JPH0665294A - リポ多糖結合性タンパク質及びその製造法 - Google Patents

リポ多糖結合性タンパク質及びその製造法

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JPH0665294A
JPH0665294A JP4247289A JP24728992A JPH0665294A JP H0665294 A JPH0665294 A JP H0665294A JP 4247289 A JP4247289 A JP 4247289A JP 24728992 A JP24728992 A JP 24728992A JP H0665294 A JPH0665294 A JP H0665294A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 カブトガニ血球膜画分をCa2+の存在下でポリ
エチレングリコールエーテル型非イオン界面活性剤を用
いて抽出し、抽出液をリポ多糖をリガンドとするアフィ
ニティークロマトグラフィーに付し、キレート剤を含有
する溶離液で溶出させることによって得られるSDS−
PAGEにより還元条件下で単一バンドを示し、分子量
27,000及びアミノ酸 221個よりなる新規なリポ多糖結合
性タンパク質。 【効果】 リポ多糖結合性を有するのでエンドトキシン
検出試薬、注射用医薬品からエンドトキシンを吸着除去
する処理剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カブトガニ血球膜画分
から得られる新規なリポ多糖(以下LPSということも
ある)結合性タンパク質及びその製造法に関し、より詳
しくはカブトガニ血球膜画分からLPSを固定化したア
フィニティー担体を利用して単離することができるLP
S結合タンパク質に関するものである。本発明のLPS
結合性タンパク質を固相に結合させた担体は、エンドト
キシンの吸着除去剤、サンドイッチ法によるエンドトキ
シン検出試薬などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】エンドトキシン(内毒素)は、グラム陰
性菌の外膜表面に存在するリポ多糖であり、哺乳動物に
対して発熱性を有するほかエンドトキシンショック、炎
症、シュワルツマン反応などを惹起し、ひいては組織損
傷、多臓器不全を引き起こす物質である。従って、血
中、脳脊髄液中などに直接投与される注射用医薬品にエ
ンドトキシンが混入した場合はこれを除去する必要があ
る。また、医薬品の製造においてエンドトキシン検査が
義務づけられている。従来、ポリミキシンを固定化した
担体(特公平1−16389号、特公平3−64153
号公報)、ナイロン、キトサン等を素材とするもの(特
開平3−109940号公報)など、種々のエンドトキ
シン吸着除去剤が開発されているが、必ずしも満足でき
るものではなかった。また、LPS結合性タンパク質
(ペプチド)を固相に結合させた担体を使用し、試料中
のエンドトキシンを担体上に捕捉して測定する、いわゆ
るサンドイッチ法によるエンドトキシンの測定法(特開
昭63−222265号、特表平2−500856号公
報)も開発されているが、一般には利用されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、エンドトキシンの吸着除去剤または測定試薬の素材
として利用可能なLPS結合性の物質を提供することで
あり、第2の目的はカブトガニの血液からこのような物
質を製造する方法を提供することである。本発明者ら
は、カブトガニ血球処理物中にLPSと結合する物質が
存在することを知り、抗リポ多糖因子(以下、ALFと
いう)(特開昭58−13517号公報)あるいはポリ
ペプチド性因子(タキプレシン、ポリフェムシン)(特
表平2−500194号、特開平2−53799号、特
開平2−152987号公報)を見出した。そして、さ
らにカブトガニ血球中のこのようなLPS結合性タンパ
ク質(ペプチド)について検索したところ、前記したA
LF、タキプレシンあるいはポリフェムシンとは分子量
及び生理活性の全く相違する新規なLPS結合性タンパ
ク質を見出し、その一次構造を決定して本発明を完成す
るに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、カ
ブトガニ血球膜画分をCa2+の存在下でポリエチレングリ
コールエーテル型非イオン界面活性剤を用いて抽出し、
抽出液をLPSをリガンドとするアフィニティークロマ
トグラフィーに付し、キレート剤を含有する溶離液によ
って溶出させることによって得られる画分に含まれ、次
の物性値を示すLPS結合性タンパク質に関する。 (i) SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)
