JP2000086701A - リポポリサッカライドの精製法 - Google Patents

リポポリサッカライドの精製法

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JP2000086701A
JP2000086701A JP10274333A JP27433398A JP2000086701A JP 2000086701 A JP2000086701 A JP 2000086701A JP 10274333 A JP10274333 A JP 10274333A JP 27433398 A JP27433398 A JP 27433398A JP 2000086701 A JP2000086701 A JP 2000086701A
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Naomi Toyoshima
直美 豊島
Takehiro Miyake
剛博 三宅
Yoshitake Terano
由剛 寺野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来法によるリポポリサッカライド(LPS)
の精製は、超高速遠心分離工程、毒性の強い薬品の使
用、引火性溶媒の加熱下での使用等を含み、工業的規模
での実施が困難であった。 【解決手段】本発明においては、粗製LPSを界面活性
剤を含むpH5〜8の緩衝液に溶解させ、ポリミキシン
Bなどのポリペプチド系抗生物質、ヒスチジンまたはポ
リエチレンイミンを吸着剤として固定化した不溶性担体
と接触させ、pH2〜6の緩衝液、蛋白質変性剤又はカ
オトロピック塩溶液等の溶離液でLPSを溶離させるこ
とにより、工業的規模で効率よくLPSを精製すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリポポリサッカライ
ド(LPS)のアフィニティークロマトグラフィーを利
用した精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】LPSは、グラム陰性細菌表層のポリペ
プチドグリカンを取り囲んで存在する外膜の重要構成成
分で、細胞1個当たり約3×105分子(表面の20〜
30%)存在するといわれている。このLPSはリピッ
ドAと呼ばれる脂質とこれに共有結合した各種の中性糖
から成り、非還元末端の糖鎖が外界に向けて存在する。
LPSの活性は多彩であり、生体レベルでは毒性活性
(エンドトキシンショック)、発熱性(パイロジェ
ン)、シュワルツマン反応など、細胞レベルではマクロ
ファージの活性化、B細胞の活性化、血小板の凝集、顆
粒球の機能の変化などの生物活性作用を引き起こすこと
が報告されている。このような作用面からLPSは、エ
ンドトキシンとも呼ばれている。臨床面では、多数の患
者が敗血症(その半数はグラム陰性菌が原因)にかか
り、アメリカ合衆国の統計では患者の35%(年間約1
7万5千人)が死亡することから、LPSに起因したエ
ンドトキシン血症やエンドトキシンショックの病態生理
の解明やその診断、治療および予防の改善が強く求めら
れている。
【0003】人体に用いる医薬品およびバイオテクノロ
ジーに用いる試薬は、LPS含有量の管理が求められて
おり、その管理のためにエンドトキシン試験と発熱性物
質試験が「日本薬局方」に義務づけられている。LPS
の微量定量法としては、ウサギ発熱性試験および鶏胚致
死試験、ラジオイムノアッセイなどがあるが、リムルス
テスト(Limulus test)が敏感かつ簡便、迅速な検定法
として注目され、今日では医薬品の製造工程および輸
液、注射用放射性医薬品などの管理予備テストとして確
立されている(「エンドトキシン 新しい治療・診断・
検査」139頁、1997年)。同様に、LPSが細胞
に多様な作用を引き起こすため、遺伝子操作、細胞融
合、組織培養などのバイオテクノロジーで用いる試薬、
水や器具のLPSによる汚染を防止することが必須とな
っている(「JISハンドブック試薬13」K 800
8、1519頁、1996年、財団法人日本規格協
会)。
【0004】試薬類のLPS含有試験法としては、リム
ルステストのゲル化法、比濁法および発色合成基質法が
あり、それぞれ試験試薬が市販されている(「JISハ
ンドブック試薬13」K8008、1520頁、199
6年、財団法人日本規格協会)。このように、医薬品や
