトリプトファン(Trp)であり、
Xaa4は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、グルタミン(Gln)、リジン(Lys)、トリプトファン(Trp)及びイソロイシン(Ile)からなる群から選択され、
Xaa5は、イソロイシン(Ile)及びトリプトファン(Trp)からなる群から選択され、
Xaa6は、アルギニン(Arg)及びアスパラギン酸(Asp)からなる群から選択され、
Xaa7は疎水性アミノ酸であり、好ましくは、イソロイシン(Ile)、トリプトファン(Trp)、フェニルアラニン(Phe)、バリン(Val)及びロイシン(Leu)からなる群から選択され、及び
Xaa8は、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、イソロイシン(Ile)、セリン(Ser)及びアスパラギン酸(Asp)からなる群から選択され、且つ
O及びQは、0であり、
Mは、0、1、2又は3であり、
Rは、1又は2であり、
Pは、1、2又は3であり、及び
Sは、1、2又は3である]を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチドに関する。
前記式は、好ましくは、PFWRWRIWR(配列番号50)、PFWRIRIRR(配列番号51)、PFWRQRIRR(配列番号52)、PFWRARIRR(配列番号53)、PFWRKRIRR(配列番号54)、PFWRKRLRR(配列番号55)、PFWRKRWRR(配列番号56)、PFWRRRIRR(配列番号57)、PFWRRRWRR(配列番号58)、PFWRIRIRRD(配列番号59)、PFFWRIRIRR(配列番号60)、PWRIRIRR(配列番号61)、PFWRRQIRR(配列番号81)、PFWRKKLKR(配列番号82)、PWRRIRR(配列番号83)、PWRRKIRR(配列番号84)及びPFWRRIRIRR(配列番号85)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の更に別の態様は、式
(Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8S
[式中、
Xaa1は疎水性アミノ酸であり、好ましくはプロリン(Pro)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、
Xaa2は塩基性アミノ酸であり、好ましくはアルギニン(Arg)であり、
Xaa3は疎水性アミノ酸であり、好ましくはトリプトファン(Trp)であり、
Xaa4は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、グルタミン(Gln)、アスパラギン(Asn)及びリジン(Lys)からなる群から選択され、
Xaa5は、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)及びトリプトファン(Trp)からなる群から選択され、
Xaa6は、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)及びアスパラギン(Asn)からなる群から選択され、
Xaa7は疎水性アミノ酸であり、好ましくは、イソロイシン(Ile)、トリプトファン(Trp)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、及び
Xaa8はアルギニン(Arg)であり、且つ
Mは、0、1、2又は3であり、
Oは、0又は1であり、
Pは、1、2又は3であり、
Qは、1又は2であり、及び
R及びSは、0、1又は2である]を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチドに関する。
前記式は、好ましくは、FWRNIRIRR(配列番号72)、FWQRIRIRR(配列番号73)、FWRWRIWR(配列番号74)、FWRIRIRR(配列番号75)、FWRNIRIWRR(配列番号76)及びFwRNIRIRR(配列番号77)からなる群から選択されるアミノ酸を含む。
本発明の別の態様は、RFWQRNIRKVRR(配列番号62)、RFWQRNIRKYR(配列番号63)、PFWQRNIRKWR(配列番号64)、RFRWQRNIRKYRR(配列番号65)、RWKRINRQWF(配列番号66)、KRFCFKK(配列番号67)、KRFSFKKC(配列番号68)、KRWSWKK(配列番号69)、FRFSFKK(配列番号70)、RRFWFRR(配列番号71)、RFWQRNIRIRR(配列番号78)、RWQRNIRIRR(配列番号79)及びRRWFWRR(配列番号86)からなる群から選択されるアミノ酸を含む式を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチドに関する。
本発明の別の態様は、FIWQRNIRKVR(配列番号34)、FIWRWRWR(配列番号49)及びRRIRINRQWF(配列番号80)の式を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチドに関する。
本発明によるペプチドのN末端及び/又はC末端は、アシル化(アセチル化)や、アミド化、エステル化、還元、酸化、(共有結合性)リンカー結合、ペプチド結合、ジスルフィド結合等の修飾を有してよい。ペプチドは、更に、例えば炭水化物、リンカー分子、脂質等によって修飾され得る。
本発明によるペプチドのC末端は、好ましくは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子を含む、好ましくはカルボキシル基、アミド基からなる群、特にN−メチルアミド基、エステル、エーテル又はケトンからなる群から選択される。
本発明の好ましい実施態様によれば、アシル基は、ペプチドのN末端又はC末端に結合する。
本発明によるペプチドの疎水性を高め、その結果として例えば細胞の疎水部(例えば細胞膜)とのペプチドの相互作用を高めるために、ペプチドは、好ましくはアシル基によって修飾される。
本発明によるペプチドに結合するアシル基は、好ましくは飽和及び不飽和の直鎖及び分岐鎖のC2〜C20のアシル鎖、ベンジル誘導体及びFmocからなる群から選択される疎水性鎖である。
アシル基は、好ましくはドデカノイル基、デカノイル基、オクタノイル基、ヘキサノイル基、2−メチルヘキサノイル基、2−エチルヘキサノイル基、2−プロピルペンタノイル基、2−ブチルオクタノイル基、2,2−ジメチルブタノイル基、2−メチルペンタノイル基、3−メチルペンタノイル基、4−メチルペンタノイル基、6−メチルオクタノイル基、ベンジル基及びジシクロヘキシルアセチル基からなる群から選択される。
本発明による特に好ましい修飾又は無修飾ペプチドについては、第1表に見出すことができる。
第1表 本発明によるペプチド
Figure 2009542726
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本発明の別の態様は、本発明によるペプチドを含むポリペプチドに関する。
また、本発明のペプチドは、該ペプチドを含む(非天然)ポリペプチドが同じ抗菌活性及び/又はエンドトキシン中和活性を示すならば、ポリペプチドの一部であってよい。一方で、融合ポリペプチドは、該ペプチドよりも低い活性又は更に高い活性を示すことができる。
