JP2009302268A - トランス素子が形成されている半導体装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】トランス素子のコイル間絶縁膜をSiO2で形成すると、形成範囲を規制するのが困難である。有機質絶縁材料を利用すれば形成範囲を自在に調整できが、厚くなってしまい、2次側コイルに生じる電圧が小さくなる。
【解決手段】半導体基板上に、下側コイル135とコイル間絶縁膜140と上側コイル154の積層構造でトランス素子155が形成されている。コイル間絶縁膜140が絶縁性無機質粒子の集積物で形成されている絶縁層141aを備えている。絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、必要な耐圧特性を得るのに必要な厚みが薄くてすむ。従って、1次側コイル154と2次側コイル135の磁気的結合係数を高め、2次側コイル135に大きな電圧を生じさせることができる。しかも、絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、コイル間絶縁膜の形成範囲を規制しやすい。
【選択図】図28
【解決手段】半導体基板上に、下側コイル135とコイル間絶縁膜140と上側コイル154の積層構造でトランス素子155が形成されている。コイル間絶縁膜140が絶縁性無機質粒子の集積物で形成されている絶縁層141aを備えている。絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、必要な耐圧特性を得るのに必要な厚みが薄くてすむ。従って、1次側コイル154と2次側コイル135の磁気的結合係数を高め、2次側コイル135に大きな電圧を生じさせることができる。しかも、絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、コイル間絶縁膜の形成範囲を規制しやすい。
【選択図】図28
Description
本発明は、半導体基板上にトランス素子が形成されている半導体装置と、その製造方法に関する。
1次側回路と2次側回路を絶縁するとともに、1次側回路から2次側回路に信号を伝達することがある。この場合、フォトカプラを利用することが多い。フォトカプラを利用すると、発光素子と受光素子の間を絶縁することができ、発光素子から受光素子に光信号を伝達することができる。
非特許文献1と非特許文献2に、半導体基板上に形成されているトランス素子が開示されている。トランス素子は、下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造で構成されており、その積層構造が半導体基板上に形成されている。
半導体基板上にトランス素子を形成すれば、フォトカプラに素子に代えてトランス素子を利用することができる。フォトカプラに代えてトランス素子を利用するためには、下側コイルと上側コイルの間の絶縁特性が良好であり、下側コイルと上側コイルの間の磁気的結合が良好である必要がある。
半導体基板上にトランス素子を形成すれば、フォトカプラに素子に代えてトランス素子を利用することができる。フォトカプラに代えてトランス素子を利用するためには、下側コイルと上側コイルの間の絶縁特性が良好であり、下側コイルと上側コイルの間の磁気的結合が良好である必要がある。
非特許文献1では、下側コイルと上側コイルを絶縁するコイル間絶縁膜に有機質絶縁材料(具体的にはポリイミド)を用いる。有機質絶縁材料を用いると、コイル間に必要な耐圧特性を得るために厚いコイル間絶縁膜を必要とする。例えば5kv程度の絶縁耐力を得るために20μm程度の厚みを必要とし、SiO2を絶縁膜に用いる場合の2倍程度の厚みを必要とする。コイル間絶縁膜の厚みが厚いと、1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数が低下する。非特許文献1の技術では、低い結合係数を補償するために、低抵抗の金属(具体的には金)でコイルを構成するが、それでも2次側コイルに生じる電圧が低い。
非特許文献2では、下側コイルと上側コイルを絶縁するコイル間絶縁膜にSiO2を利用する。コイル間絶縁膜にSiO2を用いる場合、必要な耐圧特性を得るための厚みは薄くてよい。例えば5kv程度の絶縁耐力を得るためには10μm程度の厚みでよく、有機質絶縁材料をコイル間絶縁膜に用いる場合の1/2程度の厚みで足りる。コイル間絶縁膜の厚みが薄いと、1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数が増大する。非特許文献2の技術では、2次側コイルに大きな電圧を生じさせることができる。
SiO2をコイル間絶縁膜に用いる場合、その形成範囲を規制するためには、ドライエッチング技術を用いる必要がある。SiO2をドライエッチングして除去する場合、エッチングが不完全な状態でエッチングを終了することを防止するために、オーバーエッチングすることが多い。
半導体基板上にトランス素子を形成する場合、同一半導体基板に、トランス素子と半導体回路を製造することがある。この場合、SiO2の形成範囲を規制するためにSiO2をオーバーエッチングすると、半導体回路が損傷しやすい。半導体回路をSiNで保護しておいても、ドライエッチグ技術によると、SiO2のエッチング速度とSiNのエッチング速度に大きな差を実現することが難しい。コイル間絶縁膜にSiO2を利用すると、半導体回路が損傷しないようにしながらSiO2の形成範囲を規制することが難しい。非特許文献2は、半導体基板にトランス素子のみを形成するのでコイル間絶縁膜にSiO2を利用することができるが、同一半導体基板内にトランス素子と半導体回路を形成する場合は、コイル間絶縁膜をSiO2で形成することが難しい。
半導体基板上にトランス素子を形成する場合、同一半導体基板に、トランス素子と半導体回路を製造することがある。この場合、SiO2の形成範囲を規制するためにSiO2をオーバーエッチングすると、半導体回路が損傷しやすい。半導体回路をSiNで保護しておいても、ドライエッチグ技術によると、SiO2のエッチング速度とSiNのエッチング速度に大きな差を実現することが難しい。コイル間絶縁膜にSiO2を利用すると、半導体回路が損傷しないようにしながらSiO2の形成範囲を規制することが難しい。非特許文献2は、半導体基板にトランス素子のみを形成するのでコイル間絶縁膜にSiO2を利用することができるが、同一半導体基板内にトランス素子と半導体回路を形成する場合は、コイル間絶縁膜をSiO2で形成することが難しい。
iCoupler(R) Products with isoPowerTM Technology: Signal and Power Transfer Across Isolation Barrier Using Microtransformers, Baoxing Chen, www.analog.com
Coreless transformer a new technology for half bridge driver IC’s, M.Munzer, W. Ademmer, B. Strzalkowski, K.T. Kaschani, PCIM 2003
本発明では、コイル間絶縁膜を有機質絶縁材料で形成すると、コイル間絶縁膜の形成範囲を規制しやすいものの、必要な耐圧特性を得るために厚いコイル間絶縁膜を必要とすることから1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数が低下し、2次側コイルに生じる電圧が低下するという問題を解決する。また、コイル間絶縁膜をSiO2で形成すると、必要な耐圧特性を得るために薄い絶縁膜ですむことから1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数が向上するものの、コイル間絶縁膜の形成範囲を規制するためのエッチングによって半導体回路等が損傷しやすいという問題を解決する。
本発明は、半導体基板上にトランス素子が形成されている半導体装置に関する。そのトランス素子は、下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造で構成されている。本発明の半導体装置は、コイル間絶縁膜が絶縁性無機質粒子の集積物で形成されていることを特徴とする。
絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、有機質絶縁材料でコイル間絶縁膜を形成する場合に比して、同一の絶縁特性を得るのに必要な厚みが薄くてすむ。
絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数を高め、2次側コイルに大きな電圧を生じさせることができる
しかも絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成する場合、特定の範囲にのみコイル間絶縁膜を形成することもできれば、半導体回路等を損傷しない方法で絶縁性無機質粒子の集積物をエッチングして特定の範囲にコイル間絶縁膜を残存することもできる。コイル間絶縁膜を必要な範囲に規制しやすい。
絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、コイル間絶縁膜が厚くなって1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数が低下する問題も生じなければ、コイル間絶縁膜の形成範囲を規制する際に半導体装置の他の部位が損傷する問題も生じない。
絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数を高め、2次側コイルに大きな電圧を生じさせることができる
しかも絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成する場合、特定の範囲にのみコイル間絶縁膜を形成することもできれば、半導体回路等を損傷しない方法で絶縁性無機質粒子の集積物をエッチングして特定の範囲にコイル間絶縁膜を残存することもできる。コイル間絶縁膜を必要な範囲に規制しやすい。
絶縁性無機質粒子の集積物でコイル間絶縁膜を形成すると、コイル間絶縁膜が厚くなって1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数が低下する問題も生じなければ、コイル間絶縁膜の形成範囲を規制する際に半導体装置の他の部位が損傷する問題も生じない。
本発明の一つの具体的態様では、半導体基板の一部の範囲に半導体回路が形成されており、下側コイルが2次側コイルである。下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造は、半導体回路が形成されていない範囲の半導体基板の表面上に、配線層絶縁膜を介して積層されている。配線層絶縁膜の厚みの中に、下側コイルの一方の端部を半導体回路の一方の電極に接続する配線と、下側コイルの他方の端部を半導体回路の他方の電極に接続する配線が形成されている。2次側コイルに生じた電圧を半導体回路に入力することができる。コイル間絶縁膜を形成している絶縁性無機質粒子の集積物の周囲と表面は、有機質絶縁膜で被覆されており、その有機質絶縁膜の表面上に上側コイルが形成されている。
本発明は、半導体基板上に下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造で構成されているトランス素子が形成されている半導体装置の製造方法をも提供する。
本発明の製造方法は、表面が配線層絶縁膜で覆われている半導体基板上に下側コイルを形成する工程と、有機質絶縁材料によって下側コイルを取囲む範囲に所定の厚みを持つ周囲絶縁膜を形成する工程と、周囲絶縁膜によって取囲まれている下側コイルの上方領域に絶縁性無機質粒子群を充填する工程と、充填した絶縁性無機質粒子群を固定する工程を備えている。
本方法によると、絶縁性無機質粒子群を利用して、薄いコイル間絶縁膜を必要な範囲にのみ形成することができる。
本発明の製造方法は、表面が配線層絶縁膜で覆われている半導体基板上に下側コイルを形成する工程と、有機質絶縁材料によって下側コイルを取囲む範囲に所定の厚みを持つ周囲絶縁膜を形成する工程と、周囲絶縁膜によって取囲まれている下側コイルの上方領域に絶縁性無機質粒子群を充填する工程と、充填した絶縁性無機質粒子群を固定する工程を備えている。
本方法によると、絶縁性無機質粒子群を利用して、薄いコイル間絶縁膜を必要な範囲にのみ形成することができる。
本発明によると、絶縁性無機質粒子群を利用してコイル間絶縁膜を形成するために、コイル間絶縁膜を薄くすることができ、1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数を増大することができ、2次側コイルに大きな電圧変化を発生させることができる。また、絶縁性無機質粒子群を利用してコイル間絶縁膜を形成するために、コイル間絶縁膜の形成範囲を容易に規制することができ、コイル間絶縁膜の形成範囲を規制する際に半導体装置の他の部位を損傷させることもない。特性のすぐれたトランス素子を備えた半導体装置を提供することが可能となる。
この半導体装置を利用すると、1次側回路と2次側回路の絶縁特性を高めながら、1次側回路から2次側回路に2次側回路で検出しやすい信号を伝達することができる。
この半導体装置を利用すると、1次側回路と2次側回路の絶縁特性を高めながら、1次側回路から2次側回路に2次側回路で検出しやすい信号を伝達することができる。
以下に説明する実施例の主要な特徴を整理しておく。
(特徴1) 半導体基板上に、下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造が形成されており、下側コイルと上側コイルの少なくとも一方が、強磁性材料を含んでいる。
(特徴2) 下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造が、半導体回路が形成されている半導体基板のうちの半導体回路が形成されていない領域に形成されている。
鉄やモリブデン等に代表される強磁性材料を半導体装置に用いると、強磁性材料が周囲に移動して半導体装置の特性を悪化させやすいことから、強磁性材料を半導体装置内で使用することは好ましくないと認識されている。本発明では、その常識に反して、半導体装置内で強磁性材料を用いる。
鉄やモリブデン等に代表される強磁性材料を少なくとも一方のコイルに用いると、コイル間の磁気的結合係数(相互インダクタンス)が増大し、そのコイルの自己インダクタンスが増大する。その結果、一次側コイルに流れる電流の時間的変化に追従して2次側コイルに発生する電圧が増大する。コイル間絶縁膜に、厚い厚みを必要とする有機質絶縁材料を利用しても、2次側コイルに必要とされる大きさの電圧を発生させることができる。有機質絶縁材料を利用できることから、コイル間絶縁膜の形成範囲を容易に規制することができる。
しかも、トランス素子は、半導体回路を構成する半導体構造が形成されている領域から離れた位置の半導体基板上に形成されることから、強磁性材料が周囲に移動して半導体回路の特性を悪化させるという問題も生じない。
(特徴3) 下側コイルが、金属層の上側に強磁性材料層が積層された材料で形成されている。
この場合、強磁性材料層の下側に積層されている金属層がバリア層となり、強磁性材料が半導体基板内に染みこむ現象が抑制される。
(特徴4) 下側コイルが、2次側コイルである。
この場合、2次側コイルと半導体回路を接続しやすい。また2次側コイルが強磁性材料層を備えていることから、1次側コイルとの相互インダクタンスも高ければ、2次側コイルの自己インダクタンスも高く、2次側コイルに大きな電圧変化を生じさせることができる。
(特徴5) 上側コイルが金属層で形成されており、上側コイルの厚みが下側コイルの厚み(金属層とその上側に積層されている強磁性材料層の合計の厚み)よりも厚い。
この場合、1次側コイルの抵抗値が低く、大きな電流が流れやすい。2次側コイルに大きな電圧変化を生じさせることができる。
(特徴6) コイル間絶縁膜が、有機質絶縁材料で構成されている。鉄やモリブデン等に代表される強磁性材料を少なくとも一方のコイルに用いると、1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数が増大する。絶縁特性を確保するのに厚い膜を必要とする有機質絶縁材料を用いても、必要な信号伝達特性を得ることができる。もちろん、強磁性材料を含む材料でコイルを形成する技術と、絶縁性無機質粒子群を利用してコイル間絶縁膜を形成する技術を併用してもよい。
(特徴7) トランス素子が、1次側回路から2次側回路に信号を伝達する。
(特徴8) トランス素子が、電力を伝達する。
