JP2009524785A - ピン軌道を有するウォームギア組立体 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1本の溝(280a)を有するウォームねじ(280)と、周囲に沿ってウォームねじを係止する複数個の回転自在ピン(75a)を有するホイール(275)とを含むウォームギア組立体である。ピンはホイール回転方向以外の方向に回転可能である。組立体の動作中にウォームねじと係合していないピンと接触する少なくとも1本の軌道(265)が設けられている。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年1月26日に出願され、参照によって開示内容が本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/340,920号の出願日の恩典を主張する。
[発明の分野]
本発明は、ウォームギア組立体、より詳細には、ウォームねじがホイールの周囲でピンによって係止されているウォームギア組立体に関する。
ギアシステムの設計における重要な検討事項はギア構成部品間の摩擦の最小化である。ギア構成要素間の摩擦を最小化することにより、ギアシステムの効率が高められる。例えば、動力の伝達のため使用されるギアシステムにおいて、システム内の摩擦に起因する伝達損失は、システム内の摩擦が削減されるときに削減される。さらに、ギア構成部品間の摩擦を最小化することにより、ギアシステムの寿命が増加される。すなわち、ギアシステム中の構成部品間の摩擦を削減することにより、構成部品の摩擦損耗の割合が低減され、それによって、システムが機能しなくなるまでに動作し得る期間が増大される。
従来技術の一般的なギアシステムは、円形本体を有する2個以上のギアを含む。各ギアはそれぞれの円形本体の周囲に沿って複数個の「歯」を含む。2個のギアの歯は、力が一方のギアからもう一方のギアへ噛合している歯を介して伝達され得るように互いに噛合する。従って、ギアに回転を生じさせるトルクが一方のギアに加えられるならば、このギアの歯はもう一方のギアの歯に力を加え、もう一方のギアを回転させる。1組ずつの歯の互いに対する滑りはギアシステムの摩擦の原因である。
設計者がギアシステムの構成部品間の摩擦を削減してきた一つの方法は、ギア歯の代わりに回転自在ピンを用いることである。図1は、歯の代わりに回転自在ピンが使用されている従来のギアシステムの等角図である。図から分かるように、複数の回転自在ピン5がホイール10の周囲に沿って位置付けられ、ウォームねじ15を係止する。ピンは、ホイールの円周に沿って単一の「列」で配置されている。ウァームねじは砂時計の形状を有し、螺旋状溝20がウァームねじの表面に切り込まれている。ピンは螺旋状溝の中を動くことによりウァームねじを係止する。
図1のギアシステムは、典型的に、ドライブシャフト25からアクセル30へ動力を伝達するために使用される。より詳細には、トルクが矢印35によって示されている向きでシャフト25に加えられると、溝は、溝が係止しているピンに力を加え、ホイールを矢印40によって示されている方向に回転させる。ベアリング45aおよび45bはホイールが回転することを可能にさせる間にホイールを支持する。
ピン5が溝の中で回転するとき、ピンはベアリング50によってピンの縦軸の周りに自由に回転できる。例えば、ピン7が溝を動くとき、ピンは矢印35によって示されている方向に回転する。ピンは、ピンの縦軸の周りに自由に回転できるので、ピンと溝の壁との間の摩擦は低減される。すなわち、ピンはピンの縦軸の周りに回転可能であるので、ピンは溝の壁の周りで回転可能である。それに反して、ピンがピンの縦軸の周りに回転不可能であるならば、ピンは溝の壁に対して滑動しなければならない。
図1のギアシステムは固定したピンの代わりに回転自在ピンを用いる利点を実現しているが、いくつかの欠点がある。図1のシステムに付随した問題のうちの3つは、「ピンスリップ」、「スキッドスターティング」および「ホイールミスアライメント」と称される。
「ピンスリップ」の問題はホイール10が回転している間にピン5に作用する遠心力によって引き起こされる。図2は図1のギアシステムの要素のうちの一部の側面図である。特に、図2は、ピン5、ベアリング50、およびウォームねじ15を示している。螺旋状溝20、ドライブシャフト25、および複数個の内部ベアリング60もまた示されている。内部ベアリングはホイール10の内部にあり、ピンの支持に役立つ。