により単一のバンドを示す (還元条件下) 。 (ii) SDS-PAGEにより求めた分子量が約27,000である
(還元条件下) 。 (iii) アミノ酸 221個より構成される。 (iv) Ca2+の存在下LPSと結合し、キレート剤の存在
下で解離する。 そして、本発明のLPS結合性タンパク質は、好適には
次の一次構造〔式1〕を示すアミノ酸配列をもつもので
ある。
【0005】
【0006】さらに、本発明は、カブトガニ血球膜画分
をアルカリ土類金属イオンの存在下でポリエチレングリ
コールエーテル型非イオン界面活性剤を用いて抽出し、
抽出液をLPSをリガンドとするアフィニティークロマ
トグラフィーに付し、キレート剤を含有する溶離液によ
って溶出させることを特徴とする分子量約27,000(SDS-P
AGE 、還元条件下) であるLPS結合性タンパク質の製
造法に関する。
【0007】本発明の製造法において、原料のカブトガ
ニ血球膜画分とは、リムルス・ポリフェムス(Limulus
polyphemus、アメリカ産)、タキプレウス・トリデンタ
ツス(Tachypleus tridentatus 、日本、中国産)、タ
キプレウス・ギガス(Tachypleus gigas 、タイ国、マ
レーシア半島産)、カルシノスコルピウス・ロツンディ
カウダ(Carcinoscorpius rotundicauda、タイ国、マレ
ーシア半島産)等のカブトガニの血液を採取しした後、
血球を分離し、血球内の可溶性成分を抽出除去した残渣
である。すなわち、上記のカブトガニの血液から血球
(アメボサイト)を分離し、これを物理的または化学的
に破壊して血球内の可溶性成分を充分に抽出除去した残
渣がカブトガニ血球膜画分である。
【0008】具体的には、例えば分離したカブトガニ血
球に 0.02Mトリス−塩酸緩衝液(50mM塩化ナトリウム含
有,pH8.0)などの適当な緩衝液を加えてホモジナイズ
し、遠心分離することによって、この血球から可溶性成
分を充分に抽出除去した残渣をカブトガニ血球膜画分と
して使用する。また、リムルステストとして知られてい
るエンドトキシン測定法に使用されるカブトガニ・アメ
ボサイト・ライセート(例えば、J. Biochem.,80,1011-
1021(1976)参照)を製造する際に得られる抽出残渣をカ
ブトガニ血球膜画分として使用することもできる。この
ようにして得られたカブトガニ血球膜画分からアルカ
リ土類金属イオンの存在下にポリエチレングリコールエ
ーテル型非イオン界面活性剤を用いて抽出し、抽出物
をLPSをリガンドとするアフィニティークロマトグラ
フィーに付し、次いでキレート剤を含む溶離液で溶出
し、タンパク質画分を採取することによって本発明のL
PS結合性タンパク質を得ることができる。
【0009】の抽出工程は、通常、アルカリ土類金属
イオンをその塩(例、塩化物)として含有する、中性付
近の液性の緩衝液〔例、10mMの塩化カルシウムを含有す
る 0.02Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5 〜7.7 )〕のよう
な水性溶液中で該血球膜画分を細胞破壊装置(例、ワー
リングブレンダー)を用いてホモジナイズし、次いでホ
モジェネートにポリエチレングリコールエーテル型非イ
オン界面活性剤を添加し、タンパク質の変性が起こらな
い条件下(例えば0℃〜室温付近、好ましくは4℃)で
目的物が充分に抽出されるまで(例えば数時間)攪拌す
ることによって行われる。抽出後、不溶物(血球膜の破
片など)を、抽出液に適当な分離手段(遠心分離など)
を施すことによって分離除去し、さらに必要に応じて中
性付近の液性の緩衝液〔例、10mMの塩化カルシウム及び
0.5M塩化ナトリウムを含有する 0.02Mトリス−塩酸緩衝
液(pH7.5 〜7.7 )〕に対して透析して低分子化合物を
除去し、次のアフィニティークロマトグラフィー工程に
供する。
【0010】ここで使用するアルカリ土類金属イオンと
しては、カルシウムイオン(Ca2+)が好ましい。アルカ
リ土類金属イオンの濃度は、その塩化物を使用する場
合、前記水性溶液中の濃度として10mM程度が適当である
が、アルカリ土類金属イオン及び塩の種類に応じて予備
実験によって決定される。ポリエチレングリコールエー
テル型非イオン界面活性剤としては、エチレンオキシド
と高級アルコールから合成されるポリエチレングリコー
ルアルキルエーテルが好ましく、特に炭素数12のアル
キル基を有するポリエチレングリコールモノドデシルエ
ーテルが好ましい。これらの界面活性剤の代表例として
は、ルブロール(Lubrol)PX(商品名、インペリアル・
ケミカル社;ナカライテスク(株))、アトラス(Atla
s)G-2133、同G-3705(商品名、アトラスパウダー社)が
例示される。抽出液中の界面活性剤の濃度は、特に限定
されないが、0.1 〜10%(W/W)程度の範囲が適当で、特に
0.5〜5%(W/W) 程度が好ましい。
