JP2010515879A - プリオンタンパク質を取り出すための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、プリオンPrPScタンパク質へのセファロースの特異的高親和性結合を可能にする条件の下で、プリオンPrPScタンパク質を含む生体由来物質をセファロースに接触させ、前記セファロースから前記生体由来物質を取り出すことにより、前記生体由来物質からプリオンPrPScタンパク質を取り出すための方法であって、前記生体由来物質が哺乳動物尿もしくはその分画から、または細胞培養由来物質から選択される方法に関する。本発明の別の態様は、生体由来物質からプリオンPrPScタンパク質を取り出すための特異的高親和性セファロースの使用に関する。

Description

本発明は、プリオンPrPScタンパク質へのセファロースの特異的高親和性結合を可能にする条件の下で、プリオンPrPScタンパク質を含む生体由来物質をセファロースと接触させ、セファロースから生体由来物質を取り出すことにより、生体由来物質からプリオンPrPScタンパク質を取り出すための方法であって、生体由来物質が哺乳動物尿もしくはその分画からまたは細胞培養由来物質から選択される方法に関する。
本発明の別の態様は、生体由来物質からプリオンPrPScタンパク質を取り出すための特異的高親和性セファロースの使用に関する。
細胞プリオンタンパク質を「PrPC」と呼ぶ天然プリオンタンパク質は、自然界全体に広く分布しており、哺乳動物では特によく保存されている。スクレイピープリオンタンパク質を「PrPSc」、またはプロテイナーゼK抵抗性プリオンタンパク質を「PrPres」と呼ぶ感染性タンパク質への天然PrPCタンパク質の転換が、種々の疾患を伝播させると考えられている。プリオン関連疾患の例には、たとえば、ヒトではクールー病およびクロイツフェルトヤコブ病(CJD)、ヒツジではスクレイピー、ウシではウシ海綿状脳症(BSE)、シカおよびエルクでは感染性ミンク脳症および消耗性疾患が挙げられる。
BSEは狂牛病の一種であり、ヒトを含む多種多様な他の哺乳動物に感染性がある。ヒト型BSEは新型変異クロイツフェルトヤコブ病またはvCJDと呼ばれる。英国では推定4000万人が1980年代中頃から後期の間にBSE汚染牛肉を摂取した。経口感染疾患の潜伏期は20〜30年になることがあるために、この疾患の本当の広がりは2010年の後まで明らかにならない可能性がある。
感染牛肉の摂取に加えて、輸血によりヒト間でプリオン関連疾患が感染する可能性がある。現在、輸血によるプリオン感染を示す直接の徴候(2件)があるために、血液製剤の安全性に関する懸念が増加している。同様に、感染プリオンはリンパ球上に存在することがすでに明らかにされており、プリオンが細胞結合型であることに加えて血漿中に存在することを示す証拠もある。さらに、動物は、プリオン汚染土壌上で草を食むことにより、またはプリオン感染した乾草ダニを含む乾草を摂取することによりプリオン関連疾患に感染することがある。
哺乳動物由来生体由来物質からプリオンタンパク質を検出し、除去もする能力は、食品産業および医療分野においては極めて重要である。
プリオンタンパク質を検出するために、プリオン特異的抗体に基づくいくつかのアッセイ法が開発されている。しかし、自然界および哺乳動物において、特に移植用のヒト血液、ヒトまたは他の哺乳動物の臓器において、および哺乳動物由来の食肉および加工食品においては、プリオンタンパク質が非常に低濃度であるため、これらのアッセイ法では事前の濃縮が必要である。
この10年間にプリオンタンパク質およびその誘導体を精製するためのいくつかのアプローチが開発された。アフィニティークロマトグラフィーは、適切な精製技術として主要な役割を果たしている。特に、セファロースゲルは、アフィニティークロマトグラフィー用のリガンドを担持するのに適した支持体であることが判明している。
Grathwohlら(Arch. Virol. (1996年) 141: 1863〜1874頁)は、二価の銅イオンセファロースを支持体材料として用いる固定化金属(Cu2+)アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)による、感染直後のスクレイピー感染マウスのマウス脾臓からのPrPScの濃縮を開示している。しかし、彼らは、感染の最初期段階での診断には、サルコシルとNaClを使った塩析によるPrPScの抽出のほうが有効であることを見出した。
国際公開第01/77687号では、セファロースに結合した特異的ヘキサペプチドリガンドを使った部分精製した可溶性調製物からのPrPCプリオンタンパク質の除去を、標準物質と同一のセファロース物質単独により実現される除去と比較している。SPセファロースおよびDEAEセファロース単独は、ヘキサペプチドリガンド結合樹脂で実現される結合の100分の1のPrPCへの結合を示す。実際、前記文書はこの点に関して、
「pH7.4では、DEAEセファロースもPrPCに結合していないように思われる」
と述べている。
PrPCへのSPセファロースの低い結合は、シリカ、すなわち非特異的結合体へのPrPCの結合と比しても20分の1未満である。PrPCに対してDEAEセファロースは全く結合せず、SPセファロースは非常に低い非特異的な親和性で結合するという事実から、低結合親和性の原因になっているのはSPセファロースのSP(スルホプロピル基)部分であることは明らかである。したがって、国際特許第01/77687号は、実際に、PrPC特異的リガンド用の不活性固体支持体としてのセファロースの使用、およびSPセファロースのSP部分が事実上、非特異的結合体シリカの親和性の20分の1未満の親和性でPrPCに結合することができることを教示している。
P.R.Fosterの文書(Transfusion Medicine、1999年、9、3〜14頁)は1999年に発表されたが、この当時、プリオン研究はまだその初期の頃であり、科学界にはプリオンPrPScタンパク質の物理化学的組成に関して手掛かりは何もなく、感染性海綿状脳症(TSE)の原因「物質」の検出はまだ、ほとんど定量的重要性のない複雑で間違いを起こしやすい動物研究に頼っていた。さらに、前記文書は、PrPScが通常、その「非常に低い水溶解度」により、沈殿過程で沈殿して固体相になる傾向があることに注目している。さらに、PrPScには、多種多様な表面に付着し、特に血漿製品の製造のために使用されるクロマトグラフィーおよびろ過媒体と相互作用をするであろう強い親水性および疎水性ドメインがあると前記文書は述べている。前記文書は、イオン性、陽イオン、疎水性およびいくつかの未同定樹脂がPrPScに結合するであろうことを報告している。吸着を防ぐために特に前処理されたろ過用の酢酸セルロース膜でさえもPrPScと相互作用をするであろう。しかし、この文書に発表された研究はすべてTSE感染性の低下に基づいており、吸着剤へのPrPScの実際の結合は全く実証していなかった。吸着材結合は別にして、低下したPrPSc活性は、他の機構、たとえば、(i)PrPScの溶液中での沈殿ならびにろ過材およびクロマトグラフィー支持体材料などの固体物による機械的保持、(ii)固体への接触によるおよび/または経時的なPrPScの不活化によっても生じる可能性があることが特に注目されている。この点に関して、前記筆者は、クロマトグラフィー材料の考察の中で、
「異なるリガンド、マトリックス、および吸着の原理を使用したにもかかわらず」
調査した吸着材すべてがPrPScの分離をもたらしたことに注目した。
この文書の表1でも、他の吸着材と比較した場合、陰イオン、陽イオンおよび疎水性結合型セファロースに対するPrPSc感染性の弱い低下が開示されている。しかし、前記文書は、セファロース自体に関係するその教示を実施するための材料または方法を何も開示してはおらず、これらのセファロース関連実施形態のための他のいかなる公表されている参考文献にも言及していない。したがって、セファロースベースの吸着材に関係する結果は有効な開示に欠ける。さらに、表1の結果は、用いたSPセファロースがPrPScに対する高結合親和性を有するが、QセファロースはPrPScに対して本質的に結合親和性がないことが実証された本文書の明細書(28頁の表)とは矛盾している。前記結果の忠実度に関して、筆者自身、
「TSE病原体全体(…)、特にnvCJDの物理化学的特性に関してはまだ多くのことが知られていない。そのようなデータがない場合、存在する可能性があるいかなるnvCJD病原体をも完全に除去する特定の工程段階の個別であれ組み合わせてであれの能力については不確実性が存在することは不可避である(強調は追加したもの)」
と書き留めている。
