JP2009300863A - 定着装置およびこれを備える画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着ベルトと磁束発生部との相対位置を規制部材により規制する構成において、定着ベルトの長寿命化を図ることができる電磁誘導加熱方式の定着装置を提供すること。
【解決手段】定着ベルト101の周回経路の外側に磁束発生部104を配置すると共に、定着ベルト101を周回方向に案内する規制板105を定着ベルト101の周回経路の内側に配置した電磁誘導加熱方式の定着部40において、規制板105に複数のリブ180を突設して、そのリブ180だけがベルト内周面に接触し、規制板105のリブ180以外の部分がベルト内周面に接触しないように構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
プリンタ等の画像形成装置では、近年、ハロゲンヒータを熱源とする定着装置よりも省エネルギー化を図れる電磁誘導加熱方式の定着装置を備えるものが採用され始めている。
図8は、電磁誘導加熱方式の定着装置400の構成例を示す断面図である。
同図に示すように、定着装置400は、定着ベルト401、定着ローラ402、加圧ローラ403、磁束発生部404および規制板405などを備えている。
定着ベルト401は、誘導発熱層を含む円筒状の弾性変形可能なベルトであり、矢印A方向に周回駆動される。定着ローラ402は、定着ベルト401の周回経路の内側に配される。加圧ローラ403は、定着ベルト401の周回経路の外側に配され、定着ベルト401を介して定着ローラ402を押圧し、定着ニップ410を確保する。加圧ローラ403は、駆動モータ(不図示)からの駆動力を受けて矢印B方向に回転する。この駆動力が定着ローラ402と定着ベルト401に伝わることにより、定着ローラ402と定着ベルト401が従動回転する。
磁束発生部404は、定着ベルト401の周回経路の外側であり定着ベルト401を挟んで加圧ローラ403に相対する位置に配され、定着ベルト401の誘導発熱層を発熱させるための磁束を発生させる。
規制板405は、定着ベルト401の周回経路の内側であり定着ベルト401を介して磁束発生部404に対向する位置に配され、定着ベルト401の曲率に沿って湾曲しており、周回駆動される定着ベルト401の内周面に面接触して定着ベルト401をその周回方向に案内しつつ定着ベルト401の周回位置を規制する。
規制板405を設けることにより、規制板405を設けない構成をとった場合に定着ベルト401の周回駆動中にその周回位置が周回毎にぶれて、定着ベルト401と磁束発生部404間の距離がばらつき、このばらつきにより定着ベルト401の発熱量が周回毎に大きく変動してしまうといったことの抑制を図れる。
このような構成において、定着ベルト401が周回駆動されつつ磁束発生部404から磁束が発せられると、定着ベルト401内の誘導発熱層の、磁束発生部404に対向する部分が主に発熱し、この発熱部分が定着ニップ410に至り、定着ニップ410の領域が定着に適した目標温度まで昇温され、シートS上に形成されたトナー像が定着ニップ410を通過する際に、加熱、加圧されて当該シートSに熱定着される。
特開2007−264421号公報
上記の定着装置では、定着ベルト401が規制板405と面接触した状態で規制板405上を摺動する際に生じる両者間の摩擦抵抗により、累積駆動時間が長くなるに連れて定着ベルト401の内周面が磨耗して寿命が短くなるという問題がある。
また、定着ベルト401の熱が規制板405との面接触の部分を介して規制板405に逃げ易く、例えば連続して搬送されて来る複数枚のシートに対し定着を行う場合、徐々にベルト温度が低下して定着に支障を来たすような事態が生じることもある。このような事態を回避するにはベルト温度をより高くすれば良いが、それだけ電力消費が多くなる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ベルトと磁束発生部との相対位置を規制手段により規制する構成において、ベルトの長寿命化を図ると共にベルトから規制手段への伝熱を抑制することができる電磁誘導加熱方式の定着装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、周回駆動されるベルトの周回経路の内側に配された定着ローラを、前記周回経路の外側から当該ベルトを介して加圧ローラで押圧して、当該ベルト表面と加圧ローラの間に定着ニップを確保すると共に、前記ベルトを電磁誘導により加熱して、未定着画像の形成されたシートを前記定着ニップを通し、前記未定着画像を熱定着する定着装置であって、前記周回経路の外側であり前記ベルトの近傍の位置に配され、前記ベルトを加熱するための磁束を発生させる磁束発生部と、前記周回経路の内側であり前記ベルトを介して前記磁束発生部に対向する位置に配され、前記周回駆動されるベルトをその周回方向に案内しつつ当該ベルトの周回位置を規制する規制部材と、を備え、前記規制部材は、前記周回方向またはこれに斜行する方向に伸びた複数の凸状レールが前記ベルトの幅方向に間隔をおいて形成されてなり、当該凸状レールが前記ベルトの内周面に接触して当該ベルトを案内することを特徴とする。