バイオテクノロジーに用いる試薬に含まれているLPS
量を制御、管理することは、薬品製造において非常に重
要な事項になっている。製造環境からのLPS除去は最
も重要であるが、製造の工程管理や品質検査で行われる
LPS含有試験において、試験結果の判定を確実に行う
ことも重要である。すなわち、適正な試験方法を用いて
正しい試験結果を導き出すためには、検出対象となるL
PS精製物を標準品として用い、試験方法の選択や精度
管理を行うことが必要である。LPSの精製法として
は、温フェノール水抽出法〔メソッド イン カルボハ
イドレート ケミストリー(Method in Carbohydrate C
hemistry Vol.5, p83,(1965))〕と、フェノール・ク
ロロホルム・石油エーテル(PCP)法〔ヨーロピアン
ジャーナル バイオケミストリー( European Journ
al BiochemistryVol.9,p245(1969))〕が常法として
知られている。
【0005】これらの温フェノール水抽出法とPCP法
は、LPSを得るための優れた精製方法ではあるが、精
製過程において長時間超高速遠心分離を行う工程を含ん
でいること、フェノールという毒性の強い薬品を使用し
なければならないこと、石油エーテルという引火性の溶
剤を加熱する必要があること等の理由から製造の大規模
化ができないという欠点を有している。そこで、薬品の
加熱工程を含まず、毒性が低く比較的取り扱いが容易な
薬品を用いる糖脂質の抽出法として、イソプロピルアル
コール・ヘキサン・水の混合液を用いる中性糖脂質の抽
出精製法「新生化学実験講座4 脂質III 糖脂質」(2
45頁、1990年)が提案された。しかしこの抽出精製法
は、タンパク質などの糖脂質以外の物質も抽出液中に混
入してくるため、LPS精製物は得られない。そこでL
PS精製物を得るためには、更なる精製工程の追加が必
要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】LPSが、穏和な条件
下で、ポリミキシンBと特異的に結合することはしられ
ている〔イムノケミストリー( Immunochemistry, Vol.
13, p813(1976))〕。このポリミキシンBの性質を利用
して、LPS含有水溶液をポリミキシンB固定化不溶性
担体と接触させてLPSを除去し、次いで、LPSが結
合したポリミキシンB固定化不溶性担体を強アルカリ
(好ましくはpH12以上)水溶液と接触させ、LPS
をポリミキシンB不溶性担体から除去する方法が提案さ
れている(特開昭61−135674号)。しかしこれ
はLPSが強アルカリ条件下で分解されることを利用し
たもので、LPSの精製物を得る方法ではない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、強力なア
フィニティー結合能により結合しているLPSとポリペ
プチド系抗生物質、ヒスチジンまたはポリエチレンイミ
ンを、LPSが分解しない条件下で切り離す方法につい
て鋭意検討を行った結果、本発明のLPSの精製方法に
到達した。すなわち本発明は、(1)粗製LPSを界面
活性剤を含有するpH5〜8の緩衝液に溶解する工程
(a)、工程(a)で得られた粗製LPS溶液をポリペ
プチド系抗生物質、ヒスチジンまたはポリエチレンイミ
ンを固定化した不溶性担体と接触させる工程(b)およ
び工程(b)で得られた不溶性担体にpH2〜6の溶離
液を接触させてLPSを不溶性担体から溶離させる工程
(c)を含むLPSの精製法、(2)溶離液がpH2〜
6の緩衝液、pH2〜6の蛋白質変性剤含有水溶液また
はpH2〜6のカオトロピック塩含有溶液である前記
(1)LPS精製法、および(3)工程(c)を、不溶
性担体にpH2〜6の緩衝液を接触させ、ついでpH2
〜6の蛋白質変性剤含有水溶液またはpH2〜6のカオ
トロピック塩含有水溶液を接触させることにより行う前
記(1)記載のLPSの精製法、である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においてはまず、粗製LP
Sを界面活性剤を含有するpH5〜8の緩衝液に溶解す
る工程(a)を実施する。この粗製LPSはグラム陰性
菌の菌体から溶媒抽出により得ることができる。グラム
陰性菌の種類は、特に限定する必要は無く、例えば、エ
セリチア コリ(Escherichia coli)、クレブシェラ
