JP2009293549A - 内燃機関のクランクケース換気装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関のクランクケース内をより効率的に換気することの可能な内燃機関のクランクケース換気装置を提供する。
【解決手段】
少なくともピストン4の上下動の位相が異なるシリンダ3毎にクランクケース11内が複数のクランク区画室(11a〜11d)に分割される。各クランク区画室11a〜11dに形成される新気導入口43は、該新気導入口43と同一区画のピストン4の下降時にカウンタウェイト17が近接し、且つ該ピストン4の上昇時にカウンタウェイト17が近接しない位置に開口している。また、各クランク区画室11a〜11dに形成されるブローバイガス排出口44は、該ブローバイガス排出口44と同一区画のピストン4の上昇時にカウンタウェイト17が近接し、且つ該ピストン4の下降時にカウンタウェイト17が近接しない位置に開口している。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関のクランクケース換気装置に関する。
内燃機関のクランクケースには、シリンダの内壁とピストンとの間隙を通って、未燃ガスや既燃ガスが燃焼室から漏洩する場合があり、これらのガスは一般に「ブローバイガス」と呼ばれている。ブローバイガスにはNOx、CO等が含まれており、ブローバイガスをクランクケース内に放置するとスラッジが生成され易く、エンジンオイルの劣化等の原因となる。そのため、ブローバイガスをクランクケースから吸気通路に還流させるとともに、このブローバイガスを燃焼室で再燃焼させるようにしている。また、近年では、ピストンの上下動に伴うクランクケース内の圧力変動を利用してブローバイガスの強制的な換気を図るクランクケース換気装置も開発されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
実開平3−63710号公報 特開平7−145717号公報 特開平11−223118号公報 特開平7−217496号公報
しかし、従来の内燃機関のクランクケース換気装置には、ブローバイガスの換気効率を更に向上させる余地があると考えられる。本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関のクランクケース内をより効率的に換気することの可能な内燃機関のクランクケース換気装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る内燃機関のクランクケース換気装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、多気筒内燃機関に適用される内燃機関のクランクケース換気装置であって、
少なくともピストン上下動の位相が異なる気筒毎にクランクケース内を複数の区画に分割する隔壁と、
前記各々の区画を形成する前記隔壁またはクランクケース内壁のうち、前記内燃機関のクランク軸に設けられたカウンタウェイトが間欠的に近接する部分に開口する少なくとも一つの新気導入口と、
一端が前記新気導入口に接続され且つ他端が前記内燃機関の吸気通路に接続される新気導入路と、
前記各々の区画を形成する前記隔壁またはクランクケース内壁のうち前記カウンタウェイトが間欠的に近接する部分に開口する少なくとも一つのブローバイガス排出口と、
一端が前記ブローバイガス排出口に接続され且つ他端が前記吸気通路に接続されるブローバイガス排出路と、
を備え、
前記各々の区画に形成される前記新気導入口は、該新気導入口と同一区画のピストンの下降時にカウンタウェイトが近接し、且つ該ピストンの上昇時に該カウンタウェイトが近接しない位置に開口し、
前記各々の区画に形成される前記ブローバイガス排出口は、該ブローバイガス排出口と同一区画のピストンの上昇時にカウンタウェイトが近接し、且つ該ピストンの下降時に該カウンタウェイトが近接しない位置に開口していることを特徴とする。
上記構成によれば、ピストン上下動の位相が異なる気筒どうしは、隔壁によって異なる区画に分割される。言い換えると、ある区画に複数のピストンが含まれる(属する)場合、当該複数のピストンが上下動するときの位相は等しい。
ここで、ある区画の圧力変動と、その区画と同一区画内のピストン(つまり、その区画に属するピストン)の上下動との関係について考える。ピストンの下降時には、当該ピストンに対応する区画の容積が減少するため、その区画内の圧力が上昇する。そして、ピストンが下死点に位置する(到達する)時点で、そのピストンの属する区画の容積が最小となり、その区画内の圧力は略最大値に到達する。一方、ピストンの上昇時には対応する区画の容積が増加するため、その区画内の圧力が低下する。そして、ピストンが上死点に位置する(到達する)時点で、そのピストンの属する区画の容積が最大となり、その区画内の圧力は略最小値に到達する。
上記構成においては、各々の区画に形成される新気導入口とブローバイガス排出口とには、回転運動するカウンタウェイトが間欠的(断続的)に近接する部分に開口している。これは、各区画内に形成された新気導入口或いはブローバイガス排出口に対して、カウンタウェイトが近接する時期と、近接しない時期とが断続的に繰り返されることを意味する。なお、カウンタウェイトが新気導入口に近接する時期(或いは近接しない時期)と、該カウンタウェイトがブローバイガス排出口に近接する時期(或いは近接しない時期)とが一致するか否かについてはなんら限定されるものではない。
上記構成において、各々の区画に形成される新気導入口は、該新気導入口と同一区画のピストンの下降時にカウンタウェイトが近接し、且つ該ピストンの上昇時に該カウンタウェイトが近接しない位置に開口している。ここで、カウンタウェイトが新気導入口に近接するとは、例えば新気導入口の上部をカウンタウェイトが僅かな隙間を伴って通過する状況等が該当する。