(特徴9) 半導体基板上に、下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造が形成されており、下側コイルと上側コイルの双方とも、強磁性材料を含んでいない。コイル間絶縁膜は、絶縁性無機質粒子の集積物で形成されている。
(特徴10) 絶縁性無機質粒子をSOGなどのシラノールを含む溶媒に懸濁させた溶液を、コイル間絶縁膜の形成範囲よりも広い範囲に塗布し、弱くベーキングして固定する。ついで弱くベーキングした絶縁性無機質粒子の集積物をエッチングし、コイル間絶縁膜の形成範囲の絶縁性無機質粒子の集積物を残存させる。その後に絶縁性無機質粒子の集積物を有機質絶縁物質で固定する。
(特徴11)絶縁性無機質粒子は、シリカ粒子、アルミナ粒子、または窒化シリコン粒子である。
(特徴12)絶縁性無機質粒子は、シリカ粒子、アルミナ粒子、および窒化シリコン粒子のうちの2種類以上の混合物である。
(特徴1) 半導体基板上に、下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造が形成されており、下側コイルと上側コイルの少なくとも一方が、強磁性材料を含んでいる。
(特徴2) 下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造が、半導体回路が形成されている半導体基板のうちの半導体回路が形成されていない領域に形成されている。
鉄やモリブデン等に代表される強磁性材料を半導体装置に用いると、強磁性材料が周囲に移動して半導体装置の特性を悪化させやすいことから、強磁性材料を半導体装置内で使用することは好ましくないと認識されている。本発明では、その常識に反して、半導体装置内で強磁性材料を用いる。
鉄やモリブデン等に代表される強磁性材料を少なくとも一方のコイルに用いると、コイル間の磁気的結合係数(相互インダクタンス)が増大し、そのコイルの自己インダクタンスが増大する。その結果、一次側コイルに流れる電流の時間的変化に追従して2次側コイルに発生する電圧が増大する。コイル間絶縁膜に、厚い厚みを必要とする有機質絶縁材料を利用しても、2次側コイルに必要とされる大きさの電圧を発生させることができる。有機質絶縁材料を利用できることから、コイル間絶縁膜の形成範囲を容易に規制することができる。
しかも、トランス素子は、半導体回路を構成する半導体構造が形成されている領域から離れた位置の半導体基板上に形成されることから、強磁性材料が周囲に移動して半導体回路の特性を悪化させるという問題も生じない。
(特徴3) 下側コイルが、金属層の上側に強磁性材料層が積層された材料で形成されている。
この場合、強磁性材料層の下側に積層されている金属層がバリア層となり、強磁性材料が半導体基板内に染みこむ現象が抑制される。
(特徴4) 下側コイルが、2次側コイルである。
この場合、2次側コイルと半導体回路を接続しやすい。また2次側コイルが強磁性材料層を備えていることから、1次側コイルとの相互インダクタンスも高ければ、2次側コイルの自己インダクタンスも高く、2次側コイルに大きな電圧変化を生じさせることができる。
(特徴5) 上側コイルが金属層で形成されており、上側コイルの厚みが下側コイルの厚み(金属層とその上側に積層されている強磁性材料層の合計の厚み)よりも厚い。
この場合、1次側コイルの抵抗値が低く、大きな電流が流れやすい。2次側コイルに大きな電圧変化を生じさせることができる。
(特徴6) コイル間絶縁膜が、有機質絶縁材料で構成されている。鉄やモリブデン等に代表される強磁性材料を少なくとも一方のコイルに用いると、1次側コイルと2次側コイルの磁気的結合係数が増大する。絶縁特性を確保するのに厚い膜を必要とする有機質絶縁材料を用いても、必要な信号伝達特性を得ることができる。もちろん、強磁性材料を含む材料でコイルを形成する技術と、絶縁性無機質粒子群を利用してコイル間絶縁膜を形成する技術を併用してもよい。
(特徴7) トランス素子が、1次側回路から2次側回路に信号を伝達する。
(特徴8) トランス素子が、電力を伝達する。
(特徴9) 半導体基板上に、下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造が形成されており、下側コイルと上側コイルの双方とも、強磁性材料を含んでいない。コイル間絶縁膜は、絶縁性無機質粒子の集積物で形成されている。
(特徴10) 絶縁性無機質粒子をSOGなどのシラノールを含む溶媒に懸濁させた溶液を、コイル間絶縁膜の形成範囲よりも広い範囲に塗布し、弱くベーキングして固定する。ついで弱くベーキングした絶縁性無機質粒子の集積物をエッチングし、コイル間絶縁膜の形成範囲の絶縁性無機質粒子の集積物を残存させる。その後に絶縁性無機質粒子の集積物を有機質絶縁物質で固定する。
(特徴11)絶縁性無機質粒子は、シリカ粒子、アルミナ粒子、または窒化シリコン粒子である。
(特徴12)絶縁性無機質粒子は、シリカ粒子、アルミナ粒子、および窒化シリコン粒子のうちの2種類以上の混合物である。
(第1実施例)
図16に、第1実施例の半導体装置2を示す。半導体装置2は、半導体基板10を備えており、半導体基板10内に半導体回路12が形成されている。半導体基板10のうちの半導体回路12が形成されていない範囲に、下側コイル(2次側コイル)35と、コイル間絶縁膜40と、上側コイル(1次側コイル)54が積層されることによって構成されているトランス素子55が形成されている。下側コイル(2次側コイル)35は、金属層33の表面に強磁性材料層34が積層された材料で形成されており、自己インダクタンスも高ければ、上側コイル(1次側コイル)54との相互インダクタンスも高い。また、上側コイル(1次側コイル)54は厚く形成されており、抵抗が低く、大きな電流が流れる。そのために、厚いコイル間絶縁膜を使用することができ、有機質絶縁材料の層41,42を積層したコイル間絶縁膜40が使用されている。
図16に、第1実施例の半導体装置2を示す。半導体装置2は、半導体基板10を備えており、半導体基板10内に半導体回路12が形成されている。半導体基板10のうちの半導体回路12が形成されていない範囲に、下側コイル(2次側コイル)35と、コイル間絶縁膜40と、上側コイル(1次側コイル)54が積層されることによって構成されているトランス素子55が形成されている。下側コイル(2次側コイル)35は、金属層33の表面に強磁性材料層34が積層された材料で形成されており、自己インダクタンスも高ければ、上側コイル(1次側コイル)54との相互インダクタンスも高い。また、上側コイル(1次側コイル)54は厚く形成されており、抵抗が低く、大きな電流が流れる。そのために、厚いコイル間絶縁膜を使用することができ、有機質絶縁材料の層41,42を積層したコイル間絶縁膜40が使用されている。
半導体基板10の表面は、配線層絶縁膜20で覆われている。配線層絶縁膜20は、下絶縁膜22と上絶縁膜24で構成されており、配線層絶縁膜20の厚みの中に、半導体回路12の表面電極と下側コイル35を接続する配線26,28が形成されている。すなわち、下側コイル35に接続する半導体回路12の表面電極に対応する位置の下絶縁膜22にコンタクトウインドウ26aが形成されており、そのコンタクトウインドウ26aに配線26が伸びている。また後記するように平面視すると渦巻き形状をしている下側コイルの内側の端部35dに対応する位置の上絶縁膜24にコンタクトウインドウ26bが形成されており、そのコンタクトウインドウ26bに配線26が伸びている。配線26は、半導体回路12の表面電極と下側コイル35の内側端部35dを接続している。同様に、配線28が、半導体回路12の表面電極と下側コイル35の外側の端部35hを接続している。コイルの内側の端部35dに接続する半導体回路12の表面電極と、コイルの外側の端部35hに接続する半導体回路12の表面電極は、別の電極である。配線26,28によって、下側コイル35に発生した電圧が半導体回路12に伝達される。また、配線層絶縁膜20の厚みの中に、半導体回路12の表面電極と、半導体装置2の表面に露出している露出電極53lを接続する配線29も形成されている。半導体回路12の表面には複数個の電極が形成されており、配線26,28,29に接続されている表面電極は、別々である。
配線層絶縁膜20の表面に、下側コイル(2次側コイル)35と、金属膜37と、金属膜38が形成されている。より正確に説明すると、配線層絶縁膜20の表面に下地金属膜32が形成されており、下地金属膜32の表面に、下側コイル35を構成する金属層33と、金属膜37と、金属膜38が形成されている。