ニュモニア(Klebsiella pneumoniae)、セラチア マ
ルセッセンス(Serratia marcescens)、シュードモナ
ス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、ビブリ
オ コレラ(Vibrio cholerae)、サルモネラ ミネソ
タ(Salmonella minnesota)等を用いることができる。
該菌体の取り扱いに際しては、生化学分野で用いられて
いる汎用的な分離方法、例えば遠心分離法、濾過分離法
等で分離したのち、培養液の水分を凍結乾燥法、減圧乾
燥法等により除去して用いればよい。なお、作業者の微
生物感染を回避する目的で、高圧蒸気滅菌法、乾熱滅菌
法等で死菌とした後処理することもできる。
【0009】本発明に用いる粗製LPSは、その製法を
限定する必要は無く、例えば、イソプロピルアルコール
・ヘキサン・水などの抽出溶媒に懸濁し、固液分離して
得られる液層又は、さらにその液層を水置換したものが
好ましく用いられる。本発明に用いる界面活性剤は、種
類を限定する必要はなく、生化学分野で汎用されている
デオキシコール酸ナトリウム(DOC)、ラウリル硫酸
ナトリウム(SDS)等の陰イオン性界面活性剤、塩化
ベザルコニウム、塩化ヘキサメトニウム等の陽イオン性
界面活性剤、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメ
チルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHA
PS)等の両イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン
グリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノラウレート等の非イオン性界
面活性剤を用いることができる。それらの中で好ましい
ものは非イオン性界面活性剤である。また、界面活性剤
の濃度は0.005〜1.0重量%が好ましく、より好ま
しくは0.5〜1.0重量%である。LPS粗製物を溶解
するpH5〜8の緩衝液は、緩衝塩の種類を特に限定す
る必要はなく、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の生化
学分野で汎用されているpH緩衝剤を用いればよく、好
ましいものはリン酸塩である。緩衝液のより好ましいp
H範囲はpH6〜7である。
【0010】次に(a)工程で得られた粗製LPS水溶
液をポリペプチド系抗生物質、ヒスチジンまたはポリエ
チレンイミンを固定化した不溶性担体と接触させる工程
(b)を実施する。ポリペプチド系抗生物質の代表的な
ものは、ポリミキシンA,B,C,D及びコリスチンで
あるが、特にポリミキシンBが好ましい。ポリミキシン
A〜Dは、バチルス ポリミキサ(Bacillus Polimyx
a)により産生され、グラム陰性桿菌、緑膿菌に殺菌的
に作用する塩基性ポリペプチド系抗生物質(「生化学辞
典」第2版、1419頁、(1990年))である。コリスチン
も、バチルス ポリミキサ(Bacillus Polimyxa)から
得られる環状ポリポリペプチド抗生物質の混合物で、ポ
リミキシン類に分類される。ヒスチジンは、イミダゾー
ル環をもつ塩基性アミノ酸の一つ(「生化学辞典」第2
版、1039頁、(1990年))である。また、ポリエチレン
イミンは、イミノ基を有するエチレン鎖の繰り返し構造
を持つ高分子化合物であり、分子量600〜70,000の重合
物である。固定化不溶性担体の形状としては特に限定す
る必要はなく、使用目的に応じた適宜の形状を選定すれ
ばよい。例えば、ビーズ状、テストプレート状、チュー
ブ状、ディスク状、スティック状、ラテックス状等のも
のを用いることができる。担体の素材としては、通常の
アフィニティークロマトグラフィーの担体として用いら
れるもの、例えば、ガラス、多糖類(セルロース、デキ
ストラン、デンプン、デキストリン等)またはその誘導
体、シリカゲル、多孔性セラミックス、金属酸化物、各
種合成樹脂(例えば、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレ
ン、メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、アクリ
ルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど
の重合物もしくは共重合物)、またはこれらに公知の手
段によりスルホン基、アミノ基などの反応性官能基を導
入したものなどが挙げられる。好ましいものはアガロー
スである。
【0011】ポリペプチド系抗生物質、ヒスチジンまた
はポリエチレンイミンの吸着物質を不溶性担体に固定す
る方法は、アフィニティークロマトグラフィーで汎用さ
れている方法を用いればよく、活性化した不溶性担体と
吸着物質のアミノ基を介して固定する方法を用いること
ができる。不溶性担体を活性化する物質として臭化シア
ン、スルホニルクロリド等が用いられており、活性化さ
れた不溶性担体が市販されている。粗製LPS水溶液を
吸着物質固定化不溶性担体と接触させる方法には、たと
えば担体を充填したカラムに粗製LPS水溶液を通液す
るいわゆる連続法、LPSを結合させるに充分量の担体
を粗製LPS水溶液に浸漬する、いわゆるバッチ法など
があるが、カラムを用いる連続法がより便宜である。L
PSと結合した固定化不溶性担体はLPS含有水溶液か
ら分離される。このようにして得られたLPS結合不溶
性担体に溶離液を接触させて、LPSを担体から溶離す
る工程(c)を実施する。この溶離液としては、pH2
〜6の緩衝液、pH2〜6の蛋白質変性剤溶液、pH2
〜6のカオトロピック塩溶液を用いることができ、特に
pH2〜6、より好ましくはpH2〜4の緩衝液を用い
た後さらにpH2〜6の蛋白質変性剤溶液あるいは、p
H2〜6のカオトロピック塩溶液の順序で用いるのが良
い。緩衝液は、緩衝塩の種類を特に限定する必要は無
く、たとえばクエン酸塩、酢酸塩等の生化学分野で汎用
されているpH緩衝剤を用いれば良く、好ましいものは
クエン酸塩である。また、pH範囲は2〜6の弱酸性領
域であれば良く、好ましくはpH2〜4、より好ましく
はpH2〜3である。
【0012】蛋白質変性剤溶液は、生化学分野で汎用さ
れている尿素水溶液、グアニジン塩酸塩等を用いること
ができ、濃度範囲は汎用されている6〜8mol/リッ
トルが適当である。また、この蛋白質変性剤溶液のpH
範囲も2〜6であればよく、好ましくはpH2〜4、よ
り好ましくはpH2〜3である。カオトロピック塩とし
ては、たとえばチオシアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリ
ウム等のカオトロピック塩をあげることができる。濃度
範囲は汎用されている2〜4mol/リットルで用いる
ことができる。また、pH範囲は、2〜6であればよ
く、好ましくはpH2〜4、さらに好ましくはpH2〜
3である。本発明のLPSの精製方法で得られたLPS
精製物は、そのままでも用いることができるが、さらに
適当な緩衝塩を添加したり、中性pH緩衝水溶液にて透
析したりすることにより、中性pH領域の液性としてお
くことが好ましい。また、常法により凍結乾燥をするこ
ともできる。
【0013】
【実施例】以下に実施例および比較例をあげて本発明を
より詳細に説明するが、本発明はこれらよって限定され
るものではない。 実施例1 (1)200mlビーカーにエセリチア コリ(Escher
ichia coli)O55:B5の乾燥菌体7gとイソプロパ
ノール−ヘキサン−水混液(容量比55:20:25)
70mlを加え、室温で2時間充分に撹拌し、吸引濾過
により菌体と液層を分離した。得られた菌体残渣に新た
なイソプロパノール−ヘキサン−水混液(容量比55:
20:25)70mlを加えて同様の操作を行った。イ
ソプロパノール−ヘキサン−水混液層を合し、減圧条件
下でイソプロパノールとヘキサンを除去することによ
り、粗製LPS約2.5gを得た。 (2)臭化シアン活性化アガロース担体(セファロース
4B ファルマシア社製)15gにポリミキシンB
(硫酸ポリミキシンB末 ファイザー製薬社製)0.2
gの水溶液を添加し、25℃で2時間振盪した後、リン
酸水溶液500mlで充分洗浄することにより、ポリミ
キシンB固定化不溶性担体を調製した。該不溶性担体5
mlを、10ml容量のガラス製カラムに充填し、0.
5%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(T
ween 20)含有リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.
