JP2009513589A - プリオンタンパク質の濃縮、精製、及び除去するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、セファロースがプリオンPrPScタンパク質に対して特異的かつ高親和性で結合可能な条件下で、プリオンPrPScタンパク質をセファロースと接触させ、結合していない非プリオンタンパク質をセファロースから除去することによって、プリオンPrPScタンパク質を濃縮及び/または精製するための方法、並びにセファロースがプリオンPrPScタンパク質と特異的かつ高親和性で結合可能な条件下で、体液をセファロースと接触させ、前記セファロースから体液を除去することによって、体液からプリオンPrPScタンパク質を除去するための同方法に関する。
さらに、本発明は、セファロース部分がプリオンPrPScタンパク質に対して特異的かつ高親和性で結合可能であり、セファロースのリガンド部分がPrPCタンパク質に対して結合可能である条件下で、プリオンPrPScタンパク質及びPrPCタンパク質をリガンド修飾セファロースと接触させ、セファロースのリガンド部分から非プリオンタンパク質及びPrPCタンパク質の放出は可能にするが、プリオンPrPScタンパク質の放出は可能にしない条件下で、セファロース結合タンパク質に対する選択的放出剤を添加し、さらにセファロースから非プリオンタンパク質及びPrPCタンパク質を除去することによって、PrPCタンパク質からプリオンPrPScタンパク質を分離及び/または高濃度化するための方法を対象とする。
本発明の別の態様は、プリオンPrPScタンパク質を濃縮、精製、及び/または除去するための、前述の方法の使用に関する。

Description

本発明は、セファロースがプリオンPrPScタンパク質に対して特異的かつ高親和性で結合可能な条件下で、プリオンPrPScタンパク質をセファロースと接触させ、結合していない非プリオンタンパク質をセファロースから除去することによって、プリオンPrPScタンパク質を濃縮及び/または精製するための方法、並びにセファロースがプリオンPrPScタンパク質と特異的かつ高親和性で結合可能な条件下で、体液をセファロースと接触させ、前記セファロースから体液を除去することによって、体液からプリオンPrPScタンパク質を除去するための同方法に関する。
さらに、本発明は、セファロース部分がプリオンPrPScタンパク質に対して特異的かつ高親和性で結合可能であり、セファロースのリガンド部分がPrPCタンパク質に対して結合可能である条件下で、プリオンPrPScタンパク質及びPrPCタンパク質をリガンド修飾セファロースと接触させ、セファロースのリガンド部分から非プリオンタンパク質及びPrPCタンパク質の放出は可能にするが、プリオンPrPScタンパク質の放出は可能にしない条件下で、セファロース結合タンパク質に対する選択的放出剤を添加し、さらにセファロースから非プリオンタンパク質及びPrPCタンパク質を除去することによって、PrPCタンパク質からプリオンPrPScタンパク質を分離及び/または高濃度化するための方法を対象とする。
本発明の別の態様は、プリオンPrPScタンパク質を濃縮、精製、及び/または除去するための、前述の方法の使用に関する。
「PrPC」と称される細胞プリオンタンパク質である天然プリオンタンパク質は、自然界に広く分布しており、特に哺乳動物でかなり保存されている。天然PrPCが、感染性タンパク質である「PrPSc」と称されるスクレイピープリオンタンパク質、または「PrPres」と称されるプロテイナーゼK抵抗性プリオンタンパク質に転換することにより、多様な疾患の伝播が起こると考えられている。プリオン関連疾患の例としては、例えばヒトにおいてはクールー及びクロイツフェルトヤコブ病(CJD)、ヒツジにおいてはスクレイピー、ウシにおいてはウシ海綿状脳症(BSE)、シカ及びオオジカにおいては伝染性ミンク脳症及び消耗性疾患が挙げられる。
BSEは、狂牛病の一種であり、ヒトを含む多くの他の哺乳動物に伝染する可能性がある。BSEのヒトの形態は、新変異型クロイツフェルトヤコブ病またはvCJDと称される。1980年代半ばから終わりにかけて、イギリスでは推定4千万人の人々がBSEの混入した牛肉を摂取した。経口感染症の潜伏期間は20〜30年と思われるため、この疾患の実際の広がりは2010年以降にならないと明らかにできない。
感染した牛肉の摂取に加えて、ヒトの間では輸血によってプリオン関連疾患に感染する可能性がある。現在、輸血によるプリオン感染の直接的徴候が(2例)あるため、血液製剤の安全性についての懸念が増大している。さらに、感染プリオンのリンパ球における存在がすでに示されており、細胞関連に加えてプリオンが血漿に存在することを示す証拠もある。さらに動物は、プリオンの混入した土壌の牧草を食べることによって、またはプリオンに感染した干草ダニを含む干草を摂取することによってもプリオン関連疾患に感染する可能性がある。
試料からプリオンタンパク質を検出及びさらには除去を可能にすることは、食品産業及び医療分野において非常に重要である。
プリオンタンパク質を検出するために、プリオン特異的抗体に基づく多くのアッセイが開発されている。しかし、これらのアッセイは、自然界及び哺乳動物、特にヒトの血液、ヒトまたは他の哺乳動物の移植用臓器、並びに哺乳動物由来の食肉及び加工食品中でプリオンタンパク質は非常に低濃度であるため、事前の高濃度化を必要とする。
この十年の間に、プリオンタンパク質及びこれらの誘導体を精製するための多くの方法が開発されてきた。アフィニティークロマトグラフィーは、適切な精製技術として主要な役割を果たしている。特に、セファロースゲルは、アフィニティークロマトグラフィー用リガンドを担持させるために適切な支持材料であることを示している。
Grathwohlら(Arch.Virol.(1996年)141巻:1863〜1874頁)は、支持材料として二価銅イオンセファロースを用いた固定化金属(Cu2+)アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を介した、感染後間もないスクレイピー感染マウスのマウス脾臓からのPrPScの濃縮について開示している。しかし、彼らは感染の最も初期の段階で診断するためには、PrPScをSarkosyl及びNaClを用いた塩析によって抽出することがより効果的であることを見出した。
国際公開第01/77687号では、セファロースに付着した特異的ヘキサペプチドリガンドを使用することによる、部分精製した可溶性調製物からのPrPCプリオンタンパク質の除去と、参照材料として同じセファロース材料単独によってなされた除去とを比較している。SPセファロース及びDEAEセファロースの単独では、PrPCへの結合は、ヘキサペプチドリガンド結合樹脂を用いてなされる結合の100分の1であることが示されている。実際にこの文献は、この点について「pH7.4において、DEAEセファロースもPrPCとの結合は見られない」と述べている。
SPセファロースのPrPCに対する結合の低さは、シリカ、すなわち非特異的結合剤に対するPrPCの結合に対して、さらに20分の1未満である。DEAEセファロースが結合しない、及びSPセファロースとPrPCとの結合が非常に低く非特異的親和性であるという事実から、結合親和性の低さに関与しているのがSPセファロースのSP(スルホプロピル基)部分であることは明らかである。従って、国際公開第01/77687号は、PrPC特異的リガンドのための不活性固体支持体としてセファロースの使用及びSPセファロースのSP部分が、非特異的結合剤のシリカの親和性の20分の1未満の親和性でPrPCと結合可能であることを実際に教示している。
P.R.Foster(Transfusion Medicine、1999年、9巻、3〜14頁)の文献は、プリオンの研究がまだ始まった当初であり、科学界がプリオンPrPScタンパク質の物理化学的組成物に関する手がかりを持たず、感染性海綿状脳症(TSE)の原因「物質」の検出が、複雑で間違えが起こりやすい、定量的重要性のほとんどない動物実験に依然として依存していた1999年に発行された。さらにこの文献は、PrPScが一般的に沈殿過程において、その「非常に緩慢な水溶解度」のために固体相内に沈殿する傾向があることに注目している。さらに、この文献は、PrPScが、多くの異なった表面に付着し、さらに特に血漿製剤の製造に使用されるクロマトグラフィー及びろ過の媒体と相互に作用すると思われる、強い親水性及び疎水性の領域を有することを述べている。この文献は、イオン性、陽イオン性、疎水性の及び多くの特定されていない樹脂がPrPScと結合すると思われる情報を提供している。特に付着を防ぐために前処理したろ過用の酢酸セルロース膜でさえも、PrPScと相互作用を生じると思われる。しかし、この文献に提示されるすべての研究は、TSEの感染性の減少に基づいており、任意の吸着体に対するPrPScのいかなる実際の結合も明示していなかった。吸着体結合に次いで、他の機序、例えば(i)溶液中におけるPrPScの沈殿並びにろ過材料及びクロマトグラフィー支持体材料などの固体による機械的保持、並びに(ii)固体との接触による及び/または経時的なPrPScの不活性化によってもPrPSc活性の減少が起こり得ることが注目される。この点において、該著者は、クロマトグラフィー材料についての考察で、試験した吸着体のすべてがPrPScの分離をもたらし、「異なるリガンド、マトリックス及び吸着原理を使用したにもかかわらず...。」と述べている。