図2から分かるように、矢印65によって示された方向へのウォームねじの回転は、矢印70によって示された回転方向へのピン5の運動を引き起こす。このような運動は、矢印75によって示されている遠心力をピンに生じさせる。遠心力はホイールの中心から半径方向外方へピンを押し進め、ピンが外向きの半径方向運動に対して保護されていないならば、力がピンを半径方向外方へ移動させる。遠心力に起因するピンの半径方向外方への運動が「ピンスリップ」と呼ばれる。
図3Aはピンスリップの影響を示している。同図は、ウォームねじの螺旋状溝に滑り込まされるピンを示している。図3Aから分かるように、ピンは螺旋状溝20へ滑らかに入らない。実際には、ピンが溝に入る位置へ動くとき、ピンは溝の底面に突き当たることがある。ピンが溝の中に激しく入り、その結果として、残りのピンが溝の中を乱暴に移動すると、ギアシステムの効率が低下し、損耗および引裂の割合が増加する。
図3Bは図3Aの比較対象として記載されている。図3Bは、滑り込まれていないピンがウォームねじの螺旋状溝に入る状態を示している。
「スキッドスターティング」の問題は図1を参照して説明されている。スキッドスターティングは矢印55によって示されている回転の始動に関係している。より詳細には、ピン7が螺旋状溝20から出るときに、ピンの縦軸の周りのピンの回転を維持する力がピンに働かないので、ピンが螺旋状溝内に存在しない間にピンの回転が減少するか、または、停止する。従って、ピンがホイール10の中心の周りを回り、再び溝20に入るときに、溝がピンの縦軸の周りにトルクを加える。このトルクは溝の壁によってピンに加えられる(例えば、図3Bを参照のこと)。溝壁とピンとの間のトルクの始動は、ピンを溝の中で転がすのではなく、横滑りさせるので、結果として、システムの動作に粗さを生じ、効率を低下させ、寿命を減少させる。
「ホイールミスアライメント」の問題は図1を参照して説明される。図1を参照すると、矢印35の方向のウォームねじの回転は矢印80によって示された方向でピン5に力を加える。より詳細には、方向35へのウォームねじの回転中に、溝20によってピン5に加えられた力は、矢印40によって示された方向に動くようにピンを押し進める第1の成分、および矢印80の方向に動くようにピンを押し進める第2の成分の2つの成分を含むと説明することができる。両方の力成分はホイール10に伝達され、第1の成分は方向40に回転するようにホイールを押し進め、第2の成分は方向80に動くようにホイールの上端を押し進める。方向80へのホイールのあらゆる運動はホイールミスアライメントの原因である。すなわち、方向80へのホイールのあらゆる回転は、ウォームねじと相対的なピンの経路を変更する。経路の変更は、ピンの意図された経路からピンを外し、動作の粗さおよび/または効率の悪さをもたらす。
図1において、典型的に、矢印80の方向に動くようにホイールの上端を押し進めるため、矢印80に関連付けられた力がホイールの上端に力を加えることに注意することが重要である。しかし、ホイールの中心軸が固定されているため、この力は、ホイールの下端を、矢印85によって示されているように、反対方向に動かすことがある。高速度で長期間に亘るギアシステムの実際の動作では、ホイールの上端での力は、ホイール軸の制限を超える傾向があり、それによって、ホイール軸に偏向を引き起こし、その結果として、ホイールミスアライメントが生じる。例えば、正常動作時にホイール軸が図1における水平方向と合わされているならば、ホイールミスアライメントは、軸と水平方向との間にある程度の角度が存在するように軸を偏向させることがある。
ピンスリップ、スキッドスターティング、およびホイールミスアライメントの動的な不安定性は、回転自在ピンタイプのウォームギア組立体の商品化を成功させる従来の企てを妨げていることが提示されている。
本発明は上記の問題を解決するため着想された。
本発明によるウォームギア組立体は、少なくとも1本の溝を有するウォームねじと、ホイールの周囲に沿ってウォームねじを係止する複数個の回転自在ピンを有するホイールとを含む。ピンはホイール回転の方向以外の方向に回転可能である。組立体の動作中にウォームねじと係合していないピンと接触する少なくとも1本の軌道が設けられている。