このように、新気導入口にカウンタウェイトが近接すると、該新気導入口からクランクケース内へと流入する新気の流路抵抗が急激に増加し、その結果としてクランクケース内への新気の導入が困難となる。この状態は、新気導入口がカウンタウェイトによって閉塞された状態として捉えることができる。そして、新気導入口が閉塞されることによって、カウンタウェイトが新気導入口に近接していない状態、つまり新気導入口が開放された状態に比べて新気の導入量が顕著に減少する。
一方、各々の区画に形成されるブローバイガス排出口は、該ブローバイガス排出口と同一区画内のピストンの上昇時にカウンタウェイトが近接し、且つ該ピストンの下降時にカウンタウェイトが近接しない位置に開口している。ここで、カウンタウェイトがブローバイガス排出口に近接するとは、例えばブローバイガス排出口の上部をカウンタウェイトが僅かな隙間を伴って通過する状況等が該当する。
このように、ブローバイガス排出口にカウンタウェイトが近接すると、該ブローバイガス排出口からブローバイガス排出路へと流出するブローバイガスの流路抵抗が急激に増加し、その結果としてクランクケースからのブローバイガスの排出が困難となる。この状態は、ブローバイガス排出口がカウンタウェイトによって閉塞された状態として捉えることができる。そして、ブローバイガス排出口がカウンタウェイトによって閉塞されることによって、カウンタウェイトがブローバイガス排出口に近接していない状態、つまりブローバイガス排出口が開放された状態に比べてブローバイガスの排出量が顕著に減少する。
次に、各々の区画におけるクランクケース内の換気、すなわちブローバイガスの排出お
よび新気の導入についての一連の流れを説明する。上記構成では、各区画に属するピストンの下降時、すなわち当該区画の容積が減少して区画内の圧力が上昇する際には、新気導入口はカウンタウェイトによって閉塞され、ブローバイガス排出口は開放される。
これにより、区画内におけるブローバイガス排出口近傍の圧力がブローバイガス排出路よりも高くなり、その圧力差によってクランクケースからブローバイガスがブローバイガス排出路へと排出される。また、上記ブローバイガスの排出する際には新気導入口が閉塞されているため、ブローバイガスのブローバイガス排出路への排出を効率良く行うことができる。
一方、各区画に属するピストンの上昇時、すなわち当該区画の容積が増加して区画内の圧力が低下する際には、ブローバイガス排出口はカウンタウェイトによって閉塞され、新気導入口は開放される。そのため、区画内における新気導入口近傍の圧力が新気導入路内の圧力よりも低くなり、この圧力差によって新気が新気導入路からクランクケース内へと導入される。また、その際にブローバイガス排出口は閉塞されているため、新気導入口からの新気の導入をより一層促進させることができる。
なお、上記構成において新気導入口とブローバイガス排出口とは、各々の区画に少なくとも一つずつ形成されていれば良い。例えば、新気導入口(またはブローバイガス排出口)が一の区画に複数形成される場合、隔壁とクランクケース内壁との双方に開口していても良い。
また、上記構成によれば、少なくともピストン上下動の位相が異なる気筒毎にクランクケース内が分割されているため、各々の区画内に圧力変動を確実に生じさせることができる。また、各々の区画毎に新気導入口とブローバイガス排出口との双方が形成されるため、クランクケース内の換気をより一層効率的に行うことができる。これにより、エンジンオイルの劣化等を好適に抑制することができる。
上記構成にかかるクランクケース換気装置において、各々の区画への新気の導入、および該区画からのブローバイガスの排出は間欠的(断続的に)に行われる。そのため、新気導入路およびブローバイガス排出路には脈動が生じ易くなるとも考えられる。
そこで、本発明においては、同一区画内に形成される新気導入口およびブローバイガス排出口は、該新気導入口および該ブローバイガス排出口と同一区画内のピストンが上死点および/または下死点に位置するときにカウンタウェイトが近接しない位置に開口していると好適である。
これによれば、ピストンが上死点に到達するタイミングおよび/または下死点に到達するタイミング毎に、新気導入口およびブローバイガス排出口が同時に開放されるので、新気導入路、クランクケース、およびブローバイガス排出路の全てが導通する。そのため、新気導入路およびブローバイガス排出路に発生した脈動を積極的に減衰させ、あるいは消滅させることができる。
そのため、例えばピストンが上死点に位置するときに新気導入口とブローバイガス排出口との双方を開放させることによって、その後におけるブローバイガスの排出をより円滑に行うことができる。また、ピストンが下死点に位置するときに新気導入口とブローバイガス排出口との双方を開放させることによって、その後における新気の導入をより円滑に行うことができる。
また、本発明における隔壁は、クランクケース内に形成され且つ潤滑油が貯留される貯
留部と各々の区画とを隔てる底面部を有して構成されていても良い。これによれば、潤滑油が貯留される貯留部を介して各区画が導通することがないので、各々の区画内における圧力変動を好適に確保することができる。ここで、貯留部とは、例えばオイルパン内部であって潤滑油が貯留される部分として捉えることができる。
ところで、クランクケース内に収容されたピストン、コンロッド、クランク軸等は、その潤滑を確保するために潤滑油が供給されるのが一般である。上記構成のように各々の区画と貯留部とが底面部によって区画されている場合であっても、上記ピストン等の潤滑のために用いられた潤滑油は、貯留部へと戻すことが望ましい。
そこで、本発明において、隔壁の底面部には各々の区画と貯留部とを連通する貫通孔と、該各々の区画内におけるピストンの上昇時に貫通孔を遮蔽し且つ該ピストンの下降時に該貫通孔の遮蔽状態を解除する開閉弁と、が設けられていると好適である。
この開閉弁は、ピストンの上昇時、すなわちクランクケース内への新気の導入時に貫通孔を遮蔽するため、この新気の導入が阻害されることがない。すなわち、新気導入時に貫通孔の遮蔽状態が解除されることに起因して、新気導入路からの新気導入量が減少してしまうことを抑制できる。また、開閉弁は、ピストンの下降時、すなわち各々の区画内におけるブローバイガス排出口からブローバイガスを排出する際に、貫通孔から潤滑油を好適に貯留部へと排出することができる。
