JP2002206144A - 表面性状に優れたFe−Ni系合金およびその製造方法 - Google Patents

表面性状に優れたFe−Ni系合金およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面性状のより優れたFe−Ni系合金と、その薄
板とくに冷延板と、これを好適に製造し得るFe−Ni系合
金板の製造方法を提供すること。 【解決手段】Si:0.001 〜0.3 wt%、Mn:0.01〜0.5 wt
%、Ni:30〜45wt%、Al:0.005 wt%以下を含み、残部
がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、か
つ前記不可避的不純物の中には、CaO +MgO +FeO :1
〜50wt%を含むMnO-SiO-Al O-CaO-MgO-FeO系非金
属介在物を含有することを特徴とするFe−Ni系合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品用材料と
して用いられるFe−Ni系合金、特に、表面性状に優れた
該Fe−Ni系合金の薄板、およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】Niを30〜45wt%含有するFe−Ni系合金
は、その特性から電子部品材料として多く用いられてい
る。例えば、Niを36wt%含有するFe−Ni系合金は、熱膨
張率が極めて低いことから、シャドウマスク材やバイメ
タル材として用いられている。また、42wt%含有するFe
−Ni系合金は熱膨張率が低くかつ、電気伝導性に優れて
いることから、リードフレーム材として用いられてい
る。これらのFe−Ni系合金は、数百μm以下の薄板(冷
延板)に圧延され、エッチングが施されて製品化され
る。
【0003】Fe−Ni系合金は、その溶製時にAlを添加す
ると、たとえその量が微量であったとしても、 AlO
系の非金属介在物が生成しやすい。しかも、この非金属
介在物は、クラスター化して粗大化しやすいので、表面
性状を悪化させる。 その表面性状を向上させるために
は、 AlOクラスターの発生を阻止すると共に、発生
したそのクラスターを除去することが望まれる。しかし
ながら、クラスター化した非金属介在物は見かけの比重
が溶鋼の比重と近くなるため、取鍋やタンディッシュあ
るいはモールド内に浮上除去することは困難であること
が知られている。
【0004】そこで、この間題の解決策として、従来、
特開平6-41687 号公報では、合金組成としてMn:0.1 〜
0.4 wt%、Si:0.05〜0.2 wt%、酸可溶性Al:0.001 〜
0.003 wt%のものを溶製することで、非金属介在物の組
成をMnO-SiO-AlO系に制御する方法、あるいは、
特開平225881号公報では、Al:0.003 wt%以下、かつ、
Si(wt%)/Al(wt%)≧10として非金属介在物の組成
をMn−シリケート系に制御する方法などが提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記各従来技術にあっ
ては、表面疵等の欠陥が生じにくいFe−Ni系合金の薄板
が得られた旨が報告されているが、このような薄板は発
明者らの研究によると、Alの低レベル添加時におけるAl
成分のコントロール下では、副原料のCaO やCaF ある
いはFe−Si合金中のAlやAlOの存在のために、技術
的に困難である。しかも、所定量以上のAlが混入する虞
れがあり、再び AlOクラスターが生成してしまう。
また、上掲の技術によると、清浄度が高いと、表面性状
に悪影響を及ぼす危険性がある旨を指摘している。
【0006】そこで、本発明は、表面性状のより優れた
Fe−Ni系合金、特に冷延板の如きその薄板とその冷延板