金属層33と金属膜37と金属膜38には、金メッキ膜、銅メッキ膜、あるいはアルミスパッタ膜等を利用することができる。
金属層33と金属膜37と金属膜38を金メッキ膜で形成する場合には、配線層絶縁膜20の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタン/タングステン合金の膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの金の膜を形成して下地金属膜32とする。下地金属膜32の表面には金をメッキすることができる。
金属層33と金属膜37と金属膜38を銅メッキ膜で形成する場合には、配線層絶縁膜20の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタンの膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの銅の膜を形成して下地金属膜32とする。下地金属膜32の表面には銅をメッキすることができる。
金属層33と金属膜37と金属膜38をアルミスパッタ膜で形成する場合には、配線層絶縁膜20の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタンの膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの窒化チタンの膜を形成して下地金属膜32とする。下地金属膜32の表面にはアルミニウムをスパッタすることができる。
下側コイル(2次側コイル)35は、金属膜33の表面に強磁性材料層34を積層した材料で形成されている。金属膜33は、金膜でもよいし、銅膜でもよいし、アルミ膜でもよい。
強磁性材料層34は、Fe−Ni合金で形成されている。それに代えて、Fe−Ni―Mo合金を利用してもよい。下側コイル(2次側コイル)35は、平面視したときに、4重の渦巻き形状に形成されており、図示35dが内側の端部であり、図示35hは外側の端部である。前記したように、下側コイル35の内側の端部35dは、配線26を介して半導体回路12に接続されており、下側コイル35の外側の端部35hは、配線28を介して半導体回路12に接続されている。金属膜33の厚みは1μmであり、強磁性材料層34の厚みは0.3μmである。下側コイル35と金属膜37と金属膜38は、SiO2の絶縁膜31の厚みの中に形成されている。金属膜37と金属膜38の上部には、コンタクトウインドウが形成されている。
金属層33と金属膜37と金属膜38には、金メッキ膜、銅メッキ膜、あるいはアルミスパッタ膜等を利用することができる。
金属層33と金属膜37と金属膜38を金メッキ膜で形成する場合には、配線層絶縁膜20の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタン/タングステン合金の膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの金の膜を形成して下地金属膜32とする。下地金属膜32の表面には金をメッキすることができる。
金属層33と金属膜37と金属膜38を銅メッキ膜で形成する場合には、配線層絶縁膜20の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタンの膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの銅の膜を形成して下地金属膜32とする。下地金属膜32の表面には銅をメッキすることができる。
金属層33と金属膜37と金属膜38をアルミスパッタ膜で形成する場合には、配線層絶縁膜20の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタンの膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの窒化チタンの膜を形成して下地金属膜32とする。下地金属膜32の表面にはアルミニウムをスパッタすることができる。
下側コイル(2次側コイル)35は、金属膜33の表面に強磁性材料層34を積層した材料で形成されている。金属膜33は、金膜でもよいし、銅膜でもよいし、アルミ膜でもよい。
強磁性材料層34は、Fe−Ni合金で形成されている。それに代えて、Fe−Ni―Mo合金を利用してもよい。下側コイル(2次側コイル)35は、平面視したときに、4重の渦巻き形状に形成されており、図示35dが内側の端部であり、図示35hは外側の端部である。前記したように、下側コイル35の内側の端部35dは、配線26を介して半導体回路12に接続されており、下側コイル35の外側の端部35hは、配線28を介して半導体回路12に接続されている。金属膜33の厚みは1μmであり、強磁性材料層34の厚みは0.3μmである。下側コイル35と金属膜37と金属膜38は、SiO2の絶縁膜31の厚みの中に形成されている。金属膜37と金属膜38の上部には、コンタクトウインドウが形成されている。
下側コイル35と金属膜37と金属膜38の上方には、コイル間絶縁膜40の下層41と上層42が形成されている。下層41と上層42は有機質絶縁材料(実施例ではポリイミド)で形成されており、いずれも10μmの膜厚にある。すなわち、コイル間絶縁膜40は20μmの膜厚であり、上側コイル54と下側コイル35の間に5kvの電圧がかかっても絶縁を維持することができる。
なお、金属膜37と金属膜38の上部のコイル間絶縁膜40には、開口40k、40lが形成されている。
なお、金属膜37と金属膜38の上部のコイル間絶縁膜40には、開口40k、40lが形成されている。
コイル間絶縁膜40の表面に、上側コイル(1次側コイル)54と、シールド用電極53kと、露出電極53lが形成されている。より正確に説明すると、コイル間絶縁膜40の表面に下地金属膜52に形成されており、下地金属膜52の表面に、上側コイル54を形成する金属層53と、シールド用電極53kと、露出電極53lが形成されている。
金属層53とシールド用電極53kと露出電極53lには、金メッキ膜あるいは銅メッキ膜等を利用することができる。
金属層53とシールド用電極53kと露出電極53lを金メッキ膜で形成する場合には、コイル間絶縁膜40の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタン/タングステン合金の膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの金の膜を形成して下地金属膜52とする。下地金属膜52の表面には金をメッキすることができる。
金属層53とシールド用電極53kと露出電極53lを銅メッキ膜で形成する場合には、コイル間絶縁膜40の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタンの膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの銅の膜を形成して下地金属膜52とする。下地金属膜52の表面には銅をメッキすることができる。
金属層53とシールド用電極53kと露出電極53lには、金メッキ膜あるいは銅メッキ膜等を利用することができる。
金属層53とシールド用電極53kと露出電極53lを金メッキ膜で形成する場合には、コイル間絶縁膜40の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタン/タングステン合金の膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの金の膜を形成して下地金属膜52とする。下地金属膜52の表面には金をメッキすることができる。
金属層53とシールド用電極53kと露出電極53lを銅メッキ膜で形成する場合には、コイル間絶縁膜40の表面にスパッタ法によって200nm程度の厚みのチタンの膜を形成し、その上にスパッタ法によって200nm程度の厚みの銅の膜を形成して下地金属膜52とする。下地金属膜52の表面には銅をメッキすることができる。
上側コイル(1次側コイル)54は、下地金属膜52の表面に金属膜53を積層して形成されている。金属膜53と、シールド用電極53kと、露出電極53lは、金膜でもよいし、銅膜でもよい。
