JP2009501885A - 球継手を製造する方法及びこの方法で製造された継手 - Google Patents

Abstract

本発明は、球継手を製造する方法及びこの方法で製造された継手に関する。本発明は低い回転及び傾動モーメントを有する完全に組立てられた球継手の簡単な製造を可能にすることを目的としている。この場合、記載された球継手は、継手ケーシングが射出又は鋳造方法で形成され、その際継手球がその上に載置された継手シエルと一緒に、金属製の材料又はプラスチックで包み込まれる。本発明によれば原則的に球面状の継手シエルがわずかに調整される。継手シエルは少なくとも１つの領域に張出し成形部を備え、該張出し成形部は射出成形又は鋳造過程に作用する圧力に対し弾性的に振舞い、射出又は鋳造過程の終了後、わずかに外へ弯曲する。これにより継手シエルは射出又は鋳造プロセス後に継手球の上に全面的には接触しなくなる。

Description

本発明は球継手を製造する方法に関する。さらに本発明は前記方法に従って製造された球継手にも関する。この場合、本発明によれば継手の継手シエルもしくは軸受シエルは特別な形式で構成される。

球継手は多くの方向から力を伝達しかつ受容する。球継手は例えば自動車構造にてかじ取り装置もしくはタイロッドの領域で使用される。この種の球継手は主として、一端に球が構成されている継手ピンと、継手ピンの球を受容するシエルと、該シエルと継手ピンの１部を受容する継手ケーシングとから成っている。継手ピンの球は、ケーシングによって湿気及び汚染物に対し保護された、予負荷のかけられた、恒久潤滑されたシエル内で滑動する。さらに継手ケーシングはピンを受容するための開放側にてシールベローによって付加的に汚染物に対しかつ潤滑剤の流出に対し保護されている。さらに継手ケーシングに多数設けられた背面側の開口は閉鎖蓋によって閉じられている。一般的には前記継手コンポーネントは別個に製作され、次いで組立プロセスで継手として組み立てられる。しかしこれは組立費用の観点からは不都合である。

したがってＤＥ１９５１３７１４Ｃ１号明細書によれば、継手ケーシングが継手ピンの球の上に載置されかつこれによって与えられる完全な配置が、コンポーネントの固定及び継手ケーシングの形成のために射出成形で包まれる方法がすでに公知である。しかし、前記文献に記載された方法では、継手シエルが射出成形時の圧力によりケーシングで継手球の上に押付けられ、継手シエルが継手球に全面的に接触させられる惧れがある。しかし、大き過ぎる接触面は不都合な形式で、回転及び傾動モーメントを上昇させる。

本発明の課題は、完全に組立てられた球継手の簡単な製作を可能にし、その結果、機能的に確かな球継手が低い摩擦モーメント及び低い回転及び傾動モーメントを有するように製作され、球継手及び継手シエルもしくは軸受シエルとの滑り面の十分な潤滑が保証されるようにすることである。さらにこの方法で製造可能な球継手も本発明の課題である。

前記課題は請求項１の特徴を有する方法によって解決された。課題を解決する球継手は請求項５に記載されている。本発明の有利な実施例は各従属請求項に記載されている。

課題を解決するために提案された方法もこの方法で製造された球継手も、原理的に公知である形式の球継手に関連している。この球継手は、継手ピンと、継手ピンの一端に構成された継手球と、この継手球を受容する、片側で開放した継手ケーシングと、継手球と継手ケーシングとの間に配置された、恒久潤滑された、ほぼ球面状の継手シエルと、継手ケーシングの開放側を、継手球と継手ピンの、継手ケーシングから突出するシャフトとの間で閉鎖するシールベローとから成っている。これに相応する球継手は継手ケーシングが射出成形又は鋳造（例えばダイカスト鋳造）で形成され、その際、継手球をその上に載置された軸受シエルと共に、金属材料又はプラスチックで包み込むことで製作される。しかし、球面状の継手シエルの原則的な構成はわずかに変えられることができる。このためには継手シエルは少なくとも１つの領域に張出し成形部を備え、該張出し成形部が射出又は鋳造に際して作用する圧力に対し弾性的に動作し、射出又は鋳造過程が終了したあとで、継手シエルもしくは軸受シエルのその他の球面形状に対しわずかに外へ弯曲する。これによって継手シエルが射出又は鋳造プロセスの後で、継手球の上には全面的には接触しなくなる。球継手を製作するためには継手ピンの継手球の上に、前述の形式で構成された継手シエルが載置され、これと一緒に射出成形で包み込まれる。射出及び鋳造プロセスの後に続く組立プロセスにて最後にシールリングを有するシールシステムが補完される。