この文献の表1はまた、陰イオン性、陽イオン性及び疎水性の連結型セファロースがPrPScの感染性を、他の吸着体と比較して若干減少させることもさらに開示する。しかしこの文献は、セファロース自体に関するその教示を実施する材料または方法についてはまったく開示しておらず、これらセファロース関連の実施形態に関する公表された参照文献もまったく引用していない。従って、セファロース系吸着体に関する結果は有効な開示が欠けている。さらに表1の結果は、用いたSPセファロースが高い結合親和性を有するのに対し、Qセファロースは本質的にPrPScに対して結合親和性を有さないと明示している該文献の詳述と矛盾する(28頁の表)。結果の忠実性に関して、「一般的TSE物質及び特にnvCJDの物理化学的特性に関して学ぶべきことが、たくさん残っている(...)。このようなデータがない状態では、特定の方法段階の、個々に、または組み合わせてどちらでも、存在し得るnvCJD物質を完全に除去する能力に対して不確実性が存在するであろうことは避けられない。」(強調されている)と該著者は気づいていた。
言い換えれば、著者P.R.Foster自身が、1999年には効果的にPrPScを減少させる血漿分画工程の潜在的可能性の検討にともなう固有の問題が多くあったこと、さらにこの文献の結果は前記文脈において推論的であり予備的であると見なされるべきであることを認識していた。
特に洗練された、高感度かつ高度に選択的な、ヒトまたは動物のプリオンタンパク質の精製及び/または検出方法は、pH6.2〜7.8でプリオンタンパク質がオリゴマーを形成し、pH4.5〜5.5で再び解離する、1つ以上のプリオン反復構造を有するプリオンタンパク質またはこれらの誘導体の可逆的な凝集及び解離に基づく。例えば、固体支持体に結合したプリオン反復構造を有するタンパク質は、プリオンタンパク質とオリゴマーを形成しえ、ゆえにこれらを検出または除去することができる(国際特許出願PCT/EP第2004 003 060号)。
現在、プリオンPrPScタンパク質を、容易で、費用効率が高く、高度に選択的かつ効果的な方法で、濃縮、精製、及び/または除去するさらに容易な方法が当該技術分野でさらに必要とされている。
PrPSc及びPrPcタンパク質は同じアミノ酸配列のため、両者は、通常、一緒に濃縮及び高濃度化され、次いで後期段階でプロテイナーゼK消化によって、PrPcタンパク質のみが選択的に消化され、PrPScタンパク質はプロテイナーゼ抵抗性のまま残り分離される。
従って、選択的酵素消化以外で、PrPcタンパク質からPrPScを効果的に分離することがさらに必要とされている。
国際公開第01/77687号 国際特許出願PCT/EP第2004 003 060号 Grathwohlら(Arch.Virol.(1996年)141巻:1863〜1874頁) P.R.Foster(Transfusion Medicine、1999年、9巻、3〜14頁)
従って、本発明の目的は、容易で、抵コストで、効果的かつ高度に選択的な、PrPScを濃縮、精製、及び/または除去する方法の提供である。
別の目的は、容易で、抵コストで、効果的かつ高度に選択的な、PrPcタンパク質からPrPScを分離する方法の提供である。
本発明の目的は、
a)セファロースがプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体と特異的かつ高親和性で結合可能な条件下で、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体をセファロースと接触させる工程;
b)前記セファロースから結合していない非プリオンタンパク質を除去する工程;
を含み、前記セファロースが好ましくはCu2+キレーティングセファロースではない、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を濃縮及び/または精製するための方法によって解決される。
セファロース自体(すなわち、それ自体、ありのままのもの、リガンドが不活性化、除去、マスクされたもの等)が、PrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対して特異的及び高い結合親和性を有することが、驚くべきことに発見された。従って、PrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対するセファロースの結合は、これらの濃縮及び/または精製に十分である。前記セファロースから結合していない非プリオンタンパク質を除去することのみ必要とされる。
本明細書中で使用される「セファロースがプリオンPrPScに対して特異的かつ高親和性で結合する」という用語は、PrPScに特異的に結合するが、PrPcには結合しないセファロースそれ自体(すなわち、セファロース上の任意のリガンドではなく、セファロースのコア)を指すことを意味する。好ましくは、本発明の文脈におけるセファロースの特異的結合とは、PrPcではなくPrPScの多量体に対するセファロースの結合を意味する。この点において、高親和性結合という用語は、解離定数が10-6〜10-12Mまたはそれ未満、好ましくは10-8〜10-12Mまたはそれ未満の結合親和性を指すことを意味する。当業者は、所定のセファロースのプリオンPrPScに対する特異的及び高結合親和性を、日常の簡易な結合アッセイによって容易に測定できる。例えば、このようなアッセイの1つは、
a)アッセイされるべきセファロースを準備し、前記セファロースのコア上にリガンドがある場合には除去、不活性化、及び/またはマスクする工程;
b)非特異的除去、例えば沈殿、非特異的結合等を避けられる濃度まで、使用するPrPScを希釈する工程;
c)a)のセファロースとb)のPrPScとを、適切なバッファー中で、相互に結合可能な条件及び時間の下でインキュベートする工程;
d)好ましくは、インキュベーションバッファーの3〜10倍量のバッファーで、セファロースから結合していないタンパク質を洗い出す、1回以上の洗浄工程;
e)場合により過剰の、好ましくは1000倍の非特異的結合タンパク質、好ましくはBSA(ウシ血清アルブミン)を用いて洗浄し、セファロースの任意の非特異的結合部位を除去または遮断する工程;
f)カオトロピック剤、好ましくは尿素、及び/または塩酸グアニジン及び/またはSDSを含むバッファーを用いて溶出して、セファロース結合PrPScを除去する工程;
g)溶出されたバッファー中のPrPScを検出し、それによりPrPSc自体へのセファロースの高親和性結合を実証する工程;
を含む。
分析したセファロースの特異性を測定するために、c)の工程においてPrPScの代わりにPrPCをインキュベートするという点、及び洗浄液中にPrPCが検出されるという点を除いては、前記の分析を繰り返し、それによって結合の欠如を示す。あるいは、PrPSc及びPrPCをc)の工程においてセファロースと共に同時にインキュベートすることもでき、PrPCは洗浄溶液中に、PrPScはカオトロピック溶出バッファー中のみに検出される特異的かつ高親和性のセファロースが得られるであろう。
セファロースの特異性及び高親和性結合を測定するための、より詳細で好ましいアッセイを以下の実施例1に提示する。
要するに、「セファロースがPrPScタンパク質に対して特異的かつ高親和性で結合する」という用語は、セファロース及びこれらを使用した方法を、単にPrPScと、例えば沈殿及び/または低吸着によって非特異的に結合する親和性の低いセファロース及び前記方法から区別することを意味する。
本明細書中で使用する「濃縮及び/または精製」という用語は、PrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体の濃度が上昇し、並びに/あるいは非PrPScタンパク質及び/または非タンパク質材料が除去されることを指すという意味である。
この方法は、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を体液から効果的に除去するためにも用いることができる。この場合、当該方法は、
a)セファロースがプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対して特異的かつ高親和性で結合可能な条件下で、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を含む体液をセファロースと接触させる工程;
b)前記セファロースから体液を除去する工程;
を含む。
好ましくは、前記体液は、全血液、血液分画、または脳ホモジネート、好ましくは血漿から選択される。しかし、体液は、哺乳動物組織のホモジネート、特に脳組織及び脊髄組織のホモジネートをさらに含み得る。
セファロース自体は、通常血液と優れた適合性を有し、血液と接触させた場合、それ自体は血液の凝固に関してまったくまたは多くても無視できるほどの影響しか観察されないことが見出された。ほとんどの連結型セファロース、金属が連結した及び/または負に帯電したセファロースも、血液適合性であることが証明されている。このことは、一般的な生理学的タンパク質パラメーターについて、本発明による使用のための多くのセファロースの影響を試験した以下の表1の結果によって実証される。驚いたことに、血液パラメーターを損なうまたは実質的に変化させることなく、セファロースを血液または血液分画に接触させ得ることが見出された。さらに驚いたことに、金属キレーティングセファロースは、実際に凝固因子VIIの安定性に正の効果を有することが見出された。
従って、本発明の独立した態様は、凝固因子VII、好ましくはヒト凝固因子VIIを含む新規な組成物及びさらに少なくとも1種の金属キレーティングセファロース、好ましくはNi-及び/またはZn-セファロース、より好ましくはZn-セファロースを含む新規な組成物を対象とする。別の独立した態様は、血液、血液分画及び凝固因子VIIを含む固体または液体組成物を安定化するための、金属キレーティングセファロース、好ましくはNi-及び/またはZn-セファロース、より好ましくはZn-セファロースの使用を対象とする。
理論に縛られることを望むわけではないが、凝固因子VIIに対する金属キレーティングセファロースの有利な効果は、プロテアーゼ消化及び/または折りたたみ安定性に関する安定化効果に基づくと考えられる。