8)50mlを流し込んだ。
【0014】(3)前記(1)で得た粗製LPS約10
0mgを0.5%ポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレート含有0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH
6.8)25mlに溶解し、(2)で準備したポリミキ
シンB固定化不溶性担体5mlを充填したカラムに添加
した。そして0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH
6.8)50mlで洗い流した後、0.2Mクエン酸ナ
トリウム緩衝液(pH2.0)25ml、3Mチオシア
ン酸ナトリウム水溶液(pH5.8)25mlおよび3
Mチオシアン酸ナトリウム水溶液(pH2.0)25m
lの順序で各溶液を該カラムに添加し、溶出液計75m
lを分取した。分取した該カラム溶出液は、1M水酸化
ナトリウム水溶液により液性をpH7.0に調整した。 (4)前記(3)で得た精製LPSの精製程度を、従来
の精製方法である温フェノール水抽出法で得られたLP
Sと比較した。すなわち、各LPS試料液をSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動用の試料緩衝液(2−メ
ルカプトエタノール無添加)と容量比1:1で混合し、
泳動用試料とした。SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動は、15%濃度ポリアクリルアミドゲルを用いる
定法に従って実施した。泳動終了後の該泳動ゲルは、L
PSの銀染色法〔アナリティカル バイオケミストリ
( Analytical Biochemistry Vo1.119, p115-119, (198
2))〕に従って、蛋白質用銀染色溶液調製品(シルベス
トステイン ナカライテスク社製)を用いて染色して泳
動像を確認した。すなわち、泳動後の該ゲルを、エタノ
ール:酢酸:水混液(容量比50:20:30)に30
分間浸漬し、ついで過ヨウ素酸:エタノール:酸:水混
液(容量比0.7:20:5:74.3)に10分間浸漬
した後充分量の水で洗浄した。つづいて、銀溶液・A
液:銀溶液・B液:水(容量比10:10:80)混液
に10分間浸漬した後充分量の水で洗浄した。洗浄後、
該ゲルを現像液(ホルムアルデヒド溶液):水(容量比
5:95)にて染色し、5%酢酸水溶液で現像を停止し
て充分量の水で洗浄した。(3)で得られた精製LPS
の泳動像は、温フェノール水抽出法で精製したLPS以
上にLPS以外の蛋白質等の不純物が除去されていた。
【0015】(5)前記(1)で得た粗製LPS、前記
(3)で得た精製LPSおよび従来の精製方法である温
フェノール水抽出法で得たLPSのそれぞれについてリ
ムルステスト、(エンドスペーシー ES−6、生化学
工業社製)によるLPSの定量を行った。操作手順は、
エンドトキシンフリー,β−グルカンフリーの96穴マ
イクロプレート(トキシペットプレート96F、 生化
学工業社製)に試料50μlを添加し、合成基質溶液5
0μl加え、37℃で30分間放置した後、0.6M酢
酸水溶液0.2mlを加え、波長405nmの吸光度を
測定した。その結果、粗製LPS中のLPS濃度は0.
38mg/ml、精製LPS中のLPS濃度は19.6
mg/ml、温フェノール水抽出法による精製LPS中
のLPS濃度は、17.6mg/mlであった。 (6)前記(1)で得た粗製LPS、前記(3)で得た
精製LPSおよび従来の精製方法である温フェノール水
抽出法で得たLPSのそれぞれについて蛋白質定量を行
った。方法は、フェノール試薬法(Lowry法)(J.Bio
l. Chem.,193,265, (1951))により蛋白質定量 Lowry
キット調整品(プロテインアッセイ Lowry キット ナ
カライテスク社製)を用いて測定した。蛋白質濃度は牛
血清アルブミン(BSA)換算した。操作手順は、試料
0.2mlにアルカリ性銅溶液1mlを加え混和し、室
温で10分以上放置した後、1Nフェノール試薬0.1
mlを加え、直ちに混和した。室温で30分放置した
後、750nmの吸光度を測定した。その結果、(1)
で得た粗製LPSに含まれる蛋白質濃度は、約27mg
/ml、(3)で得た精製LPSに含まれる蛋白質濃度
は約0.03mg/mlであり、温フェノール水抽出法
による精製LPSに含まれる蛋白質濃度は0.25mg
/mlであった。 (7)前記(5)で精製したLPS中のLPS濃度が1
9.6mg/mlであったことと、前記(6)で精製し
たLPSに含まれる蛋白質濃度が0.03mg/mlで
あったことから、精製LPSの蛋白質含有率は約0.2
%であった。一方、温フェノール水抽出法により精製し
たLPS中のLPS濃度が17.6mg/mlであった
ことと、温フェノール水抽出法で精製したLPSに含ま
れる蛋白質濃度が0.25mg/mlであったことか
ら、精製したLPSの蛋白質含有率は約1.4%であっ
た。
【0016】実施例2 実施例1(1)で得た粗製LPS20mgを0.5%ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート含有0.0
1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)5mlで溶
解した後、実施例1(2)のポリミキシンB固定化不溶
性担体1mlを充填したカラムに添加した。そして、
0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)10m
lで洗い流した後、0.2Mクエン酸ナトリウム緩衝液
のpH4.0とpH3.0の各緩衝溶液10ml、6M濃
度尿素水溶液(pH5.8)10mlの順番で各溶液を
該カラムに添加し、各カラムからの溶出液計20mlを
分取した。分取した各カラム溶出液は、1M水酸化ナト
リウム水溶液によりpH7.0に調整した。実施例1
(4)と同様の電気泳動法とLPS銀染色法を行った結
果、pH3.0の緩衝溶液の泳動像染色度は、pH4.0
の緩衝溶液の泳動像より濃かった。また、実施例1
(5)と同様の操作により、pH3.0の緩衝液による
精製LPSとpH4.0の緩衝液による精製LPSの定
量を行った結果、pH3.0の緩衝液による精製LPS
中のLPS濃度は、3.8mg/mlであり、pH4.