継手シエルと継手球との間に全面的な接触を阻止することで、球継手を使用する場合に、継手シエルと球継手との間の摩擦モーメント並びに回転及び傾動モーメントが制限される。これによって球継手の良好な走行特性と球継手のコンポーネントの高い耐久強度とが保証される。有利な形式で金属製の継手ケーシングを有する球継手の場合には鋳造過程の間に、継手球と継手ケーシングとの間に金属的な被覆が実現される。この場合、継手ケーシングは該継手ケーシングがほぼ、継手球と継手ピンのシャフトとの間の移行部まで延びるように構成されていることができる。この場合、継手ケーシングの、継手ピンによって貫かれる開口の領域における継手ケーシングの直径は継手球の直径よりもわずかに小さい。これによって与えられる金属的な被覆に基づき有利な形式で継手ピンの抜き取り強度は高められる。

本発明の有利な実施例に相応して継手ケーシングはシャフトを備え、該シャフト内にて、対応して成形された管又はロッドが継手ケーシングを形成する過程で包み囲まれる。択一的な可能性は、射出成形又は鋳造に際して単にシャフト根部を継手ケーシングに形成し、該シャフト根部に結合しようとする管又はロッドを冷間又は熱間打込みによって取付けることである。

本発明による球継手においては継手シエルには継手球の極の領域にて、外へ膨らんだ張出し部が構成されている。この場合には継手もしくは軸受シエルは、少なくとも前記張出し部の領域で弾性的に変形可能なプラスチックから成っている。継手ケーシングを形成するための射出成形又は鋳造過程に際して、先きに継手球の上に載置された軸受シエルの弾性的に変形可能な張出し部は継手球の表面に押付けられる。しかし、特殊な形状の付与と適当な弾性的な材料、例えばポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド又はポリフェタールアミドの選択によって、前記張出し部は射出成形又は鋳造過程の終了後少なくとも部分的に再び外へ膨らむ。これによって少なくとも張出し部の領域にて、継手シエルの内輪郭と継手球との間に隙間が残される。この結果、軸受シエルと継手球との間の全面的な接触が回避されることにより、摩擦モーメント並びに回転及び傾動モーメントの低減が達成される。さらに、本発明の有利な１実施例に従って構成された球継手に相応して、継手シエルは外へ張出した成形部の領域にて、その内面にリブを有している。このリブは、射出成形もしくは鋳造に際して支配する圧力に関する誤差又は継手シエルの材料と形状とに関する誤差とに基づき、射出成形もしくは鋳造過程の終了後、張出し部が場合によって例外的に弾性的に戻らない場合のために設けられている。この場合にはリブにより、継手シエルがそれでも全面的に継手球に接触しないことが保証される。

前記リブは幾何学的な観点からは異なって形成することができる。１つの提案された可能性では、ほぼ球面状の幾何学的形状の極から発して、継手シエルの外へ膨らんだ領域の内面を複数のリブが放射状に延びている。この場合にはこのリブに対し横方向に複数の互いに平行にかつ継手球の赤道に対し平行に配置されたリブが延びている。別の構成では継手シエルは外へ膨らんだ張出し部の領域にて内面に、多数のリブを有し、該リブが球面状の表面の投影面に関して直角に交差している。

さらに継手シエルは外面に複数の長手方向に延びるリブ状の区分を有し、このリブ状の区分で回動防止手段が形成されている。これにより継手ケーシング内で継手シエルが回動することは阻止される。

別の有利な実施例では継手ケーシングの開口の領域にて、継手ケーシングと継手シエルとの間にリングが間挿され、該リングの、継手ケーシングの開口から突出する区分がシールベローのためのベロー座を形成している。これによって金属製の継手ケーシングの場合には有利な形式で継手ケーシングと継手球との間の金属製の被覆がさらに高められる。

以下、本発明を実施例に基づきもう一度説明する。

図１には本発明の球継手の１実施例が示されている。この球継手は自体公知の形式で継手ピン３，４を有し、該継手ピン３，４の継手球４は継手ケーシング７によって受容されている。継手ケーシング７と継手球４との間には恒久潤滑された継手シエル１，１′が配置されている。図示の実施形態は、継手シエル１，１′が継手球４に載置され、次いで継手ケーシング７が継手シエル１，１′と継手球４とを包み込んで射出成形又は鋳造されることで形成される。次いで行なわれる組立作業でシールベロー８を有するシールシステムで補完される。