原理上は、任意の連結型セファロースまたは非連結型セファロースを、セファロースがマスクされない限り本発明の実施に用いることができ、インビボ及び/またはインビトロで血液を生細胞と接触させた場合に無害であることに注目すべきである。血液からプリオンタンパク質を除去するための本発明の方法を実施するために、金属連結型セファロースが好ましく、負に帯電したセファロースがより好ましく、さらに非連結型セファロース及び非帯電セファロースが最も好ましい。
驚いたことに、本発明の方法に使用するセファロースは、セファロースのコアがプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体と結合するために十分接近可能でなくてはいけないこと以外は、いかなる特定の型のセファロースにも限定されない。
好ましくは、本発明の方法を実施するためのセファロースは、非連結型セファロースから選択され、より好ましくはSepharose(登録商標)2B、4B、6B、Sepharose(登録商標)CL-4B、Sepharose(登録商標)-6B、Superdex(登録商標)75、Sephacryl(登録商標)100HR、及びSephadex(登録商標)G10からなる群より選択される。
さらに本発明の方法を実施するために好ましいのは、リガンド修飾セファロースから選択されたセファロースであり、好ましくは金属キレーティングセファロース、レクチンアガロース、イミノ二酢酸セファロース、プロテインAアガロース、ストレプトアビジンセファロース、スルホプロピルセファロース、及びカルボキシメチルセファロースからなる群より選択され、より好ましくは金属キレーティングセファロースから選択され、該方法、組成物または使用の実施に最も好ましいセファロースはZnセファロースである。
Znセファロースは生理液と高い適合性がある。セファロースもZnイオンも、全血液、血液分画、好ましくは血漿などの体液に対していかなる有害な効果も有さない。従って、Znセファロースは、体液及び/または体器官、例えば動物、好ましくはヒトに再導入されるための移植用臓器に由来するPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体の除去に特に有用である。
前述のように、本発明の方法、組成物または使用の実施のためには、任意選択のリガンドが、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体が自由に接近できるようにセファロースのコアをマスクしないことが必要である。これが、従来の技術において用いられた多くのリガンド修飾セファロースの問題である。当業者は、単にセファロースのPrPScタンパク質に対する結合親和性を試験することによって、PrPScと結合するために十分接近可能なリガンド修飾セファロースをごく普通に選択でき、所望によっては、適切なリガンド修飾セファロースを、例えばセファロースがリガンドによってマスクされないような適切な距離にリガンドを配置する、スペーサー分子を用いることによって設計することができる。
本発明の方法の予期しなかった別の利点は、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対するセファロースの結合が、それ自体ではセファロースに対する有意な結合親和性をまったく有さないプリオンPrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対して高度に選択的であることである。
従って、本発明の方法は、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を選択的に濃縮、精製及び/または除去できるのみでなく、さらに非常に類似するプリオンPrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体を実質的に除去する。
リガンド部位がプリオンPrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体に結合するリガンド修飾セファロースを使用する場合、本発明の方法は、プリオンPrPScタンパク質とプリオンPrPCタンパク質、及び/またはその機能的誘導体を同時に濃縮及び/または精製できる。プリオンPrPScタンパク質とプリオンPrPCタンパク質、及び/またはその機能的誘導体は、その後プリオンPrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体をセファロースから選択的に除去することによって分離できる。
好ましい実施形態において、本発明はまた、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体をプリオンPrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体から分離及び/または高濃度化する方法に関し、この方法は、
a)i)セファロース部分が、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対して特異的かつ高親和性で結合可能であり;
ii)セファロースのリガンド部分が、PrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対して結合可能である;
条件下で、前記プリオンPrPScタンパク質及び前記プリオンPrPCタンパク質及び/またはそれらの機能的誘導体をリガンド修飾セファロースと接触させる工程;
b)場合により、結合していない物質を前記リガンド修飾セファロースから除去する工程;
c)場合により、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に近接するいくらかのまたは大部分のリガンド結合PrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体が、プリオンPrPScタンパク質及び/または機能的誘導体に転換するために十分な時間待つ工程;
d)前記セファロースのリガンド部分からPrPCタンパク質及び場合により非プリオンタンパク質を放出可能にするが、前記セファロース部分からプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を放出可能にしない条件下で、工程a)、b)、またはc)からのセファロース結合タンパク質及び/またはその機能的誘導体に選択的放出剤を添加する工程;
e)前記セファロースからPrPCタンパク質及び場合により非プリオンタンパク質を除去する工程;
を含む。
プリオンPrPScタンパク質及びプリオンPrPCタンパク質、及び/またはその機能的誘導体が、リガンド修飾セファロース上に存在した場合に、多くの場合でPrPCを費やしてPrPSc量が増加することが、予期せずに見出された。PrPC及び/またはその機能的誘導体は、この変化に関連すると思われるPrPScに近接して、自然発生的に立体配座が変化することによって転換するためと考えられる。この発見は、PrPScがPrPC前駆体から「作製」されるためにPrPScの存在が必要であるという理解と一致する。
前記の方法のより好ましい実施形態において、前記方法はさらに、
f)前記セファロースからPrPScプリオンタンパク質及び/またはその機能的誘導体を放出する工程;
を含む。
PrPScプリオンタンパク質及び/またはその機能的誘導体をセファロースから放出するためには、カオトロピック剤及び/または洗浄剤、好ましくは尿素及び/または塩化グアニジン及び/またはSDSの添加、より好ましくは尿素及び/またはSDSの添加、最も好ましくは8Mの尿素と5%のSDSとを含むゲルローディングバッファーの添加、並びに電界の印加である。言うまでもなく、ポリマー、好ましくは糖由来のポリマーに対する酵素の親和性を妨げるために通常適用される、任意の他の非破壊的方法も採用できる。
本発明に従った方法、特にプリオンPrPScをプリオンPrPCタンパク質から分離及び/または高濃度化する方法を実施するために、二価の固定化金属イオンを含む、金属キレーティングセファロースであるリガンド修飾セファロースを用いることが好ましい。
金属キレーティングセファロース、並びにスルホプロピルセファロース及びカルボキシメチルセファロースなどの負に帯電したセファロースは、セファロース部分、並びに場合によりセファロースの負に帯電した部分及び/または金属リガンド部分がPrPScに結合し、セファロースの負に帯電した部分及び/または金属リガンド部分がPrPCに結合するため、PrPSc及びPrPC、及び/またはその機能的誘導体と結合できる。
本発明の分離方法を構成する機序は、セファロース固定化金属イオンに関するPrPSc及びPrPCの結合特性の違いによる。PrPScは、セファロース、二価金属イオン及び負電荷に対して固有の親和性を有すると思われ、PrPCは二価金属イオン及び負電荷のみに対して固有の親和性を有すると思われる。従って、セファロースに関するこれらの親和性の違いを、これらを分離するために利用することができる。
好ましくは、金属キレーティングセファロースの金属イオンは、Ni2+、Zn2+、Co2+、Mg2+、Ca2+、及びMn2+からなる群より選択される。
Ca2+及びMn2+の結合は比較的弱く、両イオンはPrPSc及びPrPCのモノマーのみと結合する。
他の記載された金属イオン、Ni2+、Co2+、Zn2+、Mn2+はPrPSc及びPrPCのモノマー及びオリゴマーとより強く結合し、この理由により好ましい。優れた結合特性及びインビボの生理学的状態において毒性がないことから、本発明の方法、使用及び組成物の実施のための金属キレーティングセファロースにZn2+が最も好ましい。
ちなみに、Cuセファロースは実施例1に明示したようにPrPScタンパク質を十分保持できない。実施例1において、Ni-High Performance SepharoseにCu2+を再添加すると大量のBSAの非特異的結合が起こり(図4、レーン1も参照されたし)、ゆえに複合タンパク質溶液中のプリオンタンパク質の高濃度化にはふさわしくない。従って、Grathwohlらによって提示されたCuセファロースIMACは、PrPScをPrPCから定量的に分離するために必要な異なる親和性を提供できない。従って、本発明のすべての方法に関して、セファロースはCu2+金属キレーティングセファロースでないことが一般的に好ましい。