ウォームねじと係合していない回転自在ピンと接触する軌道を含むことにより、本発明は、従来のウォームギア組立体を上回る多数の利点を実現する。ピンスリップ、スキッドスターティング、およびホイールアラインメントと関連付けられた問題を除去または実質的に低減することにより、本発明は、完全な性能範囲に亘って滑らかな動作をする能力があり、実質的により少ない損耗および引裂と、より高い効率と、より長い耐用年数とを備えた、回転自在ピンタイプのウォームギア組立体を可能にする。
一例として与えられ、記載された特定の実施形態だけに本発明を限定することが意図されていない以下の詳細な説明は、類似した参照符号が類似した要素および部品を表している添付図面と併せて最もよく理解される。
図4は本発明の第1の実施形態によるギアシステムの分解図である。ギアシステムは、ウォームねじ100と、ウォームホイール105と、2本の軌道110aおよび110bとを含む。ウォームねじは、中央部がくびれた(砂時計の)形状と、ウォームねじの表面に切り込まれた複数本の螺旋状溝115とを有する。ホイールは、ホイールの円周に沿って位置付けられた複数本の回転自在ピン120を含む。ピンは、ホイールの円周に沿って単一の「列」に配置され、螺旋状溝を動くことによりウォームねじを係止する。
ピン120が溝の中で回転するとき、ピンは、図1のシステムに関して記載されたピンと類似した様式で、ピンの縦軸の周りで自由に回転できる。特に、ベアリング125の使用は、ピンがピンの回転軸の周りで回転することを可能にさせる。ピンは、ピンの縦軸の周りで自由に回転できるので、ピンと溝の壁との間の摩擦が低減される。すなわち、ピンは、ピンの縦軸の周りで回転可能であるので、ピンは、溝の壁の周りで回転可能である。ところが、ピンが、ピンの縦軸の周りで回転していないならば、ピンは、溝の壁に対して滑動しなければならない。
図4の軌道110aおよび110bは、軌道座面130aおよび130bを含む。同図において、面130aは明瞭に見えるが、面130bは見えない。図4のウォームホイールが回転するとき、一方の軌道が、ウォームねじと係合されていないピン120の軌道と接触する。すなわち、ウォームホイールが回転するとき、一方の軌道面130aまたは130bが溝115と係合していないピン120の軌道面と接触する。好ましくは、軌道はウォームねじと係合していないピンの全部と接触する。しかし、軌道はウォームねじと係合していないピンの全部より少ないピンと接触することがある。ウォームホイールが回転中であるか、または、静止しているかとは無関係に、いずれかの軌道は、ウォームねじと係合していないピンの全部と接触するか、ウォームねじと係合していないピンの全部より少ないピンと接触するか、または、ピンと接触しないことがある。
図5は組立後の形の図4のギアシステムの等角図である。図5から分かるように、軌道は、溝115によって係合されていないピン120の軌道を容易に係止するように、ウォームホイールの両側に位置付けられている。
図6は、例示の目的のため一方の軌道が取り外された図5に示された組立後のギアシステムの側面図である。特に、軌道110aは、軌道110bおよび軌道面130bが明瞭に見えるように、図6に示されていない。ピン120と軌道面130bの相対的な位置合わせもまた明瞭に見える。
図7は本発明の第2の実施形態によるギアシステムの分解図である。図7の実施形態は、軌道110bおよび軌道座面130bが図7の実施形態に含まれていない点を除いて、図4の実施形態に類似している。従って、図7の実施形態は、ウォームねじ135と、ウォームホイール145と、軌道155とを含む。ウォームねじは、砂時計の形状を有し、ウォームねじの表面に形成された複数本の螺旋状溝140を有する。ホイールは、ホイールの円周に沿って位置付けられている複数本の回転自在ピン150を含む。ピンは、ホイールの円周に沿って単一の「列」で配置され、螺旋状溝の中を移動することによりウォームねじを係止する。軌道は軌道座面160を含む。ウォームホイールが回転するとき、軌道はウォームねじと係合していないピン150の軌道と接触する。すなわち、ウォームホイールが回転するとき、軌道座面は溝140と係合していないピン150の軌道座面と接触する。好ましくは、軌道はウォームねじと係合していないピンの全部と接触する。しかし、軌道はウォームねじと係合していないピンの全部より少ないピンと接触することがある。ウォームホイールが回転中であるか、または、静止しているかとは無関係に、いずれかの軌道は、ウォームねじと係合していないピンの全部と接触するか、ウォームねじと係合していないピンの全部より少ないピンと接触するか、または、ピンと接触しないことがある。
