JP2009540868A - 生体分子を試料から単離するシステム - Google Patents
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Abstract
本発明は目的の物質を精製する自動システムを提供する。システムは概して、流体をシステムを通して移動させるための機器、流体を貯蔵する試薬パック、及び精製カートリッジを含む。カートリッジは、物理的性質の違いに基づいて物質を結合する2つの濾過ユニットを含む。カートリッジはまた、カートリッジ上で流体の移動を制御する回転バルブを含む。好ましい実施形態では、システムは血液試料からのRNAの精製に有用である。
【選択図】図2
【選択図】図2
Description
本発明は生物学、試料分析、及び医療の分野に関する。より詳細には、本発明は試料からの生体分子の単離及び精製に関する。本発明は無数の種類の試料に適用可能であるが、特に核酸、タンパク質、及び他の生体分子を、血液及び血液製剤に含まれる細胞から単離及び精製するのによく適している。
[関連出願の相互参照]
本願は、2006年6月15日付で出願された米国仮特許出願第60/814,622号(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)の開示に依存し、その出願日の利益を主張するものである。
本願は、2006年6月15日付で出願された米国仮特許出願第60/814,622号(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)の開示に依存し、その出願日の利益を主張するものである。
生体分子、例えばDNA、RNA、タンパク質、及び他の細胞成分の単離、並びにこれらのその後の分析は、分子生物学及び生化学の基本である。例えば、核酸の分析は試料中の生物体又は特定の細胞を同定するために利用され、また、基礎研究及び医療診断分野の双方において遺伝子発現研究に利用される。例えば、遺伝子発現研究は、或る特定の疾患及び障害に関与する遺伝子を同定するために利用され、また、或る特定の物質(例えば薬物)の遺伝子発現への影響を調べるために利用される。試料から単離及び精製された核酸の収率及び品質は、続く任意の分析の成功に対して重大な影響を与える。
試料に含まれる細胞からの生体分子の単離では通常、生体試料中の細胞を、例えば機械的作用及び/又は化学的作用によって溶解した後、核酸又はタンパク質等の目的の分子が精製される。核酸の精製は従来、塩化セシウム密度勾配遠心分離法又はフェノール−クロロホルムを用いた抽出法を利用して行われてきた。これらの方法における典型的な最終工程では、核酸を濃縮するためにエタノール沈殿法が利用される。エタノール沈殿法では標的の核酸は単離されるが、単離された核酸の収率は低いことが多い。これら従来の方法は時間がかかり、複雑で、時に危険である。
核酸の単離に利用される従来の方法の多くは、核酸を固体担体に優先的に結合させ、汚染物質を洗い流した後、核酸を放出させる方法に取って代わられた。例えば、Boom et al.に対する特許文献1には、カオトロピック塩の存在下で核酸をシリカマトリックスに吸着させる原理が記載されている。この特許に開示される核酸精製法では、核酸を精製するために当該技術分野で以前実施されていた有機溶媒抽出法及びエタノール沈殿法を不要としている。この方法を利用して精製又は単離された生体分子、例えばこの方法で単離された核酸は、収率が高く、高品質であり得る。混合物にカオトロピック塩を使用することの別の利点は、カオトロピック塩がリボヌクレアーゼ(RNase)の作用を阻害するという点である。
核酸を結合するために固体担体を使用することは、当該技術分野で十分に立証されている。数々の固体担体材料がDNA及びRNAの結合に適切であると示されてきた。例えば、核酸の結合に関するガラスの有用性は以前から知られている。1979年に報告された研究では、Vogelstein and Gillespieは、核酸の結合のためにガラスビーズ及びカオトロピック塩を使用することを開示している(非特許文献1)。
幾つかの核酸精製法は、一本鎖核酸及び二本鎖核酸が、有機溶媒及びカオトロピック塩の存在下で、鉱物基質に異なった形で結合することができるという発見を利用している。核酸のこの特性は、まずエタノールで注目され(例えば特許文献2を参照)、続いて他の有機溶媒で注目された(例えば特許文献3及び特許文献4(参照により本明細書中に援用される)を参照)。より詳細には、一本鎖核酸分子は、或る特定の濃度のカオトロピック塩及び有機溶媒の存在下で、鉱物基質に結合可能であることが見出されている。一例としては、界面活性剤で溶解された細胞(例えば全血又は血漿等に由来する哺乳類細胞、及びフラスコ中で培養された哺乳類細胞)を、カオトロピック塩及びガラス繊維フィルタと混合することで、ゲノムDNAをガラス繊維フィルタ上で捕捉する一方で、RNAは通過させることができる。適量の有機溶媒を通過した混合物に添加することで、RNAはガラス繊維等のガラス基質に結合される。特に、この発見を利用することにより、一本鎖核酸を二本鎖核酸から優先的に分離することができる。
微細孔フィルタに基づく技法は、ゲノムDNAだけでなく核酸群の精製のための手段として浮上してきた。フィルタをベースとするマトリックスの利点は、多くの様式、例えばチューブ、スピンチューブ、シート、及びマイクロウェルプレートに形造ることができる点である。微細孔フィルタ膜は精製担体マトリックスとして、当該技術分野において他の利点を有する。例えば、微細孔フィルタ膜は、カラムクロマトグラフィーで可能なよりも高いスループット及び速い処理時間で、所望の分子の捕捉及び液相中の不要な成分の除去を可能にする、小型で操作の簡単なシステムを提供する。この特徴は少なくとも部分的に、フィルタ膜上で可能な速い拡散速度によるものである。核酸分子は概して、単純吸着によって、又はリガンドと所望の核酸との強い相互作用をもたらす、フィルタ膜又はフィルタに結合したリガンド上に存在する相補的な反応基間の化学反応によってフィルタ膜上に捕捉されている。
非共有結合性の核酸固定化に使用される多孔質フィルタ膜の材料には、ナイロン、ニトロセルロース、疎水性ポリビニリデン(polyvinylidine)フルオライド(PVDF)、及びガラス極細繊維等の材料が含まれる。また、多数の方法及び試薬が、核酸の固体担体(オリゴヌクレオチド及びプライマー等)への直接結合を可能にするために開発されている(例えば、非特許文献2及び非特許文献3)。核酸をナイロン膜へ架橋するための紫外線(UV)照射の利用も報告されている(非特許文献4、非特許文献5)。
つい最近では、ガラス極細繊維は、核酸を含有する様々な供給源に由来する核酸と、非常に効率的に特異的な結合をすることが示されている(例えば、非特許文献6及び非特許文献7を参照)。これらの研究者らによれば、様々な溶液成分を使用することで、核酸は高い特異性をもってガラス又はシリカに結合する。
また、特許文献5及び特許文献6は、細胞を多孔質マトリックスに固定化し、核酸がマトリックスの表面に保持された条件下で細胞を溶解し、核酸を溶出することにより核酸を細胞から単離する方法を教示している。また、特許文献7及び特許文献8は、実質的に純粋なDNAを、細胞を含有する生体試料から迅速に得る方法を記載している。この開示の方法によると、細胞膜は穏やかに溶解され、高分子量のゲノムDNAを含有する溶解物が生じる。溶解物は、溶解物が除去されてもDNAは捕捉される条件下で多孔質フィルタに適用される。DNAは水溶液を用いてフィルタから放出される。さらに、特許文献9は、核酸を細胞試料から単離する方法を教示しており、この方法では細胞はフィルタに適用されて保持される。細胞はフィルタ上で溶解され、核酸を含有する細胞溶解物を形成する。細胞溶解物はフィルタから除去されるが、DNAは保持される。続いて、DNAをフィルタから溶出させる。この特許は、試料、例えば血液の抽出に有用なデバイスをさらに教示しており、デバイスは間にフィルタを配置した本体、注入口、及び出口から成る。フィルタは好ましくはフィルタ担体又はフリットと、フィルタを適所に保持するフィルタ保持部材との間に配置される。
特許文献10、特許文献11、及び特許文献12は、核酸又は遺伝物質がセルロース系乾燥固体担体又はフィルタ(FTAフィルタ)に固定化可能であることを実証している。記載の固体担体は、種々の機能:(i)接触時に無傷細胞物質を溶解することで遺伝物質を放出させる、(ii)遺伝物質の固体担体への固定化を促進する条件を可能にする、(iii)固定化された遺伝物質を機械的せん断、エンドヌクレアーゼ活性、UV干渉、及び微生物の攻撃による損傷のない安定状態に維持する、及び(iv)遺伝物質を任意の後続処理の間、固体担体から除去されない担体結合分子として維持する、を果たすことが可能な化学組成物で調整される(非特許文献8により実証される)。しかしながらこの引例では、FTAフィルタに適用及び固定化された核酸又は遺伝物質は、一度結合すると固体担体から簡単に除去又は溶出不可能であることが認識されている。この欠点は、同じ試料からの幾つかの後続処理が必要とされる用途にとって重大な不利点である。
核酸を結合するための膜は、カートリッジ又は他の多部品ユニットに組み込まれてきた。例えば、特許文献13は、少なくとも2つの開口部を有する容器内に核酸吸着多孔質膜を含む、核酸を単離及び精製するためのカートリッジを開示している。核酸吸着多孔質膜は、核酸を非イオン会合により吸着することを特徴とする。この特許出願は、多孔質膜が好ましくは親水性基を有し、膜を処理又は被覆することにより形成されることも教示している。
さらに、特許文献14は、核酸を分離及び精製するためのカートリッジを記載しており、カートリッジは固相、固相を中に入れるための少なくとも2つの開口部を有する容器、及び容器の開口部の1つに接続される圧力差発生装置を含む。カートリッジは、ボルテックス、反転混合、又はピペット操作する工程を要する方法に従って核酸を分離及び精製するために使用される。
また、特許文献15は、核酸を分離及び精製する方法を実行するための微小デバイスを教示している。デバイスは少なくとも1つの開口部、及び試料溶液を通過させるための少なくとも1つの直径1mm以下のマイクロチャネルを含む。
RNAは、遺伝子の発現又は調節の研究における重要な診断手段である。例えば、RNAは、或る特定の環境変化(特定の医薬品の添加等)に対する細胞応答の指標として、発現プロファイリング又はDNAマイクロアレイに使用することができる。RNAは特に、cDNA生成、逆転写PCR(RT−PCR)、及びノーザンブロット分析にも使用することができる。核酸単離法より得られたRNA又はDNA等の核酸の品質は、大抵の後続する分子生物学分析の成功にとって重要である。特定の方法により得られたRNAの品質は或る程度、この方法のRNaseを不活化又は除去する能力によって決まる。RNA分子は、比較的安定なDNA分子とは違って、塩基触媒加水分解及び酵素触媒加水分解の両方において分子内求核試薬として働く、RNA中のホスホジエステル結合に隣接する2’ヒドロキシル基の能力に起因する分解の影響を受けやすい。デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)はその活性に金属イオンを必要とするため、キレート剤により不活化され得るが、多くのRNaseは反応種として2’ヒドロキシル基を利用することで、金属イオンの必要性を回避している。実際、細菌のmRNAは、in vivoでおよそ数分というような極めて短い半減期を有する。概して、真核生物のmRNAはより長い半減期を有し、in vivoで数時間安定である。しかしながら、細胞溶解が起こると、真核生物のmRNAは保護環境下ではなくなり、非常に短い寿命を有するようになり得る。或る方法のRNaseがRNA分子と接触する時間量を低減する能力は、方法により精製されたRNAの品質に影響する。自動化されたRNA精製法は概して、手動の方法より速いため、RNA分解が起こる可能性は低くなる。また、人の介入がなくとも、全血又は血漿の試料から出発し最終産物である単離RNAを生じる完全に自動化された方法は、精製プロセスの間に人の指又は環境中の埃によってRNaseと接触することがないという利点を有する。さらに、自動化された核酸単離法は恐らく、特定のユーザーの操作技能に左右され、ユーザーが実験室で種々の手順を一度に実行する場合に、複数の工程間で遅れが発生するおそれがある自動化されていない手順よりも再現性がある。
血液の成分には血漿、血小板、白血球、及び赤血球が含まれる。血漿はタンパク質を含有する血液の流体部分であり、通常は血球及び血小板が懸濁されている。血清は血液を凝固し、血餅を除去した後に残る流体である。血清及び血漿は唯一、大部分が凝血プロセス中に除去されるフィブリノーゲン及び他の微量成分の含有量の点で異なる。血小板は血漿に含まれる微小で形状の不揃いな円盤状の細胞質体であり、血液凝固を促進する。哺乳類の血液の細胞には、有核白血球(白血球)、有核未熟赤血球(網状赤血球)、及び無核成熟赤血球(赤血球)が含まれる。白血球は、体内の防御及び修復機構において重要な部分を成す。概して、顆粒及び無顆粒と称される2種類の白血球がある。顆粒白血球(顆粒球)には、残屑及び細菌を飲み込む食細胞が含まれる。無顆粒細胞には、B細胞及びT細胞の2つに大きく分類され、免疫系で重要な役割を果たすリンパ球が含まれる。赤血球は、血中で酸素及び二酸化炭素を運搬するタンパク質であるヘモグロビンを含有する。
血液は白血球に比べて多量の赤血球を含有する。概して、顆粒球及び赤血球に由来する大量のRNaseの存在のために、全血からRNAを単離することは困難である。検定手順は通常、労働集約的であり、RNase活性をなくすためには取扱いに注意する必要がある。全血等の複雑な混合物からの核酸の精製は例えば、全血からDNAを精製する方法を提供している特許文献9(上記参照)、及びオリゴ(dT)を使用して全血からmRNAを精製する、特許文献16に開示されている。しかしながら、これらの開示は、核酸を単離する自動システムを含んではいないため、時間がかかり、実行者の比較的高いレベルの専門知識に依存している。
核酸を血球から得る一方法では、フィルタを使用することで白血球は血液から選択的に除去される。市販の白血球除去フィルタは大抵、ガラス繊維、ポリエステル20繊維、又はその2種の繊維の組み合わせから作られている。例えば、このような市販の白血球除去フィルタの1つであるr/LS白血球除去用濾材(HemaSure, Inc.)は、ガラス繊維等の繊維のマトリックスと成分、例えば高フィブリル化繊維、又は100m2/gを超える比表面積及び0.05マイクロメートル(um)未満の平均直径を有するポリアクリロニトリル共重合体を含む粒子、及び任意に、ポリビニルアルコール又はその誘導体等の結合剤と組合せる。このフィルタは、少なくとも99.99%の白血球を1単位の血液製剤から除去することが可能であり、白血球除去した血液製剤を提供する。他の製造業者から市販されている白血球除去フィルタには、Pall Purecell LRF High Efficiency Leukocyte Reduction Filtration System(Pall Corporation)、及びBaxter Healthcare Corporation(Fenwal Division)/Asahi Medical Corporationによる白血球除去血液製剤等がある。
血液試料は、濾紙及びChelex−100等のキレート樹脂を使用して処理可能であることが当該技術分野で知られている。概して、これらの方法には、血液を濾紙ディスクに適用すること、キレート樹脂を加えること、及び混合物を高温でインキュベートして濾紙に結合したDNAを溶出させることが含まれる。
また、Baker et al.はDNAを血液試料から精製する方法を記載している。この方法によれば、血液は低張溶液と混合され、白血球がガラス繊維フィルタマトリックスに捕捉される条件下で真空を利用して濾過される。白血球は溶解され、DNAは細胞から放出されてフィルタマトリックス繊維の周囲及び/又は内部に捕捉される。DNAは高温でのインキュベーションの後、真空プロセスによって溶出される(非特許文献9)。
核酸精製技法の一部、例えば試薬の分配、溶液の希釈、並びに液体の吸引及び混合を自動化する試みがなされている。例えば、特許文献17は、ユーザーにより入力されたコンピュータプログラムに従って、手動の手順の代わりに自動化された手順を可能にする、交換可能な手段を有するロボットシステムを開示している。しかしながら、このような発明は柔軟に設計されており、全血からの迅速な核酸単離を特に提供するものではない。このように、これらのロボットシステムは、血液試料を機械に入れる前に前処理を要するか、又は核酸単離中に他の工程を実行することを必要とし得るため、血液又は血液製剤からの分子の精製に関して完全に自動化されていると見なすことはできない。また、ユーザーは、精製を達成するためのハードウェアだけでなく、核酸単離に使用されるコンピュータプログラムを決定しなければならない。
特許文献18は、全血を溶解液と混合し、その混合物を核酸を結合可能なフィルタに通過させる完全に自動化されたシステムの開示を意図している。後続の工程では、フィルタを洗浄し、核酸を溶出させる。しかしながら、核酸を血液試料から精製する場合、その後の分析を妨げる可能性のあるヘモグロビンによるへム汚染を回避するために、赤血球を溶液から除去することが重要である(例えば、非特許文献10を参照)。この特許公開に開示の方法及び装置は、赤血球及び血小板を有核白血球から分離する工程を提供してはいない。また、この特許公開は主に、マイクロタイタープレートを用いた核酸の単離を開示しており、RNAをより大きな容量から単離する具体的な方法を開示してはいない。幾つかの分析法では、マイクロタイタープレートから単離可能な量よりも大量の全RNAが必要とされる。
自動システムは現在、Roche MagNA Pure LC System及びQiagenのBioRobot Universal Systemのように、RNAを全血から単離する目的で販売されている。しかしながら、これらのシステムは概して、マイクロリットル単位の試料用であり、96ウェルフォーマットに基づいている。場合によっては、核酸を容量が1ml以上のような大きな試料サイズから単離する能力が望ましい。また、これらのシステムは小型ではなく、別個のコンピュータコンポーネントを要する。実験室を利用できない世界中の地域で使用可能な小型システムであることは有利であり得る。例えば、小型のRNA単離システムにより、ユーザーは患者から新鮮な血液を採取し、RNAの分解のためにそれほど時間差なく機械に直接挿入することが可能である。滅菌及び冷凍が不十分な環境では、即時及び小型の生物学的単離システムが大いに有利である。
他のシステム、例えばABI 6100 Nucleic Acid Prep Station(大容量のフォーマット)はより大きな容量の全血を扱うことができるが、完全に自動化されてはおらず、及び/又は使用後にシステムを清浄する必要がある。例えば、3mlの試料サイズを使用可能なABIシステムでは、自動化された工程の前に全血を希釈する幾つかの工程の必要があり、核酸の単離後に機械を清浄する幾つかの工程も必要とされる。
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したがって、当該技術分野では、生体分子を比較的大きな容量の血液から精製することのできる、完全に自動化された小型の高速生体分子単離システム及び方法が必要とされている。例えば、完全に自動化されているため人の手による試料の前処理を全く要さず、使用ごとに清浄する必要のないRNA単離システムが必要とされている。また、システムは、単離された核酸が高品質となり、その後の分析を阻害しないようにするために、白血球を赤血球から分離することが可能でなくてはならない。このようなシステムは、ユーザーが実行すべき高度な作業の量をできる限り最小化し、誤り又は試料及び実験装置の間のばらつきを最小化又は排除するものである必要がある。
本発明は生体分子を試料から精製するシステムを提供することにより、当該技術分野における必要性に応えている。システムは、高速で再現性のある自動システムであり、高品質で高度に精製された目的の分子をもたらす。システムは概して、物質の自動精製のための機器、機器を制御して物質(複数可)を精製するコンピュータソフトウェア、機器と共に使用される1つ又は複数のカートリッジ、パッケージ、又は容器、及び1つ又は複数の生物材料を精製する方法を含む。システムは、相互接続してユーザーに数々の生体分子を様々な異なる試料から精製する能力を提供するように設計され得る、複数の独立した部品及び機構の統合したシステムである。システムは、交換可能な部品と共に中心部品の使用を含み得る。
第1の態様では、本発明は1つ又は複数の目的の生体分子を精製する機器を提供する。機器は概して、機器の内部コンポーネント、部品、要素等を格納する手段、少なくとも1つの液体組成物を貯蔵手段から精製手段に移動させる手段、並びに1つ又は複数の生物材料を精製する手段、1つ又は複数の液体組成物を貯蔵する手段、及び精製プロセスの1つ又は複数の廃棄生成物を収納する手段のうちの少なくとも1つを把持する手段、のうちの少なくとも1つを提供する。幾つかの実施の形態では、機器は、少なくとも1つの液体を移動させる手段を制御する手段、精製手段内での少なくとも1つの液体の移動を制御する手段、又はその両方をさらに含む。幾つかの実施の形態では、機器は、流体を試薬パックから精製カートリッジに移動させる1つ又は複数のポンプを格納する外側シェル又はケース、及び任意に、ポンプ(複数可)を制御可能なコンピュータデバイスを含む。幾つかの実施の形態では、機器は試薬パック、精製カートリッジ、又はその両方を機器に、好ましくは互いに接続する1つ又は複数のコネクタを含む。
別の態様では、本発明は少なくとも1つの生体分子を試料から精製する手段を提供する。精製手段は概して、液体を受容及び分配する1つ又は複数の手段、細胞を捕捉する1つ又は複数の手段、核酸を結合する1つ又は複数の手段、並びに受容手段、分配手段、捕捉手段、及び結合手段と流体接続する1つ又は複数の手段を含む。幾つかの実施の形態では、細胞を捕捉する手段は優先的に有核細胞を捕捉する。幾つかの実施の形態では、精製手段は、1つ又は複数の表面に配置される凹部を有するプラスチックから成る精製カートリッジである。これらの実施の形態では、凹部は、少なくとも以下の要素と1つ又は複数の他の要素とを接続するチャネルを提供する。すなわち、1つ又は複数の注入ポート、1つ又は複数の排出(exit)ポート、細胞を捕捉する1つ又は複数のフィルタ、1つ又は複数の核酸及び/又は他の生体分子を結合する1つ又は複数のフィルタ。また、凹部の1つ又は複数はフィルタ(複数可)を収容する空間を提供し得る。