本発明の方法を実施するために金属キレーティングセファロースを用いる場合、選択的放出剤は好ましくは金属キレート剤であり、好ましくはEDTA、イミダゾール及び/またはEGTAから選択され、より好ましくはEDTAである。
本発明の方法において、PrPScタンパク質及びプリオンPrPCタンパク質、及び/またはその機能的誘導体を金属キレーティングセファロースから分離するためには、金属はZn2+であり、金属キレート剤はEDTAであることが最も好ましい。
PrPC及び場合により非プリオンタンパク質をセファロース固定化金属イオンから放出可能な、PrPScタンパク質とPrPCタンパク質とを分離するための本発明の方法のd)の工程における条件は、金属キレート剤が5〜50mM、より好ましくは10〜25mMの濃度で、最も好ましくはEDTAが10〜25mMの濃度で存在することを含む。
少量のEDTA、イミダゾール及び/またはEGTAなどのキレート剤を、血液分画または脳ホモジネートなどの複合タンパク質分画に添加することは、非特異的結合の回避に役立ち得、ゆえに非特異的材料をPrPScタンパク質及び/またはPrPCタンパク質から分離することに役立ち得ることも見出された。例えば、いくらかの血漿分画に関して、10〜25mMのEDTAにより非特異的結合を効果的に減少したことが見出された。セファロース固定化金属イオンを用いて操作する場合、非特異的結合を減少させ、PrPCを放出するというキレート剤による効果は、PrPCの放出がまだ所望されない場合には、重複しないことに留意すべきである。さらに、非特異的結合タンパク質の存在及び量に依存して、前記の好ましい濃度の範囲を適合、すなわち増加させ、PrPCの放出に関するキレート剤を除去する非特異的タンパク質の存在を補充しなければならない。このような最適化は、当業者の日常作業の範囲内である。
セファロースそれ自体は単独で相当量のPrPScとの結合に十分であるが、マスクされていない場合、プリオンPrPScタンパク質及び/またはプリオンPrPCタンパク質と特異的に結合するための少なくとも1種の追加のリガンドを有するセファロースであって、前記リガンドが、例えばスペーサー分子を用いて直接的または間接的にセファロースに結合しているセファロースを用いることが望ましいと思われる。
好ましい実施形態において、追加のリガンドは、プリオンタンパク質、プリオンタンパク質の機能的誘導体、Hisで標識されたプリオンタンパク質、プリオンタンパク質結合タンパク質、プリオンタンパク質結合抗体、及びプリオンタンパク質特異的リガンドからなる群より選択される。
さらに好ましくは、追加のリガンドは、直接的または間接的、例えば金属キレート剤を用いてセファロースに結合しているプリオンタンパク質、例えばウシPrP(25〜241)などのプリオン断片である。
序文の項において前述したように、pH6.2〜7.8でプリオンタンパク質がオリゴマーを形成し、pH4.5〜5.5で再び解離し得る1つ以上のプリオン反復構造を有するプリオンタンパク質またはこれらの誘導体の可逆的な凝集は、プリオンタンパク質及び/またはこれらの誘導体の結合、濃縮、精製及び/または除去のための高度に選択的で効果的な方法を提供する(国際特許出願PCT/EP第2004 003 060号)。本発明を実施するために、プリオンタンパク質と特異的にオリゴマーを形成し、それによりこれらと結合するために、プリオン反復構造を追加のリガンドとしてセファロースと結合させることができる。
より好ましい実施形態において、追加のリガンドはプリオンタンパク質及び/またはその機能的誘導体である。
本発明の方法を実施するためのセファロース上の追加のリガンドは、セファロースと直接的または間接的に結合でき、好ましくはセファロースとリガンド自体の間でスペーサー部分によって結合される。
本発明の方法は、任意の特定のプリオンタンパク質またはこれらの誘導体に限定されないが、プリオンタンパク質及び/またはその機能的誘導体は、ヒト、ウシ、ヒツジ、マウス、ハムスター、シカ、またはラット由来のプリオンタンパク質及びこれらの誘導体からなる群より選択される。
本説明及び請求項を通して使用される「プリオンタンパク質の機能的誘導体」という用語は、少なくとも1つ以上のプリオン反復構造、好ましくは2〜4、より好ましくは4つのプリオン反復構造を含む、任意のプリオンタンパク質の誘導体、特にこれらの断片を指す。
好ましい実施形態において、プリオンタンパク質の機能的誘導体は、少なくとも1つのプリオン反復構造を有し、これらはオクタペプチド、擬似オクタペプチド、ヘキサペプチドまたは擬似ヘキサペプチドであり、より好ましくは、PHGGGWGQ(ヒト)、PHGGSWGQ(マウス)及びPHGGGWSQ(ラット)からなる群より選択される配列を有するオクタペプチド、または好ましくはPHGGGGWSQ(多様な種)及びPHGGGSNWGQ(有袋類)からなる群より選択される、前記配列に由来する擬似オクタペプチド、あるいはPHNPGY(トリ)、PHNPSY、PHNPGY(カメ)からなる群より選択される配列を有するヘキサペプチドまたは前記配列に由来する擬似ペプチドである。
より好ましい実施形態において、プリオン反復構造の少なくとも1つ、好ましくはそれぞれが、C末βターン構造に連結するN末ループ構造を含む。
最も好ましくは、本発明を実施するための機能的誘導体は、可逆的凝集及び/または解離、すなわち液体環境においてpH6.2〜7.8におけるオリゴマー形成及び/またはpH4.5〜5.5におけるオリゴマーの凝集の解離がさらに可能である。
本発明の方法の実施に有用なプリオンタンパク質の機能的誘導体はまた、マスクされていないセファロースにかなりの程度まで結合することを特徴とする。有意な範囲とは、誘導体が誘導された自然発生プリオンタンパク質と比較して、好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも70、さらにより好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも90%の誘導体が、マスクされないセファロースと結合することを意味する。プリオンタンパク質誘導体と結合したセファロースの範囲を確定するために、セファロースの結合を、例えばSepharose(登録商標)4B(Sigma、製品コード4B-200)を使用して評価できる。このようなアッセイのためのパラメーターは、当業者によりごく普通に測定できる。
当業者であればプリオンタンパク質の分野における平均的な技術の1つを十分理解するであろうように、本明細書中で述べたプリオンタンパク質の機能的誘導体は、少なくとも1つの前記のプリオン反復構造を含み、マスクされていないセファロースと結合可能であることを、簡単かつ十分に特徴とすることができる。ウシのプリオンタンパク質またはその誘導体に関して、プリオンタンパク質のセファロースに対する結合は、ヒトPrPにおけるアミノ酸残基の90〜230に相当する102〜241領域によって生じると推測される。他の種におけるプリオンタンパク質及びこれらの誘導体の類似領域は、同様のセファロース結合活性を有する。
好ましい実施形態において、本発明の実施のための機能的誘導体は、1つ以上のアミノ酸の欠失、置換及び/または挿入、及び/または1つ以上のアミノ酸の共有結合修飾によってプリオンタンパク質から誘導される。
より好ましい実施形態において、本発明の実施のための機能的誘導体は、1つ以上のオクタペプチド反復配列、好ましくはヒトPrPのアミノ酸51〜90及び/またはC末ドメイン、好ましくはアミノ酸121〜230を含む。
セファロースとPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体との結合、及び場合によりリガンド修飾セファロースを使用する場合、場合によりリガンド修飾セファロースのリガンド部分とPrPCタンパク質との結合を可能にする条件下で、前記プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を前記セファロースと接触させる条件は、好ましくは生理的条件、より好ましくはpH5〜8及び2〜39℃、より好ましくは約pH7及び約20〜25℃である。
セファロースのプリオンタンパク質及びその機能的誘導体に対する結合のためのさらなる条件は、イオン強度、緩衝物質などである。当業者は、セファロースのプリオンタンパク質に対する結合のための適切かつ最適化された条件をごく普通に測定できる。
結合していない非プリオンタンパク質、体液及び/またはPrPCタンパク質及び/またはこれらの誘導体の除去の文脈で使用される除去という用語は、遠心分離、ろ過、限外ろ過などのタンパク質とセファロース材料とを分離する標準的な技術を指す。
プリオンタンパク質の凝集によるプリオンタンパク質の結合のための前記の追加のリガンドを有するセファロースを使用する場合、当然pH6.2〜7.8が好ましい。
別の好ましい実施形態において、セファロースとプリオンタンパク質とを接触させる条件は、少なくとも1種の洗浄剤及び/または細胞溶解バッファーの存在を含む。そのように、対象となる試料中に存在する細胞及び/または膜分画は、プリオンタンパク質またはその機能的誘導体を自由化してこれらを接近可能にさせるいかなるあらかじめ必要な工程もなく、本発明に従った方法によって直接処理できる。
さらなる態様において本発明は、他のタンパク質からプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を、本発明に従った方法で濃縮、精製及び/または除去するためのセファロース、好ましくはリガンド修飾セファロースの使用に関する。
好ましい実施形態において、セファロースを、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を、全血液、血液画分または脳ホモジネート、好ましくは血漿から、濃縮、精製及び/または除去するための前記の方法の1つに使用する。
