JP2009298996A - 樹脂発泡体の製造方法及び樹脂発泡体 - Google Patents

樹脂発泡体の製造方法及び樹脂発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】大量の植物性材料を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて常法により射出成形し、発泡させることができる樹脂発泡体の製造方法、及び軽量であって、且つ十分な剛性を有し、大量の植物性材料を含有するため環境面でも好ましい樹脂発泡体を提供する。
【解決手段】溶融混合装置1を用いて、熱可塑性樹脂802を溶融させながら植物性材料801と混合して熱可塑性樹脂組成物を調製する溶融混合工程と、熱可塑性樹脂組成物803を加熱せず押し固めて熱可塑性樹脂組成物からなるペレット804を作製するペレット化工程と、ペレット804と発泡剤805とをドライブレンドして発泡剤付着ペレット806とする発泡剤混合工程と、発泡剤付着ペレット806を成形型に射出して充填し、その後、成形型のコア側を後退させて発泡させる射出成形工程と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は樹脂発泡体の製造方法及びこの方法により製造される樹脂発泡体に関する。更に詳しくは、本発明は、大量の植物性材料を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて常法により射出成形し、発泡させることができる樹脂発泡体の製造方法に関する。また、この方法により製造され、軽量であって、且つ十分な剛性を有し、大量の植物性材料を含有するため環境面でも好ましい樹脂発泡体に関する。
近年、ケナフ等の、短期間で成長し、且つ二酸化炭素吸収量が多い植物資源が、二酸化炭素排出量削減及び二酸化炭素固定化等の観点から注目されている。また、この植物資源を熱可塑性樹脂に配合した熱可塑性樹脂組成物が、各種の用途で用いられる成形品等の原材料として期待されており、このような熱可塑性樹脂組成物を用いてなる成型品等に関する技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照。)。
特開2005−105245号公報 特開2000−219812号公報 特開2007−326998号公報
一般に、植物性材料を含有する樹脂は流動性が低く、射出成形及び押出成形等の樹脂自体の良好な流動性を必要とする成形方法により、所定の外観及び物性等を有する成形品とすることは容易ではない。その理由は定かではないが、熱可塑性樹脂と植物性材料とが相互に十分に分散し難いこと、及び熱可塑性樹脂と植物性材料との界面の密着性が十分ではないこと等に起因すると考えられている。特に、大量の植物性材料を樹脂に含有させる場合は、植物性材料を数度に分けて混合を繰り返す等、多くの操作及び時間を必要とする。更に、発泡体の場合は、外観、物性ともに良好な製品とするのは、より難しく、大量の植物性材料を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて射出成形等により発泡体を製造する方法は知られていない。
特許文献1には、ケナフ繊維を含有するポリ乳酸樹脂組成物を用いて射出成形することが開示されているが、ケナフ繊維の含有量が過多であると、均一な分散ができず、組成物の流動性が著しく低下し、成形機内で組成物が詰まってしまうことがあり、良好な製品とすることができない。また、特許文献2には、50質量%以上のケナフ繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物が開示されているが、品質の安定した実用的な製品とするためには、ケナフ繊維の他、石油樹脂、ロジン及びその誘導体を配合する必要がある。更に、特許文献3には、多量の植物材料を含有するにもかかわらず、流動性に優れ、射出成形可能な成形材料が開示されているが、このような成形材料とするためには植物材料が多くのリグニンを含有することを必須としている。このように、特許文献1〜3には熱可塑性樹脂に多くの植物性材料を含有させることは開示されている。しかし、大量のケナフ繊維等を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて発泡体を製造することについては何ら記載されていない。
本発明は、上記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、大量の植物性材料を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて常法により射出成形し、発泡させることができる樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的とする。また、軽量であって、且つ十分な剛性を有し、大量の植物性材料を含有するため環境面でも好ましい樹脂発泡体を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
1.熱可塑性樹脂及び植物性材料を含有し、且つ該熱可塑性樹脂と該植物性材料との合計を100質量%とした場合に、該植物性材料が50〜95質量%である樹脂発泡体の製造方法であって、溶融混合装置を用いて上記熱可塑性樹脂を溶融させながら上記植物性材料と混合して熱可塑性樹脂組成物を調製する溶融混合工程と、上記熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めて、該熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを作製するペレット化工程と、上記ペレットと発泡剤とをドライブレンドし、該発泡剤を該ペレットに付着させて発泡剤付着ペレットとする発泡剤混合工程と、上記発泡剤付着ペレットを成形型に射出して充填し、その後、該成形型のコア側を後退させて発泡させる射出成形工程と、を備えることを特徴とする樹脂発泡体の製造方法。