本発明によるさまざまなペプチドはまた、新規ペプチド又はポリペプチドを形成するために、相互に連結/融合され得る。同じことは、2、3、4、5、10又は20個の反復単位を有するペプチド又はポリペプチドを得るための反復単位としての本発明によるペプチドの使用に当てはまる。
本発明の別の態様は、本発明によるペプチド又はポリペプチドを含む医薬組成物に関する。
かかる組成物は、例えば微生物感染又は敗血症性ショックの治療及び/又は予防のために使用され得る。最終的に、本発明は、薬学的に許容される担体又は不活性物質において本発明からのポリペプチド又はリポペプチドと他の抗菌剤又は防腐剤とを同時投与して、該他の抗菌剤又は防腐剤の有効性を改善する方法に関する。
本発明の好ましい実施態様によれば、該組成物は、更に少なくとも1種の更なる抗菌剤又は防腐剤を含む。
更により良好な抗菌作用及び/又はエンドトキシン中和作用を有する医薬組成物を得るために、本発明によるペプチドと同様の性質を示す更なる剤が添加される。もちろん、本発明によるペプチド以外の活性を有する剤を添加することも可能である。これらの物質は、例えばペプチド又はその送達の安定性の増大等、生物学的利用能の増大に有益であり得る。
本発明のペプチドと併用され得る特定の剤の例としては、アミノグリコシド(例えばトブラマイシン)、ペニシリン(例えばピペラシリン)、セファロスポリン(例えばセフタジジム)、フルオロキノロン(例えばシプロフロキサシン)、カルバペネム(例えばイミペネム)、テトラサイクリン、マクロライド(例えばエリスロマイシンやクラリスロマイシン)が挙げられる。該組成物は、併用療法又は相乗的療法のための抗生物質の添加を更に含んでよい。投与される適切な抗生物質は、典型的には、例えば細菌がグラム陰性であるかグラム陽性であるか等、微生物の感受性によって決まるものであって、当業者によって容易に識別され得るものである。上記の抗生物質に関して、典型的な抗生物質としては、アミノグリコシド(アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシンエチルコハク酸エステル、グルコヘプトン酸エリスロマイシン、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、エリスロマイシンステアリン酸塩)、ペニシリン(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン)等のβラクタム、セファロスポリン(例えば、セファロチン、セファゾリン、セファクロール、セファマンドール、セフォキシチン、セフロキシム、セホニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメット、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、セフスロジン)が挙げられる。他の種類の抗生物質としては、例えば、カルバペネム(例えばイミペネム)、モノバクタム(例えばアズトレオナム)、キノロン(例えば、フレロキサシン、ナリジキシン酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン)、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)、糖ペプチド(例えば、バンコマイシン、テイコプラニン)等が挙げられる。他の抗生物質としては、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、ムピロシンが挙げられる。
本発明による組成物は、好ましくは更に、薬学的に許容される賦形剤を含んでよい。
本発明の医薬組成物は、本発明のペプチド単独からなることができるか、若しくは本発明のペプチドと薬学的に許容される担体とを含む組成物の形態とすることができる。使用され得る薬学的に許容される担体は、特に限定されるものではなく、医療分野で用いられ得る賦形剤、結合剤、潤滑剤、着色剤、崩壊剤、緩衝剤、等張剤、保存剤、麻酔剤等を包含する。また、それは、別の抗菌薬(例えば、リゾチーム、抗生物質等)と併用してよい。
本発明の組成物は、例えば身体の外部における微生物に感染した部位の治療や、身体内部の微生物感染の治療のために使用することが可能であり、故に適切な投与方法は、治療目的に応じて、注射(皮下、皮内、静脈内、腹腔内等)、点眼、滴下注入、経皮投与、経口投与、吸入等から選択され得る。
また、注射製剤(水剤、懸濁液、乳剤、使用時に溶解される固形剤等)、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、リポソーム封入体、軟膏剤、ゲル剤、外用散剤、噴霧剤、吸入散剤、点眼剤、眼軟膏剤、坐剤、膣座薬等の剤形を、投与方法に応じて適切に選択することが可能であり、それによって本発明の抗菌薬物を配合することができる。
本発明の別の態様は、抗菌剤としての、又は、エンドトキシン中和剤としての本発明によるペプチド又はポリペプチドの使用に関する。
本明細書において開示されるペプチドは、抗菌活性及び/又はエンドトキシン中和活性を示す。故に、これらのペプチドは、抗菌剤又はエンドトキシン中和剤のいずれかとして適切に使用され得る。
本発明の別の態様は、微生物、好ましくは細菌に起因する感染症、或いは好ましくはエンドトキシンに起因する敗血症又は敗血症性ショックの治療又は予防のための薬剤を製造するための本発明によるペプチド又はポリペプチドの使用に関する。
その生物学的特性のため、本発明のペプチドは薬剤に適切に使用される。
本発明の好ましい実施態様によれば、該薬剤は、好ましくは更に、少なくとも1種の更なる抗菌剤又は防腐剤を含んでよい。
該薬剤は、好ましくは薬学的に許容される賦形剤を更に含む。
本発明の別の態様は、少なくとも1種の微生物の生育を抑制する方法であって、本発明による有効量のペプチド又はポリペプチドを該微生物に接触させるステップを含む方法に関する。
本発明のペプチド及びポリペプチドは、微生物の生育を抑制するために使用され得る。この作用は、抑制すべき微生物を該分子に接触させることによって達成され得る。
本明細書で使用される場合、微生物の生育を抑制するための「治療上有効量」又は「有効量」という用語は、LPSに対する被験者の応答を減少させ、敗血症の症候を減少させるのに十分なペプチドの量を意味する。故に「治療上有効」という用語は、ペプチドの量が、TNFの血漿中濃度の臨床的に重要な上昇を阻止するのに十分であること、好ましくは少なくとも50%低下させる、より好ましくは90%低下させるのに十分であることを意味する。ペプチドの投与の用量範囲は、所期の作用を生じさせるのに十分大きなものである。一般的に、用量は、患者の年齢、症状、性別、及び上記の通りの細菌や他の病原体の感染の程度によって変化するものであって、当業者によって決定され得る。用量は、いずれの禁忌の場合においてもそれぞれの医師によって調整され得る。いずれの場合においても、治療の有効性は、患者のLPS及びTNFの値をモニターすることによって決定され得る。血清中のLPS及びTNF値の低下は、患者の回復と相関関係にあるものとする。
本発明の好ましい実施態様によれば、該微生物はグラム陽性菌又はグラム陰性菌である。
