JP2009501318A - アテローム動脈硬化性心血管疾患の診断およびモニタリングのための方法ならびに組成物 - Google Patents

アテローム動脈硬化性心血管疾患の診断およびモニタリングのための方法ならびに組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、アテローム性動脈硬化において差次的に発現される循環タンパク質を特定する。これらのタンパク質の循環レベルにより、特に一団のタンパク質として、急性心筋梗塞を有する患者を、安定労作性狭心症を有する患者およびアテローム動脈硬化性心血管疾患の病歴のない患者と識別することができる。また、そのようなレベルにより、心血管イベントを予測すること、治療法の有効性を判定すること、疾患の病期判定を行うことなどもできる。例えば、これらのマーカーは、血管特異的な医用薬剤の開発のために必要な、臨床的イベントの代用バイオマーカーとして有用である。

Description

発明の分野
本出願は、バイオインフォマティクスおよびアテローム動脈硬化性疾患の分野に関する。特に、本発明は、アテローム動脈硬化性疾患の診断、モニタリングおよび治療法の開発のための方法および組成物に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、2005年6月24日に提出された米国仮出願第60/693,756号の恩典を主張し、その全開示内容は、すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
関連技術の説明
早期かつ正確な診断を提供し、それに続いて積極的な治療を行うという我々の能力が限られているために、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)は世界中で未だに病的状態および死亡の主因であり続けている。ASCVDを有する患者は、疾患がさまざまに異なる速度で、しかも明確に異なるパターンで進行する、異種混交的な個体の群である。ASCVDを有する患者に対する適切なエビデンスに基づく治療にもかかわらず、再発率および死亡率は依然として年2〜4%であり続けている。また、積極的なリスク軽減による恩典を受けると考えられる患者を正確に特定する能力を我々が持っていないため、一次予防の完全な利益はまだ実現されていない。
ある種の疾患マーカーは治療法に対するアウトカムまたは反応を集団レベルで予測することが示されているが、それらは個々の患者において十分な臨床的有用性を与えるほどには十分に高感度または特異的でない。その結果として、冠動脈疾患を有する患者の過半数では、最初の臨床像が心筋梗塞または死亡のいずれかである。
身体検査および現在の診断ツールは、ASCVDの合併症を罹患することに関する個体のリスクを正確に判定することができない。高血圧、高脂血症、糖尿病、家族歴および喫煙といった公知の危険因子では、アテローム性動脈硬化症との診断は確定されない。解剖学的データに依拠した診断様式(冠動脈造影法、冠動脈石灰化指数、CTまたはMRI血管撮影法)は、疾患プロセスの生物活性に関する情報が不足しており、将来の心イベントの予測指標としては不良である恐れがある。内皮機能の機能的評価は、非特異的であってアテローム動脈硬化性疾患の過程の存在とは関係ない恐れがあるが、いくつかのデータは、これらの測定に予後判定的な価値があることを実証している。脂質および炎症マーカーなどの個々のバイオマーカーは、ASCVDを有する患者における治療に対するアウトカムおよび反応を予測することが示されており、いくつかは、アテローム動脈硬化性疾患の発症に関する重要な危険因子として利用されている。しかしながら、現時点までに、単一のバイオマーカーで、個々の患者におけるASCVDの診断に対して十分な臨床的有用性を与えるほどに十分に特異的なものはない。
アテローム動脈硬化性心血管疾患の複雑な性質
一般に、アテローム性動脈硬化は、多数の生物経路がかかわる複雑な疾患であると考えられている。アテローム動脈硬化性疾患の過程の自然歴の差異、ならびに危険因子に対する反応の違い、および治療法に対する個々の反応の差異は、一部には、遺伝的背景、ならびに疾患の開始および修飾の原因となる環境要因とのそれらの複雑な相互作用の違いを反映している。アテローム動脈硬化性疾患はまた、解剖学的構造、機能および生物現象のすべてが健康においても疾患においても重要な役割を果たす、心血管系それ自体の複雑な性質によっても影響される。このような複雑性を考慮に入れると、個別のマーカーまたはアプローチが、疾患過程の真の性質を捉えるのに十分な情報をもたらす可能性は低い。
単一バイオマーカーによるアプローチ:炎症
炎症はASCVDのすべての段階に関与することが示されており、アテローム発生の病態生理学的基盤の主要な部分であって、疾患過程の潜在的なマーカーを与えるものと考えられている。循環炎症バイオマーカーの上昇によって、心血管リスクが層別化されるとともに治療法に対する反応が判定されることが、大規模な疫学研究で示されている。現在のところ、炎症の一般的マーカーはリスク層別化に有用な可能性があるものの、多くのマーカーについては特異性の不足のため、それらは個体におけるCADの存在を同定するには十分でない。同様の理由から、C反応性タンパク質(CRP)および赤血球沈降速度(ESR)といった炎症の一般的マーカーは、臨床診療におけるリスク層別化および治療法に対する反応に関する重要なマーカーであり続けているものの、狼瘡および関節リウマチなどの他の炎症性疾患における特異的な診断マーカーとしては長い間放棄されている。
また、環境危険因子に対する個体の反応の不均一性が、ASCVDマーカー濃度の大きな差異を誘導している可能性もある。この状況では、単一の炎症性タンパク質によって伝えられる生物情報は、血管炎症状態の包括的提示を与えるのに十分ではありえず、疾患の存在または程度を正確に同定することもできないと思われる。
アテローム性動脈硬化の病態生理学的基盤
アテローム動脈硬化性プラークは、蓄積した細胞内および細胞外脂質、平滑筋細胞、結合組織ならびにグリコサミノグリカンからなる。アテローム性動脈硬化の最も早期に検出可能な病変は脂肪線条であり、これは単球として循環から内膜の内皮下層に移動したマクロファージである脂質蓄積泡沫細胞からなり、この層は後に、内膜平滑筋細胞が結合組織ならびに細胞内および細胞外脂質によって取り囲まれたものからなる線維性プラークへと進展する。
アテローム性動脈硬化の発生病理を説明するために、相互に関係のある複数の仮説が提唱されている。脂質仮説は、血漿LDLレベルの上昇がLDLの動脈壁内部への浸透をもたらし、平滑筋細胞およびマクロファージにおける脂質蓄積を招くことを仮定している。LDLはまた、増殖因子に反応した平滑筋細胞の過形成ならびに内膜下および内膜領域への移動も増強する。LDLはこの環境では修飾または酸化されて、アテローム生成性がより高くなる。修飾型または酸化型のLDLは単球に対して走化性があり、それらの内膜中への移動、脂肪線条におけるそれらの早期出現、ならびに内膜下区画におけるそれらの形質転換およびマクロファージとしての滞留を促す。マクロファージの表面上のスカベンジャー受容体は、これらの細胞への酸化LDLの侵入を促進し、それらを脂質蓄積性のマクロファージおよび泡沫細胞へと移行させる。また、酸化LDLは内皮細胞に対する細胞傷害性もあり、それらの機能不全、またはより進行した病変からの損失の原因となっている可能性もある。
慢性的内皮傷害仮説は、種々の機序による内皮傷害が、内皮の損失、血小板の内皮下層に対する付着、血小板の凝集、単球およびT細胞リンパ球の走化性、ならびに中膜から内膜への平滑筋細胞の移動を誘導する血小板由来および単球由来の増殖因子の放出を生じさせ、そこでそれらが複製し、結合組織およびプロテオグリカンを合成して、線維性プラークを形成することを仮定している。他の細胞、例えばマクロファージ、内皮細胞、動脈平滑筋細胞なども、平滑筋過形成および細胞外マトリックス生成に寄与しうる増殖因子を産生する。
内皮機能不全は、リポタンパク質および他の血漿成分に対する内皮透過性の上昇、接着分子の発現、ならびに単球、マクロファージおよびTリンパ球の接着性の増大につながる増殖因子の生成を含む。これらの細胞は内皮を通って移動し、内皮下層の内部に自らを位置づけることができる。泡沫細胞も、平滑筋細胞の移動を促進し、新生内膜増殖を刺激し、脂質を蓄積させ続けて、内皮細胞機能不全を援助する、増殖因子およびサイトカインを放出する。臨床研究および実験室での研究により、炎症がアテロームの開始、進行および不安定化に主要な役割を果たすことが示されている。
「自己免疫」仮説は、アテローム性動脈硬化のごく最初の段階に特徴的な炎症性の免疫学的過程が、内因性抗原に対する体液性および細胞性の免疫反応によって惹起されることを仮定している。ヒトHsp60の発現それ自体が、アテローム性動脈硬化に対する危険因子であることが知られている、高血圧などのいくつかのストレス因子によって惹起される傷害に対する応答である。酸化LDLは、アテローム性動脈硬化における自己抗原のもう1つの候補である。oxLDLに対する抗体は、アテローム性動脈硬化を有する患者で検出されており、それらはアテローム動脈硬化性病変中に見いだされている。ヒトのアテローム動脈硬化性病変から単離されたTリンパ球は、oxLDLに反応するとともに、細胞性免疫応答における主要な自己抗原であることが示されている。アテローム性動脈硬化と関連があると提唱されている第3の自己抗原は、インビトロで抗凝固物質として作用する糖タンパク質である2-糖タンパク質I(2GPI)である。2GPIはアテローム動脈硬化性プラーク中に見いだされ、2GPIによる高度免疫処置または2GPI反応性T細胞の移入は、トランスジェニック性アテローム動脈硬化易発症マウスにおける脂肪線条形成を強化する。
感染は、炎症および自己免疫の両方を誘導することによって、アテローム性動脈硬化の発症の一因となる可能性がある。多数の研究により、アテローム性動脈硬化における感染性因子の役割は、ウイルス(サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、A型肝炎ウイルス)および細菌(クラミジア肺炎病原体(C. pneumoniae)、ヘリコバクター-ピロリ菌(H. pylori)、歯周病原体)の両方について実証されている。最近、新たな「病原体負荷」仮説が提唱されており、これは多数の感染性因子がアテローム性動脈硬化の一因となること、および感染によって生じる心血管疾患のリスクは個体が曝露される病原体の数と関係することを提案している。単一の微生物の中では、クラミジア肺炎病原体がおそらくアテローム性動脈硬化と最も強い関連性があると思われる。
これらの仮説は密接なつながりがあり、排他的ではない。修飾LDLは培養内皮細胞にとって細胞傷害性であり、内皮傷害を誘発し、単球およびマクロファージを誘引して、平滑筋の増殖を刺激する。修飾LDLはまた、マクロファージの移動性も阻害するため、内皮下空間でひとたびマクロファージが形質転換して泡沫細胞になると、それらは捕捉されるようになる。加えて、再生中の内皮細胞(損傷後の)は機能的に障害があり、血漿からのLDLの取り込みが増加する。
アテローム性動脈硬化は、臨界的な狭窄、血栓症、動脈瘤または塞栓が続発するまでは特質上不顕性である。最初のうちは、症状および徴候は、例えば、労作時狭心症、間欠性跛行のように、罹患組織に対する血流を需要に応じて増加させることができないことを反映する。症状および徴候は一般に、アテロームがゆっくりと血管内腔を侵食するのに伴って徐々に生じる。しかし、主要な動脈が急に閉塞すると、症状および徴候は急激なことがある。
上述したように、現在は、適切な診断戦略がないために、冠動脈疾患を有する患者の過半数では、最初の臨床像が心筋梗塞または死亡のいずれかである。予防および治療のさらなる進歩は、アテローム動脈硬化性疾患の病因における根底をなす、血管壁における一次的な炎症過程に的を絞った戦略の開発に依存する。血管壁疾患の活動性/程度を正確に報告する優れた代用マーカーがなければ、リスクを完全に規定する、一次疾患の改善に向けたリスク軽減の効果をモニターする、または血管壁を標的とする新たなクラスの治療法を開発する、方法を開発することはできない。
1つの有望なアプローチは、血管炎症の度合いおよび性質を反映する循環タンパク質の同定である。数多くの免疫調節性タンパク質が代用マーカーとしてある程度の価値があるとして同定されているが、そのようなバイオマーカーは、臨床的有用性を有する十分な情報を付け加えることが示されていない。これは以下のためである:i)同時並行的に測定された多数のマーカーに関するデータを考慮することができない、ii)個々のマーカーデータを、循環タンパク質のレベルを変化させて情報価値のあるパターンを不明瞭にする臨床データと統合することができない、iii)マーカーをコードする遺伝子の発現レベルに寄与し、存在量の測定を交絡させる先天性の遺伝的変異、およびiv)バイオマーカーの選択についてより良い情報を与えると考えられる、ASCVDにおいて活性化される特定の免疫経路に関する情報の不足。さらに、先行技術は、一団の循環タンパク質の測定値を用いて有効な診断または予測の方法を提供することに成功していない。
満たされていない臨床的および科学的な需要
したがって、臨床医学および生物医学の研究における使用に関して、血管炎症およびアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する個体を同定するための改良されたツールに対しては、満たされていない需要がある。現在、アテローム性動脈硬化の機序および状況に関する洞察は増えつつあるが、ハイリスク患者の同定および予防戦略の有効性を予測するための我々の方法は未だに不十分なままである。このため、リスクを有する患者をより良く診断するための新たなアプローチが求められている;アテローム動脈硬化性疾患を有する患者の同定は非常に求められる治療法の開始につながり、これは改善された臨床的アウトカムにつながりうる。本発明は、先行技術の上記および他の欠点に対処する。
発明の概要
本発明は、狭心症、不安定狭心症、急性冠症候群、心筋梗塞および心不全につながる病状を非限定的に含む、アテローム動脈硬化性病状の診断、モニタリングおよびそれに対する治療薬の開発のための、循環タンパク質の発現の検出のための方法を提供する。具体的には、循環炎症マーカーを非限定的に含む、アテローム動脈硬化性患者において差次的に発現される循環タンパク質が同定され、本明細書に記載されている。本明細書で同定された循環炎症マーカーには、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1が含まれる。
アテローム動脈硬化過程の結果として血管壁で特異的に産生される、本明細書で同定されたタンパク質の循環レベルの検出により、患者を、アテローム動脈硬化性疾患、疾患なし、心筋梗塞、安定狭心症、薬剤による治療、治療なしなどを含むアテローム動脈硬化性病状に属すると分類することができる。また、このような分類は、心血管イベントおよび治療法に対する反応の予測に用いることもでき;かつ、心血管疾患の合併症の予測および評価のためにも有用である。
本発明の1つの態様においては、一団のタンパク質の発現プロファイルを、さまざまな段階のアテローム性動脈硬化およびその臨床的続発症の指標となる条件に関して評価する。このような一団は、個々のマーカーを用いたのでは認められない識別レベルを提供する。1つの態様において、発現プロファイルはタンパク質の濃度または量の測定によって決定される。
分析の方法には、予測モデルを作成するためにデータセットを利用すること、および試料をアテローム動脈硬化性分類に従って分類するために被験試料データをそのようなモデルに入力することが非限定的に含まれうるが、この際、分類は、アテローム動脈硬化性疾患分類、健常分類、血管炎症分類、薬剤曝露分類、薬剤非曝露分類および冠動脈石灰化指数分類、および試料をプロセスの出力に従って分類することからなる群より選択される。いくつかの態様において、このような予測モデルは、哺乳動物対象から入手した試料を、試料に関連するデータセットを入手することによって分類するのに用いられ、この際、データセットは、MCP1;MCP2;MCP3;MCP4;エオタキシン;IP10;MCSF;IL3;TNFa;Ang2;IL5;IL7;IGF1;IL10;INFγ;VEGF;MIP1a;RANTES;IL6;IL8;ICAM;TIMP1;CCL19;TCA4/6kine/CCL21;CSF3;TRANCE;IL2;IL4;IL13;Il1b;MCP5;CCL9;CXCL1/GRO1;GROα;IL12;およびレプチンからなる群より選択される、少なくとも3種または少なくとも4種または少なくとも5種のタンパク質マーカーを含む。データは任意で、臨床的徴候に関するプロファイル;さらなるタンパク質発現プロファイル;代謝的尺度、遺伝情報などを含みうる。
本発明の予測モデルは、本明細書に記載されたマーカーの1つまたは複数のセットからの量的データを利用する。いくつかの態様において、予測モデルはあるレベルの分類精度を提供する;すなわち、モデルは所望の品質閾値を満たす。関心対象の品質閾値は、所定の閾値にある精度またはAUCを提供することができ、これらの項(AUC;精度)の一方または両方を本明細書では品質測定基準(quality metric)と称することができる。予測モデルは、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9またはそれよりも高い品質測定基準、例えば分類の精度またはAUCを提供することができる。このようなモデルの内部では、パラメーターは感度および選択性に関して所望のバランスが得られるように適宜選択することができる。
他の態様において、循環タンパク質の分析は、アテローム性動脈硬化の治療における有効性に関して生物活性物質をスクリーニングする方法に用いられる。このような方法では、アテローム性動脈硬化と関連のある細胞、例えば血管壁の細胞などを、培養下またはまたはインビボで候補作用物質と接触させ、マーカー、例えば一団のマーカーのうち1つまたは複数の発現を決定する。もう1つの態様において、上記の循環タンパク質の発現の違いに関する分析は、患者における治療レジメンの経過観察の方法に用いられる。1つの薬剤、薬剤の組み合わせ、非薬物的介入などが含まれうる治療法に患者が曝露された時に、単一の時点または時間経過において、マーカー、例えば一団のマーカーのうち1つまたは複数の発現の測定値を決定する。
もう1つの方法では、本明細書で同定されたアテローム性動脈硬化と関連するタンパク質の3つまたはそれ以上の相対的な量的尺度を、個体におけるアテローム動脈硬化性疾患の診断またはモニタリングに用いる。本明細書で同定されたこの一団のタンパク質には、他の臨床的徴候;さらなるタンパク質発現プロファイル;代謝的尺度、遺伝情報などがさらに含まれうる。
もう1つの態様において、本発明は、哺乳動物対象から入手した試料を分類するための方法であって、試料に関連するデータセットを入手する段階であってデータセットがMCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1からなる群より選択されるタンパク質マーカーのうち少なくとも3種または少なくとも4種または少なくとも5種または少なくとも6種、または少なくとも7種または少なくとも8種または少なくとも9種または9種を上回るものに関する量的データを含む段階、試料を分類するためにデータを用いる分析プロセスにデータを入力する段階であって分類がアテローム動脈硬化性疾患分類、健常分類、血管炎症分類、薬剤曝露分類、薬剤非曝露分類および冠動脈石灰化指数分類からなる群より選択される段階、ならびにプロセスの出力に従って試料を分類する段階による方法を含む。
もう1つの態様において、本発明は、哺乳動物対象から入手した試料を分類するための方法であって、試料に関連するデータセットを入手する段階であってデータセットが循環タンパク質濃度とアテローム動脈硬化性血管組織RNA濃度との間にそれぞれが相関を示す少なくとも3種または少なくとも4種または少なくとも5種または少なくとも6種のタンパク質マーカーに関する量的データを含む段階、試料を分類するためにデータを用いる分析プロセスにデータを入力する段階であって分類がアテローム動脈硬化性心血管疾患分類、健常分類、薬剤曝露分類、薬剤非曝露分類および冠動脈石灰化指数分類からなる群より選択される段階、ならびにプロセスの出力に従って試料を分類する段階による方法を含む。
発明の詳細な説明
定義
特許請求の範囲および明細書に用いられる用語は、別に指定する場合を除き、以下の記載のように定義される。
「改善する」という用語は、その予防、重症度もしくは進行の軽減、寛解または治癒を含む、疾患状態、例えばアテローム動脈硬化性疾患状態の治療における治療的に有益なあらゆる結果のことを指す。