2.上記熱可塑性樹脂を100質量部とした場合に、上記発泡剤は0.1〜10質量部である上記1.に記載の樹脂発泡体の製造方法。
3.上記溶融混合装置は、上記溶融及び上記混合をするための混合室及び該混合室内に配設された混合羽根を備え、上記溶融混合工程は、上記混合室内で上記混合羽根の回転により溶融された上記熱可塑性樹脂と、上記植物性材料とが混合される工程である上記1.又は2.に記載の樹脂発泡体の製造方法。
4.上記ペレット化工程は、ダイと該ダイに接して回転するローラーとを備えるローラー式成形機の該ローラーにより上記熱可塑性樹脂組成物を該ダイ内に圧入し、その後、該ダイから押し出して上記ペレットを形成する工程である上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法。
5.上記植物性材料はケナフである上記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法。
6.上記熱可塑性樹脂はポリプロピレン樹脂である上記1.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法。
7.上記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法により製造されることを特徴とする樹脂発泡体。
8.上記樹脂発泡体の発泡倍率が1倍を越え、10倍以下である上記7.に記載の樹脂発泡体。
本発明の樹脂発泡体の製造方法によれば、大量の植物性材料を含有する熱可塑性樹脂組成物であるにもかかわらず、発泡剤が滑剤として作用し、流動性が向上することもあって、常法により射出成形し、樹脂発泡体を製造することができる。
また、熱可塑性樹脂を100質量部とした場合に、発泡剤が0.1〜10質量部であるときは、熱可塑性樹脂組成物の流動性が十分に向上し、且つ所定の発泡倍率を有する樹脂発泡体を容易に製造することができる。
更に、溶融混合装置が、溶融及び混合をするための混合室及び混合室内に配設された混合羽根を備え、溶融混合工程が、混合室内で混合羽根の回転により溶融された熱可塑性樹脂と、植物性材料とが混合される工程である場合は、特に、植物性材料の含有量が多い熱可塑性樹脂組成物を容易に調製することができ、植物性材料の含有量が多い樹脂発泡体を容易に製造することができる。
また、ペレット化工程が、ダイとダイに接して回転するローラーとを備えるローラー式成形機のローラーにより熱可塑性樹脂組成物をダイ内に圧入し、その後、ダイから押し出してペレットを形成する工程である場合は、溶融混合装置を用いてなり、植物性材料を多量に含有するため、必ずしも流動性が十分ではない熱可塑性樹脂組成物であっても容易にペレット化することができる。また、一工程でペレット化することができるため、極めてペレット化効率がよい。更に、加熱せずにペレット化することができるため、熱可塑性樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂の熱劣化を防止することができ、十分な剛性等を有する樹脂発泡体を容易に製造することができる。
更に、植物性材料がケナフである場合は、このケナフが短期間で成長する一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性等を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、及び森林資源の有効利用等に貢献することができる。
また、熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合は、取り扱いが容易であり、樹脂発泡体の生産性を向上させることができ、所定形状の樹脂発泡体をより容易に製造することができる。
本発明の樹脂発泡体は、本発明の方法により製造され、軽量であって、且つ十分な剛性を有し、大量の植物性材料を含有するため環境面でも好ましい樹脂発泡体である。
また、樹脂発泡体の発泡倍率が1倍を越え、10倍以下である場合は、軽量であって、且つ十分な剛性等を有する樹脂発泡体とすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]樹脂発泡体の製造方法
本発明の樹脂発泡体の製造方法は、熱可塑性樹脂及び植物性材料を含有し、且つこれらの合計を100質量%とした場合に、植物性材料が50〜95質量%である樹脂発泡体の製造方法であって、溶融混合装置を用いて熱可塑性樹脂を溶融させながら植物性材料と混合して熱可塑性樹脂組成物を調製する溶融混合工程と、熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めて、熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを作製するペレット化工程と、ペレットと発泡剤とをドライブレンドして発泡剤付着ペレットとする発泡剤混合工程と、発泡剤付着ペレットを成形型に射出して充填し、その後、成形型のコア側を後退させて発泡させる射出成形工程と、を備える。
即ち、本発明の樹脂発泡体の製造方法は、溶融混合工程、ペレット化工程、発泡剤混合工程、及び射出成形工程を備える。
(1)溶融混合工程
上記「溶融混合工程」は、溶融混合装置を用いて、熱可塑性樹脂と植物性材料とを溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を調製する工程である。