言い換えると、筆者P.R.Foster自身は、1999年には、PrPScを効果的に減少させるための血漿分画段階の潜在能力の研究に付随して多くの固有の問題が存在したこと、およびこの文書の結果は前記文脈では推測的で予備的なものと見なさなければならないことを認めていた。
ヒトまたは動物プリオンタンパク質を精製および/または検出するための特に洗練された、高精度で高度に選択的な方法は、pH 6.2〜7.8でプリオンタンパク質とオリゴマー形成し、pH 4.5〜5.5で再び解離する1つまたは複数のプリオン繰り返し構造体を有するプリオンタンパク質またはその誘導体の可逆的凝集および解離に基づいている。たとえば、固体支持体に付着しているプリオン繰り返し構造体(複数可)を有するタンパク質はプリオンタンパク質とオリゴマー形成することができ、それによってこれを検出または除去することができる(PCT/欧州特許出願公開第2004003060号)。
現時点では、簡単で費用効率が高く高度に選択的で効果的な形で、プリオンPrPScタンパク質を取り出す方法の必要性が当技術分野にはまだ存在する。
国際公開第01/77687号 欧州特許出願公開第2004003060号
Grathwohlら、Arch. Virol、1996年、141、1863〜1874頁 P.R.Foster、「Transfusion Medicine」、1999年、9、3〜14頁
したがって、本発明の根底にある目的は、生体由来物質からPrPScを除去するための簡単で低コストで効率的で高度に選択的な方法を提供することである。
本発明の根底にある目的は、プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を生体由来物質から除去するための、以下の段階:
a)前記プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体へのセファロースの特異的高親和性結合を可能にする条件の下で、プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を含む生体由来物質をセファロースに接触させる段階と、
b)前記セファロースから前記生体由来物質を取り出す段階と
を含む方法であって、前記生体由来物質が、(i)哺乳動物尿もしくはその分画または(ii)細胞培養由来物質から選択される方法により解決される。
本発明の好ましい実施形態では、前記生体由来物質は体液でもその分画でもない。
本発明の好ましい実施形態では、前記セファロースは好ましくはCu2+キレート化セファロースではない。
本明細書で使用する用語「生体由来物質」とは、生物起源のあらゆる物質、または生物起源の物質を含むあらゆる物質を包含する。好ましくは、前記物質は哺乳動物起源である、または哺乳動物起源の物質を含み、たとえば、哺乳動物タンパク質、ホルモン、ビタミン、脂肪酸、細胞、組織、臓器である。さらに好ましくは、哺乳動物起源は、ヒトまたはウシであり、ヒトがもっとも好ましい。
本発明の方法は、食料および/または薬物としてヒトまたは動物が摂取する生成物を調製するために使用される生体由来物質からプリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を除去するのに特に適している。
好ましい実施形態では、本発明は、細胞培養由来物質が、
(I)細胞および/または哺乳動物由来物質を含む培養系のための培地
(II)哺乳動物または哺乳動物由来細胞
(III)哺乳動物由来物質またはその混合物、好ましくは部分的に単離されたおよび/または精製された哺乳動物由来物質またはその混合物、
から選択される、好ましくは、ペプチド、タンパク質、糖類、ホルモン、および脂肪酸からなる群から選択される前記方法に関する。
本発明の方法は、細胞培養由来物質および尿からプリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を除去し、それによって、こうして得られた生成物を哺乳動物による摂取にさらに安全なものにする。
多くの食料および医薬品が、哺乳動物起源由来でありかつ/または汚染物質もしくは添加物として哺乳動物起源の生成物を包含し、すなわちプリオンPrPScタンパク質またはその誘導体に汚染されている可能性のある組換え生成物を含む。本発明の方法は、これらの組換え生成物からプリオンタンパク質および/またはその機能的誘導体を除去するのに特に適している。したがって、さらに好ましい実施形態では、前記生体由来物質は、組換え細胞または組換えにより作製されたペプチド、タンパク質、(多)糖類、ホルモンもしくは脂肪酸である。
さらに好ましい実施形態では、本発明を実施するための生体由来物質は、CHO、COS、Hela、3T3、HEK、Jurkat-、BRLおよびBHK細胞からなる群から選択される天然のまたは組換え細胞である。前述の細胞は、細胞培養、特に組換え細胞培養、ならびに組換え生成物の製造の技術分野における当業者にはよく知られている。
非常に好ましい実施形態では、前記生体由来物質は、たとえば、ペプチド、タンパク質またはステロイドホルモンなどのホルモン、好ましくは性ホルモン、さらに好ましくはアンドロゲン(たとえば、テストステロン)、ゲスターゲン(たとえば、プロゲステロン)、エストロゲン(エストラジオール、エストロン、エストリオール)、ゴナドトロピン(たとえば、卵胞刺激ホルモン、黄体ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、血清ゴナドトロピン)、さらに好ましくは尿由来ホルモンからなる群から選択される。
前記ホルモンは哺乳動物細胞培養由来または尿由来のいずれかであるが、前記細胞培養または尿由来の液体がすでに実質的に除去されている、たとえば、10%未満、好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.1%未満、もっとも好ましくは0.01%未満であるかまたは実質的に全く液体を含まないように、すでに処理されていることが好ましい。
セファロースだけで(すなわち、それ自体は、ネイキッドであり、不活化され除去されマスクされたリガンドを有する)、PrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体に対して特異的高結合親和性を有することは、驚くべきことに見出されていた。したがって、PrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体へのセファロースの結合で、生体由来物質からPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を除去するのに十分である。前記セファロースから非結合生体由来物質を取り出すだけでよい。
本明細書で使用する用語「プリオンPrPScへのセファロースの特異的高親和性結合」は、前記セファロースそれ自体(すなわち、セファロースコアであるがその上のいかなるリガンドでもない)は、PrPScに特異的に結合し、好ましくはPrPCには結合しないことを示すことが意図されている。好ましくは、本発明の文脈におけるセファロースの特異的結合は、セファロースそれ自体のPrPSc多量体への結合を意味するが、PrPCへの結合は意味しない。この点に関する用語「高親和性結合」は、10-6〜10-12Mまたはそれより低い、好ましくは10-8〜10-12Mまたはそれより低い解離定数に関係する結合親和性に言及することが意図されている。当業者であれば、常用の簡単な結合アッセイによって、プリオンPrPScに対する所与のセファロースの特異的高結合親和性を判定することができる。たとえば、1つのそのようなアッセイは、以下の段階:
a)アッセイするセファロースを提供し、前記セファロースコア上のいかなるリガンドも、それがあれば、除去し、不活化しかつ/またはマスクすることと、
b)使用するPrPScを、非特異的除去、たとえば、沈殿、非特異的結合等を回避する濃度まで希釈することと、
c)a)のセファロースとb)のPrPScを、お互いの結合を可能にする条件の下でおよび時間、適切な緩衝液中でインキュベートすることと、
d)前記セファロースからあらゆる非結合タンパク質を洗い流すための、1回または複数回の洗浄段階、好ましくは3〜10緩衝液容量インキュベーション緩衝液と、
e)任意選択で、前記セファロース上のいかなる非特異的結合部位も除去するまたは遮断するために、過剰の、好ましくは1000倍過剰の非特異的結合タンパク質、好ましくはBSA(ウシ血清アルブミン)で洗浄することと、
f)セファロース結合PrPScを除去するために、カオトロピック剤、好ましくは尿素および/または塩化グアニジウムおよび/またはSDSを含む緩衝液による溶出段階と、