本明細書に開示されるペプチド及びポリペプチドは、細菌に対して特に効果がある。故に、接触させるべき好ましい微生物としては、好ましくは腸内細菌科のファミリー(特に大腸菌、サルモネラ種、ペスト菌、エルシニア−エンテロコリチカ又はクレブシェラ種)、好ましくはシュードモナス科のファミリー(特に緑膿菌)、好ましくはアルカリゲネス科のファミリー(特に気管支敗血症菌又は百日咳菌)、好ましくはブルセラ科のファミリー(特にウシ流産菌)、好ましくはモラクセラ科のファミリー(特にアシネトバクター・バウマンニ)、好ましくはキサントモナス科のファミリー(特にステノトロフォモナス・マルトフィリア)、好ましくはパスツレラ科のファミリー(特にインフルエンザ菌)、好ましくはナイセリア科のファミリー(特に髄膜炎菌)、好ましくはスタフィロコッカス科のファミリー(特に黄色ブドウ球菌又は表皮ブドウ球菌)、好ましくはエンテロコッカス科のファミリー(特にエンテロコッカス−フェカーリス)、好ましくはストレプトコッカス科のファミリー(特にストレプトコッカス−アガラクティエ)、好ましくはクラミジア科のファミリー(特にクラミジア・ニューモニエ)のものがある。
該微生物が多剤耐性を示す場合には、本発明によるペプチドの使用が特に適している。
多剤耐性(即ち、多くの薬物、特に抗生物質に対する微生物の耐性)は、臨床診療の主要な問題の内の1つである。故に、微生物の生育に影響を及ぼし得る新規な剤を提供することは重要なことである。
本発明の別の態様は、本発明による有効量のペプチド又はポリペプチド或いは医薬組成物を投与することによって微生物の細菌成分の、好ましくは細胞壁成分の、より好ましくはリポポリサッカライドの生物学的活性を中和する方法に関する。
本発明によるペプチド及びポリペプチドは、エンドトキシン中和活性を示す。故に、これらの物質は、細菌成分、特に細胞壁成分に結合し、その結果としてその生物学的活性を中和するために使用され得る。
本発明の更に別の態様は、微生物の細菌成分の、好ましくは細胞壁成分の、より好ましくはリポポリサッカライドの生物学的活性を中和する方法、或いは本発明による有効量のペプチド又はポリペプチド或いは医薬組成物を投与することによって、微生物感染又は敗血症性ショックを患う哺乳類、特にヒト個体を治療する方法に関する。
該治療上及び予防上有効量は、好ましくは約0.5mg/kg体重〜約100mg/kg体重、より好ましくは約1mg/kg体重〜約20mg/kg体重、最も好ましくは約2mg/kg体重〜約10mg/kg体重である。皮膚塗布のためには、該化合物は、速やかに標的生物を死滅させるのに十分に高い濃度で投与され得る(少なくともMICの10〜100倍又は100〜1000μg/mL)。腹腔内投与のために、治療域は、好ましくは約7.5mg/kg〜約75mg/kgである。従来の抗生物質の同時投与の場合、治療上有効量は10〜100倍減少する。
本発明の別の態様は、
N末端プロリン残基を有する本発明によるペプチドを含む融合ポリペプチド又はタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞を提供するステップであって、該ペプチドが、C末端のアスパラギン酸を有する該ポリペプチド又はタンパク質にC末端で融合するステップと、
該融合ポリペプチド又はタンパク質を発現及び単離するステップと、
単離された融合ポリペプチド又はタンパク質を0.5〜4の間のpH値にするステップとを含むN末端のプロリン残基を有する本発明によるペプチドを製造する方法に関する(Skribanek Z.et al.,J.Pept.Sci.8:398−406(2002))。
pH値が低下する間、例えば90mMのHCl中で、1時間、85℃でポリペプチド又はタンパク質を選択的に培養する。その結果生じるペプチドは、好ましくは逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)によって精製され、任意に質量スペクトル解析によって同定され、特性が評価される。
本発明の別の態様は、本発明による固定化ペプチドを該試料に接触させるステップを含む試料からの細菌又は細菌性成分の吸着及び除去或いは不活化を行う方法に関する。
本発明の抗菌及びエンドトキシン中和/結合剤は、適切な材料の表面に塗布され得るか、若しくは適切な材料と混合して抗菌性材料を作製することができる。かかる抗菌性材料は、ビーズ、膜、板、モノフィラメント、不織布、スポンジ、布、編地、短繊維、チューブ、中空繊維等のさまざまな形態で使用され得る。更に詳細には、それは、人工器官、カテーテル、外科手術用縫合糸(結合繊維)、透析膜等、並びに衛生商品、抗菌フィルタ等のために使用され得る。
該装置又は移植片は、不溶性担体に固定化された本発明のペプチドを含むエンドトキシン除去剤として使用され得る。本発明のエンドトキシン除去剤は、本発明のペプチドの高エンドトキシン結合性をエンドトキシンの吸着及び除去に利用することに基づくものである。
本発明のペプチドが固定される不溶性担体の形状は、特に限定されず、例えば、膜形態(フィルター型、中空型、チューブ型、平膜型等)、顆粒形態、ラテックス形態、チップ形態、粉末形態、マイクロプレート形態等のさまざまな形態を挙げることができる。
不溶性担体の材料もまた、特に限定されず、例えば、ポリスチレン材料、ポリプロピレン材料、ポリアミド材料、セルロース材料、アガロース材料、ポリアクリルアミド材料、デキストラン材料、ビニルポリマー材料等のさまざまな材料を挙げることができる。
本発明のペプチドを不溶性担体に固定する方法もまた特に制限されず、本発明のペプチドの固定化は、物理吸着法、イオン結合法、共有結合法、封入法等の固定化酵素の調製方法として用いられる一般的な方法を利用することによって達成され得る。
例えば、ポリスチレン材料又はポリプロピレン材料で作製される不溶性担体については、本発明のペプチドは物理的に固定され得る。また、例えば、ポリアミド材料、セルロース材料、アガロース材料、ポリアクリルアミド材料、デキストラン材料又はビニルポリマー材料で作製される不溶性担体については、本発明のペプチドは化学的に固定され得る。化学的固定(結合)方法としては、例えば、不溶性担体内の芳香族アミノ基を利用するジアゾカップリングを行うジアゾ化法、不溶性担体中の水酸基をCNBrと活性化することによってペプチド結合を形成するCNBr法、不溶性担体のヒドラジン誘導体を使用してペプチド結合を形成する酸性アジド法、不溶性担体中のハロゲン等の反応性官能基を利用してペプチドをアルキル化するアルキル化法、グルタールアルデヒド等の遊離アミノ基と反応する架橋剤がペプチド中の不溶性担体と遊離アミノ基との間を架橋する架橋法、カルボジイミド法、エポキシ化合物活性化法、上記の方法の内の1つを用いてスペーサーを介して結合を形成する方法が挙げられる。適切な方法は、本発明のペプチドの結合に用いられる不溶性担体の種類に応じて、これらの既知の方法から選択され得る。
本発明のペプチドが固定される不溶性担体をエンドトキシンの除去が望まれる溶液と接触させて溶液中のエンドトキシンと本発明のペプチドが固定される不溶性担体との複合体を形成し、次いでこのように形成された複合体を除去し、それによって溶液のエンドトキシンを除去することができる。
本発明のペプチドが固定される不溶性担体にエンドトキシンの除去が望まれる溶液を接触させる方法は、特に限定されるものではなく、既知の固液接触手段が使用され得る。例えば、溶液をフィルタ形状又は中空繊維形状の不溶性担体に通すか、若しくは平膜形状の不溶性担体を覆って通す方法、溶液を顆粒状不溶性担体を投入したカラムに通す方法、溶液をマイクロプレート形状のウェル内に投入し、溶液を一定時間静置し、次いで溶液を分離する方法、溶液をあらゆる形状の不溶性担体上に添加し、振盪又は一定時間静置し、次いで通常の固液分離手段(濾過、遠心分離、吸引、デカンテーション等)を用いてエンドトキシンを含有しない溶液を得ることができる方法等がある。
