JP2009537803A - 加速度センサ - Google Patents

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Abstract

本発明は、震動質量体(1)と基板(13)とを備えた加速度センサに関する。震動質量体は少なくとも1つのトーションウェブ(4)を中心として回転可能な第1の翼部(2)および第2の翼部(3)を有しており、2つの翼部は質量分布に基づいて少なくとも1つのトーションウェブに対して異なるトルクを生じるように配置されている。震動質量体(1)および基板(13)は少なくとも1つのトーションウェブ(4)に対して相互に反対方向かつ同じ大きさのねじれによって相互に反対方向かつ同じ大きさの減衰トルクが生じるように構成されている。したがって加速度センサには反対方向で当該の減衰トルクと同じ大きさの加速度が作用する。

Description

従来技術
本発明は請求項1の上位概念記載の加速度センサに関する。
こうした加速度センサは欧州公開第0244581号明細書から公知であり、エアバッグ、シートベルトテンショナー、警告灯およびロールオーバ保護装置などの車両の乗員保護装置のトリガに用いられる。加速度センサは震動質量体と基板とを備えており、震動質量体はトーションウェブを中心として回転可能な第1の翼部および第2の翼部を有しており、これら2つの翼部は質量分布に基づいて少なくとも1つのトーションウェブに対して異なるトルクを作用させるように配置されている。
震動質量体はシリコーンジェルなどの媒体(流体)の充填されたケーシングに収容されている。震動質量体が加速度によって偏向されると、媒体内の摩擦抵抗による減衰力がかかる。この摩擦により震動質量体の持続的な振動は阻止される。
ここで問題となるのは、震動質量体が偏向の方向によって異なる減衰トルクを発生するということである。この場合、基板への翼部の当たりかたに応じてトーションウェブに種々のトルクが作用する。このため、互いに反対方向の加速度は同じ大きさであっても異なる大きさのセンサ信号を生じさせてしまう。異なるセンサ信号が生じると振動が引き起こされ、測定結果に誤りが生じる。
発明の開示
本発明の基礎とする課題は、反対方向で同じ大きさの2つの加速度値をきちんと同じ大きさに表すことのできるセンサを提供することである。
この課題は、本発明の請求項1の特徴を有する加速度センサにより解決される。本発明では、少なくとも1つのトーションウェブに対して反対方向かつ同じ大きさのねじれが同じ大きさの減衰トルクを生じさせるように震動質量体および基板が構成されている。
有利には、時間平均により振動に基づく誤差が除去される。反対方向に同じ大きさのねじれとは反対方向に同じ角度の震動質量体の偏向を引き起こすねじれのことである。
有利な1つの実施形態では、第1の翼部の下方の基板に突起部が設けられる。
基板に突起部を設けると、構造によって簡単に減衰トルクを対称化できるので有利である。
有利な別の実施形態では、突起部の上に第1の電極が設けられ、第2の翼部の下方の基板の上に第2の電極が設けられ、第1の電極は第2の電極よりも小さい面積を有する。
これにより、充分な大きさの突起部が形成され、第1の電極と第1の翼部とのあいだのキャパシタンスの変化と第2の電極と第2の翼部とのあいだのキャパシタンスの変化とが対称化されるので有利である。これは突起部の上の第1の電極が基板の上の第2の電極より小さい面積を有するからである。
有利な別の実施形態では、第1の翼部の下方および第2の翼部の下方の基板にそれぞれ1つずつ電極が設けられている。
電極を基板の両サイドに被着することにより、第1の電極と第1の翼部とのあいだのキャパシタンスの変化と第2の電極と第2の翼部とのあいだのキャパシタンスの変化とが簡単に対称化されるので有利である。
有利な別の実施形態では、第1の翼部内および第2の翼部内に複数の貫通孔が設けられ、第1の翼部の貫通孔は第2の翼部の貫通孔より大きな全面積を有する。
複数の貫通孔を設けることにより、減衰トルクおよび質量分布をプロセス技術的に間単に設定することができる。
有利な別の実施形態では、いずれか一方の翼部のうち少なくとも1つのトーションウェブに対向する端部に切欠が設けられる。
切欠を設けることにより、質量分布を構造的に簡単に制御することができる。
有利な別の実施形態では、第1の翼部内および第2の翼部内に複数の貫通孔が設けられており、第1の翼部の貫通孔は第2の翼部の貫通孔より小さな全面積を有する。
このようにすると切欠が減衰トルクに与える効果を構造的に簡単に補償することができる。
有利な別の実施形態では、第1の翼部は、少なくとも1つのトーションウェブのねじれ運動が第1の方向に制限され、第1の翼部が第1の縁の第1の点で基板に接するように構成され、第2の翼部は、少なくとも1つのトーションウェブのねじれ運動が第1の方向とは反対の第2の方向に制限され、第2の翼部が第2の縁の第2の点で基板に接するように構成されており、第1の点から少なくとも1つのトーションウェブまでの距離は第2の点から少なくとも1つのトーションウェブまでの距離に等しい。
こうして第1の当接トルクと第2の当接トルクとが等しくなる。これにより当接が起こっても2つの方向の偏向を表すセンサ信号の対称の特性曲線が得られる。
有利な別の実施形態では、少なくとも1つのトーションウェブの対向する2つの端部は震動質量体を包囲するウェブ基板に接続されている。
有利な別の実施形態では、少なくとも1つのトーションウェブは支承部材を介して基板に接続されている。
こうした構造は簡単な製造プロセスによって製造できるので有利である。
図面の簡単な説明
以下に本発明を図示の実施例に則して詳細に説明する。
図1には震動質量体の第1の実施例の平面図が示されている。図2には図1の震動質量体および基板を有する加速度センサの断面図が示されている。図3には震動質量体の第2の実施例の平面図が示されている。図4には図3の震動質量体および突起部を備えた基板を有する加速度センサの断面図が示されている。図5には基板の突起部の第1の変形例の断面図が示されている。図6には基板の突起部の第2の変形例の断面図が示されている。
本発明の実施例