g)前記溶出された緩衝液中のPrPScを検出し、それによって、PrPSc自体へのセファロースの高親和性結合を実証することと
を含むと考えられる。
アッセイしたセファロースの特異性を判定するために、段階c)においてPrPScの代わりにPrPCをインキュベートし、PrPCを洗浄溶液中で検出し、それによって結合の欠如を示すことを除き、上記アッセイを繰り返す。代わりに、段階c)においてPrPScとPrPCをセファロースと共に同時にインキュベートすることができ、特異的高親和性セファロースであれば、洗浄溶液中でPrPCを、カオトロピック溶出緩衝液中のみでPrPScを検出することになる。
セファロースの特異性および高親和性結合を判定するためのさらに詳細で好ましいアッセイは、下の実施例1に示している。
要するに、用語「PrPScタンパク質へのセファロースの特異的高親和性結合」は、セファロースおよびこれを使用する方法を、非特異的に低親和性で、たとえば、沈殿および/または低吸着によりPrPScに結合するだけのセファロースおよび前記方法と区別すること意図されている。
セファロースそれ自体が典型的に、生体由来物質、特に哺乳動物組織または細胞との優れた適合性を有する、たとえば、セファロースを血液に接触させると血液凝固に対して全く効果が観察されない、またはせいぜい無視できる程度の効果しか観察されないことも見出されていた。結合した、金属結合した、および/または負電荷を帯びたセファロースの大半も、血液適合性であることが判明している。
セファロースがマスクされておらず、前記血液をインビボおよび/またはインビトロで生細胞に接触させる場合には、無毒性である限り、本発明を実施するために、原則的に、いかなる結合または非結合セファロースをも用いることができることに注目すべきである。生体由来物質からプリオンタンパク質を取り出すために本発明の方法を実施するためには、金属結合セファロースが好ましく、負電荷を帯びたセファロースがさらに好ましく、非結合セファロースおよび非荷電セファロースがもっとも好ましい。
驚くべきことに、本発明の方法において使用するためのセファロースは、前記セファロースコアが、結合のために前記プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体に十分接近することができるほうがよいことを除いて、いかなる特定種のセファロースにも限定されない。
好ましくは、本発明の方法を実施するためのセファロースは、非結合セファロースから選択され、さらに好ましくは、Sepharose(登録商標)2B、4B、6B、Sepharose(登録商標)CL-4B、Sepharose(登録商標)-6B、Superdex(登録商標)75、Sephacryl(登録商標)100HRおよびSephadex(登録商標)G10からなる群から選択される。
本発明の方法を実施するためには、リガンド修飾セファロースから選択される、好ましくは、金属キレート化セファロース、レクチンアガロース、イミノ二酢酸セファロース、プロテインAアガロース、ストレプトアビジンセファロース、スルホプロピルセファロースおよびカルボキシメチルセファロースからなる群から選択される、さらに好ましくは、金属キレート化セファロースから選択されるセファロースも好ましく、前記方法、組成物または使用を実施するためのセファロースがZnセファロースであるのがもっとも好ましい。
Znセファロースは生体由来物質と高度に適合性である。前記セファロースも前記Znイオンも、培養培地、哺乳動物細胞、タンパク質またはホルモン、特に性ホルモンなどの生体由来物質に対していかなる有害な影響も及ぼさない。したがって、Znセファロースは、動物、好ましくはヒトに再導入されることになる生体由来物質からPrPScタンパク質および/または機能的誘導体を除去するのに特に有用である。
前述したように、本発明の方法または使用を実施するためには、プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体が自由に接近するように、任意選択のリガンドがセファロースコアをマスクしないことが不可欠である。これは、先行技術において用いられた多くのリガンド修飾セファロースの問題である。当業者であれば、PrPScタンパク質に対する前記セファロース結合親和性を試験するだけで、PrPSc結合のために十分に接近可能なリガンド修飾セファロースを常に選択し、所望であれば、たとえば、前記セファロースが前記リガンドによりマスクされない適切な距離に前記リガンドを置くスペーサー分子を用いることにより、適切なリガンド修飾セファロースを設計することができる。
好ましくは、本発明のプリオンタンパク質除去の方法を実施するためのセファロースは、Ni2+、Zn2+、Co2+、Mg2+、Ca2+およびMn2+からなる群から選択される金属キレート化セファロースである。
Ca2+およびMn2+の結合は比較的弱く、両イオンはPrPScおよびPrPCのモノマーのみに結合する。
他の言及した金属イオンNi2+、Co2+、Zn2+およびMg2+のほうが、PrPScおよびPrPCのモノマーおよびオリゴマーにより強く結合し、そのために好ましい。その優れた結合特性により、およびインビボでの生理的条件の下で毒性がないために、Zn2+は、本発明の方法、使用および組成物を実施するための金属キレート化セファロースにはもっとも好ましい。
ついでに言えば、実施例1で実証されるように、CuセファロースはPrPScタンパク質を効率的に保持しないであろう。実施例1では、Ni-High Performance SepharoseにCu2+を再充填すると、大量のBSAが非特異的に結合し(図4、レーン1も参照されたい)、したがって、複雑なタンパク質溶液中でのプリオンタンパク質の濃縮には適していない。
したがって、Grathwohlらにより提供されたCuセファロースIMACは、生体由来物質からのPrPScタンパク質またはその機能的誘導体の定量的除去に必要な親和性を提供しないであろう。したがって、通常は、セファロースはCu2+金属キレート化セファロースでないことが本発明の方法には好ましい。
EDTA、イミダゾールおよび/またはEGTAなどの少量のキレート剤を、培養培地および細胞培養物または単離されたもしくは溶解された細胞もしくは組織由来のタンパク質回収物などの多種多様な異なる成分のある複雑な生体由来物質に添加すると、非特異的結合を回避するのに寄与することができ、したがって、PrPScおよび/またはPrPCタンパク質からの非特異的物質の分離に寄与することも見出されていた。たとえば、血液分画および他のホモジネートなどの一部の生体由来物質では、10〜25mM EDTAは非特異的結合を効果的に減少させることが見出されていた。
セファロースそれ自体で、マスクされていなければ相当量のPrPScだけに結合するのに十分であるが、プリオンPrPScおよび/またはPrPCタンパク質への特異的結合のために少なくとも1種類の追加のリガンドを有し、前記リガンドが、たとえば、スペーサー分子によって、直接的または間接的に前記セファロースに結合している、セファロースを用いるのが望ましい場合もある。
好ましい実施形態では、前記追加のリガンドは、プリオンタンパク質、プリオンタンパク質の機能的誘導体、Hisタグプリオンタンパク質、プリオンタンパク質結合タンパク質、プリオンタンパク質結合抗体、およびプリオンタンパク質特異的リガンドからなる群から選択される。
さらに好ましくは、前記追加のリガンドは、たとえば、金属キレート剤により直接的または間接的に前記セファロースに結合しているプリオンタンパク質、たとえば、たとえばウシPrP(25〜241)などのプリオンフラグメントである。
本導入部で前述したように、pH6.2〜7.8でプリオンタンパク質とオリゴマー形成し、pH4.5〜5.5で再び解離しうる1つまたは複数のプリオン繰り返し構造体を有するプリオンタンパク質またはその誘導体の可逆的凝集は、プリオンタンパク質および/またはその機能的誘導体を結合させ、濃縮し、精製しかつ/または除去するための高度に選択的で効率的手段を提供する(PCT/欧州特許出願公開第2004003060号)。本発明を実施するために、プリオン繰り返し構造体(複数可)は、プリオンタンパク質と特異的にオリゴマー形成し、それによってこれに結合するために、追加のリガンドとしてセファロースに付着していてもよい。
さらに好ましい実施形態では、前記追加のリガンドはプリオンタンパク質および/またはその機能的誘導体である。
本発明の方法を実施するためのセファロース上の追加のリガンドは、前記セファロースに直接的または間接的に結合していてもよく、好ましくは、前記セファロースと前記リガンド自体の間においてスペーサー部分により結合している。