また、本発明において、開閉弁は、隔壁の底面部における貯留部側の表面に配設されるリード弁であると好適である。ここで、リード弁とは、クランクケースと貯留部との圧力差によって、撓んで開閉する板状の弁である。この構成によれば、ピストンが下降する際に各々の区画内における圧力が貯留部に比して高くなると、リード弁が開弁される。また、ピストン上昇時には、各々の区画内における圧力が低下するため、リード弁が閉弁される。これによれば、区画内の圧力変動を利用して、より簡易な構成によって貫通孔の遮蔽および遮蔽状態の解除を切り替えることができる。
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
本発明によれば、クランクケース内部をより効率的に換気することができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例>
本発明を実施するための実施例について説明する。図1は、本実施例におけるエンジン1の概略構成を示した図である。本実施例におけるエンジン1は、4つのシリンダ2を有する直列4気筒エンジンである。エンジン1は、主としてシリンダブロック2、シリンダ3、ピストン4、シリンダヘッド5、オイルパン6等から構成されている。
シリンダブロック2は、4つのシリンダ3(#1シリンダ〜#4シリンダ)が直列に配置されるシリンダ部7と、その下部に位置するスカート部8とから構成されている。そして、各シリンダ3内にはピストン4が嵌挿されている。また、エンジン1の潤滑油として
のエンジンオイルを貯留するオイルパン6はスカート部8の下縁に取り付けられている。
そして、シリンダブロック2のスカート部8とオイルパン6とによって、エンジン1の出力軸としてのクランクシャフト10が収容されたクランクケース11が形成されている。ここで、オイルパン6(クランクケース11内ということもできる)においてエンジンオイルが貯留される部分を「貯留部6a」と称する。なお、クランクシャフト10は、コンロッド12を介してピストン4に接続されている。
図2は、エンジン1の主要部の拡大断面図である。この図では、図1と直交する断面、すなわちエンジン1をシリンダ3の配列方向に沿って切断した断面を示している。図1および2を参照して、エンジン1の主要部について詳しく説明する。クランクケース11内
には、クランクシャフト10を回転自在に軸支する軸受け部を有する複数のバルクヘッド13が、シリンダ部7から下方に向かって延設されている。この図では、隣接するシリンダ3間に各々のバルクヘッド13が配置されており、各バルクヘッド13によってクランクケース11における上部の空間がシリンダ3毎に仕切られている。
次に、クランクシャフト10の構成について説明する。クランクシャフト10は、各バルクヘッド13およびスカート部8に形成された軸受け部に軸受けされるジャーナル部14と、コンロッド12が連結されるクランクピン15と、このクランクピン15とジャーナル部14とを連結するクランクアーム16と、クランクアーム16と一体に形成されたカウンタウェイト17等から構成されている。
クランクピン15は、#1および#4シリンダ用のものと、#2および#3シリンダ用のものとで、180°ずれた位置に設けられている。そのため、エンジン1における各シリンダ3に収容された各々のピストン4における上下動は、#1シリンダと#4シリンダ(#2シリンダと#3シリンダ)との夫々の位相が一致する。一方、#1および#4シリンダにおけるピストン4と、#2および#3シリンダにおけるピストン4とでは、その上下動に関する位相がクランク角で180°相違する。言い換えると、#1および#4シリンダにおけるピストン4が上昇(下降)する際には、#2および#3シリンダにおけるピストン4が下降(上昇)する関係が成り立つ。
カウンタウェイト17は、各々のクランクアーム16におけるクランクピン15と反対側に付設されたものであり、その周面17aがクランクシャフト10の軸心を中心とした円弧にほぼ沿うように形成されている。また、カウンタウェイト17の側面17bは、各バルクヘッド13の側壁13aに僅かな間隙(例えば、数mm程度)をもって対向する平面として形成され、半円に近い扇形をなしている。
図1に戻り、エンジン1の吸排気系について説明する。シリンダ3内の燃焼室には、シリンダヘッド5に設けられた吸気ポート21を介して吸気管22が接続されている。シリンダ3への吸気(新気)の導入は吸気弁23の開閉動作によって行われる。また、吸気ポート21には、該吸気ポート21を流れる新気(吸気)に燃料を噴射する燃料噴射弁(不図示)が取り付けられている。また、各シリンダ3には、シリンダ3内の混合気に点火する点火プラグ(不図示)が設けられている。また、吸気管22には、吸気管22内を流通する新気の流量を調節可能なスロットル弁25が設けられている。また、スロットル弁25よりも上流側の吸気管22には、吸気管22を流れる新気を冷却するインタークーラ26が設けられている。
更に、インタークーラ26よりも上流側の吸気管22には、排気エネルギを駆動源として作動するターボチャージャのコンプレッサハウジング27が設けられている。また、コンプレッサハウジング27よりも上流側の吸気管22にはエアクリーナ29が設けられて
いる。
エンジン1の吸気系では、エアクリーナ29によって塵や埃が除去された新気がコンプレッサハウジング27に流入し、圧縮される。そして、圧縮されて高温となった新気はインタークーラ26にて冷却された後、必要に応じてスロットル弁25によって流量を調節された後、各シリンダ3に分配される。
一方、シリンダ3の燃焼室には、シリンダヘッド5に設けられた排気ポート31を介して、排気管32が接続されている。シリンダ3外への排気の排出は排気弁33の開閉動作によって行われる。また、排気管32には、ターボチャージャのタービンハウジング28が接続されている。タービンハウジング28より下流側の排気管32には、排気中の有害物質を浄化する図示しない排気浄化装置(例えば、三元触媒等)が配置されている。