0の緩衝液による精製LPS中のLPS濃度は、2.3
mg/mlであった。
【0017】比較例1 実施例1(1)で得た粗製LPS20mgを0.5%ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート含有0.0
1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)5mlで溶
解した後、実施例1(2)のポリミキシンB固定化不溶
性担体カラム1mlに添加した。そして、0.01Mリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)10mlで洗浄
後、6M尿素水溶液(pH6.5)50mlを該カラム
に添加し、6M尿素水溶液のカラム溶出液を分取した。
分取した該カラム溶出液は、1M水酸化ナトリウム水溶
液の適量を加えることにより液性をpH7.0に調整し
た。得られた溶液を実施例1(4)で行ったと同様の電
気泳動法とLPS銀染色法により染色したが、LPSの
泳動像を確認できなかった。また実施例1(5)と同様
の操作により、LPSの定量を行った結果、得られた溶
液のLPS濃度は3.6μg/mlであった。
【0018】実施例3 実施例1(2)と同様に、ヒスチジン0.2gの水溶液
を臭化シアン活性化アガロース不溶性担体15gに固定
化して、ヒスチジン固定化不溶性担体を調製した。該不
溶性担体5mlを、10ml容量のガラス製カラムに充
填し、0.5%塩化ベンザルコニウム含有リン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH6.8)50mlを流し込んだ。実施
例1(1)と同様の操作によりセラチア マルセッセン
ス(Serratia marcescens)菌体から得られた粗製LP
S100mgを0.5%塩化ベンザルコニウム含有0.0
1濃度のリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)25m
lに溶解した。この粗製LPS溶液をヒスチジン固定化
不溶性担体カラムに添加した。0.01Mリン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH6.8)50mlで洗浄後、0.2Mク
エン酸ナトリウム水溶液(pH2.0)25ml、8M
グアニジン塩酸水溶液(pH5.8)25ml、8Mグ
アニジン塩酸水溶液(pH2.0)25mlの順番で各
溶液を該カラムに添加し、合計75mlの溶出液を分取
した。分取した該カラム溶出液は、1mol濃度の水酸
化ナトリウム水溶液の適量を加えることにより液性をp
H7.0に調整した。実施例1(4)で行ったと同様の
電気泳動法とLPS銀染色法により、純度の確認をし
た。その結果このヒスチジン固定化不溶性担体カラムに
よっても、実施例1と同様にLPSが精製された。ま
た、実施例1(5)および(6)と同様の操作を行った
結果、得られた精製LPS中のLPS濃度は、22.5
mg/mlであり、蛋白質濃度は、0.11mg/ml
であった。このことから精製LPSの蛋白質含有率は約
0.5%であった。
【0019】実施例4 実施例1(2)と同様に、ポリエチレンイミン固定化不
溶性担体を調製した。該不溶性担体5mlを10ml容
量のガラス製カラムに充填し、0.005%デオキシコ
ール酸ナトリウム含有リン酸ナトリウム緩衝液(pH
6.8)50mlを流し込んだ。実施例1(1)と同様
の操作によりシュウドモナス アエルギノサ(Pseudomo
nas aeruginosa)菌体から得られた粗製LPS100m
gを0.005%デオキシコール酸ナトリウム含有0.0
1濃度のリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)25m
lに溶解した後、ポリエチレンイミン固定化不溶性担体
カラム5mlに添加した。そして0.01Mリン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.8)25mlで洗浄後、3Mヨ
ウ化ナトリウム水溶液(pH2.0)25mlを添加
し、3Mヨウ化ナトリウム水溶液(pH2.0)の溶出
液を分取した。分取した該カラム溶出液は、1M水酸化
ナトリウム水溶液の適量を加えることにより液性をpH
7.0に調整した。実施例1(4)で行ったと同様の電
気泳動法とLPS銀染色法により、このポリエチレンイ
ミンの固定化不溶性担体カラムにおいても、実施例1と