ここで「前記ベルトを電磁誘導により加熱」とは、磁束発生部からの磁束により発熱する発熱部材がベルトの少なくとも一部に含まれており当該発熱部材からの熱によりベルトが加熱される構成の他、発熱部材が規制部材に含まれており規制部材から発せられる熱がベルトに伝わってベルトが加熱される構成、または両方の構成を含む意味で用いられる。
また、前記規制部材は、前記ベルトの幅方向に沿って伸びる長尺状の板状部材であり、前記凸状レールは、前記板状部材に突設されたリブであることを特徴とする。
さらに、前記複数のリブのそれぞれは、前記周回方向に対して斜行する方向に伸びており、前記複数のリブのうち、第1と第2のリブは、前記ベルトの幅方向に対して略垂直な面であり、前記板状部材の、前記幅方向略中央に位置する仮想平面を挟んで当該幅方向の両側に略面対称の位置関係になるように形成されていることを特徴とする。
また、前記第1と第2のリブの前記幅方向における間隔が、前記周回方向上流側の端部同士の間隔よりも、前記周回方向下流側の端部同士の間隔の方が広いことを特徴とする。
また、前記第1と第2のリブの前記幅方向における間隔が、前記周回方向下流側の端部同士の間隔よりも、前記周回方向上流側の端部同士の間隔の方が広いことを特徴とする。
さらに、前記複数のリブのうち、隣り合うリブの組であり、それぞれのリブが前記周回方向に対して斜行する方向に伸びていると共に、それぞれのリブの一部が前記ベルトの幅方向において同じ位置またはオーバーラップする位置関係を有するリブの組を含むことを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、シート上に未定着画像を形成し、形成された未定着画像を定着部により熱定着する画像形成装置であって、前記定着部として、上記の定着装置を備えることを特徴とする。
このように規制部材に複数の凸状レールを形成し、凸状レール上をベルトの内周面が接触案内されるようにすれば、規制部材がベルトの内周面と面接触する構成に比べてベルトの内周面との接触面積が減り、ベルトと規制部材間に生じる摩擦抵抗を低減できるので、規制部材の、ベルト内周面との接触部の磨耗を抑制して、よりベルトの長寿命化を図ることが可能になる。また、ベルトの熱が規制部材に逃げ難くなるので、例えば連続して搬送されて来る複数枚のシートに対し定着を行う場合でも、ベルト温度を定着に適した温度の範囲内に維持して良好な定着を行うことができるようになる。
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)を例にして説明する。
<実施の形態1>
図1は、プリンタ1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ1は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであり、画像プロセス部10と、ベルト搬送部20と、給送部30と、定着部40を備え、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)色からなるカラーの画像形成を実行する。
画像プロセス部10は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部10Y〜10Kを備えている。作像部10Yは、感光体ドラム11Yと、その周囲に配設された帯電器12Y、露光部13Y、現像器14Y、転写ローラ15Y、感光体ドラム11Yを清掃するためのクリーナなどを備えており、公知の帯電、露光、現像工程を経て感光体ドラム11Y上にY色のトナー像を作像する。この構成は、他の作像部10M〜10Kについて同様であり、対応する色のトナー像が感光体ドラム11M〜11K上に作像される。
給送部30は、給紙カセットから記録用のシートSを搬送路35に1枚ずつ繰り出して、ベルト搬送部20に送る。本実施の形態では、シートSを搬送路35上の幅方向略中央の位置を基準に搬送する、いわゆるセンター基準の搬送方式になっている。
