JP2009528580A - スライドをディジタル撮影する方法及びそのための自動ディジタル画像記録システム - Google Patents
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Abstract
本発明に係るスライド(6)ディジタル撮影用の自動ディジタル画像記録システム(1)は、スライド保持手段(7,17)、スライド保持手段駆動機構、第1ディジタル画像記録手段、高倍率の第2ディジタル画像記録手段、並びにソフトウェア的に制御して画像を自動撮影させる制御ユニット(4)を備える。本システム(1)によりディジタル撮影されるスライド(6)には、標本が配置された1個又は複数個の領域と、情報フィールドを有する少なくとも1個の独立した領域とがある。第1ディジタル画像記録手段は、当該独立した領域から情報フィールドを読み取る手段、並びに標本が配置された領域それぞれの低解像度プリビュー画像を撮影するディジタルプリビューカメラ(2)を有する。制御ユニットは、探索ルーチンを実行して低解像度プリビュー画像から標本に属する点を探す。
Description
本発明は、スライド保持手段、スライド保持手段駆動機構、第1ディジタル画像記録手段、高倍率の第2ディジタル画像記録手段、並びにソフトウェア的に制御して画像を自動撮影させる制御ユニットを備える自動ディジタル画像記録システムに関し、またそのシステムを用いスライドをディジタル撮影(ディジタイズ)する方法に関する。
組織生検の評価は医療診断の分野で非常に重視されている。組織学的評価の場合、まず患者から採取した組織片をスライスして極薄切片にし、その切片をガラス基板に載せて染色することにより標本付きスライドを作成し、そしてそのスライドを顕微鏡で調べる。
この評価の効率を格段に高めるには、スライドを自動撮影型顕微鏡でディジタル撮影し、得られた画像を画像管理ルーチンで評価するようにすればよい。ただ、今日使用されているディジタル顕微鏡の多くは、1枚のスライドを複数フレームに分けて撮影する構成である。フレームとは対物系の視野でいちどきに捉えうる範囲又はその画像のことである。更に、各フレームの撮影には、顕微鏡制御用コンピュータからの指令に従いスライドをステージ上で位置決めし、その上の標本上に対物系を合焦させる、といった動作を実行させねばならない。従って、複数枚のスライドをディジタル撮影するのに非常に多段階に亘る動作が必要になる。
そのため、多数のスライドをディジタル撮影するならスライド1枚当たり動作所要時間が短い方がよい。この時間を左右する主立ったファクタとしては、撮影対象フレーム数(視野切換回数)、ステージ始動・移動・停止所要時間、フレーム別合焦動作所要時間、並びにディジタル撮影それ自体の実行所要時間があるが、なかでも注目すべきは撮像対象フレーム数である。これを減らせば他のファクタ(時間)も自然に短縮方向に向かう。そこで、本発明では、高倍率撮影フレーム数を減らすことを目的とする。
なお、特許文献1は、2個の対物系即ち低倍率対物系及び高倍率対物系を備える顕微鏡に関する文献である。この文献に記載の技術では、まず、低倍率対物系を用い複数フレームに亘りディジタル撮影を行い、得られたフレーム画像を継ぎ合わせて画面に表示させる。ユーザ例えば検査担当病理学者が自分の関心領域を指定すると、その領域を今度は高倍率対物系で再びディジタル撮影し、複数フレーム分の画像を継ぎ合わせて画面に表示させることで、スライド上のその領域の画像をそのユーザに提示する。従って、高倍率撮影フレーム個数を減らせるといってもそれはマニュアル指定時だけであるので、多数のスライドを高倍率で高速自動撮影したいという課題を解決することはできない。更に、顕微鏡に2個の対物系を設けるのでは装置コストがかなり嵩んでしまう。
特許文献2は、発明者の知る限り本発明に最も近い従来技術に関する文献である。この文献に記載の技術は、スライド全体をプリビューカメラで一遍にディジタル撮影し、得られたプリビュー画像をコンピュータ処理して各画素の特性値例えば輝度を求め、その結果に基づきスライド上での標本位置を判別し、そしてその標本位置に対応するフレーム群だけを高倍率顕微鏡で再撮影する、という技術であるので、スライド上にある標本以外のデータ源即ち標本外情報要素をうまく撮影及び処理することができない。即ち、簡単な画素判別では、標本外情報要素が標本内画素群であるかのように扱われ、無駄に高倍率撮像されてしまうことがある。標本と標本外情報要素を弁別するにしても複雑なルーチンの追加が必要になる。例えば、スライド上に銘やバーコードがあると、単純な輝度判別ではそれらも高倍率再撮影対象エリアに分類されてしまう。それを避けるには、高倍率顕微鏡で再撮影すべきフレームを標本の典型的な配置及び形態をも勘案して選定する高度なエキスパートシステムを、適用すればよい。しかし、そうした複雑な中間解析を行うにはかなりの計算能力が求められるし、画像が得られるまでの時間も長くなる。