本発明の方法はいかなる特定のプリオンタンパク質またはその誘導体にも限定されてはいないが、前記プリオンタンパク質および/またはその機能的誘導体は、ヒト、ウシ、ヒツジ、マウス、ハムスター、シカ、またはラット起源由来のプリオンタンパク質およびその誘導体からなる群から選択される。
明細書および特許請求の範囲を通じて使用される用語「プリオンタンパク質の機能的誘導体」とは、少なくとも1つまたは複数のプリオン繰り返し構造体、好ましくは2〜4、さらに好ましくは4個のプリオン繰り返し構造体を含むプリオンタンパク質の任意の誘導体、特にそのフラグメントのことである。
好ましい実施形態では、プリオンタンパク質の機能的誘導体は、オクタペプチド、偽オクタペプチド、ヘキサペプチドもしくは偽ヘキサペプチド、さらに好ましくは、PHGGGWGQ(ヒト)、PHGGSWGQ(マウス)およびPHGGGWSQ(ラット)からなる群から選択される配列を有するオクタペプチド、または前記配列に由来し、好ましくは、PHGGGGWSQ(種々の種)およびPHGGGSNWGQ(有袋類)からなる群から選択される偽オクタペプチド、またはPHNPGY(ニワトリ)、PHNPSY、PHNPGY(カメ)からなる群から選択される配列を有するヘキサペプチド、または前記配列に由来する偽ヘキサペプチドである少なくとも1つのプリオン繰り返し構造体(複数可)を有する。
さらに好ましい実施形態では、前記プリオン繰り返し構造体のうちの少なくとも1つ、好ましくはそれぞれは、C末端βターン構造体に連結しているN末端ループ高次構造を含む。
もっとも好ましくは、本発明を実施するための機能的誘導体は、可逆的凝集および/または解離、すなわち、液体環境におけるpH6.2〜7.8でのオリゴマー形成および/またはpH4.5〜5.5でのオリゴマー凝集体の解離も可能である。
本発明の方法を実施するのに有用なプリオンタンパク質の機能的誘導体は、それが非マスクセファロースにかなりの程度結合する点に特徴付けられてもよい。かなりの程度とは、前記誘導体が由来する天然に存在するプリオンタンパク質に比べて、前記誘導体の好ましくは少なくとも50、さらに好ましくは少なくとも70、さらに好ましくは少なくとも80、もっとも好ましくは少なくとも90%が非マスクセファロースに結合することである。セファロースがプリオンタンパク質誘導体に結合する程度を判定するために、前記セファロース結合は、たとえば、Sepharose(登録商標)4B(Sigma社、製品コード4B-200)を使って評価してもよい。そのようなアッセイのためのパラメータは、当業者であれば常に決定することができる。
プリオンタンパク質の分野で通常の技術を持つ者なら認識するように、本明細書で言及するプリオンタンパク質の機能的誘導体は、それが上記プリオン繰り返し構造体のうちの少なくとも1つを含み、非マスクセファロースに結合することができる点で一時的に十分に特徴付けることができる。ウシプリオンタンパク質またはその誘導体では、セファロースへのプリオンタンパク質の結合は、ヒトPrPにおけるアミノ酸残基90〜230に対応するドメイン102〜241によりもたらされると想定される。他の種のプリオンタンパク質およびその誘導体における類似の領域は、同様のセファロース結合活性を有する。
好ましい実施形態では、本発明を実施するための機能的誘導体は、アミノ酸(複数可)の1つまたは複数の欠失、置換および/もしくは挿入、ならびに/または1つまたは複数のアミノ酸の共有結合的修飾(複数可)により、プリオンタンパク質に由来する。
さらに好ましい実施形態では、本発明を実施するための機能的誘導体は、ヒトPrPの1つまたは複数のオクタペプチド繰り返し配列、好ましくはアミノ酸51〜90、および/またはC末端ドメイン、好ましくは、アミノ酸121〜230を含む。
前記プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体への前記セファロースの結合を可能にする条件の下で、プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体をセファロースと接触させるための条件(geloscht)は、好ましくは生理的条件、さらに好ましくはpH5〜8および2〜39℃、さらに好ましくはpH約7および約20〜25℃である。
セファロースをプリオンタンパク質およびその機能的誘導体に結合させるための追加の条件は、イオン強度、緩衝物質、等である。当業者であれば、セファロースをプリオンタンパク質に結合させるための適切で最適化された条件を常に決定することができる。
非結合非プリオンタンパク質、体液ならびに/またはPrPCタンパク質および/もしくはその誘導体の除去という文脈において使用される用語「除去する」とは、遠心分離、ろ過、限外ろ過、等などの、タンパク質とセファロース物質を分離するための標準技術のことである。
プリオンタンパク質凝集体によってプリオンタンパク質を結合させるために上記の追加のリガンドを有するセファロースが使用される場合、当然、pH6.2〜7.8が好ましい。
別の好ましい実施形態では、セファロースとプリオンタンパク質を接触させるための条件は、少なくとも1種の洗浄剤および/または細胞溶解緩衝液の存在を含む。そうすれば、対象の試料中に存在する細胞および/または膜分画を、前記プリオンタンパク質またはその機能的誘導体を遊離させ、それを接近可能にするためのいかなる前もって必要な段階もなしで、直接本発明に従った方法により処理することができる。
追加の態様では、本発明は、本発明に従って生体由来物質からプリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を除去するための、セファロース、好ましくはリガンド修飾セファロースの使用に関する。
本発明の使用を実施するために、前記生体由来物質は、好ましくは、前記生体由来物質が実質的にもはや尿由来液体成分を含まないという条件で、哺乳動物尿由来生体由来物質からなる群から選択される。
さらに好ましい実施形態では、使用するセファロースは、好ましくは二価の金属イオン、さらに好ましくはNi2+、Co2+、Zn2+およびMn2+からなる群から選択される金属イオン、もっとも好ましくはZn2+を含む金属キレート化セファロースである。
Ni Sepharose High Performanceへの組換えPrPベータおよびPrPピュアの特異的結合を示している(実施例1および4)。1 80mM EDTA、2 60mM EDTA、3 50mM EDTA、4 40mM EDTA、5 30mM EDTA、6 20mM EDTA、7 10mM EDTA、8 5mM EDTA、9 EDTAなし、10標準タンパク質。(a)BSA(b)ウシPrP(25〜241)ベータ型およびピュア型オリゴマー(c)ウシPrP(25〜241)ピュア型(d)ウシPrP(25〜241)ベータ型(e)マウスPrP(89〜231)ベータ型。 種々のセファロースへのPrPベータおよびPrPピュアの結合を示している(実施例1)。1 Blue Sepharose(登録商標)CL-6B、2 Iminodiacetic acid Sepharose(登録商標)、3 α-Lactose-Agarose、4 Lectin-Agarose、5 ProteinA Sepharose(登録商標)、6 Phenyl-Sepharose(登録商標)CL-6B、7 Sepharose(登録商標)CL-4B、8 50mM EDTAの存在の下でのNi Sepharose High Performance、9 Ni Sepharose High Performance、10 標準タンパク質。(a)BSA(b)ウシPrP(25〜241)ベータ型およびピュア型オリゴマー(c)ウシPrP(25〜241)ピュア型(d)ウシPrP(25〜241)ベータ型(e)マウスPrP(89〜231)ベータ型。 種々のセファロースへのPrPベータおよびPrPピュアの結合を示している(実施例1)。1 SP Sepharose(登録商標)、2 CM Sepharose(登録商標)、3 Streptavidin-Iron Oxide Particles、4 EZview(商標)Red Streptavidin Affinity Gel、5 Reactive Red 120-Agarose、6 Iminodiacetic acid Sepharose(登録商標)、7 Sepharose(登録商標)4B、8 50mM EDTAの存在の下でのNi Sepharose High Performance、9 Ni Sepharose High Performance。