ベルト搬送部20は、矢印方向に循環走行される搬送ベルト21を備え、給送部30からのシートSを搬送ベルト21に密着させた状態で感光体ドラム11Y〜11Kの転写位置に順次搬送する。シートSが各転写位置を通過する際に、各転写位置において転写ローラ15Y〜15Kと感光体ドラム11Y〜11K間に生じる電界による静電力の作用を受けて感光体ドラム11Y〜11K上のトナー像がシートS上に多重転写される。各色トナー像が転写された後、シートSは、搬送ベルト21から離間して定着部40に送られる。
定着部40は、定着ベルト101を備える電磁誘導加熱方式によるものであり、搬送ベルト21から送られて来るシートS上の各色トナー像を加熱、加圧して、各色トナー像をシートSに定着させる。定着後のシートSは、排出トレイ39上に排出される。
図2は、定着部40の構成を示す斜視図であり、図3(a)は、定着部40の構成を示す横断面図であり、図3(b)は、定着ベルト101の構成を示す断面図である。図2では、構成を判り易くするために一部を切り欠いて示している。
両図に示すように、定着部40は、定着ベルト101と、定着ローラ102と、加圧ローラ103と、磁束発生部104と、規制板105を備える。
定着ベルト101は、矢印A方向に周回駆動される円筒状のベルトであり、図3(b)に示すように離型層111と、弾性層112と、発熱層113と、整磁合金層114が、この順に離型層111が表面側になるように積層されてなる。
定着ベルト101は、その内径が約40〔mm〕であり、自立して略円筒形を保持できる弾性の自己形状保持可能なベルトが用いられている。定着ベルト101のベルト幅方向(定着ローラ102の回転軸方向に相当)長さは、最大サイズのシートの幅方向長さよりも長くなっている。図2では、最大サイズよりもサイズの小さい小サイズ紙が定着ニップ107を通過している様子を示している。
離型層111は、厚みが約20〔μm〕のPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などからなる。弾性層112は、厚みが約200〔μm〕のシリコンゴムなどからなる。発熱層113は、厚みが約10〔μm〕のニッケルなどからなり、磁束発生部104から発せられる磁束により発熱する。
整磁合金層114は、ニッケルと鉄の合金などからなり、厚みが約30〔μm〕であり、所定温度(キュリー温度)以上になると磁性体から非磁性体に変化し、当該温度を下回ると磁性を取り戻す可逆的な変化特性を有する。整磁合金層114が非磁性体に変化することで、磁束発生部104からの磁束が発熱層113から整磁合金層114を介して規制板105に通り抜け易くなり、後述のように規制板105による当該磁束を打ち消す方向の磁束発生の作用により、発熱層113の発熱が抑えられる。
本実施の形態では、キュリー温度が、定着に適した温度(目標温度)よりも約20〔℃〕高い温度に設定されており、これにより多数枚の小サイズのシートを連続してプリントする場合に、定着ベルト101のうち、ベルト幅方向に当該シートが通過しない両端側の部分(非通紙部)P(図2)の温度が、当該シートに熱が奪われないために目標温度より上昇しても、整磁合金層114の非磁性体への磁性変化による温度抑制の作用が働くことによりキュリー温度を大幅に超えることがなくなって、定着ベルト101にダメージを与えるような高温に至るといったことが防止される。
なお、キュリー温度は、過昇温を防止できる温度であれば上記の温度に限られることはない。整磁合金層114の素材についても上記のものに限られない。定着部40の構成に応じて適切な温度が所定温度として実験などから予め設定され、設定された温度で上記の磁性変化が生じるように整磁合金層114の素材等が決められる。
定着ローラ102は、長尺で円柱状の芯金121の周囲に弾性層122を介して表層123が積層されてなり、定着ベルト101の周回経路(周回走行路)の内側に配される。
芯金121は、アルミニウムまたはステンレス等からなり、弾性層122は、ウレタンゴム等からなり断熱層としても機能し、表層123は、PFAチューブなどからなる。定着ローラ102の外径は、約35〔mm〕である。
加圧ローラ103は、長尺で円柱状の芯金131の周囲に、弾性層132を介して離型層133が積層されてなり、定着ベルト101の周回経路外側に配置され、定着ベルト101の外側から定着ベルト101を介して定着ローラ102を押圧して、定着ベルト101の表面115との間に定着ニップ107を確保する。
芯金131は、アルミニウム等からなり、弾性層132は、シリコンスポンジゴム等からなり、離型層133は、PFAやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コート等からなる。加圧ローラ103の外径は、約35〔mm〕である。
定着ローラ102の芯金121と加圧ローラ103の芯金131は、その軸方向両端部が図示しないフレームに軸受部材などを介して回転自在に支持されると共に、加圧ローラ103は、駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより矢印B方向に回転駆動される。この加圧ローラ103の回転に伴って定着ベルト101と定着ローラ102が矢印A方向に従動回転する。