エンジン1の排気系では、各シリンダ3で燃焼された排気が排気ポート31を介して排気管32に排出され、次いでタービンハウジング28に流入する。そして、タービンハウジング28に流入した排気は、排気エネルギを利用してタービンハウジング28に回転自在に支持されたタービンホイールを回転させる。その際、タービンホイールの回転トルクはコンプレッサハウジング27内のコンプレッサホイールに伝達される。タービンハウジング28から流出した排気は排気浄化装置において浄化された後、マフラー(不図示)を介して大気中に放出される。
以上のように構成されたエンジン1には、該エンジン1の運転条件や運転者の要求に応じて運転状態を制御するための電子制御ユニットであるECU35が併設されている。ECU35には、吸気管22を流通する吸気量を検出するエアフローメータ(不図示)、クランク角を検出するクランクポジションセンサ(不図示)、アクセル開度を検出するアクセルポジションセンサ(不図示)等の各種センサが電気的に接続されており、これらの出力信号がECU35に入力される。また、ECU35には、燃料噴射弁、スロットル弁25等が電気的に接続されており、これらが制御される。
更に、エンジン1には、クランクケース11内を換気するクランクケース換気装置が備えられている。クランクケース11内には、ピストン4とシリンダ3との間隙(例えば、ピストンリングの合口)を通って燃焼室から既燃ガスや未燃燃料等から成るブローバイガスが漏出する。ブローバイガスには窒素酸化物(NOx)、CO等が含まれている。これらがブローバイガス中に拡散しているオイル成分や、オイルパンに貯留されているエンジンオイルに作用すると、このオイル成分がスラッジ化してしまい、エンジンオイルが劣化する虞がある。
そこで、本実施例においては、クランクケース換気装置によってクランクケース11内に吸気管22を流れる新気を導き、且つクランクケース11内のブローバイガスを吸気管22へと排出させる。このように、クランクケース11内を積極的に換気することで、ブローバイガスが該クランクケース11内に澱んでしまうことを抑制する。以下、本実施例に係るクランクケース換気装置の構成について、図1および2を参照して説明する。
図1および2に示すように、上述したバルクヘッド13の他、境界壁40、側面壁41、底壁42によって、クランクケース11がシリンダ3毎に分割されている。以下、#1シリンダ〜#4シリンダの夫々に対応して分割されたクランクケース11内の空間を、クランク区画室11a〜11dとする。
境界壁40、側面壁41、底壁42について詳しく説明すると、側面壁41および底壁42は、クランクケース11のうち、クランクシャフト10やカウンタウェイト17等が
収容されている領域と、貯留部6aとを遮断(隔離)している。また、境界壁40は、各バルクヘッド13の下縁からクランクケース11内の下方に向かって延設され、且つ上記した側面壁41および底壁42に接続されている。そのため、各クランク区画室11a〜11dの夫々は、互いに独立した空間、つまり「閉鎖された空間」となっている。本実施例においてはクランクケース11内を各クランク区画室11a〜11dの夫々に分割するバルクヘッド13、境界壁40、側面壁41、底壁42が、本発明における隔壁を構成している。また、本実施例においては底壁42が本発明における隔壁の底面部に相当する。
本実施例の各バルクヘッド13の側壁13aには、各クランク区画室11a〜11dの夫々に吸気管22を流れる新気を取り込む(導入させる)ための新気導入口43と、ブローバイガスを上記11a〜11dの夫々から排出するためのブローバイガス排出口44とが開口形成されている。
より具体的には、クランク区画室11aとクランク区画室11bとを隔てている(区画している)バルクヘッド13(以下、「前端バルクヘッド」ともいう)には、その側壁13aの片面のみ(図2ではクランク区画室11a側の面)に新気導入口43およびブローバイガス排出口44が1つずつ形成されている。同様に、クランク区画室11cとクランク区画室11dとを隔てるバルクヘッド13(以下、「後端バルクヘッド」ともいう)には、その側壁13aの片面のみ(図2ではクランク区画室11d側の面)に新気導入口43およびブローバイガス排出口44が1つずつ形成されている。
更に、クランク区画室11bとクランク区画室11cとを隔てるバルクヘッド13(以下、「中央バルクヘッド」ともいう)には、その側壁13aの両面の各々に新気導入口43およびブローバイガス排出口44が各1つずつ形成されている。つまり、本実施例では、各クランク区画室11a〜11dの夫々には、新気導入口43とブローバイガス排出口44とが1つずつ形成されている。
このように構成されるクランクケース換気装置では、各クランク区画室内11a〜11dに対して各新気導入口43から新気を導入し、逆に各ブローバイガス排出口44からブローバイガスを排出する。本実施例では、吸気管22を流れる新気の一部を新気導入口43へと導き、且つブローバイガス排出口44からのブローバイガスを吸気管22へと還流させることとした。以下、吸気管22からの新気の導入経路およびブローバイガスの吸気管22への排出経路について、図1を参照して説明する。
まず、新気の導入経路(以下、「新気導入経路」という)について説明する。ここで、シリンダブロッック2のスカート部8と側面壁41とによって形成される隙間を隙間部45と称する。隙間部45と新気導入口43とは、バルクヘッド13内部に形成される新気導入通路46によって連通されている。一方、吸気管22におけるエアクリーナ29およびコンプレッサハウジング27の間の部分とシリンダヘッド5とは、新気導入管47によって接続されている。
そして、シリンダヘッド5内部およびシリンダブロック2におけるシリンダ部7の側面には、新気を通過させるための通路であるヘッド部通路48、シリンダ部通路49が夫々形成されている。より詳しくは、ヘッド部通路48の一端側は新気導入管47に接続され、その他端側はシリンダ部通路49の一端側と接続されている。また、シリンダ部通路49の他端側は上記隙間部45に接続されている。