(a)BSA(b)ウシPrP(25〜241)ベータ型およびピュア型オリゴマー(c)ウシPrP(25〜241)ピュア型(d)ウシPrP(25〜241)ベータ型(e)マウスPrP(89〜231)ベータ型。 種々の陽イオンを再充填した後のNi Sepharose High PerformanceへのPrPベータおよびPrPピュアの結合を示している(実施例1)。1 Cu2+、2 空レーン、3 Ag+、4 Mn2+、5 Zn2+、6 Co2+、7 Ni2+、8 Ni2+および0.5%Triton X-100の存在の下での結合、9 Ni2+および50mM EDTAの存在の下での結合、10 未処理マトリックス。(a)BSA(b)ウシPrP(25〜241)ベータ型およびピュア型オリゴマー(c)ウシPrP(25〜241)ピュア型(d)ウシPrP(25〜241)ベータ型(e)マウスPrP(89〜231)ベータ型。 種々の陽イオンを再充填したNi Sepharose High PerformanceへのPrPベータおよびPrPピュアの結合を示している(実施例1)。1 未処理マトリックス、2 Ni2+および50mM EDTAの存在の下での結合、3 Ni2+、4 Mn2+、5 Mg2+、6 Ca2+、7 BSAを前充填したNi Sepharoseマトリックス、8 BSAを前充填したNi Sepharoseマトリックス。(a)BSA(b)ウシPrP(25〜241)ベータ型およびピュア型オリゴマー(c)ウシPrP(25〜241)ピュア型(d)ウシPrP(25〜241)ベータ型(e)マウスPrP(89〜231)ベータ型。 ウシ血液中の種々の分画における天然PrPCの濃度を示している。ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例2)。1および2 単核球およびリンパ球、3および4 好中球、5および6 血小板、7および8 血漿、9 標準タンパク質。(a)天然PrPC(b)ウシPrP(25〜241)ピュア型(c)プリオンタンパク質様の特徴を有するタンパク質。 ウシ血液の単核球およびリンパ球からの濃縮後の天然PrPCのプロテイナーゼK切断を示す。ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例2)。1および2 プロテイナーゼKなし、3 5μg/mlプロテイナーゼK、4 25μg/mlプロテイナーゼK、5 50μg/mlプロテイナーゼK。(a)ウシPrP(25〜241)ピュア型オリゴマー(b)天然PrPC(c)プロテアーゼ切断PrPC(d)ウシPrP(25〜241)ピュア型。 ウシの血漿からの濃縮後の天然PrPCのプロテイナーゼK切断を示す。ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例2)。1および2 プロテイナーゼKなし、3 0.5μg/mlプロテイナーゼK、4 5μg/mlプロテイナーゼK、5 50μg/mlプロテイナーゼK。(a)天然PrPC(b)プロテアーゼ切断PrPC(c)ウシPrP(25〜241)ピュア型。 天然スクレイピー脳ホモジネートでスパイクした緩衝溶液からの濃縮後の天然PrPScのプロテイナーゼK切断を示す。ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例3)。A 50mMリン酸ナトリウム緩衝液中。B 0.32Mショ糖、0.1%NP40、0.1%デオキシコール酸中。1 プロテイナーゼKなし、2 5μg/mlプロテイナーゼK、3 25μg/mlプロテイナーゼK。(a)天然PrPScオリゴマー(b)天然PrPSc単量体型。 ウシ血液の血小板からの濃縮後の天然PrPCおよびPrPScのプロテイナーゼK切断を示す。ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例3)。A スクレイピー脳ホモジネートのない血小板ライセート。B血小板ライセートに天然スクレイピー脳ホモジネートをスパイクした後。1 プロテイナーゼKなし、2 50μg/mlプロテイナーゼK。(a)天然PrPScオリゴマー(b)天然PrPCおよびPrPSc単量体型。 組換えPrPピュアからの天然PrPScの分離を示している。ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例4)。1 EDTAなし、2 5mM EDTA、3 10mM EDTA、4 15mM EDTA、5 20mM EDTA、6 30mM EDTA。(a)天然PrPScオリゴマー(b)ジグリコシル化PrPSc(c)モノグリコシル化PrPSc(d)非グリコシル化PrPSc(e)ウシPrP(25〜241)ピュア型。 ウシ血液の血漿からの濃縮後の天然PrPCおよびPrPScのプロテイナーゼK切断を示す。ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceを濃縮のために使用した(実施例5)。A 実験的にBSEプリオンを感染させたウシ。B BSE感染のないウシ。1 プロテイナーゼKなし、2 25μg/mlプロテイナーゼK、3 50μg/mlプロテイナーゼK。(a)天然PrPCおよびPrPSc型(b)ウシPrP(25〜241)ピュア型。4本の矢印は、BSEプリオンを感染させたウシで典型的に観察されるが健康な対照動物では観察されないPrPScのプロテイナーゼK切断産物を示す。 ウシの血漿からの全PrPの除去を示す。ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceの4バッチは段階的除去のために使用した(実施例6)。血漿は2つの血液ドナーAおよびBから入手した。1 血漿Aからの第1除去、2 血漿Bからの第1除去、3 血漿Aからの第2除去、4 血漿Bからの第2除去、5 血漿Aからの第3除去、6 血漿Bからの第3除去、7 血漿Aからの第4除去、8血漿Bからの第4除去、9 タンパク質標準。(a)ウシPrP(25〜241)ピュア型オリゴマー(b)天然PrPC(c)ウシPrP(25〜241)ピュア型。 ヒト血漿からの全PrPの除去を示す。ヒトPrP(23〜230)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceの4バッチは段階的除去のために使用した(実施例6)。1 第1除去、2 第2除去、3 第3除去、4 第4除去。(a)ウシPrP(25〜241)ピュア型オリゴマー(b)ジグリコシル化天然PrPC(c)天然PrPCの切断型(d)ウシPrP(25〜241)ピュア型。 ヒト尿からのスパイクされたPrPScの検出および除去を示している。Zn2+を充填されたIMAC Sepharose high performanceを検出および除去段階のために使用した(実施例7を参照されたい)。1 組換えヒトPrP(23〜230)標準、2 尿中のスパイクされたPrPScの検出、3 尿からのPrPSc除去後のスパイクされたPrPScの検出、4 直接充填されたPrPSc標準(3μl 10%スクレイピーヒツジ脳ホモジネート、3ng PrPScに対応する)。
以下では、本発明は実施例によってさらに説明されることになるが、実施例は本発明の好ましい実施形態に関しており、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
(実施例)
(実施例1)
PrPScへの異なるセファロースの全体的高親和性結合
種々のセファロースに対するプリオンタンパク質の結合親和性および特異性を、1000倍過剰なBSAの存在の下で組換えプリオンタンパク質を使って調べた。組換えプリオンタンパク質PrPピュア(alicon ag社、製品コードP0001)およびPrPベータ(alicon ag社、P0019およびP0027)を、それぞれPrPCおよびPrPScに対するモデル物質として使用した。ウシPrP(25〜241)およびマウスPrP(89〜231)のベータ型ならびにウシPrP(25〜241)のピュア型は、電気泳動移動性が異なるために、SDS-PAGEによりはっきりと区別することができる。
結合実験のために、5μgの調査プリオンタンパク質と5mg BSAを、50mMリン酸ナトリウムを含有する1mlの結合緩衝液pH7に溶解した。実験計画に従って、結合緩衝液はEDTAまたは洗浄剤などの添加物を含有していた。セファロースマトリックスと結合緩衝液の混合液を、4℃で1時間、1.5mlバイアル内で回転させた。続いて、マトリックスを500gで遠心分離し、結合緩衝液1mlで2度洗浄して、非結合タンパク質を除去した。セファロース結合タンパク質を、5%SDSおよび8M尿素を含有する10μl標準ゲル充填緩衝液中で変性させ、12%ポリアクリルアミドゲル上でSDS-PAGEにより分析した。