エンドトキシンの除去が望まれる溶液は特に限定されるものではなく、その例としては、医薬品製造プラント、医療設備等で使用される溶液、より詳細には、透析液、非経口液、血液、医薬品、超純水等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の態様は抗菌化合物であり、即ち、微生物(例えば、細菌、真菌等)の生育又は増殖を抑制、阻止、又は破壊する抗菌化合物である。これらの化合物は、本明細書において概説される通りの一般式のペプチド又はリポペプチドである。
本発明の別の態様は、本明細書において概説される通りの一般式のペプチド又はリポペプチドを塗布することによって、エンドトキシン等、好ましくは細胞壁から細菌性成分の生物学的活性を中和することによって、内毒血症を治療する方法である。
以下の実施例及び図は、当業者のための手引きとして提供されるが、決して請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限界することが意図されるものではない。
図1は、図に示す通りの2種の大腸菌株及びゾンネ赤痢菌についての選択ペプチド(ペプチド名参照)及びポリミキシン(PMB)の最小発育阻止濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)を示す。 図2は、所定量の選択されたペプチドを添加した際におけるノボビオシンの最小発育阻止濃度の低下を示す。 図3は、N−フェニルナフチルアミン(NPN)を大腸菌の細胞エンベロープに分割することによる蛍光強度の増加で測定された選択ペプチド、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)及び非透過性ペプチド(P3)の透過作用を示す。グラフの右側の凡例に記載された物質の順序は、それらの端点のグラフの曲線の順序に相当する。 図4は、選択ペプチドの存在下でLPSによって刺激された単球のTNF−α分泌の中和を示す。 図5は、種々の抗生物質、ポリミキシンB(PMB)及び選択ペプチド(ペプチド名参照)の存在下におけるTNF−αの放出を示す。 図6は、N−アシル鎖を含有するペプチドの溶血活性を示す。2.5%ヒト赤血球に添加されるペプチドの量が図に示されている。 図7は、組換えペプチドの切断産物のHPLC分離のクロマトグラムを示す。8.175分の滞留時間で、分画物はペプチドを含有した。
実施例
実施例1:ペプチド及びリポペプチドの合成
標準的なFmoc合成プロトコルに従って同時多数ペプチド合成によってペプチドを合成した(Houghten,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:5131−5135(1985))。ポリプロピレンメッシュパケット内に各ペプチド用樹脂を区画し、それによって一般的な反応容器内で全ての一般的な合成ステップを行うことを可能にし(即ち、洗浄ステップ、脱保護ステップ、及び中和ステップ)、一方で別々の適切なアミノ酸溶液で各パケットを処理することによって所望の結合ステップを実施した。保護アミノ酸の結合の際に使用される場合と同様の戦略で、疎水性酸をN末端に結合した。t−Boc基によってリジン及びトリプトファンの側鎖を保護し、ペンタメチルベンゾフラン−5−スルホニル基によってアルギニンの側鎖を保護し、トリチル基によってシステイン、グルタミン及びアスパラギンの側鎖を保護し、t−ブチル基によってアスパラギン酸、グルタミン酸、チロシン、セリン及びスレオニンの側鎖を保護した。トリフルオロ酢酸で処理することによって最終的な切断を行った(Fields et al.,Int.J.Peptide Prot.Res.35:161−214(1990))。液体クロマトグラフィシステム(Finnigan LCQ)と連携した質量スペクトル解析及びBeckman System Gold HPLCを使用した解析的な逆相高速液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)によって、ペプチドの同一性及び純度を決定した。FoxyフラクションコレクタによるWaters Milliprep 300調製用HPLCを使用した調製用RP−HPLCによって、ペプチド及びリポペプチドを精製した。酢酸(最高95%)又はアセトニトリル(最高50%)溶液を使用して、精製用リポペプチドを可溶化した。
実施例2:抗菌アッセイ
以下の一覧の細菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)について、各ペプチド及びリポペプチドの試験を行った。
大腸菌ATCC25922、大腸菌DC2、クレブシェラ・オキシトーカATCC8724、アシネトバクター・バウマンニCUN10817−01、緑膿菌:CUN4158−02、ステノトロフォモナス・マルトフィリア:CUN3998−00、ウシ流産菌9.49per−、ペスト菌KIM pYV−、大腸菌CUN2709−04、大腸菌CUN1786−04、ゾンネ赤痢菌ATCC25931、サルモネラ・ミネソタHL63(S)、サルモネラ・ミネソタR60 HL100(Ra)、サルモネラ・ミネソタR7 HL44(Rd1)、サルモネラ・ミネソタR595 HL111(Re)、気管支敗血症菌:CUN11844−99、気管支敗血症菌RB50、インフルエンザ菌CUN6277−04、髄膜炎菌CUN6395−04、エンテロコッカス‐フェカーリスATCC29212、黄色ブドウ球菌ATCC25923、ストレプトコッカス‐アガラクティエCUN4783−03、エンテロコッカス‐フェカーリスATCC51299、黄色ブドウ球菌CUN3792−99、表皮ブドウ球菌ATCC12228、表皮ブドウ球菌CUN5−93、肺炎連鎖球菌ATCC49619。
新たに生育させた細菌培養物を、1〜5×105CFU/mLの最終アッセイ濃度でミュラーヒントン(MH)ブロスに接種及び希釈する。MHブロスで培養物を希釈し、100μLの適切な10倍希釈物をMH寒天プレート上で平板培養することによって、細菌懸濁液の生菌数を決定した。37℃での終夜のインキュベーション後のMICを、National Committee for Clinical Laboratory Standardのガイドラインに従ったブロス微量希釈方法によって、96ウェル組織培養プレート内で決定した。このように、96ウェルフラットボトムプレート内で100μLの細菌懸濁液に100μLのMHブロスのペプチド又はリポペプチド溶液を混合し、37℃で終夜インキュベーションを行った。インキュベーションの前後に、各ウェルの620nmの吸光度を測定した。250μg/mLからの2倍段階希釈を繰り返して全てのペプチド及びリポペプチドの試験を行った。ペプチドの活性を、MHブロス(0%抑制)及びMHブロス単独(100%抑制)の細胞と比較した。MICを、時間0から終夜のインキュベーションまでのODに変化が認められないペプチド又はリポペプチドの最低濃度と定義した。全てのアッセイにおいて、商業的に入手可能な抗生物質を標準対照として使用した。