さらに別の態様では、本発明は1つ又は複数の液体組成物を貯蔵する手段を提供する。貯蔵手段は概して、1つ又は複数の液体組成物を貯蔵する1つ又は複数の独立した手段を含み、その各々がそれぞれの液体組成物を貯蔵手段から外に伝導する少なくとも1つの手段を含むか、又はこれに流体接続する。実施の形態では、貯蔵手段は貯蔵手段から除去された大量の液体を置換して、貯蔵手段内を適切な圧力に維持する手段をさらに含む。貯蔵手段には流体を貯蔵手段から排出する手段が含まれる。実施の形態では、貯蔵手段は、液体組成物を収納する1つ又は複数の容器を含む試薬パックを含み、その各々が、容器から試薬パック上の1つ又は複数の排出ポートへの導管として働くチューブ(可撓性、圧縮性チューブの一部等)と接続する。幾つかの実施の形態では、試薬パックは、精製プロセスからの廃棄生成物を受容及び収納する1つ又は複数の容器を含む。
さらなる態様では、本発明は精製手段、貯蔵手段、又はその両方からの廃棄生成物を受容する手段を提供する。廃棄物受容手段は概して、精製手段、貯蔵手段、又はその両方からの廃棄物を受容する少なくとも1つの手段、及び廃棄物を収納する手段を含む。実施の形態では、廃棄物受容手段はチューブ又は他の導管によって、少なくとも1つの容器に流体接続する少なくとも1つの注入ポートを含む。幾つかの実施の形態では、容器は容器内の適切な圧力の維持を助け得る外部環境との接続を可能にする通気口を含む。幾つかの実施の形態では、廃棄物受容手段は、1つ又は複数の液体の廃棄物受容手段への移動に携わるか、又は関与する圧力発生手段と接続する。幾つかの実施の形態では、圧力発生手段は、1つ又は複数の容器において真空を発生させて、廃液の容器(複数可)への吸入を引き起こすか、又は助けるポンプである。
よりさらなる態様では、本発明は貯蔵手段、精製手段、及び廃棄物受容手段の内部及びその間での流体の移動を引き起こす手段を提供する。手段は概して、システム内で流体を移動させる手段、及び流体の移動を調節する手段を含む。実施の形態では、流体の移動を引き起こす手段は、1つ又は複数の流体を貯蔵手段、精製手段、又は受容手段に機械的に入れる、及び/又はそこから排出させる1つ又は複数のポンプを含む。典型的には、流体の移動を引き起こす手段は、1つ又は複数の導管又はフィルタを通る流体の移動を調節する少なくとも1つの制御可能又は調節可能なバルブをさらに含む。調節可能バルブは、流体流ラインに沿った任意の位置に設置することができるが、好ましくは精製手段上に設置される。幾つかの実施の形態では、精製手段(例えばカートリッジ)を通る流体の移動を調節する全てのバルブは、精製手段上に設置される。
付加的な態様では、本発明は生体物質を試料から精製するプロセスを制御する手段を提供する。精製プロセスを制御する手段は概して、精製プロセス中に1つ又は複数の工程を行うためにコンピュータデバイスで実行されるコンピュータソフトウェア(例えばプログラム)を含む。制御する手段は典型的には、コンピュータデバイスで実行すると、システムの1つ又は複数の機械デバイスが制御されるソフトウェアを含む。例えば、実施の形態では、ソフトウェアは、システムの1つ又は複数のバルブのタイミング及び動作を制御し、液体を貯蔵手段から精製手段へと移動させて、廃棄物を例えば貯蔵手段内にあるような別個の区画へと返送するポンプのポンプ作用を制御する。
より付加的な態様では、本発明は生体物質を試料から精製するプロセスを制御するコンピュータ手段を提供する。コンピュータ手段は概して、ソフトウェア、及びコンピュータデバイスを操作してソフトウェアプログラムを実行するハードウェアを含む。コンピュータ手段は、市販のハードウェア及びソフトウェアを含んでいてもよく、多数の標準部品、コンピュータ言語等のいずれを使用してもよい。
別の態様では、本発明は、1つ又は複数の物質を試料から精製又は単離する自動化された方法を提供する。それほど限定されるものではないが、方法は典型的には、物質を核酸又はタンパク質等の1つ又は複数の生体分子を含む試料から精製又は単離する方法である。方法は概して、1つ又は複数の目的の物質を含む試料を濾過手段に曝露して物質を濾過手段で捕捉すること、目的の物質を濾過手段から放出させること、及び目的の物質を結合手段に曝露することを含む。実施の形態では、目的の物質は細胞に含まれる生体分子である。これらの実施の形態では、試料を濾過手段に曝露する工程により細胞は濾過手段に結合される。方法は、細胞を溶解して目的の物質を放出させることをさらに含む。方法では、工程は全て機械により自動的に実行される(例えばコンピュータプログラムによって制御される)。要するに、或る特定の選択的な工程(例えば試料の準備)には人の行為が幾らか含まれ得るが、方法のどの工程にも人との相互作用又は人の行為が必要とされない。
本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の幾つかの実施の形態を例示しており、書面による記載と共に本発明の様々な原理の説明に役立つ。図面は本発明の範囲又は内容を限定すると解釈されるべきではないことが理解されよう。
ここで、本発明の様々な例示的な実施形態について詳細に言及する。以下の記述は、本発明の或る特定の実施形態の詳細を示すために提供されるが、本発明の全範囲を限定するものと理解してはならない。
大まかに言えば、本発明は目的の物質を、それを含有する試料から単離又は精製する自動システムを提供する。システムは概して、機械設備、精製流体の容器、濾過カートリッジ、コンピュータ装置、及びコンピュータソフトウェアを含む。様々なコンポーネントが、核酸又はタンパク質等の標的物質を精製又は単離する、自動化された方法を提供するように構成される。本発明の一つの特徴は、システムの要素の多くが使い捨て可能又は設定可能であることにより、システムによってもたらされる適応性である。例えば、好ましい実施形態では、RNA等の標的物質の精製に必要な全ての組成物を含む試薬パックは、他の全ての要素とは独立してシステムに接続するか、又はシステムから取り外すことができるモジュールパック内に設けられる。同様に、好ましい実施形態では、標的物質を精製するフィルタを含む精製カートリッジは、他の全ての要素とは独立してシステムに接続するか、又はシステムから取り外すことができるモジュール形式で設けられる。
本開示によると、本発明の様々な態様に関する全ての用語は、他に言及がなく、特に指定のない限り、当該技術分野における慣用的な意味に従って使用される。或る特定の用語の一般的な文脈を提供する目的で、以下の記載がなされる。他の語、用語、及び句の意味はそれらの標準的な意味、それらが使用されている文章の文脈、又は以下に提供されるそれらに関する記述から明らかであろう。
本明細書中で使用される場合、用語「単離」及び「精製」は、物質を合成物から除去する(例えばRNAを細胞試料から除去する)プロセス、及び物質を元の試料中の少なくとも1つの他の物質から分離するプロセスを含む用語として互換可能に使用される。例えば、RNAの単離は、RNAを他の細胞物質及び他の核酸から分離することを含み得る。単離されたRNAは概して、他の核酸により汚染されておらず、逆転写される能力を有し得る。単離又は精製は完全な単離又は精製である必要はない。むしろ、単離された物質、例えばRNAは、物質が採取された試料に初めから含まれている少なくとも1つの他の物質から分離された場合に、単離又は精製されたと見なされる。好ましい実施形態では、単離又は精製された物質は概して、少なくとも又は約30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%以上であり得る。好ましくは、本発明による単離されたRNAは、少なくとも98%又は少なくとも99%の純度である。「単離」及び「精製」は全ての物質、例えばRNA、DNA、タンパク質、及び細胞の他の生化学成分に関していることが理解されよう。
本明細書中で値を述べる場合、特に具体的な指定のない限り、値はその特定の値に厳密に限定されると意図されないことが理解されよう。むしろ、述べた値及びその周辺の統計的に有意でない任意の値を示していると意図される。原則として、特に指定のない限り、又は開示の文脈、若しくは実験の性質及びそれらに付随する固有の相違から明らかでない限り、各々の値は、述べた値の前後5%の固有の範囲を含む。時には、この概念は用語「約」を使用することにより捕らえられる。しかしながら、或る数に関して用語「約」がなくとも、その値が「厳密」又は「正確」であると意図されることを示すものではない。むしろ、用語「厳密」若しくは「正確」(又は厳密さを明らかに示す別の用語)が使用された場合に限り、値がそのように限定されていると理解される。そのような場合、述べた値は列挙される有効数字を基に、四捨五入の通常の法則により規定され得る。したがって、例えば、値「100」の列挙は、95〜104のうち任意の整数値又は小数値を意味し、一方、値「正確に100」の列挙は99.5〜100.4を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」は、(2−デオキシ−D−リボースを含有する)ポリデオキシリボヌクレオチド、(D−リボースを含有する)ポリリボヌクレオチド、及びプリン塩基又はピリミジン塩基、若しくは修飾されたプリン塩基又はピリミジン塩基(脱塩基部位を含む)のN−グリコシドである、任意の他の種類のポリヌクレオチドを含む。したがって、「核酸」は二本鎖DNA及び一本鎖DNA、並びに二本鎖RNA及び一本鎖RNAを含む。用語「核酸」は、本明細書中で使用される場合、典型的にはサブユニット間のホスホジエステル結合、場合によってはホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合等によって共有結合した、リボヌクレオシド又はデオキシリボヌクレオシドの重合体も含む。このような核酸は、gDNA;hnRNA;mRNA;rRNA、tRNA、miRNA(ミクロRNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、snORNA(核小体低分子RNA)、snRNA(核内低分子RNA)、及びstRNA(低分子一過性RNA)を含むが、これらに限定されない非コードRNA(ncRNA);断片化核酸;ミトコンドリア又は葉緑体等の細胞内小器官から得た核酸;並びに微生物、寄生生物、又は生体試料中に存在し得るDNAウイルス若しくはRNAウイルスから得た核酸を含むがこれらに限定されない。生体試料に添加又は「スパイク」された合成核酸配列(ヌクレオチド類似体を含んでいても含まなくてもよい)もまた本発明の範囲内である。核酸の一本鎖への言及は、相補鎖への言及を本質的に含む。
本発明によれば、「タンパク質」、「ポリペプチド」、又は「ペプチド」は、2つ以上のアミノ酸残基を連結する少なくとも1つのアミド結合を含む分子である。互換可能に使用されるが、概して、ペプチドは比較的短い(例えば2〜10のアミノ酸残基長)分子であり、タンパク質は比較的長い(例えば100以上の残基長)分子であり、ポリペプチドは中間の長さの分子(例えば10〜100の残基)である。しかしながら、鎖長で明確に定義されない限り、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は互換可能に使用されることに留意されたい。当業者は、これらの分子は2〜数百以上の残基長の範囲にわたり得ることを即座に認識するであろう。したがって、当業者が各々の具体的な値/数が本発明によって包含及び想定されていることを理解するように、2〜数百以上の一つ一つの数を本明細書中で具体的に列挙する必要はない。したがって、各々の値を本明細書中で具体的に列挙はしないが、各々の値は本開示により本質的に列挙されるように理解される。この概念は、上記の議論の文脈及び本書を通じて核酸鎖長にも適用される。
本明細書中で使用される場合、用語「固相基質」及び「固体担体」は互換可能に使用され、目的の物質に結合可能な固相材料を含む(固相又は固相担体とも称される)。本明細書中で論じられる物質の例としては、生体試料中に存在するか、又は生体試料から放出される核酸、タンパク質、及び他の生体分子が挙げられる。数々のこのような固相基質が当該技術分野で既知であり、各々の独自性を本明細書中で開示する必要はない。固相基質の例としては、適切な条件下で核酸と結合可能な様々な材料が挙げられる。固相基質は、シリカ粒子、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、アルキルシリカ、ケイ酸アルミニウム、及びホウケイ酸を含むがこれらに限定されない、シリカを含む化合物、ニトロセルロース、ポリマー、ジアゾ化紙、ヒドロキシアパタイト(ヒドロキシルアパタイトとも称される)、ナイロン、金属酸化物、ジルコニア、アルミナ、ジエチルアミノエチル誘導体化担体及びトリエチルアミノエチル誘導体化担体(例えば、Chromegabond SAX、LiChrosorb−AN、Nucleosil SB、Partisil SAX、RSL Anion、Vydac TP Anion、Zorbax SAX、Nucleosil Nme2、Aminex Aシリーズ、Chromex、及びHamilton HA lonex SB、DEAE Sepharose、QAE Sepharose)、疎水クロマトグラフィー用樹脂(フェニルセファロース又はオクチルセファロース等)、「親和性に基づく」精製用樹脂等を含むが、これらに限定されない。用語「固相」及びその同義語は、形態に関していかなる限定も含意しないものである。したがって、用語「固相」は、膜、フィルタ、シート、粒子、電磁ビーズを含むビーズ、ゲル、粉体、繊維等を含むが、これらに限定されない多孔又は無孔、透過性又は不透過性の適当な材料を包含する。固相担体は単一の膜、フィルタ、ビーズ等、又は2つ以上のこれらの形態を含み得る。同様に、固相担体は、単一の機能ユニットに組み合わせられる2つ以上の異なる形態を含んでいてもよい。
したがって、「固相基質」はフィルタ又はフィルタ膜であり得る。用語「フィルタ膜」又は「マトリックス」は、本明細書中で使用される場合、完全に又は部分的にガラス、シリカ、又は石英(これらの繊維又は誘導体を含む)から形成される多孔質材料又は濾材を含むが、このような材料に限定されない。フィルタ膜を構成可能な他の材料には、セルロース系のもの(ニトロセルロース紙又はカルボキシメチルセルロース紙)、合成親水性ポリマーを含む親水性ポリマー(例えばポリエステル、ポリアミド、炭水化物ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、多孔質セラミックス、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート又はポリアクリレート、並びにアクリル酸共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフルオロカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンジフルオライド、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、又はポリフェニレンサルファイドも含まれる。核酸を膜又はフィルタ上に固定化するために、特に、鉱酸の塩、及びアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の塩、及び一塩基性有機酸、多塩基性有機酸若しくは多官能有機酸の塩、炭化水素のヒドロキシル誘導体、又はカオトロピック剤を使用することができる。
本明細書中で使用される場合、「試料」は目的の物質を含有するか、又は含有すると推定される任意の物体を含む。したがって、「試料」とは核酸、タンパク質、又は目的の別の生体分子を含有する合成物であり得る。そのため用語「試料」としては、核酸(ゲノムDNA、cDNA、RNA、タンパク質、他の細胞分子等)、1つ又は複数の細胞、1つ又は複数の生物体、1つ又は複数の組織、及び1つ又は複数の溶解した、懸濁した、又は粒子状の固体を含み得る1つ又は複数の流体を含む試料が挙げられる。組成物及び物質の例としては、皮膚、気道、腸管及び尿生殖路の外分泌物、腫瘍、in vitro細胞培養成分の試料、天然の分離物(飲用水、海水、固形物等)、微生物標本、及び核酸トレーサー分子で「標識された」対象物又は検体が挙げられるがこれらに限定されない。
したがって、用語「試料」は広義で使用され、目的の核酸及び/又はタンパク質及び/又は生体分子を含有する様々な生物学的供給源を含むものである。生体試料の例としては、全血、血漿、血清、白血球、赤血球、軟膜、スワブ(口腔スワブ、咽頭スワブ、膣スワブ、尿道スワブ、頸部スワブ、直腸スワブ、病変部スワブ、膿瘍スワブ、鼻咽頭スワブ等を含むがこれらに限定されない)、尿、糞便、痰、涙、唾液、精液、リンパ液、羊水、髄液又は脳脊髄液、腹水、胸水、嚢胞からの流体、関節液、硝子体液、房水、滑液、眼洗浄液、眼吸引液、肺洗浄液、肺吸引液、及び器官及び組織(肝臓、脾臓、腎臓、肺、腸、脳、心臓、筋肉、膵臓等を含むがこれらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。上記例示的な生体試料のいずれかから得た溶解液、抽出物、又は材料もまた本発明の範囲内であることが当業者には理解されよう。外植材料、初代細胞、二次細胞株等を含む組織培養細胞、並びに任意の細胞から得られた溶解物、抽出物、又は材料もまた、本明細書中で使用される場合、用語「生体試料」の意味の範囲内である。生体試料上又は生体試料中に存在し得る微生物及びウイルスも本発明の範囲内である。核酸を含有する臨床的又は法医学的環境から得られた材料も用語「生体試料」の本意の範囲内である。
本明細書中で使用される場合、用語「生体試料」又は「試料」はまた、全生物体又はその組織、細胞、若しくは構成部分(例えば血液、粘液、リンパ液、関節液、脳脊髄液、唾液、羊水、羊膜帯血、尿、膣液、及び精液を包むが、これらに限定されない体液)の一部を指す。用語「生体試料」はさらに、全生物体、又はその組織、細胞、若しくは構成部分、又はその部分若しくは一部から調製されるホモジネート、溶解物、又は抽出物を指す。さらに、「生体試料」は、タンパク質又は核酸分子等の細胞成分を含有する、生物体が伝播されたニュートリエントブロス又はゲル等の培地を指す。用語「単離された」及び「精製された」は、試料中で生体分子又は細胞が他の物質から分離されたことを意味する。これらの物質には、単離された分子又は細胞と比べて異なる種類の分子又は細胞が含まれ得る。例えば、核酸はタンパク質、炭水化物、及び脂質、並びに細胞に含まれる任意の他の分子等の他の生体分子から単離され得る。別の例では、白血球は赤血球から分離され得る。物質とはまた、単離された分子又は細胞と比べて同じ種類の分子又は細胞についても言及している。例えば、或る特定のタンパク質は、他のタンパク質から単離され、又は或る種の核酸は他の種類の核酸から精製され得る。生体分子又は細胞はまた、溶解若しくはせん断された細胞、又は細胞器官及び結合組織等の組織成分由来の残屑等の他の物質から分離され得る。物質は、溶解緩衝液、又は培養細胞を増殖するための培地のような、細胞又は組織が含まれるいかなる緩衝液又は液体も含み得る。生体分子又は細胞は、本発明の方法により部分的に精製され、試料中の幾つかの他の物質から部分的に分離又は部分的に精製されていてもよい。生体分子又は細胞は大部分が精製され、80%より純粋であってもよい。生体分子又は細胞はまた、純粋又はほぼ純粋で、最終溶出物中の生物材料の少なくとも95%、例えば98%、99%、99.5%以上が生体分子又は目的の細胞を含んでいてもよい。当然ながら、任意のレベルの単離又は精製が本発明により想定されるが、1%〜100%、及びその範囲の全ての特定の値(小数を含む)が考えられ、当業者はその範囲内の各々の特定の値をすぐに認識するはずであり、各々の特定の値を本明細書において具体的に列挙する必要はないことが理解されよう。本明細書中で使用される場合、「単離」及び「精製」は互換可能に使用される。好ましい実施形態では、単離は、ユーザーが試料をシステムに挿入し、単離された生体分子又は細胞を機器から取り出す完全に自動化された方法として行われる。
したがって、本明細書中で使用される場合、用語「生体分子」は、細胞中に含まれるか、又はウイルスを含む生命体によって生産される任意の分子を指す。生体分子は、核酸、タンパク質、炭水化物及び脂質を含み得るがこれらに限定されない。好ましい実施形態では、生体分子とは、核酸又はタンパク質、最も好ましくは核酸を指す。本明細書中で使用される場合、「細胞」は独立して機能することが可能であり、細胞質、及び細胞膜に囲まれた様々な細胞小器官から成る、生物体の最小の構造単位を指す。細胞は、細菌及び原生生物等の独立して機能する細胞、又は大きな生物体内で生存する細胞、例えば白血球及び赤血球を含み得るがこれらに限定されない。本明細書中で定義される場合、細胞は成熟ヒト赤血球のように核を有さなくてもよい。「血球」は、赤血球、白血球、及び血小板等の血中に含まれる細胞を指す。
生体分子又は細胞はあらゆる組織、培養細胞、体液、全血、血清、血漿、尿、糞便、微生物、ウイルス、植物、及び核酸を含む混合物等の様々な試料から、酵素反応の後単離することができる。組織の例としては、昆虫類及び軟体動物等の無脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、並びにヒト、ラット、イヌ、ネコ、及びマウス等の哺乳類等の脊椎動物の組織が挙げられる。培養細胞は古細菌界又は真正細菌界から成る原核生物に由来し得る。培養細胞はまた、細菌、藍藻類、放線菌類等の細胞壁を有する原核生物、及びマイコプラズマ等の細胞壁を有しない原核生物に由来し得る。培養細胞は植物、動物、真菌、藻類、粘菌、及び原生動物等の真核生物にも由来し得る。血液試料には、生物体から直接採取した血液、又は何らかの方法でろ過して、血清又は血漿等の幾つかの要素を除去した血液が含まれる。血液試料には、白血球及び/又は赤血球を含む試料等の血液成分も含まれる。本発明の方法のための試料は、生物体から採取したばかりの血液試料のように新鮮で、又は凍結保存試料のように冷蔵庫若しくは冷凍庫で長期間保管した後に使用することができる。試料は環境、例えば水域から、又は土壌から採取してもよい。方法は多くの場合、完全に自動化されることを想定しているが、幾らかの前処理を要する試料があり得る。例えば、細胞壁を分解するために溶菌酵素を添加してもよい。別の例としては、細胞培養物を試料の容積を減らすために遠心分離してもよい。また、組織を、例えば酵素又は粉砕装置を用いて化学的又は物理的に破壊してもよい。