図1には基板の上方に存在する震動質量体1が示されている。震動質量体1は長方形であり、第1の翼部2および第2の翼部3を有する。震動質量体1は同じ寸法の2つのトーションウェブ4を介して回転可能に支承部材14に接続されており、この支承部材14は震動質量体1の中央に配置されている。第1の翼部2は格子状パターンに配置された複数の正方形の貫通孔5を有しており、第2の翼部3は格子状パターンに配置された複数の正方形の貫通孔6を有している。第1の翼部2の第1の縁7上の所定の点からトーションウェブ4上の対向する点までの距離は第2の翼部3の第2の縁8上の所定の点からトーションウェブ4上の対向する点までの距離に等しい(この実施例では、震動質量体1は中央にトーションウェブ4を備えた長方形として形成されており、第1の縁7からトーションウェブまでの距離と第2の縁8からトーションウェブまでの距離とはいずれの点においても等しい)。2つのトーションウェブ4と翼部2,3とのあいだにはそれぞれ空隙9が設けられている。翼部2,3はそれぞれ少なくとも1つのブリッジ10を介してトーションウェブ4に接続されている。第1の翼部2のうちトーションウェブ4に対向する端部には大きな長方形の切欠11が設けられている。第2の翼部3の貫通孔6は第1の翼部2の貫通孔5よりも大きい。ここで第1の貫通孔5の数と第2の貫通孔6の数とは等しいので、第2の貫通孔6は第1の貫通孔5よりも大きな全面積を占める。第2の貫通孔6を第1の貫通孔5よりも大きくすることに代えて、別の実施例として、第2の貫通孔6の数を第1の貫通孔5の数より多くすることもできる。震動質量体1の下方の基板13内に複数の電極12が形成されている。複数の電極12の信号は、図示されていないがセンサ内にモノリシックに集積された評価回路において評価される。電極は例えば拡散技術または薄膜形成技術により被着される。
図2には、図1の震動質量体1および基板13の断面図が示されている。震動質量体1はプレート状に構成されている。トーションウェブ4は支承部材14を介して基板13に接続されている。こうした構造は、例えば、酸化層を基板13上に堆積し、当該の酸化層に切欠をエッチングし、そこにポリシリコン層を堆積することによって形成される。ポリシリコン層は震動質量体1の構造が形成されるように定められる。ここでは酸化層内の切欠に堆積されたポリシリコンが支承部材14を形成する。当該の酸化層は最終的には除去される。
支承部材14に沿って基板13から震動質量体1の方向でセンサに作用する加速度は、震動質量体1の慣性によって、第1の翼部2からトーションウェブ4へかかる第1のトルクと、第2の翼部3からトーションウェブ4へかかる第2のトルクとを発生する。質量が大きくトーションウェブ4からかなり離れた位置に質量分布の重心が位置するので、第2の翼部3からトーションウェブ4へかかる第2のトルクのほうが第1の翼部2からトーションウェブ4へかかる第1のトルクよりも大きくなる。したがって第2の翼部3は基板13へ近づく方向で回転し、第1の翼部2は基板13から離れる方向で回転する。反対方向の加速度により反対方向のねじれがトーションウェブ4および翼部2,3で生じる。震動質量体1が強く偏向されると、震動質量体1は基板13の縁7,8に当接する。縁7,8はトーションウェブ4から同じ距離にあるので、トーションウェブ4へはほぼ同じ大きさの当接トルクがかかる。トーションウェブ4へ作用するトルクは同じ大きさの2つの部分トルクへ分割されるが、双方の部分トルクが一方のトーションウェブ4へ作用する。また、全トルクが一方のトーションウェブ4のみに関連すると云ってもよい。
震動質量体1は窒素などの気体である媒体の充填されたケーシングに収容されている。震動質量体1が加速度に基づいてトーションウェブ4を中心として回転する場合、周囲媒体との摩擦によって減衰トルクが生じる。当該の減衰トルクは回転方向に応じて変化する。しかし、第2の貫通孔6が第1の貫通孔5よりも大きく形成されているので、切欠11で発生する効果は補償される。したがって、トーションウェブ4には2つの回転方向の任意のねじれにおいて同じ大きさのトルクがかかる。
図3には突起部15を備えた基板13上方の震動質量体1が示されている。突起部15は第1の翼部2の下方に形成されている。第1の翼部2と第2の翼部3との質量の相違ひいては質量分布の相違は、第1の翼部2の第1の貫通孔16と第2の翼部3の第2の貫通孔17との大きさの相違によって達成される。第1の貫通孔16の数は第2の貫通孔17の数に等しい。第1の貫通孔16は第2の貫通孔よりも大きな全面積を占める。第1の貫通孔16と第2の貫通孔17との大きさの相違から、回転方向に基づいてトーションウェブ4に作用する減衰トルクが発生する。減衰トルクへの効果を補償するために、減衰トルクと第1の翼部2の下方の突起部15との構造上の依存関係が利用される。突起部を設けることに代えてまたはこれに加えて、第2の翼部3の下方に凹部を設けてもよい。
反対方向で同じ大きさの2つの減衰トルクは、特に震動質量体に切欠および貫通孔を設けることによって、または、一方の翼部の下方の基板に突起部を設けることによって得られる。これらの手段は組み合わせることもできる。
図4には震動質量体および突起部15を備えた基板の断面図が示されている。突起部15は電極12に直接に隣接して形成される。
図5には震動質量体および別の突起部18を備えた基板の断面図が示されている。突起部18の上部に電極12が形成されている。
図6には震動質量体および図5と同様の突起部18を備えた基板13の断面図が示されている。突起部18の上部に、第1の電極12と同じ長さを有するが第1の電極12よりも幅の狭い第2の電極19が配置されている。第2の電極19の面積が小さいことにより、震動質量体1の接近によってキャパシタンスに発生する作用が補償される。したがって震動質量体1と各電極12,19とのあいだのキャパシタンスは反対方向のねじれ角度に応じて変化する。
震動質量体の第1の実施例の平面図である。 図1の震動質量体および基板を有する加速度センサの断面図である。 震動質量体の第2の実施例の平面図である。 図3の震動質量体および突起部を備えた基板を有する加速度センサの断面図である。 突起部の第1の変形例の断面図である。 突起部の第2の変形例の断面図である。