ここで、各クランク区画室11a〜11dへの新気導入経路は、新気導入管47、ヘッド部通路48、シリンダ部通路49、隙間部45、新気導入通路46によって構成される。すなわち、吸気管22から新気導入管47へと流入した新気は、ヘッド部通路48、シ
リンダ部通路49、隙間部45、新気導入通路46を順次通過し、各新気導入口43から各クランク区画室11a〜11dへと導入される。本実施例においては新気導入経路を構成する上記各構成要素が本発明における新気導入路に相当する。
次に、ブローバイガスの排出経路(以下、「ブローバイガス排出経路」という)について説明する。図1に示すように、シリンダブロック2におけるシリンダ部通路49が形成される方とは逆側の側面には、PCV室50がシリンダブロック2と一体的に形成されている。各ブローバイガス排出口44とPCV室50とはブローバイガス排出通路51によって連通されている。このブローバイガス排出通路51は、バルクヘッド13およびシリンダブロック2の内部に形成された通路である。
PCV室50内には、ブローバイガスの流路が迷路状に形成されており、この迷路状の流路によってブローバイガス中に含まれるオイル成分が分離する。すなわち、上記流路がブローバイガスからミスト状のオイル成分を液化し、分離するためのオイルセパレータとして機能する。図1においては、PCV室50の最下部とオイルパン6とは、オイル戻し管56を介して接続されている。そして、PCV室50内でブローバイガスから分離されたオイル成分は、オイル戻し管56を通じてオイルパン6へと戻される。また、PCV室50と隙間部45とは、孔54によって連通されている。
また、吸気管22における新気導入管47との接続部およびコンプレッサハウジング27の間の部分と、PCV室50とは、ブローバイガス還流管52を介して接続されている。図1においては、PCV室50の最上部においてブローバイガス還流管52が接続されている。また、PCV室50とブローバイガス還流管52との接続部には、PCV室50から流出するブローバイガスの流量を調節可能な流量調節弁53が設けられている。この流量調節弁53は、ECU35と電気的に接続されており、ECU35によってその弁開度が調節されることで上記ブローバイガスの流量が制御される。
上記構成によれば、各クランク区画室11a〜11d内のブローバイガスは、ブローバイガス排出口44からブローバイガス排出通路51へと排出される。次いで、PCV室50にてオイル成分が分離された後、ブローバイガス還流管52を介して吸気管22へと還流される。つまり、各クランク区画室11a〜11dからのブローバイガス排出経路は、ブローバイガス排出通路51、PCV室50、ブローバイガス還流管52によって構成される。本実施例においてはブローバイガス排出経路を構成する上記各構成要素が本発明におけるブローバイガス排出路に相当する。
また、流量調節弁53の開度が小さく制御される際や、シリンダ3の燃焼室からクランクケース11内に漏出するブローバイガスの量が多くなる状況においては、PCV室50内におけるブローバイガスの一部が孔54を介して隙間部45へと流出する。これにより、各クランク区画室11a〜11dや、PCV室50内が過度に昇圧することが抑制される。なお、PCV室50から隙間部45へと戻されたブローバイガスは、新気導入口43から新気とともに各クランク区画室11a〜11dへと導入される。
次に、各クランク区画室11a〜11dにおいて、カウンタウェイト側面17bに開口する新気導入口43とブローバイガス排出口44との開口位置、およびピストン4の上下動と連動する開閉タイミングについて説明する。
本実施例では、ピストン4が上下動することによって、各クランク区画室11a〜11dの実質的な容積が増減し、それに伴って圧力が変動する。また、各クランク区画室11a〜11dは略完全に独立しているため、各クランク区画室では確実に圧力変動が生じる。本実施例では、ピストン4の上下動に起因する各クランク区画室の圧力変動を利用して
、各クランク区画室11a〜11dの換気を強制的に行う。
図1に示すように、新気導入口43およびブローバイガス排出口44は、カウンタウェイト17が回転する際に、間欠的に該新気導入口43およびブローバイガス排出口44の上部を通過するような位置に形成されている。この図では、新気導入口43とブローバイガス排出口44との各々に対して、カウンタウェイト17の側面17bが間欠的に近接する。つまり、カウンタウェイト17の側面17bが新気導入口43(或いは、ブローバイガス排出口44)の上部を通過している時期にはカウンタウェイト17が近接した状態に維持され、該上部を通過していない時期にはカウンタウェイト17が近接していない状態に維持される。
図1においては、バルクヘッド13の側面17b上であって、且つ各シリンダ3の軸線を含む平面に対して対象な位置に、新気導入口43とブローバイガス排出口44とが配置されている。また、これらはバルクヘッド13の側壁13a上において、高さ方向(シリンダ3の軸線方向)が略等しい位置に配置されている。そのため、カウンタウェイト17が新気導入口43と近接している時期の殆どは、該カウンタウェイト17がブローバイガス排出口44に対して近接していない状態に維持される。逆に、カウンタウェイト17が新気導入口43と近接していない時期の殆どは、該カウンタウェイト17がブローバイガス排出口44に対して近接している状態に維持される。
次に、本実施例におけるクランクケース換気装置において、新気導入口43とブローバイガス排出口44との開閉状態とピストン4の上下動と関係について、図3に基づいて詳しく説明する。図3は、ピストン4の上昇時および下降時における、カウンタウェイト17、新気導入口43、およびブローバイガス排出口44の相対的な位置関係を模式的に示した図である。図3(a)は、ピストン4の下降時を示した図である。図3(b)は、ピストン4の上昇時を示した図である。なお、図中にはピストン4の動作方向、およびカウンタウェイト17の回転方向を矢印にて図示している。