最小殺菌濃度(MBC)は、最初の接種物の99.9%を死滅させ、且つ、CLSI/NC−CLSによって推奨される通りに決定された抗菌剤の最低濃度と定義した。概略説明すると、100μLの懸濁液を、生育が認められないウェルから採取し、MHプレート上で平板培養した。プレートのインキュベーションを、37℃で24時間行った(図1)。
実施例3:従来抗生物質との相乗活性
グラム陰性菌の外膜は、疎水性化合物に対して透過障壁として働くものである。ペプチドの透過活性を測定するために、2つの方法を用いた。両アッセイは同じ基準を有する。即ち、ペプチドにより透過性にされた膜によって、疎水性物質(NPN)が脂質二重層に入ることが可能になり、その内側の標的(DNAギラーゼ)にノボビオシンが到達することが可能になる。それらの試験を、緑膿菌4158−02(CUN)において実施したが、それは、この細菌に本来備わっている低透過率のためであった。
ノボビオシン−ペプチド相乗アッセイ:
既に公表(Lorian V."Antimicrobials in laboratory Medicine",1996 4th ed.pp.330−396,Williams and Wilkins,Baltimore,Md)された交差力価測定法に従って各ペプチド−ノボビオシン併用のMICをノボビオシン単独と比較することによって、ペプチドの透過活性を測定した。ペプチドの透過活性を比較するために、2つの指数を決定した。(i)以下の方程式に従って算出された分画阻止濃度(FIC)指数:FIC指数=(ノボビオシン試験併用のMIC)/(ノボビオシン単独のMIC)+(併用のペプチドのMIC)/(ペプチド単独のMIC)。FIC指数が0.5以下である場合、相互作用は相乗的であると定義した。(b)MIC−Dropを、特定のペプチドの非存在下及び存在下でのノボビオシンのMICの比と定義した。そのMIC−Dropが4以上である場合、1つの併用が相乗的であると判断した(図2)。
蛍光定量アッセイ:
Lohら(1984.Antimicrob.Agents Chemother.26:546−551)に記載されたものを幾つか変更して、蛍光実験を行った。概略説明すると、細菌をLBブロス中で対数期にまで生育させ、5mMのHEPES緩衝液(pH7.2)で洗浄し、0.1%のグルコースを有する同じ緩衝液中で再懸濁してλ=600nmで最終吸光度を0.5とした。350nmの励起波長及び420nmの放出波長を用いて蛍光計(LS−50、Perkin−Elmer)において37℃で蛍光を測定した。NPNを10μMの終濃度で懸濁液に添加し、その後ペプチドを50μg/mLの終濃度で添加した(図3)。
実施例4:LPSによって刺激された単球のTNF−α分泌の中和
サルモネラ・エンテリカ(血清型ミネソタ)の粗造な突然変異株R60に由来するLPS Raを使用して、ラクトフェリシン由来ペプチドによるヒト単核細胞のLPS誘導活性化の抑制を測定した。ペプチドと共にリポポリサッカライドのインキュベーション(白棒、0.1μg/mL;黒棒、1μg/mL)を37℃で30分間行い、健康なドナーから新しく単離した細胞に添加した(終濃度:1ng/mL LPS)。LPS単独によって誘導された細胞培養上清中のTNF−αの量を、未投与の対照として使用する(図4)。
実施例5:死菌の免疫細胞の刺激の中和
細菌の生存に不可欠な異なる分子を標的とする異なる抗生物質によって、細菌を死滅させることができる。グラム陰性菌が死滅する際、放出されたLPSがサイトカイン(例えばTNF−α)又は他の炎症性メディエーターの産生を刺激する可能性がある。以下の方法によって、異なる細胞標的を介して作用する既知の抗菌剤を本発明の化合物と比較した。細菌(大腸菌株0:111)をLB培地中で生育させて吸光度を600nmで0.4とし、グルコースを添加してRPMI培地中で2500倍に希釈した。本発明による濃度が異なる抗生物質又はペプチドを添加し、終夜インキュベーションを行った。105のMonoMac6細胞を含有する100μLの細胞懸濁液に80μLの細胞懸濁液を添加し、15時間後にELISA試験を用いて培地へのTNF−αの放出を決定した。結果から、細菌細胞を死滅させたクロラムフェニコール、ペニシリン及びリファンピシンによって単球の高刺激が生じたが、ペプチドVS1−22及びVS1−53は、毒性リポペプチドのポリミキシンBと同様にTNF−αの放出を有意に抑制したことが明らかに示された(図5)。
実施例6:in vivoアッセイ
ペプチドの抗エンドトキシン活性を決定するための急性エンドトキシン血症マウスモデル
マウスは、LPS仲介敗血症性ショックに著しい耐性を有する。一方で、エンドトキシンに対するマウスの感受性を、ガラクトサミンとLPSを同時注入することによって高めることができる。体重20〜25gの16〜18匹の雌性ICR−CD1マウスの群に、0.3μgの大腸菌LPSと18mgのガラクトサミンとの混合物を含有する200μLの発熱性物質不含の生理食塩水を腹腔内注射した。前の実験によって、かかる併用が注射の48時間後に動物の90%を死に至らせる量(LD90)を決定することが可能になった。このチャレンジの直後、マウスに、150μLの10%DMF発熱物質不含生理食塩水に溶解した150μgのペプチドを含有する第2の腹腔内注射を腹部の異なる部位に行った。全ての実験においては、1群のマウスには未投与のままで、別の群には150μgのポリミキシンBを投与した。チャレンジ後168時間まで1日置きに動物の死亡率をモニターした。我々の実験条件の下では、ポリミキシンBによって、内毒素性ショックに対する有意な保護は得られなかった。
ペプチドの抗エンドトキシン活性を決定するためのウサギモデル:
出血性皮膚壊死を引き起こす、リピドAに誘導される炎症性サイトカインの活性の原理(古典的シュワルツマン反応)について、ウサギ(LPS活性への感受性に関してヒトに非常に近い動物モデル)における試験を行い、血栓を引き起こす、リピドAに誘導されるLAL酵素カスケードの活性化の阻害との比較を行った。これにより、ニュージランドホワイト種ウサギに、サルモネラ・ミネソタRe595リピドA単独又はペプチド1:100(w/w)(0.2mL生理食塩緩衝液中に5μg;皮内経路)を、剃毛した背部領域内に注射した。注射から72〜96時間後、動物の真皮を、開放性壊死の存在又はその抑制について観察した。ポリミキシンB(PmB)を対照として使用した。
第4表 「in vitro」試験解析と「in vivo」試験解析との間の正相関を示す異なる主張から導かれるペプチド
Figure 2009542726
1 リムルス試験(ゲル化)における感受性は、10pg/mLのLPS(サルモネラ・ミネソタRe595)に相当する0.125EU/mL。異なる日に調製された原液を使用して、LALアッセイによって少なくとも6試験を3回実施して得られた結果。
2 異なる時点の実験において試験を行った少なくとも3匹のウサギにおける選択ペプチドの少なくとも3回の皮膚注射によって得られた結果。
3 2,2−DMB・・・2,2−ジメチルブタノイル
実施例7:哺乳類の細胞に対する毒性試験
ヘパリンを投与したヒト血液から得られた赤血球に対するペプチドの溶血活性を、37℃で1時間のインキュベーションの後のヘモグロビン放出によって決定した。全てのヘモグロビン放出(414nmで測定された吸光度)を、Triton X−100(終濃度0.5%)を添加することによって達成した。MICを超える濃度(ペプチド及び細菌種に応じて5〜50倍)でのアシル化ペプチドのデータを示す(図6)。