磁束発生部104は、励磁コイル141と、メインコア142と、センターコア143と、裾コア144と、カバー145と、コイルボビン146を有し、定着ベルト101の周回経路の外側であり定着ベルト101の近辺の位置に、定着ベルト101にその幅方向に沿うように配置される。
コイルボビン146は、定着ベルト101の周回方向(以下、「ベルト周回方向」という。)に沿って円弧状に湾曲する部分を含む板状部材であり、ベルト幅方向両端部が図示しないフレームなどに固定されている。コイルボビン146と定着ベルト101の表面115との間隔(ベルト−ボビン間距離)が約2.5〔mm〕になるように、コイルボビン146の配設位置が調整される。メインコア142、センターコア143、裾コア144は、高透磁率のフェライトなどからなり、コイルボビン146の、定着ベルト101側とは反対側の面に配置される。
励磁コイル141は、ベルト幅方向に沿って長く伸びると共に横断面が円弧状の形状になるようにコイルボビン146に導線を巻き回してなる。励磁コイル141の長手方向長さは、定着ベルト101の幅方向長さよりもやや長くなっている。励磁コイル141は、公知の高周波インバータを含む励磁コイル駆動回路(不図示)に接続され、励磁コイル駆動回路からの交流電力の供給により、定着ベルト101の発熱層113を加熱するための磁束を発生させる。
励磁コイル141から発せられた磁束は、メインコア142〜裾コア144により定着ベルト101に導かれ、定着ベルト101の発熱層113の、主に磁束発生部104に対向する部分を貫き、この発熱層113の部分に渦電流を発生させて発熱層113を発熱させる。この発熱量は、用紙幅方向にどの位置でも略均一になるようになっている。
この発熱した部分の熱が定着ベルト101の周回駆動により定着ニップ107の位置で加圧ローラ103等に伝わることにより定着ニップ107の領域が昇温される。なお、図示していないが定着ベルト101の温度を検出するためのセンサが別途配置されており、このセンサの検出信号により定着ベルト101の現在の温度を検出し、この検出温度に基づき定着ニップ107の領域の温度が目標温度に維持されるように励磁コイル141への電力供給が制御される。定着ニップ107の領域が目標温度に維持された状態でシートSが定着ニップ107を通過する際に、シートS上の未定着のトナー像が加熱、加圧されて当該シートS上に熱定着される。
規制板105は、定着ベルト101の周回経路の内側かつ定着ベルト101を介して磁束発生部104に対向する位置に配置され、周回駆動される定着ベルト101の内周面(以下、「ベルト内周面」という。)116に接触して、定着ベルト101をベルト周回方向に案内しつつ、定着ベルト101の周回位置(定着ベルト101と磁束発生部104の相対位置)を規制する。
規制板105は、厚みが約1〔mm〕の銅またはアルミニウムなどの低抵抗導電材料からなる板状部材であり、ベルト幅方向に伸びる長尺状でベルト幅方向両端部が不図示のフレームに固定されると共に、ベルト周回方向に所定の曲率で湾曲する形状に形成されてなる。規制板105の、ベルト内周面116に近い方の主面106(図2)には、複数のリブ(凸状レール)180が突設されている。
図4(a)は、規制板105に設けられたリブ180の構成を示す斜視図であり、図4(b)は、平面図である。両図に示すように、リブ180は、湾曲する主面106に沿ってベルト周回方向上流側の端部から下流側の端部にかけて伸びると共に、ベルト幅方向に垂直な面であり規制板105のベルト幅方向中央(搬送路35のベルト幅方向中央に相当)を含む仮想平面R(図4(b)では同図が平面図なので直線で示している。)を挟んで、ベルト幅方向両側に同じ数、本例では7個ずつ配置されている。
一方の側に配されるリブ180、180・・と、他方の側に配されるリブ180、180・・は、仮想平面Rに対し略面対称の位置関係になると共に、ベルト周回方向に対して、下流側(図3のニップ入口側)で外側に広がるように傾斜角θをもって傾斜している。これにより、面対称の位置関係にあるリブ、例えば同図のリブ180aと180bについて、そのベルト周回方向上流側の端部同士のベルト幅方向における間隔をL1、下流側の端部同士のベルト幅方向における間隔をL2とすると、L1<L2の関係になる。このことは、他の面対称の位置関係にあるリブ同士について同じである。
ここで、リブ180の高さは、例えば2〔mm〕、傾斜角θは、例えば30〔°〕とすることができるが、これに限られることはない。