図8は第1および第2の実施形態の回転ピン部の詳細図である。ピンは、反時計回りの方向だけに回転可能であるか、時計回りの方向だけに回転可能であるか、または、反時計回りの方向と時計回りの方向の両方で回転可能である。図7および図8から分かるように、ピンはベアリング157によってホイール145内で回転可能に支持されている。
本発明の好ましい2つの実施形態が説明されたので、今度は、これらの2つの実施形態における新しい軌道の機能がより詳細に説明される。
図4〜8のギアシステムが動作中であるとき、軌道はピンスリップ、スキッドスターティング、およびホイールミスアライメントの問題を緩和するために機能する。より詳細には、ウォームねじの回転がホイールをホイール軸の周りに回転させるとき、ウォームねじと係合されず、軌道と接触していないピンは、ピンをピンの縦軸の周りに回転させ続けるように軌道からの作用を受け、回転中のホイールの遠心力に対抗し、ホイールにミスアライメントをもたらすウォームねじ力(「ミスアライメント力」)に対抗する。
軌道とピンが相互作用する状態を説明する目的のため、図9が参照される。図9は、回転自在ピン165が軌道セクション170と相互作用する状態の詳細図である。同図は、軌道110a、110bおよび155と、軌道座面130a、130bおよび160とに適用できる。図9から分かるように、ピン165が取り付けられているホイールがピンを紙面の「中へ」運ぶ方向に回転するとき、ピン165と軌道との間の接触は、(矢印175によって表された)反時計回りのトルクをピンに加える。トルク175は、ピンがウォームねじと接触するときに、ピンがピンの縦軸の周りに既に回転し、ピンが横滑りを開始しないように、ピンがウォームねじと接触していないときにピンがピンの縦軸の周りに回転する状態に保つ。さらに、軌道はホイールの回転に起因する(矢印185によって表された)遠心力に対抗する(矢印180によって表された)下向きの力を加える。その上、軌道は、ミスアライメント力に対抗する(矢印190によって表された)左から右への力を加える。
図10は本発明の第3の実施形態によるギアシステムの等角図である。本システムは、螺旋状溝205を有するウォームねじ200と、回転自在のピン215を含むウォームホイール210と、軌道220とを含む。軌道220は、軌道の内面の内部に形成された2つの軌道座面220aおよび220bを有するワンピース構成部品である。
図11は図10のギアシステムの断面図である。断面は図10の線AA’に沿って取られ、図11の見え方は、図10に示されている矢印の方向に見たときの見え方である。
図12は図10のギアシステムの等角断面図である。断面は図10の線AA’に沿って取られ、見え方は図10の矢印の方向とは反対側から見た見え方である。
図11を参照すると、ウォームねじ200が矢印230によって示された方向に回転するとき、ピン215bが紙面から「外へ向かう」方向に押し進められる間に、ピン215aは紙面の「中へ」向かって押し進められる。さらに、ピン215bは座面220bと接触している。ピン215bと面220bとの間の接触は、ピンが紙面から外へ向かって動くときに、ピンを(線217によって表された)ピンの縦軸の周りに回転させる。このようにして、軌道は、ピンがウォームねじの螺旋状溝を出るときに、ピンの縦軸の周りの回転を維持する。従って、ホイールの回転がピンを溝に再び入れる時点で、ピンは、溝と接触しているときにピンに起こる縦軸回転を補うように、ピンの縦軸の周りに回転している。従って、ピンが溝に入るとき、ピンは横滑りを開始しない。
さらに、ホイールの周囲から突出し、面220bと接触するピンの一部分(すなわち、「ピンヘッド」)は錐台形状を有し、面220bは錐台の外側面と接触するので、面220bは遠心力に対抗して作用する力(矢印235によって表されている)をピンに印加する。
さらに、ねじが、ピン215aが着座している溝を回転するとき、ピン215aを紙面の右側へ向かって押し進める(矢印240によって表された)力が引き起こされる。ピン215a上のねじ力は、ピン215bを左側へ押し進める(矢印245によって表された)反力を生じる。しかし、ピン215bは軌道座面220bと接触しているので、面220bは、力245に反作用する(矢印250によって表された)力を加える。さらに、力250は(矢印255によって表された)反力を生じる。このようにして、ピンのアライメントのずれを促進するねじ力(力240)が軌道により引き起こされた反力(力255)によって抵抗される。