上側コイル(1次側コイル)54は、図29に示すように、平面視したときに、4重の渦巻き形状に形成されており、図示54aが外側の端部であり、図示54fが内側の端部である。1次側コイル54の外側端部54aと内側端部54fは、配線62,64によって1次側回路66に接続されている。1次側回路66は、配線62,64にパルス状電圧を出力する。コイルのインダクタンス成分によって、1次側コイル54に流れる電流は、
三角波となる。すなわち、緩やかに上昇して急速に減少する。電流値の急速減少によって2次側コイル35の内側端部35dと外側端部35hの間に大きな電圧が誘導される。この誘導電圧が半導体回路12に入力される。半導体回路12は、入力した電圧を閾値電圧と比較し、パルス波を出力する。1次側回路66の送り出すパルス状電圧が2次側回路のパルス波に変換される。1次側コイル54とコイル間絶縁膜40と2次側コイル35で構成されるトランス素子55によって、1次側回路66から2次側回路(半導体回路)12に信号が伝達される。1次側回路66は低電圧系であり、2次側回路12は高電圧系である。トランス素子55は、低電圧系の1次側回路66と高電圧系の2次側回路12を絶縁する。トランス素子55は、20μmの膜厚のコイル間絶縁膜40を用いているので、1次側回路66と2次側回路12の間に5kvの電圧がかかっても絶縁を維持することができる。
上記では、トランス素子55で信号を伝達するが、トランス素子55で電力を伝達してもよい。2次側コイル35に生じる電圧で駆動できる素子に対しては、トランス素子55から給電することができる。
上側コイル(1次側コイル)54は、図29に示すように、平面視したときに、4重の渦巻き形状に形成されており、図示54aが外側の端部であり、図示54fが内側の端部である。1次側コイル54の外側端部54aと内側端部54fは、配線62,64によって1次側回路66に接続されている。1次側回路66は、配線62,64にパルス状電圧を出力する。コイルのインダクタンス成分によって、1次側コイル54に流れる電流は、
三角波となる。すなわち、緩やかに上昇して急速に減少する。電流値の急速減少によって2次側コイル35の内側端部35dと外側端部35hの間に大きな電圧が誘導される。この誘導電圧が半導体回路12に入力される。半導体回路12は、入力した電圧を閾値電圧と比較し、パルス波を出力する。1次側回路66の送り出すパルス状電圧が2次側回路のパルス波に変換される。1次側コイル54とコイル間絶縁膜40と2次側コイル35で構成されるトランス素子55によって、1次側回路66から2次側回路(半導体回路)12に信号が伝達される。1次側回路66は低電圧系であり、2次側回路12は高電圧系である。トランス素子55は、低電圧系の1次側回路66と高電圧系の2次側回路12を絶縁する。トランス素子55は、20μmの膜厚のコイル間絶縁膜40を用いているので、1次側回路66と2次側回路12の間に5kvの電圧がかかっても絶縁を維持することができる。
上記では、トランス素子55で信号を伝達するが、トランス素子55で電力を伝達してもよい。2次側コイル35に生じる電圧で駆動できる素子に対しては、トランス素子55から給電することができる。
図示の53kは、トランス素子55と半導体回路12の間をシールドするための導体であり、接地して用いる。図29に示すように、シール用導体53kはトランス素子55の形成範囲を取り囲んでいる。図示の53lは露出電極であり、ここに配線することによって配線29を介して半導体回路12に接続することができる。図示の51は、絶縁性の保護膜である。保護膜51には、1次側コイル54の外側端部54aと、1次側コイル54の内側端部54fと、露出電極53lに対応する位置に、開口51a、51f、51lが形成されている。
次に、半導体装置2の製造プロセスを説明する。
図1は、半導体基板10内に半導体回路12を形成した段階を示す。
図2は、コンタクトウインドウ26a,28a,29aを持つ下絶縁膜22を形成した段階を示す。
図3は、下絶縁膜22の表面に、配線26,28,29を形成した段階を示す。配線は、半導体回路12の表面に形成されている電極に導通する。
図4は、コンタクトウインドウ26b,28b,29bを持つ上絶縁膜24を形成した段階を示す。上絶縁膜24は、下絶縁膜22と配線26,28,29を覆う。
図5は、下地金属膜32を全面に形成した段階を示す。
図6は、金属層33を全面に形成した段階を示す。金属層33は、金で形成してもよいし、銅で形成してもよいし、アルミで形成してもよい。金属層33は、コンタクトウインドウ26b,28b,29b内にも伸び、配線26,28,29に導通する。金属層33は1μm程度の厚みとする。
図7は、下側コイル35の形成範囲のみを露出させる保護膜36を形成し、その後に強磁性材料層34を形成した段階を示す。この実施例では、FeとNiを同時にスパッタすることによってFe―Niの合金層34を積層する。Fe―Ni―Mo合金を形成してもよい。Fe―Niの合金層34の厚みは0.3μm程度とする。
図8は保護膜36を除去し、さらに、2次側コイル35と金属膜37と金属膜38を形成する部分以外を、ドライエッチングした段階を示す。この段階で、強磁性材料層34と金属層33と下地金属膜32が一括してパターンニングされる。この段階で、下側コイル35と金属膜37と金属膜38の平面形状がパターニングされる。また、この段階で、下側コイル35の内側端部35dが配線26によって半導体回路12に接続され、下側コイル35の外側端部35hが配線28によって半導体回路12に接続され、金属膜38が配線29によって半導体回路12に接続される。下側コイル35は、平面視したときに4重の渦巻き形状に形成される。各周はほぼ円形であってもよいし、多角形であってもよい。
図9は、下側コイル35と金属膜37と金属膜38の周囲と表面をSiO2で被覆した段階を示す。なお、金属膜37と金属膜38の上部には開口が形成されている。
図10は、有機質絶縁材料(本実施例ではポリイミド)の溶液を塗布して光を照射して固定することによってコイル間絶縁膜40の下層41を形成した段階を示す。1度の塗布で10μmの膜厚が得られる。この段階では、溶液を全面に塗布し、金属膜37の上方領域と、金属膜38の上方領域には光を照射しない。これに代えて、金属膜37の上方領域と、金属膜38の上方領域には溶液を塗布しない方式を採用してもよい。インクジェット技術によって、溶液を塗布する領域と塗布しない領域を制御することが可能となっている。
図11は、有機質絶縁材料(本実施例ではポリイミド)の溶液を再び塗布して光を照射して固定することによってコイル間絶縁膜40の上層42を形成した段階を示す。2回途付することによって、合計20μmのコイル間絶縁膜40が得られる。なお、金属膜37と金属膜38の上部には無機質絶縁材料の溶液を塗布しない。あるいは、金属膜37と金属膜38の上部には、光を照射しない。
図12は、コイル間絶縁膜40の表面に下地金属膜52を形成した段階を示す。下地金属膜52は下地金属膜32と同一プロセスで形成される。
図13は、後で金属膜53を形成する範囲に開口55a等が形成されている保護膜55を形成した段階を示す。保護膜55には、1次側コイルを形成する範囲に対応する開口55a〜55j、シールド用電極53kを形成する範囲に対応する開口55k、露出電極53lを形成する範囲に対応する開口55lを形成する。
図14は、保護膜55の開口55a〜55j、開口55k、開口55lにおいて露出する下地金属膜52の表面に金属膜53をメッキした段階を示す。金属膜53は、金で形成してもよいし、銅で形成してもよい。厚みが5μm以上の金メッキで金属膜53を形成するのが好ましい。その場合、金属膜53で形成する1次側コイルの抵抗が十分に低くなり、2次側コイルに大きな電圧を発生させることができる。
図15は、保護膜55を除去した段階を示す。この段階で、平面形状がパターニングされている上側コイル54とシールド用電極53kと露出電極極53lが形成される。この段階では、金属膜53で覆われていない下地金属膜52もエッチングする。
図16は、保護膜51を形成した段階を示す。保護膜51には、1次側コイル54の外側端部54aと、1次側コイル54の内側端部54fと、露出電極53lに対応する位置に、開口51a、51f、51lを形成する。
以上によって半導体装置2が完成する。この半導体装置を配線62,64によって1次側回路66に接続すると、意図した利用が可能となる。
図29は、半導体装置2の平面図を示している。図16は、A−A線断面に相当している。
図1は、半導体基板10内に半導体回路12を形成した段階を示す。
図2は、コンタクトウインドウ26a,28a,29aを持つ下絶縁膜22を形成した段階を示す。