上記「熱可塑性樹脂」は特に限定されず、種々の樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル樹脂(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂、及びポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂)、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いてなる樹脂)、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、並びにABS樹脂等が挙げられる。この熱可塑性樹脂は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂のうちのポリ乳酸と他の樹脂との混合物(ポリ乳酸アロイ樹脂)のうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレンがより好ましい。更に、ポリ乳酸アロイ樹脂としては、ポリ乳酸と、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリブチレンサクシネート樹脂のうちの少なくとも1種との混合物が好ましい。
また、ポリエステル樹脂としては、生分解性を有するポリエステル樹脂(以下、単に「生分解性樹脂」という。)が好ましい。生分解性樹脂としては、(1)乳酸、リンゴ酸、グルコース酸及び3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体、並びにこれらのヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種を用いた共重合体などのヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル樹脂、(2)ポリカプロラクトン及びカプロラクトンと少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸との共重合体などのカプロラクトン系脂肪族ポリエステル樹脂、(3)ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート及びポリブチレンアジペートなどの二塩基酸ポリエステル樹脂等が挙げられる。
生分解性樹脂としては、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除く他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、及びカプロラクトンと少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸との共重合体が好ましく、ポリ乳酸がより好ましい。これらの生分解性樹脂は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、乳酸としては、L−乳酸とD−乳酸とが挙げられ、これらの乳酸は、いずれか1種のみ用いてもよく、併用してもよい。
上記「植物性材料」は、植物に由来する材料であればよく、特に限定されない。この植物性材料としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ、ヒノキ等)、各種広葉樹及び綿花などの植物体を用いてなる植物性材料が挙げられる。この植物性材料は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、ケナフが好ましい。ケナフは短期間で成長する一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、ケナフを用いた場合、大気中の二酸化炭素量の削減、及び森林資源の有効利用等に貢献することができる。
また、植物性材料として用いる植物体の部位は特に限定されず、木質部、非木質部、葉部、茎部及び根部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定部位のみを用いてもよく、2箇所以上の異なる部位を併用してもよい。また、植物性材料の形態も特に限定されず、繊維状の植物性材料(即ち、植物性繊維)を用いてもよく、粉末状の植物性材料を用いてもよく、これらを併用してもよい。
ケナフは靭皮と称される外層部分とコアと称される木質の芯材部分とからなるが、本発明の方法では、ケナフの靭皮及びコアのいずれも用いることができる。靭皮は、強靱な繊維を有するため利用価値が高いのに対して、コアはケナフ全体の60体積%程度を占めるにもかかわらず、廃棄又は燃料化されることが多い。これは、コアは靭皮に比べて繊維長が短く、且つ見掛け比重が小さく、嵩高いため、取り扱い難く、熱可塑性樹脂との混練が容易ではないためである。しかし、本発明の方法では、コアであっても、熱可塑性樹脂と十分に均一に混合することができるとともに、容易に射出成形することができ、十分な剛性等を有する樹脂発泡体とすることができる。
尚、本発明において用いられるケナフとは、木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。また、本発明の方法では、ジュートも好ましい植物性材料であり、このジュートとは、ジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、綱麻(ツナソ)、シマツナソ及びモロヘイヤを含む麻、並びにシナノキ科の植物などが含まれる。
上記「溶融混合装置」は、熱可塑性樹脂を溶融させながら、この熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合することができる装置であればよく、溶融混合装置の種類などは特に限定されない。この溶融混合装置としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、高速流動式ミキサー、バドルミキサー、リボンミキサー等のミキサー及びニーダーなどの各種の装置を用いることができるが、下記の溶融混合装置が特に好ましい。