このようにリブ180を下流側で外側に広がるように設けることにより、定着ベルト101をベルト幅方向中央から外側に広がるように張力を掛けつつベルト周回方向に案内することができ、周回中における定着ベルトの皺発生の防止を図ることができる。
また、隣り合うリブ同士について、中央に近い方に位置するリブのベルト周回方向下流側の端部181(図4(b))と、遠い方に位置するリブのベルト周回方向上流側の端部182(図4(b))とがベルト幅方向において略同じ位置になる、または一部が重なる(オーバーラップする)ように形成されている。同図では、同じ位置の例を示している。
このような位置関係をとることにより、各リブ180をベルト幅方向に間隔をあけて配置しても、ベルト幅方向について見ると隣り合うリブ同士が連続的に繋がったようになる。従って、定着ベルト101が周回すれば、ベルト内周面116のベルト幅方向略全域がリブ180と接触することになり、非接触の部分がなくなる。
定着ベルト101にリブと非接触の部分が存在する場合、その非接触の部分では定着ベルト101の熱が直接、規制板105に伝わらないので、リブとの接触領域との間で、ある程度の温度差が生じることになる。この温度差は、定着ベルト101を低熱容量化により薄肉にしたものほど熱移動が少なくなるために現われ易くなる。
図5は、リブを本実施の形態のように傾斜させた構成と、傾斜させない構成(θ=0〔°〕)における定着ベルト101のベルト幅方向の温度分布を実験により測定した結果のグラフを示す図である。同図は、定着部40をウォームアップ、ここでは室温程度の温度から目標温度まで昇温させたときの当該目標温度に達した時点におけるベルト表面温度の分布を示している。横軸がベルト幅方向の位置を示しており、ゼロの位置が中央(仮想面R(図4(b))の位置)に相当し、縦軸がベルト表面温度を示している。
同図に示すように、本実施の形態に係る構成の温度分布(実線)を見ると、ベルト幅方向全域に渡ってベルト表面温度が安定的に維持されているが、リブを傾斜させない構成の温度分布(破線)を見ると、略一定間隔をおいた各位置でピーク状に落ち込んでベルト表面温度が低下していることが判る。このベルト表面温度が低下している位置は、リブ(θ=0〔°〕)の突設位置に相当し、リブと接触している部分になる。リブとの接触により定着ベルトの熱がリブを介して直接、規制板に伝わって温度が低下したものである。
リブが設けられていない部分(温度が実線よりも高くなっている部分)は、定着ベルトの熱がリブを介して直接、規制板に伝わらないことから、その熱が定着ベルトに籠って、その分リブ傾斜の構成(実線)よりもベルト表面温度が高くなったものと考えられる。
なお、ウォームアップが終了して時間が経過するに連れて、定着ベルト101では、温度の高い部分の熱が低い部分に伝わってベルト表面温度がベルト幅方向に均等化する。
本実施の形態のようにリブ180をベルト周回方向に対し斜行させることにより、定着ベルト101の周回によりベルト内周面116にリブとの非接触の部分ができないようにして、時間経過によらず温度分布をベルト幅方向に略均等化することができ、ベルト幅方向における定着ムラ発生の抑制を図れる。
また、リブ180を設けることにより、リブを設けない構成(従来相当)に比べて連続通紙中におけるベルト表面温度の低下量を少なくすることができる。
図6は、本実施の形態に係るリブを設けた構成と従来相当のリブを設けない構成において連続通紙中におけるベルト表面温度を実験により測定した結果のグラフを示す図である。同図は、定着部40がウォームアップした後、複数枚のシートを連続してプリントしたときのベルト表面温度を示している。
同図に示すように、ウォームアップ後、プリント開始直後(約30秒)頃からリブを設けない構成(破線)の方がリブを設けた構成(実線)よりもベルト表面温度が低くなっていることが判る。これは、次の理由による。
すなわち、リブを設けない構成では、規制板が定着ベルトに面接触するので定着ベルトの熱が規制板に伝わり易く、一方でリブを設けた構成では、面接触に比べて接触領域が少なくなると共に、隣り合うリブとリブの間では空気層が断熱層の作用をするので定着ベルトの熱が規制板に伝わり難いからである。また、ある時間が経過した頃から温度差が出て来ているのは、定着ベルトから規制板への熱の移動が瞬時に行われるのではなく、ある程度の時間をかけて徐々に行われ易いことによる。これらのことから、プリント開始直後頃からこれ以降に、リブを設けない構成の方がリブを設けた構成よりも定着ベルトの熱がより多く規制板に奪われてベルト表面温度が低下したものである。
同図から本実施の形態に係るリブを設けた構成では、プリント開始時とプリント中の温度変化がそれほど大きくないので定着ムラに至り難いが、リブを設けない構成では、温度変化が大きくなるので、それだけ定着ムラの発生に至り易いということになる。