図3は、下絶縁膜22の表面に、配線26,28,29を形成した段階を示す。配線は、半導体回路12の表面に形成されている電極に導通する。
図4は、コンタクトウインドウ26b,28b,29bを持つ上絶縁膜24を形成した段階を示す。上絶縁膜24は、下絶縁膜22と配線26,28,29を覆う。
図5は、下地金属膜32を全面に形成した段階を示す。
図6は、金属層33を全面に形成した段階を示す。金属層33は、金で形成してもよいし、銅で形成してもよいし、アルミで形成してもよい。金属層33は、コンタクトウインドウ26b,28b,29b内にも伸び、配線26,28,29に導通する。金属層33は1μm程度の厚みとする。
図7は、下側コイル35の形成範囲のみを露出させる保護膜36を形成し、その後に強磁性材料層34を形成した段階を示す。この実施例では、FeとNiを同時にスパッタすることによってFe―Niの合金層34を積層する。Fe―Ni―Mo合金を形成してもよい。Fe―Niの合金層34の厚みは0.3μm程度とする。
図8は保護膜36を除去し、さらに、2次側コイル35と金属膜37と金属膜38を形成する部分以外を、ドライエッチングした段階を示す。この段階で、強磁性材料層34と金属層33と下地金属膜32が一括してパターンニングされる。この段階で、下側コイル35と金属膜37と金属膜38の平面形状がパターニングされる。また、この段階で、下側コイル35の内側端部35dが配線26によって半導体回路12に接続され、下側コイル35の外側端部35hが配線28によって半導体回路12に接続され、金属膜38が配線29によって半導体回路12に接続される。下側コイル35は、平面視したときに4重の渦巻き形状に形成される。各周はほぼ円形であってもよいし、多角形であってもよい。
図9は、下側コイル35と金属膜37と金属膜38の周囲と表面をSiO2で被覆した段階を示す。なお、金属膜37と金属膜38の上部には開口が形成されている。
図10は、有機質絶縁材料(本実施例ではポリイミド)の溶液を塗布して光を照射して固定することによってコイル間絶縁膜40の下層41を形成した段階を示す。1度の塗布で10μmの膜厚が得られる。この段階では、溶液を全面に塗布し、金属膜37の上方領域と、金属膜38の上方領域には光を照射しない。これに代えて、金属膜37の上方領域と、金属膜38の上方領域には溶液を塗布しない方式を採用してもよい。インクジェット技術によって、溶液を塗布する領域と塗布しない領域を制御することが可能となっている。
図11は、有機質絶縁材料(本実施例ではポリイミド)の溶液を再び塗布して光を照射して固定することによってコイル間絶縁膜40の上層42を形成した段階を示す。2回途付することによって、合計20μmのコイル間絶縁膜40が得られる。なお、金属膜37と金属膜38の上部には無機質絶縁材料の溶液を塗布しない。あるいは、金属膜37と金属膜38の上部には、光を照射しない。
図12は、コイル間絶縁膜40の表面に下地金属膜52を形成した段階を示す。下地金属膜52は下地金属膜32と同一プロセスで形成される。
図13は、後で金属膜53を形成する範囲に開口55a等が形成されている保護膜55を形成した段階を示す。保護膜55には、1次側コイルを形成する範囲に対応する開口55a〜55j、シールド用電極53kを形成する範囲に対応する開口55k、露出電極53lを形成する範囲に対応する開口55lを形成する。
図14は、保護膜55の開口55a〜55j、開口55k、開口55lにおいて露出する下地金属膜52の表面に金属膜53をメッキした段階を示す。金属膜53は、金で形成してもよいし、銅で形成してもよい。厚みが5μm以上の金メッキで金属膜53を形成するのが好ましい。その場合、金属膜53で形成する1次側コイルの抵抗が十分に低くなり、2次側コイルに大きな電圧を発生させることができる。
図15は、保護膜55を除去した段階を示す。この段階で、平面形状がパターニングされている上側コイル54とシールド用電極53kと露出電極極53lが形成される。この段階では、金属膜53で覆われていない下地金属膜52もエッチングする。
図16は、保護膜51を形成した段階を示す。保護膜51には、1次側コイル54の外側端部54aと、1次側コイル54の内側端部54fと、露出電極53lに対応する位置に、開口51a、51f、51lを形成する。
以上によって半導体装置2が完成する。この半導体装置を配線62,64によって1次側回路66に接続すると、意図した利用が可能となる。
図29は、半導体装置2の平面図を示している。図16は、A−A線断面に相当している。
この実施例では、下側コイル35がFe―Niの合金層34を含んでいるために、上側コイル54との相互インダクタンスも高ければ、下側コイル35の自己インダクタンスも高い。下側コイル35と上側コイル54の磁気的結合係数が高い。さらに、1次側コイル54が厚くて抵抗値が低いために、大きな電流が流れやすい。以上によって、2次側コイル35に大きな電圧変化を生じさせることができる。そのために厚いコイル間絶縁膜40が利用でき、有機質絶縁材料でコイル間絶縁膜を形成することができる。パターンニングが容易な有機質絶縁材料でコイル間絶縁膜40を形成することができるので、必要なところにのみコイル間絶縁膜40を形成することができる。
本実施例では、露出電極53lを形成しているが、シールド用電極53よりも半導体回路12側には、コイル間絶縁膜40を形成しないこともできる。その場合、絶縁膜31の表面に金属膜38が露出している状態が得られ、そこにワイヤボンディングすることもできる。半導体回路12側にコイル間絶縁膜40を形成しないと、通常の半導体装置を同様にボンディングすることができる。半導体回路12側にコイル間絶縁膜40を形成しない技術にも固有のメリットが存在する。
本実施例では、露出電極53lを形成しているが、シールド用電極53よりも半導体回路12側には、コイル間絶縁膜40を形成しないこともできる。その場合、絶縁膜31の表面に金属膜38が露出している状態が得られ、そこにワイヤボンディングすることもできる。半導体回路12側にコイル間絶縁膜40を形成しないと、通常の半導体装置を同様にボンディングすることができる。半導体回路12側にコイル間絶縁膜40を形成しない技術にも固有のメリットが存在する。
(第2実施例)
図28に、第2実施例の半導体装置4を示す。半導体装置4も、半導体基板10を備えており、半導体基板10内に半導体回路12が形成されている。半導体基板10のうちの半導体回路12が形成されていない範囲に、下側コイル(2次側コイル)135と、コイル間絶縁膜140と、上側コイル(1次側コイル)154が積層されることによって構成されているトランス素子155が形成されている。コイル間絶縁膜141aは、絶縁性無機質粒子を集積したものであり、ポリイミドの半分の厚みで同等の絶縁特性を発揮する。半導体装置4は薄いコイル間絶縁膜141aを使用するために、下側コイル135と上側コイル154の磁気的結合係数が高い。そのために、下側コイル135と上側コイル154を金属のみで形成することができ、強磁性材料を使用する必要がない。
図28に、第2実施例の半導体装置4を示す。半導体装置4も、半導体基板10を備えており、半導体基板10内に半導体回路12が形成されている。半導体基板10のうちの半導体回路12が形成されていない範囲に、下側コイル(2次側コイル)135と、コイル間絶縁膜140と、上側コイル(1次側コイル)154が積層されることによって構成されているトランス素子155が形成されている。コイル間絶縁膜141aは、絶縁性無機質粒子を集積したものであり、ポリイミドの半分の厚みで同等の絶縁特性を発揮する。半導体装置4は薄いコイル間絶縁膜141aを使用するために、下側コイル135と上側コイル154の磁気的結合係数が高い。そのために、下側コイル135と上側コイル154を金属のみで形成することができ、強磁性材料を使用する必要がない。
以下では、第1実施例と相違する点を中心に説明する。SiO2の絶縁膜131(第1実施例では31)よりも深い部分の構造は、第1実施例と第2実施例で共通である。ただし、下側コイル135は、下地金属膜32と金属膜33のみで形成されており、強磁性材料層が利用されていない。
コイル間絶縁膜140は、絶縁性無機質粒子を集積した絶縁膜141aと、その表面を覆っている薄い有機質絶縁膜142aで形成されており、合計の厚みは12μmである。第2実施例のコイル間絶縁膜140は、第1実施例のコイル間絶縁膜40よりも薄い。
