JP2009296835A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2相環状巻線による3相ステータを具備するモータの結線状態を変更すること無しにトルク特性を容易に可変とする。
【解決手段】モータ制御装置50は、逆起電圧位相差が電気角で120°のU相およびW相環状巻線により3相起磁力を発生するステータを備える3相のモータ1に対して、U相およびW相環状巻線に対して通電位相差が電気角で60°の通電をおこなう平衡通電と、U相およびW相環状巻線に対して通電位相差が電気角で120°の通電をおこなう変則通電とを、切り替えて実行可能であり、対的に大きな最大トルクが要求される場合に変則通電を実行し、相対的に小さなトルクリップルが要求される場合に平衡通電を実行する。
【選択図】図5
Description
本実施の形態に係るモータ1は、例えばハイブリッド車両や燃料電池車両や電動車両等の車両に搭載され、例えば内燃機関Eと共に車両の駆動源としてモータ1を備えるハイブリッド車両において、内燃機関Eとモータ1とトランスミッションT/Mとを直列に直結した構造のパラレルハイブリッド車両では、少なくとも内燃機関Eまたはモータ1の何れか一方の駆動力はトランスミッションT/Mを介して車両の駆動輪W,Wに伝達されるようになっている。
また、車両の減速時に駆動輪W,W側からモータ1に駆動力が伝達されると、モータ1は発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギー(回生エネルギー)として回収する。さらに、内燃機関Eの出力がモータ1に伝達された場合にもモータ1は発電機として機能して発電エネルギーを発生する。
このロータ5において、複数の略長方形板状の永久磁石5a,…,5aは、例えばロータ5の外周部に周方向に所定間隔をおいて配置され、各永久磁石5aは厚さ方向(つまりロータ5の径方向)に磁化され、周方向で隣り合う永久磁石5a,5aは互いに磁化方向が異方向となるように、すなわち外周側がN極とされた永久磁石5aには、外周側がS極とされた永久磁石5aが周方向で隣接するように配置されている。
また、各永久磁石5aの外周面は、ロータ5の外周部に対向配置される略円筒状のステータ10の内周面に向かい露出している。
各蛇行部31,32の周方向Cの幅つまりコイルピッチは、例えば図3に示すように、電気角で120°(edeg)に設定され、各蛇行部31,32は互いに異なる方向(つまり互いの対向方向であって軸線方向Pの一方および他方)に向かい突出するように設けられ、U相環状巻線14とW相環状巻線15とは、電気角で240°(edeg)の位相差を有するようにして周方向Cに沿って相対的にずれた位置に配置されている。これにより、例えばU相蛇行部31に対して、周方向Cの一方側で隣り合うW相蛇行部32は電気角で240°(edeg)の位相差を有し、周方向Cの他方側で隣り合うW相蛇行部32は電気角で120°(edeg)の位相差を有することになる。そして、2相の各環状巻線14,15は、互いの対向方向に突出する互いの各蛇行部31,32が周方向Cに沿って交互に配列され、互いに交差しないように配置されている。
これにより、周方向Cで隣り合う各ティース22,24または24,26または22,26間を縫うようにして配置された2相の各環状巻線14,15は所謂電気角で120°(edeg)の短節波巻きをなすように形成されている。
なお、下記数式(1)において、L=−2Mとし、漏れ磁束を無視した。
つまり、通常の3相巻線による3相(U相、V相、W相)のモータの巻線ターン数Nに対して、この2相巻線による3相(U相、V相、W相)のモータでは(√3)倍の巻線ターン数(√3N)にしているが、相電流Iの通電時の起磁力は(巻線ターン数N×相電流I)であって、巻線ターン数の増大分に相当する起磁力が発生していないものの、巻線が省略されたV相を含めて、各相の起磁力が同等となる。
なお、平衡通電においては、U−W相間の通電位相差が60°となることから、V相電流Ivの振幅が各相電流Iu,Iwの振幅の(√3)倍となる。
また、変則通電においては、逆起電圧位相差と通電位相差とが同等の値(つまり120°)に揃うことで、発生する電力は最大となるが、相対的にV相の起磁力が低下することに伴い、各相の起磁力が揃わずに、トルクリップルが増大することになる。
PDU51は、例えば図6に示すように、トランジスタのスイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路51aと、平滑コンデンサ51bとを具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータを備え、モータ1と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ52が接続されている。