以上説明したように、本実施の形態では、規制板105に複数のリブ180を設け、各リブ180がベルト内周面116に線状に接触して定着ベルト101をベルト周回方向に案内する構成をとったので、規制板がベルト内周面に面接触する構成に比べて規制板のベルト内周面との接触面積が少なくなり、定着ベルトと規制板間の摩擦抵抗を低減できる。これにより、長期的にベルト内周面の磨耗を低減することが可能になり、もって定着ベルトの長寿命化を図ることができる。
また、ベルト内周面116との接触面積が少なくなる分、従来よりも接触している部分を介して直接、定着ベルト101の熱が規制板105に伝わり難くなる。これにより、電磁誘導により定着ベルト101から発せられる熱が規制板105に逃げ難くなって、例えば連続プリント中におけるベルト表面温度の低下を防止して良好な定着を行うことができる。また、目標温度への昇温時間を短くでき、ウォームアップ時間を短縮化も図れる。
さらに、規制板105を銅などの低抵抗導電材料で形成することにより、整磁合金層114の非通紙部Pに対応する部分が磁性体から非磁性体に変化したときに、磁束発生部104から発せられる磁束のうち、整磁合金層114の当該非磁性体に変化した部分と規制板105とを通過する磁束に対して、打ち消す方向の磁束が規制板105において発生し易くなり、発熱層113の発熱をより抑制することができる。なお、低抵抗導電材料としては、上記のものに限られない。例えば、金鍍金したものを用いるとしても良い。
なお、リブ180は規制板105と一体成型により設けられるとしても良いし、別体として接着等により設けられるとしても良い。
<実施の形態2>
上記実施の形態1では、規制板105のリブ180をベルト周回方向に対して下流側で外側に広がるように設けるとしたが、本実施の形態では広がる方向を逆、すなわちベルト周回方向の反対方向に対してベルト周回方向上流側で外側に広くなるようにしており、この点が実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、第1の実施の形態と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
図7は、本実施の形態に係る規制板205の構成を示す平面図である。
同図に示すように、規制板205のリブ280、280・・は、仮想平面Rを挟んで面対称の位置関係にあるリブ同士を仮想平面Rに対し角度θを有すると共に、ベルト周回方向の反対方向に対して上流側(ニップ出口側)で外側に広がるように設けられている。
このようにリブの向きを実施の形態1に対し逆向きにするのは、次の理由による。
すなわち、実施の形態2ではベルト内周面116と規制板205間の摩擦抵抗をより低減させる目的でベルト内周面116に潤滑剤、例えばオイルを塗布している。
このオイルは、定着ベルト101の周回に連れてリブ280を介して規制板205の面206にも伝わることになるが、リブが実施の形態1のように下流側で外側が広がるようになっていると、定着ベルト101が周回する毎にオイルがリブの向きに従ってベルト内周面116を伝って外側に徐々に移動して行き、定着ベルト101のベルト幅方向端部から外に流れ出ることが生じ易くなる。オイルが流れ出ると、その分を追加供給しない限り、やがてオイル切れになって潤滑機能を発揮できなくなってしまう。
そこで、リブ280の向きをベルト周回方向上流側で外側に広がるようにしてオイルがベルト幅方向中央に集まり易くする、換言すると端部からの流出が抑制されるようにして、早期のオイル切れ防止を図れるようにするためである。
潤滑剤としては、潤滑機能を発揮できるものであれば、オイル以外の他のものを用いるとしても良い。また、潤滑剤は、例えば製造時やメンテナンス時などに塗布される。
なお、リブ280の向きを実施の形態1に対し逆向きにすることは、定着ベルト101に皺が発生するように思われるが、潤滑剤により定着ベルト101がリブ280上をベルト周回方向だけでなく幅方向にも滑り易くなるので皺が発生し難く、画質劣化に至る程度の皺が発生することはない。もちろん、実施の形態1と2のいずれの構成を用いるかは、潤滑液の使用の有無に関わらず装置構成に応じて適切なものが実験などから決められることになる。