用語「緩衝液」は、酸又は塩基が添加された場合に、pHの激変に抵抗する水性の溶液又は組成物を含む。このpH変化に対する抵抗性は、このような溶液の緩衝特性によるものであり、水性組成物中に含まれる1つ又は複数の特定の化合物の機能に起因し得る。したがって、緩衝作用を示す溶液又は組成物とは、緩衝液又は緩衝溶液を指す。緩衝液は概して、溶液又は組成物のpHを維持する無制限の能力を有してはいない。むしろ、緩衝液は通常、pHを一定の範囲内(例えばpH5〜pH7)に維持することができる。典型的には、緩衝液はpHをそのpKaの上下1log以内に維持することができる。当業者は、数々の緩衝液が組成物の緩衝に利用可能であり、全てのこのような緩衝液及びそれらの使用を本明細書中で詳述する必要がないことを十分に理解できよう。緩衝液の例としては、炭酸ナトリウム/重炭酸塩、MES([2−(N−モルホリノ(Morphilino))エタンスルホン酸])、ADA(N−2−アセトアミド−2−イミノ二酢酸)、Tris([トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン];Trizmaとしても知られる)、Bis−Tris、ACES、PIPES、MOPS等が挙げられるが、これらに限定されない。緩衝液及び緩衝溶液は典型的には、緩衝塩から作られる。したがって、限定されるものではないが、MES緩衝液を作るには2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(又はその塩)を使用することができ、Tris緩衝液を作るにはTrizma塩基(若しくはその塩)、又は必要に応じてTrizma HCl(若しくはその塩)を使用することができること等が例に挙げられる。緩衝溶液及び緩衝塩は、Sigma‐Aldrich(St. Louis、Mo.)、Fluka(Milwaukee、Wis.)、及びCALBIOCHEM(La Jolla、Calif.)等、数々の販売元から市販されている。
用語「カオトロープ」又は「カオトロピック剤」又は「カオトロピック塩」は、本明細書中で使用される場合、例えば、限定されるものではないが、タンパク質又は核酸の一次構造を損なわずに、二次構造、三次構造又は四次構造を変えることにより、タンパク質又は核酸中で障害を引き起こす物質を含む。カオトロープの例としては、塩酸グアニジン(GuHCl)、チオシアン酸グアニジン(GuSCN)、チオシアン酸カリウム(KSCN)、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、尿素等が挙げられるが、これらに限定されない。典型的なアニオン性カオトロピック系としては、カオトロピック強度が減少する順に、CCl3COO>CNS>CF3COO>ClO4>F>CH3COO>Br、Cl、及びCHO2が挙げられる。カオトロープ及びカオトロピック塩に関する詳細な説明は、特に米国特許出願公開第2002/0177139号及び米国特許第5,234,809号(これらの開示は参照により本明細書中に援用される)を参照されたい。カオトロープの例としては、幾つかの非イオン界面活性剤が挙げられる。
次に本発明の或る特定の実施形態の詳細について検討してみる。本発明の第1の態様では、1つ又は複数の目的の物質を精製する機器が提供される。機器は、目的の物質(本発明を実施する者が目的とする特性を有する任意の物質であり得る)を精製するプロセスにおいて様々な機能を果たすように設計される。物質はしたがって、合成有機又は無機化学物質(例えば、薬物又は他の生物活性剤)、生体分子(すなわち、生命体により産生された分子、例えば、限定されるものではないが、薬物又は他の生物活性剤、核酸、及びタンパク質;本明細書中で生体分子とも称される)、又は別の物質であり得る。例示的な実施形態では、物質は、DNA、RNA、又はタンパク質等の目的の生体分子である。
機器は概して、物質を精製するプロセスにおいて機能する1つ又は複数の要素を格納する手段を含む。実施形態では、格納手段は、外側ハウジング、シェル、キャビネット、又はボックスのような内部部品用の容器である。格納手段は、所望の部品の格納に適した任意のサイズ及び形状であってもよい。したがって、格納手段は、比較的小さく(例えば携帯用)、実験室の卓上又はカート上への設置に適していてもよく、又は比較的大きく、機器の固定部分として設計されていてもよい。格納手段は、任意の適切な材料又は材料の組み合わせから製造され得る。材料としては、金属、プラスチック(熱可塑性プラスチック及び熱硬化性樹脂を含むが、これらに限定されない)、木材、ガラス、及びゴム(天然又は合成)が挙げられるが、これらに限定されない。基本的な形態では、格納手段は、実質的に外部環境に露出される外表面、及び実質的にハウジングの内側に露出される内表面を含む。外部表面及び内部表面の一方又は両方は、ハウジングを1つ又は複数の他の物体、ハウジング内に格納される内部コンポーネント、又はそれ自体(例えば、ハウジングに剛性及び/又は安定性を与える目的で)に固定する手段を含み得る。格納手段は、以下の複数の機能の1つ又は複数を果たすことができる:機器の内部部品を保護するためのシェル、内部コンポーネントによって生じる騒音を低減することのできる内部コンポーネント用の容器、及びユーザーに美観を与えるデザイン又は全体的な外観(を含むがこれらに限定されない)。
格納手段の外表面は、他の物体を格納手段に取り付ける1つ又は複数の手段を含んでいてもよい。これらの取り付け手段は、或る物体を別の物体に取り付けるための任意の適切な構造を含み得る。したがって、取り付け手段は、物体を取り付けるためにネジ、ボルト、ピン、ロッド等が挿入され得る孔であってもよい。さらに、取り付け手段は、物体が取り付けられ得るブラケット、フランジ等であってもよい。他の非限定的な取り付け手段の例としては、面ファスナが挙げられる。取り付けは、永久的又は除去可能な任意の適切な様式で行われ得る。したがって、例えば、物体は格納手段にボルト又はネジで留められ、後に置換/修復のために除去されてもよい。同様に、物体は、物体をしっかりと把持するが、所望の場合には物体の取り外しを可能にすることができる1つ又は複数の摩擦嵌合継手(スプリングクランプ等)により取り付けられてもよい。取り外しは単に人の力で、又は道具を用いて可能であり得る。
幾つかの実施形態では、格納手段は、本発明のシステムの要素を機器に取り付ける1つ又は複数の手段を含む。例えば、幾つかの実施形態では、格納手段は外表面に、試薬パック(下記参照)、精製カートリッジ(下記参照)、又はその両方を収容及び取り外し可能に固定するよう設計された1つ又は複数の凹部を含む。代替的には、格納手段は試薬パック、精製カートリッジ、又はその両方を取り外し可能に固定するための1つ又は複数のクランプを含んでいてもよい。さらに、表面は試薬パック、精製カートリッジ、又はその両方でピン、ロッド等を受ける1つ又は複数の陥入部、孔等を含んでいてもよく、ピンと孔が整合することにより、ハウジングにパック及び/又はカートリッジが取り外し可能に固定される。例えば、機器は試薬パックの圧縮性チューブを受けるか、又は試薬パックに取り付けられた1つ又は一連の蠕動ポンプを含んでいてもよい。各々のチューブは各端に、機器ハウジングにおいてブラケット又は他の取り付け手段により適所に固定されたコネクタを有していてもよい。チューブは、試薬パックに形成されたグルーブ(grooves:溝路)又はチャネルによって、ハウジング手段又はポンプヘッドに取り付けられていてもよく、チューブをポンプヘッドに設置及び保持する圧力も提供し得る。チューブは、試薬パックの容器上のメスレセプタクルに連結及び挿入するように設計される、オス端部を有していてもよい。同様に、チューブは、表面にOリング又は他の封止材で定められるような、精製カートリッジのオスコネクタを受容するためのメスレセプタクルを有してもよい。これらのコネクタは試薬パック、カートリッジ、又はその両方を機器に保持するのを助け得る。
原則として、実施形態では、機器格納手段は試薬パック、精製カートリッジ、又はその両方と結合する少なくとも1つの表面を含む。以下で詳述されるように、この結合により、格納手段に格納される1つ又は複数のコンポーネントと試薬パック、精製カートリッジ、又はその両方との相互作用が可能となる。したがって、実施形態では、ハウジングの少なくとも1つの表面は、システムの着脱可能な要素を収容し、それと相互作用するように設計される。典型的には、格納手段は、特定の用途に関する特定のデザインを含み、試薬パック、精製カートリッジ、又はその両方は格納手段と上手く係合するように設計され得る。
格納手段が試薬パック及び/又は精製カートリッジに接触し、それと相互作用する表面を含む場合、表面は、格納手段の内部に格納されるコンポーネントの少なくとも一部を、格納手段の外部に露出させることを可能にする孔、ポート、又は他の開口部を含んでいてもよい。例えば、実施形態では、格納手段は、1つ又は複数の蠕動ポンプの一部が通る1つ又は複数の開口部を含み得る。蠕動ポンプの露出部は、試薬パックがハウジング表面と接触して置かれる場合、試薬パック又は試薬パックに接続するチューブの一部と接触するように構成される。このようにして、ポンプは、試薬パック上に露出するか又は別個に設けられる1つ又は複数のチューブと接触してもよく、ポンプが稼動するとチューブに流体が送り出される。当然ながら、これらの実施形態では、格納手段の外表面の開口部は、ハウジング表面の一部を形成し得るポンプ部分を適切に収容するよう設計され、格納手段の外表面及び/又は内表面は、ポンプを適当な場所に固定する留め具を含むように製造され得る。
ハウジングの内部に、若しくはハウジングの表面に1つ又は複数の蠕動ポンプが部分的に配置されていても、又は複数のヘッドを有する単一の蠕動ポンプがあってもよいことに留意されたい。この違いは、ポンプ(複数可)が1つ又は複数の流体を試薬パックからカートリッジに圧送するための、1つ又は複数のチューブを収容することが可能な限り重要ではない。例えば、蠕動ポンプは複数の流体及び空気を、試薬パックの一部を成すチューブを通して、試薬パックの排出ポートに送り出し、精製カートリッジの入口ポートに送り込むために使用することができる。単一のポンプヘッドが複数の液体を圧送するために使用されてもよく、所定の時間、流体を必要としないポートは、カートリッジ上に設けられる弁体により効率的に閉じられ得る(下記参照)。
格納手段の外表面はまた、ユーザーと格納手段に格納される内部コンポーネント、又は本発明のシステムの他の成分との相互作用のためのインターフェースを含み得る。より詳細には、格納手段は、ユーザーが、目的の物質を精製する機器及び周辺装置(例えば、コンピュータプログラムを実行するコンピュータ)をプログラム又は制御することを可能にするインターフェース、例えばキーボード、タッチスクリーン等を含む表面を含み得る。インターフェースは任意の適切な形で存在しても、任意の適切な方法で構成される制御装置を含んでいてもよい。典型的には、インターフェースはユーザーに、精製スキーム若しくはプロトコルを作成するか、又は予め設計されたスキーム若しくはプロトコルを選択し、プロトコルの実行を開始し、プロトコルを終了する能力を与え得る。様々な試料を区別し、標識する(例えば、試料及びカートリッジをバーコード付けする)、特定の試料及び/又は試薬パックと特定の精製の実行又は精製スキームを関連付ける、精製スキームパラメータを分析する等の能力を含む、様々な他の特徴が提供され得る。要するに、インターフェースは、ユーザーが特定の精製の実行、精製スキームを遂行するソフトウェアにより限定される情報量、試料の品質、及び(もしあれば)機械に含まれる検出構造に関して、利用できる任意の及び全ての情報を得ることを可能にすることができる。当然ながら、インターフェースはユーザーに図形又は文字情報を表示する、1つ又は複数のパネル、スクリーン等を含むことができる。幾つかの実施形態では、インターフェースは、紙に情報を印刷する手段を含み得るが、他の実施形態では、情報を印刷する手段は、機器上の別の位置に、又は別個の独立したデバイスとして提供される。
上述したように、格納手段は1つ又は複数の内部コンポーネント、デバイス、装置等を格納する。格納手段は概して、流体を、目的の物質の精製及び/又は廃棄物の除去のための精製カートリッジを通して圧送するのに使用される、少なくとも1つのポンプを格納する。ポンプのサイズ、形状、又は任意の特定の特徴は、少なくとも1つの流体を本発明による精製カートリッジを通して圧送するのに適してさえいれば限定されない。典型的には、ポンプは、流体を可撓性チューブを通して圧送するのに使用することができる、蠕動ポンプ等の機械ポンプである。以下で詳細に論じられるように、本発明は物質の精製プロセスの間、複数の異なる流体を圧送する能力を提供する。したがって、本発明の機器はこれらの流体を圧送するための1つ又は複数のポンプを含み得る。必須ではないが、システムのポンプ全てが格納手段に格納されることが好ましい。非限定的な一例では、1つ又は複数の液体を試薬パックから精製カートリッジへと圧送するために、1つ又は複数の蠕動ポンプが設けられる。実施形態では、この蠕動ポンプは必要な場合に空気又は別の気体を圧送する役目もある。実施形態では、少なくとも1つの別個のポンプが、空気又は別の気体を精製カートリッジ中に、及び精製カートリッジを通して圧送するために設けられる。さらに、幾つかの実施形態では、ポンプは精製カートリッジの1つ又は複数の出口/排出ポートで陰圧を生じさせるために設けられる。実施形態では、単一のモータが2つ以上のポンプを受け持ってもよい。例えば、単一のモータが空気圧ポンプ及び空気真空ポンプを動かしてもよい。
様々な可能なポンプ構造に関しては、システム内で流体を流すために2つのポンプ機構を使用することで、他の構造よりも利点をもたらすことが可能である点に留意されたい。詳細には、以下で論じられるように、本方法及びシステムの一実施形態の1つの有利な特徴は、比較的穏やかで(このため部品の突発故障の可能性が低減される)、膜又は他の透過性バリアをはさんで大幅な圧力降下を示す圧力で、流体を一連の導管及びチャンバを通して移動する能力である。移動される流体の後ろに陽圧(すなわち「押す」力)を与え、同時に移動される流体の前に陰圧(すなわち「引く」力)を与えることで、高い流出速度及び流体の前後の高い圧力差が得られる一方、システムの全圧は比較的低いレベルに維持することができる。この高い圧力差は、本発明の精製法において有利であることが分かっている。
本発明のシステムは自動システムである。したがって、格納手段に格納される各々のポンプの動作は、コンピュータにより制御することができる。すなわち、各々の流体に対するバルブを制御することで、精製プロセス中で必要とされる全てのポンプを作動すること、及び圧送される流体を制御することが可能であるが、ポンプの動作を制御することにより(すなわち、ポンプを必要に応じて切り替えるか、又はポンプへの電力を調節することで、速度調節することにより)流体の圧送を制御することも可能である。各々のこれらの制御動作は、システムのポンプ及びバルブと接続するコンピュータにより行うことができる。
機器は、2つ以上の流体を移動する手段、例えば2つ以上のポンプを含んでいてもよい。典型的には、少なくとも1つのポンプは、流体を把持する可撓性チューブを圧縮することにより流体を移動させる蠕動ポンプである。流体を機器を通して圧送する当該技術分野で既知の他のシステムとは対照的に、本発明のシステムは、機器自体に流体を入れることなく流体を圧送可能であることに留意されたい。すなわち、本発明の機器は、蠕動ポンプのポンプヘッドが機器ハウジングの表面に存在するように構成される。ポンプヘッドはしたがって、流体で満たされたチューブ(例えば液体を収納するチューブ)と係合し、チューブ又は流体を機器自体に入れることなくチューブに流体を圧送し得る。このようにして、機器の清浄が省かれ、不十分な清浄による或るバッチから次のバッチへの試料の二次汚染が回避される。実施形態では、蠕動ポンプは、次に試薬パック及び精製カートリッジと接続するチューブを備えることに留意されたい。しかしながら、これらの実施形態では、チューブは使い捨てであって、ポンプ(又は機器)の一部ではなく、むしろポンプ及び機器と併用される消耗品として見なされる。さらに、空気及びガスは流体と見なすことができ、1つ又は複数のポンプを用いて機器を通して圧送することができるが、どの機器又はチューブも空気又は他のガスの圧送の後、清浄する必要はない。
流体を精製カートリッジを通して圧送するための1つ又は複数のポンプに加えて、機器は、流体を精製カートリッジを通して引く1つ又は複数のポンプを含んでいてもよい。詳細には、以下で詳細に論じられるように、精製カートリッジは、様々な流体が通過し得る複数の小径チャネルを含む。流体を幾つかのチャネル経路を通して首尾よく圧送するのに必要とされる全圧は高くなり得る。流体を精製カートリッジチャネルに押し通すために必要とされる総力を低減するために、実施形態では、流体をチャネルを通して引く手段も採用されている。例えば、真空ポンプは格納手段に格納され、次に精製カートリッジの1つ又は複数の出口ポートと接続する、廃棄物リザーバと接続し得る。代替的には例えば、真空ポンプは直接、カートリッジの1つ又は複数の出口ポートと接続し、カートリッジの導管及び区画で真空を発生させる。真空ポンプと係合することで排出ポートに陰圧を生じ、これはチャネルを経て、蠕動ポンプの「押す」力を増大させる「引く」力をもたらし、流体を精製カートリッジに「押す」ために必要とされる全圧を低減する。真空を生じさせるのに1つ又は複数の手段が用いられる場合、システムのポンプによりもたらされるそれぞれの圧力は連動して、目的の流体の先端及び後端に、試料の安定性を保証し、流体全体で実質的に等しい流体の流出特性を維持するのに適切な圧力をもたらし得る。
上記の開示によると、本発明の機器は、少なくとも1つの流体(液体組成物等)を、貯蔵手段(試薬パック等)から精製手段(目的の物質を他の物質から分離するためのフィルタを含む精製カートリッジ等)に移動する手段を含む。内部成分を格納する手段(例えば外側シェル)に加えて、機器は試薬パックを把持する手段、精製カートリッジを把持する手段、及び廃棄生成物パックを把持する手段の少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
機器は、本発明の精製プロセスからの廃棄物を収納する手段を取り付け及び/又は固定する手段を含んでいてもよい。より詳細には、物質の精製プロセスにより廃棄生成物が形成される。典型的には、廃棄生成物は精製手段を通過した液体である。非限定的な例としては、濾過された試料、洗浄緩衝液、結合緩衝液、溶出緩衝液、及び水が挙げられる。清潔な実験室環境の維持を助けるため、及び潜在的には地方、州、又は政府の安全要件を満たすために、廃棄生成物の一部又は全部を廃棄物収集手段において収集し、適当な時点及び場所で廃棄することができる。原則として、廃棄物収集手段は廃棄物、特に液体(例えば水性有機溶媒)組成物を受容及び収納するのに適切な任意の容器であり得る。実施形態では、廃棄物収集手段は、精製カートリッジの1つ又は複数の排出ポートと流体接続し、排出ポートから排出される流体を受容可能な容器(例えばバッグ、ボトル、ジャー)であり得る。廃棄物収納手段の容器は、強固又は折り畳み/拡張可能であり、真空封止状態で設けられ、必要に応じて流入廃棄物を収容するために拡張することができる。代替的又は付加的には、廃棄物容器には、廃棄物の流入に応じた圧力変化を可能にするために通気口がつけられ得る。精製カートリッジを通る流体の流れを促進するために真空ポンプが使用される実施形態では、廃棄物収納手段が真空ポンプと流体接続する通気口を含むことで、ポンプにより生じた真空は廃棄物容器、及び容器から収納手段の注入ポートへのコネクタ(例えばチューブ)に適用される。精製カートリッジの排出ポートに接続される場合、真空は精製カートリッジの1つ又は複数のチャネルに適用される。
幾つかの実施形態では、機器は流体のシステム内の移動を制御する手段を含む。流体流を制御する手段は単一の要素であるか、又は協同して流体流を制御するように働く要素の集合であり得る。基本的な形態では、流体流を制御する手段は、システムのポンプ(複数可)及びバルブ(複数可)の活動を制御するソフトウェアを実行するコンピュータデバイスを含む。様々な構造では、流体流を制御する手段は、バルブを機械的に作動するコンピュータデバイスが実行するソフトウェアに制御される、精製カートリッジ上に配置される1つ又は複数のバルブを含む。バルブは、当該技術分野で既知の任意の種類のバルブ、例えばアクチュエータによる、又はバルブを所望の位置に動かす(例えば完全に開く、完全に閉じる、部分的に開く)電磁力若しくは他の自然現象(例えばバルブを磁気的に作動する)による1つ又は複数の部品の物理的運動によって作動する機械バルブであってもよい。本発明の実施形態の1つの有利な特徴は、流体の厳密な制御及びデッドボリュームの低減を可能にする精製カートリッジ上の全バルブの配置である。実施形態のさらに非限定的な利点は、複数の異なる流体を、複数の異なる他のチャネル/導管に流すための複数のチャネル/導管の選択を可能にする回転バルブの使用、及び単一のバルブで複数の導管を閉鎖又は遮断する能力である。
したがって、本発明のシステムは、例えばポンプ及びバルブの動作を制御することにより流体の移動を制御するための、及び精製スキームの全般的な遂行を制御するためのコンピュータハードウェア及びソフトウェアを含んでいてもよい。コンピュータハードウェア及びソフトウェアは、好ましくは本発明の機器に含まれる。しかしながら、実施形態では、コンピュータハードウェア及びソフトウェアは別個のユニットに格納されて、機器と接続される。この点については、接続は物理的接続(例えばケーブル、コード等による)、又は電磁照射(例えば赤外線、マイクロ波、電波等の通信)によるものであり得る。コンピュータシステム遂行の多様性により、本システムのコンピュータハードウェア及びソフトウェアは、単一の物理的若しくは機能的ユニット、又は個別のユニットとして遂行され得る。本発明はしたがって、本明細書中に記載の単離方法の自動化に有用な自動システムを提供する。実施形態では、システムは試料、特に細胞試料からの生体分子の単離に有用である。一実施形態では、システムは血液試料からの生体分子の単離に有用である。コンピュータハードウェア及びソフトウェアは、市販のコンポーネントから成っていてもよく、及び/又は市販の機械でコンパイル及び実行され得る任意の既知の言語で書かれていてもよい。実行者は、特定の必要性又は要望に見合うハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを自由に選択することができる。