また、例えばモータ1の回生作動時などにおいてバッテリ52を充電する際には、制御部53においてモータ1の回転角度θの出力波形に基づいて同期がとられたパルスに応じてPWMインバータの各トランジスタをオン/オフ駆動させ、モータ1から出力される3相交流電力を直流電力に変換し、このパルスのデューティに応じた所定の電圧値をバッテリ52の正極側端子ptと負極側端子ntとの間に出力する。
そして、ブリッジ回路51aのハイ側V相トランジスタVHのエミッタおよびロー側V相トランジスタVLのコレクタには、U相環状巻線14およびW相環状巻線15の各他方の入出力端子が接続されている。
この回転直交座標をなすdq座標は、例えばロータ5の永久磁石5aによる界磁極の磁束方向をd軸(界磁軸)とし、このd軸と直交する方向をq軸(トルク軸)としており、モータ1のロータ5と共に同期して電気角速度ω(以下、単に、回転角速度ωと呼ぶ)で回転している。これにより、PDU51からモータ1の各相に供給される交流信号に対する電流指令として、直流的な信号であるId指令Idref及びIq指令Iqrefを与えるようになっている。
平衡通電に対する3相−dq変換処理は、逆起電圧位相差が120°となる結線状態を保持した2相巻線による3相(U相、V相、W相)のモータ1において、各相間の通電位相差を60°としており、任意の位相角度A,Bと任意の変換のスケーリング係数Kdqとにより下記数式(15)に示すように記述される変換式において、例えば下記数式(16)に示すように任意の位相角度αにより各相電流Iu,Iwを記述すると、下記数式(15)のd軸電流Idは下記数式(17)に示すように記述される。
なお、下記数式(23)は下記数式(24)と同等であって、下記数式(24)において、例えばdq座標の設定あるいは回転センサ92でのゼロ点較正などに応じて任意に設定可能な位相角度A,A´に対して、q軸をd軸の90°進角に設定した場合(つまり、A´=A+90°)に相当している。
なお、位相角度A,A´に対して、q軸をd軸の90°遅角に設定した場合には(A´=A+90°)の代わりに(A´=A−90°)となる。
上記数式(16)における位相角度αが90°(つまり、α=90°)のときに、d軸電流Id=0かつq軸電流Iq>0となることから、d軸電流Id=0により上記数式(17)は下記数式(25)に示すように記述される。
上記数式(27)に示す位相角度A,Bの組み合わせに対して、下記数式(29)が成り立つことから、位相角度A=−30°かつ位相角度B=90°となり、一般化された変換式である上記数式(15)は、具体的な変換式として下記数式(30)に示すように記述される。
回転数演算部73は、回転センサ92から出力されるロータ5の回転角度θの検出信号からモータ1の回転数Nmを算出する。
電流フィードバック制御部76は、例えばPI(比例積分)動作により、偏差ΔIdを制御増幅してd軸電圧指令値Vdを算出し、偏差ΔIqを制御増幅してq軸電圧指令値Vqを算出し、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqをdq−3相個別変換部77へ出力する。
dq−3相個別変換部77は、通電切替指令出力部82から出力される通電切替指令、つまり平衡通電または変則通電を切り替えて実行することを指示する指令信号に応じて、平衡通電に対するdq−3相個別変換処理または変則通電に対するdq−3相個別変換処理を切り替えて実行する。
なお、下記数式(31),(33)においては、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqの補正を簡略化するためにV相交流電圧指令値Vvをゼロ(つまり、Vv=0)としている。
U相交流電圧指令値Vuは、U相逆起電圧成分ωKe_uとU相自己インダクタンス成分ωLuIaとU相−W相間相互インダクタンス成分ωMuwIaとの合成電圧であり、W相交流電圧指令値Vwは、W相逆起電圧成分ωKe_wとW相自己インダクタンス成分ωLwIaとW相−U相間相互インダクタンス成分ωMwuIaとの合成電圧である。そして、各相間において、U相逆起電圧成分ωKe_uとW相逆起電圧成分ωKe_wとの位相差は120°であるのに対して、U相自己インダクタンス成分ωLuIaとW相自己インダクタンス成分ωLwIaとの位相差は60°であり、U相−W相間相互インダクタンス成分ωMuwIaとW相−U相間相互インダクタンス成分ωMwuIaとの位相差は(−60°)となることから、U相交流電圧指令値VuとW相交流電圧指令値Vwとの位相差は120°とはならずにずれてしまう。このため、各自己インダクタンスLu,Lwおよび各相互インダクタンスMuw,Mwuに応じて、U相交流電圧指令値VuとW相交流電圧指令値Vwとの振幅および位相を補正する必要が生じる。具体的には、後述するように、dq−3相個別変換部77は、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqに対して、各自己インダクタンスLu,Lwおよび各相互インダクタンスMuw,Mwuにより発生する各電圧成分(ΔVdu,ΔVqu),(ΔVdw,ΔVqw)を作用させる補正をおこなう。