図11に示されているダイナミクスが図12に反映させられている。
図11および12は矢印230の方向に回転するウォームねじとの関連において説明されているが、本発明は反対方向へのウォームねじの回転にも同様に適用可能であることに注意されたい。この点に関して、ウォームねじが方向230と反対の方向に回転中であるならば、ピン215bは、ねじがホイールに加える「ミスアライメント力」、または、ある種の移動機構部のいずれかによって、軌道座面220aに押し付けられる。ピン215bが面220aと接触すると、方向230と反対の方向へのウォームねじの回転によって引き起こされたミスアライメント力は面220aを介して伝達された力による抵抗を受ける。
本発明によるギアシステムは、ウォームねじの一方の回転方向が「前進」車両方向に対応し、ウォームねじのもう一方の回転方向が「後退」車両方向に対応するように、車両駆動システムにおいて利用され得ることにさらに注意されたい。このようなアプリケーションでは、ギアシステムは、好ましくは、ウォームねじの回転が「前進」車両方向に対応するときにピンを第1の軌道座面に押し付け、ウォームねじの回転が「後退」車両方向に対応するときにピンを第2の軌道座面に押し付けるために使用される移動機構部と共に利用される。
例示的な移動機構部は図12Aに示されている。図12Aに示された移動機構部は機械的移動機構部である。しかし、本発明は機械的移動機構部に限定されない。図12Aおよびその説明を検討すると、本発明の当業者は、広範囲の移動機構部が「前進」方向および「後退」方向を有する駆動システムとの関連においてホイールの対向側にピンの対向側を接触させるように対向する軌道面を移動させるため利用され得ることを容易に理解する。例えば、適当な移動機構部は、電気モーター動力式回転ねじ付きシャフト、油圧アクチュエータ、電気ソレノイド、および手動移動機構部およびレバーを含む。
本発明はウァームホイールを駆動するウァームねじの場合に限定されないことにさらに一層の注意されたい。それどころか、ウォームホイールは、ウォームホイールに印加された回転トルクがウォームねじの溝の中で回転自在ピンを動かし、それによって、ウォームねじを回転させるように、ウォームねじを駆動することがある。
その上、本発明は特定の幾何学的性質を有する軌道座面に限定されないことに注意されたい。従って、本発明は、図9に示されているような平面的な断面を有する軌道座面、または、図14に示されているような凹型断面を有する軌道座面に限定されない。実際には、本開示を見て、本発明の当業者は、広範囲の適当な軌道の幾何学的性質を容易に理解する。
さらに、本発明のウォームねじは砂時計の形状に限定されないことに注意されたい。例えば、ウォームねじは円筒形状でもよい。本明細書を見て、本発明の当業者は、広範囲の適当なウォームねじの幾何学的性質を認める。
さらに、ウォームねじに形成された溝は螺旋状の形状に限定されない。螺旋状溝が好ましいが、広範囲の溝構造が発明と共に使用するために適している。本開示を見ると、本発明の当業者は、広範囲の適当な溝形状を容易に理解する。
図12Aを再度参照して、本発明の移動機構部の実施形態が今度はより詳細に検討される。
図12Aは機械的移動機構部270と連動する本発明の軌道265を表している。移動機構部は、ウォームホイールの回転自在ピンと相対的に軌道を位置付けるために使用される。図12Bは比較対象の目的のため与えられ、移動機構部から切り離された図12Aの軌道を表している。図12Aから分かるように、機械的移動機構部は、調整ねじ270aと、バレル270bと、ロックナット270cとを含む。調整ねじは、軌道に固定的に取り付けられているバレルとねじ込み式に係合する。バレル内で調整ねじを回転させることにより、バレルは調整ねじと相対的に動かされ、よって、軌道が調整ねじと相対的に動かされる。ロックナットもまた調整ねじとねじ込み式に係合され、軌道が調整ねじの回転によって正しく位置付けされるとき、ロックナットは調整ねじを締め付けるために所定の位置に回転させられる。