概して、上述の機器を含み、本発明の方法を実行するために設計される本発明のシステムの実施形態には、少なくとも収納されたリザーバ又はチャンバ内に配置される第1の固相基質、収納されたリザーバ又はチャンバ内に配置される第2の固相基質、及び任意の収集チャンバ(本明細書中で物質収集ポートとも称される)を含む少なくとも1つの着脱可能なカートリッジが含まれる。本発明によるカートリッジは、固相基質(複数可)並びに物質及び/又は物質の精製のための試薬を含有する溶液が流れ得る1つ又は複数の通路を収納していてもよい。本発明によるカートリッジはまた、カートリッジ上に1つのバルブ、例えばカートリッジ上に1つ又は複数の回転バルブを収納していてもよく、これはシステムを通る流体の移動(すなわち接触)を直接制御するために、システム内に存在する唯一のバルブであり得る。本発明によれば、バルブはコンピュータ制御手段により独立して制御可能であり、1つのバルブにつき3つ以上の経路を独立して扱うことができる(すなわち、バルブは単なる開閉バルブではなく、3つ以上の異なる選択肢からの選択を可能にする)。さらに、本発明によれば、目的の物質をその精製に有用な試薬と混合するために混合チャンバがカートリッジ上に設けられてもよく、ここで、物質及びそれと混合される材料は共に液体組成物中に含まれる。目的の物質(例えば生体分子(単数又は複数))の単離に使用することのできる緩衝液及び他の液体組成物は、システムの着脱可能なコンポーネントでもあり得る試薬パック中に収納される。本発明のカートリッジは、RNA、又はDNA、又はタンパク質のいずれかの単離に有用である。本発明のカートリッジは、1つ又は複数の単離された材料を収集するために1つ又は複数のポート又は収集チャンバを有していてもよい。機器はシステムの統合部でもあり、液体を試薬パックからカートリッジに送り込み、次に目的の物質を精製するためのカートリッジを通過させる力(例えば、陽性空気圧及び/又は真空)をもたらす。
様々な実施形態では、システムは、試料から単一の材料(例えばRNA)を精製するため、RNA、DNA、タンパク質、及び任意の他の目的の生体分子の任意の組み合わせを同時に又は連続して単離するため、本明細書中に記載の単離方法を同じ形で実行するため、及び出発材料が細胞試料、例えば1つ又は複数の個体に由来する血液である、本明細書中に記載の単離方法を同じ形で実行するために使用することができる。精製には、汚染物質の一部又は全部を結合し、一方で目的の物質を溶液中に残存させておくこと、又は目的の物質を1つ又は複数の固体基質に結合させることが含まれ得る点に留意されたい。
本発明の別の態様では、少なくとも1つの目的の物質を精製する手段が設けられる。上記で論じられたように、物質は目的とされるいかなる物質であってもよい。例示的な実施形態では、物質は核酸又はタンパク質等の生体分子である。少なくとも1つの物質を精製する手段は概して、流体(例えば血液等の液体試料)を受容及び分配する少なくとも1つの手段、大きな物質(例えば捕捉細胞)を保持する少なくとも1つの手段、目的の物質(例えば核酸)を捕捉する少なくとも1つの手段、並びに受容手段、分配手段、保持手段、及び捕捉手段と流体接続する少なくとも1つの手段を含み、ここで精製手段は、目的の物質が流体の運動により、記載の順番で上記の手段に曝露される方向に運ばれるように構成される。例示的な実施形態では、物質を精製する手段は、核酸を血液試料から精製するため、特にRNAを白血球から精製するために構成される。これらの実施形態では、精製手段は、血液試料を受容する手段、血液試料の全部又は一部を、試料中の細胞の少なくとも一部を保持する手段に伝導する手段、保持された細胞を核酸を放出させるために溶解する手段、溶解時に細胞から放出されたDNAの一部、ほとんど全部、又は全部を保持する手段、及び細胞の溶解時に放出されたRNAを捕捉する手段を含む。参照し易いように、本明細書中では精製手段は精製カートリッジとも称され得る。
精製カートリッジは概して、流体の移動及び固体担体の収納のための1つ又は複数のチャネル及びリザーバを内に配置した本体を含む。精製カートリッジは、任意の適切な材料又は材料の組み合わせから作ることができる。例えば、精製カートリッジはプレキシガラス、ポリスチレン、ナイロン−66、又はポリカーボネート等のような任意の多数のプラスチック材料から作ることができる。好ましくは、カートリッジの少なくとも1つの表面はユーザーが、流体が意図されたようにカートリッジ内を流れるかどうか人の手で確認するのを助けるために透明又は半透明である。カートリッジは、1つ又は複数の目的の物質を(例えば光学的に)検出するため、又はそうでなければ測定するために、透明窓等の1つ又は複数の検出ゾーンを含んでいてもよい。
精製カートリッジの本体は主に、カートリッジ及びコンポーネントを物理的に支持する。カートリッジは典型的には2つの部品、ブロック(又はシェル)及びフェース(又はカバー)で形成され、各々が他に対する咬合表面を有する。表面の片方又は両方は、1つ又は複数のチャネル及びリザーバを形成するように処理される。処理は、適切なサイズ及び形状の構成が作製されるような任意のプロセスであり得る。例えば、カートリッジ本体のブロックは、所望のチャネル及びリザーバが得られるようにエッチング、ガウジング、掘削、化学的溶解、ルーティング(routed)、又はプレキャストされてもよい。或る特定のチャネルは、流体が外部環境と連絡可能なようにカートリッジ本体内に配置され得る(すなわち、排出及び入口ポートが作られ得る)。ブロック及びフェースは、プラスチック材料等の適切ないかなる材料から作られてもよい。例えば、フェースはプラスチックのテープ又はリボンから作られていても、又は固有の剛性を有する厚い物質であってもよい。チャネル及びリザーバを作製した後、カートリッジ本体のこの2つの部品は適切なプロセス、例えば1つ又は複数の接着剤の適用、熱溶接、超音波溶接、又は1つ又は複数の部品の1つ又は複数の部分を溶解及び再形成することにより融合され、フェースがブロックに接着され得る。好ましくは、融合は永続的であり、少なくともチャネル及びリザーバに沿って流体密封を生じさせる。
精製カートリッジのサイズ及び形状は重要ではないが、物質を精製するための統合システムを提供する機器及び試薬パックに関連して設計される。実施形態では、精製カートリッジは、正方形又は円形の辺を有し得る、正方形から長方形の形状の少なくとも1つの表面を有する。幾つかの実施形態では、カートリッジは、縦幅及び/又は横幅がおよそ5インチ〜およそ12インチであり、高さ/深さがおよそ1インチ〜およそ3インチである。
精製カートリッジは、本体の1つ又は複数の外部表面に、カートリッジを本発明の機器に取り付ける取り付け手段を含む。カートリッジを取り付ける手段は、カートリッジを機器に物理的に取り付けるために使用することができる任意の適切な構造を含む。必要に応じて、この手段は機器の取り付け手段を補完する。例えば、機器がカートリッジを機器上に保持するスプリングクリップを含む場合、カートリッジは、一次元がスプリングクリップによる接続及び保持を確実にするのに適するサイズであるように設計することができる。代替的には、機器がその表面に1つ又は複数の孔を含む場合、カートリッジは孔と整合し、孔に挿入することができる1つ又は複数のピンを含み得る。また、機器がブラケットを含む場合、カートリッジはブラケットに適合する及び/又は取り付けられる相補的構造を含み得る。
精製カートリッジはまた、1つ又は複数の外部表面に、カートリッジを試薬パックに取り付ける取り付け手段を含み得る。本明細書中で論じられる他の取り付け手段と同様に、取り付け手段は、精製カートリッジと試薬パックとを永久的に、又は好ましくは放出可能に取り付ける任意の適切な構造を含み得る。精製カートリッジを試薬パックに取り付けることで、各々のポートは一方にある流体が他方へと流れることができるように整合され得る。実施形態では、ポートの整合及び物理的接触は、カートリッジを試薬パックに取り付けるのに適正である。
また、実施形態では、精製カートリッジは廃棄物受容手段に取り付けられるための取り付け手段をさらに含む。これら2つの要素を接続するために、任意の適切な構造を使用することができる。精製カートリッジが廃棄物受容手段に取り付けられると、各々のポートは一方にある流体が他方へと流れることができるように整合され得る。
精製カートリッジはチャネル、バルブ、及び目的の物質を精製するための固体担体を含む。カートリッジは、リザーバ中の精製産物を除去するか、又は精製産物を固体担体に結合させるために使用することができる。カートリッジは1度の使用に合わせて(すなわち使い捨ての要素として)、又は複数回の使用に合わせて設計することができる。実際、カートリッジのブロック及びフェースが、フェースが容易に除去可能な形で融合される実施形態では、例えばフェースをブロックに把持するために比較的弱い接着剤を使用した場合では、カートリッジを開けて清浄し、固体担体を取り外して交換することができる。
外部表面の内部にある(すなわち、カートリッジの本体の内部に配置されている)精製カートリッジは、1つ又は複数の入口ポート又は排出ポート、1つ又は複数の注入ポート、1つ又は複数のバルブ、前置フィルタ、及びフィルタ、及び任意に、標的物質収集ポートを含む。これらの要素は、1つ又は複数の導管によって互いに接続する。上記で論じられたように、これらの要素は所望のサイズ、形状、及び各々の要素の相互接続性を達成するためにカートリッジの本体をエッチング、カービング、切削、掘削、鋳造すること等によってカートリッジで製造することができる。導管及びポートのサイズは特定の精製スキームの要求に合うように調節することができる。しかしながら、一般的なガイドラインとしては、核酸を液体生体試料から精製するためには、液体の移動のためのポート及びチャネルの直径は、約1マイクロメートル〜約3マイクロメートルの範囲、例えば約1.25マイクロメートル〜2マイクロメートルであり得る。気体の移動のためのポート及びチャネルは幾分小さく、例えば直径がおよそ1マイクロメートルであり得る。
精製カートリッジの本体の1つ又は複数の表面は、導管、チャネル等を介してカートリッジの内部要素に接続する孔を含む。これらの孔又はポートは、流体をカートリッジの内部要素に接近させる。カートリッジは概して、試料を外部供給源から受容するための少なくとも1つの注入ポート、精製スキームで使用される流体を受容するための少なくとも1つの注入ポート、及び廃棄物を精製カートリッジから排出するための少なくとも1つの排出ポートを含む。目的の物質がカートリッジから除去される実施形態では、カートリッジは外部環境に接近可能な物質収集ポートを含み得る。必須ではないが、注入ポートは典型的にはシステムの別の要素からの排出ポートと整合及び咬合し、排出ポートは別の要素の注入ポートと整合及び咬合する。例えば、自動化された精製スキームで使用される液体の入口となる注入ポートは、試薬パックの排出ポートと整合及び咬合し、一方、カートリッジの廃棄物排出ポートは廃棄物容器の注入ポートと整合及び咬合し得る。システム中の流体の適切な移動をより確かなものにするために、各々の要素上の孔又はポートは、他の孔又はポートと流体密封により整合及び咬合し得る。したがって、例えば、試薬パックと精製カートリッジとは、例えば可撓性チューブによって咬合し、緩衝液は漏れる又は失われる(及び圧力の損失が生じる)ことなく、咬合した表面を越えて移送可能であり得る。適切な封止材、例えばプラスチック又はゴム製の封止材は、有利であると判断された場合、ポートに含まれてもよい。必要に応じて、コネクタ(例えばオス−メスカップリング)に使用される材料は、その固有の特性のみに基づいて所望の流体密封をもたらすことができる。他の状況においては、別個のシール要素(例えばワッシャ、Oリング)が設けられ得る。
カートリッジの本体の内部には、流体をカートリッジの様々な要素に伝導し、通過させる1つ又は複数のチャネル又は導管がある。例えば、カートリッジの各々のポートは、少なくとも1つのチャネルに接続し、その組み合わせは流体をカートリッジ中に導入するか、又は流体をカートリッジから除去するために使用される。場合によっては、1つ又は複数のチャネルが濾過ユニットとつながることもある。少なくとも1つのチャネルが各々の濾過ユニットから出ており、チャネルは2つ以上の別個のチャネルに分岐していてもよく、その各々が別の位置で終結していてもよい。例えば、濾過ユニットが前置フィルタである場合、単一の排出チャネルがバルブ位置で分岐していてもよく、ここで分岐した一方のチャネルは廃棄物除去のために排出ポートにつながり、分岐した他方のチャネルは第2の濾過ユニットにつながる。同様に、第2の濾過ユニットからの単一の排出チャネルが、バルブ位置で、廃棄物の排出ポート及び物質収集ポートであり得る第2の排出ポートへと分岐していてもよい。チャネルは必要に応じて、流体のルーティングの必要性を満たすために、遂行される方法に従って分かれていても、合流していてもよいことに留意されたい。したがって、廃棄物を移送する複数のチャネルは合併して、排出ポートで終結する単一の廃棄物チャネルとなっていてもよい。原則として、カートリッジ本体のチャネルは、試料をその容器からカートリッジを通して移動するため、及び流体を試薬パックカートリッジを通して移動するために設けられる。チャネルのサイズ、形状、及び外形の様々な組み合わせは変更可能であり、実行者は精製される物質の種類、充填される試料の種類、及び他のパラメータに基づいて選択することができる。
精製カートリッジの本体の内部にはまた、カートリッジ内の流体流の調節に関与する1つ又は複数のバルブがある。典型的な実施形態では、複数のバルブがカートリッジ内に配置される。バルブは、コンピュータに制御されるアクチュエータにより作動し、プログラムされた精製プロトコルに基づいて開閉する。好ましい実施形態では、バルブはほぼ円形に回転する回転バルブであり、その円に対して各々が別の角度で配置される複数の導管を開閉する。回転バルブは、カートリッジの表面を介して接近可能であり、外部制御手段により回転させることができる。バルブでの流体密封をより確かにするために、バルブカバー又はキャップを設けてもよい。精製カートリッジは、回転バルブにより機械的に駆動される1つ又は複数のモータ及び電子ユニットを含み得る。これらのモータユニットは、カートリッジの一部を構成していても、独立した付加ユニットであっても、又は機器自体の一部を構成していてもよい。実施形態では、モータユニットは独立してカートリッジから着脱可能であるため、カートリッジの選択的な要素となっている。
カートリッジの導管は、分岐して合流することもある。2つの導管の様々な接続点、例えば2つの異なる組成物が合流して混合する様々な接続点で、2つ(又はそれ以上)の導管が混合のために様々な角度で合流することにより組成物は混合され得る。実施形態では、合併する導管は、組成物の混合量を増加させる混合装置を含み得る。例えば、Teslaの静的ミキサーの構造を、2つ以上の導管からの2つ以上の組成物を混合させるために用いることができる。
例示的な実施形態によれば、血液試料を受容する手段は、血液を収納する容器と精製カートリッジとの物理的接続を可能にする、いかなる構造であってもよい。場合によっては、血液試料を受容する手段は、試料用の注入ポートと見なすことができる。したがって、血液試料を受容する手段は、血液の入ったチューブ(例えばVacutainer)が挿入され得るウェル又は他のチューブ状構造であってもよい。これらの要素は独立して設けられ得るが、血液試料を受容する手段は、付加的な機構として試料を加熱する手段を含んでいてもよい。同様に、血液試料を受容する手段は、試料と別の組成物を混合し、試料に保持手段を通過させる前に一部の細胞(例えば赤血球)を溶解する機械デバイスを含んでいてもよい。このようにして、保持手段に捕捉される細胞物質は少なくなり、システムの全体効率は向上する。
典型的には、血液試料を受容する手段は、収納された血液が容器から排出され、精製カートリッジに入るように、血液を収納する容器に穴を開ける手段を含む。この機能を果たすために、任意の適切な物体を使用してもよいが、典型的には、穴を開ける手段は、ニードル又はチューブ封止材、例えばゴム(例えばネオプレン)栓を貫通することのできる他の尖った物体であり得る。穴を開ける手段が、容器を加圧する手段をさらに含んでいてもよい。より詳細には、患者から採取された血液を収納する容器は通常、わずかな真空圧力下にある。容器内の血液を容器から排出させ、精製カートリッジに移動させるためには、多くの場合、精製カートリッジと比べて容器内に陽圧を生じさせるか、又は少なくとも圧力を周囲空気圧と均一にする手段を設けることが有利である。容器を加圧する手段はしたがって、ニードル又は血液容器のキャップに穴を開ける他の尖った物体、及びニードル又は血液容器の内部に圧力をかける他の導管を含んでいてもよい。ニードル又は導管は当然ながら、加圧された流体(好ましくは空気又は純ガス)の供給源と接続するか、又は大気気体を血液容器に必要に応じて入れる必要がある。要するに、血液が容器から排出するように「補充」空気を血液容器に入れることが好ましい。
例示的な実施形態によれば、血液試料を受容する手段の穴開け手段は、血液試料の全て又は一部を、試料中の少なくとも幾らかの細胞を保持する手段に伝導する手段と接続する。接続は、流体密封を可能にする任意の物理的方法によるものであり得る。例えば、ニードルはゴムチューブによって、精製カートリッジにエッチングされた導管に接続されてもよく、ここで導管はチューブから精製の第1の工程が起こる第1のリザーバへと通じている。本発明のシステムにおける全ての他の接続と同様に、穴開け手段の伝導手段への接続は、流体密封によるものである。
例示的な実施形態では、精製カートリッジはしたがって、血液試料中に存在する少なくとも幾らかの細胞を保持する手段を含む。概して、保持手段は、細胞等の大きな材料をサイズに基づいて捕捉する(entrap)フィルタ又は一連のフィルタ(「濾過ユニット」又は「前置フィルタ」)である。濾過ユニットは、上記で論じられたように固体担体を含む。例示的な実施形態では、濾過ユニットは好ましくは、白血球の捕捉に十分なサイズであるが、赤血球、溶解した細胞残屑、及び血液成分の幾らか又は全ての通過を許容するフィルタを含む。フィルタはしたがって、細胞の固体担体として働く。本発明によるRNAを血球から精製する方法においては、前置フィルタは、白血球特異的RNAの分析で問題を引き起こす可能性がある、赤血球及びグロビン遺伝子に対応するmRNAの除去を可能にするという、当該技術分野の他のデバイス及び方法に優る利点をもたらす。数々のフィルタ及びフィルタの組み合わせは、必要に応じて続いて洗浄され、細胞成分の放出のためにフィルタ上で溶解され得る細胞を捕捉することを目的に使用され得る。或る特定の実施形態に関して本明細書中で使用される場合、捕捉手段とは、細胞を捕捉する手段と見なされる。幾つかの実施形態では、細胞を捕捉する手段は優先的に有核細胞を捕捉する。
実施形態による前置フィルタは、互いに重なって多層濾過ユニットを形成する1つ又は複数のフィルタディスクを含む一体型の要素である。或る特定の実施形態では、複数の(例えば、2、3、4、5又はそれ以上の)固相基質、例えばフィルタの層が使用される。RNA単離のために、細胞(主に白血球)は典型的には、第1の固相基質、例えば47mm径のガラス繊維フィルタ(WhatmanのGF/D又はAhlstrom Paper Groupの141)上に保持される。細胞は第1の固相基質上で溶解されて、生じた細胞溶解液(RNAを含む)は第1の固相基質から放出され、一方でDNAは保持される。前置フィルタには、1つ又は複数の篩、例えばプラスチック製の、孔径が250マイクロメートル(micometers)の篩が付随していてもよい。篩(複数可)は、前置フィルタへの流体分配を助ける前置フィルタの物理的担体として含まれ得る。
カートリッジは、目的の物質の結合手段を含んでいてもよい。結合手段は物質と結合するか、又は非標的物質と結合して物質を精製する任意の要素であり得る。目的の物質が核酸、特にRNAである場合、結合手段は第2の濾過ユニットであり得る。RNAの結合には、ガラス繊維フィルタを使用してもよい。任意の特定の作用機構と結合していなくとも、第2の濾過ユニットは、核酸をサイズ非依存的に吸着することによりRNAと結合するように機能すると考えられている。したがって第2の濾過ユニットは、恐らく主に物質の化学結合によって働き、実質的にサイズ排除にはよらない。実施形態では、第2の濾過ユニットは、WhatmanのGF/Fフィルタ又はAhlstrom Paper Groupの121フィルタを含む。第2の濾過ユニットは、任意の数の別の固相担体、例えば、限定されるものではないがガラス繊維フィルタ、イオン交換フィルタ、及び疎水性相互作用樹脂、膜、若しくはフィルタを含む。同様に、任意の数(例えば1、3、5、7等)の層を使用してもよい。
従来、フィルタは孔径及び濾過を受ける材料(例えば白血球)が、フィルタ材料を通過するのを防ぐための絶対的バリアとして働き得る組成物を有するように選択される。例えば、特定の孔径を有するフィルタ材料を選択することにより、孔径よりも大きい粒径を有する材料がフィルタ材料を通過するか、又はフィルタ材料の中に入るのを防ぐことが可能である。この概念は、第1の濾過ユニット(すなわち、前置フィルタ又は細胞保持手段)又は第2の濾過ユニットがサイズ排除の原理に基づく場合、それらに適当なフィルタを開発するために利用されている。
細胞及び核酸のフィルタによる保持又は捕捉は、フィルタ材料の寸法、例えば、孔径及びフィルタの深さに関する物理的又はサイズ関連のバリア、又は他の手段によって起こり得る。理論に束縛されるものではないが、細胞及び大きな核酸分子は、或る特定のフィルタに物理的に、並びに化学的に、又はそうでなければ堅く結合し得ると考えられる。核酸−核酸相互作用はそれ自体が、核酸が或る特定のフィルタを通って移動するのを妨害するために、十分に大きい断面積を維持するのに重要であると想定される。
試料からのRNA精製を目的とした第1の固相基質の孔径又は粒子保持率は、1.7um〜3um、好ましくは1.9um〜3um、最も好ましくは2.0um〜2.7umである(なお、単位記号マイクロメーターの代用として本明細書中ではumをも用いる)。好ましくは、RNAを試料から(特に結合RNAを試料から)精製する第2の固相基質の孔径又は粒子保持率は、0.5um〜1.8um、好ましくは0.6um〜1.5um、及び最も好ましくは0.7um〜1.6umである。
第1の固相に有用なフィルタ、すなわち白血球を含む多様な種類の細胞を保持するのに有用なフィルタとしては、WhatmanのGF/Dガラス繊維フィルタ(粗い孔(porosity)、速い流率、及び2.7umサイズの粒子保持値)、WhatmanのQM−A(2.2umの粒子保持率)、及びWhatmanのEPM 2000(2umの粒子保持率)が挙げられるが、これらに限定されない。第2の固相(すなわち、第2の濾過ユニット)に有用なフィルタ、すなわち核酸の保持に有用なフィルタとしては、WhatmanのGF/Fガラス繊維フィルタ(微細な孔、中程度の流率、及び0.7umサイズの粒子保持値)、WhatmanのGF/Aフィルタ(1.6umサイズの粒子保持値)、WhatmanのGF/B(1.0umサイズの粒子保持値)、WhatmanのGF/C(0.7umサイズの粒子保持値)、Whatmanの934−AH(1.5umサイズの粒子保持値)、及びWhatmanのGMF(1.2umサイズの粒子保持値)が挙げられるが、これらに限定されない。Ahlstrom Paper Groupもまた、Whatmanにより提供されるものと同様の特性を有するフィルタを製造しており、Whatmanのフィルタと互換可能に両濾過ユニットに使用することができる。