ここで、ピストン4、カウンタウェイト17、新気導入口43、およびブローバイガス排出口44の全ては、同一のクランク区画室(11a〜11dの何れでも良い)に属していることを前提に説明する。つまり、各クランク区画室11a〜11dにおいて、夫々のクランク区画室に対応したピストン4の上下動と、新気導入口43とブローバイガス排出口44との開放時期および閉塞時期とが関連付けられる。ここでは、便宜上、クランク区画室11a〜11dのうち11aに形成された新気導入口43およびブローバイガス排出口44の開閉状態と、これに対応するピストン4(つまり、クランク区画室11a上部に位置するシリンダ3に収容されたピストン4)の上下動との関係について説明する。
図3(a)に示すように、ピストン4の下降時にはカウンタウェイト17の側面17bが新気導入口43上部を通過する。すなわち、カウンタウェイト17の側面17bが新気導入口43に対して僅かな隙間をもって対向することで該側面17bが新気導入口43に近接した状態に維持される。一方、ブローバイガス排出口44に対してカウンタウェイト17の側面17bが近接していない状態に維持される。
このように、カウンタウェイト17の側面17bが新気導入口43に近接すると、該新気導入口43が物理的に遮断されてはないものの、新気導入口43を通過する新気の流路抵抗が非常に大きくなり、側面17bが近接していない場合に比べて新気導入量が著しく減少する。この状態は、新気導入口43がカウンタウェイト17によって閉塞された状態として捉えることができる。
本実施例では、ピストン4の下降時のように、クランク区画室11aの容積が減少して
該クランク区画室11a内の圧力が上昇するときには、新気導入口43が閉塞されるとともに、ブローバイガス排出口44が開放された状態に維持される。ここでいう「開放」とは、「閉塞されていない状態」である。その結果、クランク区画室11aにおけるブローバイガス排出口44近傍の圧力がブローバイガス排出通路51よりも高くなることによって、ブローバイガス排出口44を介してクランク区画室11aからブローバイガス排出通路51へとブローバイガスが排出される。
また、上記したブローバイガスの排出時には新気導入口43がカウンタウェイト17の側面17bによって閉塞されているので、ブローバイガスのブローバイガス排出通路51への排出をより一層効率的に行うことができる。
一方、図3(b)に示すように、ピストン4の上昇時にはカウンタウェイト17の側面17bがブローバイガス排出口44上部を通過する。すなわち、カウンタウェイト17の側面17bがブローバイガス排出口44に対して僅かな隙間をもって対向することで該側面17bがブローバイガス排出口44に近接した状態に維持される。一方、新気導入口43に対してカウンタウェイト17の側面17bが近接していない状態に維持される。
このように、カウンタウェイト17の側面17bがブローバイガス排出口44に近接すると、該ブローバイガス排出口44が物理的に遮断されてはないものの、ブローバイガス排出口44を通過する新気の流路抵抗が非常に大きくなり、側面17bが近接していない場合に比べてブローバイガスの排出量が著しく減少する。この状態は、ブローバイガス排出口44がカウンタウェイト17によって閉塞された状態として捉えることができる。
本実施例では、ピストン4の上昇時のように、クランク区画室11aの容積が増加して該クランク区画室11a内の圧力が低下するときには、ブローバイガス排出口44が閉塞されるとともに、新気導入口43が開放された状態に維持される。ここでいう「開放」とは、「閉塞されていない状態」である。その結果、クランク区画室11aにおける新気導入口43近傍の圧力が新気導入通路46よりも低くなることによって(例えば、新気導入口43近傍の圧力が負圧になる)、新気導入口43を介して新気導入通路46からクランク区画室11aへと新気が導入される。
また、上記した新気の導入時にはブローバイガス排出口44がカウンタウェイト17の側面17bによって閉塞されるので、ブローバイガスのブローバイガス排出通路51への排出をより一層効率的に行うことができる。
以上のように、本実施例におけるクランクケース換気装置によれば、ピストン4の上下動に伴う各クランク区画室11a〜11dの圧力変動を利用して、該クランク区画室内の強制的な換気を効率的に行うことができる。なお、各クランク区画室11a〜11dは略完全に独立されているため、該各クランク区画室11a〜11d内の圧力変動の発生は確実に担保される。
ところで、各クランク区画室11a〜11dに対して、ピストン4の上下動に連動して間欠的(断続的)な新気の導入、ブローバイガスの排出が行われると、新気導入通路46およびブローバイガス排出通路51に脈動が生じ易くなる。この脈動は、新気導入通路46内およびブローバイガス排出通路51内に周期的な圧力変動を引き起こす。
そこで、本実施例では、各クランク区画室11a〜11dの換気をより効率的に行うべく、ピストン4が上死点および下死点の位置にあるときに、カウンタウェイト17、新気導入口43、およびブローバイガス排出口44の相対的な位置関係を関連付けることとした。
図4は、ピストン4が上死点および下死点の位置にあるときの、カウンタウェイト17、新気導入口43、およびブローバイガス排出口44の相対的な位置関係を模式的に示した図である。図4(a)は、ピストン4における下死点到達時を示した図である。図4(b)は、ピストン4における上死点到達時を示した図である。なお、ここでは便宜上、クランク区画室11aに形成された新気導入口43およびブローバイガス排出口44の開閉状態と、これに対応するピストン4の位置関係について説明する。
図4(a)および(b)に示したように、本実施例では、ピストン4が上死点および下死点に位置するときに、カウンタウェイト17の側面17bが新気導入口43およびブローバイガス排出口44に対して近接しないように、これらを形成させることとした。言い換えると、本実施例においては、ピストン4が上死点および下死点に位置するときに、カウンタウェイト17の側面17bが新気導入口43およびブローバイガス排出口44の上部を通過しないように、カウンタウェイト17の形状、新気導入口43、ブローバイガス排出口44の大きさや開口位置が決定されている。
