JP2009299168A - 高強度鋼線用鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶鋼に対して攪拌精錬を行うことで高強度鋼線用鋼の製造するに際し、疲労性に優れた高強度鋼線用鋼を製造することができるようにする。
【解決手段】溶鋼3に対して攪拌精錬を行うことで高強度鋼線用鋼の製造する製造方法であって、精錬後の溶鋼中の[Si]を0.8〜3.0質量%に設定すると共に、精錬に使用するスラグSの塩基度を前記溶鋼の[Si]に基づいて式(1)の範囲内に設定し、攪拌精錬における攪拌動力量Eを、スラグSの塩基度に基づいて設定して攪拌精錬を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、高強度鋼線用鋼の製造方法に関するものである。
従来より、転炉以降に行われる二次精錬において、非金属介在物の低減を図ることによって、線材の耐疲労性や耐断線性を向上させる製造方法として様々な技術が開発されてきている。
特許文献1の高炭素鋼の製造方法では、Cを0.70〜0.95重量%含有する溶鋼中に、不活性ガスを吹き込み撹拌することにより取鍋精錬を行う高炭素鋼の製造方法において、80°以下の接触角でスラグが溶鋼表面を被覆した状態で、ε≧0.366R(48g(ρm −ρs )σ/ρs 2)0.581により表される流量で不活性ガスを撹拌ガスとして吹き込むことで、介在物の低減を図っている。
特許文献2のばね用鋼材の製鋼精錬方法では、C:0.50〜0.90質量%、Si:1.80〜3.00質量%、Mn:0.5〜1.0質量%、Cr:0.10〜0.90質量%、V:0.05〜0.15質量%、Ni:0.30質量%以下を含有する溶鋼とスラグとを反応させることによって、介在物の低減を図っている。
特許文献3の鋼中非金属介在物の組成制御方法では、鋼中非金属介在物のAl23濃度が所定の範囲にはいるように、スラグの塩基度およびAl23 濃度の目標値を定め、この目標値になるように精錬を行うことで、介在物の低減を図っている。
特許文献4の伸線性及び清浄度に優れた線材用鋼の製造方法では、C:0.20〜0.95質量%、Si:0.10〜0.35質量%、Mn:0.20〜0.90質量%からなる線材用鋼を製造するに際して、(a)製鋼炉で溶製した前記線材用鋼を取鍋においてAlを添加せずSiおよびMnで脱酸し、(b)前記脱酸した溶鋼に取鍋内の溶融スラグの成分組成(質量%)を、塩基度が1〜1.5、Al23が5質量%未満、MgOが10〜20質量%になるように副原料を添加し、(c)前記取鍋に、電極とアルゴンガス吹き込みランスを挿入できる孔と、副原料を投入できる孔とを設けた蓋を配置し、前記ランスからアルゴンガスを吹き込み、電極に通電し、溶鋼を加熱し、不活性雰囲気下において精錬を行うことで、介在物の低減を図っている。
上記の特許文献1〜特許文献4では、ばね鋼などの線材を対象として溶鋼内の介在物を低減することによって、耐疲労性や耐断線性を向上させるための製造方法における技術である。さて、上述したように、線材以外を対象として溶鋼内の介在物の低減を図るものとして、特許文献5に示す技術がある。
特許文献5のFe−Ni合金の精錬方法では、Si:0.001〜0.30wt%,Mn:0.001〜0.60Wt%,Ni:20〜50wt%,Al:0.0001〜0.020wt%, 残部はFeおよびC、P,S,Cu等の不可避的不純物からなり、非金属介在物の組成が基本的に、MnO-SiO2−Al23系で、かつ、MnOが5〜50wt%,SiO2が30〜60wt%,Al23が5〜30Wt%であり、さらに、その他の不可避的不純物として含まれるCaOおよびMnOが合計で30wt%のFe−Ni合金冷延板を製造するに際し、溶解した原料の酸化精錬後、SiまたはSi合金鉄を添加する脱酸工程において、生成するスラグの塩基度(C/S)とSi濃度を制御することで、介在物の低減を図っている。
特開2000−212636号公報 特開2003−268437号公報 特開平7−188726号公報 特許第3994456号 特開2002−4006号公報