このようにリブ280をベルト周回方向上流側で外側に広がるように設ける構成をとる場合でも、規制板205とベルト内周面116の接触面積を減らすと共に潤滑剤を用いて両者間の摩擦抵抗をさらに低減させることにより、定着ベルト101の長寿命化を図りつつ定着ベルト101の規制板205への伝熱を抑制して、例えば連続プリント中におけるベルト表面温度の低下を防止して良好な定着を行うことができる。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、定着ベルト101の周回位置を規制する規制部材として、リブを突設した規制板を用いるとしたが、これに限られない。ベルト周回方向に対し角度θ(0≦θ<90°)をなす方向に線状にベルト内周面116に接触する接触部を有する形状(ベルト周回方向またはこれに斜行する方向に伸びた凸状レールがベルト幅方向に間隔をおいて形成されてなる形状)であれば、規制板が面接触する構成よりも定着ベルト101の長寿命化等の効果を得られる。なお、線状とは、ほとんど幅をもたない線としての線接触と、ある程度の幅を有する帯状での接触を含む意味で用いられる。
例えば、凸状レールとしてのリブに代えて、規制板105の主面106上に複数の凸部を上記角度θをなす方向に沿って間隔をあけて列設して、列設された凸部が凸状レールとしてベルト内周面に線状に接触する構成をとることも可能である。さらに、角度θをなす方向に沿って伸びる溝部を規制板に設けるとしても良い。この場合、溝と溝の間における凸状の部分が凸状レールを構成することになる。
なお、θ=0〔°〕の場合、実施の形態1の図5で説明したように定着ベルト101のうち、リブと接触する部分と接触しない部分とで温度差が生じるが、この温度差の大きさは、ベルト厚さや材料など装置構成により異なるものである。従って、ある程度の温度差が生じても、その大きさが定着ムラなどの画質劣化に至らない許容範囲内に収まるのであれば、装置構成に応じてθ=0〔°〕とすることも可能である。
リブと接触する部分と接触しない部分が存在することにより温度差が生じることは、θ=0〔°〕の場合に限られず、0<θ<90〔°〕の範囲内でもリブのベルト周回方向における長さが短ければ同様に生じ得る。このことから隣り合うリブ同士の端部がベルト幅方向に略同じ位置またはオーバーラップする構成に限られないことになる。
また、規制部材は、板状部材に限られない。定着ベルト101の周回経路の内側に配設できれば良く、例えば複数の細い棒状部材をベルト幅方向に間隔をあけると共にベルト周回方向に対し角度θをなす方向に向けて並べたものを用いるとすることも可能であろう。
(2)規制板の形状、大きさ、厚み、材料、リブの数、傾斜角、高さ、突設位置、および定着ベルト101や定着ローラ102などの他の部材について、その大きさ、形状、材料など、さらにベルト−ボビン間距離などが上記のものに限られないことはいうまでもない。また、実施の形態では、規制板105のベルト周回方向中央が仮想平面G(図3:定着ローラ102の回転軸と加圧ローラ103の回転軸の双方を含む平面。同図が断面図なので直線で示されている。)上に位置すると共に仮想平面Gに対し対称姿勢になるように規制板が配置されたが、これに限られず、ベルト周回方向にずれた位置であっても良い。
定着部の構成に応じた適切な形状、大きさ、材料、リブの数、配置位置などが予め実験などから決められる。
(3)上記実施の形態では、定着ベルト101を自己形状保持可能なものを用いるとしたが、これに限られない。また、ベルト周回経路の内側に定着ローラ102と規制板105を配置できる構成(定着ベルト101が定着ローラ102にゆるく嵌められているような構成)であれば良く、例えば定着ベルト101をその周長が上記のものよりも長いもの、または短いものを用いるとしても良い。規制板105についても、そのベルト周回方向長さが上記のものよりも長い、または短いものを用いるとしても構わない。
(4)上記実施の形態では、定着ベルト101が整磁合金層を含むとしたが、これに限られることはない。例えば、定着ベルト101に整磁合金層が含まれず、規制板105に含まれる、具体的には表面側から整磁合金層、低抵抗導電体層の順に積層される構成をとることもできる。また、定着部40に整磁合金層が配されない構成にも適用できる。また、定着ベルト101が発熱層を含むとしたが、これに限られず、例えば規制板105に含まれる構成や定着ベルト101と規制板105両方に含まれる構成をとるとしても良い。
(5)上記実施の形態では、本発明に係る定着装置および画像形成装置をタンデム型カラーデジタルプリンタに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、定着ベルトの周回経路の内側に配された定着ローラをその周回経路の外側から定着ベルトを介して加圧ローラで押圧して定着ニップを確保すると共に、その周回経路の内側に規制板などの規制部材を配置し、規制部材により定着ベルトを周回方向に案内しつつ定着ベルトと磁束発生部との相対位置を規制する構成の電磁誘導加熱方式の定着装置およびこれを備える画像形成装置であれば、例えば複写機、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