図12C〜12Fは図12Aの移動機構部が機能する状態を説明している。図12C〜12Fは、軌道265と、機械的移動機構部270と、ウォームホイール275と、ウォームねじ280とを含むギアシステムを示している。軌道は軌道座面265aを含む。ウォームホイールは、複数本の回転自在ピン275aを含む。ウォームねじは螺旋状溝280aを含む。図12Cおよび12Dは、回転自在ピンが軌道座面と接触しないように位置付けられたウォームホイールを示している。従って、図12Dは、軌道をウォームホイールから遠ざけるように、移動機構部の調整ねじが機構部のバレル内で回転させられていることを示している。図12Eおよび12Fは、回転自在ピンが軌道座面と接触するように位置付けられたウォームホイールを示している。従って、図12Eは、軌道をウォームホイールの方へ近づけるように、移動機構部の調整ねじが機構部のバレル内で回転させられていることを示している。
図12A〜12Fの例示的な移動機構部では、調整ねじの手動回転の代替案として、ねじは、油圧モーターもしくはアクチュエータによって、または、電気モーターによって回転させられ得る。このような構造では、ロックナットは、軌道に取り付けられるか、あるいは、軌道の一部分である油圧制動機構部、または、固定した止め具によって置き換えられ得る。
図13は本発明の第4の実施形態によるギアシステムの分解図である。本システムは、螺旋状溝305を有するウォームねじ300と、回転自在ピン315を含むウォームホイール310と、軌道座面325aを有するピン軌道325とを含む。構成部品は筐体320内に締め付けられている。筐体はワンピース筐体である。軌道325は筐体の内面に形成され、筐体の一体的な部品である。
図14は図13に示されたギアシステムの等角断面図である。
図15Aは説明の目的のため一部が取り除かれた図13のギアシステムの切取図である。
図15Bは図15Aの要素の一部の切取図である。
図15Cは図15Bの要素の一部の切取図である。
図13の実施形態は筐体の一体的な部品である軌道に限定されないことに注意されたい。1本以上の軌道が、筐体の一体的な部品ではなく、筐体に締め付けられるか、または、取り付けられることがある。本開示に照らして、本発明の当業者は、筐体に締め付けまたは取り付けられた軌道の広範囲の製造プロセスを容易に理解する。
図13の実施形態のギアシステムの筐体は、好ましくは、硬化鋼、ステンレス鋼または金属複合材のような、比較的堅固な、耐久性のある、市販されている材料で作られることにさらに注意されたい。
図13の実施形態の筐体はワンピース筐体に限定されないことにさらに一層注意されたい。例えば、筐体は2個以上の部品で構成されていてもよい。
図16は発明によるギアシステムの第5の実施形態を示している。図16の実施形態は、ウォームホイール400と、ウォームねじ405と、2本のピン軌道410aおよび410bとを含む。ウォームホイールは、1つずつの列415aおよび415bに配置された2組の回転自在ピンを有し、ウォームねじは、ピンを係止する目的のためウォームねじの表面に切り込まれた螺旋状溝405を有する。軌道は、筐体420の内面に形成され、ウォームねじによって係止されていないピンを係止する。筐体の一部分だけが表示の明瞭さの目的のため断面で示されている。図16のギアシステムはアクセル425を駆動するために使用される。図16のギアシステムの動作は図1〜15の詳細な説明に照らして容易に理解される。
図16の実施形態は、本発明の複数軌道/複数ピン列の実施形態の単なる例示であり、本発明のウォームホイールは3本以上の軌道および/または3列以上のピンの列を有することもあることに注意されたい。
さらに、本発明の回転自在ピンはいずれか1つの幾何学的性質に限定されない。代替的なピンの幾何学的性質の2つの実施例を例示するために、図17および18が提示されている。
図17は本発明によるピンの第1の代替的な実施形態を示している。同図は、ウォームホイール505に位置付けられ、ウォームねじ510を係止するピン500を示している。ピンは先端を切り取られた球の形状をしたヘッド515を有する。ピンのヘッドはウォームねじ内の溝520を係止する。ピンは、第1のベアリング525、フランジ530および第2のベアリング535によってホイール505内で支持されている。ベアリングおよびフランジは、下方セクション540、中間セクション545および上方セクション550を含むホイール内の穴(ボア)に着座させられている。ピンの縦軸は線555によって示されている。