なお、下記数式(34),(36)においては、d軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqの補正を簡略化するためにV相交流電圧指令値Vvをゼロ(つまり、Vv=0)としている。
U相交流電圧指令値Vuは、U相逆起電圧成分ωKe_uとU相自己インダクタンス成分ωLuIaとU相−W相間相互インダクタンス成分ωMuwIaとの合成電圧であり、W相交流電圧指令値Vwは、W相逆起電圧成分ωKe_wとW相自己インダクタンス成分ωLwIaとW相−U相間相互インダクタンス成分ωMwuIaとの合成電圧である。そして、各相間において、U相逆起電圧成分ωKe_uとW相逆起電圧成分ωKe_wとの位相差およびU相自己インダクタンス成分ωLuIaとW相自己インダクタンス成分ωLwIaとの位相差は120°であるのに対して、U相−W相間相互インダクタンス成分ωMuwIaとW相−U相間相互インダクタンス成分ωMwuIaとの位相差は(−60°)となることから、U相交流電圧指令値VuとW相交流電圧指令値Vwとの位相差は120°とはならずにずれてしまう。このため、各相互インダクタンスMuw,Mwuに応じて、U相交流電圧指令値VuとW相交流電圧指令値Vwとの振幅および位相を補正する必要が生じる。具体的には、後述するように、dq−3相個別変換部77は、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqに対して、各相互インダクタンスMuw,Mwuにより発生する各電圧成分(ΔVdu,ΔVqu),(ΔVdw,ΔVqw)を作用させる補正をおこなう。
つまり、例えば図8(b)に示すように、U相自己インダクタンス成分ωLuIaはId指令Idref及びIq指令Iqrefに対して90°進角、W相自己インダクタンス成分ωLwIaはId指令Idref及びIq指令Iqrefに対して30°進角、U相−W相間相互インダクタンス成分ωMuwIaはId指令Idref及びIq指令Iqrefに対して(−30°)進角、W相−U相間相互インダクタンス成分ωMwuIaはId指令Idref及びIq指令Iqrefに対して150°進角であるから、各相互インダクタンスMuw,Mwuが互いに等しい(Muw=Mwu)として、各電圧成分(ΔVdu,ΔVqu),(ΔVdw,ΔVqw)は、下記数式(41)に示すように記述される。
つまり、例えば図9(b)に示すように、U相−W相間相互インダクタンス成分ωMuwIaはId指令Idref及びIq指令Iqrefに対して30°進角、W相−U相間相互インダクタンス成分ωMwuIaはId指令Idref及びIq指令Iqrefに対して150°進角であるから、各相互インダクタンスMuw,Mwuが互いに等しい(Muw=Mwu)として、各電圧成分(ΔVdu,ΔVqu),(ΔVdw,ΔVqw)は、下記数式(42)に示すように記述される。
つまり、各電流補正項(Vdu_fb,Vqu_fb),(Vdw_fb,Vqw_fb)は、例えば積分ゲインkと、相抵抗rと、各自己インダクタンスLu,Lwに応じた自己インダクタンスL(例えば、2つのU相およびW相自己インダクタンスLu,Lwの平均値、あるいは、2つのU相およびW相自己インダクタンスLu,Lwのうち何れか大きい値または何れか小さい値など)とに基づき、下記数式(43)に示すように記述される。
つまり、制御目標位相差γ(平衡通電では120°(つまり、γ=120°)、変則通電では60°(つまり、γ=60°))からの位相ずれ角度δの検出値に対して、自己インダクタンスLとフィードバックゲインKfbとによるフィードバック処理がおこなわれて、各電流補正項(Vdu_fb,Vqu_fb),(Vdw_fb,Vqw_fb)が演算されている。
つまり、各相のインダクタンスの不整合に起因してU相電流IuとW相電流Iwとには、互いに逆方向の位相ずれ角度δが生じることから、各相電流Iu,Iwを正弦波状とすれば、U相電流IuおよびW相電流Iwは下記数式(45)に示すように記述される。
電流位相補正部81は、モータ1の突極性を無視した場合におけるdq座標上での回路方程式に基づき、各相交流電圧指令値Vu,Vwおよび各相電流Iu,Iwの所定定常値からの変化に応じたd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqとd軸電流Idおよびq軸電流Iqとの各変化ΔVd,ΔVq,ΔId,ΔIqを、例えば下記数式(51)に示すように近似する。