を好適に製造し得るFe−Ni系合金板の製造方法を提供す
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、圧延時や成
形時に表面疵が生じたFe−Ni系合金板の疵部分を詳細に
調査したところ、表面疵の原因は、クラスター状 AlO
およびクラスター状MgO ・AlO系非金属介在物に
あることがわかった。それは、この種の非金属介在物は
高融点であり、クラスター化しやすく硬質であることが
原因である。本発明者らは、このような調査結果をもと
に非金属介在物組成について種々検討したところ、非金
属介在物の組成が基本的に、MnO-SiO-AlO-CaO-Mg
O-FeO系であり、かつ、MnO :5〜45wt%、SiO:10〜
65wt%、かつ、CaO 、MgO およびFeO の合計量が1〜50
wt%であり、そして不可避的不純物中のAlOが40wt
%以下であるシリケート系介在物である場合、さらに、
MgO ・AlOスピネルが、体積比にして総介在物量の5
0 vol%以下、好ましくは45 vol%以下であれば、クラ
スターを形成せず、表面性状に悪影響を及ぼすことな
く、そして表面疵の発生原因になりにくいことを見出し
た。また、このような非金属介在物は、熱問および冷間
圧延で微細に分断されるので、清浄度に優れることも判
った。
【0008】本発明は、上記の知見に基いて開発された
ものであり、Si:0.001 〜0.3 wt%、Mn:0.01〜0.5 wt
%、Ni:30〜45wt%、Al:0.005 wt%以下を含み、残部
がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、か
つ前記不可避的不純物の中には、CaO +MgO +FeO :1
〜50wt%を含むMnO-SiO-AlO-CaO-MgO-FeO系非金
属介在物を含有することを特徴とする表面性状に優れた
Fe−Ni系合金を基本とする。
【0009】また、本発明は、 上記成分に加えてさら
に、Mg:0.001wt %以下、Ca:0.002wt%以下、O:0.0
005〜0.02wt%、Nb:0.001 〜2.0 wt%、Co:1〜8wt
% (好ましくは2〜7wt%) を含有すること、上記MnO-
SiO-AlO-CaO-MgO-FeO系非金属介在物は、MnO :
5〜45wt%、SiO:10〜65wt%、AlO:40wt%以
下、好ましくは30wt%以下、より好ましくは20wt%以
下、さらに好ましくは10wt%以下を含有し、かつCaO+Mg
O+FeO :1〜50wt%であること、そして上記不可避的不
純物の中には、MnO-SiO-AlO-CaO-MgO-FeO系非金
属介在物の他に、MgO・AlOスピネルを、体積比にし
て全非金属介在物量の50%以下を含有することが好まし
い。
【0010】また、本発明に係るFe−Ni系合金は、薄板
のとき、そのの圧延方向に平行な断面における「JIS G
O555」による清浄度が0.05以下であることが好ましい。
【0011】本発明はさらに、Fe-Ni 系合金の溶製に際
し、Niを30〜45wt%含有する合金溶湯をSiおよびMnで脱
酸すると共に、CaO-SiO-MgO-AlO- F系スラグを
用いて、請求項1または2に記載の組成となるように成
分調整を行い、その後該合金溶湯を鋳造し、次いで均熱
炉で均熱した後熱間圧延し、その後冷間圧延することを
特徴とする表面性状に優れたFe−Ni系合金の製造方法を
提案する。
【0012】
【発明の実施の形態】発明者らは、アルミナおよびスピ
ネルのクラスター形成を防止することを目的に種々の実
験を行った。その実験方法は、アルゴン雰囲気に調整さ
れたチャンバー内に10kg容量のMgO 製るつぼを設置して
なる高周波誘導加熱炉を使用し、前記るつぼ中に電解
鉄、電解Niを収容して溶解し、合金溶湯に種々の組成の
CaO-SiO -MgO-AlO- F系スラグを用いて、金属S