これによれば、ピストン4の上死点および下死点において、新気導入口43おとブローバイガス排出口44との双方が共に開放される。つまり、新気導入口43おとブローバイガス排出口44の双方が上記上死点および下死点においてカウンタウェイト17の側面17bによって閉塞されない。その結果、クランク区画室11a、新気導入通路46、およびブローバイガス排出通路51の全てが一斉に導通する。そのため、上述した新気導入通路46およびブローバイガス排出通路51に脈動が発生したとしてもこの脈動を積極的に減衰、あるいは消滅させることができる。従って、新気導入口43からの新気の導入、およびブローバイガス排出口44からのブローバイガスの排出をより一層効率良く行うことができる。
なお、本実施例では、ピストン4の上死点と下死点との双方において、新気導入口43およびブローバイガス排出口44が共に開放させているが、例えば、上死点又は下死点の何れかのみに新気導入口43とブローバイガス排出口44とを同時に開放させても構わない。つまり、上死点又は下死点の何れかのみにおいて、カウンタウェイト17の側面17bが新気導入口43およびブローバイガス排出口44に対して近接しないようにしても良い。これによっても、上記脈動を減衰させる効果を奏する。
ところで、本実施例においては、クランクケース11内に収容された各部材(コンロッド12、ピストン4、クランクシャフト10、カウンタウェイト17等)には、貯留部6aに貯留されているエンジンオイルが図示しない潤滑系によって供給されることによって、これら各種部材の潤滑が確保されている。このように、各クランク区画室11a〜11d内の潤滑に使用されたエンジンオイルは、貯留部6aに戻す必要があるところ、各クランク区画室11a〜11dは底壁42および側面壁41によって貯留部6aと隔離されている。
そこで、図1および2に図示するように、本実施例における底壁42にはエンジンオイルを排出させるための貫通孔42aが形成されている。この貫通孔42aは、クランク区画室11a〜11dの夫々が貯留部6aと連通するように、クランク区画室の数だけ形成されている。
更に、底壁42の貯留部6a側の表面にはリード弁55が配設されている。リード弁55は、各クランク区画室11a〜11dと貯留部6aとの圧力差によって、撓んで開閉する板状の弁である。図2を参照してリード弁55の構成を説明すると、このリード弁55は板バネ部55aを有している。この板バネ部55aは所定の付勢力をもって、板バネ部
55a自身を貫通孔42aの縁部に押しつけることによって貫通孔42aを遮蔽して(塞いで)いる。なお、このリード弁55によって貫通孔42aが遮蔽されている状態のときには、貫通孔42aおよび板バネ部55aによって形成される窪みにエンジンオイルを溜めることもできる。
次に、リード弁55の開閉動作について説明する。本実施例では、各クランク区画室11a〜11dに属するピストン4の下降時(すなわち、クランク区画室からのブローバイガスの排出時)と同期させて、貯留部6aに上記エンジンオイルを排出することとした。
ここで、各クランク区画室11a〜11dに属するピストン4の下降時には、このピストン4に対応したクランク区画室内が昇圧することは上述した通りである。各クランク区画室11a〜11dの圧力が貯留部6a内の圧力よりも高くなると、板バネ部55aを各クランク区画室11a〜11d側から貯留部6a側に押圧する押圧力が作用する。そして、上記圧力差の増大に伴って板バネ部55aに作用する押圧力が該板バネ部55aの付勢力より大きくなると、リード弁55が開弁される。つまり、貫通孔42aの遮蔽状態が解除される。なお、図2において破線で描かれた板バネ部55aの姿は、該板バネ部55aが開弁された状態、すなわち貫通孔42aの遮蔽状態が解除された状態を示している。
一方、ピストン4の上昇時には、各クランク区画室11a〜11dの圧力が低下するため、板バネ部55aに作用する押圧力が減少する。そして、この押圧力が板バネ部55aの付勢力より小さくなることでリード弁55が閉弁するため、貫通孔42aが遮蔽される。なお、図2において実線で描かれた板バネ部55aの姿は、該板バネ部55aが閉弁された状態、すなわち貫通孔42aが遮蔽された状態を示している。
以上のように、本実施例におけるリード弁55は、ピストン4の上昇時、すなわち新気導入時に貫通孔42が遮蔽されるので、新気導入孔43からの新気の導入量を好適に確保することができる。また、ピストン4の下降時、すなわちブローバイガスの排出時に貫通孔42の遮蔽状態が解除されるので、各クランク区画室11a〜11d内の潤滑に用いられたエンジンオイルを貯留部6aに戻すことができる。この構成によれば、ブローバイガス排出口44からのブローバイガスの排出と、貫通孔42aからのエンジンオイルの排出とがほぼ同時に行われる。
ここで、貫通孔42の遮蔽およびその解除を切り替える構成としてリード弁55を採用しているが、ピストン4の上昇時に貫通孔42を遮蔽し、ピストン4の下降時に該貫通孔42の遮蔽状態を解除する機能を有すれば他の構成を採用しても構わない。例えば、上記リード弁55の代わりにECU35によって貫通孔42の遮蔽、およびその解除を切り替えることの可能な制御弁を設置しても良い。しかしながら、本実施例のようにリード弁55を作用することによって、ピストン4の上下動に伴った各クランク区画室11a〜11dの圧力変動を利用し、貫通孔42の遮蔽およびその解除をより簡易な構成によって切り替えることができる。本実施例においてはリード弁55が本発明における開閉弁に相当する。
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であって、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記の実施形態には種々の変更を加え得る。例えば、各クランク区画室11a〜11dには、新気導入口43とブローバイガス排出口44との夫々を複数ずつ形成することもできる。これにより、クランクケース11内の換気をより効率的に行うことができる。