特許文献1〜特許文献4では、不活性ガスを溶鋼に吹き込む際の溶鋼の攪拌度合いや介在物除去に非常に大きな役割を果たすスラグの塩基度についての技術が部分的に開示されているものの、攪拌動力密度と、スラグの塩基度と、ばね鋼などの強度を必要とする線材において疲労寿命(疲労性)に大きく影響を与えるシリカ系介在物とのそれぞれの関連性は開示されておらず、これらの特許文献1〜特許文献4の技術を用いても、疲労寿命(疲労性)に優れた高強度鋼線用鋼を確実に製造することは困難であった。
一方で、特許文献5には、溶鋼中の[Si]とスラグの塩基度との関係性が開示されているが、この技術は、ばね鋼などの強度を必要とする線材(高強度鋼線用鋼)とは異なる特性を有するFe−Ni合金冷延板を製造するためのものであって、この技術用いて、高強度鋼線用鋼を製造することは困難である。
そこで、本発明は、溶鋼に対して攪拌精錬を行うことで高強度鋼線用鋼の製造するにあたり、疲労性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、溶鋼に対して攪拌精錬を行うことで高強度鋼線用鋼の製造する製造方法であって、前記精錬後の溶鋼中の[Si]を0.8〜3.0質量%に設定すると共に、精錬に使用するスラグの塩基度を前記溶鋼の[Si]に基づいて式(1)の範囲内に設定し、前記攪拌精錬における攪拌動力量Eを、前記スラグの塩基度に基づいて式(2)の範囲内に設定して、精錬を行う点にある。
Figure 2009299168
発明者は、疲労性に優れた高強度鋼線用鋼の製造するための条件を様々な観点から検証を行った。
ばね鋼(特に、弁ばね用鋼)やスチールコード用鋼の高強度鋼線用鋼を製造する場合、鋼の特性上、まず、二次精錬を行う前に溶鋼のSiキルドを行うため、二次精錬時の溶鋼はSiO2が多量に含まれる状態にある。そのため、発明者は、SiO2が多量に含まれる溶鋼に対して二次精錬を行うことから、介在物の中でも疲労特性に影響を与える硬質介在物(シリカ系介在物)に着目して二次精錬時の条件について検証を行った。
二次精錬において、シリカ系介在物の除去するにはスラグの塩基度が重要であり、シリカ系介在物は溶鋼内の[Si]と関連することから、[Si]に基づいてスラグの塩基度を決定することにした。
また、[Si]によって塩基度が設定されたスラグがシリカ系介在物の除去に十分に働くためには、溶鋼を攪拌する攪拌動力密度及び精錬時間も重要であることから、スラグの塩基度から攪拌動力密度及び精錬時間を指標とした攪拌動力量を決定することにした。
その上で、[Si]とスラグの塩基度との適正値を実験等により求めると共に、スラグの塩基度と攪拌動力量との適正値を実験等により求めた。
即ち、様々な実験等の結果、溶鋼中の[Si]、スラグの塩基度、攪拌動力密度及び精錬時間のぞれぞれのバランスを、シリカ系介在物を効率良く除去するという観点から適宜、設定することによって、疲労性に優れた高強度鋼線用鋼の製造するための条件を見出した。
本発明によれば、溶鋼に対して攪拌精錬を行うことで高強度鋼線用鋼の製造するに際して、疲労性に優れた高強度鋼線用鋼を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、二次精錬装置の全体図を示しめしている。
図1に示すように、二次精錬装置1は、溶鋼3を攪拌して精錬を行う(以降、攪拌精錬ということがある)ことができるもので、不活性ガスを種々の方法で吹き込むことのよって溶鋼3を攪拌するか、あるいは、交番磁場を形成させてローレンツ力により溶鋼3を撹拌することで攪拌精錬を行うものである。
詳しくは、二次精錬装置1は、溶鋼3が装入された取鍋2と、取鍋2の溶鋼3内に不活性ガスを吹き込むことで溶鋼3を攪拌したり交番磁場によって溶鋼3を攪拌することができる攪拌装置5を備えている。二次精錬装置1の上部、即ち、取鍋2の上方には溶鋼3に造滓材等の副原料を投入するホッパー7が設けられている。
この二次精錬装置1によって、攪拌精錬を行うにあたっては、まず、ホッパー7を介して造滓材等(副原料)を投入することでスラグSを造滓すると共にスラグSの塩基度(C/S)等を調整し、溶鋼3内に不活性ガスを吹き込み(取鍋ガス攪拌精錬)、或いは、交番磁場によって溶鋼3を攪拌する(取鍋電磁誘導攪拌精錬)ことで成分調整や介在物の除去を行う。