即ち、溶融混合装置としては、溶融及び混合をするための混合室、並びに混合室内に配置された混合羽根を備え、混合室内で、混合羽根の回転により昇温し、溶融した熱可塑性樹脂と、植物性材料とを混合することができる溶融混合装置が好ましい。この溶融混合装置は、混合室と混合羽根とを備える他は、その構成は特に限定されないが、国際公開04/076044号パンフレットに記載された溶融混合装置1が特に好ましい[以下、図3(特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレットに記載された図1を引用する。)及び図4(特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレットの図2を引用する。)参照]。
この溶融混合装置1としては、材料供給室13と、材料供給室13に連設された混合室3と、材料供給室13と混合室3とを連通して回動自在に設けられた回転軸5と、材料供給室13内の回転軸5に配設され、且つ材料供給室13に供給された混合材料(熱可塑性樹脂及び植物性材料を含有する。)を、混合室3へ搬送する螺旋状羽根12と、混合室3内の回転軸5に取り付けられ、且つ混合材料を混合する混合羽根10a〜10fと、を備える溶融混合装置が好ましい。
この特定の溶融混合装置を使用し、混合材料を溶融混合装置1の材料供給室13へ投入し、溶融混合装置1の混合羽根10a〜10fを回転させることにより、熱可塑性樹脂及び植物性材料がともに、混合室3の内壁に向かって押し付けられ、衝突し、混合羽根10a〜10fの回転とともに回転方向に移送され、且つ材料同士が衝突し、これらにより発生する熱により短時間で昇温し、熱可塑性樹脂が溶融し、植物性材料と混合され、更には混練される。尚、調製される熱可塑性樹脂組成物は射出成形するのに十分な流動性を有する。
混合羽根10a〜10fは、回転軸5の周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向するとともに、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で回転軸5に配設された少なくとも2枚の混合羽根10a〜10fにより構成され、混合羽根10a〜10fの回転軸5に対する取付け角は、回転軸5に取り付けられる混合羽根10a〜10fの根元部から半径方向外方の先端部まで同一であることが好ましい。更に、混合羽根10a〜10fは矩形板状であることが好ましい。また、混合室は、混合室を構成する壁体に冷却媒体を循環させることができる混合室冷却手段(例えば、冷却水の流通流路等)を備えることがより好ましい。この構成により、混合室内の過度な温度上昇を抑えることができ、熱可塑性樹脂の熱劣化及び分解を防止、又は少なくとも抑制することができる。
上記「混合」は、熱可塑性樹脂を溶融させながら、溶融した熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合することができればよく、混合時の各種条件は特に限定されない。例えば、混合時の温度は、熱可塑性樹脂が溶融する温度であればよく、特に限定されないが、混合初期は、混合室外壁の温度を200℃以下、特に150℃以下、更に120℃以下に制御することが好ましい。更に、熱可塑性樹脂が溶融した状態では、混合室外壁の温度を50℃以上、特に60℃以上、更に80℃以上に制御することが好ましい。また、溶融に必要な高温に達するまでの時間は10分以内、特に5分以内と短時間であることが好ましい。短時間で高温に達することにより熱可塑性樹脂の劣化をより効果的に抑えることができる。更に、混合初期から高温に達し、更には溶融状態で比較的低温に維持される合計時間も15分以内、特に10分以内であることが好ましい。
また、混合時の温度は、溶融混合装置の混合羽根の回転速度により制御することが好ましい。具体的には、混合羽根の先端の周速度が5〜50m/秒となるように制御することが好ましい。この範囲に制御することにより、熱可塑性樹脂を溶融させながら効率よく植物性材料とより短時間で、且つより均一に混合することができる。尚、混合羽根の回転数は、混合羽根の長さ等にもより、特に限定されないが、混合羽根の先端の周速度が5〜50m/秒となる回転数であることが好ましく、例えば、1000〜3000rpm、特に1500〜2500rpmとすることができる。
更に、混合の終点は特に限定されないが、回転軸に負荷されるトルクの変化により決定することができる。即ち、回転軸に負荷されるトルクを測定し、そのトルクが最大値となった後、混合を停止することが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂と植物性材料とを相互に十分に分散させ、混合させることができる。また、トルクが最大値となった時点で直ちに混合を停止するのではなく、トルクが低下し始めてから混合を停止することがより好ましく、最大トルクの40%以上、更に50〜80%のトルク範囲まで低下した時点で混合を停止することが特に好ましい。これにより、熱可塑性樹脂と植物性材料とを相互により十分に分散させ、混合させることができるとともに、混合室から混合物(熱可塑性樹脂組成物)を160℃以上の温度で取り出すことができるため、混合室内に熱可塑性樹脂組成物が付着して残存することをより確実に防止することができる。尚、植物性材料は、溶融混合装置への投入前に押し固めてペレット化して用いてもよい。
溶融混合工程で用いる熱可塑性樹脂と植物性材料との量比は特に限定されないが、調製される熱可塑性樹脂組成物における量比と同じであり、更には、通常、この熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めてペレット化して作製したペレットに含有される熱可塑性樹脂と植物性材料との量比と同じである。従って、通常、後述するペレットにおける熱可塑性樹脂と植物性材料との量比となるように熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合する。