標本外情報要素とは、例えば組織標本付きスライド上に記され組織標本の評価に慣用されている補助データのことであり、標本同士の識別等に役立てることができる。通常、標本外情報要素はスライド端部近傍にある標本不存在領域、例えばスライド一端の余白に記される。標本外情報要素は手書きで記してもよいが、手書きだと評価対象標本数が多い場合に非常に不便であるので、できればバーコードにしたいものである。
ここに、高倍率対物系で撮影すべきフレーム数を抑えてスライド1枚当たりディジタル撮影動作所要時間を短縮すると共に、前掲の諸問題を解消するため、本発明の自動ディジタル画像記録システムでは、標本が配置された1個又は複数個の領域と、情報フィールドを有する少なくとも1個の独立した領域と、を有するスライドをディジタル撮影する。第1ディジタル画像記録手段は、上掲の独立した領域から情報フィールドを読み取る手段と、標本が配置された領域それぞれのプリビュー画像を撮影するプリビューカメラとを有する。制御ユニットは、プリビュー画像から標本に属する画素を探すルーチンを実行する。
請求項2〜9に記載したのはこのディジタル画像記録システムの好適な実施形態である。
また、本発明の方法は、
(a)標本が配置された1個又は複数個の領域と、情報フィールドを有する少なくとも1個の独立した領域と、を有するスライドを、スライド保持手段に入れるステップと、
(b)プリビューカメラを備える第1ディジタル画像記録手段までスライド保持手段駆動機構によってスライドを動かすステップと、
(c)第1ディジタル画像記録手段によって上掲の独立した領域から情報フィールドを読み取る一方標本が配置された領域それぞれをプリビューカメラによって撮影してプリビュー画像を得るステップと、
(d)1枚又は複数枚のプリビュー画像から標本に属する画素を検知するステップと、
(e)第2ディジタル画像記録手段までスライド保持手段駆動機構によってスライドを動かし検知済画素に対応するフレーム全てをディジタル撮影して高倍率画像を得るステップと、
を有する。
(a)標本が配置された1個又は複数個の領域と、情報フィールドを有する少なくとも1個の独立した領域と、を有するスライドを、スライド保持手段に入れるステップと、
(b)プリビューカメラを備える第1ディジタル画像記録手段までスライド保持手段駆動機構によってスライドを動かすステップと、
(c)第1ディジタル画像記録手段によって上掲の独立した領域から情報フィールドを読み取る一方標本が配置された領域それぞれをプリビューカメラによって撮影してプリビュー画像を得るステップと、
(d)1枚又は複数枚のプリビュー画像から標本に属する画素を検知するステップと、
(e)第2ディジタル画像記録手段までスライド保持手段駆動機構によってスライドを動かし検知済画素に対応するフレーム全てをディジタル撮影して高倍率画像を得るステップと、
を有する。
請求項11〜22に記載したのはこの方法の好適な実施形態である。
以下、別紙図面を参照しつつ本発明の各種実施形態に関しより詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録システム1を説明するための平面図である。本システム1に設けられている二種類のディジタル画像記録手段のうち、第1ディジタル画像記録手段は視野Eを有するプリビューカメラ2を有している。このカメラ2は低解像度でもかまわない。他方の第2ディジタル画像記録手段は、高解像度高倍率の顕微対物系3と、その対物系3により自身に投映される像を捉え制御ユニット例えばコンピュータ4に画像を送るCCDカメラ5とを有している。ディジタル撮影に伴う情報損失を避けるには、カメラ5の解像度を対物系3の解像度以上にするとよい。第1ディジタル画像記録手段により撮影されるエリアのサイズは視野E相当サイズ、第2ディジタル画像記録手段により撮影されるエリアのサイズは視野M相当サイズである。後述の通り、それらのエリアのディジタル撮影は同一の撮像ステップで実行できる。