本明細書で用いる「哺乳動物」という用語は、ヒトおよび非ヒトの両方を含み、これにはヒト、非ヒト霊長動物、イヌ科動物、ネコ科動物、ネズミ科動物、ウシ科動物、ウマ科動物およびブタ科動物が非限定的に含まれる。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「一致」率という用語は、最大の対応関係が得られるように比較およびアラインメントを行った場合に、以下に記載した配列比較アルゴリズムの1つ(例えば、BLASTPおよびBLASTN、または当業者が利用しうる他のアルゴリズム)を用いた、または目視検査による計測で、指定されたパーセンテージのヌクレオチドまたはアミノ酸残基が同じである2つ以上の配列または部分配列のことを指す。用途に応じて、「一致」率は、比較される配列のある領域にわたって、例えばある機能的ドメインにわたって存在することもでき、または代替的には、比較しようとする2つの配列の全長にわたって存在することもできる。
配列比較のためには、1つの配列を、被験配列と比較するための参照配列として用いることが一般的である。配列比較アルゴリズムを用いる場合には、被験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定して、配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。続いて、配列比較アルゴリズムが、指定されたプログラムのパラメーターに基づいて、参照配列に対する被験配列の配列一致率を算出する。
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピュータインプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)により、または目視検査によって行うことができる(概要については例えば、Ausubel, FM, et al., Current Protocols in Molecular Biology, 4, John Wiley & Sons, Inc., Brooklyn, New York, A.1E.1-A.1F.11, 1996-2004を参照されたい)。
配列一致率および配列類似性を決定するために適したアルゴリズムの一例はBLASTアルゴリズムであり、これはAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Information(www.ucbi.nlm.nih.gov/)を通じて公開されている。
「十分な量」という用語は、所望の効果を生じさせるのに十分な量、例えば、タンパク質発現プロファイルを変更させるのに十分な量のことを意味する。
「治療的有効量」という用語は、疾患の症状を改善させるのに有効な量のことである。治療的有効量は、予防を治療法とみなすことができる場合には「予防的有効量」でありうる。
TP:真陽性
TN:真陰性
FP:偽陽性
FN:偽陰性
N:陰性試料の総数
P:陽性試料の総数
A:試料の総数
精度=(TP+TN)/A
平均CV誤差=平均誤分類誤差=1−平均精度
感度=TP/P=TP/(TP+FN)
特異性=TN/N=TN/(TN+FP)
本出願に用いた略号には以下が含まれる:CAD=冠動脈疾患;MIP1a=MIP1α;LDA線形判別分析、MI=心筋梗塞;ASCVD=アテローム動脈硬化性心血管疾患。
本明細書および添付した特許請求の範囲に用いる場合、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈において異なるように明確に指示されていない限り、複数の言及物を含む。
本明細書で用いるアテローム性動脈硬化(動脈硬化、アテローム性血管疾患、動脈閉塞疾患)とは、血管壁に対するプラーク蓄積および血管炎症を特徴とする心血管疾患のことを指す。プラークは、蓄積した細胞内および細胞外脂質、平滑筋細胞、結合組織、炎症細胞およびグリコサミノグリカンからなる。炎症は血管壁への脂質蓄積と相まって起こり、血管炎症はアテローム性動脈硬化症プロセスの特質である。
心筋梗塞は虚血性心筋壊死であり、心筋のある区域に対する冠血流の急な低下によって通常は起こる。急性MIの患者の大多数では、往々にしてプラーク破裂に伴う急性血栓が、障害領域に血液を供給する動脈を閉塞させる。プラーク破裂は一般に、炎症細胞を豊富に含むアテローム動脈硬化性プラークによって以前に部分的に遮断されたところで起こる。アテローム動脈硬化性プラークにおける内皮機能不全および血管炎症によって誘導される血小板機能の変化がおそらく血栓形成の一因となる。心筋梗塞はST上昇型MIとST非上昇型MI(不安定狭心症とも呼ばれる)に分類することができる。どちらの形態の心筋梗塞にも心筋壊死がある。ST上昇型心筋梗塞では、心電図上でのST上昇をもたらす貫壁性心筋損傷がある。ST非上昇型心筋梗塞では損傷は心内膜下にあり、心電図上でのST部分上昇はみられない。心筋梗塞(ST上昇型およびST非上昇型ともに)は、不安定な形態のアテローム動脈硬化性心血管疾患である。急性冠症候群は、すべての形態の不安定性冠動脈疾患を包含する。
狭心症は、心臓に対する血流が不十分であることに起因する胸痛または不快感のことを指す。狭心症はアテローム動脈硬化性心血管疾患の症状であることがある。狭心症は安定型と分類することもでき、これは不安定型のアテローム動脈硬化性血管疾患とは異なる定型的で慢性的な症状パターンをたどる。安定型アテローム動脈硬化性心血管疾患の病態生理学的基盤も複雑であるが、不安定型とは生物学的に明確に異なる。一般に安定狭心症は心筋壊死ではない。
心不全は、心筋梗塞によって引き起こされる心筋機能不全の結果として起こりうる。
現在のアプローチのいくつかの特徴を記しておくべきであろう。アテローム性動脈硬化および関連病状は、1つまたは一団のタンパク質マーカーの存在を評価する、血液を基にした検査を通じて診断される。マーカーには、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1が含まれる。これらのマーカーは、アテローム動脈硬化過程に伴って血管壁で特異的に産生されることが示されている。いくつかの態様において、このような予測モデルは、MCP1;MCP2;MCP3;MCP4;エオタキシン;IP10;MCSF;IL3;TNFa;Ang2;IL5;IL7;IGF1;IL10;INFγ;VEGF;MIP1a;RANTES;IL6;IL8;ICAM;TIMP1;CCL19;TCA4/6kine/CCL21;CSF3;TRANCE;IL2;IL4;IL13;Il1b;MCP5;CCL9;CXCL1/GRO1;GROα;IL12;およびレプチンを含む循環マーカーに関して入手された量的データを利用する。関心対象のその他の循環マーカーには、sVCAM;sICAM-1;E-セレクチン;P-セレクチン;インターロイキン-6、インターロイキン-18;クレアチンキナーゼ;LDL、oxLDL、LDL粒径、リポタンパク質(a);トロポニンI、トロポニンT;LPLA2;CRP;HDL、トリグリセリド、インスリン、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)、フラクタルカイン、オステオポンチン、オステオプロテジェリン、オンコスタチン-M、ミエロペルオキシダーゼ、ADMA、PAI-1(プラスミノーゲン活性化因子インヒビター)、SAA(循環アミロイドA)、t-PA(組織型プラスミノーゲン活性化因子)、sCD40リガンド、フィブリノーゲン、ホモシステイン、D-ダイマー、白血球数が含まれ、臨床的徴候、代謝的尺度、遺伝子アッセイおよびさらなる循環マーカーを含む、本明細書に記載したさらなる種々のマーカーもさらに含まれうる。
本発明のある特定の態様において、分類のためのデータセットは患者試料から入手され、データセットはMCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1からなる群より選択される少なくとも3種のタンパク質マーカーに関する量的データを含む。その少なくとも3種のタンパク質マーカーには、MCP-1、IGF-1、TNFa;MCP-1、IGF-1、M-CSF;ANG-2、IGF-1、M-CSF;およびMCP-4、IGF-1、M-CSFからなる群より選択されるマーカーセットが含まれうる。データセットが少なくとも4種のタンパク質マーカーからの量的データを含む場合、その少なくとも4種のタンパク質マーカーは、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1;MCP-1、IGF-1、TNFa、IL-5;MCP-1、IGF-1、M-CSF、MCP-2;ANG-2、IGF-1、M-CSF、IL-5;MCP-1、IGF-1、TNFa、MCP-2;およびMCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5からなる群より選択されうる。データセットが少なくとも5種のマーカーからの量的データを含む場合、その少なくとも5種のマーカーは、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1;MCP-1、IGF-1、TNFa、IL-5、M-CSF;MCP-1、IGF-1、M-CSF、MCP-2、IP-10;ANG-2、IGF-1、M-CSF、IL-5、TNFa;MCP-1、IGF-1、TNFa、MCP-2、IP-10;MCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5、TNFa;およびMCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5、MCP-2からなる群より選択されるマーカーセットを含みうる。
本発明のもう1つの態様においては、M-CSF、エオタキシン、IP-10、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、MIP1a、TNFaおよびRANTESから、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種またはそれ以上のマーカーが選択される。
アテローム性動脈硬化と関連のある循環タンパク質の同定は、同定された循環タンパク質のレベル変化を検出することによって、ある障害、例えば冠動脈疾患、アテローム性動脈硬化などの出現を、特にそのような障害が心筋梗塞、心不全などに対する性向を示す場合に検出する;またはそのような疾患に対する個体の感受性を評価する、診断および予後判定の方法を提供する。これらの方法には、治療薬および治療法の有効性に関するスクリーニング;疾患の病期判定および分類;なども含まれる。早期発見は、発生しつつある疾患の出現を判定し、それによって適切な予防的または防御的な手段を用いた介入を可能にするために用いることができる。
関心対象の循環タンパク質には、表1に記載されたものが含まれる。
(表1A)
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(表1B)
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本出願において名称、アクセッション番号または配列によって特定された具体的なバイオマーカー配列に加えて、本発明はまた、例示した配列と少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも97%同一であり、かつ公知でないか後に発見されるものであり、かつ本発明の方法に対する有用性があるバイオマーカー変異体の使用も想定している。これらの変異体は、多型物、スプライス変異体、突然変異などであってもよい。さまざまな手法および試薬が、本発明の診断方法に利用される。本発明の1つの態様において、血液試料、または血液に由来する試料、例えば血漿、循環血などをポリペプチドの存在に関してアッセイする。典型的には、血液試料を採取し、血漿または血清などの派生的製剤を試験する。このようなポリペプチドは特異的結合メンバーを通じて検出することができる。この目的での抗体の使用には特に関心が持たれる。抗体アレイ;ELISAおよびRIA形式;懸濁液/溶液中にある標識抗体の結合およびフローサイトメトリー、質量分析による検出を含む、さまざまな形式がこのアッセイのために利用される。検出には、1つまたは一団の抗体、好ましくは一団の抗体を、アレイ形式で利用することができる。発現シグネチャーは典型的に、検出法を、疾患シグネチャーとの統計学的に有意な一致がみられるか否かを判定するための結果の分析と組み合わせて利用する。
もう1つの態様では、心組織におけるアテローム性動脈硬化と関連のあるタンパク質の存在を検出するためにインビボ画像法を利用する。このような方法は、例えば、そのようなタンパク質に対して特異的な標識抗体またはリガンドを利用することができる。これらの態様では、ポリペプチドに対して特異的な、検出可能に標識された部分、例えば抗体、リガンドなどを個体に対して投与し(例えば、注射により)、磁気共鳴画像法、コンピュータ断層撮影法などを非限定的に含む標準的な画像化手法を用いて標識細胞の位置を決定する。検出には、1つの画像化試薬またはその混合物を利用することができる。
もう1つの態様においては、血管組織からの、好ましくはアテローム性動脈硬化によって影響される1つまたは複数の血管からのmRNA試料を、アテローム性動脈硬化を示す遺伝的シグネチャーに関して分析する。
循環タンパク質発現に関して提供されたパターンは、アテローム性動脈硬化における炎症シグネチャーを特徴づけ、特定の免疫関連経路を糖尿病および薬物療法にさらに結びつける。現在のデータはアテローム性動脈硬化における炎症の大きな役割を示唆しているが、危険因子が一次的な炎症過程に影響を及ぼす機序、ならびに高血圧および高脂血症などの危険因子を修正する薬物がいかにして具体的に炎症に影響を及ぼすかを含め、血管壁における免疫経路を疾患の決定的な局面と結びつける直接的なデータは乏しいままである。本発明は、アテローム動脈硬化性心血管疾患の診断および分類のために用いうる炎症のバイオマーカーの発現プロファイルを特定する。
アテローム性動脈硬化および関連病状に関して患者を診断する方法においては、血液、血清などにおける本明細書に提示したマーカーの発現パターンを入手して、診断を確定するために対照値と比較する。本発明の分析は、臨床的変数からの入力をさらに含みうる。例えば、血液に由来する患者試料、例えば、血液、血漿、血清などを、関心対象のマーカーの存在を判定するために、1つの特異的な結合物質または一団の特異的結合物質に対して適用することができる。分析は一般に、本明細書に記載したマーカー、例えばM-CSF、エオタキシン、IP-10、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、MIP1a、TNFa、Ang-2、IGF-1およびRANTESなどのうち少なくとも1種、通常はマーカーのうち少なくとも2種、より一般的にはマーカーのうち少なくとも3種を含み、マーカーのうち4種、5種、6種、7種または最大ですべてを含んでもよい。マーカーの好ましいセットは、以下のもの:MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1のうち少なくとも3種を含み、それらのうち4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種またはすべてを含んでもよい。
分析はさらに、血清中または組織試料中に存在する可能性のあるさらなるタンパク質からの発現情報を含めることも含みうる。量的情報は、マーカーに適した方法によって得られると考えられる。マーカーには、sVCAM;sICAM-1;E-セレクチン;P-セレクチン;インターロイキン-6、インターロイキン-18;クレアチンキナーゼ;LDL、oxLDL、LDL粒径、リポタンパク質(a);トロポニンI、トロポニンT;LPLA2;CRP;Ccl9;Ccl2;Ccl21;Ccl19;IL-5;Tnfsf11;Vegfa;Cxcl1;レプチン、HDL、トリグリセリド、インスリン、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)、フラクタルカイン、オステオポンチン、オステオプロテジェリン、オンコスタチン-M、ミエロペルオキシダーゼ、ADMA、PAI-1(プラスミノーゲン活性化因子インヒビター)、SAA(血清アミロイドA)、t-PA(組織型プラスミノーゲン活性化因子)、sCD40リガンド、フィブリノーゲン、ホモシステイン、D-ダイマー、白血球数などが非限定的に含まれる。さらなる変数には臨床的徴候が含まれると考えられ、これは典型的には、評価された上で、その結果得られたデータをアルゴリズムで循環マーカーの分析と組み合わされる。このような臨床マーカーには、以下のものが非限定的に含まれる:性別;年齢;グルコース;インスリン;体型指数(BMI);心拍数;胴囲;収縮期血圧;拡張期血圧;脂質異常症;喫煙;など。他の変数には、代謝的尺度、遺伝情報、および末梢血からの遺伝子発現尺度が含まれる。
本発明の方法は、アテローム性動脈硬化の病期判定、アテローム性動脈硬化の予後判定、アテローム性動脈硬化の進行の程度の評価、治療反応のモニタリングなどのために用いることができる。本開示の利益を受ける当業者は、本発明をこれらの用途のためにどのように実施するかを容易に理解するであろう。例えば、アテローム性動脈硬化の病期判定は、個々のデータセットを病期が判明している疾患試料から入手した1つもしくは複数のデータセットに対して比較することによって、または病期を予測するモデルを構築し、病期判定の予測を得るためにそのモデルにデータセットを入力することによって行うことができる。同様の方法を、アテローム性動脈硬化の予後判定を得るために用いることもできる。進行は、例えば以下に記載したモデルなどの予測モデルから得られる、1つまたは複数の予測変数の経時的な変化をみることによってモニターすることができる。治療反応は、本発明の方法を用いて、疾患を有することが判明している対象から得られた1つまたは複数の分類が正常分類に収まるかその傾向があるかを判定することによって判定することができる。
被験試料におけるマーカーの量は、上記および当技術分野で公知の方法によって決定される。続いて、そのようにして入手した量的データを分析分類プロセスに供する。このようなプロセスでは、生データをアルゴリズムに従って操作するが、その際、アルゴリズムは、例えば本明細書に提示した実施例に記載されているように、データのトレーニングセットによってあらかじめ規定されている。アルゴリズムは、本明細書に提示したデータのトレーニングセットを利用してもよく、またはアルゴリズムを生成するための本明細書に提供したガイドラインを、データの異なるセットとともに利用してもよい。
分析分類プロセスは、量的データを操作して試料の分類を与えるための、さまざまな統計学的分析方法のうち任意のものを用いることができる。有用な方法の例には、線形判別分析、再帰的特徴消去、マイクロアレイの予測分析、ロジスティック回帰、CARTアルゴリズム、FlexTreeアルゴリズム、LARTアルゴリズム、ランダムフォレスト(random forest)アルゴリズム、MARTアルゴリズム、機械学習アルゴリズムなどが含まれる。
これらの方法のうち任意のものを用いて、アテローム性動脈硬化のデータセットを、予測モデルを作成するために用いる。このようなモデルの作成においては、対照試料および疾患試料を含むデータセットをトレーニングセットとして用いる。トレーニングセットは、関心対象のマーカーのそれぞれに関するデータを含むと考えられる。関心対象のマーカーに関する予測モデルの例は本明細書に提示されており、例えば実施例6〜10を参照されたい。
本明細書に示した予測モデルは多数のタンパク質のレベルの決定の結果を利用し、所望の度合いの精度で個体を特定の状態に分類すると考えられるアルゴリズムを提供するが、この際、状態はアテローム動脈硬化性でも非アテローム動脈硬化性でもよい。関心対象の分類には、以下のアテローム動脈硬化性疾患状態、i)アテローム動脈硬化性状態-対-非アテローム動脈硬化性状態、ii)MI状態-対-狭心症状態、iii)低カルシウム状態-対-高カルシウム状態、のうち1つまたは複数に対する試料の割り当てが非限定的に含まれる。
試料が所定のクラスに属する確率を決定するための閾値を設定する予測モデル化法に従って、分類することができる。確率は好ましくは少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%またはそれ以上である。同様に、入手したデータセットと参照データセットとの比較によって統計学的な有意差が得られるか否かを判定することによって、分類することもできる。有意差があるならば、そのデータセットを入手した試料は参照データセットのクラスに属さないと分類される。その反対に、そのような比較が参照データセットと統計学的に有意差がないならば、そのデータセットを入手した試料は参照データセットのクラスに属すると分類される。