Claims (10)

  1. 震動質量体(1)と基板(13)とを備えており、前記震動質量体は少なくとも1つのトーションウェブ(4)を中心として回転可能な第1の翼部(2)および第2の翼部(3)を有しており、該2つの翼部は質量分布に基づいて前記少なくとも1つのトーションウェブに対して異なるトルクを作用させるように配置されている
    加速度センサにおいて、
    前記震動質量体(1)および前記基板(13)は前記少なくとも1つのトーションウェブ(4)に対して反対方向かつ同じ大きさのねじれが同じ大きさの減衰トルクを生じさせるように構成されている
    ことを特徴とする加速度センサ。
  2. 前記第1の翼部の下方の前記基板に突起部(15;18)が設けられている、請求項1記載の加速度センサ。
  3. 前記突起部の上に第1の電極(19)が設けられており、前記第2の翼部の下方の前記基板に第2の電極(12)が設けられており、前記第1の電極は前記第2の電極よりも小さい面積を有する、請求項2記載の加速度センサ。
  4. 前記第1の翼部の下方の前記基板および前記第2の翼部の下方の前記基板にそれぞれ1つずつ電極(12)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の加速度センサ。
  5. 前記第1の翼部内および前記第2の翼部内に複数の貫通孔(16,17)が設けられており、前記第1の翼部の貫通孔(16)は前記第2の翼部の貫通孔(17)より大きな全面積を有する、請求項2から4までのいずれか1項記載の加速度センサ。
  6. いずれか一方の前記翼部のうち前記少なくとも1つのトーションウェブに対向する端部に切欠(11)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の加速度センサ。
  7. 前記第1の翼部内および前記第2の翼部内に複数の貫通孔(5,6)が設けられており、前記第1の翼部の貫通孔(5)は前記第2の翼部の貫通孔(6)より小さな全面積を有する、請求項6記載の加速度センサ。
  8. 前記第1の翼部は、前記少なくとも1つのトーションウェブのねじれ運動が第1の方向に制限され、該第1の翼部が第1の縁(7)の第1の点で前記基板に接するように構成されており、前記第2の翼部は、前記少なくとも1つのトーションウェブのねじれ運動が前記第1の方向とは反対の第2の方向に制限され、該第2の翼部が第2の縁(8)の第2の点で前記基板に接するように構成されており、該第1の点から前記少なくとも1つのトーションウェブまでの距離は該第2の点から前記少なくとも1つのトーションウェブまでの距離に等しい、請求項1から7までのいずれか1項記載の加速度センサ。
  9. 前記少なくとも1つのトーションウェブの対向する2つの端部は前記震動質量体を包囲するウェブ基板に接続されている、請求項1記載の加速度センサ。
  10. 前記少なくとも1つのトーションウェブは支承部材(14)を介して前記基板(13)に接続されている、請求項1記載の加速度センサ。
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