ここで、実施形態で前置フィルタとして想定され得る、細胞を捕捉する手段に戻るが、この手段は精製カートリッジのリザーバ内に格納される多部品濾過ユニットを含み得る。このような状況において、カートリッジ本体は、円錐状のリザーバ(例えば、カートリッジ本体のブロックから円錐状のドリルビットにより掘削又はカービングされ得る)を含み得る。前置フィルタは、このリザーバに収まるように設計することができる。前置フィルタの要素には、試料及び他の流体をディレクタにある放射状のチャネルを伝って流すことでリザーバの周囲に流出させる、円錐状の流体ディレクタ(fluid director)がある。流体ディレクタに接触して、大きな粒子及び残屑を試料からフィルタ除去することのできる、近位篩又はメッシュ(例えばディスク)がある。篩又はメッシュは任意の多数の材料、例えば、限定されるものではないが、ポリプロピレン及びポリエチレンから製造され得る。使用時には、近位篩は、篩の周辺又は周囲で、ディレクタの円錐形の面を伝って流れる試料と接触する。篩は、周辺部から出発して固体基質を通り中心へと向かう、試料の流れを導く。近位篩の裏に接触して、試料中の物質をサイズ排除又は他の特性によって濾過することのできる、フィルタ又は一連のフィルタ(すなわち、固体担体)がある。実施形態では、フィルタ(複数可)は有核細胞を捕捉する。遠位篩又はメッシュは、フィルタ(複数可)の裏に接触し、担体及びフィルタ(複数可)間の連絡部、並びにリザーバ出口として働く。実際には、試料又は他の流体は、円錐状リザーバの先端にある中央の入口孔からリザーバに入る。試料は、円錐状リザーバの周囲(円錐体のほぼ底部)に伝えられる。濾過ユニットの構造により、試料がメッシュ/フィルタサンドイッチを外周から中心へと横断し、無傷細胞はフィルタ(複数可)上に捕捉される。捕捉されない流体及び固体物質は、メッシュ/フィルタサンドイッチを通過し、排出孔(円のほぼ中心を規定するチャンバの先端部分)により、リザーバ又はチャンバから出る。フィルタユニットの設計は、フィルタを通じた試料の均等な分配を可能にし、結合能力及び目的の分子の全収率を非常に良くする。
好ましい実施形態では、前置フィルタは5mlの血液を濾過するように設計されるが、フィルタの数又はフィルタの表面積を変えることで、より少量(例えば3ml以下)及びより多量(例えば10ml以上)でも対応することができる。実際は、濾過ユニットのサイズは、所望の容量の試料の精製を達成するために無限に変更することができる。
本発明のさらに別の態様では、1つ又は複数の液体組成物を貯蔵する手段が設けられる。概して、貯蔵手段は、1つ又は複数の液体組成物を貯蔵する1つ又は複数の独立した手段を含み、貯蔵手段の各々がそれぞれの液体組成物を貯蔵手段の外へと伝導する少なくとも1つの手段を含むか、又はそれと流体接続する。実施形態では、貯蔵手段は試薬パックと見なされ得る。実施形態では、液体を貯蔵する手段は、2つ以上の内部区画を格納するシェルとされる外側シェルを含む容器である。本システムの他の要素と同様に、貯蔵手段はプラスチック、金属、及びゴム等の任意の適切な材料又は材料の組み合わせから製造することができる。或る特定の実施形態では、貯蔵手段は硬質、弾性プラスチックから作られる容器であり、内部区画を格納するだけでなく、これらの区画の保護レベルを与えることができる。
幾つかの実施形態では、貯蔵手段は外側シェル及び1つ又は複数の内部仕切りを含む一体型の製品である。含まれる仕切りの数及び内部区画のサイズは異なり、実行者は、想定する精製スキームの形式、及び精製を達成するために必要とされる様々な流体の量に基づいて選択することができる。したがって、内部区画の数はわずか1から10以上まで様々であり得る。内部区画は様々な流体、例えば、限定されるものではないが、緩衝液、溶解液、有機溶媒、標的物質精製用の水、及び廃液に対して独立したサブ容器を含む。サブ容器は容器の外部及び内部の壁により境界付けられるか、又は付加的な要素によって少なくとも部分的に設けられる他の壁により境界付けられ得る。或る特定の実施形態では、シリンダ又はシリンジ様のサブ容器が、収納される各々の流体に対して設けられ、各々のシリンダは、例えば、ポンプによって供給される圧力によるプランジャ又はピストンの作用によって、圧力及びそこに収納される流体の送出について独立して調節される。例えば、実施形態では、気体又は空気は概して、サブ容器を加圧して、流体をサブ容器から押し出すために使用することができる。他の実施形態では、容器は流体の除去に応じて容量が変化する、折り畳み可能なバッグである。さらに他の非限定的な実施形態では、サブ容器は、流体の除去時の圧力変化に強い剛壁の容器である。さらに、サブ容器は、流体の除去に伴って補充空気を受容する通気口を有していてもよい。
貯蔵手段はまた、流体を貯蔵手段の外部に送出する1つ又は複数の導管を含み得る。例えば、貯蔵手段は、各々が精製スキームで使用される別の流体を収納する2つ以上の区画を含む容器であり得る。チューブは、流体密封により各々の区画の排出ポートに接続し、チューブは流体を容器の外に移動する排出ポートを設けることができる。排出ポートは、精製カートリッジの入口ポート等の咬合表面と流体密封(例えば水密封)を提供する手段を含み得る。幾つかの実施形態では、チューブは試薬パック上に、蠕動ポンプヘッドと整合して、1つ又は複数の流体を試薬パックから精製カートリッジへと送出するように構成される。実施形態では、全てのチューブの末端は精製カートリッジとの咬合を可能にするために面に沿って整合する。
実施形態では、貯蔵手段は、貯蔵手段から除去された大量の液体を置換して、貯蔵手段内の適切な圧力を維持する手段をさらに含む。貯蔵手段には、流体を貯蔵手段から排出する手段が含まれる。実施形態では、貯蔵手段は液体組成物を収納する1つ又は複数の容器を含む試薬パックを含み、各々の試薬パックはチューブ、例えば可撓性、圧縮性チューブの一部に接続し、容器から試薬パック上の1つ又は複数の排出ポートへの導管として働く。幾つかの実施形態では、試薬パックは、精製プロセスの廃棄生成物を受容及び収納する1つ又は複数の容器を含む。
貯蔵手段は、外表面に、貯蔵手段を本発明の機器、本発明の精製カートリッジ、又はその両方に取り付ける1つ又は複数の手段を含み得る。本明細書中で論じられる他の取り付け手段と同様に、この取り付け手段は、任意の適切な材料から任意の適切な形で製造することができる。好ましくは、取り付け手段は、機器又はカートリッジ上の相補的構造と咬合又は整合するように製造される。幾つかの実施形態では、試薬パックの咬合表面は、機器の表面にあるポンプの少なくとも一部と整合及び相互作用する部分を含むように設計される。より詳細には、試薬パックの一構造としては、パックの表面に沿った可撓性、圧縮性チューブの配置が挙げられる。チューブは、表面上に露出したポンプの少なくとも一部で機器と連結する場合、試薬パックのチューブが、実行時に、ポンプが流体をサブ容器から試薬パックの外部、好ましくは精製カートリッジへとチューブを通して押し出すのを可能にするようにポンプと接触し得るように外部に露出され得る。可撓性チューブ/ポンプヘッド接続の数は理論的には限定されていないが、ポンプのサイズは機器ハウジングへの全ての収容の限定要因であり得る。チューブのサイズは重要ではないが、場合によっては、方法において「デッドボリューム」及び効率の悪さを低減するために比較的小さな内径を利用するのに有利であり得る。
圧送機構との相互作用のために露出したチューブを有する表面のある構造に加えて、実施形態では、試薬パックが精製カートリッジ上の1つ又は複数のポートと整合する1つ又は複数のポートを含む。好ましくは、これらの実施形態では、試薬パックの各々のサブ容器には、精製カートリッジの或る入口ポートと整合及び物理的に接触する排出ポートが設けられる。本明細書中で論じられる全ての他の接続と同様に、試薬パックの排出ポートと精製カートリッジの入口ポートとの間の接続が、例えばオス−メス接続を利用した及び/又は圧縮性封止材(例えばOリング又はワッシャ)を使用した流体密封であることが好ましい。
試薬パックは機器、精製カートリッジ、又はその両方に取り外し可能に取り付けられるように設計することができる。試薬パックはさらに、1回の精製の実行から10回以上の精製の実行までの任意の有用寿命を有する使い捨てとして設計されていてもよい。概して、精製の実行回数は試薬パックにとって重要ではない。しかしながら、実用的な見地から、未使用の試薬パックによって保持される容量は典型的には、試薬パックが携帯用の消耗品として使用されるため、限定因子である。試薬パックが収納可能な容量に上限又は下限はないが、典型的にはおよそ40リットル以下、例えば20リットル又は10リットルの液体を収納し得る。当然ながら、必要に応じて、本発明のシステムは、同じ精製スキームを利用して複数の試料を処理するより大きなシステムとして設計することができる。したがって、実施形態では、試薬パックは10リットルを著しく超える容量、例えば20リットル、40リットル、50リットル、又はそれ以上の容量を含むことができる。
さらなる態様では、本発明は精製手段、貯蔵手段、又はその両方の廃棄生成物を受容する手段を提供する。廃棄物受容手段は概して、精製手段、貯蔵手段、又はその両方の廃棄物を受容及び貯蔵する少なくとも1つの容器を含む。幾つかの実施形態では、廃棄物受容手段は貯蔵手段(例えば試薬パック)内に配置される一区画である。
典型的には、廃棄物受容手段は、手段の外表面に配置される少なくとも1つの注入ポートを含む容器である。注入ポートは、少なくとも1つの容器とチューブ又は他の適切な導管によって流体接続する。使用時には、廃棄物容器は、精製カートリッジで実行される精製スキームの廃棄生成物(その大部分又は全てが最終的には精製カートリッジに接続する試薬パックに由来する)を受ける。幾つかの実施形態では、容器は、容器内の適切な圧力の維持を助けることができる外部環境との接続を可能にする、通気口等の排出ポートを含む。他の実施形態では、容器は、流体が中に導入されるにつれて膨張し得る空気の抜けた可撓性バッグである。
廃棄物受容手段は、容器内に陰圧を生じさせる圧力発生手段と接続させることができる。代替的には、廃棄物受容手段は、真空部を含むように製造してもよい。どちらの実施形態でも、真空圧力は精製カートリッジを廃棄物受容手段に接続するときに、精製カートリッジの1つ又は複数の導管に利用できる。この陰圧は、流体を精製カートリッジを通して「引く」ように作用し得る。
或る特定の構造では、廃棄物収納手段は複数の容器を含む。これらの実施形態では、或る特定の廃棄物は分離され、別個に収納される。例えば、精製プロトコルに有毒か又はそうでなければ危険な物質の使用が要求される場合、このような物質は、他の危険ではない物質とは別個の容器に収納され得る。このような分離は、或る特定の地方、州、又は政府の安全要件に準拠する点で有益であり得る。
付加的な態様では、本発明は物質を試料から精製するプロセスを制御する手段を設ける。精製プロセスを制御する手段は概して、精製プロセスの1つ又は複数の工程を行うためにコンピュータデバイスで実行されるコンピュータソフトウェア(例えばプログラム)を含む。制御する手段は典型的には、コンピュータデバイスによって実行されると、システムの1つ又は複数の機械デバイスが制御されるソフトウェアを含む。
本発明のこの態様によれば、任意の適当なソフトウェアを実行する任意の適切なコンピュータデバイスが使用され得る。コンピュータデバイス及びソフトウェアの種類、例えばオペレーティングシステム、ソフトウェアが書かれたコンピュータ言語の種類、及び用いられるハードウェアの種類は重要ではない。当業者は、適切なコンピュータデバイスを得るために当該技術分野で利用可能なハードウェア及びソフトウェアの多くの組み合わせから選択することができる。
かなりの数の標的物質を精製するための本システムの適応性を考慮すると、様々なコンピュータプログラムが必要とされるだろう。特定の想定外の問題に直面しない限り、プログラムは、開発するのに特異なコーディング技術又は過度の時間を全く必要としないことに留意されたい。むしろ、適切な精製プロトコルの決定時に、当業者にとってプロトコルを遂行するコンピュータプログラムを開発することが問題となる。例えば、単にシステムの1つ又は複数のバルブのタイミング及び移動を制御すること、流体を貯蔵手段から精製手段等に移動する1つ又は複数のポンプのポンプ作用を制御することのできるコンピュータモジュールを開発することが問題である。したがって、当業者が本発明に従うコンピュータプログラムを開発するための特定のコンピュータコードを開示する必要はない。
別の態様では、本発明は、1つ又は複数の物質を試料から精製又は単離する自動化された方法を提供する。それほど限定されるものではないが、方法は典型的には、物質を核酸又はタンパク質等の、1つ又は複数の生体分子を含む試料から精製又は単離する方法である。方法は概して、1つ又は複数の目的の物質を含む試料を、物質が濾過手段により捕捉されるように濾過手段に曝露すること、目的の物質を濾過手段から放出させること、及び目的の物質を結合手段に曝露することを含む。実施形態では、目的の物質は細胞で見られる生体分子である。これらの実施形態では、試料を濾過手段に曝露する工程により細胞が濾過手段に結合し、方法はさらに、目的の物質を放出させるために細胞を溶解することを含む。方法では全工程は、機械によって自動的に実行される(例えば、コンピュータプログラムによって制御される)。要するに、方法の工程では人の相互作用又は人の動作は全く必要とされないが、或る特定の選択的な工程(例えば試料の準備)には、人の動作が幾らか含まれ得る。
様々な実施形態では、本発明は生体分子及び/又は細胞を試料から分離、精製、及び/又は単離する自動化された方法を提供する。したがって、1つの態様では、本発明は生体分子、例えば核酸、タンパク質、及び血液成分を試料から単離する方法を提供する。方法は概して、少なくとも1つの生体分子又は細胞を含む試料を準備又は入手すること、及び少なくとも1つの生体分子又は細胞を試料から精製することを含む。方法はまた、少なくとも1つの生体分子又は細胞を含む試料を、少なくとも1つの生体分子又は細胞を試料から自動的に単離することのできるシステムに挿入することを含む。試料の容量は通常、少なくとも1ミリリットル(ml)である。例えば、白血球又は培養細胞を含むミリリットル量の全血を、核酸を単離する方法において試料として使用することができる。
装置の方法は自動化されており、方法の工程は実質的に人の介入がなくとも機械的に行われる。好ましい実施形態では、単離方法は本発明のシステムにおいて行われる。この場合、方法は試料を機器に入れること、及び少なくとも1つの生体化合物又は細胞の単離を行うことを含む。「自動化」とはそれ自体が、概して、試料を機械に挿入した後、少なくとも1つの生体分子又は細胞の精製が完了するまで人の介入が全く必要とされないことを意味する。本発明のシステムでは、目的の試料及び/又は生体分子は主に液体の機械的置換により機器内を移送される。
一実施形態では、本発明の方法は、少なくとも1つの生体分子を少なくとも1つの固体基質に付着又は結合させることを含む。好ましくは、結合は塩及び有機溶媒の存在下で行われる。例えば方法は、好ましくは容量が少なくとも1mlの、核酸を含む試料を、核酸の一部又は全部が固体基質に結合するように、塩と有機溶媒との適当な混合物の存在下で固体基質に曝露することを含む。以下で詳述されるように、方法は、主に一本鎖核酸又は二本鎖核酸を選択的に結合するように調節することができる。
別の実施形態では、方法は生体分子又は細胞を前置フィルタを用いて単離する方法を含む。方法は少なくとも1つの生体分子又は細胞を少なくとも1つの前置フィルタと接触させることを含む。方法では、前置フィルタを大きな生体分子を分離するために利用することができ、及び/又は前置フィルタを選択的な生体分子の溶解の間、結合担体として使用することができる。例えば、血中に見られる細胞、例えば赤血球及び白血球が前置フィルタに付着し得る一方で、より小さな血液成分は前置フィルタを通過する。したがって、この実施形態は、赤血球及び白血球を残りの全血成分から選択的に分離するために使用され得る。結合した細胞は、さらなる使用のために前置フィルタから除去して保持することができ、又は別の溶解緩衝液を、核酸を単離する前置フィルタに添加することで選択的に溶解することができる。例えば、この実施形態は、赤血球及び白血球を前置フィルタ上に保持し、続いて赤血球を溶解することによって白血球を全血から精製するのに使用され得る。白血球は次に前置フィルタから除去され、白血球を主成分とする組成物が得られる。別の例としては、前置フィルタはより大きな生体分子、例えばゲノムDNAをRNA等の小分子から分離する方法に使用され得る。大きな生体分子は前置フィルタを通過することができないが、小さな分子は通過することができる。このようにして、大きな生体分子を選択的に単離すること、及び/又は小さな生体分子を大きな生体分子から精製することができる。
本発明の別の方法は、生体化合物を単離するために前置フィルタ及び固体担体基質の両方を使用する自動システムを含む。この場合、好ましくは容量が少なくとも1mlの試料がシステムに挿入され、試料の少なくとも一部が前置フィルタ及び固体担体基質の両方を通過する。試料が前置フィルタに接触すると、生体化合物の一部は前置フィルタにより保持されるが、他の部分は通過する。例えば、試料が全血である場合、血球が前置フィルタにより保持され得る。赤血球が溶解され、赤血球の残留物が前置フィルタから洗い落とされ得る。続いて、有核白血球が溶解され、放出された核酸は前置フィルタに捕獲されるか、又は溶解液中に分散され得る。試料中に存在するのが白血球のみである場合、赤血球を溶解する工程は省くことができる。フィルタに捕獲された大きな核酸は、次に残りの生体分子から精製することができる。前置フィルタを通過した溶解液は、塩及び有機溶媒の存在下で固体担体基質と接触して、幾つかの他の生体化合物(その後、最終の精製工程で基質から溶出される)を選択的に結合することができる。方法により、自動システム内の生体分子及び/又は細胞の単離が可能になるが、精製工程は試料の挿入後には完全に機械化されている。単離後、目的の生体分子及び/又は細胞は機器から除去することができる。
例示的な一実施形態では、本発明の方法は核酸を精製するために利用される。方法は、少なくとも1つの核酸を試料から単離又は精製することを含む。任意の実施形態では、試料は精製される前に、入手、準備、又は何らかの方法で調達される。この実施形態では、試料中の核酸は前置フィルタに結合、付着、又は捕獲される。核酸は細胞内(細胞の内部)にあっても、又は細胞外(細胞の外部)にあってもよい。核酸が細胞内に見られる場合、細胞は前置フィルタ上にあるうちに溶解緩衝液を用いて溶解され得る。試料が血液である場合、赤血球を白血球の分解の前に溶解することで、赤血球中に見られる汚染物質、例えばヘモグロビンに由来するヘム及びRNaseを除去することができる。続く白血球の溶解により、核酸は前置フィルタ上及び/又は溶液中に放出される。大きな核酸(ゲノムDNA等)は、前置フィルタに捕獲され、通過しない。小さな核酸(RNA等)は、前置フィルタによって結合又は捕獲されず、通過し得る。大きな核酸を精製する方法として、前置フィルタを通過しない核酸をこの地点で回収することができる。したがって、この実施形態とは、大きなDNA分子を試料から単離する方法である。小さな核酸(RNA等)を単離するために、例えば、溶解液を有機溶媒及び塩の存在下で固体基質と接触することができる。或る特定の濃度の塩及び有機溶媒の下で、RNAは基質に結合し得る。任意の洗浄の後、RNAを緩衝液に溶出させることができ、したがって一実施形態では、方法はRNA分子を生体試料から精製することを含む。単離されたRNAは、直接検定に使用されるか、又はmRNAの全RNAからの精製のようなさらなる単離工程に使用されるほど純粋である。
本発明の方法に使用される試料の容量は概して、約1ml以上、例えば約1ml〜約10ml、及び約10ml〜約15mlである。しかしながら、上述したように、容量は固体担体のサイズ/直径/容量等に関連して変化し得る。好ましい実施形態では、試料の容量は、標準Vacutainerチューブに適合する容量のような約5ml〜約10mlである。マイクロタイタープレートに添加するといったマイクロリットル量の試料を用いるよりも、大きな試料サイズを用いることで、はるかに多数の生体化合物又は細胞を単離することができる。当然ながら、方法の幾つかの実施形態では、前置フィルタ及び鉱物基質が本明細書中で示すよりも大きいという場合のように、さらに大量の試料を利用することを想定することができる。本発明の方法は、より大きな規模の生体化合物の精製に利用され得る。例えば、システムがリットル量の試料を扱うように作られている場合、方法はより大きな機器に合わせて変更され得る。
一実施形態では、本発明の方法は核酸を精製するために使用することができる。好ましい方法では、一本鎖RNAは二本鎖核酸、好ましくはDNAから分離される。DNAが一本鎖の形で存在する場合、一本鎖RNAは二本鎖DNA、並びに二本鎖RNAから分離される。方法で単離することができるRNAとしては、mRNA、tRNA、rRNA、並びにsnRNA、snoRNA、miRNA、及びsiRNA等の非コードRNAが挙げられる。方法で単離することができるRNAのサイズは特に限定されないが、典型的には、約20ヌクレオチド(例えば幾つかのsiRNA)から約5kb又は6kb(例えば幾つかのmRNA)を超えるものまで様々である。全RNAが単離された場合、mRNAの精製を可能にするために、後続の又は同時の工程が方法に追加され得ることが想定される。例えば、オリゴ(dT)分子、例えばビオチン標識オリゴ(dT)ヌクレオチド及びストレプトアビジン被覆電磁ビーズを使用して、mRNA分子を単離することができる。また、より多くの有機溶媒又は別の有機溶媒を添加するその後の工程により、選択的に異なる種類又はサイズのRNA分子を鉱物基質に結合させることが可能である。概して、方法に変化を取り入れるために、特定の生体分子をさらに精製又は単離する工程を方法に追加することができ、また、システムのコンポーネントを追加又は変更することができる。