プリビューカメラ2と対物系3の間にあるスライド6は例えば生体乃至組織標本が配置された顕微スライドであり、スライド変位機構によって動かせるようスライド保持フレーム7内に配置されている。その機構の詳細については例えば国際出願第PCT/IB2005/050351号に記載があるので説明しない。また、フレーム7は既知のタイプの懸架機構を介しステージ17に連結されており、そのステージ17にはスクリューバー(ねじ山付きのバー)9が螺入されており、更にそのバー9はレール10沿いにx軸方向に延びている。従って、ステッピングモータ8を用いバー9を駆動することで、ステージ17や懸架機構を介しそのステージ17に連結されているフレーム7及びスライド6を、x軸方向に送ることができる。同様に、レール10にはスクリューバー13が螺入されており、そのバー13はレール12沿いにz軸方向に延びているので、ステッピングモータ11を用いバー13を駆動することによってレール10をz軸方向に動かすことができる。従って、フレーム7及びスライド6はx軸方向にもz軸方向にも動かすことができる。モータ8,11の制御は制御ユニット例えばコンピュータ4で同等に実行できる。
x軸及びz軸により画定される平面は例えば水平面にする。この実施形態は、スライド保持フレーム7上にスライド6を載せて使用するのに都合がよい。また、z軸を鉛直方向に向けることもできる。その実施形態は、スライド6の下辺をフレーム7の下縁に揃えるのに都合がよい。医療診断の分野で多用されている長方形スライドならば、スライド6の長辺を水平にするとよい。このように、x軸及びz軸により画定される平面は水平面に対しどのような向きにすることもできる。
x軸レール10の一端に連結されているスライド供給手段14は、スライド保持フレーム7にスライド6を自動ロードし又はそのフレーム7からスライド6を自動アンロードする。この手段14については例えば特許文献3を参照されたい。
画像撮影に必要な照明光は光源15及び16にて発生させることができる。光源15はスライド表面を向くようプリビューカメラ2の近傍に、光源16はスライド6を挟むよう対物系3と差し向かいに、それぞれ配置されており、いずれもコンピュータ4の制御下で動作している。また、ここでは透過照明下顕微観察を実行しているが、スライド6の照明形態は顕微観察形態によって変わり得、光源15,16又はその双方を省略できる場合もある。
図2に、スライド保持フレーム7及びその中に入っている長方形のスライド6を示す。このフレーム7は、x軸レール10上のステージ17に対し既知の懸架形態、例えば国際出願第PCT/IB2005/050351号に記載のパラレルリンケージを用いて連結されている。スライド6はその縁を利用してフレーム7に固定されており、バックプレートは使用されていないので、高倍率対物系3を介した透過照明でスライド6を調べることができる。そのスライド6を捉えるプリビューカメラ2は旧来のウェブカメラ、例えばその解像度が640画素×480画素の市販品である。本実施形態では、スライド6の外形寸法を1インチ×3インチ(約25.4mm×76.2mm)とし、そのうち少なくとも1インチ×3/4インチ(約25.4mm×19.05mm)の範囲が視野Eに収まるようカメラ2を配置してあるので、図中破線で示した4個の領域18,19,20,21に分けてスライド6を撮影し全体像を捉えることができる。その際、視野Eに収まる範囲を若干広めにすれば、隙間ができないよう領域18,19,20,21の画像の縁を重ねることができる。コンピュータ4によりステッピングモータ8,11を駆動しステージ17の変位量をμm単位の精度で制御すること、即ちカメラ2の解像度より高精細に制御することができる場合は、相隣接する領域18,19,20,21の画像を適当なソフトウェア的手段で隣接配置するだけで隙間がなくなるので、領域画像の縁を重ねる必要はない。
画像の縁を重ね合わせる場合、プリビューカメラ2の視野Eの面積の4倍が領域18,19,20,21の合計面積より大きくなるので、視野E内画像のうちスライド6からはみ出る部分をトリミングするのが望ましい。関連技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)には自明な通り、適当なソフトウェア的手段があればこのトリミング処理は容易に実現できる。
1個目の領域18はそのスライド6についての情報フィールドである。このフィールドには、そのスライド6上にある標本22を識別するためのデータ乃至情報要素や、その他の様々な注釈情報を担持させうる。情報フィールドに付しうるのは、銘23、バーコード24、その任意の組合せ等のようにスライド6に付しうる可視情報要素である。銘23は文字でも数字でもその組合せでもよい。銘23は手書きでも印刷でもよい。