【0011】のアフィニティークロマトグラフィー工
程は、の抽出工程で得られた抽出液を、予め透析に用
いた緩衝液で平衡化したLPSをリガンドとするアフィ
ニティークロマトグラフィー担体にバッチ法あるいはカ
ラム法で接触させて本発明のLPS結合性タンパク質を
特異的に吸着させ、該担体を透析に用いた緩衝液で充分
に洗浄し、次いでキレート剤を含有する溶離液でタンパ
ク質含量をモニターしながら溶出し、本発明のLPS結
合性タンパク質を含有する溶出液を採取することによっ
て行われる。
【0012】ここで使用する、LPSをリガンドとする
アフィニティークロマトグラフィー担体は、LPSの水
性溶液(懸濁液)を、LPSの固定化に適した官能基を
有するリガンド固定化用クロマトグラフィー担体と接触
させ、カップリング反応を起こさせることによって得ら
れる。LPSとしては種々のグラム陰性菌由来のものを
使用することができるが、大腸菌(Escherichia coli;
E. coli)由来のものが好ましく、特にE.coli 0111:B4
由来のものが好ましい。リガンド固定化用クロマトグラ
フィー担体はLPSの固定化に適したものであればよ
く、その種類は特に限定されないが、特にエポキシ活性
化アガロースゲル担体〔例、エポキシ−活性化セファロ
ース(Sepharose)6B(商品名、ファルマシアバイオシステ
ムズ(株))〕が好ましい。具体的には、LPS粉末を
pH11付近の適当な緩衝液(例、0.1M炭酸ナトリウム緩衝
液)に分散させ、超音波処理等によってミセルとした
後、活性化型リガンド固定化用クロマトグラフィー担体
と充分に接触させ、固液分離することによってLPSを
リガンドとするアフィニティークロマトグラフィー担体
を得ることができる。
【0013】キレート剤を含有する溶離液としては、中
性付近の液性の緩衝液〔例、0.1M塩化ナトリウムを含有
する 0.02Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5 〜7.7 )〕にキ
レート剤を含有させたものを使用できる。キレート剤と
しては、通常、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が使用
されるが、EDTAの代わりに、公知のキレート剤、例えば
ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA-OH)、グリコールエ
ーテルジアミン四酢酸(GEDTA) 、ジアミノプロパン四酢
酸などを使用することも可能である。EDTAを使用する場
合、その濃度は25mM程度が適当である。のアフィニテ
ィークロマトグラフィー工程によって得られた溶出液
は、通常は目的物以外のタンパク質を含まないが、場合
によって、タンパク質の精製に通常用いられる手段(例
えばゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、逆相ク
ロマトグラフィー、電気泳動など)でさらに精製しても
よい。なお、精製過程でのタンパク質含量の測定は、波
長280nm における紫外部吸収を測定することによって行
うことができる。
【0014】得られるLPS結合性タンパク質につい
て、逆相HPLC処理によって、脱塩と微量の不純物の除去
を行い、アミノ酸組成を測定したりあるいはアミノ酸配
列を決定することができる。本発明のLPS結合性タン
パク質は、後述するように、カブトガニから得られるA
LF、タキプレシン、ポリフェムシンあるいはウサギ好
中球のリポ多糖結合タンパク質などとくらべて分子量、
アミノ酸配列、C因子活性化に対する作用等において相
違し、新規なLPS結合性タンパク質である。
【0015】また、このタンパク質は、従来のLPS結
合性タンパク質と同様に、適当な担体を用いて固相化す
ることによって、リポ多糖類(エンドトキシン)を検出
するためのサンドイッチ法によるアッセイ試薬、または
注射用水、種々の薬剤もしくは血液等の体液からエンド
トキシンを効率よく吸着除去するエンドトキシン吸着除
去剤として使用することができる。さらにその生理活性
を利用してグラム陰性菌敗血症を治療または予防する分
野での使用も期待される。
【0016】次に、本発明の具体例を実施例を挙げて説
明する。
【実施例1】 〔LPS結合性タンパク質の調製〕 (1) LPS固定化担体の調製 0.1M炭酸ナトリウム緩衝液(pH11.0) 5mlにLPS粉末
(リストバイオロジカルラボラトリー社、E.coli 0111:
B4由来) 5mg を分散させ、超音波処理を45キロヘルツで
約1分間行なって均一なミセルとした。この全量を、あ
らかじめ蒸留水および同一緩衝液により洗浄したエポキ
シ−活性化セファロース(Sepharose)6B(ファルマシアバ
イオシステムズ(株))3.34gに加え全量を約15mlにし、
37℃、16時間撹拌し両者を反応させた。反応終了後、反