図18は本発明によるピンの第2の代替的な実施形態を表している。同図は、ホイール605に位置付けられ、ウォームねじ610を係止するピン600を表している。ピンは、2重に先端を切り取られた球の形状をしたヘッド615を有する。ピンのヘッドはウォームねじ内の溝620を係止する。ピンの縦軸は線655によって示されている。
利用される可能性があるピンのタイプ毎に、対応するウォームねじ溝および軌道座面は、嵌め合い形状を有する。例えば、図17のピンは、凹型のウォームねじ溝と「嵌合」し、凹型のウォームねじ溝に沿って「転動」し、凹型の軌道座面と「嵌合」し、凹型の軌道座面に沿って「転動」する。
上述された特徴のこれらの、およびその他の変形および組み合わせは、特許請求の範囲によって規定されているような本発明から逸脱することなく利用され得るので、上述された好ましい実施形態の説明は、特許請求の範囲によって規定されているような本発明の制限のためではなく、実例として理解されるべきである。
回転自在ピンが歯の代わりに使用されている従来のギアシステムの等角図である。 図1のギアシステムの要素のうちの一部の側面図である。 ピンスリップの影響を説明する図である。 滑り込まされていないピンがウォームねじの螺旋状溝に入る状態を示す図である。 本発明の第1の実施形態によるギアシステムの分解図である。 組み立てられた形式の図4のギアシステムの等角図である。 例示の目的のため軌道のうちの1本が取り外された図5に示されている組立後のギアシステムの側面図である。 本発明の第2の実施形態によるギアシステムの分解図である。 第1および第2の実施形態の回転ピン部の詳細図である。 本発明による回転自在ピンが軌道と連動する状態の詳細図である。 本発明の第3の実施形態によるギアシステムの等角図である。 図10のギアシステムの断面図である。 図10のギアシステムの等角断面図である。 機械的移動機構部と連動する軌道を示す図である。 移動機構部から切り離された図12Aの軌道を示す図である。 図12Aの移動機構部が機能する状態を説明する図である。 図12Aの移動機構部が機能する状態を説明する図である。 図12Aの移動機構部が機能する状態を説明する図である。 図12Aの移動機構部が機能する状態を説明する図である。 本発明の第4の実施形態によるギアシステムの分解図である。 図13に示されたギアシステムの等角断面図である。 例示の目的のため一部が取り除かれた図13のギアシステムの切取図である。 図15Aの要素の一部の切取図である。 図15Bの要素の一部の切取図である。 本発明によるギアシステムの第5の実施形態を示す図である。 本発明によるピンの第1の代替的な実施形態を示す図である。 本発明によるピンの第2の代替的な実施形態を示す図である。

Claims (26)

  1. 少なくとも1つの溝を有するウォームねじと、
    周囲に沿って前記ウォームねじを係止する複数本の回転自在ピンを有し、前記ピンがホイール回転の方向以外の方向に回転可能であるホイールと、
    ウォーム組立体の動作中に前記ウォームねじと係合していないピンと接触する少なくとも1本の軌道と、
    を備える、ウォームギア組立体。
  2. 前記ウォームねじが、中央部がくびれた形状を有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  3. 前記ウォームねじが、円筒形状を有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  4. 前記ピンがピンの縦軸の周りに回転可能である、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  5. 少なくとも1本の軌道が前記ウォームねじと係合していない前記ピンの全部と接触する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  6. 少なくとも1本の軌道が前記ウォームねじと係合していない前記ピンの一部と接触する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  7. 前記ウォームねじが1つの螺旋状溝を有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  8. 