Ni Sepharose High Performance(Amersham社、製品コード17-5268 02)の最適な陽イオンでの再充填は、先ず50mM EDTAを含有する結合緩衝液でマトリックスを2度洗浄して結合Ni2+を除去することにより実施した。裸になったマトリックスを結合緩衝液で2度洗浄し、4℃で10分間50mM金属イオンを含有する結合緩衝液中で回転させることにより再充填した。結合緩衝液で2度洗浄後、非結合金属イオンは、除去された。
結果は下の表2に概要を述べており、表では「‐」はPrPに対するセファロースの親和性がないことを示し、「+」は単量体PrP型に対する親和性を示し、「++」は単量体PrP型に対する高親和性を示し、「+++」はPrPの単量体およびオリゴマー型に対する高親和性を示す。用語「単量体」および「オリゴマー」PrP型とは、分子間ジスルフィド結合のない凝集PrP型ではなくSDS-PAGE中での非還元条件の下で観察されるジスルフィド連結オリゴマーのことである。
非連結型セファロースは、ベータ型のウシPrP(25〜241)とマウスPrP(89〜231)に高親和性で結合するが、ピュア型のウシPrP(25〜241)には結合しない。結合は単量体型には起こるが、オリゴマー型には起こらない(図2レーン7;図3レーン7)。PrPに対して1000倍過剰なBSAが存在するが、セファロースマトリックスに結合しているアルブミンの相対量は比較的低く、PrP結合が高度に特異的であることを示している。
負に帯電したセファロースは、ベータ型のウシPrP(25〜241)とマウスPrP(89〜231)、ならびにピュア型のウシPrP(25〜241)に高親和性で結合する。結合は単量体におよびオリゴマーPrP型に起こる(図3レーン1および2)。
正に帯電したセファロースは、BSAへの強い結合により示されるような非特異的タンパク質結合親和性を示した。大量の総タンパク質がSDS-PAGEゲルに充填されたために、結合PrPの量を決定することはできなかった。
試験したリガンド修飾セファロースの一部は、ベータ型のウシPrP(25〜241)とマウスPrP(89〜231)、およびピュア型のウシPrP(25〜241)に高親和性で結合する。結合は単量体PrP型では起こるが、オリゴマーPrP型では起こらない(図2レーン4および5; 図3レーン3および6)。しかし、一部の他のリガンド修飾セファロースは、強いBSA結合により示されるような非特異的タンパク質結合親和性を示した(図2レーン1〜2および6;図3レーン5)。
IMACセファロースは、ベータ型のウシPrP(25〜241)とマウスPrP(89〜231)、ならびにピュア型のウシPrP(25〜241)に高親和性で結合する。Ni Sepharose High Performance(Amersham社)などの一部のIMACセファロースでは、結合は単量体にならびにオリゴマーPrP型に起きた(図1レーン9; 図2レーン9; 図3レーン9; 図4レーン10)。しかし、多くのセファロースが単量体PrPのみに結合した。
プリオンタンパク質へのIMACセファロースの結合は、キレート化金属イオンの種類によって調節される。Ni2+、Zn2+、またはCo2+を再充填したNi Sepharose High Performanceは、ベータ型のウシPrP(25〜241)とマウスPrP(89〜231)、ならびにPrPピュア型のウシPrP(25〜241)に高親和性で結合する(図4レーン5、6、7および10)。Ni Sepharose High PerformanceへのオリゴマーPrP型の結合は、0.5%Triton X-100での洗浄後無変化のままであり(図4レーン8)、結合が特異的であることを示している。BSAでNi Sepharose High Performanceを前コーティングすると、オリゴマーPrP型のより効率的結合が生じた(図5レーン7〜8)。Cu2+でNi Sepharose High Performanceを再充填すると、大量のBSAの非特異的結合が生じ(図4レーン1)、したがって、複雑なタンパク質溶液中でのプリオンタンパク質の特異的濃縮には適用できない。Mn2+、Mg2+またはCa2+で再充填したNi Sepharose High Performanceは単量体PrPに優勢に結合する(図4レーン4; 図5レーン4〜6)。
セファロースへのPrPベータの結合は、
-前記セファロースマトリックスの接近可能性
-セファロース固定化金属イオンの存在
-前記セファロース上の負電荷の存在
により調節される。
セファロースへのPrPピュアの結合は、
-セファロース固定化金属イオンの存在
-前記セファロース上の負電荷の存在
により調節される。
セファロースに対するベータ型の内因性親和性の原因であるアミノ酸は、ウシプリオンタンパク質配列の残基104〜241内に位置している。したがって、オクタペプチド繰り返しを含有する残基25〜103はセファロース結合には必要ではない。しかし、残基25〜103の存在により、IMACセファロースまたは陽イオン交換セファロース(Cation Exchange Sepharose)への親和性は、それぞれ固定化金属イオンおよび負電荷の結合によって増大する。
要約:非連結型セファロースは、PrPベータ(PrPScに対応)に対しては内因性結合親和性を有するが、PrPピュア(PrPCに対応)に対してはない。したがって、非連結型セファロースを、PrPCの濃度に影響を与えることなく、プリオンを濃縮し、精製し、除去するために使うことができる。
セファロースに対するPrPベータの結合親和性は、マトリックスが固定化金属イオン(Ni2+、Zn2+、Co2+などの)または負電荷(スルホプロピルもしくはカルボキシメチルなどの)で修飾されている場合は増大するが、これらのリガンドはPrPピュアにも結合する。したがって、IMACセファロースおよび負に帯電したセファロースは、種々のプリオンタンパク質型の濃縮、精製および除去のために使うことができる。
(実施例2)
血液中での自然プリオンタンパク質の濃縮
健康なヒトおよび動物の血液中のPrPCの量はごくわずかにすぎない。どんな濃縮段階もなければ、ウェスタンブロットなどの従来の分析方法を使ってもPrPCは検出されない。しかし、ウシPrP(25〜241)ピュア型で前充填されたNi Sepharose High Performanceを20ml血液に適用すれば、PrPCは目に見えるようになる。
ウシPrP(25〜241)を前充填したNi Sepharose High Performanceは、50mMリン酸緩衝液で平衡化した前記セファロース20mlに組換えプリオンタンパク質5ngを添加することにより調製した。前記混合物をボルテックスし、4℃で1時間回転させながらインキュベートした。
新鮮ウシ血液からの細胞溶解物および血漿の調製は、標準プロトコルを使って実施した。たとえば、前記血漿分画は、最終濃度10mMまでのクエン酸ナトリウムでの1/10希釈後、EDTAチューブ中に収集した20ml血液から調製した。クエン酸血は、Gey平衡塩類溶液(Sigma社、製品コードG9779)で1/1希釈し、慎重に混合した。前記溶液を、チューブあたりの最大容量15mlで50mlのFalconチューブに分配し、200gで7分間ブレーキをかけたまま遠心分離した。前記上澄みに、最終濃度10mMまでEDTAを添加し、560gで10分間ブレーキをかけたまま遠心分離した。天然血液PrPは、ウシPrP(25〜241)を前充填した60μlのNi Sepharose High Performanceを各血液分画に添加することにより濃縮した。前記タンパク質溶液を4℃で1時間回転させながらインキュベートし、500gで2分間遠心分離した。前記上澄みを廃棄し、前記セファロースを、100mMリン酸ナトリウム、10mM Tris、20mMイミダゾールを含有する1ml緩衝液pH8で2度洗浄し、非結合タンパク質を除去した。連続プロテイナーゼK消化のために、各血液分画は3部分に分割した。前記セファロース結合タンパク質は、37℃で1時間1400rpmのEppendorfサーモミキサー(Thermomixer)で振盪させながら、0μg/mlと50μg/mlの間の濃度でプロテイナーゼK(Sigma社、P2308)と共にインキュベートした。試料容量は0.2ml PCRチューブ中80μlで、切断緩衝液は50mMリン酸ナトリウムpH7と150mM NaClで構成されていた。プロテイナーゼK反応中の前記セファロースマトリックスの均一な分配を保証するために、0.5cmの長さに切断した10μl tips(Treff)をPCRチューブに添加した。反応を、2μlの150mM PMSF保存溶液を添加することにより停止させた。前記チューブをボルテックスし、500gで2分間遠心分離し、その上澄みを廃棄した。セファロース結合タンパク質を、5%SDSと8M尿素を含有する10μlゲル充填緩衝液中で変性させ、12%アクリルアミドゲル上に充填した。タンパク質を、半乾燥不連続三緩衝液システム(semi-dry discontinuous three-buffer system)を使ってPVDFに移送した。移送は1mA/cm2で1時間であった。ブロットは、ECL Advanceウェスタンブロット検出キット(Amersham社)の標準プロトコル、PrP特異的モノクロナール抗体、およびペルオキシダーゼ連結抗マウスモノクロナール抗体を使って分析した。