dq−3相個別変換部77は、電流位相補正部81により算出された各電流補正項(Vdu_fb,Vqu_fb),(Vdw_fb,Vqw_fb)によって各電圧指令値Vd,Vqを補正して得た値から変換処理によって各相交流電圧指令値Vu,Vwを算出することで、これらの各相交流電圧指令値Vu,Vwに応じた各相電流Iu,Iwを進角または遅角させることができる。
例えばモータ1の回生作動時などのように相対的に大きな最大トルクが要求される場合には変則通電の実行を指示し、例えばモータ1の始動時などのように相対的に小さなトルクリップルが要求される場合には平衡通電の実行を指示する。
つまり、平衡通電においては、U−W相間の通電位相差が60°であって、V相電流Ivの振幅が各相電流Iu,Iwの振幅の(√3)倍となる。
一方、変則通電においては、U−W相間の通電位相差が120°であって、各相電流Iu,Iv,Iwの振幅は等しくなる。
そして、3相−dq変換部72においては、平衡通電と変則通電とにおいて、3相−dq変換処理が切り替えられることから、平衡通電での各相電流Iu,Iwおよび変則通電での各相電流Iu,Iwに対して、例えば図10(c)に示すように、直流的なd軸電流Idおよびq軸電流Iqが得られることになる。
また、例えば図13に示すように、変則通電においては、平衡通電に比べて、相対的にV相の起磁力が低下することに伴い、トルクリップルがやや増大することが認められる。
このPWM変調では、例えば下記数式(53)に示すように、V相交流電圧指令値Vv=ゼロでの各線間電圧Vuv,Vwv(つまり、各相交流電圧指令値Vu,Vwと同等)に応じて、新たにV相交流電圧指令値Vvを設定することによって、例えば図14に示すように、各線間電圧Vuv,Vwvの振幅を、バッテリ52の端子電圧Vbによる値(Vb/2)から値(Vb)まで拡大させることができる。
例えば図16に示すように、このPWM変調の実行前(変調前)では、V相交流電圧指令値Vvがゼロ(つまり、Vv=0)であることに伴い、各線間電圧Vuv,Vwvの振幅の最大値は、各相交流電圧指令値Vu,Vwの振幅の最大値と同等である端子電圧Vbの(1/2)の値(Vb/2)となる。
一方、PWM変調の実行後(変調後)では、V相交流電圧指令値Vvが変動することに伴い、各相交流電圧指令値Vu,Vwの振幅の最大値は端子電圧Vbの(1/2)倍の値(Vb/2)であるのに対して、各線間電圧Vuv,Vwvの振幅の最大値は端子電圧Vbの(1/√3)倍の値(Vb/√3)となる。
次に、ステップS02においては、モータ1の運転状態あるいはモータ1を搭載する車両の運転状態に係る各種信号(例えば、モータ1の運転モード(例えば、駆動あるいは回生まど)を示す信号、車両の運転モード(例えば加速あるいはクルーズ走行あるいは減速など)を示す信号など)を取得する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS04に進み、このステップS04においては、後述する平衡通電の処理を実行し、リターンに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進み。このステップS05においては、後述する変則通電の処理を実行し、リターンに進む。
先ず、例えば図18に示すステップS11においては、2つの電流センサ91,91の出力に基づき、各相電流Iu,Iwを取得する。
そして、ステップS12においては、逆起電圧位相差が120°となる結線状態を保持した2相巻線による3相(U相、V相、W相)のモータ1において、各相間の通電位相差が60°であることを前提とする3相−dq変換処理を実行する。
そして、ステップS13においては、3相−dq変換処理により算出されたd軸電流Id及びq軸電流Iqと、Id指令(Idref)及びIq指令(Iqref)との各偏差がゼロとなるように電流フィードバックの処理を実行する。
そして、ステップS15においては、各相のインダクタンスの不整合に起因して各相電流Iu,Iv,Iwの位相に生じるずれを補正するための電流補正フィードバックの処理を実行する。
そして、ステップS17においては、V相交流電圧指令値Vv=ゼロでの各線間電圧Vuv,Vwv(つまり、各相交流電圧指令値Vu,Vwと同等)に応じて、新たにV相交流電圧指令値Vvを設定する変調の処理を実行する。
そして、ステップS18においては、dq−3相個別変換処理により算出された各相交流電圧指令値Vu,Vwと変調の処理により算出されたV相交流電圧指令値Vvと、三角波などのキャリア信号とを比較して、PDU51のPWMインバータの各トランジスタをオン/オフ駆動させるゲート信号(つまり、PWM信号)を生成して出力し、エンドに進む。