モデルの予測能力は、特定の値または値の範囲の品質測定基準、例えば、UCまたは精度を提供するその能力に従って評価することができる。いくつかの態様において、所望の品質閾値は、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、少なくとも約0.95またはそれ以上の精度で試料を分類すると考えられる予測モデルである。代替的な尺度として、所望の品質閾値は、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9またはそれ以上のAUC(曲線下面積)で試料を分類すると考えられる予測モデルのことを指してもよい。
当技術分野で公知であるように、予測モデルの相対的な感度および特異性は、選択性測定基準または感度測定基準のいずれかに有利なように「調整」することができ、この際、この2つの測定基準には逆相関性がある。上記のようなモデルにおける限界値は、行われる試験の特定の要求条件に応じて、選ばれた感度または特異性のレベルを与えるように調整することができる。感度および特異性の一方または両方が、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9またはそれ以上であってよい。
生データはまず、通常は3回ずつ、または3回ずつを多数回にわたって、各マーカーに関する値を測定することによって分析することができる。データを操作することもでき、例えば、生データを標準的な曲線を用いて変換し、3回ずつの測定の平均を用いて、各患者に関する平均および標準偏差を算出することができる。これらの値はモデルに用いる前に変換することができ、例えば、対数変換、Box-Cox変換(Box and Cox (1964) J. Royal Stat. Soc., Series B, 26:211-246)などを行うことができる。続いてデータを、試料をその状態に従って分類すると考えられる予測モデルに入力する。その結果得られた情報を、患者または保健専門家に伝えることもできる。
アテローム動脈硬化性状態に関する予測モデルを作成するためには、既知の対照試料および関心対象のアテローム動脈硬化性分類に対応する試料を含むロバストなデータセットをトレーニングセットに用いる。試料サイズは一般的に認められている基準を用いて選択する。以上に考察したように、精度の高い予測モデルを入手するために、種々の統計学的方法を用いることができる。そのような分析の例は実施例5、11および12に提示されている。
1つの態様においては、予測モデルの導出に際して階層的クラスタリングを行い、この際、ピアソン相関をクラスタリング測定基準として採用する。1つのアプローチは、患者のアテローム性動脈硬化データセットを「教師あり学習」の課題における「学習サンプル」とみなすことである。CARTは、医学への応用において標準的なものであり(Singer (1999) Recursive Partitioning in the Health Sciences, Springer)、これは、任意の質的特徴を量的特徴に変換すること;得られた有意性レベルによってそれをソーティングし、サンプル再利用法によってホテリングのT2統計量に関して評価すること;およびlasso法の適切な適用によって一部変更することができる。予測における課題は、実際には回帰の質の評価における分類のためのGini基準を適切に利用することにより、予測の見通しを失うことなく回帰における課題へと変換される。
このアプローチは、FlexTreeと命名されたものにつながっている(Huang (2004) PNAS 101:10529-10534)。FlexTreeは、シミュレーションにおいて、ならびにSNPおよび他の形式のデータに適用された場合に、非常に良い成績を上げている。FlexTreeを自動化したソフトウエアが開発されている。または、LARTreeまたはLARTを用いることもできる。幸いなことに、最近の取り組みは、LARTree(または単にLART)と命名されたようなアプローチの開発につながっている。Turnbull (2005) Classification Trees with Subset Analysis Selection by the Lasso, Stanford University。この名称は、CARTおよびFlexTreeにおけるような2分木;前述のlasso;および、Efron et al.(2004) Annals of Statistics 32:407-451によってLARSと命名されたものによるlassoのインプリメンテーションを反映している。Huang et al. (2004) Tree-structured supervised learning and the genetics of hypertension. Proc Natl Acad Sci U S A. 101(29):10529-34も参照されたい。
用いうる他の分析法には論理回帰法が含まれる。論理回帰法の1つの方法、Ruczinski (2003) Journal of Computational and Graphical Statistics 12:475-512。論理回帰法は、その分類子を2分木として表示しうる点でCARTと類似している。これは各ノードが、CARTによって生成される単純な「アンド(and)」ステートメントよりも一般的な、特徴に関するブール・ステートメント(Boolean statement)を有するという点に違いがある。
もう1つのアプローチは、最短収縮重心法(nearest shrunken centroid)のそれである(Tibshirani (2002) PNAS 99:6567-72)。この技術は、k-平均法(k-means)に似ているが、情報価値のある少数のものに焦点が絞られるように、クラスター中心を収縮させることによって特徴を自動的に選択する(lassoと同じように)という利点がある。このアプローチはPAMソフトウエアとして入手可能であり、広く用いられている。アルゴリズムのさらなる2つのセットには、ランダムフォレスト(Breiman (2001) Machine Learning 45:5-32およびMART(Hastie (2001) The Elements of Statistical Learning, Springer)がある。これらの2つの方法はすでに「コミッティー法(committee method)」である。このため、それらはアウトカムに対して「投票する(vote)」予測変数を含む。
有意性の順序を得るためには、偽発見率(FDR)を決定することができる。まず、非類似性値のヌル分布のセットを作成する。1つの態様においては、観測されたプロファイルの値の並べ替えを行って、偶然を超えて得られる相関係数の一連の分布を作り出し、それによって相関係数の分布の適切なセットを作り出す(Tusher et al. (2001) PNAS 98, 5116-21を参照。これは参照により本明細書に組み入れられる)。ヌル分布のセットは以下によって得られる:すべての入手可能なプロファイルに関して各プロファイルの値を並べ替えること;すべてのプロファイルに関してペアワイズ相関係数を算出すること;この順列に関して相関係数の確率密度関数を算出すること;および手順をN回繰り返すこと、この際、Nは多い数であり、通常は300である。このN分布を用いて、その値が、実験的に観測された類似性値の分布から得られた(類似性の)値を所定の有意性レベルで上回る、相関係数値の数値の適切な尺度(平均、中央値など)を算出する。
FDRは、期待される偽有意相関の数(ランダム化データのセットにおけるこの選択されたピアソン相関よりも大きな相関から推定される)と、経験的データにおけるこの選択されたピアソン相関よりも大きな相関の数(有意な相関)との比である。このカットオフ相関値は、実験プロファイル間の相関に適用することができる。
前述した分布を用いて、信頼度を有意性に関して選択する。これは、偶然によって得られると考えられる結果を上回る相関係数の最小値を決定するために用いられる。この方法を用いることで、正相関、負相関またはその両方に関する閾値が得られる。この閾値を用いて、使用者はペアワイズ相関係数の観測値を選別して、閾値を上回らないものを除外することができる。さらに、所定の閾値に関して偽陽性率の推定値を得ることができる。個々の「ランダム相関」分布のそれぞれに関して、どれだけ多くの観測値が閾値範囲から外れるかを見いだすことができる。この手順は数値の配列を与える。その配列の平均および標準偏差は、偽陽性の可能性のあるものの平均数およびその標準偏差を与える。
1つの代替的な分析アプローチでは、横断的分析において選択された変数を予測変数として別個に採用する。特定のASCVDアウトカム、各患者を観察するランダムな期間、ならびにプロテオミクス的特徴および他の特徴の選択が与えられれば、生存について分析するためのパラメトリックアプローチは、広く適用されているセミパラメトリックコックス(Cox)モデルよりも優れる可能性がある。生存に関するワイブル(Weibull)パラメトリック適合は、ハザード比を単調に増加させること、低下させること、または一定に保たせることを許容し、さらに比例ハザード表現(コックスモデルが行うように)および加速度故障時間表現をも有する。回帰係数およびそれらの関数の近似的な最尤推定量を得るために利用しうるすべての標準的なツールをこのモデルに利用することができる。
コックスモデルを用いうることに加えて、特にlassoによる共変量の数の処理しやすいサイズへの減少のために、分析は大いに簡素化され、生存に関する完全にノンパラメトリックなアプローチの可能性が生まれると考えられる。これらの統計学的ツールは、プロテオミクスデータのすべての様式に対して適用可能である。容易に決定することができ、かつ臨床的に重大なアテローム動脈硬化性冠血管疾患を有する個体の検出に関して高い情報価値のある、バイオマーカー、臨床的および遺伝的データのセットが提供される。また、これらのアルゴリズムは、将来の心血管イベントのリスクに関する情報も提供する。
予測モデルの開発においては、マーカーのサブセット、すなわち マーカーのうち少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、最大で全セットを選択することが望ましいと思われる。通常は、高精度な予測モデルを維持しながら、定量的試料分析の必要性、例えば、試薬の入手可能性、定量の簡便さなどに備えたマーカーのサブセットが選択されると考えられる。
分類モデルを構築するための多数の情報価値のあるマーカーの選択は、性能測定基準、およびこの測定基準に基づく有用な予測能力を有するモデルを作成するために使用者により定義される閾値の定義を必要とする。例えば、性能測定基準は、予測のAUC、感度および/または特異性、ならびに予測モデルの全体的精度であってよい。
実施例5、11および12に記載されているように、トレーニングモデルにはさまざまな方法が用いられる。マーカーのサブセットの選択は、マーカーサブセットの前進選択または後退選択のためのものであってよい。すべてのマーカーを用いることなくモデルの性能を最適化すると考えられるマーカーを選択することができる。項の最適数を定めるための1つのやり方は、所定のアルゴリズムに対して用いられる任意の組み合わせおよび数の項を用いてこの項に関して得られる最大数から1標準誤差よりも離れていない、所望の予測能力(例えば、AUC>0.75、または感度/特異性の等価な尺度)を備えたモデルを生じさせる項の数を選択することである。
試薬およびキット
上記の方法のうち1つまたは複数を実施するための試薬およびそれらのキットも提供される。本試薬およびそれらのキットは大きく異なりうる。関心対象の試薬には、アテローム動脈硬化性病状と関連のある循環タンパク質マーカーの上記の発現プロファイルの作成に用いるために特別に設計された試薬が含まれる。
そのような試薬の1つのタイプは、関心対象のマーカーセットと結合する抗体のアレイまたはキットである。多種多様なプローブ構造、基質組成および接着技術を有する非常にさまざまなアレイ形式が当技術分野で公知である。関心対象の代表的なアレイまたはキット組成物は、M-CSF、エオタキシン、IP-10、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、IL-3、IL-5、IL-7、IL-8、MIP1a、TNFaおよびRANTESから選択される、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種もしくはそれ以上のマーカーの定量化のための試薬を含む、またはそれらからなる。
他の態様において、代表的なアレイまたはキットは、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1からなる群より選択される少なくとも3種のタンパク質マーカーの定量化のための試薬を含む、またはそれらからなる。この少なくとも3種のタンパク質マーカーは、MCP-1、IGF-1、TNFa;MCP-1、IGF-1、M-CSF;ANG-2、IGF-1、M-CSF;およびMCP-4、IGF-1、M-CSFからなる群より選択されるマーカーセットを含む、またはそれらからなる。
他の態様において、代表的なアレイまたはキットは、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1からなる群より選択される少なくとも4種のタンパク質マーカーの定量化のための試薬を含む、またはそれらからなる。この少なくとも4種のタンパク質マーカーは、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1;MCP-1、IGF-1、TNFa、IL-5;MCP-1、IGF-1、M-CSF、MCP-2;ANG-2、IGF-1、M-CSF、IL-5;MCP-1、IGF-1、TNFa、MCP-2;およびMCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5を含む、またはそれらからなる。
他の態様において、代表的なアレイまたはキットは、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1からなる群より選択される少なくとも5種のタンパク質マーカーの定量化のための試薬を含む、またはそれらからなる。この少なくとも5種のマーカーは、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1;MCP-1、IGF-1、TNFa、IL-5、M-CSF;MCP-1、IGF-1、M-CSF、MCP-2、IP-10;ANG-2、IGF-1、M-CSF、IL-5、TNFa;MCP-1、IGF-1、TNFa、MCP-2、IP-10;MCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5、TNFa;およびMCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5、MCP-2からなる群より選択されるマーカーセットを含んでもよく、またはそれらからなってもよい。
キットはさらに、1つまたは複数の表現型の統計学的分析のためのソフトウエアパッケージを含んでもよく、分類の確率を算出するための参照データベースを含んでもよい。キットは、血液試料の採取および取り扱いのためのデバイス、二次抗体、ELISA試薬;チューブ、スピンカラムなどのような、さまざまな方法に用いられる試薬を含んでもよい。
以上の構成要素に加えて、本キットは、本方法を実施するための説明書をさらに含むと考えられる。これらの説明書は、本キットの中にさまざまな形態で存在してもよく、その1つまたは複数がキットの中に存在してよい。これらの説明書が存在しうる1つの形態は、適した媒体または基質上に印刷された情報として、例えば表面に情報が印刷された1つもしくは複数の紙片、キットのパッケージ、パッケージの挿入物としてのものである。さらにもう1つの手段は、情報が記録されたコンピュータ読み取り可能媒体、例えばディスケット、CDなどであると考えられる。存在しうるもう1つの手段は、隔たった場所にある情報にアクセスするためにインターネットを介して用いることのできるウェブサイトアドレスである。任意の好都合な手段がキットの中に存在してよい。
実施例
以下は、本発明を実施するための具体的な態様の例である。これらの実施例は例示のみを目的として提供され、本発明の範囲を限定することは全く意図していない。用いる数字(例えば、量、温度など)に関して正確であるように努力は払っているが、ある程度の実験的誤差および偏差は当然ながら許容されるべきである。
実施例1:アテローム性動脈硬化の動物モデルにおける血清マーカー
マウスタンパク質アレイからの血清バイオマーカーデータ
ヒトおよびマウスの血管組織の転写プロファイリングを通じて同定された多数の生物学的経路の関与を考慮に入れて、多分析物(multi-analyte)アプローチがアテローム動脈硬化性疾患プロセスのさまざまな段階間の改善された識別につながるか否かを検討するために、マウスにおける概念実証研究をデザインした32。この研究により、多数の疾患関連バイオマーカーの定量が、マウスにおいて、およびおそらくはヒトにおいても、アテローム動脈硬化性疾患を評価するためのより高感度で特異的な方法をもたらしうることが実証された。この研究で同定された上位の血清タンパク質分類子は、マクロファージ化学誘引(Ccl9、Ccl2)、T細胞ケモカイン活性(Ccl21およびCcl19)、先天性免疫(IL-5)、血管石灰化(Tnfsfl1)、血管新生(Vegfa)および高脂肪により誘発される炎症(Cxcl1、レプチン)を含む、アテローム性動脈硬化に関係する多様な生物学的プロセスに相当した。これらのマーカーの同時測定によって導き出されたシグネチャーパターンは、マウスにおけるアテローム動脈硬化性疾患の正しい病期判定のために必要な特異性を付け加えた。このアプローチのさらなる確証が、以下の実施例3および4に記載したように、ヒトにおける前向きコホート研究で得られた。
疾患進行および血管壁における遺伝子発現の両方と相関づけることのできる血清タンパク質発現のパターンを同定するために、本発明者らは、縦断的実験デザイン、およびさまざまな度合いのアテローム性動脈硬化を生じさせるマウス遺伝モデルと食餌との組み合わせを利用した。今回、本発明者らは、マウスの血清中で、疾患のさまざまな重症度レベルと相関するレベルで差次的に発現される炎症バイオマーカーのセットを同定するために、タンパク質マイクロアレイを利用した。定量的リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RTPCR)により、これらのマーカーのサブセットに関する血管壁での遺伝子発現も評価した。最も感度の高い識別子(discriminator)のセットを同定するための分類アルゴリズムを用いて、本発明者らは、血管由来炎症バイオマーカーの独特なシグネチャーパターンが、マウスにおけるアテローム動脈硬化性疾患の種々の重症度を正確に予測しうることを示すことができた。
方法
実験デザイン、血清収集およびRNA調製
実験はすべて、Stanford Committee on Animal Researchによる承認を受けた。一般的な実験デザインは以前に記載されている(45)。3週齡の雌性apoEノックアウト(C57BL/6JApoetm1Unc)マウス、C57Bl/6JマウスおよびC3H/HeJマウスを、Jackson Laboratory(Bar Harbor, ME)から購入した。4週齡の時点で、マウスに通常の飼料を与え続けるか、または21%無水乳脂肪および0.15%コレステロールを含む高脂肪食(Dyets no. 101511;Dyets, Bethlehem, PA)を最長40週間にわたって与えた。以前に記載したものと同じコホートのマウスからの、高脂肪食を与えているapoE欠損マウスに関して、すべての時点で5〜9匹の個々のマウスから、後眼窩アプローチによって血清を収集した。食餌および遺伝的違いに関する対照とするために、通常飼料を与えているapoEノックアウトマウス(C57BL/6J-Apoetm1Unc)、ならびに通常の飼料および高脂肪食を与えている野生型C57Bl/6JマウスおよびC3H/HeJマウスからも、ベースラインおよび40週の時点で血液を収集した。血清収集スケジュールと並行して、条件(系統-食餌の組み合わせ)のそれぞれに関して各時点で、マウス15匹(5匹ずつの3つのプール)からの大動脈を、以前の記載の通りに(45)、RNA単離のために採取した。全RNAを、以前の記載の通りに二段階精製プロトコールの変法を用いて単離した(45、47)。大動脈のアテローム動脈硬化性プラークの定量(大動脈全体における病変面積の百分率として決定)はこのコホートのマウスに対して以前に行われおり、先行刊行物に記載されている(45)。高脂肪食を2週間与えた16週齡apoE欠損マウス(個体3〜4匹の4つのプール)の別個の独立したコホートからの血清および大動脈も、分類の目的に用いた。マイクロアレイハイブリダイゼーションのためにRNA試料および血清試料をプールする根拠については以前に考察されている(45-47、49)。試料処理およびタンパク質ハイブリダイゼーションはすべて、技術的なばらつきをなくすために同じ時点で行った。