濃縮後、単核球およびリンパ球、血小板、ならびに血漿を含む種々の血液分画においてナノグラム量PrPCを測定する(図6)。血液細胞および血漿中の天然PrPCは優勢にジグリコシル化されており、約35kDaというはっきりした分子量を有する。好中球は相当量のプリオンタンパク質を発現してはいない。
セファロース結合PrPはプロテイナーゼK消化しやすい。細胞溶解物または血漿由来の固定化プリオンタンパク質を5μg/mlのプロテイナーゼKで1時間処理した後、約30kDaというはっきりした分子量を示すPrPCは部分的に分解される(図7および8)。10倍の高プロテイナーゼK濃度では、プリオンタンパク質は完全に分解される。
要約:IMACセファロースは体液からの全プリオンタンパク質の濃縮のための優れたマトリックスを構成する。セファロース固定化プリオンタンパク質は、プロテアーゼ消化などのプリオン診断学で用いる追加の生化学的分析のために利用しやすい。
(実施例3)
脳ホモジネートでスパイクした後の血液中のPrPScの濃縮
血液中の天然PrPScの性質は分かっていないが、天然PrPScは脳に存在するPrPScと類似の生化学的特性を有する可能性があると思われる。脳ホモジネート由来PrPSc(PrPSc濃度1pg/mlと1ng/mlの間)をモデル基質として使って、ウシPrP(25〜241)を前充填されたNi Sepharose High Performanceへのその結合を分析した。
種々の量のスクレイピー脳ホモジネートを前記試料に添加したこと以外は、実施例2で記載したように濃縮実験を実施した。
最終濃度の1ng/ml PrPScまで脳ホモジネートで1mlリン酸ナトリウム緩衝液pH8をスパイクし、それに続いて200倍濃縮した後、ジグリコシル化、モノグリコシル化、および非グリコシル化PrPScならびに多量体型をウェスタンブロットで検出することができた(図9)。したがって、その凝集およびグリコシル化状態とは無関係に、PrPScは前記セファロースに効率的に結合する。5および25μg/mlプロテイナーゼKの存在の下で、約70残基が固定化PrPScのN末端から除去される。PrPScの5000倍濃縮まで、ならびに0.5% TritonX-100、0.5%デオキシコール酸、および0.43%ショ糖を含有するリン酸緩衝液中では類似の結果が得られる。N末端切断後でも、前記セファロースへのPrPScの結合は、洗浄剤または炭水化物の存在により減少することはない。
血小板溶解物および血漿に関して類似の結果が得られた。脳ホモジネート由来の天然血液PrPCおよびPrPScは、前記セファロースマトリックスにより同時濃縮された。5μl/mlのプロテイナーゼKの存在の下で、天然PrPCは完全に分解されたが(図10A)、濃縮PrPScはジグリコシル化、モノグリコシル化、および非グリコシル化型の典型的なパターンを示した(図10B)。
要約:IMACセファロースは、体液からの感染性プリオンの濃縮のための優れたマトリックスを構成する。セファロース固定化PrPScは、プロテイナーゼK消化などのプリオン診断学で用いる追加の生化学的分析のために利用しやすい。
(実施例4)
濃縮プリオンタンパク質の高次構造特異的溶出
前の実施例で述べたように、Ni Sepharose High Performanceは、組換えタンパク質PrPベータおよびPrPピュアに、ならびに天然PrPCおよびPrPScに高親和性で結合する。
前記セファロースマトリックスの溶出特性を調べるために、前記結合緩衝液が種々の濃度のEDTAを含有することを唯一の例外に、前と同じ実験計画を使った。
10mM EDTAの存在の下では、二量体型の組換えPrPのみが前記セファロースマトリックスから放出される。40mM EDTAの存在の下では、ピュア型のウシPrP(25〜241)が放出されるが、ベータ型は80mM EDTA濃度でも前記セファロースに結合したままである(図1)。
前記3つのグリコフォームのPrPScおよび組換えウシPrP(25〜241)は、Ni Sepharose High Performanceで処理すると、同時濃縮される。前記セファロースマトリックスをEDTAの濃度を増やしながら洗浄した後、ウシPrP(25〜241)は徐々に放出されるが、前記PrPScは結合したままである(図11)。したがって、天然PrPCを表すピュア型は前記セファロースから特異的に放出される。スクレイピー脳ホモジネートでスパイクした後の血液由来の天然PrPCに関して類似の結果が得られた。
Ni Sepharose High PerformanceへEDTAを添加することにより、前記セファロースからNi2+が剥ぎ取られる。セファロース固定化Ni2+の量が一定値より下に下がるEDTAの濃度では、利用できる結合部位が十分ではなく、PrPCは前記セファロースから放出される。これとは対照的に、PrPScはその追加のセファロース結合活性のせいで結合したままである。
要約:IMACセファロースは、体液からのPrPCおよびPrPScの濃縮とそれに続くEDTAの存在の下での前記2種類のPrP配座異性体の分離のための優れたマトリックスを構成する。
(実施例5)
BSE感染ウシ由来の血液中の天然PrPScの検出
BSEプリオンに感染したウシの血液中のPrPScの量は、ごくわずかである。いかなる濃縮段階もなければ、ウェスタンブロットなどの従来の分析方法を使ってもPrPScは検出されない。しかし、ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填したNi Sepharose High Performanceを、実験的にBSEに感染したウシの20ml血液に適用すれば、PrPScは目に見えるようになる。
これらの実験のために、実施例2の場合と同じ実験装置を使用した。
血漿由来の固定化プリオンタンパク質を25μg/mlまたは50μg/mlプロテイナーゼKで処理した後、BSEに感染したウシで典型的に検出される4つのプリオンタンパク質バンドの集積が見られる(図12A)。プロテイナーゼKの不在の下では、非分解PrPCに比べて、ピコグラム量のPrPScが移動した。対照ウシではそのようなバンドは観察されない(図12B)。
要約:IMACセファロースは、BSE感染ウシの体液からの天然PrPScの検出のための優れたマトリックスを構成する。
(実施例6)
血液中の天然プリオンタンパク質のろ過による除去
前の実施例から、少量の使用されたセファロースマトリックスがナノグラムの範囲で結合能を有することが判明した。したがって、前記セファロースは、ヒトおよび動物血漿などの体液からの全プリオンタンパク質の完全な除去のために適用することができる。
血漿ろ過実験のために、4バッチのセファロースマトリックスを同じ血漿に継続的に添加することを除いて、実施例2に記載したのと同じ実験装置を使用した。ヒトおよびウシ血漿のろ過用のNi Sepharose High Performanceを、それぞれピュア型のヒトPrP(23〜230)とウシPrP(25〜241)で前充填した。
ウシPrP(25〜241)ピュア型を前充填した20μl Ni Sepharose High Performanceの第1バッチは、ウシ血液由来の10ml血漿中での1時間のインキュベーション後、ナノグラム量の天然プリオンタンパク質に結合する(図13)。第2バッチのセファロースはすでに、1pgの検出限界まで完全にプリオンタンパク質がない。第3および第4バッチのセファロースでは、同じ結果が得られた。したがって、全プリオンタンパク質は、セファロースマトリックスとの最初のインキュベーション期間後にはすでに血漿から除去されていた。
ヒトPrP(23〜230)ピュア型を前充填した20μl Ni Sepharose High Performanceの第1バッチも、10mlヒト血漿中での1時間のインキュベーション後、ナノグラム量の天然プリオンタンパク質に結合する(図14)。第2および第3バッチのセファロースは、それぞれ前のバッチと比べるとプリオンタンパク質への結合は比較的少ない。第4バッチのセファロースは1pgの検出限界まで完全にプリオンタンパク質がない。したがって、全プリオンタンパク質はヒト血漿から除去されていた。