射出成形過程の後で継手シエル１，１′が全面的に継手球４に接することを阻止するためには継手シエル１，１′は本発明の根本思想に従って、特殊な形式で構成される。図面から判るように継手シエル１，１′は継手球４の極５の領域に外へ膨らんだ張出し部１′を有している。これに加えてこの張出し部１′の領域では継手シエル１，１′の内面にリブ２が設けられている。継手シエル１，１′の形状付与に関する前記処理によって継手シエル１，１′が継手球４に全面的に接触することは阻止される。射出成形もしくは鋳造過程で継手シエル１，１′は継手球４の表面に押付けられるが継手シエル１，１′に設けられた張出し部１′は射出成形もしくは鋳造過程の終了後、少なくとも部分的に再び外へ膨らむ。この所望される結果が例外的に発生しなくても、内輪郭に設けられたリブ２によって、摩擦モーメントの制限の達成が少なくとも保証される。図１に示された球継手では別のエレメントと結合するために設けられたシャフト１２は継手ケーシング７の統合された構成部分である。このためには継手ケーシングを形成する際に金属製の管１３が一緒に射出成形に際して包み込まれる。

図２には原則的に図１の本発明の球継手の実施例と比較可能な球継手が示されている。しかしこの場合には先きに述べた構成形態とは異なって、管１３の代りにロッド１３′がシャフト１２を形成するために一緒に射出成形で包み込まれる。図１の球継手と同様に、球ピンの支持鍔は多角形に構成されている。これによって該構成部材のサービス性が改善される。これによって与えられる支持面の減少を補償するためには多角形部１４の下側に円板１５が球ピン３，４のピンもしくはシャフト３にプレス嵌めされている。

図３には同様に、先きに述べた構成形態と比較し得る別の構成形態が示されている。しかし、この場合には継手ケーシング７にシャフトを実現するために単に根部１２′が一体に成形され、該根部１２′が例えば冷間打撃によって管１３と結合される。

図４には本発明の球継手の別の実施例が示されており、この実施例では継手シエル１，１′と継手ケーシング７との間には、継手ケーシング７の開口の領域にて付加的なリング１１が間挿され、少なくとも部分的に継手ケーシング７に射出成形で包み込まれている。これによって有利な形式で継手ケーシング７と球ピン４との間の被覆（金属製の継手ケーシング７の場合には金属的な被覆）が拡大され、ひいては球ピン４の引抜き強度がさらに高められる。先きに述べたすべての構成形態の場合のように球継手は、射出成形もしくは鋳造後に取付けられたシールベロー８によって汚染に対しかつ潤滑剤の流出に対しシールされている。

図５には本発明の球継手の継手シエル１，１′に可能な実施形態が示されている。この継手シエル１，１′は本発明の思想に応じて極５′の領域に軽く外へ膨らんだ張出し部１′を有している。継手シエルの内面にはこの張出し部の領域にてリブ２が形成されている。このリブ２の例としては並べて（ａ）と（ｂ）とが示されている。（ａ）で示されたリブ２の場合には、極５′から放射状に複数のリブ２′が延びている。このリブ２′に対して横方向に複数の、互いに平行にかつ球赤道に対し平行なリブ２″が延びている。（ｂ）の構成形態では複数の、継手シエル１，１′の球状の表面の投影面に関して直角に交差するリブ２″′が構成されている。図示のリブ構成は例であって判りやすくするために継手シエル１，１′の外形とは離して示してある。しかしいずれの場合にもリブは継手シエル１，１′と一体に構成されている。さらに図に示された継手シエル１，１′は外面に複数のリブ１０又はウエブを有している。これらのリブ１０又はウエブは回動防止手段として役立ち、継手ケーシング７内で継手シエル１，１′が回動することを阻止する。

管状のシャフトを有する本発明による球継手の第１実施例を示した図。 継手ケーシングがロッドと結合されている、図１の構成と比較し得る球継手を示した図。 管状のシャフトを有する別の実施例を示した図。 ケーシング開口の領域にて継手シエルとケーシングとの間に間挿された円板を有する実施例を示した図。 継手シエルの構成形態を示した図。