タンパク質バイオチップのハイブリダイゼーションおよびデータ処理
血清試料を、Zyomyx Murine Cytokine BioChip(Zyomyx, Hayward, CA)に対して、製造元の指示に従い、Zyomyx 1200アッセイステーション(Zyomyx)を用いてハイブリダイズさせた。9点較正曲線を、被験血清におけるタンパク質レベルの正確な決定のために各分析物に対して作成した(個々の較正曲線については補遺S4を参照されたい;Physiological Genomicsのウェブサイトで入手可能である)。1タンパク質バイオチップをZyomyx 100蛍光スキャナを用いてスキャニングし、マイクロアレイのグリッド作成(gridding)をGenPix ProおよびZyomyx ZDRバージョン4001ソフトウエアを用いて行った。チップ内変動(すべての陰性対照特徴の標準誤差とそのような特徴の平均強度との比)およびチップ間変動(平均標準偏差と強度中央値の平均との比)を、品質管理の尺度として決定した。タンパク質アレイは、分析物に応じて、3%からほぼ15%までの範囲にわたる対照変動および1〜1,000pg/mlの感度を示した(http://physiolgenomics.physiology.org/cgi/content/full/00240.2005/DC1で入手可能な、各分析物に関する補足的な較正曲線を参照されたい)(11)。較正曲線の直線部分にない値は欠側値として扱った。続いて、生の数値データを、マイクロアレイデータ分析(GeneData)のために特別に設計されたOracleリレーショナルデータベース(CoBi)に移した。ヒートマップはHeatMap Builderソフトウエアを用いて作成した(7)。詳細な補足的方法は、http://physiolgenomics.physiology.org/cgi/content/full/00240.2005/DC1で入手可能である。
タンパク質の選択アルゴリズムおよび疾患分類
タンパク質の選択および分類アルゴリズムは以前に記載されている(45)。手短に述べると、教師あり分析については、本発明者らは、高脂肪食を与えたapoEマウスにおける0週、10週、24週および40週の時点間でのクラス識別に関する有用性に基づいて遺伝子をランク付けするために、数多くの分類アルゴリズムを用いるExpressionistソフトウエア・バージョン5.0(GeneData)を用いた。これらのアルゴリズムには、分散分析(ANOVA)、サポートベクターマシン(SVM)(4)、および、遺伝子を繰り返しランク付けして、最もスコアの悪いものの一定割合を毎回取り除く(35)、SVM重み付け(weight)の再帰的バージョンである再帰的特徴消去(RFE)(16)が含まれる。本発明者らはまた、追加的な分類アルゴリズムとして、以前に記載されたマイクロアレイ予測分析(PAM)も用いた(48)。続いて、それぞれの方法を用いて、実験物を最小限の誤り率で正しい群に分類するためのランク付けされた遺伝子の最適数を決定した。最適な誤り率または誤分類は、実験物の25%を試験群として用い、残りをトレーニング群として用いる交差検定によって算出した。これをANOVA、SVMおよびRFEアルゴリズムに関して1,000回繰り返した。本発明者らの分析において、本発明者らは、SVMおよびRFEのために線形カーネルを用いた;非線形ガウスカーネル(Gaussian kernel)でも同様の結果が得られた。続いて、分類子遺伝子のこの最小サブセットを、別の独立したデータセットの交差検定ならびに分類のために用いた。詳細な方法は、http://physiolgenomics.physiology.org/cgi/content/full/00240.2005/DC1で入手可能である。
独立したデータセットの交差検定および分析
以前に同定されたタンパク質の小規模サブセットに基づく分類の精度を決定するために、本発明者らは、SVMアルゴリズム(線形カーネル)を利用し、反復分割物(repeated split)をトレーニングセット75%および試験セット25%とする交差検定を用いて混同行列を作成した。結果は表の様式で表されている。本発明者らはまた、以前の記載の通りに、独立した実験群の分類のためにもSVMアルゴリズムを用いた(45、50)。この分析において、本発明者らは、apoE欠損マウスにおける4つの時点をトレーニングセットとして用い、独立した実験セットを試験セットとして用いた。1対全(one-vs.-all)比較に基づく各実験に関するSVM出力をヒートマップ形式で図示した(図3参照)が、これは上述した4種のSVM分類子のそれぞれに関する正規化されたマージン値である。SVM出力により、本発明者らは、新たな実験が4種のSVM超平面に従っていかにして分類されるかを見ることができる。詳細な方法は、http://physiolgenomics.physiology.org/cgi/content/full/00240.2005/DC1で入手可能である。
定量的リアルタイムRT-PCR
関心対象の10種の遺伝子に関するプライマーおよびプローブを、Taqman分析のためにApplied Biosystems Assays-on-Demandから入手した(表2)。
(表2)
Figure 2009501318
反応は、以前(45-47)に記載した5種の大動脈の3つのプールに由来する代表的なRNA試料を用いて、3回ずつのアッセイとして行った。
結果
apoE欠損マウスにおけるアテローム発生中のタンパク質発現の時間的パターン
本発明者らは以前に(45)、apoE欠損マウスのこのコホートにおけるアテローム動脈硬化性病変の程度を示した。apoE欠損マウスの大動脈ならびに大動脈弁における広範なアテローム動脈硬化性病変を考慮して、これらの研究では他の血管床については検討しなかった。血アテローム動脈硬化性病変の程度と相関する清マーカーを同定するために、本発明者らはタンパク質マイクロアレイを利用して、高脂肪食を与えたapoE欠損マウスにおける30腫の炎症マーカーの血清レベルを、疾患発生の経時的推移の全体にわたって同時に測定した。対照群に関しては、本発明者らは、通常の食餌を与えたapoE欠損マウス、ならびに野生型C57Bl/6JマウスおよびC3H/HeJマウスを2つの時点で利用した。測定した30種のマーカーのうち8種は有意な血清発現レベルを示さなかった。22種のマーカーは時間に関係した独特な発現パターンを示し、そのいくつかは、マウスのこのコホートで以前に記載された、大動脈におけるアテローム動脈硬化性病変の程度と密接に相関した(図1)(45)。これらのマーカーには、種々のケモカイン(Ccl2、Ccl9、Ccl11、Ccl19、Ccl21、Cxcl1およびCxcl2)およびいくつかのサイトカイン(Il2、Il4、Il5、Il6、Il10およびIl12)ならびに他の炎症性タンパク質(Csf1、Csf2、Csf3、Ifng、Tnfsf11)およびVegfaが含まれた。これらのマーカーの大多数では、apoE欠損マウスにおける発現の方が、対照の野生型C57Bl/6JマウスおよびC3H/HeJマウスと比較して高度であった(図2)。以前に記載したように、同様の条件下で、対照マウスは組織学的に明らかなアテローム動脈硬化性病変を生じなかった(47);このため、疾患に関連した変化は、高脂肪食および加齢などの他の要因と容易に識別することができる。
高脂肪食および加齢による系統特異的なタンパク質発現
高脂肪食、加齢および遺伝的背景に起因する、アテローム性動脈硬化とは独立した血清タンパク質レベルの変動を説明するために、本発明者らは、アテローム性動脈硬化を発症する異なる性向を有する以前に詳細に検討した2種のマウス系統、2種類の食餌および縦断的実験デザインを含む、多数の対照を用いた。本発明者らは以前に、これらの対照マウスがアテローム動脈硬化性病変を発症せず、それ故にこれらの独立した変数およびそれらの間の相互作用を説明するための適切な対照であることを示している。その結果、本発明者らは、各変数と関係する可能性が高く、かつapoE欠損モデルにおける血管疾患の過程と特異的に関係するものを識別する、差次的に発現されるタンパク質を同定することができた。単純なANOVAにより、さまざまな食餌-系統-時間の組み合わせの間で差次的に発現される少なくとも12種のマーカーが判明した(図2)。3つの独立した変数の間に考えられる相互作用を説明するために、本発明者らは、3元ANOVAを利用した。3つの独立した変数は、3種の一次相互作用(時間-系統、時間-食餌、系統-食餌)および1種の二次相互作用(時間-系統-食餌)を有する。3つの要因すべての間の相互作用を説明するものとして、本発明者らは、Ccl9、Ccl21、Ccl11、Csf1およびIl12bを含む5種のタンパク質を、差次的に発現されるものとして同定した(3元ANOVA、P<0.05)。
後の時点で、高脂肪食は、多数の炎症マーカーに関する血清レベルの上昇によって表されるように、C57Bl/6野生型マウスにおける炎症反応も刺激した(図2)。これに対して、C3H/HeJマウスは高脂肪食を与えられた時でさえ、炎症マーカーは最も低いレベルであった。この知見は、C3H/HeJマウスにおける大動脈血管壁での遺伝子発現をC57Bl/6Jマウスのそれと比較した本発明者らの以前の研究による観察所見と一致する。その研究は、C57Bl/6Jマウスがアテローム性動脈硬化における炎症マーカーの発現に対して高い遺伝的性向を有すると結論している。
マウス血清における時間特異的なタンパク質発現のシグネチャーパターンの同定
ヒトの癌に対する分類アプローチは、転移に対する性向、薬剤反応性および長期予後判定を含む、腫瘍の臨床的特徴に関する大きな洞察をもたらした(13、23、33、43)。アテローム性動脈硬化に関して、分類アルゴリズムの臨床的有用性は、将来のイベントの予測にあると考えられる。以前の研究で、本発明者らは、血管壁におけるその発現によってマウスおよびヒトの両方に由来するアテローム動脈硬化性血管組織における疾患重症度が正確に分類される一団の遺伝子を確立するために、分類アルゴリズムを適用した(45)。今回の研究において、本発明者らは、それぞれのプロテオミクス実験をマウスにおけるアテローム性動脈硬化の4つの定義された段階の1つに正確に分類する血清タンパク質の最小サブセットを同定するために、同様のアプローチを採用した(図3)。今回、本発明者らは、異なる疾患状態を有するマウスを最も良く識別しうる変数を同定するために、いくつかの周知の分類アルゴリズムを用いた。これらのアルゴリズムには、RFE、SVMおよびANOVAが含まれた。本発明者らはまた、PAMも追加的な分類アルゴリズムとして用いた。これらのアルゴリズムはタンパク質を、高脂肪食を与えたapoE欠損マウスにおける0週、10週、24週および40週の時点の間でのクラス識別に関するそれらの有用性に基づいてランク付けする。本発明者らの結果により、タンパク質の小規模サブセット(Ccl21、Ccl9、Csf3、Tnfsf11、Vegfa、Ccl11、Ccl2)が、アルゴリズムの大半によって同定されることが示された(図3A)。
この一団のシグネチャーパターンの予測力は、個々のマーカーはいずれも種々の疾患状態を正確に分類できなかったため、いずれの単一マーカーよりも優れていた(分析は示していない)。異なる疾患状態を有するマウスの分類に関するこれらのタンパク質の血清レベルの有用性を明らかにするために、本発明者らは、SVMアルゴリズム(線形カーネル)を利用して、反復分割物(repeated split)をトレーニングセット75%および試験セット25%とする交差検定を用いて混同行列を作成した。このアルゴリズムにより、これらの血清タンパク質の発現のシグネチャーパターンによって、疾患を有するマウスの群と疾患を有しない群とを最大100%の精度で識別しうることが示された(図3B)。中間段階の疾患を有するマウスも、高い度合いの精度(79.6〜100%)で他の段階から識別されている(図3B)。
独立したデータセットの交差検定および分析
分類子タンパク質の規定セットの有用性の主な証となるのは、独立した実験によるデータをそれらが正しく分類する能力である。分類子タンパク質の有用性を検証するために、本発明者らは、それらが16週齡apoE欠損マウスの独立した群を正確にカテゴライズする能力を調べた。SVM分類アルゴリズムを用いて、本発明者らは反復実験のそれぞれを疾患過程の正しい段階に正確に分類することができた(図3C)。マウスのこの独立した群におけるタンパク質発現と、10週齡の元の実験群におけるタンパク質発現パターンとの間の相関が最も高いことによって示されるように、分類子タンパク質は、この検証データセットをトレーニングセット中の最も近い時点に正確に適合させた。この分析では、独立したデータセット(「試験(test)」)をトレーニングセット(「既知(known)」)に含めなかった点に注目することが重要である。
血管壁での遺伝子発現レベルと相関するバイオマーカー血清タンパク質レベル
循環タンパク質レベルが血管壁での分子イベントおよび発現レベルと相関するバイオマーカーは、血管疾患に関して非常に高い情報価値があると考えられる。そのような相関について調べるため、およびバイオマーカーのデータからアテローム性動脈硬化の病態生理に関する見通しを得るために、本発明者らは、情報価値のあるバイオマーカーをコードする遺伝子を求めて、血管壁での遺伝子発現パターンを調べた。定量的リアルタイムRT-PCRを用いて、本発明者らは、いくつかのマーカーの血清タンパク質レベルをそれらの血管でのRNA発現と相関づけることができた。検討したマーカーのうち、Ccl21(r=0.91)、Ccl2(r=0.97)、Ccl19(r=0.80)およびCcl11(r=0.67)は、時間に関連した遺伝子発現レベルと血清レベルの上昇の間に著しく高い相関を示した(図4)。これらのデータは他の組織におけるこれらのマーカーの発現を除外してはいないが、それらは発現が特にアテローム動脈硬化性血管壁に伴うことを示唆している。血清タンパク質レベル、血管での遺伝子発現および高脂肪食を与えた期間(食餌を与えた週数のlog10値)の正規化平均比を比較することにより、ピアソン相関値を決定した。アテローム動脈硬化性血管壁でのmRNA発現とコードされるタンパク質の血清レベルとの間の相関係数(r)は、rが少なくとも0.6;少なくとも0.7;少なくとも0.8;少なくとも0.9またはそれ以上である場合に有意とみなしている。
考察
発症前のアテローム性動脈硬化の診断および治療のための改良されたツールに対しては明らかな需要が存在する。現在、アテローム性動脈硬化の機序および状況に関する洞察は増えつつあるが、ハイリスク患者を同定するため、および冠動脈疾患を予防する対策の有効性を予測するための我々の方法は未だに不十分なままである。アテローム動脈硬化性疾患に対する高感度かつ特異的なバイオマーカーがないため、これらの患者の過半数では、最初の臨床像が心筋梗塞または死亡のいずれかである(19、20)。いくつかの炎症マーカーが、マウスおよびヒトの両方でアテローム性動脈硬化の状況下で検討されており、その結果はアテローム性動脈硬化の炎症仮説を補強するものであった(38)。しかし、それぞれの検討は少数の個々のマーカーのみを対象に絞っており、いくつかは縦断的デザインを欠いており、血管レベルでの遺伝子発現との直接的な相関を示したものはごく少数に過ぎない(25、29、34)。
現在のところ、炎症の一般的マーカーは、アテローム動脈硬化性疾患を有する患者のリスク層別化への利用が提唱されてはいるが、正確な疾患分類のための、そしてより重要なこととして、最初の心血管イベントの予測のための、無症候性患者のスクリーニングには用いられていない。C反応性タンパク質(CRP)およびフィブリノーゲンといったマーカーの特異性の不足は、それらが血管構造に由来せず、あらゆる臓器における炎症のシグナルを伝えるという事実に起因すると考えられる。また、リスクを有する集団における不均一性のために、単一のマーカーでは疾患の正確な予測のための十分な情報を提供することができないという可能性もある。同様の理由から、CRPおよび沈降速度(ESR)といったこれらの炎症の一般的マーカーは、狼瘡(SLE)および関節リウマチ(RA)などの他の炎症性疾患における特異的な診断マーカーとしては長い間放棄されてきた。
本発明者らは以前に、本明細書で用いたものと同じ実験デザインを用いたマウス大動脈組織のRNAプロファイリング研究により、疾患重症度を分類しうる少数の遺伝子を同定することが可能なことを示している(45)。血管組織には容易にアクセスできないことを考慮すると、明らかに、血清中のタンパク質マーカーの同定は、ヒトにおける冠動脈疾患の診断ツールの開発において実用的な意味を有しうる。本明細書に報告した取り組みにおいて、本発明者らは、炎症血清バイオマーカーの存在量パターン、およびこれらのバイオマーカーのサブセットを、疾患進行に関して動物個体を分類するために用いうるか否かを調べた。科学的には、これらの2種類の情報は補完的であり、遺伝子転写から細胞内経路への翻訳、メディエーターの血清中への分泌までに至る、疾患の詳細な分子的機序に関する著しく大きな見通しを与える。上述したように、疾患状態に関する所定の血清マーカープロファイルの同定は、ヒトに用いうる非侵襲的な診断アプローチの開発を可能にする。本発明者らは、罹患組織における転写に関してマイクロアレイに基づく詳細な全体像も有しているため、本発明者らはこの概観を、標的指向性の高い治療法の開発における第一段階である、炎症メディエーターの発現につながる経路内の上流成分の評価のために用いることができる。実際に、本明細書に記載したもののような血清アッセイは、続いて、そのような治療法の最終的な効果をアッセイするために用いることができる。本発明者らは、さまざまな感受性およびさまざまな重症度のアテローム性動脈硬化を有するアテローム性動脈硬化の種々のマウスモデルからの血清の同時タンパク質発現プロファイリングのためにタンパク質マイクロアレイを利用した。癌の進行および型の分類に利用されるものに類似した分類アルゴリズムを用いて、本発明者らは、これらの血管由来バイオマーカーの独特なシグネチャーパターンが、マウスにおけるアテローム動脈硬化性疾患のさまざまな重症度を正確に予測しうることを示すことができた。
先行研究において(45)、本発明者らの分析は、16週の時点に由来する独立したデータセットのマイクロアレイ遺伝子発現プロファイルが24週の時点とより密接に関連することを明らかにしたが、一方、本研究において、同様の時点のタンパク質プロファイルは10週の時点とより密接に相関した。この知見は数多くの興味深い仮説を与えると思われる。現在のタンパク質マイクロアレイ中のプローブ数が限られていることを考慮すると、本研究におけるタンパク質分類子は先行研究で同定された遺伝子分類子とは異なる。また、時間に関連した血清タンパク質発現の増加は、血管壁での遺伝子発現レベルの変化よりも遅れるという可能性もある。
転写後修飾およびタンパク質安定性といった種々の要因のために、同一のマーカーに関して血管での遺伝子発現と血清タンパク質レベルとの間には直接的な相関がない可能性があるため、これらのデータの重要な検証は、これらのマーカーのサブセットに関して疾患に関連した血管遺伝子発現を実証することであった。本発明者らは、時間に関連したこれらのマーカーの血清レベルと血管壁でのそれらの遺伝子発現との間の相関を示している。疾患進行と血管での遺伝子発現との時間依存的な相関は、マーカー産生の主要部位が血管壁であることを示唆する。しかし、血管系は炎症マーカーの唯一の源ではない可能性があり、以前の報告によって示唆されるように(22)、筋肉、脾臓、脂肪組織または肝臓などの他の組織もこれらのマーカーの血清レベルに寄与する可能性がある。本発明者らの研究で評価した1つのマーカーであるIl6は、血管壁とともに筋肉および肝臓でも産生されることが知られている。興味深いことに、Il6の血清中存在量は疾患の時間的発生とは相関せず、血管壁での遺伝子発現とはごく弱く相関した。これらの知見は、Il6などのいくつかのマーカーの血清レベルには他の組織も寄与しうるが、これらのレベルは検討した疾患状態とは相関せず、分類パネルには寄与しないことを示唆している。