更に、最高の膜透過活性を示すペプチドを選択し、ヒトHeLa細胞に対するその毒性をトリパンブルー色素排除試験によって評価した(Mishell,B.B.,and S.M.Shiigi.1980。選択された方法は、cellular immunology.Freeman and Co.,San Francisco.14−17)。100μg/mLでの試験の際、全てのペプチド(N=l6)は、色素を除外する細胞の能力に全く影響を及ぼさないか、若しくはその影響は無視し得るものであった。
実施例8:発現ペプチドの精製
組換えタンパク質を精製するため、1リットルからの細菌細胞ペレットを、20mLの溶解緩衝液(10mM Tris(pH=8.0)、1mM EDTA、0.1% DOC)中に再懸濁し、音波処理によって分散させた。混合物を、4℃で15分間12,000rpmで遠心分離し、可溶性の上清と、封入体を含有する不溶性ペレット分画物とを分離した。KSI−P2−33融合タンパク質を含有する不溶性封入体分画物を、10mMのTris(pH=8.0)と、1mMのEDTAと、0.1%のDOCとを含有する20mLの洗浄緩衝液で2回、10mMのTris(pH=8.0)と、1mMのEDTAと、2Mの尿素とで2回、20mMのTris(pH=8.0)で3回洗浄した。不溶性封入体を10mLの6M グアニジン−HCl中に溶解し、遠心分離を行い、可溶性の上清を2リットルの脱イオン水に透析して、KSI−P2−33を沈殿させた。融合タンパク質(10mg)を、10mLの90mM HCl中に溶解し、混合物を85℃で2時間混合して、融合タンパク質とペプチドとの間のアスパルチル−プロリル結合を切断した。酸分解によって放出されたペプチドをHPLCによって精製し、反応混合物を乾燥し、脱イオン水に溶解し、C5 RP−HPLCカラム(Sephasil)に注入し、5%アセトニトリル、5mM HClから、95%アセトニトリル、5mM HClへの勾配で溶出した。ペプチドのピーク値を、280nmでのUV吸光度によって検出した(図7)。ペプチドの同一性を質量分析によって決定した。
実施例9:固定化ペプチドによる抗菌アッセイ
リン酸緩衝生理食塩水(pH=7.5)を使用して、ペプチドP2−32(500μg)を塩化シアヌル活性化磁性粒子(10mg)(Chemicell、製造番号1314)に共有結合させた。室温で2時間振盪機上で懸濁液を混合した後、ブロッキング緩衝液(PBS(pH=7.5)及び2%エタノールアミン)を添加し、室温で30分間振盪機上で懸濁液を混合した。その粒子をPBSで2回洗浄した。固定化ペプチドを、LB培地中で生育させて吸光度を600nmで0.4とした大腸菌(菌株0:111)に対して試験し、LB培地中に2500倍に希釈した。ペプチドが固定された異なる濃度の磁性粒子を添加し、終夜インキュベーションを行った。
結果は、固定された磁性粒子の濃度が50、25及び10mg/mLで、細菌生育を阻止した。
第5表
Figure 2009542726
実施例10:抗真菌活性
クリプトコッカス・ネオフォルマンスATCC32045培養物を、4℃で酵母培地(YM;Difco Laboratories、米国ミシガン州デトロイト)の寒天プレート上に維持した。アッセイ前に、培養物を寒天プレート上で生育させ、26℃で72時間インキュベーションを行った。次いで、これらの新しく生育した菌の培養物の2つのコロニーを5mLの2倍のYMブロス中に接種し、ボルテックスを行い、2倍のYMブロス中で10倍に希釈し、最終アッセイ濃度を約1×105〜5×105CFU/mLとした。96ウェル組織培養プレート内で、2倍のYMブロスにおける菌懸濁液を、無菌水における2倍段階希釈から生じた1mg/mL〜1μg/mLの範囲の濃度で分注されたペプチドに添加した。次いで、そのプレートのインキュベーションを26℃で72時間行った。各試験試料について認められた真菌の相対的生育率を、Titertek Multiskan Plus装置を用いて620nm(OD620)の光学濃度で決定した。MICを、2%の生育を生じさせた試験試料の最低濃度と定義し、IC50を、50%の生育抑制を生じさせた試験試料濃度と定義した。IC50を、S字曲線適合ソフトウエアプログラム(Graphpad Prism;ISI Software、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて算出した。選択ペプチドについて得られた結果を第6表に示す。
第6表 ペプチド名
Figure 2009542726
Figure 2009542726

Claims (30)


  1. (Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8S
    [式中、
    Xaa1は疎水性アミノ酸であり、好ましくはフェニルアラニン(Phe)、アラニン(Ala)、ロイシン(Leu)及びバリン(Val)からなる群から選択され、
    Xaa2は塩基性アミノ酸であり、好ましくはアルギニン(Arg)及びリジン(Lys)からなる群から選択され、
    Xaa3は疎水性アミノ酸であり、好ましくはトリプトファン(Trp)であり、
    Xaa4は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、グルタミン(Gln)、アスパラギン(Asn)、プロリン(Pro)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)及びバリン(Val)からなる群から選択され、
    Xaa5は、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)及びチロシン(Tyr)からなる群から選択され、
    Xaa6は、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、チロシン(Tyr)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、
    Xaa7は、疎水性アミノ酸であり、好ましくはイソロイシン(Ile)、トリプトファン(Trp)、バリン(Val)及びロイシン(Leu)からなる群から選択され、及び
    Xaa8は、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、イソロイシン(Ile)及びセリン(Ser)からなる群から選択され、且つ
    Oは0であり、
    Mは1又は2であり、
    Pは2又は3であり、
    Q及びRは1であり、及び
    Sは、1、2、3又は4である]を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチド。