本発明の一実施形態は、以下の工程を含む、RNAを細胞試料から単離する自動化された方法を提供する。試料が第1の固相基質に適用され、当該細胞試料の細胞が当該基質に付着する。細胞は第1の固相基質上で溶解されて、RNAを含む細胞溶解液を形成する。細胞溶解液は基質を通過し、収集される。細胞溶解液が第2の固相基質に適用され、RNAが固定化される。RNAは第2の固相基質から溶出する。方法によれば、全工程は、人が介入することなく実行される。幾つかの実施形態では、適用及び/又は収集する工程には、人の動作が必要とされる。
一実施形態では、方法には、試料を第1の固相基質に適用する、又は第1の固相基質上で捕捉した赤血球を溶解する、又はその両方の組み合わせの前に選択的に赤血球を溶解する工程がさらに含まれる。別の実施形態では、細胞、例えば白血球又は目的の核酸を含有する他の細胞は、溶解液を添加することにより溶解され、細胞溶解液を形成する。別の実施形態では、細胞溶解液を第2の固相基質に適用する工程の前に、スルホランが細胞溶解液に添加される。
本発明の方法は、第1の固相担体上の細胞を溶解し、RNAを含む細胞溶解液を形成させる工程の後、DNAを第1の固相基質から単離する工程をさらに含んでいてもよい。付加的又は代替的には、本発明の方法は、任意の以下の:タンパク質を細胞試料から単離する工程、試料を第1の固相基質に適用する工程の後、及び第1の固相基質上の細胞を溶解して、RNAを含む細胞溶解液を形成させる工程の前に細胞を洗浄する工程、第2の固相担体上に固定化されたRNAを洗浄して、汚染物質を除去する工程、RNAを第2の固相担体から溶出させる工程、並びに任意に、DNAを第1の固相担体から溶出させる工程をさらに含んでいてもよい。
本発明はまた、以下の工程を含む、RNAを細胞試料から単離する自動化された方法を提供する。試料が第1の固相及び第2の固相を含む容器に適用される。容器は細胞試料及び溶液を容器を通して移動させる力を供給する機器に接続され、細胞が第1の固相基質に付着する。細胞は第1の固相基質上で溶解され、RNAを含む細胞溶解液を形成し、一方でDNAは第1の固相担体に結合される。細胞溶解液は第1の固相基質を通過し、収集される。細胞溶解液が適当な材料(例えばスルホラン)と混合され、第2の固相基質への適用が可能となり、RNAが固定化される。固定化されたRNAは第2のフィルタから溶出し、DNAは第1の固相担体から溶出する。別の実施形態では、自動化された方法には、タンパク質を細胞試料から単離する工程がさらに含まれる。
或る特定の実施形態では、単離方法には、細胞試料を少なくとも1つの固相基質に曝露する工程が含まれる。他の実施形態では、単離方法は細胞試料を2つ以上の固相基質に曝露する工程を含む。
幾つかの実施形態では、本発明は材料を試料から単離する方法に関する。特に、本発明は核酸を試料から単離する方法に関する。本発明はさらに、RNAを試料、例えば血液又は血球を含む試料から単離する方法に関する。白血球材料を全血から単離するために、EDTA又はヘパリン抗凝固全血が低張液、例えば(0.15M 塩化アンモニウム、1mM 重炭酸カリウム、0.1mM EDTA(pH7.3))に添加され、混濁した全血が赤血球の溶解により透明になるまでインキュベートされる。
核酸を細胞から精製するシステムの下で本発明の方法を実行するために、細胞試料を精製カートリッジ中に導入する。カートリッジを、(試料の適用前又は後に)液体を試薬パックからカートリッジへと流出させる機器に接続する。機器は液体ではなく空気を試薬パックへと押し出し、例えば、マクロチャネルを介して液体試薬を送出し、精製を行う。流体は機器内に入らないため、内部チューブ及びバルブの清浄の必要はなく、試料の二次汚染(cross-sample contamination)が防がれる。
一実施形態では、自動化された単離方法には3時間もかからず、例えば、3時間、2時間、1時間又はそれ以下である。例えば、自動化された単離方法にかかるのは1時間未満であり、例えば59分、58分、57分、56分、55分、50分、45分、40分、35分、30分、25分、20分、15分、10分、9分、8分、7分、6分、5分、4分、3分、又は2分、又は1分以下であり得る。
本発明の方法によると、細胞試料は第1の固相基質を通過し、そこで細胞が保持される。幾つかの実施形態では、細胞試料は赤血球を含む血液試料である。このような場合、試料を赤血球溶解液と混合し、赤血球を溶解することができる。白血球(WBC)は無傷のまま第1の固相基質上に捕捉される。第1の固相基質上に保持されたWBCは、適当な緩衝液、例えばPBSで洗浄される。WBCを適当な溶解緩衝液(例えば、4M チオシアン酸グアニジン、0.05% サルコシル、0.01% Antifoam A、0.7% β−メルカプトエタノール、1% Triton X−100)を添加することにより溶解する。得られた細胞溶解液はRNAを含有し、第1の固相基質を通過する。DNAは第1の固体担体基質により保持される。
第1の固相基質溶解液に由来する通過分(flow-through)中のRNAは、スルホランを細胞溶解液に添加し、得られた混合物を第2の固相基質に通すことにより単離される。RNAは第2の固相基質に保持され、適当な緩衝液(例えば2mM Tris(pH6〜6.5)、20mM NaCl、50%〜60% エタノール)で洗浄される。RNAは適当な溶液、例えばRNaseを含まない水を添加することにより、第2の固相基質から溶出する。
本発明の或る特定の実施形態では、DNAは温水若しくは常温水、又は低イオン強度緩衝液、例えば10mM Tris(pH8)で溶出することにより第1の固体担体基質から単離される。DNAは、DNA結合の間の流体流と同方向又は反対方向に液体を移動することにより、固体担体から単離されてもよい。この方法によると、DNA収率は、低イオン強度緩衝液又は水が第2の固相基質と接触する時間及び温度に正比例する。代替的には、ガラス繊維に付着したDNAは、フィルタの超音波処理の後、温水若しくは常温水、又は低イオン強度緩衝液で溶出することによりフィルタから取り除くことができる。DNA収率は典型的には、超音波処理の時間及び強さ、並びに水又は緩衝液を加熱する温度及び時間に比例(例えば正比例)する。
ゲノムDNAのサイズは、ガラス繊維から効率的に溶出するために、例えば最適な濃度及びインキュベーション時間でレアカット(rare cutting)制限酵素(複数可)及び/又はDNaseを使用することにより縮小することができる。酵素処理の後、酵素(複数可)を不活化するために試料を加熱してもよく、水又は低イオン強度緩衝液を用いてDNA断片をフィルタから洗い流す。また、DNAをpH<3で脱プリン反応した後、pH>12で鎖切断することによっても、ガラス繊維フィルタから溶出可能なDNAの小断片を得ることができる。
上述したように、本発明は材料を試料から精製する自動化された方法を提供する。一実施形態では、目的のRNA、DNA、タンパク質、又は別の生体分子のいずれかが、本発明の自動化された方法により単離される。一実施形態では、目的のRNA、DNA、タンパク質、及び別の生体分子の任意の組み合わせが、本発明の自動化された方法を利用して、連続して又は同時に単離される。典型的には、タンパク質が単離される場合、タンパク質は第2の固体担体に結合するのではなく、通過画分に含まれる。
このように、本発明は材料を細胞又は細胞溶解液から単離する方法を提供する。好ましい実施形態では、本発明はRNAを細胞又は細胞溶解液から単離する方法を提供する。本発明の方法によれば、方法の工程全てが遠心分離及び/又は人の相互作用を要さずに実行されることに留意されたい。
ここで、完全に自動化されたプロセスを用いて、血球を含む全血又は培養細胞から核酸を単離する、本発明の方法の好ましい実施形態を詳述する。当該方法は、全血又は培養細胞を含有する試料をシステム中に挿入すること、血球を前置フィルタ上で捕捉すること、任意に前置フィルタを洗浄すること、任意に赤血球溶解緩衝液を同じ前置フィルタに添加すること、白血球溶解緩衝液を同じ前置フィルタに添加すること、溶解液を収集すること、有機溶媒を溶解液に添加すること、核酸を鉱物基質等の固体担体に結合させること、任意に鉱物基質を洗浄すること、及び核酸を溶出させることを含む。より大きなDNA、例えばゲノムDNAを単離する方法では、方法は、全血又は培養細胞を含有する試料をシステム中に挿入すること、血球を前置フィルタ上で捕捉すること、任意に前置フィルタを洗浄すること、任意に赤血球溶解緩衝液を同じ前置フィルタに添加すること、白血球溶解緩衝液を同じ前置フィルタに添加すること、及びDNAを化学的及び/又は物理的手段によって前置フィルタから溶出させることを含む。全血又は培養細胞からの核酸の単離について記載するが、論じられるパラメータの多くが本発明の方法の他の実施形態にも当てはまる。
この特定の方法の第1の工程では、全血又は培養細胞を含有する試料が本発明の機器に加えられる。試料はvacutainerチューブ等のチューブ、又はシステムに適合する任意の他の容器に入っていてもよい。「加える」とは、試料を含む容器(単数又は複数)を人の手で機器に挿入する、又はbiorobot若しくは他の自動化された方法を利用して自動的に挿入することができるという意味である。要するに、本発明の方法は単独で使用されても、又は大規模な自動化法の一部に使用されてもよい。例えば、全血をチューブに自動的に加えてもよく、次に全血を収納するチューブを自動的に機器に挿入してもよい。また、生体分子又は細胞を単離した後、試料を機器から自動的に除去してもよい。
この方法の次の工程では、試料は機械によって前置フィルタを収納するチャンバに移送される。前濾過の工程は概して、少なくとも1つの生体分子又は細胞を含む試料を少なくとも1つの前濾過基質に十分な時間、適当な条件下で接触させることであって、試料中の少なくとも1つの生体分子又は細胞を前置フィルタで捕捉する、接触させることを含む。工程には、結合していない試料を前濾過基質及び結合した生体分子(複数可)又は細胞(複数可)から分離することも含まれる。残存する試料の、少なくとも1つの生体分子又は細胞を含む前濾過基質からの分離は、任意の適切な技法、例えば、限定されるものではないが、重力、遠心分離、陽性空気圧、及び/又は真空等を用いて行われ得る。好ましい実施形態では、システムは液体を前置フィルタから押し出す圧力を利用している。
特に核酸を全血又は培養細胞から単離するために、大きな血液成分、例えば赤血球、白血球、及び血小板は前置フィルタにより保持され、血漿、血清、血小板、及び培養細胞に由来する培地等の残りの成分は、前置フィルタを自動的に通過する。特に、この工程では有核白血球を部分的に精製し、その後の単一の鉱物担体で少なくとも1×107個の白血球を処理することが可能である。前置フィルタ工程に利用される基質は、大きな粒子、例えば血球及びゲノム二本鎖核酸を保持するが、小さな生体分子は前濾過基質を通過させる任意の材料であり得る。前濾過用の基質としては、好ましくは単一の多孔質ポリエチレンフリット、ガラス繊維、及び酢酸セルロース等の材料、又はその組み合わせが挙げられる。前濾過基質は任意の形状又はサイズで設けることができる。例えば、前濾過基質はフィルタと、フィルタを保持するために使用され得る(実施形態では、濾過機能をもたらす)インサート(カラー)又はポリエチレンフリットとの組み合わせで設けることができる。当然ながら、血球を保持し、より小さな血液成分を通過させるのであれば、任意の数の構造及び組み合わせを前置フィルタに用いることができる。幾つかの実施形態では、前置フィルタには1つ又は複数(例えば2つ、3つ、4つ等)のガラスフィルタ、例えばWhatmanのGF/D、又はAhlstrom Paper Group(Mount Holly、PA)の141フィルタが含まれる。
血球を前置フィルタ上に保持させた後、フィルタ上の汚染物質を低減するために、任意に前置フィルタを機械的手段によって洗浄してもよい。血球をフィルタ上に保持させておくことが可能な任意の洗浄溶液を使用することができる。例えば、リン酸緩衝生理食塩水を使用してもよい。
血球の前置フィルタ上への捕捉及び任意の洗浄工程の後、赤血球溶解緩衝液を自動的に添加して、前置フィルタ上の赤血球を崩壊させることができる。実施形態では、赤血球の大部分又は全部が前置フィルタに到達する前に、試料の赤血球溶解液との混合によって溶解されており、その内容物は前置フィルタに結合せずに通過する。赤血球を溶解するが、白血球は無傷に保つことが可能な任意の溶解緩衝液をこの工程で使用することができる。例えば、添加可能な特定の溶解緩衝液は、0.15M 塩化アンモニウム、0.001M 重炭酸カリウム、及び0.0001M EDTA(pH7.2〜7.4)から成る。任意の洗浄工程として、例えば赤血球溶解緩衝液を追加して前置フィルタを洗浄することで、さらに汚染物質を低減することができる。当然ながら、赤血球が初期試料に存在しない場合、方法における赤血球溶解緩衝液の添加を省いてもよい。
赤血球の溶解が起こると、白血球溶解液が同じ前置フィルタに機械的に添加され、核酸が白血球から放出される。例えば、4M チオシアン酸グアニジン、1% Triton X−100、0.05% サルコシル、0.01% Antifoam A、及び0.7% β−メルカプトエタノールを白血球溶解液として添加することができる。白血球から放出された、主に二本鎖の大きなDNA、例えばゲノムDNAは前置フィルタ上に保持されるが、より小さな核酸、例えばRNA及び小さなDNA分子は前置フィルタを通過する。したがって、方法において、前置フィルタによって捕捉された分子は、所望の時点で化学的及び/又は物理的手段により放出させることができる。捕捉された材料を除去する単純で穏やかな方法の一つは、機器中で液体を最初の濾過とは反対方向に前置フィルタを通して流すことである。そうすることにより、捕捉された材料のかなりの部分が取り除かれ、より小さな材料が実質的に除かれ得る(例えば、ここでDNAから汚染RNAが除かれる)。前置フィルタから分離された高分子は次に、直接分析するか、又は様々な方法、例えば有機溶媒と最適濃度の塩(単数又は複数)の適当な混合物の存在下で鉱物基質に吸着させること(これに限定されない)によってさらに精製することができる。
試料の組成にもよるが、前濾過の後、通過画分は主に小さな二本鎖核酸、例えば小さなDNA分子及び/又はRNA分子を含み得る。通過画分に含まれる小さなDNA分子は概して、約6kb以下、例えば約6kb〜約4kb、又は約4kb〜約1ヌクレオチドである。好ましい実施形態では、DNA分子は約1kb以下である。通過画分に含まれ、したがってこの方法により単離することができるRNAのサイズは特に限定されないが、典型的には約20ヌクレオチド(例えば幾つかのsiRNA)から約5kb又は6kb(例えば幾つかのmRNA)を超えるものまで様々である。
幾つかの実施形態では、本発明の方法は、通過画分(溶出物)を生体分子を結合する第2の物質、例えば核酸を結合する固体担体又は固体基質に曝露することを含む。例えば、好ましい実施形態では、本発明は、一本鎖核酸及び二本鎖核酸を含む核酸をカオトロピック塩及び有機溶媒を用いて単離又は精製する方法を提供する。当該方法は単離又は精製される核酸を含む試料を、核酸が基質に吸着されるように、少なくとも1つの固体基質(本明細書中で鉱物担体又は固体担体とも称される)に曝露することを含み、ここで曝露条件は塩、特にカオトロピック物質と、有機溶媒の適当な混合物を含む。好ましくは、混合物は水性混合物である。任意に、基質上に吸着された試料は吸着後、緩衝液で洗浄される。また、RNAを単離又は精製する方法では、基質に同様に吸着されたDNA分子は、担体及び結合材料を、DNAの消化が起こるのに適切な条件下、適正な時間でDNase(好ましくはRNaseを含まない)に曝露することにより除去することができる。逆に、DNAを単離又は精製する方法では、基質に同様に吸着したRNA分子は、担体及び結合材料をRNAの消化が起こるのに適切な条件下、適正な時間でRNase(好ましくはDNaseを含まない)に曝露することにより除去することができる。
好ましい実施形態では、単離される生体分子はRNAである。RNA及び好ましくはガラスフィルタ等のシリカ系の固体担体基質が、前述のカオトロピック塩又は他の有用な塩、及び適正な量の有機溶媒の存在下で互いに曝露されると、大部分のRNAが基質に結合する。このような文脈において、用語「大部分」は、50%を超える、例えば、一部の場合では80%を超える、他の場合では90%を超える、及び100%に近いRNA分子が鉱物基質に結合したことを意味する。当業者はこの範囲に含まれる全ての特定の値をすぐに認識することができるため、各々の特定の値を本明細書中で具体的に列挙する必要はない。
方法は、前濾過固体担体基質から溶出した試料を有機溶媒と混和した後、得られた試料を、目的の生体分子が第2の固体担体基質に結合する条件下で第2の固体担体基質に曝露することを含む。これらの実施形態では、有機溶媒は典型的には、試料の前濾過の後、機械的手段により添加される。本発明の方法で使用される有機溶媒は、生体分子(この例では核酸)の基質への結合を可能にする任意の有機溶媒であり得る。有機溶媒としては、エタノール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、モルホリン、テトラグリム、ジメチルスルホキシド、及びスルホランが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、核酸はスルホラン及びカオトロピック塩の存在下で基質と結合する。有機溶媒の最終濃度は、目的の分子の結合を可能にする任意の量であり得る。核酸については、最終濃度は0%〜100%、例えば15%〜80%、例えば20%〜50%であり得る。標的分子がRNAである実施形態では、典型的には最終濃度が約15%〜約45%(例えば35%、36%、37%、38%、39%、40%)の有機溶媒が、RNAの結合を最大限にするために方法に用いられる。低分子量の二本鎖核酸及び一本鎖核酸が標的分子である実施形態では、約40%を超える最終濃度を用いることができる。いかなる作用機序に限定されるものではないが、比較的低い濃度の有機溶媒がRNAの結合を促す一方で、比較的高い濃度の有機溶媒は低分子量の二本鎖核酸及び一本鎖核酸の結合を可能にすることが考えられる。好ましくは、有機溶媒の純度は約98%以上、例えば99.5%又は99.8%である。
方法には、試料をカオトロピック塩と機械的に混和した後、鉱物基質と結合させることも含まれる。混和とは試料と塩との接触をもたらす任意の作用であり得る。混和は高塩濃度の溶解緩衝液を試料に添加することにより行われてもよい。核酸の単離のためには、溶解緩衝液中の塩は好ましくは、約0.1M〜約10M、例えば、約1M〜約5M又は約5M〜約10Mの濃度で含まれるカオトロピック塩である。好ましい実施形態では、4M〜5Mの塩が溶解緩衝液に使用される。これらの方法で使用される塩は、塩化グアニジン、チオシアン酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジン、過塩素酸ナトリウム、及びヨウ化ナトリウム等のカオトロピック塩であってもよい。非カオトロピック塩としては、第1族のアルカリ金属の塩、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、塩化リチウム、塩化カリウム、並びにルビジウム及びセシウム系の塩が挙げられる。原則として、この方法では、有機溶媒の存在下で生体分子の鉱物基質への結合を可能にする任意の塩を使用してもよい。本発明における塩は、或る特定の塩であっても、又は塩の混合物が使用されるようにそれらの組み合わせを含んでいてもよい。また、別のカオトロピック物質である尿素を、生体分子を含有する供給源を溶解及び/又は結合するために、0.1M〜10Mの濃度で使用してもよい。一実施形態では、一本鎖核酸が単離される場合に二本鎖核酸含量を低減するために、場合によってはRNase活性を低減するために(好ましくは0.05%の)サルコシルを溶解緩衝液に添加してもよい。
核酸分子の吸着のために使用される鉱物基質は好ましくは、多孔質又は非多孔質の金属酸化物又は混合金属酸化物、シリカゲル、砂、珪藻土、主に未処理ガラス粒子、ガラス粉等のガラスから成る材料、石英、アルミナ、ゼオライト、二酸化チタン、及び酸化ジルコニウムを含むか、又はこれらから成るフィルタである。ガラス、又は繊維フィルタの形にすることができる任意の他の材料を含む繊維フィルタが、この方法で用いられる。アルカリ土類金属を鉱物基質に使用する場合、アルカリ土類金属をエチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はEGTAにより結合してもよく、サルコシネートを湿潤剤、洗浄剤、又は分散剤として使用してもよい。また、鉱物基質に使用される材料はいずれも、電磁特性を持つように設計されてもよい。鉱物基質の粒径は好ましくは0.1um〜1000umであり、孔径は好ましくは2um〜1000umである。鉱物基質はガラス、石英、若しくはセラミックスでできたフィルタ層、シリカゲルが配置された膜、粒子、繊維、石英及びガラスウールの織物、ラテックス粒子、又はポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリビニリデンフルオライド等のフリット材料に散在していてもよい。鉱物基質は流体試料と混和される場合に、粉体等の固体の形状であっても、又は固体と液体の懸濁液であってもよい。鉱物基質は、1つ又は複数の層が併用されて試料を吸着する層に含まれ得る。
本発明はまた、一本鎖核酸又は二本鎖核酸を鉱物基質に選択的に結合させるために利用され得る。幾つかある因子の中でも、鉱物基質に結合している核酸は、結合の間存在する有機溶媒及び塩の量の関数である。有機溶媒濃度が高い(例えば、およそ30%の有機溶媒)、或る特定の塩条件下で、どちらの核酸(DNA及びRNA)も鉱物担体に結合する。有機溶媒及び/又は塩濃度が規定値よりも低くなる他の条件下では、いずれの核酸も任意の実質的な程度では鉱物担体に結合しない。しかしながら、これらの2つの条件の間では、RNA及びDNAは鉱物担体に異なる程度で結合するであろうため、塩及び有機溶媒の濃度は、主に1つの核酸が選択的に結合するように調節することができる。この方法はしたがって、有機溶媒及び塩存在下でDNA及びRNAの差別的な結合により核酸を分離する方法である。一実施形態では、有機溶媒が低濃度(例えば有機溶媒が≦20容量%)の条件下で、DNAは鉱物基質に選択的に結合し、RNA分子は主に通過する。さらなる有機溶媒を、第1の鉱物基質からのRNAを主に含有する通過画分に添加し、RNAを第2の鉱物担体に結合させることができる。例えば、RNAを結合させるために、有機溶媒の濃度を≧30%以上に上げることができる。有機溶媒及び塩の存在下で核酸が鉱物基質に差別的な結合をすることを活かすために、他の変形形態を想定及び利用することができる。本発明の自動システムは、方法の別の変形形態に合うように構成することができる。