以下、本発明の製造方法について詳しく説明する。
本発明の製造方法は、冷間伸延線性に優れた高強度鋼線を製造するための高強度鋼線用鋼の製造方法である。この高強度鋼線用鋼の製造方法は、特に、ばね用鋼、その中でも特に硬質介在物が非常に少ないことが要求される弁ばね用鋼やスチールコード用鋼を製造するための方法である。
高強度鋼線用鋼の製造方法では、取鍋ガス攪拌精錬、或いは、取鍋電磁誘導攪拌精錬を行った後(精錬後)の溶鋼中の[Si]が、0.8〜3.0質量%の範囲内となるように、二次精錬装置1で精錬を行うこととしている。
詳しくは、[Si]=0.8〜3.0質量%の範囲内で、最終精錬後の溶鋼内の[Si]の目標値を設定して、当該目標値を達成するように、取鍋ガス攪拌精錬、或いは、取鍋電磁誘導攪拌精錬を行う。
取鍋ガス攪拌精錬及び取鍋電磁誘導攪拌精錬において、使用する両者のそれぞれのスラグSの塩基度は、上述したように、目標とした精錬後の[Si]に基づいて式(1)の範囲内となるように設定される。詳しくは、[Si]の目標値を式(1)に代入してスラグSの塩基度の範囲を求め、求めたスラグSの塩基度の範囲内で精錬を行うこととしている。
Figure 2009299168
なお、スラグSの塩基度については、精錬を開始する前に造滓材等を添加することによって式(1)の範囲内となるように調整している。また、スラグSの塩基度は精錬中に殆ど変化することがないため、精錬中のスラグSの塩基度は、精錬終了後に行われるスラグSの成分分析の結果と同等であると考えても良い。
上記の説明では、精錬中のスラグSの塩基度が式(1)を満たすように精錬するとしているが、言い換えると、精錬後のスラグSの塩基度が式(1)の範囲を満たすように精錬してもよい。
また、取鍋ガス攪拌精錬あるいは取鍋電磁誘導攪拌精錬において、溶鋼3を攪拌する強さ(攪拌動力量E)は、式(1)の範囲内となるように設定したスラグSの塩基度に基づき、式(2)の範囲内に設定し、攪拌動力量Eを満たすように、溶鋼3の攪拌を行う。
Figure 2009299168
詳しくは、攪拌動力量Eは、式(3)に示すように、取鍋ガス攪拌精錬の攪拌動力密度ε1、取鍋ガス攪拌精錬の精錬時間t1、取鍋電磁誘導攪拌精錬の攪拌動力密度ε2及び取鍋ガス攪拌精錬の精錬時間t2で表されるもので、取鍋ガス攪拌精錬における溶鋼3の攪拌度合いと、取鍋電磁誘導攪拌精錬における溶鋼3の攪拌度合いとを合わせた指標である。
Figure 2009299168
式(3)で求められる攪拌動力量Eが、式(2)の範囲に入るように、取鍋ガス攪拌精錬の攪拌動力密度ε1及び精錬時間t1を設定し、取鍋電磁誘導攪拌精錬の攪拌動力密度ε2及び取鍋ガス攪拌精錬の精錬時間t2を設定して、精錬を行う。
なお、取鍋ガス攪拌精錬での攪拌動力密度ε1は、式(4)で求められ、取鍋電磁誘導攪拌精錬の攪拌動力密度ε2は、式(5)で求められる。
Figure 2009299168
式(4)における攪拌動力密度ε1の算出方法は、「森、佐野:鉄と鋼,第67巻,1981年,672頁」に開示されていて一般的なものである。式(5)における攪拌動力密度ε2の算出方法は、「大西ら:鉄と鋼,第69巻,1983年,A53頁」に開示されていて一般的なものである。
攪拌動力密度ε1を式(4)から求めると共に、攪拌動力密度ε2を式(5)から求める際での各種値は、下記に示すものを採用している。なお、各種値の求め方などは、当業者常法で行うこととし、下記の示すものに限定されない。
ガス流量Vgは、不活性ガスを吹き込む配管に不活性ガスの流量を測定する流量計を設けて当該流量計で測定した値である。また、ガス吹き込み深さHは、ガス吹き込み口から溶鋼3の湯面までの高さである。
処理前溶鋼温度Tは、二次精錬開始前(取鍋精錬開始前)に取鍋2の上部から消費型の熱電対を溶鋼3に挿入して溶鋼3の温度を測定した値である。溶鋼重量MLは取鍋2をクレーンで吊り上げてクレーンに設けたロードセルにより総重量を測定して、その総重量から取鍋2の空重量を差し引いた値である。
固有抵抗ρは、電磁攪拌装置5の電磁誘導コイル9が有する固有の抵抗値である。周波数は、電磁攪拌装置5の電磁誘導コイル9の周波数を用いた。なお、周波数の範囲は、一般的には1〜10Hzである。また、透磁率μは、装置固有の値を用いた。透磁率μの範囲は、一般的には0.5〜2.0×10-6Ωmである。