先ず、例えば図19に示すステップS21においては、2つの電流センサ91,91の出力に基づき、各相電流Iu,Iwを取得する。
そして、ステップS22においては、逆起電圧位相差が120°となる結線状態を保持した2相巻線による3相(U相、V相、W相)のモータ1において、各相間の通電位相差が120°であることを前提とする3相−dq変換処理を実行する。
そして、ステップS23においては、3相−dq変換処理により算出されたd軸電流Id及びq軸電流Iqと、Id指令(Idref)及びIq指令(Iqref)との各偏差がゼロとなるように電流フィードバックの処理を実行する。
そして、ステップS25においては、各相のインダクタンスの不整合に起因して各相電流Iu,Iv,Iwの位相に生じるずれを補正するための電流補正フィードバックの処理を実行する。
そして、ステップS27においては、V相交流電圧指令値Vv=ゼロでの各線間電圧Vuv,Vwv(つまり、各相交流電圧指令値Vu,Vwと同等)に応じて、新たにV相交流電圧指令値Vvを設定する変調の処理を実行する。
そして、ステップS28においては、dq−3相個別変換処理により算出された各相交流電圧指令値Vu,Vwと変調の処理により算出されたV相交流電圧指令値Vvと、三角波などのキャリア信号とを比較して、PDU51のPWMインバータの各トランジスタをオン/オフ駆動させるゲート信号(つまり、PWM信号)を生成して出力し、エンドに進む。
先ず、例えば図20に示すステップS31においては、上記数式(52)と積分ゲインkとに基づき、各電流補正項(Vdu_fb,Vqu_fb),(Vdw_fb,Vqw_fb)を、上記数式(43)により演算する。
そして、ステップS32においては、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqに対して、各電流補正項(Vdu_fb,Vqu_fb),(Vdw_fb,Vqw_fb)を作用させて、各補正電圧指令値(Vdu,Vqu),(Vdw,Vqw)を算出し、エンドに進む。
先ず、例えば図21に示すステップS41においては、平衡通電では上記数式(41)に基づき、変則通電では上記数式(42)に基づき、各電圧成分(ΔVdu,ΔVqu),(ΔVdw,ΔVqw)を算出する。
そして、ステップS42においては、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqに対して、各電圧成分(ΔVdu,ΔVqu),(ΔVdw,ΔVqw)を作用させて、各補正電圧指令値(Vdu,Vqu),(Vdw,Vqw)を算出し、エンドに進む。
先ず、例えば図22に示すステップS51においては、V相交流電圧指令値Vv=ゼロでの各線間電圧Vuv,Vwv(つまり、各相交流電圧指令値Vu,Vwと同等)がゼロよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS55に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS52に進む。
そして、ステップS52においては、V相交流電圧指令値Vv=ゼロでの各線間電圧Vuv,Vwv(つまり、各相交流電圧指令値Vu,Vwと同等)のうち何れか大きい方の(−1/2)倍の値を、新たにV相交流電圧指令値Vvとして設定する。
そして、ステップS54においては、W相交流電圧指令値VwにV相交流電圧指令値Vvを加算して得た値を、新たにW相交流電圧指令値Vwとして設定し、エンドに進む。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS56に進み、このステップS56においては、V相交流電圧指令値Vv=ゼロでの各線間電圧Vuv,Vwv(つまり、各相交流電圧指令値Vu,Vwと同等)のうち何れか小さい方の(−1/2)倍の値を、新たにV相交流電圧指令値Vvとして設定し、ステップS53に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS57に進み、このステップS57においては、V相交流電圧指令値Vv=ゼロでの各線間電圧Vuv,Vwv(つまり、各相交流電圧指令値Vu,Vwと同等)の和の(−1/2)倍の値(つまり、各相交流電圧指令値Vu,Vwの平均値の負値)を、新たにV相交流電圧指令値Vvとして設定し、ステップS53に進む。
しかも、2相の各環状巻線14,15の逆起電圧位相差が120°となる結線状態を保持した状態で、2相の各環状巻線14,15の逆起電圧位相差と異なる電気角で60°の通電位相差の通電をおこなうことで3相の平衡起磁力を発生する平衡通電を実行することができ、モータ1の運転特性を通電の切替によって容易に切り替えることができる。