したがって、実施形態では、本発明は生物学的供給源の処理により一本鎖核酸を二本鎖核酸から分離する自動化されたプロセスを提供するが、当該処理は、a)機械的手段により、第1の鉱物担体が一本鎖核酸又は二本鎖核酸の一方のみを吸着又は結合する条件下で、供給源の材料を含む水性試料を第1の鉱物担体に適用し、その後、任意に、第1の鉱物担体を洗浄すること、及びb)機械的手段により、第1の鉱物担体に吸着又は結合しなかった、もう一方の一本鎖核酸又は二本鎖核酸を、有機溶媒を含有する水溶液中で第2の鉱物担体に適用することを含む。プロセスでは、第1の鉱物担体に対する適用工程は、水性試料に塩及び有機溶媒を、二本鎖核酸ではなく一本鎖核酸が第1の鉱物担体に吸着又は結合するような量で添加し、その後、任意に、第1の鉱物担体を洗浄することを含む。また、第1の鉱物担体に吸着又は結合しない二本鎖核酸を、適量の1つ又は複数の塩及び有機溶媒の存在下で、二本鎖核酸が第2の鉱物担体に吸着又は結合するように第2の鉱物担体に適用し、その後、任意に、第2の鉱物担体を洗浄することができる。さらに、一本鎖核酸、二本鎖核酸、又はその両方を、第1及び第2の鉱物担体のそれぞれから溶出させることができる。プロセスによると、第1の鉱物担体に対する適用工程は、一本鎖核酸ではなく二本鎖核酸が第1の鉱物担体に吸着又は結合するように、有機溶媒の非存在下で、水性試料をアルカリ土類金属イオンと複合体を形成する材料に添加することを含む。第1の鉱物担体に吸着又は結合しなかった一本鎖核酸を、一本鎖核酸が第2の鉱物担体に吸着又は結合するような量の塩及び有機溶媒の存在下で、第2の鉱物担体に適用し、その後、任意に、第2の鉱物担体を洗浄することができる。さらに、二本鎖核酸、一本鎖核酸、又はその両方を第1及び第2の鉱物担体のそれぞれから溶出することができる。
場合によっては、プロセスは、第1の鉱物担体に対する適用工程が有機溶媒の非存在下で、二本鎖核酸が第1の鉱物担体に吸着又は結合するように水性試料に湿潤剤、洗浄剤、又は分散剤を添加し、その後、第1の鉱物担体を洗浄することを含むことを特徴とし得る。また、第1の鉱物担体に吸着又は結合しなかった一本鎖核酸を、一本鎖核酸が第2の鉱物担体に吸着又は結合するような量の有機溶媒の存在下で、第2の鉱物担体に適用し、その後、任意に、第2の鉱物担体を洗浄することができる。さらに、一本鎖核酸、二本鎖核酸、又はその両方を第1及び第2の鉱物担体のそれぞれから溶出することができる。幾つかの実施形態では、第1の鉱物担体に対する適用工程は、水性試料に、一本鎖核酸及び二本鎖核酸の両方が第1の鉱物担体に吸着又は結合するような量の塩及び有機溶媒を添加することを含み、一本鎖核酸又は二本鎖核酸の一方を、最初に第1の鉱物担体から選択的に溶出し、その後、一本鎖核酸又は二本鎖核酸のもう一方を溶出し、第1の鉱物担体から最初に溶出した方の一本鎖核酸又は二本鎖核酸を、第1の鉱物担体から最初に溶出した核酸が第2の鉱物担体に吸着又は結合するという条件下で、第2の鉱物担体に適用し、その後、核酸を第2の鉱物担体から溶出させる。
少なくとも1つの生体分子が鉱物基質に吸着すると、基質を任意に、エタノール等の有機溶媒、エタノールに類似の有機溶媒、又はそれらの混合物を含有する1つ又は複数の溶液で洗浄することができる。「エタノールに類似の有機溶媒」とは、化学的及び物理的特性が「似た」溶媒を意味する。例えば、その溶媒は同様の比重、水への混和性、又は生体分子を鉱物基質から除去することのない洗浄緩衝液の成分とすることが可能な他の特性を有する。「それらの混合物」とは、1種類より多くの有機溶媒が洗浄緩衝液に使用され得ることを意味する。例えば、エタノールとジオキソランの混合物、スルホランとジオキソランの混合物、エタノール、ジオキソラン、及びアセトニトリル等の混合物が鉱物基質の洗浄のために使用され得る。この工程に使用することのできる有機溶媒の混合物には多くの種類があり、混合物は2種類より多くの有機溶媒を含み得る。任意に、溶液は1つ又は複数の塩も含有する。塩が洗浄溶液に使用される場合、塩はカオトロピック塩、又はアルカリ金属(例えば、塩化ナトリウム等の第I族の金属)若しくはアルカリ土類金属(例えば第II族の金属塩)を含む塩であってもよい。塩濃度は0.001M〜3Mの範囲であり得る。同様に、有機溶媒では、最終濃度が1容量%以下〜100容量%の範囲であり得る。例えば、有機溶媒は、およそ50容量%の最終濃度で含まれてもよい。したがって、塩溶液中の塩並びにエタノール及び/又は他の溶媒の濃度は、塩が含まれずエタノール及び/又は他の溶媒が100%から、3Mの塩でエタノール及び/又は他の溶媒が約80%以下までの範囲である。幾つかの実施形態では、溶液は、1つ又は複数の有機溶媒(例えば10容量%〜90容量%)を含むと共に約50mM以上の塩含有量を有する高塩緩衝液である。他の実施形態では、溶液は、1つ又は複数の有機溶媒(例えば10容量%〜90容量%)を含むと共に約50mM未満の塩含有量を有する低塩緩衝液(例えば20mM NaCl及び約50%〜約60%(例えば約52%、54%、56%、58%)のエタノール)である。洗浄の方法は当該技術分野で既知であるため(例えば、緩衝液を試料に添加した後、試料を遠心分離するか、又は陽性空気圧及び/又は真空を試料に適用する)、本明細書中では詳述しない。任意の適切な洗浄スキームが使用され得る。高塩洗浄緩衝液及び低塩洗浄緩衝液が使用される場合、不要の生物材料を除去することを洗浄の目的として、高塩洗浄を最初に実行し、次に結合材料に付随する塩の量を低減するために低塩洗浄を行うことが好ましい。
したがって、生体分子を鉱物基質から溶出させる前に、DNase又はRNaseを含む汚染タンパク質を除去するために、基質を1つ又は複数の高塩洗浄液で処理することができる。高塩洗浄液は、例えば、1M〜8Mの塩及び20%〜80%のエタノール又は他の有機溶媒若しくは溶媒の混合物から成る。好ましい実施形態では、高塩洗浄液は2Mのカオトロピック塩及び約50%〜約60%のエタノールから成る。この任意の高塩洗浄工程には、1回又は複数回の高塩洗浄を組み込むことができる。好ましい実施形態では、RNAが単離されており、DNase工程が用いられる場合、2Mのチオシアン酸グアニジン、及び約50%〜約60%のエタノール又は物理的及び化学的特性の「似た」溶媒を含む、2回又は3回の高塩洗浄が実行される。所望の場合、上述したような低塩溶液を高塩洗浄の後使用して、核酸含有組成物の塩濃度を低減することができる。
任意の第1及び/又は第2の洗浄の後、目的としていない生体化合物を除去するために、鉱物基質を適当な水性環境でDNase、RNase、プロテアーゼ、又は他の酵素で処理することができる。好ましい一実施形態では、RNAが目的の生体分子であり、DNA分子を鉱物基質から排除するためにDNase消化緩衝液が添加される。別の実施形態では、DNAが目的の分子であり、RNA分子を鉱物基質から排除するためにRNase消化緩衝液が添加される。DNase又はRNase処理に続いて、残留するDNase又はRNase及び塩を除去するために、鉱物担体が高塩洗浄緩衝液及び低塩洗浄緩衝液のそれぞれで洗浄される。方法が自動化されている場合、目的の生体分子又は細胞に応じて特定のコンピュータプログラムを構築することができる。
生体分子を鉱物基質から溶出する工程は、水及び有機溶媒(例えばエタノール)を排除するために、鉱物基質を最初に(例えば、固相基質上に空気を通すことにより)乾燥すること、その後、溶出緩衝液又は水等の液体を基質に添加すること、任意に、液体を0〜1時間以上、基質とインキュベートさせること、及び液体を基質から分離することを含み得る。或る状況下では、結合した生体分子をアセトン等の高揮発性有機化合物に曝露し、蒸発により水及び他の有機化合物の除去を促進することができる。核酸が溶出されている実施形態では、インキュベーションは典型的には、約0秒〜約20分、例えば約0秒〜約10分、又は約0秒〜約5分行われ得る。好ましい実施形態では、インキュベーションは約2分間行われる。この工程の間、基質と結合した核酸分子の大部分が液体中に溶出するものとする。インキュベーションは温かい、例えば約26℃〜約80℃、又は室温に近い、例えば約20℃〜約25℃の液体を用いて行ってもよい。好ましくは、溶出溶液(例えば緩衝液)が塩を含む場合、塩は約6〜約10のpKa値を有し、緩衝液は最大約100mMの塩濃度を有する。例えば、10mM Tris(pKa8.0、pH8.5)を使用して、生体分子を鉱物基質から溶出させてもよい。溶出は単一の工程で行われても、又は種々の溶出工程を用いて行われてもよい。機器は不定数の溶出工程を可能にするようにプログラミングされていてもよい。
RNAの精製に関する実施形態では、結合したRNAは、水又は緩衝液等の低塩溶液を用いた溶出により第2の固相基質から溶出させてもよい。溶出したRNAは物質収集において収集される。代替的には、RNAが第2の固体担体と結合すると、精製カートリッジ全体が機器から除去され、さらにRNAの単離のために処理される。例えば、精製カートリッジ全体が溶出及び分析のため処理設備に送られ得る。任意に、カートリッジは分析の前に無期限に保管することができる。代替的には、RNAが結合した固体担体はカートリッジから除去されて、任意に保管され、分析に使用され得る。
上述したように、本発明の方法又はプロセスでは、塩は1M〜10Mの濃度で存在し得る。例えば、プロセス又は方法には、試料を第1の鉱物担体に適用する前に、核酸を含有する供給源中の細胞を0.1M〜10Mの濃度のカオトロピック物質で溶解することが含まれ得る。繰り返すが、本発明のプロセス及び方法では、有機溶媒は1容量%〜90容量%以上の最終濃度で存在し得る。また、第1の鉱物担体及び第2の鉱物担体の構造は特に限定されず、独立して、例えば多孔質又は非多孔質であっても、金属酸化物又は混合金属酸化物、シリカゲル、ガラス粒子、ガラス粉、石英、アルミナ、ゼオライト、二酸化チタン、又は酸化ジルコニウムから成っていてもよい。鉱物担体の粒径は同様に限定されず、例えば0.1マイクロメートル〜1000マイクロメートルであり得る。さらに、多孔質鉱物担体の孔径は限定されず、例えば2マイクロメートル〜1000マイクロメートルであり得る。プロセスにおいて形成される複合体には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はEGTAと結合したアルカリ土類金属イオンが含まれ得る。さらに、湿潤剤、洗浄剤、又は分散剤が1つ又は複数の溶解溶液、結合溶液、又は洗浄溶液に使用される場合、湿潤剤、洗浄剤、又は分散剤はサルコシネートであり得る。
生体分子を鉱物基質から溶出させた後、単離された生体分子は機械から除去することができる。本明細書中に記載の「除去」とは、試料をシステムから人の手で除去するか、又は自動的に取り出すことを意味する。RNAが単離された生体分子である場合、RT−PCR、マイクロアレイ等の検定に直接使用することができる。代替的には、機器は、単離生体分子をさらに操作又は検定するために必要なコンポーネントを含んでいてもよい。例えば、システムのコンポーネントでは、緩衝液を溶出した核酸に添加することにより試料を希釈することが可能であり得る。さらなる工程は、追加のフィルタを使用するか、又はエタノール沈殿工程を付加することで生体分子又は細胞を濃縮することであり得る。さらに別のさらなる工程では、方法の一環として、生体分子又は細胞を直接検定することが可能であり得る。例えば、単離されたRNAはシステム内でRT−PCRにより直接検定することができる。別の例としては、mRNAは単離された全RNAから、同じ機械で直接分離することができる。目的の生体分子又は細胞をさらに操作するために、コンポーネントを機器に付加することができる。
本発明の方法は、生体分子の一部又は全部が鉱物担体に吸着するか、又はそうでなければ結合するのに十分な時間、1つ又は複数の生体分子を有機溶媒及び鉱物担体に曝露することを含む。目的の生体分子は、鉱物担体に結合し得るか、又は非結合画分に含まれ得る。例えば、核酸及びタンパク質を含む組成物では、核酸が記載の条件下で鉱物担体に結合する一方で、タンパク質は非結合のままであり得る。このようにして、両分子は互いに離れて精製され得る。続いて、塩、緩衝液、溶媒等を添加して、様々なタンパク質種をフィルタ、樹脂等を用いて精製するのに最適な条件にすることができる。当該方法には、生体分子を1つ又は複数の塩、例えばカオトロピック塩に曝露することも含まれ得る。また、方法には有機溶媒、塩、及び/又は任意の非結合物質を、鉱物担体及び結合材料を洗浄し、及び/又は結合材料を鉱物担体から放出させることにより除去することも含まれ得る。
別の実施形態では、本発明の方法は、或る特定のタンパク質を生体試料から単離することを含む。この場合、カオトロピックであっても、又はそうでなくてもよい塩を有機溶媒と併せて使用して、核酸を少なくとも1つの鉱物担体に結合させることができる。これらの条件下では、タンパク質は目に見える程度には結合せず、したがって1つ又は複数の核酸を全く含まないか、又は基本的に含まない通過画分又は溶出画分において捕捉され得る。一部のタンパク質及びタンパク質分析技法(例えば酵素活性検定)に関して、結合の条件は目的のタンパク質が変性されていないか、又はそうでなければ三次構造又は四次構造に非可逆的な変化のないようでなくてはならない。しかしながら、一部のタンパク質については、タンパク質の構造又は活性を著しく損なうことなく再生することができれば、変性は許容可能である。また、有機溶媒のみの存在下、又は1つ又は複数の塩の存在下で鉱物担体に結合しないタンパク質を含む組成物を、DNA及び/又はRNAが吸着するように鉱物担体に曝露することができる。目的のタンパク質は通過後、当業者に既知のタンパク質精製法を用いて(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過、親和性クロマトグラフィー等を用いて)精製することができる。血中の目的のタンパク質の例として、抗体(免疫グロブリン)、第VIII因子、アルブミン、フィブリノーゲン等がこの方法を用いて核酸から分離することができる。他の実施形態と同様に、特定のタンパク質を単離する工程は機械により実行することができ、したがって完全に自動化することができる。システムは、特定のタンパク質を他の種類の核酸等の生体分子から分離し得る。また、機械には特定のタンパク質をさらに操作するコンポーネント、例えば特定のタンパク質を他のタンパク質からさらに分離させるタンパク質精製カラムが含まれる。
さらに別の実施形態では、本発明の方法は他の血液成分を精製する方法である。例えば、血球を前置フィルタに結合させた後、通過分は部分的に精製された血液血清又は血漿を含有していてもよい。当該方法は、システムのさらなるコンポーネントが血清、血漿、又は血液の他の成分のさらなる精製を可能にするように確立され得る。方法には、他の望ましくない血液成分をさらに捕捉し、通過分が所望の画分となるようにすることが含まれ得る。プロセスには、他のフィルタ、カラム等を使用して単離することができる血中の所望の成分をさらに捕捉することも含まれ得る。例えば、方法で使用される前置フィルタ及び鉱物基質の孔径に応じて、血中の血小板を前置フィルタ又は鉱物基質上に捕捉させることができる。血小板がこれらのフィルタの両方を通過する場合、さらなる工程において血小板を吸着する付加的なフィルタを本発明の方法に追加することができる。この方法によって、血小板を赤血球、白血球、血液タンパク質、及び/又は血漿から分離することができる。本発明の方法の目的に応じて、当該方法を変更して、血液の異なる成分を他の成分から分離することが可能である。
本発明の方法を完全に自動化して、自動化されていても、又はされていなくてもよい機器からの試料の添加又は除去を除いて、全工程を機械又は機器により実行することができる。方法の目的に応じて変更することができるシステムのコンポーネントによって、方法が試料のいかなる前処理もなく行われることが可能である。例えば、全血又は細胞培養物はいかなる希釈、緩衝液の添加、又は任意の他の前処理もすることなくシステムに添加することができる。これはユーザーの時間を節約するだけでなく、方法にさらなる再現性を与えることができる。方法を自動化する多くの他の利点があるが、その一部のみしか本明細書中で叙述していない。例えば、システムは閉鎖されているため、生体分子又は細胞の精製は環境由来のさらなる汚染なしに行われる。RNA分子の単離の場合、これは人の手からのRNase、及び空気中の粒子が単離チャンバに入るのを最小限にする。方法は比較的急速であり、一部の分子の精製は15分以内に行われるため、目的の分子又は細胞が分解される可能性は最小限に抑えられる。
本発明の方法はコンピュータプログラムによって遂行される。機器は、前もってプログラムされたコンピュータプログラムを有することができ、及び/又はユーザーはカスタムメソッドをシステムにプログラムすることができる。単離の方法に応じて異なったプログラムを機器に追加することができる。既に機械にインストールされたコンピュータプログラムを、異なる方法及び目的を反映させるために変えてもよい。例えば、自動化されたプログラムは、RNA分子を全血から精製する工程を明確にすることができる。この場合、本発明の方法にはRNA分子の単離に必要とされる特定の工程が含まれるであろう。別のコンピュータプログラムが、ゲノムDNAの培養細胞からの単離プロセスに組み込まれてもよい。この場合、本発明の方法には大きなDNA分子の精製に必要とされる特定の工程が含まれるであろう。コンピュータプログラムを、システムの全チャンバが方法に使用されるか、又は全チャンバが特定の単離のために使用されるようにセットアップすることができる。幾つかの実施形態では、機器の部品は外され、特定の方法により適した別の部品に交換することができる。これには、全チャンバの除去又はシステムのより小さな部品、例えばフィルタ、カラム、チューブ等の除去が含まれ得る。
次に図面を参照すると、図面はシステムの精製カートリッジの或る特定の実施形態を図示しており、図1には本発明の一実施形態による精製カートリッジ100が見られる。図1Aは例示的なカートリッジの正面斜視図である。図1Aに見られるように、カートリッジ100は外側シェル101及び前面カバー102を含む。外側シェル101の表面には、試料受容ゾーン又はポート120、可逆的に取り付けられたキャップ104により外側シェル101の表面に画定された混合チャンバポート103、及びヒンジキャップ141により外側シェル101の表面に画定された収集チャンバポート140が配置される。入口ポートインターフェース110は、前面カバー102上に配置された複数の注入及び出口ポート111を含む。システム全体の中では、ポート111は、様々な流体を試薬パック(図示せず)からカートリッジ内に入れ、カートリッジから廃棄物(実施形態では、試薬パック内に輸送される;実施形態では、別個の廃棄物容器又は周囲に輸送される)を除去するように機能する。前濾過ゾーン130は、前面カバー102内に配置される。
図1Bは例示的なカートリッジの後面斜視図である。図に見られるように、試料受容ゾーン120は試料容器121を含む。回転バルブ160、161、162、及び163はそれぞれ、導管160a、161a、162a、及び163a並びにシールリング160b、161b、162b、及び163bと共に図示される。前濾過ゾーン130はゾーンカバー130aにより外表面に画定される。物質収集ポート140及びキャップ141と同様に、ゾーンカバー150aにより外表面上に画定された第2の濾過ゾーン150が示される。図1Bに見られるように、バルブ160、161、162、及び163は各々、導管(それぞれ160a、161a、162a、及び163a)を含み、流体をバルブに接続した或る導管からバルブに接続した別の導管へと流す。バルブが回転することで、導管160a、161a、162a、及び163aは互いに別の導管と接続される。図2を参照にして以下で詳述するように、様々な導管も図示される。カートリッジは、精製スキームでの使用に適切な任意のサイズを有し得る。実施形態では、カートリッジはおよそ5.75インチ×5インチ×1インチである。
図2は図1のカートリッジの横断面図であり、導管の詳細を示し、様々な濾過ユニット及びカートリッジのバルブを示している。より詳細には、図2は入口ポートインターフェース210、血液試料容器(例えば、血液収集チューブ又はバイアル)221を含む試料受容ゾーン220、及び前置フィルタ濾過ユニット231を含む前置フィルタゾーン230を含むカートリッジ200を図示している。カートリッジ200は、第2の濾過ユニット251を含む第2の濾過ユニットゾーン250、及び物質収集ポート240をさらに含む。以下で詳述されるように、4つの回転バルブ260、261、262、及び263、並びにこれらの要素に接続する様々な導管が図示される。
ここで再び図1及び図2を合わせて参照すると、RNAを白血球から精製するためのカートリッジの操作を詳述する。図2に図示された要素を参照するが、同様の番号及び要素を有する類似の要素が図1に図示されることを留意されたい。初めに、必要に応じて、バルブ260、261、262、及び263を開くか又は閉じることにより導管に様々な流体を「注入(primed)」し、注入ポート211a〜jと排出ポート211kとの間の回路を開いてもよい。さらに、排出ポート211kに真空を適用することで、様々な流体が適当な導管を通して引かれるか又は押され得る。この引く作用は注入ポート211a〜jを介して適用される陽性の力を増補又は置換し得る。
RNAを血液試料(例えば5mlの全血試料)から精製するために、血液試料容器221を、試料受容ゾーン220に滑り込ませることによりカートリッジ200に挿入する。血液試料容器が試料受容ゾーン220に完全に挿入されると、キャップ222に2本のニードル(図示せず)により穴が開く。空気がニードル(図示せず)によって、空気取入れポート211a、導管271を通り血液試料容器221に流れることで、血液試料容器221は加圧される。血液試料容器221中の血液は、ニードル(図示せず)により容器221から導管272へと流れる。同時に、赤血球(RBC)溶解液は、RBC溶解液取入れポート211b及び導管273を通過する。血液及びRBC溶解液(例えば同量)は、導管272と273との接続部で合わさって、この2つの組成物が導管274で混合され、赤血球が溶解される。この2つの組成物のさらなる混合及び赤血球のさらなる溶解は、溶液の組み合わせを第1の静止又はTesla混合チャンバ275を介して導くことで達成される。混合物は、混合チャンバ275から導管274を通り回転バルブ260へと流れる。回転バルブ260は、コンピュータ制御アクチュエータ(図示せず)により、導管260aが導管274と導管276とを接続するように回転する。混合物は前濾過ゾーン230へと流出し、ゾーンの近位側の中心にあるポートによりゾーンに入る。混合物は前濾過ユニット231と接触し、円錐体チャネル233によって濾過円錐体232を濾過ゾーン230の周りへと流下する。次に混合物は、白血球及び不溶解赤血球を含む不溶解細胞を捕捉する濾過ユニット(図示せず)を超えて進む。濾過された流体(溶出物)は濾過ゾーン230からゾーンの遠位側の中心にある排出ポート(図示せず)により排出され、導管277を介してバルブ261へ移動する。