i、金属Mnおよび金属Alを種々の組成にて添加して脱酸
を施し、所定の時間経過後、鋳型に鋳込んで、鋼魂を作
製した。得られた鋼塊は所定の温度に加熱し、鍛造し、
その後、熱間圧延および冷間圧延を施して、Fe−Ni系合
金の薄板を作製した。
【0013】このようにして得られたFe−Ni系合金の薄
板について、非金属介在物の形態および変形能の調査を
行った他、熱間圧延して厚さ5.5 mmの圧延板を作成
し、介在物組成をEDSにて測定し、さらに、非金属介
在物の変形能を顕微鏡観察にて行った。その後、冷間圧
延を施して、厚さ0.25mmの薄板を作成し、この薄板の
圧延方向に平行な断面の「JIS G 0555」による清浄度測
定および板表面20m当りの表面欠陥個数の測定を行っ
た。
【0014】上記各試験の結果、Alは少量でも、アルミ
ナクラスターを形成するため、極力少ないことが好まし
いことがわかった。即ち、 非金属介在物の組成は、全て
がAl Oの場合はクラスターを形成して表面疵を発生
してしまい、一方、全てがスピネルの場合にも同じよう
にクラスターを形成し、表面疵を発生してしまうので好
ましくない。
【0015】一方、その非金属介在物がMnO-SiO-Al
O-CaO-MgO-FeO系の形態をとる場合には、クラスター
が生成せず、表面疵が発生しないため、合金板の表面性
状は良好なものになった。そしてさらに調査した結果で
は、MnO-SiO-AlO-CaO-MgO-FeO系非金属介在物
は、CaO+MgO+FeO の合計量が1〜50wt%、好ましくは10
〜40wt%のとき、MnO-SiO系介在物を低融点化する作
用が生じることを見出した。
【0016】ところで、上掲の非金属介在物をMnO-SiO
-AlO-CaO-MgO-FeO系に制御する方法としては、Fe
−Ni系合金溶湯中に、 まずMn合金を、次いでSi合金を添
加することにより、非金属介在物の成分組成をMnO −Si
O系のものに制御する。その上で、CaO は、Si合金中
に含まれるCaをMnO −SiO系介在物と反応させること
により添加し、MgO は、スラグ中MgO をSi合金で還元し
て生成する溶鋼中溶存Mgを、MnO-SiO系介在物と反応
させることにより添加し、FeO は、酸素濃度が0.0005〜
0.02wt%の範囲であれば、介在物をMnO −SiO系に制
御できるので、この介在物をFeと反応させることにより
添加することにより行う。ただし、AlOは、クラス
タの形成防止のためには少ないことが好ましい成分であ
るが、AlやAlOは、副原料であるCaO やCaF、ある
いはSi合金中にも含まれており、これらが該介在物中に
不可避に混入する。この意味で、副原料としては、Alお
よび AlO濃度が低い原料をもちいることが好まし
い。このような原料をもちいることにより、 AlO
40wt%以下、好ましくは30wt%以下、より好ましくは20
wt%以下、さらに好ましくは10wt%以下に制御すること
ができる。
【0017】このように制御されて生成するMnO-SiO-
AlO-CaO-MgO-FeO系非金属介在物は、熱間圧延工程
で塑性変形しやすく、一方では表面性状に優れたFe−Ni
系合金の製造に有利である。なお、上記実験において、
表面性状が良好なチャージの全てに MgO・AlOスピ
ネルが観察されないわけではない。化学的に抽出した全
介在物量の中には、体積比にして、MgO ・AlOスピ
ネルが50 vol%以下、好ましくは45 vol%以下であれば
クラスターを形成せず、一方、 清浄度0.05以下の条件を
満たしつつ、良好な表面性状のFe−Ni系合金が得られ
る。
【0018】次に、合金成分組成の限定の理由について
説明する。Siは、合金の成分組成熱膨張率を上げる元素
であり、0.3 wt%を超えると、熱膨張率が大きくなりす
ぎて電子部品材料として適当でない。一方、 この量が0.