また、溶融混合工程で調製した熱可塑性樹脂組成物の形態は特に限定されないが、例えば、上述の好ましい溶融混合装置を用いた場合は、塊状の熱可塑性樹脂組成物として調製される。そのため、この塊状の熱可塑性樹脂組成物をチップ化して次工程で用いることが好ましい。塊状の熱可塑性樹脂組成物のチップ化の方法は特に限定されず、破砕、裁断、及びこれらの組み合せ等を利用することができる。即ち、破砕機、裁断機等を用いてチップ化することができる。これらの方法のうちでは塊状物を破砕する、即ち、破砕機を用いてチップ化することが好ましい。
塊状の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、粉砕機により粉末にすることもできるが、植物性材料の配合による熱可塑性樹脂の強度の補強が十分になされないため、チップ化することが好ましい。このチップの大きさは、最大長が25mm以下(通常、1mm以上)であることが好ましく、最大長が1〜20mm、特に1〜15mm、更に2〜7mmであることがより好ましい。この範囲の最大長であれば、後述のペレット化が容易であり、且つ射出成形により製造される樹脂発泡体においても植物性材料による補強作用が十分に発揮される。
尚、溶融混合工程では、熱可塑性樹脂と植物性材料とを予め混合して用いることもできる。例えば、熱可塑性樹脂と植物性材料とが含有されるマット成形体及び/又はボード成形体等を用いることもできる。また、これらの成形体等は、本発明における樹脂発泡体の製造のためのみを目的として製造された成形体等であってもよく、他の成形品を製造する過程で発生した端材などであってもよい。
マット成形体は、熱可塑性樹脂と植物性材料とを用いてマット状(不織布状)に成形した成形体であり、通常、不織布を製造する各種の方法により成形することができる。例えば、熱可塑性樹脂繊維と植物性繊維とをエアーレイにより同時堆積させる等により混繊して成形することができる。このマット成形体の密度は0.3g/cm以下(通常、0.05g/cm以上)である。更に、マット成形体の厚さも特に限定されないが、10mmを越え(通常、50mm以下)、特に10〜50mm、更に10〜30mmである。
一方、ボード成形体としては、(1)熱可塑性樹脂と植物性材料とを含有する複合材料をボード状(板状)に成形した成形体、(2)上記(1)のボード成形体を所定形状に賦形した成形体、等が挙げられ、溶融混合工程では、上記(2)の賦形時に発生した端材を用いることもできる。このボード成形体は、通常、予め加熱されたマット成形体を冷間圧縮する、又はマット成形体を加熱圧縮する等の方法により成形することができる。ボード成形体の密度は特に限定されないが、0.3g/cmを越える(通常、1.0g/cm以下)。また、ボード成形体の厚さも特に限定されないが、通常、10mm以下であり、0.1〜5.0mm、特に1.0〜3.0mmである。
尚、マット成形体及びボード成形体の各々の密度はJIS K7112(プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法)に準じて測定された値である。
(2)ペレット化工程
上記「ペレット化工程」は、熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めて、熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを作製する工程である。
上記「ペレット」は、熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めたペレットであり、従って、このペレットには熱可塑性樹脂と植物性材料とが含有される。このペレットを100質量%とした場合、ペレットに含有される熱可塑性樹脂と植物性材料との合計量は特に限定されないが、通常、90質量%以上(100質量%であってもよい。)であることが好ましい。熱可塑性樹脂及び植物性材料を除く他の成分としては、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤等が挙げられ、熱可塑性樹脂としてポリ乳酸が含有される場合は、加水分解防止剤が配合されていてもよい。これらの他の成分は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。また、本発明では、熱可塑性樹脂と植物性材料との分散、混合を促進するためのロジン等の助剤は必要としない。
更に、ペレットの形状及び大きさは特に限定されないが、その形状は角柱形、円柱形等の柱状であることが好ましく、円柱形であることがより好ましい。また、その大きさは最大長が1mm以上(通常、20mm以下)であることが好ましく、1〜10mm、特に2〜7mmであることがより好ましい。
ペレット化工程では、加熱せず押し固めてペレット化することができればよく、どのような装置及び手段を用いてもよいが、特に各種の圧縮成形方法を用いることが好ましい。この圧縮成形方法としては、例えば、ローラー式圧縮成形方法及びエクストルーダ式圧縮成形方法等が挙げられる。ローラー式圧縮成形方法では、ローラー式成形機が使用され、ダイに接して回転するローラーにより組成物がダイ内に圧入された後、ダイから押し出されて成形される。このローラー式成形機としては、ダイ形状が異なる、ディスクダイ方式(ローラーディスクダイ式成形機)とリングダイ方式(ローラーリングダイ式成形機)等が挙げられる。一方、エクストルーダ式圧縮成形方法では、エクストルーダ式成形機が使用され、スクリューオーガの回転により組成物がダイ内に圧入された後、ダイから押し出されて成形される。これらの圧縮成形方法のうちでは、特に、ローラーディスクダイ式成形機を用いる方法が好ましい。この圧縮成形方法で用いられるローラーディスクダイ式成形機は圧縮効率が高く、本発明の製造方法におけるペレット化工程に特に好適である。