ウシ血漿と比べるとヒト血漿のろ過のために必要な比較的多量のセファロースは、ヒト血漿ではPrPCの量が約4倍であることにより説明される。
要約:IMACセファロースは、ヒトおよびウシ血漿などの体液からの天然プリオンタンパク質の除去のための優れたマトリックスを構成する。
(実施例7)
尿中の天然プリオンタンパク質のろ過による除去
1人のドナー由来のヒト尿1mlを、2000gで5分間遠心分離した。上澄み尿を20mMリン酸ナトリウムpH8.0で緩衝し、約3ng PrPScを含有する3μl 10%スクレイピー脳ホモジネートでスパイクした。その溶液を5分間回転させた。PrPSc濃縮のために、Zn2+を充填した30μlのIMAC Sepharose high performanceを添加し、溶液を30分間回転させた。樹脂を2000gでの2分間の遠心分離により分離し、樹脂結合タンパク質は、プロテイナーゼKでの消化(25μg/ml、65℃ 10分間)後ウェスタンブロット法により分析した。
PrPSc除去段階のために、Zn2+を充填した100μlのIMAC Sepharose high performanceを30分間インキュベートし、前記樹脂は2000gでの2分間の遠心分離により分離した。
Zn2+を充填した30μlのIMAC Sepharose high performanceは、ヒト尿1ml中で、3ngのスパイクしたPrPScの少なくとも90%に結合することができる。Zn2+を充填した100μlのIMAC Sepharose high performanceは、約5pgの検出限界まで尿からPrPScを量的に除去することができる。
要約:Zn2+を充填したIMAC Sepharoseは、尿からのプリオンタンパク質(PrPSc)の除去のための、ならびに尿中の少量のPrPScの検出のための優れた樹脂を構成する。
Figure 2010515879
Figure 2010515879

Claims (19)

  1. 生体由来物質からプリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を除去するための、以下の段階、
    a)プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を含む生体由来物質を、前記プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体へのセファロースの特異的高親和性結合を可能にする条件の下で、セファロースに接触させる段階と、
    b)前記セファロースから生体由来物質を取り出す段階とを、
    含む方法であって、
    生体由来物質が(i)哺乳動物尿もしくはその分画または(ii)細胞培養由来物質から選択される方法。
  2. 前記細胞培養由来物質が、
    (I)細胞および/または哺乳動物由来物質を含む培養系のための培地、
    (II)哺乳動物または哺乳動物由来細胞、
    (III)哺乳動物由来物質またはその混合物、好ましくは部分的に単離されたおよび/もしくは精製された哺乳動物由来物質またはその混合物
    から選択され、好ましくはペプチド、タンパク質、糖類、ホルモンおよび脂肪酸からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生体由来物質が、組換え細胞または組換えにより生成されるペプチド、タンパク質、(多)糖類、ホルモンもしくは脂肪酸である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記生体由来物質が、CHO、COS、Hela、3T3、HEK、Jurkat-、BRLおよびBHK-細胞からなる群から選択される天然または組換え細胞である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記生体由来物質が、ホルモン、好ましくは性ホルモン、さらに好ましくはゴナドトロピン、エストロゲン、ゲスターゲン、アンドロゲン、さらに好ましくは尿由来のホルモンからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記セファロースが、非連結セファロースから選択され、好ましくはSepharose2B(登録商標)、4B(登録商標)、6B(登録商標)、SepharoseCL-4B(登録商標)、Sepharose-6B(登録商標)、Superdex75(登録商標)、Sephacryl 100HR(登録商標)およびSephadexG10(登録商標)からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記セファロースが、リガンド修飾セファロースから選択され、好ましくは金属キレート化セファロース、レクチンアガロース、イミノ二酢酸セファロース、プロテインAアガロース、ストレプトアビジンセファロース、スルホプロピルセファロースおよびカルボキシメチルセファロースからなる群から選択され、さらに好ましくは金属キレート化セファロースから選択され、もっとも好ましくは前記セファロースがZnセファロースである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. プリオンPrPScタンパク質に結合するための少なくとも1つの追加のリガンドが、前記セファロースに直接的または間接的に結合している、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記追加のリガンドが、プリオンタンパク質、プリオンタンパク質の機能的誘導体、Hisタグ付きプリオンタンパク質、プリオンタンパク質結合タンパク質、プリオンタンパク質結合抗体、およびプリオンタンパク質特異的リガンドからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記追加のリガンドが、プリオンタンパク質および/またはその機能的誘導体である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記追加のリガンドが、セファロースに直接的または間接的に、好ましくはスペーサー部分により結合している、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体が、ヒト、ウシ、ヒツジ、マウス、ハムスター、シカ、またはラット起源由来のプリオンタンパク質およびその誘導体からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記機能的誘導体が、アミノ酸の1つまたは複数の欠失、置換および/もしくは挿入ならびに/または1つまたは複数のアミノ酸の共有結合的修飾によりプリオンタンパク質に由来している、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記機能的誘導体が、ヒトPrPの1つまたは複数のオクタペプチド繰り返し配列、好ましくはアミノ酸51〜90、および/またはC末端ドメイン、好ましくはアミノ酸121〜230を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体へのセファロースの結合のための条件が、生理的条件、好ましくはpH5〜8および2〜39℃、さらに好ましくはpH約7および約2〜8℃である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記条件が、少なくとも1種の洗浄剤および/または細胞溶解緩衝液の存在を含む、請求項17に記載の方法。
  17. 請求項1から16のいずれか一項に従って、プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を生体由来物質から除去するための、PrPScへの特異的高親和性結合を有するセファロースの使用。
  18. 生体由来物質がもはや尿由来液体成分を実質的に含まないという条件で、哺乳動物尿由来生体由来物質からなる群から選択される生体由来物質から、プリオンPrPScタンパク質および/またはその機能的誘導体を除去するための、請求項17に記載のセファロースの使用。
  19. 前記セファロースが、好ましくは二価金属イオン、さらに好ましくはNi2+、Co2+、Zn2+、およびMn2+からなる群から選択される金属イオン、もっとも好ましくはZn2+を含む金属キレート化セファロースである、請求項17または18に記載の使用。
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