絶縁性無機質粒子を集積した絶縁膜141aの周囲は、有機質絶縁膜143で取り囲まれている。
コイル間絶縁膜140が薄いために、上側コイル154と下側コイル135の相互インダクタンスが高い。そのために、2次側コイル135に強磁性材料を使用しないでも、2次側コイル135に大きな電圧が発生する。
コイル間絶縁膜140は、絶縁性無機質粒子を集積した絶縁膜141aと、その表面を覆っている薄い有機質絶縁膜142aで形成されており、合計の厚みは12μmである。第2実施例のコイル間絶縁膜140は、第1実施例のコイル間絶縁膜40よりも薄い。
絶縁性無機質粒子を集積した絶縁膜141aの周囲は、有機質絶縁膜143で取り囲まれている。
コイル間絶縁膜140が薄いために、上側コイル154と下側コイル135の相互インダクタンスが高い。そのために、2次側コイル135に強磁性材料を使用しないでも、2次側コイル135に大きな電圧が発生する。
次に、半導体装置4の製造プロセスを説明する。
図6までは第1実施例と共通であり、重複説明を省略する。この実施例では、強磁性材料層を形成しない。そこで、図6の段階でエッチングを実施する。
図17は、図6の段階でエッチングをした段階を示している。この段階で、金属膜33のみならず、下地金属膜32までエッチングされる。この段階で、下側コイル135と金属膜137と金属膜138の平面形状がパターニングされる。下側コイル135は4重の渦巻き形状にパターンニングされる。各周はほぼ円形であってもよいし、多角形であってもよい。この段階で、下側コイル135の内側端部135dが配線26によって半導体回路12に接続され、下側コイル135の外側端部135hが配線28によって半導体回路12に接続され、金属膜138が配線29によって半導体回路12に接続される。
図18は、下側コイル135と金属膜137と金属膜138の周囲と表面をSiO2で被覆した段階を示す。金属膜137と金属膜138の表面も、SiO2で被覆されている。金属膜137と金属膜138の上方に開口を形成する必要はない。
図19は、有機質絶縁材料(本実施例ではポリイミド)の溶液を塗布し、光を照射して溶液を硬化し、絶縁層143を形成した段階を示す。この段階では、溶液を全面に塗布し、下側コイル135の上方領域と、金属膜137の上方領域と、金属膜138の上方領域には光を照射しない。これに代えて、下側コイル135の上方領域と、金属膜137の上方領域と、金属膜138の上方領域には溶液を塗布しない方式を採用してもよい。インクジェット技術によって、溶液を塗布する領域と塗布しない領域を制御することが可能となっている。上記の処理によって、下側コイル135の上方領域に窪み143aが形成され、金属膜137の上方領域に窪み143kが形成され、金属膜138の上方領域に窪み143lが形成される。
図20は、絶縁層143に表面に、絶縁性無機質粒子(この実施例ではシリカ粒子)の層141を充填した段階を示す。シリカ粒子に代えて、アルミナ粒子あるいは窒化シリコン粒子を充填してもよい。この段階では、絶縁性無機質粒子をSOGなどのシラノールを含む溶媒に懸濁させた溶液を用いる。溶液を塗布した後、絶縁性無機質粒子を弱くベーキングして固定する。SOGなどのシラノールを含む溶媒に懸濁させた溶液を用いると、ベーキングした際に溶媒が除去されるだけでなく、絶縁性無機質粒子間に酸化物が生成して絶縁性無機質粒子同士を固定することができる。
図21は、下側コイル135の形成範囲に相当する絶縁性無機質粒子層141の表面に保護膜144を形成した段階を示す。保護膜となる液体を全面に塗布しておき、下側コイル135の形成範囲にだけ光を照射することによって、保護膜144を形成することができる。
図22は、保護膜144の表面からウエットエッチングした段階を示す。下側コイル135の形成範囲外の絶縁性無機質粒子層141が除去される。絶縁性無機質粒子層141は弱くベーキングされているので、ウエットエッチングすることができる。窪み143kと窪み143lでは、SiO2層131が露出するまでエッチングされるが、SiO2層131はエッチングされない。SiO2層131は、ウエットエッチング工程において金属膜137と金属膜138をプロテクトする。その後にドライエッチングして絶縁層143の隙間に露出しているSiO2層131を除去して金属膜137と金属膜138の表面を露出させる。
以上では、絶縁性無機質粒子層141を全面に形成しておいてから除去することによって形成範囲を規制しているが、図19に示されている窪み143aの内側にのみ、絶縁性無機質粒子を懸濁させた溶液を塗布してもよい。インクジェット技術によって、溶液を塗布する領域と塗布しない領域を制御することが可能となっている。窪み143aを取り囲んでいる絶縁層143は、絶縁性無機質粒子層141の平面形状を規制する周囲絶縁膜ということができる。
図23は、下側コイル135の形成範囲に残存している絶縁性無機質粒子層141aの表面に有機質絶縁材料(本実施例ではポリイミド)の溶液を塗布し、光を照射して溶液を硬化し、絶縁層142aを形成した段階を示す。絶縁層142aは、非常に薄くてよい。本実施例では2μmの厚みに形成する。絶縁性無機質粒子層141aと絶縁層142aによってコイル間絶縁膜140が形成される。コイル間絶縁膜140の膜厚は約12μmであり、第1実施例のコイル間絶縁膜40の厚みの半分である。絶縁性無機質粒子層141aの絶縁能力が高く、約10μmの膜厚で約5kvの電圧を絶縁する。絶縁層142aは、絶縁性無機質粒子層141aを固定する効果をも備えている。
図24は、コイル間絶縁膜140の表面に下地金属膜152を形成した段階を示す。下地金属膜152は下地金属膜32と同一プロセスで形成される。
図25は、後で金属膜153を形成する範囲に開口155a等が形成されている保護膜155を形成した段階を示す。保護膜155には、1次側コイルを形成する範囲に対応する開口155a〜55j、シールド用電極153kを形成する範囲に対応する開口155k、露出電極153lを形成する範囲に対応する開口155lを形成する。
図26は、保護膜155の開口155a〜155j、開口155k、開口155lにおいて露出する下地金属膜152の表面に金属膜153をメッキした段階を示す。金属膜153は、金で形成してもよいし、銅で形成してもよい。
図27は、保護膜155を除去した段階を示す。この段階で、平面形状がパターニングされている上側コイル154とシールド用電極153kと露出電極極153lが形成される。この段階では、金属膜153で覆われていない下地金属膜152もエッチングする。
図28は、保護膜151を形成した段階を示す。保護膜151には、1次側コイル154の外側端部154aと、1次側コイル154の内側端部154fと、露出電極153lに対応する位置に、開口151a、151f、151lを形成する。
以上によって半導体装置4が完成する。この半導体装置を配線62,64によって1次側回路66に接続すると、意図した利用が可能となる。
図6までは第1実施例と共通であり、重複説明を省略する。この実施例では、強磁性材料層を形成しない。そこで、図6の段階でエッチングを実施する。
図17は、図6の段階でエッチングをした段階を示している。この段階で、金属膜33のみならず、下地金属膜32までエッチングされる。この段階で、下側コイル135と金属膜137と金属膜138の平面形状がパターニングされる。下側コイル135は4重の渦巻き形状にパターンニングされる。各周はほぼ円形であってもよいし、多角形であってもよい。この段階で、下側コイル135の内側端部135dが配線26によって半導体回路12に接続され、下側コイル135の外側端部135hが配線28によって半導体回路12に接続され、金属膜138が配線29によって半導体回路12に接続される。
図18は、下側コイル135と金属膜137と金属膜138の周囲と表面をSiO2で被覆した段階を示す。金属膜137と金属膜138の表面も、SiO2で被覆されている。金属膜137と金属膜138の上方に開口を形成する必要はない。
図19は、有機質絶縁材料(本実施例ではポリイミド)の溶液を塗布し、光を照射して溶液を硬化し、絶縁層143を形成した段階を示す。この段階では、溶液を全面に塗布し、下側コイル135の上方領域と、金属膜137の上方領域と、金属膜138の上方領域には光を照射しない。これに代えて、下側コイル135の上方領域と、金属膜137の上方領域と、金属膜138の上方領域には溶液を塗布しない方式を採用してもよい。インクジェット技術によって、溶液を塗布する領域と塗布しない領域を制御することが可能となっている。上記の処理によって、下側コイル135の上方領域に窪み143aが形成され、金属膜137の上方領域に窪み143kが形成され、金属膜138の上方領域に窪み143lが形成される。