応液をグラスフィルター(G3)で濾過し、濾別して得られ
るゲルを引き続き同一フィルター上で蒸留水を用いて洗
浄した。次いで洗浄したゲルを最終濃度で1Mのモノエタ
ノールアミン水溶液に懸濁し、37℃で一夜撹拌した。撹
拌終了後、懸濁液をグラスフィルター(G3)で濾過し、ゲ
ルを蒸留水で充分に洗浄し、LPS固定化担体を得た。
【0017】(2) カブトガニ血球膜画分の調製Tachypleus tridentatus の血球 155gに 0.02Mトリス−
塩酸緩衝液(pH8.0,50mM塩化ナトリウム含有)800ml を
加え、高速ホモジナイザー(ヒスコトロン(商品名):
日本精密工業(株))で3分間ホモジナイズした後、80
00rpm 、30分間遠心した。この際に生じた沈澱物に洗浄
を行なうために同一緩衝液 400mlを加え、前記操作と同
様にホモジナイズした後に遠心を行い、再び同様の沈澱
物を得た。この洗浄操作をさらに2回繰り返し、血球内
の可溶性成分が充分に抽出された残渣 250gを得た。
【0018】(3) LPS結合性タンパク質の調製 この残渣 250gに0.02M トリス−塩酸緩衝液(pH7.5, 10
mM塩化カルシウム含有) 950mlを加えワーリングブレン
ダー(ワーリング プロダクツ ディビジョンダイナミ
ックス コーポレーション)を用いてホモジナイズし
た。次いで、10%(W/W) ルブロール(商品名、ナカライ
テスク(株))50mlを加え、4℃で3時間撹拌した。そ
の際に生じた不溶性成分を 8000rpm、30分間遠心して除
いた後、可溶性画分を 0.02Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5, 10mM塩化カルシウム、0.5M塩化ナトリウム含有) に
対して透析した。透析試料を、あらかじめ前記透析用緩
衝液で平衡化したLPS固定化担体(前記(1) 参照) と
混和し、カラムに充填した。次いでカラムを同一緩衝液
で充分に洗浄した後、 0.02Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.
5, 0.1M塩化ナトリウム、25mM EDTA 含有) で吸着タン
パク質を溶出した。この結果を図1に示す。本実施例で
は溶離液を10ml以上流したときに溶出される画分を採取
した。このようにして得られたタンパク質をLPS結合
性タンパク質の最終精製標品とした。最終的に155gの血
球より 280nmにおける紫外部吸収の総和が約9.0 のLP
S結合性タンパク質が得られた。また、このようにして
得られたタンパク質をSDS-PAGEにかけたところ、還元条
件下で図2に示すように単一のパンドが得られ、その分
子量は約27,000であった。このようにして得られたタン
パク質の紫外線吸収スペクトルを測定した結果を図3に
示す。
【0019】
【実施例2】 〔アミノ酸分析およびアミノ酸配列の決定〕実施例1に
よって得られる精製LPS結合性タンパク質を、あらか
じめ 0.1%(V/V)トリフルオロ酢酸で平衡化したTSKgel
Phenyl-5PW RP(4.6×75mm)(東ソー(株))に添加した。
次いで充分にカラムを洗浄した後、10分後に8%(V/
V)、15分後に16% (V/V)、105 分後に48%(V/V)、110
分後に80%(V/V)までアセトニトリル濃度を連続的に上
昇させた直線的濃度勾配法により、 0.5ml/min の流速
で吸着したタンパク質を溶出した。この際に溶出される
タンパク質は 214nmの紫外部吸収でモニターし、タンパ
ク質含量の高い部分を採取した。得られたLPS結合性
タンパク質を6Mの塩酸で24.48 及び72時間加水分解し、
あるいは4Mメタンスルホン酸で加水分解し、アミノ酸組
成を測定した。この結果を表1に示す。この表にみられ
るように、トリプトファン含量が1分子中9個存在し、
従来報告されているトリプトファン含量の高いレクチン
と類似していることからレクチンと同様にある特定の糖
鎖を認識している可能性が高い。また、アミノ酸分析に
よるアミノ酸組成の測定値はアミノ酸配列から計算され
るアミノ酸組成の理論値とほぼ一致した。また、このよ
うにして得られたLPS結合性タンパク質のアミノ酸配
列を気相エドマン分解法(アプライド・バイオシステム
ズ社、477A使用)によって決定したところ〔式1〕に示
されるとおりのアミノ酸配列が得られた。
【0020】
【表1】 ────────────────────────── アミノ酸 分析値a) 理論値 (残基数/分子) (残基数/分子) ────────────────────────── Asp 29.3 14 Asn 15 Thr 8.1 8 Ser 22.1 22 Glu 19.0 2 Gln 17 Pro 9.1 8 Gly 28.0 27 Ala 7.5 7 1/2Cysb) 5.4 6 Valc) 18.2 19 Met 2.4 2 Ilec) 14.5 15 Leu 10.2 10 Tyr 9.9 10 Phe 2.1 2 Lys 11.6 11 His 5.4 6 Arg 10.0 10 Trpd) 8.1 9 Total 221 ──────────────────────── a) 24、48及び72時間加水分解した結果の平均値。なお