また、全身性炎症マーカーのいくつかのものの血清レベルは、検討したさまざまなマウス間での代謝パラメーターの違いによっても交絡を受ける可能性がある。高脂肪食は肝臓における炎症反応を刺激することが示されている(22)。これらの遺伝子の発現レベルは高脂肪食を与えている期間の全体を通して高いままである。本発明者らは、血清脂質レベルは一定である(14)がアテローム性動脈硬化の度合いは変わるように、初期および後期のアテローム性動脈硬化の段階の両方で高脂肪食を与えたマウスを比較することにより、これらの全身的作用に関する対照化を行った。このため、これらの代謝パラメーターと、時間とともに直線的な増加を示すマーカーの血清レベルとの相関は乏しい。したがって、血管由来マーカーの血清レベルの時間的変化は、脂質レベルではなく、アテローム性動脈硬化の度合いとより密接に相関する。
本研究で同定されたマーカーは、アテローム性動脈硬化に炎症の性質があることの強い裏づけを与え、同定された個々のマーカーはマウスにおけるこの疾患の基礎をなす機序に対してある種の洞察を提供する。これらのマーカーには、マクロファージおよびT細胞の両者に対して特異的な重要なケモカインが含まれる。Ccl21(当初はExodus-2/SLC/6Ckine/TCA4)は、T細胞に対するこれまでに同定された中で最も強力な化学誘引物質であり、T細胞の接着および血管系から炎症組織部位への輸送に重要な役割を果たす(30)。本発明者らの実験で同じく高レベルで発現されている関連ケモカインであるCxcl12およびCcl19は、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)を刺激することによって、T細胞の内皮に対する強固な接着を媒介する(6、15)。重要なこととして、Ccl21は、正常な免疫応答時にはT細胞エフェクターにおける役割を果たさないと考えられているが、T細胞媒介性の自己免疫疾患では内皮細胞において高度に誘導されることが見いだされている(8)。このため、循環Ccl21が疾患に関連して高レベルとなること、および罹患血管壁におけるCCL21の高度に相関した発現という新たな知見は、自己免疫がマウスにおけるアテローム性動脈硬化の発生に役割を果たすか否かという問題を提起する(44)。ヒト疾患におけるCcl21レベルはまだ測定されていない。Ccl19[マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-3b]は、Ccl21と幾分類似した機能を有する。これは同じ受容体であるCcr7と結合し、T細胞およびB細胞の両方に対する強力な化学誘引物質である。しかし、Ccl21とは異なり、これは正常なT細胞機能にも役割を果たすように思われる。アテローム動脈硬化性血管系におけるその発現、および血清レベルと大動脈での遺伝子発現との間の高い相関は、いずれも新規な知見である。
アテローム性動脈硬化におけるCcl2(Mcp1またはJE)(3)およびCcl11(エオタキシン)(10、17)の役割は十分に確立されており、本発明者らの知見の裏づけとなる。本発明者らはまた、Cxcl2(MIP-2)およびCxcl1(KC)のいずれの血清レベルもアテローム動脈硬化性マウスの血清で上昇していることを文書で報告しており、これは他の研究者によって記載された血清レベルとも一致する(29)。その研究で記載されたように(29)、本発明者らは、Cxcl2(MIP-2)のレベルは信頼性が落ちることを見いだした。さらに、血清レベルと大動脈での遺伝子発現との相関の低さを考慮すると、かなり多くの量のCxcl2が非血管組織によって産生されると思われ、これは以前の観察所見を裏づける(29)。しかしながら、本発明者らは、Cxcl2の血管での遺伝子発現との相関はIl6およびCsf3などの他のマーカーよりも以前として優れることを見いだしている。Cxcl1(KC)のレベル上昇にもかかわらず、本発明者らはこのマーカーが疾患の一貫した予測変数ではないことを見いだしており、これは最近の研究とも一致する(34)。Vegfaは最近、急性冠症候群の独立した予測変数であると記載されている(18、24)。本発明者らの研究は、用いたアルゴリズムのうち少なくとも3つではVegfaが妥当な分類子であることを支持しており、ヒト疾患のモニタリングにおいてそれが有用である可能性を裏づけている。本発明者らの研究における極めて興味深いもう1つの知見は、アテローム性動脈硬化におけるTnfsf11(TRANCE)の役割である。Tnfsf11は腫瘍壊死因子(TNF)サイトカインファミリーのメンバーであり、破骨細胞の分化および活性化のための重要な因子として機能するオステオプロテジェリンのリガンドである。このタンパク質は樹状細胞生存因子としても知られており、T細胞依存性免疫応答の調節に関与する。オステオプロテジェリンは最近、ヒトにおける進行性アテローム性動脈硬化および心血管疾患の危険因子の可能性があるものとして同定された(21、37)。アテローム性動脈硬化において役割を果たすことが推測されているその他のサイトカインには、Il12b(25)およびIl5が含まれる(9)。本発明者らはそれらの血清レベルが疾患状態の予測指標となることを示しているが、アテローム動脈硬化性病変におけるIl12bの血管特異的発現を確かめることはできなかった。
以上をまとめると、本発明者らの研究で同定された上位の血清タンパク質分類子は、マクロファージ化学誘引(Ccl9、Ccl2)、T細胞ケモカイン活性(Ccl21およびCcl19)、先天性免疫(I15)、血管石灰化(Tnfsf11)、血管新生(Vegfa)および高脂肪食により誘発される炎症(Cxcl1およびおそらくはレプチン)を含む、広範囲にわたるアテローム動脈硬化の生物学的過程を包含する。これらのマーカーの同時測定によって導き出されるシグネチャーパターンは、アテローム性動脈硬化に関連した多様な生物学的過程に相当し、アテローム動脈硬化性疾患の診断のために必要な特異性を付け加える可能性が高い。以下の実施例3から12までに記載したように、ヒト対象における適切な前向き試験によるこのアプローチのさらなる検証により、アテローム性動脈硬化および冠動脈疾患における改良されたスクリーニング診断ツールがもたらされている。
参考文献
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実施例2:タンパク質マイクロアレイの分析
種々のケモカイン(エオタキシン、IP-10、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、IL-8、MIP1aおよびRANTES)を含む抗体アレイの性能を評価するために、本発明者らは市販のSchleicher and Schuellタンパク質マイクロスポットアレイ(FastQuant Human Chemokine, S&S Bioscences Inc., Keene, NH, US)を用いた。このアレイプラットフォームは、3Dニトロセルロース表面コーティングが施された標準的な顕微鏡用スライド上にスポット化された高度に特異的な多数のモノクローナル抗体を利用する。ヒトの循環血試料を用いて、本発明者らは、病歴および運動負荷試験または冠動脈カテーテル検査での明らかな陽性所見によって重症冠動脈疾患を有することが判明している症例11例、ならびに病歴がなく運動負荷試験または冠動脈造影での所見が陰性である対照9例の群を選択した。循環血試料を収集して-80Cで凍結保存した後、アレイに対して用いる直前に解凍させた。各試料を2つの重複したアレイ上にてインキュベートした。11件の患者試料および9件の対照を、1つずつの印刷物として作製された合計8枚のスライド(スライド1枚当たり8つのアレイ)上で評価した。
本検討において各試料に対して行った重複した実験によって認められたように、アレイ間の再現性は良好であった。各抗体に関して、同じアレイ上に印刷された4つの重複した特徴のバックグラウンドを差し引いたシグナルの中央値を、重複した実験で得られた各中央値に対してプロットした。重複した実験での測定間の相関係数は0.99が一般的であり、これは2つのセットのアレイデータ間に優れた一致がみられることを示している。
その後の分析では、それぞれの分析物の循環測定値は単一の循環血試料の4回の測定の平均に相当し、それから空のスライドによる対応する平均測定値を差し引いて、この差のlog(10)値を用いて分析を行った。9件の対照試料の群におけるタンパク質レベルを、症例11例の群におけるタンパク質レベルと比較した。各タンパク質に関して、症例群および対照群におけるタンパク質レベルの分布を、正規分布と試料の各群における値との重複を計測するガウス誤差スコアを用いて比較し、ヒートマップとして図示した。このガウスプロットは、2つの群におけるMMP-2/TIMP-2複合体に関するタンパク質レベルの実際の分布を示す。これらの群における少数の個体の明確な分離を与えることのできる単一のタンパク質測定値はなく、ガウスプロットでは重複的なシグナル分布が明らかに認められる。この取り組みの目標は分類アルゴリズムを同定することではなかったが、フィッシャー(Fisher)の線形判別分析を用いて少数の上位タンパク質を組み合わせることにより、症例試料および対照試料を分類することが可能であった。
アレイによる所見を検証するために、本発明者らは、アレイに用いたのと同じ捕捉抗体および検出抗体を利用する標準的なELISAサンドイッチ型式アッセイを用いた。アレイに用いた抗体の対は市販の源からのものであり、供給元によってELISAに関してすでに検証されていたものの、それらが感度の規格値に従って作動することを確かめるために、アレイに用いる前にそれらを検査した。症例および対照のヒト循環血試料をELISA法によって分析し、ELISAデータをアレイデータと比較する。ELISAを試料の10倍または20倍希釈物のいずれに対して行った場合にも、このような分析物の1つである循環レプチンに関する比較データは優れた相関を示した。
実施例3:ヒト冠動脈疾患の正確な予測および診断のための循環炎症マーカーのシグネチャーパターン
ヒトでのパイロット試験による血清バイオマーカーのデータ
実施例1および2で得られた有望な結果を受けて、本発明者らは、タンパク質マイクロアレイを、ヒトにおけるアテローム動脈硬化性疾患の高感度かつ特異的なマーカーとして役立ちうる血清中炎症性タンパク質のシグネチャーパターンを同定するために用いうるか否かについて検討した。このアプローチの調査のために、本発明者らは、アテローム性動脈硬化の危険因子および遺伝的決定要因について検討するためにデザインされた大規模な疫学研究から、臨床的に重大なCADを有する患者51例および健常対照対象44例を選択することによって、ネステッド症例対照研究をデザインした。組み入れの時点で収集した血清試料を、タンパク質マイクロアレイを用いた多数の炎症マーカーの同時測定のために用いた。試験した分析物のサブセットの濃度は症例対象において有意に高かった。これらのマーカーの血清発現プロファイルを用いた分類アルゴリズムにより、CAD対象は対照に対して正確に層別化された。さらに、バイオマーカーの独特なシグネチャーパターンにより、CADの他の公知のマーカーの予測能力が有意に改善された。このパイロット試験で、本発明者らは、循環炎症マーカーのシグネチャーパターンによってアテローム動脈硬化性疾患を有する患者が正確に同定されることを示すことができた。
序論
アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)は、先進国世界における病的状態および死亡の主因である1,2。しかし、正確な早期診断マーカーがないために、冠動脈疾患(CAD)を有する患者の過半数では最初の臨床像が心筋梗塞または死亡のいずれかである3、41、2。炎症はASCVDのすべての段階に関与することが示されており、アテローム発生の病態生理学的基盤の主要な部分であって、疾患過程の潜在的なマーカーを与えるものと考えられている5 6 7
血清炎症バイオマーカーの上昇によって、心血管リスクが層別化されるとともに治療法に対する反応が判定されることが、大規模な疫学研究で示されている89。現在の炎症マーカーは、リスク層別化に有用な可能性があるものの、CAD診断におけるスクリーニング用ツールとして用いるのに十分な疾患特異性はない。C反応性タンパク質(CRP)およびフィブリノーゲンといった現在のマーカーの精度の不足は、それらが主として血管壁には由来せず、血管炎症過程に関与する細胞によって主として産生されるのでもなく、多数の異なる臓器および組織における炎症のシグナルを伝えるという事実に起因すると思われる。加えて、リスクを有する集団における疾患表現型の不均一性のために、単一のマーカーでは疾患の正確な予測のための十分な情報を提供することができないという可能性もある。同様の理由から、CRPおよび赤血球沈降速度(ESR)といった炎症の一般的マーカーは、臨床診療におけるリスク層別化および治療法に対する反応に関する重要なマーカーであり続けているものの、狼瘡(SLE)および関節リウマチ(RA)などの他の炎症性疾患における特異的な診断マーカーとしては長い間放棄されてきた。
このため、ASCVDの活動性をより正確に反映し、患者同定のための高感度かつ特異的なアッセイとして用いることのできるバイオマーカーに対しては差し迫った需要が存在する。本発明者らは、循環炎症性タンパク質の独特なシグネチャーパターンを利用して、CADを有する個体をより良く同定することができるとの仮説を立てた。この問題に対処するために、本発明者らは、アテローム性動脈硬化の遺伝的感受性に関する一般集団ベースの研究であるADVANCE Study((Atherosclerotic Disease, VAscular FuNction, & GenetiC Epidemiology)の略)から最近の心筋梗塞(MI)患者51例および健常対照対象44例を選択することにより、ネステッド症例対照をデザインした。組み入れの時点に採取した血清試料を用いて、本発明者らは、市販のタンパク質マイクロアレイを用いた9種の炎症マーカーの同時測定を行った。データ分析のために、本発明者らは、病歴、薬剤プロフィール、個人歴および家族歴(一等親血縁者)ならびに血漿グルコース、インスリンおよびC反応性タンパク質(CRP)のレベルなどの広範囲にわたる臨床的変数を含めた。統計学的アルゴリズムにより、他の臨床的変数と組み合わせて用いた場合にCADの個体と対照個体とを正確に分類する、タンパク質バイオマーカーのシグネチャーパターンが同定された。
方法
患者選択および臨床データ
試験プロトコールはすべて、施設内審査委員会による審査および承認を受けた。患者は、Stanford大の心血管部門とNorthern California Kaiser Permanente Medical Care Programの研究部門との協力の下で実施され、心血管疾患の遺伝的決定要因を調べるためにデザインされた比較的大規模な遺伝的疫学研究であるADVANCE試験コホートの2つの異なる群から無作為に選択した。ADVANCEには、カリフォルニア北部の集団を代表するように性別および年齢に基づいて層別化された、San Francisco Bay Areaの合計3666例の個体が組み入れられた。被験者となる可能性のある者すべてから、参加に関して書面によるインフォームドコンセントを得ており、試験プロトコールはStanford UniversityおよびKaiser Division of Researchの両方のHuman Subject Committeeによる承認を受けた。ADVANCE試験コホートは明確な特徴づけがなされた臨床群で構成されている:若年齢で見かけ上健常な対照743例(第1群);より高齢の対照1023例(第2群);若年齢のCAD症例503例(第3群);より高齢で新たに診断され、組み入れ時点で初発心筋梗塞(MI)との記録があり、イベントから組み入れまでの期間の中央値が3.4カ月であるCAD症例926例(第4群);および、初発安定狭心症のより高齢の症例471例(第5群)。本発明者らは第2群および第4群から、性別に関して層別化された無作為抽出により、合計95例の白人対象、内訳はMI症例44例および対照51例を選択した。大規模なADVANCE試験データベースは、病歴、薬剤プロフィール、個人歴および家族歴(一等親血縁者)ならびに血漿グルコース、インスリンおよびC反応性タンパク質(CRP)のレベル、ならびに脂質プロフィールなどの臨床的変数を含む。脂質プロフィールは第2群のみで入手可能であった。症例対象には、CADの最初の臨床像が急性MIである45〜75歳の男性および55〜75歳の女性が含まれた。これらの対象は、主な退院時診断コードが410.xであること、および入院時または入院前72時間以内における心酵素値上昇(トロポニンIレベル4.0ng/mL、またはCK-MB5.6ng/mlもしくはCK-MB%3.3ng/mLのうち少なくとも一方の上昇)の存在によって同定された。血清は指標イベントから7〜20週後に収集した(中央値3.4カ月)。ADVANCE試験の研究者の委員会は、診断を確かめるために臨床的文書を審査した。対照は、プライマリケア医およびKaiser Permanenteデータベースによる報告で、ASCVD発現についても他の大きな疾患についても臨床歴のない男女両方の60〜69歳の個体とした。ADVANCE試験への組み入れ後の初回受診時に臨床データおよび空腹時血清標本を収集した。グルコースおよびインスリンの血漿中濃度は標準的な方法を用いて測定した。CRPは高感度ELISAアッセイによって決定した。
タンパク質マイクロアレイのハイブリダイゼーションおよびデータ処理
9種類のケモカイン(エオタキシン、IP-10、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、IL-8、MIP1aおよびRANTES)の濃度を評価するために、本発明者らは、市販のSchleicher and Schuellタンパク質マイクロスポットアレイ(FastQuant Human Chemokine, S&S Bioscences Inc., Keene, NH, US)を用いた。このアレイプラットフォームは、3Dニトロセルロース表面コーティングが施された標準的な顕微鏡用スライド上にスポット化された高度に特異的な多数のモノクローナル抗体を利用する。これらのマーカーの感度および特異性ならびに従来のELISAとの相関は以前に示されている。これらのマーカー間に交差反応性がないことは以前に確かめられている。血漿試料を、製造元の指示を用いてタンパク質アレイとハイブリダイズさせ、その後にビオチン化二次抗体およびCy5-ストレプトアビジン結合物を添加する。その結果生じた蛍光強度を、Axon Genepix 4000Bマイクロアレイスキャナと、スキャン画像を強度数値に変換する特徴抽出ソフトウエア(Array Vision Fast 8.0、S&S Biosciences)との組み合わせを用いて測定する。並行して実施した内部標準物質を用いた強度値の外挿により、絶対濃度を測定した。Fast Quantタンパク質アレイは、具体的な分析物に応じて、3〜約15%の範囲にわたる対照変動および1〜10pg/mlの感度を示した。FastQuantタンパク質アレイの精度は対応するELISA判定と同等であり10、11、直線的範囲も同程度である。本研究に関する詳細な補足的な方法および品質管理の結果は、アレイの再現性および標準曲線を含め、発行元のウェブサイトにオンラインで提供されている(Ardigoに関する補足的な材料については、Tabibiazar, et al., "Signature Patterns of Circulating Biomarkers Accurately Predict Presence of Coronary Artery Disease"を参照されたい)。
引き続いて、生の数値データを、ローカルなWindowsワークステーションで分析するとともに、マイクロアレイデータ分析のために特別に設計されたOracleリレーショナルデータベースにも移した。技術的な理由から、RANTESおよびIL-8は以降の分析から省いた。RANTESの標準曲線は非シグモイド状であり、このため、濃度の算出のための直線部分がなかった。症例対象および対照試料の両方において、IL-8値のほとんどは標準曲線の限界値の外にあった。
統計学的分析
二群間での臨床的特徴の差は、連続変数および名義変数のそれぞれに関して、マン-ホイットニーのU検定およびカイ二乗検定によって調べた。有意水準はモンテカルロアプローチによって計算した。症例と対照との間でのケモカインの差を同定するために、U検定およびカイ二乗検定において二群間で不等に分布する臨床的変数の調整の前および後に、一般線形モデル(GLM)による多変量分析を行った。