図20は、絶縁層143に表面に、絶縁性無機質粒子(この実施例ではシリカ粒子)の層141を充填した段階を示す。シリカ粒子に代えて、アルミナ粒子あるいは窒化シリコン粒子を充填してもよい。この段階では、絶縁性無機質粒子をSOGなどのシラノールを含む溶媒に懸濁させた溶液を用いる。溶液を塗布した後、絶縁性無機質粒子を弱くベーキングして固定する。SOGなどのシラノールを含む溶媒に懸濁させた溶液を用いると、ベーキングした際に溶媒が除去されるだけでなく、絶縁性無機質粒子間に酸化物が生成して絶縁性無機質粒子同士を固定することができる。
図21は、下側コイル135の形成範囲に相当する絶縁性無機質粒子層141の表面に保護膜144を形成した段階を示す。保護膜となる液体を全面に塗布しておき、下側コイル135の形成範囲にだけ光を照射することによって、保護膜144を形成することができる。
図22は、保護膜144の表面からウエットエッチングした段階を示す。下側コイル135の形成範囲外の絶縁性無機質粒子層141が除去される。絶縁性無機質粒子層141は弱くベーキングされているので、ウエットエッチングすることができる。窪み143kと窪み143lでは、SiO2層131が露出するまでエッチングされるが、SiO2層131はエッチングされない。SiO2層131は、ウエットエッチング工程において金属膜137と金属膜138をプロテクトする。その後にドライエッチングして絶縁層143の隙間に露出しているSiO2層131を除去して金属膜137と金属膜138の表面を露出させる。
以上では、絶縁性無機質粒子層141を全面に形成しておいてから除去することによって形成範囲を規制しているが、図19に示されている窪み143aの内側にのみ、絶縁性無機質粒子を懸濁させた溶液を塗布してもよい。インクジェット技術によって、溶液を塗布する領域と塗布しない領域を制御することが可能となっている。窪み143aを取り囲んでいる絶縁層143は、絶縁性無機質粒子層141の平面形状を規制する周囲絶縁膜ということができる。
図23は、下側コイル135の形成範囲に残存している絶縁性無機質粒子層141aの表面に有機質絶縁材料(本実施例ではポリイミド)の溶液を塗布し、光を照射して溶液を硬化し、絶縁層142aを形成した段階を示す。絶縁層142aは、非常に薄くてよい。本実施例では2μmの厚みに形成する。絶縁性無機質粒子層141aと絶縁層142aによってコイル間絶縁膜140が形成される。コイル間絶縁膜140の膜厚は約12μmであり、第1実施例のコイル間絶縁膜40の厚みの半分である。絶縁性無機質粒子層141aの絶縁能力が高く、約10μmの膜厚で約5kvの電圧を絶縁する。絶縁層142aは、絶縁性無機質粒子層141aを固定する効果をも備えている。
図24は、コイル間絶縁膜140の表面に下地金属膜152を形成した段階を示す。下地金属膜152は下地金属膜32と同一プロセスで形成される。
図25は、後で金属膜153を形成する範囲に開口155a等が形成されている保護膜155を形成した段階を示す。保護膜155には、1次側コイルを形成する範囲に対応する開口155a〜55j、シールド用電極153kを形成する範囲に対応する開口155k、露出電極153lを形成する範囲に対応する開口155lを形成する。
図26は、保護膜155の開口155a〜155j、開口155k、開口155lにおいて露出する下地金属膜152の表面に金属膜153をメッキした段階を示す。金属膜153は、金で形成してもよいし、銅で形成してもよい。
図27は、保護膜155を除去した段階を示す。この段階で、平面形状がパターニングされている上側コイル154とシールド用電極153kと露出電極極153lが形成される。この段階では、金属膜153で覆われていない下地金属膜152もエッチングする。
図28は、保護膜151を形成した段階を示す。保護膜151には、1次側コイル154の外側端部154aと、1次側コイル154の内側端部154fと、露出電極153lに対応する位置に、開口151a、151f、151lを形成する。
以上によって半導体装置4が完成する。この半導体装置を配線62,64によって1次側回路66に接続すると、意図した利用が可能となる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
第1実施例の特徴と第2実施例の特徴を併せ持つ実施例も可能である。すなわち、強磁性材料層34を利用するコイル35と、薄いコイル間絶縁膜141aの両者を用いる実施例も可能である。この場合、2次側コイルで非常に大きな電圧変化を得ることができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
第1実施例の特徴と第2実施例の特徴を併せ持つ実施例も可能である。すなわち、強磁性材料層34を利用するコイル35と、薄いコイル間絶縁膜141aの両者を用いる実施例も可能である。この場合、2次側コイルで非常に大きな電圧変化を得ることができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2、4:半導体装置
10:半導体基板
12:半導体回路
20:配線層絶縁膜
22:下層
24:上層
26,28,29:配線
30:絶縁膜
32:下地金属膜
33:金属膜
34:強磁性材料層
35:下側コイル(2次側コイル)
40:コイル間絶縁膜
41:下層
42:上層
52:下地金属膜
53:金属膜
54:上側コイル(1次側コイル)
132:下地金属膜
133:金属膜
135:下側コイル(2次側コイル)
140:コイル間絶縁膜
141a:絶縁性無機質粒子層
142a:有機質絶縁層
152:下地金属膜
153:金属膜
154:上側コイル(1次側コイル)
10:半導体基板
12:半導体回路
20:配線層絶縁膜
22:下層
24:上層
26,28,29:配線
30:絶縁膜
32:下地金属膜
33:金属膜
34:強磁性材料層
35:下側コイル(2次側コイル)
40:コイル間絶縁膜
41:下層
42:上層
52:下地金属膜
53:金属膜
54:上側コイル(1次側コイル)
132:下地金属膜
133:金属膜
135:下側コイル(2次側コイル)
140:コイル間絶縁膜
141a:絶縁性無機質粒子層
142a:有機質絶縁層
152:下地金属膜
153:金属膜
154:上側コイル(1次側コイル)
Claims (3)
- 半導体基板上に、下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造で構成されているトランス素子が形成されており、
前記コイル間絶縁膜が、絶縁性無機質粒子の集積物で形成されていることを特徴とする半導体装置。 - 前記半導体基板の一部の範囲に半導体回路が形成されており、
前記下側コイルが2次側コイルであり、
前記積層構造が、前記半導体回路が形成されていない範囲の前記半導体基板の表面上に配線層絶縁膜を介して積層されており、
前記配線層絶縁膜の厚みの中に、前記下側コイルの一方の端部を前記半導体回路の一方の電極に接続する配線と、前記下側コイルの他方の端部を前記半導体回路の他方の電極に接続する配線が形成されており、
前記絶縁性無機質粒子の集積物の周囲と表面が有機質絶縁膜で被覆されており、
前記有機質絶縁膜の表面上に、前記上側コイルが形成されていることを特徴とする請求項1の半導体装置。 - 半導体基板上に、下側コイルとコイル間絶縁膜と上側コイルの積層構造で構成されているトランス素子が形成されている半導体装置の製造方法であり、
表面が配線層絶縁膜で覆われている半導体基板上に前記下側コイルを形成する工程と、
前記下側コイルを取囲む範囲に、有機質絶縁材料によって、所定の厚みを持つ周囲絶縁膜を形成する工程と、
前記周囲絶縁膜によって取囲まれている前記下側コイルの上方領域に絶縁性無機質粒子群を充填する工程と、
充填した前記絶縁性無機質粒子群を固定する工程を備えている半導体装置の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-06-13 JP JP2008154804A patent/JP2009302268A/ja active Pending
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