例えば図23に示すように、駆動時に比べてモータ1に対する要求トルクの最大値が大きくなると共に、駆動時に比べてトルクリップルをイナーシャにより吸収可能であってトルクリップルの許容範囲が相対的に大きい回生時においては、変則通電を実行することにより、回生電力を増大させることができる。
このため、例えばV相トランジスタVH,VLの定格電流を相対的に(√3)倍に増大させずに、各トランジスタUH,UL,VH,VL,WH,WLの定格電流を同一としてもよい。
この変形例において、PDU51のブリッジ回路51aは、例えば図24に示すように、各対をなすハイ側,ロー側U相第1トランジスタU1H,U1L、および、ハイ側,ロー側U相第2トランジスタU2H,U2L、および、ハイ側,ロー側W相第1トランジスタW1H,W1L、および、ハイ側,ロー側W相第2トランジスタW2H,W2Lを備えている。各ハイ側トランジスタU1H,U2H,W1H,W2Hはバッテリ52の正極側端子ptに接続されてハイサイドアームを構成し、各ロー側トランジスタU1L,U2L,W1L,W2Lはバッテリ52の負極側端子ntに接続されローサイドアームを構成しており、ハイサイドアームの各トランジスタとローサイドアームの各トランジスタとは、各対毎にバッテリ52に対して直列に接続されている。各トランジスタU1H,U1L,U2H,U2L,W1H,W1L,W2H,W2Lのコレクタ−エミッタ間には、エミッタからコレクタに向けて順方向となるようにして、各ダイオードDU1H,DU1L,DU2H,DU2L,DW1H,DW1L,DW2H,DW2Lが接続されている。
また、ブリッジ回路51aのハイ側W相第1トランジスタW1Hのエミッタおよびロー側W相第1トランジスタW1Lのコレクタには、W相環状巻線15の一方の入出力端子が接続され、ブリッジ回路51aのハイ側W相第2トランジスタW1Hのエミッタおよびロー側W相第2トランジスタW1Lのコレクタには、W相環状巻線15の他方の入出力端子が接続されている。
しかも、各線間電圧Vuv,Vwvの振幅の最大値は端子電圧Vbとなり、各相独立に振幅を(−Vb)から(Vb)まで変更可能となる。
なお、この変形例においては、上記数式(37)に示すU相交流電圧指令値VuおよびW相交流電圧指令値Vwによって平衡通電に対するdq−3相個別変換処理を実行することができ、上記数式(38)に示すU相交流電圧指令値VuおよびW相交流電圧指令値Vwによって変則通電に対するdq−3相個別変換処理を実行することができる。
10 ステータ
14 U相環状巻線(2相巻線)
15 W相環状巻線(2相巻線)
51a ブリッジ回路
ステップS03 通電切替手段
ステップS04 平衡通電手段
ステップS05 変則通電手段
ステップS14、ステップS24 補正手段
ステップS17、ステップS27 変調手段
Claims (5)
- 逆起電圧位相差が電気角で120°の2相巻線により3相起磁力を発生するステータを備える3相のモータを制御するモータ制御装置であって、
前記2相巻線に対して通電位相差が電気角で60°の通電をおこなう平衡通電手段と、
前記2相巻線に対して通電位相差が電気角で120°の通電をおこなう変則通電手段とを備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記変則通電手段による通電時に3相に印加する電圧の位相および振幅を相互インダクタンスの電圧成分により補正し、前記平衡通電手段による通電時に3相に印加する電圧の位相および振幅を自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの電圧成分により補正する補正手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
- 相対的に大きな最大トルクが要求される場合に前記変則通電手段を選択し、相対的に小さなトルクリップルが要求される場合に前記平衡通電手段を選択する通電切替手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
- 前記2相巻線以外の相の電圧指令を変動させることで前記2相巻線に印加する電圧の振幅を変調する変調手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のモータ制御装置。
- パルス幅変調信号により前記2相巻線への通電を順次転流させるインバータは2相独立のHブリッジ回路を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載のモータ制御装置。
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