ケモカインの診断性能は、受信者動作特性(ROC)曲線によって検討した。12症例と対照との識別におけるケモカイン値の寄与の検証のためには、ロジスティック回帰(LR)分析を用いた。二変量分析で二群間に有意差がみられた年齢、性別および臨床的変数も、独立した変数としてモデルに含めた。ACE阻害薬およびスタチン系薬剤といった典型的にはCAD患者に対して処方される薬剤摂取に関する二群間の差は、疾患に関する誤った予測変数を導入していると考えられるため、本発明者らは薬物療法に関するすべての情報を分析から除外することを決断した。
以下のいくつかの問題の存在について管理するために3種類のLRモデルを作成した:独立変数の数の相対的な増加、欠側値の存在(8例の対象における約10個の値)およびケモカイン濃度間の共直線性。変数の前進選択(エントリー確率0.05;除去確率0.15)を伴うステップワイズモデルを2回:条件付き平均による欠側値の推定を行わない場合と行う場合について実行した。共直線性の問題に対処するように特別に考案された第3のLRモデルには、臨床的変数とともにケモカインスコアを含めた。スコアの演算は、入手可能な任意のケモカイン値に関して、各ケモカイン濃度を1〜10の等級(十分位数に基づく)で記録し、続いて等級の値を平均することからなった。検定の問題、モデルの構築過程および欠側値の推定手順に関するすべての詳細な説明は、オンラインで補足的な材料として入手可能である。U検定およびカイ二乗検定、GLM、ROCおよびLRは、Windows用のSPSS統計ソフトウエア、バージョン12.0(SPSS Inc., Chicago, IL)を用いて行った。
データ構造を検閲するために、本発明者らは二次元階層的クラスタリング分析(2D-HC)を行った。2D-HCは、オープンソースのソフトウエアであるTMev、ver.3.0(TM4 suite, The Institute for Genomic Research, Rockville, MD)13を用いて構築した。分析は、最長距離法(complete linkage)およびピアソン相関を距離測定基準として用いて実施した。本発明者らのデータにおける最大分散の方向を決定するために、本発明者らは主成分分析(PCA)をlog2ベースで用いた。
タンパク質の選択アルゴリズムおよび疾患状態の分類:
タンパク質の選択および分類のアルゴリズムは以前に記載されている(Tabibiazar 2005 Physiol Genomics. 2005 Jul 14;22(2):213-26)、これは参照により組み入れられる)。手短に述べると、教師あり分析のためには、本発明者らは、遺伝子を症例対象と対照対象とのクラス識別に関するそれらの有用性に基づいてランク付けするために多数の分類アルゴリズムを用いた。この分析に用いたアルゴリズムには、サポートベクターマシン(SVM)14、および、遺伝子を繰り返しランク付けして、最もスコアの悪いものの一定割合を毎回取り除いていく16、SVMの再帰的バージョンである再帰的特徴消去(RFE)15を含めた。SVM-RFEは、実験を最小限の誤り率で正しい群に分類するためのランク付けされた遺伝子の最適数を決定するために用いた。最適な誤り率または誤分類は、実験物の25%を試験群として用い、残りをトレーニング群として用いて1000回繰り返す交差検定によって算出した。SVMの結果の内部妥当性の検証として、本発明者らは以下の教師あり分類アルゴリズムも用いた:分類木と回帰木(CART)、線形判別分析(LDA)およびロジスティック回帰(この項で以前に記載している)。CARTは、一連のif-then形式の二値論理条件による柔軟性のある階層的分類システムであり、結果の個別化の度合いおよび誤分類の比例コストの設定が可能である。精度の高い分類を得るために、本発明者らは、純粋なサブグループまたは5例を超えない対象を含む終端ノードをデザインした。事前情報には、2つのクラスのクラスサイズが等しいこと、およびそれぞれに関する誤分類コストが等しいことを含めた。結果の交差検定は、対象の10%の多数回の無作為並び替えによって行った。
結果
対象の臨床的特徴
図5に示されているように、症例群および対照群は、CADの十分に確立された危険因子を反映する多数の重要な特徴の点で異なる。症例対象は、インスリン抵抗性表現型がより顕著であり、血漿中インスリン濃度がより高く、BMIが幾分高く(有意ではないが)、胴囲がより長く、しかも脂質異常症の有病率が高い。しかし、血糖値および糖尿病の有病率は2群とも同程度であった。血圧は収縮期および拡張期ともに患者の方が対照よりも有意に低かったが、高血圧の病歴の頻度はより高かった。この事実は、少なくとも一部には、ACE阻害薬、β遮断薬、スタチン系薬剤およびアスピリンといった二次予防において通常処方される降圧薬(96.8%対43.2%)および薬剤の使用頻度が高いことによって説明することができる。さらに、冠疾患の有病率はCAD患者の一等親血縁者の方が対照よりも高かったものの、糖尿病、脂質異常症、高血圧および脳卒中の家族歴に関しては二群間に有意差はみられなかった。興味深いことに、血管および代謝に関する表現型について二群間には明らかな差がみられたものの、CRP濃度の差は検出されなかった。
症例および対照における循環炎症マーカー
CRPは二群間で差がなかったものの、多変量GLM分析によって、臨床的変数および薬物療法に関する調整後であっても、他の循環炎症マーカーは症例の方が対照よりも高値であることが示された(図6)。
症例と対照とを比較した教師なしデータ分析
CAD患者で炎症マーカーのレベルが上昇していることから、本発明者らは、その情報を、教師なし分析を用いて患者を正確にクラスター化するのに用いることの実行可能性について検討した。二次元階層的クラスタリングにより、個々の症例および対照はこれらの大きなクラスターの外側にあり続けるものの、CAD患者および対照患者は大きな均一なクラスターを形成する傾向が認められた(図7)。測定した変数に関しては、臨床的パラメーターは一緒にグループ化されたが、ケモカインは別のクラスターを形成した。興味深いことに、CRPレベルはケモカインレベルよりも代謝パラメーターとより良く相関した。
主成分分析を用いたところ、対象内部で観測される変動の60〜70%はケモカイン、インスリン抵抗性プロファイル、ならびに高血圧および高脂血症といった他の臨床的変数のサブセットによって説明することができ、中でも炎症のマーカーが支配的な要因であることが見いだされた(図8)。
ケモカインプロファイルおよび臨床的変数を用いた症例状態および対照状態の分類
症例対象と対照対象とを正確に識別しうる変数の最適な最小セットを決定するために、本発明者らはSVM分類アルゴリズムを利用した(Tabibiazar 2005 Physiol Genomics. 2005 Jul 14;22(2):213-26)。SVMにより、高い度合いの精度(誤分類率が10%未満)で対象を層別化しうる15種の変数のセットが同定された(図9)。CADの公知の危険因子に加えて、循環ケモカインの測定により、疾患の予測性は有意に改善された。本発明者らの知見を検証するために、本発明者らは他のいくつかの分類アルゴリズムも用いたところ、CADの予測に関して同程度に高いレベルの感度および特異性が得られた:LR(80%感度、88%特異性)、LDA(73%、94%)およびCART(80%、88%)。
臨床的変数のみによる分類を改善する炎症マーカーの測定値
対象と対照対象とを識別する単一の変数と多数の変数の分類能力を、ROC曲線を用いてさらに評価した。ケモカインのうち、MCP-4は最も感度が高く、MCP-1は最も特異的であるように思われ、いずれも優れた精度を示した(AUCはそれぞれ0.896および0.849)(図10A)。注目されることに、CRPは疫学的状況の外では疾患の同定に役立たないように思われ、一方、血管炎症の特異的マーカーはより精度が高かった。図11は、ケモカインをステップワイズ選択(モデル1および2)または総合スコア(モデル3)として加えた3種のロジスティック回帰分析の結果を示している。3種のモデルのうち2つではCAD患者における全体的精度が90%を上回り、ASCVD患者を識別するために多数のマーカーを用いる方がより高い情報価値があるという仮説が裏づけられた。LRモデルの分類性能を最適なケモカインであるMCP-1および-4のそれと比較したものをさらに示している(図10B)。多数マーカーのアルゴリズムの使用により、疾患の存在に関するより優れた推定が得られることが明らかである。
考察
発症前のASCVDを診断および治療するための改良されたツールに対しては明らかな需要がある。現在、アテローム性動脈硬化の機序および状況に関する洞察は増えつつあるが、ハイリスク患者の同定および予防戦略の有効性を予測するための我々の方法は未だに不十分なままである。ますます増えている一群の証拠により、血管炎症はアテローム発生の初期における主要な病態生理学的プロセスであることが関連づけられており5、いくつかの研究は炎症マーカーの診断能力を調べている17
現在のところ、炎症の一般的マーカーはリスク層別化に有用な可能性があるものの、それらは一般集団におけるCADの存在を同定するには十分でない18。これらのマーカーの特異性の不足は、それらが血管系に由来せず、あらゆる臓器における炎症のシグナルを伝えるという事実に起因すると考えられる。また、環境的危険因子に対する個々の反応の不均一性が、ASCVDマーカー濃度の高度の変動を誘導している可能性もある。この状況において、単一の炎症性タンパク質によって運ばれる生物学的情報は血管炎症状態の包括的表現を与えるには不十分と考えられ、疾患の存在および程度を正確に同定することはできないと思われる。これに対して、いくつかの炎症マーカーのプロファイルを利用する多次元アプローチは、アテローム性動脈硬化に関連した血管炎症の疾患特有のシグネチャーを提供することができる。本研究は、この仮説を支持する実験的裏づけを提供するとともに、多数の炎症マーカーの利用によって冠動脈心疾患を有する患者を効果的に同定しうることを示唆する。
血管炎症はアテローム性動脈硬化の基礎をなす病態生理学的基盤であるため、アテローム動脈硬化性血管で産生されるケモカインは、CADのマーカーの主な候補である。ケモカインは、白血球および内皮細胞が活性化された時にそれらによって産生される走化性タンパク質のネットワー抗である19。それらの主な役割は組織における白血球の蓄積および活性化であり、それらのいくつかの細胞受容体との相互作用は、炎症性浸潤の特異性の一因となる20、21。ケモカインはしばしばさまざまな組成を有する群として存在し、そのような群の生物学的作用は、孤立した個々の因子のそれとは全く異なるため、サイトカインおよびケモカインの発現の全体的パターンを測定することにより、個々のタンパク質アッセイよりも生物学的に重要な情報が得られる可能性が高い。
本発明者らのデータは、臨床的CADを有する個体では健常対照の対象と比較して、公知の臨床的変数に関する調整の後でも、いくつかのケモカインの血漿中濃度が差次的に調節されることを明らかに示している。このため、これらのマーカーを組み合わせた多変量モデルは、2群間の試料を正確に識別することができた。仮定した通りに、多数の分析物を用いる予測モデルは、単一の炎症性タンパク質を用いるものよりもはるかに正確であった。これらの結果は、異なるアルゴリズムを用いて行われるいくつかの多変量統計分析によって実証され、著しく一貫した結果が得られた。
各モデルの一貫性、ならびに異なる検定を用いた結果の再現性は、ケモカインプロフィールが血管疾患の強いシグナルであることを示唆する。これらの結果は、コホートのサイズが比較的小さく、患者が最大限の治療法を受けているという事実にもかかわらず、高度に有意である。
本発明者らのデータでは、血管および代謝に関する表現型の明らかな違いにもかかわらず、症例と対照との間でCRPレベルに関する有意差は認められなかった。このことは、標本サイズが比較的少数であること、ならびにCAD群の方がスタチン系薬剤およびアスピリンのようにCRPレベルを低下させることが証明されている薬物療法の使用頻度が高いことによって説明することができる。しかし、心筋梗塞の既往のある個体は、治療を受けていても、CADの病歴のない対象よりも冠動脈イベントのリスクが依然として高い22。さらに、臨床診療においてCRPに関して提唱されている主な役割は、古典的な危険因子が確定的ではない場合に個体をより正確に層別化することであるが、この問題については未だに議論がある23。治療中のCRPレベルの低下は治療法に対する反応の指標として用いうるが8、9、本発明者らの横断的試験デザインでは、CRPは他の臨床的変数よりも情報価値がある訳ではなかった。
本発明者らの研究にはいくつかの限界がある。症例対象からの血清試料は急性イベント後(7週〜20週の範囲、中央値3.4カ月)に収集されている。炎症マーカーは一般に4〜8週以内にベースラインのレベルに戻る傾向があるが、本発明者らは、急性イベントが炎症マーカーのレベルの変化をもたらしうるという可能性を除外することはできない。また、本発明者らの研究で同定されたプロテオミクス的プロファイルには実際には一次または二次イベントの予測のための予後判定上の価値がある可能性はあるものの、本発明者らの研究デザインは、症例対象と対照対象とを識別するために用いたプロテオミクス的プロファイルの予後判定上の価値を確立させるものではない。明らかに、本発明者らの一団のバイオマーカーは包括的リストではない。実際には、より広範囲にわたる分析物のアレイの使用により、ASCVDを診断する感度および特異性が改善される可能性がある。しかし、この初期研究は、多数のバイオマーカーの同時モニタリングのためにタンパク質マイクロアレイを用いることの実行可能性を示している。
以上をまとめると、本発明者らは、その独特なシグネチャーパターンによってCADを有する患者と対照とを正確に識別することのできる、一団の循環、血清中の炎症マーカーを同定した。このアプローチを検証した大規模試験が以下の実施例5に報告されている。
参考文献
Figure 2009501318
Figure 2009501318
実施例4:冠動脈疾患の正確な分類のための炎症マーカーに関するデータ分析
市販のSchleicher and Schuellヒトケモカインチップを用いる、ある研究を行った。本発明者らは、Reynolds Centerのコホートから選択された100件の試料における循環ケモカインレベルの評価のためにアレイを用いた。測定したケモカインは以下の通りであった:MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IL-8、RANTES、MIP-1αおよびIP-10、しかしながらIL8およびRANTESの値は直線範囲の外側であった。MCP-1、MCP-2、MCP-3、エオタキシン、IL-8およびRANTESをコードする遺伝子座位を、Reynoldsコホートにおける選択されたSNPの再シークエンシングおよび遺伝子型判定によって詳細に調べた。循環血試料は、心筋梗塞の病歴のある個体50例および年齢を一致させた対照50例(上記のコホートの説明を参照)からのものとした。対照は他の変数については一致させなかったものの、性別および民族および他の変数の結合分布は類似していた。アレイを製造元により供給された試薬とハイブリダイズさせ、洗浄した上で、Axonスキャナでスキャニングし、Schleicher & Schuellが権利を持つソフトウエア(ArrayVision(商標)Quant(登録商標))を用いて特徴抽出を行った。アレイに含まれる試薬および各循環血試料に関して決定された濃度を用いて、標準曲線を作成した。
分析は新規アプローチを採用し、臨床データおよび遺伝子型データを組み込むことでバイオマーカーデータに対して情報が加えられ、疾患の状態/活動性と関連のないケモカインレベルの個体間変動を正規化するために役立つというこの提案の基本的前提に準拠している。分析は、ケモカイン存在量の測定値、臨床データ、およびそのような適合データを有するケモカインに関する個々のSNPに関する遺伝子型情報を用いて行った。
症例と対照とを識別すること、および識別に役立つ変数を見いだすことが、2クラス「分類」の基本的な課題である。個々の分類子の成績が良い可能性もあるが、それら同士での投票がさらに良いことが典型的である。実際に、分類子同士の投票を伴う方法が一般的であり、その2つの種類に「バギング(bagging)」および「ブースティング(boosting)」がある。本発明者らは4種の分類子のみで分析を開始し、それら同士での単純な投票を個々の対象ベースで行った。交差検定の標準的なアプローチ、特に5分割交差検定を、予測性能の評価のために用いた。すなわち、データのセットを、ほぼ等しいサイズの5つのサブセットに無作為に分割した。続けて、各手順(および手順同士の間での投票)を80%に関して進め、結果を20%に関して演算した。続いて5つのセットの結果を平均した。予測精度を評価するために、より洗練された試料再利用法を利用することもできる。
言及した分析を、対象99例の予備的試料に対して行った。変数には、エオタキシン、IP-10、MCP-1、MCP-2、MCP-4、MIP1α、性別、年齢、グルコース、インスリン、CRPおよび脂肪(FAT)を含めた。変数FATはBMIおよび胴囲(WAIST)の第一主成分として決定し、後者2つの予測変数における変動の91%に線形的に相当した。MI 症例が51例、対照が48例であった。2クラス課題に対するベイズ分類規則を評価する目的で、本発明者らは経験的事前値(empirical prior)を用いた;すなわち、それらは1クラス当たりほぼ0.5とした。誤分類のコストは等しいこととした(当然ながら、2クラス課題に関して、問題となるのは事前確率と誤分類コストの積の比のみである。この場合、この比は約1であった)。年齢は60歳〜72歳の範囲にわたり、下端の方が上の方よりも多くを占めた。平均は64.7歳であり、25パーセンタイル、50パーセンタイルおよび75パーセンタイルはそれぞれ62、64、67歳であった;年齢の標準偏差は3.1であった。以下の実施例において、LDAはフィッシャーの線形判別法のことを指す。CART、FlexTreeおよびLARTと命名された方法については以下に延べる。LART技術により、予測変数の数を減らすために単純なラッソ法をまず用いた。どのように分類を行ったかの詳細については以下を参照されたい。FlexTreeおよびLARTの両方において重要な1つの細目は、それらの予測力にとって決定的に重要な、回帰係数に関するホテリング(Hotelling)のT2ソートである。このソートによる重み付けをLARTの重み付けラッソ法に用いる。
(表3)5分割交差検定による性能
Figure 2009501318
(表4)表記の方法によって同定された変数
Figure 2009501318
さらにもう1つの分析には、言及した予測変数のほかに、同じ99例の対象における入手可能なSNP遺伝子型に関する情報も組み入れた。5分割交差検定による誤分類率は10%に低下し、一方、感度は85%に、特異性は92%に上昇した。この分析では、含めるSNPの数を絞るために単純なラッソアプローチを用いた。さらに、遺伝子内部のSNPに関して入手しうる情報に対して適用したCARTを、欠測SNP値の帰属のために用いた。
全体的にみて、これらの分析は、本明細書に記載した本発明に対して説得力のある裏づけを与えるものである。評価した分析物および臨床的変数の数が少なかったにもかかわらず、妥当な分類成績が多数の方法によって得られた。循環ケモカインの測定はすべての方法によって選択され、種々の方法間には重複があり、多数のアルゴリズムでMIP1α、MCP-4およびエオタキシンを特徴とした。これらの分析は、遺伝子型データが補足的な有用な情報を与えることを示唆している。アテローム動脈硬化性疾患の現在の基準である高感度CRPは、これらの分類分析において有用なものとして同定されず、このことは多数の疾患関連炎症マーカーのレベルによって既存の予測変数を上回る大きな改善が得られることを示唆している。
本発明者らは、クラスタリング(教師なし学習)による特徴および個体の結合分布についてまとめた。凝集型の階層的クラスタリングのための本発明者らのアプローチにおいて(図6)、列は個体であり、行は特徴である。このアルゴリズムを用いると、「密接な」特徴および試料のセットを生成することを目標として、列および行が連続的にクラスター化される。変数のクラスタリングを眺めると、ケモカインMCP-2、MIP1-a、MCP-1、IP-10、エオタキシンおよびMCP-4がすべて一緒に密接にクラスター化していることに極めて大きな情報価値がある。また、代謝的変数である空腹時インスリンレベル、脂肪(FAT)(BMIおよび腹囲の第一主成分)およびグルコースも、グルコース代謝およびインスリン抵抗性の文脈におけるこれらの変数の関連性を考えると予想されるように、一緒にクラスター化している。性別および年齢はこれらのクラスターのいずれとも密接しておらず、別個に保たれることが見いだされた。