また、本実施例では、バルクヘッド13の側壁13aに新気導入口43およびブローバイガス排出口44を開口しているが、これに限定されるものではない。例えば、端部に位
置するクランク区画室(本実施例では、クランク区画室11a、または11d)に形成される新気導入口43やブローバイガス排出口44は、シリンダブロック2におけるスカート部8の内壁(クランクケース11内壁ということもできる)に形成しても構わない。この場合、カウンタウェイト17の側面17bを、上記クランクケース11内壁に対して僅かな間隙をもって対向する平面として形成すれば良い。つまり、クランクケース11内壁のうち、カウンタウェイト17の側面17bが間欠的に近接する部分に新気導入口43および/またはブローバイガス排出口44を形成させることができる。
また、本実施例では、新気導入口43、ブローバイガス排出口44をカウンタウェイト17の側面17bによって閉塞させる場合を例示して説明したが、カウンタウェイト17の周面17aによって閉塞させる構成であっても良い。例えば、カウンタウェイト17の回転運動に伴って該カウンタウェイト17の周面17aが間欠的に近接する側面壁41の部分に、新気導入口43および/またはブローバイガス排出口44を開口させることができる。そうすれば、側面壁41に形成された新気導入口43および/またはブローバイガス排出口44に対して該周面17aが近接しているかどうかによって、これらの閉塞、開放の切り替えを行うことができる。
また、本実施例において、クランクケース11内がシリンダ3毎に分割されているが、少なくともピストン4の上下動の位相が異なるシリンダ毎に分割されていれば良い。例えば、本実施例では、#2シリンダおよび#3シリンダに収容されたピストン4はその上下動の位相が等しいため、上述したクランク区画室11bおよび11cを合わせて1つの区画室にしても構わない。
実施例におけるエンジンの概略構成を示した図である。 実施例におけるエンジンの主要部の拡大断面図である。 ピストンの上昇時および下降時における、カウンタウェイト、新気導入口、およびブローバイガス排出口の相対的な位置関係を模式的に示した図である。(a)は、ピストンの下降時を示した図である。(b)は、ピストンの上昇時を示した図である。 ピストンが上死点および下死点の位置にあるときの、カウンタウェイト、新気導入口、およびブローバイガス排出口の相対的な位置関係を模式的に示した図である。(a)は、ピストンにおける下死点到達時を示した図である。(b)は、ピストンにおける上死点到達時を示した図である。
符号の説明
1・・・エンジン
2・・・シリンダブロック
3・・・シリンダ
4・・・ピストン
5・・・シリンダヘッド
6・・・オイルパン
6a・・貯留部
10・・クランクシャフト
11・・クランクケース
13・・バルクヘッド
17・・カウンタウェイト
35・・ECU
40・・境界壁
41・・側面壁
42・・底壁
42a・貫通孔
43・・新気導入口
44・・ブローバイガス排出口
46・・新気導入通路
47・・新気導入管
48・・ヘッド部通路
49・・シリンダ部通路
50・・PCV室
51・・ブローバイガス排出通路
52・・ブローバイガス還流管
55・・リード弁

Claims (4)

  1. 多気筒内燃機関に適用される内燃機関のクランクケース換気装置であって、
    少なくともピストン上下動の位相が異なる気筒毎にクランクケース内を複数の区画に分割する隔壁と、
    前記各々の区画を形成する前記隔壁またはクランクケース内壁のうち、前記内燃機関のクランク軸に設けられたカウンタウェイトが間欠的に近接する部分に開口する少なくとも一つの新気導入口と、
    一端が前記新気導入口に接続され且つ他端が前記内燃機関の吸気通路に接続される新気導入路と、
    前記各々の区画を形成する前記隔壁またはクランクケース内壁のうち前記カウンタウェイトが間欠的に近接する部分に開口する少なくとも一つのブローバイガス排出口と、
    一端が前記ブローバイガス排出口に接続され且つ他端が前記吸気通路に接続されるブローバイガス排出路と、
    を備え、
    前記各々の区画に形成される前記新気導入口は、該新気導入口と同一区画のピストンの下降時にカウンタウェイトが近接し、且つ該ピストンの上昇時に該カウンタウェイトが近接しない位置に開口し、
    前記各々の区画に形成される前記ブローバイガス排出口は、該ブローバイガス排出口と同一区画のピストンの上昇時にカウンタウェイトが近接し、且つ該ピストンの下降時に該カウンタウェイトが近接しない位置に開口していることを特徴とする内燃機関のクランクケース換気装置。
  2. 同一区画内に形成される前記新気導入口および前記ブローバイガス排出口は、該新気導入口および該ブローバイガス排出口と同一区画のピストンが上死点および/または下死点に位置するときにカウンタウェイトが近接しない位置に開口していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のクランクケース換気装置。
  3. 前記隔壁は、前記クランクケース内に形成され、且つ潤滑油が貯留される貯留部と前記各々の区画とを隔てる底面部を有して構成されており、
    前記隔壁の底面部には前記各々の区画と前記貯留部とを連通する貫通孔と、該各々の区画におけるピストンの上昇時に前記貫通孔を遮蔽し且つ該ピストンの下降時に該貫通孔の遮蔽状態を解除する開閉弁と、が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のクランクケース換気装置。
  4. 前記開閉弁は、前記隔壁の底面部における前記貯留部側の表面に配設されるリード弁であることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のクランクケース換気装置。
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