取鍋直径dは、精錬する前(使用する前)の取鍋2内の内径であって、溶鋼3と接する耐火物の接触範囲における最大値(耐火物間の最大距離)を用いた。なお、取鍋直径dは、耐火物の凹凸を考慮しても、攪拌動力密度に換算して±0.2の誤差であるため、攪拌動力密度ε2に影響しないと思われる。
したがって、取鍋直径dの値を決定するにあたっては、可及的に取鍋2内での最大径を採用すれば、多少の値に変化があっても良い。取鍋外周面積Sは、取鍋直径dに溶鋼深さ(溶鋼高さ)を乗算すると共に円周率を乗算する値である(溶鋼深さ×d×π)。
以上、本発明によれば、精錬後の溶鋼中の[Si]を0.8〜3.0質量%の範囲内で目標値を設定し、この目標値に基づいて精錬の際のスラグSの塩基度を式(1)により設定し、攪拌動力量Eを式(1)の範囲内となるスラグSの塩基度に基づいて設定した上で、上記により設定したスラグSの塩基度及び攪拌動力量Eに基づいて精錬を行っている。
表1は、攪拌精錬、即ち、取鍋ガス攪拌精錬あるいは取鍋電磁誘導攪拌精錬を行うことで高強度鋼線用鋼の製造を行った実施条件を示している。表2は、表1の実施条件に基づき、本発明の高強度鋼線用鋼の製造方法により高強度鋼線用鋼の製造を行った実施例をまとめたものである。また、表3は、表1の実施条件に基づき、本発明の高強度鋼線用鋼の製造方法とは異なる方法で高強度鋼線用鋼の製造を行った比較例をまとめたものである。
Figure 2009299168
Figure 2009299168
Figure 2009299168
表1〜表3に示すように、実施例及び比較例では、取鍋ガス攪拌精錬あるいは取鍋電磁誘導攪拌精錬とを行った後に、精錬後の溶鋼3に対して鋳造及び圧延を行って、φ8mmの線材を製造して、中村式回転曲げ疲労試験(例えば、社団法人 日本ばね工業会、ばね論文集 第37号、中村式回転曲げ疲労試験における荷重と応力とたわみの解析、綾田倫彦、高村典利、著)に基づいて評価を行うこととした。
中村式回転曲げ疲労試験で示されているように、一般的には、介在物(シリカ系介在物)の大きさが30μm以上となる介在物が含まれる溶鋼3(鋼材)においては、かかる介在物を起点として内部割れ(金属疲労による割れ)が発生し易く、疲労寿命が極端に低下することが知られている。
そのため、疲労寿命の向上、即ち、疲労性に優れた高強度鋼線用鋼を製造する評価をするために、実施例及び比較例では、φ8mmの線材のシリカ系介在物の最大の大きさをEPMA(電子プローブ・マイクロアナライザー)で計測して、シリカ系介在物の最大の大きさが30μmを超えるものを不良「評価 ×」とし、30μm以下のものを良好「評価、○」とした。
なお、EPMAで観測された介在物の組成がCaO−Al23−SiO2−MgOの4元系換算でSiO2が55%以上含有するものをシリカ系介在物とした。また、使用したEPMAは日本電子社製「JXA−8000」シリーズで、測定条件は加速電圧20kv、X線種はK線、ビーム径は2μmとし、EDS検出器を使用した。
表2の実施例1〜実施例26では、精錬後の溶鋼中の[Si]を0.8〜3.0質量%とし、スラグSの塩基度(C/S)を式(1)を満たすように[Si]から求めて精錬を行うと共に、求めた塩基度と式(2)から攪拌動力量Eの範囲を求めて、当該攪拌動力量Eの範囲を満たすように、取鍋ガス攪拌精錬での攪拌動力密度及び精錬時間を設定して精錬を行うと共に、電磁誘導攪拌精錬での攪拌動力密度及び精錬時間を設定して精錬を行っている、即ち、攪拌精錬を行っているので、シリカ系介在物の最大の大きさを30μm以下にすることができた(表2、評価、○)。
表3の比較例27〜比較例37では、スラグSの塩基度(C/S)が式(1)を満たす条件下で精錬を行っていないと共に、攪拌動力量Eが式(2)を満たす条件下で精錬(攪拌精錬)を行っていないため、シリカ系介在物の最大の大きさを30μm以下にすることができず、その介在物の大きさは30μmよりも大きくなった(表2、評価、×)。
比較例38〜比較例44では、攪拌動力量Eが式(2)を満たす条件下で精錬を行っているものの、式(1)を満たす条件下で精錬を行っていないため、シリカ系介在物の大きさは30μmよりも大きくなった(表2、評価、×)。