Ser, Thr については0時間への外挿値 b) 過ギ酸酸化してシステイン酸として測定 c) 72時間加水分解して測定 d) 4Mメタンスルホン酸法により測定
【0021】本発明のタンパク質はCa2+存在下でLPS
(エンドトキシン) と複合体を形成し、EDTAなどのキレ
ート剤存在下で該複合体からタンパク質が解離する。エ
ンドトキシンはカブトガニ体液凝固に関与するC因子を
活性化する作用を有し、ALF、タキプレシン等はこの
エンドトキシンによるC因子活性化作用を阻害するが、
本発明のタンパク質はこのような作用を示さない。具体
的には、LPS固定化担体からEDTAで溶出した状態の本
タンパク質とエンドトキシンをCa2+存在下で混合しても
C因子の活性化には影響を及ぼさなかった。従来LPS
結合性タンパク質としては、アメリカ産カブトガニ(Li
mulus polyphemus) からALFあるいは、ポリフェムシ
ンが、また、日本産カブトガニ(Tachypleus tridentatu
s)からALFあるいはタキプレシンが得られている。さ
らに、このほか多数のLPS結合性タンパク質が報告さ
れている。本発明で得られたLPS結合性タンパク質を
これらのタンパク質と比較した。その結果を表2に示
す。
【0022】
【表2】
【0023】本発明のタンパク質は、従来のカブトガニ
の抗リポ多糖因子(ALF)、タキプレシン、ポリフェ
ムシン等と分子量及びアミノ酸残基数において相違す
る。また、従来の抗リポ多糖因子(ALF)等は、前記
したエンドトキシンによるC因子系の活性化作用を阻害
(抑制)したり、あるいはさらに活性化(増感)するの
に対し、本発明のタンパク質はエンドトキシンによるC
因子活性化作用に影響を及ぼさない。この点において生
理活性が大きく相違する。また、好中球の産生するタン
パク質のなかで比較的性質の類似するリポ多糖結合タン
パク質、塩基性抗菌性タンパク質と比較してもこれらの
点で明らかに相違する新規なタンパク質である。
【0024】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:221 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1によるカラムから本発明のタンパク質
を溶出する図を示す。
【図2】実施例1により得られる本発明のタンパク質の
SDS-PAGE(還元条件下) を示す。右側は本発明のタンパ
ク質、左側はマーカーを示す。数値は分子量(単位103)
を示す。マーカーは LMW Kit E (フアルマシアバイオ
システムズ(株))を使用した。
【図3】実施例1により得られる本発明タンパク質の紫
外線吸収スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 15/14 8517−4H G01N 33/92 Z 7055−2J // G01N 33/579 9015−2J

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カブトガニ血球膜画分をCa2+の存在下で
    ポリエチレングリコールエーテル型非イオン界面活性剤
    を用いて抽出し、抽出液をリポ多糖をリガンドとするア
    フィニティークロマトグラフィーに付し、キレート剤を
    含有する溶離液によって溶出させることによって得られ
    る画分に含まれ、次の物性値を示すリポ多糖結合性タン
    パク質。 (i) SDS-PAGEにより還元条件下で単一のバンドを示
    す。 (ii) SDS-PAGEにより求めた分子量が約27,000である
    (還元条件下) 。 (iii) アミノ酸 221個より構成される。 (iv) Ca2+の存在下リポ多糖と結合し、キレート剤の存
    在下で解離する。
  2. 【請求項2】 次の一次構造を示すアミノ酸配列をもつ
    リポ多糖結合性タンパク質。 【式1】
  3. 【請求項3】 カブトガニ血球膜画分をアルカリ土類金
    属イオンの存在下でポリエチレングリコールエーテル型
    非イオン界面活性剤を用いて抽出し、抽出液をリポ多糖
    をリガンドとするアフィニティークロマトグラフィーに
    付し、キレート剤を含有する溶離液によって溶出させる
    ことを特徴とする分子量が約27,000 (SDS-PAGE、還元条
    件下) であるリポ多糖結合性タンパク質の製造法。
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