非結合材料(溶出物)が廃棄される場合、バルブ261がコンピュータ制御アクチュエータ(図示せず)により作動し、導管261aが導管277と導管278を接続する。溶出物は、カートリッジ200から廃棄物導管278aを介して、廃棄物排出ポート211kを通って排出される。溶出物が保存される場合、排出ポート211kは、(例えば流体の導管278a内の移動を遮断する背圧を与えることにより)閉じられる。導管278aを遮断することで、溶出物は導管278bに入り、バルブ263に入る。バルブ263が作動して、導管263aが導管278bと導管279を接続し、溶出物が物質収集ポート240に入り、ここで溶出物はユーザーにより除去され得る。
血液/RBC溶解混合物が前濾過ユニット231を通過した後、前濾過ユニット231は(例えば等量、2倍量等の)付加的なRBC溶解混合物に曝露されることで赤血球の全溶解、好ましくは基本的に全ての赤血球の溶解が促進される。そのようにすることで、赤血球溶解液は、注入ポート211bを通ってカートリッジ200に入る。RBC溶解液は導管273及び274を通りバルブ260へと流れる。導管260aが回転することにより、導管274と276との間の流体接続が生じ、RBC溶解液は上述の前濾過ユニット231を通過する。RBC溶解液が前濾過ユニット231を通過することで、前濾過ユニットにより捕捉されていたRBCが溶解する。廃RBC溶解液、細胞残屑、及び他の材料は、上述のように廃棄されるか又は捕捉される。
この際、空気は取入れポート211cを介してカートリッジに入り、導管280を通ってバルブ260に流れる。バルブ260は、導管260aが導管280と276とを接続して、空気が前濾過ユニット231を通過し、導管277、361a、278、278a及びポート211kによって、又は導管277、361a、278、278b、263a、279、及びポート240によってカートリッジ200から排出されるように作動させてもよい。所望であれば、導管271及び272内に残留する流体を除去するために、空気を同様に又は同時にこれらの導管を通して流し、空気をバルブ260から上述のカートリッジ200に流出させてもよいことに留意されたい。
任意に、前濾過ユニット231は、任意の導管の空気パージ前後にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄することができる。例えば300マイクロリットル毎秒で12.5mlのPBSを、取入れポート211dによりカートリッジ200に入れることができる。PBSは、導管281を通ってバルブ260へと流れる。バルブ260を作動させると導管260aと導管280及び276が整合される。PBSは導管276を通って前濾過ユニット231を通過し、導管277を通って前濾過ゾーン230から流出する。溶出物に関して上述したように、次にPBSをカートリッジ200から排出してもよい。所望であれば、前濾過ユニット231は、さらに1回又は複数回、例えば600マイクロリットル毎秒のPBSで洗い流すことによって洗浄してもよい。このとき、第2の任意の空気乾燥工程を上述のように実行してもよい。
さらに、水を用いて前濾過ユニット231を洗浄することができる。その際、水を取入れポート211eによってカートリッジ200に入れる。水を導管282に通してバルブ260に流す。次に水を前濾過ユニット231に通過させ、PBSに関して上述したようにカートリッジ200から流出させる。
RBC溶解液を前濾過ユニット231に通過させ、任意の選択的な洗浄及び導管パージ後、白血球(WBC)溶解液を前濾過ユニット231を通過させることにより、ユニットに捕捉された白血球を溶解する。WBC溶解液をカートリッジ200に取入れポート211fから入れる。WBC溶解液を導管283に通してバルブ260へと移動させる。バルブ260を作動させて、導管360aにより導管283と276を流体接続し、WBC溶解液が前濾過ユニット231を通過し、他の溶液について上述したように前濾過ゾーン230から排出されるようにする。WBC溶解液が前濾過ユニット231を通過することで、ユニットに捕捉されたWBCを溶解する。例えば、9mlのWBC溶解液を、400マイクロリットル毎秒で前濾過ユニットに通過させ、WBCを溶解してもよい。細胞残屑及び大きな核酸は前濾過ユニット231に捕捉されるが、小分子、例えばRNAは通過する。通過流体は導管277を通ってバルブ261へと移動する。バルブ261を、導管261aが導管277を導管284に接続するように作動させる。細胞溶解液由来の、RNAを含む溶出物は、導管284を通って移動し、混合チャンバ292に入り、収集される。WBC溶解液を前濾過ユニット231に通過させている間又はその直後、流体の流出をしばらく中断して、細胞溶解を増大させることができる。例えば、流体の流出は、約1秒〜約10分以上の間中断してもよい。好ましくは、中断は、例えば、約3分間又はそれ未満、約2分間又はそれ未満、又は約1分間又はそれ未満と比較的短期間続けられる。任意選択的な中断の後、付加的なWBC溶解液を前濾過ユニット231に通過させる。例えば、さらに5mlを前濾過ユニットに通過させてもよい。付加的なWBC溶解液は、上述の混合チャンバ292で収集される。当然ながら、他の工程と同様に、WBC溶解が行なわれる前後で、1つ又は複数の導管の流体を、空気を導管に流すことによってパージしてもよい。さらに、所望ならば、パージ空気をカートリッジ200から出る前に混合チャンバ292を通して流し、チャンバ292に収納される液体組成物の混合を促進する。
混合チャンバ292内に維持されるRNA含有組成物に、水を添加して組成物中の或る特定の物質の容量変化及び/又は濃度調節を行う。そのようにすることで、水を入口ポート211eによって混合チャンバ292に入れ、上述のバルブ260から前濾過ユニット231を通過させてもよい。例えば、4mlの水を混合チャンバに添加してもよい。この工程ではさらに前濾過ユニット231が洗浄され、RNA収率が向上することに留意されたい。
次に空気を混合チャンバ292に導入することにより、RNA含有混合物を第2の濾過ユニット251に通過させる。より詳細には、空気は、注入ポート211h及び導管293を通じてカートリッジ200に導入することができる。同時に、スルホラン又は別の有機溶媒を含む溶液を、取入れポート211gによってカートリッジ200に入れる。溶液を導管285に通過させる。一方、RNA含有溶液を、導管284’を介して混合チャンバ292から排出させる。導管284’及び285は合併して導管286を形成し、ここでスルホランの混合及び通過が起こる。例えば、導管内で等量の80%スルホランと、混合チャンバ292から流出するRNA含有組成物を混合してもよい。溶液の組み合わせを第2の静止又はTesla混合チャンバ287を通して導くことで、この2つの組成物はさらに混合される。混合物は、混合チャンバ287から導管286を通って回転バルブ262へと流れる。回転バルブ262は、コンピュータ制御アクチュエータ(図示せず)により、導管362aが導管286と導管288を接続するように回転する。混合物を、導管288を通して、第2の濾過ユニット251を含む第2の濾過ゾーン250へと流す。混合物中に含まれるRNAは濾過ユニット251と結合し、非結合材料濾過ゾーン250から導管289により排出される。第2の濾過ユニット251からの溶出物は、導管289を通してバルブ263へと移動される。
非結合材料(溶出物)を廃棄する場合、バルブ263をコンピュータ制御アクチュエータ(図示せず)により、導管263aが導管289と導管278bを接続するように作動させる。溶出物は、バルブ261を閉じることで、カートリッジ200から廃棄物導管278aを介して廃棄物排出ポート211kにより排出される。溶出物を保存する場合、バルブ263をコンピュータ制御アクチュエータ(図示せず)により作動することで、導管263aが導管289と導管279を接続し、溶出物を物質収集ポート240に入れ、ここで溶出物がユーザーにより除去される。
RNA/スルホラン混合物を第2の濾過ユニット251を通過させることにより、RNAが濾過ユニットに結合する。この際、空気をカートリッジに取入れポート211h及び導管293を介して、混合チャンバ292を通して、並びに導管284’、286、バルブ262/導管262a、及び導管288を通して導入することで、空気による導管のパージ及び濾過ユニット251の乾燥を実行してもよい。
濾過ユニット251に結合したRNAは、1つ又は複数の適当な物質を用いて洗浄してもよい。この例では、濾過ユニット251を、取入れポート211iによってカートリッジ200に導入される低塩濃度緩衝液で洗浄する。例えば、2.5mlの低塩濃度洗浄緩衝液を、400マイクロリットル毎秒で導管290を通じてバルブ262に移動させる。バルブ262は導管262aが導管290及び288と整合し、流体を濾過ユニット251に移動させるように作動する。濾過ユニットからの通過分は、上記で論じたように収集ポート240により保存されるか、又は導管278b及び278aを通して廃棄物として廃棄される。上述したように、所望であれば、注入ポート211hからの空気を導管293、混合チャンバ292を通して、濾過ユニット251に通過させることにより、空気を用いて導管及び第2の濾過ユニット251を乾燥させてもよい。所望であれば、その後1回又は複数回の低塩洗浄(例えば2.5mlの低塩緩衝液で)を任意の空気パージにより実行してもよい。最後の空気パージは、より良く乾燥するために比較的長いサイクル時間で実行してもよい。
洗浄されたフィルタに結合したRNAは、エタノール含有組成物、例えば100マイクロリットル以上の無水エタノール等にさらに曝露してもよい。エタノール組成物を取入れポート211jによってカートリッジ200に入れる。エタノール溶液は、導管291を通ってバルブ262へと移動する。次に、エタノール溶液を濾過ユニット251に通過させて、上述のように保持しても廃棄してもよい。その後、任意の空気パージを上述のように実行してもよい。
この段階では、精製RNAは濾過ユニット251に結合している。精製RNAは、ユニット251上に長期間維持されるか、又は即座に溶出され得る。RNAがユニット251から溶出される一方でカートリッジ200が発明のシステムの残りの要素に接続している場合、RNAは以下のように溶出される。水又は低イオン強度緩衝液は、取入れポート211eによってカートリッジ200に入れてもよい。バルブ260を閉めることによって、水を導管282aを通してバルブ262へ流す。バルブ262は導管262aが導管282aと288を接続するように作動する。次に、水又は低イオン強度緩衝液、例えば200マイクロリットルの水を濾過ユニット251に通過させることで、結合したRNAが放出される。任意に、水を中断し、その間、第2の濾過ユニット251としばらく、例えば1分間、2分間、5分間接触させてもよい。次に、溶出したRNAを、上述のように空気取入れポート211hからの圧力により導管289を通してバルブ263へ流す。バルブ263は、導管263aが導管289と279を連結するように作動する。その後、溶出したRNAは、ユーザーによって除去されるように収集ポート240に入れられる。
或る特定の流体を選択した導管を通過させるために、様々なバルブを或る特定の導管内で圧力を均一にするように開くか又は閉じる必要がある。この圧力安定化に有効である、適切なバルブの開閉は本明細書中で詳述されてはいないが、当業者は即座に認識するであろう。
上記で論じられたカートリッジの1つの特徴部は、前濾過ユニットである。大まかに言えば、この特徴部は、試料中の少なくとも幾つかの物質を捕捉する1つ又は複数の固相担体を含む。上記の例示的な実施形態では、ユニットは細胞、特に白血球を捕捉するように設計される。ユニットの部品の様々な構造が可能である。1つの好ましい構造を図3に示す。
図3Aに示すように、上部(本明細書中で近位端とも称される)から見ると、濾過ユニット331が円錐形の担体又は流体ディレクタ332を含むことが分かる。ディレクタ332の表面に、ディレクタ332の頂上又は先端に配置する中央の試料受容ゾーン334から広がる、2つ以上のチャネル又はグルーブ333が配置される。実際には、試料は濾過ユニット331の先端に加えられる。チャネル333は、試料をディレクタ332の先端から外周335に表面を流下させる。ディレクタ332は、この図では8つのチャネルを有するように示されている。しかしながら、任意の数のチャネルを使用してもよいことが理解されよう。円錐体の試験により、8つのチャネルが試料の優れた配分をもたらすことが示されたが、チャネルを追加しても同様の結果となるはずである。
図3Bは、カートリッジのチャンバ又はリザーバに配置された濾過ユニット331の側面図である。使用時には、部品は部品が現在図示されている状態で近位面から遠位面に圧縮されることから予想されるように互いに直接接触している。ディレクタ332は、ユニットの上部又は近位側に図示されている。ディレクタ332のすぐ遠位には、試料が他の成分に接触する前に、試料から大きな粒子状物質をフィルタ除去するために含まれ得る篩又はメッシュ336がある。篩336はまた、メッシュの周囲から中心部までの試料の移動を助けるために使用され得る。篩336のすぐ遠位には固体担体又はフィルタ337がある。固体担体337は、本明細書中で論じられる材料のいずれであってもよい。図3は単一の固体担体を図示するが、この要素は実施形態では、合わさって単一の機能的ユニットとなる複数の個別の固体担体要素を含み得る。固体担体336のすぐ遠位に篩又はメッシュ338がある。篩336と同じく、篩338を、大きな粒子をフィルタ除去するために、特に比較的小径であるカートリッジの導管が試料材料で詰まらないようにするために使用してもよい。しかしながら、篩338の主要な機能はフィルタ337に対し当該フィルタとカートリッジの壁との間に機械的支持をもたらすことであると想定される。
図4は本発明のシステムの一実施形態を図示しており、システム4の一構造の概略図である。図はシステム4を図示しているが、機器のシェル又は外側ハウジングは示されていない。同様に、アクチュエータを駆動するためのモータ及び連結器、コンピュータデバイス及び他の任意選択的な要素も図示されていない。
この図は試薬パック402が、試薬及び溶液を収納するための複数の容器491を含むことを示しており、各容器は流体を容器491からカートリッジ400に移動する可撓性チューブ492と接続する。図に示すように、カートリッジ400は試薬パック402と咬合し、流体を試薬パック402からカートリッジ400に移動するチューブ492の各々で流体密封する。移動は、ポンプヘッド403aでチューブ492に接触する蠕動ポンプ403により行われる。精製カートリッジ400は、流体を取入れ及び排出する1つ又は複数のポートを有し、各々のポートは、試薬パック491のチューブ492に接続する又は試薬パック491に取り付けられるコネクタ、例えばチューブ492の端部に挿入されて密封するオスコネクタ又はニップルを含み得る。同様に、チューブ492は、その他方の端部にオスコネクタを有し得り、このコネクタは容器491上のレセプタクルに挿入され、例えば容器491の部分表面となる箔シールを貫通することができ、したがって容器491からチューブ492への流体の流出を可能にする。
カートリッジ400は、カートリッジ400上の回転バルブ460を駆動するように機能するモータ及び電子ユニット415に取り付けられている。精製プロセス中流体の流出を調節する精製システム用のバルブは全て、カートリッジ400上に設置されることに留意されたい。モータ415がカートリッジ400に可逆的に取り付けられることで、カートリッジ400の交換は容易になり、経費が削減される。
モータ415は、機器のシェル(図示せず)に取り付けられ、機器の内部から当該技術分野で既知の電気機械的手段により制御される。試薬パック402及びカートリッジ400も機器のハウジングに同様に取り付けられる。機器には、システム内で流体を移動させるための1つ又は複数のポンプ403が収納される。システム4は、本実施形態では機器に格納されるコンピュータデバイス(図示せず)をさらに含む。
Claims (24)
- 目的の物質を精製するデバイスであって、
流体を取入れるための少なくとも1つのポートと、
流体を排出するための少なくとも1つのポートと、
目的の物質を結合するための少なくとも2つの固体担体と、
3つ以上の導管の間で流体の移動を制御するための少なくとも1つの回転バルブとを含み、前記取入れポート、前記排出ポート、前記固体担体、及び前記回転バルブが互いに接続して該取入れポートから該排出ポートへの回路を作り出す、目的の物質を精製するデバイス。 - サイズ排除に基づいて物質を濾過するための固体担体を含む、請求項1に記載のデバイス。
- 化学結合に基づいて目的の物質を濾過するための固体担体を含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記目的の物質が核酸である、請求項1に記載のデバイス。
- 前記核酸がRNAである、請求項4に記載のデバイス。
- 前記核酸が血球に由来する、請求項4に記載のデバイス。
- 前記回転バルブのうち少なくとも1つが、回転して前記デバイスの2つ以上の導管と該デバイスの別の導管とを独立して接続する中央導管を含む、請求項1に記載のデバイス。
- 血球を試料から濾過するデバイスであって、実質的に円錐状のディレクタを含み、該ディレクタが、
該ディレクタの先端から底部にある該ディレクタの周囲へと該ディレクタを横切る複数のチャネルと、
底部に、前記ディレクタと接触する第1の篩と、
前記第1の篩と接触する固体担体と、
前記固体担体と接触する第2の篩とを含み、前記第1の篩及び前記第2の篩が、前記ディレクタの底部よりもわずかに大きな外周を有し、該ディレクタの該底部に存在する試料が周囲へと流れ、前記篩及び前記固体担体と接触することを可能にする、血球を試料から濾過するデバイス。 - 前記ディレクタの前記底部、前記篩、及び前記フィルタの外周が円形である、請求項8に記載のデバイス。
- 前記ディレクタが2つ以上のチャネルを含む、請求項8に記載のデバイス。
- 前記ディレクタが8つ以上のチャネルを含む、請求項10に記載のデバイス。
- 目的の物質を精製するシステムであって、
流体を該システムを通して移動させるための機器と、
該システムを通って移動する流体を貯蔵するための試薬パックと、
前記目的の物質を精製するための精製カートリッジとを含み、該精製カートリッジが、該システムのコンポーネントにより制御される2つ以上のバルブを含む、目的の物質を精製するシステム。 - 前記カートリッジが、前記システムを通る流体の移動を制御するための唯一のバルブを含む、請求項12に記載のシステム。
- 前記バルブが全て回転バルブである、請求項12に記載のシステム。
- 前記バルブが、3つ以上の導管の間で流体の移動を制御することができる、請求項12に記載のシステム。
- コンピュータデバイスを含み、前記精製カートリッジを通る流体の移動が該コンピュータデバイスによって制御される自動システムである、請求項12に記載のシステム。
- 前記機器に接触するか、又は該機器を通って流れる液体がない、請求項12に記載のシステム。
- 全ての流体が陽圧、陰圧、又はその2つの組み合わせを用いて前記システムを通して移動する、請求項12に記載のシステム。
- 目的の核酸を液体の機械的置換により単離する自動化された方法であって、
a)前記目的の核酸を含有する細胞を含むミリリットル量の試料を、第1の固体担体と接触させると共に該第1の固体担体を通して流すことにより、該第1の固体担体が前記細胞を捕捉し前記試料から除去する、接触させると共に流すこと、
b)前記第1の固体担体上の不要の細胞を溶解することにより、該細胞及びその成分を該第1の担体から放出させ、該第1の固体担体に捕捉されたままの細胞から除去する、溶解すること、
c)前記第1の固体担体に残留する前記細胞を溶解することにより、前記目的の核酸を溶解液中に放出させ、前記第1の担体からの放出及び前記細胞中の少なくとも幾つかの他の物質からの除去を可能にする、溶解すること、及び、
d)前記溶解液を第2の固体担体と接触させると共に該第2の固体担体を通して流すことにより、該第2の固体担体が前記目的の核酸と結合し、他の物質を結合せずに通す、接触させると共に流すことを含み、該方法の全工程がコンピュータデバイスにより自動的に制御され、該方法が単一のデバイスで実行され、該方法内の流体の移動が少なくとも部分的に、該デバイス上に存在する2つ以上の回転バルブにより制御される、目的の核酸を液体の機械的置換により単離する自動化された方法。 - 前記結合した核酸を前記第2の固体基質から溶出させると共に溶出した該目的の核酸を収集することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
- 前記核酸がRNAである、請求項19に記載の方法。
- 前記核酸が血球に由来する、請求項21に記載の方法。
- 前記流体の移動が、該流体を押す陽圧、及び該流体を引く陰圧を調節することでコンピュータデバイスにより自動的に制御される、請求項19に記載の方法。
- 前記方法が、目的のRNAを血球から単離又は精製する方法であり、
工程a)が、少なくとも1つの血球を含むミリリットル単位の試料を少なくとも1つの前置フィルタに適用することで、該前置フィルタが少なくとも1つの血球を捕捉する、適用することを含み、
工程c)が、白血球溶解緩衝液を前記前置フィルタに適用することで、少なくとも1つの白血球が該溶解緩衝液との接触によって該前置フィルタ上で溶解し、濾液を生じる、適用することを含み、
工程d)が、前記濾液を、塩と有機溶媒の適当な混合物の存在下で鉱物基質に適用することで、該鉱物基質が少なくとも前記目的のRNAと結合する、適用することを含み、前記方法が、前記鉱物基質を少なくとも1回、有機溶媒又は有機溶媒の混合物を含む低塩緩衝液で洗浄すること、及び前記目的のRNAを前記鉱物基質から溶出させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
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