情報フィールドはその処理手法が異なるので、情報フィールドを有する領域18の画像と標本22が配置されている領域19,20,21の画像は互いに別様に扱うのが望ましい。例えば情報フィールド内に銘23がある場合は、コンピュータ4に実装した光学的文字認識機能例えば手書き文字認識ルーチンによってその銘23を文字(列)として認識し、その認識の結果をテキストファイル化してスライド6の高倍率画像ファイルに添付・保存するか、或いはその画像ファイルのファイル名に含めるとよい。また、バーコード24がある場合は、コンピュータ4に実装したバーコード認識/読取ルーチンを使用してそのバーコード24を解読し、得られた(文字)情報をスライド6の高倍率画像ファイルと共に保存するとよい。後者即ちバーコード24を使用する例の利点は、手書き文字よりも多くの情報を情報フィールドに託せる点にある。しかも、非常に安価なウェブカメラ及びバーコード認識/読取ルーチンで読み取ることができ、本格的なバーコード認識/読取装置をシステム1に組み込む必要がない。また、領域19,20,21内標本22の撮影をプリビューカメラ2でこなす一方、領域18内情報フィールドをバーコードリーダで読み取って処理する形態や、手書き文字を含む情報フィールドをカメラ2でディジタル撮影し、撮影結果をそのまま画像ファイル化して保存し、ユーザが求めた場合にその画像を提示してユーザが可視情報要素を自分で読み取り解釈する形態でも、実施することができる。
図1及び図2に示した実施形態に係る画像記録システム1は例えば次の手順で稼働させる。
この手順では、まず、ディジタル撮影したいスライド6を何枚かスライド供給手段14に入れる。この手段14は、そのスライド6を1枚ずつ、ロボットアーム等で送り出してスライド保持フレーム7にロードする。スライド6をフレーム7に送り込めるよう孔が設けられている場合は、手段14を介さずオペレータの操作で、本システム1内にスライド6をロードすることもできる。スライド6がフレーム7に入ったら、以下の動作をコンピュータ4による制御の下に実行する。即ち、x軸レール10沿いにステッピングモータ8でフレーム7を動かし、1個目の領域18がその視野Eに収まるようプリビューカメラ2の面前に持ってきて、その領域18をディジタル撮影する。次いで、モータ8によりレール10沿いにフレーム7をスライドさせ、2個目の領域19がカメラ2の視野Eに収まるようにしてからその領域19を撮影してプリビュー画像を取得する。同じ要領で最後の領域21まで撮影を繰り返してプリビュー画像を得る。
1個目の領域18の画像は、情報フィールド内にある情報の性質に応じた手法(上掲のいずれか)で処理して保存する。保存先はコンピュータ4の内部でもよいし、そのコンピュータ4にネットワーク等を経由し接続されている適当なデータ保存手段内でもよい。領域18の画像を処理している間に他の領域19,20,21を撮影してプリビュー画像を得ることもできる。また、画像記録システム1及びスライド供給手段14は、情報フィールドを有する領域18が最初に撮影されるようにも、逆に最後に撮影されるようにも、構成することができる。前者では、まず領域21、次に領域20、更に領域19、そして領域18、という順でプリビューカメラ2に達するよう、x軸レール10沿いにカメラ2の面前でスライド6を動かし、領域21,20,19,18の順でディジタル撮影して(プリビュー)画像を記録する。後者では、まず領域18、次いで領域19,20,21という順に遡行して、カメラ2の面前まで動かしディジタル撮影を行う。更に、懸案の領域が情報フィールド付き領域18かそれとも標本22付き領域19,20,21かを判別する画像認識ルーチンをコンピュータ4に搭載しておき、その判別の結果に応じその領域の画像を処理するようにしてもよい。
領域19,20,21のディジタル撮影で得られたプリビュー画像はソフトウェア処理される。この処理では標本22の位置を求める。即ち、ディジタル撮影されたスライド6上の標本配置領域19,20,21から標本22に属する画素を探し出し、ステッピングモータ8,11により規定される基準座標系に従いステージ17に対するそれらの画素の空間座標値を求める。それら、標本22に属する画素群に対しては、第2ディジタル画像記録手段即ちディジタル顕微鏡で撮影される一群のフレームMを割り当てる。それらのフレームMは好ましくはその縁を互いに重ね合わせておく。この後は、設定した一群のフレームM、即ちそれぞれ標本22の一部を捉えているフレームMを、高解像度ディジタル撮影する。
なお、プリビュー画像内のどの画素が標本22に属する画素か否かを判別し、高解像度高倍率ディジタル撮影に使用されるフレームMのうちどのフレームMで標本22の各部を捉えるのかを決める際には、画像認識及び画像処理の分野で既知の様々な手順を使用することができる。最も単純な手順は各画素の輝度を調べる手順である。例えば、その輝度が所定のしきい値を上回っている画素を標本22に属する画素と判別し、その画素を捉えるフレームMを決めればよい。