さらなる好ましい実施形態において、使用したセファロースは金属キレーティングセファロースであり、好ましくは二価金属イオン、より好ましくはNi2+、Co2+、Zn2+及びMn2+からなる群より選択される金属イオンを含む金属キレーティングセファロース、最も好ましくはZn2+である。
以下において、本発明の好ましい実施形態に関し、本発明の範囲を限定するとは見なされない実施例を用いて、本発明をさらに例示する。
<実施例1:異なるセファロースの、PrPScに対する全般的親和性結合>
実験計画:
多様なセファロースに対するプリオンタンパク質の結合親和性及び結合特異性を、組換えプリオンタンパク質を用いて、1000倍のBSAの存在下で調べた。組換えタンパク質のPrP-純粋(alicon ag、製品番号P0001)及びPrP-β(alicon ag、P0019及びP0027)を、それぞれPrPC及びPrPScのモデル物質として使用した。ウシPrP(25〜241)及びマウスPrP(89〜231)のβ型、並びにウシPrP(25〜241)の純粋型を、電気泳動移動度の違いからSDS-PAGEによってよく識別できた。
結合実験のために、5μgの試験したプリオンタンパク質と、5mgのBSAを、50mMのリン酸ナトリウムpH7を含む1mlの結合バッファーに溶解した。実験計画に応じて結合バッファーはEDTAまたは洗浄剤などの添加物を含んだ。セファロースマトリックスと結合バッファーとの混合物を1.5mlのバイアル中で4℃にて1時間回転させた。続いて、マトリックスを500gで遠心分離にかけ、1mlの結合バッファーを用いて2回洗浄し、非結合タンパク質を除去した。セファロース結合タンパク質を、5%SDS及び8Mの尿素を含む標準ゲルローディングバッファー10μl中で変性させ、12%ポリアクリルアミドゲル上でSDS-PAGEによって分析した。
Ni-Sepharose High Performance(Amersham、製品コード17-5268 02)への選択したカチオンイオンの再添加は、まずNi2+を除去するための50mMのEDTAを含む結合バッファーでマトリックスを2回洗浄することによって実施された。ストリッピングしたマトリックスを結合バッファーで2回洗浄し、50mMの金属イオンを含む結合バッファー中で、4℃で10分間回転させることによって再添加した。結合していない金属イオンを、結合バッファーを用いて2回洗浄後に除去した。
結果:
結果を以下の表1に要約した:「-」は、セファロースがPrPに対して親和性がないことを示し、「+」は、単量体型PrPに対して親和性があることを示し、「++」は単量体型PrPに対して高い親和性があることを示し、「+++」は、PrPの単量体型及びオリゴマー型に対して高い親和性があることを示す。PrPの型の「単量体」及び「オリゴマー」という用語は、分子間ジスルフィド結合のない凝集PrP型ではなく、SDS-PAGEにおける非還元条件下で観察されるジスルフィド架橋オリゴマーを指す。
非連結型セファロースは、ウシPrP(25〜241)及びマウスPrP(89〜231)のβ型と高い親和性で結合するが、ウシPrP(25〜241)の純粋型とは高い親和性で結合しない。結合は単量体とは起こるが、オリゴマー型とは起こらない(図2、レーン7;図3、レーン7)。PrPの1000倍のBSAが存在するが、セファロースマトリックスに結合したアルブミンの相対量は比較的低く、PrPの結合が高度に特異的であることを示す。
負に帯電したセファロースは、ウシPrP(25〜241)及びマウスPrP(89〜231)のβ型、並びにウシPrP(25〜241)の純粋型と高い親和性で結合する。結合は、単量体型及びオリゴマー型のPrPと起こる(図3、レーン1及び2)。
正に帯電したセファロースは、BSAに対する強い結合によって示されるような非特異的なタンパク質結合親和性を示した。SDS-PAGEゲル上に添加された全タンパク質が大量であるため、結合したPrPの量は決定できなかった。
試験したリガンド修飾セファロースのいくつかは、ウシPrP(25〜241)及びマウスPrP(89〜231)のβ型、並びにウシPrP(25〜241)の純粋型と高い親和性で結合する。結合はPrPの単量体型とは起こるが、オリゴマー型とは起こらない(図2、レーン4及び5;図3レーン3及び6)。しかし、他のいくつかのリガンド修飾セファロースは、BSAの強い結合によって示されるような非特異的なタンパク質結合親和性を示した(図2、レーン1〜2及び6;図3、レーン5)。
IMAC-セファロースは、ウシPrP(25〜241)及びマウスPrP(89〜231)のβ型、並びにウシPrP(25〜241)の純粋型と高い親和性で結合する。Ni-Sepharose High Performance(Amersham)などのいくつかのIMAC-セファロースに関して、結合はPrPの単量体型及びオリゴマー型と起った(図1、レーン9;図2、レーン9;図3、レーン9;図4、レーン10)。しかし、多くのセファロースは単量体PrPと独占的に結合した。
IMACセファロースのプリオンタンパク質に対する結合は、キレートされた金属イオンの型によって調節される。Ni2+、Zn2+及びCo2+を再添加したNi-Sepharose High Performanceは、ウシPrP(25〜241)及びマウスPrP(89〜231)のβ型、並びにウシPrP(25〜241)のPrP-純粋型と高い親和性で結合する(図4、レーン5、6、7及び10)。オリゴマーPrP型のNi-Sepharose High Performanceに対する結合は、0.5%Triton X-100を用いて洗浄した後も変化しないままであり(図4、レーン8)、結合が特異的であることを示している。BSAを用いて、Ni-Sepharose High Performanceをあらかじめ被覆しておくと、オリゴマーPrP型のより効果的な結合が得られる(図5、レーン7〜8)。Ni-Sepharose High PerformanceにCu2+を再添加することにより、大量のBSAの非特異的結合が得られ(図4、レーン1)、ゆえに複合タンパク質溶液中のプリオンタンパク質を特異的に濃縮するには適切ではない。Mn2+、Mg2+またはCa2+を用いて再添加したNi-Sepharose High Performanceは、圧倒的に単量体とPrP結合する(図4、レーン4;図5、レーン4〜6)。
解説:
PrP-βのセファロースに対する結合は、
−セファロースマトリックスの近接性;
−セファロース固定化金属イオンの存在;
−セファロース上の負の電荷の存在;
によって調節される。
PrP-純粋のセファロースに対する結合は、
−セファロース固定化金属イオンの存在;
−セファロース上の負の電荷の存在;
によって調節される。
セファロースに対するβ型の固有の親和性に関与するアミノ酸は、ウシプリオンタンパク質配列の残基104から241の範囲に位置する。オクタペプチド反復を含む残基25から103は、従ってセファロースの結合を必要としない。しかし、残基23から103の存在は、固定化金属イオン及び負の電荷の結合によって、それぞれIMACセファロースまたはカチオンイオン交換セファロースに対する親和性の上昇をもたらす。
概要:
非連結型セファロースは、PrP-β(PrPScに相当する)に関する固有の親和性を有するが、PrP-純粋(PrPCに相当する)に関しては有さない。従って、非連結型セファロースは、プリオンの濃縮、精製及び除去に、PrPCの濃度に影響を与えずに使用できる。
セファロースに対するPrP-βの結合親和性は、マトリックスが固定化金属イオン(Ni2+、Zn2+、Co2+など)または負の電荷(スルホプロピルまたはカルボキシメチルなど)を用いて修飾した場合に上昇し、これらのリガンドは、PrP-純粋に対しても結合する。従って、IMACセファロース及び負に帯電したセファロースは、多様なプリオンタンパク質型の濃縮、精製及び除去に使用できる。
<実施例2:血液中の天然プリオンタンパク質の濃縮>
実験計画:
健常なヒト及び動物の血液中のPrPC量はごくわずかである。任意の濃縮工程を用いなければ、ウェスタンブロットなどの従来の分析方法を使用してもPrPCは検出されない。しかし、ウシ(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを、20mlの血液に適用するとPrPCが明らかになる。
ウシ(25〜241)をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceは、5ngの組換えプリオンタンパク質を、50mMのリン酸バッファーで平衡化させた20mlのセファロースに添加することによって調製された。混合物をボルテックスにかけ、回転させながら4℃で1時間インキュベートした。