符号の説明

１ 継手もしくは軸受シエル
１′ 張出し部
２，２′，２″，２″′ リブ
３ シャフト
４ 球
５′ 極
５″ 極
６ 赤道
７ 継手ケーシング
８ シールベロー
９ 隙間
１０ リブ又はウエブ
１１ リング
１２ シャフト根部
１３ 管
１３′ ロッド
１４ 多角形部
１５ 円板

Claims (10)

1. 一端に構成された継手球（４）を備えた継手ピン（３，４）と、継手球（４）を受容する継手ケーシング（７）と、継手球（４）と継手ケーシング（７）との間に配置された、ほぼ球面状の継手シエル（１，１′）とから成る球継手を製造する方法であって、継手ケーシング（７）が射出又は鋳造プロセスで製作され、射出又は鋳造プロセスで継手球（４）がこれに載置された継手シエル（１，１′）と共に金属材料又はプラスチックで取囲まれ、射出又は鋳造プロセスに続く組立プロセスでシールベロー（８）を有するシールシステムで補完される方法において、継手シエル（１，１′）の少なくとも１領域に、射出又は鋳造プロセスの間作用する圧力に対して弾性的に振舞いかつ射出又は鋳造プロセスの終了後、その他の球面状の形態に対して外へ弯曲し、継手シエル（１，１′）が継手ケーシング（７）の製作後に継手球に全面的には接触しないことを特徴とする、球継手を製造するための方法。
2. 球継手が金属製の継手ケーシング（７）で取囲まれた球継手の製法であって、射出又は鋳造プロセスの過程の間に継手球（４）と継手ケーシング（７）との間に金属的な被覆が実現される、請求項１記載の方法。
3. 継手ケーシングが射出又は鋳造プロセスの過程で、管（１３）又はロッド（１３′）が一緒に射出成形で取囲まれることで、他のユニットに結合するためのシャフト（１２）を備えている、請求項１又は２記載の方法。
4. 継手ケーシングにシャフト根部（１２′）が一体成形され、このシャフト根部（１２′）が射出又は鋳造プロセスの後で冷間打撃又は熱間打撃で管（１３）又はロッド（１３′）と結合される、請求項１又は２記載の方法。
5. 一端に構成された継手球（４）を有する継手ピン（３，４）と、継手球（４）を受容する、金属又はプラスチックから成る、射出又は鋳造プロセスで形成された、片側で開放した継手ケーシング（７）と、恒久潤滑された、継手球（４）と継手ケーシング（７）との間に配置された、ほぼ球面状の継手シエル（１，１′）と、継手球（４）と継手ケーシング（７）から突出する継手ピン（３，４）のシャフト（３）との間の移行領域にて継手ケーシング（７）の開放側を閉鎖するシールベロー（８）とから成る球継手において、継手シエル（１，１′）が継手球（４）の極（５）の領域にて外へ弯曲された張出し成形部（１′）を有し、この張出し成形部（１′）の領域にて、継手球（４）と該継手球（４）の上に載置された継手シエル（１，１′）とを一緒に射出成形された継手ケーシング（７）で取囲む射出又は鋳造プロセスが終了したあとでも、継手シエル（１，１′）の内輪郭と継手球（４）との間にギャップが残されていることを特徴とする、球継手。
6. 継手シエル（１，１′）が継手球（４）に向いた内面に、前記張出し成形部（１′）の領域にリブ（２）を有している、請求項５記載の球継手。
7. ほぼ球面状の継手シエル（１）の外へ弯曲させられた前記張出し成形部（１′）の内面に、極（５′）から発して、放射状に複数のリブ（２′）が延びかつこれらのリブ（２′）に対し横方向に複数の別の、互いにかつ継手球の球赤道（６）に対して平行に配置されたリブ（２″）が延びている、請求項５又は６記載の球継手。
8. 継手シエル（１，１′）が外へ弯曲された前記張出し成形部（１′）の内面に、複数のリブ（２″′）を有し、これらのリブ（２″′）が球面状の表面の投影面に関して互いに直角に交差している、請求項５又は６記載の球継手。
9. 継手シエル（１，１′）の、継手球（４）とは反対側の外面に回動防止手段を構成するために単数又は複数のリブ（１０）が配置されている、請求項７又は８記載の球継手。
10. 継手ケーシング（７）の開口の領域にて、継手ケーシング（７）と継手シエル（１，１′）との間にリング（１１）が挿入されており、該リング（１１）の、継手ケーシング（７）の開口から突出する区分がシールベロー（８）のためのベロー座を構成している、請求項５から９までのいずれか１項記載の球継手。

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