  2. 該式が、FWQRIRKVR(配列番号1)、FWQRRIRKVRR(配列番号2)、FWQRKIRKVRK(配列番号3)、FWQRNIRIRR(配列番号4)、FWQRNIRKVR(配列番号5)、FWQRNIRVR(配列番号6)、FWQRNIRKVRR(配列番号7)、FWQRNIRKVKK(配列番号8)、FWQRNIRKVRRR(配列番号9)、FWQRNIRKVKKK(配列番号10)、FWQRNIRKVRRRR(配列番号11)、FWQRNIRKVRRRI(配列番号12)、FWQRNIRKVKKKK(配列番号13)、FWQRNIRKVKKKI(配列番号14)、FWQRNIRKIR(配列番号15)、FWQRNIRKLR(配列番号16)、FWQRNIRKWR(配列番号17)、FWQRNWRKVR(配列番号18)、FWQRNFRKVR(配列番号19)、FWQRNYRKVR(配列番号20)、FWQRNIRKVS(配列番号21)、FWQRRIRIRR(配列番号22)、FWQRPIRKVR(配列番号23)、FWQRRIRKWR(配列番号24)、FWQRRIRRWRR(配列番号25)、FWPRNIRKVR(配列番号26)、FWARNIRKVR(配列番号27)、FWIRNIRKVR(配列番号28)、FWLRNIRKVR(配列番号29)、FWVRNIRKVR(配列番号30)、FWQRNIFKVR(配列番号31)、FWQRNIYKVR(配列番号32)、FAWQRNIRKVR(配列番号33)、FLWQRNIRKVR(配列番号35)及びFVWQRNIRKVR(配列番号36)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。

  3. (Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8S
    [式中、
    Xaa1は疎水性アミノ酸であり、好ましくはフェニルアラニン(Phe)及びイソロイシン(Ile)からなる群から選択され、
    Xaa2は塩基性アミノ酸であり、好ましくは、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)からなる群から選択され、
    Xaa3は、疎水性アミノ酸であり、好ましくはトリプトファン(Trp)であり、
    Xaa4は、グリシン(Gly)、アスパラギン(Asn)、イソロイシン(Ile)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、
    Xaa5は、イソロイシン(Ile)又はトリプトファン(Trp)であり、
    Xaa6は、アルギニン(Arg)又はリジン(Lys)であり、
    Xaa7は、疎水性アミノ酸であり、好ましくは、イソロイシン(Ile)、トリプトファン(Trp)及びバリン(Val)からなる群から選択され、及び
    Xaa8はアルギニン(Arg)であり、且つ
    Oは0であり、
    Mは1又は2であり、
    Rは0又は1であり、
    Pは1、2又は3であり、
    Qは1であり、及び
    Sは、0、1又は2である]を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチド。
  4. 該式が、FWRIRKWR(配列番号37)、FWRIRKVR(配列番号38)、FWRWRR(配列番号39)、FWRRWRR(配列番号40)、FWRRWIRR(配列番号41)、FWRGWRIRR(配列番号42)、FWRRFWRR(配列番号43)、FWRWRWR(配列番号44)、FWRIWRWR(配列番号45)、FWRIWRIWR(配列番号46)、FWRNIRKWR(配列番号47)及びFWRRRIRIRR(配列番号48)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のペプチド。

  5. (Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8S
    [式中、
    Xaa1は疎水性アミノ酸であり、好ましくはプロリン(Pro)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、
    Xaa2は塩基性アミノ酸であり、好ましくはアルギニン(Arg)、リジン(Lys)からなる群から選択され、
    Xaa3は疎水性アミノ酸であり、好ましくはトリプトファン(Trp)であり、
    Xaa4は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、グルタミン(Gln)、リジン(Lys)、トリプトファン(Trp)及びイソロイシン(Ile)からなる群から選択され、
    Xaa5は、イソロイシン(Ile)及びトリプトファン(Trp)からなる群から選択され、
    Xaa6は、アルギニン(Arg)及びアスパラギン酸(Asp)からなる群から選択され、
    Xaa7は疎水性アミノ酸であり、好ましくは、イソロイシン(Ile)、トリプトファン(Trp)、フェニルアラニン(Phe)、バリン(Val)及びロイシン(Leu)からなる群から選択され、及び
    Xaa8は、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、イソロイシン(Ile)、セリン(Ser)及びアスパラギン酸(Asp)からなる群から選択され、且つ
    O及びQは、0であり、
    Mは、0、1、2又は3であり、
    Rは、1又は2であり、
    Pは、1、2又は3であり、及び
    Sは、1、2又は3である]を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチド。
  6. 該式が、PFWRWRIWR(配列番号50)、PFWRIRIRR(配列番号51)、PFWRQRIRR(配列番号52)、PFWRARIRR(配列番号53)、PFWRKRIRR(配列番号54)、PFWRKRLRR(配列番号55)、PFWRKRWRR(配列番号56)、PFWRRRIRR(配列番号57)、PFWRRRWRR(配列番号58)、PFWRIRIRRD(配列番号59)、PFFWRIRIRR(配列番号60)、PWRIRIRR(配列番号61)、PFWRRQIRR(配列番号81)、PFWRKKLKR(配列番号82)、PWRRIRR(配列番号83)、PWRRKIRR(配列番号84)及びPFWRRIRIRR(配列番号85)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項5に記載のペプチド。

  7. (Xaa1M−(Xaa2O−Xaa3−(Xaa4P−(Xaa5Q−(Xaa6M−(Xaa7R−(Xaa8S
    [式中、
    Xaa1は疎水性アミノ酸であり、好ましくはプロリン(Pro)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、
    Xaa2は塩基性アミノ酸であり、好ましくはアルギニン(Arg)であり、
    Xaa3は疎水性アミノ酸であり、好ましくはトリプトファン(Trp)であり、
    Xaa4は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、グルタミン(Gln)、アスパラギン(Asn)及びリジン(Lys)からなる群から選択され、
    Xaa5は、イソロイシン(Ile)、フェニルアラニン(Phe)及びトリプトファン(Trp)からなる群から選択され、
    Xaa6は、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)及びアスパラギン(Asn)からなる群から選択され、
    Xaa7は疎水性アミノ酸であり、好ましくは、イソロイシン(Ile)、トリプトファン(Trp)及びフェニルアラニン(Phe)からなる群から選択され、及び
    Xaa8はアルギニン(Arg)であり、且つ
    Mは、0、1、2又は3であり、
    Oは、0又は1であり、