更に、本発明の製造方法では、特定のローラーディスクダイ式成形機500(図1及び主要部を例示した図2参照)を用いてペレット化することが特に好ましい。即ち、複数の貫通孔511が穿設されたディスクダイ51と、ディスクダイ51上を転動し、貫通孔511内に被圧縮物(熱可塑性樹脂組成物)を押し込むプレスローラ52と、プレスローラ52を駆動する主回転軸53と、を備え、ディスクダイ51は、貫通孔511と同方向に貫通する主回転軸挿通孔512を有し、主回転軸53は、主回転軸挿通孔512に挿通され、且つ主回転軸53に垂直に設けられたプレスローラ固定軸54を有し、プレスローラ52は、プレスローラ固定軸54に回転可能に軸支されて主回転軸53の回転にともなってディスクダイ51表面を転動するローラーディスクダイ式成形部50を有するローラーディスクダイ式成形機(ペレット化装置)500を用いることが好ましい。このローラーディスクダイ式成形機500では、上記の構成に加えて、更にプレスローラ52が表面に凹凸521を有していることがより好ましい。また、主回転軸53の回転にともなって回転する切断用ブレード55を備えていることがより好ましい。
上記のローラーディスクダイ式成形機500では、例えば、図2では、主回転軸53の上方から投入された被圧縮物(熱可塑性樹脂組成物)を、プレスローラ52の表面の凹凸521が補足し、貫通孔511内に押し込み、押し込まれた被圧縮物はディスクダイ51の裏面側から押し出される。押し出された紐状の熱可塑性樹脂組成物は、切断用ブレード55により適宜の長さに切断されてペレット804として回収される。
熱可塑性樹脂組成物は、通常、押出機等を用いてペレット化されるが、本発明の製造方法では、加熱せず押し固めてペレット化する。このように加熱せず押し固めてペレット化することにより、熱可塑性樹脂組成物の流動性の影響を受けることなく、容易にペレット化することができる。更に、加熱しないことにより、熱可塑性樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂の熱劣化を抑えることができ、製造される樹脂発泡体の機械的特性の低下を抑えることもできる。
(3)発泡剤混合工程
上記「発泡剤混合工程」は、ペレットと発泡剤とをドライブレンドして発泡剤付着ペレットとする工程である。
上記「発泡剤」は特に限定されず、樹脂の発泡に用いられる有機系及び無機系の各種の発泡剤を用いることができる。有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ系発泡剤;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ系発泡剤;p,p−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルセミカルバジド等のスルホニルヒドラジド系発泡剤;トリヒドラジノトリアジン等のトリアジン系発泡剤;5−フェニルテトラゾール、アゾビステトラゾールジグアニジン、アゾビステトラゾールアミノグアニジン等のテトラゾール系発泡剤などが挙げられる。また、無機系発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
ペレットに付着する発泡剤の付着量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂、即ち、ペレットに含有される熱可塑性樹脂を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部とすることが好ましく、1.0〜9.0質量部、特に2.0〜8.0質量部とすることがより好ましい。このような付着量であれば、所定の発泡倍率の樹脂発泡体を容易に製造することができる。
発泡剤混合工程では、ペレットと発泡剤とをドライブレンドすることができればよく、どのような混合装置(図1のペレット混合装置600)及び手段を用いてもよい。この発泡剤混合工程で用いる発泡剤混合装置(ブレンダー)としては、ジャータンブラー、プラウシャーミキサー、パドルブレンダー、リボンブレンダー、ロータリーブレンダー、高速ロータリーブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー及びスーパーミキサー等が挙げられる。これらのブレンダーは1種のみ用いてもよく、2種以上を順次併用して混合してもよいが、通常、1種のブレンダーのみで十分である。
(4)射出成形工程
上記「射出成形工程」は、発泡剤付着ペレットを射出成形して樹脂発泡体を製造する工程である。
この射出成形に用いる射出成形機及び各種の成形条件等は特に限定されず、樹脂発泡体の発泡倍率、剛性等、及び用いられる熱可塑性樹脂の種類等により、適宜の射出成形機を使用し、所定の成形条件等とすることができる。
本発明の製造方法では、発泡剤付着ペレットを成形型に射出して充填し、その後、成形型のうちの移動型をコアバックさせることにより発泡させる。成形型の固定型と移動型の各々の型の成形壁面間のコアバック前のクリアランスは、樹脂発泡体の形状、用途等によって適宜設定することができるが、このクリアランスは1〜10mm、特に1〜7mmとすることができる。また、発泡剤付着ペレットを成形型に射出し、充填するときに、ペレットに付着した発泡剤が滑剤として作用するため、射出、充填し易く、所定の発泡倍率、剛性等を有する樹脂発泡体を効率よく製造することができる。
[2]樹脂発泡体