興味深いことに、hsCRPはケモカインとはクラスター化せずにむしろ代謝的変数とクラスター化し、このことはhsCRPレベルが血管炎症ならびに複合的なケモカインシグネチャーに追随しないと思われることを示している。試料のクラスターは、望まれたように、クラスのメンバーに関しては均一ではなかった。これらの分析は、教師なし学習(クラスタリング)は、教師あり学習(分類)を行うためには十分ではないことを示している。これまでの結果に基づくと、正確な分類を行おうとするならば、特徴のみではなくアウトカム(これらは特徴のみに基づいてその後の観察所見を分類するための予測指標となる)にも基づいて群を形成させようとする分類のための方式が、必要であるように思われる。
実施例5:患者1330例の大規模臨床試験:アテローム動脈硬化性心血管疾患および血管炎症の正確な予測ならびに診断のための循環バイオマーカーのシグネチャーパターン
多マーカープロファイルの検証のための大規模臨床試験による血清バイオマーカーデータ
パイロット臨床試験の有望な成績を受けて、本発明者らは、多マーカープロファイルの妥当性がはるかに大規模な試験で実証されうるか否か、およびそれらがヒトにおけるアテローム動脈硬化性疾患の高感度かつ特異的なマーカーとして役立ちうるか否かについて検討した。このアプローチについて調べるために、本発明者らは、臨床的に重大なASCVDの症例400例および対照対象930例を含めた大規模な臨床疫学研究を利用した。この研究は、アテローム性動脈硬化の危険因子および他の新規決定要因を検討する目的でデザインした。組み入れの時点で収集した血清試料を、タンパク質マイクロアレイを用いる多数の炎症マーカーの同時測定のために用いた。パイロット研究のために用いたのと同じ方法をここでも利用した(以前の実施例で詳細に考察している)。試験した分析物のサブセットの濃度は症例対象において有意に高かった。これらのマーカーの血清発現プロファイルを用いる分類アルゴリズムにより、CAD対象は対照に対して正確に層別化された。さらに、バイオマーカーの独特なシグネチャーパターンにより、CADの他の公知のマーカーの予測能力が有意に改善された。このより大規模な試験は、本発明者らの以前の知見を実証した上、アテローム動脈硬化性心血管疾患およびそのさまざまな臨床的続発症の正確な予測および診断のための多マーカーアプローチの使用に関するさらなる例をも提供した。
アテローム動脈硬化性疾患の予測:情報価値のあるマーカーの選択
分類モデルを構築するための多数の情報価値のあるマーカーの選択は、性能測定基準、およびこの測定基準に基づく有用な予測能力を有するモデルを作成するために使用者により定義される閾値の定義を必要とする。以下のセクションでは、目標品質を「曲線下面積」(AUC)、予測の感度および/または特異性、ならびに予測モデルの全体的精度として定義する。
ここで、予測モデルを構築するための項の数を選択するための1つのアプローチを説明する。このインプリメンテーションにおいて、本発明者らは臨床的変数および/または調節要因の非存在下でマーカーを選択するためのプロセスを説明する。このプロセスは以下の通りである:本発明者らはまず、本発明者らのトレーニングデータを、各群が「健常」または「疾患」として同定された対象を、全標本におけるこれらの標識の数に比例して含むような10個の群に無作為に分割する。各対象は、その24種のマーカー測定値および疾患の状態を特定する標識(なし、すなわち「健常」、またはあり、すなわち「疾患」)によって表わされた。本発明者らは、群のうち9つを選び、24種のマーカー:MCP-1、IGF-1、TNFα、IL-5、M-CSF、MCP-2、IP10、MCP-4、IL-3、IFNγ、Ang-2、IL-7、IL-10、エオタキシン、IL-2、IL-4、ICAM-1、IL-6、IL-12p40、MIP1a、IL-5、MCP-3、IL13、IL1bのそれぞれに関して、例えば線形判別分析、二次判別分析、ロジスティック回帰などの所定の教師ありアルゴリズムを9個の群のデータのすべてに対して用いて(すなわち、本発明者らはトレーニング用スーパーグループを作成した)、モデルをトレーニングした。続いて本発明者らはこのモデルを、トレーニング手順から除外した10番目の群に対して適用し、試験誤差「e」または以前に延べた多数の予測品質尺度を推定した。本発明者らは同じプロセスを10回繰り返し、その都度、トレーニング用標本を作成するために9つの群の無作為標本採取を行い、試験誤差「e」および予測品質尺度の推定のために10番目の群を用いた。続いて、本発明者らは10個の数の標本から、予測品質尺度および/または誤差のそれぞれの期待値、ならびに推定値の分散を推定した。これらの値が与えられれば、モデルの平均予測能力を改善させるマーカーがモデルにおける第一項として選択される。本発明者らはその代わりとして、予測品質尺度の平均値の代わりに別の改善尺度を用いることもでき、例えば本発明者らは代わりに、期待品質尺度とその分散推定値との比が最も高い値となる項を選択することもできうる。ひとたび第一項がモデルに加えられれば、目下の選択段階で用いなかった残りのマーカーに対してプロセスを繰り返すことができる。すなわち、第2の段階では、本発明者らは、前述した計算を残りのマーカーに対して繰り返す。第2のモデル項の選択は、本発明者らの目標予測品質尺度を最も改善させる項を選択することによって、または目下のモデルの期待値の何らかの組み合わせからそのような尺度の誤差によって正規化された新たなモデルを差し引いたものを用いることによって行うことができる。
図12は、対象1300例のセットに対してこのプロセスを適用した結果を示している。本発明者らは、本発明者らの目標予測品質尺度としてAUC>0.75という閾値を選択し、線形判別分析モデルを用いて項を選択した。
品質閾値は以下のマーカーを用いて満たされた:MCP-1。
図13は、探索試料および品質閾値を同じに保ちながら、ロジスティック回帰モデルを用いて項を選択した結果を示している。前の実施例との比較により、2つのモデルは最初の2つの項(MCP-1、IGF-1)のみが共通しており、第3の項は異なる(TNFαとM-CSF)ことが示されている。このようにして、本発明者らの品質尺度閾値を上回ると考えられるマーカーおよび予測モデルの組み合わせを用いることができる。
マーカーを入れ替えて、それでも予測品質尺度に関する本発明者らの要求条件を満たすことができることを示す目的で、本発明者らは、選択のために利用しうるマーカーのプールからマーカーMCP-1を除外した上でプロセスを繰り返した。図14は、同じくLDAモデルおよび対象1300例という同じ探索用セットを用いたこのアプローチの結果を提示している。AUC>0.75であるモデルを提供する新たな2つのマーカーのセットは以下から構成される:Ang-2、IGF-1。
異なる選択基準の一例として、本発明者らは、ロジスティック回帰モデルの枠組みでAIC基準を用いて得られた結果を提示する。この基準は通常、ロジスティック回帰モデルのための項の最適な数を選択する状況で用いられる。この基準は、項の除去に起因する誤差の増加と、この項がモデルに寄与する自由度の程度の減少とのバランスをとるものである。通常、項消去のプロセスは完全なモデルを用いて開始し、項の除去によってAIC値が増加した時点で終了する。AIC基準の関数としての項消去の結果は図15aに提示されている(項消去プロセスは最適な点の後に提示されている)。項の数を増やしながら組み込んだモデルに関するAUC予測は図15bに提示されている。前述のモデルへの項の追加は、完全なモデル、すなわち24種のマーカーのすべてを含むモデルからの項の除去と反対の順序で行われ、AIC基準の適用によって項選択プロセスが指示される。後者のアプローチにより、少なくとも1つのマーカー(MCP-1)を用いる、AUCの期待値>0.75であるロジスティック回帰モデルが作成される。
項選択のプロセスは、前進選択(この実施例における第1、第2および第3の例)または後退選択(この実施例における第4の例)、または前進/後退選択戦略のいずれを用いて行うこともできる。この戦略は、目下の縮小モデルにおいて前の段階で除去された項のすべてを検討することを可能にする。
同じ選択プロセスを、マーカーおよび臨床的変数の両方を含むように拡張することができる。次の2つの図は、ロジスティック回帰モデルの候補変数が「高脂血症」(DC912)および「指標日の160日前以内の脂質低下薬の使用」(図16)または「スタチンの使用」、「ACE遮断薬の使用」(図17)を16種のマーカーすべてとともに含む、症例に関する結果を提示している。これらの実施例は、AUC>0.75を得るために必要な少なくとも3種のマーカーのセット中のマーカーを、そのセット中の臨床的変数に置き換えうることを示している。高脂血症(DC912)とMCP-4の組み合わせにより、AUCの期待値が0.85前後であるモデルが作成される。
前述の方法を用いて、本発明者らは、すべてのマーカーを用いることなしにモデルの性能を最適化すると考えられるマーカーの数を選択することもできる。項の最適数を定めるための1つのやり方は、所定のアルゴリズムに対して用いられる任意の組み合わせおよび数の項を用いてこの項に関して得られる最大数から1標準誤差よりも離れていない、平均予測能力(AUC、または感度/特異性の等価な尺度により計測)を備えたモデルを生じさせる項の数を選択することである。立ち戻って図17を見ると、以下のマーカーを含むロジスティック回帰モデルはこれらの要求条件を満たす:DC512、DC3005、MCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5、MCP-2、IP-10。
実施例6:ACE阻害薬の反応予測モデル
実施例5に記載した方法を用いて、本発明者らは、試料をACE阻害薬の使用に従って分類する、ロジスティック回帰または線形判別分析を用いるモデルを導き出した。マーカーの全体的レベルは健常個体を取り扱うか否かに依存するため、これらのモデルは対象の状況(対照または症例)に関して調整した。これらのモデルは、さまざまな方法に、例えば、ACE阻害薬として、または収束的経路に対して作用する他の薬剤を同定するための化合物のスクリーニング、およびACE阻害薬療法の有効性のモニタリングのための方法に利用される。最初の例では、化合物を哺乳動物対象に対して与え、1つまたは複数の試料を対象から採取して、試料からデータセットを入手する。このデータセットをACE阻害薬の反応予測モデルに投入し、その結果を試料の分類のために用いる。試料がACE阻害薬を投与された対象からのものと分類されるならば、その化合物はおそらくACE阻害薬である可能性が高い。第2の例では、1つまたは複数の試料を対象から入手し、それらの試料からのデータセットをACE阻害薬の反応予測モデルに投入する。試料がACE阻害薬を投与された対象からのものと分類されるならば、その治療法は有効である可能性が高い。経時的な多回試料採取によって、モデルから得られる予測変数の値に時間依存的な変化が示されるならば、その薬物療法の治療的有効性は変化している可能性が高く、変化の方向は、予測変数の値が薬剤使用分類または薬剤非使用分類のいずれに向かう傾向があるかによって示される。例示したモデルに用いたタンパク質マーカーは、以下の表5および6に、モデルの性能特性とともに示されている。
(表5)ACE阻害薬の予測モデル1
Figure 2009501318
(表6)ACE阻害薬の予測モデル2
Figure 2009501318
実施例7:ACE阻害薬またはスタチン使用の予測モデル
実施例5に記載した方法を用いて、本発明者らは、ACE阻害薬またはスタチン系薬剤の使用に従って試料を分類する、ロジスティック回帰または線形判別分析を用いるモデルを導き出した。マーカーの全体的レベルは健常個体を取り扱うか否かに依存するため、これらのモデルは対象の状況(対照または症例)に関して調整した。これらのモデルは、さまざまな方法に、例えば、ACE阻害薬もしくはスタチン系薬剤として、または収束的経路に対して作用する他の薬剤を同定するための化合物のスクリーニング、およびACE阻害薬療法またはスタチン療法の有効性のモニタリングのための方法に利用される。最初の例では、化合物を哺乳動物対象に対して与え、1つまたは複数の試料を対象から採取して、試料からデータセットを入手する。このデータセットをACE阻害薬またはスタチン使用の予測モデルに投入し、その結果を試料の分類のために用いる。試料がACE阻害薬またはスタチンを投与された対象からのものと分類されるならば、その化合物はおそらくACE阻害薬またはスタチンである可能性が高い。第2の例では、1つまたは複数の試料を対象から入手し、それらの試料からのデータセットをACE阻害薬またはスタチン使用の予測モデルに投入する。試料がACE阻害薬またはスタチンを投与された対象からのものと分類されるならば、その治療法は有効である可能性が高い。経時的な多回試料採取によって、モデルから得られる予測変数の値に時間依存的な変化が示されるならば、その薬物療法の治療的有効性は変化している可能性が高く、変化の方向は、予測変数の値が薬剤使用分類または薬剤非使用分類のいずれに向かう傾向があるかによって示される。例示したモデルに用いたタンパク質マーカーは、以下の表7および8に、モデルの性能特性とともに示されている。
薬剤使用の反応に関するバイオマーカーのプロファイル
本発明者らは、一団のマーカーを、対象の炎症のレベルに対する薬剤の効果のモニタリングのために用いうることを示す。多数のマーカー(IL-2、IL-5、IL-4)に関する値の分布を調べることで、本発明者らは投薬効果を、対照対象に投与される薬剤の数(すなわち薬剤なし-対-1つの薬剤-対-2つの薬剤)の関数として示す。このアプローチに関する一例として、本発明者らは、3つの薬剤反応マーカーを一団として用いる(IL-2、IL-4およびIL-5)。単一の総合スコアを作成するためには、反応変数が以下のレベル:「未治療」、「ACEまたはスタチン」、「ACEおよびスタチン」をとるような線形判別分析モデルを作成し、第1の判別変量を総合スコアの代用として用いる。図18は、「健常」(「対照」)と考えられる対象による結果を、3つの「治療」群のそれぞれに関するボックスプロットとして提示している。各ボックスプロットのグレーの区域は、各クラスに関する値の分布の第1分位点から第3分位点へと伸びている。中央値の周りの「刻み目:」は、クラス間の中央値のレベルの差の目視検査が容易になるように含められている。ひげ印(whisker)は、分位点間距離の1.5倍まで伸びている。外れ値はグラフに含めていない。明らかに、総合スコアは薬剤の数が増えるとともに低下傾向を示している。群に関する刻み目がほとんど重複しないという事実は、中央値の差がかなり有意であることを示す。一団のバイオマーカーは、単一のバイオマーカーのみよりも優れた成績である。
ホテリングのT2法を用いて多数のマーカーから単一のスコアを作成することにより、同様の分析を行うことができる。この場合には、未治療群に関するデータから共分散行列を推定し、ホテリングの式に基づいて各試料の「距離」を算出することができる。後者のアプローチは、薬剤投与効果のモニタリングのために多くのマーカーから「総合距離」を作成するためだけでなく、投与効果の仮説の検証のためにも用いることができる(Hotelling, H. (1947) Multivariate Quality Control. In C. Eisenhart, M. W. Hastay, and W. A. Wallis, eds. Techniques of Statistical Analysis. New York: McGraw-Hill.を参照のこと。これらは参照により本明細書に組み入れられる)。
(表7)ACE阻害薬またはスタチンの予測モデル1
Figure 2009501318
(表8)ACE阻害薬またはスタチンの予測モデル2
Figure 2009501318
実施例8:冠動脈石灰化指数の予測モデル
実施例5に記載した方法を用いて、本発明者らは、予測される冠動脈石灰化指数に従って試料を分類する、ロジスティック回帰または線形判別分析を用いるモデルを導き出した。例示したモデルに用いたタンパク質マーカーは、以下の表9および10に、モデルの性能特性とともに示されている。
(表9)冠動脈石灰化指数の予測モデル1
Figure 2009501318
(表10)冠動脈石灰化指数の予測モデル2
Figure 2009501318
実施例9:安定性-対-不安定性のアテローム動脈硬化性疾患の予測モデル
実施例5に記載した方法を用いて、本発明者らは、安定性(すなわち、狭心症)または不安定性(すなわち、心筋梗塞)カテゴリーに試料を分類する、ロジスティック回帰または線形判別分析を用いるモデルを導き出した。例示したモデルに用いたタンパク質マーカーは、以下の表11および12に、モデルの性能特性とともに示されている。
(表11)安定性-対-不安定性疾患の予測モデル1
Figure 2009501318
(表12)安定性-対-不安定性疾患の予測モデル2
Figure 2009501318
実施例10:疾患-対-健常対照の予測モデル
実施例5に記載した方法を用いて、本発明者らは、疾患(すなわち、狭心症または心筋梗塞)または健常対照カテゴリーに試料を分類する、ロジスティック回帰または線形判別分析を用いるモデルを導き出した。例示したモデルに用いたタンパク質マーカーは、以下の表13および14に、モデルの性能特性とともに示されている。表13および14はまた、マーカーの組み合わせを置き換えるとモデルの性能がどのように変化するかも示している。
(表13)疾患-対-対照の予測モデル1
Figure 2009501318
(表14)疾患-対-対照の予測モデル2
Figure 2009501318
実施例11:LDAモデルを用いた分類
本発明者らは、以下のマーカーの値に基づいて、患者を「対照」または「疾患」カテゴリーに分類した:MCP-1、IGF-1およびTNFa。誤分類のコストは2つのクラスに関して等しいものとする。LDAアプローチに基づき、前述のマーカーの値がxである新たな対象は、式(1)の左側が式の右側よりも大きい場合には「疾患」カテゴリーに分類され、この際:
a)指数2は「疾患」状態に対応する
b)指数1は「対照」状態に対応する
c)Nはトレーニングセットの総数である
d)N1、N2はトレーニングセット中の「対照」および「疾患」対象の数である
e)Σはトレーニングセットから推定される共分散行列である
f)μ1、2はそれぞれ「対照」および「疾患」試料の平均ベクトルである。
Figure 2009501318
予測のためのLDAモデルを構築するために、本発明者らは、「対照」として同定された対象398例およびおよび「疾患」として同定された対象398例に関する3種のマーカー値を含むトレーニングセットを用いた。マーカー値をまずlog10変換し、その結果得られた値を、式1の必要な項を推定するために用いた。トレーニングセットに関する共分散行列およびマーカー平均ベクトルは以下と等しい:
共分散行列:
Figure 2009501318
「対照」および「疾患」状態に関するマーカー平均ベクトル:
Figure 2009501318
式1に必要な共分散行列の逆行列は以下の通りである:
Figure 2009501318
本発明者らは、以下の値(log10変換を用いて変換)を用いて1例の対象を分類した:
対象1:
Figure 2009501318
これらの値および式1に基づくと、式の左側は0.5291794に等しく、一方、式の右側は3.232524に等しい。左側は右側よりも小さいという事実に基づき、この対象は「対照」カテゴリーに分類された。
本発明者らは、以下のlog10変換されたマーカー値を用いて、第2の対象を分類した:
対象2:
Figure 2009501318
これらの値および式1に基づくと、左側は4.461167に等しく、右側は3.232524のままである。この比較に基づき、この対象は「疾患」カテゴリーに分類された。
この実施例および以下の実施例に関する参照は、"The elements of Statistical Learning. Data Mining, Inference and Prediction", Hastie, T., Tibshirani, R., Friedman, J., Springer Series in Statistics, 2001)に対してなされ、これは参照により本明細書に組み入れられる。
実施例12:ロジスティック回帰モデルを用いた分類
本発明者らは、以下のマーカーの値に基づいて、患者を「対照」または「疾患」カテゴリーに分類した:MCP-1、IGF-1およびM-CSF。誤分類のコストは2つのクラスに関して等しいものとする。ロジスティック回帰アプローチに基づき、前述のマーカーの値がxである新たな対象は、クラスk(=疾患)とクラスK(=対照)の事後確率の対数比がゼロよりも大きい場合には疾患としてカテゴライズされ、それ以外であれば対照としてカテゴライズされる(式2)。