新鮮なウシの血液からの細胞溶解物及び血漿の調製を、標準的プロトコルを使用して実施した。例えば、EDTAチューブに収集された20mlの血液を、クエン酸ナトリウムを用いて1/10に希釈し、最終濃度を10mMにした後で、そこから血漿分画を調製した。クエン酸添加血液を、Gey's平衡塩溶液(Sigma、製品コードG9779)を1/1で用いて希釈し、慎重に混合した。溶液を50mlのファルコンチューブに各チューブの最大量を15mlとして分配し、200gで7分間、ブレーキをかけながら遠心分離にかけた。上清にEDTAを添加し、最終濃度を10mMとし、ブレーキをかけながら560gで10分間遠心分離にかけた。ウシPrP(25〜241)をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performance60μlを各血液分画に添加することによって、天然の血液PrPを濃縮した。タンパク質溶液を4℃において1時間、回転させながらインキュベートし、500gで2分間遠心分離にかけた。上清を捨て、セファロースを100mMのリン酸ナトリウム、10mMのTris、20mMのイミダゾールを含むpH8のバッファー1mlを用いて2回洗浄し、結合していないタンパク質を除去した。連続的なプロテイナーゼK消化のために、各血液分画を三分割した。セファロース結合タンパク質を、0μg/ml〜50μg/mlの濃度のプロテイナーゼK(Sigma、P2308)と共に、エッペンドルフサーモミキサー(Eppendorf Thermomixer)で、1400rpmで振とうしながら37℃で1時間インキュベートした。試料の容量は、0.2mlのPCRチューブに80μlであり、切断バッファーは50mMリン酸ナトリウムpH7及び150mM NaClで組成された。プロテイナーゼK反応中のセファロースマトリックスの均一な分布を保証するために、0.5cmに切断した10μl-チップ(Treff)をPCRチューブの中に加えた。150mMのPMSFストック溶液を2μl添加することによって、反応を停止させた。チューブをボルテックスにかけ、500gで2分間遠心分離にかけ、上清を捨てた。セファロース結合タンパク質を、5% SDS及び8Mの尿素を含むゲルローディングバッファー10μl中で変性させ、12%アクリルアミドゲル上に添加した。タンパク質を、セミドライ式の不連続の3種のバッファー系を使用して、PVDFに転写した。移動は、1時間で1mA/cm2であった。ブロットは、ECL Advance Western Blotting Detection Kit(Amersham)の標準的プロトコル、PrP特異的モノクロナール抗体、及びペルオキシダーゼ結合抗マウスモノクロナール抗体を使用することによって分析した。
結果:
濃縮の後、単球及びリンパ球、血小板及び血漿を含む多様な血液分画中で、ナノグラム量のPrPCを測定した(図6)。血液細胞及び血漿中の天然PrPCは、大部分がジグリコシル化されており、約35kDaの見かけの分子量を有する。好中球は有意な量のプリオンタンパク質を発現しない。
セファロース結合PrPを、プロテイナーゼK消化に利用することができる。細胞溶解物または血漿由来の固定化プリオンタンパク質を、5μg/mlのプロテイナーゼKを用いて1時間処理した後で、PrPCは部分的に分解され、見かけの分子量は約30kDaを示す(図7及び8)。プロテイナーゼKの濃度を10倍高くすると、プリオンタンパク質は完全に分解される。
概要:
IMAC-セファロースは、体液由来の全プリオンタンパク質を濃縮するための優れたマトリックスを構成する。セファロース固定化プリオンタンパク質を、さらにプロテイナーゼ消化などのプリオンの診断用の生化学的分析に利用することができる。
<実施例3:脳ホモジネートと混合後の血液中のPrPScの濃縮>
実験計画:
血液中の天然PrPScの性質は未知であるが、脳において発見されたPrPScと同様の生化学的特徴を有すると思われる。本発明者らは、脳ホモジネート由来のPrPSc(PrPSc濃度は、1pg/ml〜1ng/ml)を、ウシPrP(25〜241)をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceに対する結合を分析するためのモデル基質として、使用した。
様々な量のスクレイピー脳ホモジネートを試料に加えたことを除いて、濃縮実験を実施例2に記載したように実施した。
結果:
1mlのリン酸ナトリウムバッファーpH8を脳ホモジネートと混合し、最終濃度をPrPSc1ng/mlとし、続いて200倍に濃縮した後、ジグリコシル化、モノグリコシル化、及び非グリコシル化されたPrPSc及び多様型を、ウェスタンブロットで検出できた(図9)。従って、その凝集及びグリコシル化状態に独立して、PrPScは効果的にセファロースに結合する。5及び25μg/mlプロテイナーゼKの存在下で、約70個の残基が固定化PrPScのN末端から除去される。同様の結果が、5000倍濃度のPrPSc、並びに0.5%Triton X-100、0.5%デオキシコレート、及び0.43%のスクロースを含むリン酸バッファー中で得られる。N末端の切断後でさえ、PrPScのセファロースに対する結合は、洗浄剤または炭水化物の存在によって減少しない。
血小板溶解物及び血漿を用いても同様の結果が得られた。脳ホモジネート由来の天然血液のPrPC及びPrPScは、セファロースマトリックスによって共濃縮された。5μg/mlのプロテイナーゼKの存在下で、天然PrPCは完全に分解されるのに対して(図10A)、濃縮されたPrPScはジグリコシル化、モノグリコシル化及び非グリコシル化型の通常のパターンを示した(図10B)。
概要:
IMAC-セファロースは、体液由来の感染プリオンを濃縮するための優れたマトリックスを構成する。セファロース固定化PrPScを、さらにプロテイナーゼ消化などのプリオンの診断用の生化学的分析に利用することができる。
<実施例4:濃縮されたプリオンタンパク質の構造特異的溶出>
実験計画:
前記実施例において述べたように、Ni-Sepharose High Performanceは組換えタンパク質PrP-β及びPrP-純粋、並びに天然PrPC及びPrPScに対して高度の親和性で結合する。
セファロースマトリックスの溶出特性を調査するために、本発明者らは、結合バッファーが多様な濃度のEDTAを含むことのみを除いて、前記のような同様の実験計画を使用した。
結果:
10mMのEDTAの存在下において、組換えPrPの二量体型がセファロースマトリックスから排他的に放出された。ウシPrP(25〜241)の純粋型は、40mMのEDTAの存在下において放出されるのに対して、β型は、EDTA濃度が80mMであってもセファロースに対して結合したままである(図1)。
PrPScの3種の糖型及び組換えウシPrP(25〜241)は、Ni-Sepharose High Performanceを用いて処理した場合、共濃縮される。セファロースマトリックスを増加する濃度のEDTAを用いて洗浄した後、ウシPrP(25〜241)は徐々に放出されたのに対して、PrPScは結合したままである(図11)。従って、天然PrPCに代表される純粋型は、セファロースから特異的に放出される。同様の結果が、スクレイピー脳ホモジネートと混合した血液由来の天然PrPCからも得られた。
解説:
EDTAをNi-Sepharose High Performanceに加えると、セファロースからNi2+のストリッピングが起こる。ある濃度のEDTAでセファロース固定化Ni2+の量がある値より下がった場合、利用できる結合部分が十分でなく、PrPCはセファロースから放出される。対照的に、PrPScは、その付加的なセファロース結合活性のため、結合したままである。
概要:
IMAC-セファロースは、EDTAの存在下で体液由来のPrPC及びPrPScの濃縮、続く2種のPrP配座異性体の分離のための優れたマトリックスを構成する。
<実施例5:BSE感染ウシ由来の血液中の天然PrPScの検出>
実験計画:
BSEプリオンを用いて感染させたウシの血液中のPrPSc量は、ほんのわずかである。任意の濃縮工程を用いなければ、ウェスタンブロットなどの従来の分析方法を使用してもPrPScは検出されない。しかし、ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを、BSEに実験的に感染させたウシの血液20mlに適用すると、PrPScが明らかになる。
これらの実験のために、本発明者らは実施例2と同じ実験的セットアップを使用する。
結果:
血漿由来の固定化プリオンタンパク質を25μg/mlまたは50μg/mlのプロテイナーゼを用いて処理した後、BSEに感染したウシに通常検出される4本のプリオンタンパク質のバンドの蓄積がある(図12A)。プロテイナーゼKの不在下で分解されなかったPrPCと比較して、ピコグラム量のPrPScがシフトした。このようなバンドは、対照のウシにはまったく観察されない(図12B)。
概要:
IMAC-セファロースは、BSE感染ウシの体液由来の天然PrPScの検出のための優れたマトリックスを構成する。
<実施例6:ろ過による血液中の天然プリオンタンパク質の除去>
実験計画:
前記実施例から、使用した少量のセファロースマトリックスはナノグラム範囲の結合容量を有することが分かった。従って、ヒト及び動物の血漿などの体液から、全プリオンタンパク質を完全に除去するために、セファロースを利用することができる。
血漿のろ過実験のために、本発明者らは、4回分のセファロースマトリックスを連続して同じ血漿に加えたことを除いて、実施例2に記載したような同じ実験的セットアップを使用した。ヒト及びウシの血漿のろ過のためのNi-Sepharose High Performanceに、それぞれヒトPrP(23〜230)ウシPrP(25〜241)の純粋型をあらかじめ添加した。
結果:
ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performance20μlの初回分が、ウシ血液由来の血漿10ml中で1時間インキュベートした後、天然プリオンタンパク質のナノグラム量と結合する(図13)。2回目分のセファロースにはすでに検出限界の1pgに至るまでプリオンタンパク質がない。3回目及び4回目の分のセファロースに関しても、同じ結果が得られた。従って、全プリオンタンパク質は、セファロースマトリックスとの初回のインキュベート期間後にすでに血漿から除去されていた。
ヒトPrP(23〜230)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performance20μlの初回分もまた、10mlのヒト血漿中で1時間インキュベートした後、ナノグラム量の天然プリオンタンパク質と結合する(図14)。2回目及び3回目分のセファロースは前回分と比べて比較的少ないプリオンタンパク質とそれぞれ結合する。4回目の分のセファロースは、検出限界の1pgに至るまで、プリオンタンパク質と完全に結合していない。従って、全プリオンタンパク質はヒトの血漿から除去されていた。
ヒトの血漿をろ過するために必要な、ウシの血漿と比較してより多量のセファロースは、ヒト血漿中のPrPCの約4倍量であると明らかになった。
概要:
IMAC-セファロースは、ヒト及びウシの血漿などの体液に由来する天然プリオンタンパク質の除去のための優れたマトリックスを構成する。
組換えのPrP-β及びPrP-純粋の、Ni-Sepharose High Performanceに対する特異的結合を示した図である(実施例1及び4)。 1:80mM EDTA、2:60mM EDTA、3:50mM EDTA、4:40mM EDTA、5:30mM EDTA、6:20 EDTA、7:10mM EDTA、8:5mM EDTA、9:EDTAなし、10:標準的タンパク質。(a)BSA、(b)ウシPrP(25〜241)β型及び純粋型のオリゴマー、(c)ウシPrP(25〜241)純粋型、(d)ウシPrP(25〜241)β型、(e)マウスPrP(89〜231)β型。 PrP-β及びPrP-純粋の、種々のセファロースに対する結合を示した図である(実施例1)。 1:Blue Sepharose(登録商標)CL-6B、2:イミノ二酢酸Sepharose(登録商標)、3:α-ラクトース-アガロース、4:レクチン-アガロース、5:プロテインA Sepharose(登録商標)、6:Phenyl-Sepharose(登録商標)CL-6B、7:Sepharose(登録商標)CL-4B、8:50mM EDTA存在下のNi-Sepharose High Performance、9:Ni-Sepharose High Performance、10:標準的タンパク質。(a)BSA、(b)ウシPrP(25〜241)β型及び純粋型のオリゴマー、(c)ウシPrP(25〜241)純粋型、(d)ウシPrP(25〜241)β型、(e)マウスPrP(89〜231)β型。 PrP-β及びPrP-純粋の、種々のセファロースに対する結合を示した図である(実施例1)。 1:SP Sepharose(登録商標)、2:CM Sepharose(登録商標)、3:ストレプトアビジン-酸化鉄粒子、4:EZview(商標)Redストレプトアビジンアフィニティーゲル、5:リアクティブレッド120-アガロース、6:イミノ二酢酸Sepharose(登録商標)、7:Sepharose(登録商標)4B、8:50mM EDTA存在下のNi-Sepharose High Performance、9:Ni-Sepharose High Performance。(a)BSA、(b)ウシPrP(25〜241)β型及び純粋型のオリゴマー、(c)ウシPrP(25〜241)純粋型、(d)ウシPrP(25〜241)β型、(e)マウスPrP(89〜231)β型。 PrP-β及びPrP-純粋の、種々のカチオンイオンを再添加した後のNi-Sepharose High Performanceに対する結合を示した図である(実施例1)。 1:Cu2+、2:空のレーン、3:Ag+、4:Mn2+、5:Zn2+、6:Co2+、7:Ni2+、8:Ni2+及び0.5%Triton X-100存在下の結合、9:Ni2+及び50mM EDTA存在下の結合、10:未処理マトリックス。(a)BSA、(b)ウシPrP(25〜241)β型及び純粋型のオリゴマー、(c)ウシPrP(25〜241)純粋型、(d)ウシPrP(25〜241)β型、(e)マウスPrP(89〜231)β型。 PrP-β及びPrP-純粋の、種々のカチオンイオンを再添加したNi-Sepharose High Performanceに対する結合を示した図である(実施例1)。 1:未処理マトリックス、2:Ni2+及び50mM EDTA存在下の結合、3:Ni2+、4:Mn2+、5:Mg2+、6:Ca2+、7:BSAをあらかじめ添加したNi-Sepharoseマトリックス、8:BSAをあらかじめ添加したNi-Sepharoseマトリックス。(a)BSA、(b)ウシPrP(25〜241)β型及び純粋型のオリゴマー、(c)ウシPrP(25〜241)純粋型、(d)ウシPrP(25〜241)β型、(e)マウスPrP(89〜231)β型。 ウシ血液の種々の分画における天然PrPCの濃縮を示した図である。ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例2)。 1及び2:単球及びリンパ球、3及び4:好中球、5及び6:血小板、7及び8:血漿、9:標準的タンパク質。(a)天然PrPC、(b)ウシPrP(25〜241)純粋型、(c)プリオンタンパク質様の特徴を有するタンパク質。 プロテイナーゼKによる、ウシ血液の単球及びリンパ球から濃縮した後の天然PrPCの切断を示した図である。ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例2)。 1及び2:プロテイナーゼKなし、3:5μg/mlプロテイナーゼK、4:25μg/mlプロテイナーゼK、5:50μg/mlプロテイナーゼK。(a)ウシPrP(25〜241)純粋型オリゴマー、(b)天然PrPC、(c)プロテアーゼ切断PrPC、(d)ウシPrP(25〜241)純粋型。 プロテイナーゼKによる、ウシ血漿から濃縮した後の天然PrPCの切断を示した図である。ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例2)。 1及び2:プロテイナーゼKなし、3:0.5μg/mlプロテイナーゼK、4:5μg/mlプロテイナーゼK、5:50μg/mlプロテイナーゼK。(a)天然PrPC、(b)プロテアーゼ切断PrPC、(c)ウシPrP(25〜241)純粋型。 プロテイナーゼKによる、天然スクレイピー脳ホモジネートを混ぜたバッファー溶液から濃縮した後の天然PrPScの切断を示した図である。ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを、濃縮のために使用した(実施例3)。 A:50mMリン酸ナトリウムバッファー中。B:0.32Mスクロース、0.1% NP40、0.1%デオキシコレート。1:プロテイナーゼKなし、2:5μg/mlプロテイナーゼK、3:25μg/mlプロテイナーゼK。(a)天然PrPScオリゴマー、(b)天然PrPSc単量体型。 プロテイナーゼKによる、ウシ血液の血小板から濃縮した後の天然PrPC及び天然PrPScの切断を示した図である。ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを、濃縮のために使用した(実施例3)。 A:スクレイピー脳ホモジネートを含まない血小板溶解物。B:天然スクレイピー脳ホモジネートを混ぜた血小板溶解物。1:プロテイナーゼKなし、2:50μg/mlプロテイナーゼK。(a)天然PrPScオリゴマー、(b)天然PrPC及び天然PrPScの単量体型。 組換えPrP-純粋からの天然PrPScの分離を示した図である。ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを、濃縮のために使用した(実施例4)。 1:EDTAなし、2:5mM EDTA、3:10mM EDTA、4:15mM EDTA、5:20mM EDTA、6:30mM EDTA。(a)天然PrPScオリゴマー、(b)ジグリコシル化PrPSc、(c)モノグリコシル化PrPSc、(d)非グリコシル化PrPSc、(e)ウシPrP(25〜241)純粋型。 プロテイナーゼKによる、ウシ血液の血漿から濃縮した後の天然PrPC及び天然PrPScの切断を示した図である。ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceを、濃縮のために使用した(実施例5)。 A:実験的にBSEプリオンに感染させたウシ、B:BSEに感染していないウシ。1:プロテイナーゼKなし、2:25μg/mlプロテイナーゼK、3:50μg/mlプロテイナーゼK。(a)天然型のPrPC及びPrPSc、(b)ウシPrP(25〜241)純粋型。4つの矢印は、BSEプリオンに感染したウシに典型的に観察され、健常な対照動物には観察されない、プロテイナーゼKによるPrPScの切断産物を示す。 ウシ血漿からの全PrPの除去を示した図である。ウシPrP(25〜241)純粋型をあらかじめ添加したNi-Sepharose High Performanceの4回分を、段階的除去のために使用した(実施例6)。血漿は2例の血液ドナーA及びBから得た。 1:血漿Aからの初回除去、2:血漿Bからの初回除去、3:血漿Aからの2回目の除去、4:血漿Bからの2回目の除去、5:血漿Aからの3回目の除去、6:血漿Bからの3回目の除去、7:血漿Aからの4回目の除去、8:血漿Bからの4回目の除去、9:標準的タンパク質。(a)ウシPrP(25〜241)純粋型オリゴマー、(b)天然PrPC、(c)ウシPrP(25〜241)純粋型。 ヒト血漿からの全PrPの除去を示した図である。ヒトPrP(23〜230)純粋型をあらかじめ添加したHigh Performanceの4回分を、段階的除去のために使用した(実施例6)。 1:初回除去、2:2回目の除去、3:3回目の除去、4:4回目の除去。(a)ウシPrP(25〜241)純粋型オリゴマー、(b)ジグリコシル化天然PrPC、(c)天然PrPCの切断型、(d)ウシPrP(25〜241)純粋型。

Claims (28)

  1. a)セファロースがプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体と特異的かつ高親和性で結合可能な条件下で、前記プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を前記セファロースと接触させる工程;
    b)前記セファロースから結合していない非プリオンタンパク質を除去する工程;
    を含み、前記セファロースがCu2+キレーティングセファロースではない、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体の濃縮及び/または精製方法。