また、定着ローラ102と加圧ローラ103を上下の位置関係になるように配置する構成例を説明したが、これに限られず、例えば定着ローラ102と加圧ローラ103を左右の位置関係になるように配置する構成にも適用できる。
さらに、シート搬送方式としてセンター基準の構成例を説明したが、これに限られない。例えば、シートSの搬送路幅方向一端側の辺が搬送路35の一方端側に設けられた基準位置に沿うようにシートSを搬送する、いわゆる片側基準の搬送方式にも適用できる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置に適用することができる。
実施の形態1に係るプリンタの全体の構成を示す図である。 プリンタに配される定着部の構成を示す斜視図である。 定着部の構成を示す横断面図である。 定着部の規制板に設けられたリブの構成を示す図である。 リブを傾斜させた構成と傾斜させない構成における定着ベルトのベルト幅方向の温度分布を測定した結果を示す図である。 リブを設けた構成と従来相当のリブを設けない構成において連続通紙中におけるベルト表面温度を実験により測定した結果を示す図である。 実施の形態2に係る規制板の構成を示す平面図である。 従来の電磁誘導加熱方式の定着装置の構成例を示す断面図である。
符号の説明
1 プリンタ
40 定着部
101 定着ベルト
102 定着ローラ
103 加圧ローラ
104 磁束発生部
105、205 規制板
107 定着ニップ
115 定着ベルトの表面
116 定着ベルトの内周面
180、280 リブ
181 リブのベルト周回方向下流側の端部
182 リブのベルト周回方向上流側の端部
R 仮想平面

Claims (7)

  1. 周回駆動されるベルトの周回経路の内側に配された定着ローラを、前記周回経路の外側から当該ベルトを介して加圧ローラで押圧して、当該ベルト表面と加圧ローラの間に定着ニップを確保すると共に、前記ベルトを電磁誘導により加熱して、未定着画像の形成されたシートを前記定着ニップを通し、前記未定着画像を熱定着する定着装置であって、
    前記周回経路の外側であり前記ベルトの近傍の位置に配され、前記ベルトを加熱するための磁束を発生させる磁束発生部と、
    前記周回経路の内側であり前記ベルトを介して前記磁束発生部に対向する位置に配され、前記周回駆動されるベルトをその周回方向に案内しつつ当該ベルトの周回位置を規制する規制部材と、を備え、
    前記規制部材は、
    前記周回方向またはこれに斜行する方向に伸びた複数の凸状レールが前記ベルトの幅方向に間隔をおいて形成されてなり、当該凸状レールが前記ベルトの内周面に接触して当該ベルトを案内することを特徴とする定着装置。
  2. 前記規制部材は、
    前記ベルトの幅方向に沿って伸びる長尺状の板状部材であり、
    前記凸状レールは、
    前記板状部材に突設されたリブであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記複数のリブのそれぞれは、
    前記周回方向に対して斜行する方向に伸びており、
    前記複数のリブのうち、第1と第2のリブは、
    前記ベルトの幅方向に対して略垂直な面であり、前記板状部材の、前記幅方向略中央に位置する仮想平面を挟んで当該幅方向の両側に略面対称の位置関係になるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記第1と第2のリブの前記幅方向における間隔が、
    前記周回方向上流側の端部同士の間隔よりも、前記周回方向下流側の端部同士の間隔の方が広いことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記第1と第2のリブの前記幅方向における間隔が、
    前記周回方向下流側の端部同士の間隔よりも、前記周回方向上流側の端部同士の間隔の方が広いことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  6. 前記複数のリブのうち、
    隣り合うリブの組であり、それぞれのリブが前記周回方向に対して斜行する方向に伸びていると共に、それぞれのリブの一部が前記ベルトの幅方向において同じ位置またはオーバーラップする位置関係を有するリブの組を含むことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. シート上に未定着画像を形成し、形成された未定着画像を定着部により熱定着する画像形成装置であって、
    前記定着部として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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