比較例45〜比較例52では、式(1)を満たす条件下で精錬を行っているものの、攪拌動力量Eが式(2)を満たす条件下で精錬を行っていないため、シリカ系介在物の大きさは30μmよりも大きくなった(表2、評価、×)。
図2は、溶鋼内の[Si]とスラグSの塩基度との関係を、実施例及び比較例の結果に基づいてまとめたものである。
図2に示すように、スラグSの塩基度(C/S)=0.0227×[Si]+0.632を示すラインL1と、0.0182×[Si]+0.936を示すラインL2と、[Si]=0.80を示すラインL3と、[Si]=3.0を示すラインL4とに囲まれた領域に、実施例及び比較例Cが入っていて、実施例A及び実施例Bは領域から外れた状態となる。
図3は、スラグSの塩基度と攪拌動力量Eとの関係を、実施例及び比較例の結果に基づいてまとめたものである。
図3に示すように、攪拌動力量E=−198.6×C/S+1041.3を示すラインL5と、−304.3×C/S+1789.1を示すラインL6と、スラグSの塩基度の上限値([Si]=3.0質量%)=1.00を示すラインL7と、スラグSの塩基度の下限値([Si]=0.6質量%)=0.65を示すラインL8とに囲まれた領域に、実施例が入っていると共に、比較例Cは領域から外れている。
したがって、図2及び図3の全ての領域を満たす条件、即ち、ラインL1及びラインL2で示される式(1)、ラインL3及びラインL4で示される[Si]=0.8〜3.0質量%、ラインL5及びラインL6で示される式(2)を満たすことによって、図4に示すように、介在物の大きさを30μm以下にすることができる。
以上、ばね鋼、特に硬質介在物を嫌う弁ばね用鋼やスチールコード用鋼を製造するにあたって、介在物の組成をコントロールし、製品に有害な介在物を析出させないことが重要である。本発明による製造方法により、有害な介在物を発生させず、介在物の起因による折損または断線を防止することができ、疲労寿命の向上が図れると共に、ばね、弁ばね及びスチールコードの製品に対する信頼性向上を得ることができる。そして、上述したように、実施例に基づいた製品と、比較例の製品とを比較すると、明らかにその疲労寿命に優位差が認められた。
本発明の高強度鋼線用鋼の製造方法は上記実施形態に限定されない。即ち、上記の実施形態では、1つの二次精錬装置1で取鍋ガス攪拌精錬あるいは取鍋電磁誘導攪拌精錬とを行うものとしていたが、装置は上記実施例に限定されず、取鍋ガス攪拌精錬を単独で行うものと、取鍋電磁誘導攪拌精錬を単独で行うものとを組み合わせて、上述した高強度鋼線用鋼の製造を行ってもよい。
取鍋ガス攪拌精錬を行う装置は、上記の他に、電極を有するLF装置であってもよい。
取鍋ガス攪拌精錬と取鍋電磁誘導攪拌精錬との精錬の順番は、限定されず、取鍋ガス攪拌精錬の終了後に取鍋電磁誘導攪拌精錬を行ってもよいし、取鍋電磁誘導攪拌精錬の終了後に取鍋ガス攪拌精錬を行っても良い。
二次精錬装置の全体図である。 溶鋼内の[Si]とスラグの塩基度との関係をまとめた図である。 スラグの塩基度と攪拌動力量との関係をまとめた図である。 溶鋼内の[Si]と介在物の大きさをまとめた図である。
符号の説明
1 二次精錬装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 溶鋼攪拌装置
5 電磁攪拌装置
7 ホッパー
8 ポーラス
9 電磁誘導コイル
10 配管
11 流量計
E 攪拌動力量
S スラグ

Claims (1)

  1. 溶鋼に対して攪拌精錬を行うことで高強度鋼線用鋼の製造する製造方法であって、
    精錬後の溶鋼中の[Si]を0.8〜3.0質量%に設定すると共に、精錬に使用するスラグの塩基度を前記溶鋼の[Si]に基づいて式(1)の範囲内に設定し、
    前記攪拌精錬における攪拌動力量Eを、前記スラグの塩基度に基づいて式(2)の範囲内に設定して、精錬を行うことを特徴とする高強度鋼線用鋼の製造方法。
    Figure 2009299168
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