001 wt%未満では脱酸力が弱くなって清浄度が低下す
る。したがって、Siの含有量は0.001 〜0.3 wt%とし
た。好ましくは、0.005 〜0.1 wt%である。
【0019】Mnは、介在物組成をMnO-SiO系に制御す
るために、有用な元素であるが、熱膨張率を上昇させる
元素でもある。こうした観点から、Mn含有量を、0.01〜
0.5wt%と定めた。好ましくは、0.01〜0.3wt %であ
る。
【0020】Niは、熱膨張率に大きく影響を及ぼす元素
であり、200 ℃では36wt%付近、500 ℃では42wt%付近
で熱膨張率が極小となることが知られている。即ち、 30
wt%未満、または50wt%超えると熱膨張率が大きくなり
過ぎ、用途的にシャドウマスク材やリードフレーム材に
は適しなくなる。したがって、Niの含有量は30〜45wt%
とした。
【0021】Alは、所定量以上混入すると AlOクラ
スターが生成してしまう危険性がある。但し、Alの低レ
ベル制御は技術的に困難である。そこで、本発明では不
可避的不純物として含まれるAlは、0.005 wt%以下と制
限する。好ましくは、0.003wt%以下である。このAl
は、工業規模での生産においては、合金元素として添加
したものではないが、副原料としてのCaO やCaF、あ
るいは脱酸用Si合金中に含まれるAlあるいは AlO
起因して混入するので、副原料等はなるべく、Alおよび
AlO濃度の低いものを厳選して使用する必要があ
る。
【0022】Mgは、非金属介在物組成を熱間圧延にて塑
性変形しやすいMnO-SiO-AlO-CaO-MgO-FeO系のも
のに制御するために有用な元素である。しかし、0.001
wt%を超えるとノズル閉塞などの操業上の問題を引き起
こす。したがって、0.001 wt%以下とした。好ましく
は、0.0008wt%以下である。
【0023】Caは、非金属介在物組成を熱間圧延にて塑
性変形しやすいMnO-SiO-AlO-CaO-MgO-FeO系のも
のに制御するために有用な元素である。しかし、0.002
wt%を超えると、該非金属介在物中のCaO 濃度を上昇さ
せ、耐食性に悪影響を与え、製品にする際のエッチング
時に、エッチングむらを引き起こす危険性がある。した
がって、Caは0.002 wt%以下とした。好ましくは、0.00
15wt%以下である。
【0024】Oは、濃度が高いと清浄度を悪化させると
ともに、介在物組成をMnO-SiO-Al O-CaO-MgO-FeO
系のものに制御することができなくなる。また、このO
濃度が低いと、介在物組成をMnO-SiO-AlO-CaO-Mg
O-FeO系のものに制御することができなくなるばかり
か、表面欠陥の原因である、高融点で硬い AlOや M
gO・ AlO系になり、表面欠陥などの間題が発生す
る。したがって、Oは0.0005〜0.02wt%とした。好まし
くは、0.001 〜0.01wt%である。
【0025】本発明においてはさらに、必要に応じて、
Nb,Coを添加させることができる。これらのうち、Nb
は、シャドウマスクの強度を向上させるために有用な元
素であり、適正な範囲では熱膨張率が大きくならないよ
うにするため、0.001 〜2.0 wt%の範囲内で添加する。
また、Coは、シャドウマスクの強度を向上させる元素で
あるとともに、Niと最適範囲で組み合わせると熱膨張率
を36Niよりも小さくすることができる。このCoが1〜8
wt%を外れると、熱膨張率が大きくなり、シャドウマス
ク材料として適しなくなるため、1〜8wt%とするが、
好ましくは2〜7wt%がよい。
【0026】前述したように、非金属介在物は、クラス
ター化しにくく、かつ熱間圧延および冷間圧延工程で微
細に分断されて清浄度の向上が図られるようにするとい
う観点から、本発明のFe−Ni系合金に含有される非金属
介在物の組成および種類は、基本的には、MnO-SiO-Al
O-CaO-MgO-FeO系のものとし、MnO :5〜45wt
%、SiO:10〜65wt%、 AlO:40wt%以
下、そしてCaO +MgO +FeO:1〜50wt%の組成を有
するものとする。この理由は、該非金属介在物を熱間圧
延時あるいは冷間圧延時に延伸させ、安定して分断性の
良好な低融点介在物とするためである。
【0027】この非金属介在物の主成分は、MnO :5〜
45wt%、SiO:10〜65wt%、および(CaO +MgO
+FeO ):1〜50wt%とするが、これは低融点の延
伸性の良好なマンガン・シリケート系介在物にするため
である。ここで、MnO が5wt%より少ないと、非金属介
在物が高融点になり、延伸性が無くなって清浄度が悪化
し、45wt%より多い場合も該非金属介在物が高融点に
なり、延伸性が無くなって、清浄度が悪化する。
【0028】同様にSiOが10wt%より少ないと、非
金属介在物が高融点になり、延伸性が無くなって清浄度
が悪化し、一方、65wt%より多い場合も、同様に非金
属介在物が高融点になり、延伸性が無くなって清浄度が
悪化する。
【0029】そして、CaO およびMgO が50wt%以上含ま
れると、これらは酸可溶性なのでエッチング時にエッチ
ング不良が発生する。また、FeO は50wt%以上含まれる
と、酸素含有量が0.02wt%を超えてしまい、非金属介在
物の生成量が増加して、清浄度が0.05を超えるようにな
る。一方、CaO 、FeO 、MgO は、これらの和が1wt%よ
りも少なくなると、非金属介在物が高融点になり、大型
の介在物が残留して表面疵を発生させたり、清浄度が0.