また、標本を捉えるフレームMを決めたら、そのフレームMを高倍率ディジタル顕微鏡で撮影できるよう、そのフレームMに対応するx,y座標値を算出してその結果に基づきステージ17を動かすようにする。
それに続く高解像度高倍率ディジタル撮影は、例えばその倍率が20倍の顕微対物系3及びその解像度が1024画素×768画素のCCDカメラ5を備える第2ディジタル画像記録手段を用いて行う。スライド6上の約0.23μm×0.23μmのエリアを対物系3によって20倍に拡大しCCDカメラ5で捉えたものが、その第2ディジタル画像記録手段で捉えた画像の1画素に相当するのなら、1回のディジタル撮影で捉えうる範囲はスライド6上で約235μm×176μmの広さを占める。第2ディジタル画像記録手段の視野即ちフレームMとはこの範囲のことである。なお、顕微対物系の倍率は5倍あれば足り、その倍率でも実用に十分な品質の画像をディジタル撮影で得ることができる。
フレームMをディジタル撮影したら、次のフレームMに移って標本22の別の部分をディジタル撮影する前に、その画像をコンピュータ4にダウンロードする必要がある。画像サイズ及び回線接続品質にもよるがこのダウンロードには例えば約65msの時間がかかる。これはスライド6を次の位置に動かすのに必要な時間より長いので、撮影を終えてから直ちにステージ17を動かし始めれば、その画像のダウンロードが済む前にそのスライド6を新たな撮影位置にセットすることができる。説明の便宜上、以下の説明では、ディジタル撮影により得られる画像の類には接尾語“画像”を付すこととする。例えばフレーム画像M、標本画像22、スライド画像6といった用い方をする。
こうした高解像度高倍率撮影と並行して、或いはプリビュー画像に基づき決めたフレームM全てについてこの高解像度高倍率撮影を終えた時点で、撮影により得られた一群のフレーム画像Mを継ぎ合わせて標本画像22込みのスライド画像6を生成する。継ぎ合わせる際には、各フレーム画像Mの縁同士を接触させるだけでもよいし、部分的に重ね合わせるようにしてもよい。スライド画像6を生成したら例えばその画像6のファイルを保存する。或いは、個々のフレーム画像Mのファイルに、フレーム画像M同士の位置関係(接触関係、フレーム間重複幅、移動幅等)を示す情報を付して保存するようにしてもよい。その場合、スライド画像6を表示させる際には、保存されている位置関係情報に従いフレーム画像M同士の関係を整えて表示させる。また、隣同士のフレーム画像Mを所定個数ずつ継ぎ合わせて小画像を生成し、各小画像のファイルと小画像間位置関係情報のファイルを保存する、といった中間的形態で保存してもよい。そして、保存するのはフレーム画像Mのファイルだけにし、表示する段階で適当なディジタルスライド表示/操作ルーチンにより継ぎ合わせるようにしてもよい。
スライド6の高解像度高倍率撮影が済んだら、ステッピングモータ8,11を稼働させてスライド保持フレーム7をスライド供給手段14に戻し、撮影が済んだスライド6をロボットアームにより別のスライド6と交換してそのスライド6の撮影に進む。スライド供給手段14を使用せず、スライド6の交換を他の手段で又は手動で行うようにしてもよい。
また、コンピュータ4がローカルネットワークやインターネットに接続されている場合、保存、表示等の動作をコンピュータ4以外で実行させることができる。況や、コンピュータ4で画像記録システム1を制御する必要や、コンピュータ4と画像記録システム1とを同じ場所に配置する必要すらない。画像記録システム1の制御はネットワーク経由で行える。
図3は、本発明の他の実施形態に係る画像記録システムを説明するための平面図である。この実施形態が先に説明した実施形態に対して相違する点は、第1ディジタル画像記録手段が二種類の要素を備えていること、即ちプリビューカメラ2及びバーコードリーダ25を備えていることである。これらカメラ2及びリーダ25はレール10沿いに並べて配置するのが望ましい。また、バーコード24は、x軸沿いに通過中のスライド6からリーダ25で読み取れるような向き、即ち図2に示したような向きで、情報フィールド内即ち1個目の領域18内に設けるのが望ましい。また、スライド6をy軸沿いに平行移動させてバーコード24をリーダ25の面前に持ち込んでもよい。
後者の場合、スライド6上の標本22付き領域26を1個のフレームで撮影するようプリビューカメラ2を配置乃至構成してもよいし、前記同様スライド6を複数の標本配置領域19,20,21等に分割してもよい。