  2. a)セファロースがプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対して特異的かつ高親和性で結合可能な条件下で、前記プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を含む体液を前記セファロースと接触させる工程;
    b)前記セファロースから体液を除去する工程;
    を含む、体液からのプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体の除去方法。
  3. 前記体液が、全血液、血液分画、または脳ホモジネート、好ましくは血漿から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記セファロースが非連結型セファロースから選択され、好ましくはSepharose 2B(登録商標)、4B(登録商標)、6B(登録商標)、Sepharose CL-4B(登録商標)、Sepharose-6B(登録商標)、Superdex 75(登録商標)、Sephacryl 100HR(登録商標)、及びSephadex G10(登録商標)からなる群より選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記セファロースがリガンド修飾セファロースから選択され、好ましくは金属キレーティングセファロース、レクチンアガロース、イミノ二酢酸セファロース、プロテインAアガロース、ストレプトアビジンセファロース、スルホプロピルセファロース、及びカルボキシメチルセファロースからなる群より選択され、より好ましくは金属キレーティングセファロースから選択され、最も好ましくは前記セファロースがZnセファロースである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. a)i)セファロース部分が、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対して特異的かつ高親和性で結合可能であり;
    ii)セファロースのリガンド部分が、PrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体に対して結合可能である;
    条件下で、前記プリオンPrPScタンパク質及び前記プリオンPrPCタンパク質及び/またはそれらの機能的誘導体をリガンド修飾セファロースと接触させる工程;
    b)場合により、結合していない物質を前記リガンド修飾セファロースから除去する工程;
    c)場合により、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に近接するいくらかのまたは大部分のリガンド結合PrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体が、プリオンPrPScタンパク質及び/または機能的誘導体に転換するために十分な時間待つ工程;
    d)前記セファロースのリガンド部分からPrPCタンパク質及び場合により非プリオンタンパク質を放出可能にするが、前記セファロース部分からプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を放出可能にしない条件下で、工程a)、b)、またはc)からのセファロース結合タンパク質及び/またはその機能的誘導体に選択的放出剤を添加する工程;
    e)前記セファロースからPrPCタンパク質及び場合により非プリオンタンパク質を除去する工程;
    を含む、プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体をプリオンPrPCタンパク質及び/またはその機能的誘導体から分離及び/または高濃度化する方法。
  7. f)前記セファロースからPrPScプリオンタンパク質及び/またはその機能的誘導体を放出する工程;
    をさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. PrPScプリオンタンパク質及び/またはその機能的誘導体の放出が、カオトロピック剤及び/または洗浄剤、好ましくは尿素及び/または塩化グアニジン及び/またはSDSの添加、より好ましくは尿素及び/またはSDSの添加、最も好ましくは8Mの尿素と5%のSDSとを含むゲルローディングバッファーの添加、並びに電界の印加によって達成される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記リガンド修飾セファロースが、二価の固定化金属イオンを含む金属キレーティングセファロースである、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記金属イオンが、Ni2+、Co2+、Zn2+、Mg2+、Ca2+、及びMn2+からなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記金属イオンが、Ni2+、Co2+、Zn2+、及びMn2+からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記金属イオンがZn2+である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記リガンド修飾セファロースが、請求項9から12のいずれか一項に規定される金属キレーティングセファロースであり、前記選択的放出剤が、金属キレート剤、好ましくはEDTA、イミダゾール、及び/またはEGTAから選択される薬剤である、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記金属キレート剤がEDTAである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記金属キレーティングセファロースがZn2+を含み、前記金属キレート剤がEDTAである、請求項14に記載の方法。
  16. 非プリオンタンパク質及びPrPCを前記セファロース固定化金属イオンから放出可能にする請求項6の工程d)における前記条件が、金属キレート剤が5〜50mM、より好ましくは10〜25mMの濃度で、最も好ましくはEDTAが10〜25mMの濃度で存在することを含む、請求項6から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. プリオンPrPScタンパク質及び/またはプリオンPrPCタンパク質を結合するための少なくとも1種の追加のリガンドが前記セファロースに対して直接的または間接的に結合している、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記追加のリガンドが、プリオンタンパク質、プリオンタンパク質の機能的誘導体、Hisで標識されたプリオンタンパク質、プリオンタンパク質結合タンパク質、プリオンタンパク質結合抗体、及びプリオンタンパク質特異的リガンドからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記追加のリガンドが、プリオンタンパク質及び/またはその機能的誘導体である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記追加のリガンドが、好ましくはスペーサー分子によってセファロースに対して直接的または間接的に結合している、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記プリオンタンパク質及び/またはその機能的誘導体が、ヒト、ウシ、ヒツジ、マウス、ハムスター、シカ、またはラット由来のプリオンタンパク質及びこれらの誘導体からなる群より選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記機能的誘導体が、1つ以上のアミノ酸の欠失、置換及び/または挿入、並びに/あるいは1つ以上のアミノ酸の共有結合修飾によってプリオンタンパク質から誘導される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記機能的誘導体が、1つ以上のオクタペプチド反復配列、好ましくはヒトPrPのアミノ酸51〜90及び/またはC末ドメイン、好ましくはアミノ酸121〜230を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. セファロースがプリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体に結合するための条件が、生理的条件、好ましくはpH5〜8及び2〜39℃、より好ましくは約pH7及び約2〜8℃である、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記条件が、少なくとも1種の洗浄剤及び/または細胞溶解バッファーの存在を含む、請求項24に記載の方法。
  26. プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を他のタンパク質から、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法で濃縮、精製、及び/または除去するための、PrPScに対して特異的かつ高親和性で結合するセファロースの使用。
  27. プリオンPrPScタンパク質及び/またはその機能的誘導体を、全血液、血液分画、または脳ホモジネート、好ましくは血漿から、濃縮、精製、及び/または除去するための、請求項26に記載のセファロースの使用。
  28. 前記セファロースが金属キレーティングセファロースであり、好ましくは二価の金属イオンを含み、より好ましくは金属イオンがNi2+、Co2+、Zn2+、及びMn2+からなる群より選択され、最も好ましくはZn2+である、請求項26または27に記載の使用。
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