Figure 2009501318
ロジスティック回帰モデルの適合化のために、本発明者らは、「対照」として同定された対象398例および「疾患」として同定された対象398例から構成されるトレーニングセットを用いた。各対象に関する3種のマーカーの値をまずlog10変換した。ロジスティック回帰の適合によって以下の係数が与えられる:
Figure 2009501318
3種のマーカーに関して以下の値を用いて、1例の新たな対象を分類した:
Figure 2009501318
以下の計算:b0+b1 'MCP-1'+b2 'IGF-1'+b3 *'M-CSF'は-2.031に等しい。以前の考察に基づくと、この対象はゼロを下回る線形予測変数値を有しており、「対照」カテゴリーに分類された。
もう1例の対象を、以下の値を用いて分類した:
Figure 2009501318
同じ係数および式を用いると、線形予測変数は0.5799186に等しく、対象2は「疾患」カテゴリーに分類された。
本明細書中に引用されたそれぞれの刊行物は、その全体がすべての目的に関して参照により本明細書に組み入れられる。本明細書の本文の全体を通じて列記された刊行物に加えて、以下のものもその全体がすべての目的に関して参照により本明細書に組み入れられる:Tabibiazar R, Wagner RA, Deng A, Tsao PS, Quertermous T. Proteomic profiles of serum inflammatory markers accurately predict atherosclerosis in mice. Physiol Genomics. 2006 Apr 13;25(2):194-202。
高脂肪食を与えられたアポリポタンパク質(apo)E欠損マウスにおけるアテローム性動脈硬化の進行期間中の時間依存的な血清中炎症性タンパク質発現。このヒートマップは、個々の血清試料の血清濃度レベルをx軸方向に、タンパク質マーカーをy軸方向に配置して図示したものである。値は、ベースライン(T00;n=5)、ならびに高脂肪食を10週間(T10;n=5)、16週間(T16;n=4)、24週間(T24;n=5)および40週間(T40;n=5)与えたapoE欠損マウスからの血清タンパク質発現レベルを表している。16週の時点については、値が第2の独立したデータセットから導き出されたことに注意されたい。 apoE欠損マウスおよび対照マウスにおける循環炎症性タンパク質の発現レベル。このヒートマップは、行の正規化を行った発現値を図示したものである。値は、ベースライン(T00)(n=9)および高脂肪食を40週間与えた(T40)(n=9)apoE-マウス、ならびにベースラインのC57B1/6(n=5)およびC3H/HeJ(n=3)マウスおよび高脂肪食を40週間与えたもの(それぞれn=5、5)の反復物からの循環タンパク質平均発現レベル(log2)を表している。高脂肪食を与えたapoE欠損マウスが炎症マーカーのレベルが最も高く、C3H/HeJマウスは高脂肪食を同様に与えたものの最も低いレベルであった。N元ANOVAを、さまざまな条件間の統計学的に有意な差異を同定するために用いた。最も右側の列において、報告されているp値は食餌、系統および時間の間に考えられる相互作用を考慮に入れていない。これらの要因およびそれらのお互いの相互作用の影響については本文中で考察している。 マウスでのアテローム性動脈硬化の分類における血清炎症マーカーのプロテオミクス的シグネチャー(signature)パターン。A:アテローム性動脈硬化分類のタンパク質サブセットの同定。マイクロアレイに関する予測分析(PAM)、再帰的特徴消去(recursive feature elimination)(RFE)、サポートベクターマシン(SVM)およびANOVAを含むさまざまな分類アルゴリズムを、マーカーのサブセットを、それらがアテローム動脈硬化性疾患の4つの異なる段階にあるマウス(ベースラインならびに高脂肪食を10週間、24週間および40週間与えたapoE欠損マウス)を正確に識別する能力に基づいてランク付けするために用いた。多数のこれらのマーカーを、すべての分類アルゴリズムでランク付けした。B:マウスのアテローム動脈硬化性疾患の分類精度(混同行列)。疾患の重症度の予測におけるマウス分類子(classifier)タンパク質の精度を決定するために、本発明者らは、以前同定された上位ランクのタンパク質マーカー(Ccl21、Ccl9、Csf3、Tnfsf11、Vegfa、Ccl11、Ccl2)を用いた。SVMアルゴリズムを、疾患の段階を基にしてグループ分けしたマウス実験の交差検定のために利用した。分類の精度は1,000段階のN分割交差検定法を用いて決定し、実験の25%を試験群として用い、残りをトレーニング群とした。結果は、方法の項に記載された混同行列を用いて表の様式で表されている。「真(TRUE)」の表記は「実際の疾患状態(Actual Disease State)」のことを指し、「予測(Predicted)」は「予測された疾患状態(Predicted Disease State)」のことを指す。C:独立したデータセットの分類。SVMアルゴリズムを用いて、本発明者らは独立したデータセット(「試験(test)」)を、元の実験のセットからの最も近い時点(「(既知(known))」)に分類することができた。既知の実験には、タンパク質分類子のセットを導き出した本発明者らの元の分析における4つの時点が含まれる。独立した実験のセットは、元のセットに含まれていない16週の時点から導き出された。一対全(one-vs.-all)比較に基づく各実験に関するSVMスコア(類似度をヒートマップとして図示している。16週時点のタンパク質プロファイルは、元のデータセットの10週時点とより密接に相関した。 上位の分類子マーカーの血清レベルと血管遺伝子発現との相関。A:これらの血清マーカーのサブセットに関する疾患関連遺伝子発現について調べるために、本発明者らは血清を入手したマウスの大動脈におけるそれらの時間的遺伝子発現を検討した。定量的リアルタイムRT-PCR(qRT-PCR)を用いて、本発明者らはこれらのマーカーの時間依存的な血清タンパク質レベルをそれらの血管壁遺伝子発現と相関づけることができた。血清タンパク質レベルと大動脈遺伝子発現値とのlog10正規化平均発現比に関してピアソン相関を決定した。タンパク質レベルの平均比は、各時点でのタンパク質マイクロアレイをベースラインでのapoE欠損マウス(n=4〜9)に関するレベルによって除算することによって決定した。遺伝子発現レベルの平均比は、各時点での反復的なqRT-PCR反応をベースラインでのapoE欠損マウスに関して得た値によって除算することによって決定した。16週の時点については、値は別の独立したデータセットから導き出されたことに注意されたい。B:血清タンパク質レベル、血管遺伝子発現および高脂肪食を与えられた時間(食餌の週数のlog10)の正規化された平均比を比較したピアソン相関値に関する相関行列の総括表。相関は0.05で有意とみなした(両側性)。 対象の臨床的特徴。名義変数(*)は数(%)として、連続変数(†)は中央値(四分位数範囲)として表現されている。‡比較は適宜、ピアソンχ二乗検定またはマン-ホイットニーU検定によって行った。有意性は10000標本の比較に基づくモンテカルロアプローチによって算出した。BP(血圧);FH(家族歴);ACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬);BB(β遮断薬);CCB(カルシウムチャンネル拮抗薬);AB(α遮断薬);ASA(アセチルサリチル酸);BMI(体型指数);DBP(拡張期血圧);SBP(収縮期血圧);HR(心拍数);CRP(C反応性タンパク質)。 臨床的特徴に関する調整の前および後の冠動脈疾患患者および健常対照における血清ケモカインプロファイル。データは幾何平均(95%CI)として表現されている。調整はGLM多変量分析およびt検定による調整平均の比較によって行った。*モデル1は年齢および胴囲に関して調整されている;†モデル2は、モデル1に治療内容(ACE阻害薬、スタチン系薬剤およびアスピリン)を加えたものとして調整されている。 臨床的変数と症例-対-対照との二次元階層的クラスタリング。 対象内部で観察される変動の60〜70%がケモカイン、インスリン抵抗性プロファイル、ならびに高血圧および高脂血症といった他の臨床的変数のサブセットによって説明可能と思われ、炎症のマーカーが支配的な要因であることを示している主成分分析。 実験を最小限の誤り率で正しい群に分類するためのランク付けされた変数の最適数を決定するために用いたサポートベクターマシン(SVM)および再帰的特徴消去(RFE)を示した表。最適な誤り率または誤分類は、実験の25%を試験群とし、残りの実験をトレーニング群とした1000回の反復交差検定によって算出した。 ROC曲線。 冠動脈疾患を予測するためのロジスティック回帰モデルを示した表。モデル:1)欠側値の推定を伴わないステップワイズ前進選択;2)条件付き平均による欠測データの推定を伴うステップワイズ前進選択;3)臨床的変数およびケモカインスコアのステップワイズ前進選択。独立変数:年齢、性別、拡張期血圧(DBP)、収縮期血圧(SBP)、心拍数、血漿インスリン、C反応性タンパク質およびケモカイン(モデル1および2:エオタキシン、IP-10、MCP-1、MCP2、MCP-3、MCP-4およびMIP-1α(;モデル3:ケモカインスコア)。 図中に提示された順序で項の数を増やすことを伴う一連のLDAモデルに関するAUC期待値およびS.E.。 図中に提示された順序で項の数を増やすことを伴う一連のロジスティック回帰モデルに関するAUC期待値およびS.E.。 利用可能な予測マーカーのセットからMCP-1マーカーを除外したLDAモデル予測。新たなモデルは、AUC>0.75の閾値を上回る代替的なマーカーの組み合わせとしてAng-2、IGF-1およびM-CSFを利用する。 赤池情報量基準(AIC)を用いたロジスティック回帰モデルに関するマーカー選択。 図中に提示された順序で項の数を増やすことを伴う一連のロジスティック回帰モデルに関するAUC期待値およびS.E.。(=マーカー選択プロセスにAIC基準を適用することによる完全モデルからの項の除去の逆の順序)。 臨床的変数および生物学的マーカーの両方を含むロジスティック回帰モデル。 代替的な臨床的変数および生物学的マーカーを含むロジスティック回帰モデル。「β遮断薬」(DC512)および「スタチン系薬剤」(DC3005)およびMCP-4を含むモデルでは、0.85を上回るAUC期待値が得られている。 3つの群:「未治療」、「ACEまたはスタチン系薬剤」および「ACEおよびスタチン系薬剤」についての第一判別変量の値分布に関するボックスプロット。

Claims (33)

  1. 以下の段階を含む、哺乳動物対象から入手した試料を分類するための方法:
    該試料に関連するデータセットを入手する段階であって、該データセットが、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1からなる群より選択される少なくとも3種のタンパク質マーカーに関する量的データを含む、段階;
    該データを、該試料を分類するために該データを用いる分析プロセスに入力する段階であって、該分類がアテローム動脈硬化性心血管疾患分類、健常分類、薬剤曝露分類、薬剤非曝露分類からなる群より選択される、段階;および
    該プロセスの出力に従って該試料を分類する段階。
  2. 分析プロセスが予測モデルの使用を含む、請求項1記載の方法。
  3. 分析プロセスが、入手したデータセットを参照データセットと比較する段階を含む、請求項1記載の方法。
  4. 参照データセットが、1つまたは複数の健常対照対象から入手したデータを含む、またはアテローム動脈硬化性疾患と診断された1つまたは複数の対象から入手したデータを含む、請求項3記載の方法。
  5. 入手したデータセットと参照データセットとの類似性の統計学的尺度を入手する段階をさらに含む、請求項3記載の方法。
  6. 統計学的尺度が、入手したデータセットの少なくとも3種のパラメーターと参照データセットからの対応するパラメーターとの比較から得られる、請求項5記載の方法。
  7. 少なくとも3種のタンパク質マーカーが、MCP-1、IGF-1、TNFa;MCP-1、IGF-1、M-CSF;ANG-2、IGF-1、M-CSF;およびMCP-4、IGF-1、M-CSFからなる群より選択されるマーカーセットを含む、請求項1記載の方法。
  8. データセットが、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1からなる群より選択される少なくとも4種のタンパク質マーカーに関する量的データを含む、請求項1記載の方法。
  9. 少なくとも4種のタンパク質マーカーが、MCP-1、IGF-1、TNFa、IL-5;MCP-1、IGF-1、M-CSF、MCP-2;ANG-2、IGF-1、M-CSF、IL-5;MCP-1、IGF-1、TNFa、MCP-2;およびMCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5からなる群より選択されるマーカーセットを含む、請求項8記載の方法。
  10. データセットが、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、エオタキシン、IP-10、M-CSF、IL-3、TNFa、Ang-2、IL-5、IL-7およびIGF-1からなる群より選択される少なくとも5種のマーカーに関する量的データを含む、請求項1記載の方法。
  11. 少なくとも5種のタンパク質マーカーが、MCP-1、IGF-1、TNFa、IL-5、M-CSF;MCP-1、IGF-1、M-CSF、MCP-2、IP-10;ANG-2、IGF-1、M-CSF、IL-5、TNFa;MCP-1、IGF-1、TNFa、MCP-2、IP-10;MCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5、TNFα;およびMCP-4、IGF-1、M-CSF、IL-5、MCP-2からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
  12. 以下の段階を含む、哺乳動物対象から入手した試料を分類するための方法:
    該試料に関連するデータセットを入手する段階であって、該データセットが、MCP1;MCP2;MCP3;MCP4;エオタキシン;IP10;MCSF;IL3;TNFa;Ang2;IL5;IL7;IGF1;IL10;INFγ;VEGF;MIP1a;RANTES;IL6;IL8;ICAM;TIMP1;CCL19;TCA4/6kine/CCL21;CSF3;TRANCE;IL2;IL4;IL13;Il1b;MCP5;CCL9;CXCL1/GRO1;GROα;IL12;およびレプチンからなる群より選択される少なくとも3種のタンパク質マーカーに関する量的データを含む、段階;
    該データを、該試料を分類するために該データを用いる予測モデルに入力する段階であって、該分類がアテローム動脈硬化性心血管疾患分類、健常分類、薬剤曝露分類、薬剤非曝露分類からなる群より選択され、該予測モデルが分類に関して少なくとも0.7である少なくとも1つの品質測定基準(quality metric)を有する、段階;および
    該予測モデルの出力に従って該試料を分類する段階。
  13. 予測モデルが分類に関して少なくとも0.8である品質測定基準を有する、請求項12記載の方法。
  14. 予測モデルが分類に関して少なくとも0.9である品質測定基準を有する、請求項13記載の方法。
  15. 品質測定基準がAUCおよび精度から選択される、請求項12記載の方法。
  16. 予測モデルの限界値(limit)が、少なくとも0.7である感度または特異性のうち少なくとも1つを提供するように調整される、請求項12記載の方法。
  17. 予測モデルの限界値が、少なくとも0.7である感度または特異性のうち少なくとも1つを提供するように調整される、請求項14記載の方法。
  18. アテローム動脈硬化性疾患分類が、冠動脈疾患、心筋梗塞および狭心症からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  19. アテローム性動脈硬化の診断、アテローム性動脈硬化の病期判定、アテローム性動脈硬化の予後判定、血管炎症のレベル、アテローム性動脈硬化の進行の程度の評価、治療反応のモニタリング、冠動脈石灰化指数の予測、またはアテローム動脈硬化性疾患の安定性症状発現と不安定性症状発現との識別のために、分類を用いる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  20. データセットが、1つまたは複数の臨床的徴候に関するデータをさらに含む、請求項1記載の方法。
  21. 1つまたは複数の臨床的徴候が、年齢、性別、LDL濃度、HDL濃度、トリグリセリド濃度、血圧、体型指数、CRP濃度、冠動脈石灰化指数、胴囲、喫煙状況、心血管疾患の既往歴、心血管疾患の家族歴、心拍数、空腹時インスリン濃度、空腹時グルコース濃度、糖尿病の状況、および高血圧治療薬の使用からなる群より選択される、請求項20記載の方法。
  22. 試料が血液または血液製剤を含む、請求項1記載の方法。
  23. 分析プロセスが、線形判別分析モデル、サポートベクターマシン分類アルゴリズム、再帰的特徴消去(recursive feature elimination)モデル、マイクロアレイの予測分析モデル、ロジスティック回帰モデル、CARTアルゴリズム、FlexTreeアルゴリズム、LARTアルゴリズム、ランダムフォレスト(random forest)アルゴリズム、MARTアルゴリズムまたは機械学習アルゴリズムを用いることを含む、請求項1記載の方法。
  24. プロセスが線形判別分析モデルまたはロジスティック回帰モデルを用いることを含み、該モデルが、0.75を上回る品質測定基準を提供するように選択された項を含む、請求項23記載の方法。
  25. 該対象から多数の異なる時点で入手した多数の試料に関して多数の分類を入手する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  26. 以下の段階を含む、哺乳動物対象から入手した試料を分類するための方法:
    該試料に関連するデータセットを入手する段階であって、該データセットが、それぞれ循環タンパク質濃度とアテローム動脈硬化性血管組織RNA濃度との間に相関を示す少なくとも3種のタンパク質マーカーに関する量的データを含む、段階;
    該データを、該試料を分類するために該データを用いる分析プロセスに入力する段階であって、該分類がアテローム動脈硬化性心血管疾患分類、健常分類、薬剤曝露分類、薬剤非曝露分類からなる群より選択される段階;および
    該プロセスの出力に従って該試料を分類する、段階。
  27. 相関が、少なくとも0.6であるピアソン相関係数によって特徴づけられる、請求項26記載の方法。
  28. 少なくとも3種のタンパク質マーカーが、MCP-1、CCL21、CCL19、CCL112、TNFSF11およびCCL11からなるセットより選択される1つまたは複数のタンパク質マーカーを含む、請求項27記載の方法。
  29. 哺乳動物対象がヒト対象である、請求項26記載の方法。
  30. 以下の段階を含む、哺乳動物対象から入手した試料を分類するための方法:
    該試料に関連するデータセットを入手する段階であって、該データセットが、それぞれ循環タンパク質濃度とアテローム動脈硬化性血管組織RNA濃度との間に相関を示す少なくとも3種のタンパク質マーカーに関する量的データを含む、段階;
    該データを、該試料を分類するために該データを用いる予測モデルに入力する段階であって、該分類がアテローム動脈硬化性心血管疾患分類、健常分類、薬剤曝露分類、薬剤非曝露分類からなる群より選択され、該予測モデルが分類に関して少なくとも0.7である少なくとも1つの品質測定基準を有する、段階;および
    該予測モデルの出力に従って該試料を分類する段階。
  31. 相関が、少なくとも0.6であるピアソン相関係数によって特徴づけられる、請求項30記載の方法。
  32. 少なくとも3種のタンパク質マーカーが、MCP-1、CCL21、CCL19、CCL112、TNFSF11およびCCL11からなるセットより選択される1つまたは複数のタンパク質マーカーを含む、請求項31記載の方法。
  33. 哺乳動物対象がヒト対象である、請求項30記載の方法。
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