バーコード24の読取及びプリビュー画像の撮影が済んだ後の動作は、先に説明した実施形態のそれと同じ動作である。
以上、本発明の実施形態について説明したがこれは例示に過ぎない。いわゆる当業者ならば、明らかに、別紙特許請求の範囲により規定される保護範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に種々の変形を施すことができよう。
Claims (22)
- スライド保持手段(7,17)と、スライド保持手段駆動機構と、第1ディジタル画像記録手段と、高倍率の第2ディジタル画像記録手段と、ソフトウェア的に制御して画像を自動撮影させる制御ユニット(4)と、を備え、スライド(6)のディジタル撮影に使用される自動ディジタル画像記録システム(1)であって、本システム(1)によりディジタル撮影されるスライド(6)に、標本(22)が配置された1個又は複数個の領域(26;19,20,21)と、情報フィールドを有する少なくとも1個の独立した領域(18)とがあり、上記第1ディジタル画像記録手段が、上記独立した領域(18)から情報フィールドを読み取る手段と、標本(22)が配置された領域(26;19,20,21)それぞれを撮影してプリビュー画像を得るプリビューカメラ(2)とを有し、上記制御ユニットが、プリビュー画像から標本(22)に属する画素を探すルーチンを実行することを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- 請求項1記載の自動ディジタル画像記録システムであって、標本(22)が配置される領域が1個(26)であり、プリビューカメラ(2)で得られるプリビュー画像がその領域(26)の画像1枚であることを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- 請求項1記載の自動ディジタル画像記録システムであって、銘(23)、バーコード(24)若しくはその他の可視情報要素又はその任意の組合せを有する情報フィールドを、各可視情報要素の画像をプリビューカメラ(2)でディジタル撮影することによって読み取り、標本(22)が配置された領域(26;19,20,21)のプリビュー画像をその読取結果と照合し、制御ユニットではそれらの画像を照合結果に応じた形態で処理することを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- 請求項3記載の自動ディジタル画像記録システムであって、その制御ユニットが、光学的文字認識ルーチン、バーコード解読ルーチン又はその双方を実行して情報フィールドを読み取ることを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- 請求項1記載の自動ディジタル画像記録システムであって、情報フィールド内にバーコード(24)があり、第1ディジタル画像記録手段がプリビューカメラ(2)に加えバーコードリーダ(25)を有し、そのバーコードリーダ(25)でバーコード(24)を読み取ることを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- 請求項1乃至5のいずれか一項記載の自動ディジタル画像記録システムであって、撮影すべきスライド(6)を制御ユニットからの指令に応じ本システム(1)に自動ロードし又は本システム(1)から自動アンロードするスライド供給手段(14)に、連結されることを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- 請求項1乃至6のいずれか一項記載の自動ディジタル画像記録システムであって、第1ディジタル画像記録手段のプリビューカメラが640画素×480画素ウェブカメラ等の低解像度カメラであることを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- 請求項1乃至7のいずれか一項記載の自動ディジタル画像記録システムであって、高倍率の第2ディジタル画像記録手段が、顕微対物系(3)と、その顕微対物系(3)を介し自身に投映される像をディジタル撮影するディジタル撮影ユニット例えばCCDカメラ(5)と、を有することを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- 請求項1乃至8のいずれか一項記載の自動ディジタル画像記録システムであって、そのスライド保持手段駆動機構が、互いに直交する複数本のレール(10,12)と、それぞれ対応するレール(10,12)に沿って延設された複数本のスクリューバー(9,13)と、それぞれ対応するスクリューバー(9,13)を駆動する複数個のステッピングモータ(8,11)と、スクリューバー(9,13)をスライド保持フレーム(7)に連結する部材と、を有し、スライド保持フレーム(7)を例えば上記複数本のレール(10,12)によって画定される平面に対し直交する方向に変位しうるよう懸架することを特徴とする自動ディジタル画像記録システム。