05を超えてしまったりする。
【0030】次に、AlOは40wt%以下とする。このA
lOは、精錬時の副原料中のCaOやCaF、あるいはSi
合金中に含まれるAlおよびAlOに起因して生成する
ものである。このAlOが40wt%を超えると、非金属
介在物の形態が急激に、アルミナあるいはスピネルのク
ラスターを形成して表面欠陥の原因となる危険性が生じ
るからである。その危険の程度は、 AlO量が多くな
るほど高く、少ないほど低くなる。従って、 AlO
は、好ましくは30wt%、より好ましくは20wt%、さら
に好ましくは10wt%と少なくなるほど良い結果になる。
【0031】また、本発明のFe−Ni系合金中の該非金属
介在物中のMgO ・ AlOスピネルの割合は、体積比に
して総介在物量の50 vol%以下、好ましくは45 vol%以
下、さらに好ましくは40 vol%以下とする。この理由
は、熱間圧延および冷間圧延後の圧延方向に平行な断面
の介在物形態の調査結果より、クラスターを形成せず、
工業的に安定して表面性状の良好な製品を製造すること
が可能となるからである。一方、このものがあまりに多
いと、硬質のクラスターを形成し表面性状に対して有害
となる。
【0032】
【実施例】以下に、実施例を提示して本発明の効果をよ
り明らかにする。 (1)冷延板の製造 表1 に示す金属組成を有する本発明に係る実施例1〜9
(ただし、8は、Fe−36wt%Ni−0.17wt%Nb合金、9
は、Fe−32wt%Ni− 5.1wt%Co合金) のFe−Ni合金冷延
板と、本発明の要件から外れる比較例1〜9のFe−Ni合
金冷延板とを、以下のようにして製造した。これらの冷
延板は、実施例9を除きFe−36wt%Niを基本とし、残部
は不可避的不純物である。
【0033】
【表1】
【0034】上記の合金は、スクラップやNiなどからな
る原料60t を電気炉で溶解しながら、Fe−36wt%Niの
組成に調整し、次いでAOD処理、VOD処理およびA
OD→VOD処理の3通りのいずれかの処理より、酸化
精錬(脱炭、脱燐、脱クロム等)を行った。続いて、A
ODあるいはVODにおいて、酸化期のスラグを除去
し、石灰石、螢石、および珪砂のうちの1種または2種
以上をフラックスとして添加し、所定の塩基度に調整し
た。次に、Si合金鉄を添加して溶鋼を脱酸し、取鍋精錬
装置で微量成分調整および温度制御を行った後、普通造
塊に鋳造するか、または連続鋳造機によって鋳造した。
その後、普通造塊の場合は鍛造工程をはさんでから、鋳
塊に熱間圧延を施し、5.5 mm厚のFe−Ni合金熱延板を
得て、さらにその後、冷間圧延を施して、0.25mm厚の
Fe−Ni合金の冷延板を得た。なお、表1には精錬工程の
種別を併記した。
【0035】(2)調査および評価 実施例1〜9および比較例1〜9の熱延板および冷延板
につき、以下の調査を行った。その結果を表2に示す。 A.非金属介在物の組成 EDS(エネルギー分散型分析装置)により、鋼塊中介
在物を30箇所ずつ定量分析して非金属介在物の組成を
調査した。 B.清浄度 「JIS GO555 」にしたがい、光学顕微鏡によって圧延方
向に平行な断面を400倍/60視野の条件で観察した。 C.表面欠陥数 表面の任意の20m部分に疵等の表面欠陥がいくつ存
在するかを目視で観察した。
【0036】
【表2】
【0037】表2から明らかなように、非金属介在物組
成が、MnO-SiO-AlO-CaO-MgO-FeO系で、MnO :5
〜45wt%、SiO:10〜65wt%、かつCaO +MgO +FeO
:1〜5 wt%、またはAlOを40wt%以下であり、そ
して介在物中のMgO ・AlOスピネル割合を体積比に
して総介在物量の50 vol%以下にした場合には、クラス
ターを形成しないため、表面欠陥が無く、清浄度も0.05
以下と表面性状に優れた冷延板となった。
【0038】これに対し、比較例では、介在物中のCaO
+MgO +FeO が50wt%を上回る場合、非金属介在物がク
ラスター化してしまい、表面欠陥が発生したり、清浄度
が0.05を上回り、良好な冷延板が得られなかった。ま
た、介在物中のMgO ・AlOスピネル割合を体積比に
して総介在物量の50 vol%より大きい場合は、クラスタ
ーを形成してしまうため、表面欠陥が発生し、良好な表
面性状の冷延板が得られなかった。
【0039】また、Si、Mnが請求範囲、Si:0.001 〜0.