本発明の方法により製造される樹脂発泡体の形状及び寸法等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この樹脂発泡体の発泡倍率も特に限定されないが、1倍を越え、10倍以下であることが好ましく、1.2〜5倍、特に1.3〜3倍であることがより好ましい。発泡倍率が1倍を越え、10倍以下、特に1.3〜3倍であれば、軽量であって、且つ十分な剛性等を有する樹脂発泡体とすることができる。
尚、発泡倍率は発泡前後の体積比であり、具体的には、発泡前の厚さを発泡後の厚さで除した値である。
本発明の樹脂発泡体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等として用いることができる。これらのうち、自動車用としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等として用いることができる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クォーターパネル、アームレストの芯材、ドアトリム、シート用構造材、コンソールボックス、ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、本発明の樹脂発泡体は、例えば、建築物、家具等の内装材、外装材及び構造材等として用いることができる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、並びに机、椅子、棚、箪笥等の各種家具の表装材、構造材等として用いることができる。その他、包装材、トレイ等の収容材、緩衝材等の保護用部材及びパーティション部材等として用いることもできる。
以下、実施例及び図1〜4を用いて本発明を具体的に説明する。
[1]樹脂発泡体の製造
実施例1
(1)溶融混合工程
植物性材料(図1のケナフ繊維801)360gと、熱可塑性樹脂(図1のポリプロピレン樹脂802、日本ポリプロ社製、商品名「ノバテック NBX03 HRS」)240gとを、溶融混合装置1(エムアンドエフ・テクノロジー社製、WO2004−076044号に記載された溶融混合装置)の材料供給室(図3の材料供給室13)に投入し、その後、混合室(容量5リットル、図3の混合室3)内で溶融混合した。混合時、混合羽根(図3の混合羽根10及び図4の混合羽根10a〜10f)は回転数2000rpmで回転させた。そして、混合羽根の負荷(トルク)が上昇し、最大値に達しから6秒経過後に混合羽根の回転を停止し、調製された熱可塑性樹脂組成物を溶融混合装置から排出させた。
尚、ケナフ繊維としては、繊維長3.0mm(JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。)に調整されたケナフ繊維を用いた。
(2)ペレット化工程
上記(1)の溶融混合工程で調製された熱可塑性樹脂組成物を破砕機(ホーライ社製、型式「Z10−420」)でチップ化した。その後、大きさが5.0mm以下(JIS Z8801に準拠して、目開き5.0mmの円孔板篩を通過した分級品)のチップ(図1のチップ803)を選別した。次いで、この選別されたチップをローラーディスクダイ式成形機(図1の成形機500)[菊川鉄工所社製、型式「KP280」、貫通孔径(図2の貫通孔511)4.2mm]に投入し、フィーダー周波数20Hzで加熱せずにペレット化し、直径約4.0mm、長さ約5.0mmの円柱形のペレット(図1のペレット804)を作製した。その後、このペレットをオーブンにて100℃で24時間乾燥させた。
(3)発泡剤混合工程
上記(2)で作製したペレット(図1のペレット804)と、このペレットを100質量部とした場合に、6質量部の有機系発泡剤(図1の発泡剤805、永和化成工業社製、商品名「EE25C」)とをドライブレンドし、発泡剤付着ペレット(図1の発泡剤付着ペレット806)とした。
(4)射出成形工程
上記(3)で発泡剤を付着させたペレット(図1の発泡剤付着ペレット806)を射出成形機(図1の射出成形機700、住友重機械工業社製、型式「SE100DU」)のホッパーに投入し、成形型(図1の成形型710)内に射出して充填し、その後、初期クリアランス4.0mmの成形型の移動型を2.0mmコアバックさせ、厚さ6mm、発泡倍率1.5倍の平面形状が長方形の樹脂発泡体を製造した。
尚、射出条件は、シリンダー温度190℃、型温度40℃、射出圧力50MPa、射出速度100mm/秒、計量値60mmとした。
実施例2
成形型の初期クリアランスを3mmとした他は、実施例1と同様にして、厚さ5mm、発泡倍率約1.7倍の平面形状が長方形の樹脂発泡体を製造した。
実施例3
ケナフ繊維に代えてケナフコア[粒径1.0mm以下(JIS Z8801に準拠して、目開き1.0mの円孔板篩を通過した分級品)を用いた他は、実施例1と同様にして、厚さ6mm、発泡倍率1.5倍の平面形状が長方形の樹脂発泡体を製造した。
尚、発泡倍率は、コアバック後(発泡後)の厚さを、コアバック前(未発泡)の厚さで除した値である。
比較例1
発泡剤を用いなかった他は実施例1と同様にして、厚さ4mm、発泡倍率1倍(即ち、非発泡)の平面形状が長方形の樹脂成形体を製造した。
比較例2
発泡剤を用いなかった他は実施例2と同様にして、厚さ3mm、発泡倍率1倍(即ち、非発泡)の平面形状が長方形の樹脂成形体を製造した。
比較例3
ケナフ繊維に代えて実施例3で用いたケナフコアを用いた他は、比較例1と同様にして、厚さ4mm、発泡倍率1倍(即ち、非発泡)の平面形状が長方形の樹脂成形体を製造した。
[2]樹脂発泡体(比較例では樹脂成形体)の特性評価
上記[1]で製造した実施例1〜3の樹脂発泡体及び比較例1〜3の樹脂成形体の比重、弾性勾配及びバーフロー長を以下のようにして測定した。
(1)比重;JIS K 7112の水中置換法により測定した。