- スライド保持手段(7,17)と、スライド保持手段駆動機構と、第1ディジタル画像記録手段と、高倍率の第2ディジタル画像記録手段と、ソフトウェア的に制御して画像を自動撮影させる制御ユニット(4)と、を備えるディジタル画像記録システム(1)によりスライド(6)を自動ディジタル撮影する方法であって、
(a)標本(22)が配置された1個又は複数個の領域(26;19,20,21)と、情報フィールドを有する少なくとも1個の独立した領域(18)と、を有するスライド(6)を、スライド保持手段(7,17)に入れるステップと、
(b)プリビューカメラを備える第1ディジタル画像記録手段までスライド保持手段駆動機構によってスライド(6)を動かすステップと、
(c)第1ディジタル画像記録手段によって上記独立した領域(18)から情報フィールドを読み取る一方標本が配置された領域(26;19,20,21)それぞれをプリビューカメラ(2)によって撮影しプリビュー画像を得るステップと、
(d)1枚又は複数枚のプリビュー画像から標本(22)に属する画素を検知するステップと、
(e)第2ディジタル画像記録手段までスライド保持手段駆動機構によってスライド(6)を動かし検知済画素に対応するフレーム(M)全てをディジタル撮影して高倍率画像を得るステップと、
を有することを特徴とする方法。 - 請求項10記載の方法であって、ステップ(a)〜(e)を制御ユニット例えばコンピュータ(4)の制御下で実行することを特徴とする方法。
- 請求項10又は11記載の方法であって、得られた複数枚の高倍率画像をその縁を接触させ又は重ね合わせて表示することを特徴とする方法。
- 請求項10乃至12のいずれか一項記載の方法であって、銘(23)、バーコード(24)若しくはその他の可視情報要素又はその任意の組合せを有する情報フィールドを、プリビューカメラ(2)による各可視情報要素のディジタル撮影で読み取り、標本(22)が配置された領域(26;19,20,21)のプリビュー画像をその読取結果と照合し、制御ユニットではそれらの画像を照合結果に応じた形態で処理することを特徴とする方法。
- 請求項13記載の方法であって、情報フィールドの画像の処理、表示又はその双方を、光学的文字認識ルーチン、バーコード解読ルーチン又はその双方によって行うことを特徴とする方法。
- 請求項10乃至12のいずれか一項記載の方法であって、情報フィールド内にバーコード(24)があり、第1ディジタル画像記録手段がバーコードリーダ(25)を有し、そのバーコードリーダ(25)でバーコード(24)を読み取ることを特徴とする方法。
- 請求項10乃至15のいずれか一項記載の方法であって、プリビューカメラが640画素×480画素ウェブカメラ等の低解像度ディジタルカメラであることを特徴とする方法。
- 請求項10乃至16のいずれか一項記載の方法であって、そのステップ(a)にて、スライド(6)を自動ロード又はアンロードするスライド供給手段(14)を用いスライド(6)をスライド保持フレーム(7)に入れることを特徴とする方法。
- 請求項10乃至17のいずれか一項記載の方法であって、そのステップ(c)にて、スライド(6)の各領域(26;18,19,20,21)をプリビューカメラ(2)で撮影し、得られたプリビュー画像に基づき、標本(22)を含む領域(26;19,20,21)及び情報フィールドを含む領域を判別することを特徴とする方法。
- 請求項18記載の方法であって、その情報フィールドをバーコードリーダ(25)で読み取ることを特徴とする方法。
- 請求項18記載の方法であって、プリビューカメラで得られたプリビュー画像から情報フィールドを読み取ることを特徴とする方法。
- 請求項18記載の方法であって、情報フィールドを読み取れるようそのフレームのプリビュー画像をユーザ向けに表示させることを特徴とする方法。
- 請求項10乃至21のいずれか一項記載の方法であって、制御ユニットからの信号に従いスライド供給手段(14)からスライド保持手段(7,17)へと順次スライド(6)を送り込むことにより、複数枚のスライド(6)を順次処理することを特徴とする方法。
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