    Pは、1、2又は3であり、
    Qは、1又は2であり、及び
    R及びSは、0、1又は2である]を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチド。
  8. 該式が、FWRNIRIRR(配列番号72)、FWQRIRIRR(配列番号73)、FWRWRIWR(配列番号74)、FWRIRIRR(配列番号75)、FWRNIRIWRR(配列番号76)及びFwRNIRIRR(配列番号77)からなる群から選択されるアミノ酸を含むことを特徴とする、請求項7に記載のペプチド。
  9. RFWQRNIRKVRR(配列番号62)、RFWQRNIRKYR(配列番号63)、PFWQRNIRKWR(配列番号64)、RFRWQRNIRKYRR(配列番号65)、RWKRINRQWF(配列番号66)、KRFCFKK(配列番号67)、KRFSFKKC(配列番号68)、KRWSWKK(配列番号69)、FRFSFKK(配列番号70)、RRFWFRR(配列番号71)、RFWQRNIRIRR(配列番号78)、RWQRNIRIRR(配列番号79)及びRRWFWRR(配列番号86)からなる群から選択されるアミノ酸を含む式を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチド。
  10. FIWQRNIRKVR(配列番号34)、FIWRWRWR(配列番号49)及びRRIRINRQWF(配列番号80)の式を有する抗菌活性又はエンドトキシン中和活性を有するペプチド。
  11. C末端が、好ましくは1〜120個の炭素原子、より好ましくは1〜10個の炭素原子を含む、好ましくは、N−メチルアミド基又はカルボキシル基からなる群から選択される基、或いはアミド基、エステル、エーテル又はケトンの中から選択される基、特にN−メチルアミド基からなることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載のペプチド、
  12. アシル基が該ペプチドのN末端又はC末端に結合することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載のペプチド。
  13. 該アシル基が、飽和及び不飽和の直鎖及び分岐鎖のC2〜C20のアシル鎖、ベンジル誘導体及びFmocからなる群から選択される疎水性鎖であることを特徴とする、請求項12に記載のペプチド。
  14. 該アシル基が、ドデカノイル基、デカノイル基、オクタノイル基、ヘキサノイル基、2−メチルヘキサノイル基、2−エチルヘキサノイル基、2−プロピルペンタノイル基、2−ブチルオクタノイル基、2,2−ジメチルブタノイル基、2−メチルペンタノイル基、3−メチルペンタノイル基、4−メチルペンタノイル基、6−メチルオクタノイル基、ベンジル基及びジシクロヘキシルアセチル基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項12又は13に記載のペプチド。
  15. 請求項1から14までのいずれか1項に記載のペプチドを含むポリペプチド。
  16. 請求項1から15までのいずれかに記載のペプチド又はポリペプチドを含む医薬組成物。
  17. 少なくとも1種の更なる抗菌剤又は防腐剤を含む、請求項16に記載の組成物。
  18. 薬学的に許容される賦形剤を更に含む、請求項16又は17に記載の組成物。
  19. 抗菌剤、エンドトキシン中和剤又は抗真菌剤としての請求項1から15までのいずれか1項に記載のペプチド又はポリペプチドの使用。
  20. 微生物、好ましくは細菌及び/又は真菌に起因する感染症、或いは好ましくはエンドトキシンに起因する敗血症又は敗血症性ショックの治療又は予防のための薬剤を製造するための請求項1から15までのいずれか1項に記載のペプチド又はポリペプチドの使用。
  21. 該薬剤が少なくとも1種の更なる抗菌剤又は防腐剤を更に含むことを特徴とする、請求項20に記載の使用。
  22. 該薬剤が薬学的に許容される賦形剤を更に含むことを特徴とする、請求項20又は21に記載の使用。
  23. 少なくとも1種の微生物の生育を抑制する方法であって、請求項1から15までのいずれか1項に記載の有効量のペプチド又はポリペプチドを該微生物に接触させるステップを含む方法。
  24. 該微生物がグラム陽性細菌又はグラム陰性細菌であることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
  25. 接触させるべき該微生物が、腸内細菌科のファミリー(特に大腸菌、サルモネラ種、ペスト菌、エルシニア−エンテロコリチカ又はクレブシェラ種)、好ましくはシュードモナス科のファミリー(特に緑膿菌)、好ましくはアルカリゲネス科のファミリー(特に気管支敗血症菌又は百日咳菌)、好ましくはブルセラ科のファミリー(特にウシ流産菌)、好ましくはモラクセラ科のファミリー(特にアシネトバクター・バウマンニ)、好ましくはキサントモナス科のファミリー(特にステノトロフォモナス・マルトフィリア)、好ましくはパスツレラ科のファミリー(特にインフルエンザ菌)、好ましくはナイセリア科のファミリー(特に髄膜炎菌)、好ましくはスタフィロコッカス科のファミリー(特に黄色ブドウ球菌又は表皮ブドウ球菌)、好ましくはエンテロコッカス科のファミリー(特にエンテロコッカス−フェカーリス)、好ましくはストレプトコッカス科のファミリー(特にストレプトコッカス−アガラクティエ)、好ましくはクラミジア科のファミリー(特にクラミジア・ニューモニエ)のものであることを特徴とする、請求項23又は24に記載の方法。
  26. 該微生物が多剤耐性を示すことを特徴とする、請求項23から25までのいずれか1項に記載の方法。
  27. 請求項1から15までのいずれか1項に記載の有効量のペプチド又はポリペプチド或いは請求項16又は18に記載の医薬組成物を投与することによって、微生物の細菌成分の、好ましくは細胞壁成分の、より好ましくはリポポリサッカライドの生物学的活性を中和する方法。
  28. 請求項1から15までのいずれか1項に記載の有効量のペプチド又はポリペプチド或いは請求項16又は18に記載の医薬組成物を投与することによって、微生物の細菌成分の、好ましくは細胞壁成分の、より好ましくはリポポリサッカライドの生物学的活性を中和する、或いは微生物感染又は敗血症性ショックを患う哺乳類、特にヒト個体を治療する方法。
  29. N末端プロリン残基を有する請求項1から14までのいずれか1項に記載のペプチドを含む融合ポリペプチド又はタンパク質をコードする核酸分子を含む宿主細胞を提供するステップであって、該ペプチドが、C末端のアスパラギン酸を有する該ポリペプチド又はタンパク質にC末端で融合するステップと、
    該融合ポリペプチド又はタンパク質を発現及び単離するステップと、
    単離された融合ポリペプチド又はタンパク質を0.5〜4の間のpH値にするステップとを含むN末端のプロリン残基を有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載のペプチドを製造する方法。
  30. 請求項1から14までのいずれか1項に記載の固定化ペプチドを該試料に接触させるステップを含む試料からの細菌又は細菌性成分の吸着及び除去或いは不活化を行う方法。
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