同様にLPSが精製された。また、実施例1(5)およ
び(6)と同様の操作によりLPSの定量と蛋白質量を
測定した結果、精製LPS中のLPS濃度は、24mg
/mlであり、精製LPS蛋白質濃度は、0.12mg
/mlであった。このことから精製LPSの蛋白質含有
率は約0.5%であった。
【0020】実施例5 実施例1(2)と同様に、コリスチン固定化不溶性担体
を調製した。該不溶性担体5mlを10ml容量のガラ
ス製カラムに充填し、0.5%ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル含有リン酸ナトリウム緩衝液(pH
6.8)50mlを流し込んだ。実施例1(1)と同様
の操作でビブリオ コレラ(Vibrio cholerae)菌体か
ら得られた粗製LPS100mgを0.5%ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル含有0.01濃度のリ
ン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)25mlに溶解し
た後、コリスチン固定化不溶性担体カラム5mlに添加
した。そして0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH
6.8)50mlで洗浄後、0.2Mクエン酸ナトリウム
水溶液(pH2.0)25ml、3Mチオシアン酸ナト
リウム水溶液(pH5.8)25mlを添加し、3Mチ
オシアン酸ナトリウム水溶液(pH2.0)25mlの
順番で各溶液を該カラムに添加し、合計75mlの溶出
液を分取した。分取した該カラム溶出液は、1M水酸化
ナトリウム水溶液の適量を加えることにより液性をpH
7.0に調整した。実施例1(4)の電気泳動法とLP
S銀染色法により、コリスチン固定化不溶性担体カラム
においても、実施例1と同様にLPSが精製された。ま
た、実施例1(5)および(6)と同様の操作によりL
PSの定量および蛋白質量を測定した結果、精製LPS
中のLPS濃度は、18.2mg/mlであり、精製L
PSに含まれる蛋白質濃度は、0.09mg/mlであ
った。このことから精製LPSの蛋白質含有率は約0.
5%であった。
【0021】
【発明の効果】本発明のLPSの精製方法は、従来法で
は工業的製造の障害要因となっていた精製過程における
超高速遠心分離の工程、フェノールのような毒性の強い
薬品の使用、石油エーテルのような引火性薬品の加熱工
程を含んでいないので、安全に製造規模拡大を実施する
ことができる。また、本発明の精製方法で得られたLP
Sの精製純度は、従来の精製方法と同等以上である。す
なわち、従来から有用性が報告されていたLPSは、本
発明の精製法により初めて、工業的規模での製造が可能
になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 剛博 大阪府高槻市西冠1−25−16−405 (72)発明者 寺野 由剛 大阪府池田市旭丘3−4−17 Fターム(参考) 4C090 AA03 BA76 BC20 CA06 CA12 CA13 DA09 DA21 DA22

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粗製リポポリサッカライド(Lipopolysacc
    haride, 以下LPSと略記する。)を界面活性剤を含有
    するpH5〜8の緩衝液に溶解する工程(a)、工程
    (a)で得られた粗製LPS溶液をポリペプチド系抗生
    物質、ヒスチジンまたはポリエチレンイミンを固定化し
    た不溶性担体と接触させる工程(b)および工程(b)
    で得られた不溶性担体にpH2〜6の溶離液を接触させ
    てLPSを不溶性担体から溶離させる工程(c)を含む
    LPSの精製法。
  2. 【請求項2】溶離液がpH2〜6の緩衝液、pH2〜6
    の蛋白質変性剤含有水溶液またはpH2〜6のカオトロ
    ピック塩含有溶液である請求項1記載のLPS精製法。
  3. 【請求項3】工程(c)を、不溶性担体にpH2〜6の
    緩衝液を接触させ、ついでpH2〜6の蛋白質変性剤含
    有水溶液またはpH2〜6のカオトロピック塩含有水溶
    液を接触させることにより行う請求項1記載のLPSの
    精製法。
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