(2)弾性勾配;幅10mm、長さ80mmの平面形状が長方形の試験片(厚さは、実施例1〜3の樹脂発泡体及び比較例1〜3の樹脂成形体の各々の厚さである。)を使用し、試験片を、支点間距離64mmの2個の支点(上端部の曲率半径が5mm)により支持し、支点間の中心部の作用点(上端部の曲率半径が曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重を負荷したときの、破断前(変形量1.0mm時)の荷重を測定した。
(3)バーフロー長;バーフロー型(幅20mm、厚さ2mm)を使用し、シリンダー温度190℃、型温度40℃、射出圧力150MPa、射出速度80mm/秒、計量値60mmの条件で射出成形したときの流動長として測定した。
以上の測定結果を表1に記載する。
Figure 2009298996
表1の結果によれば、実施例1〜3の発泡倍率1.5〜1.7の樹脂発泡体では、比重が0.68〜0.76であり、比較例1〜3の非発泡の成形体の1.12〜1.13と比べて小さく、この樹脂発泡体を用いてなる各種の製品を十分に軽量化することができる。また、弾性勾配も、実施例1〜3の樹脂発泡体は、比較例1〜3の非発泡の成形体より大きく、この樹脂発泡体を使用すれば軽量であり、且つ十分な剛性を有する製品とすることができる。例えば、実施例2と比較例1では、弾性勾配が同じであり、且つ比重は実施例2の樹脂発泡体のほうが40%程度も小さく、発泡前の厚さが小さくても、発泡による厚さ増加で弾性勾配が向上し、同等の剛性を有する成形体とすることができる。更に、発泡剤の滑剤としての作用により、実施例1〜3では、比較例1〜3に比べてバーフロー長が大きく、射出成形時の成形性に優れ、射出圧を低くすることができると推察される。
本発明の樹脂発泡体の製造方法は、自動車関連分野及び建築関連分野等の広範な分野において利用することができる。特に自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等の製造に利用され、例えば、前記の各種の自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等の製造に特に好ましい製造方法である。更に、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材等の製造に利用することもでき、例えば、前記の表装材、構造材等の製造に利用することができる。その他、包装体、収容体、保護用部材及びパーティション部材等の製造に利用することもできる。
本発明の製造方法における各々の工程の模式的な説明図である。 ローラーディスクダイ式成形機の要部の一例の模式的な斜視図である。 溶融混合装置の一例の模式的な断面図である。 溶融混合装置に配設された混合羽根の一例の模式的な側面図である。
符号の説明
1;溶融混合装置、3;混合室、5;回転軸、10及び10a〜10f;混合羽根、12;らせん状羽根、13;材料供給室、500;ペレット化装置(ローラーディスクダイ式成形機)、50;ローラーディスクダイ式成形部(ペレット化部)、51;ディスクダイ、511;貫通孔、512;主回転軸挿通孔、52;プレスローラ、521;凹凸部、53;主回転軸、54;プレスローラ固定軸、55;切断用ブレード、600;ペレット混合装置、700;射出成形機、710;金型部、801;植物性材料、802;熱可塑性樹脂(ペレット)、803;熱可塑性樹脂組成物(チップ)、804;ペレット、805;発泡剤、806;発泡剤付着ペレット。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂及び植物性材料を含有し、且つ該熱可塑性樹脂と該植物性材料との合計を100質量%とした場合に、該植物性材料が50〜95質量%である樹脂発泡体の製造方法であって、
    溶融混合装置を用いて上記熱可塑性樹脂を溶融させながら上記植物性材料と混合して熱可塑性樹脂組成物を調製する溶融混合工程と、
    上記熱可塑性樹脂組成物を加熱せず押し固めて、該熱可塑性樹脂組成物からなるペレットを作製するペレット化工程と、
    上記ペレットと発泡剤とをドライブレンドし、該発泡剤を該ペレットに付着させて発泡剤付着ペレットとする発泡剤混合工程と、
    上記発泡剤付着ペレットを成形型に射出して充填し、その後、該成形型のコア側を後退させて発泡させる射出成形工程と、を備えることを特徴とする樹脂発泡体の製造方法。
  2. 上記熱可塑性樹脂を100質量部とした場合に、上記発泡剤は0.1〜10質量部である請求項1に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  3. 上記溶融混合装置は、上記溶融及び上記混合をするための混合室並びに該混合室内に配設された混合羽根を備え、
    上記溶融混合工程は、上記混合室内で上記混合羽根の回転により溶融された上記熱可塑性樹脂と、上記植物性材料とが混合される工程である請求項1又は2に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  4. 上記ペレット化工程は、ダイと該ダイに接して回転するローラーとを備えるローラー式成形機の該ローラーにより上記熱可塑性樹脂組成物を該ダイ内に圧入し、その後、該ダイから押し出して上記ペレットを形成する工程である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  5. 上記植物性材料はケナフである請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  6. 上記熱可塑性樹脂はポリプロピレン樹脂である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の樹脂発泡体の製造方法により製造されることを特徴とする樹脂発泡体。
  8. 上記樹脂発泡体の発泡倍率が1倍を越え、10倍以下である請求項7に記載の樹脂発泡体。
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