前記ウォームねじが複数の螺旋状溝を有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  9. 前記各ピンが錐台形状のヘッドを有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  10. 前記各ピンが先端を切り取られた球の形状をしたヘッドを有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  11. 前記各ピンが2重に先端を切り取られた球の形状をしたヘッドを有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  12. 前記ウォームねじが第1の方向に回転するときに前記ウォームねじと係合していないピンと接触する第1の軌道、および前記ウォームねじが第2の方向に回転するときに前記ウォームねじと係合していないピンと接触する第2の軌道を含む、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  13. 少なくとも1本の軌道に関してピンと接触する面が平面的な断面を有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  14. 少なくとも1本の軌道に関してピンと接触する面が凹型断面を有する、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  15. 筐体をさらに備える、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  16. 前記筐体がワンピース筐体である、請求項15に記載のウォームギア組立体。
  17. 前記筐体が2個以上の部品で構成されている、請求項15に記載のウォームギア組立体。
  18. 少なくとも1本の軌道が前記筐体の一体的な部品として形成されている、請求項15に記載のウォームギア組立体。
  19. 少なくとも1本の軌道が前記筐体に取り付けられた別個の構成部品として形成されている、請求項15に記載のウォームギア組立体。
  20. ホイールの回転方向以外の方向の回転のために前記ピンを支持するベアリングをさらに備える、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  21. 前記ピンが1列に配置されている、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  22. 前記ピンが複数の列に配置されている、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  23. 前記ピンが時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向で、ピンの縦軸の周りに回転可能である、請求項1に記載のウォームギア組立体。
  24. 移動機構部をさらに備え、
    前記少なくとも1本の軌道が第1の軌道面および第2の軌道面を含み、
    前記移動機構部が、前記ウォームねじが第1の方向へ回転しているときに前記ウォームねじと係合していないピンを前記第1の軌道面に押し付け、前記ウォームねじが第2の方向へ回転しているときに前記ウォームねじと係合していないピンを前記第2の軌道面に押し付けるように動作可能である、
    請求項1に記載のウォームギア組立体。
  25. 少なくとも1つの溝を有するウォームねじと、周囲に沿って前記ウォームねじを係止する複数本のピンを有し、前記ピンがホイールの回転方向以外の方向に回転可能であるホイールとを含むウォームギア組立体を動作させる方法であって、
    前記組立体の動作中に前記ウォームねじと係合していないピンと接触する少なくとも1本の軌道を設けるステップを備える、方法。
  26. 少なくとも1つの溝を有するウォームねじと、周囲に沿って前記ウォームねじを係止する複数本の回転式に取り付けられたピンを有するホイールとを含むウォームギア組立体を動作させる方法であって、
    前記組立体の動作中に前記ウォームねじと係合していない前記ピンのうちの少なくとも一部と接触する少なくとも1本の軌道を設けるステップを備える、方法。
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