3 wt%、Mn:0.05〜0.6 wt%を満たさないと、電子材料
としての熱膨張係数が好適な範囲を外れるので好ましく
ないことがわかった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係るFe
−Ni系合金は、表面品質および内部品質ともに良好な製
品が安定して得られる。また、本発明方法によれば、優
れた表面特性を有するFe−Ni合金の薄板を、工業規模で
安価に製造することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si:0.001 〜0.3 wt%、Mn:0.01〜0.5 wt
    %、Ni:30〜45wt%、Al:0.005 wt%以下を含み、残部
    がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、か
    つ前記不可避的不純物の中には、CaO +MgO +FeO :1
    〜50wt%を含むMnO-SiO-Al O-CaO-MgO-FeO系非金
    属介在物を含有することを特徴とする表面性状に優れた
    Fe−Ni系合金。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のFe-Ni 系合金において、
    上記成分に加えてさらに、Mg:0.001 wt%以下、Ca:0.
    002 wt%以下、O:0.0005〜0.02wt%を含有することを
    特徴とする表面性状に優れたFe−Ni系合金。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のFe−Ni系合金に
    おいて、上記成分に加えてさらに、Nb:0.001 〜2.0 wt
    %を含有することを特徴とする表面性状に優れたFe−Ni
    系合金。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3のうちのいずれか1
    に記載のFe−Ni系合金において、上記成分に加えてさら
    に、Co:1〜8wt%を含有することを特徴とする表面性
    状に優れたFe−Ni系合金。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3または4のうちのいずれ
    か1に記載のFe-Ni 系合金において、上記MnO-SiO-Al
    O-CaO-MgO-FeO系非金属介在物は、MnO :5〜45wt
    %、SiO:10〜65wt%、AlO:40wt%以下を含有
    し、かつCaO+MgO+FeO :1〜50wt%であることを特徴と
    する表面性状に優れたFe−Ni系合金。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4または5のいずれか
    1に記載のFe−Ni系合金において、上記不可避的不純物
    の中には、MnO-SiO-AlO-CaO-MgO-FeO系非金属介
    在物の他に、MgO ・AlOスピネルを、体積比にして
    全非金属介在物量の50 vol%以下を含有することを特徴
    とする表面性状に優れたFe−Ni系合金。
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4、5または6のいず
    れか1に記載のFe−Ni系合金を薄板にしたとき、この薄
    板の圧延方向に平行な断面における「JIS G O555」によ
    る清浄度が0.05以下であることを特徴とする表面性状に
    優れたFe−Ni系合金。
  8. 【請求項8】Fe−Ni系合金の溶製に際し、Niを30〜45wt
    %含有する合金溶湯をSiおよびMnで脱酸すると共に、Ca
    O-SiO-MgO-AlO- F系スラグを用いて、請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の組成となるように成分調整
    を行い、その後、成分調整した合金溶湯を鋳造し、次い
    で均熱炉で均熱した後熱間圧延し、その後冷間圧延する
    ことを特徴とする表面性状に優れたFe−Ni系合金の製造
    方法。
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